JPWO2014203409A1 - レドックスフロー電池用電解液、およびレドックスフロー電池 - Google Patents
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Abstract
Description
最初に本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(A)実施形態に係るレドックスフロー電池用電解液(以下、RF電解液と呼ぶ)は、電池反応の際に析出物の発生に関与する不純物元素イオンの合計濃度が220質量ppm以下である。
(1)クロム(Cr)イオンの濃度が10質量ppm以下
(2)マンガン(Mn)イオンの濃度が1質量ppm以下
(3)鉄(Fe)イオンの濃度が40質量ppm以下
(4)コバルト(Co)イオンの濃度が2質量ppm以下
(5)ニッケル(Ni)イオンの濃度が5質量ppm以下
(6)銅(Cu)イオンの濃度が1質量ppm以下
(7)亜鉛(Zn)イオンの濃度が1質量ppm以下
(8)モリブデン(Mo)イオンの濃度が20質量ppm以下
(9)アンチモン(Sb)イオンの濃度が1質量ppm以下
(10)ナトリウム(Na)イオンの濃度が30質量ppm以下
(11)マグネシウム(Mg)イオンの濃度が20質量ppm以下
(12)アルミニウム(Al)イオンの濃度が15質量ppm以下
(13)カリウム(K)イオンの濃度が20質量ppm以下
(14)カルシウム(Ca)イオンの濃度が30質量ppm以下
(15)塩化物(Cl)イオンの濃度が20質量ppm以下
(16)ヒ素(As)イオンの濃度が1質量ppm以下
本願発明の実施形態に係るRF電解液を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
RF電池1は、代表的には、交流/直流変換器を介して、発電部(例えば、太陽光発電装置や風力発電装置、その他一般の発電所など)と負荷(需要家など)との間に接続され、発電部で発電した電力を充電して蓄え、又は、蓄えた電力を放電して負荷に供給する。このRF電池1は、従来のRF電池と同様に、電池セル100と、この電池セル100に電解液を供給する循環機構(タンク、配管、ポンプ)とを備える。
RF電池1における電池セル100は、正極電極104を内蔵する正極セル102と、負極電極105を内蔵する負極セル103と、両セル102,103を分離すると共にイオンを透過する隔膜101とを備える。正極セル102には、正極電解液を貯留する正極用タンク106が配管108,110を介して接続されている。負極セル103には、負極電解液を貯留する負極用タンク107が配管109,111を介して接続されている。また、配管108,109にはそれぞれ、両極の電解液を循環させるポンプ112,113が設けられている。電池セル100は、配管108〜111とポンプ112,113によって、正極セル102(正極電極104)及び負極セル103(負極電極105)にそれぞれ正極用タンク106の正極電解液及び負極用タンク107の負極電解液を循環供給して、両極における電解液中の活物質となる金属イオン(本実施形態ではVイオン)の価数変化に伴って充放電を行う。
本実施形態のRF電解液は、溶媒中に活物質となる元素イオンを含有させた液体であって、析出物の発生に関与する不純物元素イオンの濃度が非常に低い。また、後述する試験例に示すように、白金族元素イオンの濃度を必要に応じて所定値以下にすることができる。本実施形態では、正極電解液および負極電解液で、Vイオンを活物質として含有するRF電解液を使用している。ここでは、正極電解液および負極電解液におけるVイオンの平均価数は3.3以上3.7以下、濃度は1mol/L以上3mol/Lとすることが好ましい。より好ましい平均価数は3.4以上3.6以下、Vイオン濃度は1.5mol/L以上1.9mol/L以下である。
本発明者らの検討の結果、RF電解液中の析出物の発生に関与する不純物元素イオンの総量が、RF電解液中で220質量ppm以下であれば、析出物(代表的には活物質由来の酸化物)の発生を効果的に抑制できることが判明した。また、析出物の発生に関与する不純物元素イオンを、金属元素イオンと非金属元素イオンとに分類したときに、それぞれ満たすと好ましい合計濃度が存在することを見出した。これにより、RF電池における析出物の発生を効果的に抑制できる。また、RF電解液の原料やRF電解液から、除去しやすい分類の元素イオンを選択的に除去すれば、RF電解液の製造効率に優れる。以下、金属元素イオンと非金属元素イオンとにつき説明する。
本実施形態のRF電解液においては、析出物の発生に関与する不純物元素イオンに含まれる金属元素イオンの合計濃度が195質量ppm以下であることが好ましい。これにより、RF電池における析出物の発生を効果的に抑制できるからである。
(1)Crイオン:10質量ppm以下
(2)Mnイオン:1質量ppm以下
(3)Feイオン:40質量ppm以下
(4)Coイオン:2質量ppm以下
(5)Niイオン:5質量ppm以下
(6)Cuイオン:1質量ppm以下
(7)Znイオン:1質量ppm以下
(8)Moイオン:20質量ppm以下
(9)Sbイオン:1質量ppm以下
(10)Naイオン:30質量ppm以下
(11)Mgイオン:20質量ppm以下
(12)Alイオン:15質量ppm以下
(13)Kイオン:20質量ppm以下
(14)Caイオン:30質量ppm以下
非金属元素イオンは、周期表上で金属元素に分類される元素以外の元素のイオンである。本実施形態のRF電解液においては、析出物の発生に関与する不純物元素イオンに含まれる非金属元素イオンの合計濃度が21質量ppm以下であることが好ましい。RF電池における析出物の発生を効果的に抑制できるからである。
(15)Clイオン:20質量ppm以下
(16)Asイオン:1質量ppm以下
不純物元素イオンの合計濃度を調整したRF電解液とするためには、できるだけ不純物元素イオンの含有量が少ない活物質の原料、および溶媒(例えば硫酸)を用いることが好ましい。しかし、製造工程等で、RF電解液に不純物元素イオンが混入してしまうおそれもある。よって、必要に応じて、RF電解液に対して、凝集沈殿、溶媒抽出、イオン交換樹脂やキレート樹脂を用いたろ過、電解析出、膜分離等の公知の方法を行うことで、不純物元素イオンの合計濃度を低減させてもよい。特に、キレート樹脂を用いたろ過であれば、キレート樹脂の物性やRF電解液のpHを調整することで特定の元素イオンを選択的にろ過できるので好ましい。ろ過の方法としては、キレート樹脂製のフィルター、キレート樹脂をビーズ状にして充填したカラム等にRF電解液を通液すればよい。
(1)鉄族元素イオンと非鉄族元素イオン
本発明者らは、析出物の発生に関与する不純物元素イオンのうち、金属元素イオンを重金属元素イオンと軽金属元素イオンとに分類するのではなく、鉄族元素イオンと非鉄族元素イオンとに分類した場合にも、それぞれが満たすと好ましい合計濃度が存在することを見出した。ここで、鉄族元素とは、Fe、Co、およびNiの総称であり、非鉄族元素イオンとは、鉄族元素イオン以外の金属元素イオンをいう。
(a)鉄族元素イオンの合計濃度が50質量ppm以下
(b)非鉄族元素イオンの合計濃度が155質量ppm以下
本発明者らは、析出物の発生に関与する不純物元素イオンを、鉄族元素イオンとこれ以外の元素イオンとに分類した場合にも、それぞれが満たすと好ましい合計濃度が存在することを見出した。本分類では、鉄族元素イオンとは、上記同様、Fe、Co、Niの総称であり、析出物の発生に関与する。これ以外の元素イオンとは、析出物の発生に関与する不純物元素イオンから鉄族元素イオンを除いた元素イオンである。
(c)鉄族元素イオンの合計濃度が50質量ppm以下
(d)析出物の発生に関与する不純物元素イオンから鉄族元素イオンを除いた元素イオンの合計濃度が180質量ppm以下
これにより、RF電池における析出物の発生を効果的に抑制できるからである。
本発明者らは、析出物の発生に関与する不純物元素イオンを、9族に属する元素イオン(9族元素イオン)と、10族に属する元素イオン(10族元素イオン)と、これら以外の族に属する元素イオン(以下、他族の元素イオンという)とに分類した場合にも、それぞれが満たすと好ましい合計濃度が存在することを見出した。
(e)9族元素イオンの合計濃度が2質量ppm以下
(f)10族元素イオンの合計濃度が5質量ppm以下
(g)他族の元素イオンの合計濃度が190質量ppm以下
これにより、RF電池における析出物の発生を効果的に抑制できるからである。
本発明者らは、析出物の発生に関与する不純物元素イオンを活物質元素イオンと同じ周期に属する活物質以外の元素イオンと他の周期に属する元素イオンとに分類した場合にも、それぞれが満たすと好ましい合計濃度が存在することを見出した。例えば、活物質がバナジウムの場合、第4周期に属するバナジウム以外の元素イオンと第4周期以外の周期に属する元素イオンとに分類した場合に、それぞれが満たすと好ましい合計濃度が存在する。
(h)第4周期に属する元素イオンの合計濃度が115質量ppm以下
(i)第4周期以外の元素イオンの合計濃度が111質量ppm以下
これにより、RF電池における析出物の発生を効果的に抑制できるからである。
RF電解液の活物質をバナジウムとし、溶媒を硫酸とする場合においては、Vイオンの濃度を1mol/L以上3mol/L以下、フリーの硫酸の濃度を1mol/L以上4mol/L以下、リン酸の濃度を1.0×10−4mol/L以上7.1×10−1mol/L以下、アンモニウム(NH4)の濃度を20質量ppm以下、ケイ素(Si)の濃度を40質量ppm以下とすることが好ましい。
正極用タンク106、負極用タンク107、および配管108〜111は、上記RF電解液が接触する部材である。そのため、これらの部材(106〜111)に電池反応の際に析出物の発生に関与する不純物元素イオンや、白金族元素イオンが含有されていたり付着したりしているおそれがある。この場合、RF電池1の運転に伴いRF電解液における上記不純物元素イオンや白金族元素イオンの含有量が上昇する可能性がある。そこで、これらの部材(106〜111)の構成材料には、上記不純物元素イオンや白金族元素イオンを含まない材料を用いることが好ましい。また、これらの部材(106〜111)の製造工程において、上記不純物元素イオンや白金族元素イオンを含まないもの(例えば、部材を作製する金型の離型剤に上記不純物元素イオンや白金族元素イオンを含まないもの)を用いることが好ましい。例えば、部材(106〜111)の構成材料には、密度(ASTM D 1505)が0.080g/cm3以上0.960g/cm3以下の範囲内にあり、メルトフローレート(ASTM D 1238,測定条件:190℃、荷重2.16kg)が0.01g/10分以上20g/10分以下の範囲内にあるエチレン単独重合体、あるいは上記の範囲の密度とメルトフローレートのエチレン・αオレイン共重合体などが挙げられる。なお、RF電解液を輸送する輸送タンクにおいても、上記部材(106〜111)と同様のことが言える。
試験例1では、実際の運用に供するRF電池を想定して充放電試験を行なった。まず、電極面積が500cm2の炭素フェルト製の正極電極と負極電極とを用意した。両電極の合計質量は約35gであった。また、RF電解液として、不純物元素イオンの濃度が異なる3種類のRF電解液を用意し、それぞれのRF電解液を用いて3種類の2時間容量のRF電池を作製した。用意したRF電解液は、下記の共通基本構成を備える。
・Vイオンの濃度:1.7mol/L
・Vイオンの平均価数:3.5
・フリーの硫酸の濃度:2.0mol/L
・リン酸の濃度:0.14mol/L
・ケイ素の濃度:40質量ppm以下
・アンモニウムの濃度:20質量ppm以下
充放電方法 :定電流
電流密度 :70(mA/cm2)
充電終了電圧:1.55(V)
放電終了電圧:1.00(V)
温度 :25℃
≪分類1≫
試験例1の結果から、各不純物元素イオンのうち、析出物の発生に関与するものと、水素の発生を促進するものとを特定するために、不純物元素イオンを金属元素と非金属元素とに分類した。さらに、金属元素を重金属元素と軽金属元素とに、重金属元素を白金族元素とそれ以外とに分類した。そして、各分類の元素イオンの合計濃度が異なる複数の電解液を用意し、いずれの分類が析出物の発生に関与し、いずれの分類が水素の発生を促進するかを検討した。本試験例に用いた各RF電解液の不純物元素イオンの濃度を表2から表4に示す。各表中の数値は、濃度(質量ppm)を表す。なお、不純物元素イオンの濃度の調整方法、および、充放電条件は試験例1と同様である。
・析出物の発生に関与する不純物元素イオンの合計濃度が220質量ppm以下であると、析出物の発生を抑制できる。
・白金族元素イオンの合計濃度が4.5質量ppm以下であれば、水素の発生を抑制できる。
・析出物の発生に関与する不純物元素イオンのうち、金属元素イオンの合計濃度は195質量ppm以下が好ましい(例えば、試験例2−4など参照)。
・析出物の発生に関与する不純物元素イオンのうち、非金属元素イオンの合計濃度は21質量ppm以下が好ましい(例えば、試験例1−2など参照)。
・析出物の発生に関与する不純物元素イオンのうち、重金属元素イオンの合計濃度は85質量ppm以下が好ましい(例えば、試験例1−2と試験例1−3とを比較参照)。
・析出物の発生に関与する不純物元素イオンのうち、軽金属元素イオンの合計濃度は120質量ppm以下が好ましい(例えば、試験例1−2と試験例1−3とを比較参照)。
・析出物の発生に関与する不純物元素イオンのうち、重金属元素イオンの合計濃度は85質量ppm以下、かつ、軽金属元素イオンの合計濃度は120質量ppm以下が好ましい(例えば、試験例2−2を参照)。
・不純物元素イオンのそれぞれをみた場合、以下が好ましい(例えば、表1参照)。
(1)Crイオン:10質量ppm以下、(2)Mnイオン:1質量ppm以下、(3)Feイオン:40質量ppm以下、(4)Coイオン:2質量ppm以下、(5)Niイオン:5質量ppm以下、(6)Cuイオン:1質量ppm以下、(7)Znイオン:1質量ppm以下、(8)Moイオン:20質量ppm以下、(9)Sbイオン:1質量ppm以下、(10)Naイオン:30質量ppm以下、(11)Mgイオン:20質量ppm以下、(12)Alイオン:15質量ppm以下、(13)Kイオン:20質量ppm以下、(14)Caイオン:30質量ppm以下、(15)Clイオン:20質量ppm以下、(16)Asイオン:1質量ppm以下、(17)Rhイオン:1質量ppm以下、(18)Pdイオン:1質量ppm以下、(19)Irイオン:1質量ppm以下、(20)Ptイオン:1質量ppm以下
次に、析出物の発生に関与する金属元素イオンを、鉄族元素イオンと非鉄族元素イオンとに分類した場合についての結果を表5および表6に示す。
さらに、析出物の発生に関与する不純物元素イオンと白金族元素イオンとを合わせた群を、鉄族元素イオンとこれ以外の元素イオンとに分類した場合についての結果を表7及び表8に示す。なお、ここでは、白金族元素イオンの値は、4.5質量ppmとした。
次に、析出物の発生に関与する不純物元素イオンと、白金族元素イオンとを合わせた群に含まれる元素イオンを、9族元素イオンと、10族元素イオンと、他族の元素イオンとに分類した場合についての結果を表9に示す。
次に、析出物の発生に関与する不純物元素イオンと、白金族元素イオンとを合わせた群に含まれる元素イオンを、活物質元素イオンと同じ周期に属する活物質以外の元素イオンと、他の周期に属する元素イオンとに分類した場合についての結果を表10および表11に示す。なお、ここでは、白金族元素イオンの値は、4.5質量ppmとした。
(付記1)
電池反応の際に析出物の発生に関与する不純物元素イオンの合計濃度が220質量ppm以下であり、
析出物の発生に関与する金属元素イオンを鉄族元素イオンと非鉄族元素イオンとに分類した場合に、下記(a)および(b)の少なくとも一方を満たすレドックスフロー電池用電解液。
(a)鉄族元素イオンの合計濃度が50質量ppm以下
(b)非鉄族元素イオンの合計濃度が155質量ppm以下
電池反応の際に析出物の発生に関与する不純物元素イオンの合計濃度が220質量ppm以下であり、
析出物の発生に関与する不純物元素イオンを、鉄族元素イオンと、前記鉄族元素イオンを除いた元素イオンとに分類した場合に、下記(c)および(d)の少なくとも一方を満たすレドックスフロー電池用電解液。
(c)鉄族元素イオンの合計濃度が50質量ppm以下
(d)析出物の発生に関与する不純物元素イオンから鉄族元素イオンを除いた元素イオンの合計濃度が180質量ppm以下
電池反応の際に析出物の発生に関与する不純物元素イオンの合計濃度が220質量ppm以下であり、
析出物の発生に関与する不純物元素イオンを、9族に属する元素イオンと、10族に属する元素イオンと、9族に属する元素イオンおよび10族に属する元素イオン以外の元素イオンとに分類した場合に、下記(e)から(g)の少なくとも1つを満たすレドックスフロー電池用電解液。
(e)9族に属する元素イオンの合計濃度が2質量ppm以下
(f)10族に属する元素イオンの合計濃度が5質量ppm以下
(g)9族に属する元素イオンおよび10族に属する元素イオン以外の元素イオンの合計濃度が190質量ppm以下
電池反応の際に析出物の発生に関与する不純物元素イオンの合計濃度が220質量ppm以下であり、
析出物の発生に関与する不純物元素イオンを、活物質元素イオンと同じ周期に属する活物質以外の元素イオンと、他の周期に属する元素イオンとに分類した場合に、下記(h)および(i)の少なくとも一方を満たすレドックスフロー電池用電解液。
(h)活物質元素イオンと同じ周期に属する活物質以外の元素イオンの合計濃度が115質量ppm以下
(i)他の周期に属する元素イオンの合計濃度が111質量ppm以下
更に、白金族元素イオンの合計濃度が4.5質量ppm以下である上記(付記1)から(付記4)のいずれか1つに記載のレドックスフロー電池用電解液。
100 電池セル
101 隔膜 102 正極セル 103 負極セル
104 正極電極 105 負極電極
106 正極用タンク 107 負極用タンク
108〜111 配管
112,113 ポンプ
[表4]
[0077]
表2から表4に示すように、この試験からは、不純物元素イオンを上記のように分類した場合において、白金族元素イオンは水素の発生に、それ以外の不純物元素イオンは析出物の発生にそれぞれ関与することが判った。
[0078]
更に、表1から表4より、以下のことが分かる。
・析出物の発生に関与する不純物元素イオンの合計濃度が220質量ppm以下であると、析出物の発生を抑制できる。
・白金族元素イオンの合計濃度が4.5質量ppm以下であれば、水素の発生を抑制できる。
・析出物の発生に関与する不純物元素イオンのうち、金属元素イオンの合計濃度は195質量ppm以下が好ましい(例えば、試験例2−4など参照)。
・析出物の発生に関与する不純物元素イオンのうち、非金属元素イオンの合計濃度は21質量ppm以下が好ましい(例えば、試験例1−2など参照)。
・析出物の発生に関与する不純物元素イオンのうち、重金属元素イオンの合計濃度は85質量ppm以下が好ましい(例えば、試験例1−2と試験例1−3とを比較参照)。
・析出物の発生に関与する不純物元素イオンのうち、軽金属元素イオンの合計濃度は120質量ppm以下が好ましい(例えば、試験例1−2と試験
[表6]
[0082]
表5及び表6に示すように、不純物元素イオンの合計が220質量ppm以下であれば、析出物の発生を抑制できることが判る。特に、表5に示すように、析出物の発生に関与する不純物元素イオンの濃度が220質量ppm以下であり、このうちの金属元素イオンの濃度が195質量ppm以下の場合に、鉄族元素イオンの合計濃度が50質量ppm以下、及び非鉄族元素イオンの合計濃度が155質量ppm以下の一方または両方を満たす範囲をとりうる。また、鉄族元素イオンの合計濃度が45質量ppm以下、及び非鉄族元素イオンの合計濃度が135質量ppm以下の一方または両方を満たす範囲をとりうる。
[0083]
《分類3》
さらに、析出物の発生に関与する不純物元素イオンと白金族元素イオンとを合わせた群を、鉄族元素イオンとこれ以外の元素イオンとに分類した場合についての結果を表7及び表8に示す。なお、ここでは、白金族元素イオン
最初に本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(A)実施形態に係るレドックスフロー電池用電解液(以下、RF電解液と呼ぶ)は、電池反応の際に析出物の発生に関与する不純物元素イオンの合計濃度が220質量ppm以下である。
(1)クロム(Cr)イオンの濃度が10質量ppm以下
(2)マンガン(Mn)イオンの濃度が1質量ppm以下
(3)鉄(Fe)イオンの濃度が40質量ppm以下
(4)コバルト(Co)イオンの濃度が2質量ppm以下
(5)ニッケル(Ni)イオンの濃度が5質量ppm以下
(6)銅(Cu)イオンの濃度が1質量ppm以下
(7)亜鉛(Zn)イオンの濃度が1質量ppm以下
(8)モリブデン(Mo)イオンの濃度が20質量ppm以下
(9)アンチモン(Sb)イオンの濃度が1質量ppm以下
(10)ナトリウム(Na)イオンの濃度が30質量ppm以下
(11)マグネシウム(Mg)イオンの濃度が20質量ppm以下
(12)アルミニウム(Al)イオンの濃度が15質量ppm以下
(13)カリウム(K)イオンの濃度が20質量ppm以下
(14)カルシウム(Ca)イオンの濃度が30質量ppm以下
(15)塩化物(Cl)イオンの濃度が20質量ppm以下
(16)ヒ素(As)イオンの濃度が1質量ppm以下
本願発明の実施形態に係るRF電解液を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
RF電池1は、代表的には、交流/直流変換器を介して、発電部(例えば、太陽光発電装置や風力発電装置、その他一般の発電所など)と負荷(需要家など)との間に接続され、発電部で発電した電力を充電して蓄え、又は、蓄えた電力を放電して負荷に供給する。このRF電池1は、従来のRF電池と同様に、電池セル100と、この電池セル100に電解液を供給する循環機構(タンク、配管、ポンプ)とを備える。
RF電池1における電池セル100は、正極電極104を内蔵する正極セル102と、負極電極105を内蔵する負極セル103と、両セル102,103を分離すると共にイオンを透過する隔膜101とを備える。正極セル102には、正極電解液を貯留する正極用タンク106が配管108,110を介して接続されている。負極セル103には、負極電解液を貯留する負極用タンク107が配管109,111を介して接続されている。また、配管108,109にはそれぞれ、両極の電解液を循環させるポンプ112,113が設けられている。電池セル100は、配管108〜111とポンプ112,113によって、正極セル102(正極電極104)及び負極セル103(負極電極105)にそれぞれ正極用タンク106の正極電解液及び負極用タンク107の負極電解液を循環供給して、両極における電解液中の活物質となる金属イオン(本実施形態ではVイオン)の価数変化に伴って充放電を行う。
本実施形態のRF電解液は、溶媒中に活物質となる元素イオンを含有させた液体であって、析出物の発生に関与する不純物元素イオンの濃度が非常に低い。また、後述する試験例に示すように、白金族元素イオンの濃度を必要に応じて所定値以下にすることができる。本実施形態では、正極電解液および負極電解液で、Vイオンを活物質として含有するRF電解液を使用している。ここでは、正極電解液および負極電解液におけるVイオンの平均価数は3.3以上3.7以下、濃度は1mol/L以上3mol/Lとすることが好ましい。より好ましい平均価数は3.4以上3.6以下、Vイオン濃度は1.5mol/L以上1.9mol/L以下である。
本発明者らの検討の結果、RF電解液中の析出物の発生に関与する不純物元素イオンの総量が、RF電解液中で220質量ppm以下であれば、析出物(代表的には活物質由来の酸化物)の発生を効果的に抑制できることが判明した。また、析出物の発生に関与する不純物元素イオンを、金属元素イオンと非金属元素イオンとに分類したときに、それぞれ満たすと好ましい合計濃度が存在することを見出した。これにより、RF電池における析出物の発生を効果的に抑制できる。また、RF電解液の原料やRF電解液から、除去しやすい分類の元素イオンを選択的に除去すれば、RF電解液の製造効率に優れる。以下、金属元素イオンと非金属元素イオンとにつき説明する。
本実施形態のRF電解液においては、析出物の発生に関与する不純物元素イオンに含まれる金属元素イオンの合計濃度が195質量ppm以下であることが好ましい。これにより、RF電池における析出物の発生を効果的に抑制できるからである。
(1)Crイオン:10質量ppm以下
(2)Mnイオン:1質量ppm以下
(3)Feイオン:40質量ppm以下
(4)Coイオン:2質量ppm以下
(5)Niイオン:5質量ppm以下
(6)Cuイオン:1質量ppm以下
(7)Znイオン:1質量ppm以下
(8)Moイオン:20質量ppm以下
(9)Sbイオン:1質量ppm以下
(10)Naイオン:30質量ppm以下
(11)Mgイオン:20質量ppm以下
(12)Alイオン:15質量ppm以下
(13)Kイオン:20質量ppm以下
(14)Caイオン:30質量ppm以下
非金属元素イオンは、周期表上で金属元素に分類される元素以外の元素のイオンである。本実施形態のRF電解液においては、析出物の発生に関与する不純物元素イオンに含まれる非金属元素イオンの合計濃度が21質量ppm以下であることが好ましい。RF電池における析出物の発生を効果的に抑制できるからである。
(15)Clイオン:20質量ppm以下
(16)Asイオン:1質量ppm以下
不純物元素イオンの合計濃度を調整したRF電解液とするためには、できるだけ不純物元素イオンの含有量が少ない活物質の原料、および溶媒(例えば硫酸)を用いることが好ましい。しかし、製造工程等で、RF電解液に不純物元素イオンが混入してしまうおそれもある。よって、必要に応じて、RF電解液に対して、凝集沈殿、溶媒抽出、イオン交換樹脂やキレート樹脂を用いたろ過、電解析出、膜分離等の公知の方法を行うことで、不純物元素イオンの合計濃度を低減させてもよい。特に、キレート樹脂を用いたろ過であれば、キレート樹脂の物性やRF電解液のpHを調整することで特定の元素イオンを選択的にろ過できるので好ましい。ろ過の方法としては、キレート樹脂製のフィルター、キレート樹脂をビーズ状にして充填したカラム等にRF電解液を通液すればよい。
(1)鉄族元素イオンと非鉄族元素イオン
本発明者らは、析出物の発生に関与する不純物元素イオンのうち、金属元素イオンを重金属元素イオンと軽金属元素イオンとに分類するのではなく、鉄族元素イオンと非鉄族元素イオンとに分類した場合にも、それぞれが満たすと好ましい合計濃度が存在することを見出した。ここで、鉄族元素とは、Fe、Co、およびNiの総称であり、非鉄族元素イオンとは、鉄族元素イオン以外の金属元素イオンをいう。
(a)鉄族元素イオンの合計濃度が50質量ppm以下
(b)非鉄族元素イオンの合計濃度が155質量ppm以下
本発明者らは、析出物の発生に関与する不純物元素イオンを、鉄族元素イオンとこれ以外の元素イオンとに分類した場合にも、それぞれが満たすと好ましい合計濃度が存在することを見出した。本分類では、鉄族元素イオンとは、上記同様、Fe、Co、Niの総称であり、析出物の発生に関与する。これ以外の元素イオンとは、析出物の発生に関与する不純物元素イオンから鉄族元素イオンを除いた元素イオンである。
(c)鉄族元素イオンの合計濃度が50質量ppm以下
(d)析出物の発生に関与する不純物元素イオンから鉄族元素イオンを除いた元素イオンの合計濃度が180質量ppm以下
これにより、RF電池における析出物の発生を効果的に抑制できるからである。
本発明者らは、析出物の発生に関与する不純物元素イオンを、9族に属する元素イオン(9族元素イオン)と、10族に属する元素イオン(10族元素イオン)と、これら以外の族に属する元素イオン(以下、他族の元素イオンという)とに分類した場合にも、それぞれが満たすと好ましい合計濃度が存在することを見出した。
(e)9族元素イオンの合計濃度が2質量ppm以下
(f)10族元素イオンの合計濃度が5質量ppm以下
(g)他族の元素イオンの合計濃度が190質量ppm以下
これにより、RF電池における析出物の発生を効果的に抑制できるからである。
本発明者らは、析出物の発生に関与する不純物元素イオンを活物質元素イオンと同じ周期に属する活物質以外の元素イオンと他の周期に属する元素イオンとに分類した場合にも、それぞれが満たすと好ましい合計濃度が存在することを見出した。例えば、活物質がバナジウムの場合、第4周期に属するバナジウム以外の元素イオンと第4周期以外の周期に属する元素イオンとに分類した場合に、それぞれが満たすと好ましい合計濃度が存在する。
(h)第4周期に属する元素イオンの合計濃度が115質量ppm以下
(i)第4周期以外の元素イオンの合計濃度が111質量ppm以下
これにより、RF電池における析出物の発生を効果的に抑制できるからである。
RF電解液の活物質をバナジウムとし、溶媒を硫酸とする場合においては、Vイオンの濃度を1mol/L以上3mol/L以下、フリーの硫酸の濃度を1mol/L以上4mol/L以下、リン酸の濃度を1.0×10−4mol/L以上7.1×10−1mol/L以下、アンモニウム(NH4)の濃度を20質量ppm以下、ケイ素(Si)の濃度を40質量ppm以下とすることが好ましい。
正極用タンク106、負極用タンク107、および配管108〜111は、上記RF電解液が接触する部材である。そのため、これらの部材(106〜111)に電池反応の際に析出物の発生に関与する不純物元素イオンや、白金族元素イオンが含有されていたり付着したりしているおそれがある。この場合、RF電池1の運転に伴いRF電解液における上記不純物元素イオンや白金族元素イオンの含有量が上昇する可能性がある。そこで、これらの部材(106〜111)の構成材料には、上記不純物元素イオンや白金族元素イオンを含まない材料を用いることが好ましい。また、これらの部材(106〜111)の製造工程において、上記不純物元素イオンや白金族元素イオンを含まないもの(例えば、部材を作製する金型の離型剤に上記不純物元素イオンや白金族元素イオンを含まないもの)を用いることが好ましい。例えば、部材(106〜111)の構成材料には、密度(ASTM D 1505)が0.080g/cm3以上0.960g/cm3以下の範囲内にあり、メルトフローレート(ASTM D 1238,測定条件:190℃、荷重2.16kg)が0.01g/10分以上20g/10分以下の範囲内にあるエチレン単独重合体、あるいは上記の範囲の密度とメルトフローレートのエチレン・αオレイン共重合体などが挙げられる。なお、RF電解液を輸送する輸送タンクにおいても、上記部材(106〜111)と同様のことが言える。
試験例1では、実際の運用に供するRF電池を想定して充放電試験を行なった。まず、電極面積が500cm2の炭素フェルト製の正極電極と負極電極とを用意した。両電極の合計質量は約35gであった。また、RF電解液として、不純物元素イオンの濃度が異なる3種類のRF電解液を用意し、それぞれのRF電解液を用いて3種類の2時間容量のRF電池を作製した。用意したRF電解液は、下記の共通基本構成を備える。
・Vイオンの濃度:1.7mol/L
・Vイオンの平均価数:3.5
・フリーの硫酸の濃度:2.0mol/L
・リン酸の濃度:0.14mol/L
・ケイ素の濃度:40質量ppm以下
・アンモニウムの濃度:20質量ppm以下
充放電方法 :定電流
電流密度 :70(mA/cm2)
充電終了電圧:1.55(V)
放電終了電圧:1.00(V)
温度 :25℃
≪分類1≫
試験例1の結果から、各不純物元素イオンのうち、析出物の発生に関与するものと、水素の発生を促進するものとを特定するために、不純物元素イオンを金属元素と非金属元素とに分類した。さらに、金属元素を重金属元素と軽金属元素とに、重金属元素を白金族元素とそれ以外とに分類した。そして、各分類の元素イオンの合計濃度が異なる複数の電解液を用意し、いずれの分類が析出物の発生に関与し、いずれの分類が水素の発生を促進するかを検討した。本試験例に用いた各RF電解液の不純物元素イオンの濃度を表2から表4に示す。各表中の数値は、濃度(質量ppm)を表す。なお、不純物元素イオンの濃度の調整方法、および、充放電条件は試験例1と同様である。
・析出物の発生に関与する不純物元素イオンの合計濃度が220質量ppm以下であると、析出物の発生を抑制できる。
・白金族元素イオンの合計濃度が4.5質量ppm以下であれば、水素の発生を抑制できる。
・析出物の発生に関与する不純物元素イオンのうち、金属元素イオンの合計濃度は195質量ppm以下が好ましい(例えば、試験例2−4など参照)。
・析出物の発生に関与する不純物元素イオンのうち、非金属元素イオンの合計濃度は21質量ppm以下が好ましい(例えば、試験例1−2など参照)。
・析出物の発生に関与する不純物元素イオンのうち、重金属元素イオンの合計濃度は85質量ppm以下が好ましい(例えば、試験例1−2と試験例1−3とを比較参照)。
・析出物の発生に関与する不純物元素イオンのうち、軽金属元素イオンの合計濃度は120質量ppm以下が好ましい(例えば、試験例1−2と試験例1−3とを比較参照)。
・析出物の発生に関与する不純物元素イオンのうち、重金属元素イオンの合計濃度は85質量ppm以下、かつ、軽金属元素イオンの合計濃度は120質量ppm以下が好ましい(例えば、試験例2−2を参照)。
・不純物元素イオンのそれぞれをみた場合、以下が好ましい(例えば、表1参照)。
(1)Crイオン:10質量ppm以下、(2)Mnイオン:1質量ppm以下、(3)Feイオン:40質量ppm以下、(4)Coイオン:2質量ppm以下、(5)Niイオン:5質量ppm以下、(6)Cuイオン:1質量ppm以下、(7)Znイオン:1質量ppm以下、(8)Moイオン:20質量ppm以下、(9)Sbイオン:1質量ppm以下、(10)Naイオン:30質量ppm以下、(11)Mgイオン:20質量ppm以下、(12)Alイオン:15質量ppm以下、(13)Kイオン:20質量ppm以下、(14)Caイオン:30質量ppm以下、(15)Clイオン:20質量ppm以下、(16)Asイオン:1質量ppm以下、(17)Rhイオン:1質量ppm以下、(18)Pdイオン:1質量ppm以下、(19)Irイオン:1質量ppm以下、(20)Ptイオン:1質量ppm以下
次に、析出物の発生に関与する金属元素イオンを、鉄族元素イオンと非鉄族元素イオンとに分類した場合についての結果を表5および表6に示す。
さらに、析出物の発生に関与する不純物元素イオンと白金族元素イオンとを合わせた群を、鉄族元素イオンとこれ以外の元素イオンとに分類した場合についての結果を表7及び表8に示す。なお、ここでは、白金族元素イオンの値は、4.5質量ppmとした。
次に、析出物の発生に関与する不純物元素イオンと、白金族元素イオンとを合わせた群に含まれる元素イオンを、9族元素イオンと、10族元素イオンと、他族の元素イオンとに分類した場合についての結果を表9に示す。
次に、析出物の発生に関与する不純物元素イオンと、白金族元素イオンとを合わせた群に含まれる元素イオンを、活物質元素イオンと同じ周期に属する活物質以外の元素イオンと、他の周期に属する元素イオンとに分類した場合についての結果を表10および表11に示す。なお、ここでは、白金族元素イオンの値は、4.5質量ppmとした。
(付記1)
電池反応の際に析出物の発生に関与する不純物元素イオンの合計濃度が220質量ppm以下であり、
析出物の発生に関与する金属元素イオンを鉄族元素イオンと非鉄族元素イオンとに分類した場合に、下記(a)および(b)の少なくとも一方を満たすレドックスフロー電池用電解液。
(a)鉄族元素イオンの合計濃度が50質量ppm以下
(b)非鉄族元素イオンの合計濃度が155質量ppm以下
電池反応の際に析出物の発生に関与する不純物元素イオンの合計濃度が220質量ppm以下であり、
析出物の発生に関与する不純物元素イオンを、鉄族元素イオンと、前記鉄族元素イオンを除いた元素イオンとに分類した場合に、下記(c)および(d)の少なくとも一方を満たすレドックスフロー電池用電解液。
(c)鉄族元素イオンの合計濃度が50質量ppm以下
(d)析出物の発生に関与する不純物元素イオンから鉄族元素イオンを除いた元素イオンの合計濃度が180質量ppm以下
電池反応の際に析出物の発生に関与する不純物元素イオンの合計濃度が220質量ppm以下であり、
析出物の発生に関与する不純物元素イオンを、9族に属する元素イオンと、10族に属する元素イオンと、9族に属する元素イオンおよび10族に属する元素イオン以外の元素イオンとに分類した場合に、下記(e)から(g)の少なくとも1つを満たすレドックスフロー電池用電解液。
(e)9族に属する元素イオンの合計濃度が2質量ppm以下
(f)10族に属する元素イオンの合計濃度が5質量ppm以下
(g)9族に属する元素イオンおよび10族に属する元素イオン以外の元素イオンの合計濃度が190質量ppm以下
電池反応の際に析出物の発生に関与する不純物元素イオンの合計濃度が220質量ppm以下であり、
析出物の発生に関与する不純物元素イオンを、活物質元素イオンと同じ周期に属する活物質以外の元素イオンと、他の周期に属する元素イオンとに分類した場合に、下記(h)および(i)の少なくとも一方を満たすレドックスフロー電池用電解液。
(h)活物質元素イオンと同じ周期に属する活物質以外の元素イオンの合計濃度が115質量ppm以下
(i)他の周期に属する元素イオンの合計濃度が111質量ppm以下
更に、白金族元素イオンの合計濃度が4.5質量ppm以下である上記(付記1)から(付記4)のいずれか1つに記載のレドックスフロー電池用電解液。
100 電池セル
101 隔膜 102 正極セル 103 負極セル
104 正極電極 105 負極電極
106 正極用タンク 107 負極用タンク
108〜111 配管
112,113 ポンプ
Claims (11)
- 電池反応の際に析出物の発生に関与する不純物元素イオンの合計濃度が220質量ppm以下であるレドックスフロー電池用電解液。
- 前記析出物の発生に関与する不純物元素イオンが金属元素イオンを含み、この金属元素イオンの合計濃度が195質量ppm以下である請求項1に記載のレドックスフロー電池用電解液。
- 前記析出物の発生に関与する不純物元素イオンが非金属元素イオンを含み、この非金属元素イオンの合計濃度が21質量ppm以下である請求項1又は請求項2に記載のレドックスフロー電池用電解液。
- 前記金属元素イオンが重金属元素イオンを含み、この重金属元素イオンの合計濃度が85質量ppm以下である請求項2に記載のレドックスフロー電池用電解液。
- 前記金属元素イオンが軽金属元素イオンを含み、この軽金属元素イオンの合計濃度が120質量ppm以下である請求項2に記載のレドックスフロー電池用電解液。
- 前記金属元素イオンが重金属元素イオンと軽金属元素イオンとを含み、
前記重金属元素イオンの合計濃度が85質量ppm以下、
前記軽金属元素イオンの合計濃度が120質量ppm以下である請求項2に記載のレドックスフロー電池用電解液。 - 前記重金属元素イオンの濃度が、下記(1)から(9)の少なくとも一つを満たす請求項4又は請求項6に記載のレドックスフロー電池用電解液。
(1)クロムイオンの濃度が10質量ppm以下
(2)マンガンイオンの濃度が1質量ppm以下
(3)鉄イオンの濃度が40質量ppm以下
(4)コバルトイオンの濃度が2質量ppm以下
(5)ニッケルイオンの濃度が5質量ppm以下
(6)銅イオンの濃度が1質量ppm以下
(7)亜鉛イオンの濃度が1質量ppm以下
(8)モリブデンイオンの濃度が20質量ppm以下
(9)アンチモンイオンの濃度が1質量ppm以下 - 前記軽金属元素イオンの濃度が、下記(10)から(14)の少なくとも一つを満たす請求項5又は請求項6に記載のレドックスフロー電池用電解液。
(10)ナトリウムイオンの濃度が30質量ppm以下
(11)マグネシウムイオンの濃度が20質量ppm以下
(12)アルミニウムイオンの濃度が15質量ppm以下
(13)カリウムイオンの濃度が20質量ppm以下
(14)カルシウムイオンの濃度が30質量ppm以下 - 前記非金属元素イオンの濃度が、下記(15)および(16)の少なくとも一方を満たす請求項3に記載のレドックスフロー電池用電解液。
(15)塩化物イオンの濃度が20質量ppm以下
(16)ヒ素イオンの濃度が1質量ppm以下 - バナジウムイオンの濃度が1mol/L以上3mol/L以下、フリーの硫酸の濃度が1mol/L以上4mol/L以下、リン酸の濃度が1.0×10−4mol/L以上7.1×10−1mol/L以下、アンモニウムの濃度が20質量ppm以下、ケイ素の濃度が40質量ppm以下である請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池用電解液。
- 請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池用電解液を備えるレドックスフロー電池。
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