JPWO2014208315A1 - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

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Abstract

可撓性基材上に、炭素、窒素、及び、酸素から選ばれる少なくとも1種類以上の元素を含み、厚さ方向に連続的な組成変化を有し、且つ、元素の組成分布において1つ以上の極値を有するケイ素化合物からなるバリア層を有する。さらに、バリア層と発光ユニットとが、厚さ方向の略中央部に配置されている有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する。

Description

本発明は、ガスバリアフィルムを備える有機エレクトロルミネッセンス素子に係わる。
有機材料のエレクトロルミネッセンス(electroluminescence:以下ELと記す)を利用した有機エレクトロルミネッセンス素子(いわゆる有機EL素子)は、数V〜数十V程度の低電圧で発光が可能な薄膜型の完全固体素子であり、高輝度、高発光効率、薄型、軽量といった多くの優れた特徴を有する。このため、各種ディスプレイのバックライト、看板や非常灯等の表示板、照明光源等の面発光体として、特に近年では薄型・軽量なバリア膜を有する樹脂基材を用いた有機EL素子が注目されている。
樹脂基材上に形成した有機EL素子として、例えば、素子全体を屈曲した際に、バリア膜の亀裂を抑制するために、有機EL素子層とバリア膜とを、有機EL素子全体の膜厚方向の略中央部に配置した素子が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−168556号公報
しかしながら、バリア膜等の積層体を有機EL素子全体の膜厚方向の略中央部に配置するのみの構成では、屈曲させた際の破損を抑制することができるものの、屈曲した状態で保持した際、屈曲していない場合に比べて保存性が大きく低下してしまう。
上述した問題の解決のため、本発明においては、屈曲した状態での保存性の向上が可能な有機エレクトロルミネッセンス素子を提供するものである。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、可撓性基材上に発光ユニットが形成される。この有機エレクトロルミネッセンス素子は、可撓性基材と、可撓性基材上に設けられた、炭素(C)、窒素(N)、及び、酸素(O)から選ばれる少なくとも1種類以上の元素を含み、厚さ方向に連続的な組成変化を有し、且つ、元素の組成分布において1つ以上の極値を有するケイ素化合物からなるバリア層と、発光ユニットを封止する封止部材とを備える。そして、バリア層と発光ユニットとが、可撓性基材の底面から封止部材の上面側までの厚さにおける、厚さ方向の略中央部に配置されている。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子によれば、バリア層と発光ユニットとが厚さ方向の略中央部に配置され、さらに、上記構成のバリア層を有することにより、有機EL素子を屈曲した状態を維持した際に、バリア層界面に発生する応力を緩和することができる。
このため、屈曲した状態を維持した際の有機エレクトロルミネッセンス素子の破損を抑制することができる。従って、有機エレクトロルミネッセンス素子の保存性を向上することができる。
本発明によれば、屈曲した状態での保存性の向上が可能な有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することができる。
第1実施形態の有機エレクトロルミネッセンス素子の概略構成を示す図である。 ケイ素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線及び窒素分布曲線を示す図である。 図2に示す炭素分布曲線を拡大した図である。 バリア層の屈折率分布を示す図である。 バリア層の製造装置の構成を示す図である。 第2実施形態の有機エレクトロルミネッセンス素子の概略構成を示す図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.有機エレクトロルミネッセンス素子(第1実施形態)
2.有機エレクトロルミネッセンス素子(第2実施形態)
〈1.有機エレクトロルミネッセンス素子(第1実施形態)〉
[有機エレクトロルミネッセンス素子の構成]
第1実施形態の有機エレクトロルミネッセンス素子(以下有機EL素子と記す)の具体的な実施の形態について説明する。
図1に、第1実施形態の有機EL素子の概略構成図(断面図)を示す。図1に示すように、有機EL素子10は、可撓性基材11、バリア層12、発光ユニット16、封止層17、及び、封止部材18を備える。また、発光ユニット16は、第1電極13、発光機能層14、及び、第2電極15から構成される。
また、有機EL素子10は、発光ユニット16からの光を、可撓性基材11側から取り出す、いわゆるボトムエミッション型の構成である。
図1に示すように、有機EL素子10は、透明性を有する可撓性基材11上に、この可撓性基材11のガスバリア性を発現するためのバリア層12が設けられている。このバリア層12は、可撓性基材11のガスバリア性だけでなく、可撓性基材11側から射出される有機EL素子10の発光光の配光性を改善する機能を有する。
具体的には、バリア層12は、炭素(C)、窒素(N)、及び、酸素(O)から選ばれる少なくとも1種類以上の元素を含み、厚さ方向に連続的な組成変化を有し、且つ、この元素の組成分布において1つ以上の極値を有するケイ素化合物からなる。
また、バリア層12上には、発光ユニット16が形成されている。つまり、バリア層12上にアノードとなる第1電極13が形成され、この第1電極13上に、発光層を備える発光機能層14、及びカソードとなる第2電極15が積層されている。
このうち、アノードとして用いられている第1電極13が、透明な電極として構成されている。このような構成において、第1電極13と第2電極15とで発光機能層14が挟持されている部分のみが、有機EL素子10における発光領域となる。そして、有機EL素子10は、発生させた光を、少なくとも可撓性基材11側から取り出すボトムエミッション型として構成されている。
また、有機EL素子10は、バリア層12上に設けられた発光ユニット16が、封止層17及び封止部材18により固体封止された構成である。
つまり、有機EL素子10は、有機EL素子10の発光の主体である、少なくとも1層の発光層を含む発光ユニット16が、この発光ユニット16の上面及び周囲に設けられた封止層17により被覆された構成である。
この構成では、封止層17を介して、封止部材18が可撓性基材11に接合されている。
また、上記構成の有機EL素子10は、バリア層12と発光ユニット16とが、有機EL素子10の厚さ方向の略中央部に配置されている。
可撓性基材11を用いることにより、有機EL素子10に可撓性を付与することができる。このとき、バリア層12と発光ユニット16とが、有機EL素子10の厚さ方向の略中央部に配置されることにより、有機EL素子10を屈曲した際の発光ユニット16の表面及び裏面を引っ張る力を、略等しくすることができる。つまり、屈曲した状態を維持した際に各層の界面で生じる応力を、著しく低減させることができる。
さらに、バリア層12は、上述のようにバリア層12を構成する組成に分布を有し、この組成分布において1つ以上の極値を有する。このような構成のバリア層12では、屈曲した状態を維持した際に発生する応力が、連続的に組成が変化する層構造により、吸収、及び、緩和される。
例えば、厚さ方向に単一組成を有する層構造の場合には、屈曲した状態を維持した際に、発生する応力を層内で緩和することができないため、亀裂が発生しやすい。特に、曲率半径2〜15mm程度の低い曲率で有機EL素子を保持した場合、バリア層の亀裂の発生等、破損の発生が顕著になる。
これに対し、バリア層12が、厚さ方向において連続的に組成が変化し、1つ以上の極値を有する層構造である場合には、この層構造自体が応力緩和層としての作用を有する。具体的には、屈曲した状態を維持した際に発生する応力、例えば、バリア層12の層内、及び、バリア層12と他の構成との界面において発生する応力を、組成分布が連続的且つ極値を有する層構造により、吸収及び緩和することができる。この結果、曲率半径2〜15mm程度の低い曲率で有機EL素子を保持した場合においても、バリア層の亀裂の発生等、破損の発生を抑制することができる。
従って、上記構成の有機EL素子10では、バリア層12と発光ユニット16とが有機EL素子10の厚さ方向の略中央部に配置されること、及び、連続的に組成分布が変化し、1つ以上の極値を有するバリア層12を備えることにより、屈曲した状態を維持した際に発生する応力を緩和、低減することができる。
この結果、屈曲時の応力による発光ユニット16の界面での剥離や、各層の破損を抑制することができる。これにより、有機EL素子10を屈曲状態で保持した場合にも、ダークスポットの発生や、各層のクラックの発生を抑制することができる。
また、一般的に、有機EL素子を屈曲させた状態で発光する場合には、発光光の配光性に起因する色度のずれ、いわゆる視野角依存性の問題が顕著になる。このため、屈曲した状態の有機EL素子では、表示品質の低下や、外観上の問題が発生する。
これに対して、上述の構成の有機EL素子10では、厚さ方向に連続的な組成変化を有し、この組成変化において1つ以上の極値を有するバリア層12を備えている。
バリア層12では、上記組成に由来した、厚さ方向での連続的な屈折率の分布の発生、及び、この屈折率分布に1つ以上の極値が発生する。このように、バリア層12が厚さ方向に連続的な屈折率の変化を有し、且つ、1つ以上の極値を持つことにより、バリア層12の界面での特定波長領域での光の干渉を抑制することができる。
従って、有機EL素子10において、発光光の配光性を改善することができ、視野角依存性の問題を解消することができる。従って、屈曲した状態で発光させた場合にも、有機EL素子10の発光光の色度の均一性を向上させることができる。
なお、バリア層12と発光ユニット16とが配置される、厚さ方向の「略中央部」とは、可撓性基材11の底面11Aから封止部材18の表面18Aまでの厚さをdtotalとしたとき、可撓性基材11の底面11Aから(0.5±0.1)dtotal以内の距離に位置する領域を意味する。
以下、有機EL素子10の各構成について説明する。なお、本例の有機EL素子10において、透明、及び、光透過性とは波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいう。
[基材]
有機EL素子10に適用される可撓性基材11としては、有機EL素子10に可撓性を与えることが可能な可撓性の基材であれば特に限定されない。可撓性の基材としては、透明樹脂フィルムを挙げることができる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル又はポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)、又は、アペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。
これら樹脂フィルムのうち、コストや入手の容易性の点では、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)等のフィルムが好ましく用いられる。また、光学的透明性、耐熱性、バリア層12の密着性の点においては、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルムが好ましく用いられる。
この可撓性基材11の厚さは、5〜500μm程度が好ましく、さらに好ましくは25〜250μmである。また、可撓性基材11が光透過性を有することが好ましい。可撓性基材11が光透過性を有することにより、基材11側から光を射出する有機EL素子10を構成することが可能となる。
[バリア層]
可撓性基材11の表面に設けられているバリア層12は、炭素(C)、窒素(N)、及び、酸素(O)から選ばれる少なくとも1種以上の元素を含むケイ素化合物から構成されている。そして、バリア層12を構成するケイ素化合物は、これらのC、N、及び、Oから選ばれる少なくとも1種以上の元素の元素比率が変化することにより、表面から厚さ方向に向けて連続的な組成変化を有する。さらに、バリア層12を構成するケイ素化合物は、この厚さ方向の連続的な組成変化において、1つ以上の極値を有する。つまり、バリア層12は、ケイ素、酸素及び炭素を含む材料から構成され、ケイ素、酸素及び炭素の含有率が異なる複数の層による積層構造を有する。
このような被膜及びバリア層は、JIS−K−7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度90±2%RH)が0.01g/(m・24時間)以下であることが好ましい。また、JIS−K−7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が10−3ml/(m・24時間・atm)以下、水蒸気透過度が10−5g/(m・24時間)以下であることが好ましい。
バリア性フィルムの形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。特に、特開2004−68143号公報に記載の大気圧プラズマ重合法を好ましく用いることができる。
(バリア層:構成)
上述のケイ素化合物からなるバリア層12は、膜厚方向におけるバリア層12の表面からの距離と、上記各元素(ケイ素、酸素又は炭素)の原子量の比率(原子比)との関係を示す、各元素の分布曲線に特徴を有している。
なお、ケイ素、酸素又は炭素の原子比は、ケイ素、酸素及び炭素の各元素の合計量に対する、ケイ素、酸素又は炭素の比率[(Si,O,C)/(Si+O+C)]で表す。
ケイ素分布曲線、酸素分布曲線、及び、炭素分布曲線は、バリア層12の表面からの距離における、ケイ素の原子比、酸素の原子比、及び、炭素の原子比を示す。また、膜厚方向におけるバリア層12の表面(第1電極13側の界面)からの距離と、酸素と炭素との合計の原子量の比率(原子比)との関係を示す分布曲線を、酸素炭素分布曲線とする。
また、バリア層12は、ケイ素、酸素及び炭素に加えて、窒素を更に含有していてもよい。窒素を含有することにより、バリア層12の屈折率を制御することができる。例えば、SiOの屈折率が1.5であるのに対し、SiNの屈折率は1.8〜2.0程度である。このため、バリア層12に窒素を含有させ、バリア層12内にSiONを形成することにより、好ましい屈折率の値である1.6〜1.8とすることが可能となる。このように、窒素の含有量を調整することにより、バリア層12の屈折率を制御することが可能である。
バリア層12が窒素を含む場合には、バリア層12を構成する各元素(ケイ素、酸素、炭素又は窒素)の分布曲線は以下のようになる。
ケイ素、酸素及び炭素に加えて、窒素を含む場合、ケイ素、酸素、炭素又は窒素の原子比は、ケイ素、酸素、炭素及び窒素の各元素の合計量に対する、ケイ素、酸素、炭素又は窒素の比率[(Si,O,C,N)/(Si+O+C+N)]で表す。
ケイ素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線、及び、窒素分布曲線は、バリア層12の表面からの距離における、ケイ素の原子比、酸素の原子比、炭素の原子比、及び、窒素の原子比を示す。
(元素の分布曲線と屈折率分布との関係)
バリア層12の屈折率分布は、バリア層12の厚さ方向の炭素量及び酸素量により制御することができる。
図2に、バリア層12のケイ素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線、及び、窒素分布曲線の一例を示す。また、図3に、図2に示すケイ素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線、及び、窒素分布曲線から、炭素分布曲線を拡大して示す。図2及び図3において、横軸は、膜厚方向におけるバリア層12の表面からの距離[nm]を示す。また、縦軸は、ケイ素、酸素及び炭素の各元素の合計量に対する、ケイ素、酸素、炭素又は窒素のそれぞれの原子比[at%]を示す。
なお、ケイ素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線、及び、窒素分布曲線の測定方法の詳細については後述する。
図2に示すように、バリア層12の表面からの距離によって、ケイ素、酸素、炭素、及び、窒素の原子比が変化している。特に、酸素及び炭素については、バリア層12の表面からの距離に応じて原子比の変動が大きく、それぞれの分布曲線が複数の極値を有している。また、酸素分布曲線と炭素分布曲線とは相関関係にあり、炭素の原子比が大きい距離では酸素の原子比が小さくなり、炭素の原子比が小さい距離では酸素の原子比が大きくなる。
また、図4に、バリア層12の屈折率分布曲線を示す。図4において、横軸は、膜厚方向におけるバリア層12の表面からの距離[nm]を示す。縦軸は、バリア層12の屈折率を示す。図4に示すバリア層12の屈折率は、膜厚方向におけるバリア層12の表面からの距離と、この距離におけるバリア層12の可視光に対する屈折率の測定値である。バリア層12の屈折率分布の測定は、公知の方法を用いることができ、例えば分光エリプソメーター(日本分光社製 ELC−300)等を用いて行うことができる。
図3及び図4に示すように、炭素の原子比とバリア層12の屈折率とには相関関係がある。具体的には、バリア層12において、炭素の原子比が増加する位置に置いて、バリア層12の屈折率も増加する。このように、炭素の原子比に応じて、バリア層12の屈折率が変化する。つまり、バリア層12において、膜厚方向の炭素の原子比の分布を調整することにより、バリア層12の屈折率分布曲線を制御することができる。
また、上述のように炭素の原子比と酸素の原子比とにも相関関係があることから、酸素の原子比及び分布曲線を制御することにより、バリア層12の屈折率分布曲線を制御することができる。
屈折率分布に極値を有するバリア層12を備えることにより、可撓性基材11の界面で起こる反射や干渉を抑制することができる。このため、可撓性基材11を透過する光が、バリア層12の作用により、全反射や干渉の影響を受けずに射出される。従って、光量が低減せず、有機EL素子10の光の取り出し効率が向上する。
また、第1電極13として銀等からなる金属薄膜を用いる場合には、有機EL素子10を透過する光が、第1電極13において反射や干渉を受けて大きな視野角依存性の問題が発生しやすい。これは、金属薄膜内での金属の凝集や、金属薄膜又はその界面で特定の波長領域が反射して発光スペクトルに干渉し、発光スペクトルが変化して視野角依存性を示すためと考えられている。
そこで、放出光の特定の波長に干渉しないようにバリア層12の屈折率分布を調整することにより、有機EL素子10の視野角依存性を抑制することができる。バリア層12の屈折率分布は、炭素の原子比によって制御することができる。このため、炭素の分布曲線を制御することにより、バリア層12に任意の光学的な特性を付与することができる。
本例では、バリア層12が屈折率分布曲線に1つ以上の極値を持つことにより、光スペクトルを制御して色域を調整することができる。このため、有機EL素子10の干渉条件を分散させることができ、特定の波長に干渉しない構成とすることができる。従って、有機EL素子10を透過する光の配光性をバリア層12で制御し、発光スペクトルの視野角依存性を解消して、有機EL素子10の均一な配光性を実現することができる。
(各元素の分布曲線の条件)
バリア層12は、ケイ素、酸素及び炭素の原子比、又は、各元素の分布曲線が、以下(i)〜(iii)の条件を満たすことが好ましい。
(i)ケイ素の原子比、酸素の原子比及び炭素の原子比が、バリア層12の膜厚の90%以上の領域において下記式(1):
(酸素の原子比)>(ケイ素の原子比)>(炭素の原子比)・・・(1)
で表される条件を満たす。
または、ケイ素の原子比、酸素の原子比及び炭素の原子比が、バリア層12の膜厚の90%以上の領域において下記式(2):
(炭素の原子比)>(ケイ素の原子比)>(酸素の原子比)・・・(2)
で表される条件を満たす。
(ii)炭素分布曲線が少なくとも1つの極大値と極小値とを有する。
(iii)炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上である。
有機EL素子10は、上記条件(i)〜(iii)のうち少なくとも1つを満たすバリア層12を備えることが好ましい。特に、上記条件(i)〜(iii)を全て満たすバリア層12を備えることが好ましい。また、上記条件(i)〜(iii)を全て満たすバリア層12を、2層以上備えていてもよい。バリア層12を2層以上備える場合には、複数の薄膜層の材質は、同一であってもよく、異なっていてもよい。バリア層12を2層以上備える場合には、バリア層12は可撓性基材11の一方の表面上に形成されていてもよく、可撓性基材11の両方の表面上に形成されていてもよい。
バリア層12の屈折率は、上述の図3,6に示す相関関係のように、炭素又は酸素の原子比により制御することができる。このため、上記条件(i)〜(iii)により、バリア層12の屈折率を好ましい範囲に調整することができる。
(炭素分布曲線)
バリア層12は、炭素分布曲線が少なくとも1つの極値を有することが必要である。このようなバリア層12においては、炭素分布曲線が少なくとも2つの極値を有することがより好ましく、少なくとも3つの極値を有することが特に好ましい。さらに、炭素分布曲線が少なくとも1つの極大値と、1つの極小値とを有することが好ましい。
炭素分布曲線が極値を有さない場合には、得られるバリア層12の配光性が不十分となる。このため、第1電極13を通して得られる有機EL素子10の光の角度依存性を解消することが困難となる。
また、バリア層12が3つ以上の極値を有する場合には、炭素分布曲線の有する1つの極値と、この極値に隣接する他の極値とは、バリア層12の表面からの膜厚方向の距離の差が、200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。
(極値)
バリア層12において、分布曲線の極値とは、バリア層12の膜厚方向における、バリア層12の表面からの距離に対する元素の原子比の極大値又は極小値、又はその値に対応した屈折率分布曲線の測定値である。
バリア層12において、各元素の分布曲線の極大値とは、バリア層12の表面からの距離を変化させた場合に、元素の原子比の値が増加から減少に変わる点である。なおかつ、この点から、バリア層12の表面からの距離を更に20nm変化させた位置の元素の原子比の値が、3at%以上減少する点である。
バリア層12において、各元素の分布曲線の極小値とは、バリア層12の表面からの距離を変化させた場合に、元素の原子比の値が減少から増加に変わる点である。なおかつ、この点から、バリア層12の表面からの距離を更に20nm変化させた位置の元素の原子比の値が、3at%以上増加する点である。
また、バリア層12の炭素分布曲線において、炭素の原子比の最大値と最小値との差の絶対値は、5at%以上であることが好ましい。また、このようなバリア層12においては、炭素の原子比の最大値と最小値との差の絶対値が、6at%以上であることがより好ましく、さらに7at%以上であることが好ましい。炭素の原子比の最大値と最小値との差が上記範囲未満では、得られるバリア層12の屈折率分布曲線における屈折率差が小さくなり、配光性が不十分となる。
炭素分布量と屈折率は相関があり、上記の好ましい炭素原子の最大値と最小値の絶対値が7at%以上のときに、得られる屈折率の最大値と最小値との差の絶対値は0.2以上になる。
(酸素分布曲線)
バリア層12は、酸素分布曲線が少なくとも1つの極値を有することが好ましい。特に、バリア層12は、酸素分布曲線が少なくとも2つの極値を有することがより好ましく、少なくとも3つの極値を有することがさらに好ましい。さらに、酸素分布曲線が少なくとも1つの極大値と、1つの極小値とを有することが好ましい。
酸素分布曲線が極値を有さない場合には、得られるバリア層12の配光性が不十分となる。このため、第1電極13を通して得られる有機EL素子10の光の角度依存性を解消することが困難となる。
また、バリア層12が3つ以上の極値を有する場合には、酸素分布曲線の有する1つの極値と、この極値に隣接する他の極値とは、バリア層12の表面からの膜厚方向の距離の差が、200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。
また、バリア層12の酸素分布曲線において、酸素の原子比の最大値と最小値との差の絶対値が、5at%以上であることが好ましい。また、このようなバリア層12においては、酸素の原子比の最大値と最小値との差の絶対値が6at%以上であることがより好ましく、さらに7at%以上であることが好ましい。酸素の原子比の最大値と最小値との差が上記範囲未満では、得られるバリア層12の屈折率分布曲線から、配光性が不十分となる。
(ケイ素分布曲線)
バリア層12は、ケイ素分布曲線において、ケイ素の原子比の最大値と最小値との差の絶対値が、5at%未満であることが好ましい。また、このようなバリア層12においては、ケイ素の原子比の最大値と最小値との差の絶対値が4at%未満であることがより好ましく、さらに3at%未満であることが好ましい。ケイ素の原子比の最大値と最小値との差が上記範囲以上では、得られるバリア層12の屈折率分布曲線から配光性が不十分となる。
(酸素と炭素の合計量:酸素炭素分布曲線)
また、バリア層12において、ケイ素原子と酸素原子と炭素原子との合計量に対する、酸素原子と炭素原子との合計量の比率を、酸素炭素分布曲線とする。
バリア層12は、酸素炭素分布曲線において、酸素及び炭素の合計原子比の最大値と最小値との差の絶対値が、5at%未満であることが好ましく、4at%未満であることがより好ましく、3at%未満であることが特に好ましい。
酸素及び炭素の合計原子比の最大値と最小値との差が上記範囲以上では、得られるバリア層12の屈折率分布曲線から配光性が不十分となる。
(XPSデプスプロファイル)
上述のケイ素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線、酸素炭素分布曲線、及び、窒素分布曲線は、X線光電子分光法(XPS:Xray Photoelectron Spectroscopy)の測定と、アルゴン等の希ガスイオンスパッタとを併用することにより、試料内部を露出させつつ順次表面組成分析を行う、いわゆるXPSデプスプロファイル測定により作成することができる。XPSデプスプロファイル測定により得られる分布曲線は、例えば、縦軸を各元素の原子比(単位:at%)とし、横軸をエッチング時間(スパッタ時間)として作成することができる。
なお、横軸をエッチング時間とする元素の分布曲線では、エッチング時間がバリア層12の膜厚方向における表面からの距離に概ね相関する。このため、XPSデプスプロファイル測定の際に、エッチング速度とエッチング時間との関係から算出される、バリア層12の表面からの距離を「膜厚方向におけるバリア層12の表面からの距離」として採用することができる。
XPSデプスプロファイル測定には、エッチングイオン種としてアルゴン(Ar)を用いた希ガスイオンスパッタ法を採用し、エッチング速度(エッチングレート)を0.05nm/sec(SiO熱酸化膜換算値)とすることが好ましい。
また、バリア層12は、膜面全体において均一で且つ優れた配光性を有する層を形成するという観点から、バリア層12が膜面方向(バリア層12の表面に平行な方向)において実質的に一様であることが好ましい。バリア層12が膜面方向において実質的に一様とは、バリア層12の膜面の任意の2箇所において、それぞれの測定箇所の元素の分布曲線の有する極値の数が同じであり、且つ、分布曲線における炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が互いに同じ、或いは、最大値及び最小値の差が5at%以内であることをいう。
(実質的連続)
バリア層12において、炭素分布曲線は実質的に連続であることが好ましい。炭素分布曲線が実質的に連続であるとは、炭素分布曲線において炭素の原子比が不連続に変化する部分を含まないことを意味する。具体的には、エッチング速度とエッチング時間とから算出されるバリア層12の表面からの距離(x、単位:nm)と、炭素の原子比(C、単位:at%)とが、下記数式(F1):
(dC/dx)≦0.5 ・・・(F1)
で表される条件を満たす。
(ケイ素原子比、酸素原子比、炭素原子比)
また、ケイ素分布曲線、酸素分布曲線及び炭素分布曲線において、ケイ素の原子比、酸素の原子比及び炭素の原子比が、バリア層12の膜厚の90%以上の領域において上記式(1)で表される条件を満たすことが好ましい。この場合には、バリア層12中におけるケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する、ケイ素原子の含有量の原子比率は、25〜45at%であることが好ましく、30〜40at%であることがより好ましい。
また、バリア層12中におけるケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する、酸素原子の含有量の原子比率は、33〜67at%であることが好ましく、45〜67at%であることがより好ましい。
さらに、バリア層12中におけるケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する、炭素原子の含有量の原子比率は、3〜33at%であることが好ましく、3〜25at%であることがより好ましい。
(薄膜層の厚さ)
バリア層12の厚さは、5〜3000n
mの範囲であることが好ましく、10〜2000nmの範囲であることがより好ましく、100〜1000nmの範囲であることが特に好ましい。バリア層12の厚さが上記範囲を外れると、バリア層12の配光性が不十分となる。
また、バリア層12を複数の層から形成する場合には、バリア層12の全体の厚さが10〜10000nmの範囲であり、10〜5000nmの範囲であることが好ましく、100〜3000nmの範囲であることがより好ましく、200〜2000nmの範囲であることが特に好ましい。
(プライマー層)
バリア層12は、可撓性基材11との間にプライマーコート層、ヒートシール性樹脂層、接着剤層等を備えていてもよい。プライマーコート層は、可撓性基材11とバリア層12との接着性を向上させることが可能な公知のプライマーコート剤を用いて形成することができる。また、ヒートシール性樹脂層は、適宜公知のヒートシール性樹脂を用いて形成することができる。さらに、接着剤層は、適宜公知の接着剤を用いて形成することができ、このような接着剤層により複数のバリア層12を接着させてもよい。
(バリア層の製造方法)
有機EL素子10においては、バリア層12がプラズマ化学気相成長法により形成された層であることが好ましい。プラズマ化学気相成長法により形成されるバリア層12としては、可撓性基材11を一対の成膜ロール上に配置し、この一対の成膜ロール間に放電してプラズマを発生させるプラズマ化学気相成長法(プラズマCVD)で形成された層であることがより好ましい。プラズマ化学気相成長法はペニング放電プラズマ方式のプラズマ化学気相成長法であってもよい。また、一対の成膜ロール間に放電する際には、一対の成膜ロールの極性を交互に反転させることが好ましい。
プラズマ化学気相成長法においてプラズマを発生させる際には、複数の成膜ロールの間の空間にプラズマ放電を発生させることが好ましい。特に、一対の成膜ロールを用い、この一対の成膜ロールのそれぞれに可撓性基材11を配置して、一対の成膜ロール間に放電してプラズマを発生させることがより好ましい。
このようにして、一対の成膜ロール上に可撓性基材11を配置して、この成膜ロール間に放電することにより、一方の成膜ロール上に存在する可撓性基材11上に成膜することができる。同時に、もう一方(他方)の成膜ロール上の可撓性基材11上にも成膜することが可能である。このため、成膜レートを倍にでき、効率よく薄膜を製造できる。さらに、一対の成膜ロール上のそれぞれの可撓性基材11上に、同じ構造の膜を形成できる。
また、上記プラズマ化学気相成長法には有機ケイ素化合物と酸素とを含む成膜ガスを用いることが好ましい。成膜ガス中の酸素の含有量は、成膜ガス中の有機ケイ素化合物の全量を完全酸化するのに必要な理論酸素量以下であることが好ましい。
バリア層12は、連続的な成膜プロセスにより形成された層であることが好ましい。
(バリア層の製造装置)
バリア層12は、上述のように生産性の観点からロールツーロール方式で可撓性基材11の表面上に形成されることが好ましい。プラズマ化学気相成長法によりバリア層12を製造できる装置としては、特に制限されないが、少なくとも一対の成膜ロールと、プラズマ電源とを備え、且つ、成膜ロール間において放電することが可能な構成となっている装置であることが好ましい。
例えば、図5に示す製造装置30を用いた場合には、プラズマ化学気相成長法を利用しながらロールツーロール方式で製造することも可能となる。以下、図5を参照しながら、バリア層12の製造方法について説明する。なお、図5は、バリア層12の製造に好適な製造装置の一例を示す模式図である。
図5に示す製造装置30は、送り出しロール31と、搬送ロール32、33、34、35と、成膜ロール36、37と、ガス供給管38と、プラズマ発生用電源39と、成膜ロール36及び37の内部に設置された磁場発生装置41、42と、巻取りロール43とを備えている。また、製造装置30においては、少なくとも成膜ロール36、37と、ガス供給管38と、プラズマ発生用電源39と、磁場発生装置41、42とが図示しない真空チャンバー内に配置されている。更に、製造装置30において真空チャンバーは、図示を省略した真空ポンプに接続されており、かかる真空ポンプにより真空チャンバー内の圧力を調整することが可能となっている。
製造装置30においては、一対の成膜ロール(成膜ロール36、成膜ロール37)を一対の対向電極として機能させることが可能なように、各成膜ロールがプラズマ発生用電源39に接続されている。このため、製造装置30においては、プラズマ発生用電源39から電力を供給することにより、成膜ロール36と成膜ロール37との間の空間に放電することが可能であり、成膜ロール36と成膜ロール37との間の空間にプラズマを発生させることができる。なお、成膜ロール36と成膜ロール37を電極として利用する場合には、成膜ロール36と成膜ロール37とを電極として利用できる材質や設計を変更すればよい。また、製造装置30においては、一対の成膜ロール(成膜ロール36,37)は、中心軸が同一平面上において略平行となるように配置されていることが好ましい。このように、一対の成膜ロール(成膜ロール36及び37)を配置することにより、成膜レートを倍にでき、なおかつ、同じ構成の膜を形成することが可能となる。このため、炭素分布曲線における極値を少なくとも倍増させることが可能となる。そして、製造装置30によれば、CVD法によりフィルム40の表面上にバリア層12を形成することが可能であり、成膜ロール36上においてフィルム40の表面上に膜成分を堆積させつつ、更に成膜ロール37上においてもフィルム40の表面上に膜成分を堆積させることができるため、フィルム40の表面上にバリア層12を効率よく形成することができる。
また、成膜ロール36及び成膜ロール37の内部には、成膜ロールの回転にかかわらず、回転しないように固定された磁場発生装置41及び42がそれぞれ設けられている。
さらに、成膜ロール36及び成膜ロール37としては、公知のロールを用いることができる。成膜ロール36及び37としては、より効率よく薄膜を形成するという観点から、同一の直径のロールを使うことが好ましい。また、成膜ロール36及び37の直径としては、放電条件、チャンバーのスペース等の観点から、5〜100cmの範囲とすることが好ましい。
また、製造装置30においては、一対の成膜ロール(成膜ロール36と成膜ロール37)上に、フィルム40の表面がそれぞれ対向するように、フィルム40が配置されている。このようにフィルム40を配置することにより、成膜ロール36と成膜ロール37との間にプラズマを発生させる際に、一対の成膜ロール間に存在するフィルム40のそれぞれの表面に、同時にバリア層12を成膜することが可能となる。すなわち、製造装置30によれば、CVD法により、成膜ロール36上にてフィルム40の表面上に膜成分を堆積させ、更に成膜ロール37上にて膜成分を堆積させることができるため、フィルム40の表面上にバリア層12を効率よく形成することが可能となる。
また、製造装置30に用いる送り出しロール31及び搬送ロール32、33、34、35には公知のロールを用いることができる。また、巻取りロール43は、バリア層12を形成したフィルム40を巻き取ることが可能であれば特に制限されず、公知のロールを用いることができる。
また、ガス供給管38としては原料ガス等を所定の速度で供給又は排出することが可能な配管を用いることができる。さらに、プラズマ発生用電源39としては、公知のプラズマ発生装置の電源を用いることができる。プラズマ発生用電源39は、これに接続された成膜ロール36、37に電力を供給することで、成膜ロール36、37を放電のための対向電極として利用可能にする。プラズマ発生用電源39としては、より効率よくプラズマCVDを実施することが可能となることから、成膜ロールの極性を交互に反転させることが可能な交流電源等を利用することが好ましい。また、より効率よくプラズマCVDを実施することが可能となることから、印加電力を100W〜10kWとすることができ、且つ、交流の周波数を50Hz〜500kHzとすることが可能なプラズマ発生用電源39を用いることがより好ましい。また、磁場発生装置41、42としては、公知の磁場発生装置を用いることができる。さらに、フィルム40としては、上述の有機EL素子10に適用可能な可撓性基材11の他に、バリア層12を予め形成させた可撓性基材11を用いることができる。このように、フィルム40としてバリア層12を予め形成させた可撓性基材11を用いることにより、バリア層12の厚みを厚くすることも可能である。
上述のように、図5に示す製造装置30を用いて、例えば、原料ガスの種類、プラズマ発生装置の電極ドラムの電力、真空チャンバー内の圧力、成膜ロールの直径、並びに、フィルムの搬送速度を調整することで、プラズマCVD法によりバリア層12を製造することができる。すなわち、図5に示す製造装置30を用いて、成膜ガス(原料ガス等)を真空チャンバー内に供給しつつ、一対の成膜ロール(成膜ロール36,37)間に放電することにより、成膜ガス(原料ガス等)をプラズマによって分解し、成膜ロール36上のフィルム40の表面上、及び、成膜ロール37上のフィルム40の表面上に、バリア層12を形成することができる。なお、成膜に際しては送り出しロール31や成膜ロール36等でフィルム40を搬送することにより、ロールツーロール方式の連続的な成膜プロセスでフィルム40の表面上にバリア層12を形成できる。
(原料ガス)
バリア層12の形成に用いる成膜ガス中の原料ガスとしては、形成するバリア層12の材質に応じて適宜選択して使用することができる。原料ガスとしては、例えばケイ素を含有する有機ケイ素化合物を用いることができる。有機ケイ素化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。これらの有機ケイ素化合物の中でも、製膜での取り扱い及び得られるバリア層12の配光性等の特性の観点から、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3.3−テトラメチルジシロキサンを用いることが好ましい。また、これらの有機ケイ素化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、成膜ガスとしては、原料ガスの他に反応ガスを用いてもよい。このような反応ガスとしては、原料ガスと反応して酸化物、窒化物等の無機化合物となるガスを適宜選択して使用することができる。酸化物を形成するための反応ガスとしては、例えば、酸素、オゾンを用いることができる。また、窒化物を形成するための反応ガスとしては、例えば、窒素、アンモニアを用いることができる。これらの反応ガスは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、例えば酸窒化物を形成する場合には、酸化物を形成するための反応ガスと窒化物を形成するための反応ガスとを組み合わせて使用することができる。
成膜ガスとしては、原料ガスを真空チャンバー内に供給するために、必要に応じてキャリアガスを用いてもよい。さらに、成膜ガスとしては、プラズマ放電を発生させるために、必要に応じて放電用ガスを用いてもよい。キャリアガス及び放電用ガスとしては、公知のガスを使用することができ、例えば、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン等の希ガス、水素を用いることができる。
成膜ガスが、原料ガスと反応ガスとを含有する場合には、原料ガスと反応ガスとの比率を、原料ガスと完全に反応させるために理論上必要となる反応ガスの量よりも、反応ガスの比率を過剰にし過ぎないことが好ましい。反応ガスの比率を過剰にし過ぎてしまうと、バリア層12の配光性が十分に得られなくなってしまう。また、成膜ガスが有機ケイ素化合物と酸素とを含有する場合には、成膜ガス中の有機ケイ素化合物の全量を完全酸化するのに必要な理論酸素量以下であることが好ましい。
以下、一例として、原料ガスにヘキサメチルジシロキサン(有機ケイ素化合物:HMDSO:(CHSiO)、反応ガスに酸素(O)を用いる場合について説明する。
原料ガスとしてヘキサメチルジシロキサンを含有し、反応ガスとして酸素を含有する成膜ガスを、プラズマCVDにより反応させて、ケイ素−酸素系の薄膜を作製する場合、下記反応式(1)の反応が起こり、二酸化ケイ素が生成される。
(CHSiO+12O→6CO+9HO+2SiO ・・・(1)
この反応において、ヘキサメチルジシロキサン1モルを完全酸化するのに必要な酸素量は12モルである。このため、成膜ガス中に、ヘキサメチルジシロキサン1モルに対して、酸素を12モル以上含有させて完全に反応させた場合には、均一な二酸化ケイ素膜が形成されてしまう。このため、原料のガス流量比を、理論比である完全反応の原料比以下の流量に制御して、非完全反応を遂行させる。つまり、ヘキサメチルジシロキサン1モルに対して酸素量を化学量論比の12モルより少ない量にする必要がある。
なお、実際のプラズマCVDチャンバー内の反応では、原料のヘキサメチルジシロキサンと反応ガスの酸素は、ガス供給部から成膜領域へ供給されるため、反応ガスの酸素のモル量(流量)が原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)の12倍のモル量(流量)であったとしても、現実には完全に反応を進行させることはできない。つまり、酸素の含有量を化学量論比に比して大過剰に供給したときに、初めて反応が完結すると考えられる。例えば、CVDにより完全酸化させて酸化ケイ素を得るために、酸素のモル量(流量)を原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)の20倍以上程度とする場合もある。
このため、原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)に対する酸素のモル量(流量)は、化学量論比である12倍量以下(より好ましくは、10倍以下)であることが好ましい。このような比でヘキサメチルジシロキサン及び酸素を含有させることにより、完全に酸化されなかったヘキサメチルジシロキサン中の炭素原子や水素原子がバリア層12中に取り込まれ、所望のバリア層12を形成することが可能となる。
なお、成膜ガス中のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)に対する酸素のモル量(流量)が少なすぎると、酸化されなかった炭素原子や水素原子がバリア層12中に過剰に取り込まれるため、バリア層12の透明性が低下する。このため、有機EL素子10のように、透明性が必要とされるフレキシブル基板には利用できなくなってしまう。このような観点から、成膜ガス中のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)に対する酸素のモル量(流量)の下限は、ヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)の0.1倍より多い量とすることが好ましく、0.5倍より多い量とすることがより好ましい。
(真空度)
真空チャンバー内の圧力(真空度)は、原料ガスの種類等に応じて適宜調整することができるが、0.5Pa〜100Paの範囲とすることが好ましい。
(成膜ロール)
上述のプラズマCVD法において、成膜ロール36,37間に放電するために、プラズマ発生用電源39に接続された電極ドラムに印加する電力は、原料ガスの種類や真空チャンバー内の圧力等に応じて適宜調整することができる。例えば、0.1〜10kWの範囲とすることが好ましい。印加電力が下限未満ではパーティクルが発生し易くなる傾向にある。他方、上限を超えると成膜時に発生する熱量が多くなり、成膜時の基材表面の温度が上昇してしまい、可撓性基材11が熱負けして成膜時に皺が発生してしまう。
なお、本例において、電極ドラムは、成膜ロール36,37に設置されている。
フィルム40の搬送速度(ライン速度)は、原料ガスの種類や真空チャンバー内の圧力等に応じて適宜調整することができるが、0.25〜100m/minの範囲とすることが好ましく、0.5〜20m/minの範囲とすることがより好ましい。ライン速度が下限未満では、フィルムに熱に起因する皺が発生しやすくなる傾向にあり、他方、上限を超えると、形成されるバリア層12の厚みが薄くなる傾向にある。
(下地層)
可撓性基材11とバリア層12との間には、下地層が形成されていてもよい。下地層は突起等が存在する可撓性基材11の粗面を平坦化し、或いは、可撓性基材11に存在する突起により、バリア層12への凹凸やピンホールの発生を防ぐために設けられる。
なお、下地層を設ける場合には、この下地層は有機EL素子10の厚さ方向の略中央部に設けなくもよいが、略中央部に配置することにより、バリア層12の亀裂発生の抑制に効果的である。
このような下地層は、基本的には感光性樹脂を硬化させて形成される。
下地層の形成に用いる感光性樹脂としては、例えば、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物を含有する樹脂組成物、アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物を含有する樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを溶解させた樹脂組成物等が挙げられる。また、上記のような樹脂組成物の任意の混合物を使用することも可能であり、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性のモノマーを含有している感光性樹脂であれば特に制限はない。
光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性モノマーとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−デシルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソボニルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトリキエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリオキシエチルトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピオンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピオンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、1,2,4−ブタンジオールトリアクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールジアクリレート、ジアリルフマレート、1,10−デカンジオールジメチルアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、及び、上記のアクリレートをメタクリレートに換えたもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられる。上記の反応性モノマーは、1種又は2種以上の混合物として、或いは、その他の化合物との混合物として使用することができる。
感光性樹脂組成物は、光重合開始剤を含有する。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モノフォリノ−1−プロパン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モノフォリノフェニル)−ブタノン−1、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー等の光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミン等の還元剤の組み合わせ等が挙げられ、これらの光重合開始剤を1種又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
下地層は、特に制限はないが、スピンコーティング法、スプレー法、ブレードコーティング法、ディップ法等のウエットコーティング法、或いは、蒸着法等のドライコーティング法により形成することが好ましい。
下地層の形成では、上述の感光性樹脂に、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等の添加剤を加えることができる。また、下地層の積層位置に関係なく、いずれの下地層においても、成膜性向上及び膜のピンホール発生防止等のために適切な樹脂や添加剤を使用してもよい。
感光性樹脂を溶媒に溶解又は分散させた塗布液を用いて下地層を形成する際に、使用する溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、α−もしくはβ−テルピネオール等のテルペン類等、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、シクロヘキシルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等の酢酸エステル類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、安息香酸メチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。
下地層の平滑性は、JIS B 0601で規定される表面粗さで表現される値で、最大断面高さRt(p)が、10nm以上、30nm以下であることが好ましい。10nmよりも小さい場合には、ワイヤーバー、ワイヤレスバー等の塗布方式で後述のケイ素化合物を塗布する段階において、下地層表面に塗工手段が接触する場合に塗布性が損なわれることがある。また、30nmよりも大きい場合には、ケイ素化合物を塗布した後の、凹凸を平滑化することが難しくなる場合がある。
表面粗さは、AFM(原子間力顕微鏡)を用いて測定された、微細な凹凸の振幅に関する粗さである。この表面粗さは、AFMの極小の先端半径の触針を持つ検出器によって、数十μmの区間内を多数回測定し、この連続測定した凹凸の断面曲線から算出される。
(下地層への添加剤)
下地層には、添加剤が含まれていてもよい。下地層に含まれる添加剤としては、感光性樹脂の表面に光重合反応性を有する感光性基が導入された反応性シリカ粒子(以下、単に「反応性シリカ粒子」ともいう)が好ましい。
ここで、光重合性を有する感光性基としては、(メタ)アクリロイルオキシ基に代表される重合性不飽和基等を挙げることができる。感光性樹脂は、この反応性シリカ粒子の表面に導入された感光性基と光重合反応可能な化合物、例えば、重合性不飽和基を有する不飽和有機化合物を含むことが好ましい。また、感光性樹脂は、反応性シリカ粒子や、重合性不飽和基を有する不飽和有機化合物に汎用の希釈溶剤が混合されて、固形分が調整されていてもよい。
ここで、反応性シリカ粒子の平均粒子径としては、0.001〜0.1μmの平均粒子径であることが好ましい。平均粒子径を上記範囲にすることにより、後述する平均粒子径1〜10μmの無機粒子からなるマット剤と組合せて用いると、配光性等の光学特性と、ハードコート性とを兼ね備えた下地層を形成し易くなる。
なお、上記効果をより得やすくするためには、平均粒子径を0.001〜0.01μmの範囲をすることが好ましい。下地層中には、上述の様な無機粒子を質量比として20%以上60%以下含有することが好ましい。20%以上添加することで、可撓性基材11とバリア層12との密着性が向上する。また、60%を超えると、フィルムを湾曲させたり、加熱処理を行った場合にクラックが生じたり、バリア層12の透明性や屈折率等の光学的物性に影響を及ぼすことがある。
なお、本例では、反応性シリカ粒子として、加水分解性シリル基の加水分解反応によってシリカ粒子との間にシリルオキシ基を生成し、化学的に結合している重合性不飽和基修飾加水分解性シランを用いることができる。
加水分解性シリル基としては、例えば、アルコキシリル基、アセトキシリル基等のカルボキシリレートシリル基、クロロシリル基等のハロゲン化シリル基、アミノシリル基、オキシムシリル基、ヒドリドシリル基等が挙げられる。
重合性不飽和基としては、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニイル基、シンナモイル基、マレート基、アクリルアミド基等が挙げられる。
下地層の厚さは、好ましくは1〜10μm、より好ましくは2〜7μmである。1μm以上にすることにより、下地層を有する可撓性基材11の平滑性が十分になる。また、10μm以下にすることにより、光学特性のバランスを調整し易くなると共に、下地層を可撓性基材11の一方の面にのみ設けた場合のカールを抑え易くすることができる。
また、下地層には、その他の添加剤として、マット剤を含有してもよい。マット剤としては、平均粒子径が0.1〜5μm程度の無機粒子が好ましい。
このような無機粒子としては、シリカ、アルミナ、タルク、クレイ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化ジルコニウム等の1種又は2種以上を併せて使用することができる。
ここで、無機粒子からなるマット剤は、下地層の固形分100質量部に対して2質量部以上、好ましくは4質量部以上、より好ましくは6質量部以上、20質量部以下、好ましくは18質量部以下、より好ましくは16質量部以下の割合で混合されていることが好ましい。
(ブリードアウト防止層)
可撓性基材11には、ブリードアウト防止層を設けることができる。ブリードアウト防止層は、下地層を有するフィルム状の可撓性基材11を加熱した際に、可撓性基材11中から未反応のオリゴマー等が表面へ移行して、可撓性基材11の表面を汚染する現象を抑制するために、下地層を有する基材の反対面に設けられる。ブリードアウト防止層は、この機能を有していれば、基本的に下地層と同じ構成をとっても構わない。
なお、ブリードアウト防止層を設ける場合には、このブリードアウト防止層は有機EL素子10の厚さ方向の略中央部に設けなくもよいが、略中央部に配置することにより、バリア層12の亀裂発生の抑制に効果的である。
ブリードアウト防止層としては、重合性不飽和基を有する不飽和有機化合物を用いることができる。この不飽和有機化合物としては、分子中に2個以上の重合性不飽和基を有する多価不飽和有機化合物、或いは、分子中に1個の重合性不飽和基を有する単価不飽和有機化合物等を用いることが好ましい。
ここで、多価不飽和有機化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、単価不飽和有機化合物としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、ブリードアウト防止層には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、光重合開始剤等を含有させてもよい。
この熱可塑性樹脂としては、アセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、酢酸ビニル及びその共重合体、塩化ビニル及びその共重合体、塩化ビニリデン及びその共重合体等のビニル系樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール系樹脂、アクリル樹脂及びその共重合体、メタクリル樹脂及びその共重合体等のアクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、線状ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
また、熱硬化性樹脂としては、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化性ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。
また、電離放射線硬化性樹脂は、光重合性プレポリマー又は光重合性モノマー等の1種又は2種以上を混合した電離放射線硬化塗料に、電離放射線(紫外線又は電子線)を照射することで硬化させることができる。ここで光重合性プレポリマーとしては、1分子中に2個以上のアクリロイル基を有し、架橋硬化することにより3次元網目構造となるアクリル系プレポリマーが特に好ましい。アクリル系プレポリマーとしては、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、メラミンアクリレート等が使用できる。また光重合性モノマーとしては、上記多価不飽和有機化合物等を使用できる。
また、光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾインベンゾエート、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパン、α−アシロキシムエステル、チオキサンソン類等が挙げられる。
ブリードアウト防止層は、マット剤や他の必要な成分を配合した後、必要に応じて希釈溶剤で塗布液を調製し、この塗布液を基材表面に従来公知の塗布方法によって塗布し、塗布液に電離放射線を照射して硬化させることにより形成することができる。なお、電離放射線としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、メタルハライドランプ等から発せられる100〜400nm、好ましくは200〜400nmの波長領域の紫外線を照射する。或いは、走査型やカーテン型の電子線加速器から発せられる100nm以下の波長領域の電子線を照射する。
ブリードアウト防止層の厚さとしては、1〜10μmであることが好ましく、特に2〜7μmであることが好ましい。1μm以上とすることにより、耐熱性を十分にできる。また、10μm以下とすることにより、光学特性のバランスを調整し易くなると共に、下地層を可撓性基材11の一方の面に設けた場合におけるカールを抑えることができる。
[発光ユニットの構成]
発光ユニット16は、電極間に発光性を有する発光機能層を備える構成である。電極は第1電極と第2電極とからなり、それぞれ有機EL素子の陰極又は陽極を構成する。発光機能層は、少なくとも有機材料を含む発光層を有し、さらに、発光層と電極との間に他の層を備えていてもよい。
発光ユニット16の代表的な素子構成としては、以下の構成を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
(1)陽極/発光層/陰極
(2)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(3)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
(4)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(5)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(7)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/(電子阻止層/)発光層/(正孔阻止層/)電子輸送層/電子注入層/陰極
上記の中で(7)の構成が好ましく用いられるが、これに限定されるものではない。
上記の代表的な素子構成において、陽極と陰極を除く層が、発光性を有する発光機能層である。また、有機EL素子10では、第1電極13又は第2電極15が、上記陽極又は陰極を構成する。
(発光機能層)
上記構成において、発光層は、単層または複数層で構成される。発光層が複数の場合は、各発光層の間に非発光性の中間層を設けてもよい。
また、必要に応じて、発光層と陰極との間に正孔阻止層(正孔障壁層)や電子注入層(陰極バッファー層)等を設けてもよく、また、発光層と陽極との間に電子阻止層(電子障壁層)や正孔注入層(陽極バッファー層)等を設けてもよい。
電子輸送層は、電子を輸送する機能を有する層である。電子輸送層には、広い意味で電子注入層、及び、正孔阻止層も含まれる。また、電子輸送層は、複数層で構成されていてもよい。
正孔輸送層は、正孔を輸送する機能を有する層である。正孔輸送層には、広い意味で正孔注入層、及び、電子阻止層も含まれる。また、正孔輸送層は、複数層で構成されていてもよい。
(タンデム構造)
また、発光ユニット16は、少なくとも1層の発光層を含む発光機能層を複数積層した、いわゆるタンデム構造の素子であってもよい。
発光機能層としては、例えば、上記の代表的な素子構成で挙げた(1)〜(7)の構成から、陽極と陰極を除いたもの等が挙げられる。
タンデム構造の代表的な素子構成としては、例えば以下の構成を挙げることができる。
(1)陽極/第1発光機能層/中間層/第2発光機能層/陰極
(2)陽極/第1発光機能層/中間層/第2発光機能層/中間層/第3発光機能層/陰極
ここで、上記第1発光機能層、第2発光機能層及び第3発光機能層は全て同じであっても、異なっていてもよい。また、2つの発光機能層が同じであり、残る1つが異なっていてもよい。
また、各発光機能層は直接積層されていても、中間層を介して積層されていてもよい。中間層は、例えば、中間電極、中間導電層、電荷発生層、電子引抜層、接続層、又は、中間絶縁層等から構成され、陽極側の隣接層に電子を、陰極側の隣接層に正孔を供給する機能を持った層であれば、公知の材料構成を用いることができる。
中間層に用いられる材料としては、例えば、ITO(インジウム・錫酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、ZnO、TiN、ZrN、HfN、TiO、VO、CuI、InN、GaN、CuAlO、CuGaO、SrCu、LaB、RuO、Al等の導電性無機化合物層や、Au/Bi等の2層膜や、SnO/Ag/SnO、ZnO/Ag/ZnO、Bi/Au/Bi、TiO/TiN/TiO、TiO/ZrN/TiO等の多層膜、またC60等のフラーレン類、オリゴチオフェン等の導電性有機物層、金属フタロシアニン類、無金属フタロシアニン類、金属ポルフィリン類、無金属ポルフィリン類等の導電性有機化合物層等が挙げられる。
タンデム型の発光ユニットの具体例としては、例えば、米国特許第6,337,492号、米国特許第7,420,203号、米国特許第7,473,923号、米国特許第6,872,472号、米国特許第6,107,734号、米国特許第6,337,492号、国際公開第2005/009087号、特開2006−228712号公報、特開2006−24791号公報、特開2006−49393号公報、特開2006−49394号公報、特開2006−49396号公報、特開2011−96679号公報、特開2005−340187号公報、特許第4711424号、特許第3496681号、特許第3884564号、特許第4213169号、特開2010−192719号公報、特開2009−076929号公報、特開2008−078414号公報、特開2007−059848号公報、特開2003−272860号公報、特開2003−045676号公報、国際公開第2005/094130号等に記載の素子構成や構成材料等が挙げられるが、これらに限定されない。
以下、発光ユニット16を構成する各層について説明する。
[発光層]
有機EL素子10に用いる発光層は、電極又は隣接層から注入される電子と正孔とが再結合し、励起子を経由して発光する場を提供する層である。発光層において、発光する部分は発光層の層内であっても、発光層と隣接層との界面であってもよい。
発光層の厚さの総和は、特に制限されず、形成する膜の均質性、発光時に必要とされる電圧、及び、駆動電流に対する発光色の安定性等の観点から決められる。発光層の厚さの総和は、例えば、2nm〜5μmの範囲に調整することが好ましく、より好ましくは2nm〜500nmの範囲に調整され、更に好ましくは5nm〜200nmの範囲に調整される。また、発光層の個々の膜厚としては、2nm〜1μmの範囲に調整することが好ましく、より好ましくは2nm〜200nmnmの範囲に調整され、更に好ましくは3nm〜150nmの範囲に調整される。
発光層は、発光ドーパント(発光性ドーパント化合物、ドーパント化合物、単にドーパントともいう)と、ホスト化合物(マトリックス材料、発光ホスト化合物、単にホストともいう)とを含有することが好ましい。
(1.発光ドーパント)
発光層に用いられる発光ドーパントとしては、蛍光発光性ドーパント(蛍光ドーパント、蛍光性化合物ともいう)、及び、リン光発光性ドーパント(リン光ドーパント、リン光性化合物ともいう)が好ましく用いられる。これらのうち、少なくとも1層の発光層がリン光発光ドーパントを含有することが好ましい。
発光層中の発光ドーパントの濃度については、使用される特定のドーパントおよびデバイスの必要条件に基づいて、任意に決定することができる。光ドーパントの濃度は、発光層の膜厚方向に対し、均一な濃度で含有されていてもよく、また任意の濃度分布を有していてもよい。
また、発光層は、複数種の発光ドーパントが含まれていてもよい。例えば、構造の異なるドーパント同士の組み合わせや、蛍光発光性ドーパントとリン光発光性ドーパントとを組み合わせて用いてもよい。これにより、任意の発光色を得ることができる。
有機EL素子10が発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタセンシング(株)製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。
有機EL素子10は、1層又は複数層の発光層が、発光色の異なる複数の発光ドーパントを含有し、白色発光を示すことも好ましい。白色を示す発光ドーパントの組み合わせについては特に限定はないが、例えば青と橙との組み合わや、青と緑と赤との組み合わせ等が挙げられる。
有機EL素子10における白色としては、2度視野角正面輝度を前述の方法により測定した際に、1000cd/mでのCIE1931表色系における色度がx=0.39±0.09、y=0.38±0.08の領域内にあることが好ましい。
(1−1.リン光発光性ドーパント)
リン光発光性ドーパントは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には、室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、25℃においてリン光量子収率が0.01以上の化合物である。発光層に用いるリン光発光性ドーパントにおいて、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できる。発光層に用いるリン光発光性ドーパントは、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
リン光発光性ドーパントの発光は、原理として二種挙げられる。
一つは、キャリアが輸送されるホスト化合物上で、キャリアの再結合によるホスト化合物の励起状態が生成され、このエネルギーをリン光発光性ドーパントに移動させることでリン光発光性ドーパントからの発光を得るという、エネルギー移動型である。もう一つは、リン光発光性ドーパントがキャリアトラップとなり、リン光発光性ドーパント上でキャリアの再結合が起こり、リン光発光性ドーパントからの発光が得られるという、キャリアトラップ型である。いずれの場合においても、リン光発光性ドーパントの励起状態のエネルギーは、ホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件となる。
リン光発光性ドーパントは、有機EL素子10の発光層に使用される公知の材料から適宜選択して用いることができる。
公知のリン光発光性ドーパントの具体例としては、以下の文献に記載されている化合物等が挙げられる。
Nature 395,151 (1998)、Appl. Phys. Lett. 78, 1622 (2001)、Adv. Mater. 19, 739 (2007)、Chem. Mater. 17, 3532 (2005)、Adv. Mater. 17, 1059 (2005)、国際公開第2009100991号、国際公開第2008101842号、国際公開第2003040257号、米国特許公開第2006835469号、米国特許公開第20060202194号、米国特許公開第20070087321号、米国特許公開第20050244673号
Inorg. Chem. 40, 1704 (2001)、Chem. Mater. 16, 2480 (2004)、Adv. Mater. 16, 2003 (2004)、Angew. Chem. lnt. Ed. 2006, 45, 7800、Appl. Phys. Lett. 86, 153505 (2005)、Chem. Lett. 34, 592 (2005)、Chem. Commun. 2906 (2005)、Inorg. Chem. 42, 1248 (2003)、国際公開第2009050290号、国際公開第2002015645号、国際公開第2009000673号、米国特許公開第20020034656号、米国特許第7332232号、米国特許公開第20090108737号、米国特許公開第20090039776号、米国特許第6921915号、米国特許第6687266号、米国特許公開第20070190359号、米国特許公開第20060008670号、米国特許公開第20090165846号、米国特許公開第20080015355号、米国特許第7250226号、米国特許第7396598号、米国特許公開第20060263635号、米国特許公開第20030138657号、米国特許公開第20030152802号、米国特許第7090928号
Angew. Chem. lnt. Ed. 47, 1 (2008)、Chem. Mater. 18, 5119 (2006)、Inorg. Chem. 46, 4308 (2007)、Organometallics 23, 3745 (2004)、Appl. Phys. Lett. 74, 1361 (1999)、国際公開第2002002714号、国際公開第2006009024号、国際公開第2006056418号、国際公開第2005019373号、国際公開第2005123873号、国際公開第2005123873号、国際公開第2007004380号、国際公開第2006082742号、米国特許公開第20060251923号、米国特許公開第20050260441号、米国特許第7393599号、米国特許第7534505号、米国特許第7445855号、米国特許公開第20070190359号、米国特許公開第20080297033号、米国特許第7338722号、米国特許公開第20020134984号、米国特許第7279704号、米国特許公開第2006098120号、米国特許公開第2006103874号
国際公開第2005076380号、国際公開第2010032663号、国際公開第第2008140115号、国際公開第2007052431号、国際公開第2011134013号、国際公開第2011157339号、国際公開第2010086089号、国際公開第2009113646号、国際公開第2012020327号、国際公開第2011051404号、国際公開第2011004639号、国際公開第2011073149号、米国特許公開第2012228583号、米国特許公開第2012212126号、特開2012−069737号公報、特開2012−195554号公報、特開2009−114086号公報、特開2003−81988号公報、特開2002−302671号公報、特開2002−363552号公報
中でも、好ましいリン光発光性ドーパントとしては、Irを中心金属に有する有機金属錯体が挙げられる。さらに好ましくは、金属−炭素結合、金属−窒素結合、金属−酸素結合、金属−硫黄結合の少なくとも1つの配位様式を含む錯体が好ましい。
(1−2.蛍光発光性ドーパント)
蛍光発光性ドーパントは、励起一重項からの発光が可能な化合物であり、励起一重項からの発光が観測される限り特に限定されない。
蛍光発光性ドーパントしては、例えば、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、フルオランテン誘導体、ペリレン誘導体、フルオレン誘導体、アリールアセチレン誘導体、スチリルアリーレン誘導体、スチリルアミン誘導体、アリールアミン誘導体、ホウ素錯体、クマリン誘導体、ピラン誘導体、シアニン誘導体、クロコニウム誘導体、スクアリウム誘導体、オキソベンツアントラセン誘導体、フルオレセイン誘導体、ローダミン誘導体、ピリリウム誘導体、ペリレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、又は希土類錯体系化合物等が挙げられる。
また、蛍光発光性ドーパントして、遅延蛍光を利用した発光ドーパント等を用いてもよい。
遅延蛍光を利用した発光ドーパントの具体例としては、例えば、国際公開第2011/156793号、特開2011−213643号公報、特開2010−93181号公報等に記載の化合物が挙げられる。
(2.ホスト化合物)
ホスト化合物は、発光層において主に電荷の注入および輸送を担う化合物であり、有機EL素子10においてそれ自体の発光は実質的に観測されない。
好ましくは室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満の化合物であり、さらに好ましくは、リン光量子収率が0.01未満の化合物である。また、発光層に含有される化合物の内で、その層中での質量比が20%以上であることが好ましい。
また、ホスト化合物の励起状態エネルギーは、同一層内に含有される発光ドーパントの励起状態エネルギーよりも高いことが好ましい。
ホスト化合物は、単独で用いてもよく、または複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子10の高効率化が可能となる。
発光層に用いるホスト化合物としては、特に制限はなく、従来の有機EL素子で用いられる化合物を用いることができる。例えば、低分子化合物や、繰り返し単位を有する高分子化合物でもよく、或いは、ビニル基やエポキシ基のような反応性基を有する化合物でもよい。
公知のホスト化合物としては、正孔輸送能又は電子輸送能を有しつつ、発光の長波長化を防ぎ、さらに、有機EL素子10を高温駆動時や素子駆動中の発熱に対する安定性の観点から、高いガラス転移温度(Tg)を有することが好ましい。ホスト化合物としては、Tgが90℃以上であることが好ましく、より好ましくは120℃以上である。
ここで、ガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS−K−7121に準拠した方法により求められる値である。
有機EL素子10に用いられる、公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載の化合物等が挙げられる。
特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報、米国特許公開第20030175553号、米国特許公開第20060280965号、米国特許公開第20050112407号、米国特許公開第20090017330号、米国特許公開第20090030202号、米国特許公開第20050238919号、国際公開第2001039234号、国際公開第2009021126号、国際公開第2008056746号、国際公開第2004093207号、国際公開第2005089025号、国際公開第2007063796号、国際公開第2007063754号、国際公開第2004107822号、国際公開第2005030900号、国際公開第2006114966号、国際公開第2009086028号、国際公開第2009003898号、国際公開第2012023947号、特開2008−074939号公報、特開2007−254297号公報、EP2034538等である。
[電子輸送層]
有機EL素子10に用いる電子輸送とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有する。
電子輸送材料は単独で用いてもよく、また複数種を併用して用いてもよい。
電子輸送層の総厚については特に制限はないが、通常は2nm〜5μmの範囲であり、より好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
また、有機EL素子10においては、発光層で生じた光を電極から取り出す際、発光層から直接取り出される光と、光を取り出す電極と対極に位置する電極で反射されてから取り出される光とが、干渉を起こすことが知られている。光が電極に反射される場合は、電子輸送層の総膜厚を数nm〜数μmの間で適宜調整することにより、この干渉効果を効率的に利用することが可能である。
一方で、電子輸送層の膜厚を厚くすると電圧が上昇しやすくなるため、特に膜厚が厚い場合においては、電子輸送層の電子移動度を10−5cm/Vs以上とすることが好ましい。
電子輸送層に用いられる材料(以下、電子輸送材料という)としては、電子の注入性若しくは輸送性、又は、正孔の障壁性のいずれかを有していればよく、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
例えば、含窒素芳香族複素環誘導体、芳香族炭化水素環誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、シロール誘導体等が挙げられる。
上記含窒素芳香族複素環誘導体としては、カルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体(カルバゾール環を構成する炭素原子の1つ以上が窒素原子に置換)、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリダジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体、アザトリフェニレン誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体等が挙げられる。
芳香族炭化水素環誘導体としては、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、トリフェニレン等が挙げられる。
また、配位子にキノリノール骨格やジベンゾキノリノール骨格を有する金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及び、これらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。
その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又は、それらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
また、これらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
有機EL素子10では、ゲスト材料として電子輸送層にドープ材をドープして、n性の高い(電子リッチ)電子輸送層を形成してもよい。ドープ材としては、金属錯体及びハロゲン化金属等の金属化合物や、その他のn型ドーパントが挙げられる。このような構成の電子輸送層の具体例としては、例えば、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等の文献に記載されたものが挙げられる。
有機EL素子10に用いられる、公知の好ましい電子輸送材料の具体例としては、以下の文献に記載の化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
米国特許第6528187号、米国特許第7230107号、米国特許公開第20050025993号、米国特許公開第20040036077号、米国特許公開第20090115316号、米国特許公開第20090101870号、米国特許公開第20090179554号、国際公開第2003060956号、国際公開第2008132085号、Appl. Phys. Lett. 75, 4 (1999)、Appl. Phys. Lett. 79, 449 (2001)、Appl. Phys. Lett. 81, 162 (2002)、Appl. Phys. Lett. 81, 162 (2002)、Appl. Phys. Lett. 79, 156 (2001)、米国特許第7964293号、米国特許公開第2009030202号、国際公開第2004080975号、国際公開第2004063159号、国際公開第2005085387号、国際公開第2006067931号、国際公開第2007086552号、国際公開第2008114690号、国際公開第2009069442号、国際公開第2009066779号、国際公開第2009054253号、国際公開第2011086935号、国際公開第2010150593号、国際公開第2010047707号、EP2311826号、特開2010−251675号公報、特開2009−209133号公報、特開2009−124114号公報、特開2008−277810号公報、特開2006−156445号公報、特開2005−340122号公報、特開2003−45662号公報、特開2003−31367号公報、特開2003−282270号公報、国際公開第2012115034号等
より好ましい電子輸送材料としては、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、トリアジン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、カルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体が挙げられる。
[正孔阻止層]
正孔阻止層は、広い意味では電子輸送層の機能を有する層である。好ましくは、電子を輸送する機能を有しつつ、正孔を輸送する能力が小さい材料からなる。電子を輸送しつつ正孔を阻止することで、電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
また、上述の電子輸送層の構成を、必要に応じて正孔阻止層として用いることができる。
有機EL素子10に設ける正孔阻止層は、発光層の陰極側に隣接して設けられることが好ましい。
有機EL素子10において、正孔阻止層の厚さは、好ましくは3〜100nmの範囲であり、さらに好ましくは5〜30nmの範囲である。
正孔阻止層に用いられる材料としては、上述の電子輸送層に用いられる材料が好ましく用いられ、また、上述のホスト化合物として用いられる材料も正孔阻止層に好ましく用いられる。
[電子注入層]
電子注入層(「陰極バッファー層」ともいう)は、駆動電圧低下や発光輝度向上のために陰極と発光層との間に設けられる層である。電子注入層の一例は、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に記載されている。
有機EL素子10において、電子注入層は必要に応じて設けられ、上述のように陰極と発光層との間、又は、陰極と電子輸送層との間に設けられる。
電子注入層はごく薄い膜であることが好ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5nmの範囲が好ましい。また構成材料が断続的に存在する不均一な膜であってもよい。
電子注入層は、特開平6−325871号公報、特開平9−17574号公報、特開平10−74586号公報等にもその詳細が記載されている。電子注入層に好ましく用いられる材料の具体例としては、ストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム等に代表されるアルカリ金属化合物、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム等に代表されるアルカリ土類金属化合物、酸化アルミニウムに代表される金属酸化物、リチウム8−ヒドロキシキノレート(Liq)等に代表される金属錯体等が挙げられる。また、上述の電子輸送材料を用いることも可能である。
また、上記の電子注入層に用いられる材料は単独で用いてもよく、複数種を併用して用いてもよい。
[正孔輸送層]
正孔輸送層は、正孔を輸送する機能を有する材料からなる。正孔輸送層は、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有する層である。
有機EL素子10において、正孔輸送層の総膜厚には特に制限はないが、通常は5nm〜5μmの範囲であり、より好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
正孔輸送層に用いられる材料(以下、正孔輸送材料という)は、正孔の注入性または輸送性、電子の障壁性のいずれかを有していればよい。正孔輸送材料は、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。正孔輸送材料は単独で用いてもよく、また複数種を併用して用いてもよい。
正孔輸送材料は、例えば、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、トリアリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、イソインドール誘導体、アントラセンやナフタレン等のアセン系誘導体、フルオレン誘導体、フルオレノン誘導体、ポリビニルカルバゾール、芳香族アミンを主鎖若しくは側鎖に導入した高分子材料又はオリゴマー、ポリシラン、導電性ポリマー又はオリゴマー(例えばPEDOT:PSS、アニリン系共重合体、ポリアニリン、ポリチオフェン等)等が挙げられる。
トリアリールアミン誘導体としては、α−NPDに代表されるベンジジン型や、MTDATAに代表されるスターバースト型、トリアリールアミン連結コア部にフルオレンやアントラセンを有する化合物等が挙げられる。
また、特表2003−519432号公報や特開2006−135145号公報等に記載されているヘキサアザトリフェニレン誘導体も正孔輸送材料として用いることができる。
さらに、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。例えば、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、特開2001−102175号公報の各公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載された構成を正孔輸送層に適用することもできる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような、所謂p型正孔輸送材料やp型−Si、p型−SiC等の無機化合物を用いることもできる。さらにIr(ppy)に代表されるような中心金属にIrやPtを有するオルトメタル化有機金属錯体も好ましく用いられる。
正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、トリアリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、アザトリフェニレン誘導体、有機金属錯体、芳香族アミンを主鎖若しくは側鎖に導入した高分子材料又はオリゴマー等が好ましく用いられる。
有機EL素子10に用いられる正孔輸送材料の具体例としては、上記で挙げた文献の他、以下の文献に記載の化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
Appl. Phys. Lett. 69, 2160 (1996)、J. Lumin. 72-74, 985 (1997)、Appl. Phys. Lett. 78, 673 (2001)、Appl. Phys. Lett. 90, 183503 (2007)、Appl. Phys. Lett. 90, 183503 (2007)、Appl. Phys. Lett. 51, 913 (1987)、Synth. Met. 87, 171 (1997)、Synth. Met. 91, 209 (1997)、Synth. Met. 111,421 (2000)、SID Symposium Digest, 37, 923 (2006)、J. Mater. Chem. 3, 319 (1993)、Adv. Mater. 6, 677 (1994)、Chem. Mater. 15,3148 (2003)、米国特許公開第20030162053号、米国特許公開第20020158242号、米国特許公開第20060240279号、米国特許公開第20080220265号、米国特許第5061569号、国際公開第2007002683号、国際公開第2009018009号、EP650955、米国特許公開第20080124572号、米国特許公開第20070278938号、米国特許公開第20080106190号、米国特許公開第20080018221号、国際公開第2012115034号、特表2003−519432号公報、特開2006−135145号公報、米国特許出願番号13/585981号
[電子阻止層]
電子阻止層は、広い意味では正孔輸送層の機能を有する層である。好ましくは、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が小さい材料からなる。電子阻止層は、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで、電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
また、上述の正孔輸送層の構成を必要に応じて、有機EL素子10の電子阻止層として用いることができる。有機EL素子10に設ける電子阻止層は、発光層の陽極側に隣接して設けられることが好ましい。
電子阻止層の厚さとしては、好ましくは3〜100nmの範囲であり、更に好ましくは5〜30nmの範囲である。
電子阻止層に用いられる材料としては、上述の正孔輸送層に用いられる材料を好ましく用いることができる。また、上述のホスト化合物として用いられる材料も、電子阻止層として好ましく用いることができる。
[正孔注入層]
正孔注入層(「陽極バッファー層」ともいう)は、駆動電圧低下や発光輝度向上のために陽極と発光層との間に設けられる層である。正孔注入層の一例は、「有機EL素子10とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に記載されている。
正孔注入層は必要に応じて設けられ、上述のように陽極と発光層との間、又は、陽極と正孔輸送層との間に設けられる。
正孔注入層は、特開平9−45479号公報、特開平9−260062号公報、特開平8−288069号公報等にもその詳細が記載されている。
正孔注入層に用いられる材料は、例えば上述の正孔輸送層に用いられる材料等が挙げられる。中でも、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニン誘導体、特表2003−519432や特開2006−135145等に記載されているようなヘキサアザトリフェニレン誘導体、酸化バナジウムに代表される金属酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体等に代表されるオルトメタル化錯体、トリアリールアミン誘導体等が好ましい。
上述の正孔注入層に用いられる材料は単独で用いてもよく、また複数種を併用して用いてもよい。
[含有物]
有機EL素子10を構成する発光機能層は、更に他の含有物を含んでもよい。
含有物としては、例えば臭素、ヨウ素及び塩素等のハロゲン元素やハロゲン化合物、Pd,Ca,Na等のアルカリ金属やアルカリ土類金属、遷移金属の化合物や錯体、塩等が挙げられる。
含有物の含有量は、任意に決定することができるが、含有される層の全質量%に対して1000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは500ppm以下であり、さらに好ましくは50ppm以下である。
ただし、電子や正孔の輸送性を向上させる目的や、励起子のエネルギー移動を有利にするための目的などによってはこの範囲内ではない。
[発光機能層の形成方法]
有機EL素子10の発光機能層(正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層等)の形成方法について説明する。
発光機能層の形成方法は、特に制限はなく、従来公知の例えば真空蒸着法、湿式法(ウェットプロセス)等により形成することができる。
湿式法としては、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法(ラングミュア−ブロジェット法)等がある。均質な薄膜が得られやすく、且つ高生産性の点から、ダイコート法、ロールコート法、インクジェット法、スプレーコート法等のロール・ツー・ロール方式に適性の高い方法が好ましい。
湿式法において、発光機能層の材料を溶解又は分散する液媒体としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等の脂肪酸エステル類、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、DMF、DMSO等の有機溶媒を用いることができる。
また、超音波、高剪断力分散やメディア分散等の分散方法により分散することができる。
発光機能層を構成する各層の形成に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50℃〜450℃、真空度10−6Pa〜10−2Pa、蒸着速度0.01nm/秒〜50nm/秒、基板温度−50℃〜300℃、膜厚0.1nm〜5μm、好ましくは5nm〜200nmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
有機EL素子10の形成は、一回の真空引きで一貫して発光機能層から陰極まで作製することが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施しても構わない。その際は作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
また、層毎に異なる形成方法を適用してもよい。
[第1電極]
第1電極13は、仕事関数の大きい(4eV以上、好ましくは4.3V以上)金属、合金、電気伝導性化合物、及び、これらの混合物からなる電極物質が用いられる。このような電極物質の具体例としては、AuやAg等の金属及びこれらの合金、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等の非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。
第1電極13はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成し、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成する。或いは、パターン精度をあまり必要としない(100μm以上程度)場合は、上記電極物質を蒸着法又はスパッタリング法で形成する際に、所望の形状のマスクを介してパターン形成してもよい。
有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等の湿式成膜法を用いることもできる。
第1電極13側から発光光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましい。また、第1電極13としてのシート抵抗は数百Ω/sq.以下が好ましい。また、第1電極13の厚さは、材料にもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10nm〜200nmの範囲で選ばれる。
特に、第1電極13は、銀を主成分として構成された層であって、銀又は銀を主成分とした合金を用いて構成されることが好ましい。このような第1電極13の形成方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法等のウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法等)、スパッタ法、CVD法等のドライプロセスを用いる方法等が挙げられる。なかでも蒸着法が好ましく適用される。
第1電極13を構成する銀(Ag)を主成分とする合金は、一例として銀マグネシウム(AgMg)、銀銅(AgCu)、銀パラジウム(AgPd)、銀パラジウム銅(AgPdCu)、銀インジウム(AgIn)等が挙げられる。
以上のような第1電極13は、銀又は銀を主成分とした合金の層が、必要に応じて複数の層に分けて積層された構成であってもよい。
さらに、この第1電極13は、厚さが4〜15nmの範囲にあることが好ましい。厚さ15nm以下では、層の吸収成分及び反射成分が低く抑えられ、第1電極13の光透過率が維持されるため好ましい。また、厚さが4nm以上であることにより、層の導電性も確保される。
なお、第1電極13として銀を主成分として構成された層を形成する場合には、Pd等を含む他の導電層や、窒素化合物、硫黄化合物等の有機層を、第1電極13の下地層として形成してもよい。下地層を形成することにより、銀を主成分として構成された層の成膜製の向上や、第1電極13の抵抗率の低下、及び、第1電極13の光透過性を向上させることができる。
[第2電極]
第2電極15としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物、及び、これらの混合物からなる電極物質が用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム、希土類金属等が挙げられる。
これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属と、この電子注入性金属よりも仕事関数の値が大きく安定な第2金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。
第2電極15は、上記電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法を用いて、作製することができる。また、第2電極15のシート抵抗は、数百Ω/sq.以下が好ましい。また、第2電極15の厚さは通常10nm〜5μm、好ましくは50nm〜200nmの範囲で選ばれる。
また、第2電極15に上記金属を1nm〜20nmの膜厚で作製した後に、第1電極13の説明で挙げる導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の第2電極15を作製することができる。これを応用することで、第1電極13と第2電極15の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
[封止層]
有機EL素子10は、バリア層12が形成された可撓性基材11の一方面上に、発光ユニットを覆う封止層17を介して、封止部材18が貼り合わされることにより、固体封止されている。有機EL素子10の固体封止は、封止部材18又は可撓性基材11の貼合面上に、未硬化の樹脂材料を複数箇所に分散させて塗布し、これらの樹脂材料を介して封止部材18と可撓性基材11とを互いに押圧した後、樹脂材料を硬化することで一体化して形成される。
封止層17は、少なくとも発光ユニット16を覆う状態で設けられ、第1電極13及び第2電極15の端子部分(図示省略)を露出させる状態で設けられている。また、封止部材18に電極を設け、有機EL素子10の第1電極13及び第2電極15の端子部分と、この電極とを導通させるように構成されていてもよい。
封止層17は、可撓性基材11と封止部材18とを接合するための樹脂材料(樹脂封止層)から構成される。また、樹脂材料(樹脂封止層)に加えて、無機材料(無機封止層)を用いてもよい。例えば、発光ユニット16を無機封止層で覆った後、樹脂封止層により封止部材18と可撓性基材11とを接合する構成としてもよい。
[樹脂封止層]
樹脂封止層は、封止部材18を可撓性基材11側に固定するために用いられる。また、封止部材18と可撓性基材11との間に挟持された発光ユニット16を封止するためのシール剤として用いられる。
封止部材18を可撓性基材11に接合するためには、任意の硬化型の樹脂封止層を用いて接着することが好ましい。樹脂封止層には、隣接する封止部材18や可撓性基材11等との密着性の向上の観点から、好適な接着材を適宜選択することができる。
このような樹脂封止層としては、熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。熱硬化性接着剤としては、例えば、分子の末端または側鎖にエチレン性二重結合を有する化合物と熱重合開始剤とを主成分とする樹脂等を用いることができる。より具体的には、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂等からなる熱硬化性接着剤を使用することができる。また、有機EL素子10の製造工程で用いる貼合装置および硬化処理装置に応じて、溶融タイプの熱硬化性接着剤を使用してもよい。
また、このような樹脂封止層としては、光硬化性樹脂用いることが好ましい。例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエ一テル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリレートを主成分とした光ラジカル重合性樹脂や、エポキシやビニルエーテル等の樹脂を主成分とした光カチオン重合性樹脂や、チオール・エン付加型樹脂等が挙げられる。これら光硬化性樹脂の中でも、硬化物の収縮率が低く、アウトガスも少なく、また長期信頼性に優れるエポキシ樹脂系の光カチオン重合性樹脂が好ましい。
また、このような樹脂封止層としては、化学硬化型(二液混合)の樹脂を用いることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを用いることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂を用いることができる。
なお、有機EL素子10を構成する有機材料は、熱処理により劣化する場合がある。このため、室温から80℃までに接着硬化できる樹脂材料を使用することが好ましい。
[封止部材]
封止部材18は、有機EL素子10を覆うものであって、板状(フィルム状)の封止部材18が封止層17によって可撓性基材11側に固定されている。
板状(フィルム状)の封止部材18としては、具体的には、ガラス基板、ポリマー基板が挙げられ、これらの基板材料をさらに薄型のフィルム状にして用いてもよい。ガラス基板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー基板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。
また、封止部材18としては、樹脂フィルムがラミネート(ポリマー膜)された金属箔を用いることが好ましい。樹脂フィルムがラミネートされた金属箔は、光取り出し側の基材として用いることはできないが、低コストであり、透湿性の低い封止材料である。このため、光取り出しを意図しない封止部材18として好適である。
なお、金属箔とは、スパッタや蒸着等で形成された金属薄膜や、導電性ペースト等の流動性電極材料から形成された導電膜と異なり、圧延等で形成された金属の箔又はフィルムを指す。
金属箔としては、金属の種類に特に限定はなく、例えば銅(Cu)箔、アルミニウム(Al)箔、金(Au)箔、黄銅箔、ニッケル(Ni)箔、チタン(Ti)箔、銅合金箔、ステンレス箔、スズ(Sn)箔、高ニッケル合金箔等が挙げられる。これらの各種の金属箔の中で特に好ましい金属箔としてはAl箔が挙げられる。
金属箔の厚さは6〜50μmが好ましい。6μm未満の場合は、金属箔に用いる材料によっては使用時にピンホールが空き、必要とするバリア性(透湿度、酸素透過率)が得られなくなる場合がある。50μmを越えた場合は、金属箔に用いる材料によってはコストの増加や、有機EL素子10が厚くなることにより、フィルム状の封止部材18を用いる利点が少なくなる場合がある。
樹脂フィルムがラミネートされた金属箔において、樹脂フィルムとしては、機能性包装材料の新展開(株式会社 東レリサーチセンター)に記載の各種材料を用いることが可能である。例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体系樹脂、セロハン系樹脂、ビニロン系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂等を用いることができる。ポリプロピレン系樹脂、及び、ナイロン系樹脂等の樹脂は、延伸されていてもよく、さらに塩化ビニリデン系樹脂がコートされていてもよい。また、ポリエチレン系樹脂は、低密度と高密度とのいずれを用いてもよい。
封止部材18は、JIS−K−7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m・24h・atm)以下、JIS−K−7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が1×10−3g/(m・24h)以下であることが好ましい。
また、以上のような基板材料は、凹板状に加工して封止部材18として用いてもよい。この場合、上述した基板部材に対してサンドブラスト加工、化学エッチング加工等の加工が施され、凹板状に加工される。
また、これに限らず、金属材料を用いてもよい。金属材料としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブデン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属又は合金が挙げられる。このような金属材料は、薄型のフィルム状にして封止部材18として用いることにより、有機EL素子10が設けられた発光パネル全体を薄型化できる。
[無機封止層]
無機封止層は、バリア層12を有する可撓性基材11上において、第1電極13、発光機能層14及び第2電極15からなる発光ユニット16が配置された部分を覆うように形成されている。
無機封止層は、樹脂封止層と共に、第1電極13、発光機能層14及び第2電極15からな発光ユニット16を封止する部材である。このため、無機封止層は、この発光ユニット16を劣化させる水分や酸素等の侵入を抑制する機能を有する材料を用いることが好ましい。
また、無機封止層は、バリア層12や発光ユニット16に直接接する構成であるため、バリア層12や発光ユニット16との接合性に優れた材料を用いることが好ましい。
無機封止層としては、封止性が高い無機酸化物、無機窒化物、無機炭化物等の化合物により形成されることが好ましい。
具体的には、SiO、Al、In、TiO、ITO(スズ・インジウム酸化物)、AlN、Si、SiON、TiON、SiC等により形成することができる。
無機封止層は、ゾルゲル法、蒸着法、CVD、ALD(Atomic Layer Deposition)、PVD、スパッタリング法等の公知な手法により形成可能である。
また、無機封止層は、大気圧プラズマ法において、原料(原材料ともいう)である有機金属化合物、分解ガス、分解温度、投入電力などの条件を選択することで、酸化ケイ素、酸化ケイ素を主体とした無機酸化物、又は、無機酸窒化物や無機酸化ハロゲン化物等のような、無機炭化物、無機窒化物、無機硫化物、及び、無機ハロゲン化物等の混合物等の組成を作り分けることができる。
例えば、ケイ素化合物を原料化合物として用い、分解ガスに酸素を用いれば、ケイ素酸化物が生成する。また、シラザン等を原料化合物として用いれば、酸化窒化ケイ素が生成する。これはプラズマ空間内では非常に活性な荷電粒子・活性ラジカルが高密度で存在するため、プラズマ空間内で多段階の化学反応が非常に高速に促進され、プラズマ空間内の元素が熱力学的に安定な化合物へと非常に短時間で変換されるためである。
このような無機封止層を形成するための原料は、ケイ素化合物であれば、常温常圧下で気体、液体、固体いずれの状態であっても構わない。気体の場合にはそのまま放電空間に導入できるが、液体、固体の場合は、加熱、バブリング、減圧、超音波照射等の手段により気化させて使用する。また、溶媒によって希釈して使用してもよく、溶媒は、メタノール、エタノール、n−ヘキサン等の有機溶媒及びこれらの混合溶媒を使用できる。なお、これらの希釈溶媒は、プラズマ放電処理中において、分子状、原子状に分解されるため、影響を殆ど無視することができる。
このようなケイ素化合物としては、シラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルアミノ)ジメチルシラン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド、ジエチルアミノトリメチルシラン、ジメチルアミノジメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘプタメチルジシラザン、ノナメチルトリシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン、テトラキスジメチルアミノシラン、テトライソシアナートシラン、テトラメチルジシラザン、トリス(ジメチルアミノ)シラン、トリエトキシフルオロシラン、アリルジメチルシラン、アリルトリメチルシラン、ベンジルトリメチルシラン、ビス(トリメチルシリル)アセチレン、1,4−ビストリメチルシリル−1,3−ブタジイン、ジ−t−ブチルシラン、1,3−ジシラブタン、ビス(トリメチルシリル)メタン、シクロペンタジエニルトリメチルシラン、フェニルジメチルシラン、フェニルトリメチルシラン、プロパルギルトリメチルシラン、テトラメチルシラン、トリメチルシリルアセチレン、1−(トリメチルシリル)−1−プロピン、トリス(トリメチルシリル)メタン、トリス(トリメチルシリル)シラン、ビニルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロテトラシロキサン、Mシリケート51等が挙げられる。
また、これらケイ素を含む原料ガスを分解して無機封止層を得るための分解ガスとしては、水素ガス、メタンガス、アセチレンガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、窒素ガス、アンモニアガス、亜酸化窒素ガス、酸化窒素ガス、二酸化窒素ガス、酸素ガス、水蒸気、フッ素ガス、フッ化水素、トリフルオロアルコール、トリフルオロトルエン、硫化水素、二酸化硫黄、二硫化炭素、塩素ガス等が挙げられる。
上述のケイ素を含む原料ガスと分解ガスとを適宜選択することで、酸化ケイ素、また、窒化物、炭化物等を含有する無機封止層を得ることができる。
大気圧プラズマ法においては、これらの反応性ガスに対して、主にプラズマ状態になりやすい放電ガスを混合し、プラズマ放電発生装置にガスを送りこむ。このような放電ガスとしては、窒素ガス及び/又は周期表の第18属原子、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が用いられる。これらの中でも特に、窒素、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられる。
上記放電ガスと反応性ガスを混合し、薄膜形成(混合)ガスとして大気圧プラズマ放電発生装置(プラズマ発生装置)に供給することで膜形成を行う。放電ガスと反応性ガスの割合は、得ようとする膜の性質によって異なるが、混合ガス全体に対し、放電ガスの割合を50%以上として反応性ガスを供給する。
なかでも、素子を薄型化できるということから、封止部材18として薄型のフィルム状にしたポリマー基板を好ましく使用することができる。
フィルム状のポリマー基板は、JIS−K−7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m・24h・atm)以下、JIS−K−7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下であることが好ましい。
また、これに限らず、金属材料を用いてもよい。金属材料としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブデン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属又は合金が挙げられる。このような金属材料は、薄型のフィルム状にして封止部材18として用いることにより、有機電界発光素子が設けられた発光パネル全体を薄型化できる。
[用途]
有機EL素子10は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源等の電子機器に適用することができる。
発光光源としては、例えば、家庭用照明や車内照明等の照明装置、時計や液晶用バックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体等の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではない。特に、液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
有機EL素子10においては、必要に応じ成膜時にメタルマスクやインクジェットプリンティング法等でパターニングを施してもよい。パターニングする場合は、電極のみをパターニングしてもよく、電極と発光層をパターニングしてもよく、又は、素子全層をパターニングしてもよい。素子の作製においては、従来公知の方法を用いることができる。
〈2.有機エレクトロルミネッセンス素子の実施形態(第2実施形態)〉
[有機エレクトロルミネッセンス素子の構成]
次に、第2実施形態について説明する。図6に、第2実施形態の有機エレクトロルミネッセンス素子の概略構成を示す。
図6に示す有機EL素子20は、可撓性基材11、バリア層12、応力緩和層19、発光ユニット16、封止層17、及び、封止部材18を備える。また、発光ユニット16は、第1電極13、発光機能層14、及び、第2電極15から構成される。
この有機EL素子20は、バリア層12と発光ユニット16との間に応力緩和層19を備える構成を除き、上述の第1実施形態と同様の構成である。このため以下説明では、第1実施形態の有機EL素子と同様の構成要素についての重複する詳細な説明は省略し、第2実施形態の有機EL素子の構成を説明する。
また、有機EL素子20においても、上述の第1実施形態の有機EL素子と同様に、バリア層12と発光ユニット16が、有機EL素子20の厚さ方向の略中央部に配置される。つまり、有機EL素子20では、バリア層12、応力緩和層19及び発光ユニット16が有機EL素子20の厚さ方向の略中央部に配置される。
このように、有機EL素子20では、厚さ方向の略中央部に配置されるバリア層12と発光ユニット16との間に他の構成が介在してもよい。この場合には、バリア層12と発光ユニット16との間に介在する構成も含めて、有機EL素子20の厚さ方向の略中央部に配置されていればよい。
有機EL素子20をこのような構成とすることにより、上述の第1実施形態の有機EL素子と同様の効果が得られる。
なお、バリア層12と発光ユニット16とが配置される、厚さ方向の「略中央部」とは、可撓性基材11の底面11Aから封止部材18の表面18Aまでの厚さをdtotalとしたとき、可撓性基材11の底面11Aから(0.5±0.1)dtotal以内の距離に位置する領域を意味する。
[応力緩和層]
応力緩和層19はバリア層12と発光ユニット16の第1電極13との間に設けられ、有機EL素子20を屈曲した際の、バリア層12と第1電極13との界面からの剥離を抑制するために設けられている。また、応力緩和層19を設けることにより、バリア層12上の粗面を平坦化し、或いは、バリア層12上に生じた凹凸やピンホールを埋めて平坦化することができる。
このような応力緩和層19としては、例えば、ポリシラザンを含む層を活性エネルギー線照射により改質処理を施して形成されるポリシラザン改質層や、その他の有機又は無機化合物の塗布膜に所定の改質処理を施して形成されるその他の改質層を用いることが好ましい。
(ポリシラザン改質層)
ポリシラザン改質層は、好ましくはポリシラザンを含有する塗布液を塗布・乾燥して塗膜を形成した後、この塗膜を活性エネルギー線照射により改質処理して形成される。
ポリシラザン改質層は、その表面において、ポリシラザンの改質がより進行した領域が形成され、この領域の下部に改質量の小さい領域又は未改質の領域が形成される。本例では、この改質量の小さい領域や未改質の領域も含めて、ポリシラザン改質層とする。
ポリシラザンとは、ケイ素−窒素結合を有するポリマーであり、Si−N、Si−H、N−H等の結合を有するSiO、Si、及び、これらの中間固溶体SiO等のセラミック前駆体無機ポリマーである。
具体的には、ポリシラザンは、好ましくは下記の構造を有する。
Figure 2014208315
上記一般式(I)において、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、置換又は非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基又は(トリアルコキシシリル)アルキル基である。この際、R、R及びRは、それぞれ、同じであってもよく、また、異なっていてもよい。ここで、アルキル基としては、炭素原子数1〜8の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が挙げられる。より具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等がある。また、アリール基としては、炭素原子数6〜30のアリール基が挙げられる。より具体的には、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などの非縮合炭化水素基;ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基等の縮合多環炭化水素基が挙げられる。(トリアルコキシシリル)アルキル基としては、炭素原子数1〜8のアルコキシ基で置換されたシリル基を有する炭素原子数1〜8のアルキル基が挙げられる。より具体的には、3−(トリエトキシシリル)プロピル基、3−(トリメトキシシリル)プロピル基などが挙げられる。上記R〜Rに場合によって存在する置換基は、特に制限はないが、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基(−OH)、メルカプト基(−SH)、シアノ基(−CN)、スルホ基(−SOH)、カルボキシル基(−COOH)、ニトロ基(−NO)などがある。なお、場合によって存在する置換基は、置換するR〜Rと同じとなることはない。例えば、R〜Rがアルキル基の場合には、さらにアルキル基で置換されることはない。これらのうち、好ましくは、R、R及びRは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、ビニル基、3−(トリエトキシシリル)プロピル基又は3−(トリメトキシシリルプロピル)基である。
また、上記一般式(I)において、nは、整数であり、一般式(I)で表される構造を有するポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定めることが好ましい。
上記一般式(I)で表される構造を有する化合物において、好ましい態様の一つは、R、R及びRのすべてが水素原子であるパーヒドロポリシラザンである。
また、ポリシラザンとしては、下記一般式(II)で表される構造を有する。
Figure 2014208315
上記一般式(II)において、R’、R’、R’、R’、R’及びR’は、それぞれ独立して、水素原子、置換又は非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基又は(トリアルコキシシリル)アルキル基である。この際、R’、R’、R’、R’、R’及びR’は、それぞれ、同じであってもよく、また、異なっていてもよい。上記置換又は非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基又は(トリアルコキシシリル)アルキル基は、上記一般式(I)の定義と同様であるため、説明を省略する。
また、上記一般式(II)において、n’及びpは、整数であり、一般式(II)で表される構造を有するポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められることが好ましい。なお、n’及びpは、同じであってもよく、また、異なっていてもよい。
上記一般式(II)のポリシラザンのうち、R’、R’及びR’が各々水素原子を表し、R’、R’及びR’が各々メチル基を表す化合物;R’、R’及びR’が各々水素原子を表し、R’、R’が各々メチル基を表し、R’がビニル基を表す化合物;R’、R’、R’及びR’が各々水素原子を表し、R’及びR’が各々メチル基を表す化合物が好ましい。
また、ポリシラザンとしては、下記一般式(III)で表される構造を有する。
Figure 2014208315
上記一般式(III)において、R”、R”、R”、R”、R”、R”、R”、R”及びR”は、それぞれ独立して、水素原子、置換又は非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基又は(トリアルコキシシリル)アルキル基である。この際、R”、R”、R”、R”、R”、R”、R”、R”及びR”は、それぞれ、同じであってもよく、また、異なっていてもよい。上記置換又は非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基又は(トリアルコキシシリル)アルキル基は、上記一般式(I)の定義と同様であるため、説明を省略する。
また、上記一般式(III)において、n”、p”及びqは、整数であり、一般式(III)で表される構造を有するポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められることが好ましい。なお、n”、p”及びqは、同じであってもよく、また、異なっていてもよい。
上記一般式(III)のポリシラザンのうち、R”、R”及びR”が各々水素原子を表し、R”、R”、R”及びR”が各々メチル基を表し、R”が(トリエトキシシリル)プロピル基を表し、R”がアルキル基又は水素原子を表す化合物が好ましい。
一方、Siと結合する水素原子部分の一部がアルキル基等で置換されたオルガノポリシラザンは、メチル基等のアルキル基を有することにより、下地である基材との接着性が改善される。さらに、硬くてもろいポリシラザンによるセラミック膜に靭性を持たせることができる。このため、より(平均)厚さを厚くした場合でもクラックの発生が抑えられる利点がある。このため、用途に応じて適宜、これらパーヒドロポリシラザンとオルガノポリシラザンを選択してよく、混合して使用することもできる。
パーヒドロポリシラザンは、直鎖構造と6及び8員環を中心とする環構造が存在した構造と推定されている。その分子量は数平均分子量(Mn)で約600〜2000程度(ポリスチレン換算)で、液体又は固体の物質があり、その状態は分子量により異なる。
ポリシラザンは有機溶媒に溶解した溶液状態で市販されており、市販品をそのままポリシラザン改質層形成用塗布液として使用することができる。ポリシラザン溶液の市販品としては、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製のアクアミカ(登録商標)NN120−10、NN120−20、NAX120−20、NN110、NN310、NN320、NL110A、NL120A、NL120−20、NL150A、NP110、NP140、SP140等が挙げられる。
使用できるポリシラザンの別の例としては、特に制限されないが、例えば、上記ポリシラザンにケイ素アルコキシドを反応させて得られるケイ素アルコキシド付加ポリシラザン(特開平5−238827号公報)、グリシドールを反応させて得られるグリシドール付加ポリシラザン(特開平6−122852号公報)、アルコールを反応させて得られるアルコール付加ポリシラザン(特開平6−240208号公報)、金属カルボン酸塩を反応させて得られる金属カルボン酸塩付加ポリシラザン(特開平6−299118号公報)、金属を含むアセチルアセトナート錯体を反応させて得られるアセチルアセトナート錯体付加ポリシラザン(特開平6−306329号公報)、金属微粒子を添加して得られる金属微粒子添加ポリシラザン(特開平7−196986号公報)等の、低温でセラミック化するポリシラザンが挙げられる。
ポリシラザンを用いる場合、改質処理前のポリシラザン改質層中におけるポリシラザンの含有率は、ポリシラザン改質層の全質量を100質量%としたとき、100質量%とすることができる。また、ポリシラザン改質層がポリシラザン以外を含む場合には、層中におけるポリシラザンの含有率が、10質量%以上99質量%以下であることが好ましく、40質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、特に好ましくは70質量%以上95質量%以下である。
ポリシラザン改質層の塗布法による形成方法は、特に制限されず、公知の方法が適用できるが、有機溶剤中にポリシラザン及び必要に応じて触媒を含むポリシラザン改質層形成用塗布液を公知の湿式塗布方法により塗布し、この溶剤を蒸発させて除去した後、改質処理を行う方法が好ましい。
(ポリシラザン改質層形成用塗布液)
ポリシラザン改質層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、ポリシラザンを溶解できるものであれば特に制限されない。ポリシラザンと容易に反応してしまう水及び反応性基(例えば、ヒドロキシル基、あるいはアミン基等)を含まず、ポリシラザンに対して不活性の有機溶剤が好ましい。特に、非プロトン性の有機溶剤がより好ましい。具体的には、溶剤としては、非プロトン性溶剤;例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターベン等の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒;塩化メチレン、トリクロロエタン等のハロゲン炭化水素溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類:例えば、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル、モノ及びポリアルキレングリコールジアルキルエーテル(ジグライム類)等を挙げることができる。上記溶剤は、ケイ素化合物の溶解度や溶剤の蒸発速度等の目的にあわせて選択され、単独で使用されてもよく、また、2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
ポリシラザン改質層形成用塗布液におけるポリシラザンの濃度は、特に制限されず、層の厚さや塗布液のポットライフによっても異なるが、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは5〜50質量%、特に好ましくは10〜40質量%である。
ポリシラザン改質層形成用塗布液は、改質を促進するために、触媒を含有することが好ましい。適用可能な触媒としては、例えば、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、3−モルホリノプロピルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン等のアミン化合物、Ptアセチルアセトナート等のPt化合物、プロピオン酸Pd等のPd化合物、Rhアセチルアセトナート等のRh化合物等の金属触媒、N−複素環式化合物、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ピペリジン、ルチジン、ピリミジン、ピリダジン等のピリジン化合物、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン)、DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン)、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、マレイン酸、ステアリン酸、等の有機酸、塩酸、硝酸、硫酸、過酸化水素等の無機酸等が挙げられる。これらのうち、アミン化合物を用いることが好ましい。この際添加する触媒の濃度としては、ポリシラザンを基準としたとき、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜7質量%の範囲である。触媒添加量をこの範囲とすることで、反応の急激な進行よる過剰なシラノール形成、及び膜密度の低下、膜欠陥の増大などを避けることができる。
ポリシラザン改質層形成用塗布液には、必要に応じて下記に挙げる添加剤を用いることができる。例えば、セルロースエーテル類、セルロースエステル類;例えば、エチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセトブチレート等、天然樹脂;例えば、ゴム、ロジン樹脂等、合成樹脂;例えば、重合樹脂等、縮合樹脂;例えば、アミノプラスト、特に尿素樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステルもしくは変性ポリエステル、エポキシド、ポリイソシアネートもしくはブロック化ポリイソシアネート、ポリシロキサン等である。
(ポリシラザン改質層形成用塗布液を塗布する方法)
ポリシラザン改質層形成用塗布液を塗布する方法としては、従来公知の適切な湿式塗布方法を採用することができる。具体例としては、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。
塗布厚さは、目的に応じて適切に設定する。例えば、ポリシラザン改質層1層当たりの塗布厚さは、乾燥後の厚さが10nm〜10μm程度であることが好ましく、15nm〜1μmであることがより好ましく、20〜500nmであることがさらに好ましい。厚さが10nm以上であれば十分なバリア性を得ることができ、10μm以下であれば、層形成時に安定した塗布性を得ることができ、かつ高い光線透過性を実現できる。
塗布液を塗布した後は、塗膜を乾燥させることが好ましい。塗膜を乾燥することによって、塗膜中に含有される有機溶媒を除去することができる。この際、塗膜に含有される有機溶媒は、すべてを乾燥させてもよいが、一部残存させていてもよい。一部の有機溶媒を残存させる場合であっても、好適なポリシラザン改質層を形成することができる。なお、残存する溶媒は、後に除去することが可能である。
塗膜の乾燥温度は、適用する基材によっても異なるが、50〜200℃であることが好ましい。例えば、ガラス転位温度(Tg)が70℃のポリエチレンテレフタレート基材を用いる場合には、乾燥温度は、熱による基材の変形等を考慮して150℃以下に設定することが好ましい。上記温度は、ホットプレート、オーブン、ファーネスなどを使用することによって設定される。乾燥時間は短時間に設定することが好ましく、例えば、乾燥温度が150℃である場合には30分以下に設定することが好ましい。また、乾燥雰囲気は、大気雰囲気下、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下、真空雰囲気下、酸素濃度をコントロールした減圧雰囲気下等のいずれの条件であってもよい。
ポリシラザン改質層形成用塗布液を塗布して得られた塗膜は、改質処理前又は改質処理中に水分を除去する工程を含んでいてもよい。水分を除去する方法としては、低湿度環境を維持して除湿する形態が好ましい。低湿度環境における湿度は温度により変化するため、温度と湿度の関係は露点温度の規定により好ましい形態が示される。好ましい露点温度は4℃以下(温度25℃/湿度25%)で、より好ましい露点温度は−5℃(温度25℃/湿度10%)以下であり、維持される時間はポリシラザン改質層の厚さによって適宜設定することが好ましい。ポリシラザン改質層の厚さが1.0μm以下の条件においては、露点温度は−5℃以下で、維持される時間は1分以上であることが好ましい。なお、露点温度の下限は特に制限されないが、通常、−50℃以上であり、−40℃以上であることが好ましい。改質処理前、あるいは改質処理中に水分を除去することによって、シラノールに転化したポリシラザン改質層の脱水反応を促進する観点から好ましい形態である。
(塗布法により形成されたポリシラザン塗布膜の改質処理)
塗布法により形成されたポリシラザン塗布膜の改質処理とは、ポリシラザンの酸化ケイ素又は酸窒化ケイ素等への転化反応を指す。具体的には、ポリシラザン塗布膜を、ガスバリア性を発現できる無機層に改質する処理である。
ポリシラザンの酸化ケイ素又は酸窒化ケイ素等への転化反応は、公知の方法を適宜選択して適用することができる。改質処理としては、プラスチック基材への適応という観点から、より低温で、転化反応が可能なプラズマ処理又は紫外線照射処理による転化反応が好ましい。
(プラズマ処理)
改質処理として用いることのできるプラズマ処理は、公知の方法を用いることができるが、好ましくは大気圧プラズマ処理等を挙げることができる。大気圧近傍でのプラズマCVD処理を行う大気圧プラズマCVD法は、真空下のプラズマCVD法に比べ、減圧にする必要がなく生産性が高い。また、プラズマ密度が高密度であるために成膜速度が速い。さらに、通常のCVD法の条件に比較して、大気圧下という高圧力条件では、ガスの平均自由工程が非常に短いため、極めて均質の膜が得られる。
大気圧プラズマ処理の場合は、放電ガスとしては窒素ガス又は長周期型周期表の第18族原子を含むガス、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が用いられる。これらの中でも窒素、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられ、特に窒素はコストが安いため好ましい。
(紫外線照射処理)
改質処理の方法として、紫外線照射による処理が好ましい。紫外線(紫外光と同義)によって生成されるオゾンや活性酸素原子は高い酸化能力を有しているため、低温で高い緻密性と絶縁性を有する酸化ケイ素膜及び酸窒化ケイ素膜を形成することが可能である。
この紫外線照射により、基材が加熱され、セラミックス化(シリカ転化)に寄与するOとHOや、紫外線吸収剤、ポリシラザン自身が励起、活性化される。このため、ポリシラザンが励起し、ポリシラザンのセラミックス化が促進される。また。得られるポリシラザン改質層がさらに緻密になる。紫外線照射は、塗膜形成後であればいずれの時点で実施してもよい。
紫外線照射処理においては、常用されているいずれの紫外線発生装置を使用することも可能である。
なお、紫外線とは、一般には、10〜400nmの波長を有する電磁波であるが、本例では後述する真空紫外線(10〜200nm)処理以外の紫外線照射処理の場合は、210〜375nmの紫外線を用いることが好ましい。
紫外線の照射は、照射されるポリシラザン改質層を担持している基材がダメージを受けない範囲で、照射強度や照射時間を設定することが好ましい。
基材としてプラスチックフィルムを用いた場合では、例えば、2kW(80W/cm×25cm)のランプを用い、基材表面の強度が20〜300mW/cm、好ましくは50〜200mW/cmになるように基材−紫外線照射ランプ間の距離を設定し、0.1秒〜10分間の照射を行う。
一般に、紫外線照射処理時の基材温度が150℃以上になると、プラスチックフィルム等の場合には、基材が変形したり、その強度が劣化したりする等、基材の特性が損なわれることになる。ただし、ポリイミド等の耐熱性の高いフィルムの場合には、より高温での改質処理が可能である。従って、この紫外線照射時の基材温度としては、一般的な上限はなく、基材の種類によって当業者が適宜設定することができる。また、紫外線照射雰囲気に特に制限はなく、大気中で実施すればよい。
このような紫外線の発生手段としては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、エキシマランプ(172nm、222nm、308nmの単一波長、例えば、ウシオ電機株式会社製、株式会社エム・ディ・コム製など)、UV光レーザー、等が挙げられるが、特に限定されない。また、発生させた紫外線をポリシラザン改質層に照射する際には、効率向上と均一な照射を達成する観点から、発生源からの紫外線を反射板で反射させてからポリシラザン改質層に当てることが好ましい。
紫外線照射は、バッチ処理にも連続処理にも適合可能であり、使用する基材の形状によって適宜選定することができる。例えば、バッチ処理の場合には、ポリシラザン改質層を表面に有する積層体を上述の紫外線発生源を具備した紫外線焼成炉で処理することができる。紫外線焼成炉自体は一般に知られており、例えば、アイグラフィクス株式会社製の紫外線焼成炉を使用することができる。また、ポリシラザン改質層を表面に有する積層体が長尺フィルム状である場合には、これを搬送させながら上記紫外線発生源を具備した乾燥ゾーンで連続的に紫外線を照射することによりセラミックス化することができる。紫外線照射に要する時間は、使用する基材やポリシラザン改質層の組成、濃度にもよるが、一般に0.1秒〜10分であり、好ましくは0.5秒〜3分である。
(真空紫外線照射処理:エキシマ照射処理)
ポリシラザン改質層において、最も好ましい改質処理方法は、真空紫外線照射による処理(エキシマ照射処理)である。真空紫外線照射による処理は、ポリシラザン化合物内の原子間結合力より大きい波長100〜200nmの光エネルギー、好ましくは波長100〜180nmの光エネルギーを用いる。この波長の光エネルギーを用いることにより、原子の結合を光量子プロセスと呼ばれる光子のみの作用で直接切断しながら活性酸素やオゾンによる酸化反応を進行させることができる。このため、比較的低温(約200℃以下)で、酸化ケイ素膜の形成を行うことができる。なお、エキシマ照射処理を行う際は、上述したように熱処理を併用することが好ましく、その際の熱処理条件の詳細は上述のとおりである。
放射線源は、100〜180nmの波長の光を発生させるものであれば良いが、好適には約172nmに最大放射を有するエキシマラジエータ(例えば、Xeエキシマランプ)、約185nmに輝線を有する低圧水銀蒸気ランプ、並びに230nm以下の波長成分を有する中圧及び高圧水銀蒸気ランプ、及び約222nmに最大放射を有するエキシマランプである。
このうち、Xeエキシマランプは、波長の短い172nmの紫外線を単一波長で放射することから、発光効率に優れている。この光は、酸素の吸収係数が大きいため、微量な酸素でラジカルな酸素原子種やオゾンを高濃度で発生することができる。
また、波長の短い172nmの光のエネルギーは、有機物の結合を解離させる能力が高いことが知られている。この活性酸素やオゾンと紫外線放射が持つ高いエネルギーによって、短時間でポリシラザン塗膜の改質を実現できる。
エキシマランプは光の発生効率が高いため、低い電力の投入で点灯させることが可能である。また、光による温度上昇の要因となる波長の長い光は発せず、紫外線領域で、すなわち短い波長でエネルギーを照射するため、解射対象物の表面温度の上昇が抑えられる特徴を持っている。このため、熱の影響を受けやすいとされるPETなどのフレシキブルフィルム材料に適している。
紫外線照射時の反応には、酸素が必要であるが、真空紫外線は、酸素による吸収があるため紫外線照射工程での効率が低下しやすいことから、真空紫外線の照射は、可能な限り酸素濃度及び水蒸気濃度の低い状態で行うことが好ましい。すなわち、真空紫外線照射時の酸素濃度は、10〜20,000体積ppmとすることが好ましく、より好ましくは50〜10,000体積ppmである。また、転化プロセスの間の水蒸気濃度は、好ましくは1000〜4000体積ppmの範囲である。
真空紫外線照射時に用いられる、照射雰囲気を満たすガスとしては乾燥不活性ガスとすることが好ましく、特にコストの観点から乾燥窒素ガスにすることが好ましい。酸素濃度の調整は照射庫内へ導入する酸素ガス、不活性ガスの流量を計測し、流量比を変えることで調整可能である。
真空紫外線照射工程において、ポリシラザン塗膜が受ける塗膜面での該真空紫外線の照度は1mW/cm〜10W/cmであると好ましく、30mW/cm〜200mW/cmであることがより好ましく、50mW/cm〜160mW/cmであるとさらに好ましい。1mW/cm未満では、改質効率が大きく低下する懸念があり、10W/cmを超えると、塗膜にアブレーションを生じたり、基材にダメージを与えたりする懸念が出てくる。
塗膜面における真空紫外線の照射エネルギー量(照射量)は、10〜10000mJ/cmであることが好ましく、100〜8000mJ/cmであることがより好ましく、200〜6000mJ/cmであることがさらに好ましい。10mJ/cm未満では、改質が不十分となる懸念があり、10000mJ/cm超えると過剰改質によるクラック発生や、基材の熱変形の懸念が出てくる。
また、改質に用いられる真空紫外光は、CO、CO及びCHの少なくとも一種を含むガスで形成されたプラズマにより発生させてもよい。さらに、CO、CO及びCHの少なくとも一種を含むガス(以下、炭素含有ガスとも称する)は、炭素含有ガスを単独で使用してもよいが、希ガス又はHを主ガスとして、炭素含有ガスを少量添加することが好ましい。プラズマの生成方式としては容量結合プラズマなどが挙げられる。
ポリシラザン改質層の膜組成は、XPS表面分析装置を用いて、原子組成比を測定することで測定できる。また、ポリシラザン改質層を切断して切断面をXPS表面分析装置で原子組成比を測定することもできる。
また、ポリシラザン改質層の膜密度は、目的に応じて適切に設定され得る。例えば、1.5〜2.6g/cmの範囲にあることが好ましい。この範囲を外れると、膜の緻密さが低下しバリア性の劣化や、湿度による膜の酸化劣化が起こる場合がある。
ポリシラザン改質層は、単層でもよいし2層以上の積層構造であってもよい。
(その他の改質層)
応力緩和層19の形成に用いるその他の改質層としては、上記ポリシラザン改質層以外にも、他の有機又は無機化合物の塗布膜を用いることができる。また、この塗布膜に所定の改質処理、例えば、真空紫外光を照射する紫外線照射処理や、熱線を照射する加熱処理を施した層を用いることができる。
応力緩和層19に用いられる化合物は、有機又は無機の化合物で、紫外〜可視光領域において透明な被膜であることが好ましい。
有機化合物としては、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂、及び、アセタール樹脂等の樹脂を、1種又は2種以上併せて使用することができる。
これらの樹脂には、従来公知の添加剤を加えることもできる。そして、上記の化合物材料(樹脂)は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法により可撓性基材11上に塗布し、溶剤、希釈剤等を乾燥除去することにより形成することができる。化合物材料(樹脂)の塗布量としては、0.01〜1g/m(乾燥状態)程度が好ましい。
以下に、応力緩和層19に用いることができる化合物の具体例を示すが、これらに限定されない。また、下記の化合物を単独または組み合わせて用いてもよく、その他の有機又は無機化合物と混合した組成であってもよい。
テトラクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、パーヒドロポリシラザン、メチルポリシラザン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、テトライソシアネートシラン、メチルトリイソシアネートシラン等のシラン化合物などが挙げられる。
また、応力緩和層19に用いることができる化合物としては、下記の一般式(1)(2)(3)で示されるような有機チタン化合物等が挙げられる。一般式中、Rはアルキル基である。
Figure 2014208315
Figure 2014208315
Figure 2014208315
また、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンジオクチロキシビス(オクチレングリコレート)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテート、ポリヒドロキシチタンステアレート等のような有機チタン化合物が挙げられる。
また、応力緩和層19に用いることができる化合物としては、下記の一般式(4)(5)(6)で示されるような有機ジルコニウム化合物等が挙げられる。一般式中、Rはアルキル基である。
Figure 2014208315
Figure 2014208315
Figure 2014208315
また、応力緩和層19に用いることができる化合物としては、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート、ジルコニウムモノブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシモノステアレート等のような有機ジルコニウム化合物が挙げられる。
また、応力緩和層19に好ましく用いられる化合物の一つとしては、ポリシロキサン化合物が挙げられる。応力緩和層19には、常温で固体の有機又は無機の化合物を添加することができる。特に、添加する化合物が常温で液体の場合には、その化合物が応力緩和層19に安定して保持されるものであれば公知の熱可塑性樹脂、熱又は光硬化性樹脂、無機微粒子化合物等を用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[ボトムエミッション型の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製]
試料101〜140の各有機EL素子を、発光領域の面積が5cm×5cmとなるように作製した。下記表1には試料101〜140の各有機EL素子における各層の構成を示す。
[試料101の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
試料101の作製において、まず、厚さ190μmの透明な2軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(PEN)の基材上にバリア層を形成し、このバリア層上に発光ユニットを形成した後、封止層と封止部材により固体封止し、試料101の有機EL素子を作製した。
(バリア層の形成)
上記基材上に、スパッタ法を用いて下記の条件により、300nmの厚さで酸窒化珪素(SiON)からなるバリア層を形成した。
ターゲット:高純度珪素
真空度:0.5Pa
アルゴン:50sccm
酸素:1.3sccm
窒素:2.6sccm
印加パワー:0.48W
(発光ユニットの形成:第1電極)
次に、上述の方法でバリア層を形成した基材を、市販のスパッタリング装置の基材ホルダーに固定し、ITOをターゲットに用いて、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、0.1nm/秒〜0.2nm/秒で厚さ150nmのITOからなる第1電極を形成した。
(発光ユニットの形成:発光機能層〜第2電極)
次に、第1電極まで形成した基材を、市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定した。そして、真空度1×10−4Paまで減圧した後、基材を移動させながら化合物HT−1を、蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、20nmの正孔輸送層(HTL)を設けた。
次に、化合物A−3(青色発光ドーパント)、化合物A−1(緑色発光ドーパント)、化合物A−2(赤色発光ドーパント)及び化合物H−1(ホスト化合物)を、化合物A−3が膜厚に対し線形に35質量%から5質量%になるように場所により蒸着速度を変化させ、化合物A−1と化合物A−2は膜厚に依存することなく各々0.2質量%の濃度になるように、蒸着速度0.0002nm/秒で、化合物H−1は64.6質量%から94.6質量%になるように場所により蒸着速度を変化させて、厚さ70nmになるよう共蒸着し発光層を形成した。
その後、化合物ET−1を膜厚30nmに蒸着して電子輸送層を形成し、更にフッ化カリウム(KF)を厚さ2nmで形成した。更に、アルミニウム100nmを蒸着して第2電極を形成した。
なお、上記化合物HT−1、化合物A−1〜3、化合物H−1、及び、化合物ET−1は、以下に示す化合物である。
Figure 2014208315
(固体封止)
次に、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂によりラミネートされたアルミニウム箔(厚さ100μm)を封止部材として使用し、この封止部材のアルミニウム側に封止層として熱硬化型の液状接着剤(エポキシ系樹脂)を厚さ20μmで塗布した後、貼合した封止部材を用いて、第2電極までを作製した基材上に重ね合わせた。
このとき、第1電極及び第2電極の引き出し電極の端部が外に出るように、封止部材の接着剤形成面と、素子の有機機能層面とを連続的に重ね合わせた。
次に、試料を減圧装置内に配置し、90℃で0.1MPaの減圧条件下で、重ね合わせた基材と封止部材とに押圧をかけて5分間保持した。続いて、試料を大気圧環境に戻し、さらに110℃で30分間加熱して接着剤を硬化させた。
上記封止工程は、大気圧下、含水率1ppm以下の窒素雰囲気下で、JIS B 9920に準拠し、測定した清浄度がクラス100で、露点温度が−80℃以下、酸素濃度0.8ppm以下の大気圧で行った。なお、第1電極及び第2電極からの引き出し配線等の形成に関する記載は省略している。
以上の工程により、試料101の有機EL素子を作製した。なお、この試料101の有機EL素子は、基材190μm、バリア層300nm、封止層20μm、封止部材100μmであり、バリア層及び発光ユニットが、厚さ方向の略中央部に配置されず、封止部材側から39%の位置に配置されている。
[試料102の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
基材として、厚さ125μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)の基材を用いた以外は、上述の試料101と同様の手順で試料102の有機EL素子を作製した。なお、この試料102の有機EL素子は、基材129μm、バリア層300nm、封止層20μm、封止部材100μmであり、バリア層及び発光ユニットが、厚さ方向の略中央部に配置されている。
[試料103の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
バリア層の形成を下記方法に変更した以外は、試料102と同様の方法で試料103の有機EL素子を作製した。
(バリア層)
基材を図5に示すCVDロールコーターに装着して、下記条件(プラズマCVD条件)にて、基材上に、ケイ素、酸素及び窒素を含み、膜厚方向の組成分布において1つ以上の極値を持つ、酸窒化珪素(SiON)からなるバリア層を300nmの厚さで作製した。なお、バリア層の組成分布の極値の数を、搬送速度の速度とロールコーターを通過させる回数とにより制御し、極値の数を1とした。
原料ガス(SiH)の供給量:50sccm
酸素ガス(O)の供給量:500sccm
アンモニアガス(NH)の供給量:50sccm
真空チャンバー内の真空度:3Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:1.2kW
プラズマ発生用電源の周波数:80kHz
フィルムの搬送速度:0.5m/min(極値の数=1)
[試料104の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
バリア層の形成条件において、フィルムの搬送速度を、1.0m/minに変更し、バリア層の組成分布の極値の数を2とした以外は、試料103と同様の方法で試料104の有機EL素子を作製した。
[試料105の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
バリア層の形成条件において、フィルムの搬送速度を、2.0m/minに変更し、バリア層の組成分布の極値の数を4とした以外は、試料103と同様の方法で試料105の有機EL素子を作製した。
[試料106の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
バリア層の形成を下記方法に変更した以外は、試料102と同様の方法で試料106の有機EL素子を作製した。
(バリア層)
基材を図5に示すCVDロールコーターに装着して、下記条件(プラズマCVD条件)にて、基材上に、ケイ素、酸素及び炭素を含み、膜厚方向の組成分布において1つ以上の極値を持つ、SiOCからなるバリア層を300nmの厚さで作製した。なお、バリア層の組成分布の極値の数を、搬送速度の速度とロールコーターを通過させる回数とにより制御し、極値の数を1とした。
原料ガス(HMDSO)の供給量:50sccm
酸素ガス(O)の供給量:500sccm
真空チャンバー内の真空度:3Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:1.2kW
プラズマ発生用電源の周波数:80kHz
フィルムの搬送速度:0.5m/min(極値の数=1)
[試料107の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
バリア層の形成条件において、フィルムの搬送速度を、1.0m/minに変更し、バリア層の組成分布の極値の数を2とした以外は、試料106と同様の方法で試料107の有機EL素子を作製した。
[試料108の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
バリア層の形成条件において、フィルムの搬送速度を、2.0m/minに変更し、バリア層の組成分布の極値の数を4とした以外は、試料106と同様の方法で試料108の有機EL素子を作製した。
[試料109の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
バリア層上に下記方法により応力緩和層を形成し、この応力緩和層上に発光ユニットを形成した以外は、試料103と同様の方法で試料109の有機EL素子を作製した。
(応力緩和層)
まず、JSR株式会社製のグラスカHPC7003とグラスカHPC404Hとを10:1で混合したブタノール溶液を含む、ポリシロキサン化合物の塗布液を準備した。
バリア層上に上記塗布液を、スピンコーターを用いてドライ膜厚が1μmとなる条件で塗布し、120℃×2分で乾燥させてポリシロキサン塗膜を形成した。その後、ポリシロキサン塗膜に下記条件で真空紫外光を照射し、シロキサンからなる応力緩和層を形成した。
使用装置:株式会社 エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL:MECL−M−1−200
エキシマランプ光強度:130mW/cm(172nm)
試料と光源の距離:1mm
ステージ加熱温度:70℃
照射装置内の酸素濃度:1.0%
エキシマランプ照射時間:5秒
[試料110の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
試料109と同様の方法で応力緩和層を形成した以外は、試料104と同様の方法で試料110の有機EL素子を作製した。
[試料111の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
試料109と同様の方法で応力緩和層を形成した以外は、試料105と同様の方法で試料111の有機EL素子を作製した。
[試料112の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
試料109と同様の方法で応力緩和層を形成した以外は、試料106と同様の方法で試料112の有機EL素子を作製した。
[試料113の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
試料109と同様の方法で応力緩和層を形成した以外は、試料107と同様の方法で試料113の有機EL素子を作製した。
[試料114の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
試料109と同様の方法で応力緩和層を形成した以外は、試料108と同様の方法で試料114の有機EL素子を作製した。
[試料115の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
バリア層上に下記方法により応力緩和層を形成し、この応力緩和層上に発光ユニットを形成した以外は、試料103と同様の方法で試料115の有機EL素子を作製した。
(応力緩和層)
まず、アクアミカ NN120−10 無触媒タイプ(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製)の10質量%ジブチルエーテル溶液を、パーヒドロポリシラザン(PHPS)の塗布液として準備した。
バリア層上に上記塗布液を、スピンコーターを用いてドライ膜厚が1μmとなる条件で塗布し、120℃×2分で乾燥させてPHPS塗膜を形成した。その後、PHPS塗膜に下記条件で真空紫外光を照射し、シロキサンからなる応力緩和層を形成した。
使用装置:株式会社 エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL:MECL−M−1−200
エキシマランプ光強度:130mW/cm(172nm)
試料と光源の距離:1mm
ステージ加熱温度:70℃
照射装置内の酸素濃度:1.0%
エキシマランプ照射時間:5秒
[試料116の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
試料115と同様の方法で応力緩和層を形成した以外は、試料104と同様の方法で試料116の有機EL素子を作製した。
[試料117の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
試料115と同様の方法で応力緩和層を形成した以外は、試料105と同様の方法で試料117の有機EL素子を作製した。
[試料118の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
試料115と同様の方法で応力緩和層を形成した以外は、試料106と同様の方法で試料118の有機EL素子を作製した。
[試料119の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
試料115と同様の方法で応力緩和層を形成した以外は、試料107と同様の方法で試料119の有機EL素子を作製した。
[試料120の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
試料115と同様の方法で応力緩和層を形成した以外は、試料108と同様の方法で試料120の有機EL素子を作製した。
[試料121の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
第1電極を下記方法により形成した以外は、試料104と同様の方法で試料121の有機EL素子を作製した。
(第1電極)
まず、平均粒径0.03μmの粒状のITO微粒子(住友金属鉱山(株)社製 商品名:SUFP−HX)をメチルイソブチルケトン/シクロヘキサノン=1/1の溶剤に分散させ、さらにウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂バインダと光開始剤とを加えて第1電極形成用の塗布液を調製した。
次に、バリア層上に上記塗布液をスピンコートし、60℃で乾燥処理をした後、圧延処理を行い、更に高圧水銀ランプによりバインダ成分の硬化を行い、ITO微粒子からなる第1電極を形成した。
[試料122の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
試料121と同様の方法で第1電極を形成した以外は、試料105と同様の方法で試料122の有機EL素子を作製した。
[試料123の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
試料121と同様の方法で第1電極を形成した以外は、試料107と同様の方法で試料123の有機EL素子を作製した。
[試料124の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
試料121と同様の方法で第1電極を形成した以外は、試料108と同様の方法で試料124の有機EL素子を作製した。
[試料125の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
試料121と同様の方法で第1電極を形成した以外は、試料116と同様の方法で試料125の有機EL素子を作製した。
[試料126の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
試料121と同様の方法で第1電極を形成した以外は、試料117と同様の方法で試料126の有機EL素子を作製した。
[試料127の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
試料121と同様の方法で第1電極を形成した以外は、試料119と同様の方法で試料127の有機EL素子を作製した。
[試料128の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
試料121と同様の方法で第1電極を形成した以外は、試料120と同様の方法で試料128の有機EL素子を作製した。
[試料129の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
基材として、厚さ125μmの2軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(PEN)を用い、さらに、第1電極を下記方法により形成した以外は、試料107と同様の方法で試料129の有機EL素子を作製した。
(第1電極)
第1電極として、バリア層上に下記の下引き層、第1導電層及び第2導電層を形成した。
まず、酢酸水溶液(pH=4.5)にγ―メルカプトプロピルトリメトキシシランを0.01wt%となるように添加して下引き液を調整した。次に、この下引き液を、バリア層上にウェット膜厚が3μmとなるようにワイヤーバーで塗布した後、100℃で15分乾燥させ、下引き層を形成した。
次に、下引き層上に、銀ナノ粒子ペースト(M−dot SLP三ツ星ベルト製 平均粒径20nm)をグラビア印刷試験機により、線幅50μm、高さ1.5μm、間隔1.0mmの細線格子で印刷した後、110℃で5分のキュア処理を行い、第1導電層を形成した。
次に、導電性ポリマーBaytron PH510(H.C.Starck社製、固形分1.7%)7.8g、ポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)の20%水溶液1.7g、DMSO0.5gの混合液に、10%硫酸40μLを加えて撹拌した後、20μmメッシュのフィルターでろ過した塗布液を調整した。そして、この塗布液を、第1導電層上にスピンコーターで乾燥後膜厚が300nmになるように塗布した後、110℃で30分の熱処理を加え、第2導電層を形成した。
[試料130の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
試料129と同様の基材を用いて、試料129と同様の方法で第1電極を形成した以外は、試料108と同様の方法で試料130の有機EL素子を作製した。
[試料131の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
料129と同様の基材を用いて、試料129と同様の方法で第1電極を形成した以外は、試料119と同様の方法で試料131の有機EL素子を作製した。
[試料132の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
料129と同様の基材を用いて、試料129と同様の方法で第1電極を形成した以外は、試料120と同様の方法で試料132の有機EL素子を作製した。
[試料133の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
第1電極を下記方法により形成した以外は、試料107と同様の方法で試料133の有機EL素子を作製した。
(第1電極)
バリア層まで形成した基材を、真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、真空槽を真空度1×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱により銀とマグネシウムの合金を膜厚が10nmとなるように共蒸着し、第1電極を形成した。
[試料134の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
試料133と同様の方法で第1電極を形成した以外は、試料108と同様の方法で試料134の有機EL素子を作製した。
[試料135の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
試料133と同様の方法で第1電極を形成した以外は、試料119と同様の方法で試料135の有機EL素子を作製した。
[試料136の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
試料133と同様の方法で第1電極を形成した以外は、試料120と同様の方法で試料136の有機EL素子を作製した。
[試料137の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
第1電極を下記方法により形成した以外は、試料107と同様の方法で試料137の有機EL素子を作製した。
(第1電極)
バリア層までを形成した基材を、市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、下記窒素含有化合物をタングステン製の抵抗加熱ボートに入れ、これら基材ホルダーと加熱ボートとを真空蒸着装置の第1真空槽内に取り付けた。
また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、真空蒸着装置の第2真空槽内に取り付けた。
次に、第1真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、窒素含有化合物の入った加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で窒素含有層を厚さ10nmで設けた。
次に、窒素含有層を形成した基材を、真空蒸着装置の第2真空槽に搬送し、第2真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、銀(Ag)の入った加熱ボートを通電して加熱した。これにより、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で厚さ8nmの銀(Ag)からなる第1電極を形成した。
なお、上記窒素含有化合物は、以下に示す化合物である。
Figure 2014208315
[試料138の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
試料137と同様の方法で第1電極を形成した以外は、試料108と同様の方法で試料138の有機EL素子を作製した。
[試料139の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
試料137と同様の方法で第1電極を形成した以外は、試料119と同様の方法で試料139の有機EL素子を作製した。
[試料140の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
試料137と同様の方法で第1電極を形成した以外は、試料120と同様の方法で試料140の有機EL素子を作製した。
表1に、試料101〜140の有機EL素子の構成を示す。
Figure 2014208315
[有機エレクトロルミネッセンス素子の評価]
(屈曲しながらの保存性)
試料101〜140の有機EL素子の保存性を、ダークスポットの発生率で評価した。下記の各曲率で試料101〜140の有機EL素子を折り曲げながら、下記条件下の環境試験を行いダークスポットの発生率を調べた。
ダークスポット(以下DS)は、有機EL素子上に形成される非発光点であり、基材の持ち込み水分、基材を透過して発光ユニットへ侵入する水分、封止部材の持ち込み水分等が原因となり形成される。
各試料を、凸面が基材側となるように、曲率直径2mm,5mm,10mm,15mmの各曲率で折り曲げ、85℃、85%RHの環境下で、200時間保持した。また、比較として曲率を加えていない素子も準備し、同様に85℃、85%RHの環境下で、200時間保持した。
その後、この各試料について、定電圧電源を用いて点灯し、ダークスポット(非発光部)面積の発生割合(発生率)を調べた。なお、ダークスポット発生率は、各試料の有機EL素子の発光面を撮影し、その画像データに対して所定の画像処理を施すことにより求めた。
測定したダークスポット発生率を、下記の5段階の判断基準に基づいて判別し、各試料の保存性を評価した。また、バリア層の明らかなクラック、膜の剥離については×と分類した。
5:ダークスポット発生率が1%以下
4:ダークスポット発生率が1%より大きく3%未満
3:ダークスポット発生率が3%以上5%未満
2:ダークスポット発生率が5%以上10%未満
1:ダークスポット発生率が10%以上
(屈曲時の色度変化)
試料101〜140の有機EL素子の折り曲げた際の色度変化を評価した。
各試料を200nitsとなる電流値で発光させながら、凸面が基材側となるように、曲率直径2mm,5mm,10mm,15mmの各曲率で折り曲げた。その後、曲げ中心の色度と、中心から曲げ方向へ1mm平行移動した点の色度とを測定した。その後、L表色系における色差ΔEabを計算し、下記の5段階の判断基準に基づいて判別することで各試料の色度変化を評価した。
5:0≦ΔEab<5
4:5≦ΔEab<10
3:10≦ΔEab<15
2:15≦ΔEab<20
1:20≦ΔEab
(屈曲時の抵抗変化)
試料101〜140の有機EL素子を低い曲率で折り曲げて、第1電極の抵抗率の変化を測定した。
各試料の第1電極の引き出し配線に抵抗率測定用端子を繋げ、凸面が基材側となるように、曲率直径2mm,5mm,10mm,15mmの各曲率で折り曲げた際の抵抗率Rを測定した。曲率を加えていない素子の第1電極の抵抗率を基準(1.00)とし、各曲率における抵抗率を計算し、下記の5段階の判断基準に基づいて判別することで各試料の第1電極の抵抗変化を評価した。
抵抗率R
5:1.0≦R<1.05
4:1.05≦R<1.15
3:1.15≦R<1.30
2:1.30≦R<1.50
1:1.50≦R
上記試料101〜140の有機EL素子の各評価結果を表2に示す。
Figure 2014208315
[結果]
上記表2に示すように、バリア層を均一組成により形成し、さらに、バリア層と発光ユニットとを略中央部に配置していない試料101、及び、バリア層を均一組成により形成した102は、曲率を加えた際のバリア層のクラックや膜の剥れ、あるいは著しい保存性の低下が見られる。
これに対し、厚さ方向に連続的な組成変化するバリア層を形成し、さらに、バリア層と発光ユニットとを略中央部に配置した試料103〜140は、曲率を加えた際の保存性が向上している。
試料103〜108を比較すると、極値の数が増えるに従い保存性及び色差が改善されている。これは、バリア層の極値の増加により、応力緩和機能が向上されたためだと考えられる。また、極値の増加により、バリア層の屈折率分布の極値も増加するため、バリア層により配光性が向上されたためだと考えられる。
また、窒素及び酸素を含むケイ素化合物(SiON)よりも、炭素及び酸素を含むケイ素化合物(SiOC)からなるバリア層を用いた素子では、より上記性能が向上している。
試料103〜120を比較すると、応力緩和層を設けることで保存性が向上していることがわかる。詳細な原因は明らかではないが、応力緩和層を配置することで、バリア層に加わる応力を緩和し、折り曲げた際に生じるバリア層の微細な欠陥生成を抑制できるためと考えられる。
第1電極を、各種可撓性電極により形成した試料121〜140においても、試料1033〜120の有機EL素子と同等の保存性および色差となった。この結果から、上記各電極においても、保存性及び配光性向上の効果が得られていることがわかる。
また、各種可撓性電極を用いることで、屈曲した際における第1電極の抵抗率の上昇を抑えることができる。
さらに、第1電極としてITOを用いた試料121〜128に比べ、第1電極としてAgを含む試料129〜140は、屈曲の有無による抵抗率の上昇が小さい。特に、蒸着法により8nmのAgで第1電極を形成した試料137〜140においては、屈曲の有無による抵抗率の上昇が小さい。
この結果から、第1電極に可撓性電極を用いることが好ましく、特に銀であることがより好ましいことがわかる。
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
10,20 有機EL素子、11 基材、12 バリア層、13 第1電極、14 発光機能層、15 第2電極、16 発光ユニット、17 封止層、18 封止部材、19 応力緩和層、30 製造装置、31 送り出しロール、32,33,34,35 搬送ロール、36,37 成膜ロール、38 ガス供給管、39 プラズマ発生用電源、40 フィルム、41,42 磁場発生装置、43 巻取りロール

Claims (6)

  1. 可撓性基材上に発光ユニットが形成された有機EL素子であって、
    前記可撓性基材と、
    前記可撓性基材上に設けられた、炭素(C)、窒素(N)、及び、酸素(O)から選ばれる少なくとも1種類以上の元素を含み、厚さ方向に連続的な組成変化を有し、且つ、前記元素の組成分布において1つ以上の極値を有するケイ素化合物からなるバリア層と、
    前記発光ユニットを封止する封止部材と、を備え、
    前記バリア層と前記発光ユニットとが、前記可撓性基材の底面から前記封止部材の上面側までの厚さにおける、厚さ方向の略中央部に配置されている
    有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記バリア層が、厚さ方向の構成元素分布に少なくとも1つ以上の極大値と極小値とを有する請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記バリア層が、炭素(C)、及び、酸素(O)から選ばれる少なくとも1種以上の元素を含む請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記バリア層と前記発光ユニットとの間に応力緩和層を備える請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記応力緩和層は、ポリシラザン改質層である請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記発光ユニットは、少なくとも1層以上の電極が銀又は銀を主成分とする合金からなる請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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