JPWO2015012093A1 - 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法、及び塗布液 - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、光透過性を損なうことなく、導波損失を低減し、光取り出し効率を向上させる、フレキシブル性を有する有機EL素子の製造方法を提供することである。本発明の有機EL素子の製造方法は、樹脂基板上に、光散乱層を形成する工程と、光散乱層上に、平滑化層を形成する工程と、を備え、平滑化層を形成する工程では、高屈折率のナノゾル粒子と、バインダーと、有機溶媒とを含有し、かつ粘度が3〜30mPa・sの範囲内である塗布液を調製する工程と、塗布液をインクジェット塗布法により塗布する工程と、塗布後の塗布液に波長制御赤外線を照射して乾燥する工程と、乾燥後の塗布液に、エキシマ光を照射して硬化する工程と、を有することを特徴とする。

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法、及び塗布液に関する。より詳しくは、光透過性を損なうことなく、導波損失を低減し、光取り出し効率を向上させる、フレキシブル性を有する有機EL素子の製造方法、及び当該製造方法に用いられる塗布液に関する。
有機材料のエレクトロルミネッセンス(electroluminescence:EL)を利用した有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)は、数V〜数十V程度の低電圧で発光が可能な薄膜型の完全固体素子であり、高輝度、高発光効率、薄型、軽量といった多くの優れた特徴を有している。このため、各種ディスプレイのバックライト、看板や非常灯等の表示板、照明光源等の面発光体として近年注目されている。一方、有機EL素子の光取り出し効率は20%程度であり、素子内での損失が大きいことが知られている。
図2は、従来の有機EL素子の概略断面図である。有機EL素子300は、図中の下層から順に、金属電極302、屈折率が約1.8の有機機能層304、屈折率が約1.8の透明電極306、屈折率が約1.5の透明基板308が積層されて構成される。なお、図中の符号310a〜310eで表される矢印は、有機機能層304から発生した光のうち特徴的なものを示している。
光310aは、有機機能層304の発光面に対して垂直方向の光であり、透明基板308を透過して光取り出し側(空気側)に取り出される。
光310bは、透明基板308と空気との界面に臨界角以下の浅い角度で入射した光であり、透明基板308と空気との界面で屈折して光取り出し側に取り出される。
光310cは、透明基板308と空気との界面に臨界角より深い角度で入射した光であり、透明基板308と空気との界面で全反射して光取り出し側に取り出せない光である。これによる損失を基板損失と呼び、通常20%程度の損失がある。
光310dは、透明電極306と透明基板308との界面に臨界角より深い角度で入射した光のうち共振条件を満たした光であり、透明電極306と透明基板308との界面で全反射して導波モードが発生し、有機機能層304及び透明電極306内に閉じ込められる光である。これによる損失を導波損失と呼び、通常20〜25%程度の損失がある。
光310eは、金属電極302へ入射して金属電極302内の自由電子と作用し、導波モードの一種であるプラズモンモードが発生して、金属電極302の表面近傍に閉じ込められる光である。これによる損失をプラズモン損失と呼び、通常30〜40%程度の損失がある。
このように、従来の有機EL素子300においては、基板損失、導波損失及びプラズモン損失があることから、それらの損失を少なくすれば、より多くの光を取り出すことが可能となる。
光取り出し効率を向上させることを目的として、透明電極と基板との間に、光を取り出すための光取り出し層を積層した構成を有する有機EL素子が従来知られている。
従来考えられてきた光取り出し層の成膜方法としては、熱硬化性樹脂を用い、加熱することで塗膜を硬化させる方法が一般的である。これは、ガラス基板であるがゆえに実現できたものである。また、塗布方法としては、スピン塗布やスロットダイ塗布が一般的である。これも表面平滑性に問題のないガラス基板だからこそ用いることができる塗布方法といえる。
一方で、近年、有機EL素子には従来の照明やLED照明にはない、光源自体を曲げられる、フレキシブルな特性が求められるようになってきた。このようなフレキシブルな特性の実現は、基板にガラスを使用している限り困難である。ガラスにフレキシブル性を持たせるために極薄ガラス基板も考案されているが、割れやすいために取り扱いが困難であり、量産品に使用するには限界がある。
これに対し、樹脂素材であれば元々柔軟性を有しており、割れることもなく、ガラスに匹敵するほど透明性の高い素材もある。これら樹脂を主成分とした基板を用いれば、フレキシブル性を有した有機EL素子を作製することが可能となる。しかし、樹脂素材は、有機物であることから熱に弱い。
以上のように、有機EL素子にフレキシブル性を持たせるためには、樹脂基板を用い、インクジェット塗布法等を使用して、熱硬化性樹脂以外の樹脂を用いて光取り出し層を作製することが必要となる。これら条件の中でも特に困難であったのが、熱硬化性樹脂以外の樹脂をインクジェット塗布法により塗布成膜することであった。
通常、熱硬化性樹脂以外の樹脂といえば、紫外線硬化性樹脂が挙げられるが、紫外線硬化性樹脂はモノマーからなることが一般的である。この紫外線硬化性樹脂を含む塗布液は、インクジェット塗布法で使用するには粘度が低い。また、硬膜させるためには乾燥工程が必要となるが、乾燥に通常の加熱方式を使用すると、樹脂基板が熱により変形してしまい、有機EL素子としての性能や歩留まりが大幅に低下してしまう。このため、有機EL素子にフレキシブル性を持たせるためには、従来にない素材、プロセス条件を考案する必要があった。
例えば、特許文献1には、粒子分散物塗布液の粘度を規定し、塗布方式としてスプレー塗布、インクジェット塗布法で光取り出し層を成膜する技術が開示されている。
ところで、光取り出し層の構成としては、光散乱層と、高屈折率を有し、かつ電極の成膜性の観点から表面に極めて平滑性が求められる、精密塗布が必要な平滑化層と、を有する2層積層構造が知られているが、上記特許文献1に開示されている光取り出し層の成膜技術は、いわゆる光散乱層に対するものであり、平滑化層に対するものではない。
以上の理由から、フレキシブル性を実現させるために、成膜性、光学的な性能に優れた有機EL素子の製造方法が望まれていた。
欧州特許第1947910号明細書
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、光透過性を損なうことなく、導波損失を低減し、光取り出し効率を向上させる、フレキシブル性を有する有機EL素子の製造方法、及び当該製造方法に用いられる塗布液を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、樹脂基板上に、光散乱層、平滑化層、第1電極、有機機能層、及び第2電極が順次積層された有機EL素子の製造方法において、平滑化層を形成する工程では、高屈折率のナノゾル粒子と、バインダーと、有機溶媒とを含有し、かつ粘度が3〜30mPa・sの範囲内である塗布液を調製する工程と、塗布液をインクジェット塗布法により塗布する工程と、塗布後の塗布液に、波長制御赤外線を照射して乾燥する工程と、乾燥後の塗布液に、エキシマ光を照射して硬化する工程と、を有することにより、フレキシブル性を保持したままで、光透過性を損なうことなく、導波損失を低減し、光取り出し効率を向上させることができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.樹脂基板上に、光散乱層、平滑化層、第1電極、有機機能層、及び第2電極が順次積層された有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
前記樹脂基板上に、前記光散乱層を形成する工程と、
前記光散乱層上に、前記平滑化層を形成する工程と、
を備え、
前記平滑化層を形成する工程では、
高屈折率のナノゾル粒子と、バインダーと、有機溶媒とを含有し、かつ粘度が3〜30mPa・sの範囲内である塗布液を調製する工程と、
前記塗布液をインクジェット塗布法により塗布する工程と、
塗布後の前記塗布液に、波長制御赤外線を照射して乾燥する工程と、
乾燥後の前記塗布液に、エキシマ光を照射して硬化する工程と、
を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
2.前記有機溶媒の粘度が、5〜100mPa・sの範囲内であることを特徴とする第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
3.前記有機溶媒の蒸気圧が、1.0〜1000Paの範囲内であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
4.高屈折率のナノゾル粒子と、バインダーと、有機溶媒とを含有し、かつ粘度が3〜30mPa・sの範囲内であることを特徴とする塗布液。
5.前記有機溶媒の粘度が、5〜100mPa・sの範囲内であることを特徴とする第4項に記載の塗布液。
6.前記有機溶媒の蒸気圧が、1.0〜1000Paの範囲内であることを特徴とする第4項又は第5項に記載の塗布液。
本発明の上記手段により、光透過性を損なうことなく、導波損失を低減し、光取り出し効率を向上させた、フレキシブル性を有する有機EL素子の製造方法、及び当該製造方法に用いられる塗布液を提供することができる。
本発明の効果の発現機構・作用機構については明確になっていないが、以下のように推察している。
すなわち、有機EL素子の支持基板として、樹脂基板を用いて、インクジェット塗布法により紫外線硬化性樹脂等のバインダーを塗布、成膜することができれば、有機EL素子としてのフレキシブル性を保持させることができるが、紫外線硬化性樹脂等のバインダーを含む塗布液は、インクジェット塗布法で使用するには粘度が低いという問題があった。
そこで、塗布液に有機溶媒を含有させることで、塗布液の粘度を所定の範囲に調整可能とし、フレキシブル性を保持したまま、有機EL素子の光取り出し効率を向上させることができたと考えられる。
本発明に係る有機EL素子の一例を示す概略断面図 従来の有機EL素子の概略断面図
本発明の有機EL素子の製造方法は、樹脂基板上に、光散乱層を形成する工程と、光散乱層上に、平滑化層を形成する工程と、を備え、平滑化層を形成する工程では、高屈折率のナノゾル粒子と、バインダーと、有機溶媒とを含有し、かつ粘度が3〜30mPa・sの範囲内である塗布液を調製する工程と、塗布液をインクジェット塗布法により塗布する工程と、塗布後の塗布液に、波長制御赤外線を照射して乾燥する工程と、乾燥後の塗布液に、エキシマ光を照射して硬化する工程と、を有することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項6までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、吐出安定性の観点から、有機溶媒の粘度が5〜100mPa・sの範囲内であることが好ましい。
本発明の実施態様としては、ノズル詰まり防止の観点から、有機溶媒の蒸気圧が1.0〜1000Paの範囲内であることが好ましい。
また、本発明の塗布液は、高屈折率のナノゾル粒子と、バインダーと、有機溶媒とを含み、かつ粘度が3〜30mPa・sの範囲内である。
本発明の実施態様としては、吐出安定性の観点から、有機溶媒の粘度が5〜100mPa・sの範囲内であることが好ましく、更には、ノズル詰まりの防止の観点から、蒸気圧が1.0〜1000Paの範囲内であることが好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、数値範囲を表す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用している。
≪有機EL素子の構成≫
図1に、本発明に係る有機EL素子の構成として、その一例を示している。
図1に示すとおり、有機EL素子100は、フレキシブル性を有する樹脂基板10上に、光取り出し層20、第1電極30、有機機能層40、第2電極50が順次積層され、構成されている。
光取り出し層20は、光散乱層22及び平滑化層24から構成され、この順に樹脂基板10上に積層されている。
有機機能層40は、正孔注入層41、正孔輸送層42、発光層43、電子輸送層44及び電子注入層45から構成され、この順に第1電極30上に積層されている。
以下、本発明に係る有機EL素子100を構成する各層について説明する。
≪光取り出し層(20)≫
光取り出し層は、樹脂基板と第1電極との間に設けられる層であり、樹脂基板側から順に、光散乱層と平滑化層とが積層された2層構造となっている。
光取り出し層は、有機EL素子の発光層内に閉じ込められる導波モード光や第2電極から反射されるプラズモンモード光を取り出すために設けられる。
<平滑化層(24)>
(1)平滑化層の構成及び特性
本発明に係る平滑化層は、バインダー中に高屈折率のナノゾル粒子が含有された構成となっている。
なお、本発明において、ナノゾル粒子とは、分散媒中に分散される粒径がナノ・メートル・オーダーの微粒子(コロイド状粒子)をいい、粒径が1〜300nmの範囲内である粒子と定義される。粒子には、一つ一つばらばらの状態の粒子(1次粒子)と、凝集した状態の粒子(2次粒子)とが存在するが、本発明においては、2次粒子まで含めてナノゾル粒子と定義する。
平滑化層に用いられるバインダーとしては、後述する光散乱層と同様のものも使用可能であるが、紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂を用いることができる。中でも、紫外線硬化性樹脂は、有機溶媒により塗布液の物性を調整できるため、より好ましい。
紫外線硬化性樹脂は、紫外線の光エネルギーによって僅か数秒で硬化するため、熱硬化方式と異なり、加熱によるダメージや変形が起こりにくいこと、効率よく製造できること、品質のバラツキがないこと、等の利点が挙げられる。これにより、樹脂基板を用いたときにも基板の変形が起こらないため、製造上トラブルが発生せず、また歩留まりを向上させることが可能となる。
平滑化層に含有される高屈折粒子としては、微粒子のナノゾルであることが好ましい。
高屈折粒子の屈折率の下限としては、バルクの状態で1.7以上であることが好ましく、1.85以上であることがより好ましく、2.0以上であることが更に好ましく、2.5以上であることが特に好ましい。また、高屈折粒子の屈折率の上限としては、3.0以下であることが好ましい。高屈折粒子の屈折率が1.7以上であれば、本発明の目的効果を十分に発揮することができる。高屈折粒子の屈折率が3.0以下であれば、層中での多重散乱を抑制し、透明性を低下させることがない。
高屈折粒子の平均粒径としては、5〜300nmの範囲内であることが好ましく、10〜200nmの範囲内であることがより好ましく、20〜100nmの範囲内であることが特に好ましい。高屈折粒子の平均粒径が5nm以上であれば、高屈折粒子が凝集するのを抑え、透明性を低下させることがない。また、高屈折粒子全体としての表面積が大きくならず、触媒活性を抑えるため、平滑化層や隣接する層の劣化を防止することができる。高屈折粒子の平均粒径が300nm以下であれば、平滑化層の透明性を低下させることがない。平均粒径の分布は、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に制限されず、広くても狭くてもよいし、複数の分布を持っていてもよい。
なお、本発明における平均粒径は、例えば、日機装社製ナノトラックUPA−EX150といった動的光散乱法を利用した装置や、電子顕微鏡写真の画像処理により測定することができる。
高屈折粒子の含有量の下限としては、全体質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。また、高屈折粒子の含有量の上限としては、97質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましい。高屈折粒子の含有量が50質量%以上であれば、平滑化層の屈折率を1.80以上とすることが容易となる。高屈折粒子の含有量が97質量%以下であれば、平滑化層の塗布法による作製に支障がなく、また、乾燥後の層の強度や耐屈曲性を低下させることがない。
高屈折率のナノゾル粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、有機微粒子であっても、無機微粒子であってもよいが、中でも高屈折率を有する無機微粒子であることが好ましい。
高屈折率を有する有機微粒子としては、例えば、ポリメチルメタクリレートビーズ、アクリル−スチレン共重合体ビーズ、メラミンビーズ、ポリカーボネートビーズ、スチレンビーズ、架橋ポリスチレンビーズ、ポリ塩化ビニルビーズ、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒドビーズ等が挙げられる。
高屈折率を有する無機微粒子としては、例えば、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、インジウム、亜鉛、スズ、アンチモン等の中から選ばれる少なくとも一つの酸化物からなる無機酸化物粒子が挙げられる。無機酸化物粒子としては、具体的には、ZrO、TiO、BaTiO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、ITO(Indium Tin Oxide:インジウムチンオキサイド)、SiO、ZrSiO、ゼオライト等が挙げられ、中でも、TiO、BaTiO、ZrO、ZnO、SnOが好ましく、TiOが最も好ましい。また、TiOの中でも、アナターゼ型よりルチル型であることが、触媒活性が低いため光散乱層や隣接する層の耐候性が高くなり、更に屈折率が高いことから好ましい。
また、これらの高屈折粒子は、バインダー中に分散させた際の分散液の分散性や安定性向上の観点から、粒子表面に表面処理を施してもよい。
表面処理材としては、例えば、酸化ケイ素や酸化ジルコニウム等の異種無機酸化物、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、オルガノシロキサン、ステアリン酸等の有機酸等が挙げられる。これら表面処理材は、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。中でも、分散液の安定性の観点から、表面処理材としては、異種無機酸化物及び/又は金属水酸化物が好ましく、金属水酸化物がより好ましい。
無機酸化物粒子が、表面処理材で表面被覆処理されている場合、その被覆量(一般的に、この被覆量は、粒子の質量に対する当該粒子の表面に用いた表面処理材の質量割合で示される。)は、0.01〜99質量%の範囲内であることが好ましい。表面処理材の被覆量が0.01質量%以上であれば、表面処理による分散性や安定性の向上効果を十分に得ることができる。また、被覆量が99質量%以下であれば、高屈折率の平滑化層の屈折率を高く維持することができる。
その他、高屈折粒子としては、国際公開第2009/014707号や米国特許第6608439号明細書等に記載の量子ドットも好適に用いることができる。
また、平滑化層は、屈折率が1.7〜2.0の範囲内である高屈折率層であることが好ましい。平滑化層の屈折率が1.7以上であれば、有機機能層や透明電極中に導波モードの光が閉じ込められることなく、樹脂基板側へ光を導くことができる。また、平滑化層の屈折率が2.0以下であれば、平滑化層の膜強度を高く維持することができる。
平滑化層は、屈折率が1.7〜2.0の範囲内である単独の素材で層形成してもよいし、2種類以上の化合物を混合して層形成してもよい。このような混合系の場合、平滑化層の屈折率は、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率でも代用可能である。また、この場合、各々の素材の屈折率は、1.7未満若しくは2.0より大きくてもよく、混合して形成された平滑化層の屈折率が1.7〜2.0の範囲内となっていればよい。
平滑化層は、この上に第1電極を良好に形成させる平坦性を有することが重要である。その平坦性は、表面粗さRaが100nm未満、好ましくは30nm未満、より好ましくは10nm未満、最も好ましくは5nm未満である。
なお、本発明において、表面粗さRaとは、算術平均粗さのことであり、JIS B 0601で規定される表面粗さである。表面粗さRaは、SII社製のAFM(原子間力顕微鏡)SPI3800N DFMを用いて測定した。1回の測定範囲は10μm×10μmとし、測定箇所を変えて3回の測定を行い、それぞれの測定で得られたRaの値を平均したものを測定値とした。
平滑化層の機能としては、光散乱層の表面を平滑にして第1電極に凹凸ができるのを防ぎ、電極が短絡、いわゆるショートが起きて発光層が光らなくなることを防止することである。もう一つは、光散乱層は散乱の機能を主体としているのに対し、平滑化層は発光した光を界面で反射させずに通過させることを主体とする。このように、両者で機能を分けることで素子構成の自由度を大きくすることができ、これにより有機EL素子の信頼性をより向上させることができる。
(2)平滑化層の作製方法
本発明の平滑化層の作製方法は、主に、
(i)高屈折率のナノゾル粒子と、バインダーと、有機溶媒とを含有し、かつ粘度が3〜30mPa・sの範囲内である塗布液を調製する工程と、
(ii)塗布液をインクジェット塗布法により塗布する工程と、
(iii)塗布後の塗布液に、波長制御赤外線を照射して乾燥する工程と、
(iv)乾燥後の塗布液に、エキシマ光を照射して硬化する工程と、
を有している。
以下、各工程について説明する。
(i)塗布液調整工程
塗布液調整工程では、粘度が3〜30mPa・sの範囲内となるように、塗布液が調製される。
より具体的には、高屈折率のナノゾル粒子、バインダーに加えて、有機溶媒を含有させることで、塗布液の粘度を調整する。
塗布液の粘度は、3〜30mPa・sの範囲内に調製されるが、塗布液の粘度が3mPa・sより小さい場合には、インクジェット塗布を行う場合にヘッドのノズルで塗布液を保持できずに流れ出してしまい、正確に射出しなくなる。塗布液の粘度が30mPa・sより大きい場合には、塗布液の流動性が小さくなるために、インクジェットノズルからの塗布液の出射性が低下してしまい、最悪の場合塗布液が出射できなくなる。
塗布液の粘度としては、好ましくは4〜25mPa・sの範囲内であり、より好ましくは5〜15mPa・sの範囲内である。
なお、本発明において、粘度は円錐平板型回転粘度計を用いて25℃で測定した値を使用した。
平滑化層用塗布液に使用される有機溶媒としては、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1−オクタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2,2′−(n−ブチル)イミノジエタノール、2−オクタノール、2−ジブチルアミノエタノール、2−ピロリドン、2−フェノキシエタノール、2−ブタノール、2−プロパノール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール(PD)、2−メチルシクロヘキサノン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3,4−ジメチルシクロヘキサノン、イソホロン、4−メチルシクロヘキサノン、n−ウンデシルアルコール、n−ノニルアルコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルアミノエタノール、テトラエチレングリコール、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリデシルアルコール、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、モノアセチン、2−アミノエタノール、シクロヘキサノール、テトラヒドロフルフリルアルコール(THFA)、2−(イソプロピルアミノ)エタノール等が挙げられる。
これらの有機溶媒は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
また、本発明においては、有機溶媒の粘度が5〜100mPa・sの範囲内であることが好ましい。有機溶媒の粘度が5mPa・s以上であれば、塗布液の粘度を調整することができるようになる。有機溶媒の粘度が100mPa・s以下であれば、平滑化層のバインダー(樹脂)やナノゾル粒子との混和性を確保でき、均一な塗布液にすることができるため、インクジェット方式における出射性を良好に保つことができる。
さらに、有機溶媒の蒸気圧が1.0〜1000Paの範囲内であることが好ましい。有機溶媒の蒸気圧が1.0Pa以上であれば、波長制御赤外線ヒーターを用いて乾燥することができ、残留溶媒を低減させることが可能となる。有機溶媒の蒸気圧が1000Pa以下であれば、平滑化層用塗布液の乾燥速度が抑制され、インクジェットノズル部分での乾燥によるノズルの詰まりが改善される。
また、蒸気圧を測定するための手段としては、静止法、沸点法、アイソテニスコープ、気体流通法、DSC法等の様々な手法があり、試料の性状や試料量、蒸気圧の大きさによって適用する手法が異なってくる。本発明においては、適用範囲が最も広い「静止法」を用いて25℃における溶媒蒸気圧の測定を行った。静止法とは、温度を一定にしてその温度における平衡蒸気圧を圧力計を用いて直接測定する方法である。
平滑化層用塗布液に使用される、好ましい粘度、蒸気圧を有する有機溶媒としては、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1−オクタノール、1−ブタノール、1−プロパノール、1−ペンタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2,2′−(n−ブチル)イミノジエタノール、2−オクタノール、2−ジブチルアミノエタノール、2−ピロリドン、2−フェノキシエタノール、2−ブタノール、2−プロパノール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール(PD)、2−メチルシクロヘキサノン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3,4−ジメチルシクロヘキサノン、イソホロン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、4−メチルシクロヘキサノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ウンデシルアルコール、n−ノニルアルコール、γ−ブチロラクトン、エチレングリコール、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸ブチル、ジエタノールアミン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルアミノメタノール、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド、トリデシルアルコール、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ベンジルアルコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、モノアセチン、2−アミノエタノール、シクロヘキサノール、テトラヒドロフルフリルアルコール(THFA)、2−(イソプロピルアミノ)エタノール等が挙げられる。
これらの有機溶媒は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。また、これら以外の溶媒でも、2種類以上を混合することで粘度、蒸気圧の条件を満たすのであれば、その組み合わせも使用することができる。
上記のような有機溶媒を塗布液に添加することにより、塗布液の乾燥が抑制され、塗布液の物性変動が小さくなり、インクジェット塗布法特有の飛翔速度低下、及び乾燥による粘度上昇での出射不良を改善することができ、歩留まりを向上させることが可能となる。
なお、上記粘度又は蒸気圧を満たす有機溶媒は、1種の有機溶媒から構成されていてもよいし、2種以上の有機溶媒から構成されていてもよい。例えば、粘度又は蒸気圧が上記範囲内ではない2種の有機溶媒を混合して、混合された有機溶媒での粘度又は蒸気圧が上記範囲内となるように調製してもよいし、粘度が上記範囲内である有機溶媒と蒸気圧が上記範囲内である有機溶媒とを混合して、粘度及び蒸気圧の両条件を満たすように調製してもよい。
(ii)インクジェット塗布法による塗布工程
平滑化層用塗布液の塗布方法としては、インクジェット塗布法を用いて塗布することを特徴とする。
インクジェット塗布法で用いられるインクジェットヘッドとしては、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でもよい。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)、放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いてもよい。また、印字方式としては、シリアルヘッド方式、ラインヘッド方式等を制限なく用いることができる。
(iii)乾燥工程
乾燥工程では、赤外線を吸収する波長制御赤外線ヒーターを用いて、塗布後の塗布液に対し、赤外線を照射して塗布液を乾燥させる。
赤外線として、中心波長が1〜3.5μmの領域に存在し、かつ全出力の積算値の70%以上がその領域に存在する赤外線を照射する。
なお、赤外線の「中心波長が1〜3.5μmの領域に存在する」とは、フィラメント温度が450〜2600℃の範囲内にあることをいい、かかる温度範囲はウィーンの変位則によって導き出される。
乾燥処理の条件としては、特に制限はないが、赤外線フィラメント及び波長制御フィルターの表面温度により、照射時間を調節することができる。例えば、フィラメント温度が450〜2600℃(好ましくは600〜1200℃)の範囲内で、波長制御フィルター表面温度が200℃未満(好ましくは150℃未満)で、照射時間が10秒〜30分の範囲内で乾燥処理をすることができる。これにより、層厚分布の高い均一性、高いパターニング精度を有する平滑化層を得ることができる。
(iv)硬化工程
硬化工程では、150〜230nmの範囲内の波長のエキシマ光を照射することにより、乾燥させた平滑化層を硬化させる。
硬化に使用される光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマランプ(波長177nm又は波長222nm)等が挙げられるが、中でもエキシマランプ(波長222nm)であることが好ましい。
また、その露光量は、好ましくは100〜10000mJの範囲内、より好ましくは300〜8000mJの範囲内、特に好ましくは400〜6000mJの範囲内である。露光量が100mJ以上であれば塗膜を効果的に硬化させることができ、露光量が10000mJ以下であれば、塗膜表面の有機物を破壊せず、屈折率が低下するのを防止することができる。
このような照射装置の一例として、100〜230nmの範囲内の真空紫外線を発する希ガスエキシマランプが挙げられる。
Xe、Kr、Ar、Ne等の希ガス原子は、化学的に結合して分子を作らないため、不活性ガスと呼ばれる。しかし、放電等によりエネルギーを得た希ガス原子(励起原子)は、他の原子と結合して分子を作ることができる。
例えば、Xe(キセノン)の場合、下記反応式で示されるように、励起されたエキシマ分子であるXe が基底状態に遷移するときに、波長172nmのエキシマ光を発光する。
e+Xe→Xe
Xe+2Xe→Xe +Xe
Xe →Xe+Xe+hν(172nm)
エキシマランプの特徴としては、放射が一つの波長に集中し、必要な光以外がほとんど放射されないので、光の発生効率が高いことが挙げられる。これにより、低い電力の投入で点灯させることが可能である。また、温度上昇の要因となる波長の長い光は発せず、紫外線領域の単一波長でエネルギーを照射するため、対象物の温度を比較的低く保つことができる。さらには、始動・再始動に時間を要さないので、瞬時の点灯点滅が可能である。
エキシマ光を効率よく照射する光源としては、誘電体バリアー放電ランプが挙げられる。
誘電体バリアー放電ランプの構成としては、電極間に誘電体を介して放電を起こすものであり、一般的には、誘電体からなる放電容器とその外部とに少なくとも一方の電極が配置されていればよい。誘電体バリアー放電ランプとして、例えば、石英ガラスで構成された太い管と細い管とからなる二重円筒状の放電容器中にXe等の希ガスが封入され、該放電容器の外部に網状の第1の電極を設け、内管の内側に他の電極を設けたものがある。誘電体バリアー放電ランプは、電極間に高周波電圧等を加えることによって放電容器内部に誘電体バリアー放電を発生させ、該放電により生成されたXe等のエキシマ分子が解離する際にエキシマ光を発生させる。
<光散乱層(22)>
(1)光散乱層の構成及び特性
光散乱層は、バインダー中に光散乱粒子を分散させた構造を有する。該バインダーは種々の素材が適用できるが、有機ポリマー構造及びポリシロキサン構造を有する有機無機ハイブリッドポリマーであることが好ましい。
光散乱粒子が入っていない状態の有機無機ハイブリッドポリマーの屈折率は1.5程度であるが、光散乱粒子を適量分散させることで、光散乱層の屈折率を1.5以上とすることができる。また、光散乱粒子がほぼ透明であれば、光散乱粒子で光はほとんど吸収されないので、光取り出し効率を低下させることがない。また、光散乱粒子として、光が散乱する大きさのものを用いれば、導波モードの光の散乱効果が得られ、より多くの光を取り出すことができる。
光散乱層の屈折率は、平滑化層同様に、1.7〜2.0の範囲内である高屈折率層であることが好ましい。
混合物で形成する際の屈折率の考え方は、上記平滑化層の場合と同様である。
(1.1)バインダー
本発明に係る光散乱層のバインダーの例を以下に示す。
(1.1.1)有機ポリマー構造
有機無機ハイブリッドポリマーの有機ポリマー構造としては、公知のポリマーを特に制限なく使用可能であり、例えば、アルキル基、アリール基、アラアルキル基、シクロアルキル基、アミノ基、イミノ基、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、ジアゾ基、アジ基、カルボニル基、フェニル基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、アシル基、アセチル基、アルデヒド基、カルボキシ基、アミド基、イミド基、エステル基、オキシム基、チオール基、スルホ基、ウレア基、イソニトリル基、アレン基、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、オキセタン基、イソシアネート基、の構造を有するポリマー、不飽和ポリエステル(テレフタル酸系、オルトフタル酸系、イソフタル酸系、ビスフェノール系、ジシクロ系、含ハロゲン酸系、含ハロゲンビスフェノール系等)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ナイロン(Ny)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等の骨格を有するポリマー等を用いることができる。
また、親水性ポリマーを用いることも可能であり、そのような親水性ポリマーとしては、水溶性ポリマー、水分散性ポリマー、コロイド分散性ポリマー又はそれらの混合物が挙げられる。これらのポリマーとしては、アクリル系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、フッ素系等のポリマーが挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、カゼイン、デンプン、寒天、カラギーナン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、セルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール等のポリマー成分を挙げることができる。
これらのポリマーは、単独で用いてもよいし、2種類以上を有していてもよい。
(1.1.2)ポリシロキサン構造
ポリシロキサン構造としては、例えば、Si−O−Si結合を有するポリシロキサン(ポリシルセスキオキサンを含む)を挙げることができる。
ポリシロキサンとしては、具体的には、一般構造単位としての〔RSiO1/2〕、〔RSiO〕、〔RSiO3/2〕及び〔SiO〕を含むことができる。ここで、Rは、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、アリール基(例えば、フェニル基等)、不飽和アルキル基(例えば、ビニル基等)からなる群より独立して選択される。特定のポリシロキサン構造の例としては、〔PhSiO3/2〕、〔MeSiO3/2〕、〔HSiO3/2〕、〔MePhSiO〕、〔PhSiO〕、〔PhViSiO〕、〔ViSiO3/2〕(Viはビニル基を表す。)、〔MeHSiO〕、〔MeViSiO〕、〔MeSiO〕、〔MeSiO1/2〕等が挙げられる。また、ポリシロキサンの混合物やコポリマーも使用可能である。
(1.2)光散乱粒子
光散乱層に含有される光散乱粒子は、可視光域のMie散乱を生じさせる領域以上の平均粒径を有する透明な粒子であることが好ましく、その平均粒径の下限としては0.2μm以上であることが好ましい。
一方、平均粒径の上限としては、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に制限されるものではない。
なお、本発明における平均粒径は、例えば、日機装社製ナノトラックUPA−EX150といった動的光散乱法を利用した装置や、電子顕微鏡写真の画像処理により測定することができる。
光散乱粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、有機微粒子であっても、無機微粒子であってもよいが、中でも高屈折率を有する無機微粒子であることが好ましい。
高屈折率を有する有機微粒子としては、例えば、ポリメチルメタクリレートビーズ、アクリル−スチレン共重合体ビーズ、メラミンビーズ、ポリカーボネートビーズ、スチレンビーズ、架橋ポリスチレンビーズ、ポリ塩化ビニルビーズ、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒドビーズ等が挙げられる。
高屈折率を有する無機微粒子としては、例えば、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、インジウム、亜鉛、スズ、アンチモン等の中から選ばれる少なくとも一つの酸化物からなる無機酸化物粒子が挙げられる。無機酸化物粒子としては、具体的には、ZrO、TiO、BaTiO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、ITO、SiO、ZrSiO、ゼオライト等が挙げられ、中でも、TiO、BaTiO、ZrO、ZnO、SnOが好ましく、TiOが最も好ましい。また、TiOの中でも、アナターゼ型よりルチル型であることが、触媒活性が低いため光散乱層や隣接する層の耐候性が高くなり、更に屈折率が高いことから好ましい。
また、これらの光散乱粒子は、バインダー中に分散させた際の分散液の分散性や安定性向上の観点から、粒子表面に表面処理を施してもよい。
表面処理材としては、例えば、酸化ケイ素や酸化ジルコニウム等の異種無機酸化物、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、オルガノシロキサン、ステアリン酸等の有機酸等が挙げられる。これら表面処理材は、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。中でも、分散液の安定性の観点から、表面処理材としては、異種無機酸化物及び/又は金属水酸化物が好ましく、金属水酸化物がより好ましい。
無機酸化物粒子が、表面処理材で表面被覆処理されている場合、その被覆量(一般的に、この被覆量は、粒子の質量に対する当該粒子の表面に用いた表面処理材の質量割合で示される。)は、0.01〜99質量%の範囲内であることが好ましい。表面処理材の被覆量が0.01質量%以上であれば、表面処理による分散性や安定性の向上効果を十分に得ることができる。また、被覆量が99質量%以下であれば、高屈折率の光散乱層の屈折率を高く維持することができる。
その他、光散乱粒子としては、国際公開第2009/014707号や米国特許第6608439号明細書等に記載の量子ドットも好適に用いることができる。
光散乱粒子は、その屈折率が1.7以上であることが好ましく、1.85以上であることがより好ましく、2.0以上であることが特に好ましい。屈折率が1.7以上であれば、バインダーに対して十分な屈折率差が得られ、光の散乱量を減少させることなく、光取り出し効率の向上効果を得ることができる。
一方で、光散乱粒子の屈折率の上限は3.0未満であることが好ましい。屈折率が3.0未満であれば、層中での多重散乱を抑え、透明性を低下させることがない。
光散乱粒子は、実際には、多分散粒子であることや規則的に配置することが難しいことから、局部的には回折効果を有するものの、多くは拡散により光の方向を変化させ光取り出し効率を向上させる。
(2)光散乱層の作製方法
本発明に係る光散乱層の作製方法は、主に、
(i)樹脂基板上に、バインダー中に光散乱粒子を分散した塗布液を塗布し、光散乱層を形成する工程と、
(ii)光散乱層に対し、100〜280℃の範囲内で加熱する工程、又は150〜230nmの範囲内の波長のエキシマ光を照射する工程と、
を有しているが、特にこれに限定されるものではない。
以下、各工程について説明する。
(i)光散乱層を形成する工程
光散乱層は、媒体となるバインダー中に光散乱粒子を分散した塗布液を、樹脂基板上に塗布することで形成する。
塗布液の塗布方法としては、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法等の各種印刷方法に加えて、ロールコート法、バーコート法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法等の各種塗布法を用いることができる。
(ii−1)光散乱層を乾燥する工程
本発明に係る光散乱層は、乾燥後に硬化させるのが好ましい。光散乱層の乾燥に用いられる乾燥装置としては、一般に使用されているものが使用でき、例えば、接触式のホットプレート、非接触式のIRヒーター等が挙げられる。これらの装置は、塗布膜を加熱できるものであれば使用に際して特に制限無く用いることができる。
(ii−2)光散乱層を硬化する工程
本発明に係る光散乱層は、上記乾燥工程に代えて、上述した150〜230nmの範囲内の波長のエキシマ光を照射することにより、硬化させることが好ましい。
≪第2電極(50)≫
第2電極には、陰極としての役割と、光を樹脂基板側に反射させるミラーとしての役割とがある。
第2電極の構成材料としては、例えば、アルミニウム、銀、ニッケル、チタン、ナトリウム、カルシウム等の反射率が60%以上の金属材料や、それらのいずれかを含む合金等を用いることができる。
≪有機機能層(40)≫
有機機能層は、発光層を含む、有機化合物又は錯体からなる単層又は複数層であり、例えば、陽極(第1電極)と接する正孔輸送層、発光材料で形成された発光層、陰極(第2電極)と接する電子輸送層等からなり、数nm〜数百nmの厚さを有している。また、フッ化リチウム層や無機金属塩の層あるいはそれらを含有する層等が、任意の位置に形成されていてもよい。発光層は、少なくとも1種の発光材料からなり、発光材料としては蛍光発光性化合物又はリン光発光性化合物等を用いることができる。
有機機能層の構成としては、上述の構成も含めて、例えば、以下の(i)〜(v)の構成等を採用できる。
(i)(陽極)/発光層/電子輸送層/(陰極)
(ii)(陽極)/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/(陰極)
(iii)(陽極)/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/(陰極)
(iv)(陽極)/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/(陰極)(v)(陽極)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/(陰極)
また、有機機能層を2セット分スタックした構成や、3セット分スタックした構成も採用することができる。このような構成とすることにより、より効率よく発光させることが可能となる。
正孔輸送層は、正孔を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は、単層又は複数層設けることができる。
電子輸送層は、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は、単層又は複数層設けることができる。
正孔阻止層は、広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで、電子と正孔との再結合確率を向上させることができる。
正孔注入層及び電子注入層は、駆動電圧低下や発光輝度向上のために、電極と発光層間に設けられる層のことである。
≪第1電極(30)≫
第1電極は、第2電極の反対電極であり、その構成材料としては、例えば、CuI、ITO、SnO、ZnO、インジウムジンクオキシド(IZO)等の透過率が40%以上の導電性透明材料を用いることができる。
(銀を主成分とした透明電極)
本発明においては、第1電極を銀又は銀を主成分とする合金を含む透明電極としてもよい。
なお、主成分とは、第1電極を構成する成分のうち、構成比率が最も高い成分をいう。その構成比率としては、60質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、98質量%以上であることが特に好ましい。また、透明電極の透明とは、波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいう。
第1電極は、銀又は銀を主成分とした合金の層が、必要に応じて複数の層に分けて積層された構成であってもよい。
さらに、第1電極は、厚さが4〜9nmの範囲内にあることが好ましい。厚さが9nmより薄い場合には、層の吸収成分又は反射成分が少なく、透明電極の透過率が大きくなる。また、厚さが4nmより厚い場合には、層の導電性を十分に確保することができる。
第1電極を構成する銀(Ag)を主成分とする合金としては、例えば、銀マグネシウム(AgMg)、銀銅(AgCu)、銀パラジウム(AgPd)、銀パラジウム銅(AgPdCu)、銀インジウム(AgIn)等が挙げられる。
このような第1電極の作製方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法等のウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法等)、スパッタ法、CVD法等のドライプロセスを用いる方法等が挙げられる。中でも、蒸着法が好ましく適用される。
≪樹脂基板(10)≫
樹脂基板は、有機EL素子全体を保持するとともに、光を透過するものである。
樹脂基板としては、例えば、0.05〜1mmの範囲内の厚さを有する樹脂等の透明材料を用いることができる。本発明においては、樹脂素材の基板が好適に用いられる。基板として、樹脂フィルム等のフレキシブルなフィルム状の材料を用いれば、連続生産が可能となり、生産量を飛躍的に向上させることができ、ガラスと異なり柔軟性があるため割れることがなく、製品形態時において面光源を湾曲させることができ、種々の方向に向かって発光させることができるため従来にない光源を創造することができ、更には重量も軽いため使用範囲が大きく広がる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)あるいはアペル(商品名三井化学社製)等のシクロオレフィン系樹脂等を用いることができる。
フレキシブル性を備えた樹脂基板としては、その引っ張り強度が20〜80kg/mmの範囲内であり、基板表面に平行な任意の方向での弾性率が1000〜2500kg/mmの範囲内であり、基板表面に平行な任意の方向での破壊伸度が5%以上であるものが好ましい。
基板の表面には、無機物、有機物又はそれらのハイブリッドによる被膜が形成されていてもよい。このような被膜としては、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下のガスバリアー性フィルムであるもの、更には、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−3ml/(m・24h・atm)以下、及び水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下の高ガスバリアー性フィルムであるものが好適である。
ガスバリアー性の被膜を形成する材料としては、素子を劣化させる水分や酸素等の浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等を用いることができる。さらに、被膜の脆弱性を改良させるために、被膜に積層構造を持たせることがより好ましい。積層構造は、例えば、無機層と有機層とを交互に複数回積層することにより形成することができる。
ガスバリアー性の被膜を形成する方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等が挙げられる。
樹脂基板の屈折率は、1.5前後である。
≪その他の構成≫
樹脂基板から空気中に効率よく光を取り出すため、樹脂基板上に、既知のレンズシートやプリズムシート等を設けることもできる。
≪有機EL素子の使用方法≫
有機EL素子は、上記のように、樹脂基板上に、第1電極と有機機能層と第2電極とが積層され構成されている。当該有機EL素子においては、一方の端部で第1電極の一部を露出させ、他方の端部で第2電極の一部を露出させて電極部を形成し、この電極部を電源部(不図示)の各々の電源配線(不図示)に接続して、有機機能層に所定の直流電圧を印加することで、発光させることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
[実施例1]
≪有機EL素子の作製≫
(1)有機EL素子101の作製
(1.1)樹脂基板の準備
基板として、60mm×80mm×0.125mmの透明なPEN基板に特開2012−116101号公報の実施例1を参照にして、ガスバリアー層を形成した。
具体的には、両面に易接着加工された幅500mm、厚さ125μmのポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、極低熱収PEN Q83)の片面に、JSR株式会社製 UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材OPSTAR Z7535を、塗布・乾燥後の層厚が4μmになるように塗布した後、硬化条件;1.0J/cm、空気雰囲気下、高圧水銀ランプ使用、乾燥条件;80℃、3分で硬化を行い、ブリードアウト防止層を形成した。
続けて、上記樹脂基板の反対面に、JSR株式会社製 UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材OPSTAR Z7501を、塗布・乾燥後の層厚が4μmになるように塗布した後、乾燥条件;80℃、3分で乾燥後、空気雰囲気下、高圧水銀ランプ使用、硬化条件;1.0J/cmで硬化を行い、平坦層を形成した。
得られた平坦層の最大断面高さRt(p)は、JIS B 0601で規定される表面粗さで、16nmであった。
なお、表面粗さは、SII社製のAFM(原子間力顕微鏡)SPI3800N DFMを用いて測定した。1回の測定範囲は10μm×10μmとし、測定箇所を変えて3回の測定を行い、それぞれの測定で得られたRtの値を平均したものを測定値とした。
上記のように作製した樹脂基板の厚さは、133μmであった。
次いで、樹脂基板の平坦層表面に、無機前駆体化合物を含有する塗布液を、減圧押し出し方式のコーターを用いて、乾燥層厚が150nmとなるように、1層目のガスバリアー層を塗布した。
無機前駆体化合物を含有する塗布液は、無触媒のパーヒドロポリシラザン20質量%ジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製アクアミカ NN120−20)とアミン触媒を固形分の5質量%含有するパーヒドロポリシラザン20質量%ジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製アクアミカ NAX120−20)とを混合して用い、アミン触媒を固形分の1質量%に調整した後、更に、ジブチルエーテルで希釈することにより5質量%ジブチルエーテル溶液として作製した。
塗布後、乾燥温度80℃、乾燥時間300秒、乾燥雰囲気の露点5℃の条件下で乾燥させた。
乾燥後、樹脂基板を25℃まで徐冷し、真空紫外線照射装置内で、塗布面に真空紫外線照射による改質処理を行った。真空紫外線照射装置の光源としては、172nmの真空紫外線を照射する二重管構造を有するXeエキシマランプを用いた。
<改質処理装置>
株式会社エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL:MECL−M−1−200、波長172nm、ランプ封入ガス Xe
<改質処理条件>
エキシマ光強度 3J/cm(172nm)
ステージ加熱温度 100℃
照射装置内の酸素濃度 1000ppm
改質処理後、ガスバリアー層を形成した基板を、上記と同様にして乾燥させ、更に、同条件にて2回目の改質処理を行い、乾燥層厚150nmのガスバリアー層を形成した。
次いで、1層目のガスバリアー層と同様にして、1層目のガスバリアー層上に2層目のガスバリアー層を形成し、ガスバリアー性を有するPEN基板(フィルム)を作製した。
上記のガスバリアー層付PENフィルムを60mm×80mmに断裁し、テフロン(登録商標)枠に固定(張力100N/m相当)し、以下の操作を行った。
(1.2)第1電極の作製
上記PEN基板を、市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、下記化合物10をタンタル製抵抗加熱ボートに入れ、これらの基板ホルダーと加熱ボートとを真空蒸着装置の第1真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、第2真空槽内に取り付けた。
Figure 2015012093
この状態で、まず、第1真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、化合物10の入った加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲内で基板上に層厚25nmの化合物10からなる下地層を設けた。
次いで、下地層まで形成した基板を真空のまま第2真空槽に移し、第2真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、銀の入った加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲内で、基板(下地層)上に層厚8nmの銀からなる電極層を形成し、下地層と電極層との積層構造からなる第1電極を作製した。
(1.3)有機機能層の作製
第1電極が形成された樹脂基板を、中央部に幅30mm×30mmの開口部があるマスクと重ねて市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。また、真空蒸着装置内の加熱ボートの各々に、有機機能層を構成する各材料を、それぞれの層の形成に最適な量で充填した。
なお、加熱ボートはタングステン製抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
次いで、真空蒸着装置の蒸着室内を真空度4×10−4Paまで減圧し、各材料が入った加熱ボートを順次通電して加熱することにより、以下のように各層を形成した。
まず、正孔輸送注入材料として、下記構造式に示すα−NPDが入った加熱ボートに通電して加熱し、α−NPDよりなる正孔注入層と正孔輸送層とを兼ねた正孔輸送注入層を、第1電極を構成する電極層上に形成した。この際、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒、層厚140nmとした。
Figure 2015012093
次に、下記構造式に示すホスト材料H4の入った加熱ボートと、下記構造式に示すリン光発光性化合物Ir−4の入った加熱ボートとを、それぞれ独立に通電し、ホスト材料H4とリン光発光性化合物Ir−4とよりなる発光層を、正孔輸送注入層上に形成した。この際、蒸着速度がホスト材料H4:リン光発光性化合物Ir−4=100:6となるように、加熱ボートの通電を調節した。また、層厚30nmとした。
Figure 2015012093
次いで、正孔阻止材料として下記構造式に示すBAlqが入った加熱ボートに通電して加熱し、BAlqよりなる正孔阻止層を、発光層上に形成した。この際、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒、層厚10nmとした。
Figure 2015012093
その後、電子輸送材料としてトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)の入った加熱ボートと、フッ化カリウムの入った加熱ボートとを、それぞれ独立に通電し、Alqとフッ化カリウムとよりなる電子輸送層を、正孔阻止層上に形成した。この際、蒸着速度がAlq:フッ化カリウム=75:25になるように、加熱ボートの通電を調節した。また、層厚30nmとした。
次に、電子注入材料としてフッ化カリウムの入った加熱ボートに通電して加熱し、フッ化カリウムよりなる電子注入層を、電子輸送層上に形成した。この際、蒸着速度0.01〜0.02nm/秒、層厚1nmとした。
(1.4)第2電極の作製及び封止
その後、電子注入層まで形成した樹脂基板を、アルミニウム(Al)を入れたタングステン製の抵抗加熱ボートが取り付けられた第2真空槽へ真空状態を保持したまま移送した。アノードと直行するように配置された幅20mm×50mmの開口部があるマスクと重ねて固定した。次いで、処理室内において、成膜速度0.3〜0.5nm/秒で、膜厚100nmのAlからなる反射性の第2電極をカソードとして成膜し、有機EL素子101を作製した。
その後、有機EL素子101の第2電極側を厚さ300μmのエポキシ樹脂で覆い、更に厚さ12μmのアルミニウム箔で覆った後、硬化させ、封止した。封止は、有機EL素子101を大気に接触させることなく、窒素雰囲気下のグローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)内で行った。
(2)有機EL素子102の作製
有機EL素子101の作製において、基板と第1電極との間に、下記のようにして光散乱層、平滑化層を形成した以外は同様にして、有機EL素子102を作製した。
(2.1)光散乱層の作製
屈折率2.4、平均粒径0.25μmのTiO粒子(テイカ(株)製 JR600A)と樹脂溶液(APM社製 ED230AL(有機無機ハイブリッド樹脂))との固形分比率が70体積%/30体積%、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)中での固形分濃度が15質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した。
具体的には、上記TiO粒子と溶媒とを混合し、常温で冷却しながら、超音波分散機(エスエムテー社製 UH−50)に、マイクロチップステップ(エスエムテー社製 MS−3 3mmφ)の標準条件で10分間分散を加え、TiOの分散液を作製した。
次いで、TiO分散液を100rpmで撹拌しながら、樹脂を少量ずつ混合添加し、添加完了後、500rpmまで撹拌速度を上げ、10分間混合した後、疎水性PVDF 0.45μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、目的の光散乱層用塗布液を得た。
上記塗布液をインクジェット塗布法にてPEN基板上に塗布した後、簡易乾燥(80℃、2分)し、更に、後述する波長制御IRで基板温度80℃未満の出力条件で5分間乾燥処理を実行した。
次いで、下記改質処理条件にて硬化反応を促進し、層厚0.3μmの光散乱層を得た。
<改質処理装置>
株式会社エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL:MEIRH−M−1−200−222−H−KM−G、波長222nm、ランプ封入ガス KrCl
<改質処理条件>
エキシマ光強度 2J/cm(222nm)
ステージ加熱温度 60℃
照射装置内の酸素濃度 大気
(2.1)平滑化層の作製
次いで、平滑化層用塗布液として、高屈折率UV硬化型樹脂(東洋インキ(株)社製、リオデュラスTYT90−01、ナノゾル粒子:TiO)を、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)と2−メチル−2,4−ペンタンジオール(PD)との溶媒比が90質量%/10質量%である有機溶媒中での固形分濃度が12質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した。
具体的には、上記高屈折率UV硬化型樹脂と溶媒を混合し、500rpmで1分間混合した後、疎水性PVDF 0.45μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、目的の平滑化層用塗布液を得た。
上記塗布液をインクジェット塗布法にて光散乱層上に塗布した後、簡易乾燥(80℃、2分)し、更に波長制御IRで基板温度80℃未満の出力条件で5分間乾燥処理を実行した。
乾燥処理は、波長制御赤外線ヒーターによる輻射伝熱乾燥(IR照射装置(アルティメットヒーター/カーボン,明々工業株式会社製)に、波長3.5μm以上の赤外線を吸収する石英ガラス板2枚を取り付け、ガラス板間に冷却空気を流す)により行った。
この際、冷却風は200L/minとし、管面石英ガラス温度は120℃未満に抑えた。基板温度は、K熱電対を、基板上下面及び基板上空5mm部分にそれぞれ配置し、NR2000(キーエンス社製)に接続して測定した。
次いで、下記改質処理条件にて硬化反応を促進し、層厚0.7μmの平滑化層を形成し、光散乱層及び平滑化層の2層構造からなる光取り出し層を作製した。
<改質処理装置>
株式会社エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL:MEIRH−M−1−200−222−H−KM−G、波長222nm、ランプ封入ガス KrCl
<改質処理条件>
エキシマ光強度 2J/cm(222nm)
ステージ加熱温度 60℃
照射装置内の酸素濃度 大気
なお、平滑化層単層での屈折率は、1.89であった。
上記のようにして作製した光取り出し層の透過率Tは67%、ヘイズ値Hzは50%であった。なお、ヘイズ値は、光散乱層上に平滑化層を積層した光取り出し層としてのヘイズ値である。
また、D542に基づきソプラ社のエリプソメーターを用いて、光取り出し層全体の波長550nmにおける屈折率を測定したところ、1.88であった。
(3)有機EL素子103の作製
有機EL素子102の作製において、平滑化層用塗布液の有機溶媒として、プロピレングリコールモノメチルエーテルと2−メチル−2,4−ペンタンジオールとの溶媒比が70質量%/30質量%である有機溶媒を用い、固形分濃度が12質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した以外は同様にして、有機EL素子103を作製した。
(4)有機EL素子104の作製
有機EL素子102の作製において、平滑化層用塗布液の有機溶媒として、プロピレングリコールモノメチルエーテルと2−メチル−2,4−ペンタンジオールとの溶媒比が30質量%/70質量%である有機溶媒を用い、固形分濃度が12質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した以外は同様にして、有機EL素子104を作製した。
(5)有機EL素子105の作製
有機EL素子102の作製において、平滑化層用塗布液の有機溶媒を2−メチル−2,4−ペンタンジオールのみとし、固形分濃度が12質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した以外は同様にして、有機EL素子105を作製した。
(6)有機EL素子106の作製
有機EL素子102の作製において、平滑化層用塗布液の有機溶媒を1,3−ブタンジオールのみとし、固形分濃度が12質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した以外は同様にして、有機EL素子106を作製した。
(7)有機EL素子107の作製
有機EL素子102の作製において、平滑化層用塗布液の有機溶媒を1,5−ペンタンジオールのみとし、固形分濃度が12質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した以外は同様にして、有機EL素子107を作製した。
≪有機EL素子の評価≫
(1)吐出安定性
インクジェットヘッド(コニカミノルタ社製「KM512L」)を搭載したインクジェット描画装置を用いて、インクジェット塗布法により、上記作製された基板上に、上記調製された平滑化層用塗布液を吐出して、3cm×3cmのパターンを連続して印字した。
インクジェット塗布法の描画条件は、印加電圧調整により液適量を40.0ngとし、解像度を360dpi×450dpiとし、パターン膜ごとにシングルパス印字とした。
連続して100パターンまで印字を行い、光学顕微鏡(100倍)により、着弾したインクを観察し、全ノズル(512本)中において、ノズル欠及びノズル曲がり(着弾位置ずれ)が発生したノズルの数を下記の評価基準に従って評価した。
評価結果を表1に示す。なお、評価基準3のものを合格とした。
〔評価基準〕
3:ノズル欠、ノズル曲がりの発生なし。
2:ノズル欠の発生はないが、ノズル曲がりの発生あり。
1:ノズル欠の発生あり。
(2)濃度ムラ
4cm×8cmのPENフィルムを超音波洗浄機にて洗剤洗浄、純水洗浄後、UV−オゾン洗浄機を用いて、低圧水銀灯(UV波長254nm、185nm)で30mmの距離から照度2mW/cmで10分間UV照射して処理を行い、基板を得た。
インクジェットヘッド(コニカミノルタ社製「KM512L」)を搭載したインクジェット描画装置を用いて、インクジェット塗布法により、上記作製された基板上に、上記調製された平滑化層用塗布液を吐出して、評価パターン(3cm×3cm、Wet膜厚10μm)を形成した。
インクジェット塗布法の描画条件は、印加電圧調整により液適量を40.0ngとし、解像度を360dpi×450dpiとし、パターン膜ごとにシングルパス印字とした。また、基板の温度は、印字時においては25℃に保持された。インクジェットで印字後すぐに日本ガイシ社製の波長制御IRヒーターにより出力100%(2kW)で10分間乾燥させた。
PENフィルムに記録されたパターンに対して、下記の評価基準に従って濃度ムラを目視で評価した。
評価結果を表1に示す。なお、評価基準3のものを合格とした。
〔評価基準〕
3:目視で濃度ムラが確認されず、高い均質感を有している。
2:インクジェットヘッドの走査方向と平行に僅かにスジムラが見られる。
1:明らかなスジムラがみられ、場所によってはハジキやピンホールが見られる。
(3)成膜性
成膜性とは、塗布液を基板上に塗設したときの状態を表す指標である。
塗布膜は、均一に塗設されていることが好ましく、塗布ムラ、ハジキ、スジ等が発生すると、光散乱層本来の機能が発現されないだけでなく、有機EL素子自体の発光効率が低下してしまうことがある。
そこで、作製した各有機EL素子について、平滑化層の成膜状態を、下記の評価基準に従って目視評価した。
評価結果を表1に示す。なお、評価基準3のものを合格とした。
〔評価基準〕
3:塗布ムラ、ハジキ、スジ等の塗布故障がない。
2:僅かに塗布故障がある。
1:実用に耐えない塗布故障がある。
(4)発光効率(電力効率)
作製した各有機EL素子について、室温(約23〜25℃の範囲内)で、2.5mA/cmの定電流密度条件下による点灯を行い、分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタ社製)を用いて、各素子の発光輝度を測定し、当該電流値における発光効率(電力効率)を求めた。なお、発光効率は、有機EL素子102の発光効率を100とする相対値で示した。
測定結果を表1に示す。
Figure 2015012093
(5)まとめ
表1から明らかなように、本発明の有機EL素子103〜106は、比較例の有機EL素子101、102及び107と比較して、平滑化層の吐出安定性、濃度ムラ、成膜性、及び有機EL素子の発光効率の全てにおいて優れていることがわかる。
以上から、平滑化層を形成する工程では、高屈折率のナノゾル粒子と、バインダーと、有機溶媒とを含有し、かつ粘度が3〜30mPa・sの範囲内である塗布液を調製する工程と、塗布液をインクジェット塗布法により塗布する工程と、塗布後の塗布液に波長制御赤外線を照射して乾燥する工程と、乾燥後の塗布液に、エキシマ光を照射して硬化する工程と、を有する有機EL素子の製造方法が有用であることが確認できた。
[実施例2]
≪有機EL素子の作製≫
(1)有機EL素子201の作製
実施例1の有機EL素子102の作製において、平滑化層用塗布液として溶媒を添加せず、固形分濃度が20質量%のまま、インクジェット塗布法で平滑化層用塗布液を塗布した以外は同様にして、有機EL素子201を作製した。
(2)有機EL素子202の作製
有機EL素子201の作製において、平滑化層用塗布液の有機溶媒をトルエンのみとし、固形分濃度が12質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した以外は同様にして、有機EL素子202を作製した。
(3)有機EL素子203の作製
有機EL素子201の作製において、平滑化層用塗布液の有機溶媒を2−ブタノールのみとし、固形分濃度が12質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した以外は同様にして、有機EL素子203を作製した。
(4)有機EL素子204の作製
有機EL素子201の作製において、平滑化層用塗布液の有機溶媒をテトラヒドロフルフリルアルコール(THFA)のみとし、固形分濃度が12質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した以外は同様にして、有機EL素子204を作製した。
(5)有機EL素子205の作製
有機EL素子201の作製において、平滑化層用塗布液の有機溶媒を2−メチル−2,4−ペンタンジオール(PD)のみとし、固形分濃度が12質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した以外は同様にして、有機EL素子205を作製した。
(6)有機EL素子206の作製
有機EL素子201の作製において、平滑化層用塗布液の有機溶媒をテトラエチレングリコールのみとし、固形分濃度が12質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した以外は同様にして、有機EL素子206を作製した。
(7)有機EL素子207の作製
有機EL素子201の作製において、平滑化層用塗布液の有機溶媒を1,3−ブタンジオールのみとし、固形分濃度が12質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した以外は同様にして、有機EL素子207を作製した。
(8)有機EL素子208の作製
有機EL素子201の作製において、平滑化層用塗布液の有機溶媒を1,5−ペンタンジオールのみとし、固形分濃度が12質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した以外は同様にして、有機EL素子208を作製した。
(9)有機EL素子209の作製
有機EL素子201の作製において、平滑化層用塗布液の有機溶媒として、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)と1,5−ペンタンジオールとの溶媒比が50質量%/50質量%である有機溶媒を用い、固形分濃度が12質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した以外は同様にして、有機EL素子209を作製した。
≪有機EL素子の評価≫
実施例1と同様にして、平滑化層における吐出安定性、濃度ムラ、成膜性、及び有機EL素子における発光効率を評価、測定した。
評価結果を表2に示す。
なお、発光効率は、有機EL素子201の発光効率を100とする相対値で示した。
Figure 2015012093
(2)まとめ
表2から明らかなように、本発明の有機EL素子204〜207及び209は、比較例の有機EL素子201〜203及び208と比較して、平滑化層の吐出安定性、濃度ムラ、成膜性、及び有機EL素子の発光効率の全てにおいて、より優れていることがわかる。また、有機EL素子204、205、207及び209は、有機EL素子206と比較して、発光効率が大きく向上していた。
以上から、平滑化層に含有される有機溶媒として、粘度及び蒸気圧が一定の範囲にあるものを使用することが、より光取り出し効率を向上させることに有用であることが確認できた。
本発明は、光透過性を損なうことなく、導波損失を低減し、光取り出し効率を向上させる、フレキシブル性を有する有機EL素子の製造方法、及び当該製造方法に用いられる塗布液を提供することに、特に好適に利用することができる。
10 樹脂基板
20 光取り出し層
22 光散乱層
24 平滑化層
30 第1電極
40 有機機能層
41 正孔注入層
42 正孔輸送層
43 発光層
44 電子輸送層
45 電子注入層
50 第2電極
100 有機EL素子
300 有機EL素子
302 金属電極
304 有機機能層
306 透明電極
308 透明基板
310a,310b,310c,310d,310e 光

Claims (6)

  1. 樹脂基板上に、光散乱層、平滑化層、第1電極、有機機能層、及び第2電極が順次積層された有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
    前記樹脂基板上に、前記光散乱層を形成する工程と、
    前記光散乱層上に、前記平滑化層を形成する工程と、
    を備え、
    前記平滑化層を形成する工程では、
    高屈折率のナノゾル粒子と、バインダーと、有機溶媒とを含有し、かつ粘度が3〜30mPa・sの範囲内である塗布液を調製する工程と、
    前記塗布液をインクジェット塗布法により塗布する工程と、
    塗布後の前記塗布液に、波長制御赤外線を照射して乾燥する工程と、
    乾燥後の前記塗布液に、エキシマ光を照射して硬化する工程と、
    を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  2. 前記有機溶媒の粘度が、5〜100mPa・sの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  3. 前記有機溶媒の蒸気圧が、1.0〜1000Paの範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  4. 高屈折率のナノゾル粒子と、バインダーと、有機溶媒とを含有し、かつ粘度が3〜30mPa・sの範囲内であることを特徴とする塗布液。
  5. 前記有機溶媒の粘度が、5〜100Pa・sの範囲内であることを特徴とする請求項4に記載の塗布液。
  6. 前記有機溶媒の蒸気圧が、1.0〜1000Paの範囲内であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の塗布液。
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