以下、各実施の形態について説明する。各実施の形態で説明する内容は、矛盾の無い範囲で組み合わせ可能である。
(実施の形態1)
図1Aは、実施の形態1における物理量検出装置1のブロック図である。物理量検出装置1は、駆動装置91と、検出回路4とを備える。駆動装置91は、振動子2と、振動子2に接続されることによって発振ループを構成する駆動回路3とを備える。駆動回路3は振動子2に駆動信号を供給して振動子2を駆動し、振動周波数で振動子2を振動させる。振動子2は、駆動信号により振動し、かつ振動に応じたモニタ信号を出力する。駆動回路3は、振動子2に駆動信号を出力する出力アンプ12と、出力アンプ12に電源電圧Vtypを供給する電源部14と、電源電圧制御部15とを備える。電源電圧制御部15には電源電圧Vtypが入力され、電源電圧制御部15は、電源電圧Vtypを制御して、制御された電源電圧Vsを出力アンプ12に供給する。なお、駆動回路3は、温度検出部13をさらに備えていてもよい。この場合、電源電圧制御部15は、温度検出部13により得られた温度に基づいて、電源電圧Vtypを制御して、制御された電源電圧Vsを出力アンプ12に供給する。
この構成により、駆動装置91は温度変化がある場合でも、駆動電圧の飽和を防ぎつつ適切な大きさの電圧の駆動信号を出力することができ、感度特性の向上と温度特性とを両立できる。
実施の形態1における物理量検出装置1は、例えば、角速度を検出する角速度センサであり、その構成と動作について以下に説明する。
駆動回路3は振動子2と発振ループを構成して、その発振ループによって振動子2を駆動して振動させる。
駆動回路3は、高電位VDDと、高電位VDDより低い接地電位GND(低電位)との間で動作する。但し、接地電位GNDの代わりにアナロググランドAGNDを用いることもあり得る。アナロググランドAGNDは駆動回路3の基準電位であり、接地電位GNDと一致するとは限らない。具体的には、振動子2の種類に応じて使用できる電源電位が異なる。
振動子2が圧電振動子等の容量結合型の振動子である場合、振動子2の発振駆動に発振ループの直流成分が関係しないので、発振ループの駆動信号の電圧の振幅を所望のレベルに調整できれば振動子2は駆動でき、駆動信号の電圧の直流成分の大きさは任意に設定できる。したがって、低電位としては接地電位GNDやアナロググランドAGNDを含む任意の電位を使用することができる。
振動子2が可変抵抗型振動子である場合、発振ループのバイアス電圧を所望のレベルに設定する必要があることから、回路内の電源電圧である所望のレベルのアナロググランドAGNDを使用することが好ましい。
実施の形態1における駆動装置91は上述の振動子2の形態のいずれも採用が可能である。
実施の形態1では振動子2は圧電振動子であり、駆動回路は、高電位VDD(例えば3V)と接地電位GND間で動作する。振動子2は外部から与えられた慣性力に起因して検出信号(電荷)を発生させる。検出回路4は検出信号(電荷)を検出する。
検出回路4は、検出アンプ5と、検波器6と、ローパスフィルタ(LPF)7とを有する。実施の形態1において、検出アンプ5は入力された電流を電圧に変換して出力するI/V変換増幅器である。
駆動回路3は、入力アンプ8と、移相器9と、自動利得調整(AGC)回路部10と、バンドパスフィルタ(BPF)11をさらに有する。入力アンプ8は駆動回路3の初段に設けられ、オペアンプならびに帰還抵抗Rf、帰還容量Cfからなり、ローパスフィルタ特性をもつ積分型の電流/電圧変換アンプである。振動子2から出力されるモニタ信号は電荷の流れすなわち電流である。入力アンプ8は発振ループの構成要素の一つであり、振動子2から出力された電流であるモニタ信号を電圧信号に変換する。入力アンプ8はローパスフィルタの特性をもつことによって不要な発振を効果的に防止することができる。移相器9は、この電圧信号を90°位相回転させて検出回路4に出力する。AGC回路部10は、この電圧信号に従って発振ループの利得(ゲイン)を自動的に調整する。
AGC回路部10は、整流器と平滑器と基準信号源と比較器と利得可変増幅器とを有する。AGC回路部10は、発振定常状態において、発振ループのループゲインが1になるように自動的に利得可変増幅器の利得を調整する。出力アンプ12は駆動回路3の後段に設けられ、AGC回路部10からの信号を増幅した駆動信号を振動子2に出力する。具体的には、AGC回路部10からの信号はBPF11を介して出力アンプ12に入力される。
駆動回路3には振動子2が接続される。振動子2はモニタ信号を出力するモニタ端子D1と、振動子2に駆動信号を入力するドライブ端子D2と、振動子2からの検出信号を出力する検出端子Sとを有する。
次に、検出回路4の構成と動作について説明する。通常動作時には、駆動回路3を含む発振ループによって振動子2に所定方向の駆動振動周波数fdの振動が生じる。この状態で振動子2が回転すると、その回転に起因して駆動振動と直交する方向にコリオリ力が発生し、そのコリオリ力による振動が生じて検出端子Sから検出信号(電荷)が出力され、その検出信号は検出回路4の初段に設けられる検出アンプ5に入力される。
但し、検出信号には、駆動振動が漏れて発生した不要成分が重畳されている。検出信号は駆動振動と直交する振動方向から生じるので、コリオリ力に起因する検出信号の周波数と不要信号の周波数は共に駆動振動周波数fdであり、検出信号と不要信号の位相には90°の差がある。不要成分を除去するため、検波器6は、駆動回路3からの同期検波用参照信号によって検出信号を同期検波する。同期検波用参照信号は、駆動回路3の入力アンプ8からの出力信号に所定の位相回転を与える移相器9から出力される。
振動子2に一定の角速度が加わっている状態では、検波器6が同期検波して出力する信号にはコリオリ力に起因する直流の成分と不要信号に起因する周波数2×fdの成分とが含まれる。
ローパスフィルタ7は不要信号に起因する周波数2×fdの交流の成分を除去して、振動子2に加わった角速度に対応する所望の角速度信号である直流を出力する。
駆動回路3は、振動子2に駆動信号を出力する出力アンプ12と、周囲温度を検出する温度検出部13と、出力アンプ12に電源電圧Vtypを電源電圧Vsとして供給する電源部14と、温度検出部13より検出された温度に基づいて電源電圧Vsを制御する電源電圧制御部15とを有する。
ここで、物理量検出装置1の検出感度は振動子2の機械振動の振幅に依存する。振動子2の駆動電圧と機械振動の振幅の関係は温度によって変化し、振動子2を構成する材料の温度特性と、振動子2の形状や寸法等の構造と、振動子2の周囲の空気の粘性の温度特性とを含む複数の要因が影響している。一般に、振動子2は常温よりも高温あるいは低温で機械的に振動し難くなる。AGC回路部10は、温度によらず振動子2の振動の振幅を一定とするように、高温あるいは低温において出力アンプ12からの駆動信号の電圧の振幅が常温においてよりも大きくなるように駆動信号を制御する。
図1Bは電源電圧制御部15のブロック図である。電源電圧制御部15は、温度検出部13で検出された温度に基づいて制御信号を出力する制御部18と、制御部18からの制御信号と電源部14からの電源電圧Vtypが入力される昇圧回路19と、制御部18からの制御信号と昇圧回路19から出力される昇圧電圧Vhi及び電源電圧Vtypが入力されるスイッチ20とを備えている。昇圧回路19は、電源部14からの電源電圧Vtypを昇圧して昇圧電圧Vhiを発生する。
スイッチ20は、入力された電源電圧Vtypと昇圧電圧Vhiのいずれか一方を制御部18からの制御信号に応じて選択的に電源電圧Vsとして出力する。
図2Aは図1Aに示す物理量検出装置1のドライブ端子D2における常温での駆動信号の電圧を示す。図2Bは、ドライブ端子D2における高温での駆動信号の電圧を示す。図2Aと図2Bにおいて横軸は時間を示し、縦軸は駆動信号の電圧を示す。
図2Aに示すように、常温では、出力アンプ12に電源電圧Vtypが供給され、電源電圧Vtypは駆動電圧の振幅より大きい。実施の形態1では、電源電圧Vtypは3Vであり、常温での駆動電圧の振幅は2.5Vである。ただし、電源電圧Vtypと駆動電圧の振幅との電圧差は、駆動回路3および出力アンプ12が駆動電圧を飽和させない最低限の値に設定することができ、実施の形態1ではこの電圧差に過大なマージンを設けていない。また、図2Bに示すように、高温では出力アンプ12に電源電圧Vtypを昇圧して得られた昇圧電圧Vhiが供給されている。これにより、駆動回路3および出力アンプ12は駆動電圧を飽和させることなく出力することができる。実施の形態1では、昇圧電圧Vhiは4.5Vであり、高温での駆動信号の電圧の振幅は4.0Vである。
図3は振動子2の上面図である。図4は図3に示す振動子2の線IV−IVにおける断面図である。図3において、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸を定義し、さらに、X軸とY軸とを含むXY平面を定義する。
振動子2は、基部25と、基部25に支持された一端をそれぞれ有するアーム26〜29と、アーム26〜29にそれぞれ接続された錘30と、アーム26〜29をXY平面と平行に駆動し振動させる駆動部31と、アーム26に設けられた検出部32aと、基部25上に設けられた検出部32b、32cと、駆動部31および検出部32a、32b、32cのそれぞれから引き出されて配線を介して電気的に接続される接続用電極35とを備える。検出部32aはアーム26上で基部25の近傍に設けられ、Z軸周りの角速度により発生する慣性力を検出する。検出部32bはY軸周りの角速度により発生する慣性力を検出する。検出部32cはX軸周りの角速度により発生する慣性力を検出する。基部25、アーム26〜29、錘30はそれぞれがシリコン(Si)で構成される。基部25は、一対の支持部22と、一対の支持部22に接続された両端をそれぞれ有する一対の縦梁23と、一対の縦梁23の略中央にそれぞれ接続された両端を有する横梁24とから構成される。一対の支持部22は外部の基板と接続される接続用電極35を備える。アーム26〜29は基部25の横梁24に接続されている。振動子2は大気圧に維持されたパッケージ内に実装されている。
検出部32aは、アーム26の上に形成された下部電極205と、下部電極205の上に形成された圧電薄膜220と、圧電薄膜220の上に形成された上部電極225とを有する。他の検出部32b、32c、駆動部31も同様に、アームの上に形成された下部電極と、下部電極の上に形成された圧電薄膜と、圧電薄膜の上に形成された上部電極とを有する。
図5Aは振動子2のZ軸周りの角速度40を検出する場合の動作を示し、図5Bは振動子2のY軸周りの角速度43を検出する場合の動作を示す。
図5Aに示すように、駆動回路3から駆動部31に駆動信号が与えられることにより、錘30にはXY平面内で駆動振動41が発生する。物理量検出装置1にZ軸の周りの角速度40が与えられると、慣性力(コリオリ力)がY軸の方向に発生し、錘30に検出振動42が発生する。検出振動42により検出部32aから出力される検出信号は、駆動振動と同じ周波数を有し、かつ、角速度40の大きさに依存した振幅を有する。したがって、この検出信号の大きさを測定することにより、角速度40の大きさを検出することができる。
図5Bに示すように、Y軸の周りの角速度43が入力されると、慣性力により錘30にZ軸の方向の検出振動44が発生する。検出振動44により検出部32bから出力される検出信号は、駆動振動41と同じ周波数を有し、かつ、角速度43の大きさに依存した振幅を有する。したがって、この検出信号の大きさを測定することにより、角速度43の大きさを検出することができる。なお、物理量検出装置1はX軸周りの角速度も、Y軸周りの角速度と同様にして検出できる。
図6は、駆動回路3が出力する駆動信号の電圧の振幅の温度による変化を示す。図7Aは、常温で駆動回路3が出力する駆動信号の電圧の振幅を示し、図7Bは、高温及び低温での駆動信号の電圧の振幅を示す。
振動子2は高温と低温で機械的に振動し難くなる。すなわち、振動子2の機械的な振幅を温度変化に関わらず一定にするには、高温と低温とで駆動振動の電圧の振幅を常温よりも大きくする必要がある。したがって、振動子2を用いた駆動装置91では、電源電圧制御部15は、温度検出部13により得られた温度が所定の高温側閾値TthHより高いまたは所定の低温側閾値TthLより低いときに、電源電圧Vtypを昇圧して得られた昇圧電圧Vhiを電源電圧Vsとして出力アンプ12に出力することが好ましい。さらに電源電圧制御部15は、温度検出部13により得られた温度が所定の高温側閾値TthH以下でありかつ所定の低温側閾値TthL以上であるときに、電源電圧Vtypを電源電圧Vsとして出力アンプ12に出力することが好ましい。実施の形態1では、所定の高温側閾値TthHは70℃であり、所定の低温側閾値TthLは−10℃である。
図8は実施の形態1における物理量検出装置1の別の振動子301の上面図である。図9は図8に示す振動子301の線IX−IXにおける断面図である。
図9に示すように、振動子301は、音叉型のシリコン基板302、303と、シリコン基板302の上に形成された下部電極308、309、310と、シリコン基板303の上に形成された下部電極311、312、313と、下部電極308、309、310、311、312、313の上にそれぞれ形成された圧電薄膜314、315、316、317、318、319と、圧電薄膜314、315、316、317、318、319の上にそれぞれ形成された上部電極320、321、322、323、324、325とを有する。上部電極320、322、323、325は駆動電極を構成する。上部電極321、324は検出電極を構成する。下部電極308、309、310、311、312、313は全て基準電位に接続されている。
振動子301のアーム306、307は、駆動電極320、322、323、325に所定の駆動信号の電圧が印加されることで、X軸方向に振動する。振動子301のアーム306、307がX軸方向に振動している状態で、Y軸周りの角速度が印加されるとアーム306、307にコリオリ力が発生する。コリオリ力によりアーム306、307はZ軸方向に撓み、圧電薄膜315、318が同じく撓むことによって、検出電極321、324に電荷が発生する。この電荷の量がコリオリ力に比例することから、この電荷を検出することで角速度を検出することが可能となる。
振動子301は、大気圧に維持されたパッケージ内に実装される。
図10は、振動子2の代わりに振動子301を備えた物理量検出装置1の駆動回路3が出力する駆動信号の電圧の振幅の温度による変化を示す。図10において、縦軸は駆動信号の電圧の振幅を示し、横軸は振動子301の周囲の温度を示す。ここで、振動子301は常温より低い低温では常温に比べて機械的に振動し難くなる。したがって、電源電圧制御部15は、温度検出部13により得られた温度が低温の時に電源電圧Vtypを昇圧した昇圧電圧Vhiを出力することが好ましい。
図11は、振動子301を備えた物理量検出装置1の駆動回路3が出力する駆動信号の電圧の振幅の温度による変化を示す。図11において、縦軸は駆動信号の電圧の振幅を示し、横軸は振動子301の周囲の温度を示す。ここで、振動子301は真空に維持されたパッケージ内に実装されている。この場合、振動子301は常温よりも高い高温で常温に比べて機械的に振動し難くなる。したがって、電源電圧制御部15は、温度検出部13により得られた温度が高温の時に電源電圧Vtypを昇圧した昇圧電圧Vhiを出力することが好ましい。
以上のように、振動子2、301は、振動子の構造の違いや周囲の気圧の違い、或いは構成する材料の違いによって温度に対する機械振動のし難さが異なる。ここで、振動子2、301の構造の違いとは、例えば、機械振動するアームとその周囲にある基部の間にある空間や、隣り合う2つのアームの間にある空間の大きさの違いである。したがって、実施の形態1における駆動装置91は、温度検出部13により得られた温度が高温または低温の時に電源電圧Vtypを昇圧した昇圧電圧Vhiを出力アンプ12へ供給して、出力アンプ12からの駆動信号の電圧の振幅を大きくすることができる。
これにより、振動子2、301の機械振幅に温度による変化がある場合でも、駆動振動の電圧の振幅のマージンを低減でき、駆動装置91を用いた物理量検出装置1は、常温での駆動信号の電圧の振幅を大きくすることができ、振動子2の変位を大きくできるので、検出感度を大きくすることができる。
なお、実施の形態1における物理量検出装置1は振動子2として微細な構造を採用した小型な振動子を用いることが可能であり、広い温度範囲で高い検出感度を有する。また、振動子2を大気圧中に実装することができるので、実装するパッケージを小型で低コストにすることも可能であり、簡易的な封止であっても広い温度範囲で高感度な物理量検出装置1を実現することができる。また、振動子2を構成する材料が異なっても同様の効果が得られるので、例えば、振動子2を構成する材料をPZT等の一般的な圧電セラミックスからニオブ酸ナトリウムカリウムやビスマスフェライト等の低環境負荷な無鉛圧電材料に変えたとしても、広い温度範囲で高感度な物理量検出装置1を実現することができる。
なお、図1Bに示す電源電圧制御部15において、スイッチ20が電源電圧Vtypを電源電圧Vsとして出力アンプ12に供給しているときには、昇圧電圧Vhiは不要である。したがって、電源電圧制御部15が電源電圧Vtypを電源電圧Vsとして出力アンプ12に供給しているときには、制御部18は、昇圧回路19へ供給する電力を抑制するかもしくはその電力供給を停止して、昇圧回路19を動作させなくすることが好ましい。すなわち、昇圧回路19は温度検出部13が検出した温度が高温または低温であるときに動作し、その温度が常温であるときには動作しない。これにより、低消費電力な物理量検出装置1を実現することができる。
(実施の形態2)
図12は実施の形態2における物理量検出装置50aのブロック図である。図12において、図1Aに示す実施の形態1における物理量検出装置1と同じ部分には同じ参照符号を付す。物理量検出装置50aは、図1Aに示す実施の形態1における物理量検出装置1の駆動回路3を有する駆動装置91の代わりに駆動回路3aを有する駆動装置91aを備える。
図12に示す駆動回路3aは、図1Aに示す実施の形態1における駆動回路3の温度検出部13の代わりに、駆動信号の振幅Vdを検出する振幅検出部16aを有する。電源電圧制御部15は、振幅検出部16aで検出された駆動信号の振幅Vdに少なくとも基づいて出力アンプ12に供給される電源電圧Vsを制御する。
振幅検出部16aは、駆動信号の電圧の振幅Vdと電源電圧Vsと比較する比較器17を備えている。
比較器17は、駆動信号の振幅Vdの大きさと電源電圧Vsとを比較して、その比較結果を電源電圧制御部15へ出力する。実施の形態2では、この比較結果とは、駆動信号の振幅Vdと電源電圧Vsとの差(Vs−Vd)である。
電源電圧制御部15は、比較器17から出力された比較結果である差(Vs−Vd)に応じた電源電圧Vsを出力アンプ12へ供給する。電源電圧Vsとは、電源部14が出力した電源電圧Vtypもしくは電源電圧Vtypを1.5倍に昇圧した昇圧電圧Vhiである。実施の形態2では、電源電圧Vtypは例えば3Vであり、昇圧電圧Vhiは例えば4.5Vである。
図13は電源電圧制御部15のブロック図である。電源電圧制御部15は、比較器17から出力された比較結果が入力されて制御信号を出力する制御部18と、制御部18からの制御信号と電源部14からの電源電圧Vtypが入力される昇圧回路19と、制御部18からの制御信号と昇圧回路19から出力される昇圧電圧Vhi及び電源電圧Vtypが入力されるスイッチ20とを備えている。昇圧回路19は、電源部14からの電源電圧Vtypを昇圧して昇圧電圧Vhiを発生する。
スイッチ20は、入力された電源電圧Vtypと昇圧電圧Vhiのいずれか一方を制御部18からの制御信号に応じて選択的に電源電圧Vsとして出力する。
電源電圧制御部15に入力される比較結果である差(Vs−Vd)に基づく電源電圧制御部15の動作を以下に説明する。なお、実施の形態2では、電源電圧Vtypは3Vであり、昇圧電圧Vhiは4.5Vである。
(i)電源電圧Vsが電源電圧Vtyp(3V)であるときの動作
電源電圧Vsが電源電圧Vtyp(3V)である状態で比較結果である差(Vs−Vd)が第1の閾値よりも大きければ、制御部18はスイッチ20を制御して電源電圧Vsを電源電圧Vtypのまま変化させない。一方、電源電圧Vsが電源電圧Vtyp(3V)である状態で比較結果である差(Vs−Vd)が第1の閾値電圧以下であれば、制御部18はスイッチ20を制御して電源電圧Vsを昇圧電圧Vhiへ切り替える。
第1の閾値は、駆動信号の振幅Vdを飽和させない出力アンプ12の出力ダイナミックレンジに基づいて設定され、実施の形態2では0.7Vである。
(ii)電源電圧Vsが昇圧電圧Vhiであるときの動作
電源電圧Vsが昇圧電圧Vhiである状態で比較結果である差(Vs−Vd)が第2の閾値よりも大きければ、制御部18はスイッチ20を制御して電源電圧Vsを電源電圧Vtypへ切り替える。一方、電源電圧Vsが昇圧電圧Vhiである状態で比較結果である差(Vs−Vd)が第2の閾値以下であれば、制御部18はスイッチ20を制御して電源電圧Vsを昇圧電圧Vhiのまま変化させない。
第2の閾値は、電源電圧Vtypと昇圧電圧Vhiの電圧差に出力アンプ12の出力ダイナミックレンジを加えた電圧に基づいて設定され、実施の形態2では1.7Vである。第2の閾値は第1の閾値よりも大きい。
この構成により、実施の形態2における物理量検出装置50aは、出力アンプ12から出力される駆動信号の振幅Vdを直接検出して、この駆動信号が出力アンプ12で飽和しないように出力アンプ12に供給される電源電圧Vsを制御する。したがって、駆動回路3のBPF11の特性や出力アンプ12の増幅量等がばらついた場合でも、広い温度範囲で高感度な物理量検出装置50aを実現することができる。
図14は実施の形態2における別の物理量検出装置50bブロック図である。図14において、図12に示す物理量検出装置50aと同じ部分には同じ参照符号を付す。物理量検出装置50bは、図12に示す物理量検出装置50aの駆動回路3aを有する駆動装置91aの代わりに駆動回路3bを有する駆動装置91bを備える。駆動回路3bは図12に示す駆動回路3aの振幅検出部16aの代わりに振幅検出部16bを有する。駆動装置91bでは、電源電圧制御部15はAGC回路部10で検出したモニタ信号の振幅に基づいて電源電圧Vsを制御する。
AGC回路部10には入力アンプ8の出力信号(モニタ信号)が入力され、モニタ信号の大きさに基づいてAGC回路部10の利得可変増幅器の利得に応じたAGC電圧Vcを出力する。図14に示す振幅検出部16bは、AGC回路部10から出力されたAGC電圧Vcを電源電圧制御部15へ出力している。
図15はAGC回路部10のブロック図である。AGC回路部10は、整流器10a、平滑器10b、基準信号源10c、比較器10d、利得可変増幅器10eで構成される。整流器10aは入力アンプ8からのモニタ信号を整流した信号を出力し、平滑器10bは整流器10aの出力信号を平滑した直流電圧を出力する。比較器10dはこの直流電圧と基準信号源10cの出力である所定の基準電圧を比較してAGC電圧Vcを出力する。利得可変増幅器10eは、BPF11を介して入力アンプ8からのモニタ信号を増幅して得られた信号を出力アンプ12へ出力する。利得可変増幅器10eの利得はAGC電圧Vcに基づいて制御され、AGC電圧VcはAGC回路部10に入力されるモニタ信号の極めて小さな変化を検出して利得可変増幅器10eの増幅量を大きく変化させる。これにより、温度変動が発生して振動子2が機械振動し難くなったとしても、駆動回路3はモニタ信号の大きさをほぼ一定にしながら駆動信号の電圧の振幅Vdが大きくなるように制御され、その結果、振動子2の機械的な振動の振幅が一定に制御される。
以上のことから、AGC電圧Vcはモニタ信号の電圧に基づいており、電源電圧制御部15は、モニタ信号の電圧に基づくAGC電圧Vcを取得することによって駆動信号の電圧の振幅を検出することができる。すなわち、振幅検出部16bは、モニタ信号の振幅を検出し、電源電圧制御部15は、検出された振幅に基づいて電源電圧Vsを制御する。
この構成により、物理量検出装置50bは、AGC回路部10を駆動信号の振幅Vdを検出する振幅検出部16bとして併用しているので、回路規模が小さく、より簡単な構成で出力アンプ12から出力される駆動信号の電圧の振幅Vdを間接的に検出して、駆動信号が出力アンプ12に供給される電源電圧Vtypによって飽和しないように出力アンプ12の電源電圧Vsを制御することができる。
なお、図1Bに示す電源電圧制御部15において、スイッチ20が電源電圧Vtypを電源電圧Vsとして出力アンプ12に供給しているときには、昇圧電圧Vhiは不要である。したがって、電源電圧制御部15が電源電圧Vtypを電源電圧Vsとして出力アンプ12に供給しているときには、制御部18は昇圧回路19を動作させなくすることが好ましい。これにより、低消費電力な物理量検出装置50a、50bを実現することができる。
(実施の形態3)
図16は実施の形態3における電子機器70の構成図である。電子機器70は、実施の形態1における物理量検出装置1と、表示部71と、CPU等の処理部72と、メモリ73と、操作部74とを備える。このように、電子機器70は、記載の物理量検出装置1と、物理量検出装置1に接続された回路(表示部71、処理部72、メモリ73等)を備える。実施の形態3における電子機器70はデジタルカメラである。電子機器70は物理量検出装置1の代わりに実施の形態2における物理量検出装置50aまたは物理量検出装置50bを備えてもよい。
物理量検出装置1は、図1Aに示すように、振動子2、駆動回路3および検出回路4を備える。駆動回路3は、温度変化がある様な場合でも、駆動電圧の飽和を防ぎつつ適切な大きさの電圧の駆動信号を出力することができ、感度特性の向上と温度特性との両立が可能である。したがって、物理量検出装置1を内蔵する電子機器70は、電子機器70が、例えばビデオカメラやデジタルスチルカメラである場合、高精度の手振れ補正等の処理が可能である。
このように、電子機器70は高い性能を有する。なお、電子機器70は、デジタルカメラの他、カーナビゲーションシステムや航空機やロボットであってもよい。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、他にも多くの変形が可能であることは、当業者には容易に理解できる。例えば、本発明に係る駆動装置を用いた物理量検出装置の一例として、角速度センサを説明したが、これに限定されるものではない。例えば、本発明に係る駆動装置を用いた振動型加速度センサや振動型角加速度センサ、振動型歪センサ、振動型圧力センサ、水晶発振器等、が実現可能である。
なお、振動子2を構成する材質としては、例えば、水晶、ニオブ酸リチウム、チタン酸ジルコン酸鉛を用いることができる。
(実施の形態4)
図17は実施の形態4における昇圧回路510の回路図である。昇圧回路510は図1Bと図13に示す実施の形態1、2における昇圧回路19として用いることができる。昇圧回路510は、コンデンサC1〜C4と、電位Vddを供給する入力端子512と、電位Vgndを供給する共通端子513と、電位Vdd、Vgndの間の電圧を昇圧して得られた電圧Voutを出力する出力端子514と、スイッチ100a、200aとを備える。スイッチ100aは、端子512、513の間でコンデンサC1〜C4を互いに直列に接続する直列接続と、端子512、513の間でコンデンサC1〜C4を互いに並列に接続する並列接続とを切り替えることができる。スイッチ200aは、端子512、514の間でコンデンサC1〜C4を互いに並列に接続することができる。
電圧源511は入力端子512に電位Vddを供給する。実施の形態4では、電位Vddは電源電位であり、電位Vgndは接地電位であり0Vである。
コンデンサC1〜C4は互いに等しい容量を有する。コンデンサC1は端C1a、C1bを有する。コンデンサC2は端C2a、C2bを有する。コンデンサC3は端C3a、C3bを有する。コンデンサC4は端C4a、C4bを有する。
スイッチ100aはスイッチSW101〜SW111よりなる。スイッチSW101は入力端子512とコンデンサC1の端C1aとの間で直列に入力端子512と端C1aとに接続されている。スイッチSW102は共通端子513とコンデンサC1の端C1bとの間で直列に共通端子513と端C1bとに接続されている。スイッチSW103はコンデンサC1の端C1bとコンデンサC2の端C2aとの間で直列に端C1bと端C2aとに接続されている。スイッチSW104は入力端子512とコンデンサC2の端C2aとの間で直列に入力端子512と端C2aとに接続されている。スイッチSW105は共通端子513とコンデンサC2の端C2bとの間で直列に共通端子513と端C2bとに接続されている。スイッチSW106はコンデンサC2の端C2bとコンデンサC3の端C3aとの間で直列に端C2bと端C3aとに接続されている。スイッチSW107は入力端子512とコンデンサC3の端C3aとの間で直列に入力端子512と端C3aとに接続されている。スイッチSW108は共通端子513とコンデンサC3の端C3bとの間で直列に共通端子513と端C3bとに接続されている。スイッチSW109はコンデンサC3の端C3bとコンデンサC4の端C4aとの間で直列に端C3bと端C4aとに接続されている。スイッチSW110は入力端子512とコンデンサC4の端C4aとの間で直列に入力端子512と端C4aとに接続されている。スイッチSW111は共通端子513とコンデンサC4の端C4bとの間で直列に共通端子513と端C4bとに接続されている。
スイッチ200aはスイッチSW201〜SW208よりなる。
スイッチSW201は入力端子512とコンデンサC1の端C1bとの間で直列に入力端子512と端C1bとに接続されている。スイッチSW202は出力端子514とコンデンサC1の端C1aとの間で直列に端子514と端C1aとに接続されている。スイッチSW203は入力端子512とコンデンサC2の端C2bとの間で直列に入力端子512と端C2bとに接続されている。スイッチSW204は出力端子514とコンデンサC2の端C2aとの間で直列に端子514と端C2aとに接続されている。スイッチSW205は入力端子512とコンデンサC3の端C3bとの間で直列に入力端子512と端C3bとに接続されている。スイッチSW206は出力端子514とコンデンサC3の端C3aとの間で直列に端子514と端C3aとに接続されている。スイッチSW207は入力端子512とコンデンサC4の端C4bとの間で直列に入力端子512と端C4bとに接続されている。スイッチSW208は出力端子514とコンデンサC4の端C4aとの間で直列に端子514と端C4aとに接続されている。
スイッチ100a(スイッチSW101〜SW111)の切り替えによるコンデンサC1〜C4の接続を以下に説明する。スイッチ100aでコンデンサC1〜C4の接続を切り替える際にはスイッチ200a(スイッチSW201〜SW208)はオフであり、コンデンサC1〜C4は出力端子514に接続されておらず出力端子514から切断されている。
スイッチ100aのスイッチSW101、SW103、SW106、SW109、SW111がオンでありスイッチSW102、SW104、SW105、SW107、SW108、SW110がオフである状態では、コンデンサC1〜C4は入力端子512(電位Vdd)と共通端子513(電位Vgnd)との間で互いに直列に端子512、513に接続される。
また、スイッチSW101、SW103、SW105、SW107、SW109、SW111がオンでありスイッチSW102、SW104、SW106、SW108、SW110がオフである状態では、コンデンサC1、C2は入力端子512(電位Vdd)と共通端子513(電位Vgnd)との間で互いに直列に端子512、513に接続されると同時に、コンデンサC3、C4は入力端子512(電位Vdd)と共通端子513(電位Vgnd)との間で互いに直列に端子512、513に接続される。
さらに、スイッチSW101、SW102、SW104、SW105、SW107、SW108、SW110、SW111がオンでありスイッチSW103、SW106、SW109がオフであるの状態では、コンデンサC1〜C4は入力端子512(電位Vdd)と共通端子513(電位Vgnd)との間で互いに並列に端子512、513に接続される。
次に、スイッチ200a(スイッチSW201〜SW208)の切り替えによるコンデンサC1〜C4の接続を説明する。スイッチ200aでコンデンサC1〜C4の接続を切り替える際にはスイッチ100a(スイッチSW101〜SW111)はオフである。
スイッチ200aのスイッチSW201〜SW208がオンである状態では、コンデンサC1〜C4は入力端子512(電位Vdd)と出力端子514との間で互いに並列に接続される。
昇圧回路510の動作を以下に説明する。図18Aから図18Dは昇圧回路510の動作を示す回路図である。
図18Aと図18Bに示す動作では、昇圧回路510は入力端子512に供給された電位Vddを1.25倍して得られた昇圧電圧Voutを出力端子514から出力する。
図18Aに示すようにスイッチ100aのスイッチSW101、SW103、SW106、SW109、SW111をオンにしてスイッチ100a、200aのうちのこれら以外のスイッチをオフに維持することで、コンデンサC1〜C4が入力端子512(電位Vdd)と共通端子513(電位Vgnd)との間で互いに直列に端子512、513に接続される。これにより、コンデンサC1〜C4のそれぞれは0.25×Vddの電圧に充電される。
次に、図18Bに示すように、スイッチ100aのスイッチSW101〜SW111を全てオフにしてスイッチ200aのスイッチSW201〜SW208をオンにする。これにより、0.25×Vddの電圧でそれぞれ充電されたコンデンサC1〜C4が入力端子512(電位Vdd)と出力端子514との間で互いに並列に端子512、514に接続される。これにより、入力端子512の電位VddにコンデンサC1〜C4の電圧0.25×Vddが加算されて1.25×Vdd(=Vdd+0.25×Vdd)の電圧Voutが出力端子514から出力されるようにコンデンサC1〜C4が放電される。
図18Bと図18Cに示す動作では、昇圧回路510は入力端子512に供給された電位Vddを1.5倍して得られた昇圧電圧Voutを出力端子514から出力する。
図18Cに示すようにスイッチ100aのスイッチSW101、SW103、SW105、SW107、SW109、SW111をオンにしてスイッチ100a、200aのうちのこれら以外のスイッチをオフに維持することで、コンデンサC1、C2が入力端子512(電位Vdd)と共通端子513(電位Vgnd)との間で互いに直列に端子512、513に接続され、同時に、コンデンサC3、C4が入力端子512(電位Vdd)と共通端子513(電位Vgnd)との間で互いに直列に端子512、513に接続される。これにより、コンデンサC1〜C4のそれぞれは0.5×Vddの電圧で充電される。
次に、図18Bに示すように、スイッチ100aのスイッチSW101〜SW111を全てオフにしてスイッチ200aのスイッチSW201〜SW208をオンにする。これにより、0.5×Vddの電圧でそれぞれ充電されたコンデンサC1〜C4が入力端子512(電位Vdd)と出力端子514との間で互いに並列に端子512、514に接続される。これにより、入力端子512の電位VddにコンデンサC1〜C4の電圧0.5×Vddが加算されて1.5×Vdd(=Vdd+0.5×Vdd)の電圧Voutが出力端子514から出力されるようにコンデンサC1〜C4が放電される。
図18Bと図18Dに示す動作では、昇圧回路510は入力端子512に供給された電位Vddを2.0倍して得られた昇圧電圧Voutを出力端子514から出力する。
図18Dに示すようにスイッチ100aのスイッチSW101、SW102、SW104、SW105、SW107、SW108、SW110、SW111をオンにしてスイッチ100a、200aのうちのこれら以外の他のスイッチをオフに維持することで、コンデンサC1〜C4を入力端子512(電位Vdd)と共通端子513(電位Vgnd)との間で互いに並列に端子512、513に接続する。これにより、コンデンサC1〜C4のそれぞれはVddの電圧が充電される。
次に、図18Bに示すように、スイッチ100aのスイッチSW101〜SW111を全てオフにしてスイッチ200a(スイッチSW201〜SW208)をオンにする。これにより、Vddの電圧でそれぞれ充電されたコンデンサC1〜C4が入力端子512(電位Vdd)と出力端子514との間で互いに並列に端子512、514に接続される。これにより、入力端子512の電位VddにコンデンサC1〜C4の電圧Vddが加算されて2×Vdd(=Vdd+Vdd)の電圧Voutが出力端子514から出力されるようにコンデンサC1〜C4が放電される。
実施の形態4における昇圧回路510は出力の放電能力の低下を抑制することができ、以下にその効果を説明する。
図19は比較例の昇圧回路の回路図である。昇圧回路501は、コンデンサC501〜C504と、コンデンサC501〜C504に接続されたスイッチSW1〜SW15とを備える。コンデンサC501〜C504は互いに等しい容量Cを有する。昇圧回路501を用いることで、電圧源502の電源電位Vinを昇圧した出力電圧Voutを得ることができる。
以下、比較例の昇圧回路501の動作を説明する。図20Aと図20Bは昇圧回路501の動作を示す。図20AはコンデンサC501〜C504の充電時の接続状態を示し、図20BはコンデンサC501〜C504の放電時の接続状態を示す。図20Aと図20Bに示す動作では、電源電位Vinを1.25倍に昇圧した出力電圧Voutが得られる。
まず、図20Aに示すように、スイッチSW1〜SW5が閉状態となり、スイッチSW6〜SW15が開状態となることで、コンデンサC501〜C504が直列に接続される。これにより、コンデンサC501〜C504のそれぞれには0.25Vinの電圧がかかる。次に、図20Bに示すように、スイッチSW1〜SW5が開状態となり、同時に、スイッチSW6〜SW13が閉状態となることで、破線で示す経路で出力電圧が発生する。これにより、コンデンサC501〜C504は互いに等しい容量Cを有するので、コンデンサC501〜C504のそれぞれに加えられていた電圧0.25×Vinと電圧Vinとが加算され、電源電位Vinの1.25倍の出力電圧Voutを得ることができる。
図21Aと図21Bは比較例の昇圧回路501の別の動作を示す。図21AはコンデンサC501〜C504の充電時の接続状態を示し、図21Bは放電時の接続状態を示す。図21Aと図21Bに示す動作では、電源電位Vinを1.5倍に昇圧した出力電圧Voutが得られる。
まず、図21Aに示すように、スイッチSW1〜SW5が閉状態であり、スイッチSW6〜SW15が開状態となることで、コンデンサC501〜C504が直列に接続される。これにより、コンデンサC501〜C504のそれぞれには0.25×Vinの電圧がかかる。次に、図21Bに示すように、スイッチSW1、SW3、SW5が開状態となり、同時に、スイッチSW7、SW9、SW10、SW12が閉状態となることで、破線で示す経路で出力電圧Voutが発生する。すなわち、電圧0.25×Vinでそれぞれ充電された2つのコンデンサC501、C502が直列に接続され、電圧0.25×Vinでそれぞれ充電された2つのコンデンサC503、C504が直列に接続されて得られた電圧0.5×Vinと電圧Vinとが加算され、電源電位Vinを1.5倍に昇圧した出力電圧Voutを得ることができる。
図22Aと図22Bは比較例の昇圧回路501のさらに別の動作を示す。図22AはコンデンサC501〜C504の充電時の接続状態を示し、図22BはコンデンサC501〜C504の放電時の接続状態を示す。図22Aと図22Bに示す動作では、電源電位Vinを2.0倍に昇圧した出力電圧Voutが得られる。
まず、スイッチSW1、SW2、SW4、SW5、SW14、SW15が閉状態であり、スイッチSW3、SW6〜SW13が開状態となることで、コンデンサC501、C502が直列に接続され、コンデンサC503、C504が直列に接続される。これにより、コンデンサC501〜C504のそれぞれには0.5×Vinの電圧がかかる。次に、図22Bに示すように、スイッチSW1、SW5、SW14、SW15が開状態となり、同時に、スイッチSW7、SW9、SW10、SW12が閉状態となることで、破線で示す経路で出力電圧Voutが発生する。
これにより、0.5×Vinの電圧に充電した2つのコンデンサC501、C502が直列に接続され、0.5×Vinに充電した2つのコンデンサC503、C504が直列に接続されて電圧Vinと電圧Vinとが加算され、電源電位Vinを2.0倍に昇圧した出力電圧Voutを得ることができる。
以上のように、4つのコンデンサC501〜C504を用いることで、電源電位Vinを1.25倍、1.5倍、あるいは2.0倍に昇圧する比率を切り替えて出力電圧Voutを得ることができる。
図23は図17に示す実施の形態4における昇圧回路510と図19に示す比較例の昇圧回路501の出力電流能力を示す。出力電流能力とは、昇圧回路510が出力端子514に接続された負荷へ出力することのできる電流Iと時間tの積(I×t)すなわち電気量の大きさである。例えば、ある電流Iを時間tに安定持続的に放電する場合、電圧Vが充電された大きな容量Cのコンデンサを必要とする。
図23に示すように、比較例の昇圧回路501は、昇圧比率を上げると放電能力が低下する。これは、昇圧比率を細かく切り替えることができるように構成された4つのコンデンサC501〜C504が高い昇圧比率(1.5倍、2.0倍)の場合に直列に接続され、放電時に出力端子から見たコンデンサC501〜C504の合成容量が小さくなることに起因する。
一方、実施の形態4における昇圧回路510は、図23に示すように、昇圧比率を大きくしても出力電流能力の低下が抑制されている。これは、充電したコンデンサC1〜C4を放電する際に、コンデンサC1〜C4を並列に接続して昇圧電圧Voutを生成しているので、出力端子514から見たコンデンサC1〜C4の合成容量が小さくならないことに起因する。
以上のように、実施の形態4における昇圧回路510では、スイッチ100aはコンデンサC1〜C4を電位Vddと電位Vgndとの間で直列又は並列に接続する。スイッチ200aはコンデンサC1〜C4を電位Vddと出力端子514との間で並列に接続する。これにより、コンデンサC1〜C4の放電の際においても出力端子514から見たコンデンサC1〜C4の合成容量が小さくなることを防ぐことができ、出力放電能力の低下を抑制することができる。
図24は実施の形態4における別の昇圧回路520の回路図である。昇圧回路520は図1Bと図13に示す実施の形態1、2における昇圧回路19として用いることができる。図24において、図17に示す昇圧回路510と同じ部分には同じ参照番号を付す。昇圧回路520は、図17に示す昇圧回路510のスイッチ100a、200aの代わりにスイッチ300a、400aを備える。スイッチ300aは、図17に示す昇圧回路510のスイッチ100aと同様に、端子512、513の間でコンデンサC1〜C4を互いに直列する直列接続と、端子512、513の間でコンデンサC1〜C4を互いに並列に接続する並列接続とを切り替えることができる。スイッチ400aは、図17に示す昇圧回路510のスイッチ200aと同様に、端子512、514の間でコンデンサC1〜C4を互いに並列に接続することができる。
スイッチ300aはスイッチSW301〜SW311よりなる。スイッチSW301は入力端子512とコンデンサC1の端C1aとの間で直列に入力端子512と端C1aとに接続されている。スイッチSW302はコンデンサC1の端C1bとコンデンサC2の端C2bとの間で直列に端C1b、C2bに接続されている。スイッチSW303はコンデンサC1の端C1bとコンデンサC2の端C2aとの間で直列に端C1b、C2aに接続されている。スイッチSW304はコンデンサC1の端C1aとコンデンサC2の端C2aとの間で直列に端C1a、C2aに接続されている。スイッチSW305は共通端子513とコンデンサC2の端C2bとの間で直列に共通端子513と端C2bとに接続されている。スイッチSW306はコンデンサC2の端C2bとコンデンサC3の端C3aとの間で直列に端C2b、C3aに接続されている。スイッチSW307は入力端子512とコンデンサC3の端C3aとの間で直列に入力端子512と端C3aとに接続されている。スイッチSW308はコンデンサC3の端C3bとコンデンサC4の端C4bとの間で直列に端C3b、C4bに接続されている。スイッチSW309はコンデンサC3の端C3bとコンデンサC4の端C4aとの間で直列に端C3b、C4aに接続されている。スイッチSW310はコンデンサC3の端C3aとコンデンサC4の端C4aとの間で直列に端C3a、C4aに接続されている。スイッチSW311は共通端子513とコンデンサC4の端C4bとの間で直列に共通端子513と端C4bとに接続されている。
スイッチ400aはスイッチSW401〜SW408よりなる。スイッチSW401は入力端子512とコンデンサC1の端C1bとの間で直列に入力端子512と端C1bとに接続されている。スイッチSW402は入力端子512とコンデンサC2の端C2bとの間で直列に入力端子512と端C2bとに接続されている。スイッチSW403は入力端子512とコンデンサC3の端C3bとの間で直列に入力端子512と端C3bとに接続されている。スイッチSW404は入力端子512とコンデンサC4の端C4bとの間で直列に入力端子512と端C1bとに接続されている。スイッチSW405は出力端子514とコンデンサC1の端C1aとの間で直列に出力端子514と端C1aとに接続されている。スイッチSW406は出力端子514とコンデンサC2の端C2aとの間で直列に出力端子514と端C2aとに接続されている。スイッチSW407は出力端子514とコンデンサC3の端C3aとの間で直列に出力端子514と端C3aとに接続されている。スイッチSW408は出力端子514とコンデンサC4の端C4aとの間で直列に出力端子514と端C4aとに接続されている。
スイッチ300aのスイッチSW301〜SW311の切り替えによるコンデンサC1〜C4の接続を以下に説明する。スイッチ300a(スイッチSW301〜SW311)でコンデンサC1〜C4の接続を切り替える際には、スイッチ400a(スイッチSW401〜SW408)はオフであり、コンデンサC1〜C4は出力端子514に接続されておらず出力端子514から切断されている。
スイッチ300aのスイッチSW301、SW303、SW306、SW309、SW311がオンでありスイッチSW302、SW304、SW305、SW307、SW308、SW310がオフである状態では、コンデンサC1〜C4は入力端子512(電位Vdd)と共通端子513(電位Vgnd)との間で互いに直列に端子512、513に接続される。
また、スイッチ300aのスイッチSW301、SW303、SW305、SW307、SW309、SW311がオンでありスイッチSW302、SW304、SW306、SW308、SW310がオフである状態では、コンデンサC1、C2は入力端子512(電位Vdd)と共通端子513(電位Vgnd)との間で互いに直列に端子512、513接続されると同時に、コンデンサC3、C4が入力端子512(電位Vdd)と共通端子513(電位Vgnd)との間で互いに直列に端子512、513に接続される。
さらに、スイッチ300aのスイッチSW301、SW302、SW304、SW306、SW308、SW310、SW311がオンであり、スイッチSW303、SW305、SW307、SW309がオフである状態では、コンデンサC1、C2が互いに並列に接続されて並列接続体を構成し、コンデンサC3、C4が互いに並列に接続されて別の並列接続体を構成し、これら2つの並列接続体が入力端子512(電位Vdd)と共通端子(電位Vgnd)との間で互いに直列に端子512、513に接続される。
次に、スイッチ400aのスイッチSW401〜SW408の切り替えによるコンデンサC1〜C4の接続を説明する。スイッチ400aでコンデンサC1〜C4の接続を切り替える際には、スイッチ300aのスイッチSW301、SW305、SW307、SW311はオフである。
まず、スイッチ400aのスイッチSW401〜SW408がオンであり、スイッチ300aのスイッチSW301〜SW311がオフである状態では、コンデンサC1〜C4は入力端子512(電位Vdd)と出力端子514との間で互いに並列に端子512、514に接続される。
また、スイッチ400aのスイッチSW402、SW404、SW405、SW407とスイッチ300aのスイッチSW302、SW304、SW308、SW310がオンであり、スイッチ400aのスイッチSW401、SW403、SW406、SW408とスイッチ300aのスイッチSW303、SW306、SW309がオフである状態では、コンデンサC1、C2は互いに並列に接続されて並列接続体を構成し、コンデンサC3、C4も互いに並列に接続されて別の並列接続体を構成し、これら2つの並列接続体が入力端子512(電位Vdd)と出力端子514との間で互いに並列に端子512、514に接続される。すなわちコンデンサC1〜C4が入力端子512(電位Vdd)と出力端子514との間で互いに並列に端子512、514に接続される。
昇圧回路520の動作を以下に説明する。図25Aから図25Eは昇圧回路520の動作を示す回路図である。
図25Aと図25Bに示す動作では、昇圧回路520は入力端子512に供給された電位Vddを1.25倍して得られた昇圧電圧を出力電圧Voutを出力端子514から出力する。
図25Aに示すようにスイッチ300aのスイッチSW301、SW303、SW306、SW309、SW311をオンにしてスイッチ300a、400aのうちのこれら以外のスイッチをオフに維持することで、コンデンサC1〜C4が入力端子512(電位Vdd)と共通端子514(電位Vgnd)との間で互いに直列に端子512、514に接続される。これにより、コンデンサC1〜C4のそれぞれは0.25×Vddの電圧に充電される。
次に、図25Bに示すように、スイッチ400aのスイッチSW401〜408をオンにしスイッチ300aのスイッチSW301〜SW311をオフにすることでコンデンサC1〜C4が入力端子512(電位Vdd)と出力端子514との間で互いに並列に端子512、514に接続される。これにより、入力端子512の電位VddにコンデンサC1〜C4の電圧0.25×Vddが加算されて1.25×Vdd(=Vdd+0.25×Vdd)の電圧Voutが出力端子514と共通端子513との間から出力されるようにコンデンサC1〜C4が放電される。
図25Bと図25Cに示す動作では、昇圧回路520は入力端子512に供給された電位Vddを1.5倍して得られた昇圧電圧Voutを出力端子514から出力する。
図25Cに示すようにスイッチ300aのスイッチSW301、SW302、SW304、SW306、SW308、SW310、SW311をオンにし、スイッチ300a、400aのうちのこれら以外のスイッチをオフに維持することで、コンデンサC1、C2は互いに並列に接続されて並列接続体を構成し、コンデンサC3、C4も互いに並列に接続されて別の並列接続体を構成し、これの2つの並列接続体が入力端子512(電位Vdd)と共通端子513(電位Vgnd)との間で互いに直列に端子512、513に接続される。これにより、コンデンサC1〜C4のそれぞれは0.5×Vddの電圧で充電される。
次に、図25Bに示すように、スイッチ400aのスイッチSW401〜408をオンにしスイッチ300aのスイッチSW301〜SW311をオフにすることでコンデンサC1〜C4が入力端子512(電位Vdd)と出力端子514との間で互いに並列に端子512、514に接続される。これにより、入力端子512の電位VddにコンデンサC1〜C4の電圧0.5×Vddが加算されて、1.5×Vdd(=Vdd+0.5×Vdd)の電圧Voutが出力端子514と共通端子513との間から出力されるようにコンデンサC1〜C4が放電される。
図25Bと図25Dに示す動作では、昇圧回路520は入力端子512に供給された電位Vddを2.0倍して得られた昇圧電圧Voutを出力端子514から出力する。
図25Dに示すようにスイッチ300aのスイッチSW301、SW302、SW304、SW305、SW307、SW308、SW310、SW311をオンにし、スイッチ300a、400aのうちのこれら以外のスイッチをオフにすることにより、コンデンサC1〜C4が入力端子512(電位Vdd)と共通端子513(電位Vgnd)との間で互いに並列に端子512、613に接続される。これにより、コンデンサC1〜C4のそれぞれはVddの電圧で充電される。
次に、図25Bに示すように、スイッチ400aのスイッチSW401〜408をオンにしスイッチ300aのスイッチSW301〜SW311をオフにすることでコンデンサC1〜C4が入力端子512(電位Vdd)と出力端子514との間で互いに並列に端子512、514に接続される。これにより、入力端子512の電位VddにコンデンサC1〜C4の電圧Vddが加算されて、2.0×Vdd(=Vdd+Vdd)の電圧Voutが出力端子514と共通端子513との間から出力されるようにコンデンサC1〜C4が放電される。
図25Eに示す動作では、スイッチ300aのスイッチSW302、SW304、SW308、SW310とスイッチ400aのスイッチSW402、SW404、SW405、SW407をオンにしスイッチ300a、400aのうちのこれら以外のスイッチをオフにする。これにより、コンデンサC1〜C4が入力端子512(電位Vdd)と出力端子514との間で互いに並列に端子512、514に接続される。したがって、昇圧回路520は、図25Bに示す動作の代わりに図25Eに示す動作を行っても同様に端子512〜513とコンデンサC1〜C4を接続することができる。
図23は図24に示す昇圧回路520の出力電流能力をさらに示す。昇圧回路520は、図23に示すように、図17に示す昇圧回路510と同様に、昇圧比率を大きくしても出力電流能力の低下が抑制されている。これは、充電したコンデンサC1〜C4を放電する際に、コンデンサC1〜C4を並列に接続して昇圧電圧Voutを生成しているので、出力端子514から見たコンデンサC1〜C4の合成容量が小さくならないことに起因する。
以上のように、昇圧回路520においても、スイッチ300aはコンデンサC1〜C4を入力端子512(電位Vdd)と共通端子513(電位Vgnd)との間で直列又は並列に接続する。スイッチ400aは、コンデンサC1〜C4を入力端子512(電位Vdd)と出力端子514との間で並列に接続する。これによりコンデンサC1〜C4の放電の際においても出力端子514から見たコンデンサC1〜C4の合成容量が小さくなることを防ぐことができ、昇圧回路520の出力放電能力の低下を抑制することができる。
なお、図17(図24)に示す昇圧回路510(520)は4つのコンデンサC1〜C4を備えるが、これに限らず、複数のコンデンサを備えてもよい。昇圧回路510(520)は例えば、5つのコンデンサを備えてもよい。この場合、まず、スイッチ100a(300a)で5つのコンデンサを入力端子512(電位Vdd)と共通端子513(電位Vgnd)との間で互いに直列に入力端子512と共通端子513とに接続することで各コンデンサを0.2×Vddの電圧で充電する。次に、充電された5つのコンデンサを入力端子512と出力端子514との間で互いに並列に入力端子512と出力端子514に接続してこれらのコンデンサを放電することにより、昇圧回路は放電能力を維持しつつ、1.2×Vdd(=Vdd+0.2×Vdd)の昇圧電圧を出力端子から出力することができる。
図26は実施の形態4における昇圧装置530の回路図である。昇圧装置530は図1Bと図13に示す実施の形態1、2における昇圧回路19として用いることができる。昇圧装置530は、昇圧回路510aと、昇圧回路510aに接続されたスイッチ500aと、スイッチ500aを介して昇圧回路510aに接続された昇圧回路510bとを備える。昇圧回路510a、510bは、入力端子512a、512bと、共通端子513a、513bと出力端子514a、514bをそれぞれ有する。昇圧回路510a、510bは図17に示す昇圧回路510と同じ構成を有する。昇圧回路510a、510bの入力端子512a、512bは昇圧回路510の入力端子512に対応し、昇圧回路510a、510bの共通端子513a、513bは昇圧回路510の共通端子513に対応し、昇圧回路510a、510bの出力端子514a、514bは昇圧回路510の出力端子514に対応する。このように、昇圧装置530では、昇圧回路510aの出力端子514aがスイッチ500aを介して昇圧回路510bの入力端子512bに接続されており、すなわち2つの昇圧回路510a、510bが縦続接続されている。この構成により、さらに精細に昇圧比率を制御することができる。
昇圧装置530の構成を以下に詳述する。電圧源511aは昇圧回路510aの入力端子512aに電位Vddを供給する。昇圧回路510a、510bを接続するスイッチ500aはスイッチSW501、SW502よりなる。スイッチSW501は昇圧回路510aの出力端子514aと昇圧回路510bの入力端子512bとの間に直列に端子514a、512bに接続されている。スイッチSW502は電圧源511bと昇圧回路510bの入力端子512bとの間で直列に電圧源511bと入力端子512bに接続されている。電圧源511bはスイッチSW502を介して入力端子512bに電位Vddを供給する。
昇圧装置530の動作を以下に説明する。昇圧装置530では、昇圧回路510aの入力端子512aの電位に、昇圧回路510aの入力端子512aと出力端子514aの間の電圧と昇圧回路510bの入力端子512bと出力端子514bの間の電圧とを加算して得られた電圧を出力端子514bから出力する。例えば、スイッチ500aのスイッチSW501をオフにしてスイッチSW502をオンにした状態で、昇圧回路510aを図18Cに示す昇圧回路510と同様に動作させて昇圧回路510aのコンデンサC1〜C4のそれぞれを0.5×Vddの電圧で充電し、昇圧回路510bを図18Aに示す昇圧回路510と同様に動作させて昇圧回路510bのコンデンサC1〜C4のそれぞれを0.25×Vddの電圧で充電する。次に、スイッチ500aのスイッチSW501をオンにしてスイッチSW502をオフにした状態で、昇圧回路510a、510bを共に図18Bに示す昇圧回路510と同様に動作させて、昇圧回路510aのコンデンサC1〜C4を入力端子512aと出力端子514aの間で互いに並列に端子512a、514aに接続し、かつ昇圧回路510bのコンデンサC1〜C4を入力端子512bと出力端子514bの間で互いに並列に端子512b、514bに接続する。これにより、昇圧回路510aの出力端子514aから1.5×Vdd(=Vdd+0.5×Vdd)の電圧が出力され、昇圧回路510bの出力端子514bから1.75×Vdd(=1.5×Vdd+0.25×Vdd)の電圧Voutが出力される。
昇圧装置530は、昇圧回路510a、510bを様々に動作させることで電圧Voutを様々な値にすることができる。上記の動作のように、昇圧回路510a、510bの入力端子512a、512bに同じ電位Vddが供給される場合は、スイッチSW502を電圧源511bに接続する代わりに、スイッチSW502は、昇圧回路510a、510bの入力端子512a、512bの間に直列に入力端子512a、512bに接続されていてもよい。また、電圧源511a、511bの電圧を互いに異ならせることで、昇圧装置530は出力端子514bの電圧Voutをより精細に設定でき、昇圧比率をより精細に制御することができる。
実施の形態4における昇圧装置530の昇圧回路510a、510bは共に図17に示す昇圧回路510であるが、図24に示す昇圧回路520であっても同様の効果を有する。
このように、実施の形態4における昇圧回路510、520や昇圧装置530は高い電力変換効率で精細に昇圧比率を設定することができる。また、昇圧回路510、520や昇圧装置530は、直列に接続された同じ容量の複数のコンデンサの組み合わせで昇圧比率を設定できるので小型な回路で実現することが可能である。さらに、昇圧回路510、520や昇圧装置530は、昇圧比率に応じてコンデンサを並列接続させるので放電能力(出力電流能力)が大きく、負荷駆動能力に優れている。
実施の形態4における昇圧回路や昇圧装置は種々の電子機器に適用することができる。例えば、実施の形態4における昇圧回路は慣性センサ、LEDユニット、電源装置、電池ユニット等に適用が可能である。
(実施の形態5)
図27は実施の形態5における物理量検出装置551のブロック図である。実施の形態5における物理量検出装置551は、角速度を検出する角速度センサであり、実施の形態4における昇圧回路510、520もしくは昇圧装置530を備える。
物理量検出装置551は、振動子552、振動子552を駆動信号で発振駆動するための駆動回路553と、検出回路554とを備える。検出回路554は、外部から与えられる慣性力に起因して振動子552に生じる検出信号(電荷)を検出する。
検出回路554は、検出アンプ555と、検波器556と、ローパスフィルタ(LPF)557とを有する。実施の形態5では、検出アンプ555は、電流を電圧に変換するI/V変換増幅器である。
駆動回路553の初段に設けられる入力アンプ558は、オペアンプならびに帰還抵抗Rf、帰還容量Cfからなり、ローパスフィルタ特性をもつ積分型の電流/電圧変換アンプである。入力アンプ558は発振ループの構成要素の一つであり、振動子552からのモニタ信号(電荷)を電圧信号に変換する。入力アンプ558はローパスフィルタ特性をもつことによって不要な発振を効果的に防止することができる。駆動回路553は、この電圧信号を90°位相回転させて検出回路554に出力する移相器559と、この電圧信号に従って発振ループの利得(ゲイン)を自動的に調整するための自動利得調整(AGC)回路部560)とを有する。
AGC回路部560は、発振定常状態において、発振ループのループゲインが1になるように自動的に利得を調整する。駆動回路553の後段に設けられる出力アンプ562は、AGC回路部560からの信号を増幅して得られた駆動信号を振動子552に出力する。出力アンプ562は電圧を電圧に変換するV/V変換増幅器である。
駆動回路553には、振動子552が接続される。図27に示すように、振動子552は、モニタ信号を出力するモニタ端子D501と、振動子552に駆動信号を与えるためのドライブ端子D502と、検出信号を出力する検出端子Sとを有する。
検出回路554の構成と動作について以下に説明する。通常動作時には、駆動回路を含む発振ループによって振動子552に駆動振動周波数fdでの所定方向の駆動振動が生じる。この状態で振動子552が回転すると回転慣性力(コリオリ力)が加わると、その回転に起因して駆動振動と直交する方向にコリオリ力による振動が生じて検出端子Sから検出信号(電荷)が生成される。その検出信号は検出回路554の初段に設けられる検出アンプ555に入力される。
検出信号には、駆動振動の漏れ成分である不要成分が重畳されている。検出信号は駆動振動と直交する振動方向から生じるので、検出信号(コリオリ力に起因する成分)の位相と不要信号(駆動振動の漏れ成分)の周波数は共に周波数fdであるが、それらの位相には90度の差がある。この不要成分を除去するため、検波器556は、駆動回路553からの同期検波用参照信号によって検出信号を同期検波する。同期検波用参照信号は、駆動回路553の入力アンプ558からの出力信号に所定の位相回転を与える移相器559から出力される。
振動子552に一定の角速度が加わっている状況において、検波器556が同期検波した信号にはコリオリ力に起因する成分である直流と不要信号に起因する2×fdの成分が含まれる。
ローパスフィルタ557は不要信号に起因する2×fdの周波数の成分を除去して、角速度に対応する所望の角速度信号(直流)を出力する。
駆動回路553は、振動子552に駆動信号を出力する出力アンプ562と、出力アンプ562に電源電位を供給する電源部564と、電源電位を昇圧制御する昇圧回路565とを有する。
昇圧回路565は、電源電位を昇圧した昇圧電圧を出力アンプ562へ供給ことにより、出力アンプ562からの駆動電圧の振幅を大きくすることができる。
振動子552は、振動子552の構造の違い(例えば、機械振動するアームの重さや隣り合う複数のアームの間にある空間の大きさの違い)や周囲の気圧の違い(例えば、真空と大気圧の違い)、或いは振動子552を構成する材料の違いによって、温度に対する機械振動のし難さが異なる。即ち、実施の形態5における物理量検出装置551は、温度が高温又は低温の時に電源電位を昇圧した昇圧電圧を出力アンプ562へ供給して、出力アンプ562からの駆動電圧の振幅を大きくすることができる。したがって、振動子552の機械振幅に温度変化がある場合でも、振動子552の変位を大きくできるので、物理量検出装置551の検出感度を大きくすることができる。
また、昇圧回路565は、図17等に示される通り、昇圧比率を細かく切り替えることができるように複数個の同じ容量のコンデンサ備え、出力電流能力の低下を抑制することができる。したがって、実施の形態4における昇圧回路を内蔵する物理量検出装置551は消費電力が低く、小型な回路で、広い温度範囲において良好な感度特性を実現することが可能である。
実施の形態4における物理量検出装置551は角速度センサであるが、これに限定されるものではない。例えば、実施の形態5における物理量検出装置551は、振動型加速度センサや振動型角加速度センサ、振動型歪センサ、振動型圧力センサ、水晶発振器等に適用できる。
スイッチ400aはスイッチSW401〜SW408よりなる。スイッチSW401は入力端子512とコンデンサC1の端C1bとの間で直列に入力端子512と端C1bとに接続されている。スイッチSW402は入力端子512とコンデンサC2の端C2bとの間で直列に入力端子512と端C2bとに接続されている。スイッチSW403は入力端子512とコンデンサC3の端C3bとの間で直列に入力端子512と端C3bとに接続されている。スイッチSW404は入力端子512とコンデンサC4の端C4bとの間で直列に入力端子512と端C4bとに接続されている。スイッチSW405は出力端子514とコンデンサC1の端C1aとの間で直列に出力端子514と端C1aとに接続されている。スイッチSW406は出力端子514とコンデンサC2の端C2aとの間で直列に出力端子514と端C2aとに接続されている。スイッチSW407は出力端子514とコンデンサC3の端C3aとの間で直列に出力端子514と端C3aとに接続されている。スイッチSW408は出力端子514とコンデンサC4の端C4aとの間で直列に出力端子514と端C4aとに接続されている。
さらに、スイッチ300aのスイッチSW301、SW302、SW304、SW306、SW308、SW310、SW311がオンであり、スイッチSW303、SW305、SW307、SW309がオフである状態では、コンデンサC1、C2が互いに並列に接続されて並列接続体を構成し、コンデンサC3、C4が互いに並列に接続されて別の並列接続体を構成し、これら2つの並列接続体が入力端子512(電位Vdd)と共通端子513(電位Vgnd)との間で互いに直列に端子512、513に接続される。
駆動回路553の初段に設けられる入力アンプ558は、オペアンプならびに帰還抵抗Rf、帰還容量Cfからなり、ローパスフィルタ特性をもつ積分型の電流/電圧変換アンプである。入力アンプ558は発振ループの構成要素の一つであり、振動子552からのモニタ信号(電荷)を電圧信号に変換する。入力アンプ558はローパスフィルタ特性をもつことによって不要な発振を効果的に防止することができる。駆動回路553は、この電圧信号を90°位相回転させて検出回路554に出力する移相器559と、この電圧信号に従って発振ループの利得(ゲイン)を自動的に調整するための自動利得調整(AGC)回路部560とを有する。