JPWO2015002228A1 - スクロール部構造及び過給機 - Google Patents
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Abstract
過給機(1)は、タービン(2)と、コンプレッサ(3)と、を備える。タービン(2)は、タービン動翼(21)の回転軸周りに渦巻き形状に形成されたスクロール部(流路)(4)を備える。スクロール部(4)は、入口部(41)と出口部(42)との中間部分(43)で流路断面形状のアスペクト比が入口部(41)及び出口部(42)のアスペクト比よりも高くなるように構成されている。
Description
本発明は、流体を動翼に供給する渦巻き形状の流路を備えたスクロール部構造及び該スクロール部構造を備えた過給機に関し、特に、圧力損失を低減することができるスクロール部構造及び過給機に関する。
流体を動翼に供給して、流体の運動エネルギーを回転運動に変換して動力を得る回転式原動機は、一般にタービンと呼ばれている。かかるタービンを利用した装置の一つに過給機がある。例えば、車両用の過給機(ターボチャージャー)は、排気ガスの供給により回転するタービン動翼を含むタービンと、前記タービン動翼と同軸に連結された羽根車を含み、前記羽根車の回転により空気を吸入するコンプレッサと、を備えている。
前記コンプレッサにより吸入された空気は、圧縮されてエンジンに供給され、燃料と混合されて燃焼される。燃焼後の排気ガスは、前記タービンに送られて仕事をした後、最終的に大気中に放出される。前記排気ガスを前記タービン動翼に供給する流路は、排気ガスを加速させるためのスクロール部を有する。スクロール部は、前記タービン動翼の回転軸周りに渦巻き形状に形成され、前記タービン動翼の回転軸に向けて前記排気ガスを供給する流路として構成されている。
かかる過給機において、車両のエンジンの回転数に合わせて適切なタービン出力を得るために、可変容量過給機が開発されている(特許文献1及び2参照)。可変容量過給機は、スクロール部とタービン動翼との間の流路に配置される複数の回動可能なベーン(翼)を備えている。近年、過給機の性能向上が益々要求されるようになっており、可変容量過給機における圧力損失をより低減したいというニーズがある。
過給機の圧力損失を低減しようとした場合、同じ流量であれば流路断面積が大きい方が流速を抑えることができるため、圧力損失を低減させることができる。しかしながら、車載条件等との関係から、過給機又はタービンの設計において、スクロール部をある一定の大きさ以上に設計することができない。
そこで、特許文献2に記載されたようなスクロール部を内側に拡径した過給機が提案されている。かかる過給機では、特許文献1の図5と特許文献2の図1を比較すると理解しやすいように、シュラウドと呼ばれる可変ノズル機構の一部がスクロール部内に突出している。
しかしながら、特許文献2に記載されたような可変容量過給機では、スクロール部内に突出した可変ノズル機構の一部が排気ガスの流れを阻害し、流路断面積を大きくしたことによる圧力損失の低減効果を減殺してしまう。
本発明は上述した問題点に鑑み創案されたものであり、可変ノズル機構の一部がスクロール部に突出した場合でも、動翼に供給される流体の圧力損失を低減することができるスクロール部構造及び過給機を提供することを目的とする。換言すれば、本発明は、スクロール部に可変ノズル機構を設けた場合であっても、突出した可変ノズル機構の一部による、流体の圧力損失の低減への影響が少ないスクロール部構造及び過給機を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様はスクロール部構造であって、流体を動翼に供給して動力を得るタービンの前記動翼の回転軸周りに、入口部、出口部、および前記入口部と前記出口部の中間部分からなる渦巻き形状に形成された流路を備え、前記中間部分の流路断面形状のアスペクト比は、前記入口部及び前記出口部のアスペクト比よりも高く、前記アスペクト比は、(前記流路断面形状の前記タービンの軸方向長さ)/(前記流路断面形状の前記タービンの径方向長さ)によって定義され、前記中間部分は少なくとも前記アスペクト比が1.8以上の部分を有することを要旨とする。
本発明の第2の態様は、排気ガスの供給により回転するタービン動翼を含むタービンと、前記タービン動翼と同軸に連結された羽根車を含み、前記羽根車の回転により空気を吸入するコンプレッサと、を有する過給機であって、第1の態様に係るスクロール部構造を備えていることを要旨とする。
前記スクロール部は、始点から30°〜120°の範囲内で前記アスペクト比のピーク値を有してもよい。前記ピーク値は、2.0〜3.0の範囲内に設定されてもよい。
前記タービンは、前記スクロール部から前記動翼に流体を供給する導入路に複数の回動可能なベーンを配置した可変ノズル機構を備え、該可変ノズル機構の一部が前記スクロール部に突出するように配置されていてもよい。
上述した本発明のスクロール部構造及び過給機によれば、スクロール部の中間部分で流路断面形状のアスペクト比を高くすることにより、スクロール部の流路断面積を確保しつつ、流路断面形状を扁平形状に構成することができる。したがって、可変ノズル機構の一部がスクロール部に突出するように配置されたタービン又は該タービンを有する過給機であっても、突出した部分を避けるようにスクロール部の流路を形成することができ、動翼に供給される流体の圧力損失を低減することができる。
以下、本発明の実施形態について図1〜図6を用いて説明する。ここで、図1は、本実施形態に係る過給機を示す断面図である。図2(a)は本実施形態に係るスクロール部構造を示す平面図である。図2(b)は従来技術に係るスクロール部構造を示す平面図である。 図3(a)は図2(a)に示したスクロール部の流路断面形状を積層して表示した断層図である。図3(b)は図2(b)に示したスクロール部の流路断面形状を積層して表示した断層図である。
本実施形態に係る過給機1は、排気ガスの供給により回転するタービン動翼21を含むタービン2と、タービン動翼21と同軸に連結された羽根車31を含み、羽根車31の回転により空気を吸入するコンプレッサ3と、を備える。タービン2は、タービン動翼21の回転軸周りに渦巻き形状に形成された流路としてのスクロール部4を有する。スクロール部(流路)4は、入口部41、出口部42、入口部41と出口部42との中間部分43とからなる。中間部分43の流路断面形状のアスペクト比は、入口部41及び出口部42のアスペクト比よりも高い。ここで、アスペクト比は、(流路断面形状のタービン2の軸方向長さLa)/(流路断面形状のタービン2の径方向長さLr)によって定義される。中間部分43は少なくともアスペクト比が1.8以上の部分を有する。
過給機1の外形は、タービン2の筐体を構成するタービンハウジング22と、コンプレッサ3の筐体を構成するコンプレッサハウジング32と、タービンディスク23と羽根車31を連結する回転軸5を支持するセンターハウジング51と、により構成されている。スクロール部4は、タービンハウジング22の一部を構成している。
過給機1は、いわゆる車両用過給機である。また、過給機1は、可変ノズル機構6を備えた可変容量過給機でもある。可変ノズル機構6は、車両のエンジンの回転数に合わせて適切なタービン2の出力を得るために、スクロール部4とタービン動翼21との間の流路に配置された複数の回動可能なベーン61を備える。
可変ノズル機構6は、タービンハウジング22に固定された環状のシュラウド62と、タービンハウジング22及びセンターハウジング51の間に支持された環状の支持リング63と、シュラウド62及び支持リング63の間で回動可能に支持された複数のベーン61と、ベーン61を回動させる駆動機構64と、シュラウド62と支持リング63との間隔を保持するピン65と、から構成されている。したがって、シュラウド62と支持リング63とにより囲まれた部分が、スクロール部4を流れる排気ガスをタービン動翼21に供給する導入路7を構成し、シュラウド62の一部が図4(b)に示した突出部8に相当する。
なお、駆動機構64は、例えば、リンク機構により構成されている。駆動機構64には、過給機1の外部に配置されたアクチュエータ(図示せず)により動力が与えられる。この動力によって、駆動機構64は複数のベーン61を同期させながら角度を変更できる。
以下、スクロール部構造について詳述する。図2(a)に示したように、スクロール部(流路)4は、流路断面積が大きな入口部41から流路断面積が小さな出口部42に向かって渦巻き状に形成されている。説明の便宜上、スクロール部4の内側の曲線を内縁と称し、スクロール部4の外側の曲線を外縁と称する。
ここで、入口部41から供給される排気ガスGの流れ方向とスクロール部4を構成する外縁の接線方向が一致する点を始点P1として位相を0°に設定する。この始点P1よりも上流側の部分が入口部41を構成し、下流側に向かって(図では反時計回りに)位相が増加するものとする。したがって、入口部41は、位相が約−60°〜0°の範囲に相当し、出口部42は、位相が270°〜約300°の範囲に相当し、中間部分43は、位相が0°〜270°の範囲に相当する。
また、半径Rの円C1は、スクロール部4の設計時に与えられる最大外形を規定するフレームサイズである。半径rの円C2は、スクロール部4の設計時に与えられるシュラウドを規定するフレームサイズである。なお、半径R,rの大きさは、適用されるタービン又は過給機の種類や出力に応じて異なる。
図2(a)に示したように、スクロール部4の外縁は、例えば、始点P1から中間部分43内の中間点P2に至るまで円C1に沿って形成され、中間点P2から終点P3に向かって円C1から漸減するように形成される。この中間点P2は、例えば、位相が180°〜270°の範囲内に設定される。
また、スクロール部4の内縁は、例えば、始点Q1から円C2に向かって漸増し中間部分43内の中間点Q2から終点P3に至るまで円C2に沿って形成される。この中間点Q2は、例えば、位相が45°〜135°の範囲内に設定される。
それに対して、図2(b)に示したように、従来技術のスクロール部40は、一般に、円C2がスクロール部40の中心線となるように形成されている。したがって、スクロール部40の外縁は、始点P1から終点P3に向かって漸減し、スクロール部40の内縁は、始点Q1から終点P3に向かって漸増するように形成される。
図2(a)及び図2(b)の比較から判るように、本実施形態におけるスクロール部4は、フレーム外形、すなわち、円C1に寄せた形状を有している。また、スクロール部4の中心から内縁までの距離は、従来技術のスクロール部40よりも大きい。その結果、後述するように、突出部8のスクロール部4への突出量を従来よりも少なくすることができる。
図3(a)及び図3(b)に示した断層図は、位相30°ごとにスクロール部4,40を切断し、位相−60°の流路断面(即ち、主流に対して垂直な面)S1、位相−45°の流路断面S2、位相0°の流路断面S3、位相30°の流路断面S4、位相60°の流路断面S5、位相90°の流路断面S6、位相120°の流路断面S7、位相150°の流路断面S8、位相180°の流路断面S9、位相210°の流路断面S10、位相240°の流路断面S11、位相270°の流路断面S12、位相300°の流路断面S13、を積層して表示したものである。なお、各位相の値は流路に沿った基準線(例えば中心軸)上の位置に対する指標として与えられている。また、図中の矩形部分は突出部8を示している。
これらの図からわかるように、本実施形態におけるスクロール部4は、流路断面形状のタービン2の軸方向長さLaが、従来技術におけるスクロール部40の流路断面形状のタービン2の軸方向長さLa′よりも長く形成されている。また、本実施形態におけるスクロール部4は、流路断面形状のタービン2の径方向長さLrが、位相90°の流路断面S6において、突出部8の上端部に接近している。これに対して、従来技術におけるスクロール部40は、流路断面形状のタービン2の径方向長さLrが、位相180°の流路断面S9において、突出部8の上端部に接近している。なお、0°以下の位相の流路断面(即ち入口部41における各流路断面)での径方向長さLrとは、当該流路断面において軸方向長さLaに垂直な方向の長さを意味する。
これは、本実施形態におけるスクロール部4では、位相90°〜300°の範囲内において突出部8の突出量が少なく、特に、位相90°〜180°の範囲内において、従来技術におけるスクロール部40よりも突出部8の突出量が少ないことを意味している。
概念的には、位相90°〜180°の範囲内において、スクロール部4をフレーム外形に寄せることによって、流路断面形状のタービン2の径方向長さLrを従来技術の径方向長さLr′よりも短くし、流路断面積を確保するために、流路断面形状を軸方向長さLaに引き延ばしたものといえる。
すなわち、スクロール部4の中間部分43は、流路断面形状のタービン2の軸方向長さLaを長くして、流路断面形状のタービン2の径方向長さLrを短くすることにより、アスペクト比が高くなるように構成されている。その結果、本実施形態におけるスクロール部4は、中間部分43において、(流路断面形状のタービン2の軸方向長さLa)/(流路断面形状のタービン2の径方向長さLr)によって定義されるアスペクト比が従来技術のスクロール部40よりも高くなるように形成されている。
図4(a)は、本実施形態に係るスクロール部4のアスペクト比を示す図である。図4(b)は本実施形態の変形例に係るスクロール部のアスペクト比を示す図である。各図において、横軸は位相(°)、縦軸はアスペクト比、を示している。また、図4(a)において、四角(□)は本実施形態におけるスクロール部4の数値を示し、丸(○)は従来技術におけるスクロール部40の数値を示している。
図4(a)に示したように、本実施形態におけるスクロール部4のアスペクト比は、位相−60°で1.0(円形状)である。アスペクト比は、位相が増加するに連れて滑らかに上昇し、位相90°でピーク値2.6に達し、その後滑らかに下降し、位相270°で約1.3になる。このように、アスペクト比を滑らかな曲線で構成することにより、スクロール部4を流れる排気ガスの圧力損失を低減することができる。
一方、従来技術におけるスクロール部40のアスペクト比は、位相−60°で1.0(円形状)である。アスペクト比は、位相が増加するに連れて上昇し、位相90°〜180°の範囲で略一定値1.7となり、その後下降し、位相270°で約1.1になる。
図示したように、従来技術におけるスクロール部40は、アスペクト比が1.8未満であるのに対し、本実施形態におけるスクロール部4は、中間部分43においてアスペクト比が1.8以上である部分を有している。すなわち、本実施形態におけるスクロール部4は、従来技術におけるスクロール部40よりも扁平形状を有している。
本実施形態におけるスクロール部4は、図示した形状に限定されるものではなく、例えば、始点P1から位相30°〜120°の範囲内でアスペクト比のピーク値を有していてもよいし、ピーク値は2.0〜3.0の範囲内に設定されていてもよい。図4(b)には、変形例として、位相60°でアスペクト比のピーク値3.0を有する第一変形例(□)と、位相90°でアスペクト比のピーク値2.0を有する第二変形例(○)と、を図示している。
第一変形例に示したように、アスペクト比のピーク値を位相90°よりも上流側に設定することにより、早い段階で突出部8の突出量を低減させることができ、突出部8による圧力損失をより低減することができる。また、第二変形例に示したように、アスペクト比のピーク値を位相90°よりも下流側に設定することにより、流路断面形状の変形をより滑らかにすることができ、流路断面形状の変化に伴う圧力損失を低減しやすくすることができる。
ところで、アスペクト比を高くするためには、流路断面形状のタービン2の軸方向長さLaをより長くすることが好ましい。しかしながら、スクロール部4は、図1に示したように、一般的に、入口部41に他の配管との取り合い部分を構成するフランジ部44を有している。このフランジ部44の軸方向端部ラインWよりも外側にスクロール部4がはみ出てしまうと、他の車載部品と干渉してしまう可能性がある。そこで、スクロール部4の外形がフランジ部44からはみ出さないように構成することが好ましい。
上述した本実施形態に係るスクロール部構造及び過給機1によれば、スクロール部4の中間部分43で流路断面形状のアスペクト比を高くすることにより、スクロール部4の流路断面積を確保しつつ、流路断面形状を扁平形状に構成することができ、可変ノズル機構6の一部がスクロール部4に突出するように配置されたタービン2であっても、突出部8を避けるようにスクロール部4の流路を形成することができ、タービン動翼21に供給される流体の圧力損失を低減することができる。
ここで、上述したスクロール部構造の効果について図5(a)及び図5(b)を参照しつつ説明する。図5(a)及び図5(b)は、CFD(Computational Fluid Dynamics:数値流体力学)を用いたスクロール部における全圧分布の解析結果の一例を示す図である。図5(a)は本実施形態に係るスクロール部4に対する解析結果を示している。図5(b)は従来技術に係るスクロール部に対する解析結果を示している。なお、各図において、圧力分布図は位相90°の流路断面S6の場合を例示的に図示している。
図5(a)に示したように、本実施形態におけるスクロール部4の流路断面の中央部分から外縁部分に渡って高圧のエリアαが広く分布しており、内縁側の部分に低圧のエリアβが僅かに分布している。それに対して、図5(b)に示したように、従来技術におけるスクロール部40の流路断面の中央部分から外縁部分に渡って高圧のエリアα′が広く分布しており、内縁側の部分に低圧のエリアβ′が広く分布している。
ここでは、圧力分布図をグレースケールで表示しているが、実際のCFD解析結果の圧力分布図では、圧力分布がカラー表示されており、圧力が高い方から順に、赤色(レベル1)→橙色(レベル2)→黄色(レベル3)→緑色(レベル4)→青色(レベル5)と表示されている。そして、エリアβとエリアβ′を比較した場合、エリアβでは、緑色(レベル4)で留まっているのに対し、エリアβ′では青色(レベル5)まで達しており、本実施形態に係るスクロール部構造では圧力損失が低減できていることを視覚的に理解することができる。
上述した本実施形態に係るスクロール部構造の評価試験結果について、図6(a)及び図6(b)を参照しつつ説明する。ここで、図6(a)及び図6(b)は、タービンの要素試験結果を示す図である。図6(a)はタービン効率を示している。図6(b)はタービン流量比を示している。各図において、図2(a)及び図3(a)に示した本実施形態に係るスクロール部構造のデータを四角(□)及び実線で図示し、図2(b)及び図3(b)に示した従来技術に係るスクロール部構造のデータを丸(○)及び破線で図示している。
本要素試験は、過給機の単体試験設備にて、タービンに高圧及び高温の燃焼ガスを供給することによってタービン軸を回転させ、タービン出入口の圧力比(出口圧力/入口圧力)とタービンを通過する流量を計測するとともに、同軸上のコンプレッサの消費動力を計測してタービン効率を算出したものである。
図6(a)において、横軸は圧力比、縦軸はタービン効率(%)を示している。図示したように、高回転数におけるタービン効率については、従来技術に係るスクロール部構造を有するタービンと本実施形態に係るスクロール部構造を有するタービンとの間で顕著な差異は見られなかった。しかしながら、低回転数におけるタービン効率ついては、従来技術に係るスクロール部構造を有するタービンよりも本実施形態に係るスクロール部構造を有するタービンの方が約2〜3pts優れていることが理解できる。一般に、低回転数領域は、過給機(タービン)の運転時に必ず使用(又は通過)する領域であり、低回転数領域のタービン効率を僅かでも改善することは非常に有意義である。
図6(b)において、横軸は圧力比、縦軸はタービン流量比(本実施形態に係るスクロール部構造を有するタービン流量/従来技術に係るスクロール部構造を有するタービン流量)を示している。図示したように、タービン流量比については、高回転数の場合においても低回転数の場合においても、従来技術に係るスクロール部構造を有するタービンよりも本実施形態に係るスクロール部構造を有するタービンの方が約2〜3%優れていることが理解できる。
上述した本評価試験結果によれば、本実施形態に係るスクロール部構造を有する過給機は、動翼に供給される流体の圧力損失を低減したことにより、従来技術に係るスクロール部構造を有する過給機と比較して、タービン効率を改善することができるとともに、流量の増大を図ることができる。
なお、図1に示した過給機1は、図示した構造のものに限定されるものではなく、可変ノズル機構6の構成が異なる過給機や可変ノズル機構6を有しない過給機であってもよいし、車両用以外の過給機であってもよいし、排気ガス以外の気体や水等の液体により駆動されるタービン2を有するものであってもよい。
本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
Claims (5)
- スクロール部構造であって、
流体を動翼に供給して動力を得るタービンの前記動翼の回転軸周りに、入口部、出口部、および前記入口部と前記出口部の中間部分からなる渦巻き形状に形成された流路を備え、
前記中間部分の流路断面形状のアスペクト比は、前記入口部及び前記出口部のアスペクト比よりも高く、
前記アスペクト比は、(前記流路断面形状の前記タービンの軸方向長さ)/(前記流路断面形状の前記タービンの径方向長さ)によって定義され、
前記中間部分は少なくとも前記アスペクト比が1.8以上の部分を有する
ことを特徴とするスクロール部構造。 - 前記流路は、始点から30°〜120°の範囲内で前記アスペクト比のピーク値を有することを特徴とする請求項1に記載のスクロール部構造。
- 前記ピーク値は、2.0〜3.0の範囲内に設定されていることを特徴とする請求項2に記載のスクロール部構造。
- 前記タービンは、前記流路から前記動翼に流体を供給する導入路に複数の回動可能なベーンを配置した可変ノズル機構を備え、
該可変ノズル機構の一部が前記流路に突出するように配置されていることを特徴とする請求項3に記載のスクロール部構造。 - 排気ガスの供給により回転するタービン動翼を含むタービンと、前記タービン動翼と同軸に連結された羽根車を含み、前記羽根車の回転により空気を吸入するコンプレッサと、を有する過給機であって、
前記タービンは請求項1〜請求項4の何れか一項に記載のスクロール部構造を備えていることを特徴とする過給機。
Applications Claiming Priority (3)
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