JPWO2014171552A1 - 含脂環基ポリマーを含む滑水膜形成用組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】幅広い温度範囲において滑水性を実現できるハードコートを形成できる滑水膜形成材料を提供すること。【解決手段】(a)炭素原子数3乃至30の脂環基を有する化合物をモノマーとして用い重合して得られる含脂環基ポリマー0.01〜20質量部、(b)活性エネルギー線硬化性多官能モノマー100質量部、及び(c)活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤0.1〜20質量部、を含む滑水膜形成用組成物、該組成物より得られる滑水膜、並びに該組成物を用いて形成される積層体。【選択図】なし
Description
本発明は、含脂環基ポリマーを含む滑水膜形成用組成物及びそれらを塗布することで得られる、滑水性を有するハードコート層に関する。
アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂及びABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂等のプラスチック材料は、バランスの取れた力学特性を有するとともに、成形性・軽量性・透明性に優れており、その特徴を生かして電子機器や化粧品の筐体等として広く利用されている。こうしたプラスチック材料の表面硬度、バリア性、耐薬品性、難燃性、耐熱性などの諸特性を向上させるために、光重合開始剤を含む多官能アクリレートを用いたUV硬化によるハードコート処理による手法が広く用いられている。
近年、プラスチックで形成されている自動車のヘッドランプ及びバックモニターカメラの有機樹脂レンズやバイク用ヘルメットのシールドなどに対して、雨などに濡れた場合の水滴が付着しにくい表面性能の要求が高まっている。近年、こうした表面性能として、従来より水滴を弾く性質として接触角の測定により評価されている“撥水性”だけでなく、傾斜表面での水滴の転落挙動により評価される“滑水性”(所謂“動的な濡れ性”)が注目されている。
またこうした表面性能は、上述の用途において想定される実用的な温度範囲にて、例えば室温(約20℃)±30℃程度の温度範囲において保持できることが求められる。
またこうした表面性能は、上述の用途において想定される実用的な温度範囲にて、例えば室温(約20℃)±30℃程度の温度範囲において保持できることが求められる。
これまでにもガラス上の撥水性及び滑水性を有する被膜としては、パーフルオロアルキル構造を有するシラン化合物あるいはシリコーン構造を有するシラン化合物等をガラス基材上のシラノール基と反応させることで形成したものが提案されている。しかし、シラン化合物はガラスなどのヒドロキシ基を表面に有する基材に対しては上述の被膜を形成することが可能であるが、上述のアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂などのプラスチック材料は、ヒドロキシ基を有さないものが多いため、これらの基材はシラン化合物を用いて撥水性及び滑水性を有する被膜を形成する方法には適さない基材である。
一方、水滴の付着を抑制する方法の一つとして、フッ素系樹脂などの疎水性材料で表面を被覆する方法や、材料の混練時にフッ素系表面改質剤を添加する方法による滑水性の付与が従来より提案されている。
またシリコーン系材料を表面改質剤として用い、これと1分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物とを含む組成物を基材に塗布し、活性エネルギー線を照射することによる滑水性被膜の形成方法が開示されており、ハードコート層表面に滑水性を付与する方法が提案されている(特許文献1)。
またシリコーン系材料を表面改質剤として用い、これと1分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物とを含む組成物を基材に塗布し、活性エネルギー線を照射することによる滑水性被膜の形成方法が開示されており、ハードコート層表面に滑水性を付与する方法が提案されている(特許文献1)。
しかし、プラスチック材料の表面改質においてシリコーン系材料を用いた従来の提案では、一定の撥水性をハードコート表面に付与することが可能であるが、滑水性に関しては、まだ十分といえるものではなかった。
また、フッ素系表面改質剤は、室温における滑水性を好適なものとすることはできても、例えば室温よりも高温の環境下に晒された後においては好適な滑水性を維持できず、幅広い温度範囲において滑水性を保持できる提案はこれまでになされていない。
また、フッ素系表面改質剤は、室温における滑水性を好適なものとすることはできても、例えば室温よりも高温の環境下に晒された後においては好適な滑水性を維持できず、幅広い温度範囲において滑水性を保持できる提案はこれまでになされていない。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、脂環基を含むポリマーを活性エネルギー線硬化性コーティング液に添加することにより、滑水性に優れ、しかもその性能が幅広い温度範囲において保持できるハードコートを形成可能であることが見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、第1観点として、
(a)炭素原子数3乃至30の脂環基を有する化合物を少なくともモノマーとして用い重合して得られる含脂環基ポリマー0.01〜20質量部、
(b)活性エネルギー線硬化性多官能モノマー100質量部、及び
(c)活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤0.1〜20質量部、
を含む滑水膜形成用組成物に関する。
第2観点として、前記炭素原子数3乃至30の脂環基を有する化合物は、それのみをモノマーとして重合したときのポリマーが60〜300℃のガラス転移点を有するものとなる化合物である、第1観点に記載の滑水膜形成用組成物に関する。
第3観点として、前記炭素原子数3乃至30の脂環基を有する化合物が(メタ)アクリレート類である、第1観点又は第2観点に記載の滑水膜形成用組成物に関する。
第4観点として、前記炭素原子数3乃至30の脂環基を有する化合物が、シクロヘキサン環、ノルボルナン環、アダマンタン環及びトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環からなる群から選ばれる少なくとも1つの脂環構造を有するモノマーである、第1観点乃至第3観点のうち何れか一項に記載の滑水膜形成用組成物に関する。
第5観点として、前記炭素原子数3乃至30の脂環基を有する化合物が、4−tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−メチルアダマンタン−2−イルメタクリレート及びトリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1つである、第4観点に記載の滑水膜形成用組成物に関する。
第6観点として、前記(b)多官能モノマーが、多官能(メタ)アクリレート化合物及び多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つである、第1観点乃至第5観点のうち何れか一項に記載の滑水膜形成用組成物に関する。
第7観点として、前記(c)重合開始剤がアルキルフェノン化合物である、第1観点乃至第6観点のうち何れか一項に記載の滑水膜形成用組成物に関する。
第8観点として、さらに(d)溶媒を含む、第1観点乃至第7観点のうち何れか一項に記載の滑水膜形成用組成物に関する。
第9観点として、第1観点乃至第8観点のうち何れか一項に記載の滑水膜形成用組成物より得られる滑水膜に関する。
第10観点として、基材の少なくとも一方の面にハードコート層を備える積層体であって、該ハードコート層が、第1観点乃至第8観点のうち何れか一項に記載の滑水膜形成用組成物を前記基材上に塗布し塗膜を形成する工程、及び塗膜に活性エネルギー線を照射し硬化する工程を含む方法により形成されている、積層体に関する。
第11観点として、前記ハードコート層が1nm〜1mmの膜厚を有する、第10観点に記載の積層体に関する。
(a)炭素原子数3乃至30の脂環基を有する化合物を少なくともモノマーとして用い重合して得られる含脂環基ポリマー0.01〜20質量部、
(b)活性エネルギー線硬化性多官能モノマー100質量部、及び
(c)活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤0.1〜20質量部、
を含む滑水膜形成用組成物に関する。
第2観点として、前記炭素原子数3乃至30の脂環基を有する化合物は、それのみをモノマーとして重合したときのポリマーが60〜300℃のガラス転移点を有するものとなる化合物である、第1観点に記載の滑水膜形成用組成物に関する。
第3観点として、前記炭素原子数3乃至30の脂環基を有する化合物が(メタ)アクリレート類である、第1観点又は第2観点に記載の滑水膜形成用組成物に関する。
第4観点として、前記炭素原子数3乃至30の脂環基を有する化合物が、シクロヘキサン環、ノルボルナン環、アダマンタン環及びトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環からなる群から選ばれる少なくとも1つの脂環構造を有するモノマーである、第1観点乃至第3観点のうち何れか一項に記載の滑水膜形成用組成物に関する。
第5観点として、前記炭素原子数3乃至30の脂環基を有する化合物が、4−tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−メチルアダマンタン−2−イルメタクリレート及びトリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1つである、第4観点に記載の滑水膜形成用組成物に関する。
第6観点として、前記(b)多官能モノマーが、多官能(メタ)アクリレート化合物及び多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つである、第1観点乃至第5観点のうち何れか一項に記載の滑水膜形成用組成物に関する。
第7観点として、前記(c)重合開始剤がアルキルフェノン化合物である、第1観点乃至第6観点のうち何れか一項に記載の滑水膜形成用組成物に関する。
第8観点として、さらに(d)溶媒を含む、第1観点乃至第7観点のうち何れか一項に記載の滑水膜形成用組成物に関する。
第9観点として、第1観点乃至第8観点のうち何れか一項に記載の滑水膜形成用組成物より得られる滑水膜に関する。
第10観点として、基材の少なくとも一方の面にハードコート層を備える積層体であって、該ハードコート層が、第1観点乃至第8観点のうち何れか一項に記載の滑水膜形成用組成物を前記基材上に塗布し塗膜を形成する工程、及び塗膜に活性エネルギー線を照射し硬化する工程を含む方法により形成されている、積層体に関する。
第11観点として、前記ハードコート層が1nm〜1mmの膜厚を有する、第10観点に記載の積層体に関する。
本発明の滑水膜形成用組成物は、プラスチック材料の表面上に滑水性に優れる滑水膜(ハードコート)を形成することができる。
特に本発明の滑水膜形成用組成物は、上述の滑水性を室温付近だけでなく幅広い温度範囲にて実現することができる滑水膜(ハードコート)を形成することができる。
特に本発明の滑水膜形成用組成物は、上述の滑水性を室温付近だけでなく幅広い温度範囲にて実現することができる滑水膜(ハードコート)を形成することができる。
<滑水膜形成用組成物>
本発明の滑水膜形成用組成物は、(a)含脂環基ポリマー、(b)活性エネルギー線硬化性多官能モノマー、(c)活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤を含有し、所望により(d)溶媒をさらに含みて構成される。
本発明の滑水膜形成用組成物は、表面改質剤として前記(a)含脂環基ポリマーを添加することにより、プラスチック材料の表面上に滑水性に優れ、しかも滑水性が幅広い温度範囲(室温±30℃程度)で実現できるハードコート、すなわち滑水膜を形成することができる。
本明細書において滑水性とは、単に傾斜表面に対する液滴の安定性(転落角)を評価したものではなく、傾斜表面での水滴の転落挙動により評価される表面性能を指し、撥水表面における水滴の除去性能とその際の挙動を意味するものである。したがって滑水性は、例えば、所定の傾斜角において一定重量の液滴が移動する(転落する)速度やその加速度の測定、移動する際の液滴の形状変化や内部流動の観察により評価することができる。
本発明では、一定重量の液滴を載せた試料基板を水平の位置より傾斜させた際、液滴の表面が傾斜面(試料基板)と接触する部位のうち最も下位の点が、傾斜面の下方に向かって変位した時点の、水平の位置に対する試料基板の傾斜角度を滑落角と定義して測定し、滑水性の指標として評価する。
以下にまず各(a)乃至(d)成分を詳述する。
本発明の滑水膜形成用組成物は、(a)含脂環基ポリマー、(b)活性エネルギー線硬化性多官能モノマー、(c)活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤を含有し、所望により(d)溶媒をさらに含みて構成される。
本発明の滑水膜形成用組成物は、表面改質剤として前記(a)含脂環基ポリマーを添加することにより、プラスチック材料の表面上に滑水性に優れ、しかも滑水性が幅広い温度範囲(室温±30℃程度)で実現できるハードコート、すなわち滑水膜を形成することができる。
本明細書において滑水性とは、単に傾斜表面に対する液滴の安定性(転落角)を評価したものではなく、傾斜表面での水滴の転落挙動により評価される表面性能を指し、撥水表面における水滴の除去性能とその際の挙動を意味するものである。したがって滑水性は、例えば、所定の傾斜角において一定重量の液滴が移動する(転落する)速度やその加速度の測定、移動する際の液滴の形状変化や内部流動の観察により評価することができる。
本発明では、一定重量の液滴を載せた試料基板を水平の位置より傾斜させた際、液滴の表面が傾斜面(試料基板)と接触する部位のうち最も下位の点が、傾斜面の下方に向かって変位した時点の、水平の位置に対する試料基板の傾斜角度を滑落角と定義して測定し、滑水性の指標として評価する。
以下にまず各(a)乃至(d)成分を詳述する。
[(a)含脂環基ポリマー]
上記(a)含脂環基ポリマーは、炭素原子数3乃至30の脂環基を有する化合物をモノマーとして用い重合して得られるポリマー(以下、単に(a)含脂環基ポリマーとも称する)である。
ここで含脂環基ポリマーは、一種類の炭素原子数3乃至30の脂環基を有する化合物を用いて得られるポリマーであってもよいし、二種以上の炭素原子数3乃至30の脂環基を有する化合物を用いて得られるポリマー(共重合体)であってもよい。二種以上の炭素原子数3乃至30の脂環基を有する化合物を用いて得られる共重合体の場合には、それらはランダム共重合体、ブロック共重合体またはそれらの組合せのいずれであってもよい。
上記(a)含脂環基ポリマーは、炭素原子数3乃至30の脂環基を有する化合物をモノマーとして用い重合して得られるポリマー(以下、単に(a)含脂環基ポリマーとも称する)である。
ここで含脂環基ポリマーは、一種類の炭素原子数3乃至30の脂環基を有する化合物を用いて得られるポリマーであってもよいし、二種以上の炭素原子数3乃至30の脂環基を有する化合物を用いて得られるポリマー(共重合体)であってもよい。二種以上の炭素原子数3乃至30の脂環基を有する化合物を用いて得られる共重合体の場合には、それらはランダム共重合体、ブロック共重合体またはそれらの組合せのいずれであってもよい。
好ましくは、(a)含脂環基ポリマーを構成する前記炭素原子数3乃至30の脂環基を有する化合物は、これのみをモノマーとして重合したときのポリマーのガラス転移点が60〜300℃である化合物であることが好ましく、80〜300℃である化合物であることがより好ましい。
中でも、前記炭素原子数3乃至30の脂環基を有する化合物が(メタ)アクリレート類であること、特にシクロヘキサン環、ノルボルナン環、アダマンタン環及びトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環からなる群から選ばれる少なくとも1つの脂環構造を有する化合物であることが好ましい。
中でも、前記炭素原子数3乃至30の脂環基を有する化合物が(メタ)アクリレート類であること、特にシクロヘキサン環、ノルボルナン環、アダマンタン環及びトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環からなる群から選ばれる少なくとも1つの脂環構造を有する化合物であることが好ましい。
上記(a)含脂環基ポリマーを構成する炭素原子数3乃至30の脂環基を有する化合物として好適な化合物として、例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、メンチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレート、2−エチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
中でも、4−tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレート及びトリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物であることが特に好ましい。
なお、本発明では(メタ)アクリレート化合物とは、アクリレート化合物とメタクリレート化合物の両方をいう。例えば(メタ)アクリル酸は、アクリル酸とメタクリル酸をいう。
中でも、4−tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレート及びトリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物であることが特に好ましい。
なお、本発明では(メタ)アクリレート化合物とは、アクリレート化合物とメタクリレート化合物の両方をいう。例えば(メタ)アクリル酸は、アクリル酸とメタクリル酸をいう。
本発明における(a)含脂環基ポリマーは、重合成分として、上述の炭素原子数3乃至30の脂環基を有する化合物のみを用いて得られるポリマーであることが好ましいが、本発明の効果を損なわない限りにおいて、その他の重合性モノマー、例えば脂環基を含まない(メタ)アクリル酸及びその誘導体や、ビニル化合物及びその誘導体などの一種以上の他の重合性化合物を重合成分としてさらに用いてもよい。
こうしたその他の重合性化合物と、上述の炭素原子数3乃至30の脂環基を有する化合物より含脂環基ポリマーが構成される場合、これらはランダム結合、ブロック結合、またはそれらの組合せのいずれであってもよい。
こうしたその他の重合性化合物と、上述の炭素原子数3乃至30の脂環基を有する化合物より含脂環基ポリマーが構成される場合、これらはランダム結合、ブロック結合、またはそれらの組合せのいずれであってもよい。
(a)含脂環基ポリマーは、上記炭素原子数3乃至30の脂環基を有する化合物を一般的なラジカル重合を実施することにより調製され得、例えば上記化合物を重合開始剤の存在下にて、公知の重合方法、例えば溶液重合、分散重合、沈殿重合及び塊状重合等の方法にて重合させることにより得ることができる。
中でも、溶液重合又は沈殿重合が好ましく、特に分子量制御の点から、有機溶媒中での溶媒重合が好ましい。
中でも、溶液重合又は沈殿重合が好ましく、特に分子量制御の点から、有機溶媒中での溶媒重合が好ましい。
本発明の滑水膜形成用組成物に使用する(a)含脂環基ポリマーのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量(Mw)は、1,000〜500,000、好ましくは2,000〜100,000である。
[(b)活性エネルギー線硬化性多官能モノマー]
上記(b)活性エネルギー線硬化性多官能モノマー(以下、単に(b)多官能モノマーとも称する)としては、ウレタンアクリル系、エポキシアクリル系、各種(メタ)アクリレート系等の(メタ)アクリル基を2個以上含有する多官能モノマー等が挙げられる。
好ましくは、多官能(メタ)アクリレート化合物及び多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つのモノマーであることが望ましい。
上記(b)活性エネルギー線硬化性多官能モノマー(以下、単に(b)多官能モノマーとも称する)としては、ウレタンアクリル系、エポキシアクリル系、各種(メタ)アクリレート系等の(メタ)アクリル基を2個以上含有する多官能モノマー等が挙げられる。
好ましくは、多官能(メタ)アクリレート化合物及び多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つのモノマーであることが望ましい。
このような活性エネルギー線硬化性多官能モノマーのうち、多官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエチレングリコール付加物テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレングリコール付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエチレングリコール付加物ジ(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレングリコール付加物トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレングリコール付加物トリ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、ε−カプロラクトン変性トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロピレングリコール付加物トリス(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1−アクリロイルオキシ−3−メタクリロイルオキシプロパン、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、ウンデシレノキシエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス[4−(メタ)アクリロイルチオフェニル]スルフィド、ビス[2−(メタ)アクリロイルチオエチル]スルフィド、1,3−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジメタノールジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
これら化合物は一種を単独で用いてもよいし、必要に応じて二種以上を混合して用いてもよい。
これらの例示の中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル基を3個以上含有する化合物が好ましく、さらにペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル基を4個以上含有する化合物がより好ましい。
これら化合物は一種を単独で用いてもよいし、必要に応じて二種以上を混合して用いてもよい。
これらの例示の中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル基を3個以上含有する化合物が好ましく、さらにペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル基を4個以上含有する化合物がより好ましい。
また、多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、エチレン性不飽和結合の部位を有する(メタ)アクリル基を2個以上有するウレタン化合物が挙げられる。なお、本発明で好適に用いられる多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物は、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート或いは芳香族ウレタン(メタ)アクリレートの何れであってもよい。これら化合物は一種を単独で用いてもよいし、必要に応じて二種以上を混合して用いてもよい。
本発明で好適に用いられる多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物は、例えば、ポリイソシアネート化合物と活性水素を有する(メタ)アクリル系モノマーとの反応により得られる。
上記ポリイソシアネート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロメタンジイソシアネート或いはこれらジイソシアネート化合物のうち芳香族のイソシアネート類を水添して得られるジイソシアネート化合物(例えば水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物)、トリフェニルメタントリイソシアネート、ジメチレントリフェニルトリイソシアネートなどのような2価あるいは3価のジイソシアネート化合物あるいはポリイソシアネート化合物や、これらを多量化させて得られる多量化ポリイソシアネート化合物等のイソシアネート基含有化合物が挙げられる。
また活性水素を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド等が挙げられ、これらのラクトン付加物(例えば、(株)ダイセル製のプラクセル(登録商標)FAシリーズ、同FMシリーズ等)も使用することができる。また、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(例えば、ダイセル・サイテック(株)製「DPHA」等)も使用可能である。
上記ポリイソシアネート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロメタンジイソシアネート或いはこれらジイソシアネート化合物のうち芳香族のイソシアネート類を水添して得られるジイソシアネート化合物(例えば水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物)、トリフェニルメタントリイソシアネート、ジメチレントリフェニルトリイソシアネートなどのような2価あるいは3価のジイソシアネート化合物あるいはポリイソシアネート化合物や、これらを多量化させて得られる多量化ポリイソシアネート化合物等のイソシアネート基含有化合物が挙げられる。
また活性水素を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド等が挙げられ、これらのラクトン付加物(例えば、(株)ダイセル製のプラクセル(登録商標)FAシリーズ、同FMシリーズ等)も使用することができる。また、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(例えば、ダイセル・サイテック(株)製「DPHA」等)も使用可能である。
これら多官能ウレタン(メタ)アクリレートの市販品の具体例としては、共栄社化学(株)製:AH−600、AT−600、UA−306H、UA−306T、UA−306I、UA−510H、UF−8001G、DAUA−167等;ダイセル・サイテック(株)製:EBECRYL(登録商標)204、同205、同210、同215、同220、同6202、同230、同244、同245、同264、同265、同270、同280/15IB、同1259、同5129、同8210、同8301、同8307、同8411、同8804、同8807、同9227EA、同9260、同284、同285、同294/25HD、同4820、同4858、同8402、同8405、同9270、同8311、同8701、KRM8200、KRM8200AE、KRM7735、KRM8296、KRM8452;日本合成化学(株)製:紫光(登録商標)UV−1700B、同UV−6300B、同UV−7550B、同UV−7600B、同UV−7605B、同UV−7610B、同UV−7620E、同UV−7620EA、同UV−7630B、同UV−7640B、同UV−7650B等を挙げることができる。
また(b)多官能モノマーは、上記多官能(メタ)アクリレート化合物と上記多官能ウレタン(メタ)アクリレートを混合して使用してもよい。
[(c)活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤]
上記(c)活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤(以下、単に(c)重合開始剤とも称する)は、例えば紫外線(光)等の活性エネルギー線照射時に活性ラジカルを生成する化合物(光ラジカル重合開始剤)であれば特に限定されることなく使用できる。
このような光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン系化合物、アルキルフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、アジド系化合物、ジアゾ系化合物、o−キノンジアジド系化合物、アシルホスフィンオキシド系化合物、オキシムエステル系化合物、ベンゾフェノン類、ビスクマリン、ビスイミダゾール化合物、有機過酸化物、チタノセン化合物、チオール化合物、ハロゲン化炭化水素化合物、トリクロロメチルトリアジン化合物、あるいはヨードニウム塩化合物、スルホニウム塩化合物などのオニウム塩化合物等が用いられる。
これら重合開始剤は単独で用いてもよいし、必要に応じて二種以上を混合して用いてもよい。
上記(c)活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤(以下、単に(c)重合開始剤とも称する)は、例えば紫外線(光)等の活性エネルギー線照射時に活性ラジカルを生成する化合物(光ラジカル重合開始剤)であれば特に限定されることなく使用できる。
このような光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン系化合物、アルキルフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、アジド系化合物、ジアゾ系化合物、o−キノンジアジド系化合物、アシルホスフィンオキシド系化合物、オキシムエステル系化合物、ベンゾフェノン類、ビスクマリン、ビスイミダゾール化合物、有機過酸化物、チタノセン化合物、チオール化合物、ハロゲン化炭化水素化合物、トリクロロメチルトリアジン化合物、あるいはヨードニウム塩化合物、スルホニウム塩化合物などのオニウム塩化合物等が用いられる。
これら重合開始剤は単独で用いてもよいし、必要に応じて二種以上を混合して用いてもよい。
上記ベンゾイン系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等を挙げることができる。
上記アルキルフェノン系化合物としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシル=フェニル=ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−(4−(4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル)フェニル)−2−メチルプロパン−1オン、フェニルグリオキシル酸メチル、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−((4−メチルフェニル)メチル)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン等を挙げることができる。
上記チオキサントン系化合物としては、例えば、チオキサントン、1−クロロチオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等を挙げることができる。
上記アジド系化合物としては、例えば、p−アジドベンズアルデヒド、p−アジドアセトフェノン、p−アジド安息香酸、p−アジドベンザルアセトフェノン、4,4’−ジアジドカルコン、4,4’−ジアジドジフェニルスルフィド、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ジアジドスチルベン等を挙げることができる。
上記ジアゾ系化合物としては、例えば、2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、2,2’−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−(1−ヒドロキシブチル))プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−(1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)、1−ジアゾ−2,5−ジエトキシ−4−p−トリルメルカプトベンゼンボロフルオリド、1−ジアゾ−4−N,N−ジメチルアミノベンゼンクロリド、1−ジアゾ−4−N,N−ジエチルアミノベンゼンボロフルオリド等を挙げることができる。
上記o−キノンジアジド系化合物としては、例えば、o−ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホン酸ナトリウム塩、o−ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホン酸エステル、o−ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルクロリド等を挙げることができる。
上記アシルホスフィンオキシド系化合物としては、例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等を挙げることができる。
上記オキシムエステル系化合物としては、例えば、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン等を挙げることが出来る。
上記ベンゾフェノン類としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、1,4−ジベンゾイルベンゼン、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルジフェニルエーテル、ベンジル等を挙げることができる。
上記ビスクマリンとしては、例えば、3,3’−カルボニルビス(7−(ジエチルアミノ)−2H−クロメン−2−オン)(みどり化学(株)でBC(CAS[63226−13−1])として市販されている)等を挙げることができる。
上記ビスイミダゾール化合物としては、例えば、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(3,4,5−トリメトキシフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等を挙げることができる。
上記有機過酸化物としては、例えば、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化ジ−tert−ブチル等を挙げることが出来る。
上記チタノセン化合物は、例えば、ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロチタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジフェニルチタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ビス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ビス(2,4,6−トリフルオロフェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ビス(2,6−ジフルオロフェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ビス(2,4−ジフルオロフェニル)チタニウム、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)チタニウム、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ビス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)チタニウム、ビス(2,6−ジフルオロフェニル)ビス(メチルシクロペンタジエニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム等を挙げることができる。
上記(c)重合開始剤の中でも、特にアルキルフェノン化合物が好ましい。アルキルフェノン系光重合開始剤として市販の光重合開始剤を使用することができ、例えば、BASFジャパン(株)製:IRGACURE(登録商標)651、同184、同2959、同127、同907、同369、同379EG、DAROCUR(登録商標)1173、同MBF等を挙げることができる。
[(d)溶媒]
本発明の硬化性組成物は、さらに(d)溶媒を含みてワニスの形態としていてもよい。
この時用いられる溶媒としては、前記(a)〜(c)成分並びに後述するその他成分を溶解又は分散するものであればよく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン、ミネラルスピリット、シクロヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水素類;塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、オルトジクロロベンゼン等のハロゲン化物類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸3−メトキシブチル、γ−ブチロラクトン、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等のエステル類又はエステルエーテル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジ−n−ブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等のアミド類;ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド類などの有機溶媒が挙げられる。これらの有機溶媒は一種を単独で使用してもよく、また二種以上の有機溶媒を混合して使用してもよい。
本発明の硬化性組成物は、さらに(d)溶媒を含みてワニスの形態としていてもよい。
この時用いられる溶媒としては、前記(a)〜(c)成分並びに後述するその他成分を溶解又は分散するものであればよく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン、ミネラルスピリット、シクロヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水素類;塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、オルトジクロロベンゼン等のハロゲン化物類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸3−メトキシブチル、γ−ブチロラクトン、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等のエステル類又はエステルエーテル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジ−n−ブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等のアミド類;ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド類などの有機溶媒が挙げられる。これらの有機溶媒は一種を単独で使用してもよく、また二種以上の有機溶媒を混合して使用してもよい。
本発明の滑水膜形成用組成物は、上記(a)〜(c)成分を(b)多官能モノマー100質量部に対して(a)含脂環基ポリマーを0.01〜20質量部、好ましくは0.1〜10質量部、(c)重合開始剤を0.1〜20質量部、好ましくは1〜10質量部の配合比にて含む。
また(d)溶媒を含む場合には、全成分(a)〜(d)の総質量(合計質量)に対して、(a)〜(c)成分の総質量の濃度(固形分濃度)が0.5〜80質量%であり、好ましくは1〜70質量%であり、より好ましくは1〜60質量%とすることが好ましい。ここで固形分とは滑水膜形成用組成物の全成分から溶媒成分を除いたものである。
また(d)溶媒を含む場合には、全成分(a)〜(d)の総質量(合計質量)に対して、(a)〜(c)成分の総質量の濃度(固形分濃度)が0.5〜80質量%であり、好ましくは1〜70質量%であり、より好ましくは1〜60質量%とすることが好ましい。ここで固形分とは滑水膜形成用組成物の全成分から溶媒成分を除いたものである。
[その他添加剤]
さらに、本発明の滑水膜形成用組成物には、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて一般的に添加される添加剤、例えば、光増感剤、重合禁止剤、重合開始剤、レベリング剤、界面活性剤、密着性付与剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、貯蔵安定剤、帯電防止剤、無機充填剤、顔料、染料等を適宜配合してよい。
さらに、本発明の滑水膜形成用組成物には、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて一般的に添加される添加剤、例えば、光増感剤、重合禁止剤、重合開始剤、レベリング剤、界面活性剤、密着性付与剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、貯蔵安定剤、帯電防止剤、無機充填剤、顔料、染料等を適宜配合してよい。
<滑水膜>
本発明の上記滑水膜形成用組成物は、基材上にコーティングして光重合(硬化)させることにより、滑水膜(硬化膜)や積層体などの成形品を成すことができる。こうして得られる滑水膜もまた、本発明の対象である。
前記基材としては、例えば、プラスチック材料[ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)等)、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロース、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合物)樹脂、AS(アクリロニトリル−スチレン共重合物)樹脂、ノルボルネン系樹脂等]、金属、木材、紙、ガラス、二酸化ケイ素、スレート等を挙げることができ、中でも好ましくはプラスチック材料である。これら基材の形状は板状、フィルム状又は3次元成形体でもよい。
本発明の上記滑水膜形成用組成物は、基材上にコーティングして光重合(硬化)させることにより、滑水膜(硬化膜)や積層体などの成形品を成すことができる。こうして得られる滑水膜もまた、本発明の対象である。
前記基材としては、例えば、プラスチック材料[ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)等)、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロース、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合物)樹脂、AS(アクリロニトリル−スチレン共重合物)樹脂、ノルボルネン系樹脂等]、金属、木材、紙、ガラス、二酸化ケイ素、スレート等を挙げることができ、中でも好ましくはプラスチック材料である。これら基材の形状は板状、フィルム状又は3次元成形体でもよい。
本発明の滑水膜形成用組成物のコーティング方法は、キャストコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、スプレーコート法、カーテンコート法、インクジェット法、印刷法(凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等)等を適宜選択し得、中でも短時間で塗布できることから揮発性の高い溶液であっても利用でき、また、容易に均一な塗布を行うことができるという利点より、スピンコート法を用いることが望ましい。また、簡単に塗布することができ、かつ、大面積に塗装ムラがなく平滑な塗膜を形成することができるという利点より、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、スプレーコート法を用いることが望ましい。ここで用いる滑水膜形成用組成物は、前述のワニスの形態にあるものを好適に使用できる。なお事前に孔径が0.2μm程度のフィルタなどを用いて滑水膜形成用組成物を濾過した後、コーティングに供することが好ましい。
コーティング後、好ましくは続いてホットプレート又はオーブン等で塗膜を予備乾燥した後、紫外線等の活性エネルギー線を照射して光硬化させる。活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線等が挙げられる。紫外線照射に用いる光源としては、太陽光線、ケミカルランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、UV−LED等が使用できる。
なお、コーティングによる滑水膜の厚さは、乾燥、硬化後において、通常1nm〜50μm、好ましくは1nm〜20μmである。
なお、コーティングによる滑水膜の厚さは、乾燥、硬化後において、通常1nm〜50μm、好ましくは1nm〜20μmである。
<ハードコート層を備える積層体>
また本発明の上記滑水膜形成用組成物を前記基材上に塗布し塗膜を形成する工程、そして塗膜に紫外線等の活性エネルギー線を照射し硬化する工程とを含む方法により形成されている、基材の少なくとも一部の面にハードコート層を備える積層体もまた本発明の対象である。
ここで使用する基材や塗布方法、紫外線等のエネルギー線照射については、前述の<滑水膜>における基材、コーティング方法、紫外線照射の通りである。
また、前記積層体における基材は、ポリ(メタ)アクリレート樹脂やポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂であることが好ましい。
なお、前記積層体において、ハードコート層の膜厚が1nm〜1mmであることが好ましく、より好ましくは1nm〜50μm、特に好ましくは1nm〜20μmである。
また本発明の上記滑水膜形成用組成物を前記基材上に塗布し塗膜を形成する工程、そして塗膜に紫外線等の活性エネルギー線を照射し硬化する工程とを含む方法により形成されている、基材の少なくとも一部の面にハードコート層を備える積層体もまた本発明の対象である。
ここで使用する基材や塗布方法、紫外線等のエネルギー線照射については、前述の<滑水膜>における基材、コーティング方法、紫外線照射の通りである。
また、前記積層体における基材は、ポリ(メタ)アクリレート樹脂やポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂であることが好ましい。
なお、前記積層体において、ハードコート層の膜厚が1nm〜1mmであることが好ましく、より好ましくは1nm〜50μm、特に好ましくは1nm〜20μmである。
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例において、試料の調製及び物性の分析に用いた装置及び条件は、以下の通りである。
なお、実施例において、試料の調製及び物性の分析に用いた装置及び条件は、以下の通りである。
(1)ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
装置:東ソー(株)製 HLC−8220GPC
カラム:昭和電工(株)製 Shodex(登録商標)GPC KF−804L、GPC KF−805L
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン
検出器:RI
(2)ガラス転移温度(Tg)測定
装置:NETZSCH社製 DSC204 F1 Phoenix(登録商標)
測定条件:窒素雰囲気下
昇温速度:5℃/分(25−200℃)
(3)5%重量減少温度(Td5%)測定
装置:(株)リガク製 TG8120
測定条件:空気雰囲気下
昇温速度:10℃/分(25−400℃)
(4)1H NMRスペクトル
装置:日本電子データム(株)製 JNM−ECA700
溶媒:CDCl3
基準:CHCl3(7.24ppm)
(5)スピンコーター
装置:ミカサ(株)製 MS−A100
(6)オーブン
装置:アドバンテック東洋(株)製 DRC433FA
(7)UV照射
装置:アイグラフィックス(株)製 H02−L41
(8)接触角及び滑落角測定
装置:協和界面科学(株)社製 DM−501、DM−SA01(滑落法キット)
測定温度:20℃
傾斜速度(滑落角測定):2度/秒
装置:東ソー(株)製 HLC−8220GPC
カラム:昭和電工(株)製 Shodex(登録商標)GPC KF−804L、GPC KF−805L
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン
検出器:RI
(2)ガラス転移温度(Tg)測定
装置:NETZSCH社製 DSC204 F1 Phoenix(登録商標)
測定条件:窒素雰囲気下
昇温速度:5℃/分(25−200℃)
(3)5%重量減少温度(Td5%)測定
装置:(株)リガク製 TG8120
測定条件:空気雰囲気下
昇温速度:10℃/分(25−400℃)
(4)1H NMRスペクトル
装置:日本電子データム(株)製 JNM−ECA700
溶媒:CDCl3
基準:CHCl3(7.24ppm)
(5)スピンコーター
装置:ミカサ(株)製 MS−A100
(6)オーブン
装置:アドバンテック東洋(株)製 DRC433FA
(7)UV照射
装置:アイグラフィックス(株)製 H02−L41
(8)接触角及び滑落角測定
装置:協和界面科学(株)社製 DM−501、DM−SA01(滑落法キット)
測定温度:20℃
傾斜速度(滑落角測定):2度/秒
AD:1−アダマンチルメタクリレート[出光興産(株)製 アダマンテート(登録商標)M−104、ホモポリマーTg:200℃以上]
CH:シクロヘキシルアクリレート[東京化成工業(株)製、ホモポリマーTg:15℃]
TBCH:4−tert−ブチルシクロヘキシルメタクリレート[日油(株)製 ブレンマー(登録商標)TBCHMA、ホモポリマーTg:118℃]
DCP:トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルメタクリレート[日立化成(株)製 ファンクリル(登録商標)FA−513M、ホモポリマーTg:175℃]
IB:イソボルニルメタクリレート[共栄社化学(株)製 ライトエステルIB−X、ホモポリマーTg:180℃]
MAD:2−メチルアダマンタン−2−イルメタクリレート[出光興産(株)製 アダマンテート(登録商標)MM、ホモポリマーTg:170〜200℃]
MAIB:2,2’−アゾビス(イソ酪酸メチル)[大塚化学(株)製 MAIB]
UV7600B:多官能ウレタンアクリレート[日本合成化学(株)製 紫光(登録商標)UV−7600B]
Irg.184:1−ヒドロキシシクロヘキシル=フェニル=ケトン[BASFジャパン(株)製 IRGACURE(登録商標)184]
RS75:フッ素系表面改質剤[DIC(株)製 メガファック(登録商標)RS−75]
PMMA:ポリメタクリル酸メチル
MEK:メチルエチルケトン
MIBK:メチルイソブチルケトン
THF:テトラヒドロフラン
CH:シクロヘキシルアクリレート[東京化成工業(株)製、ホモポリマーTg:15℃]
TBCH:4−tert−ブチルシクロヘキシルメタクリレート[日油(株)製 ブレンマー(登録商標)TBCHMA、ホモポリマーTg:118℃]
DCP:トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルメタクリレート[日立化成(株)製 ファンクリル(登録商標)FA−513M、ホモポリマーTg:175℃]
IB:イソボルニルメタクリレート[共栄社化学(株)製 ライトエステルIB−X、ホモポリマーTg:180℃]
MAD:2−メチルアダマンタン−2−イルメタクリレート[出光興産(株)製 アダマンテート(登録商標)MM、ホモポリマーTg:170〜200℃]
MAIB:2,2’−アゾビス(イソ酪酸メチル)[大塚化学(株)製 MAIB]
UV7600B:多官能ウレタンアクリレート[日本合成化学(株)製 紫光(登録商標)UV−7600B]
Irg.184:1−ヒドロキシシクロヘキシル=フェニル=ケトン[BASFジャパン(株)製 IRGACURE(登録商標)184]
RS75:フッ素系表面改質剤[DIC(株)製 メガファック(登録商標)RS−75]
PMMA:ポリメタクリル酸メチル
MEK:メチルエチルケトン
MIBK:メチルイソブチルケトン
THF:テトラヒドロフラン
[製造例1]含脂環基ポリマー1の製造
50mLの二つ口フラスコに、DCP4.42g(20mmol)、MAIB0.23g(1mmol)、及びMEK9gを仕込んだ。フラスコ内を窒素で置換した後、この混合物を80℃で2時間撹拌した。反応溶液にMEK21gを加え、これを冷メタノール88gに添加して生成物を沈殿させた。得られたスラリーを吸引ろ過し、白色の目的物(含脂環基ポリマー1)4.28gを得た(収率97%)。
得られたポリマーのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは25,000、分散度:Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は4.0、ガラス転移温度Tgは77.2℃、5%重量減少温度Td5%は294.6℃であった。
50mLの二つ口フラスコに、DCP4.42g(20mmol)、MAIB0.23g(1mmol)、及びMEK9gを仕込んだ。フラスコ内を窒素で置換した後、この混合物を80℃で2時間撹拌した。反応溶液にMEK21gを加え、これを冷メタノール88gに添加して生成物を沈殿させた。得られたスラリーを吸引ろ過し、白色の目的物(含脂環基ポリマー1)4.28gを得た(収率97%)。
得られたポリマーのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは25,000、分散度:Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は4.0、ガラス転移温度Tgは77.2℃、5%重量減少温度Td5%は294.6℃であった。
[製造例2]含脂環基ポリマー2の製造
50mLの二つ口フラスコに、IB4.45g(20mmol)、MAIB0.92g(4mmol)、及びMEK13gを仕込んだ。フラスコ内を窒素で置換した後、この混合物を80℃で2時間撹拌した。反応溶液にMEK16gを加え、これを冷メタノール89gに添加して生成物を沈殿させた。得られたスラリーを吸引ろ過し、白色の目的物(含脂環基ポリマー2)4.32gを得た(収率97%)。
得られたポリマーのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは9,100、分散度:Mw/Mnは2.6、ガラス転移温度Tgは67.2℃、5%重量減少温度Td5%は234.9℃であった。
50mLの二つ口フラスコに、IB4.45g(20mmol)、MAIB0.92g(4mmol)、及びMEK13gを仕込んだ。フラスコ内を窒素で置換した後、この混合物を80℃で2時間撹拌した。反応溶液にMEK16gを加え、これを冷メタノール89gに添加して生成物を沈殿させた。得られたスラリーを吸引ろ過し、白色の目的物(含脂環基ポリマー2)4.32gを得た(収率97%)。
得られたポリマーのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは9,100、分散度:Mw/Mnは2.6、ガラス転移温度Tgは67.2℃、5%重量減少温度Td5%は234.9℃であった。
[製造例3]含脂環基ポリマー3の製造
50mLの二つ口フラスコに、AD4.41g(20mmol)、MAIB0.92g(4mmol)、及びMEK13gを仕込んだ。フラスコ内を窒素で置換した後、この混合物を80℃で2時間撹拌した。反応溶液にTHF16gを加え、これを冷メタノール88gに添加して生成物を沈殿させた。得られたスラリーを吸引ろ過し、白色の目的物(含脂環基ポリマー3)4.03gを得た(収率91%)。
得られたポリマーのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは8,900、分散度:Mw/Mnは2.8、ガラス転移温度Tgは93.2℃、5%重量減少温度Td5%は273.7℃であった。
50mLの二つ口フラスコに、AD4.41g(20mmol)、MAIB0.92g(4mmol)、及びMEK13gを仕込んだ。フラスコ内を窒素で置換した後、この混合物を80℃で2時間撹拌した。反応溶液にTHF16gを加え、これを冷メタノール88gに添加して生成物を沈殿させた。得られたスラリーを吸引ろ過し、白色の目的物(含脂環基ポリマー3)4.03gを得た(収率91%)。
得られたポリマーのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは8,900、分散度:Mw/Mnは2.8、ガラス転移温度Tgは93.2℃、5%重量減少温度Td5%は273.7℃であった。
[製造例4]含脂環基ポリマー4の製造
50mLの二つ口フラスコに、MAD2.34g(10mmol)、MAIB0.46g(2mmol)、及びMEK7gを仕込んだ。フラスコ内を窒素で置換した後、この混合物を80℃で2時間撹拌した。反応溶液にMEK13gを加え、これを冷メタノール47gに添加して生成物を沈殿させた。得られたスラリーを吸引ろ過し、白色の目的物(含脂環基ポリマー4)1.23gを得た(収率53%)。
得られたポリマーのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは2,000、分散度:Mw/Mnは1.5、ガラス転移温度Tgは110.9℃、5%重量減少温度Td5%は222.1℃であった。
50mLの二つ口フラスコに、MAD2.34g(10mmol)、MAIB0.46g(2mmol)、及びMEK7gを仕込んだ。フラスコ内を窒素で置換した後、この混合物を80℃で2時間撹拌した。反応溶液にMEK13gを加え、これを冷メタノール47gに添加して生成物を沈殿させた。得られたスラリーを吸引ろ過し、白色の目的物(含脂環基ポリマー4)1.23gを得た(収率53%)。
得られたポリマーのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは2,000、分散度:Mw/Mnは1.5、ガラス転移温度Tgは110.9℃、5%重量減少温度Td5%は222.1℃であった。
[製造例5]含脂環基ポリマー5の製造
50mLの二つ口フラスコに、TBCH4.49g(20mmol)、MAIB0.92g(4mmol)、及びMEK13gを仕込んだ。フラスコ内を窒素で置換した後、この混合物を80℃で2時間撹拌した。反応溶液にMEK19gを加え、これを冷メタノール90gに添加して生成物を沈殿させた。得られたスラリーを吸引ろ過し、白色の目的物(含脂環基ポリマー5)4.18gを得た(収率93%)。
得られたポリマーのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは11,000、分散度:Mw/Mnは2.9、ガラス転移温度Tgは97.6℃、5%重量減少温度Td5%は259.8℃であった。
50mLの二つ口フラスコに、TBCH4.49g(20mmol)、MAIB0.92g(4mmol)、及びMEK13gを仕込んだ。フラスコ内を窒素で置換した後、この混合物を80℃で2時間撹拌した。反応溶液にMEK19gを加え、これを冷メタノール90gに添加して生成物を沈殿させた。得られたスラリーを吸引ろ過し、白色の目的物(含脂環基ポリマー5)4.18gを得た(収率93%)。
得られたポリマーのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは11,000、分散度:Mw/Mnは2.9、ガラス転移温度Tgは97.6℃、5%重量減少温度Td5%は259.8℃であった。
[参考製造例1]含脂環基ポリマー6の製造
50mLの二つ口フラスコに、CH3.08g(20mmol)、MAIB0.92g(4mmol)、及びMEK9gを仕込んだ。フラスコ内を窒素で置換した後、この混合物を80℃で2時間撹拌した。反応溶液にMEK3gを加え、これを冷メタノール−水混合溶液(質量比7:3)62gに添加して生成物を沈殿させた。得られたスラリーを吸引ろ過し、白色の目的物(含脂環基ポリマー6)2.09gを得た(収率68%)。
得られたポリマーのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは23,900、分散度:Mw/Mnは3.8、ガラス転移温度Tgは51.4℃、5%重量減少温度Td5%は285.3℃であった。
50mLの二つ口フラスコに、CH3.08g(20mmol)、MAIB0.92g(4mmol)、及びMEK9gを仕込んだ。フラスコ内を窒素で置換した後、この混合物を80℃で2時間撹拌した。反応溶液にMEK3gを加え、これを冷メタノール−水混合溶液(質量比7:3)62gに添加して生成物を沈殿させた。得られたスラリーを吸引ろ過し、白色の目的物(含脂環基ポリマー6)2.09gを得た(収率68%)。
得られたポリマーのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは23,900、分散度:Mw/Mnは3.8、ガラス転移温度Tgは51.4℃、5%重量減少温度Td5%は285.3℃であった。
[参考製造例2−1]2−トリメチルシリルエチルメタクリレートの製造
100mLの四つ口フラスコに、2−トリメチルシリルエタノール[東京化成工業(株)製]2.37g(20mmol)、トリエチルアミン[関東化学(株)製]2.23g(22mmol)、及びクロロホルム11gを仕込んだ。フラスコ内を窒素で置換した後、氷浴で冷却した。この中へ、メタクリル酸クロリド[東京化成工業(株)製]2.30g(22mmol)をクロロホルム11gに溶解させた溶液を、30分間かけて滴下した。滴下終了後、氷浴を外し、室温(およそ25℃)で12時間撹拌した。
この反応混合物に水11gを加え、クロロホルム層を分液した。残った水層をクロロホルム11gで2回抽出し、クロロホルム層を全て合わせ硫酸マグネシウムで乾燥した。このクロロホルム層を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)により精製した。得られた溶液を濃縮、減圧乾燥し、油状の目的物(2−トリメチルシリルエチルメタクリレート)1.50gを得た(収率40%)。
得られた化合物の1H NMRスペクトルを図1に示す。
100mLの四つ口フラスコに、2−トリメチルシリルエタノール[東京化成工業(株)製]2.37g(20mmol)、トリエチルアミン[関東化学(株)製]2.23g(22mmol)、及びクロロホルム11gを仕込んだ。フラスコ内を窒素で置換した後、氷浴で冷却した。この中へ、メタクリル酸クロリド[東京化成工業(株)製]2.30g(22mmol)をクロロホルム11gに溶解させた溶液を、30分間かけて滴下した。滴下終了後、氷浴を外し、室温(およそ25℃)で12時間撹拌した。
この反応混合物に水11gを加え、クロロホルム層を分液した。残った水層をクロロホルム11gで2回抽出し、クロロホルム層を全て合わせ硫酸マグネシウムで乾燥した。このクロロホルム層を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)により精製した。得られた溶液を濃縮、減圧乾燥し、油状の目的物(2−トリメチルシリルエチルメタクリレート)1.50gを得た(収率40%)。
得られた化合物の1H NMRスペクトルを図1に示す。
[参考製造例2−2]含シリル基ポリマーの製造
20mLの二つ口フラスコに、参考製造例2−1に従って製造した2−トリメチルシリルエチルメタクリレート(ホモポリマーTg:−13℃)2.63g(14mmol)、MAIB0.16g(0.7mmol)、及びMIBK4gを仕込んだ。フラスコ内を窒素で置換した後、この混合物を80℃で3時間撹拌した。反応溶液にMIBK15gを加え、これをメタノール−水混合溶液(質量比1:1)143gに添加して生成物を析出させた。デカンテーションにより上澄みを除去した後、その残渣をアセトン20gに溶解させた。このアセトン溶液を減圧留去、減圧乾燥し、油状の目的物(含シリル基ポリマー)2.21gを得た(収率84%)。
得られたポリマーのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは21,100、分散度:Mw/Mnは2.0、5%重量減少温度Td5%は255.9℃であった。
20mLの二つ口フラスコに、参考製造例2−1に従って製造した2−トリメチルシリルエチルメタクリレート(ホモポリマーTg:−13℃)2.63g(14mmol)、MAIB0.16g(0.7mmol)、及びMIBK4gを仕込んだ。フラスコ内を窒素で置換した後、この混合物を80℃で3時間撹拌した。反応溶液にMIBK15gを加え、これをメタノール−水混合溶液(質量比1:1)143gに添加して生成物を析出させた。デカンテーションにより上澄みを除去した後、その残渣をアセトン20gに溶解させた。このアセトン溶液を減圧留去、減圧乾燥し、油状の目的物(含シリル基ポリマー)2.21gを得た(収率84%)。
得られたポリマーのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは21,100、分散度:Mw/Mnは2.0、5%重量減少温度Td5%は255.9℃であった。
[実施例1〜5、比較例1〜4]
多官能モノマーとしてUV7600B 100質量部、重合開始剤としてIrg.184 6質量部、及び表面改質剤として表1に記載される製造例及び参考製造例で調製した含脂環基ポリマー1〜6又は含シリル基ポリマー或いは市販のフッ素系表面改質剤 1質量部(比較例1は添加せず)を、表1に記載の溶媒に溶解し、滑水膜形成用組成物を調製した。
この滑水膜形成用組成物を、PMMA基板上にスピンコーティング(slope5秒間、1,500rpm×30秒間、slope5秒間)し、100℃のオーブンで3分間加熱乾燥することで成膜した。この塗布膜に、積算露光量400mJ/cm2のUV光を照射することで、ハードコートをそれぞれ作製した。
得られた各ハードコート表面に対して、60μLの水滴の滑落角を測定した。次に、上記各ハードコート基板を40℃の温水に3時間浸漬しエアガンで乾燥させた。このハードコート表面について再び60μLの水滴の滑落角を測定し、温水耐性の評価を行った。各測定値は、同一ハードコート表面の異なる3地点の測定値を相加平均して算出した。結果を表1に併せて示す。なお、滑落角は以下の手順で測定した。
多官能モノマーとしてUV7600B 100質量部、重合開始剤としてIrg.184 6質量部、及び表面改質剤として表1に記載される製造例及び参考製造例で調製した含脂環基ポリマー1〜6又は含シリル基ポリマー或いは市販のフッ素系表面改質剤 1質量部(比較例1は添加せず)を、表1に記載の溶媒に溶解し、滑水膜形成用組成物を調製した。
この滑水膜形成用組成物を、PMMA基板上にスピンコーティング(slope5秒間、1,500rpm×30秒間、slope5秒間)し、100℃のオーブンで3分間加熱乾燥することで成膜した。この塗布膜に、積算露光量400mJ/cm2のUV光を照射することで、ハードコートをそれぞれ作製した。
得られた各ハードコート表面に対して、60μLの水滴の滑落角を測定した。次に、上記各ハードコート基板を40℃の温水に3時間浸漬しエアガンで乾燥させた。このハードコート表面について再び60μLの水滴の滑落角を測定し、温水耐性の評価を行った。各測定値は、同一ハードコート表面の異なる3地点の測定値を相加平均して算出した。結果を表1に併せて示す。なお、滑落角は以下の手順で測定した。
[滑落角測定]
測定するハードコート表面上に、マイクロシリンジを用いて60μLの水道水を滴下した。このハードコート基板を2度/秒の速度で傾斜させていき、水滴が転がり始めたとき(傾斜方向に変位したとき)の傾斜角を滑落角とした。
具体的には図2に示すように、まず、水滴1を載せたフィルム2を水平面Xより徐々に傾斜させ、水滴の表面が傾斜させたフィルム2と接触する部位のうち最も下位の点Aを観察する。点Aにおいて、水滴1の接線Yとフィルム2の表面は角度θaをなしている。そして点Aが、傾斜面の下方(矢印方向)に向かって変位した時点の、水平面Xからフィルム2を傾斜させた角度αを滑落角として測定する。
測定するハードコート表面上に、マイクロシリンジを用いて60μLの水道水を滴下した。このハードコート基板を2度/秒の速度で傾斜させていき、水滴が転がり始めたとき(傾斜方向に変位したとき)の傾斜角を滑落角とした。
具体的には図2に示すように、まず、水滴1を載せたフィルム2を水平面Xより徐々に傾斜させ、水滴の表面が傾斜させたフィルム2と接触する部位のうち最も下位の点Aを観察する。点Aにおいて、水滴1の接線Yとフィルム2の表面は角度θaをなしている。そして点Aが、傾斜面の下方(矢印方向)に向かって変位した時点の、水平面Xからフィルム2を傾斜させた角度αを滑落角として測定する。
表1に示すように、表面改質剤を使用していないハードコート(比較例1)と比べ、本発明のハードコート(実施例1〜5)においては滑落角が小さく、また40℃の温水浸漬後も滑落角の上昇(滑水性の低下)を抑制する結果が得られ、滑水表面の耐久性が向上するという結果を得た。
一方、ホモポリマーTgが60℃未満となるモノマーから得られた含脂環基ポリマーを添加したハードコート(比較例2)にあっては、初期滑落角が無添加のもの(比較例1)に対し小さくならなかった。また、含シリル基ポリマーを添加したハードコート(比較例3)、及び市販のフッ素系表面改質剤を添加したハードコート(比較例4)にあっては、初期滑落角は低いものの、温水浸漬後は滑落角が上昇し、無添加のもの(比較例1)よりも悪化する結果となった。
一方、ホモポリマーTgが60℃未満となるモノマーから得られた含脂環基ポリマーを添加したハードコート(比較例2)にあっては、初期滑落角が無添加のもの(比較例1)に対し小さくならなかった。また、含シリル基ポリマーを添加したハードコート(比較例3)、及び市販のフッ素系表面改質剤を添加したハードコート(比較例4)にあっては、初期滑落角は低いものの、温水浸漬後は滑落角が上昇し、無添加のもの(比較例1)よりも悪化する結果となった。
Claims (11)
- (a)炭素原子数3乃至30の脂環基を有する化合物を少なくともモノマーとして用い重合して得られる含脂環基ポリマー0.01〜20質量部、
(b)活性エネルギー線硬化性多官能モノマー100質量部、及び
(c)活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤0.1〜20質量部、
を含む滑水膜形成用組成物。 - 前記炭素原子数3乃至30の脂環基を有する化合物は、それのみをモノマーとして重合したときのポリマーが60〜300℃のガラス転移点を有するものとなる化合物である、請求項1に記載の滑水膜形成用組成物。
- 前記炭素原子数3乃至30の脂環基を有する化合物が(メタ)アクリレート類である、請求項1又は請求項2に記載の滑水膜形成用組成物。
- 前記炭素原子数3乃至30の脂環基を有する化合物が、シクロヘキサン環、ノルボルナン環、アダマンタン環及びトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環からなる群から選ばれる少なくとも1つの脂環構造を有するモノマーである、請求項1乃至請求項3のうち何れか一項に記載の滑水膜形成用組成物。
- 前記炭素原子数3乃至30の脂環基を有する化合物が、4−tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−メチルアダマンタン−2−イルメタクリレート及びトリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項4に記載の滑水膜形成用組成物。
- 前記(b)多官能モノマーが、多官能(メタ)アクリレート化合物及び多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1乃至請求項5のうち何れか一項に記載の滑水膜形成用組成物。
- 前記(c)重合開始剤がアルキルフェノン化合物である、請求項1乃至請求項6のうち何れか一項に記載の滑水膜形成用組成物。
- さらに(d)溶媒を含む、請求項1乃至請求項7のうち何れか一項に記載の滑水膜形成用組成物。
- 請求項1乃至請求項8のうち何れか一項に記載の滑水膜形成用組成物より得られる滑水膜。
- 基材の少なくとも一方の面にハードコート層を備える積層体であって、該ハードコート層が、請求項1乃至請求項8のうち何れか一項に記載の滑水膜形成用組成物を前記基材上に塗布し塗膜を形成する工程、及び塗膜に活性エネルギー線を照射し硬化する工程を含む方法により形成されている、積層体。
- 前記ハードコート層が1nm〜1mmの膜厚を有する、請求項10に記載の積層体。
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