JPWO2014208537A1 - ポリビニルアルコール系重合体フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

ポリビニルアルコール系重合体フィルムおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】延伸時に破断しにくい薄型のPVAフィルムを提供すること。【解決手段】厚みが50μm以下であり、以下のカール角度が200°以下である、ポリビニルアルコール系重合体フィルム。カール角度:ポリビニルアルコール系重合体フィルムから切り出された長さ方向42cm×幅方向4cmの矩形のフィルム片について、長さ方向の一方の端(a0)から1cm内側に入った幅方向4cmの直線部分(a1)が固定されるように直線部分(a1)から端(a0)にかけての部分に錘を取り付け、長さ方向の他方の端(b0)から1cm内側に入った幅方向4cmの直線部分(b1)が固定されるように直線部分(b1)から端(b0)にかけての部分を把持した状態で、端(a0)が端(b0)に対して下側になり長さ方向が鉛直方向になるように30℃の水中に30秒間浸漬した時における、長さ方向中央部の幅方向4cmの直線部分(c)でのカール角度。【選択図】図1

Description

本発明は、延伸時に破断しにくい薄型のポリビニルアルコール系重合体フィルム(以下、「ポリビニルアルコール系重合体」を「PVA」と略記することがある)とその製造方法、当該PVAフィルムから製造した偏光フィルム等の光学フィルム、および、当該光学フィルムの製造方法に関する。
光の透過および遮蔽機能を有する偏光板は、光のスイッチング機能を有する液晶などとともに、液晶ディスプレイ(LCD)の基本的な構成要素の1つである。LCDは、電卓および腕時計等の小型機器、ノートパソコン、液晶モニター、液晶カラープロジェクター、液晶テレビ、車載用ナビゲーションシステム、携帯電話、タブレット端末、屋内外で用いられる計測機器などの広範囲において用いられるようになっている。これらLCDの適用分野のうち液晶テレビや液晶モニターなどでは大画面化に加えて薄型化が進んでいる。また近年、普及が目覚しいタブレット端末においても薄型化が進んでいる。LCDの薄型化を達成するための手段としてLCDに用いられるガラスを薄型化することが挙げられるが、これに伴う偏光板の収縮応力によるガラスの反りの問題を解消する観点から、偏光板にも薄型化が求められている。
偏光板は、一般に、PVAフィルムに染色および一軸延伸を施して偏光フィルムを製造した後、その偏光フィルムの表面に、三酢酸セルロース(TAC)フィルムなどの保護膜を貼り合わせることによって製造される。したがって偏光板の薄型化を達成するために、より薄いPVAフィルムを用いて薄型の偏光フィルムを製造することが求められており、具体的なPVAフィルムの厚みについて、50μm以下、さらには30μm以下とすることが求められている。
ところで、フィルム幅が2m以上であって、30℃の水中に5分間浸した時のカール角度が180°以下のPVAフィルムが知られており、当該PVAフィルムは延伸時に端部がカールしにくく均一な延伸が可能であるため、偏光斑の小さい幅広の偏光フィルムが得られることが知られている(特許文献1参照)。
特開2001−315140号公報
薄型のPVAフィルムにおいては、特許文献1に記載されたような延伸時の均一性や偏光フィルムにおける偏光斑の問題とは別に、延伸時にフィルムが破断しやすいという特有の問題がある。本発明は当該問題を解決することを課題とし、延伸時に破断しにくい薄型のPVAフィルムを提供することを目的とする。また本発明は当該PVAフィルムから製造した薄型の光学フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、たとえ特許文献1に記載されたカール角度を満たしていたとしても、薄型のPVAフィルムを偏光フィルムを製造する際の原反フィルムなどとして実際に使用した場合には、特許文献1に記載されたカール角度に関連するカールとは別のカールが生じること、および、薄型のPVAフィルムの延伸時における破断は、延伸工程前や延伸工程中においてPVAフィルムの端部に当該別のカールが生じることが原因であることを見出した。
すなわち、特許文献1には、30℃の水中に5分間浸した時のカール角度が特定されたPVAフィルムが記載され、当該カール角度の測定方法として、TD方向に5cm幅でMD方向に40cm長さのPVAフィルムを切り出し、一方の短辺側の下端に錘を取り付けた状態で30℃の水中に浸し、5分間浸した後のカール角度を水面上から観察する方法が記載されている。このような測定方法を一般的なPVAフィルムに適用した場合には、水中に浸した後、PVAフィルムが一旦過度にカールし、次いで、そのカールが緩和されてきて、この際、フィルムによってはカールの緩和が過度に進行した後に再度カールし、最終的にカール角度を読み取る時間として設定された5分後には、概ね、安定したカール角度を示すようになることが多い。そして、薄型のPVAフィルムについて特許文献1のようにしてカール角度を測定すると、上記のような過度にカールした時のカール角度の程度が大きくなりやすい。
一方、薄型のPVAフィルムを偏光フィルムを製造する際の原反フィルムなどとして実際に使用する場合には、膨潤工程など、延伸工程の前に行われる工程において、薄型のPVAフィルムが溶解するのを防止するなどの観点から、より短い工程時間が採用されることが多いため、薄型のPVAフィルムを特許文献1に記載された方法にしたがって単純に製造した場合、延伸時の均一性や偏光フィルムにおける偏光斑の問題は解消できたとしても、薄型のPVAフィルムを実際に使用する場合の延伸時の破断の問題が依然として残る。
本発明者らは上記のような問題を認識し、そして、PVAフィルムから切り出されたフィルム片を水中に30秒間浸漬した時におけるカール角度を特定の範囲とすることにより、薄型のPVAフィルムを実際に使用する場合における延伸時の破断の問題を解消することができることを見出した。また、これと併せて、回転軸が互いに平行な複数のロールを備える製膜装置を使用し、その第1ロール上にPVAを含む製膜原液を膜状に吐出して乾燥して薄型のPVAフィルムを製造するにあたり、第2ロール以降において、隣り合う2つのロールを熱処理ロールとして使用し、且つ、その際に各ロールに接触するPVA膜の向きや各ロールの表面温度の差を特定のものとすることにより、切り出されたフィルム片を水中に30秒間浸漬した時におけるカール角度が特定の範囲にある、従来にない薄型のPVAフィルムを生産性よく円滑に連続して製造することができることを見出した。本発明者らはこれらの知見に基づいて、さらに検討を重ねて本発明を完成させた。
すなわち本発明は、
〔1〕厚みが50μm以下であり、以下のカール角度が200°以下である、PVAフィルム、
カール角度:PVAフィルムから切り出された長さ方向42cm×幅方向4cmの矩形のフィルム片について、長さ方向の一方の端(a)から1cm内側に入った幅方向4cmの直線部分(a)が固定されるように直線部分(a)から端(a)にかけての部分に錘を取り付け、長さ方向の他方の端(b)から1cm内側に入った幅方向4cmの直線部分(b)が固定されるように直線部分(b)から端(b)にかけての部分を把持した状態で、端(a)が端(b)に対して下側になり長さ方向が鉛直方向になるように30℃の水中に30秒間浸漬した時における、長さ方向中央部の幅方向4cmの直線部分(c)でのカール角度。
〔2〕膨潤度が300%以下である、上記〔1〕のPVAフィルム、
〔3〕幅が2m以上である、上記〔1〕または〔2〕のPVAフィルム、
〔4〕厚みが50μm以下のPVAフィルムの製造方法であって、
(a)回転軸が互いに平行な3個以上のロールを備える製膜装置を使用し、当該ロールのうち最上流側に位置する第1ロール上にPVAを含む製膜原液を膜状に吐出して乾燥する工程を有し;
(b)第2ロール以降のロールが、隣り合う2つのロールA(上流側)およびB(下流側)を含み、当該ロールAに接触するときのPVA膜の揮発分率が15質量%以下であり;
(c)当該ロールAはPVA膜における第1ロール非接触面と接触し、当該ロールBはPVA膜における第1ロール接触面と接触し;
(d)当該ロールBの表面温度は、当該ロールAの表面温度よりも5〜25℃高い;
製造方法、
〔5〕ロールAの表面温度が70〜150℃である、上記〔4〕の製造方法、
〔6〕幅が2m以上のPVAフィルムの製造方法である、上記〔4〕または〔5〕の製造方法、
〔7〕上記〔1〕〜〔3〕のいずれか1つのPVAフィルムから製造した光学フィルム、
〔8〕偏光フィルムである、上記〔7〕の光学フィルム、
〔9〕上記〔1〕〜〔3〕のいずれか1つのPVAフィルムを用いて一軸延伸する工程を有する、光学フィルムの製造方法、
〔10〕偏光フィルムの製造方法である、上記〔9〕の製造方法、
に関する。
本発明によれば、延伸時に破断しにくい薄型のPVAフィルムとその製造方法、当該PVAフィルムから製造した薄型の光学フィルム、および、当該光学フィルムの製造方法が提供される。
カール角度の測定に使用するフィルム片の概略図である。 カール角度の読み取り方法の具体例を示す概略図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
[PVAフィルム]
本発明のPVAフィルムは、厚みが50μm以下であり、以下のカール角度が200°以下である。
カール角度:PVAフィルムから切り出された長さ方向42cm×幅方向4cmの矩形のフィルム片について、長さ方向の一方の端(a)から1cm内側に入った幅方向4cmの直線部分(a)が固定されるように直線部分(a)から端(a)にかけての部分に錘を取り付け、長さ方向の他方の端(b)から1cm内側に入った幅方向4cmの直線部分(b)が固定されるように直線部分(b)から端(b)にかけての部分を把持した状態で、端(a)が端(b)に対して下側になり長さ方向が鉛直方向になるように30℃の水中に30秒間浸漬した時における、長さ方向中央部の幅方向4cmの直線部分(c)でのカール角度。
上記のカール角度について、図1および2を用いて説明する。なおカール角度は、具体的には実施例に記載した方法により求めることができる。
まず上記カール角度を測定するために、対象となるPVAフィルムから長さ方向42cm×幅方向4cmの矩形のフィルム片を切り出す。当該フィルム片は、例えば、対象となるPVAフィルムの幅方向中央部から切り出せばよい。
そして図1に示すように、切り出されたフィルム片1について、長さ方向の一方の端(a)から1cm内側に入った幅方向4cmの直線部分(a)を設定し、この部分がカールせずに固定されるように、直線部分(a)から端(a)にかけての部分2(長さ方向1cm×幅方向4cmの矩形部分)に錘を取り付ける。使用される錘はフィルム片が長さ方向にカールしないようにするためのものであり、例えば、その水中での重さが5〜10g程度の錘を使用すればよい。また、錘は当該部分2の全体にわたって取り付ける必要はなく、例えば、錘としてクリップを使用する場合には、クリップの先端が直線部分(a)に一致するように、当該クリップを部分2に取り付ければよい。
一方、フィルム片の長さ方向の他方の端(b)から1cm内側に入った幅方向4cmの直線部分(b)を設定し、この部分がカールせずに固定されるように、直線部分(b)から端(b)にかけての部分3(長さ方向1cm×幅方向4cmの矩形部分)を把持具で把持する。この把持具はフィルム片を水中に浸漬する際にフィルム片を水中に固定するためのものである。把持具も錘と同様、上記部分3の全体にわたって取り付ける必要はなく、例えば、把持具としてクリップを使用する場合には、クリップの先端が直線部分(b)に一致するように、当該クリップを部分3に取り付けることにより把持すればよい。
以上のような状態としたフィルム片を、端(a)が端(b)に対して下側になり、且つ、フィルム片の長さ方向が鉛直方向になるように、フィルム片全体を30℃の水中に速やかに浸漬して静置する。当該浸漬は、例えば、フィルム片が壁面に接触しない程度の大きさを有するメスシリンダーや水槽などに水を入れ、その温度を30℃に調節しておき、これに上記フィルム片全体を沈めることにより行うことができる。この際、上記把持具に紐をつけ、紐の他端を棒に結び、この棒をメスシリンダーや水槽の上部の縁に引っ掛ければ、容易にフィルム片を水中に静置することができる。
上記のようにしてフィルム片を30℃の水中に浸漬した後、30秒経過後に、そのフィルム片の長さ方向中央部の幅方向4cmの直線部分(c)でのカール角度を読み取る。当該カール角度は、水中に浸漬した状態のフィルム片を上方から観察することにより測定することができる。ここで当該観察は、目視によって行っても写真撮影によって行っても、あるいはそれ以外の方法によって行ってもいずれでもよい。いずれにしても、直線部分(c)が鉛直方向に投影された形状からカール角度が求められる。
カール角度は、フィルム片を30℃の水中に浸漬する前と、30℃の水中に30秒間浸漬した時との間における、直線部分(c)の一方の端の向きの変角度合いを角度(正の値)で表したものである。通常、カール角度は直線部分(c)の両方の端において同じ値になるが、異なる値になった場合には両者の平均値をカール角度とすればよい。また、カール角度は上記のとおり、直線部分(c)が鉛直方向に投影された形状から求められるが、フィルム片を30℃の水中に浸漬する前の直線部分(c)の端の向きは、フィルム片を30℃の水中に30秒間浸漬した時の上記投影された形状における、当初の直線部分(c)の幅方向中央部に相当する点での接線の向きに相当するものとして、カール角度を求めることができる。図2にカール角度の読み取り方法の具体例(概略図)を示す。カール角度は、図2の(1)において30°と求められ、図2の(2)において60°と求められ、図2の(3)において120°と求められ、図2の(4)において180°と求められる。
カール角度は、延伸時の破断を抑制する観点から、200°以下であることが必要であり、120°以下であることが好ましく、70°以下であることがより好ましく、40°以下であることがさらに好ましく、15°以下であることが特に好ましい。
本発明のPVAフィルムを構成するPVAとしては、例えば、ビニルエステルの1種または2種以上を重合して得られるポリビニルエステル系重合体をけん化することにより得られるものが挙げられる。ビニルエステルとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサティック酸ビニル等が挙げられ、酢酸ビニルが好ましい。
上記のポリビニルエステル系重合体は、単量体として1種または2種以上のビニルエステルのみを用いて得られたものが好ましく、単量体として1種のビニルエステルのみを用いて得られたものがより好ましいが、1種または2種以上のビニルエステルと、これと共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。
このようなビニルエステルと共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン;プロピレン、1−ブテン、イソブテン等の炭素数3〜30のオレフィン;アクリル酸またはその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸またはその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタクリル酸エステル;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸またはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその塩、N−メチロールアクリルアミドまたはその誘導体等のアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸またはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその塩、N−メチロールメタクリルアミドまたはその誘導体等のメタクリルアミド誘導体;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等のN−ビニルアミド;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル;酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;マレイン酸またはその塩、エステルもしくは酸無水物;イタコン酸またはその塩、エステルもしくは酸無水物;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニルなどを挙げることができる。上記のポリビニルエステル系重合体は、これらの他の単量体の1種または2種以上に由来する構造単位を有することができる。
上記のポリビニルエステル系重合体に占める上記他の単量体に由来する構造単位の割合は、ポリビニルエステル系重合体を構成する全構造単位のモル数に基づいて、15モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましく、5モル%以下であることがさらに好ましい。
PVAの重合度に特に制限はないが、PVAフィルムの強度や、偏光フィルムとした際の偏光性能などの観点から、500以上であることが好ましく、1,000以上であることがより好ましく、1,500以上であることがさらに好ましく、2,000以上であることが特に好ましく、また、15,000以下であることが好ましく、8,000以下であることがより好ましく、6,000以下であることがさらに好ましい。ここでPVAの重合度とは、JIS K6726−1994の記載に準じて測定される平均重合度を意味する。
PVAのけん化度に特に制限はないが、PVAフィルムの耐水性および耐久性などの観点から、90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましく、98モル%以上であることがさらに好ましく、98.5モル%以上であることが特に好ましく、99.0モル%以上であることが最も好ましい。一方、PVAフィルムに対する染色性を考慮すると、PVAのけん化度は99.999モル%以下であることが好ましい。ここでPVAのけん化度とは、PVAが有する、けん化によってビニルアルコール単位に変換され得る構造単位(典型的にはビニルエステル単位)とビニルアルコール単位との合計モル数に対して当該ビニルアルコール単位のモル数が占める割合(モル%)を意味する。PVAのけん化度は、JIS K6726−1994の記載に準じて測定することができる。
本発明のPVAフィルムを構成するPVAは、1種のPVAであってもよいし、重合度、けん化度、変性度などのうちの1つまたは2つ以上が互いに異なる2種以上のPVAであってもよい。PVAフィルムにおけるPVAの含有率は、50〜100質量%の範囲内であることが好ましく、80〜100質量%の範囲内であることがより好ましく、85〜100質量%の範囲内であることがさらに好ましい。
本発明のPVAフィルムは衝撃強度等の機械的物性や二次加工時の工程通過性などを向上させることができることから可塑剤を含むことが好ましい。好ましい可塑剤としては多価アルコールが挙げられ、具体的には、例えば、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。本発明のPVAフィルムは、これらの可塑剤の1種または2種以上を含むことができる。これらの可塑剤の中でも、本発明のPVAフィルムを延伸して使用する際における延伸性向上効果などの観点から、エチレングリコール、グリセリンが好ましく、グリセリンがより好ましい。
PVAフィルムにおける可塑剤の含有量は、PVAフィルムに含まれるPVA100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることがさらに好ましく、また、30質量部以下であることが好ましく、25質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることがさらに好ましい。当該含有量が1質量部以上であることによりPVAフィルムの延伸性をより向上させることができる。一方、当該含有量が30質量部以下であることにより、PVAフィルムが柔軟になりすぎて取り扱い性が低下するのを防止することができる。
本発明のPVAフィルムは、その取り扱い性や、またPVAフィルムを製造する際の製膜装置からの剥離性の向上などの観点から界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤の種類に特に制限はなく、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸カリウム等のカルボン酸型;オクチルサルフェート等の硫酸エステル型;ドデシルベンゼンスルホネート等のスルホン酸型などが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のアルキルエーテル型;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のアルキルフェニルエーテル型;ポリオキシエチレンラウレート等のアルキルエステル型;ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル等のアルキルアミン型;ポリオキシエチレンラウリン酸アミド等のアルキルアミド型;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテル等のポリプロピレングリコールエーテル型;ラウリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド等のアルカノールアミド型;ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテル等のアリルフェニルエーテル型などが挙げられる。
本発明のPVAフィルムは、これらの界面活性剤の1種または2種以上を含むことができる。これらの界面活性剤の中でも、製膜時の膜面異常の低減効果に優れることなどから、ノニオン系界面活性剤が好ましく、特にアルカノールアミド型の界面活性剤がより好ましく、脂肪族カルボン酸(例えば、炭素数8〜30の飽和または不飽和脂肪族カルボン酸など)のジアルカノールアミド(例えば、ジエタノールアミド等)がさらに好ましい。
PVAフィルムにおける界面活性剤の含有量は、PVAフィルムの取り扱い性や、またPVAフィルムを製造する際の製膜装置からの剥離性がより向上し、またブロッキングの発生を低減することができることから、PVAフィルムに含まれるPVA100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、0.02質量部以上であることがより好ましく、0.05質量部以上であることがさらに好ましく、また、1質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以下であることがより好ましく、0.3質量部以下であることがさらに好ましい。
本発明のPVAフィルムは、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、着色剤、防腐剤、防黴剤、上記した成分以外の他の高分子化合物、水分などの他の成分をさらに含んでいてもよい。本発明のPVAフィルムはこれらの他の成分の1種または2種以上を含むことができる。
薄型の光学フィルム(偏光フィルム等)を製造することができることから、本発明のPVAフィルムの厚みは、50μm以下であることが必要であり、40μm以下であることが好ましく、また、30μm以下、さらには20μm以下であってもよい。より薄型のPVAフィルムにおいて延伸時の破断がより問題となりやすく、このような厚みを有するPVAフィルムにおいて本発明の効果が特に顕著に奏される。一方、PVAフィルムの厚みの下限に特に制限はないが、PVAフィルムの取り扱い性、光学フィルム製造時の工程通過性、得られる光学フィルムの光学性能(偏光フィルムの偏光性能等)などを考慮すると、当該厚みは3μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることがさらに好ましい。PVAフィルムの厚みは、任意の5箇所の厚みを測定しその平均値として求めることができる。
本発明のPVAフィルムの膨潤度は、PVAフィルムを延伸する際の皺の発生を抑制することができることから、300%以下であることが好ましい。膨潤度はPVAフィルムを水中に浸漬した際の保水能力を示す指標であり、PVAフィルムを30℃の水中に30分間浸漬した後の質量を、浸漬後105℃で16時間乾燥した後の質量で除すことによって百分率として求められる。膨潤度は熱処理の程度を変更することによって調整することができ、通常、熱処理の程度を大きくすることによって膨潤度を低下させることができる。
本発明のPVAフィルムの形状は特に制限されないが、より均一なPVAフィルムを連続して円滑に製造することができると共に、それを用いて偏光フィルム等の光学フィルムを製造する場合などにおいても連続して使用することができることから長尺のフィルムであることが好ましい。長尺のフィルムは、円筒状のコアに巻き取るなどしてフィルムロールの形態とすることが好ましい。長尺のフィルムである際においてPVAフィルムの長さ(長さ方向の長さ)は特に制限されず、用途などに応じて適宜設定することができるが、フィルムロールから連続的に巻き出して使用する場合などにおいてPVAフィルムの長さがより長いほどフィルムロールを切り替える際のロスを減らすことができることから、当該長さは500m以上であることが好ましく、1,000m以上であることがより好ましく、5,000m以上であることがさらに好ましく、8,000m以上であることが特に好ましい。当該長さの上限に特に制限はないが、当該長さは例えば30,000m以下とすることができる。
本発明のPVAフィルムの幅は特に制限されず、PVAフィルムや、それから製造される偏光フィルム等の光学フィルムの用途などに応じて適宜設定することができるが、近年、液晶テレビや液晶モニターの大画面化が進んでいる点から、PVAフィルムの幅を2m以上、より好ましくは3m以上、さらに好ましくは4m以上にしておくと、これらの用途に好適である。一方、PVAフィルムの幅があまりに大き過ぎると実用化されている装置で光学フィルムを製造する場合に一軸延伸自体を均一に行うことが困難になりやすいので、PVAフィルムの幅は7m以下であることが好ましい。
[PVAフィルムの製造方法]
30℃の水中に30秒間浸漬した時におけるカール角度が特定された本発明のPVAフィルムを製造するための方法は特に制限されず、例えば、ロールやベルト等の支持体上でPVAを含む製膜原液を乾燥後、支持体から剥がすなどして得られたフィルムに対して、ロール表面などの曲面上に沿わせた状態で、上記カール角度が本発明の範囲になるまで当該曲面側、当該曲面側とは反対の側またはその両方より熱をかける方法や、あるいは、当該フィルムに対して、ロール表面などの曲面上に沿わせた状態で、上記カール角度が本発明の範囲になるまで当該曲面側とは反対の側に高湿度の気体を接触させる方法などにより容易に製造することができるが、以下の本発明の製造方法によれば、本発明のPVAフィルムを生産性よく円滑に連続して製造することができ好ましい。
すなわち、厚みが50μm以下のPVAフィルムを製造するための本発明の製造方法は、
(a)回転軸が互いに平行な3個以上のロールを備える製膜装置を使用し、当該ロールのうち最上流側に位置する第1ロール上にPVAを含む製膜原液を膜状に吐出して乾燥する工程を有し;
(b)第2ロール以降のロールが、隣り合う2つのロールA(上流側)およびB(下流側)を含み、当該ロールAに接触するときのPVA膜の揮発分率が15質量%以下であり;
(c)当該ロールAはPVA膜における第1ロール非接触面と接触し、当該ロールBはPVA膜における第1ロール接触面と接触し;
(d)当該ロールBの表面温度は、当該ロールAの表面温度よりも5〜25℃高い;
製造方法である。
本発明の製造方法では、回転軸が互いに平行な3個以上のロール(最上流側から下流側に向かって、順次、第1ロール、第2ロール、第3ロール・・・と称する)を備える製膜装置を使用し、当該ロールのうち最上流側に位置する第1ロール上にPVAを含む製膜原液を膜状に吐出して乾燥する工程を有する。ここで、第1ロール上で所望の揮発分率になるまで乾燥し、それに続く第2ロール以降では実質的な乾燥を行わずに熱処理のみ行うことも可能であるが、得られるPVAフィルムの両面の構造的な差異を減らすことができることから、第1ロール上でPVA膜を部分乾燥した後に、第2ロール以降でさらに乾燥するのが好ましい。
当該製膜装置では、ロールの数(第1ロール(キャストロール)を含めたロールの本数)は5〜30本であることが好ましく、12〜26本であることがより好ましい。
複数のロールは、例えば、ニッケル、クロム、銅、鉄、ステンレススチールなどの金属から形成されていることが好ましく、特にロールの表面が、腐食しにくく、しかも鏡面光沢を有する金属材料から形成されていることがより好ましい。また、ロールの耐久性を高めるために、ニッケル層、クロム層、ニッケル/クロム合金層などを単層または2層以上組み合わせてメッキしたロールを用いることがより好ましい。
第1ロールから最終ロールに至る過程におけるPVA膜の向きについて、PVA膜をより均一に加熱することができることから、PVA膜の任意の部分において、第1ロールと接触する膜面(第1ロール接触面)と、第1乾燥ロールと接触しない膜面(第1ロール非接触面)とが、第1ロールから最終ロールまでの各ロールに交互に対向するように製膜するのが好ましい。このようにすることにより、PVAフィルムの両面の構造的な差異を減らすことができ、PVAフィルムを偏光フィルムを製造する際の原反フィルムなどとして実際に使用する場合における端部のカールの発生をより効果的に抑制することができる。
製膜装置の第1ロール(キャストロール)上にPVAを含む製膜原液を膜状に吐出するにあたっては、例えば、T型スリットダイ、ホッパープレート、I−ダイ、リップコーターダイなどの既知の膜状吐出装置(膜状流延装置)を使用して、PVAを含む製膜原液を第1ロール上に膜状に吐出(流延)すればよい。この際に膜状吐出装置を調整するなどして吐出量を調節することにより、得られるPVAフィルムの厚みを調節することができる。
PVAを含む製膜原液は、PVAを液体媒体と混合して溶液にしたり、液体媒体などを含むPVAペレットを溶融して溶融液にしたりすることなどによって調製することができる。製膜原液の調製は、撹拌式混合装置、溶融押出機などを使用して行うことができる。上記の液体媒体としては、例えば、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどを挙げることができ、これらの液体媒体は、1種を単独で使用してもまたは2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水、ジメチルスルホキシド、または両者の混合物が好ましく用いられ、特に水がより好ましく用いられる。
製膜原液には、所望により、PVAフィルムの説明において上記したような、可塑剤、界面活性剤、他の成分などのうちの1種または2種以上を上記した量で配合するのが好ましい。
製膜原液の揮発分率(製膜時などに揮発や蒸発によって除去される液体媒体等の揮発性成分の、製膜原液中における含有割合)は50〜90質量%の範囲内であることが好ましく、55〜80質量%の範囲内であることがより好ましい。製膜原液の揮発分率があまりに低すぎると、製膜原液の粘度が高くなりすぎて製膜が困難になる場合がある。一方、製膜原液の揮発分率があまりに高すぎると、製膜原液の粘度が低くなりすぎて、得られるPVAフィルムの厚みの均一性が損なわれる場合がある。
ここで、本明細書でいう「製膜原液の揮発分率」とは、下記式(1)により求めた揮発分率をいう。
製膜原液の揮発分率(質量%) = 100 × (W−W)/W (1)
(ここで、Wは製膜原液の質量(g)を表し、WはW(g)の製膜原液を105℃の電熱乾燥機中で16時間乾燥した時の質量(g)を表す。)
第1ロールの表面温度は特に限定されないが、PVA膜の乾燥の均一性、生産性などの観点から、50〜150℃の範囲内であることが好ましく、70〜120℃の範囲内であることがより好ましく、80〜100℃の範囲内であることがさらに好ましい。
膜状に吐出された製膜原液の第1ロール上での乾燥は、第1ロールからの加熱のみによって行ってもよいが、第1ロールで加熱すると同時に、第1ロール非接触面に熱風を吹き付けたり第1ロール非接触面の側から赤外線ヒーターにより加熱したりするなどして、PVA膜の両面から熱を与えて乾燥を行うことが、均一乾燥性、乾燥速度などの点から好ましい。また誘電加熱装置によってPVA膜を加熱することもできる。
第1ロール上にあるPVA膜の第1ロール非接触面に熱風を吹き付けるにあたっては、第1ロール非接触面の全領域に対して風速1〜10m/秒の熱風を吹き付けることが好ましく、風速2〜8m/秒の熱風を吹き付けることがより好ましく、風速3〜8m/秒の熱風を吹き付けることがさらに好ましい。第1ロール非接触面に吹き付ける熱風の風速が小さすぎると、第1ロール上での乾燥時に水蒸気などの結露が発生し、その水滴がPVA膜に滴下して最終的に得られるPVAフィルムに欠陥が生じるおそれがある。一方、第1ロール非接触面に吹き付ける熱風の風速が大きすぎると、最終的に得られるPVAフィルムに厚み斑が発生し、それに伴って染色斑の発生などのトラブルが発生しやすくなる。
PVA膜の第1ロール非接触面に吹き付ける熱風の温度は、乾燥効率、乾燥の均一性などの点から、50〜150℃であることが好ましく、70〜120℃であることがより好ましく、80〜95℃であることがさらに好ましい。PVA膜の第1ロール非接触面に吹き付ける熱風の温度が低すぎると、水蒸気などの結露が発生し、その水滴がPVA膜に落下して最終的に得られるPVAフィルムに欠陥が生じるおそれがある。一方、当該温度があまりに高すぎると、熱風の風向に沿って乾燥斑が発生して、最終的に得られるPVAフィルムに厚み斑が発生するおそれがある。
またPVA膜の第1ロール非接触面に吹き付ける熱風の露点温度は5〜20℃であることが好ましく、10〜15℃であることがより好ましく、11〜13℃であることがさらに好ましい。PVA膜の第1ロール非接触面に吹き付ける熱風の露点温度が低すぎると、乾燥効率、均一乾燥性などが低下しやすく、一方、露点温度が高すぎると発泡が生じやすくなる。
PVA膜の第1ロール非接触面に熱風を吹き付けるための方式は特に制限されず、風速が均一で且つ温度が均一な熱風をPVA膜の第1ロール非接触面、好ましくはその全体に均一に吹き付け得る方式のいずれもが採用でき、そのうちでもノズル方式、整流板方式またはそれらの組み合わせなどが好ましく採用される。PVA膜の第1ロール非接触面への熱風の吹き付け方向は、第1ロール非接触面に対向する方向であっても、PVA膜の第1ロール非接触面の円周形状にほぼ沿った方向(第1ロールのロール表面の円周にほぼ沿った方向)であっても、またはそれ以外の方向であってもよい。
また、第1ロール上でのPVA膜の乾燥時に、乾燥によってPVA膜から発生した揮発性成分と吹き付けた後の熱風を排気することが好ましい。排気の方法は特に制限されないが、PVA膜の第1ロール非接触面に吹き付ける熱風の風速斑および温度斑が生じない排気方法を採用することが好ましい。
第1ロールの周速(S)は、PVA膜の乾燥の均一性、乾燥速度およびPVAフィルムの生産性などの観点から、4〜30m/分の範囲内であることが好ましく、7〜25m/分の範囲内であることがより好ましい。
第1ロール上に膜状に吐出された製膜原液は、第1ロール上で乾燥され、第1ロールから剥離される。第1ロールからの剥離時のPVA膜の揮発分率があまりに低すぎるとPVAフィルムの生産性が低下しやすくなる傾向があり、一方、第1ロールからの剥離時のPVA膜の揮発分率があまりに高すぎると、第1ロールからの剥離が困難になりやすく、場合によっては破断したり、斑が発生しやすくなったりする。上記のような観点から、第1ロールからの剥離時のPVA膜の揮発分率は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることがさらに好ましく、18質量%以上であることが特に好ましく、20質量%以上であることが特に好ましく、また、30質量%以下であることが好ましく、27質量%以下であることがより好ましく、25質量%以下であることがさらに好ましい。
ここで、本明細書における「PVA膜の揮発分率」とは、下記式(2)により求めた揮発分率をいう。
PVA膜の揮発分率(質量%) = 100 × (W−W)/W} (2)
(ここで、WはPVA膜から採取したサンプルの質量(g)を表し、Wは前記サンプルW(g)を温度50℃、圧力0.1kPa以下の真空乾燥機中に入れて4時間乾燥した時の質量(g)を示す。)
第1ロール上で乾燥したPVA膜を第1ロールから剥離し、今度は、PVA膜の第1ロール非接触面を第2ロールに対向させて、第2ロールでPVA膜を乾燥するのが好ましい。
第1ロールの周速(S)に対する第2ロールの周速(S)の比(S/S)は、1.005〜1.060の範囲内であることが好ましく、1.010〜1.050の範囲内であることがより好ましい。比(S/S)があまりに低すぎると、第1ロールからの剥離が不均一となって欠点が発生しやすくなる傾向がある。また、比(S/S)があまりに高すぎると、得られるPVAフィルムを延伸して偏光フィルムに加工したときに、偏光フィルムの長波長領域の吸光度が低くなる傾向がある。
本発明の製造方法では、第2ロール以降のロールが、隣り合う2つのロールA(上流側)およびB(下流側)を含み、当該ロールAに接触するときのPVA膜の揮発分率が15質量%以下であり、当該ロールAはPVA膜における第1ロール非接触面と接触し、当該ロールBはPVA膜における第1ロール接触面と接触し、当該ロールBの表面温度は、当該ロールAの表面温度よりも5〜25℃高い。すなわち、本発明の製造方法では、第2ロール以降のロールとして、PVA膜の揮発分率が15質量%以下のときにPVA膜の第1ロール非接触面に接触するロールAと、当該ロールAの直後に位置するロールであって、PVA膜の第1ロール接触面に接触し、表面温度がロールAの表面温度よりも5〜25℃高いロールBとを少なくとも有するようにする。なお、PVA膜(の特定の面)とロール(ロールAやロールBなど)とが接触するとは、PVA膜(の特定の面)の幅方向の全体でロールと接触する状態に限定されるものではなく、例えば、PVA膜(の特定の面)の幅方向の両端部でロールと接触する一方、幅方向の残りの部分はロールと近接しながらも浮いている状態であっても、PVA膜(の特定の面)の幅方向の全体でロールと接触していても、どちらでもよい。
ロールAが第3ロール以降のロールである場合には、第2ロール以降のロールであってロールAよりも上流側に位置するロールが存在することになるが、このようなロールの表面温度は、乾燥効率、乾燥の均一性などの点から、30〜90℃の範囲内であることが好ましく、50〜70℃の範囲内であることがより好ましい。
ロールAに接触するときのPVA膜の揮発分率は15質量%以下であり、12質量%以下であることが好ましく、9質量%以下であることがより好ましく、また、2質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましく、7質量%以上であることが特に好ましい。ロールAに接触するときのPVA膜の揮発分率が上記範囲にあることにより、30℃の水中に30秒間浸漬した時におけるカール角度が特定された本発明のPVAフィルムを容易に得ることができるようになる。なお「ロールAに接触するときのPVA膜の揮発分率」とは、ロールAに向かって移動してきたPVA膜がロールAに初めて接触する時のその接触部分におけるPVA膜の揮発分率を意味する。PVAフィルムの製膜時に採用される条件などにより、ロールAに接触したPVA膜の揮発分率がロールA上においてさらに低下し、ロールAからの剥離時のPVA膜の揮発分率は、上記「ロールAに接触するときのPVA膜の揮発分率」よりも低くなることがあり得るが、本発明の製造方法においては、少なくとも、「ロールAに接触するときのPVA膜の揮発分率」が上記範囲にあるようにする。
ロールAの表面温度は、30℃の水中に30秒間浸漬した時におけるカール角度が特定された本発明のPVAフィルムをより容易に得ることができるようになるとともに、膨潤度が上記した範囲を満たすPVAフィルムが容易に得られることから、70℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましく、90℃以上であることがさらに好ましく、また、150℃以下であることが好ましく、140℃以下であることがより好ましく、130℃以下であることがさらに好ましい。
PVA膜のロールA上における滞留時間(ロールAに向かって移動してきたPVA膜の任意の部分が、ロールAに初めて接触する時から、ロールAから剥離される時までの時間)は、特に制限されないが、本発明のPVAフィルムをより容易に得ることができることから、1秒以上であることが好ましく、2秒以上であることがより好ましく、3秒以上であることがさらに好ましく、また、10秒以下であることが好ましく、8秒以下であることがより好ましく、6秒以下であることがさらに好ましい。
本発明の製造方法では、ロールBの表面温度がロールAの表面温度よりも5〜25℃高いことが必要であり、10℃以上高いことが好ましく、12℃以上高いことがより好ましく、14℃以上高いことがさらに好ましく、また、20℃以下高いことが好ましく、18℃以下高いことがより好ましく、16℃以下高いことがさらに好ましい。ロールAの表面温度とロールBの表面温度が上記関係を満たすことにより、30℃の水中に30秒間浸漬した時におけるカール角度が特定された本発明のPVAフィルムを容易に得ることができるようになる。
PVA膜のロールB上における滞留時間(ロールBに向かって移動してきたPVA膜の任意の部分が、ロールBに初めて接触する時から、ロールBから剥離される時までの時間)は、特に制限されないが、本発明のPVAフィルムをより容易に得ることができることから、PVA膜のロールA上における滞留時間に対するPVA膜のロールB上における滞留時間の比率([ロールB上における滞留時間]/[ロールA上における滞留時間])は、5以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましく、1.2以下であることが特に好ましい。
ロールBから剥離されたPVA膜は、そのまま本発明のPVAフィルムとすることができるが、さらに別のロールで熱処理などを施してもよい。その場合におけるロールBよりも下流側に位置するロールの表面温度は、例えば、30〜150℃の範囲内とすることができる。
本発明のPVAフィルムをより円滑に製造するために、第1ロールの周速(S)に対する最終ロールの周速(S)の比(S/S)は、0.950〜1.050の範囲内であることが好ましく、0.960〜1.000の範囲内であることがより好ましい。
必要に応じ、上記ロールによる処理後に調湿処理を施してもよい。また必要に応じ、フィルム両端部(耳部)をカットしてもよい。
上記した一連の処理によって最終的に得られるPVAフィルムの揮発分率(典型的には水分率)は1〜5質量%の範囲にあることが好ましく、2〜4質量%の範囲にあることがより好ましい。得られたPVAフィルムは所定の長さでロール状に巻き取るのが好ましい。
[PVAフィルムの用途]
本発明のPVAフィルムの用途に特に制限はないが、本発明のPVAフィルムは延伸時に破断しにくく、薄型であることから、偏光フィルムや位相差フィルム等の光学フィルム製造用の原反フィルムとして用いることが好ましい。このような光学フィルムは、例えば、本発明のPVAフィルムを用いて一軸延伸などの処理を施すことにより製造することができる。
本発明のPVAフィルムを原反フィルムとして用いて偏光フィルムを製造する際の方法は特に制限されず、従来から採用されているいずれの方法を採用してもよい。このような方法としては、例えば、PVAフィルムに対して染色および一軸延伸を施したり、染料を含有するPVAフィルムに対して一軸延伸を施したりする方法が挙げられる。偏光フィルムを製造するためのより具体的な方法としては、本発明のPVAフィルムに対して、膨潤、染色、一軸延伸、および必要に応じてさらに、固定処理、乾燥、熱処理などを施す方法が挙げられる。この場合、膨潤、染色、一軸延伸、固定処理などの各処理の順序は特に制限されず、1つまたは2つ以上の処理を同時に行うこともできる。また、各処理の1つまたは2つ以上を2回またはそれ以上行うこともできる。
膨潤は、PVAフィルムを水に浸漬することにより行うことができる。水に浸漬する際の水の温度としては、20〜40℃の範囲内であることが好ましく、22〜38℃の範囲内であることがより好ましく、25〜35℃の範囲内であることがさらに好ましい。また、水に浸漬する時間としては、例えば、0.1分以上であることが好ましく、0.3分以上であることがより好ましく、また、5分以下であることが好ましく、3分以下であることがより好ましい。なお、水に浸漬する際の水は純水に限定されず、各種成分が溶解した水溶液であってもよいし、水と水性媒体との混合物であってもよい。
染色は、ヨウ素を用いて行うのがよく、染色の時期としては、一軸延伸前、一軸延伸時、一軸延伸後のいずれの段階であってもよい。染色はPVAフィルムを染色浴としてヨウ素−ヨウ化カリウムを含有する溶液(特に水溶液)中に浸漬させることにより行うのが一般的であり、本発明においてもこのような染色方法が好適に採用される。染色浴におけるヨウ素の濃度は0.01〜0.5質量%の範囲内であることが好ましく、ヨウ化カリウムの濃度は0.01〜10質量%の範囲内であることが好ましい。また、染色浴の温度は20〜50℃、特に25〜40℃とすることが好ましい。
一軸延伸は、湿式延伸法または乾式延伸法のいずれで行ってもよい。湿式延伸法の場合はホウ酸を含む水溶液中で行うこともできるし、上記した染色浴中や後述する固定処理浴中で行うこともできる。また乾式延伸法の場合は吸水後のPVAフィルムを用いて空気中で行うことができる。これらの中でも、湿式延伸法が好ましく、ホウ酸を含む水溶液中で一軸延伸するのがより好ましい。ホウ酸水溶液中におけるホウ酸の濃度は0.5〜6.0質量%の範囲内であることが好ましく、1.0〜5.0質量%の範囲内であることがより好ましく、1.5〜4.0質量%の範囲内であることが特に好ましい。また、ホウ酸水溶液はヨウ化カリウムを含有してもよく、その濃度は0.01〜10質量%の範囲内にすることが好ましい。一軸延伸はPVAフィルムの長さ方向に行うのが好ましい。
一軸延伸における延伸温度は、30〜90℃の範囲内であることが好ましく、40〜80℃の範囲内であることがより好ましく、50〜70℃の範囲内であることが特に好ましい。
また、一軸延伸における延伸倍率は、得られる偏光フィルムの偏光性能の点から5倍以上であることが好ましく、5.5倍以上であることがより好ましく、6倍以上であることがさらに好ましく、6.3倍以上であることが特に好ましく、6.4倍以上、さらには6.5倍以上であることが最も好ましい。延伸倍率の上限は特に制限されないが、延伸倍率は8倍以下であることが好ましい。
偏光フィルムの製造に当たっては、PVAフィルムへの染料(ヨウ素等)の吸着を強固にするために固定処理を行うことが好ましい。固定処理に使用する固定処理浴としては、ホウ酸、硼砂等のホウ素化合物の1種または2種以上を含む水溶液を使用することができる。また、必要に応じて、固定処理浴中にヨウ素化合物や金属化合物を添加してもよい。固定処理浴におけるホウ素化合物の濃度は、一般に2〜15質量%、特に3〜10質量%程度であることが好ましい。固定処理浴の温度は、15〜60℃、特に25〜40℃であることが好ましい。
乾燥は、30〜150℃、特に50〜130℃で行うことが好ましい。乾燥により偏光フィルムの水分率が10%以下になった時点で偏光フィルムに張力を掛けて80〜120℃程度で1〜5分間程度熱処理を行うと、寸法安定性、耐久性等に一層優れる偏光フィルムを得ることができる。
以上のようにして得られた偏光フィルムは、通常、その両面または片面に、光学的に透明で且つ機械的強度を有する保護膜を貼り合わせて偏光板にして使用される。保護膜としては、三酢酸セルロース(TAC)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、酢酸・酪酸セルロース(CAB)フィルム、アクリル系フィルム、ポリエステル系フィルムなどが使用される。また、貼り合わせのための接着剤としては、PVA系接着剤やウレタン系接着剤などを挙げることができ、中でもPVA系接着剤が好適である。
上記のようにして得られた偏光板は、アクリル系等の粘着剤をコートした後、ガラス基板に貼り合わせてLCDの部品として使用することができる。同時に位相差フィルムや視野角向上フィルム、輝度向上フィルム等と貼り合わせてもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例および参考例において採用された各測定方法を以下に示す。
[カール角度]
《1》以下の実施例、比較例または参考例で製造された長尺のPVAフィルムの幅方向中央部から、長さ方向42cm×幅方向4cmの矩形のフィルム片を切り出した。そして、当該フィルム片の長さ方向の一方の端(a)から1cm内側に入った幅方向4cmの直線部分(a)を設定し、この部分がカールせずに固定されるように、直線部分(a)から端(a)にかけての部分に錘としてのクリップ(水中での重さ7.3g、先端の幅4cm)を取り付けた。この際に、クリップの先端が直線部分(a)に一致するようにした。また、フィルム片の長さ方向の他方の端(b)から1cm内側に入った幅方向4cmの直線部分(b)を設定し、この部分がカールせずに固定されるように、直線部分(b)から端(b)にかけての部分に把持具としてのクリップ(先端の幅4cm)を取り付け、フィルム片を把持した。この際に、クリップの先端が直線部分(b)に一致するようにした。また当該把持具としてのクリップに紐をつけ、この紐の他端を棒に結んだ。
《2》直径16cm、深さ65cmの円筒状の水槽を用意し、これに水(蒸留水)10Lを入れ、水温が30℃になるように予め調温しておいた。これに、上記《1》の状態のフィルム片を、端(a)が端(b)に対して下側になり、且つ、フィルム片の長さ方向が鉛直方向になるようにして、フィルム片全体が水中に沈むように速やかに浸漬し、上記の棒を容器の上部の縁に引っ掛けることによりフィルム片を水中に静置した。このとき、フィルム片が水槽の壁面に接触しないようにした。
《3》上記のようにしてフィルム片を30℃の水中に浸漬した後、30秒経過後に、そのフィルム片の長さ方向中央部の幅方向4cmの直線部分(c)でのカール角度を読み取った。カール角度の読み取りに際しては、水槽の上から直線部分(c)を目視で観察することにより行った。
以上のようにして得られたカール角度を、当該PVAフィルムのカール角度とした。
[実施例1]
《PVAフィルムの製造》
ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られたPVA(重合度2,450、けん化度99.3モル%)100質量部、グリセリン10質量部、ラウリン酸ジエタノールアミド0.1質量部および水からなる揮発分率66質量%の製膜原液を、T型スリットダイから回転軸が互いに平行な3個以上のロールを備える製膜装置の第1ロール(表面温度94℃)上に膜状に吐出し、第1ロール上で、第1ロール非接触面の全体に90℃の熱風を5m/秒の風速で吹き付けながら揮発分率15質量%になるまで乾燥し、次いで第1ロールから剥離して、PVA膜の任意の部分における表面と裏面とが各ロールに交互に接触するように第2ロール以降のロールに順次接触させた。
ここで、PVA膜の揮発分率が7質量%のときにPVA膜の第1ロール非接触面に接触するロールをロールAとし、当該ロールAの直後に位置するロールであって、PVA膜の第1ロール接触面に接触するロールをロールBとしたときに、第2ロールからロールAの直前にあるロールまでの各ロールの表面温度を50〜70℃の範囲内で調整し、ロールAの表面温度を95℃とし、PVA膜のロールA上における滞留時間を5秒とし、ロールBの表面温度を110℃とし、PVA膜のロールB上における滞留時間を5秒とし、ロールBよりも下流側の各ロールの表面温度を60〜85℃の範囲内で調整した。
その後、両端部(耳部)をカットし、ロール状に巻き取って長尺のPVAフィルム(厚み45μm、幅2m、長さ1,000m、揮発分率(水分率)3.0質量%、膨潤度300%以下)を得た。
当該PVAフィルムについて、上記した方法に従ってカール角度を求めたところ、カール角度は0°であった。以上の結果を表1に示した。
《偏光フィルムの製造》
上記で得られたPVAフィルムを巻き出しながら各処理を施して偏光フィルムを連続的に製造し、その際に延伸倍率を増加させていき、フィルムが破断した際の全体の延伸倍率を最大延伸倍率とした。
すなわち、上記で得られたPVAフィルムを、膨潤浴(水温30℃)中に0.5分間浸漬し、次いで、染色浴(水温32℃、ヨウ素を0.07質量%およびヨウ化カリウムを1.6質量%含有する水溶液)、固定処理浴(水温32℃、ホウ酸を2.6質量%含有する水溶液)、延伸浴(水温53℃、ホウ酸を2.8質量%およびヨウ化カリウムを5.0質量%含有する水溶液)、洗浄浴(水温22℃、ホウ酸を1.5質量%およびヨウ化カリウムを5.0質量%含有する水溶液)に順次浸漬した後、さらに乾燥炉(温度60℃)で乾燥して偏光フィルムを製造した。この際に、延伸浴における延伸倍率を徐々に増加させることにより全体の延伸倍率を6倍から0.05倍ずつ増加させていき、フィルムが破断した際の全体の延伸倍率を最大延伸倍率とした。得られた結果を表1に記した。
[実施例2]
《PVAフィルムの製造》
ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られたPVA(重合度2,450、けん化度99.3モル%)100質量部、グリセリン10質量部、ラウリン酸ジエタノールアミド0.1質量部および水からなる揮発分率66質量%の製膜原液を、T型スリットダイから回転軸が互いに平行な3個以上のロールを備える製膜装置の第1ロール(表面温度94℃)上に膜状に吐出し、第1ロール上で、第1ロール非接触面の全体に90℃の熱風を5m/秒の風速で吹き付けながら揮発分率15質量%になるまで乾燥し、次いで第1ロールから剥離して、PVA膜の任意の部分における表面と裏面とが各ロールに交互に接触するように第2ロール以降のロールに順次接触させた。
ここで、PVA膜の揮発分率が7質量%のときにPVA膜の第1ロール非接触面に接触するロールをロールAとし、当該ロールAの直後に位置するロールであって、PVA膜の第1ロール接触面に接触するロールをロールBとしたときに、第2ロールからロールAの直前にあるロールまでの各ロールの表面温度を50〜70℃の範囲内で調整し、ロールAの表面温度を95℃とし、PVA膜のロールA上における滞留時間を5秒とし、ロールBの表面温度を109℃とし、PVA膜のロールB上における滞留時間を5秒とし、ロールBよりも下流側の各ロールの表面温度を60〜85℃の範囲内で調整した。
その後、両端部(耳部)をカットし、ロール状に巻き取って長尺のPVAフィルム(厚み45μm、幅2m、長さ1,000m、揮発分率(水分率)3.0質量%、膨潤度300%以下)を得た。
当該PVAフィルムについて、上記した方法に従ってカール角度を求めたところ、カール角度は30°であった。以上の結果を表1に示した。
《偏光フィルムの製造》
上記で得られたPVAフィルムを用いて、実施例1と同様にして、偏光フィルムを連続的に製造するとともに最大延伸倍率を求めた。得られた結果を表1に記した。
[実施例3]
《PVAフィルムの製造》
ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られたPVA(重合度2,450、けん化度99.3モル%)100質量部、グリセリン10質量部、ラウリン酸ジエタノールアミド0.1質量部および水からなる揮発分率66質量%の製膜原液を、T型スリットダイから回転軸が互いに平行な3個以上のロールを備える製膜装置の第1ロール(表面温度94℃)上に膜状に吐出し、第1ロール上で、第1ロール非接触面の全体に90℃の熱風を5m/秒の風速で吹き付けながら揮発分率15質量%になるまで乾燥し、次いで第1ロールから剥離して、PVA膜の任意の部分における表面と裏面とが各ロールに交互に接触するように第2ロール以降のロールに順次接触させた。
ここで、PVA膜の揮発分率が7質量%のときにPVA膜の第1ロール非接触面に接触するロールをロールAとし、当該ロールAの直後に位置するロールであって、PVA膜の第1ロール接触面に接触するロールをロールBとしたときに、第2ロールからロールAの直前にあるロールまでの各ロールの表面温度を50〜70℃の範囲内で調整し、ロールAの表面温度を95℃とし、PVA膜のロールA上における滞留時間を5秒とし、ロールBの表面温度を108℃とし、PVA膜のロールB上における滞留時間を5秒とし、ロールBよりも下流側の各ロールの表面温度を60〜85℃の範囲内で調整した。
その後、両端部(耳部)をカットし、ロール状に巻き取って長尺のPVAフィルム(厚み45μm、幅2m、長さ1,000m、揮発分率(水分率)3.0質量%、膨潤度300%以下)を得た。
当該PVAフィルムについて、上記した方法に従ってカール角度を求めたところ、カール角度は45°であった。以上の結果を表1に示した。
《偏光フィルムの製造》
上記で得られたPVAフィルムを用いて、実施例1と同様にして、偏光フィルムを連続的に製造するとともに最大延伸倍率を求めた。得られた結果を表1に記した。
[実施例4]
《PVAフィルムの製造》
ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られたPVA(重合度2,450、けん化度99.3モル%)100質量部、グリセリン10質量部、ラウリン酸ジエタノールアミド0.1質量部および水からなる揮発分率66質量%の製膜原液を、T型スリットダイから回転軸が互いに平行な3個以上のロールを備える製膜装置の第1ロール(表面温度94℃)上に膜状に吐出し、第1ロール上で、第1ロール非接触面の全体に90℃の熱風を5m/秒の風速で吹き付けながら揮発分率15質量%になるまで乾燥し、次いで第1ロールから剥離して、PVA膜の任意の部分における表面と裏面とが各ロールに交互に接触するように第2ロール以降のロールに順次接触させた。
ここで、PVA膜の揮発分率が7質量%のときにPVA膜の第1ロール非接触面に接触するロールをロールAとし、当該ロールAの直後に位置するロールであって、PVA膜の第1ロール接触面に接触するロールをロールBとしたときに、第2ロールからロールAの直前にあるロールまでの各ロールの表面温度を50〜70℃の範囲内で調整し、ロールAの表面温度を95℃とし、PVA膜のロールA上における滞留時間を5秒とし、ロールBの表面温度を103℃とし、PVA膜のロールB上における滞留時間を5秒とし、ロールBよりも下流側の各ロールの表面温度を60〜85℃の範囲内で調整した。
その後、両端部(耳部)をカットし、ロール状に巻き取って長尺のPVAフィルム(厚み45μm、幅2m、長さ1,000m、揮発分率(水分率)3.0質量%、膨潤度300%以下)を得た。
当該PVAフィルムについて、上記した方法に従ってカール角度を求めたところ、カール角度は150°であった。以上の結果を表1に示した。
《偏光フィルムの製造》
上記で得られたPVAフィルムを用いて、実施例1と同様にして、偏光フィルムを連続的に製造するとともに最大延伸倍率を求めた。得られた結果を表1に記した。
[実施例5]
《PVAフィルムの製造》
ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られたPVA(重合度2,450、けん化度99.3モル%)100質量部、グリセリン10質量部、ラウリン酸ジエタノールアミド0.1質量部および水からなる揮発分率66質量%の製膜原液を、T型スリットダイから回転軸が互いに平行な3個以上のロールを備える製膜装置の第1ロール(表面温度94℃)上に膜状に吐出し、第1ロール上で、第1ロール非接触面の全体に90℃の熱風を5m/秒の風速で吹き付けながら揮発分率15質量%になるまで乾燥し、次いで第1ロールから剥離して、PVA膜の任意の部分における表面と裏面とが各ロールに交互に接触するように第2ロール以降のロールに順次接触させた。
ここで、PVA膜の揮発分率が7質量%のときにPVA膜の第1ロール非接触面に接触するロールをロールAとし、当該ロールAの直後に位置するロールであって、PVA膜の第1ロール接触面に接触するロールをロールBとしたときに、第2ロールからロールAの直前にあるロールまでの各ロールの表面温度を50〜70℃の範囲内で調整し、ロールAの表面温度を95℃とし、PVA膜のロールA上における滞留時間を5秒とし、ロールBの表面温度を115℃とし、PVA膜のロールB上における滞留時間を5秒とし、ロールBよりも下流側の各ロールの表面温度を60〜85℃の範囲内で調整した。
その後、両端部(耳部)をカットし、ロール状に巻き取って長尺のPVAフィルム(厚み45μm、幅2m、長さ1,000m、揮発分率(水分率)3.0質量%、膨潤度300%以下)を得た。
当該PVAフィルムについて、上記した方法に従ってカール角度を求めたところ、カール角度は90°であった。以上の結果を表1に示した。
《偏光フィルムの製造》
上記で得られたPVAフィルムを用いて、実施例1と同様にして、偏光フィルムを連続的に製造するとともに最大延伸倍率を求めた。得られた結果を表1に記した。
[比較例1]
《PVAフィルムの製造》
ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られたPVA(重合度2,450、けん化度99.3モル%)100質量部、グリセリン10質量部、ラウリン酸ジエタノールアミド0.1質量部および水からなる揮発分率66質量%の製膜原液を、T型スリットダイから回転軸が互いに平行な3個以上のロールを備える製膜装置の第1ロール(表面温度94℃)上に膜状に吐出し、第1ロール上で、第1ロール非接触面の全体に90℃の熱風を5m/秒の風速で吹き付けながら揮発分率15質量%になるまで乾燥し、次いで第1ロールから剥離して、PVA膜の任意の部分における表面と裏面とが各ロールに交互に接触するように第2ロール以降のロールに順次接触させた。
ここで、PVA膜の揮発分率が7質量%のときにPVA膜の第1ロール非接触面に接触するロールをロールAとし、当該ロールAの直後に位置するロールであって、PVA膜の第1ロール接触面に接触するロールをロールBとしたときに、第2ロールからロールAの直前にあるロールまでの各ロールの表面温度を50〜70℃の範囲内で調整し、ロールAの表面温度を95℃とし、PVA膜のロールA上における滞留時間を5秒とし、ロールBの表面温度を95℃とし、PVA膜のロールB上における滞留時間を5秒とし、ロールBよりも下流側の各ロールの表面温度を60〜85℃の範囲内で調整した。
その後、両端部(耳部)をカットし、ロール状に巻き取って長尺のPVAフィルム(厚み45μm、幅2m、長さ1,000m、揮発分率(水分率)3.0質量%、膨潤度300%以下)を得た。
当該PVAフィルムについて、上記した方法に従ってカール角度を求めたところ、カール角度は360°であった。以上の結果を表1に示した。
《偏光フィルムの製造》
上記で得られたPVAフィルムを用いて、実施例1と同様にして、偏光フィルムを連続的に製造するとともに最大延伸倍率を求めた。得られた結果を表1に記した。
[比較例2]
《PVAフィルムの製造》
ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られたPVA(重合度2,450、けん化度99.3モル%)100質量部、グリセリン10質量部、ラウリン酸ジエタノールアミド0.1質量部および水からなる揮発分率66質量%の製膜原液を、T型スリットダイから回転軸が互いに平行な3個以上のロールを備える製膜装置の第1ロール(表面温度94℃)上に膜状に吐出し、第1ロール上で、第1ロール非接触面の全体に90℃の熱風を5m/秒の風速で吹き付けながら揮発分率15質量%になるまで乾燥し、次いで第1ロールから剥離して、PVA膜の任意の部分における表面と裏面とが各ロールに交互に接触するように第2ロール以降のロールに順次接触させた。
ここで、PVA膜の揮発分率が7質量%のときにPVA膜の第1ロール非接触面に接触するロールをロールAとし、当該ロールAの直後に位置するロールであって、PVA膜の第1ロール接触面に接触するロールをロールBとしたときに、第2ロールからロールAの直前にあるロールまでの各ロールの表面温度を50〜70℃の範囲内で調整し、ロールAの表面温度を95℃とし、PVA膜のロールA上における滞留時間を5秒とし、ロールBの表面温度を125℃とし、PVA膜のロールB上における滞留時間を5秒とし、ロールBよりも下流側の各ロールの表面温度を60〜85℃の範囲内で調整した。
その後、両端部(耳部)をカットし、ロール状に巻き取って長尺のPVAフィルム(厚み45μm、幅2m、長さ1,000m、揮発分率(水分率)3.0質量%、膨潤度300%以下)を得た。
当該PVAフィルムについて、上記した方法に従ってカール角度を求めたところ、カール角度は360°であった(なお、カール角度の測定において、実施例1のPVAフィルムとは逆の製膜面側にカールした)。以上の結果を表1に示した。
《偏光フィルムの製造》
上記で得られたPVAフィルムを用いて、実施例1と同様にして、偏光フィルムを連続的に製造するとともに最大延伸倍率を求めた。得られた結果を表1に記した。
[参考例1]
《PVAフィルムの製造》
ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られたPVA(重合度2,450、けん化度99.3モル%)100質量部、グリセリン10質量部、ラウリン酸ジエタノールアミド0.1質量部および水からなる揮発分率66質量%の製膜原液を、T型スリットダイから回転軸が互いに平行な3個以上のロールを備える製膜装置の第1ロール(表面温度94℃)上に膜状に吐出し、第1ロール上で、第1ロール非接触面の全体に90℃の熱風を5m/秒の風速で吹き付けながら揮発分率15質量%になるまで乾燥し、次いで第1ロールから剥離して、PVA膜の任意の部分における表面と裏面とが各ロールに交互に接触するように第2ロール以降のロールに順次接触させた。
ここで、PVA膜の揮発分率が7質量%のときにPVA膜の第1ロール非接触面に接触するロールをロールAとし、当該ロールAの直後に位置するロールであって、PVA膜の第1ロール接触面に接触するロールをロールBとしたときに、第2ロールからロールAの直前にあるロールまでの各ロールの表面温度を50〜70℃の範囲内で調整し、ロールAの表面温度を103℃とし、PVA膜のロールA上における滞留時間を5秒とし、ロールBの表面温度を103℃とし、PVA膜のロールB上における滞留時間を5秒とし、ロールBよりも下流側の各ロールの表面温度を60〜85℃の範囲内で調整した。
その後、両端部(耳部)をカットし、ロール状に巻き取って長尺のPVAフィルム(厚み75μm、幅2m、長さ1,000m、揮発分率(水分率)3.0質量%、膨潤度300%以下)を得た。
当該PVAフィルムについて、上記した方法に従ってカール角度を求めたところ、カール角度は210°であった。以上の結果を表1に示した。
《偏光フィルムの製造》
上記で得られたPVAフィルムを用いて、実施例1と同様にして、偏光フィルムを連続的に製造するとともに最大延伸倍率を求めた。得られた結果を表1に記した。
Figure 2014208537
1.フィルム片、2.直線部分(a)から端(a)にかけての部分、3.直線部分(b)から端(b)にかけての部分、4.直線部分(c)が鉛直方向に投影された形状、5.当初の直線部分(c)の幅方向中央部に相当する点。

Claims (10)

  1. 厚みが50μm以下であり、以下のカール角度が200°以下である、ポリビニルアルコール系重合体フィルム。
    カール角度:ポリビニルアルコール系重合体フィルムから切り出された長さ方向42cm×幅方向4cmの矩形のフィルム片について、長さ方向の一方の端(a)から1cm内側に入った幅方向4cmの直線部分(a)が固定されるように直線部分(a)から端(a)にかけての部分に錘を取り付け、長さ方向の他方の端(b)から1cm内側に入った幅方向4cmの直線部分(b)が固定されるように直線部分(b)から端(b)にかけての部分を把持した状態で、端(a)が端(b)に対して下側になり長さ方向が鉛直方向になるように30℃の水中に30秒間浸漬した時における、長さ方向中央部の幅方向4cmの直線部分(c)でのカール角度。
  2. 膨潤度が300%以下である、請求項1に記載のポリビニルアルコール系重合体フィルム。
  3. 幅が2m以上である、請求項1または2に記載のポリビニルアルコール系重合体フィルム。
  4. 厚みが50μm以下のポリビニルアルコール系重合体フィルムの製造方法であって、
    (a)回転軸が互いに平行な3個以上のロールを備える製膜装置を使用し、当該ロールのうち最上流側に位置する第1ロール上にポリビニルアルコール系重合体を含む製膜原液を膜状に吐出して乾燥する工程を有し;
    (b)第2ロール以降のロールが、隣り合う2つのロールA(上流側)およびB(下流側)を含み、当該ロールAに接触するときのポリビニルアルコール系重合体膜の揮発分率が15質量%以下であり;
    (c)当該ロールAはポリビニルアルコール系重合体膜における第1ロール非接触面と接触し、当該ロールBはポリビニルアルコール系重合体膜における第1ロール接触面と接触し;
    (d)当該ロールBの表面温度は、当該ロールAの表面温度よりも5〜25℃高い;
    製造方法。
  5. ロールAの表面温度が70〜150℃である、請求項4に記載の製造方法。
  6. 幅が2m以上のポリビニルアルコール系重合体フィルムの製造方法である、請求項4または5に記載の製造方法。
  7. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリビニルアルコール系重合体フィルムから製造した光学フィルム。
  8. 偏光フィルムである、請求項7に記載の光学フィルム。
  9. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリビニルアルコール系重合体フィルムを用いて一軸延伸する工程を有する、光学フィルムの製造方法。
  10. 偏光フィルムの製造方法である、請求項9に記載の製造方法。
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