JPWO2015019974A1 - レドックスフロー電池 - Google Patents

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Abstract

析出物の析出を抑制できる上に、エネルギー密度が高いレドックスフロー電池を提供する。正極電極と、負極電極と、これら両電極間に介在される隔膜とを備える電池セルに正極電解液及び負極電解液を供給して充放電を行うレドックスフロー電池であって、前記正極電解液は、マンガンイオンと、チタンイオンと、反応性金属イオンとを含有し、前記負極電解液は、チタンイオン、バナジウムイオン、クロムイオン、及び亜鉛イオンから選択される少なくとも一種の金属イオンを含有し、前記反応性金属イオンは、バナジウムイオン、クロムイオン、鉄イオン、コバルトイオン、銅イオン、モリブデンイオン、ルテニウムイオン、パラジウムイオン、銀イオン、タングステンイオン、水銀イオン及びセリウムイオンから選択される少なくとも一種である。

Description

本発明は、レドックスフロー電池に関するものである。特に、析出物の発生を抑制できる上に、エネルギー密度が高いレドックスフロー電池に関するものである。
近年、電力不足の深刻化に伴って、世界規模での風力発電や太陽光発電などの自然エネルギーの急速導入や電力系統の安定化(例えば、周波数や電圧の維持など)が課題となっている。この対策技術の一つとして、大容量の蓄電池を設置して、出力変動の平滑化、余剰電力の貯蓄、負荷平準化などを図ることが注目されている。
大容量の蓄電池の一つにレドックスフロー電池(以下、RF電池と呼ぶことがある)がある。RF電池は、(1)メガワット級(MW級)の大容量化が容易である、(2)長寿命である、(3)電池の充電状態が正確に監視可能である、などの特徴を有しており、電力系統の安定化用途の蓄電池として最適であると期待される。
RF電池は、正極電極と負極電極との間に隔膜を介在させた電池セルに、正極電解液及び負極電解液をそれぞれ供給して充放電を行う。各極の電解液は、代表的には、酸化還元により価数が変化する金属イオンを活物質として含有する溶液が利用される。正極活物質に鉄(Fe)イオン、負極活物質にクロム(Cr)イオンを用いるFe−Cr系RF電池、両極の活物質にバナジウム(V)イオンを用いるV系RF電池が代表的である(特許文献1の明細書の段落0003)。
特許文献1では、従来のV系RF電池よりも高い起電力が得られるRF電池として、正極活物質にマンガン(Mn)イオン、負極活物質にチタン(Ti)イオンなどを用いたMn−Ti系RF電池を開示している。また、特許文献1では、正極電解液にチタンイオンを合わせて含有することで、マンガン酸化物(MnO)といった析出物の発生を抑制でき、Mn2+/Mn3+の反応を安定して行えることを開示している。
特許第4835792号公報
エネルギー密度がより高いレドックスフロー電池の開発が望まれている。
特許文献1に開示されるMn−Ti系RF電池では、正極電解液にチタンイオンを含有することで、上述のように析出物の発生を抑制できる。しかし、正極電解液中のチタンイオンは、基本的に正極活物質として機能せず、充放電に寄与しない。そのため、正極電解液中の金属イオンの総濃度を一定とする場合、チタンイオンの含有によって正極電解液中の活物質の割合が相対的に低下して、エネルギー密度が低くなる。また、例えば、活物質の割合が少ない電解液を用いて長時間容量のレドックスフロー電池として使用するには、電解液を大量に用いる必要がある。すると、タンクの容量の増大、タンクの増大に起因するRF電池システム全体の大型化(設置スペースの大型化)、電解液コストの増大などを招く。
そこで、本発明の目的の一つは、析出物の発生を抑制できる上に、エネルギー密度が高いレドックスフロー電池を提供することにある。
本発明の一形態であるレドックスフロー電池は、正極電極と、負極電極と、これら両電極間に介在される隔膜とを備える電池セルに正極電解液及び負極電解液を供給して充放電を行う。前記正極電解液は、マンガンイオンと、チタンイオンと、反応性金属イオンとを含有する。前記負極電解液は、チタンイオン、バナジウムイオン、クロムイオン、及び亜鉛イオンから選択される少なくとも一種の金属イオンを含有する。前記反応性金属イオンは、バナジウムイオン、クロムイオン、鉄イオン、コバルトイオン、銅イオン、モリブデンイオン、ルテニウムイオン、パラジウムイオン、銀イオン、タングステンイオン、水銀イオン及びセリウムイオンから選択される少なくとも一種である。
本発明のレドックスフロー電池は、析出物の発生を抑制できる上に、エネルギー密度が高い。
実施形態のレドックスフロー電池を備える電池システムの動作原理を示す説明図である。
[本発明の実施の形態の説明]
本発明者らは、正極活物質にマンガンイオンを用いるレドックスフロー電池について、エネルギー密度の向上を図るために、活物質として機能するイオン種を複数にすることを検討した。その結果、特定の金属イオンは、正極電解液中で活物質として機能すると共に、マンガン酸化物といった析出物の発生を抑制できるという驚くべき知見を得た。この知見に基づき、正極電解液に、正極活物質であるマンガンイオンに加えて、活物質として機能すると共に析出物の抑制効果を備える金属イオンを別途含む構成を提案する。最初に本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1) 実施形態に係るレドックスフロー電池は、正極電極と、負極電極と、これら両電極間に介在される隔膜とを備える電池セルに正極電解液及び負極電解液を供給して充放電を行う。上記正極電解液は、マンガンイオンと、チタンイオンと、反応性金属イオンとを含有する。上記負極電解液は、チタンイオン、バナジウムイオン、クロムイオン、及び亜鉛(Zn)イオンから選択される少なくとも一種の金属イオンを含有する。上記反応性金属イオンは、バナジウムイオン、クロムイオン、鉄(Fe)イオン、コバルト(Co)イオン、銅(Cu)イオン、モリブデン(Mo)イオン、ルテニウム(Ru)イオン、パラジウム(Pd)イオン、銀(Ag)イオン、タングステン(W)イオン、水銀(Hg)イオン及びセリウム(Ce)イオンから選択される少なくとも一種である。上記反応性金属イオンとは、正極活物質としての機能、及び析出物の析出を抑制する機能を有するものをいう。
実施形態のRF電池は、正極電解液に含有するマンガンイオンを正極活物質とすることから、(1)従来のV系RF電池などと比較して起電力を高くすることができる、(2)マンガンイオンが水溶性の金属イオンであることから、電解液を水溶液とすることができ、製造性に優れる、(3)マンガンイオンは比較的安価であり、資源供給の点から好ましい、といった効果を奏する。かつ、実施形態のRF電池は、正極電解液に含有する特定の金属イオン(反応性金属イオン)も正極活物質として機能することから、電解液中の活物質の割合を高められる。そのため、実施形態のRF電池は、マンガンイオン及びチタンイオンを含みかつ上記反応性金属イオンを含まない正極電解液を備えるRF電池に比較して、エネルギー密度が高い。また、実施形態のRF電池は、チタンイオンに加えて、上記反応性金属イオンによっても、析出物の発生を抑制できるため、充電状態を高めた場合でも、析出物に起因するセル抵抗の増大を抑制でき、セル抵抗が低い。このように実施形態のRF電池は、優れた電池特性を有する。更に、実施形態のRF電池は、タンクの小型化、設置スペースの小型化、電解液コストの低減などを図ることができる。
(2) 実施形態のRF電池の一例として、上記正極電解液が更に添加金属イオンを含有する形態が挙げられる。上記添加金属イオンは、アルミニウム(Al)イオン、カドミウム(Cd)イオン、インジウム(In)イオン、錫(Sn)イオン、アンチモン(Sb)イオン、イリジウム(Ir)イオン、金(Au)イオン、鉛(Pb)イオン、ビスマス(Bi)イオン及びマグネシウム(Mg)イオンから選択される少なくとも一種である。上記添加金属イオンとは、実質的に活物質として機能せず、析出物の析出を抑制する機能を有するものをいう。
本発明者らが検討した結果、上述の特定の金属イオン(添加金属イオン)は、正極電解液にマンガンイオンと共に存在することで、マンガン酸化物といった析出物の発生を抑制することができる、との知見を得た。特に、添加金属イオンは、その含有量が極僅かであっても、析出物の発生の抑制効果が得られる、との知見を得た。上記形態は、チタンイオン及び反応性金属イオンに加えて、添加金属イオンを含有することで、析出物の発生をより効果的に抑制することができる。また、上記形態は、チタンイオンや添加金属イオンの含有量を少なくすることで、電解液中における活物質の割合の低下を抑制でき、高いエネルギー密度を有することができる。
(3) 実施形態のRF電池の一例として、上記正極電解液における上記反応性金属イオンの濃度(複数の場合には合計濃度)が0.001M以上5M以下である形態が挙げられる。濃度の単位として示すMとは、体積モル濃度、即ちmol/L(モル/リットル)を意味する。以下、濃度について同様である。
上記形態は、反応性金属イオンを上述の特定の範囲で含有することで、(1)反応性金属イオンを活物質として良好に利用できて高いエネルギー密度を有することができる、(2)析出物の発生を抑制できる、(3)電解液を酸の水溶液とする場合でも良好に溶解でき、電解液の製造性に優れる、という効果を奏する。
(4) 実施形態のRF電池の一例として、上述の添加金属イオンを含有する場合、上記正極電解液における上記添加金属イオンの濃度(複数の場合には合計濃度)が0.001M以上1M以下である形態が挙げられる。
上記形態は、添加金属イオンを上述の特定の範囲で含有することで、析出物の発生を効果的に抑制できる。
(5) 実施形態のRF電池の一例として、上記正極電解液における上記マンガンイオンの濃度、及び上記負極電解液における上記金属イオンの濃度の少なくとも一方が0.3M以上5M以下である形態が挙げられる。負極電解液に含む上記金属イオンが複数種の場合、合計濃度とする。
上記形態は、各極の活物質として機能する金属イオンを上述の特定の範囲で含有することで、(i)価数変化反応を行う金属元素を十分に含み、高いエネルギー密度を有することができる、(ii)電解液を酸の水溶液とする場合でも良好に溶解でき、電解液の製造性に優れる、という効果を奏する。
(6) 実施形態のRF電池の一例として、上記負極電解液が上記金属イオンとしてチタンイオンを含有し、上記正極電解液における上記マンガンイオンの濃度、及び上記負極電解液における上記チタンイオンの濃度の少なくとも一方が0.3M以上5M以下である形態が挙げられる。
上記形態は、上記マンガンイオンの濃度や上記チタンイオンの濃度が特定の範囲を満たすことで、エネルギー密度が高いMn−Ti系RF電池とすることができ、更に上記形態(5)で述べた(ii)の効果も奏する。
(7) 実施形態のRF電池の一例として、上記正極電解液における上記チタンイオンの濃度が5M以下である形態が挙げられる。
上記形態は、正極電解液中のチタンイオンによって析出物の発生を抑制できると共に、このチタンイオンの濃度が上述の特定の範囲であることで、電解液を酸の水溶液とする場合でも良好に溶解でき、電解液の製造性に優れる。
(8) 実施形態のRF電池の一例として、上記反応性金属イオンは、下記(A)〜(L)の少なくとも1つを満たす形態が挙げられる。
(A)上記バナジウムイオンが2価のバナジウムイオン、3価のバナジウムイオン、4価のバナジウムイオン、及び5価のバナジウムイオンの少なくとも一種である
(B)上記クロムイオンが2価のクロムイオン、3価のクロムイオン、4価のクロムイオン、及び6価のクロムイオンの少なくとも一種である
(C)上記鉄イオンが2価の鉄イオン、及び3価の鉄イオンの少なくとも一方である
(D)上記コバルトイオンが2価のコバルトイオン、及び3価のコバルトイオンの少なくとも一方である
(E)上記銅イオンが1価の銅イオン、及び2価の銅イオンの少なくとも一方である
(F)上記モリブデンイオンが4価のモリブデンイオン、5価のモリブデンイオン、及び6価のモリブデンイオンの少なくとも一種である
(G)上記ルテニウムイオンが2価のルテニウムイオン、3価のルテニウムイオン、及び4価のルテニウムイオンの少なくとも一種である
(H)上記パラジウムイオンが2価のパラジウムイオン、及び4価のパラジウムイオンの少なくとも一方である
(I)上記銀イオンが1価の銀イオン、及び2価の銀イオンの少なくとも一方である
(J)上記タングステンイオンが4価のタングステンイオン、5価のタングステンイオン、及び6価のタングステンイオンの少なくとも一種である
(K)上記水銀イオンが1価の水銀イオン、及び2価の水銀イオンの少なくとも一方である
(L)上記セリウムイオンが3価のセリウムイオン、及び4価のセリウムイオンの少なくとも一方である
列挙した各価数の金属イオンは、正極活物質として機能すると共に、析出物の抑制効果を奏することから、上記形態は、エネルギー密度が高い上に、析出物の発生を抑制できる。
(9) 実施形態のRF電池の一例として、上記負極電解液がチタンイオンと、更にマンガンイオンとを含む形態が挙げられる。
上記形態は、正極電解液及び負極電解液の双方がマンガンイオンとチタンイオンとを含む。つまり、上記形態は、両極の電解液中に存在する複数のイオン種が重複する。そのため、上記形態は、(i)金属イオンが対極に移動して、各極で本来反応する金属イオン(活物質)が相対的に減少することによる電池容量の減少を回避し易い、(ii)充放電に伴って経時的に液移り(一方の極の電解液が他方の極に移動する現象)が生じて両極の電解液の液量にばらつきが生じた場合でも是正し易い、(iii)電解液の製造性に優れる、といった効果を奏する。従って、上記形態は、実用的であり、利用し易いと期待される。
(10) 実施形態のRF電池の一例として、上記負極電解液は、チタンイオンと、更にマンガンイオンと、上記反応性金属イオンとを含む形態が挙げられる。
上記形態は、正極電解液及び負極電解液の双方がマンガンイオン、チタンイオン、及び反応性金属イオンを含む。つまり、上記形態は、両極の電解液のいずれもが複数のイオン種を含み、かつ両極の電解液中に存在する複数のイオン種が重複し、代表的には両極の電解液中に存在する全てのイオン種が一致する。そのため、上記形態は、(i)上述の経時的な活物質の低減による電池容量の減少をより回避し易い、(ii)充放電に伴って経時的に液移りが生じて両極の電解液の液量にばらつきが生じた場合でも容易に是正できる、(iii)電解液の製造性により優れる、といった効果を奏する。
(11) 実施形態のRF電池の一例として、正極電解液が上述の添加金属イオンを含む場合に、上記負極電解液が、チタンイオンと、更にマンガンイオンと、上記反応性金属イオンと、上記添加金属イオンとを含む形態が挙げられる。
上記形態は、正極電解液及び負極電解液の双方にマンガンイオン、チタンイオン、反応性金属イオン及び添加金属イオンを含む。つまり、上記形態は、両極の電解液のいずれもが複数のイオン種を含み、かつ両極の電解液中に存在する複数のイオン種が重複し、代表的には両極の電解液中に存在する全てのイオン種が一致する。そのため、上記形態は、上述の形態(10)と同様に、(i)上述の経時的な活物質の低減による電池容量の減少をより回避し易い、(ii)充放電に伴って経時的に液移りが生じて両極の電解液の液量にばらつきが生じた場合でも容易に是正できる、(iii)電解液の製造性により優れる、といった効果を奏する。
(12) 実施形態のRF電池の一例として、負極電解液がマンガンイオンを含む場合に、上記負極電解液におけるマンガンイオンの濃度が0.3M以上5M以下である形態が挙げられる。
上記形態は、上述の形態(9)〜(11)と同様の効果を奏する。具体的には、上記形態は、少なくとも経時的な正極活物質の低減による電池容量の減少を抑制できる。更に、上記形態は、負極電解液中のマンガンイオンの濃度が上述の特定の範囲であることで、電解液を酸の水溶液とする場合でも良好に溶解でき、電解液の製造性に優れる。
(13) 実施形態のRF電池の一例として、正極電解液が上記添加金属イオンを含む場合に、上記添加金属イオンが下記(a)〜(j)の少なくとも1つを満たす形態が挙げられる。
(a)上記アルミニウムイオンが1価のアルミニウムイオン、2価のアルミニウムイオン、及び3価のアルミニウムイオンの少なくとも一種である
(b)上記カドミウムイオンが1価のカドミウムイオン、及び2価のカドミウムイオンの少なくとも一方である
(c)上記インジウムイオンが1価のインジウムイオン、2価のインジウムイオン、及び3価のインジウムイオンの少なくとも一種である
(d)上記錫イオンが2価の錫イオン、及び4価の錫イオンの少なくとも一方である
(e)上記アンチモンイオンが3価のアンチモンイオン、及び5価のアンチモンイオンの少なくとも一方である
(f)上記イリジウムイオンが1価のイリジウムイオン、2価のイリジウムイオン、3価のイリジウムイオン、4価のイリジウムイオン、5価のイリジウムイオン、及び6価のイリジウムイオンの少なくとも一種である
(g)上記金イオンが1価の金イオン、2価の金イオン、3価の金イオン、4価の金イオン、及び5価の金イオンの少なくとも一種である
(h)上記鉛イオンが2価の鉛イオン、及び4価の鉛イオンの少なくとも一方である
(i)上記ビスマスイオンが3価のビスマスイオン、及び5価のビスマスイオンの少なくとも一方である
(j)上記マグネシウムイオンが1価のマグネシウムイオン、及び2価のマグネシウムイオンの少なくとも一方である
列挙した各価数の金属イオンは、析出物の抑制効果を奏することから、上記形態は、反応性金属イオンに加えて、上記各価数の添加金属イオンを含有することで、析出物の発生をより効果的に抑制することができる。
(14) 実施形態のRF電池の一例として、上記マンガンイオンが2価のマンガンイオン、及び3価のマンガンイオンの少なくとも一方であり、上記チタンイオンが3価のチタンイオン、及び4価のチタンイオンの少なくとも一方である形態が挙げられる。
列挙した各価数のマンガンイオンは、正極電解液中では正極活物質として機能し、特に4価のチタンイオンは、正極電解液中では析出物の抑制効果を奏する。列挙した各価数のチタンイオンが負極電解液に含有される場合には、このチタンイオンは負極活物質として機能することから、上記形態は、高い起電力が得られるMn−Ti系RF電池を構築することができる。列挙した各価数のマンガンイオンが負極電解液にも含有される場合には、上述の形態(9)〜(11)と同様の効果、即ち少なくとも経時的な正極活物質の低減による電池容量の減少を抑制できる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態に係るレドックスフロー電池を詳細に説明する。なお、本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。例えば、後述の試験例において、正極電解液中のマンガンイオンの濃度・チタンイオンの濃度、負極電解液中の金属イオン(負極活物質)の種類・濃度、各極の電解液の酸の種類・酸濃度、反応性金属イオン・添加金属イオンの種類・濃度、電解液の量、電極の材質・大きさ、隔膜の材質などを適宜変更することができる。
まず、図1を参照して、実施形態に係るレドックスフロー電池を備える電池システムの概要を説明し、その後、電解液を詳細に説明する。図1のタンク内に示す元素は、電解液中に含むイオン種の一例を示す。図1において、実線矢印は、充電、破線矢印は、放電を意味する。
(全体構成)
実施形態のレドックスフロー電池(RF電池)1は、代表的には、交流/直流変換器200や変電設備210などを介して、発電部300(例えば、太陽光発電機、風力発電機、その他、一般の発電所など)と電力系統や需要家(電力系統/需要家400)とに接続され、発電部300を電力供給源として充電を行い、電力系統/需要家400を電力提供対象として放電を行う。充放電を行うにあたり、RF電池1と、RF電池1に電解液を循環させる循環機構(タンク、導管、ポンプ)とを備える以下の電池システムが構築される。
RF電池1は、正極電極104を内蔵する正極セル102と、負極電極105を内蔵する負極セル103と、両セル102,103を分離すると共に所定のイオンを透過する隔膜101とを備える電池セル100を主要構成部材とする。正極セル102には、正極電解液用のタンク106が導管108,110を介して接続される。負極セル103には、負極電解液用のタンク107が導管109,111を介して接続される。導管108,109には、各極の電解液を循環させるためのポンプ112,113を備える。RF電池1は、導管108〜111、ポンプ112,113を利用して、正極セル102(正極電極104)、負極セル103(負極電極105)にそれぞれ、タンク106の正極電解液、タンク107の負極電解液を循環供給して、各極の電解液中の活物質となる金属イオンの価数変化反応に伴って充放電を行う。
RF電池1は、代表的には、複数の電池セル100を備えるセルスタックと呼ばれる形態が利用される。ここで、上記セル102,103は、一面に正極電極104、他面に負極電極105が配置される双極板(図示せず)と、電解液を供給する給液孔及び電解液を排出する排液孔を有し、かつ上記双極板の外周に形成される枠体(図示せず)とを備えるセルフレームを用いた構成が代表的である。複数のセルフレームを積層することで、上記給液孔及び上記排液孔は電解液の流路を構成し、この流路は導管108〜111に接続される。セルスタックは、セルフレーム、正極電極104、隔膜101、負極電極105、セルフレーム、…と順に繰り返し積層されて構成される。RF電池システムの基本構成は、公知の構成を適宜利用することができる。
実施形態のRF電池1では、上記正極電解液にマンガンイオンとチタンイオンとを含有し、上記負極電解液にチタンイオン、バナジウムイオン、クロムイオン、及び亜鉛イオンから選択される少なくとも一種の金属イオンを含有する。そして、実施形態のRF電池1では、正極電解液に更に複数の機能を有する特定の金属イオンとして反応性金属イオンを含有する。
(電解液)
・正極電解液
・・マンガンイオン
実施形態のRF電池1に備える正極電解液は、正極活物質としてマンガンイオンを含有する。マンガンイオンは、正極電解液中において少なくとも一つの価数のイオンが存在する。例えば、2価のマンガンイオン、3価のマンガンイオンが挙げられる。更に、4価のマンガンを含有する場合がある。この4価のマンガンは、MnOと考えられる。但し、このMnOは、固体の析出物ではなく、電解液中に溶解したような安定な状態で存在し、放電時、2電子反応(Mn4++2e→Mn2+)によってMn2+に還元されて、即ち放電して、活物質として作用し、繰り返し使用できることで、電池容量の増加に寄与することがある。従って、正極電解液中に、若干量(マンガンイオンの総量(mol)に対して10%程度以下)の4価のマンガンの存在を許容する。
正極電解液中のマンガンイオンの濃度(以下、Mn含有量と呼ぶ)は、例えば、0.3M以上5M以下が挙げられる。0.3M以上であると、大容量の蓄電池として十分なエネルギー密度(例えば、10kWh/m程度)を有することができる。Mn含有量は、高いほどエネルギー密度が高められることから、0.5M以上、更に1.0M以上とすることができる。実施形態のRF電池1では、正極電解液中に後述するチタンイオン及び反応性金属イオンを合わせて含有することで、マンガンイオンの濃度を高めても、析出物の発生を良好に抑制でき、マンガンイオンを安定して存在させられる。但し、溶媒に対する溶解度を考慮すると、Mn含有量は、5M以下、更に2M以下が利用し易く、電解液の製造性に優れる。
・・チタンイオン
実施形態のRF電池1に備える正極電解液は、更に、チタンイオンを含有する。このチタンイオンは、マンガン酸化物といった析出物の発生の抑制剤として機能し、正極活物質として実質的に機能しない。チタンイオンは、代表的には正極電解液中において4価のチタンイオンとして存在する。4価のチタンイオンは、TiO2+などを含む。正極電解液中のチタンイオンの濃度(以下、Ti含有量と呼ぶ)は、例えば、5M以下(0を除く)が挙げられる。5M以下であれば、例えば、電解液を酸の水溶液とする場合でも良好に溶解でき、電解液の製造性に優れる。
・・反応性金属イオン
実施形態のRF電池1に備える正極電解液は、更に、反応性金属イオンを含有する。この反応性金属イオンは、正極活物質として機能すると共に、マンガン酸化物といった析出物の発生の抑制剤としても機能する。即ち、実施形態のRF電池1では、析出物の発生の抑制剤として、少なくとも2種類の金属イオン(チタンイオン、反応性金属イオン)を含む。具体的な反応性金属イオンは、バナジウムイオン、クロムイオン、鉄イオン、コバルトイオン、銅イオン、モリブデンイオン、ルテニウムイオン、パラジウムイオン、銀イオン、タングステンイオン、水銀イオン及びセリウムイオンから選択される少なくとも一種が挙げられる。各反応性金属イオンはそれぞれ、正極電解液中において少なくとも一つの価数のイオンが存在する。例えば、(A)バナジウムイオンは、2価のバナジウムイオン、3価のバナジウムイオン、4価のバナジウムイオン、5価のバナジウムイオンが挙げられる。(B)クロムイオンは、2価のクロムイオン、3価のクロムイオン、4価のクロムイオン、6価のクロムイオンが挙げられる。(C)鉄イオンは、2価の鉄イオン、3価の鉄イオンが挙げられる。(D)コバルトイオンは、2価のコバルトイオン、3価のコバルトイオンが挙げられる。(E)銅イオンは、1価の銅イオン、2価の銅イオンが挙げられる。(F)モリブデンイオンは、4価のモリブデンイオン、5価のモリブデンイオン、6価のモリブデンイオンが挙げられる。(G)ルテニウムイオンは、2価のルテニウムイオン、3価のルテニウムイオン、4価のルテニウムイオンが挙げられる。(H)パラジウムイオンは、2価のパラジウムイオン、4価のパラジウムイオンが挙げられる。(I)銀イオンは、1価の銀イオン、2価の銀イオンが挙げられる。(J)タングステンイオンは、4価のタングステンイオン、5価のタングステンイオン、6価のタングステンイオンが挙げられる。(K)水銀イオンは、1価の水銀イオン、2価の水銀イオンが挙げられる。(L)セリウムイオンは、3価のセリウムイオン、及び4価のセリウムイオンが挙げられる。列記した以外の価数も有り得る。また、同一元素のイオンであって、価数が異なるイオンを含む場合がある。更に、これらの元素がイオンに加えて、金属(固体)として存在する場合を許容する。
反応性金属イオンとして列挙した各金属イオンの標準酸化還元電位(電位)は、マンガンイオンの電位よりも卑な電位又は貴な電位である。そのため、これらの金属イオンは、正極電解液中にマンガンイオンと合わせて含まれることで、概ね電位に応じて、順次、価数変化反応を行って、正極活物質として機能する。上記列挙した各金属イオンのうち、単一種の反応性金属イオンを含有した形態、複数種の反応性金属イオンを含有した形態のいずれも利用できる。特に、反応性金属イオンとしてバナジウムイオンを含む場合には、バナジウムイオンが従来のV系RF電池の活物質としての実績があることから、電池の信頼性を高められる。
正極電解液中の反応性金属イオンの濃度(複数種の反応性金属イオンを含む場合には合計濃度)は、例えば、0.001M以上5M以下が挙げられる。0.001M以上であると、反応性金属イオンをマンガンイオンと共に正極活物質として有効に利用でき、正極電解液中における正極活物質の割合を高められる。そのため、エネルギー密度が高いRF電池1とすることができる。また、0.001M以上であると、析出物の発生を抑制できる。反応性金属イオンの濃度は、高いほどエネルギー密度を高められ、かつ析出物を抑制し易いことから、更に0.1M以上とすることができる。但し、溶媒に対する溶解度を考慮すると、正極電解液中の反応性金属イオンの濃度は5M以下、更に2M以下が利用し易く、電解液の製造性に優れる。ここで、電解液を酸の水溶液とする場合、後述するように、酸の濃度をある程度高めることで、析出物の発生を抑制できる。しかし、酸の濃度を高めると、金属イオンの溶解度の低下を招く。実施形態のRF電池1は、チタンイオンと反応性金属イオンとの双方を含有することで析出物の発生を抑制できることから、酸の濃度を過度に高める必要がなく、金属イオンの濃度を実用的な範囲とすることができる。マンガンイオンの濃度と反応性金属イオンの濃度とが同じ形態、異なる形態のいずれも利用できる。
・・添加金属イオン
実施形態のRF電池1に備える正極電解液は、チタンイオンや反応性金属イオンに加えて、更に、マンガン酸化物といった析出物の発生に対して抑制効果があるイオンを含有することができる。このようなイオンとして、アルミニウムイオン、カドミウムイオン、インジウムイオン、錫イオン、アンチモンイオン、イリジウムイオン、金イオン、鉛イオン、ビスマスイオン及びマグネシウムイオンから選択される少なくとも一種が挙げられる。各金属イオンはそれぞれ、正極電解液中において少なくとも一つの価数のイオンが存在する。例えば、(a)アルミニウムイオンは、1価のアルミニウムイオン、2価のアルミニウムイオン、3価のアルミニウムイオンが挙げられる。(b)カドミウムイオンは、1価のカドミウムイオン、2価のカドミウムイオンが挙げられる。(c)インジウムイオンは、1価のインジウムイオン、2価のインジウムイオン、3価のインジウムイオンが挙げられる。(d)錫イオンは、2価の錫イオン、4価の錫イオンが挙げられる。(e)アンチモンイオンは、3価のアンチモンイオン、5価のアンチモンイオンが挙げられる。(f)イリジウムイオンは、1価のイリジウムイオン、2価のイリジウムイオン、3価のイリジウムイオン、4価のイリジウムイオン、5価のイリジウムイオン、6価のイリジウムイオンが挙げられる。(g)金イオンは、1価の金イオン、2価の金イオン、3価の金イオン、4価の金イオン、5価の金イオンが挙げられる。(h)鉛イオンは、2価の鉛イオン、4価の鉛イオンが挙げられる。(i)ビスマスイオンは、3価のビスマスイオン、5価のビスマスイオンが挙げられる。(j)マグネシウムイオンは、1価のマグネシウムイオン、2価のマグネシウムイオンが挙げられる。列記した以外の価数も有り得る。また、同一元素のイオンであって、価数が異なるイオンを含む場合がある。更に、これらの元素がイオンに加えて、金属(固体)として存在する場合を許容する。
その他、リチウム(Li)イオン、ベリリウム(Be)イオン、ナトリウム(Na)イオン、カリウム(K)イオン、カルシウム(Ca)イオン、スカンジウム(Sc)イオン、ニッケル(Ni)イオン、亜鉛(Zn)イオン、ガリウム(Ga)イオン、ゲルマニウム(Ge)イオン、ルビジウム(Rb)イオン、ストロンチウム(Sr)イオン、イットリウム(Y)イオン、ジルコニウム(Zr)イオン、ニオブ(Nb)イオン、テクネチウム(Tc)イオン、ロジウム(Rh)イオン、セシウム(Cs)イオン、バリウム(Ba)イオン、ランタノイド元素(但しセリウムを除く)のイオン、ハフニウム(Hf)イオン、タンタル(Ta)イオン、レニウム(Re)イオン、オスミウム(Os)イオン、白金(Pt)イオン、タリウム(Tl)イオン、ポロニウム(Po)イオン、フランシウム(Fr)イオン、ラジウム(Ra)イオン、アクチニウム(Ac)イオン、トリウム(Th)イオン、プロトアクチニウム(Pa)イオン、ウラン(U)イオンは、マンガン酸化物といった析出物の発生に対して抑制効果があると期待される。従って、上記に列挙した少なくとも一つの金属イオンも、添加金属イオンとしての利用が期待できる。
添加金属イオンとして列挙した各金属イオンは、微量であっても、上記析出物の発生の抑制に効果があることから、電解液における添加金属イオンの含有に伴う活物質の割合の低下を抑制し易い。添加金属イオンを微量とすることで、正極電解液におけるチタンイオン及び添加金属イオンの含有に伴う活物質の割合の低下を抑制でき、エネルギー密度を高め易いと期待される。上記列挙した各金属イオンは、主として、上記析出物の発生の抑制剤として機能し、実質的に活物質として機能しない。但し、イオン種によっては、活物質として機能する場合がある(例えば、鉛イオンなど)。添加金属イオンが正極活物質としても機能する場合、エネルギー密度を更に高められる。上記列挙した各金属イオンのうち、単一種の添加金属イオンを含有した形態、複数種の添加金属イオンを含有した形態のいずれも利用できる。
正極電解液中の添加金属イオンの濃度(複数種の添加金属イオンを含む場合には合計濃度)は、例えば、0.001M以上1M以下が挙げられる。0.001M以上であると、チタンイオン及び反応性金属イオンと共に、析出物の発生を効果的に抑制できる。添加金属イオンの濃度は、高いほど析出物の抑制効果が高いと期待されることから、0.005M以上、更に0.01M以上とすることができる。但し、添加金属イオンの濃度が高過ぎると、電解液中における活物質の割合の低下を招き、ひいてはエネルギー密度の低下を招く。従って、添加金属イオンの濃度は、0.8M以下、更に0.5M以下が好ましい。
・負極電解液
実施形態のRF電池1に備える負極電解液は、負極活物質としてチタンイオン、バナジウムイオン、クロムイオン、及び亜鉛イオンから選択される少なくとも一種の金属イオンを含有する。これらの金属イオンはいずれも、正極活物質のマンガンイオンと組み合わせることで、高い起電力を有するレドックス対を構成することができる。負極活物質とする各金属イオンはそれぞれ、負極電解液中において少なくとも一つの価数のイオンが存在する。同一元素のイオンであって、価数が異なるイオンを含む場合がある。また、これらの元素がイオンに加えて、金属(固体)として存在する場合を許容する。列挙した各金属イオンのうち、単一種の金属イオンを含有した形態、複数種の金属イオンを含有した形態のいずれも利用できる。
特に、負極活物質としてチタンイオンを含むMn−Ti系RF電池では、1.4V程度の起電力が得られる。また、負極活物質としてチタンイオンを含む場合、両極の電解液がチタンイオンを含む。この形態は、充放電の繰り返しによって、経時的に各極のチタンイオンが移動することがあっても、負極電解液から正極電解液に混入されたチタンイオンは、正極電解液中で析出物の発生の抑制剤として機能することができる。正極電解液から負極電解液に混入されたチタンイオンは、負極活物質として機能することができ、負極活物質の低減による電池容量の低下を抑制し易い。負極電解液中のチタンイオンは、少なくとも一つの価数のイオンが存在する。例えば、3価のチタンイオン、4価のチタンイオンが挙げられる。
特に、負極活物質としてバナジウムイオンを含む形態とすると、バナジウムイオンは、従来のV系RF電池の負極活物質としての実績があることから、電池の信頼性を高められる。
負極活物質として複数種の金属イオンを含有する場合、各金属イオンの標準酸化還元電位(電位)を考慮した組み合わせとする、即ち、貴な電位のものと卑な電位のものとの組み合わせとすると、正極電解液と同様に、負極電解液でも金属イオンの利用率を高められ、エネルギー密度を向上できる。
負極活物質として複数種の金属イオンを含有する具体例として、例えば、チタンイオンとバナジウムイオンとを含む形態が挙げられる。この形態は、上述のように起電力が高く、信頼性の高いRF電池1とすることができる。特に、正極電解液が反応性金属イオンとしてバナジウムイオンを含み、負極電解液がチタンイオンとバナジウムイオンとを含む形態とすることができる。この形態は、両極の電解液がチタンイオンとバナジウムイオンとを含み、両極の電解液中に存在する複数のイオン種が重複することから、後述する(i)〜(iv)の効果を奏することができる。この形態の各極の電解液中のチタンイオンの濃度は例えば0.3M以上5M以下程度、バナジウムイオンの濃度は例えば0.3M以上5M以下程度が挙げられる。この形態では、正極電解液が正極活物質としてマンガンイオンとバナジウムイオンとの複数種の金属イオンを含み、負極電解液が負極活物質としてチタンイオンとバナジウムイオンとの複数種の金属イオンを含むことから、両極の電解液中における活物質の割合をそれぞれ高められる。その結果、エネルギー密度がより高いRF電池1とすることができる。
負極活物質として列挙した各金属イオンの濃度(複数種の金属イオンを含む場合には合計濃度)は、例えば、0.3M以上5M以下が挙げられる。0.3M以上であると、大容量の蓄電池として十分なエネルギー密度(例えば、10kWh/m程度)を有することができる。負極電解液中の上記金属イオンの濃度は、高いほどエネルギー密度が高められることから、0.5M以上、更に1.0M以上とすることができる。但し、溶媒に対する溶解度を考慮すると、負極電解液中の上記金属イオンの濃度は、5M以下、更に2M以下が利用し易く、電解液の製造性に優れる。特に、負極活物質としてチタンイオンを0.3M以上5M以下の範囲で含む場合には、上述のように高いエネルギー密度を有するMn−Ti系RF電池とすることができる。正極電解液中において主として正極活物質として機能するマンガンイオンの濃度と反応性金属イオンの濃度との合計濃度と、負極電解液中において主として負極活物質として機能する金属イオンの濃度とが同じ形態、異なる形態のいずれも利用できる。
負極電解液は、上述の列挙した添加金属イオンのイオン種のうち、少なくとも一つを含有することができる。即ち、正極電解液及び負極電解液の少なくとも一方が、添加金属イオンを含有する形態とすることができる。負極電解液が少なくとも一種の添加金属イオンを含有する場合、(1)負極活物質として機能する金属イオンの電池反応性を高められる(反応速度を速められる)、(2)イオン種によっては活物質として機能することがある(錫イオン、亜鉛イオンなど)、(3)水の分解に伴う水素の発生を抑制することができる、といった効果が期待される。
その他、負極電解液は、負極活物質となるチタンイオンなどの上述の金属イオンを含むと共に、以下の形態とすることができる。
(a) マンガンイオンを含む形態。
(b) 正極電解液に含まれる反応性金属イオンと同じイオン種のものを少なくとも一つ含む形態。
(c) 正極電解液が上述の列挙した添加金属イオンのイオン種のうちの少なくとも一つを含む場合に、同じイオン種のものを少なくとも一つ含む形態。
(d) 上記形態(a)〜形態(c)のうちの二つを満たす形態(例えば、形態(a)+形態(b))。
(e) 上記形態(a)〜形態(c)の全てを満たす形態。
上述の形態(a)〜形態(e)はいずれも、正極電解液及び負極電解液に含まれる少なくとも一つのイオン種が重複する。そのため、これらの形態は、(i)経時的な活物質の低減による電池容量の減少を回避し易い、(ii)液移りによる両極の電解液の液量のばらつきを是正し易い、(iii)対極への金属イオンの移動に起因する濃度の変化を防止し易い、(iv)電解液を製造し易い、といった効果を奏する。例えば、形態(a)では、少なくとも正極活物質の経時的な低減を抑制し易い。両極の電解液中で重複する金属イオンの濃度は、両極で異なる形態、両極で等しい形態のいずれも利用できる。両極の電解液中で重複する金属イオンの価数は、両極で異なる形態、両極で等しい形態のいずれも利用できる。
特に、形態(a)〜形態(e)において負極活物質としてチタンイオンを含む形態では、正極電解液及び負極電解液のそれぞれに含まれる複数のイオン種が重複することから、好ましくは全てのイオン種が一致することから、上記(i)〜(iv)の効果をより得易い。より具体的な形態は、負極電解液がチタンイオンとマンガンイオンとを含む形態(a)、負極電解液がチタンイオンとマンガンイオンと正極電解液に含まれる同じイオン種の反応性金属イオンとを含む形態(d)(形態(a)+形態(b))、負極電解液がチタンイオンとマンガンイオンと正極電解液に含まれる同じイオン種の反応性金属イオン及び添加金属イオンとを含む形態(e)などが挙げられる。両極の電解液中に存在するイオン種が重複する形態では、重複するイオン種の濃度が両極で等しいと、上述の(i)〜(iv)の効果を更に得易い。両極の電解液中に存在する全てのイオン種が一致する場合に各イオン種のイオン濃度も一致すると、一つの電解液を両極の電解液に利用でき、電解液の製造性に更に優れる。負極電解液がマンガンイオンを含有する場合、負極電解液中のマンガンイオンの濃度は、例えば0.3M以上5M以下が挙げられる。この濃度範囲であれば、上述のように溶解し易く、電解液の製造性にも優れる。負極電解液がマンガンイオンを含有する場合、例えば、2価のマンガンイオン、3価のマンガンイオンが挙げられる。なお、両極の電解液に反応性金属イオンや添加金属イオンを含む場合に、各極の少なくとも一つのイオン種が異なるイオンを含む形態とすることができる。
両極の電解液がチタンイオンを含有する場合、負極電解液中のチタンイオンの濃度に応じて、正極電解液中のTi含有量を調整することができる。例えば、正極電解液中のTi含有量を0.3M以上、0.5M以上、更に1M以上とすることができる。但し、溶媒に対する溶解度を考慮すると、正極電解液中のTi含有量は、5M以下、更に2M以下が利用し易い。この形態の各極の電解液中のチタンイオンは、3価のチタンイオン、4価のチタンイオンが挙げられる。
両極の電解液がマンガンイオンとチタンイオンとを含む場合、両極の電解液中に存在するマンガンイオンの濃度が等しく、かつ両極の電解液中に存在するチタンイオンの濃度が等しいと、上述の(i)〜(iv)の効果をより得易い。この形態の各極の電解液中のマンガンイオンの濃度は、例えば0.3M以上5M以下、チタンイオンの濃度は、例えば0.3M以上5M以下が挙げられる。この形態の各極の電解液中のマンガンイオンは、2価のマンガンイオン、3価のマンガンイオンが挙げられ、チタンイオンは、3価のチタンイオン、4価のチタンイオンが挙げられる。
・電解液の溶媒など
上述の各極の電解液に含有する金属イオンは、いずれも水溶性イオンである。従って、正極電解液及び負極電解液には、溶媒を水とする水溶液を好適に利用することができる。特に、電解液を硫酸や硫酸塩を含有する酸の水溶液とすると、(1)各種の金属イオンの安定性の向上、活物質となる金属イオンの反応性の向上、溶解度の向上が得られる場合がある、(2)マンガンイオンのような電位が高い金属イオンを用いる場合でも、副反応が生じ難い(分解が生じ難い)、(3)イオン伝導度が高く、電池の内部抵抗が小さくなる、(4)塩酸を利用した場合と異なり、塩素ガスが発生しない、(5)硫酸塩などと水とを用いて電解液が容易に得られ、製造性に優れる、といった複数の効果が期待できる。上記硫酸や硫酸塩を用いて作製した酸の水溶液(電解液)は、例えば、硫酸アニオン(SO 2−)が存在する。電解液を酸溶液とする場合、酸の濃度を高めると、マンガン酸化物といった析出物の発生をある程度抑制できる。反応性金属イオンといった析出物の発生を抑制可能な金属イオンを含む電解液では、電解液中における酸の濃度をある程度低くしても、析出物の発生を抑制できる可能性がある。電解液には、硫酸や硫酸塩の他、公知の酸や公知の塩を用いて作製した水溶液を利用することができる。
(その他の構成)
・電極
正極電極104及び負極電極105の材質は、炭素繊維を主体とするもの、例えば、不織布(カーボンフェルト)やペーパーが挙げられる。カーボンフェルト製の電極を利用すると、(1)電解液に水溶液を用いた場合において充電時に酸素発生電位になっても、酸素ガスが発生し難い、(2)表面積が大きい、(3)電解液の流通性に優れる、といった効果がある。公知の電極を利用できる。
・隔膜
隔膜101は、例えば、陽イオン交換膜や陰イオン交換膜といったイオン交換膜が挙げられる。イオン交換膜は、(1)正極活物質の金属イオンと負極活物質の金属イオンとの隔離性に優れる、(2)Hイオン(電池内部の電荷担体)の透過性に優れる、といった効果があり、隔膜101に好適に利用することができる。公知の隔膜を利用できる。
以下、試験例を挙げて、RF電池の電解液の安定性、電池特性を具体的に説明する。
[試験例1]
マンガンイオンとチタンイオンとを含有する正極電解液と、チタンイオンを含有する負極電解液とを用意して図1に示すRF電池システムを構築し、充電を行った後、析出状態を調べた。
この試験では、正極活物質としてマンガンイオンのみを含む試料No.1−100,No.1−110と、正極活物質としてマンガンイオンとバナジウムイオン(反応性金属イオン)とを含む試料No.1−1,No.1−2とを用意した。
試料No.1−1の正極電解液は、硫酸マンガン、オキソ硫酸バナジウム、硫酸チタン、硫酸を用いて作製した(ここでは水溶液)。作製した正極電解液のマンガンイオン(2価)濃度が0.5M、バナジウムイオン(4価)濃度が0.5M、チタンイオン(4価)濃度が0.5M、硫酸イオン濃度(電解液中の合計濃度であり、表中では総濃度として示す。以降の試験例についても同様である。)は4.5Mである。
試料No.1−2の正極電解液は、硫酸マンガン、オキソ硫酸バナジウム、硫酸チタン、硫酸ビスマス、硫酸を用いて作製した(ここでは水溶液)。作製した正極電解液のマンガンイオン(2価)濃度が0.5M、バナジウムイオン(4価)濃度が0.5M、チタンイオン(4価)濃度が0.5M、ビスマスイオン(3価)濃度が0.05M、硫酸イオン濃度(合計濃度)は4.575Mである。
試料No.1−100の正極電解液は、硫酸マンガンと硫酸とを用いて作製した(ここでは水溶液)。作製した正極電解液のマンガンイオン(2価)濃度は0.5M、硫酸イオン濃度(合計濃度)は3.5Mである。
試料No.1−110の正極電解液は、硫酸マンガンと、硫酸チタンと、硫酸とを用いて作製した。作製した正極電解液のマンガンイオン(2価)濃度は0.5M、チタンイオン(4価)の濃度は0.5M、硫酸イオン濃度(合計濃度)は4.0Mである。
いずれの試料も負極電解液は、硫酸チタンと硫酸とを用いて作製した(ここでは水溶液)。作製した負極電解液のチタンイオン(4価)濃度は1.0M、硫酸イオン濃度(合計濃度)は4.0Mである。
電極の反応面積が9cmである小型セルを作製した。各極の電極には、カーボンフェルト、隔膜には、イオン交換膜を用いた。
作製した各極の電解液をそれぞれ7mlずつ用意し、作製した小型セルを用いて充電を行った。充電条件は、630mAの定電流(電流密度が70mA/cmの定電流)とし、マンガンイオンの充電状態(SOC)が70%となるまで充電を行った。この充電直後に、正極電解液のタンクの内壁を目視にて確認した。マンガンイオンの充電状態(SOC、%)は、(充電電気量/1電子反応時の理論電気量)×100によって求めた。なお、充電電気量、1電子反応の理論電気量は以下のように表わされる。マンガンイオンの1電子反応は、Mn2+→Mn3++eである。
充電電気量(A・h)=充電電流(A)×充電時間(h)
1電子反応の理論電気量(A・h)=電解液の体積(L)×マンガンイオンの濃度(mol/L)×ファラデーの定数:96,485(A・秒/mol)×1(電子)/3600
その結果、正極電解液にマンガンイオンのみを含有する試料No.1−100では、正極電解液のタンクの内壁において、正極電解液が存在した領域に茶色の物質(固体)が付着していた。この茶色の物質を分析したところ、MnOであった。このことから、試料No.1−100では、充電状態を高めると、析出物が発生することが分かる。一方、試料No.1−1,No.1−2,No.1−110ではいずれも、正極電解液のタンクの内壁に上述のような付着物が実質的に見られなかった。このことから、正極電解液にマンガンイオンに加えて、チタンイオンを添加することで、MnOといった析出物の発生が抑制できることが分かる。特に、試料No.1−1,No.1−2に着目すると、正極電解液にマンガンイオンに加えて、チタンイオンと、更にバナジウムイオンといった金属イオンやビスマスイオンといった金属イオンとを添加した場合に、MnOといった析出物の発生を抑制できることが確認できた。
[試験例2]
マンガンイオンとチタンイオンとを含有する正極電解液と、チタンイオンを含有する負極電解液とを用意して図1に示すRF電池システムを構築し、充電を行った後、充電状態(SOC)を調べた。
正極電解液及び負極電解液は、試験例1と同様のイオン種、濃度のものを用いた。即ち、試料No.2−1は、正極電解液として、マンガンイオン(2価)濃度が0.5M、バナジウムイオン(4価)濃度が0.5M、チタンイオン(4価)濃度が0.5M、硫酸イオン濃度(合計濃度)は4.5Mの組成の電解液を用意した。試料No.2−2は、正極電解液として、マンガンイオン(2価)濃度が0.5M、バナジウムイオン(4価)濃度が0.5M、チタンイオン(4価)濃度が0.5M、ビスマスイオン(3価)濃度が0.05M、硫酸イオン濃度(合計濃度)は4.575Mの組成の電解液を用意した。試料No.2−100は、正極電解液として、マンガンイオン(2価)濃度が0.5M、硫酸イオン濃度(合計濃度)が3.5Mの組成の電解液を用意した。試料No.2−110は、正極電解液として、マンガンイオン(2価)濃度が0.5M、チタンイオン(4価)濃度が0.5M、硫酸イオン濃度(合計濃度)が4.0Mの組成の電解液を用意した。いずれの試料も負極電解液は、チタンイオン(4価)濃度が1.0M、硫酸イオン濃度(合計濃度)は4.0Mの組成の電解液を用意した。各試料について、正極電解液は、9ml、負極電解液は、30ml用意した。
電極の反応面積が9cmである小型セルを作製し、用意した電解液を用いて、充電を行った。充電条件は、630mAの定電流(電流密度が70mA/cmの定電流)とし、充電終了電圧を2.0Vとした。この充電終了時のマンガンイオンの充電状態(SOC、%)を調べた。その結果を表1に示す。また、充電終了後、タンクなどに存在する析出物(ここではMnO)の量を目視にて調べた。その結果を表1に示す。
Figure 2015019974
表1に示すように、正極電解液にマンガンイオンのみを含有する試料No.2−100に比較して、正極電解液にマンガンイオンに加えて、バナジウムイオンといった金属イオンを含有する試料No.2−1,No.2−2では、充電状態(SOC)がより高いことが分かる。充電状態が向上した理由の一つとして、試料No.2−1,No.2−2では、チタンイオンに加えてバナジウムイオンといった金属イオンによってMnOといった析出物の発生を抑制できたことで、マンガンイオンを活物質として十分に利用できたため、と考えられる。また、試料No.2−1と試料No.2−2とを比較すると、ビスマスイオンを含有する試料No.2−2の方が、充電状態(SOC)が高いことが分かる。この理由の一つとして、試料No.2−2の方が、MnOといった析出物の発生を抑制できたことが考えられる。なお、この試験例の結果では、試料No.2−1,No.2−2は、試料No.2−110よりも充電状態(SOC)が低くなっているが、試料No.2−100と対比して、上述のように析出物の発生を抑制することで、エネルギー密度の向上が期待できると考えられる。
[試験例3]
マンガンイオンとチタンイオンとを含有する正極電解液と、チタンイオンを含有する負極電解液とを用意して図1に示すRF電池システムを構築し、充放電を行って電池特性を調べた。
正極電解液及び負極電解液は、試験例1と同様のイオン種、濃度のものを用いた。即ち、試料No.3−1は、正極電解液として、マンガンイオン(2価)濃度が0.5M、バナジウムイオン(4価)濃度が0.5M、チタンイオン(4価)濃度が0.5M、硫酸イオン濃度(合計濃度)は4.5Mの組成の電解液を用意した。試料No.3−2は、正極電解液として、マンガンイオン(2価)濃度が0.5M、バナジウムイオン(4価)濃度が0.5M、チタンイオン(4価)濃度が0.5M、ビスマスイオン(3価)濃度が0.05M、硫酸イオン濃度(合計濃度)は4.575Mの組成の電解液を用意した。試料No.3−100は、正極電解液として、マンガンイオン(2価)濃度が0.5M、硫酸イオン濃度(合計濃度)が3.5Mの組成の電解液を用意した。試料No.3−110は、正極電解液として、マンガンイオン(2価)濃度が0.5M、チタンイオン(4価)濃度が0.5M、硫酸イオン濃度(合計濃度)が4.0Mの組成の電解液を用意した。いずれの試料も負極電解液は、チタンイオン(4価)濃度が1.0M、硫酸イオン濃度(合計濃度)は4.0Mの組成の電解液を用意した。各試料について、各極の電解液をそれぞれ6mlずつ用意した。
電極の反応面積が9cmである小型セルを作製し、用意した電解液を用いて、充放電のサイクル試験を行った。充放電条件は、630mAの定電流(電流密度が70mA/cmの定電流)とし、充電側切替電圧(充電から放電に切り替える電圧)を1.5Vとし、放電側切替電圧(放電から充電に切り替える電圧)を0Vとし、サイクル数=3とした。そして、電流効率(%)、放電容量(Ah/L)をそれぞれ調べた。ここでは、電流効率(%)は、サイクルごとに、(放電時間/充電時間)×100で求めた。2サイクル目の電流効率と3サイクル目の電流効率との平均を表2に示す。放電容量は、サイクルごとに、(放電時間(s)×電流値(A)/3600)/電解液体積(L)を求めた。2サイクル目の放電容量と3サイクル目の放電容量との平均を表2に示す。
Figure 2015019974
表2に示すように、正極電解液にマンガンイオンのみを含有する試料No.3−100に比較して、正極電解液にマンガンイオンに加えて、チタンイオンとバナジウムイオンといった金属イオンとを含有する試料No.3−1,No.3−2では、電流効率及び放電容量が高いことが分かる。また、試料No.3−1,No.3−2は、正極電解液にマンガンイオンとチタンイオンとを含有するがバナジウムイオンを含有していない試料No.3−110に比較した場合でも、電流効率及び放電容量が高いことが分かる。特に、試料No.3−1,No.3−2は、試料No.3−100,No.3−110に比較して放電容量が1.5倍以上高く、大容量の電池として良好に利用できると期待される。電流効率や放電容量が向上した理由の一つとして、試料No.3−1,No.3−2では、チタンイオンに加えてバナジウムイオンといった金属イオンによってMnOといった析出物の発生を抑制できたことで、マンガンイオンを活物質として十分に利用できたため、と考えられる。
[試験例4]
正極電解液及び負極電解液の双方がマンガンイオンとチタンイオンとを含有する電解液を用意して図1に示すRF電池システムを構築し、充放電を行って電池特性を調べた。
正極電解液及び負極電解液は、試験例1と同様に硫酸塩と硫酸とを用いて作製した。試料No.4−1は、正極電解液として、マンガンイオン(2価)濃度が0.5M、バナジウムイオン(4価)濃度が0.5M、チタンイオン(4価)濃度が0.5M、硫酸イオン濃度(合計濃度)が4.5Mの組成の電解液を6ml用意した。負極電解液は、チタンイオン(4価)濃度が0.5M、マンガンイオン(2価)濃度が0.5M、硫酸イオン濃度(合計濃度)は4.0Mの組成の電解液を12ml用意した。
試料No.4−2は、正極電解液及び負極電解液として、マンガンイオン(2価)濃度が0.5M、バナジウムイオン(3価)濃度が0.25M、バナジウムイオン(4価)濃度が0.25M、チタンイオン(4価)濃度が0.5M、硫酸イオン濃度(合計濃度)が4.5Mの組成の電解液を用意した。試料No.4−2では、各極の電解液をそれぞれ6mlずつ用意した。
試料No.4−3は、正極電解液として、マンガンイオン(2価)濃度が0.5M、バナジウムイオン(4価)濃度が0.5M、チタンイオン(4価)濃度が0.5M、ビスマスイオン(3価)濃度が0.05M、硫酸イオン濃度(合計濃度)が4.575Mの組成の電解液を6ml用意した。負極電解液は、チタンイオン(4価)濃度が0.5M、マンガンイオン(2価)濃度が0.5M、硫酸イオン濃度(合計濃度)は4.0Mの組成の電解液を12ml用意した。
試料No.4−4は、正極電解液として、マンガンイオン(2価)濃度が0.5M、バナジウムイオン(3価)濃度が0.25M、バナジウムイオン(4価)濃度が0.25M、チタンイオン(4価)濃度が0.5M、ビスマスイオン(3価)濃度が0.05M、硫酸イオン濃度(合計濃度)が4.575Mの組成の電解液を用意した。負極電解液は、チタンイオン(4価)濃度が0.5M、マンガンイオン(2価)濃度が0.5M、バナジウムイオン(3価)濃度が0.25M、バナジウムイオン(4価)濃度が0.25M、硫酸イオン濃度(合計濃度)は4.5Mの組成の電解液を用意した。試料No.4−4では、各極の電解液をそれぞれ6mlずつ用意した。
試料No.4−5は、正極電解液及び負極電解液として、マンガンイオン(2価)濃度が0.5M、バナジウムイオン(3価)濃度が0.25M、バナジウムイオン(4価)濃度が0.25M、チタンイオン(4価)濃度が0.5M、ビスマスイオン(3価)濃度が0.05M、硫酸イオン濃度(合計濃度)が4.575Mの組成の電解液を用意した。試料No.4−5では、各極の電解液をそれぞれ6mlずつ用意した。
用意した電解液を用いて、試験例3と同様の小型セル(電極の反応面積が9cm)を作製し、充放電のサイクル試験を行い、電流効率及び放電容量を測定した。その結果を表3に示す。充放電条件及び測定方法は、試験例3と同様である。但し、試料No.4−2,No.4−4,No.4−5については、充放電条件の充電側切替電圧を1.85Vとし、放電側切替電圧を0Vとした。
Figure 2015019974
表3に示すように、正極電解液にマンガンイオンに加えて、バナジウムイオンといった金属イオンを含有する試料No.4−1〜No.4−5は、電流効率が高く、かつ正極電解液にマンガンイオンのみを含有する場合(上述の試料No.3−100)と同等程度の放電容量、又はそれ以上の放電容量を有していることが分かる。特に、試料No.4−2,No.4−4,No.4−5は、その放電容量が、試料No.3−100の放電容量の約1.5倍以上高いことが分かる。電流効率や放電容量が向上した理由の一つとして、試料No.4−1〜No.4−5は、チタンイオンに加えてバナジウムイオンといった金属イオンによってMnOといった析出物の発生を抑制できたことで、マンガンイオンを活物質として十分に利用でき、更にはバナジウムイオンを活物質として利用できたため、と考えられる。かつ、試料No.4−1〜No.4−5では、正極電解液と負極電解液とが同じイオン種の金属イオンを含有することで、経時的なイオンの移動に伴う活物質の低下を抑制したり、液移りの是正を行い易かったり、製造性に優れたりする点で実用的であり、利用し易い。とりわけ試料No.4−2,No.4−5は、両極の電解液中の金属イオンが一致することで(ここでは各金属イオンの濃度も一致)、上述の活物質の低下の抑制、液移りの是正の容易性、電解液の製造の容易性という効果を更に得易く、利用し易い。
[試験例5]
マンガンイオンとチタンイオンとを含有する正極電解液と、チタンイオンを含有する負極電解液とを用意して図1に示すRF電池システムを構築し、充放電を行って電池特性を調べた。
正極電解液及び負極電解液は、表4に記載のイオン種、濃度のものを用いた。即ち、試料No.5−1は、正極電解液として、硫酸マンガン、硫酸チタン、硫酸、硫酸鉄(II)を用い、チタンイオン(4価)濃度が0.5M、マンガンイオン(2価)濃度が0.5M、硫酸イオン濃度(合計濃度)が4.5M、Feイオン(2価)濃度が0.5Mの組成の電解液を用意した。
試料No.5−2は、正極電解液として、硫酸マンガン、硫酸チタン、硫酸、硫酸セリウム(III)を用い、チタンイオン(4価)濃度が0.5M、マンガンイオン(2価)濃度が0.5M、硫酸イオン濃度(合計濃度)が4.15M、Ceイオン(3価)濃度が0.1Mの組成の電解液を用意した。
試料No.5−3は、正極電解液として、硫酸マンガン、硫酸チタン、硫酸、モリブデン酸二ナトリウムを用い、チタンイオン(4価)濃度が0.5M、マンガンイオン(2価)濃度が0.5M、硫酸イオン濃度(合計濃度)が4.0M、Moイオン(6価)濃度が0.01Mの組成の電解液を用意した。
試料No.5−4は、正極電解液として、硫酸マンガン、硫酸チタン、硫酸を用い、チタンイオン(4価)濃度が0.5M、マンガンイオン(2価)濃度が0.5M、硫酸イオン濃度(合計濃度)が4.0Mの組成の電解液を用意した。
いずれの試料も負極電解液は、チタンイオン(4価)濃度が1.0M、硫酸イオン濃度(合計濃度)は4.0Mの組成の電解液を用意した。各試料について、各極の電解液をそれぞれ6mlずつ用意した。
電極の反応面積が9cmである小型セルを作製し、用意した電解液を用いて、充放電のサイクル試験を行った。充放電条件は、630mAの定電流(電流密度が70mA/cmの定電流)とし、充電側切替電圧(充電から放電に切り替える電圧)を1.8Vとし、放電側切替電圧(放電から充電に切り替える電圧)を0Vとし、サイクル数=3とした。そして、放電容量(Ah/L)を調べた。ここでは、放電容量は、サイクルごとに、(放電時間(s)×電流値(A)/3600)/電解液体積(L)を求めた。2サイクル目の放電容量と3サイクル目の放電容量との平均を表4に示す。
Figure 2015019974
表4に示すように、正極電解液にマンガンイオンに加えて、チタンイオンと添加金属(Fe、Ce、Mo)といった金属イオンとを含有する試料No.5−1〜No.5−3では、放電容量(No.5−1(11.8Ah/L)、No.5−2(11.1Ah/L)、No.5−3(8.1Ah/L))が、正極電解液にマンガンイオン及びチタンイオンのみを含有する試料No.5−4(6.5Ah/L)より高いことが分かる。放電容量が向上した理由の一つとして、試料No.5−1〜No.5−3では、チタンイオンに加えて添加金属(Fe、Ce、Mo)イオンといった金属イオンによってMnOといった析出物の発生を抑制できたことで、マンガンイオンを活物質として十分に利用できたため、と考えられる。また、放電容量が向上した他の理由として、試料No.5−1〜No.5−4では、マンガンイオンに加えて含有された金属イオンが活物質として機能することでエネルギー密度が高められたため、と考えられる。
試験例1〜5の結果から、正極電解液にマンガンイオンと、チタンイオンと、特定の金属イオン(反応性金属イオン)とを含有することで、マンガン酸化物といった析出物の発生を抑制することができながら、起電力が高い、充電状態を高められる、電流効率を高められる、放電容量を高められる、といった電池特性に優れるレドックスフロー電池とすることができることが確認できた。また、このレドックスフロー電池は、エネルギー密度や放電容量が高いことから、電解液量を低減できるため、小型化、電解液コストの低減なども期待できる。また、両極の電解液中の複数のイオン種が重複する場合には、更には全てのイオン種が一致する場合には、液移りの是正が容易であったり、電解液を製造し易かったりする電解液となる。このような電解液を備えることで、実用的で、運転制御なども行い易いレドックスフロー電池とすることができる。
本発明のレドックスフロー電池は、太陽光発電、風力発電などの自然エネルギーの発電に対して、発電出力の変動の安定化、発電電力の余剰時の蓄電、負荷平準化などを目的とした大容量の蓄電池に好適に利用することができる。また、本発明のレドックスフロー電池は、一般的な発電所に併設されて、瞬低・停電対策や負荷平準化を目的とした大容量の蓄電池としても好適に利用することができる。
1 レドックスフロー電池(RF電池) 100 電池セル
101 隔膜 102 正極セル 103 負極セル
104 正極電極 105 負極電極
106 正極電解液用のタンク 107 負極電解液用のタンク
108〜111 導管 112,113 ポンプ
200 交流/直流変換器 210 変電設備
300 発電部 400 電力系統/需要家

Claims (14)

  1. 正極電極と、負極電極と、これら両電極間に介在される隔膜とを備える電池セルに正極電解液及び負極電解液を供給して充放電を行うレドックスフロー電池であって、
    前記正極電解液は、マンガンイオンと、チタンイオンと、反応性金属イオンとを含有し、
    前記負極電解液は、チタンイオン、バナジウムイオン、クロムイオン、及び亜鉛イオンから選択される少なくとも一種の金属イオンを含有し、
    前記反応性金属イオンは、バナジウムイオン、クロムイオン、鉄イオン、コバルトイオン、銅イオン、モリブデンイオン、ルテニウムイオン、パラジウムイオン、銀イオン、タングステンイオン、水銀イオン及びセリウムイオンから選択される少なくとも一種であるレドックスフロー電池。
  2. 前記正極電解液は、更に、添加金属イオンを含有し、
    前記添加金属イオンは、アルミニウムイオン、カドミウムイオン、インジウムイオン、錫イオン、アンチモンイオン、イリジウムイオン、金イオン、鉛イオン、ビスマスイオン及びマグネシウムイオンから選択される少なくとも一種である請求項1に記載のレドックスフロー電池。
  3. 前記正極電解液における前記反応性金属イオンの濃度は、0.001M以上5M以下である請求項1又は請求項2に記載のレドックスフロー電池。
  4. 前記正極電解液における前記添加金属イオンの濃度は、0.001M以上1M以下である請求項2に記載のレドックスフロー電池。
  5. 前記正極電解液における前記マンガンイオンの濃度、及び前記負極電解液における前記金属イオンの濃度の少なくとも一方は、0.3M以上5M以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池。
  6. 前記負極電解液は、前記金属イオンとしてチタンイオンを含有し、
    前記正極電解液における前記マンガンイオンの濃度、及び前記負極電解液における前記チタンイオンの濃度の少なくとも一方は、0.3M以上5M以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池。
  7. 前記正極電解液における前記チタンイオンの濃度は、5M以下である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池。
  8. 前記反応性金属イオンは、下記(A)〜(L)の少なくとも1つを満たす請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池。
    (A)前記バナジウムイオンが2価のバナジウムイオン、3価のバナジウムイオン、4価のバナジウムイオン、及び5価のバナジウムイオンの少なくとも一種である
    (B)前記クロムイオンが2価のクロムイオン、3価のクロムイオン、4価のクロムイオン、及び6価のクロムイオンの少なくとも一種である
    (C)前記鉄イオンが2価の鉄イオン、及び3価の鉄イオンの少なくとも一方である
    (D)前記コバルトイオンが2価のコバルトイオン、及び3価のコバルトイオンの少なくとも一方である
    (E)前記銅イオンが1価の銅イオン、及び2価の銅イオンの少なくとも一方である
    (F)前記モリブデンイオンが4価のモリブデンイオン、5価のモリブデンイオン、及び6価のモリブデンイオンの少なくとも一種である
    (G)前記ルテニウムイオンが2価のルテニウムイオン、3価のルテニウムイオン、及び4価のルテニウムイオンの少なくとも一種である
    (H)前記パラジウムイオンが2価のパラジウムイオン、及び4価のパラジウムイオンの少なくとも一方である
    (I)前記銀イオンが1価の銀イオン、及び2価の銀イオンの少なくとも一方である
    (J)前記タングステンイオンが4価のタングステンイオン、5価のタングステンイオン、及び6価のタングステンイオンの少なくとも一種である
    (K)前記水銀イオンが1価の水銀イオン、及び2価の水銀イオンの少なくとも一方である
    (L)前記セリウムイオンが3価のセリウムイオン、及び4価のセリウムイオンの少なくとも一方である
  9. 前記負極電解液は、チタンイオンと、更にマンガンイオンとを含む請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池。
  10. 前記負極電解液は、チタンイオンと、更にマンガンイオンと、前記反応性金属イオンとを含む請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池。
  11. 前記負極電解液は、チタンイオンと、更にマンガンイオンと、前記反応性金属イオンと、前記添加金属イオンとを含む請求項2又は請求項4に記載のレドックスフロー電池。
  12. 前記負極電解液におけるマンガンイオンの濃度は、0.3M以上5M以下である請求項9〜請求項11のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池。
  13. 前記添加金属イオンは、下記(a)〜(j)の少なくとも1つを満たす請求項2、請求項4、及び請求項11のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池。
    (a)前記アルミニウムイオンが1価のアルミニウムイオン、2価のアルミニウムイオン、及び3価のアルミニウムイオンの少なくとも一種である
    (b)前記カドミウムイオンが1価のカドミウムイオン、及び2価のカドミウムイオンの少なくとも一方である
    (c)前記インジウムイオンが1価のインジウムイオン、2価のインジウムイオン、及び3価のインジウムイオンの少なくとも一種である
    (d)前記錫イオンが2価の錫イオン、及び4価の錫イオンの少なくとも一方である
    (e)前記アンチモンイオンが3価のアンチモンイオン、及び5価のアンチモンイオンの少なくとも一方である
    (f)前記イリジウムイオンが1価のイリジウムイオン、2価のイリジウムイオン、3価のイリジウムイオン、4価のイリジウムイオン、5価のイリジウムイオン、及び6価のイリジウムイオンの少なくとも一種である
    (g)前記金イオンが1価の金イオン、2価の金イオン、3価の金イオン、4価の金イオン、及び5価の金イオンの少なくとも一種である
    (h)前記鉛イオンが2価の鉛イオン、及び4価の鉛イオンの少なくとも一方である
    (i)前記ビスマスイオンが3価のビスマスイオン、及び5価のビスマスイオンの少なくとも一方である
    (j)前記マグネシウムイオンが1価のマグネシウムイオン、及び2価のマグネシウムイオンの少なくとも一方である
  14. 前記マンガンイオンが2価のマンガンイオン、及び3価のマンガンイオンの少なくとも一方であり、
    前記チタンイオンが3価のチタンイオン、及び4価のチタンイオンの少なくとも一方である請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池。
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