JPWO2015025497A1 - 測距システム、およびそれに用いる固体撮像素子 - Google Patents

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Abstract

測距システム(1)は、光照射を指示する発光信号と反射光の露光を指示する露光信号とを発生する信号発生部(30)と、発光信号を受信して、測距を目的としない照明と、反射光による測距のための光照射とを行う第1の照明測距兼用光源部(20)と、露光信号を受信して露光を行い、反射光の露光量を取得する撮像部(10)と、露光量を用いて、距離情報を演算して出力する演算部(40)とを備え、第1の照明測距兼用光源部に照明を行わせる照明モードと、第1の照明測距兼用光源部に光照射をさせて撮像部を動作させることにより第1の測距を行う第1の測距モードとを動作モードとして有する。

Description

本開示は、測距システム及び信号発生装置に関する。
図21は、これまで提案された様々な検知システムのなかで、特許文献1に開示された従来技術の検知システムである。
この検知システムは、自動車用途であり、自動車の前部に設けられた赤外光源としてのLEDランプ12と、撮像手段としてのカメラ13と、自動車の内部に設けられた制御手段としての制御回路14と、表示手段としてのモニタ15と、から構成されている。
また、LEDランプ12は暗闇を照らす目的のヘッドライト光源とは別の光源であり、自動車のバンパーの端付近に設けられ、例えば波長880nmの近赤外光を出射するように構成されている。
また、カメラ13は、アクティブタイプのシステムとして、LEDランプ12から出射される近赤外線に対して感度を有する固体撮像素子から構成され、近赤外線による画像撮像を行なう。
モニタ15は、自動車の車室内に設けられた専用のモニタ又はカーナビゲーションシステム等のモニタを使用して、その画面上に上述した撮像画面が表示され、あるいは所謂ヘッドアップディスプレイとして、フロントガラスの内面に設けられたスクリーンに上述した撮像画面が投影されるようになっている。
また、赤外受光素子16は、パッシブタイプのシステムとして、歩行者や動物等が発する赤外線を検出する。
特開2002−274258号公報
しかしながら、特許文献1に開示された従来技術では、暗闇等を明るくするための光源と、カメラ13で撮像を行うため近赤外光を発振する光源(LEDランプ12)を、それぞれ設置する必要があり、システム(装置)の小型化、軽量化が難しいという課題を有している。
また、近年、検知システムの性能向上、用途拡大させるためには、特に距離情報を正確に取得することが求められている。
前記課題を鑑み、システム(装置)の小型化、軽量化と高い測距精度を備える測距システム及び信号発生装置を提供する。
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る測距システムは、光照射を指示する発光信号と反射光の露光を指示する露光信号とを発生する信号発生部と、前記発光信号を受信して、測距を目的としない照明と、反射光による測距のための前記光照射とを行う第1の照明測距兼用光源部と、前記露光信号を受信して前記露光を行い、前記反射光の露光量を取得する撮像部と、前記露光量を用いて、距離情報を演算して出力する演算部とを備え、前記第1の照明測距兼用光源部に前記照明を行わせる照明モードと、前記第1の照明測距兼用光源部に前記光照射をさせて前記撮像部を動作させることにより第1の測距を行う第1の測距モードとを、動作モードとして有する。
この構成によれば、1つの光源(照明測距兼用光源部)を、照明だけでなく測距にも兼用するので、照明システムと測距システムとを独立にそれぞれを設置する場合と比べて、測距システムの小型化、軽量化を容易にすることができる。しかも、照明測距兼用光源部は照明にも用いる光源なので測距に十分な光量の反射光を得られることから、測距精度を高めることができる。
また、本開示の一態様に係る測距システムでは、前記第1の測距モードにおいて前記第1の照明測距兼用光源部から照射される光の振幅は、前記照明モードにおいて前記第1の照明測距兼用光源部から照射される光の振幅よりも大きくなるようにしてもよい。
この構成によれば、測距精度をもっと高めることができる。
また、本開示の一態様に係る測距システムでは、前記第1の測距モードにおいて前記第1の照明測距兼用光源部から照射される光の点灯時間幅は、前記照明モードにおいて前記第1の照明測距兼用光源部から照射される光の点灯時間幅よりも短くなるようにしてもよい。
この構成によれば、測距精度をもっと高めることができる。
また、本開示の一態様に係る測距システムは、さらに、前記第1の照明測距兼用光源部を消灯した状態で、前記撮像部を動作させ前記演算部にバックグラウンド光量を計測させるモードを備え、前記演算部は、前記第1の測距モードの露光量から前記バックグラウンド光量を減じる補正を行ってもよい。
この構成によれば、測距精度をさらにもっと高めることができる。
また、本開示の一態様に係る測距システムにおいて、前記第1の照明測距兼用光源部は、単色のLED、又は複数色のLEDを搭載してもよい。
また、本開示の一態様に係る測距システムにおいて、前記第1の測距モードおよび前記照明モードの切り替えを少なくとも120回/秒としてもよい。
また、本開示の一態様に係る測距システムは、さらに第2の照明測距兼用光源部を備え、前記演算部は、さらに、前記第1および第2の照明測距兼用光源部の位相差情報を用いて測距を行ってもよい。
また、本開示の一態様に係る測距システムにおいて、前記第1および第2の照明測距兼用光源部は、車両に備えられた左右のハイビーム光源と左右のロービーム光源のうち、(a)左および右のハイビーム光源、並びに(b)左および右のロービーム光源のいずれかであってもよい。
また、本開示の一態様に係る測距システムにおいて、前記演算部は、前記撮像部からの画像信号を用いて現在のフレームと前のフレームを比較することにより第2の測距を行ってもよい。
また、本開示の一態様に係る測距システムにおいて、前記演算部は、前記第1および第2の測距による距離情報の一方を、前記第1および第2の測距の距離情報の他方により補正を行ってもよい。
また、本開示の一態様に係る測距システムにおいて、前記第1、第2の測距を、昼夜、天候、被写体までの距離、又は、前記被写体もしくは前記測距システムの動き速度により使い分けてもよい。
また、本開示の一態様に係る測距システムにおいて、前記撮像部は固体撮像素子を備え、前記固体撮像素子はCCD型の固体撮像素子であってもよい。
また、本開示の一態様に係る測距システムは、前記撮像部は複数の画素を有する固体撮像素子を備え、前記複数の画素のそれぞれは、光電変換する受光部と、前記受光部から読み出された信号電荷を蓄積する蓄積部とを備え、前記固体撮像素子は、前記複数の画素において前記受光部の信号電荷を前記蓄積部に一括して読み出すMOS型の固体撮像素子であってもよい。
また、本開示の一態様に係る測距システムにおいて、前記撮像部は複数の画素を有する固体撮像素子を備え、前記複数の画素のそれぞれは、受光面と垂直な軸を中心軸とし異なる屈折率の材料を同心状に繰り返し配置した構造を有するマイクロレンズを備えていてもよい。
また、本開示の一態様に係る測距システムは、前記撮像部は複数の画素を有する固体撮像素子を備え、前記複数の画素のそれぞれは、赤外線透過フィルタ、赤色光および赤外線を透過する第1のフィルタ、緑色光および赤外線を透過する第2のフィルタ、および、青色光および赤外線を透過する第3のフィルタの何れかを備えてもよい。
また、本開示の一態様に係る測距システムは、前記赤外線透過フィルタ、および、前記第1から第3フィルタの少なくとも1つは、無機材料を積層したフィルタであってもよい。
また、本開示の一態様に係る測距システムは、重機、又は、重機と作業現場の構造物に搭載してもよい。
また、本開示の一態様に係る測距システムは、輸送機器に搭載してもよい。
また、本開示の一態様に係る測距システムは、住宅設備機器に搭載してもよい。
また、本開示の一態様に係る信号発生装置は、発光パルス信号を制御する信号発生装置であって、前記信号発生装置は、複種類の前記発光パルス信号を制御し、前記複種類の発光パルス信号は、測距を行うための光照射を指示する第1発光パルス信号と、測距を目的としない照明の点灯を指示する第2発光パルス信号とを含み、前記第2発光パルス信号がOFFとなるときに、前記第1発光パルス信号はONとなる。
この構成によれば、測距精度を高めることができる。
また、本開示の一態様に係る信号発生装置において、前記第1発光パルス信号がONとなる期間は、前記第2発光パルス信号がONとなる期間よりも短くてもよい。
この構成によれば、測距精度をもっと高めることができる。
また、本開示の一態様に係る信号発生装置において、前記第2発光パルス信号は、前記第1発光パルス信号がONとなる期間を複数回繰り返した後に、ONとなってもよい。
また、本開示の一態様に係る信号発生装置において、前記第1発光パルス信号がONとなる回数と前記第2発光パルス信号がONとなる回数との合計は、少なくとも120回/秒としてもよい。
また、本開示の一態様に係る信号発生装置において、前記第1発光パルス信号の振幅は、前記第2発光パルス信号の振幅よりも大きくてもよい。
また、本開示の一態様に係る信号発生装置において、前記第1発光パルス信号は、Time Of Flightにより測距を行うために用いられてもよい。
また、本開示の一態様に係る信号発生装置は、前記第1発光パルス信号により発生した照射光の、被写体による反射光の露光を指示する露光信号を制御してもよい。
本開示に係る測距システム及び信号発生装置によれば、システム(装置)の小型化、軽量化と高い測距精度を実現することが出来る。
図1は、実施の形態1に係る測距システムの概略構成を示す機能ブロック図である。 図2は、実施の形態1に係る測距システムの搭載例を示す概略搭載図である。 図3は、実施の形態1に係る測距システムの搭載例を示す概略搭載図である。 図4は、実施の形態1に係る固体撮像素子の画素の構造を示す断面図である。 図5は、実施の形態1に係るCCD型の固体撮像素子の機能構成図である。 図6は、実施の形態1に係るMOS型の固体撮像素子の単位セルの構成を示す回路図である。 図7は、実施の形態1に係る単位セルが2次元状に配置されてなるMOSイメージセンサの概略構成図である。 図8は、実施の形態1に係る発光信号及び露光信号による動作例を示す第1のタイミングチャートである。 図9Aは、実施の形態1に係る発光信号及び露光信号による動作例を示す第2のタイミングチャートである。 図9Bは、実施の形態1に係る発光信号によるTOFモード又は照明モードで一定回数連続して動作させる動作例を示す図である。 図10は、実施の形態1に係る発光信号及び露光信号による動作例を示す第3のタイミングチャートである。 図11は、実施の形態2に係る測距システムの概略構成を示す機能ブロック図である。 図12は、実施の形態2に係る測距システムを自動車に搭載した例を示す概略搭載図である。 図13Aは、実施の形態2に係る測距システムの第1および第2の照明測距兼用光源の詳細を示した図である。 図13Bは、実施の形態2に係る測距システムのTOFモード(第1の測距モード)と照明モードにおけるハイビーム光源、ロービーム光源の組み合わせ例を示す図である。 図14Aは、実施の形態3に係る、単独の照明測距兼用光源を備える測距システムの概略構成を示す機能ブロック図である。 図14Bは、実施の形態3に係る、第1および第2の照明測距兼用光源を備える測距システムの概略構成を示す機能ブロック図である。 図15Aは、実施の形態3に係る固体撮像素子のマイクロレンズの第1の配列例を示す図である。 図15Bは、実施の形態3に係る固体撮像素子のマイクロレンズの第2の配列例を示す図である。 図15Cは、実施の形態3に係る固体撮像素子のマイクロレンズの第3の配列例を示す図である。 図15Dは、実施の形態3に係る固体撮像素子と、レンズおよび被写体との間の光路を示す説明図である。 図16は、実施の形態に係る固体撮像素子のマイクロレンズの配置および構造を単位セル群毎に示す平面構造図である。 図17は、実施の形態4に係る測距システムを住宅設備機器に搭載した例を示す図である。 図18Aは、実施の形態に係る測距システムの搭載されるイメージセンサの画素について、特にIR透過フィルタ(フォトニック型)の詳細を説明した断面構造図である。 図18Bは、実施の形態に係る測距システムの搭載されるイメージセンサの画素について、特にIR透過フィルタ(有機材料型)の詳細を説明した断面構造図である。 図19は、実施の形態に係る固体撮像素子の平面構造図である。 図20は、実施の形態に係る固体撮像素子の断面構造図である。 図21は、従来技術の検知システムの概略構成を示す機能ブロック図である。
以下、本開示の実施の形態に係る測距システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものであり、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本開示を限定するものではない。
(実施の形態1)
実施の形態1に係る測距システム(センシングシステム)は、光照射を指示する複種類の発光信号(発光パルス信号)と反射光の露光を指示する露光信号とを発生(制御)する信号発生部(信号発生装置)と、発光信号を受信して、測距(センシング)を目的としない照明と、反射光による測距(センシング)のための光照射とを行う第1の照明測距兼用光源部と、露光信号を受信して露光を行い、反射光の露光量を取得する撮像部と、露光量を用いて、距離情報を演算して出力する演算部とを備え、撮像部および演算部を動作させることなく第1の照明測距兼用光源部に照明を行わせる照明モードと、第1の照明測距兼用光源部に光照射をさせて撮像部を動作させることにより第1の測距を行う第1の測距モード(センシングモード)とを、動作モードとして有することを特徴とする。
図1は、実施の形態1に係る測距システムの概略構成を示す機能ブロック図である。
同図に示すように、測距システム(検知システム)1は、撮像部10と、照明測距兼用光源20(第1の照明測距兼用光源部)と、信号発生部30と、演算部40とを備える。
照明測距兼用光源20は、駆動回路、コンデンサ及び発光素子を有し、コンデンサに保持した電荷を発光素子へ供給することで光を発する。発光素子としてはレーザダイオードや発光ダイオード(LED)等のその他の発光素子を用いてもよい。
また、照明測距兼用光源20は、測距を目的としないで暗闇等を明るくするための照明用光源と、距離などの物理量を検知するための測距用光源とが兼用となっている。例えば、後述する図12のように、輸送機器(例えば、自動車)に用いる場合は、ヘッドライト又はフォグランプ等と兼用する。
また、照明測距兼用光源20として用いるLEDは、単色LED(例として白色LED)を用いることが出来る。
また、照明測距兼用光源20として用いるLEDとして複数色のLED(例えば、赤色LED、青色LED.黄色LED等)を組み合わせてもよく、この場合は、測距に長波長側(例えば、赤色LED)の光源を用いると、霧等の拡散粒子による減衰が軽減され、白色を用いた場合に比べてより遠くを測距すること出来る。
また、複数色のLEDとして、例えば、赤色LED、青色LED,黄色LED等と共に白色LEDを組み合わせることもでき、この場合は、例えば、夕方等において強い日差しを受けている場合はより波長の短い白色を用い、雨が降っている場合などは散乱による減衰を低減できる波長の長い光源(例えば、赤色LED等)を使い、夜間は道路状況に応じて対向車線側ではなく歩道側の光源をより強力にして到達距離を上げるというように使い分けることより、どのような天候、環境状況でも高い精度で測距することが出来る。
また、赤色LED、青色LED、黄色LED等による複数種類の色のLEDを組み合わせることにより、照明光源から発振される光の波長領域の中から、近赤外光を選択的に用いた測距を行うことも出来る。
また、信号発生部30は、光照射を指示する発光信号(第1発光パルス信号、第2発光パルス信号)51と、被写体からの反射光の露光を指示する露光信号52とを発生する。照明測距兼用光源20は、信号発生部30で発生する発光信号(第1発光パルス信号)51を受信するタイミングに従って被写体に対する測距のための光照射と、信号発生部30で発生する発光信号(第2発光パルス信号)51を受信するタイミングに従って測距を目的としないで暗闇を明るくするための光照射とを行う。
撮像部10は、カメラレンズ、固体撮像素子(イメージセンサ)、及びA/Dコンバータ等のRAWデータ53を作成し出力する回路を有する。なお、本実施の形態は、A/Dコンバータ等のRAWデータ53を作成し出力する回路は固体撮像素子に搭載されている場合も含む。
また、撮像部10は、対象物体(被写体)を含む領域に対して、信号発生部30で発生する露光信号52が示すタイミングに従って複数回の露光を行い、複数回の露光量の総和に対応したRAWデータ53(TOF(Time Of Flight)情報)を出力する。
また、演算部40は、撮像部10から受けたRAWデータ53に基づいて演算し、被写体までの距離情報(検知情報)を出力する。
なお、本実施の形態では、信号発生部30、撮像部10及び演算部40は、その一部又はすべてが、半導体基板にワンチップで搭載される場合も含む。
図2、図3は、図1の測距システムの搭載例を示す概略搭載図である。図2は、重機であるショベルカーに搭載した場合であり、特に、照明測距兼用光源20と撮像部10の詳細を示した概略図である。
図2では、ショベルカー90には、照明測距兼用光源20と撮像部10が搭載され、撮像部10はショベルカー90の上部旋回体の上部に搭載されている。また、ショベルカー90の上部旋回体における車両前部にはアームが備えられ、アームの先端部分に、バルク材を掬い込むバケット96が設けられている。また、上部旋回体は360度旋回可能となっている。
また、図3では、ショベルカー90には撮像部10が搭載されており、工事現場の構造物18に照明測距兼用光源20が設置されている。
本実施の形態に係る測距システム1を重機、又は、重機と作業現場の構造物に搭載すれば、例えば、地面等を掘り下げる場合の障害物までの距離を正確に測定することが出来、つまり、一定の距離又は障害物(例えば図2、図3のY箇所)までの距離まで自動的に掘り下げ、想定する距離から外れた(又は、想定する距離に近づいた)場合は自動的に動作停止など、小型かつ軽量な測距システム1でありながら自動運転を行うことも出来るようになる。
なお、図2、図3では重機の搭載した例を示したが、これに限定されず、例えば、その他の重機(ブルドーザー等)、輸送機器(自動車、自転車、オートバイ、鉄道車両、飛行機、宇宙機等)、輸送機器とインフラ設備、住宅設備機器など、あらゆる機器に搭載することが可能である。
また、図4は、本実施の形態に係る固体撮像素子の画素の構造を示す断面図である。
図中の固体撮像素子は、半導体基板301、受光部(PD)303、金属配線、ゲート電極又は転送電極305、マイクロレンズ307等を含む。被写体からの反射光は、マイクロレンズ307により集光されて受光部(PD)303に到達する。
なお、本実施の形態に係る固体撮像素子は、赤外線(以下、IRと呼ぶ)に対してのみ感度を有するイメージセンサを使用出来ると共に、赤色領域、緑色領域及び青色領域(以下、RGBと呼ぶ)、並びに、IR(以下、RGB+IRと呼ぶ)に対して感度を有するイメージセンサを用いることが可能である。なお、RGB+IRを用いた場合の詳細は後述する。
次に、本実施の形態に係る測距システム1の撮像部10に、CCD型の固体撮像素子を用いた場合について説明する。
図5は、CCD型の固体撮像素子の機能構成図である。同図に示すように、CCD型固体撮像素子は、受光部(フォトダイオード、PD)101と、複数の垂直転送部102と、水平転送部103と、信号電荷検出部104とを備える。
フォトダイオード101は、受光した光を電荷に変換する。垂直転送部102は、複数のゲートから構成され、フォトダイオード101から読み出した電荷を順次垂直方向に転送する。水平転送部103は、複数のゲートから構成されている複数のゲートがパケットとして垂直転送部102から受けた電荷を順次水平方向に転送する。信号電荷検出部104は、水平転送部から受けた電荷を順次検出して電圧信号に変換してRAWデータ(TOF情報)53を出力する。
また、複数のフォトダイオード(PD)101を一括してリセットする動作、いわゆるグローバルリセットにより各PDにおいて検出する光の時間差を無くすることが出来るので、被測定物への光の遅延を計測することを利用する高精度な測距を実現することが出来る。
なお、図5はCCDイメージセンサ(CCD型固体撮像素子)であるが、本実施の形態ではMOSイメージセンサを用いることも出来る。このMOSイメージセンサは複数の画素を有する固体撮像素子を備え、複数の画素のそれぞれは、光電変換する受光部と、受光部から読み出された信号電荷を蓄積する蓄積部とを備える。MOSイメージセンサは、複数の画素において受光部の信号電荷を蓄積部に一括して読み出すことを特徴とする。
図6は、本実施の形態に係る測距システム1の撮像部10に用いるMOS型の固体撮像素子の一例であり、MOSイメージセンサにおける単位セル201の構成を示す回路図である。ここに、nは1から4までの整数とする。
図6より、個々の単位セル201は、受光部であるPDと、シャッタ信号TXSnをHとすることでPDに蓄積した信号電荷をリセット(排出)するためのシャッタトランジスタM5と、蓄積部であるフローティングディフュージョン(floating difusion:FD)と、転送信号TXnをHとすることでPDに蓄積した信号電荷をFDに読み出すための読み出しトランジスタM1と、リセット信号RSnをHとすることでFDに読み出された信号電荷をリセットするためのリセットトランジスタM2と、ゲートがFDに接続されたソースフォロワトランジスタM3と、選択信号SELnをHとすることでソースフォロワトランジスタM3を垂直信号線へ接続するライン選択トランジスタM4とから構成される。リセットトランジスタM2とソースフォロワトランジスタM3とシャッタトランジスタM5とのドレインは、画素電極VDDに接続されている。
図7は、図6の単位セル201が2次元状に配置されてなるMOSイメージセンサの概略構成図である。
図7のMOSイメージセンサは、単位セル201を4行4列の2次元状に配列した撮像領域202と、列ごとのトランジスタ閾値電圧のばらつきにより発生する固定パターンノイズ(fixed pattern noise:FPN)を除去するためのFPN除去部203と、FPN除去部203の出力信号を順次選択するための水平選択部204と、水平選択部204の出力信号を増幅するための差動アンプ205とから構成されている。なお、撮像領域202は説明の便宜上4行4列の小サイズとしている。
撮像領域202の行は、不図示の垂直走査部により順次選択される。各列の垂直信号線206に電流源209が接続されている。FPN除去部203の各列は、サンプルホールド信号SHSを受ける信号レベル用のサンプルトランジスタM11と、サンプルホールド信号SHNを受けるリセットレベル用のサンプルトランジスタM12と、信号レベル用の容量Cllと、リセットレベル用の容量C12とから構成される。水平選択部204の各列は、信号レベル用の容量Cllと第1の水平信号線207との間に介在した第1の列選択トランジスタM21と、リセットレベル用の容量C12と第2の水平信号線208との間に介在した第2の列選択トランジスタM22とから構成される。水平選択部204の各列は、不図示の水平走査部からの信号H1〜H4により順次選択される。差動アンプ205は、第1の水平信号線207と第2の水平信号線208との間の電位差を増幅する。
図6、図7に示した固体撮像素子は、PDの信号電荷を全画素において一括して読み出し蓄積する蓄積部(図6のFD)を備えることを特徴とし、撮像領域2内の複数のフォトダイオードPDを一括してリセットすることが出来、つまり、MOS型であってもグローバルシャッタ&グローバルリセット機能を実現する。
但し、本実施の形態に係る固体撮像素子は、図5、図6、図7で示したCCD型、MOS型イメージセンサに限定されるものではなく、測距システム1として他の要求を考慮して、その他の固体撮像素子(イメージセンサ)を用いても後述する効果(測距精度向上、等)を得ることが可能である。
次に、本実施の形態に係る測距システムの動作方法について、図8、図9A、図10のタイミングチャートを用いて詳細を説明する。図8、図9A、図10は、発光信号及び露光信号による動作例を示す第1〜第3のタイミングチャートである。本実施の形態では、第1〜第3のタイミングチャートのいずれかの動作を用いることが出来る。
まず、第1の駆動方法として、図8を用いて測距時(TOFモード)の駆動操作を説明すると、発光信号51は測距を行うための光照射を指示する第1発光パルス信号と、測距を目的としない照明の点灯を指示する第2発光パルス信号とを含み、第2発光パルス信号がOFFのときに、第1発光パルス信号はONとなり、第1発光パルス信号は、TOFにより測距を行うために用いられる。また、投射した光が対象物まで往復するのにかかる時間から距離を計測するTOFを基本原理とし、発光信号(第1発光パルス信号)51により発生した照射光の、被写体である測定対象物による反射光の露光を指示する露光信号52が、第一の露光信号と第二の露光信号との異なるタイミングの2パターンで制御されることで露光したそれぞれの光量の比に基づいて測定対象物までの距離を算出する。例えば、第一の露光信号によって、測定対象物からの反射光の全てを含むように露光を行い、第二の露光信号によって、測定対象物からの反射光が発光タイミングに対して遅延する程、露光量が増加するような露光を行う。また背景光等のオフセット成分を検出するため、発光信号51を停止させて第一の露光信号、第二の露光信号と同じ条件の露光を行う。
そして、第一の露光信号による露光量の総和S0、第二の露光信号による露光量の総和S1、背景光の露光量の総和BG、照射する直接光の発光信号51の時間幅T0、光速度cの各値から被写体までの距離Lを算出する(式1参照)。
Figure 2015025497
また、1画面における発光信号51、第一の露光信号、第二の露光信号のタイミングでは、発光信号(第1発光パルス信号)51と第一の露光信号とを複数回繰り返し出力し、その後発光信号(第1発光パルス信号)51と第二の露光信号とを同じ回数だけ繰り返し出力し、その後発光信号(第1発光パルス信号)51を停止させて第一の露光信号や第二の露光信号と同じ条件の露光信号52を同じ回数だけ繰り返し出力する。この一連のタイミングを1セットとし、これを複数セット繰り返し出力した後、蓄積された露光量を出力して被写体までの距離を(式1)により算出するようにしてもよい。
続いて、図8を用いて照明時(照明モード)の駆動操作を説明すると、光の振幅が照明モードに比べてTOFモード(センシングモード)の方が高い強度となるように動作を行う。つまり、第1発光パルス信号の振幅は第2発光パルス信号の振幅よりも大きく、これにより、TOFモードにおいて照明測距兼用光源20から照射される光の振幅は、照明モードにおいて照明測距兼用光源20から照射される光の振幅よりも大きい。
これにより、本実施の形態に係る測距システム1は、暗闇等を明るくするための光源と、反射光により測距を行うため光源を兼用することにより、測距システム1の小型化、軽量化を実現することが出来、さらに、距離情報を正確に取得することが出来る。
次に、第2の駆動方法を、図9Aを用いて、図8で説明した内容との相違点を中心に詳細を説明する。
まず、照明モードでの駆動は、図8の駆動方法と同じである。一方、TOFモード(センシングモード)では、図8を説明した駆動と同様に行うが、この一連の動作時間が照明モードより短時間に行う。つまり、点灯時間幅が照明モードに比べてTOFモードの方が短い(狭い)ようにする。言い換えれば、第1発光パルス信号がONとなる期間は第2発光パルス信号がONとなる期間よりも短く、これにより、TOFモードにおいて照明測距兼用光源20から照射される光の点灯時間幅は、照明モードにおいて照明測距兼用光源20から照射される光の点灯時間幅よりも短い。
この動作により、図8と同様に、測距システム1の小型化、軽量化を実現することが出来、さらに、距離情報を正確に取得することが出来る。
次に、第3の駆動方法として、図10を用いて、図8で説明した内容との相違点を中心に詳細を説明する。
図10では、TOFモード(センシングモード)に、第1の測距モードとバックグラウンド光量測定モード(第2の測距モード)を備えている。この例では、測距システム1は、照明測距兼用光源20を消灯した状態で、撮像部10を動作させ演算部40にバックグラウンド光量を計測させるモードを備え、演算部40は、第1の測距モードの露光量からバックグラウンド光量を減じる補正を行う。
第1の測距モードでは基本的な動作は図8、図9Aで説明したものと同じである。バックグラウンド光量を測定するモードでは露光信号52のタイミングパターンとして第三の露光信号を追加している。具体的には、照明測距兼用光源20を消灯した状態でバックグラウンド光量を測定するモード(つまり、測距計算時に背景光量をTOFモードの受信データから引く)となる駆動である。
この動作により、測距システム1の小型化、軽量化を実現することが出来、距離情報を更に正確に取得することが出来る。
引き続き、測距システムの動作方法について説明すると、図8、図9A、図10の駆動方法において、照明点灯+TOF点灯の回数は一定回数よりも多くとなるように、第1発光パルス信号がONとなる回数と第2発光パルス信号がONとなる回数との合計は60回以上/秒、より好ましくは、120回以上/秒とする高速パルス駆動を行う。例えば、照明点灯+TOF点灯の回数を60回以上/秒、より好ましくは、120回以上/秒とする。つまり、第1の測距モードおよび照明モードの切り替えを少なくとも120回/秒とする。
これにより、LED光源からの光が被写体、歩行者等に対して、目のちらつきを感じることを防ぎ、アイセーブを実現することが出来る。言い換えれば、LEDは実際には120回/秒以上の速さでパルス駆動により動的に点灯するけれども、人の目には残像効果により連続発光しているように見えるため、ちらつきや違和感から人の目を保護する。
つまり、本実施の形態では、測距システム1の小型化、軽量化、さらに、正確な距離情報の取得と共に、被写体、歩行者等に対してアイセーブを実現することが出来る。
なお、本実施の形態の測距システムは、図8、図9A、図10の駆動方法を組み合わせて駆動を行うことも可能である。
また、図8、図9A、図10の駆動方法では、TOFモードと照明モードを交互に駆動する例を説明したが、それに限定されるものではなく、第2発光パルス信号は、第1発光パルス信号がONとなる期間を複数回繰り返した後に、ONとなっても良い。図9Bは、発光信号によるTOFモード又は照明モードで一定回数連続して動作させる動作例を示す図である。図9Bに示すように、例えば、TOFモード又は照明モードで一定回数連続して動作を行うことも出来る。
(実施の形態2)
以下、図面を参照しながら、実施の形態2に係る測距システム1の構成及び動作について、これまでの実施の形態で説明した内容との相違点を中心に詳細を説明する。
実施の形態2における測距システムは、さらに、第2の前記照明測距兼用光源部を備え、演算部40は、第1および第2の照明測距兼用光源部の位相差情報を用いて測距を行うように構成されている。図11は実施の形態2に係る別の測距システムの概略構成を示す機能ブロック図である。また、図12は実施の形態2を一例として、測距システム1を輸送機器である自動車に搭載した場合であり、特に、照明測距兼用光源20と撮像部10の詳細を示した概略斜視図である。第1および第2の照明測距兼用光源部は、照明測距兼用光源部20aおよび20bである。
図11、図12では、自動車用のヘッドライトのように、一定の距離で離れた複数の照明測距兼用光源20a、20bとして、照明用光源と距離などの物理量を検知するための測距用光源とが兼用となっている。
これにより、異なる位置から照射された光の複数の反射光を撮像部10が受け取り、撮像部10から複数のRAWデータ53a、53bを演算部40に出力する。演算部40では、左右ヘッドライトを用いたTOFによる距離演算と、さらに、複数のRAWデータ53a、53b、つまり位相差のある反射光を用いた第2の距離情報を補正情報としてTOFデータの補正を行う。これにより、本実施の形態の測距システムは、更に精度の高い検知を行うことが出来る。
さらに、照明測距兼用光源20a、20bに対して、測距時においてそれぞれ異なる波長の光源を用いることにより、照明測距兼用光源20a、20bから得られる画像データ、および距離データを得、物体の形状を立体的に捉えることが出来る。
すなわち、本実施の形態では、特に複数の照明測距光源として自動車のヘッドライトシステムに適用することがより好ましく、この方法では照射光aと反射光aの経路と照射光bと反射光bの経路の差によって被写体とイメージセンサとの相対位置を計算することが出来、既存の照明機器の構成を大きく変えることなく、より高い精度の距離検知を行うことが可能となる。
なお、図12では、一定の距離で離れた複数の照明用光源としてヘッドライトを用いたが、その他の光源(例えば、フォグランプ100a、100b)を用いることも可能である。
また、図12では、撮像部10をフロントガラス内上部(バックミラー付近)に設置したが、それに限定されるものではなく、例えば、フロントグリル内、フロンバンパー内、等に設置することも可能である。
さらに、本実施の形態の詳細な説明を続けると、図13Aは実施の形態2を自動車用途として用いた自動車用の測距システム1であり、特に、第1および第2の照明測距兼用光源の詳細を示した図である。第1および第2の照明測距兼用光源部は、車両に備えられた左右のハイビーム光源と左右のロービーム光源のうち、(a)左および右のハイビーム光源、および(b)左および右のロービーム光源のいずれかである。
つまり、自動車のヘッドライトに本実施の形態の測距システム1を用い、ハイビーム光源11a、11bおよびロービーム光源12a、12bを第1および第2の照明測距兼用光源として用いる。つまり、第1の照明測距兼用光源は、ハイビーム光源11aおよびロービーム光源12aの少なくとも一方を含み、第2の照明測距兼用光源は、ハイビーム光源11bおよびロービーム光源12bの少なくとも一方を含む。これにより、夜間時に暗闇を充分に照らしながら、精度良く距離測定を行うことが出来る。
図13Bは、TOFモード(第1の測距モード)と照明モードにおける第1および第2の照明測距兼用光源部としてのハイビーム光源11a、11b、ロービーム光源12a、12bの組み合わせ例を示す図である。
図13B中の組Aは、TOFモード(第1の測距モード)、照明モードの両方においてもロービーム光源12a、12bを用いることを示す。つまり、図8〜図10における動作および位相差情報を用いた測距を組Aで行う。
同様に、組Bは、TOFモード(第1の測距モード)、照明モードの両方においてもハイビーム光源11a、11bを用いることを示す。組Cは、TOFモード(第1の測距モード)ではロービーム光源12a、12bを用いて、照明モードではハイビーム光源11a、11bを用いることを示す。組Dは、TOFモード(第1の測距モード)ではハイビーム光源11a、11bを用いて、照明モードではロービーム光源12a、12bを用いることを示す。
なお、組Dの場合、ハイビームに別途赤外光を用い、ロービーム光源12a、12bと同期を取ればロービームによる暗闇を照らす照明と、赤外光ハイビームによる被写体、歩行者等に対して、まぶしさを与えることなく測距が可能となる。ここでいう同期とは、第1および第2の照明測距兼用光源部の一方の消灯と他方の点灯とを同期させることをいう。
なお、本実施の形態は、上述した図8、図9A、図10で説明したTOFモード、照明モード、バックグラウンド光量測定モードの各動作を用いることも可能であり、より高い精度となる測距を行うことが出来る。
なお、図12、図13Aでは自動車の搭載した例を示したが、これに限定されず、例えば、その他の輸送機器(自転車、オートバイ、鉄道車両、飛行機、宇宙機等)、輸送機器とインフラ設備、重機(ショベルカー、ブルドーザー等)、住宅設備機器など、あらゆる機器に搭載することが可能である。
(実施の形態3)
実施の形態3では、撮像部からの画像信号を用いて現在のフレームと前のフレームを比較することにより第2の測距を行う画像測距モードを有する測距システムについて説明する。
以下、図面を参照しながら、実施の形態3に係る測距システム1の構成及び動作について、上述した実施の形態との相違点を中心に説明する。
図14A、図14Bは、実施の形態3に係る測距システム1の概略構成を示す機能ブロック図である。そのうち、図14Aは、実施の形態1における図1で示したような単独の照明測距兼用光源20を備えた場合であり、図14Bは実施の形態2における図11で示したように第1および第2の照明測距兼用光源を備えた場合である。
図14A、図14Bより、測距システム1は、撮像部10と、照明測距兼用光源20と、信号発生部30と、演算部40とを備える。
照明測距兼用光源20(20a、20b)は、駆動回路、コンデンサ及び発光素子を有し、コンデンサに保持した電荷を発光ダイオードへ供給することで光を発する。発光素子としてはレーザダイオードや発光ダイオード(LED)等のその他の発光素子を用いてもよい。
また、信号発生部30は、光照射を指示する発光信号51(51a、51b)と、被写体からの反射光の露光を指示する露光信号52(52a、52b)とを発生する。照明測距兼用光源20(20a、20b)は、信号発生部30で発生する発光信号51を受信するタイミングに従って被写体に対して測距のための光照射を行う。
更に、信号発生部30で発生する発光信号51(51a、51b)を受信するタイミングに従って、測距を目的としないで暗闇を明るくするための光照射を行う。
撮像部10は、カメラレンズ、固体撮像素子(イメージセンサ)、及びA/Dコンバータ等のRAWデータ53(53a、53b)を作成し出力する回路を有する。また、撮像部10は、対象物体(被写体)を含む領域に対して、信号発生部30で発生する露光信号52(52a、52b)が示すタイミングに従って複数回の露光を行い、複数回の露光量の総和に対応したRAWデータ53(53a、53b)(TOF情報)を得る。
さらに、撮像部10は、撮像を行い、その画像情報を演算部40に出力する。
演算部40は、撮像部10から受けたRAWデータ53(53a、53b)、及び、画像情報を用いて演算し、被写体までの距離情報(検知情報)を出力する。
まず、TOFモードで測距を行うのは上述した実施の形態と同じである。
さらに、本実施の形態では画像撮像を行い、その画像データから距離を測定する。その方法の一例として、撮像部10で連続画像を撮影し、現在のフレーム(画像)と前のフレーム(画像)を比較し、演算により距離を算出する(画像測距モード)。
このように、TOFデータと画像情報の両方を距離情報として用いて、以下のような使い方により、測距精度を向上させることが出来る。
第1の使い方は、昼夜により測定モード(距離情報)を使い分ける方法である。例えば、昼間など通常は照明光源を点灯させないような場合、本実施の形態では照明測距兼用光源20(20a、20b)は消灯して画像測距モードで測距を行う。また、夜間などで通常照明光源を点灯させる場合は、本実施の形態では照明測距兼用光源20(20a、20b)は点灯(パルス点灯駆動)させて、TOFモードで測距を行う。これにより、昼間は照明測距兼用光源20を点灯させずに、昼夜を問わずに正確な測距することが出来る。
第2の使い方は、TOFモードの距離情報に、画像測距モードの距離情報でデータ補完を行う方法である。この方法では、より一層測距精度を向上させることが出来る。
第3の使い方は、扱われる天候や環境条件などにより測定モード(距離情報)を使い分ける方法である。例えば、夕方等の強い日差しを受けている場合、雨が降っている場合など(つまり、画像認識が難しい場合は)はTOFモードを用い、それ以外の環境では、画像測距モードを用いる。これによって、どのような天候、状況でも高い精度で測距することが出来る。
第4の使い方は、被写体までの距離により測定モード(距離情報)を使い分ける方法である。すなわち、例えば10mまでの近距離ではTOFモードと画像測距モードを用い、例えば10m以上の遠距離では主としてTOFモードを用いる。これにより、どのような被写体までの距離の場合でも高い精度で測距することが出来る。
第5の使い方は、本システムが搭載された輸送機器(例えば、自動車)、又は被写体の動き速度によって測定モード(距離情報)を使い分ける方法である。例えば輸送機器の速度が、例えば30km/hまでの低速度ではTOFモードと画像測距モードを用い、例えば30〜100km/hまでの中速度ではTOFモードと画像測距モードをフレームごとに使い分け、例えば100km/h以上の高速度ではTOFモードをそれぞれ用いる。これにより、どのような被写体までの距離の場合でも高い精度で測距することが出来る。
なお、本実施の形態は、上述した図8、図9A、図10で説明したTOFモード、照明モード、バックグラウンド光量測定モードの各動作を用いることも可能であり、より高い精度となる測距を行うことが出来る。
また、本実施の形態に係る測距システム1を、上述した図2、図3のように、重機、又は、重機と作業現場の構造物に搭載すれば、障害物に到達するまでは自動的に掘り下げ、更に、掘り下げることが出来ない障害物(物体が硬い、爆発の危険がある、等)と画像撮像から認識した場合は自動的に動作停止など、小型かつ軽量な測距システム1でありながら自動運転を行うことも出来るようになる。
また、本実施の形態の測距システム1は、例えば、輸送機器(自転車、オートバイ、鉄道車両、飛行機、宇宙機等)、輸送機器とインフラ設備、重機(ショベルカー、ブルドーザー等)、住宅設備機器など、あらゆる機器に搭載することが可能である。
(実施の形態3の変形例)
以下、図面を参照しながら、本変形例に係る測距システム1の構成及び動作について、これまでの実施の形態で説明した内容との相違点を中心に詳細を説明する。
まず、図15A〜図15Cは、単位セル(マイクロレンズ)の第1〜第3の配列例を示す図である。図15Dは、固体撮像素子と、レンズおよび被写体との間の光路を示す説明図である。領域A、Bはそれぞれレンズ中の領域である。
図15A〜図15Cでは、第1の単位セル401は図15Dの領域Aからの光を受光する単位セルに対応し、第2の単位セル402は図15Dの領域Bからの光を受光する単位セルに対応している。
図15Aでは、複数の第1の単位セル401と複数の第2の単位セル402とが千鳥格子で配置されており、列方向(垂直方向)および行方向(水平方向)に交互に配置されている。図15Bでは、第1の単位セル401の列と第2の単位セル402の列とが行方向に交互に配置されている。図15Cでは、第1の単位セル401の行と第2の単位セル402の行とが列方向に交互に配置されている。なお、単位セルの配列としては3種類を図示したが、第1の単位セル401および第2の単位セル402を数セル単位のブロック毎に配置するなどしても良い。このように配置することで局所的には2種類の光を同時に受光する。
図16は、マイクロレンズの配置および構造を単位セル群毎に示す平面構造図である。
上述した図4で示したように、一般的にマイクロレンズ307は曲面構造を備え、マイクロレンズ及びマイクロレンズが接触する物質(気体、固体等)の屈折率間差により光を曲げて集光させる。
一方、図16に示したマイクロレンズは、上方から見たとき、マイクロレンズへの入射光の波長と同程度かそれよりも短い線幅で分離され、マイクロレンズの受光面に対して垂直な方向の軸を中心軸とする同心構造の複数の光透過膜を有し、複数の光透過膜の組み合わせによって制御された実効屈折率分布を有している。つまり、上記の中心軸から異なる屈折率の材料(光透過膜)を繰り返し配置した構造によりレンズとしての実効屈折率分布を有する。
また、このようなマイクロレンズを実現するために、マイクロレンズは、例えば無機材料で形成されたマイクロレンズ、いわゆるデジタルマイクロレンズとされる。図16のような上面パターンを持つマイクロレンズを各単位セルの上方に実装すれば、各単位セルで局所的に入射角度変化に対する異なる集光特性を持つことが出来る。つまり、上記の中心軸を単位セルの中心から偏心させることによって、光量(受光感度)が最大となる入射角度を設定することができる。
したがって、光量が最大となる入射角度が異なる第1の単位セルおよび第2の単位セルが隣り合って設けられるため、2方向の入射光を同時に受光でき、いわゆるステレオカメラを用いることなく、単眼のイメージセンサにより立体画像を実現できる。
本構成により、ステレオカメラ(複眼カメラ)を用いなくても、立体画像を描画することが出来、その立体画像データからを用いた画像測距モードは、より一層高精度で測距を行うことが出来る。
なお、上述したデジタルマイクロレンズは、図4、図18A、図18Bで説明したマイクロレンズ307に用いることも可能である。
(実施の形態4)
以下、図面を参照しながら、実施の形態3に係る測距システム1の構成及び動作について説明する。
図17は、実施の形態1又は実施の形態2で説明した測距システム1を住宅設備機器(住空間)に搭載した例を示す図である。同図では、特に、照明測距兼用光源20と撮像部10を示す。
本実施の形態に係る測距システム1を住宅設備機器に搭載すれば、例えば、空間内の寸法情報、家具など配置情報をデータとして自動的に得ることが出来、データを用いて、通信販売で家具等を購入する場合に、サイズ的に設置が可能であるか、などのシミュレーションを自動的に行うことが可能となる。
(実施の形態の変形例1)
以下、図面を参照しながら、本変形例に係る測距システム1の構成及び動作について、これまでの実施の形態で説明した内容との相違点を中心に詳細を説明する。
図18A、図18Bは、本実施の形態1〜3に係る測距システム1の搭載されるイメージセンサの画素について、特にIR透過フィルタの詳細を説明した構造断面図である。
図18Aでは、IR透過フィルタは、例えば、互いに屈折率が異なる層を周期的に積層させた、いわゆるフォトニックカラーフィルタ331とする。IR透過フィルタは、例えば、積層構造のうちの少なくとも一つの層の厚さを色光ごとに異ならせることで、単位セル21が検出対象とする色光に応じて、選択的に透過させる波長に差が設けられている。
また、IR透過フィルタは、無機材料、例えば、SiO2やTiO2を積層させて構成されている。IR透過フィルタは、例えば、スパッタリング、真空蒸着等の真空成膜法により製造する。無機材料を使用することで、単位セル21ごとに波長特性に差を持たせたIR透過フィルタを形成することができる。
ここで、図4で上述したように、イメージセンサは、IR光を受光し信号電荷を発生させるのは、受光部(例えば、フォトダイオード)の構造の最適化(例えば、不純物プロファイルの最適化)により、IR透過フィルタが無くても受光、信号電荷発生は可能である。しかしながら、IR透過フィルタをイメージセンサに搭載することにより、受光する光の波長を選択することが出来る。
さらに、図18BのようにIR透過フィルタを一般的な有機材料でIR透過フィルタ330を形成し本開示の効果を得ることは可能であるが、上述したような無機材料で形成することにより、選択する光の波長幅を狭くすることが出来る。
以上により、より高精度な測距を行うことが出来る。
(実施の形態の変形例2)
また、図19は、本実施の形態に係る固体撮像素子の平面構造図であり、各画素にはR+IR、G+IR、B+IR、IRの各フィルタが設置されている。
この画素は、また、R+IR、G+IR、B+IRの各々の画素にはフィルタ透過により、背景光が赤外成分を含む場合はその一部の赤外光が受光される。つまり、R+IR、G+IR、B+IRの各々の画素にR成分と前記一部の赤外成分、G成分と前記一部の赤外成分、B成分と前記一部の赤外成分が受光される。また、IR透過フィルタにより、IR画素には一部の赤外成分のみが受光されて光電変換が行われ、R+IR、G+IR、B+IR、IR各々の画素で、可視露光時間中に蓄積される。
このとき、実施の形態2及び実施の形態3の測距システム1において、IR透過フィルタを透過した光を用いTOFモードで測距を行い、R+IR、G+IR、B+IR透過フィルタを透過した光を用いて、画像撮像を行い、その画像データからを用いた距離を測定する。その方法の一例として、撮像部10で連続画像を撮影し、現在のフレーム(画像)と前のフレーム(画像)を比較演算により距離を算出すれば、より高精度な測距を行うことが出来る。
なお、本変形例では、図20に示すように、R+IR、G+IR、B+IR、IRの各フィルタを、上述した図18Aのように無機材料を積層することで形成することも可能である。
また、本変形例では、R+IR、G+IR、B+IR、IRの各フィルタを、上述した図18Bのように有機材料で形成することも可能である。
また、本変形例では、R+IR、G+IR、B+IR、IRの各フィルタを、無機材料によるフィルタと有機材料によるフィルタとに適宜分けて形成することも可能である。
また、本変形例では、R+IR、G+IR、B+IR、IRの各フィルタを、無機材料によるフィルタと有機材料によるフィルタを組み合せて(例えば、半導体基板に対して垂直方向に重なるように)形成することも可能である。
本開示に係る測距システムは、周辺環境に依存することなく、測定対象物の高精度な3次元測定が実現できるため、例えば、人物、建物などの3次元測定に有用である。
1 測距システム
2 撮像領域
10 撮像部
11a、11b ハイビーム光源
12a、12b ロービーム光源
18 構造物
20、20a、20b 照明測距兼用光源
21 単位セル
30 信号発生部
40 演算部
51 発光信号
52 露光信号
53、53a、53b RAWデータ
90 ショベルカー
96 バケット
100a、100b フォグランプ
101 フォトダイオード
102 垂直転送部
103 水平転送部
104 信号電荷検出部
201 単位セル
202 撮像領域
203 除去部
204 水平選択部
205 差動アンプ
206 垂直信号線
207、208 水平信号線
209 電流源
301 半導体基板
305 金属配線、ゲート電極又は転送電極
307 マイクロレンズ
330 透過フィルタ
331 フォトニックカラーフィルタ
401 第1の単位セル
402 第2の単位セル
C11、C12 容量
M1 読み出しトランジスタ
M2 リセットトランジスタ
M3 ソースフォロワトランジスタ
M4 ライン選択トランジスタ
M5 シャッタトランジスタ
PD フォトダイオード
M12 リセットレベル用サンプルトランジスタ
M21、M22 列選択トランジスタ
Mll 信号レベル用サンプルトランジスタ
RSn リセット信号
SHN サンプルホールド信号
SHS サンプルホールド信号
TXn 転送信号
VDD 画素電極
SELn 選択信号
TXSn シャッタ信号
本開示は測距システム、およびそれに用いる固体撮像素子に関する。

Claims (26)

  1. 光照射を指示する発光信号と反射光の露光を指示する露光信号とを発生する信号発生部と、
    前記発光信号を受信して、測距を目的としない照明と、反射光による測距のための前記光照射とを行う第1の照明測距兼用光源部と、
    前記露光信号を受信して前記露光を行い、前記反射光の露光量を取得する撮像部と、
    前記露光量を用いて、距離情報を演算して出力する演算部とを備え、
    前記第1の照明測距兼用光源部に前記照明を行わせる照明モードと、前記第1の照明測距兼用光源部に前記光照射をさせて前記撮像部を動作させることにより第1の測距を行う第1の測距モードとを、動作モードとして有する
    測距システム。
  2. 前記第1の測距モードにおいて前記第1の照明測距兼用光源部から照射される光の振幅は、前記照明モードにおいて前記第1の照明測距兼用光源部から照射される光の振幅よりも大きい
    請求項1に記載の測距システム。
  3. 前記第1の測距モードにおいて前記第1の照明測距兼用光源部から照射される光の点灯時間幅は、前記照明モードにおいて前記第1の照明測距兼用光源部から照射される光の点灯時間幅よりも短い
    請求項1又は2に記載の測距システム。
  4. さらに、前記第1の照明測距兼用光源部を消灯した状態で、前記撮像部を動作させ前記演算部にバックグラウンド光量を計測させるモードを備え、
    前記演算部は、前記第1の測距モードの露光量から前記バックグラウンド光量を減じる補正を行う
    請求項1〜3のいずれかに記載の測距システム。
  5. 前記第1の照明測距兼用光源部は、単色のLED、又は複数色のLEDを搭載する
    請求項1〜4のいずれかに記載の測距システム。
  6. 前記第1の測距モードおよび前記照明モードの切り替えを少なくとも120回/秒とする
    請求項5に記載の測距システム。
  7. 前記測距システムは、さらに第2の照明測距兼用光源部を備え、
    前記演算部は、さらに、前記第1および第2の照明測距兼用光源部の位相差情報を用いて測距を行う
    請求項1〜6のいずれかに記載の測距システム。
  8. 前記第1および第2の照明測距兼用光源部は、車両に備えられた左右のハイビーム光源と左右のロービーム光源のうち、(a)左および右のハイビーム光源、並びに(b)左および右のロービーム光源のいずれかである
    請求項7に記載の測距システム。
  9. 前記演算部は、
    前記撮像部からの画像信号を用いて現在のフレームと前のフレームを比較することにより第2の測距を行う
    請求項1〜8のいずれかに記載の測距システム。
  10. 前記演算部は、前記第1および第2の測距による距離情報の一方を、前記第1および第2の測距の距離情報の他方により補正を行う
    請求項9に記載の測距システム。
  11. 前記第1、第2の測距は、昼夜、天候、被写体までの距離、又は、前記被写体もしくは前記測距システムの動き速度により使い分ける
    請求項9又は10に記載の測距システム。
  12. 前記撮像部は固体撮像素子を備え、
    前記固体撮像素子はCCD型の固体撮像素子である
    請求項1〜11のいずれかに記載の測距システム。
  13. 前記撮像部は複数の画素を有する固体撮像素子を備え、
    前記複数の画素のそれぞれは、
    光電変換する受光部と、
    前記受光部から読み出された信号電荷を蓄積する蓄積部とを備え、
    前記固体撮像素子は、前記複数の画素において前記受光部の信号電荷を前記蓄積部に一括して読み出すMOS型の固体撮像素子である
    請求項1〜11のいずれかに記載の測距システム。
  14. 前記撮像部は複数の画素を有する固体撮像素子を備え、
    前記複数の画素のそれぞれは、受光面と垂直な軸を中心軸とし異なる屈折率の材料を同心状に繰り返し配置した構造を有するマイクロレンズを備える
    請求項1〜13のいずれかに記載の測距システム。
  15. 前記撮像部は複数の画素を有する固体撮像素子を備え、
    前記複数の画素のそれぞれは、赤外線透過フィルタ、赤色光および赤外線を透過する第1のフィルタ、緑色光および赤外線を透過する第2のフィルタ、および、青色光および赤外線を透過する第3のフィルタの何れかを備える
    請求項1〜14のいずれかに記載の測距システム。
  16. 前記赤外線透過フィルタ、および、前記第1から第3フィルタの少なくとも1つは、無機材料を積層したフィルタである
    請求項15に記載の測距システム。
  17. 前記測距システムを重機、又は、重機と作業現場の構造物に搭載した
    請求項1〜16のいずれかに記載の測距システム。
  18. 前記測距システムを輸送機器に搭載した
    請求項1〜16のいずれかに記載の測距システム。
  19. 前記測距システムを住宅設備機器に搭載した
    請求項1〜16のいずれかに記載の測距システム。
  20. 発光パルス信号を制御する信号発生装置であって、
    前記信号発生装置は、複種類の前記発光パルス信号を制御し、
    前記複種類の発光パルス信号は、測距を行うための光照射を指示する第1発光パルス信号と、測距を目的としない照明の点灯を指示する第2発光パルス信号とを含み、
    前記第2発光パルス信号がOFFとなるときに、前記第1発光パルス信号はONとなる
    信号発生装置。
  21. 前記第1発光パルス信号がONとなる期間は、前記第2発光パルス信号がONとなる期間よりも短い
    請求項20に記載の信号発生装置。
  22. 前記第2発光パルス信号は、前記第1発光パルス信号がONとなる期間を複数回繰り返した後に、ONとなる
    請求項20又は21に記載の信号発生装置。
  23. 前記第1発光パルス信号がONとなる回数と前記第2発光パルス信号がONとなる回数との合計は、少なくとも120回/秒とする
    請求項20〜22のいずれかに記載の信号発生装置。
  24. 前記第1発光パルス信号の振幅は、前記第2発光パルス信号の振幅よりも大きい
    請求項20〜23のいずれかに記載の信号発生装置。
  25. 前記第1発光パルス信号は、Time Of Flightにより測距を行うために用いられる
    請求項20〜24のいずれかに記載の信号発生装置。
  26. 前記信号発生装置は、前記第1発光パルス信号により発生した照射光の、被写体による反射光の露光を指示する露光信号を制御する
    請求項20〜25のいずれかに記載の信号発生装置。
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