JPWO2014203305A1 - イオン輸送装置及び該装置を用いた質量分析装置 - Google Patents

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Abstract

大気圧雰囲気であるイオン化室(1)の次段の中間真空室2の内部に、スキマー(7)の手前にその中心軸がイオン通過孔(7a)の中心軸と一致するように、複数のリング状電極を同心円状に配置した高周波カーペット(20)の電極群(20A)を配置する。各リング状電極は径方向の断面形状が円形状であり、径方向に隣接するリング状電極には位相が反転した高周波電圧が印加され、さらに各リング状電極には外周側から内周側に下り勾配のポテンシャルが形成されるように異なる直流電圧を印加する。電極の断面形状が円形であるために電極近傍に形成される擬ポテンシャルの勾配が大きくなり、そのために電極から遠ざけるようにイオンに作用する斥力が大きくなる。その結果、断面形状が扁平矩形状である従来構造に比べて、イオンの損失を抑えることができ、特に比較的真空度が低い領域におけるイオンの収集効率、輸送効率を高めて質量分析の感度を向上させることができる。

Description

本発明はイオンを捕集しつつ輸送するイオン輸送装置、特に、エレクトロスプレイイオン化質量分析装置、大気圧化学イオン化質量分析装置、高周波誘導結合プラズマイオン化質量分析装置といった、大気圧に近い比較的高いガス圧雰囲気の下で試料をイオン化するイオン源を備える質量分析装置に好適なイオン輸送装置、及び該装置を用いた質量分析装置に関する。
エレクトロスプレイイオン化法(ESI)、大気圧化学イオン化法(APCI)、大気圧光イオン化法(APPI)などの大気圧イオン源を用いた質量分析装置では、イオン化室は略大気圧雰囲気であるのに対し、四重極マスフィルタなどの質量分離器やイオン検出器が配置される分析室の内部は高真空雰囲気に保つ必要がある。そこで一般に、こうした質量分析装置では、イオン化室と分析室との間に1乃至複数の中間真空室を設け、段階的に真空度を高めるようにした多段差動排気系の構成が採用されている。このような多段差動排気系の構成の質量分析装置において、中間真空室の内部には、イオンレンズやイオンガイドとも呼ばれるイオン輸送光学系が配置されている。イオン輸送光学系は、直流電場や高周波電場、或いはその両者の作用によって、イオンを収束したり、場合によっては加速又は減速したりしながら、イオンを後段へと輸送する一種のデバイスである。
イオンを効率よく捕集しつつ輸送するために、従来より様々な構造及び構成のイオン輸送光学系が用いられている。広く利用されているイオン輸送光学系の一つの態様として、イオン光軸の周りに又はイオン光軸に沿って多数の電極を備え、その多数の電極の中の隣接する電極同士に位相が互いに180°反転した高周波電圧を印加するとともに、それに重畳して各電極に異なる直流電圧を印加することにより、イオンを各電極から遠ざけながら捕集及び輸送するものがある。この態様のイオン輸送光学系の代表例として、4本又はそれ以上の偶数本のロッド電極をイオン光軸の周りに配置した多重極高周波イオンガイドや、ロッド電極に代えてイオン光軸方向に配設された複数の電極板から成る仮想ロッド電極を用いた多重極高周波イオンガイド、などがある。また、特許文献1には、円形状の開口を有するアパーチャ電極をイオン光軸に沿って多数並べた構造のイオンファンネルと呼ばれるイオン輸送光学系が開示されている。さらにまた、特許文献2には、プリント基板上に多数のリング状電極を略同心円状に形成した高周波カーペットと呼ばれるイオン輸送光学系が開示されている。
上述したような各種のイオン輸送光学系において、多数の電極に高周波電圧を印加することで形成した高周波電場によってイオンを該電極から遠ざける作用は、振動電場による擬ポテンシャル(Pseudo-potential)の概念で説明することができる。擬ポテンシャルは振動電場による微小振動を平均化した永年運動に対して作用するポテンシャルであり、巨視的に見れば、イオンは擬ポテンシャルの勾配に比例した斥力を電極から受けるように運動する。したがって、高周波電場を利用した一般的なイオン輸送光学系では、この擬似的な斥力によって電極へのイオンの衝突を防止しながら、高周波電場に重畳された直流電場の作用によって所望の方向へイオンを集約するとともに輸送することになる。
上述した既存のイオンファンネルや高周波カーペットは特に、微小化した電極を高い密度で配置することで、効率のよいイオン捕集とイオン輸送とを実現している。しかしながら、そのためには多数の微小電極を高い位置精度で以て配置する必要があり、またそれぞれの微小電極に高周波電圧と電圧値の異なる直流電圧とを印加する必要があるために、コストを引き下げることが難しく、装置コストが高くなる傾向にある。また、多くの場合、イオンの通過領域全体を取り囲むように電極を配置する必要があるため、装置の小型化や装置構造の変更には多くの困難が伴う。こうしたことから、既存のイオンファンネルや高周波カーペットに比べて少ない数の電極によって従来と同程度のイオン捕集効率及びイオン輸送効率を実現でき、且つ装置構造の変更にも柔軟に対応できるように構造が単純であるイオン輸送光学系が強く望まれている。
米国特許第6107628号明細書 特開2010−527095号公報
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、電極の数が少なく構造が単純でありながら、イオンを効率よく収集して後段、例えば質量分離器や別のイオン輸送装置などへと輸送することができるイオン輸送装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記のようなイオン輸送装置を利用することで、高い感度の質量分析を行うことができ、微量分析に好適な質量分析装置を提供することにある。
上記課題を解決するために成された本発明の第1の態様によるイオン輸送装置は、電場の作用によりイオンを捕集しつつ後段へと輸送するイオン輸送装置であって、
a)イオンを後段へと送る開口部を中心として略同心円状に配置された複数のリング状電極から成り、各リング状電極の径方向の断面形状は、少なくともイオンが到来する側に面した部分が湾曲状又は複数の直線を組み合わせた擬似湾曲状である電極群と、
b)前記電極群に含まれるリング状電極のそれぞれに電圧を印加するものであって、その複数のリング状電極の中で径方向に隣接するリング状電極に対して互いに位相が180°反転した高周波電圧を印加するとともに、イオンが前記電極群の外周側から内周側に向かう直流電位勾配が形成されるように各リング状電極にそれぞれ異なる直流電圧を印加する電圧印加部と、
を備えることを特徴としている。
また上記課題を解決するために成された本発明の第2の態様によるイオン輸送装置は、電場の作用によりイオンを捕集しつつ後段へと輸送するイオン輸送装置であって、
a)イオン光軸に沿って互いに所定間隔離して配列された複数のリング状電極から成り、各リング状電極の径方向の断面形状は、少なくともイオンが通過する該リング状電極の中央開口部に面した部分が湾曲状又は複数の直線を組み合わせた擬似湾曲状である電極群と、
b)前記電極群に含まれるリング状電極のそれぞれに電圧を印加するものであって、その複数のリング状電極の中でイオン光軸方向に隣接するリング状電極に対して互いに位相が180°反転した高周波電圧を印加するとともに、イオン光軸に沿ってイオンを進行させる直流電位勾配が形成されるように各リング状電極にそれぞれ直流電圧を印加する電圧印加部と、
を備えることを特徴としている。
本発明の第1の態様によるイオン輸送装置において、電極群に含まれる複数のリング状電極は同一平面上に配置された構成とすることもできるが、その複数のリング状電極の同心円の中心軸方向に各リング状電極が少しずつずれて配置された構成であってもよい。後者の構成では、開口部の径が最も大きなリング状電極がイオンが到来する側の最も手前に位置し、上記同心円の中心軸方向に進むに従い、開口部の径が徐々に縮小するように各リング状電極を配置するとよい。
一方、本発明の第2の態様によるイオン輸送装置において、電極群に含まれる複数のリング状電極はその中央開口部のサイズ(つまりは内径)が同一であってもよいが、そのイオン進行方向に向かって中央開口部のサイズが段階的に縮小する構成、つまりはファンネル構造であってもよい。
本発明の第1、第2の態様によるイオン輸送装置のいずれにおいても、電極群に含まれる各リング状電極の中で隣接するリング状電極に対して互いに位相が180°反転した高周波電圧が印加されると、それによってリング状電極の近傍に、イオンを該電極から遠ざける作用を有する高周波電場が形成される。この電場の作用により、イオンはリング状電極に接触することなく該電極近傍に捕集される。また、第1の態様によるイオン輸送装置では、高周波電圧に加えて各リング状電極に印加される直流電圧によって形成される直流電場の作用により、イオンは電極群の外周側に位置するリング状電極から内周側に位置するリング状電極の方向に移送される。そして、内周側に位置する開口部に集められたイオンは、例えば電極群とその後段のデバイス等との間に形成されている直流電場の作用、又は、ガス圧差を利用したガス流の作用などによって、開口部を経て後段へと輸送される。
一方、第2の態様によるイオン輸送装置では、高周波電圧に加えて各リング状電極に印加される直流電圧によって形成される直流電場の作用により、イオンは電極群の最も手前側のリング状電極の中央開口部から入射し、各リング状電極の中央開口部を通り抜けるように移送され、最終的に後段へと輸送される。
上述した従来の高周波カーペットやイオンファンネルでは、各電極のイオン輸送空間に面する部分の形状は平面状である。高周波カーペットでは基板上のプリントされた電極面がこれに相当し、イオンファンネルでは各電極の中央開口部がこれに相当する。一般に、各電極の平面状部分により生じる電場の強度は該平面状部分の中央付近では比較的均一であり、電場強度の勾配は小さくなる。擬ポテンシャルは、理論的には、振動電場の振幅となる電場強度の2乗に比例するから、電場強度の勾配が小さいと擬ポテンシャルの勾配が小さくなり、電極の平面状部分ではイオンに対する擬似的な斥力が小さくなってしまう。
これに対し、本発明に係るイオン輸送装置において、電極群に含まれる各リング状電極は、イオンが到来する又はイオンが通過する空間に面した部分の断面形状が例えば円弧状等の湾曲状又は複数の直線を組み合わせた擬似湾曲状となっているため、高周波電圧の印加によってリング状電極近傍に生じる電場強度の勾配は大きくなる。その結果、擬ポテンシャルの勾配は上述した従来のイオン輸送装置に比べて大きくなる。より詳しくいえば、擬ポテンシャルの勾配が急峻になるとともに、それにより形成されるポテンシャル井戸が深くなる。上述したように、擬ポテンシャル勾配はイオンに対する擬似的な斥力となるので、擬ポテンシャル勾配が急峻になることでイオンがリング状電極に近づき過ぎることを回避でき、リング状電極との衝突によるイオンの消失を少なくすることができる。その結果、イオンの捕集効率が向上し、例えば従来の高周波カーペットやイオンファンネルなどに比べて少ない電極数で以て同程度のイオン捕集効率及びイオン輸送効率を実現することが可能となる。
本発明に係る第1又は第2の態様のイオン輸送装置は質量分析装置における様々な部位に用いることができ、また、その利用形態に応じて適宜に変形することができる。
例えば本発明に係る第1の態様による質量分析装置は、上記本発明の第1又は第2の態様によるイオン輸送装置を用いた質量分析装置であり、略大気圧雰囲気の下で試料成分をイオン化するイオン源と、イオンを質量電荷比に応じて分離する質量分離器が配置された高真空雰囲気に維持される分析室と、の間に、その真空度が順番に高くなるn個(ただし、nは1以上の整数)の中間真空室を備えた質量分析装置において、
前記イオン源から前記分析室に向かってm番目(ただし、mは1以上n以下の整数)の第m中間真空室の内部に前記イオン輸送装置が配置されてなることを特徴としている。
ここで、イオン源は例えばエレクトロスプレイイオン源、大気圧化学イオン源、大気圧光イオン源などとすることができる。典型的には上記のmの値は1であり、その場合、略大気圧雰囲気であるイオン源の次の第1中間真空室の内部に上記本発明に係るイオン輸送装置が配置される。この第1中間真空室にはイオンを通過させるための開口を通してイオン源から大気等のガスが流れ込むため、比較的真空度は低く、残留ガスが多く存在する。本発明に係るイオン輸送装置は、このように比較的残留ガスが多く存在する状況下でも、効率良くイオンを収集して後段へ、つまりはさらに次段の中間真空室又は分析室へと送ることができる。それにより、高い感度の分析を行うことができる。
また上記第1の態様の質量分析装置では、第m中間真空室の前段に位置するイオン源又は第m−1中間真空室から該第m中間真空室へとイオンを導入する第m導入孔の中心軸である第m中心軸と、第m中間真空室からその次段に位置する第m+1中間真空室又は分析室へとイオンを導入する第m+1導入孔の中心軸である第m+1中心軸とが同一直線上に位置しないように第m及び第m+1導入孔をそれぞれ設けた構成とすることができる。即ち、この構成は軸ずらし又は軸外しのイオン輸送光学系である。ここで、第m中心軸と第m+1中心軸とは平行であってもよいし、平行でなく、例えば斜交していたり直交していたりしてもよい。
例えば第1の態様によるイオン輸送装置を用いる場合には、該イオン輸送装置の電極群の中心軸と上記第m+1中心軸とが直線上に位置するように該イオン輸送装置を配置するとよい。これにより、第m+1中心軸の延長線上にない第m中心軸に沿って導入されたイオンをイオン輸送装置の前面で受けてその開口部に効率よく収集し、第m+1導入孔を経て次の中間真空室や分析室へと輸送することができる。それにより、軸ずらしや軸外しのイオン光学系により、例えばイオン化していない分子などの中性粒子を的確に除去しつつ、分析に必要なイオンを効率よく収集して質量分析に供することができる。
なお、上記構成においては、第m中間真空室内に配置したイオン輸送装置の手前に、第m中心軸に沿って導入されたイオンを第m+1中心軸に沿った方向に向かうように移動させる直流電場を形成するイオン偏向部を設けるようにしてもよい。これにより、中性粒子を効率よく除去しつつ、分析対象イオンの輸送効率を一層向上させることができる。
また本発明に係る第2の態様による質量分析装置は、上記本発明の第1又は第2の態様によるイオン輸送装置を用いた質量分析装置であり、試料成分由来のイオンを解離させるコリジョンセルと、該コリジョンセルで生成されたイオンを質量電荷比に応じて分離する質量分離部と、を備えた質量分析装置であって、
前記コリジョンセルの内部に前記イオン輸送装置が配置されてなることを特徴としている。
典型的には、コリジョンセルには適宜のガスを導入し、該コリジョンセルに入射させたイオンをガスに衝突させて衝突誘起解離によりイオンを解離させるようにすればよい。こうした解離により生成された各種プロダクトイオンを本発明に係るイオン輸送装置で収集して輸送することにより、プロダクトイオンの検出感度を向上させることができる。
また上記第2の態様の質量分析装置では、質量分離部は後段四重極マスフィルタであり、コリジョンセルの手前に試料成分由来の各種イオンの中で特定の質量電荷比を有するイオンを選択する前段四重極マスフィルタを備え、
該前段四重極マスフィルタの中心軸と、前記後段四重極マスフィルタの中心軸とが同一直線上に位置しないようにそれら四重極マスフィルタをそれぞれ設けた構成とすることができる。
また上記第2の態様の質量分析装置では、質量分離部は直交加速型の飛行時間型質量分離器であり、コリジョンセルの手前に試料成分由来の各種イオンの中で特定の質量電荷比を有するイオンを選択する四重極マスフィルタを備え、
該四重極マスフィルタの中心軸と、前記飛行時間型質量分離器の直交加速部又は該直交加速部へイオンを輸送するイオン輸送光学系の中心軸とが同一直線上に位置しないように前記四重極マスフィルタ並びに前記直交加速部及び/又は前記イオン輸送光学系をそれぞれ設けた構成としてもよい。
これら構成によれば、コリジョンセル内においてイオンの解離の際に生じた中性粒子を除去しながら、分析目的であるプロダクトイオンを効率よく収集して後段四重極マスフィルタや直交加速型の飛行時間型質量分離器に導入することができる。それによって、中性粒子がイオン検出器にまで到達することで発生するノイズを低減することができる。
さらにまた、上記第2の態様の第1の質量分析装置では、前段四重極マスフィルタの中心軸に沿ったイオン進行方向と後段四重極マスフィルタの中心軸に沿ったイオン進行方向とが異なり、該前段四重極マスフィルタのイオン出口とイオン輸送装置との間に、第m中心軸に沿って前段四重極マスフィルタから出射してきたイオンを第m+1中心軸に沿った方向に向かうように偏向させる直流電場を形成するイオン偏向部を設けた構成としてもよい。
また、上記第2の態様の第2の質量分析装置では、四重極マスフィルタの中心軸に沿ったイオン進行方向とその後段のイオン輸送光学系又は直交加速部の中心軸に沿ったイオン進行方向とが異なり、該四重極マスフィルタのイオン出口とイオン輸送装置との間に、第m中心軸に沿って四重極マスフィルタから出射してきたイオンを第m+1中心軸に沿った方向に向かうように偏向させる直流電場を形成するイオン偏向部を設けた構成としてもよい。
また、本発明の第1の態様によるイオン輸送装置においては、上記電極群に対向して配置され、該電極群に向かう方向にイオンを移動させる直流電場を形成するリペラ電極をさらに備え、上記電極群と上記リペラ電極との間の空間にイオンを捕捉可能とした構成とすることができる。
また本発明の第1の態様によるイオン輸送装置においては、上記電極群を対向して2組配置し、その2組の電極群の間の空間にイオンを捕捉可能とした構成とすることもできる。
これら構成では、本発明に係るイオン輸送装置を単なるイオンレンズやイオンガイドなどの輸送装置ではなく、イオンを一時的に捕捉して蓄積するイオントラップとして利用することができる。
また本発明に係る第3の態様による質量分析装置は、こうした構成のイオン輸送装置を用いた質量分析装置であり、試料成分由来のイオンを解離させるコリジョンセルと、該コリジョンセルで生成されたイオンを質量電荷比に応じて分離する質量分離部と、を備えた質量分析装置であって、
前記コリジョンセルと前記質量分離部との間に、イオンを捕捉可能とした前記イオン輸送装置が配置されてなることを特徴としている。
この構成では、コリジョンセル内で生成された各種プロダクトイオンをイオン輸送装置に一旦蓄積し、該イオン輸送装置から略一斉に吐き出すことが可能である。そこで、質量分離部として例えば飛行時間型質量分離部を用いることができ、それによって高い質量分解能で以てプロダクトイオンを質量分析することができる。
本発明に係るイオン輸送装置によれば、従来の高周波カーペットやイオンファンネルなどに比べて電極の数を減らしても、それらと同程度のイオン捕集効率、イオン輸送効率を実現することができる。それにより、例えば電極構造が簡素化されるので、装置コストを引き下げることが可能となる。また、電極構造を簡素化する代わりに、イオン捕集効率やイオン輸送効率を向上させることもできる。
また本発明に係る質量分析装置によれば、例えば質量分析に供するイオンの量を増加させて、分析感度を向上させることができる。
本発明に係るイオン輸送装置の一実施例である高周波カーペットにおける電極群の斜視図。 図1に示した高周波カーペットを用いた本発明に係る質量分析装置の一実施例(第1実施例)であるエレクトロスプレイイオン化質量分析装置の概略構成図。 図1に示した高周波カーペットにおいて形成される電場のポテンシャルの概略図。 図1に示した高周波カーペットと従来の高周波カーペットとの相違を示す電極群の概略断面図。 図1に示した高周波カーペットと従来の高周波カーペットとにおける高周波電場による擬ポテンシャル等高線のシミュレーション結果を示す図。 図1に示した高周波カーペットにおけるイオン軌道のシミュレーションの際に想定した装置の斜視図(a)及びイオン軌道を示す図(b)。 本発明に係るイオン輸送装置の変形例を示す図。 本発明に係るイオン輸送装置の変形例を示す図。 本発明に係る質量分析装置の他の実施例(第2実施例)である質量分析装置の要部の構成図。 本発明に係る質量分析装置の他の実施例(第3実施例)である質量分析装置の要部の構成図。 本発明に係る質量分析装置の他の実施例(第4実施例)である質量分析装置の要部の構成図。 本発明に係る質量分析装置の他の実施例(第5実施例)である質量分析装置の要部の構成図。 本発明に係る質量分析装置の他の実施例(第6実施例)である質量分析装置の要部の構成図。 本発明に係る質量分析装置の他の実施例(第7実施例)である質量分析装置の要部の構成図。 本発明に係る質量分析装置の他の実施例(第8実施例)である質量分析装置の要部の構成図。 本発明に係る質量分析装置の他の実施例(第9実施例)である質量分析装置の要部の構成図。 本発明に係るイオン輸送装置の他の実施例であるイオントラップの構成図。 図17に示したイオントラップを用いた本発明に係る質量分析装置の一実施例の要部の構成図。 本発明に係るイオン輸送装置のさらに他の実施例であるイオントラップの構成図。 本発明に係るイオン輸送装置の一実施例であるイオンファンネルにおける電極群の略断面図(a)及び従来のイオンファンネルにおける電極群の略断面図(b)。 図20(a)に示したイオンファンネルの変形例における電極群の略断面図。
本発明に係るイオン輸送装置及び該イオン輸送装置を用いた質量分析装置について、いくつかの実施例を添付図面を参照しつつ説明する。
[第1実施例]
本発明に係るイオン輸送装置の一実施例を用いた質量分析装置であるエレクトロスプレイイオン化質量分析装置について説明する。図2は第1実施例のエレクトロスプレイイオン化質量分析装置の概略構成図である。
図2において、略大気圧雰囲気であるイオン化室1と高真空雰囲気に維持される分析室4との間には、低真空雰囲気である第1中間真空室2と、該第1中間真空室2と分析室4との中間の真空度に維持される第2中間真空室3と、が設けられ、イオンの進行方向に段階的に真空度が高くなる多段差動排気系の構成となっている。イオン化室1内には、試料成分を含む試料液がエレクトロスプレイノズル5から電荷を付与されつつ噴霧される。噴霧された帯電液滴は周囲の大気に接触して微細化され、溶媒が蒸発する過程で試料成分がイオン化される。なお、エレクトロスプレイイオン化法ではなく、大気圧化学イオン化法、大気圧光イオン化法など、他の大気圧イオン化法を採用してもよい。
イオン化室1と第1中間真空室2との間は細径の加熱キャピラリ6により連通しており、イオン化室1内で生成されたイオンは、主として加熱キャピラリ6の両開口端の圧力差によって加熱キャピラリ6に吸い込まれる。そして、イオン化室1から第1中間真空室2に流れ込むガス流とともに、イオンは第1中間真空室2内に吐き出される。第1中間真空室2と第2中間真空室3とを隔てる隔壁には、頂部にイオン通過孔7aを有するスキマー7が設けられ、このスキマー7の前方には後述する高周波カーペット20を構成する電極群20Aが配置されている。ガス流に乗って加熱キャピラリ6の出口から吐き出されたイオンは図2中に点線で示すように拡がりつつ進行するが、高周波カーペット20により小効率よく捕集されて、スキマー7頂部のイオン通過孔7aを通して第2中間真空室3へと送り込まれる。この実施例の構成では、加熱キャピラリ6の中心軸、高周波カーペット20を構成する電極群20Aの中心軸、及びイオン通過孔7aの中心軸は直線上、つまりイオン光軸C上に位置している。
第2中間真空室3内には四重極型又は多重極型のイオンガイド8が配設されており、このイオンガイド8により形成される高周波電場の作用によりイオンは分析室4に送り込まれる。分析室4内でイオンは四重極マスフィルタ9の長軸方向の空間に導入され、四重極マスフィルタに印加されている高周波電圧と直流電圧とにより形成される電場の作用により、特定の質量電荷比を有するイオンのみが四重極マスフィルタ9を通り抜けてイオン検出器10に到達する。イオン検出器10は到達してイオンの量に応じた検出信号を生成してデータ処理部12へと送る。イオン化室1内で生成される試料成分由来のイオンのうち、分析対象であるイオンの損失を極力抑えつつイオン検出器10に入射させることで、高い感度の質量分析が実現できる。
イオンを効率よく輸送するために、直流電源14は加熱キャピラリ6に所定の直流電圧を印加し、電圧重畳部17は直流電源15で生成された直流電圧と高周波電源16で生成された高周波電圧(交流電圧)とを加算して、電極群20Aに含まれる各リング状電極に印加し、さらに直流電源18はスキマー7に所定の直流電圧を印加する。これら各電圧の電圧値(振幅値)は、中央制御部19による指示に基づく分析制御部13により制御される。なお、エレクトロスプレイノズル5、イオンガイド8、四重極マスフィルタ9などにもそれぞれ所定の電圧が印加されるが、それら電圧は本発明における特徴的な動作には直接関連しないので、記載を省略している。
次に、本実施例のエレクトロスプレイイオン化質量分析装置における特徴的な構成要素である高周波カーペット20について、詳細に説明する。この高周波カーペット20は、第1中間真空室2内に配置された電極群20Aと、これに電圧を印加するための、直流電源15、高周波電源16、及び電圧重畳部17を含む電圧印加部20Bと、から成る。
図1は高周波カーペット20における電極群20Aの斜視図、図3は高周波カーペット20の中心軸(イオン光軸C)を含む平面内におけるポテンシャル分布の概略図、図4は本実施例における高周波カーペット20と従来の高周波カーペットとの相違を示す電極群の概略断面図、図5は本実施例における高周波カーペット20と従来の高周波カーペットとについてシミュレーション計算により求めた擬ポテンシャル等高線図、図6(a)は本実施例における高周波カーペット20におけるイオン軌道のシミュレーションの際に想定した電極群20Aを含むその周囲の構成の斜視図、図6(b)はそのシミュレーションにより求めたイオン軌道を示す図である。
図1に示すように、この第1実施例における高周波カーペット20を構成する電極群20Aは、略平面上に、イオン光軸でもある中心軸Cを中心として同心円状に配置された複数のリング状電極201、202、…を含む。リング状電極201、202、…はそれぞれ、中心軸Cを含む平面で切断した断面、つまりは径方向の断面、の形状が同一半径の円形状である(図4(a)等参照)。
複数のリング状電極201、202、…の中で、中心軸Cを中心とする同心円の径方向に隣接するリング状電極、例えばリング状電極201とリング状電極202とには、振幅が同一であって位相が互いに180°異なる高周波電圧+Vcosωtと−Vcosωtがそれぞれ印加される。即ち、この電極群20Aの径方向に交互に位置するリング状電極の一方(図1の例ではリング状電極202、204)に+Vcosωtが印加され、他方(図1の例ではリング状電極201、203、205)に−Vcosωtが印加される。電圧印加部20Bにおいて高周波電源16はこれら高周波電圧±Vcosωtを生成する。
これに加えて、複数のリング状電極201、202、…には、それぞれ異なる電圧値の直流電圧U1、U2、…が印加される。電圧印加部20Bにおいて直流電源15はこれら直流高電圧U1、U2、…を生成する。各リング状電極201、202、…に印加される直流電圧U1、U2、…は、図3に示すように、電極群20Aの外周側から内周側に向かって下り勾配になるポテンシャルを形成するように定められている。この勾配の上り及び下りはイオンの極性によって異なるから、分析対象であるイオンの極性によって、直流電圧U1、U2、…の極性は異なる。電極群20Aから或る程度の距離以内に位置するイオンには上述したような下り勾配のポテンシャルを示す直流電場が作用するので、そのポテンシャルの勾配に従ってイオンは移動する。つまり、イオンは電極群20Aの外周側から内周側へ、つまりは中心軸Cに向かって移動して中心軸C付近に集まることになる。
一方、後述するように、高周波電圧±Vcosωtによりリング状電極201、202、…の近傍に形成される高周波電場は、イオンをリング状電極201、202、…から遠ざける下り勾配の擬ポテンシャルを持つ。ただし、加熱キャピラリ6に印加されている直流電圧とスキマー7に印加されている直流電圧(通常は接地電位である0[V])とにより、加熱キャピラリ6とスキマー7との間の空間には、全体として加熱キャピラリ6からスキマー7へ向かって下り勾配のポテンシャルが形成されるため、図3中に示すように、イオン光軸Cに沿ったポテンシャル分布では、電極群20Aからその前方に所定距離離れた位置にポテンシャルの井戸Aが形成されることになる。そのため、加熱キャピラリ6から吐き出されたガス流に乗って進行するイオンは、上記ポテンシャル井戸Aに捕捉され、さらに電極群20Aの外周側から内周側へ下り勾配を示すポテンシャルによってその中央部分に集められることになる。
図4(b)に示すように、従来のこの種の高周波カーペットのリング状電極はその断面形状が扁平矩形状であり、イオンが到来するとともにイオンを捕集する面が平面状である。これに対し、本実施例で使用している高周波カーペット20のリング状電極201、202、…はその断面形状が円形状であり、イオンが到来するとともにイオンを捕集する側が湾曲状となっている。この形状の相違がもたらす作用と効果の相違について、以下に説明する。
図5は、各リング状電極に印加する直流電圧U1、U2、…をゼロ、高周波電圧の振幅Vを150[V]、該高周波電圧の周波数を800[kHz]に設定し、質量電荷比m/z=1000であるイオンに対する該電極近傍の擬ポテンシャルを計算した結果である。実際の電極形状は、図5中に示したものをz軸を中心に回転させた形状である。擬ポテンシャルUpsは次の(1)式を用いて計算した。
ps=(eE)2/(2mω)2 …(1)
ここで、mはイオンの質量、Eは電場ベクトル、ωは角周波数である。
図5(a)に示した従来の高周波カーペットの電極構造では、リング状電極の幅(イオン光軸Cに直交する平面内での径方向の長さ)を5[mm]とし、径方向に隣接するリング状電極の間隔も同じく5[mm]に設定した。また、図5(b)に示した本実施例における高周波カーペットの電極構造では、リング状電極の直径を5[mm]とし、径方向に隣接するリング状電極の間隔も同じく5[mm]に設定した。したがって、図5(a)と図5(b)とでリング状電極の配置のピッチは同一である。
図5には、1[eV]から6[eV]までの範囲で1[eV]ステップで等擬ポテンシャル線を示している。したがって、リング状電極から最も遠方に描かれている等擬ポテンシャル線が1[eV]のラインとなる。リング状電極からイオンに作用する擬似的な斥力はこの擬ポテンシャルの勾配(変化量)に比例する。そのため、等擬ポテンシャル線の間隔が狭いほど斥力は大きく、イオンをリング状電極から遠ざける作用が大きいといえる。図5(a)に示したシミュレーション結果によると、リング状電極の断面形状が扁平矩形状である場合には、該電極の幅方向の中央部分では2[eV]の等擬ポテンシャル線しか描かれておらず、イオンをリング状電極から遠ざける擬似的な斥力が小さいことが分かる。輸送中のイオンがリング状電極に近づきすぎると、該電極に接触して消失してしまうおそれがある。そのため、上記擬似的な斥力は、径方向に隣接するリング状電極に挟まれた空隙部分よりも該電極表面付近において大きい必要がある。しかしながら、図5(a)に示した従来の高周波カーペットの電極形状では、そうなっておらず、電極に供給された電力が有効に利用できていないということができる。
これに対し、図5(b)に示したシミュレーション結果を見れば分かるように、本実施例における高周波カーペットの電極構造では、各リング状電極の表面付近と径方向に隣接するリング状電極間の空隙部分とを含むほぼ全領域において、ほぼ一様に5[eV]までの等擬ポテンシャル線が描かれている。この結果から、本実施例における高周波カーペットの電極構造では、従来の電極構造に比べて擬ポテンシャル勾配が一様に増加していることが確認できる。図5(a)及び(b)中には、z軸方向に沿って同一長さの矢印を示しており、その矢印の範囲に含まれる等擬ポテンシャル線の本数から、本実施例の高周波カーペットの電極構造では擬ポテンシャル勾配が従来構造の2倍以上になっていることが確認できる。以上のことから、本実施例における高周波カーペットでは、従来構造と比較して、イオンがリング状電極に衝突することを効果的に防止するができ、それ故にイオンの損失を減らしてイオンを効率良く輸送できると結論付けることができる。
また、本実施例における高周波カーペットのイオン捕集効率が高いことを確認するために、イオン軌道のシミュレーションを行った結果が図6である。想定した高周波カーペット20の電極群20Aは、各リング状電極の断面の直径を4[mm]、径方向に隣接するリング状電極の間隔を3[mm]とし、リング状電極の本数を3本とした。また、各リング状電極に印加する高周波電圧は、振幅を150[V] 、周波数を800[kHz]とし、直流電圧は、正イオンを分析対象として、内周側からそれぞれ14[V]、16[V]、21[V] に設定した。従来の高周波カーペットの典型的な例では、プリント基板上に実装された平面状のリング状電極の幅は数百μm程度、その電極ピッチは1[mm]程度であり、かなり微細な加工技術が必要である。また、印加する高周波電圧の周波数も10[MHz]を超えており、発熱量も多くなるため、回路系やフィードスルーの水冷機構を設ける場合もある。このような従来の高周波カーペットの構成と比較すると、上述した本実施例における高周波カーペットは大幅に単純な構造であり、また、低コスト化、低消費電力化を実現できる。
イオン軌道のシミュレーション計算では、イオンが大気圧から取り込まれて最初に通過する第1中間真空室2内の真空度を想定し、真空度を100[Pa]に設定し、中性ガスとイオンとの衝突を考慮した。厳密にいえば、イオンと衝突する中性ガスの流れの影響によるイオンの挙動も考慮すべきであるが、ここでは原理的な検証を行うことを目的とし、中性ガスの流れの影響は考慮しなかった。また、イオンを高周波カーペット20の電極群20Aに向かって進行させるために、加熱キャピラリ6に代えてリペラ電極21を配置し、このリペラ電極21に26[V]の直流電圧を印加した。一方、電極群20Aの背後に位置するスキマー7の電位は0[V]である。図6に示したシミュレーションにより得られたイオン軌道から、イオン光軸Cから離れて、つまり拡がって到来したイオンが、電極群20Aの各リング状電極201、202、203の表面から遠ざけられつつイオン光軸C付近にまで集束され、イオン通過孔7aに導かれている様子が確認できる。計算によれば、質量電荷比m/z100〜2000の全範囲のイオンに対して90%以上のイオン透過率が得られた。
こうした結果から、各リング状電極の断面形状を円形状とした本実施例における高周波カーペットでは、従来の同種のイオン輸送装置に比べて、電極数を減らした且つ極端な微細化を要しない単純な構造で以て、従来と同等のイオン捕集効率を達成できることが確認できる。
なお、図6に示したシミュレーション結果は100[Pa]程度の低真空雰囲気の下での結果であるが、本実施例における高周波カーペットは、大気圧から1[Pa]程度の中真空雰囲気までの、イオンの平均自由行程が系の寸法と同程度以下となる領域、即ち、中性ガスとの衝突が有意に影響するような真空度の領域において有効に動作し得る。
したがって、上記第1実施例では、高周波カーペット20を第1中間真空室2内に配置していたが、イオン化室1や第2中間真空室3においてイオンを収集して輸送するために高周波カーペット20を利用することもできる。また、中間真空室の段数をさらに増やす場合に、上記のような真空度の領域であれば、任意の中間真空室内に高周波カーペット20を配置することができる。
また、上記第1実施例における高周波カーペットでは、同心円状に配置された全てのリング状電極が同一平面上に配置されていたが、必ずしも同一平面上である必要はない。図7は、電極群20Aの外周側から内周側へ向かうに従いリング状電極201、202、…の位置をイオン光軸Cに沿って少しずつずらした構造の例である。このような配置でも、イオンを電極群20Aの外周側から内周側へと誘導して、効率よく収集可能であることは明らかである。
また、上記第1実施例における高周波カーペットでは、各リング状電極の断面形状を円形状としたが、断面形状は必ずしも円形状でなくてもよい。断面形状が円形状でないリング状電極を用いた構造例を図8に示す。高周波カーペットの場合、図8に示した各電極群20Aの左方の面の前方にイオンを捕集しつつ外周側からイオン光軸Cの方向に移送する必要がある。そこで、少なくともこの部分の断面形状を、円弧以外の凸曲線形状(例えば楕円状、放物線状など)とするとよい。また、必ずしも滑らかな曲線状でなくともよく、例えば、図8(a)、(b)に示したように、複数の直線を組み合わせた多角線形状などの近似形状や、多段の階段状の線を連ねて曲線を近似したものでもよい。また、図8(c)、(d)に示すように、イオンの移送に寄与しない各電極群20Aの背面側の断面形状は任意である。
[第2実施例]
上記第1実施例における構成の高周波カーペットを用いた他の実施例の質量分析装置について説明する。図9は本発明の第2実施例である質量分析装置の要部の構成である。
上記第1実施例の質量分析装置では、加熱キャピラリ6の中心軸、高周波カーペット20を構成する電極群20Aの中心軸、及びイオン通過孔7aの中心軸を一直線上に配置していたが、この第2実施例の質量分析装置では、加熱キャピラリ6の中心軸C1とイオン通過孔7aの中心軸C2とを所定距離dだけずらした軸ずらしの構成としている。そして、高周波カーペット20の電極群20Aの中心軸はイオン通過孔7aの中心軸C2と一直線上にしている。一般に、このような軸ずらしイオン光学系では、イオン化されていない分子や帯電していない微細液滴などの中性粒子を除去することができる。この第2実施例の質量分析装置では、そうした中性粒子を的確に除去しつつ、分析対象であるイオンは高周波カーペット20により効率よく収集して後段へと送ることができる。
[第3実施例]
図10は本発明の第3実施例である質量分析装置の要部の構成である。上記第2実施例の質量分析装置では、加熱キャピラリ6の中心軸C1とイオン通過孔7aの中心軸C2とは平行であったが、この第3実施例の質量分析装置では、加熱キャピラリ6の中心軸C1とイオン通過孔7aの中心軸C2と角度θを有して斜交している。ここで使用されている高周波カーペット20はイオンの入射方向に殆ど影響を受けずにイオンを効率よく捕集することができる。そのため、この例のようにイオンの入射方向が斜めであっても、分析対象であるイオンを効率よく収集して後段へと送ることができる。
[第4実施例]
図11は本発明の第4実施例である質量分析装置の要部の構成である。この第4実施例の質量分析装置では、加熱キャピラリ6の中心軸C1に沿って導入されたイオンをイオン通過孔7aの中心軸C2に沿って進むように偏向させる偏向電場を形成する偏向器22を、加熱キャピラリ6の出口と高周波カーペット20の電極群20Aとの間の空間に配置している。これにより、上記第2実施例の質量分析装置よりもさらにイオンの輸送効率を高め、高感度の分析が可能となる。
[第5実施例]
図12は本発明の第5実施例である質量分析装置の要部の構成である。この第5実施例の質量分析装置では、加熱キャピラリ6の中心軸C1とイオン通過孔7aの中心軸C2とを直交させ、加熱キャピラリ6の中心軸C1に沿って導入されたイオンをイオン通過孔7aの中心軸C2に沿って進行するように偏向器22により偏向させている。こうした構成では、偏向器22による偏向作用を受けたイオンの進行方向がばらつきイオンが拡がった場合でも、そうしたイオンを効率よく収集して後段へと送ることができる。
[第6実施例]
図13は本発明の第6実施例であるタンデム四重極型質量分析装置の要部の構成である。この第6実施例の質量分析装置では、分析室4の内部に、導入された各種イオンの中で特定の質量電荷比を有するイオンを選択的に通過させる前段四重極マスフィルタ30、該マスフィルタ30を通過して来たイオンを衝突誘起解離により解離させるコリジョンセル31、及び、コリジョンセル31において解離により生成された各種プロダクトイオンの中で特定の質量電荷比を有するプロダクトイオンを選択的に通過させる後段四重極マスフィルタ32が配置されている。さらに特徴的な構成として、前段四重極マスフィルタ30の中心軸C1と後段四重極マスフィルタ32の中心軸C2とが軸ずらしの配置となっており、コリジョンセル31の出口と後段四重極マスフィルタ32との間に上述した高周波カーペット20の電極群20Aが配置されている。高周波カーペット20の電極群20Aの中心軸は後段四重極マスフィルタ32の中心軸C2と一直線上に位置している。
コリジョンセル31内ではイオンに衝突誘起解離ガスが接触することで、該イオンが解離するが、その際に、電荷を持たない断片が中性粒子として生成されることがある。第6実施例の質量分析装置では、中心軸C1とC2とをずらすことで、コリジョンセル31内で発生した中性粒子が後段四重極マスフィルタ32に導入されることを回避することができ、またコリジョンセル31内で生成されたプロダクトイオンは高周波カーペット20により効率よく収集して後段四重極マスフィルタ32へと送り込むことができる。それによって、MS/MS分析の感度を向上させることができる。
なお、コリジョンセル31の内部には、図1中の第2中間真空室3内に配置されているような多重極型のイオンガイドを配設してもよい。
[第7実施例]
図14は本発明の第7実施例であるタンデム四重極型質量分析装置の要部の構成である。この第7実施例の質量分析装置では、第4実施例と同様に、偏向器22を用いることで、コリジョンセル31内で生成されたプロダクトイオンを高周波カーペット20の電極群20Aの中心軸の方向に誘導している。これにより、プロダクトイオンの輸送効率が一層向上する。
[第8実施例]
図15は本発明の第8実施例であるタンデム四重極型質量分析装置の要部の構成である。この実施例では、前段四重極マスフィルタ30の中心軸C1に沿ってコリジョンセル31に導入されたイオンを解離させることで生成されたプロダクトイオンの進行方向を、偏向器22により180°反転させて、後段四重極マスフィルタ32の中心軸C2に沿って送り出すようにしている。このように、前段四重極マスフィルタ30の中心軸C1と後段四重極マスフィルタ32の中心軸C2とを一直線上に位置させない軸ずらし、軸外しの構成を採る場合、それら2本の中心軸C1、C2の位置関係は任意に決めることができる。
[第9実施例]
図16は本発明の第9実施例であるタンデム型質量分析装置の要部の構成である。この実施例では、第7実施例のタンデム四重極型質量分析装置における後段四重極マスフィルタに代えて、直交加速型の飛行時間型質量分離器を使用している。即ち、コリジョンセル31内で生成されたプロダクトイオンは偏向器22により、高周波カーペット20の電極群20Aの中心軸の方向に誘導され、高周波カーペット20で効率良く収集されてイオン輸送光学系33へ送り込まれる。そして、イオン輸送光学系33においてイオン束は平行化され、直交加速部34においてそのイオン流の方向と略直交する方向にイオンがパルス的に加速される。加速されたイオンは飛行空間35に導入され、リフレクトロン36で折り返されて最終的にイオン検出器37に到達して検出される。
[イオン輸送装置の変形例]
図17は本発明に係るイオン輸送装置の他の実施例であるイオントラップの構成図である。上述した本発明に係るイオン輸送装置の一実施例である高周波カーペットは単にイオンを収集して後段へと輸送する機能を有していたが、この図17に示した構成のイオントラップ40は、イオンを一時的に蓄積する機能を有する。
即ち、このイオントラップ40は、高周波カーペット20を構成する電極群20Aと、該電極群20Aに向かう方向にイオンを移動させる直流電場を形成するリペラ電極41とを組み合わせ、電極群20Aとリペラ電極41との間の空間にイオンを捕集・蓄積する。そして、所定のタイミングで電極群20Aの各リング状電極に前述したように、イオンを外周側から内周側へと送る直流電圧を印加しつつ、例えばリペラ電極41により大きな直流電圧を印加することにより、アパーチャ電極42に形成したイオン通過孔42aからイオンを一斉に送出する。
図18は、図17に示したイオントラップ40を飛行時間型質量分離器にイオンを導入するためのイオン加速器として利用したときの質量分析装置の要部の構成図である。即ち、この構成では、コリジョンセル31内で解離により生成された各種プロダクトイオンがイオントラップ40に一旦捕集・蓄積され、所定のタイミングでイオン通過孔42aから一斉に射出されてフライトチューブ43内に形成された飛行空間に導入される。そして、飛行空間中を飛行する間に質量電荷比に応じて分離されたプロダクトイオンが順次イオン検出器10に到達して検出される。
また、図19は本発明に係るイオン輸送装置の他の実施例であるイオントラップの構成図である。このイオントラップ50はリペラ電極を用いる代わりに、同一構成(必ずしも同一構成である必要はない)である二つの高周波カーペットの電極群20A1、20A2を対向して配置し、その電極群20A1、20A2の間の空間にイオンを捕集・蓄積するようにしたものである。この構成によっても、上記例と同様の動作が可能である。
ここまで、複数のリング状電極を同心円状に配置した高周波カーペットとこれを利用した質量分析装置について説明したが、複数のリング状電極(円環状電極)をイオン光軸Cに沿って並べたイオンファンネルにも本発明を適用することができる。
図20(a)は本発明に係るイオン輸送装置の一実施例であるイオンファンネルの概略断面構成図、図20(b)は従来のイオンファンネルの概略断面構成図である。イオンファンネルの場合、イオンはイオン光軸Cの周囲に或る程度まとまって導入される。したがって、本実施例のイオンファンネルでは、各リング状電極において、イオン光軸Cの周囲に形成される略円筒状(又は円錐状の)イオン通過空間に向いた部分の断面形状を円弧状又はそれを近似する形状としている。また、イオン光軸C方向に隣接するリング状電極には互いに位相が反転した高周波電圧を印加するとともに、各リング状電極にイオン光軸C方向にイオンが移動するようにそれぞれ異なる直流電圧を印加する。これによって、上述した高周波カーペットの場合と同様に、リング状電極から遠ざけられるようにイオンに作用する斥力が大きくなるので、従来のイオンファンネルと比べて、イオンの損失を軽減して効率よくイオンを輸送することができる。
また、イオンをイオン光軸Cの近辺により集約させつつ輸送するには、図21に示したように、イオン光軸C方向にその中央開口のサイズが段階的に縮小するようにリング状電極を構成するとよい。こうした構成では、イオンが進むに従ってイオン通過空間が狭くなるので、従来の電極構造ではイオンが電極に接触し易いが、本実施例の電極構造ではイオン光軸C近傍にイオンが集中し易くなり、イオンの損失の軽減に特に有効である。
なお、上記実施例はいずれも本発明の一例に過ぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜、変更や修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは当然である。
1…イオン化室
2…第1中間真空室
3…第2中間真空室
4…分析室
5…エレクトロスプレイノズル
6…加熱キャピラリ
7…スキマー
7a、42a…イオン通過孔
8…イオンガイド
9…四重極マスフィルタ
10、37…イオン検出器
12…データ処理部
13…分析制御部
14、15、18…直流電源
16…高周波電源
17…電圧重畳部
19…中央制御部
20…高周波カーペット
20A、20A1、20A2…電極群
201、202、203、204、205…リング状電極
20B…電圧印加部
21…リペラ電極
22…偏向器
30…前段四重極マスフィルタ
31…コリジョンセル
32…後段四重極マスフィルタ
33…イオン輸送光学系
34…直交加速部
35…飛行空間
36…リフレクトロン
40、50…イオントラップ
41…リペラ電極
42…アパーチャ電極
43…フライトチューブ

Claims (14)

  1. 電場の作用によりイオンを捕集しつつ後段へと輸送するイオン輸送装置であって、
    a)イオンを後段へと送る開口部を中心として略同心円状に配置された複数のリング状電極から成り、各リング状電極の径方向の断面形状は、少なくともイオンが到来する側に面した部分が湾曲状又は複数の直線を組み合わせた擬似湾曲状である電極群と、
    b)前記電極群に含まれるリング状電極のそれぞれに電圧を印加するものであって、その複数のリング状電極の中で径方向に隣接するリング状電極に対して互いに位相が180°反転した高周波電圧を印加するとともに、イオンが前記電極群の外周側から内周側に向かう直流電位勾配が形成されるように各リング状電極にそれぞれ異なる直流電圧を印加する電圧印加部と、
    を備えることを特徴とするイオン輸送装置。
  2. 電場の作用によりイオンを捕集しつつ後段へと輸送するイオン輸送装置であって、
    a)イオン光軸に沿って互いに所定間隔離して配列された複数のリング状電極から成り、各リング状電極の径方向の断面形状は、少なくともイオンが通過する該リング状電極の中央開口部に面した部分が湾曲状又は複数の直線を組み合わせた擬似湾曲状である電極群と、
    b)前記電極群に含まれるリング状電極のそれぞれに電圧を印加するものであって、その複数のリング状電極の中でイオン光軸方向に隣接するリング状電極に対して互いに位相が180°反転した高周波電圧を印加するとともに、イオン光軸に沿ってイオンを進行させる直流電位勾配が形成されるように各リング状電極にそれぞれ直流電圧を印加する電圧印加部と、
    を備えることを特徴とするイオン輸送装置。
  3. 請求項1又は2に記載のイオン輸送装置を用いた質量分析装置であって、
    略大気圧雰囲気の下で試料成分をイオン化するイオン源と、イオンを質量電荷比に応じて分離する質量分離部が配置された高真空雰囲気に維持される分析室と、の間に、その真空度が順番に高くなるn個(ただし、nは1以上の整数)の中間真空室を備えた質量分析装置において、
    前記イオン源から前記分析室に向かってm番目(ただし、mは1以上n以下の整数)の第m中間真空室の内部に前記イオン輸送装置が配置されてなることを特徴とする質量分析装置。
  4. 請求項3に記載の質量分析装置であって、前記mは1であることを特徴とする質量分析装置。
  5. 請求項3又は4に記載の質量分析装置であって、
    前記第m中間真空室の前段に位置するイオン源又は第m−1中間真空室から該第m中間真空室へとイオンを導入する第m導入孔の中心軸である第m中心軸と、第m中間真空室からその次段に位置する第m+1中間真空室又は分析室へとイオンを導入する第m+1導入孔の中心軸である第m+1中心軸とが同一直線上に位置しないように第m及び第m+1導入孔をそれぞれ設けたことを特徴とする質量分析装置。
  6. 請求項5に記載の質量分析装置であって、
    前記第m中間真空室内に配置した前記イオン輸送装置の手前に、前記第m中心軸に沿って導入されたイオンを前記第m+1中心軸に沿った方向に向かうように移動させる直流電場を形成するイオン偏向部を設けたことを特徴とする質量分析装置。
  7. 請求項1又は2に記載のイオン輸送装置を用いた質量分析装置であり、試料成分由来のイオンを解離させるコリジョンセルと、該コリジョンセルで生成されたイオンを質量電荷比に応じて分離する質量分離部と、を備えた質量分析装置であって、
    前記コリジョンセルの内部に前記イオン輸送装置が配置されてなることを特徴とする質量分析装置。
  8. 請求項7に記載の質量分析装置であって、
    前記質量分離部は後段四重極マスフィルタであり、前記コリジョンセルの手前に試料成分由来の各種イオンの中で特定の質量電荷比を有するイオンを選択する前段四重極マスフィルタを備え、
    該前段四重極マスフィルタの中心軸と、前記後段四重極マスフィルタの中心軸とが同一直線上に位置しないようにそれら四重極マスフィルタをそれぞれ設けたことを特徴とする質量分析装置。
  9. 請求項7に記載の質量分析装置であって、
    前記質量分離部は直交加速型の飛行時間型質量分離器であり、前記コリジョンセルの手前に試料成分由来の各種イオンの中で特定の質量電荷比を有するイオンを選択する四重極マスフィルタを備え、
    該四重極マスフィルタの中心軸と、前記飛行時間型質量分離器の直交加速部又は該直交加速部へイオンを輸送するイオン輸送光学系の中心軸とが同一直線上に位置しないように前記四重極マスフィルタ並びに前記直交加速部及び/又は前記イオン輸送光学系をそれぞれ設けたことを特徴とする質量分析装置。
  10. 請求項8に記載の質量分析装置であって、
    前記前段四重極マスフィルタの中心軸に沿ったイオン進行方向と前記後段四重極マスフィルタの中心軸に沿ったイオン進行方向とが異なり、該前段四重極マスフィルタのイオン出口と前記イオン輸送装置との間に、前記第m中心軸に沿って前記前段四重極マスフィルタから出射してきたイオンを前記第m+1中心軸に沿った方向に向かうように偏向させる直流電場を形成するイオン偏向部を設けたことを特徴とする質量分析装置。
  11. 請求項9に記載の質量分析装置であって、
    前記四重極マスフィルタの中心軸に沿ったイオン進行方向とその後段の前記イオン輸送光学系又は前記直交加速部の中心軸に沿ったイオン進行方向とが異なり、該四重極マスフィルタのイオン出口と前記イオン輸送装置との間に、前記第m中心軸に沿って前記四重極マスフィルタから出射してきたイオンを前記第m+1中心軸に沿った方向に向かうように偏向させる直流電場を形成するイオン偏向部を設けたことを特徴とする質量分析装置。
  12. 請求項1に記載のイオン輸送装置であって、
    前記電極群に対向して配置され、該電極群に向かう方向にイオンを移動させる直流電場を形成するリペラ電極をさらに備え、前記電極群と前記リペラ電極との間の空間にイオンを捕捉可能としたことを特徴とするイオン輸送装置。
  13. 請求項1に記載のイオン輸送装置であって、
    前記電極群を対向して2組配置し、その2組の電極群の間の空間にイオンを捕捉可能としたことを特徴とするイオン輸送装置。
  14. 請求項12又は13に記載のイオン輸送装置を用いた質量分析装置であり、試料成分由来のイオンを解離させるコリジョンセルと、該コリジョンセルで生成されたイオンを質量電荷比に応じて分離する質量分離部と、を備えた質量分析装置であって、
    前記コリジョンセルと前記質量分離部との間に、イオンを捕捉可能とした前記イオン輸送装置が配置されてなることを特徴とする質量分析装置。
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