JP4636287B2 - 排気ガスターボチャージャのタービンホイール - Google Patents

排気ガスターボチャージャのタービンホイール Download PDF

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Description

本発明は、請求項1の前段による排気ガスターボチャージャのタービンホイールに関する。
特許文献1は、吸気側のコンプレッサと排気側のタービンとから構成される内燃機関用の排気ガスターボチャージャを開示している。このタービンは圧力を有する排気ガスによって駆動され、その回転運動がコンプレッサホイールに伝達され、それによって、コンプレッサホイールが大気空気を、内燃機関のシリンダに供給される昇圧された給気圧力に圧縮する。タービンの入口断面、つまりタービンのホイールの上流側に、可変調節し得るガイド格子が装着されており、これによって、タービンの有効入口断面積を、内燃機関の現時点の運転状態に応じて望ましい値に設定することができる。この結果、内燃機関の挙動を、エンジンブレーキモード及び加速運転モードの両方において最適化することができる。エンジンブレーキモードにおいては、ガイド格子が、流入断面積を縮減する絞り位置に動かされ、その結果、排気ガスがタービンの上流側で絞られ、内燃機関は、上昇した排気ガスの背圧に対抗する付加的なコンプレッサの仕事を出力しなければならなくなる。これは、エンジンブレーキ力の大幅な増加をもたらす。逆に、加速運転モードにおいては、エンジンの出力を増進するために、ガイド格子が、流入断面積を大きくする開位置に調節され、タービンを通過する排気ガスの最大スループットが可能になる。
エンジンブレーキモードにおいては、エンジンブレーキ力が高いためにタービンホイールの負荷が最大になる。排気ガスの高い背圧は、縮小された流れの断面積と相俟って高速の圧縮サージングを発生させ、そのサージングは、それがタービンホイールを衝打する時にタービンホイールのブレードを破壊する可能性がある。このような破壊を避けるためには、タービンホイールのブレードが、その第1次固有振動数の領域に決して励振されないことを保証する必要がある。そうでなければ破壊の危険性は著しく高まるであろう。これに対処するために、例えばタービンホイールのブレードの厚さを厚くすることができる。しかし、これは、好ましくない慣性モーメントの増大を招き、排気ガスターボチャージャの過渡的な挙動を悪化させる。さらに、特にエンジンブレーキ負荷においてブレーキ力をさらに増大させる点から見た場合には望ましいものの、タービン回転数を増大させることは一層困難になる。
特許文献2は、吸気側のコンプレッサと、排気側のタービンとを有する内燃機関用の排気ガスターボチャージャを提示している。タービンホイールは、圧力を保ったまま排出されるエンジンの排気ガスによって駆動され、そのタービンホイールの回転運動がシャフトを介してコンプレッサホイールに伝達される。それによって、コンプレッサホイールが、大気空気を吸引し、それを、内燃機関の入口に供給される昇圧された給気圧力に圧縮する。タービンのハウジングにおいて、2つの排気ガス流が形成され、そのそれぞれを経由して排気ガスがタービンホイールに供給される。2つの排気ガス流は、タービンホイールのハブ上に配置されるタービンホイールのブレードに対して、軸方向の流れ又は半径方向の流れで流入する。軸方向又は半径方向においてタービンホイールのブレードに作用する排気ガス流れの排気ガスは、タービンホイール内で軸方向流れに方向転換され、軸方向にタービンホイールから流出する。高い回転速度の運転中に発生する高い負荷の吸収を可能にするために、タービンホイールのブレードは、タービンホイールのハブとの結合部分においてその厚さが増大されている。
独国特許出願公開第102 12 032 A1号明細書 米国特許第5,094,587号明細書
本発明は、簡単な手段によって、特にエンジンブレーキモードにおける高ブレーキ力を達成し、長い稼動寿命を持つ排気ガスターボチャージャのタービンホイールを提供することを目的とする。
本発明によれば、この課題は、請求項1の特徴によって解決される。従属請求項はその好適な実施形態を示す。
タービンホイールのブレードは、タービンホイールの各ブレードの外側輪郭部付近の厚さに対するハブ輪郭部付近の厚さの比が、タービン出口に隣接する側のタービンホイールの軸方向の少なくとも半分の長さ領域において、8を超えるか、あるいは場合によっては8に等しいように、即ち、ハブ輪郭部付近のブレードの厚さが、外側輪郭部付近におけるブレードの厚さよりも少なくとも8倍厚くなるように構成される。タービンホイールの各ブレードの、この厚さの比によって、各ブレードが、タービンホイールのハブの領域では相対的に厚くなり、その外側輪郭の領域では相対的に薄くなることが保証される。外側輪郭の領域においてブレードが相対的に薄いことは、高いタービン効率レベルの要件に適合する。慣性モーメントは比較的低く抑えられたままであり、これは、タービン回転速度の増加と、同時に、過渡モードにおけるタービン出力の超比例的な増加とに有利である。同時に、ハブの範囲が相対的に厚い壁体で構成されることによって、タービンの増速された回転速度においても十分な安定性が確保される。
ターボチャージャの速度を例えば10%だけ増速することは、それだけですでに約30%のエンジンブレーキ力を増大することになるので、排気ガスターボチャージャの回転速度を増大する手段は、エンジンブレーキ力レベルの超比例的な増大を招く結果になる。本発明によるタービンホイールのブレードの形態は、特にホイールのハブの領域における相対的に厚い壁体構造の結果として、タービンホイールの第1次固有振動数が大幅に高められる。そのため、増速されたチャージャの速度においても、共振速度からの十分な距離を維持することが可能になり、ブレード破壊の危険性が大幅に減退する。
この方法で構成されたタービンホイールは、タービンの有効入口断面積を可変的に設定する可変タービンジオメトリを備えたタービンに用いることが特に好ましい。このような可変タービンジオメトリは、エンジンブレーキモード及び加速運転モードの両方において出力を増大させるために用いられる。可変タービンジオメトリ用として、特に、タービン入口断面に配置され、調節可能なガイドブレードを有するガイド格子が考えられる。可変タービンジオメトリは、基本的に、最小の流れ断面積にする絞り位置と、最大範囲まで開かれた流れ断面積を有する開位置との間で調節されるものとする。タービンに可変タービンジオメトリを用いることによって、タービンホイールの負荷が増大する結果がもたらされる。それは、特に、可変タービンジオメトリが絞り位置にある場合に、隣接するガイドブレード間に高速の圧縮サージングが出現し、このサージングがタービンホイールに衝撃を与える可能性があるからである。しかし、このような増大負荷も、タービンホイールのブレードの上記の構造によって補償することができる。
半径方向、ハブ輪郭部と外側輪郭部との間におけるブレードの厚さの変化は、タービンホイールのブレードの半径を変数とする指数関数に従うのが好適である。この指数関数のべき指数は、1より大きく、2より小さい値、特に1.2以下に取るのが有利である。これは、タービンホイールのハブに隣接する領域でのブレードの厚さを、タービンホイールの外側輪郭部付近でのブレードの厚さよりも非比例的に厚くすることを意味している。
さらに好適な実施形態によれば、タービン入口に隣接するタービンホイールの軸方向の端部の壁体を、タービンホイールのブレードの最大外径まで半径方向に拡大することが想定されている。タービンホイールの端部壁体又は背面壁を先行技術に比較して半径方向に大きく拡大することによって、効率を2%以上有利に高めることができる。複流の非対称タービンハウジングの場合には、場合によっては、この効率の向上は5%を超えるまでに高められる。これは、誤流れ及び好ましくない渦生成が減少するかあるいは完全になくなるからである。ホイールの外面領域における壁体の慣性及び剛性の増加を低く抑えるために、端部壁体の軸方向の厚さは、タービンホイールのブレードの最大外径の1%未満に選定することが好ましい。
さらに別の有利かつ好適な実施形態は、各請求項、図面の説明、及び図面から明らかになるであろう。
図1に示される内燃機関1(ディーゼル式または火花点火式内燃機関)は、内燃機関の排気ライン4に設けられるタービン3と、吸気ライン6に設けられるコンプレッサ5とを含む排気ガスターボチャージャ2を備えた過給エンジンである。タービン3のタービンホイールとコンプレッサ5のコンプレッサホイールとはシャフト7によって回転可能なように相互に連結されている。内燃機関の加速運転モードにおいては、エンジンから高圧力で排出される排気ガスがタービンホイールを駆動し、その回転運動がシャフト7を介してコンプレッサホイールに伝達される。その結果、大気圧の空気が吸引され、昇圧給気圧力に圧縮される。過給効率を改善するため、タービン3には、特にタービン入口断面における調節可能なガイドブレードを有するガイド格子リングとして構成される可変タービンジオメトリ8が装着される。
コンプレッサ5によって圧縮された燃焼空気は、吸気ライン6のコンプレッサの下流側に配置されるインタークーラ9において冷却され、続いて給気圧力を保ったまま内燃機関1のシリンダに供給される。排気ガス側においては、排気ガスが、排気ライン4を経由してタービン3に流入してタービンホイールを駆動し、続いて圧力緩和された状態でタービンから流出し、排気ガス後処理装置に導かれる。
さらに、内燃機関1には、タービン3の上流側の排気ライン4とインタークーラ9の下流側の吸気ライン6との間の再循環ラインを含む排気ガス再循環装置10が設けられる。再循環ラインには調節弁及びEGRクーラーが配置される。
内燃機関1に配備されるすべての調節可能な機器は、閉ループ及び開ループの制御ユニット11によって、内燃機関の状態変数及び操作変数に応じて設定される。これらの機器は、例えば、可変タービンジオメトリ8、又は、排気ガス再循環装置10の弁である。
図2に示すタービンホイール12は、回転軸14の軸方向に伸びるタービンホイールのハブ13とタービンホイールのブレード15とを有する。タービンホイールの複数のブレード15は、タービンホイールのハブから伸び、全周に均一に分布するように配置され、特にタービンホイールのハブと1個の部品として一体成形される。図2においては、タービンホイールの1つのブレード15が格子状の網目により図示されており、この格子状の網目が、3次元に湾曲しているタービンホイールのブレード15の形状変化または方位を示している。
タービンホイールのブレード15は、半径方向のタービン入口とタービン出口との間に延在している。タービン入口はタービンホイールの入口端16によって規定され、そこから、内燃機関の排気ガスがタービンホイールに対して半径方向に流入する。タービン出口は、タービンホイールの軸方向の出口端17によって規定される。従って、図示のタービンホイール12は、ラジアル流タービンに用いるのに適している。タービンホイールの出口端17は、タービンホイールの回転軸14に垂直な平面とある角度γを有しており、その角度だけ、タービンホイールのブレード15の半径方向の外面領域が後退している。この角度γは、5°〜20°の範囲の値、特に約10°とするのが好適である。
タービンホイールのブレード15は、タービンホイールのハブ13のハブ輪郭部18と、タービンホイールのブレードを半径方向に包囲する外側輪郭部19との間の半径方向に位置している。ハブ輪郭部18と外側輪郭部19との間の任意の軸方向位置におけるタービンホイールの各ブレード15の回転方向の厚さdは、次式、すなわち、
d=d+( n −d)(h/hex
に従うのが好適である。
但し、式中、hは、タービンホイールのブレード領域における半径方向の位置を示しており、外径を起点として半径方向に内側に延びる方向に測定するものとする。hは、タービンホイールのハブと外径との間の半径方向の距離であり、exは、1〜2の間の範囲の値で、特に1.2以下の値に取られるべき指数である。dはハブ輪郭部18の領域におけるタービンホイールのブレードの厚さを示し、dは外側輪郭部19の領域におけるタービンホイールのブレードの厚さを示す(図3も参照のこと)。図2に示すタービンホイールの入口端16とタービンホイールの出口端17との間の格子状の網目の線は、タービンホイールのブレードにおける等高線であり、ハブ輪郭部18からの距離と外側輪郭部19からの距離の比は、1つの高さの線に沿って一定のままである。
タービンホイールのブレード15は、軸方向に、軸の長さlaxにわたって延びている。タービンホイールの入口端16は、タービンホイールのブレードの最大外径Dまで半径方向に延びる背面の壁となる端部壁体20によってその軸方向の境界が定められる。タービンホイールの入口端16は、又、この最大外径Dの領域に位置している。タービンホイールのブレード15は、軸方向において端部壁体20に直接接しており、ホイールの出口端17まで軸方向に延びている。
端部壁体20の軸方向の厚さaStは、タービンホイールのブレードの最大外径Dの1%未満とするのが好ましい。すなわち、
St<0.01D
とするのが良い。
端部壁体20に対するこの厚さaStの条件によって、端部壁体が半径方向に大きく拡大しているにも拘らず、タービンホイール12の慣性モーメントは僅かしか増大しないことが保証される。これは、流れの形状の改善と安定性の増大という利得を得るために支払われる代価である。
図3に表現される線は、タービン入口とタービン出口との間に延びる図2の等高線に対応している。この等高線は、それぞれハブ輪郭部から及び外側輪郭部から一定の距離比にある。図3の一群の曲線は、下方においては、外側輪郭部領域の線によって直接境界が定められ、タービンホイールの各ブレードは外側輪郭部領域では厚さdを有している。上向きの方向においては、曲線群は、ハブ輪郭部領域の線によって直接境界が定められ、タービンホイールの各ブレードはハブ輪郭部領域ではブレードの厚さdを有する。
タービンホイールの各ブレード15は、タービンホイールの外側輪郭部付近での厚さdに対するハブ輪郭部付近での厚さdの比が、次式、すなわち、
/d>8
に従うように構成される。この関係は、タービン出口に面する側のタービンホイールの軸方向の半分の長さにだけ、すなわち、
x/lax>0.5
の範囲においてのみ適用される。但し、式中、xは、タービン入口に隣接するタービンホイールの端部壁体20の内側を基点とする軸方向の距離(位置)を表す。
外側輪郭部とハブ輪郭部との間の中間領域においては、タービンホイールの各ブレードの厚さdは、半径方向の位置を変数とする前記の指数関数に従う。
排気ガスターボチャージャを有する内燃機関であって、排気ガスターボチャージャのタービンが可変タービンジオメトリを備える内燃機関の概略図である。 タービンの側面図である。 タービンホイールのブレードの厚さの変化を軸方向位置の関数として示す図表であり、ホイールのハブ輪郭部と外側輪郭部との間の半径方向に間隔配置された複数の位置に対する、タービンホイール入口とタービンホイール出口との間のブレードの厚さの変化を表す図表である。

Claims (5)

  1. 排気ガスターボチャージャ(2)のタービン(3)におけるタービンホイールであり、タービンホイールのハブ(13)と、該ハブ(13)上に形成され、タービン入口(16)とタービン出口(17)との間において軸方向に延びる複数のブレード(15)を有するタービンホイールにおいて、
    前記タービンホイールが半径方向のタービン入口を備え、前記ブレード(15)が前記タービン入口(16)の領域で最大外径(D)を有し、
    前記タービン入口(16)に隣接する前記タービンホイール(12)の端部壁体(20)が、前記ブレード(15)の最大外径(D)まで半径方向に延びており、
    タービンホイールの各ブレード(15)の、外側輪郭部付近の厚さ(d)に対するハブ輪郭部付近の厚さ(d)の比が、前記タービン出口(17)に面する側の前記タービンホイール(12)の軸方向の半分の長さにおいて、次式、
    x/lax>0.5のところで、d/d>8
    (式中、
    は、タービンホイールのブレード(15)のハブ輪郭部付近での厚さを表し、
    は、タービンホイールのブレード(15)の外側輪郭部付近での厚さを表し、
    xは、タービン入口(16)に隣接するタービンホイール(12)の端部壁体を基点とする軸方向の位置を表し、
    axは、タービンホイール(12)の軸方向の全長を表す)
    に従うように、前記タービンホイールのブレード(15)が形成されることを特徴とするタービンホイール。
  2. タービンホイールの、ハブ輪郭部(18)と外側輪郭部(19)との間の各ブレード(15)の厚さ(d)が、次式、すなわち、
    d=d+( n −d)(h/hex
    (式中、
    dは、ブレードの厚さを表し、
    hは、タービンホイールのブレード(15)領域における半径方向の位置であって、外径を起点として半径方向に内側に延びる方向に測定される位置を表し、
    は、タービンホイールのハブ(13)と外径との間の半径方向の距離を表し、
    exは、べき指数を表し、
    該べき指数(ex)は次の範囲の値、
    1≦ex≦2
    である)
    に従うことを特徴とする請求項1に記載のタービンホイール。
  3. 前記べき指数(ex)が1.2以下の値を取ることを特徴とする請求項2に記載のタービンホイール。
  4. 前記端部壁体(20)の軸方向の厚さ(aSt)が、前記タービンホイールのブレード(15)の最大外径(D)の1%未満である、すなわち、
    St<0.01D
    であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のタービンホイール。
  5. コンプレッサ(5)と、請求項1〜4のいずれか1項に記載のタービンホイール(12)を有するタービン(3)とを備えた内燃機関(1)用の排気ガスターボチャージャにおいて、
    前記タービン(3)に、タービンの有効入口断面積を可変的に設定するための可変タービンジオメトリ(8)を設けたことを特徴とする排気ガスターボチャージャ。
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