JPWO2014192714A1 - 光学フィルターおよび前記フィルターを用いた装置 - Google Patents

光学フィルターおよび前記フィルターを用いた装置 Download PDF

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Abstract

[課題]従来の近赤外線カットフィルター等の光学フィルターが有していた問題点を改良し、広い視野角および高い可視光透過率を有し、且つ、波長1100〜1200nmという比較的長波長領域においても高い光線カット特性を有する光学フィルターを提供する。[解決手段]近赤外線吸収色素を含有する透明樹脂製基板と、前記基板の少なくとも一方の面上に形成された近赤外線反射膜とを有し、(A)〜(D)の要件を満たす光学フィルター:(A)波長430〜580nmにおいて、フィルターの垂直方向から測定した透過率の平均値が75%以上。(B)波長800〜1000nmの領域において、フィルターの垂直方向に対して5°の角度から測定した場合の、少なくとも一方の面から測定した反射率の平均値が80%以上。(C)波長1100〜1200nmの領域において、フィルターの垂直方向に対して5°の角度から測定した場合の、少なくとも一方の面から測定した反射率の平均値が70%以上。(D)波長560〜800nmにおいて、フィルターの垂直方向から測定した透過率が50%となる最も長い波長の値(Xa)と、フィルターの垂直方向に対して30°の角度から測定した透過率が50%となる最も長い波長の値(Xb)との差の絶対値が15nm未満。

Description

本発明は、光学フィルターおよび前記フィルターを用いた装置に関する。
ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、カメラ機能付き携帯電話等の固体撮像装置には、カラー画像の固体撮像素子であるCCDやCMOSイメージセンサーが使用されている。これらの固体撮像素子は、その受光部において近赤外線に感度を有するシリコンフォトダイオードを使用している。これらの固体撮像素子では、人間の目で見て自然な色合いにさせる視感度補正を行うことが必要であり、特定の波長領域の光線を選択的に透過またはカットする光学フィルター(例えば近赤外線カットフィルター)を用いることが多い。
このような近赤外線カットフィルターとしては、従来から、各種方法で製造されたものが使用されている。例えば、特許文献1には、透明樹脂からなる基板を用い、透明樹脂中に近赤外線吸収色素を含有させた近赤外線カットフィルターが記載されている。しかしながら、特許文献1に記載された近赤外線カットフィルターは、近赤外線吸収特性が必ずしも充分ではない場合があった。
また、当出願人は、特許文献2にて、ノルボルネン系樹脂製基板と近赤外線反射膜とを有する近赤外線カットフィルターを提案している。特許文献2に記載された近赤外線カットフィルターは、近赤外線カット特性、耐吸湿性および耐衝撃性に優れるが、広い視野角の値をとることはできなかった。
当出願人は鋭意検討の結果、特定波長に吸収極大がある近赤外線吸収色素を含有する透明樹脂製基板を用いることで、入射角度を変化させても光学特性の変化が少ない近赤外線カットフィルターが得られることを見出し、特許文献3にて広い視野角および高い可視光透過率を兼ね備えた近赤外線カットフィルターを提案している。
特開平6−200113号公報 特開2005−338395号公報 特開2011−100084号公報
近年ではモバイル機器等においてもカメラ画像に要求される画質レベルが非常に高くなってきている。本発明者らの検討によれば、高画質化の要求を満たすためには、光学フィルターにおいて、広い視野角および高い可視光透過率に加え、比較的長波長領域においても高い光線カット特性が必要となる。従来の光学フィルターでは、このような特性をバランスよく満足できない。本発明は、前記光線カット特性を有する光学フィルターを提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、下記(A)〜(D)の要件を満たす光学フィルターにより前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の態様の例を以下に示す。
[1]近赤外線吸収色素を含有する透明樹脂製基板と、前記基板の少なくとも一方の面上に形成された近赤外線反射膜とを有し、下記(A)〜(D)の要件を満たす光学フィルター:
(A)波長430〜580nmの領域において、光学フィルターの垂直方向から測定した場合の透過率の平均値が75%以上。
(B)波長800〜1000nmの領域において、光学フィルターの垂直方向に対して5°の角度から測定した場合の、少なくとも一方の面から測定した反射率の平均値が80%以上。
(C)波長1100〜1200nmの領域において、光学フィルターの垂直方向に対して5°の角度から測定した場合の、少なくとも一方の面から測定した反射率の平均値が70%以上。
(D)波長560〜800nmの領域において、光学フィルターの垂直方向から測定した場合の透過率が50%となる最も長い波長の値(Xa)と、光学フィルターの垂直方向に対して30°の角度から測定した場合の透過率が50%となる最も長い波長の値(Xb)との差の絶対値|Xa−Xb|が15nm未満。
[2]下記(E)の要件をさらに満たす前記[1]に記載の光学フィルター:(E)JIS K7105規格準拠の方法にて測定したヘーズ値が2.0%以下。
[3]前記近赤外線反射膜が、波長550nmの光における屈折率が1.7超2.5以下である高屈折率材料層と波長550nmの光における屈折率が1.2以上1.7以下である低屈折材料層とが交互に積層された誘電体多層膜であり、前記誘電体多層膜中で最も屈折率が高い層と最も屈折率が低い層との屈折率比が1.3以上であり、隣り合う高屈折率材料層と低屈折率材料層との光学膜厚(物理膜厚×屈折率)の比が0.8〜1.2となる部分を連続で10層以上有する前記[1]または[2]に記載の光学フィルター。
[4]前記透明樹脂製基板を構成する透明樹脂が、環状オレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フルオレンポリカーボネート系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、(変性)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アリルエステル系樹脂およびシルセスキオキサン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の光学フィルター。
[5]前記透明樹脂製基板が、スクアリリウム系化合物、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、クロコニウム系化合物、ジチオール系化合物、ジイモニウム系化合物およびポルフィリン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の近赤外線吸収色素を含有する前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の光学フィルター。
[6]前記近赤外線吸収色素が、後述する、式(I)で表されるスクアリリウム系化合物および式(II)で表されるスクアリリウム系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む前記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の光学フィルター。
[7]前記透明樹脂製基板と、前記基板の両面上に形成された前記近赤外線反射膜とを有する前記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の光学フィルター。
[8]前記近赤外線反射膜が、誘電体多層膜であり、前記基板の両面上に形成された誘電体多層膜の層数差が12以下であり、且つ、物理膜厚の差が500nm以下である前記[7]に記載の光学フィルター。
[9]前記近赤外線反射膜が、誘電体多層膜であり、前記基板の両面上に形成されたそれぞれの誘電体多層膜において、任意の“下記(h)を満たす連続した10層”の平均光学膜厚同士を比較した場合、平均光学膜厚が厚い方の誘電体多層膜の平均光学膜厚がもう一方の誘電体多層膜の平均光学膜厚の1.05〜1.60倍である前記[7]または[8]に記載の光学フィルター:(h)隣り合う高屈折率材料層と低屈折率材料層との光学膜厚(物理膜厚×屈折率)の比が0.8〜1.2。
[10]固体撮像装置用である前記[1]〜[9]のいずれか1項に記載の光学フィルター。
[11]前記[1]〜[9]のいずれか1項に記載の光学フィルターを具備する固体撮像装置。
[12]前記[1]〜[9]のいずれか1項に記載の光学フィルターを具備するカメラモジュール。
本発明によれば、広い視野角および高い可視光透過率を有し、且つ、波長1100〜1200nmという比較的長波長領域においても高い光線カット特性を有する光学フィルターを提供することができる。このような光学フィルターを固体撮像素子用途に使用すると、モバイル機器のような小型のカメラモジュールにおいても画質が良好なカメラ画像を得ることができる。
図1(a)は、光学フィルターの垂直方向から測定した場合の透過率を測定する方法を示す概略図である。図1(b)は、光学フィルターの垂直方向に対して30°の角度から測定した場合の透過率を測定する方法を示す概略図である。図1(c)は、光学フィルターの垂直方向に対して5°の角度から測定した場合の反射率を測定する方法を示す概略図である。 図2は、光学フィルターをチップ状に加工した際に発生しうるクラックを示す概略図である。 図3は、光学フィルターをチップ状に加工する際に使用する打ち抜き刃型の断面形状を示す概略図である。
以下、本発明について具体的に説明する。
〔光学フィルター〕
本発明の光学フィルターは、透明樹脂製基板と、前記基板の少なくとも一方の面上に形成された近赤外線反射膜とを有する。透明樹脂製基板の両面に近赤外線反射膜を有すると、片面のみに近赤外線反射膜を有する場合と比較して、光学フィルターの反りをさらに低減することができる。
本発明の光学フィルターは、下記(A)〜(D)の要件を満たす。
(A)波長430〜580nmの領域において、光学フィルターの垂直方向から測定した場合の透過率の平均値が75%以上であること。この平均値は、好ましくは78%以上、さらに好ましくは80%以上である。
本発明では、例えば、後述する透明樹脂および前記波長領域に吸収極大波長を持たない吸収剤を用いることで、このような波長430〜580nmの領域において、高い透過率を有する光学フィルターを得ることができる。
(B)波長800〜1000nmの領域において、光学フィルターの垂直方向に対して5°の角度から測定した場合の、少なくとも一方の面から測定した反射率の平均値が80%以上であること。この平均値は、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。
本発明では、透明樹脂製基板上に高い近赤外線反射能を有する所定の近赤外線反射膜を設けることで、このような波長800〜1000nmの領域において、充分な反射特性を有する光学フィルターを得ることができる。
(C)波長1100〜1200nmの領域において、光学フィルターの垂直方向に対して5°の角度から測定した場合の、少なくとも一方の面から測定した反射率の平均値が70%以上であること。この平均値は、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。
本発明では、波長1100〜1200nmの領域における反射率の平均値が高い近赤外線反射膜を透明樹脂製基板上に形成することで、近赤外域の光線を有効にカットして、波長1100〜1200nmの領域における赤外線透過率を低減することができる。これにより、特に光源や熱源を撮影した際のゴーストを低減することができ、得られるカメラ画像の画質が向上する。
本発明では、可視域の反射防止効果と近赤外域の光線カット効果を両立できるよう、後述する条件、例えば高屈折率材料、低屈折率材料、各高屈折率材料および低屈折率材料を積層させる順番、各層の厚さ、層数を最適化した近赤外線反射膜を、透明樹脂製基板上に設けることができる。これにより、波長1100〜1200nmの領域において、充分な反射特性を有する光学フィルターを得ることができる。計算精度や時間短縮の観点から、近赤外線反射膜の最適化には、光学薄膜設計ソフト(例えば、Essential Macleod、Thin Film Center社製)を用いることができる。
なお、波長1100〜1200nmにおける透過率を低減させるために、前述の近赤外線反射膜の適用に加え、可視域の透過率などに悪影響を及ぼさない範囲で波長1100〜1200nmの領域に吸収を持つ色素や金属含有微粒子などをさらに透明樹脂製基板中へ添加することもできる。
本発明では、光学フィルターの一方の面から測定した反射率が要件(B)を満たし、他方の面から測定した反射率が要件(C)を満たすように近赤外線反射膜を設計してもよく、光学フィルターの一方の面から測定した反射率が要件(B)および(C)をともに満たすように近赤外線反射膜を設計してもよい。
(D)波長560〜800nmの領域において、光学フィルターの垂直方向から測定した場合の透過率が50%となる最も長い波長の値(Xa)と、光学フィルターの垂直方向に対して30°の角度から測定した場合の透過率が50%となる最も長い波長の値(Xb)との差の絶対値|Xa−Xb|が15nm未満であること。この絶対値|Xa−Xb|は、好ましくは13nm未満、さらに好ましくは10nm未満である。
本発明では、近赤外線吸収色素による光線吸収と近赤外線反射膜による光線反射とを組み合わせることで、所定の透過率となる波長の差の絶対値が上記範囲となる光学フィルターを得ることができる。このように、波長560〜800nmの領域において絶対値|Xa−Xb|が上記範囲にあると、光学特性の入射角依存性が小さく、視野角の広い光学フィルターを得ることができ、特に、前記フィルターをカメラモジュール等のレンズユニットに用いた場合には、レンズユニットの低背化を実現することができる。
本発明では、上記のように例えば、特定の波長領域に吸収を有する近赤外線吸収色素を含有する透明樹脂製基板を使用し、かつ近赤外線反射膜の特性をコントロールすることで、要件(A)〜(D)の全てをバランスよく満たす光学フィルターを得ることができる。本発明の光学フィルターは、要件(A)〜(D)を全て満たすことから、従来の光学フィルターと比べて、特に固体撮像素子用途で使用する場合に満足な高画質を得ることができる。
本発明の光学フィルターは、さらに下記(E)の要件を満たすことが好ましい。
(E)ヘーズ値(JIS K7105法)が2.0%以下であること。このヘーズ値は、さらに好ましくは1.5%以下、特に好ましくは1.0%以下である。ヘーズ値がこの範囲にあると、本発明の光学フィルターを固体撮像素子用途で使用した際にクリアなカメラ画像が得られるだけでなく、特に暗闇条件下で光源を撮影した際のフレアやゴーストを低減できるため好ましい。
[透明樹脂製基板]
本発明の光学フィルターを構成する透明樹脂製基板(以下「樹脂製基板」ともいう。)は、透明樹脂および近赤外線吸収色素を含有しており、好ましくは吸収極大が波長600〜800nmの範囲にある。前記基板の吸収極大波長がこの範囲にあれば、前記基板は近赤外線を選択的に効率よくカットすることができる。
このような樹脂製基板を近赤外線カットフィルター等の光学フィルターに用いた場合には、絶対値|Xa−Xb|が小さくなる。したがって、吸収波長の入射角依存性が小さく、視野角の広い光学フィルターを得ることができる。
樹脂製基板は、単層であっても多層であってもよい。
樹脂製基板の厚さは、所望の用途に応じて適宜選択することができ、特に制限されないが、当該基板が前記のような入射角依存改良性を有するように調整することが好ましく、より好ましくは30〜250μm、さらに好ましくは40〜200μm、特に好ましくは50〜150μmである。
樹脂製基板の厚さが前記範囲にあると、前記基板を用いた光学フィルターを小型化および軽量化することができ、固体撮像装置等の様々な用途に好適に用いることができる。特に、前記フィルターをカメラモジュール等のレンズユニットに用いた場合には、レンズユニットの低背化を実現することができる。
<透明樹脂>
樹脂製基板は、透明樹脂を用いて形成することができる。
透明樹脂としては、本発明の効果を損なわないものである限り特に制限されないが、例えば、熱安定性およびフィルムへの成形性を確保し、かつ、100℃以上の蒸着温度で行う高温蒸着により誘電体多層膜を形成しうるフィルムとするため、ガラス転移温度(Tg)が、好ましくは110〜380℃、より好ましくは110〜370℃、さらに好ましくは120〜360℃である樹脂が挙げられる。また、前記樹脂のガラス転移温度が140℃以上であると、誘電体多層膜をより高温で蒸着形成しえるフィルムが得られるため、特に好ましい。
透明樹脂としては、当該樹脂からなる厚さ0.1mmの樹脂板を形成した場合に、この樹脂板の全光線透過率(JIS K7105)が、好ましくは75〜95%、さらに好ましくは78〜95%、特に好ましくは80〜95%となる樹脂を用いることができる。全光線透過率がこのような範囲となる樹脂を用いれば、得られる基板は光学フィルムとして良好な透明性を示す。
透明樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定される、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、通常15,000〜350,000、好ましくは30,000〜250,000であり;数平均分子量(Mn)は、通常10,000〜150,000、好ましくは20,000〜100,000である。
透明樹脂としては、例えば、環状オレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フルオレンポリカーボネート系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド(アラミド)系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、(変性)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アリルエステル系樹脂およびシルセスキオキサン系樹脂を挙げることができる。
(1)環状オレフィン系樹脂
環状オレフィン系樹脂としては、下記式(X0)で表される単量体および下記式(Y0)で表される単量体からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体から得られる樹脂、および当該樹脂を水素添加することで得られる樹脂が好ましい。
Figure 2014192714
式(X0)中、Rx1〜Rx4は、それぞれ独立に下記(i')〜(ix')より選ばれる原子または基を表し、kx、mxおよびpxは、それぞれ独立に0または正の整数を表す。
(i')水素原子
(ii')ハロゲン原子
(iii')トリアルキルシリル基
(iv')酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはケイ素原子を含む連結基を有する、置換または非置換の炭素数1〜30の炭化水素基
(v')置換または非置換の炭素数1〜30の炭化水素基
(vi')極性基(但し、(iv')を除く。)
(vii')Rx1とRx2とが、またはRx3とRx4とが、相互に結合して形成されたアルキリデン基(但し、前記結合に関与しないRx1〜Rx4は、それぞれ独立に前記(i')〜(vi')より選ばれる原子または基を表す。)
(viii')Rx1とRx2とが、またはRx3とRx4とが、相互に結合して形成された単環もしくは多環の炭化水素環または複素環(但し、前記結合に関与しないRx1〜Rx4は、それぞれ独立に前記(i')〜(vi')より選ばれる原子または基を表す。)
(ix')Rx2とRx3とが、相互に結合して形成された単環の炭化水素環または複素環(但し、前記結合に関与しないRx1とRx4は、それぞれ独立に前記(i')〜(vi')より選ばれる原子または基を表す。)
Figure 2014192714
式(Y0)中、Ry1およびRy2は、それぞれ独立に前記(i')〜(vi')より選ばれる原子または基を表すか、Ry1とRy2とが、相互に結合して形成された単環もしくは多環の脂環式炭化水素、芳香族炭化水素または複素環を表し、kyおよびpyは、それぞれ独立に0または正の整数を表す。
(2)芳香族ポリエーテル系樹脂
芳香族ポリエーテル系樹脂は、下記式(1)で表される構造単位および下記式(2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位を有することが好ましい。
Figure 2014192714
式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に炭素数1〜12の1価の有機基を示し、a〜dは、それぞれ独立に0〜4の整数を示す。
Figure 2014192714
式(2)中、R1〜R4およびa〜dは、それぞれ独立に前記式(1)中のR1〜R4およびa〜dと同義であり、Yは、単結合、−SO2−または>C=Oを示し、R7およびR8は、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜12の1価の有機基またはニトロ基を示し、gおよびhは、それぞれ独立に0〜4の整数を示し、mは0または1を示す。但し、mが0のとき、R7はシアノ基ではない。
また、前記芳香族ポリエーテル系樹脂は、さらに下記式(3)で表される構造単位および下記式(4)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位を有することが好ましい。
Figure 2014192714
式(3)中、R5およびR6は、それぞれ独立に炭素数1〜12の1価の有機基を示し、Zは、単結合、−O−、−S−、−SO2−、>C=O、−CONH−、−COO−または炭素数1〜12の2価の有機基を示し、eおよびfは、それぞれ独立に0〜4の整数を示し、nは0または1を示す。
Figure 2014192714
式(4)中、R7、R8、Y、m、gおよびhは、それぞれ独立に前記式(2)中のR7、R8、Y、m、gおよびhと同義であり、R5、R6、Z、n、eおよびfは、それぞれ独立に前記式(3)中のR5、R6、Z、n、eおよびfと同義である。
(3)ポリイミド系樹脂
ポリイミド系樹脂としては、特に制限されず、繰り返し単位にイミド結合を含む高分子化合物であればよく、例えば特開2006−199945号公報や特開2008−163107号公報に記載されている方法で合成することができる。
(4)フルオレンポリカーボネート系樹脂
フルオレンポリカーボネート系樹脂としては、特に制限されず、フルオレン部位を含むポリカーボネート樹脂であればよく、例えば特開2008−163194号公報に記載されている方法で合成することができる。
(5)フルオレンポリエステル系樹脂
フルオレンポリエステル系樹脂としては、特に制限されず、フルオレン部位を含むポリエステル樹脂であればよく、例えば特開2010−285505号公報や特開2011−197450号公報に記載されている方法で合成することができる。
(6)フッ素化芳香族ポリマー系樹脂
フッ素化芳香族ポリマー系樹脂としては、特に制限されないが、少なくとも1つのフッ素を有する芳香族環と、エーテル結合、ケトン結合、スルホン結合、アミド結合、イミド結合およびエステル結合からなる群より選ばれる少なくとも1つの結合を含む繰り返し単位とを含有するポリマーであればよく、例えば特開2008−181121号公報に記載されている方法で合成することができる。
(7)市販品
透明樹脂の市販品としては、以下の市販品等を挙げることができる。環状オレフィン系樹脂の市販品としては、JSR株式会社製アートン、日本ゼオン株式会社製ゼオノア、三井化学株式会社製APEL、ポリプラスチックス株式会社製TOPASなどを挙げることができる。ポリエーテルサルホン系樹脂の市販品としては、住友化学株式会社製スミカエクセルPESなどを挙げることができる。ポリイミド系樹脂の市販品としては、三菱ガス化学株式会社製ネオプリムLなどを挙げることができる。ポリカーボネート系樹脂の市販品としては、帝人株式会社製ピュアエースなどを挙げることができる。フルオレンポリカーボネート系樹脂の市販品としては、三菱ガス化学株式会社製ユピゼータEP−5000などを挙げることができる。フルオレンポリエステル系樹脂の市販品としては、大阪ガスケミカル株式会社製OKP4HTなどを挙げることができる。アクリル系樹脂の市販品としては、株式会社日本触媒製アクリビュアなどを挙げることができる。シルセスキオキサン系樹脂の市販品としては、新日鐵化学株式会社製シルプラスなどを挙げることができる。
<近赤外線吸収色素>
樹脂製基板は、近赤外線吸収色素を含有する。
近赤外線吸収色素は、スクアリリウム系化合物、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、クロコニウム系化合物、ジチオール系化合物、ジイモニウム系化合物およびポルフィリン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。近赤外線吸収色素は、スクアリリウム系化合物を少なくとも含むことがより好ましい。近赤外線吸収色素は、スクアリリウム系化合物とその他の近赤外線吸収色素とを含むことがさらに好ましい。
スクアリリウム系化合物の吸収極大波長は、好ましくは600nm以上、さらに好ましくは620nm以上、特に好ましくは650nm以上であり、かつ、好ましくは800nm未満、さらに好ましくは760nm以下、特に好ましくは740nm以下である。吸収極大波長がこのような波長範囲にあると、充分な近赤外線吸収特性と可視光透過率とを両立することができる。
スクアリリウム系化合物とその他の近赤外線吸収色素とを組み合わせて使用する場合、その他の近赤外線吸収色素の少なくとも1種の吸収極大波長は、好ましくは600nm超、さらに好ましくは640nm以上、特に好ましくは670nm以上であり、かつ、好ましくは800nm以下、さらに好ましくは780nm以下、特に好ましくは760nm以下である。その他の近赤外線吸収色素の吸収極大波長がこのような波長範囲にあると、充分な近赤外線吸収特性と可視光透過率とを両立することができるとともに、スクアリリウム系化合物とその他の近赤外線吸収色素とを併用した場合、スクアリリウム系化合物から発生した蛍光をその他の近赤外線吸収色素が効果的に吸収することができ、光学フィルターの散乱光強度を抑制することができる。
その他の近赤外線吸収色素は、具体的には、シアニン系化合物およびフタロシアニン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、フタロシアニン系化合物を含むことが特に好ましい。スクアリリウム系化合物と前記化合物とを併用することで、散乱光が少なくカメラ画質がより良好な光学フィルターを得ることができる。
近赤外線吸収色素全体を100重量%とした場合、スクアリリウム系化合物の含有割合は、好ましくは20〜95重量%、より好ましくは25〜85重量%、特に好ましくは30〜80重量%である。スクアリリウム系化合物の含有割合が前記範囲内にあると、良好な可視光透過率および入射角依存改良性と散乱光低減効果とを両立させることができる。また、スクアリリウム系化合物とその他の近赤外線吸収色素は、それぞれの化合物について2種以上を使用してもよい。
樹脂製基板において、近赤外線吸収色素の含有量は、樹脂製基板製造時に用いる透明樹脂100重量部に対して、好ましくは0.01〜5.0重量部、より好ましくは0.02〜3.5重量部、特に好ましくは0.03〜2.5重量部である。近赤外線吸収色素の含有量が前記範囲内にあると、良好な近赤外線吸収特性と高い可視光透過率を両立させることができる。
《スクアリリウム系化合物》
スクアリリウム系化合物としては、式(I)で表されるスクアリリウム系化合物および式(II)で表されるスクアリリウム系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。以下、それぞれ「化合物(I)」および「化合物(II)」ともいう。
Figure 2014192714
式(I)中、Ra、RbおよびYは、下記(i)または(ii)の条件を満たす。
条件(i)
複数あるRaは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基、−L1または−NRef基を表す。ReおよびRfは、それぞれ独立に水素原子、−La、−Lb、−Lc、−Ldまたは−Leを表す。
複数あるRbは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基、−L1または−NRgh基を表す。RgおよびRhは、それぞれ独立に水素原子、−La、−Lb、−Lc、−Ld、−Leまたは−C(O)Ri基(Riは、−La、−Lb、−Lc、−Ldまたは−Leを表す。)を表す。
複数あるYは、それぞれ独立に−NRjk基を表す。RjおよびRkは、それぞれ独立に水素原子、−La、−Lb、−Lc、−Ldまたは−Leを表す。
1は、La、Lb、Lc、Ld、Le、Lf、LgまたはLhである。
前記La〜Lhは、
(La)炭素数1〜9の脂肪族炭化水素基、
(Lb)炭素数1〜9のハロゲン置換アルキル基、
(Lc)炭素数3〜14の脂環式炭化水素基、
(Ld)炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、
(Le)炭素数3〜14の複素環基、
(Lf)炭素数1〜9のアルコキシ基、
(Lg)炭素数1〜9のアシル基、または
(Lh)炭素数1〜9のアルコキシカルボニル基
を表し、前記La〜Lhは、置換基Lを有していてもよい。
置換基Lは、炭素数1〜9の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜9のハロゲン置換アルキル基、炭素数3〜14の脂環式炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基および炭素数3〜14の複素環基からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
前記La〜Lhは、さらにハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子または基を有していてもよい。
前記La〜Lhは、置換基を含めた炭素数の合計が、それぞれ50以下であることが好ましく、炭素数40以下であることが更に好ましく、炭素数30以下であることが特に好ましい。炭素数がこの範囲よりも多いと、色素の合成が困難となる場合があるとともに、単位重量あたりの吸収強度が小さくなってしまう傾向がある。
条件(ii)
1つのベンゼン環上の2つのRaのうちの少なくとも1つが、同じベンゼン環上のYと相互に結合して、窒素原子を少なくとも1つ含む構成原子数5または6の複素環を形成し、前記複素環は置換基を有していてもよく、Rbおよび前記複素環の形成に関与しないRaは、それぞれ独立に前記(i)のRbおよびRaと同義である。
前記条件(i)におけるRaとしては、好ましくは水素原子、塩素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、水酸基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ニトロ基であり、より好ましくは水素原子、塩素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、水酸基である。
前記条件(i)におけるRbとしては、好ましくは水素原子、塩素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、水酸基、アミノ基、ジメチルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、N−メチルアセチルアミノ基、トリフルオロメタノイルアミノ基、ペンタフルオロエタノイルアミノ基、t−ブタノイルアミノ基、シクロヘキシノイルアミノ基であり、より好ましくは水素原子、塩素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、水酸基、ジメチルアミノ基、ニトロ基、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、トリフルオロメタノイルアミノ基、ペンタフルオロエタノイルアミノ基、t−ブタノイルアミノ基、シクロヘキシノイルアミノ基である。
前記Yとしては、好ましくはアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−t−ブチルアミノ基、N−エチル−N−メチルアミノ基、N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ基であり、より好ましくはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−t−ブチルアミノ基である。
前記式(I)の条件(ii)における、1つのベンゼン環上の2つのRaのうちの少なくとも1つが、同じベンゼン環上のYと相互に結合して形成される、窒素原子を少なくとも1つ含む構成原子数5または6の複素環としては、例えば、ピロリジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピペリジン、ピリジン、ピペラジン、ピリダジン、ピリミジンおよびピラジン等を挙げることができる。これらの複素環のうち、当該複素環を構成し、かつ、前記ベンゼン環を構成する炭素原子の隣の1つの原子が窒素原子である複素環が好ましく、ピロリジンがさらに好ましい。複素環が有してもよい置換基としては、例えば、置換基Lが挙げられ、好ましくは炭素数1〜9の脂肪族炭化水素基である。
Figure 2014192714
式(II)中、Xは、−O−、−S−、−Se−、>N−Rcまたは>CRd 2を表し;複数あるRcは、それぞれ独立に水素原子、−La、−Lb、−Lc、−Ldまたは−Leを表し;複数あるRdは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基、−L1または−NRef基を表し、隣り合うRd同士は連結して置換基を有していてもよい環を形成してもよく;La〜Le、L1、ReおよびRfは、前記式(I)において定義したLa〜Le、L1、ReおよびRfと同義である。
前記式(II)中のRcとしては、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トルフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基であり、より好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基である。
前記式(II)中のRdとしては、好ましくは水素原子、塩素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、4−アミノシクロヘキシル基であり、より好ましくは水素原子、塩素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基である。
前記Xとしては、好ましくは−O−、−S−、−Se−、>N−Me、>N−Et、>CH2、>C(Me)2、>C(Et)2であり、より好ましくは−S−、>C(Me)2、>C(Et)2である。MeおよびEtは、それぞれメチル基およびエチル基を示す。
前記式(II)において、隣り合うRd同士は連結して環を形成してもよい。このような、式(II)においてRcおよびRd結合している環に、隣り合うRd同士が連結して形成された環が付加された構造としては、例えば、ベンゾインドレニン環、α−ナフトイミダゾール環、β−ナフトイミダゾール環、α−ナフトオキサゾール環、β−ナフトオキサゾール環、α−ナフトチアゾール環、β−ナフトチアダゾール環、α−ナフトセレナゾール環、β−ナフトセレナゾール環を挙げることができる。
化合物(I)および化合物(II)は、下記式(I−1)および下記式(II−1)のような記載方法に加え、下記式(I−2)および下記式(II−2)のように共鳴構造を取るような記載方法でも構造を表すことができる。つまり、下記式(I−1)と下記式(I−2)の違い、および下記式(II−1)と下記式(II−2)の違いは構造の記載方法のみであり、化合物としてはどちらも同一のものを表す。本発明中では特に断りのない限り、下記式(I−1)および下記式(II−1)のような記載方法にてスクアリリウム系化合物の構造を表すものとする。
Figure 2014192714
化合物(I)および化合物(II)は、それぞれ上記式(I)および上記式(II)の要件を満たせば特に構造は限定されないが、例えば上記式(I−1)および上記式(II−1)のように構造を表した場合、中央の四員環に結合している左右の置換基は同一であっても異なっていてもよいが、同一であった方が合成上容易であるため好ましい。なお、例えば、下記式(I−3)で表される化合物と下記式(I−4)で表される化合物は、同一の化合物であると見なすことができる。
Figure 2014192714
化合物(I)および化合物(II)は、一般的に知られている方法で合成すればよく、例えば、特開平1−228960号公報、特開2001−40234号公報、特許第3196383号公報等に記載されている方法等を参照して合成することができる。
<近紫外線吸収剤>
樹脂製基板は、近赤外線吸収色素に加え、さらに、近紫外線吸収剤を含有することができる。近紫外線吸収剤としては、例えば、アゾメチン系化合物、インドール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物およびトリアジン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。近紫外線吸収剤は、波長300〜420nmに少なくとも一つの吸収極大を持つことが好ましい。このような樹脂製基板を用いることにより、近紫外線波長領域においても入射角依存性が小さく、視野角の広い光学フィルターを得ることができる。
以上のスクアリリウム系化合物、フタロシアニン系化合物、シアニン系化合物、近紫外線吸収剤およびその他の色素は、一般的に知られている方法で合成することができ、例えば、特許第3366697号公報、特許第2846091号公報、特許第2864475号公報、特許第3703869号公報、特開昭60−228448号公報、特開平1−146846号公報、特開平1−228960号公報、特許第4081149号公報、特開昭63−124054号公報、「フタロシアニン −化学と機能―」(アイピーシー、1997年)、特開2007−169315号公報、特開2009−108267号公報、特開2010−241873号公報、特許第3699464号公報、特許第4740631号公報等に記載されている方法を参照して合成することができる。
<その他成分>
樹脂製基板は、本発明の効果を損なわない範囲において、さらに、酸化防止剤、近紫外線吸収剤以外の紫外線吸収剤、蛍光消光剤および金属錯体系化合物等の添加剤を含有してもよい。また、後述するキャスト成形により樹脂製基板を製造する場合には、レベリング剤や消泡剤を添加することで樹脂製基板の製造を容易にすることができる。これらのその他成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2'−ジオキシ−3,3'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジメチルジフェニルメタン、およびテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが挙げられる。
なお、これらの添加剤は、樹脂製基板を製造する際に、透明樹脂などとともに混合してもよいし、透明樹脂を製造する際に添加してもよい。また、添加剤の添加量は、所望の特性に応じて適宜選択されるものであるが、透明樹脂100重量部に対して、通常0.01〜5.0重量部、好ましくは0.05〜2.0重量部である。
<樹脂製基板の製造方法>
樹脂製基板は、例えば、溶融成形またはキャスト成形により形成することができ、必要により、成形後に、反射防止剤、ハードコート剤および帯電防止剤等を1種または2種以上含むコーティング剤をコーティングする方法により製造することができる。
(1)溶融成形
樹脂製基板は、例えば、透明樹脂と近赤外線吸収色素とを溶融混練りして得られたペレットを溶融成形する方法;透明樹脂と近赤外線吸収色素とを含有する樹脂組成物を溶融成形する方法;透明樹脂、近赤外線吸収色素および溶媒を含有する樹脂組成物から溶媒を除去して得られたペレットを溶融成形する方法により製造することができる。溶融成形方法としては、例えば、射出成形、溶融押出成形、ブロー成形が挙げられる。
(2)キャスト成形
樹脂製基板は、例えば、透明樹脂、近赤外線吸収色素および溶媒を含有する樹脂組成物を適当な基材の上に塗布して溶媒を除去する方法;近赤外線吸収色素を含有する硬化性樹脂組成物を適当な基材の上に塗布して乾燥および硬化させる方法により製造することもできる。
前記基材としては、例えば、ガラス板、スチールベルト、スチールドラムおよび透明樹脂フィルム(例えば、ポリエステルフィルム、環状オレフィン系樹脂フィルム)が挙げられる。
樹脂製基板は、基材から剥離することにより得ることができ、また、本発明の効果を損なわない限り、基材から剥離せずに基材と塗膜との積層体を樹脂製基板としてもよい。
さらに、ガラス板、石英製部品または透明プラスチック製部品等の光学部品に、前記樹脂組成物をコーティングして溶媒を乾燥させる方法、または、前記硬化性樹脂組成物をコーティングして乾燥および硬化させる方法等により、光学部品上に直接樹脂製基板を形成することもできる。
前記溶媒としては通常有機合成などに用いられる溶媒であれば特に限定されないが、例えば、ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。これらの溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記方法で得られた樹脂製基板中の残留溶媒量は可能な限り少ない方がよい。具体的には、前記残留溶媒量は、樹脂製基板の重さに対して、好ましくは3重量%以下、より好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下である。残留溶媒量が前記範囲にあると、変形や特性が変化しにくい、所望の機能を容易に発揮できる樹脂製基板が得られる。
[近赤外線反射膜]
本発明の光学フィルターを構成する近赤外線反射膜は、近赤外線を反射する能力を有する膜である。本発明では、近赤外線反射膜は樹脂製基板の片面に設けてもよいし、両面に設けてもよい。片面に設ける場合、製造コストや製造容易性に優れ、両面に設ける場合、高い強度を有し、反りの生じにくい光学フィルターを得ることができる。光学フィルターを固体撮像素子用途に使用する場合は、カメラモジュールへの実装工程の容易さなどの観点から光学フィルターの反りが小さいことが好ましいため、近赤外線反射膜を樹脂製基板の両側に有することがより好ましい。
近赤外線反射膜としては、例えば、アルミ蒸着膜、貴金属薄膜、酸化インジウムを主成分とし酸化錫を少量含有させた金属酸化物微粒子を分散させた樹脂膜、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜が挙げられる。近赤外線反射膜の中では、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜がより好ましい。
高屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.7より大きい材料を用いることができ、屈折率が通常は1.7超2.5以下の材料が選択される。このような材料としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、または、酸化インジウム等を主成分とし、酸化チタン、酸化錫および/または酸化セリウム等を少量(例えば、主成分に対して0〜10重量%)含有させたものが挙げられる。
低屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.7以下の材料を用いることができ、屈折率が通常は1.2以上1.7以下の材料が選択される。このような材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウムおよび六フッ化アルミニウムナトリウムが挙げられる。
上記屈折率は、波長550nmの光における屈折率である。
誘電体多層膜は、屈折率が1.7超2.5以下である高屈折率材料層と屈折率が1.2以上1.7以下である低屈折材料層とが交互に積層された多層膜であることが好ましい。
誘電体多層膜において、最も屈折率が高い層と最も屈折率が低い層との屈折率比は1.3以上であることが好ましく、さらに好ましくは1.4以上、特に好ましくは1.5以上である。
また、交互に積層した高屈折率材料層と低屈折率材料層において、隣り合う高屈折率材料層と低屈折率材料層との光学膜厚(物理膜厚×屈折率)の比が0.8〜1.2となる部分を連続で10層以上有することが好ましく、さらに好ましくは12層以上である。
高屈折率材料層と低屈折率材料層の屈折率比や誘電体多層膜の膜設計が上記のような範囲にあると近赤外線の反射特性が向上し、近赤外線カット特性が向上する傾向にあるため好ましい。
光学フィルターが誘電体多層膜を樹脂製基板の両面上に有する場合では、基板の両面上に形成されたそれぞれの誘電体多層膜において、任意の“下記(h)を満たす連続した10層”の平均光学膜厚同士を比較した場合、すなわち一方の面上の前記平均光学膜厚と他方の面上の前記平均光学膜厚とを比較した場合、平均光学膜厚が厚い方の誘電体多層膜の平均光学膜厚がもう一方の誘電体多層膜の平均光学膜厚の1.05〜1.60倍であることが好ましく、1.10〜1.55倍であることが特に好ましい。
(h)隣り合う高屈折率材料層と低屈折率材料層の光学膜厚(物理膜厚×屈折率)の比が0.8〜1.2。
基板の両面上に形成された誘電体多層膜の膜構成が上記条件を満たす場合、例えば、700〜1200nmなど広い波長範囲の近赤外線をより効果的に反射でき、近赤外線カット特性が向上する傾向にあるため好ましい。
高屈折率材料層と低屈折率材料層とを積層する方法については、これらの材料層を積層した誘電体多層膜が形成される限り特に制限はない。例えば、樹脂製基板上に、直接、CVD法、スパッタ法、真空蒸着法、イオンアシスト蒸着法またはイオンプレーティング法等により、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜を形成することができる。
高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚さは、通常、遮断しようとする近赤外線波長をλ(nm)とすると、0.1λ〜0.5λの厚さが好ましい。λ(nm)の値としては、例えば700〜1400nm、好ましくは750〜1300nmである。厚さがこの範囲であると、屈折率(n)と物理膜厚(d)との積(n×d)がλ/4で算出される光学膜厚と高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚さとがほぼ同じ値となって、反射・屈折の光学的特性の関係から、特定波長の遮断・透過を容易にコントロールできる傾向にある。
誘電体多層膜における高屈折率材料層と低屈折率材料層との合計の積層数は、光学フィルター全体として5〜60層であることが好ましく、10〜50層であることがより好ましく、12〜50層であることがさらに好ましい。光学フィルターが誘電体多層膜を樹脂製基板の両面に有する場合では、基板の両面上に形成された誘電体多層膜の層数差(すなわち一方の多層膜の層数と他方の多層膜の層数との差)が12以下、特に好ましくは10以下であり、且つ、物理膜厚の差(すなわち一方の多層膜の物理膜厚と他方の多層膜の物理膜厚との差)が500nm以下、さらに好ましくは450nm以下、特に好ましくは400nm以下である。基板の両面上に形成された誘電体多層膜の層数差や物理膜厚差が上記範囲にあると光学フィルターの反りをより低減できる傾向にあるため好ましい。
本発明では、例えば、高屈折率材料層および低屈折率材料層を構成する材料、高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚さ、積層の順番、積層数を適切に選択することで、例えば波長1100〜1200nmの領域において、充分な反射特性を有する光学フィルターを得ることができる。
ここで、上記条件を最適化するには、上述したように、例えば光学薄膜設計ソフト(例えば、Essential Macleod、Thin Film Center社製)を用い、波長1100〜1200nmの領域の透過率低下を優先するようにパラメーターを設定すればよい。上記ソフトの場合、例えば、波長1100〜1200nmの目標透過率を0%などとした上で、Target Toleranceの値を0.5以下などとすることが挙げられる。
[その他の機能膜]
本発明の光学フィルターには、本発明の効果を損なわない範囲において、樹脂製基板と誘電体多層膜等の近赤外線反射膜との間などに、樹脂製基板や近赤外線反射膜の表面硬度の向上、耐薬品性の向上、帯電防止および傷消し等の目的で、反射防止膜、ハードコート膜および帯電防止膜等の機能膜を適宜設けることができる。
樹脂製基板と機能膜および/または近赤外線反射膜との密着性や、機能膜と近赤外線反射膜との密着性を上げる目的で、樹脂製基板や機能膜の表面にコロナ処理やプラズマ処理等の表面処理をしてもよい。
[光学フィルターの特性等]
本発明の光学フィルターは、前記透明樹脂製基板とその少なくとも片面に形成された前記近赤外線反射膜とを有する。このため、本発明の光学フィルターは、透過率特性と近赤外線カット特性、特に波長1100〜1200nmという領域における光線カット特性とに優れる。このような光学フィルターを固体撮像素子用途に使用すると、高画質化を達成することができ、具体的にはゴーストなどが少ない良好なカメラ画像を得ることができる。
また、樹脂製基板に含まれる近赤外線吸収色素の少なくとも1種として、例えば波長600〜800nmに吸収極大を有する色素を用いることで、近赤外光を効率的に吸収することができる。したがって、このような透明樹脂製基板と近赤外線反射膜と組み合わせることにより、入射角依存性の少ない光学フィルターを得ることができる。
[光学フィルターの用途]
本発明の光学フィルターは、視野角が広く、優れた近赤外線カット能等を有する。したがって、カメラモジュールのCCDやCMOSイメージセンサー等の固体撮像素子の視感度補正用として有用である。特に、デジタルスチルカメラ、携帯電話用カメラ、デジタルビデオカメラ、パーソナルコンピューター用カメラ、監視カメラ、自動車用カメラ、テレビ、カーナビゲーションシステム用車載装置、携帯情報端末、ビデオゲーム機、携帯ゲーム機、指紋認証システム用装置、デジタルミュージックプレーヤー等に有用である。さらに、自動車や建物等のガラス板等に装着される熱線カットフィルターなどとしても有用である。
〔固体撮像装置〕
本発明の固体撮像装置は、本発明の光学フィルターを具備する。ここで、固体撮像装置とは、CCDやCMOSイメージセンサー等といった固体撮像素子を備えたイメージセンサーであり、具体的にはデジタルスチルカメラ、携帯電話用カメラ、デジタルビデオカメラ等である。例えば、本発明のカメラモジュールは、本発明の光学フィルターを具備する。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、「部」は、特に断りのない限り「重量部」を意味する。また、各物性値の測定方法および物性の評価方法は以下のとおりである。
<分子量>
樹脂の分子量は、各樹脂の溶媒への溶解性等を考慮し、下記(a)または(b)の方法にて測定を行った。なお、後述する樹脂合成例3で合成した樹脂については、これらの方法による分子量の測定ではなく、下記方法(c)による対数粘度の測定を行った。
(a)ウオターズ(WATERS)社製GPC装置(150C型、カラム:東ソー社製Hタイプカラム、展開溶媒:o−ジクロロベンゼン)を用い、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定した。
(b)東ソー社製GPC装置(HLC−8220型、カラム:TSKgelα−M、展開溶媒:テトラヒドロフラン)を用い、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定した。
(c)ポリイミド樹脂溶液の一部を無水メタノールに投入してポリイミド樹脂を析出させ、ろ過して未反応単量体から分離した。80℃で12時間真空乾燥して得られたポリイミド0.1gをN−メチル−2−ピロリドン20mLに溶解し、キャノン−フェンスケ粘度計を使用して、30℃における対数粘度(μ)を下記式により求めた。
μ={ln(ts/t0)}/C
t0:溶媒の流下時間
ts:希薄高分子溶液の流下時間
C:0.5g/dL
<ガラス転移温度(Tg)>
樹脂のガラス転移温度(Tg)は、エスアイアイ・ナノテクノロジーズ株式会社製の示差走査熱量計(DSC6200)を用いて、昇温速度:毎分20℃、窒素気流下で測定した。
<分光透過率および反射率>
樹脂製基板の吸収極大波長、光学フィルターの各波長領域における透過率および反射率、ならびに前述の(Xa)および(Xb)は、株式会社日立ハイテクノロジーズ製の分光光度計(U−4100)を用いて測定した。
ここで、光学フィルターの垂直方向から測定した場合の透過率では、図1(a)のようにフィルター面に対して垂直に透過した光を測定した。また、光学フィルターの垂直方向に対して30°の角度から測定した場合の透過率では、図1(b)のようにフィルター面の垂直方向に対して30°の角度で透過した光を測定した。
なお、この透過率は、(Xb)を測定する場合を除き、光がフィルター面に対して垂直に入射する条件で、前記分光光度計を使用して測定したものである。(Xb)を測定する場合には、光がフィルター面の垂直方向に対して30°の角度で入射する条件で、前記分光光度計を使用して測定したものである。
また、光学フィルターの垂直方向に対して5°の角度から測定した場合の反射率では、図1(c)のような装置付属の治具に光学フィルターを設置して測定を行った。
<ヘーズ値>
光学フィルターのヘーズ値は、スガ試験機株式会社製のヘーズメーター(HZ−2)を用いてJIS K7105準拠の方法にて測定を行った。
<屈折率>
ガラス基板上に屈折率を測定する対象層(シリカ層、酸化チタン層)をそれぞれ単層で蒸着成膜したサンプルを作製し、株式会社日立ハイテクノロジーズ製の分光光度計(U−4100)を用いて作製したサンプルの透過率および反射率を測定した(透過率はサンプル面の垂直方向から測定を行い、反射率はサンプル面の垂直方向に対して5°の角度から測定を行った)。得られた透過率、反射率データを光学薄膜設計ソフト(Essential Macleod、Thin Film Center社製)に入力し、関数フィッティングを行うことで各対象層の波長550nmの光に対する屈折率を求めた。
<樹脂合成例1>
下記式(a)で表される8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(以下「DNM」ともいう。)100部、1−ヘキセン(分子量調節剤)18部およびトルエン(開環重合反応用溶媒)300部を、窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を80℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒として、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(濃度0.6mol/リットル)0.2部と、メタノール変性の六塩化タングステンのトルエン溶液(濃度0.025mol/リットル)0.9部とを添加し、この溶液を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97%であった。
Figure 2014192714
このようにして得られた開環重合体溶液1,000部をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(C6533を0.12部添加し、水素ガス圧100kg/cm2、反応温度165℃の条件下で、3時間加熱撹拌して水素添加反応を行った。
得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重合体(以下「樹脂A」ともいう。)を得た。得られた樹脂Aは、数平均分子量(Mn)が32,000、重量平均分子量(Mw)が137,000であり、ガラス転移温度(Tg)が165℃であった。
<樹脂合成例2>
3Lの4つ口フラスコに2,6−ジフルオロベンゾニトリル35.12g(0.253mol)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン87.60g(0.250mol)、炭酸カリウム41.46g(0.300mol)、N,N−ジメチルアセトアミド(以下「DMAc」ともいう。)443gおよびトルエン111gを添加した。続いて、4つ口フラスコに温度計、撹拌機、窒素導入管付き三方コック、ディーンスターク管および冷却管を取り付けた。
次いで、フラスコ内を窒素置換した後、得られた溶液を140℃で3時間反応させ、生成する水をディーンスターク管から随時取り除いた。水の生成が認められなくなったところで、徐々に温度を160℃まで上昇させ、そのままの温度で6時間反応させた。
室温(25℃)まで冷却後、生成した塩をろ紙で除去し、ろ液をメタノールに投じて再沈殿させ、ろ別によりろ物(残渣)を単離した。得られたろ物を60℃で一晩真空乾燥し、白色粉末(以下「樹脂B」ともいう。)を得た(収率95%)。得られた樹脂Bは、数平均分子量(Mn)が75,000、重量平均分子量(Mw)が188,000であり、ガラス転移温度(Tg)が285℃であった。
<樹脂合成例3>
温度計、撹拌器、窒素導入管、側管付き滴下ロート、ディーンスターク管および冷却管を備えた500mLの5つ口フラスコに、窒素気流下、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン27.66g(0.08モル)および4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル7.38g(0.02モル)を入れて、γ―ブチロラクトン68.65gおよびN,N−ジメチルアセトアミド17.16gに溶解させた。得られた溶液を、氷水バスを用いて5℃に冷却し、同温に保ちながら1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物22.62g(0.1モル)およびイミド化触媒としてトリエチルアミン0.50g(0.005モル)を一括添加した。添加終了後、180℃に昇温し、随時留出液を留去させながら、6時間還流させた。反応終了後、内温が100℃になるまで空冷した後、N,N−ジメチルアセトアミド143.6gを加えて希釈し、攪拌しながら冷却し、固形分濃度20重量%のポリイミド樹脂溶液264.16gを得た。このポリイミド樹脂溶液の一部を1Lのメタノール中に注ぎいれてポリイミドを沈殿させた。濾別したポリイミドをメタノールで洗浄した後、100℃の真空乾燥機中で24時間乾燥させて白色粉末(以下「樹脂C」ともいう。)を得た。得られた樹脂CのIRスペクトルを測定したところ、イミド基に特有の1704cm-1、1770cm-1の吸収が見られた。得られた樹脂Cは、ガラス転移温度(Tg)が310℃であり、対数粘度が0.87であった。
<樹脂合成例4>
9,9−ビス{4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}フルオレン9.167kg(20.90モル)、ビスフェノールA 4.585kg(20.084モル)、ジフェニルカーボネート9.000kg(42.01モル)、および炭酸水素ナトリウム0.02066kg(2.459×10-4モル)を、攪拌機および留出装置を備えた50L反応器に入れ、窒素雰囲気で760Torrの下、1時間かけて215℃に加熱・攪拌した。その後、15分かけて減圧度を150Torrに調整し、215℃、150Torrの条件下で20分間保持し、エステル交換反応を行った。さらに37.5℃/Hrの速度で240℃まで昇温し、240℃、150Torrで10分間保持した。その後、10分かけて120Torrに調整し、240℃、120Torrで70分間保持した。その後、10分かけて100Torrに調整し、240℃、100Torrで10分間保持した。更に40分かけて1Torr以下とし、240℃、1Torr以下の条件下で10分間攪拌して重合反応を行った。反応終了後、反応器内に窒素を導入し加圧にし、生成したポリカーボネート樹脂(以下「樹脂D」ともいう。)をペレット化しながら抜き出した。得られた樹脂Dは、重量平均分子量(Mw)が41,000であり、ガラス転移温度(Tg)が152℃であった。
<樹脂合成例5>
反応器に、9,9−ビス{4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル}フルオレン0.8モル、エチレングリコール2.2モルおよびイソフタル酸ジメチル1.0モルを加え、攪拌しながら徐々に加熱溶融してエステル交換反応を行った後、酸化ゲルマニウム20×10-4モルを加え、290℃、1Torr以下に到達するまで徐々に昇温および減圧を行いながらエチレングリコールを除去した。この後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂(以下「樹脂E」ともいう。)のペレットを得た。得られた樹脂Eは、数平均分子量(Mn)が40,000であり、ガラス転移温度(Tg)が145℃であった。
<樹脂合成例6>
温度計、冷却管、ガス導入管および攪拌機を備えた反応器に、4,4'−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル(BPDE)16.74部、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(HF)10.5部、炭酸カリウム4.34部およびDMAc90部を仕込んだ。この混合物を80℃に加温し、8時間反応させた。反応終了後、反応溶液をブレンダーで激しく攪拌しながら、1%酢酸水溶液中に添加した。析出した反応物を濾別し、蒸留水およびメタノールで洗浄した後、減圧乾燥して、フッ素化ポリエーテルケトン(以下「樹脂F」ともいう。)を得た。得られた樹脂Fは、数平均分子量(Mn)が71,000であり、ガラス転移温度(Tg)が242℃であった。
[実施例1]
容器に、合成例1で得られた樹脂A 100部、下記式(a−1)で表されるスクアリリウム系化合物(以下「化合物(a−1)」ともいう。)0.03部、下記式(b−1)で表されるフタロシアニン系化合物(以下「化合物(b−1)」ともいう。)0.01部、さらに塩化メチレンを加えることで、樹脂濃度が20重量%の溶液を得た。
次いで、得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、20℃で8時間乾燥した後、塗膜をガラス板から剥離した。剥離した塗膜をさらに減圧下100℃で8時間乾燥して、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの樹脂製基板を得た。この樹脂製基板の分光透過率を測定し、吸収極大波長を求めた。結果を表4に示す。吸収極大波長は698nmであった。
続いて、得られた樹脂製基板の片面に近赤外線反射膜(I)を形成し、さらに樹脂製基板のもう一方の面に近赤外線反射膜(II)を形成し、厚さ0.106mmの光学フィルターを得た。
近赤外線反射膜(I)は、蒸着温度100℃でシリカ(SiO2)層と酸化チタン(TiO2)層とが交互に積層されてなる(合計20層)。近赤外線反射膜(II)は、蒸着温度100℃でシリカ(SiO2)層と酸化チタン(TiO2)層とが交互に積層されてなる(合計26層)。近赤外線反射膜(I)および(II)のいずれにおいても、シリカ層および酸化チタン層は、樹脂製基板側から酸化チタン層、シリカ層、酸化チタン層、・・・シリカ層、酸化チタン層、シリカ層の順で交互に積層されており、光学フィルターの最外層をシリカ層とした。
近赤外線反射膜(I)および(II)の設計は、以下のようにして行った。
各層の厚さと層数については、可視域の反射防止効果と近赤外域の光線カット効果を両立できるよう樹脂製基板や近赤外線吸収色素の特性に合わせて光学薄膜設計ソフト(Essential Macleod、Thin Film Center社製)を用いて最適化を行った。最適化を行う際、本実施例においてはソフトへの入力パラメーター(Target値)を下記表1の通りとした。
Figure 2014192714
最適化の結果、実施例1では、近赤外線反射膜(I)は、膜厚88〜185nmのシリカ層と膜厚98〜108nmの酸化チタン層とが交互に積層されてなる、積層数20の多層蒸着膜となり、近赤外線反射膜(II)は、膜厚78〜156nmのシリカ層と膜厚82〜90nmの酸化チタン層とが交互に積層されてなる、積層数26の多層蒸着膜となった。シリカ層の屈折率は1.445であり、酸化チタン層の屈折率は2.479であった。隣り合う高屈折率材料層と低屈折率材料層との光学膜厚(物理膜厚×屈折率)の比が0.8〜1.2となる部分を連続で、前記膜(I)は19層有しており、前記膜(II)は25層有している。最適化を行った膜構成の一例を表2に示す。
Figure 2014192714
この光学フィルターの分光透過率および反射率を測定し、各波長領域における光学特性を評価した。結果を表4に示す。波長430〜580nmにおける透過率の平均値は91%、波長800〜1000nmにおける反射率の平均値は99%、波長1100〜1200nmにおける反射率の平均値は99%、絶対値|Xa−Xb|は3nmであった。なお、本実施例においては、波長800〜1000nmにおける反射率は光学フィルターの近赤外線反射膜(II)側から、波長1100〜1200nmにおける反射率は光学フィルターの近赤外線反射膜(I)側から測定した。この光学フィルターのヘーズ値を評価したところ、ヘーズ値は0.8であった。結果を表4に示す。
[実施例2]
実施例1で得られた、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの樹脂製基板の片面に近赤外線反射膜(III)を形成し、さらに樹脂製基板のもう一方の面に近赤外線反射膜(IV)を形成し、厚さ0.105mmの光学フィルターを得た。
近赤外線反射膜(III)は、蒸着温度100℃でシリカ(SiO2)層と酸化チタン(TiO2)層とが交互に積層されてなる(合計18層)。近赤外線反射膜(IV)は、蒸着温度100℃でシリカ(SiO2)層と酸化チタン(TiO2)層とが交互に積層されてなる(合計18層)。近赤外線反射膜(III)および(IV)のいずれにおいても、シリカ層および酸化チタン層は、樹脂製基板側から酸化チタン層、シリカ層、酸化チタン層、・・・シリカ層、酸化チタン層、シリカ層の順で交互に積層されており、光学フィルターの最外層をシリカ層とした。
近赤外線反射膜(III)および(IV)の設計は、以下のようにして行った。
実施例1と同様に最適化した結果、実施例2では、近赤外線反射膜(III)は、膜厚36〜186nmのシリカ層と膜厚11〜109nmの酸化チタン層とが交互に積層されてなる、積層数18の多層蒸着膜となり、近赤外線反射膜(IV)は、膜厚31〜156nmのシリカ層と膜厚10〜94nmの酸化チタン層とが交互に積層されてなる、積層数18の多層蒸着膜となった。シリカ層の屈折率は1.445であり、酸化チタン層の屈折率は2.479であった。隣り合う高屈折率材料層と低屈折率材料層との光学膜厚(物理膜厚×屈折率)の比が0.8〜1.2となる部分を連続で、前記膜(III)は15層有しており、前記膜(IV)は15層有している。最適化を行った膜構成の一例を表3に示す。
Figure 2014192714
光学特性の評価結果およびヘーズ値を表4に示す。なお、本実施例においては、波長800〜1000nmにおける反射率は光学フィルターの近赤外線反射膜(IV)側から、波長1100〜1200nmにおける反射率は光学フィルターの近赤外線反射膜(III)側から測定した。
[実施例3]〜[実施例14]および[比較例1]〜[比較例2]
実施例1において、表4に示す透明樹脂、近赤外線吸収色素、溶媒およびフィルム乾燥条件を採用して樹脂製基板を製造し、さらにそれぞれ多層蒸着膜の各層の厚さと層数についての最適化を行ったこと以外は実施例1と同様にして、厚さ0.106mmの光学フィルターを得た。結果を表4に示す。なお、表4において、溶液の樹脂濃度はいずれも20重量%である。
実施例および比較例で使用した各種化合物は以下のとおりである。
樹脂A:環状オレフィン系樹脂(樹脂合成例1)
樹脂B:芳香族ポリエーテル系樹脂(樹脂合成例2)
樹脂C:ポリイミド系樹脂(樹脂合成例3)
樹脂D:フルオレンポリカーボネート系樹脂(樹脂合成例4)
樹脂E:フルオレンポリエステル系樹脂(樹脂合成例5)
樹脂F:フッ素化ポリエーテルケトン(樹脂合成例6)
樹脂G:環状オレフィン系樹脂「ゼオノア 1420R」
(日本ゼオン(株)製)
樹脂H:環状オレフィン系樹脂「APEL #6015」
(三井化学(株)製)
樹脂I:ポリカーボネート系樹脂「ピュアエース」(帝人(株)製)
樹脂J:ポリエーテルサルホン系樹脂「スミライト FS−1300」
(住友ベークライト(株)製)
樹脂K:耐熱アクリル系樹脂「アクリビュア」((株)日本触媒製)
化合物(a−1):下記式(a−1)で表されるスクアリリウム系化合物
Figure 2014192714
化合物(a−2):下記式(a−2)で表されるスクアリリウム系化合物
Figure 2014192714
化合物(b−1):下記式(b−1)で表されるフタロシアニン系化合物
Figure 2014192714
化合物(b−2):下記式(b−2)で表されるフタロシアニン系化合物
Figure 2014192714
化合物(c−1):下記式(c−1)で表されるシアニン系化合物
Figure 2014192714
溶媒(1):塩化メチレン
溶媒(2):N,N−ジメチルアセトアミド
溶媒(3):酢酸エチル/トルエン(重量比:5/5)
溶媒(4):シクロヘキサン/キシレン(重量比:7/3)
溶媒(5):シクロヘキサン/塩化メチレン(重量比:99/1)
溶媒(6):N−メチル−2−ピロリドン
また、表4における、実施例および比較例のフィルム乾燥条件は以下の通りである。
条件(1):20℃/8hr→減圧下 100℃/8hr
条件(2):60℃/8hr→80℃/8hr
→減圧下 140℃/8hr
条件(3):60℃/8hr→80℃/8hr
→減圧下 100℃/24hr
条件(4):40℃/4hr→60℃/4hr
→減圧下 100℃/8hr
なお、減圧乾燥前に、塗膜をガラス板から剥離した。
Figure 2014192714
[実施例15]
実施例1で作製した光学フィルターを、DISCO社製フルオートマチックダイシングソーDFD6340を用いてダイシングを行い4.5mm×4.5mmの大きさにチップ化した。ダイシングブレードはDISCO社製SD5000−Y1−60(直径51mm、厚さ0.04mm)を用い、回転数は50000rpmとし、送り速度は10mm/secとした。ダイシングテープはデンカアドテックス社製UHP−110BZ(厚さ110μm)を用いた。ダイシング加工後のチップを、目視にて図2に示したクラックの発生有無を評価した結果、クラックは発生していなかった。
[実施例16]
実施例1で作製した光学フィルターの両面を厚さ50μmのポリエチレン製保護フィルムで覆い、厚さ250μmのポリエステルフィルムを下敷きとし、図3に示した打ち抜き刃型を使用して4.5mm×4.5mmの大きさにチップ化した。打ち抜き刃型の内テーパー角度は0度、刃先角度は50度とした。打ち抜いたチップを、目視にて図2に示したクラックの発生有無を評価した結果、クラックは発生していなかった。
各実施例の結果から明らかなように、本発明の上記要件を満たす光学フィルターは、入射角度による光学特性変化が少ない上に可視光透過率や近赤外線カット特性に優れており、固体撮像素子用途として要求される様々な特性を同時にバランスよく満たすことが出来る。このため、本発明の光学フィルターは、従来の光学フィルターと比べて特に固体撮像素子用途に好適に用いることが出来る。
1:光学フィルター
2:分光光度計
3:光
4:反射ミラー

Claims (12)

  1. 近赤外線吸収色素を含有する透明樹脂製基板と、
    前記基板の少なくとも一方の面上に形成された近赤外線反射膜とを有し、
    下記(A)〜(D)の要件を満たす光学フィルター:
    (A)波長430〜580nmの領域において、光学フィルターの垂直方向から測定した場合の透過率の平均値が75%以上。
    (B)波長800〜1000nmの領域において、光学フィルターの垂直方向に対して5°の角度から測定した場合の、少なくとも一方の面から測定した反射率の平均値が80%以上。
    (C)波長1100〜1200nmの領域において、光学フィルターの垂直方向に対して5°の角度から測定した場合の、少なくとも一方の面から測定した反射率の平均値が70%以上。
    (D)波長560〜800nmの領域において、光学フィルターの垂直方向から測定した場合の透過率が50%となる最も長い波長の値(Xa)と、光学フィルターの垂直方向に対して30°の角度から測定した場合の透過率が50%となる最も長い波長の値(Xb)との差の絶対値|Xa−Xb|が15nm未満。
  2. 下記(E)の要件をさらに満たす請求項1に記載の光学フィルター:
    (E)JIS K7105規格準拠の方法にて測定したヘーズ値が2.0%以下。
  3. 前記近赤外線反射膜が、
    波長550nmの光における屈折率が1.7超2.5以下である高屈折率材料層と波長550nmの光における屈折率が1.2以上1.7以下である低屈折材料層とが交互に積層された誘電体多層膜であり、
    前記誘電体多層膜中で最も屈折率が高い層と最も屈折率が低い層との屈折率比が1.3以上であり、隣り合う高屈折率材料層と低屈折率材料層との光学膜厚(物理膜厚×屈折率)の比が0.8〜1.2となる部分を連続で10層以上有する
    請求項1または2に記載の光学フィルター。
  4. 前記透明樹脂製基板を構成する透明樹脂が、環状オレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フルオレンポリカーボネート系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、(変性)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アリルエステル系樹脂およびシルセスキオキサン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルター。
  5. 前記透明樹脂製基板が、スクアリリウム系化合物、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、クロコニウム系化合物、ジチオール系化合物、ジイモニウム系化合物およびポルフィリン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の近赤外線吸収色素を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルター。
  6. 前記近赤外線吸収色素が、式(I)で表されるスクアリリウム系化合物および式(II)で表されるスクアリリウム系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルター。
    Figure 2014192714
    [式(I)中、Ra、RbおよびYは、下記(i)または(ii)の条件を満たす:
    (i)複数あるRaは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基、−L1または−NRef基を表し、ここでReおよびRfは、それぞれ独立に水素原子、−La、−Lb、−Lc、−Ldまたは−Leを表し;
    複数あるRbは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基、−L1または−NRgh基を表し、ここでRgおよびRhは、それぞれ独立に水素原子、−La、−Lb、−Lc、−Ld、−Leまたは−C(O)Ri基(Riは、−La、−Lb、−Lc、−Ldまたは−Leを表す。)を表し;
    複数あるYは、それぞれ独立に−NRjk基を表し、ここでRjおよびRkは、それぞれ独立に水素原子、−La、−Lb、−Lc、−Ldまたは−Leを表し;
    1は、La、Lb、Lc、Ld、Le、Lf、LgまたはLhであり;
    前記La〜Lhは、
    (La)炭素数1〜9の脂肪族炭化水素基、
    (Lb)炭素数1〜9のハロゲン置換アルキル基、
    (Lc)炭素数3〜14の脂環式炭化水素基、
    (Ld)炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、
    (Le)炭素数3〜14の複素環基、
    (Lf)炭素数1〜9のアルコキシ基、
    (Lg)炭素数1〜9のアシル基、または
    (Lh)炭素数1〜9のアルコキシカルボニル基
    を表し、前記La〜Lhは、置換基Lを有していてもよく;
    置換基Lは、炭素数1〜9の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜9のハロゲン置換アルキル基、炭素数3〜14の脂環式炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基および炭素数3〜14の複素環基からなる群より選ばれる少なくとも1種であり;
    前記La〜Lhは、さらにハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子または基を有していてもよく;
    (ii)1つのベンゼン環上の2つのRaのうちの少なくとも1つが、同じベンゼン環上のYと相互に結合して、窒素原子を少なくとも1つ含む構成原子数5または6の複素環を形成し、前記複素環は置換基を有していてもよく、Rbおよび前記複素環の形成に関与しないRaは、それぞれ独立に前記(i)のRbおよびRaと同義である。]
    Figure 2014192714
    [式(II)中、Xは、−O−、−S−、−Se−、>N−Rcまたは>CRd 2を表し;複数あるRcは、それぞれ独立に水素原子、−La、−Lb、−Lc、−Ldまたは−Leを表し;複数あるRdは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基、−L1または−NRef基を表し、隣り合うRd同士は連結して置換基を有していてもよい環を形成してもよく;La〜Le、L1、ReおよびRfは、前記式(I)において定義したLa〜Le、L1、ReおよびRfと同義である。]
  7. 前記透明樹脂製基板と、
    前記基板の両面上に形成された前記近赤外線反射膜と
    を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルター。
  8. 前記近赤外線反射膜が、誘電体多層膜であり、
    前記基板の両面上に形成された誘電体多層膜の層数差が12以下であり、且つ、物理膜厚の差が500nm以下である請求項7に記載の光学フィルター。
  9. 前記近赤外線反射膜が、誘電体多層膜であり、前記基板の両面上に形成されたそれぞれの誘電体多層膜において、任意の“下記(h)を満たす連続した10層”の平均光学膜厚同士を比較した場合、平均光学膜厚が厚い方の誘電体多層膜の平均光学膜厚がもう一方の誘電体多層膜の平均光学膜厚の1.05〜1.60倍である請求項7または8に記載の光学フィルター:
    (h)隣り合う高屈折率材料層と低屈折率材料層との光学膜厚(物理膜厚×屈折率)の比が0.8〜1.2。
  10. 固体撮像装置用である請求項1〜9のいずれか1項に記載の光学フィルター。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の光学フィルターを具備する固体撮像装置。
  12. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の光学フィルターを具備するカメラモジュール。
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