JPWO2014192941A1 - 硬質基板積層体および硬質基板積層体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

高い生産効率で安価に板ガラス製品を製造する上で有用な硬質基板積層体を提供する。2枚以上の硬質基板同士が接着剤で貼り合わせられた硬質基板積層体であって、当該積層体は厚み方向に切断して所望の数の分割された硬質基板積層体を得ることが予定されており、各硬質基板間には接着剤が切断時の加工線のすべてを跨いで連続的に存在し、且つ、各硬質基板間には当該加工線によって囲まれた領域の少なくとも一つに接着剤の存在しない空隙が存在する積層体。

Description

本発明は硬質基板積層体の製造方法に関する。
テレビ、ノートパソコン、カーナビゲーション、電卓、携帯電話(スマートフォンを含む)、タブレット型端末、電子手帳、及びPDA(Personal Digital Assistant)といった各種電子機器の表示装置には、液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ(OELD)、電界発光ディスプレイ(ELD)、電界放出ディスプレイ(FED)、及びプラズマディスプレイ(PDP)等の表示素子が使用されている。そして、表示素子を保護するため、表示素子と対向させて保護用の板ガラス製品を設置するのが一般的である。
このような板ガラス製品は、板ガラスを各表示装置に適した大きさ及び形状に加工したものであるが、市場で要求される価格レベルに対応するために、良好な生産効率で作製する必要がある。
そこで、特許文献1は、面取りされている板ガラス製品を製造するにあたって、平面視上の形状および大きさが実質的に同等である複数枚の板ガラスが接着した状態で順次積層されているガラス積層体を作製し、このガラス積層体にエッチングを施すことによって該ガラス積層体を構成している個々の板ガラスを面取りすることを特徴とする板ガラス製品の製造方法が記載されている。特許文献1の段落0029及び0030には、互いに接着させようとする板ガラス同士の接着面(主表面)全体に接着性材料層を形成することが好ましいことも記載されている。
一方で、特許文献2は、多数の素材板ガラス(1)を積み重ねるとともに、各素材板ガラス(1)を、各素材板ガラス(1)間に介在させた剥離可能な固着材(2)により一体的に固着してなる素材ガラスブロック(A)を形成し、該素材ガラスブロック(A)を面方向に分割して小面積の分割ガラスブロック(B)を形成し、該分割ガラスブロック(B)の少なくとも外周を加工して平面視製品形状となる製品ガラスブロック(C)を形成し、該製品ガラスブロック(C)を端面加工した後、該製品ガラスブロック(C)を個別に分離したことを特徴とする板ガラスの加工方法が記載されている。特許文献2の段落0009には素材板ガラスを液状の固着剤を介在させながら積み重ね、これらを厚さ方向に押圧することにより、固着剤を各素材板ガラス間で膜状に広がらせることが記載されている。
特開2000−169166号公報 特開2009−256125号公報
上記先行技術文献においては、板ガラス積層体を構成する各ガラスの主表面全体が接着剤で被覆されることを推奨又は前提としており、接着剤をパターニングして塗布するという思想は見られない。そのため、上記先行技術文献においては、板ガラス積層体を個々の板ガラスに分離する際の時間短縮、個々の板ガラスに分離後の残留接着剤の洗浄、接着剤使用量の最適化といった点で未だ改善の余地が残されている。特に、板ガラス製品の主表面の面積が大きくなればなるほど接着剤の使用量や剥離時間は増加することが予想され、高い生産効率で安価に板ガラス製品を製造するための更なる技術改良が必要である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、高い生産効率で安価に板ガラス製品を製造する上で有用な硬質基板積層体を提供することを課題とする。また、本発明はそのような硬質基板積層体の製造方法を提供することを別の課題とする。また、本発明は本発明に係る硬質基板積層体を用いた板状製品の製造方法を提供することを更に別の課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討したところ、硬質基板の主表面に接着剤を所定のパターンで塗布して硬質基板同士を貼り合わせ、これにより、貼り合わされた硬質基板間に積極的に空隙を設けた積層体とすることで、加工寸法精度を犠牲にすることなく板状製品の生産効率を大幅に高めることができることを見出した。
以上の知見を基礎として完成した本発明は第一の側面において、2枚以上の硬質基板同士が接着剤で貼り合わせられた硬質基板積層体であって、当該積層体は厚み方向に切断して所望の数の分割された硬質基板積層体を得ることが予定されており、各硬質基板間には接着剤が切断時の加工線のすべてを跨いで連続的に存在し、且つ、各硬質基板間には当該加工線によって囲まれた領域の少なくとも一つに接着剤の存在しない空隙が存在する積層体である。
本発明の第一の側面に係る硬質基板積層体の一実施形態においては、各硬質基板間において、前記加工線によって囲まれた領域のうち、40%以上の数の領域に接着剤の存在しない空隙が存在する。
本発明の第一の側面に係る硬質基板積層体の一実施形態においては、各硬質基板間において、前記加工線によって囲まれた領域のうち、92%以上の数の領域に接着剤の存在しない空隙が存在する。
本発明は第二の側面において、本発明に係る上記積層体を加工線に沿って厚み方向に切断した後の分割された少なくとも一つの硬質基板積層体である。
本発明の第二の側面に係る硬質基板積層体の一実施形態においては、空隙率が5〜99.5%である。
本発明の第二の側面に係る硬質基板積層体の一実施形態においては、空隙率が40〜95%である。
本発明の第二の側面に係る硬質基板積層体の一実施形態においては、分割された硬質基板積層体は更に形状加工されることが予定されており、形状加工によって除去される部位の硬質基板間には空隙が存在しない。
本発明の第一の側面に係る硬質基板積層体の一実施形態においては、前記加工線を跨ぐ接着剤の前記加工線からの幅寸法が0.1mm以上である。
本発明の第一又は第二の側面に係る硬質基板積層体の一実施形態においては、接着剤が硬化性である。
本発明の第一又は第二の側面に係る硬質基板積層体の一実施形態においては、接着剤が、(A)多官能(メタ)アクリレート、(B)単官能(メタ)アクリレート、及び(C)重合開始剤を含有する。
本発明の第一又は第二の側面に係る硬質基板積層体の一実施形態においては、(A)多官能(メタ)アクリレート、(B)単官能(メタ)アクリレート、(C−1)光重合開始剤を含有する。
本発明の第一又は第二の側面に係る硬質基板積層体の一実施形態においては、接着剤が、(A)多官能(メタ)アクリレート、(B)単官能(メタ)アクリレート、(C−2)熱重合開始剤を含有する。
本発明の第一又は第二の側面に係る硬質基板積層体の一実施形態においては、接着剤が、(A)多官能(メタ)アクリレート、(B)単官能(メタ)アクリレート、(C−1)光重合開始剤、及び(C−2)熱重合開始剤を含有する。
本発明の第一又は第二の側面に係る硬質基板積層体の一実施形態においては、接着剤が、更に(F)分解促進剤を含有する。
本発明は第三の側面において、本発明の第一の側面に係る硬質基板積層体の製造方法であって、
第一の硬質基板を準備する工程1と、
第二の硬質基板を準備する工程2と、
第一の硬質基板及び/又は第二の硬質基板の貼り合わせ面に接着剤を塗布する工程3と、
第一の硬質基板と第二の硬質基板をそれぞれの一側縁で接触させた後、当該一側縁に対向する側縁に向かって順次、両硬質基板を貼り合わせる工程4と、
を含み、
工程3において、塗布される接着剤の量は工程4の後に硬質基板間に空隙が生じる程度の量であり、また、接着剤は切断時の加工線に沿って貼り合わせ方向に平行な第一塗布ラインと貼り合わせ方向に直角な第二塗布ラインを形成し、第一塗布ラインは連続的又は不連続的であり、第二塗布ラインは不連続的である、
製造方法である。
本発明の第三の側面に係る製造方法の一実施形態においては、第一塗布ラインが連続的である。
本発明の第三の側面に係る製造方法の一実施形態においては、第二塗布ラインと第一塗布ラインは交差しないように形成される。
本発明の第三の側面に係る製造方法の一実施形態においては、前記硬質基板積層体を第一の硬質基板に見立てて、工程1〜4を少なくとも1回繰り返し、少なくとも3枚の硬質基板が貼り合わせられた硬質基板積層体を形成する工程を行う。
本発明の第三の側面に係る製造方法の一実施形態においては、接着剤が硬化性である。
本発明の第三の側面に係る製造方法の一実施形態においては、接着剤が、(A)多官能(メタ)アクリレート、(B)単官能(メタ)アクリレート、及び(C)重合開始剤を含有する。
本発明の第三の側面に係る製造方法の一実施形態においては、接着剤が、(A)多官能(メタ)アクリレート、(B)単官能(メタ)アクリレート、(C−1)光重合開始剤を含有し、工程4は貼り合わせられた両硬質基板間の接着剤を硬化するための光を照射することを含む。
本発明の第三の側面に係る製造方法の一実施形態においては、接着剤が、(A)多官能(メタ)アクリレート、(B)単官能(メタ)アクリレート、(C−2)熱重合開始剤を含有する。
本発明の第三の側面に係る製造方法の一実施形態においては、接着剤が、(A)多官能(メタ)アクリレート、(B)単官能(メタ)アクリレート、(C−1)光重合開始剤、及び(C−2)熱重合開始剤を含有し、工程4は貼り合わせられた両硬質基板間の接着剤を硬化するための光を照射することを含む。
本発明の第三の側面に係る製造方法の一実施形態においては、接着剤が、更に(F)分解促進剤を含有する。
本発明の第三の側面に係る製造方法の一実施形態においては、工程4における貼り合わせがロールプレスにより実施される。
本発明は第四の側面において、
本発明の第一の側面に係る硬質基板積層体を厚み方向に切断し、所望の数の分割された硬質基板積層体を得る工程5と、
分割された硬質基板積層体を加工して製品形状の硬質基板積層体を得る工程6と、
製品形状の硬質基板積層体を剥離し、複数の板状製品を得る工程7と、
を含む板状製品の製造方法である。
本発明の第四の側面に係る製造方法の一実施形態においては、分割された硬質基板積層体を加工して製品形状の硬質基板積層体を得る工程6には、形状加工が含まれる。
本発明によれば、ガラス基板等の製造において、加工寸法精度を犠牲にすることなく生産効率を高めることができる。すなわち、本発明では硬質基板同士を貼り合わせている接着剤が主表面の一部にしか存在しないため、積層体から個々の硬質基板を分離する操作が容易となり、短時間での分離操作が可能となる一方で、接着剤が適切なパターンで配置されているため加工寸法精度を損なうことはない。更には、消耗剤である接着剤の使用量を削減できることから加工コストが削減できると共に、分離操作後に硬質基板の表面に付着している接着剤を洗浄する際の時間も短縮できる。このように、本発明は多数の板状製品を工業的に生産する上で極めて有用である。
分割前の大判の硬質基板積層体の一例を示す模式図である。 硬質基板積層体の切断加工線の一例を示す模式図である。 大判の硬質基板同士を貼り合わせた後の接着剤の広がりの様子を示す模式図である。 本発明に係る接着剤の塗布パターンの一例を示す模式図である。 比較例に係る接着剤の塗布パターンの一例を示す模式図である。 外形加工後の分割された硬質基板積層体の平面視形状を表す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。以下、本発明は、特記しない限り、(C−1)光重合開始剤を含有する光硬化性接着剤を使用した場合について説明する。
<1.硬質基板積層体>
本発明で使用可能な硬質基板としては、特に制限はないが、接着剤として光硬化性接着剤を使用するときや表示素子の保護目的で使用するときは透光性であることが必要であり、例えば、板ガラス(素材板ガラス、強化板ガラス、透明導電膜付きガラス基板、電極や回路が形成されたガラス基板等)、サファイア基板、石英基板、プラスチック基板、フッ化マグネシウム基板などが好適に使用可能である。また、透光性を有する硬質基板であっても、主たる硬化形態が熱硬化型、湿気硬化型である接着剤なども使用可能である。熱硬化型としては、2液混合型、1液型等が挙げられる。本発明においては、熱硬化型接着剤には常温で硬化するものも含む。硬質基板として、透光性を有しない硬質基板を使用することもでき、この場合は、主たる硬化形態が熱硬化型や湿気硬化型である接着剤などを使用することができる。
切断前の大判の硬質基板の大きさに特に制限はないが、典型的には10000〜250000mm2程度の面積を有し、0.1〜2mm程度の厚みを有する。各硬質基板は同じサイズであるのが一般的である。限定的ではないが、各硬質基板の表面には板状製品の機能の一つを奏するための所定の印刷パターンやめっきパターンを付すことができる。印刷パターンの例としては携帯電話の表示画面のデザイン、めっきパターンの例としてはクロムめっきパターンが施されているロータリーエンコーダーが挙げられる。また、基板表面には金属層、樹脂層、シリカ層、オルガノシリケート層及び透明電極層よりなる群から選択される1種又は2種以上を備えることも可能である。
図1には、分割前の大判の硬質基板積層体の一例の模式図を示す。硬質基板積層体10は2枚以上の硬質基板11同士が接着剤で貼り合わせられている。当該積層体10は図2に示す点線13(切断加工線)に沿って厚み方向に切断することにより、所望の数の分割された硬質基板積層体14を得ることが予定されている。本発明でいう“切断加工線”は、切断される硬質基板積層体の箇所を示すための便宜上の仮想線であり、硬質基板積層体の表面に実際に線が引かれているか否かは問わない。従って、切断時に切断箇所を特定するための“線”や“マーク”を設けることも可能であるし、設けないことも可能である。
大判の硬質基板積層体10の全体の厚みが薄すぎると機械的強度が弱くなり、加工のために受け台に接着剤により固定した硬質基板積層体10を剥離する際に割れやすくなることから、硬質基板11の材質にもよるが、好ましくは5枚以上(基板11の合計の厚みとしては0.52mm以上)、より好ましくは10〜30枚程度(基板11の合計の厚みとしては1.5〜66mm程度)の硬質基板11が接着剤を介して積層される。
図3を参照すると、ここには、大判の硬質基板11同士を貼り合わせた後の接着剤12の広がりの様子が模式的に示されている。硬質基板11間には接着剤12が切断時の加工線13すべてを跨いで連続的に存在し、且つ、各硬質基板11間には当該加工線13によって囲まれた領域の少なくとも一つに接着剤の存在しない空隙16が存在する。四辺が切断加工線13によって囲まれた各領域は分割後に板状製品に加工される領域であり、印刷パターン15が施されている。
接着剤12が切断時の加工線13すべてを跨いで連続的に(又は一体的に)存在していることによって、切断加工時に積層体を構成する硬質基板が分離するのを防止可能となり、寸法精度が向上する。また、切断加工時に使用する加工液や端面加工時に使用するエッチング液が空隙に浸入して、主表面または主表面上に構成される膜等の一部が腐食されるという弊害を生じるのを防止する役割も果たす。一方、接着剤の存在しない空隙が存在することによって、剥離時間が短縮し、積層体から各硬質基板を分離する際の作業効率が向上し、接着剤の使用量が低減され、更には分離操作後に硬質基板の表面に付着している接着剤を洗浄する際の時間短縮に寄与するという利点が得られる。
剥離性や生産効率やコスト低減の観点からは、空隙の数は多い方が好ましい。具体的には、各硬質基板間において、前記加工線13によって囲まれた領域のうち、40%以上の数の領域に接着剤の存在しない空隙が存在することが好ましく、50%以上の数の領域に接着剤の存在しない空隙が存在することがより好ましく、80%以上の数の領域に接着剤の存在しない空隙が存在することがより好ましく、92%以上の数の領域に接着剤の存在しない空隙が存在することがより好ましく、100%の数の領域に接着剤の存在しない空隙が存在することが更により好ましい。図3を例にすれば、切断加工線13によって囲まれた領域は12個あるので、そのうち6個以上に空隙が存在すると50%以上という条件を満たすことになる。
また、空隙の多少は次式によって定義される空隙率を指標としても評価することができる。切断後の分割された積層体中の接着剤質量をW1とし、当該分割された積層体の空隙率が0%と仮定したときの接着剤質量をW0とすると、空隙率(%)=(1−W1/W0)×100で表される。W1は積層体の質量から硬質基板の質量を控除することで計算可能である。W0は各接着剤層の厚み、硬質基板の面積、及び接着剤の比重から計算可能である。
上述した理由により空隙率は高い方が好ましいので、空隙率は0%超とすべきであり、5%以上であるのが好ましく、10%以上であるのがより好ましく、40%以上であるのが最も好ましい。但し、空隙率は高すぎると、接着剤の塗布時に、精密にコントロール可能な容積式の塗布装置を使用しなければならず、加え、ノズル径が小径な部材を用いる必要があり、接着剤自体の粘度(と不安定性)制御を厳密に行うための温調設備が必要になる等、装置コストが増大することに加え、タクトが減少する。したがって、100%未満とすべきであり、99.5%以下であるのが好ましく、95%以下であるのがより好ましく、90%以下であるのが更により好ましく、85%以下であるのが最も好ましい。
再び図3を参照する。前記加工線を跨ぐ接着剤の前記加工線からの幅寸法をdとすると、dは大きいほうが、接着強度が増大するため、切断加工時の寸法精度が向上し、また、加工液やエッチング液の浸入防止効果も高くなるので、dは0.1mm以上であることが好ましく、0.3mm以上であることがより好ましい。dの上限は、空隙率が上述した範囲を満たす限り特に制限はない。
<2.硬質基板積層体の製造方法>
本発明に係る硬質基板積層体の製造方法の一実施形態においては、
第一の硬質基板を準備する工程1と、
第二の硬質基板を準備する工程2と、
第一の硬質基板及び/又は第二の硬質基板の貼り合わせ面に接着剤を塗布する工程3と、
第一の硬質基板と第二の硬質基板をそれぞれの一側縁で接触させた後、当該一側縁に対向する側縁に向かって順次、両硬質基板を貼り合わせる工程4と、
を含む。
前記硬質基板積層体を第一の硬質基板に見立てて、工程1〜4を少なくとも1回繰り返すことで、少なくとも3枚の硬質基板が貼り合わせられた硬質基板積層体を形成することが可能である。繰り返しの数によって任意の数の硬質基板を積層することが可能である。
本発明に係る硬質基板積層体を製造する上では工程3において接着剤を適切なパターンで塗布することが重要である。工程3において、塗布される接着剤の量は工程4の後に硬質基板間に空隙が生じる程度の量であり、また、接着剤は切断時の加工線に沿って貼り合わせ方向に平行な第一塗布ラインと貼り合わせ方向に直交する第二塗布ラインを形成する。
第一塗布ラインは連続的及び不連続的の何れで形成してもよいが、貼り合わせ後に接着剤が切断加工線に沿って連続化しやすいことから連続的とするのが好ましい。これは不連続塗布ラインの場合、塗布間隔や量に条件が生じ、その条件を満たせないと加工ライン上に空隙が発生するのに対して、連続塗布ラインの場合、貼り合わせた際に不連続な部分を埋める必要が無い、すなわち間隔や量に依存せずに連続化可能ということである。また、第二塗布ラインは不連続であるため、第一塗布ライン及び第二塗布ラインを共に不連続にすると両者の調整が複雑化するという側面もある。
上述したように、第二塗布ラインは不連続的に形成される。これは空気の抜け道を作るためである。空気の抜け道を作るだけであれば第一塗布ラインを不連続的にし、第二塗布ラインを連続的にすることも考えられるが、貼り合せる方向に力がかかり、同方向に空気が移動しやすいことから、可能な限り、層流状態を作り出すことで、塗布形状が安定しやすくなるため、第二塗布ラインを不連続にする。また、第二塗布ラインを第一塗布ラインと交差させないようにする方が切断加工線上に空隙が生じにくくなるので好ましい。切断加工線上に空隙が生じると、後の工程で用いられる液の浸入や、接着面積が小さいことによる、位置ズレなど、切断加工時の寸法精度に悪影響を与える。
なお、上記の塗布ラインは第一の硬質基板及び第二の硬質基板の何れか一方に形成してもよいし、両方に形成してもよい。各基板に部分的に塗布して全体としては上述した塗布ラインが形成されるようにしても良い。要は貼り合わせ後に、適切な位置に空隙が生じるように接着剤が硬質基板間に広がればよく、上記塗布パターンは例示であってこれらに限定されるものではない。
図4には接着剤の好適な塗布パターンの一例が示されている。縦方向の直線状塗布ライン17は切断加工線13上に連続的に形成する一方、横方向の直線状塗布ライン18は縦方向の塗布ライン17と交差しない様、不連続的に塗布されている。そして、縦方向の直線状塗布ライン17は貼り合わせ方向と平行であり、横方向の直線状塗布ライン18は貼り合わせ方向に対して直角である。
塗布ラインの太さは、切断加工線上に空隙が生じるのを効果的に防止する観点から、断面積で6.0×10-5cm2以上であることが好ましく、1.91×10-3cm2以上であることがより好ましい。また、塗布ラインの太さは、十分な空隙を確保する観点からは、断面積で11.9×10-3cm2以下であることが好ましく、7.54×10-3cm2以下であることがより好ましい。
工程4においては、第一の硬質基板と第二の硬質基板をそれぞれの一端縁で接触させた後、当該一側縁に対向する側縁に向かって順次、両硬質基板を貼り合わせる。例えば、図4では、縦方向の塗布ラインに沿って下から上に向かって第一の硬質基板と第二の硬質基板が順次貼り合わせられる。これにより、意図した場所に空隙を設けることができると共に、意図しない場所に空隙が生じるのを防止することができる。また、貼り合わせるときの押圧によって接着剤は硬質基板間に広がり、不連続であった第二塗布ラインは第一塗布ラインと連結し、図3に示したような、接着剤全体が連結して連続化(又は一体化)した塗布パターンが得られる。貼り合わせは硬質基板サイズに寄らず、硬質基板の層間に存在する余分な空気を外部に押し出すことが可能なロールプレスによって実施するのが好ましい。
工程4において、図5に示すように縦方向及び横方向の塗布ラインを交差させると、貼り合わせ時に空気を巻き込みやすくなり、切断加工線上に空隙が発生しやすくなる。
接着剤としては、限定的ではないが、湿気硬化型接着剤、熱硬化性接着剤、光硬化性接着剤等、または、これらの併用型が挙げられる。生産性及び作業性の観点からは光硬化性接着剤が好ましく、一方、硬質基板同士の層間接着剤の硬化性を極力均一な状態とする観点からは、おもな反応形態が熱硬化性接着剤であるものの使用が好ましい。熱硬化性接着剤としては、2液混合型接着剤、1液型接着剤等が挙げられる。光硬化性接着剤を使用する場合は、透光性硬質基板同士を貼り合わせた後に、両基板に挟まれて拡がっている接着剤を硬化するための光を照射することによって積層することができる。光照射は、基板間に挟まれた接着剤の移動を抑制するために、透光性硬質基板を1枚積層する度に実施することが望ましい。
照射する光の波長は、使用する接着剤の特性に応じて適宜変更すればよいが、例えばマイクロ波、赤外線、可視光、紫外線、X線、γ線、電子線等を照射することができる。簡便に使用でき、比較的高エネルギーをもつことから一般的には照射光は紫外線である。このように、本発明において、光とは可視光のみならず、幅広い波長領域を包含する電磁波(エネルギー線)を指す。
透光性硬質基板11の積層は例えば、一方又は両方の貼り合わせ面に光硬化性接着剤が所定のパターンにて塗布された各透光性硬質基板11同士を貼り合わせた後に、両透光性硬質基板11に挟まれて広がっている接着剤を硬化するための光を照射することによって実施することができる。これを所望の回数だけ繰り返すことにより、所望の枚数の透光性硬質基板11が積層された透光性硬質基板積層体10を作製することができる。光照射は、透光性硬質基板11を1枚積層する度に実施してもよく、接着剤へ光が到達する限りにおいて、複数枚を積層した後にまとめて実施してもよい。このとき光照射量が強すぎると透光性硬質基板積層体の剥離性や外観が経時劣化しやすくなる一方で、光照射量が弱すぎると接着剤の硬化が不十分となる。さらに、光照射量が多すぎると硬化した接着剤の層が均一とならず、ムラが生じてしまうおそれがある。このようなムラが原因で、切断、切削、研削、研磨時に用いる切削液や研磨材スラリー、エッチング液が基板間に入り込んでしまい、基板剥離や基板上に形成された金属パターンや印刷塗料の腐食を発生させることがある。これらの観点から、透光性硬質基板を貼り合わせる毎に接着剤を硬化するために照射する光の照射量を10〜10000mJ/cm2とすることが好ましく、1000〜6000mJ/cm2とすることがより好ましく、10〜3000mJ/cm2とすることが更により好ましい。照射時間は1〜200秒が好ましく、1〜100秒がより好ましい。
硬化性接着剤としては、公知の任意のものが使用でき特に制限はないが、例えばWO2008/018252、WO2012/067205、WO2013/039226に記載のような(A)多官能(メタ)アクリレート、(B)単官能(メタ)アクリレート、及び(C)重合開始剤を含有する接着性組成物が好適である。
(A)多官能(メタ)アクリレートとしては、オリゴマー/ポリマー末端又は側鎖に2個以上(メタ)アクロイル化された多官能(メタ)アクリレートオリゴマー/ポリマーや、2個以上の(メタ)アクロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーを使用することができる。例えば、多官能(メタ)アクリレートオリゴマー/ポリマーとしては、1,2-ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、日本曹達社製「TE−2000」、「TEA−1000」)、その水素添加物(例えば、日本曹達社製「TEAI−1000」)、1,4−ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、大阪有機化学社製「BAC−45」)、ポリイソプレン末端(メタ)アクリレート、ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、日本合成化学社製「UV−2000B」、「UV−3000B」、「UV−7000B」、根上工業社製「KHP−11」、「KHP−17」)、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、日本合成化学社製「UV−3700B」、「UV−6100B」)、又はビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、などが挙げられる。これらの中では、ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
ここで、ウレタン(メタ)アクリレートとは、ポリオール化合物(以後、Xで表す)と有機ポリイソシアネート化合物(以後、Yで表す)とヒドロキシ(メタ)アクリレート(以後、Zで表す)とを反応(例えば、重付加反応)させることにより得られる、ウレタン(メタ)アクリレートをいう。
ポリオール化合物(X)としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ポリブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ブチルエチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、ポリカプロラクトン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ポリトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、グリセリン、ポリグリセリン、ポリテトラメチレングリコール等の多価アルコールや、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドのブロック又はランダム共重合の少なくとも1種の構造を有するポリエーテルポリオール、該多価アルコール又はポリエーテルポリオールと無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、無水イタコン酸、イタコン酸、アジピン酸、イソフタル酸等の多塩基酸との縮合物であるポリエステルポリオール、カプロラクトン変性ポリテトラメチレンポリオール等のカプロラクトン変性ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水素化ポリブタジエンポリオール、水素化ポリイソプレンポリオール等のポリジエン系ポリオール、ポリジメチルシロキサンポリオール等のシリコーンポリオール等が挙げられる。これらの中では、ポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールがより好ましい。
有機ポリイソシアネート化合物(Y)としては、格別に限定される必要はないが、例えば芳香族系、脂肪族系、環式脂肪族系、脂環式系等のポリイソシアネートが使用でき、中でもトリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート(H−MDI)、ポリフェニルメタンポリイソシアネート(クルードMDI)、変性ジフェニルメタンジイソシアネート(変性MDI)、水添化キシリレンジイソシアネート(H−XDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMXDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(m−TMXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)等のポリイソシアネート或いはこれらポリイソシアネートの三量体化合物、これらポリイソシアネートとポリオールの反応生成物等が好適に用いられる。これらの中では、水添化キシリレンジイソシアネート(H−XDI)及び/又はイソホロンジイソシアネート(IPDI)が好ましい。
ヒドロキシ(メタ)アクリレート(Z)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、4−ブチルヒドロキシ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートからなる群のうちの1種以上が好ましい。
多官能(メタ)アクリレートオリゴマー/ポリマーの重量平均分子量は、7000〜60000が好ましく、8000〜40000がより好ましく、8500〜30000が最も好ましい。実施例においては、重量平均分子量は、下記の条件にて、溶剤としてテトラヒドロフランを用い、GPCシステム(東ソ−社製SC−8010)を使用し、市販の標準ポリスチレンで検量線を作成して求めた。
流速:1.0ml/min
設定温度:40℃カラム構成:東ソー社製「TSK guardcolumn MP(×L)」6.0mmID×4.0cm1本、および東ソー社製「TSK−GELMULTIPOREHXL−M」7.8mmID×30.0cm(理論段数16,000段)2本、計3本(全体として理論段数32,000段)
サンプル注入量:100μl(試料液濃度1mg/ml)
送液圧力:39kg/cm2
検出器:RI検出器
2官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチル−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリストールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシプロポキシフェニル)プロパン、又は2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシテトラエトキシフェニル)プロパン等が挙げられる。3官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロイキシエチル]イソシアヌレート等が挙げられる。4官能以上の(メタ)アクリレートモノマーとしては、ジメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、又はジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートの中では、効果が大きい点で、多官能(メタ)アクリレートオリゴマー/ポリマー及び/又は2官能(メタ)アクリレートモノマーを含有することが好ましく、多官能(メタ)アクリレートオリゴマー/ポリマーと2官能(メタ)アクリレートモノマーを併用することがより好ましい。多官能(メタ)アクリレートオリゴマー/ポリマーと2官能(メタ)アクリレートモノマーを併用する場合の含有割合は、多官能(メタ)アクリレートオリゴマー/ポリマーと2官能(メタ)アクリレートモノマーの合計100質量部中、質量比で、多官能(メタ)アクリレートオリゴマー/ポリマー:2官能(メタ)アクリレートモノマー=10〜90:90〜10が好ましく、25〜75:75〜25がより好ましく、40〜65:60〜35が最も好ましい。
(A)多官能(メタ)アクリレートは、疎水性のものが好ましい。疎水性の多官能(メタ)アクリレートとは、水酸基を有さない(メタ)アクリレートをいう。水溶性の場合には、切削加工時に組成物の硬化体が膨潤することにより位置ずれを起こし、加工精度が劣る懼れがあるため好ましくない。親水性であっても、その組成物の硬化体が水により大きく膨潤又は一部溶解することがなければ、使用してもよい。
(B)単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロデカトリエン(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エトキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、フェノール(エチレンオキサイド2モル変性)(メタ)アクリレート、フェノール(エチレンオキサイド4モル変性)(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(エチレンオキサイド4モル変性)(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(エチレンオキサイド8モル変性)(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(プロピレンオキサイド2.5モル変性)(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性フタル酸(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性コハク酸(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、β−(メタ)アクロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、n−(メタ)アクリロイルオキシアルキルヘキサヒドロフタルイミド、2−(1,2−シクロヘキサジカルボキシイミド)エチル(メタ)アクリレート、エトキシエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートの中では、効果が大きい点で、式(1)のフェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、式(2)のイミド(メタ)アクリレートからなる群のうちの1種以上が好ましい。式(1)の中では、Rは水素が好ましい。Rは炭素数2〜4のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜3のアルキレン基がより好ましい。
アルキレン基の水素を水酸基に置換しても良い。mは1〜3が好ましい。式(1)の中では、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド2モル変性(メタ)アクリレートからなる群のうちの1種以上が好ましい。式(2)の中では、Rは水素が好ましい。Rは炭素数2〜4のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜3のアルキレン基がより好ましい。nは1〜3が好ましい。式(2)の中では、2−(1,2−シクロヘキサジカルボキシイミド)エチル(メタ)アクリレートが好ましい。
Figure 2014192941
(Rは水素又はアルキル基である。Rはアルキレン基であり、アルキレン基中の水素は水酸基で置換しても良い。Rは水素又はメチル基である。mは1〜6。)
Figure 2014192941
(Rは水素又はアルキル基である。Rはアルキレン基であり、アルキレン基中の水素は水酸基で置換しても良い。Rは水素又はメチル基である。nは1〜6。)
単官能(メタ)アクリレートの中では、効果が大きい点で、フェノールエチレンオキサイド2モル変性(メタ)アクリレート、2−(1,2−シクロヘキサジカルボキシイミド)エチル(メタ)アクリレート及び2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレートからなる群のうちの1種以上が好ましい。フェノールエチレンオキサイド2モル変性(メタ)アクリレートと、2−(1,2−シクロヘキサジカルボキシイミド)エチル(メタ)アクリレート及び/又は2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレートとを併用することがより好ましい。
フェノールエチレンオキサイド2モル変性(メタ)アクリレートと、2−(1,2−シクロヘキサジカルボキシイミド)エチル(メタ)アクリレート及び/又は2-ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートとを併用する場合の含有割合は、フェノールエチレンオキサイド2モル変性(メタ)アクリレート、2−(1,2−シクロヘキサジカルボキシイミド)エチル(メタ)アクリレート及び2-ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートの合計100質量部中、質量比で、フェノールエチレンオキサイド2モル変性(メタ)アクリレート:2−(1,2−シクロヘキサジカルボキシイミド)エチル(メタ)アクリレート及び/又は2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート=5〜80:95〜20が好ましく、15〜60:85〜40がより好ましく、20〜40:80〜60が最も好ましい。
(B)単官能(メタ)アクリレートは、(A)同様に疎水性のものがより好ましい。疎水性の多官能(メタ)アクリレートとは、水酸基を有さない(メタ)アクリレートをいう。水溶性の場合には、切削加工時に組成物の硬化体が膨潤することにより位置ずれを起こし、加工精度が劣る懼れがあるため好ましくない。親水性であっても、その組成物の硬化体が水によって膨潤又は一部溶解することがなければ、使用してもよい。
(A)多官能(メタ)アクリレートの使用量は、(A)及び(B)の合計量100質量部中、15〜95質量部が好ましく、20〜50質量部が好ましい。15質量部以上であれば、組成物の硬化体を温水に浸漬した時に被着物より当該硬化体が剥離する性質(以下、単に「剥離性」という)が充分に助長されるし、組成物の硬化体がフィルム状に剥離できる。95質量部以下であれば、初期の接着性が低下する懼れもない。
(C)重合開始剤は、樹脂組成物の硬化を促進するために配合するものであり、公知の各種重合開始剤が使用可能である。重合開始剤としては、(C−1)光ラジカル重合開始剤(以下光重合開始剤ということもある)、(C−2)熱ラジカル重合開始剤(以下熱重合開始剤ということもある)等が挙げられる。
(C−1)光重合開始剤は、光硬化性接着剤に使用するものであり、可視光線や紫外線の活性光線により増感させて樹脂組成物の光硬化を促進するために配合するものであり、公知の各種光重合開始剤が使用可能である。具体的にはベンゾフェノン又はその誘導体;ベンジル又はその誘導体;アントラキノン又はその誘導体;ベンゾイン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン誘導体;ジエトキシアセトフェノン、4−t−ブチルトリクロロアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体;2−ジメチルアミノエチルベンゾエート;p−ジメチルアミノエチルベンゾエート;ジフェニルジスルフィド;チオキサントン又はその誘導体;カンファーキノン;7,7−ジメチル−2,3−ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボン酸、7,7−ジメチル−2,3−ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボキシ−2−ブロモエチルエステル、7,7−ジメチル−2,3−ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボキシ−2−メチルエステル、7,7−ジメチル−2,3−ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボン酸クロライド等のカンファーキノン誘導体;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等のα−アミノアルキルフェノン誘導体;ベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシポスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジメトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジエトキシフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド誘導体、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]−エチルエステル及び/又はオキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステル等が挙げられる。光重合開始剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中では、効果が大きい点で、ベンジルジメチルケタール、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]−エチルエステル及びオキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステルからなる群のうちの1種又は2種以上が好ましい。
(C−1)光重合開始剤の含有量は、(A)及び(B)の合計100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜25質量部がより好ましく、1〜20質量部が最も好ましい。0.1質量部以上であれば、硬化促進の効果が確実に得られるし、20質量部以下で充分な硬化速度を得ることができる。(C−1)成分を1質量部以上添加することは、光照射量に依存なく硬化可能となり、さらに組成物の硬化体の架橋度が高くなり、切削加工時に位置ずれ等を起こさなくなる点や剥離性が向上する点で、さらに好ましい。
(C−2)熱重合開始剤は、熱硬化性接着剤に使用するものであり、熱により樹脂組成物の熱硬化を促進するために配合するものであり、公知の各種熱重合開始剤が使用可能である。(C−2)熱重合開始剤を使用すると、透光性を有しない硬質基板11の積層に使用した場合、硬化性が確実に得られる。
(C−2)熱重合開始剤の中では、有機過酸化物が好ましい。(C−2)有機過酸化物としては、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、クミルパーオキシネオデカノエイト、ヘキシルパーオキシビバレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシビバレート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート等のアルキルパーオキシエステル類、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジノルマルプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−ターシャリーブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート及びジアリルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーオキシカーボネート類、ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール類、ジキュミルパーオキサイド、t−ブチルキュミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、クメンハイドロパーオキサイド、テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類等が挙げられる。これらの中では、アルキルパーオキシエステル類及び/又はハイドロパーオキサイド類が好ましく、ハイドロパーオキサイド類がより好ましく、クメンハイドロパーオキサイドが最も好ましい。
(C−2)熱重合開始剤の使用量は、(A)及び(B)の合計量100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.05〜5質量部がより好ましく、1〜3質量部が最も好ましい。0.01質量部以上であれば、硬化性が確実に得られるし、10質量部以下であれば十分な貯蔵安定性が得られ、皮膚刺激性が低くなる。
硬化性接着剤は、接着剤の成分(A)、(B)及び(C)に溶解しない粒状物質(D)を含有するのが好ましい。これにより、硬化後の組成物が一定の厚みを保持できるため、後述のように加工精度が向上する。
粒状物質(D)の材質としては、一般的に使用される有機粒子、又は無機粒子いずれでもかまわない。具体的には、有機粒子としては、ポリエチレン粒子、ポリプロピレン粒子、架橋ポリ(メタ)アクリル酸メチル粒子、架橋ポリスチレン粒子などが挙げられる。無機粒子としてはガラス、シリカ、アルミナ、チタンなどセラミック粒子が挙げられる。これらの中では、有機粒子が好ましく、架橋ポリスチレン粒子がより好ましい。
粒状物質は、加工精度の向上、つまり接着剤層12の膜厚制御の観点から球状であることが好ましい。粒状物質のレーザー法による平均粒径は50〜200μmの範囲にあることが好ましい。前記粒状物質の平均粒径が50μm未満であると切削用工具において強度に劣る切削部先端を使用するため切削用工具の寿命を低下させ、さらに、切削加工効率の低下を引き起こすことがあり、200μmを超えると接着剤の使用量が多くなりコスト高になるため生産性に劣ることがある。より好ましい平均粒径(D50)は70〜150μmであり、更に好ましくは80〜120μmである。粒径分布は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される。
粒状物質(D)の使用量は、接着性、加工精度、剥離性の観点から、(A)及び(B)の合計量100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、0.2〜10質量部がより好ましく、0.2〜6質量部が最も好ましい。
硬化性接着剤には、貯蔵安定性向上のため重合禁止剤(E)を添加することができる。重合禁止剤としては、メチルハイドロキノン、ハイドロキノン、2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、カテコール、ハイドロキノンモノメチルエーテル、モノターシャリーブチルハイドロキノン、2,5−ジターシャリーブチルハイドロキノン、p−ベンゾキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、2,5−ジターシャリーブチル−p−ベンゾキノン、ピクリン酸、クエン酸、フェノチアジン、ターシャリーブチルカテコール、2−ブチル−4−ヒドロキシアニソール及び2,6−ジターシャリーブチル−p−クレゾール等が挙げられる。
重合禁止剤(E)の使用量は、(A)及び(B)の合計量100質量部に対して、0.001〜3質量部が好ましく、0.01〜2質量部がより好ましい。0.001質量部以上であれば、貯蔵安定性が確保されるし、3質量部以下であれば、良好な接着性が得られ、未硬化になることもない。
(C−2)熱重合開始剤を使用する場合、(F)分解促進剤を含有しても良い。これにより、常温でも硬化性が確実に得られる。
(F)分解促進剤としては、有機過酸化物の分解を促進する分解促進剤が好ましい。(F)有機過酸化物の分解を促進する分解促進剤としては、以下が挙げられる。
有機過酸化物としてハイドロパーオキサイド類やケトンパーオキサイド類のものを使用する場合、分解促進剤としては、有機酸金属塩や有機金属キレート等が挙げられる。有機酸金属塩や有機金属キレートとしては、例えば、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、ナフテン酸マンガン、オクテン酸コバルト、オクテン酸銅、オクテン酸マンガン、オクチル酸コバルト、銅アセチルアセトネート、チタンアセチルアセトネート、マンガンアセチルアセトネート、クロムアセチルアセトネート、鉄アセチルアセトネート、バナジルアセチルアセトネート及びコバルトアセチルアセトネート等が挙げられる。これらの中では、オクチル酸コバルト及び/又はバナジルアセチルアセトネートが好ましく、オクチル酸コバルトが最も好ましい。その他の分解促進剤としては、チオ尿素誘導体類、メルカプトベンゾイミダゾール、アミン類等が挙げられる。これらの(F)分解促進剤は、1種又は2種以上を使用することができる。
(F)分解促進剤の使用量は、(A)及び(B)の合計100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.05〜5質量部がより好ましく、0.3〜3質量部が最も好ましい。0.01質量部以上であれば、硬化性が確実に得られるし、10質量部以下であれば十分な貯蔵安定性が得られる。
(C−2)熱重合開始剤と(F)分解促進剤を含有する硬化性接着剤は典型的には、二剤型の組成物として提供される。二剤型については、硬化性接着剤の必須成分全てを貯蔵中は混合せず、硬化性接着剤を第一剤及び第二剤に分けて貯蔵することが好ましい。この場合、両剤を同時に又は別々に部材に塗布して接触、硬化することにより、二剤型の硬化性接着剤として使用できる。二剤型の硬化性接着剤として使用する場合、第一剤が少なくとも(C−2)熱重合開始剤を含有し、第二剤が少なくとも(F)分解促進剤を含有することが好ましい。本発明は、加熱しなくても、二剤の混合のみによっても組成物を硬化させることができる。
本発明は更に、(C−1)光重合開始剤と(C−2)熱重合開始剤と(F)分解促進剤を併用しても良い。これにより透光性硬質基板に光が透過しない印刷パターンが意匠性の点から施されていたとしても硬化性が確実に得られる。(C−1)光重合開始剤と(C−2)熱重合開始剤と(F)分解促進剤を併用した場合、(C−1)光重合開始剤は、第一剤及び第二剤のいずれか一方又は両方に含有して良い。
<3.板状製品の製造方法>
本発明に係る硬質基板積層体から板状製品を製造することができる。本発明に係る板状製品の製造方法の一実施形態においては、硬質基板積層体を厚み方向に切断し、所望の数の分割された硬質基板積層体を得る工程5と、分割された硬質基板積層体を加工して製品形状の硬質基板積層体を得る工程6と、製品形状の硬質基板積層体を剥離し、複数の板状製品を得る工程7とを含む。
まず、工程5において、硬質基板積層体を厚み方向に分割し、所望の数の分割された硬質基板積層体を形成する。分割方法は特に制限はないが、円板カッター(ダイヤモンドディスク、超硬合金ディスク)、固定砥粒式又は遊離砥粒式ワイヤソー、レーザービーム、エッチング(例:フッ酸や硫酸等を用いた化学エッチングや電解エッチング)、ウオータージェット、及び電熱帯(ニクロム線)をそれぞれ単独で又は組み合わせて使用して、同サイズの直方体形状に分割する方法が挙げられる。エッチングは分割後の切断面の表面処理に用いることもできる。
次に、工程6において、分割された硬質基板積層体それぞれに対して所望の形状加工を行う。この工程では、分割された硬質基板積層体毎に目的とする板状製品の形状に一体的に加工を行うことができるため、板状製品の生産速度を格段に高められるという利点がある。形状加工は公知の任意の手段によって行えばよいが、例えば回転砥石による研削、超音波振動ドリルによる孔開け、回転ブラシによる端面加工、エッチングによる孔開け、エッチングによる端面加工、エッチングによる外形加工、バーナーを用いた火炎加工等が挙げられる。ウオータージェットも使用できる。加工方法はそれぞれ単独で又は組み合わせて使用することができる。エッチングは形状加工後の表面処理に用いることもできる。
形状加工によって除去される領域の硬質基板間に、接着剤の存在しない空隙があると、加工液の浸入による汚損損傷または、加工時に硬質基板積層体にかかる応力の変化によるチッピングやクラックの発生という弊害が生じる。そのため、形状加工によって除去される領域の硬質基板間には空隙が存在しないことが好ましい。
更に、工程7では、形状加工後の硬質基板積層体を加熱することで貼り合わせられていた硬質基板同士を分離し、複数の板状製品を形成する。加熱方法としては特に制限はないが、固着剤がフィルム状に軟化して各板状製品に上手く分離するため、水に形状加工後の透光性硬質基板積層体を浸漬する方法が好ましい。好適な水の温度は採用する接着剤によって異なるが、40℃以上が好ましく、60〜95℃がより好ましく、80〜90℃が最も好ましい。
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明してきたが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、種々のバリエーションが可能である。
本発明及びその利点をより良く理解するために以下の実験例を提供する。
(実験例1)
1.光硬化性接着剤1の作製
以下の(A)〜(E)の成分を混合して光硬化性接着剤1を作製した。
(A)多官能(メタ)アクリレートとして、日本合成社製「UV-3000B」(ウレタンアクリレート、重量平均分子量18000、ポリオール化合物はポリエステルポリオール、有機ポリイソシアネート化合物はイソホロンジイソシアネート、ヒドロキシ(メタ)アクリレートは2−ヒドロキシエチルアクリレート)15質量部、ジシクロペンタニルジアクリレート(日本化薬社製「KAYARAD R−684」)15質量部、
(B)単官能(メタ)アクリレートとして、2−(1,2−シクロヘキサジカルボキシイミド)エチルアクリレート(東亜合成社製「アロニックスM−140」)45質量部、フェノールエチレンオキサイド2モル変性アクリレート(東亜合成社製「アロニックスM−101A」)25質量部、
(C−1)光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール(BASF社製「IRGACURE651」)10質量部、
(D)粒状物質として平均粒径(D50)が100μmの球状架橋ポリスチレン粒子(ガンツ化成社製「GS−100S」)1質量部、
(E)重合禁止剤として2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)(住友化学社製「スミライザーMDP−S」)0.1質量部
2.板ガラス積層体の作製
透光性硬質基板として板ガラス(横530mm×縦420mm×厚み0.7mm)を12枚用意した。各板ガラス表面には、金属配線、ITO膜、有機樹脂膜、及びオルガノシリケート膜が形成されている。1枚目の板ガラス上に、切断加工線に沿って横方向及び縦方向に上記光硬化性接着剤を所定重量塗布した。ここでは、切断箇所を示すマークが板ガラスのマージン部分に設けてあり、これに基づいて切断加工線を特定した。
塗布パターンは試験番号に応じて図4又は図5に示すパターンとした。図4においては、縦方向の直線状塗布ラインは切断加工線上に連続的に形成する一方、横方向の直線状塗布ラインは縦方向の塗布ラインと交差しない様、不連続的に塗布した。図5においては、縦方向及び横方向の塗布ライン共に切断加工線上に連続的に形成した。その結果、縦方向及び横方向の塗布ラインは交差点が生じた。また、試験片毎に塗布ラインの太さ(断面積)を変更することで、板ガラス間の空隙率を変化させた。塗布ラインの断面積は接着剤の塗布量、線長から平均値を算出した。
次いで、1枚目の板ガラスの長辺の一側縁上に2枚目の板ガラスの長辺の一側縁を重ねた後、これを軸にして2枚目の板ガラスを1枚目の板ガラスに向かって倒しながら、ロールプレス形式にて、余分な空気を押し出すように、対向する側縁に向かって順次貼り合わせた。その後、2枚目の板ガラスの表面側からUV照射し、上記光硬化性接着剤を硬化させた。光照射量500mJ/cm2(365nmの受光器による積算照度計による測定)とし、UV照射時間は10秒とした。各貼り合わせ工程後には、切断加工線によって囲まれた領域の総数に対して、空隙のある領域の数の割合を目視で確認し、積層体全体での平均割合を算出した。
この手順を繰り返すことで、12枚の板ガラスからなる厚み8mm(この厚みは12枚の板ガラスを合計した積層体の厚みである)の種々の空隙率をもつ板ガラス積層体を作製した。
3.板ガラス積層体の切断加工
次に、板ガラスの積層体を受け台に固定した後、円板カッターによって所定の切断加工線に沿って厚み方向に切断し、分割された板ガラスの積層体を作製した。このとき、各板ガラスは、周縁部の端材を除き、縦100mm×横50mm×厚み0.7mm(この厚みは板ガラス1枚の厚みである)の大きさの板ガラスの積層体24個に分割された。
4.板ガラス積層体の外形加工
次に、分割された各積層体に対して切断された端面に正対するように回転砥石をあてがい端面研削する方法によって、平面視で図6に示すような形状に外形加工を施した。
5.板ガラス積層体の端面加工
次に、外形加工後の板ガラス積層体をエッチング槽内に浸漬してエッチングを行った。エッチング槽内のエッチング液は濃度15質量%のフッ酸であり、液温25℃に制御した状態で10分間のエッチングを行った。
6.板ガラス積層体の評価
板ガラス積層体について、以下の評価を行った。
(1)空隙率:塗布量を制御し、空隙が発生するように作成した硬質基板積層体において、切断後の分割された積層体の接着剤質量をW1とし、当該分割された積層体の空隙率が0%と仮定したときの接着剤質量をW0とすると、空隙率(%)=(1−W1/W0)×100で表される。W1は積層体の質量から板ガラスの質量を控除することで計算可能である。W0は各接着剤層の厚み、板ガラスの面積、及び接着剤の比重から計算可能である。
(2)剥離時間:切断加工後の積層体を90℃に加熱した温水中に浸漬し、積層接着された12枚の板ガラスがそれぞれ、個々の枚葉ガラスに分離するまでの平均時間を観察した。
(3)空隙形状:接着剤を塗布し、貼り合わせた大判の状態にて切断加工線の内側に空隙が形成されているか否か、またこの空隙部分は切断加工線上に存在するか目視にて評価した。また、板ガラス間に存在する硬化後の接着剤の切断加工線からの幅寸法の範囲を測定した。
(4)加工寸法精度:切断加工において、貼り合わせた接着剤の接着強度が維持できているか否かを、加工中に積層体から接着層と基板界面で剥離したかどうかで評価した。剥離したか否かは界面への加工液の浸入の有無により目視にて判断した。切断加工中に全く加工液が浸入しなかったものは○、切断加工中に一部液浸入があるものの、浸入度合いが極軽微であり、外観上、機能上不具合とならないものを基板上に構成される膜に欠損等の異常が認められないものを△、浸入が認められ、同膜を欠損させ、外観上、機能上不具合が認められる場合は×とした。
(5)加工液浸入:切断加工及び外形加工時に使用した切断液が、切断加工線内側の空隙に浸入しているか又は加工線上の空隙から加工液が硬質基板の主表面方向に浸入しているか、及び、浸入によって発生した基板面の汚損の有無を目視にて評価した。
(6)エッチング液浸入:端面加工後、接着剤と硬質基板の界面からエッチング液が切断加工線内側の空隙に浸入しているか又は加工線上の空隙からエッチング液が硬質基板の主表面方向に浸入しているかどうかを目視にて評価した。エッチング液の浸入が発生しなかったものを○、一部液浸入があるものの、エッチング液浸入度合いが極軽微であり、外観上、基板上に構成される膜に欠損等の異常が認められないものを△、浸入が認められ、同膜を欠損させた場合は×とした。また、加工線上の空隙を基点として、基板主表面の一部または全部がエッチングされているかどうか目視にて評価し、液浸入がないものを○、液浸入によりエッチングされているものを×とした。
評価結果を表1に示す。
Figure 2014192941
Figure 2014192941
(実験例2)
1.光硬化性接着剤2の作製
以下の(A)〜(E)の成分を混合して光硬化性接着剤2を作製した。
(A)多官能(メタ)アクリレートとして、日本合成社製「UV-3000B」(ウレタンアクリレート、重量平均分子量18000、ポリオール化合物はポリエステルポリオール、有機ポリイソシアネート化合物はイソホロンジイソシアネート、ヒドロキシ(メタ)アクリレートは2−ヒドロキシエチルアクリレート)20質量部、ジシクロペンタニルジアクリレート(日本化薬社製「KAYARAD R−684」)25質量部、
(B)単官能(メタ)アクリレートとして、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート(東亜合成社製「アロニックスM−5700」)35質量部、フェノールエチレンオキサイド2モル変性アクリレート(東亜合成社製「アロニックスM−101A」)20質量部、
(C−1)光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール(BASF社製「IRGACURE651」)10質量部、
(D)粒状物質として平均粒径100μmの球状架橋ポリスチレン粒子(ガンツ化成社製「GS−100S」)1質量部、
(E)重合禁止剤として2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)(住友化学社製「スミライザーMDP−S」)0.1質量部
硬化性接着剤2を使用して板ガラス積層体の作製、板ガラス積層体の切断加工、外形加工及び端面加工を実験例1と同様に行った。また、実験例1と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
Figure 2014192941
Figure 2014192941
(実験例3)
1.光硬化性接着剤3の作製
以下の(A)〜(F)の成分を混合して光硬化性接着剤3を作製した。
<第一剤>(A)多官能(メタ)アクリレートとして、日本合成社製「UV-3000B」(ウレタンアクリレート、重量平均分子量18000、ポリオール化合物はポリエステルポリオール、有機ポリイソシアネート化合物はイソホロンジイソシアネート、ヒドロキシ(メタ)アクリレートは2−ヒドロキシエチルアクリレート)15質量部、ジシクロペンタニルジアクリレート(日本化薬社製「KAYARAD R−684」、以下「R−684」と略す)15質量部、
(B)単官能(メタ)アクリレートとして、2−(1,2−シクロヘキサジカルボキシイミド)エチルアクリレート(東亜合成社製「アロニックスM−140」)45質量部、フェノールエチレンオキサイド2モル変性アクリレート(東亜合成社製「アロニックスM−101A」)25質量部、
(C−1)光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール(BASF社製「IRGACURE651」)25質量部、
(D)粒状物質として平均粒径100μmの球状架橋ポリスチレン粒子(ガンツ化成社製「GS−100S」)1質量部、
(E)重合禁止剤として2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)(住友化学社製「スミライザーMDP−S」)0.1質量部、
(C−2)有機過酸化物としてクメンハイドロパーオキサイド(日本油脂社製「パークミルH」)2質量部
<第二剤>(A)多官能(メタ)アクリレートとして、日本合成社製「UV-3000B」(ウレタンアクリレート、重量平均分子量18000、ポリオール化合物はポリエステルポリオール、有機ポリイソシアネート化合物はイソホロンジイソシアネート、ヒドロキシ(メタ)アクリレートは2−ヒドロキシエチルアクリレート)15質量部、ジシクロペンタニルジアクリレート(日本化薬社製「KAYARAD R−684」)15質量部、
(B)単官能(メタ)アクリレートとして、2−(1,2−シクロヘキサカルボキシイミド)エチルアクリレート(東亜合成社製「アロニックスM−140」)45質量部、フェノールエチレンオキサイド2モル変性アクリレート(東亜合成社製「アロニックスM−101A」)25質量部、
(C−1)光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール(BASF社製「IRGACURE651」)25質量部、
(D)粒状物質として平均粒径100μmの球状架橋ポリスチレン粒子(ガンツ化成社製「GS−100S」)1質量部、
(E)重合禁止剤として2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)(住友化学社製「スミライザーMDP−S」)0.1質量部、
(F)分解促進剤としてオクチル酸コバルト(神東塗料株式会社製「オクチル酸コバルト」)2質量部
2.板ガラス積層体の作製
光硬化性接着剤3を使用して実験例1と同様に板ガラス積層体の作製を行った。光硬化性接着剤3は、第一剤と第二剤を等量ずつ計量し混合したものを使用した。
板ガラス積層体の切断加工、板ガラス積層体の外形加工及び端面加工については、実験例1と同様に行った。また、実験例1と同様の評価を行った。評価結果を表3に示す。
Figure 2014192941
Figure 2014192941
(実験例4)
1.熱硬化性接着剤4の作製
以下の(A)〜(F)の成分を混合して熱硬化性接着剤4を作製した。
<第一剤>(A)多官能(メタ)アクリレートとして、日本合成社製「UV-3000B」(ウレタンアクリレート、重量平均分子量18000、ポリオール化合物はポリエステルポリオール、有機ポリイソシアネート化合物はイソホロンジイソシアネート、ヒドロキシ(メタ)アクリレートは2−ヒドロキシエチルアクリレート)20質量部、トリプロピレングリコールジアクリレート(新中村化学社製NKエステル APG−200、以下「APG−200」と略す)30質量部、
(B)単官能(メタ)アクリレートとして、2−(1,2−シクロヘキサジカルボキシイミド)エチルアクリレート(東亜合成社製「アロニックスM−140」)40質量部、フェノールエチレンオキサイド2モル変性アクリレート(東亜合成社製「アロニックスM−101A」)10質量部、
(C−2)有機過酸化物としてクメンハイドロパーオキサイド(日本油脂社製「パークミルH」)3質量部、
(D)平均粒子径35μmの架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(根上工業社製アートパールGR−200、球状、以下「GR−200」と略す)0.6質量部、
<第二剤>(A)多官能(メタ)アクリレートとして、日本合成社製「UV-3000B」(ウレタンアクリレート、重量平均分子量18000、ポリオール化合物はポリエステルポリオール、有機ポリイソシアネート化合物はイソホロンジイソシアネート、ヒドロキシ(メタ)アクリレートは2−ヒドロキシエチルアクリレート)20質量部、トリプロピレングリコールジアクリレート(新中村化学社製NKエステル APG−200、以下「APG−200」と略す)30質量部、
(B)単官能(メタ)アクリレートとして、2−(1,2−シクロヘキサカルボキシイミド)エチルアクリレート(東亜合成社製「アロニックスM−140」)40質量部、フェノールエチレンオキサイド2モル変性アクリレート(東亜合成社製「アロニックスM−101A」)10質量部、
(D)平均粒子径35μmの架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(根上工業社製アートパールGR−200、球状、以下「GR−200」と略す)0.6質量部、
(E)重合禁止剤として2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)(住友化学社製「スミライザーMDP−S」)0.1質量部、
(F)分解促進剤としてオクチル酸コバルト(神東塗料株式会社製「オクチル酸コバルト」)3質量部
2.板ガラス積層体の作製
熱硬化性接着剤4を使用して実験例1と同様に板ガラス積層体の作製を行った。熱硬化性接着剤4は、第一剤と第二剤を等量ずつ計量し混合したものを使用した。
但し、1枚目の板ガラスの長辺の一側縁上に2枚目の板ガラスの長辺の一側縁を重ねた後、これを軸にして2枚目の板ガラスを1枚目の板ガラスに向かって倒しながら、ロールプレス形式にて、余分な空気を押し出すように、対向する側縁に向かって順次貼り合わせた。この手順を繰り返することにより、12枚の板ガラスからなる厚み8mm(この厚みは12枚の板ガラスを合計した積層体の厚みである)の種々の空隙率をもつ板ガラス積層体を作製した。12枚積層した後、室温で30分放置することで接着剤の硬化を確実ならしめ、受け台に固定する上記板ガラス積層体を作製した。
板ガラス積層体の切断加工、板ガラス積層体の外形加工及び端面加工については、実験例1と同様に行った。また、実験例1と同様の評価を行った。評価結果を表4に示す。
Figure 2014192941
Figure 2014192941
(考察)
実施例に係る板ガラス積層体については、接着剤塗布時に縦方向の塗布ラインを直線的且つ連続的に形成し、横方向の塗布ラインとは交差させなかった。貼り合わせ時においても、余分な空気を押し出すように、連続的な塗布ライン方向に沿って板ガラスの一側縁から対向する側縁に向かって貼り合わせた。そのため、接着剤層を形成しない空隙が存在し、該空隙を囲むように接着剤層が形成された。加工寸法精度は良好であり、加工液やエッチング液の浸入もなかった。剥離時間は空隙率が増加するに従い短縮された。空隙率は5%以上であるのが好ましく、10%以上であるのがより好ましい。空隙率は99.5%以下であるのが好ましく、95%以下であるのがより好ましく、85%以下であるのが最も好ましい。
一方で、比較例に係る硬質基板積層体は接着剤の塗布パターンが直交する連続的な塗布ライン(つまり格子状)であったことから、塗布量や接着剤種類に依らず、貼り合わせ時に巻き込んだ空気によって、切断面等に充足される接着剤が押し出され、切断加工線上に空隙が発生した。また、塗布量が少なく空隙率が高い場合は、切断加工線を接着剤が覆う十分な面積を得られず、逆に多すぎる場合は、剥離時間が長い、コストダウンとならない、つまり、硬質基板積層体のほぼ面全体が、接着剤で覆われた状態となった。
10 分割前の硬質基板積層体
11 硬質基板
12 接着剤
13 分割加工線
14 分割された硬質基板積層体
15 印刷パターン
16 空隙
17 縦方向の塗布ライン
18 横方向の塗布ライン
20 外形加工後の分割された硬質基板積層体
d 接着剤の切断加工線からの幅寸法

Claims (27)

  1. 2枚以上の硬質基板同士が接着剤で貼り合わせられた硬質基板積層体であって、当該積層体は厚み方向に切断して所望の数の分割された硬質基板積層体を得ることが予定されており、各硬質基板間には接着剤が切断時の加工線のすべてを跨いで連続的に存在し、且つ、各硬質基板間には当該加工線によって囲まれた領域の少なくとも一つに接着剤の存在しない空隙が存在する積層体。
  2. 各硬質基板間において、前記加工線によって囲まれた領域のうち、40%以上の数の領域に接着剤の存在しない空隙が存在する請求項1に記載の積層体。
  3. 各硬質基板間において、前記加工線によって囲まれた領域のうち、92%以上の数の領域に接着剤の存在しない空隙が存在する請求項1に記載の積層体。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載の積層体を加工線に沿って厚み方向に切断した後の分割された少なくとも一つの硬質基板積層体。
  5. 空隙率が5〜99.5%である請求項4に記載の積層体。
  6. 空隙率が40〜95%である請求項4に記載の積層体。
  7. 分割された硬質基板積層体は更に形状加工されることが予定されており、形状加工によって除去される部位の硬質基板間には空隙が存在しない請求項4〜6の何れか一項に記載の積層体。
  8. 前記加工線を跨ぐ接着剤の前記加工線からの幅寸法が0.1mm以上である請求項1〜3の何れか一項に記載の積層体。
  9. 接着剤が硬化性である請求項1〜8の何れか一項に記載の積層体。
  10. 接着剤が、(A)多官能(メタ)アクリレート、(B)単官能(メタ)アクリレート、及び(C)重合開始剤を含有する請求項9に記載の積層体。
  11. 接着剤が、(A)多官能(メタ)アクリレート、(B)単官能(メタ)アクリレート、(C−1)光重合開始剤を含有する請求項9に記載の積層体。
  12. 接着剤が、(A)多官能(メタ)アクリレート、(B)単官能(メタ)アクリレート、(C−2)熱重合開始剤を含有する請求項9に記載の積層体。
  13. 接着剤が、(A)多官能(メタ)アクリレート、(B)単官能(メタ)アクリレート、(C−1)光重合開始剤、及び(C−2)熱重合開始剤を含有する請求項9に記載の積層体。
  14. 接着剤が、更に(F)分解促進剤を含有する請求項12又は13に記載の積層体。
  15. 請求項1〜3、8〜14の何れか一項に記載の積層体の製造方法であって、
    第一の硬質基板を準備する工程1と、
    第二の硬質基板を準備する工程2と、
    第一の硬質基板及び/又は第二の硬質基板の貼り合わせ面に接着剤を塗布する工程3と、
    第一の硬質基板と第二の硬質基板をそれぞれの一側縁で接触させた後、当該一側縁に対向する側縁に向かって順次、両硬質基板を貼り合わせる工程4と、
    を含み、
    工程3において、塗布される接着剤の量は工程4の後に硬質基板間に空隙が生じる程度の量であり、また、接着剤は切断時の加工線に沿って貼り合わせ方向に平行な第一塗布ラインと貼り合わせ方向に直角な第二塗布ラインを形成し、第一塗布ラインは連続的又は不連続的であり、第二塗布ラインは不連続的である、
    製造方法。
  16. 第一塗布ラインが連続的である請求項15に記載の製造方法。
  17. 第二塗布ラインと第一塗布ラインは交差しないように形成される請求項15又は16に記載の製造方法。
  18. 前記硬質基板積層体を第一の硬質基板に見立てて、工程1〜4を少なくとも1回繰り返し、少なくとも3枚の硬質基板が貼り合わせられた硬質基板積層体を形成する工程を行う請求項15〜17の何れか一項に記載の製造方法。
  19. 接着剤が硬化性である請求項15〜18の何れか一項に記載の製造方法。
  20. 接着剤が、(A)多官能(メタ)アクリレート、(B)単官能(メタ)アクリレート、及び(C)重合開始剤を含有する請求項19に記載の製造方法。
  21. 接着剤が、(A)多官能(メタ)アクリレート、(B)単官能(メタ)アクリレート、(C−1)光重合開始剤を含有し、工程4は貼り合わせられた両硬質基板間の接着剤を硬化するための光を照射することを含む請求項19に記載の製造方法。
  22. 接着剤が、(A)多官能(メタ)アクリレート、(B)単官能(メタ)アクリレート、(C−2)熱重合開始剤を含有する請求項19に記載の製造方法。
  23. 接着剤が、(A)多官能(メタ)アクリレート、(B)単官能(メタ)アクリレート、(C−1)光重合開始剤、及び(C−2)熱重合開始剤を含有し、工程4は貼り合わせられた両硬質基板間の接着剤を硬化するための光を照射することを含む請求項19に記載の製造方法。
  24. 接着剤が、更に(F)分解促進剤を含有する請求項22又は23に記載の製造方法。
  25. 工程4における貼り合わせがロールプレスにより実施される請求項15〜24の何れか一項に記載の製造方法。
  26. 請求項1〜3、8〜14の何れか一項に記載の硬質基板積層体を厚み方向に切断し、所望の数の分割された硬質基板積層体を得る工程5と、
    分割された硬質基板積層体を加工して製品形状の硬質基板積層体を得る工程6と、
    製品形状の硬質基板積層体を剥離し、複数の板状製品を得る工程7と、
    を含む板状製品の製造方法。
  27. 分割された硬質基板積層体を加工して製品形状の硬質基板積層体を得る工程6には、形状加工が含まれる請求項26に記載の製造方法。
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