JP2013241490A - コーティング材およびそれにより表面改質された成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】極性が低く、密着性が良好な界面を形成することが難しい樹脂であっても、密着性に優れたコーティング層を形成可能なコーティング材を得ること。
【解決手段】コーティング材は、分子中に少なくとも1個以上の(メタ)アクリロイル基を含む環状脂肪族構造を有する化合物を15重量%より多く80重量%未満含んだ硬化可能な化合物と;表面張力が28〜36mN/mであり、溶解度パラメーターが17〜22MPa1/2であり、沸点が100℃以上である揮発性有機溶剤を備えたコーティング組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、コーティング材に関し、特に密着性に優れたコーティング材に関する。
高分子樹脂は、繊維、プラスチック、ゴムなどの様々なものの材料として広く用いられている。例えば、環状ポリオレフィン系樹脂は、高透明性、低複屈折率などの優れた光学特性、および高い耐熱性、低吸水性を有しており、さらに、比重が軽いため、製品の軽量化が期待される。環状ポリオレフィンは、これらの特性を生かし、コンパクトカメラのレンズやOA機器のピックアップレンズなどの光学用途や、CDやMD、DVDなどの光ディスク用途など、幅広い分野で使用されている。また、高透明性、低複屈折率、高耐熱性、低吸湿性などの特性は、LCDやタッチパネル搭載モニターに使用される拡散板や位相差フィルムなどの光学フィルムにも展開されている。優れた光学特性は、光の取り出し効率を向上させ、画面をより見やすく、鮮明にする。また、高耐熱性、低吸湿性は、高温多湿下でも吸湿性が少なく、寸法変化が起こりにくいことから、LCDやタッチパネル搭載モニターの信頼性向上に繋がる。環状ポリオレフィンは、今後光学分野での幅広い展開が期待される樹脂である。
しかし、環状ポリオレフィンは、表面が柔らかくて傷つき易く、耐摩耗性に乏しいことが、実際に使用するにあたり大きな問題となっている。表面に付いた傷は、傷の部分で光の散乱が発生し、光学部材としての特性を著しく低下させる。この対策として、このような耐摩耗性に乏しい樹脂では、コーティング材による表面処理により、表面に保護膜を形成させ、耐摩耗性を向上させる手段が用いられている。
しかし、環状ポリオレフィン系樹脂は、主鎖に脂肪族多環状構造を有しているため、極性が低く、従来のコーティング材では相溶性が悪く、密着性が良好な界面を形成することが難しい。そのため、一般的には、あらかじめ環状ポリオレフィン系樹脂の表面に、火炎処理、コロナ処理、プラズマ処理、サンドブラスト処理などの前処理を行い、密着性を改善させている。しかしながら、これら前処理により、環状ポリオレフィン系樹脂の変色、変形が生じる。特に光学系用途として用いる場合において、前処理による変色は、もともとの優れた光学特性を低下させるため、使用することが困難である。
または、環状ポリオレフィン系樹脂用被覆組成物として、環状ポリオレフィン系樹脂のノルボルネン骨格が有する基のいずれかを極性基とすることにより密着性を向上させた、分子中に(メタ)アクリロイル基を1個以上含む脂肪族多環環状構造を持った脂環式(メタ)アクリル化合物を含有する環状ポリオレフィン系樹脂用紫外線硬化型被覆組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平5−51542号公報(段落0014,0017)
上記のとおり、極性の低い樹脂に対しても密着性に優れたコーティングを可能にするコーティング材が求められている。
そこで本発明は、極性が低く、密着性が良好な界面を形成することが難しい樹脂であっても、密着性に優れたコーティング層を形成可能なコーティング材を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行なった。その結果、コーティング材に含まれる溶剤の表面張力を制御することにより、弾かれることなく極性の低い樹脂上にコーティング材を塗布できること、溶剤の溶解度パラメーターと沸点を制御することにより、溶剤が極性の低い樹脂中へ浸透し、それに伴い溶剤に溶解している化合物も樹脂中へ浸透し、その結果、コーティング材から形成された硬化膜は極性の低い樹脂との間に密着性が良好な界面を形成できること、を見出し、本発明を完成させた。
本発明の第1の態様に係るコーティング材は、分子中に少なくとも1個以上の(メタ)アクリロイル基を含む環状脂肪族構造を有する化合物を15重量%より多く80重量%未満含んだ硬化可能な化合物と;表面張力が28〜36mN/mであり、溶解度パラメーターが17〜22MPa1/2であり、沸点が100℃以上である揮発性有機溶剤を備え;前記環状脂肪族構造を有する化合物を含んだ硬化可能な化合物が、前記揮発性有機溶剤に溶解したものである。
このように構成すると、極性の低い樹脂上に、例えば環状ポリオレフィン系樹脂に、密着性が良好なコーティング層(硬化膜)を形成することができる。すなわち、溶解度パラメーターが、17〜22MPa1/2の揮発性有機溶剤を使用することで、溶剤が環状ポリオレフィン系樹脂中に浸透する。それに追随して環状ポリオレフィン系樹脂と類似構造を有する(メタ)アクリロイル基を含む環状脂肪族構造を有する化合物も浸透し、その後硬化することで密着が良好な硬化膜を得ることができる。さらに沸点が100℃以上の溶剤を使用することで、急激な溶剤の揮発を抑え、浸透時間を長く保つことができる。さらに表面張力が28〜36mN/mの溶剤を使用することで、塗布時のハジキを抑制し、均一な硬化膜を形成できる。さらに硬化可能な化合物により、硬化後の硬化膜に表面硬度や耐擦傷性を付与することができる。
なお、揮発性有機溶剤が2種以上の混合溶剤の場合は、少なくとも1種の溶剤の表面張力が28〜36mN/m、溶解度パラメーターが17〜22MPa1/2、沸点が100℃以上であればよい。また、混合溶剤の場合は、上記3条件を満たす揮発性有機溶剤が全溶剤中70重量%以上含まれていることが好ましく、より好ましくは80重量%以上である。70重量%以上であれば、十分な濡れ性を得ることができる。また、沸点の低い溶剤を含んでいる場合に当該溶剤が揮発した後であっても、上記3条件を満たす溶剤が最後まで残るので、樹脂への十分な浸透を確保することができる。
本発明の第2の態様に係るコーティング材は、上記第1の態様に係るコーティング材において、前記揮発性有機溶剤は、芳香族炭化水素化合物を含む。
このように構成すると、芳香族炭化水素化合物は、例えば環状ポリオレフィン系樹脂に対して浸透性が高いため、より良好な密着性を発現することができる。
本発明の第3の態様に係るコーティング材は、上記第2の態様に係るコーティング材において、前記芳香族炭化水素化合物は、トルエン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、メシチレン、および、これらの2種以上の混合物からなる群から選択される。
このように構成すると、上記芳香族炭化水素化合物は安全性が高く好ましい。なお、沸点が高すぎると、溶剤の揮発に高い乾燥温度が必要になり、コーティング対象となる樹脂によってはダメージを与えることになる。上記芳香族炭化水素化合物の沸点は、100〜150℃であり、コーティング対象となる樹脂が例えば環状ポリオレフィン系樹脂の場合であっても、ダメージを与えることなく好ましい。
本発明の第4の態様に係るコーティング材は、上記第1の態様〜第3の態様のいずれか1の態様に係るコーティング材において、前記(メタ)アクリロイル基を含む環状脂肪族構造を有する化合物は、一般式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)で示す、トリシクロデカン構造、シクロヘキシル構造、または、テルペン構造を有する化合物であり、前記一般式(1)〜(4)のXは、一般式(X)で示す基であり、Rは水素原子またはCHであり、前記一般式(1)〜(4)のXは、一般式(X)で示す基または水素原子であり、Rは、水素原子またはCHである。
このように構成すると、コーティング材を例えば環状ポリオレフィン系樹脂に塗布した場合、一般式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)で示す化合物が、環状ポリオレフィン系樹脂と類似構造を有するため、環状ポリオレフィン系樹脂中への浸透性に特に優れたコーティング材となる。
本発明の第5の態様に係るコーティング材は、上記第1の態様〜第4の態様のいずれか1の態様に係るコーティング材において、前記硬化可能な化合物は、(メタ)アクリレートモノマー、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、および、これらの2種以上の混合物からなる群から選択される。
このように構成すると、コーティング材の硬化により、特に表面硬度、耐擦傷性に優れた硬化膜を得ることができる。
本発明の第6の態様に係る環状ポリオレフィンの成形品は、環状ポリオレフィン系樹脂で形成された成形部材と;前記成形部材の表面を覆う、上記第1の態様〜第5の態様のいずれか1の態様に係るコーティング材により形成されたコーティング層とを備える。
このように構成すると、極性の低い環状ポリオレフィン系樹脂で形成された成形部材の表面に、火炎処理、コロナ処理、プラズマ処理、サンドブラスト処理などの前処理をせずに、表面硬度、耐擦傷性を有し、密着性に優れたコーティング層を形成することができ、表面改質された環状ポリオレフィンの成形品を得ることができる。すなわち、コーティング材の塗布のみで容易に当該樹脂の表面に硬化膜を形成することができ、環状ポリオレフィン系樹脂の光学特性を低下させることなく、当該樹脂から造られた成形品の表面硬度、耐擦傷性を向上させることができる。また、前処理工程を省略することができるため、前処理による環状ポリオレフィン系樹脂の変色、変形という問題も解消することができる。
または、上記の前処理を環状ポリオレフィン系樹脂の光学特性を低下させない程度に行い、コーティング材により硬化膜を形成することで、さらに密着性を高めてもよい。
本発明のコーティング材により、極性が低く、密着性が良好な界面を形成することが難しい樹脂であっても、表面硬度、耐擦傷性を有し、密着性に優れたコーティング層を形成することができる。また、本発明のコーティング材を、環状ポリオレフィン系樹脂で形成された成形部材の表面に塗布し、硬化膜を形成することにより、光学特性を損なうことなく、表面硬度が非常にやわらかい環状ポリオレフィン系樹脂の表面を保護することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。
本発明の第1の実施の形態に係るコーティング材(コーティング組成物)について説明する。コーティング材は、分子中に少なくとも1個以上の(メタ)アクリロイル基を含む環状脂肪族構造を有する化合物を含んだ硬化可能な化合物と、揮発性有機溶剤とを備えたコーティング用組成物である。このコーティング材は、これらを混合することにより作成された均一な組成物である。または、(メタ)アクリロイル基を含む環状脂肪族構造を有する化合物を含んだ硬化可能な化合物を、揮発性有機溶剤に溶解させた組成物である。以下に、含有する各化合物について詳細に説明する。
<(メタ)アクリロイル基を含む環状脂肪族構造を有する化合物の例示>
分子中に少なくとも1個以上の(メタ)アクリロイル基を含む環状脂肪族構造を有する化合物(以下、環状アクリレートとする)とは、例えば、下記一般式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)で示される、トリシクロデカン構造、シクロヘキシル構造およびテルペン構造を有する化合物を挙げることができる。
Figure 2013241490
Figure 2013241490
Figure 2013241490
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上記一般式(1)(2)(3)(4)において、Xは、下記一般式(X)で示す基であり、Rは水素原子またはCHである。
Figure 2013241490
上記一般式(1)(2)(3)(4)において、Xは、下記一般式(X)で示す基または水素原子であり、Rは、水素原子またはCHである。
Figure 2013241490
硬化膜の密着性を発現させるためには、これらの環状脂肪族構造を有する化合物を、環状脂肪族構造を有する化合物(以下、環状アクリレートとする)と硬化可能な化合物(以下、一般アクリレートとする)の全体量中に15重量%より多く80重量%未満含有させることが好ましく、より好ましくは、20重量%〜75重量%である。15重量%超であると、コーティング材を塗布する樹脂への環状アクリレートの浸透量を十分に確保することができ、80重量%未満であると、硬化後の硬化膜の硬度を十分に得ることができる。
<硬化可能な化合物の例示>
第1の実施の形態に係るコーティング材中には、前記の環状脂肪族構造を有する化合物(環状アクリレート)以外に、硬化可能な化合物(一般アクリレート)として、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を混合してもよい。
例えば、(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、紫外線照射によるラジカル硬化が可能な化合物として、(メタ)アクリレートモノマー、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂などのラジカル重合が可能な不飽和結合を有する樹脂を挙げることができる。
≪(メタ)アクリレートモノマー≫
(メタ)アクリレートモノマーとしては、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物が挙げられる。例えば、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、プロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレンポリトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンペンタエトキシトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また、シルセスキオキサン骨格を有する化合物で、官能基に(メタ)アクリレート基を有する化合物も挙げられる。
≪不飽和ポリエステル樹脂≫
不飽和ポリエステル樹脂としては、多価アルコールと不飽和多塩基酸(および必要に応じて飽和多塩基酸)とのエステル化反応による縮合生成物(不飽和ポリエステル)を、重合性モノマーに溶解したものが挙げられる。
不飽和ポリエステルとしては、無水マレイン酸などの不飽和酸とエチレングリコールなどのジオールとを重縮合させて製造できるものが挙げられる。具体的にはフマル酸、マレイン酸、イタコン酸などの重合性不飽和結合を有する多塩基酸またはその無水物を酸成分とし、これとエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの多価アルコールをアルコール成分として反応させ、また、必要に応じてフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバシン酸などの重合性不飽和結合を有していない多塩基酸またはその無水物も酸成分として加えて製造されるものが挙げられる。
≪ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂≫
ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂としては、(1)飽和多塩基酸および/または不飽和多塩基酸と多価アルコールから得られる末端カルボキシル基のポリエステルにα,β−不飽和カルボン酸エステル基を含有するエポキシ化合物を反応して得られる(メタ)アクリレート、(2)飽和多塩基酸および/または不飽和多塩基酸と多価アルコールから得られる末端カルボキシル基のポリエステルに水酸基含有アクリレートを反応させて得られる(メタ)アクリレート、(3)飽和多塩基酸および/または不飽和多塩基酸と多価アルコールから得られる末端水酸基のポリエステルに(メタ)アクリル酸を反応して得られる(メタ)アクリレートが挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレートの原料として用いられる飽和多塩基酸としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバチン酸などの重合性不飽和結合を有していない多塩基酸またはその無水物と、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などの重合性不飽和多塩基酸またはその無水物が挙げられる。さらに多価アルコール成分としては、前記不飽和ポリエステルと同様である。
≪エポキシ(メタ)アクリレート樹脂≫
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、グリシジル基(エポキシ基)を有する化合物と、アクリル酸などの重合性不飽和結合を有するカルボキシル化合物のカルボキシル基との開環反応により生成する重合性不飽和結合を持った化合物(ビニルエステル)を、重合性モノマーに溶解したものが挙げられる。
前記ビニルエステルとしては、公知の方法により製造されるものであり、エポキシ樹脂に不飽和一塩基酸、例えばアクリル酸またはメタクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、各種エポキシ樹脂をビスフェノール(例えばA型)またはアジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸(ハリダイマー270S:ハリマ化成(株))などの二塩基酸で反応させ、可撓性を付与してもよい。
原料としてのエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテルおよびその高分子量同族体、ノボラック型グリシジルエーテル類などが挙げられる。
≪ウレタン(メタ)アクリレート樹脂≫
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、ポリイソシアネートとポリヒドロキシ化合物あるいは多価アルコール類とを反応させた後、さらに水酸基含有(メタ)アクリル化合物および必要に応じて水酸基含有アリルエーテル化合物を反応させることによって得ることができるラジカル重合性不飽和基含有オリゴマーが挙げられる。
前記ポリイソシアネートとしては、具体的には、2,4−トリレンジイソシアネートおよびその異性体、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、バノックD−750、クリスボンNK(商品名:大日本インキ化学工業(株)製)、デスモジュールL(商品名:住友バイエルウレタン(株)製)、コロネートL(商品名:日本ポリウレタン工業(株)製)、タケネートD102(商品名:三井武田ケミカル(株)製)、イソネート143L(商品名:三菱化学(株)製)などが挙げられる。
前記ポリヒドロキシ化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールなどが挙げられ、具体的には、グリセリン−エチレンオキシド付加物、グリセリン−プロピレンオキシド付加物、グリセリン−テトラヒドロフラン付加物、グリセリン−エチレンオキシド−プロピレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン−エチレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン−プロピレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン−テトラヒドロフラン付加物、トリメチロールプロパン−エチレンオキシド−プロピレンオキシド付加物、ジペンタエリスリトール−エチレンオキシド付加物、ジペンタエリスリトール−プロピレンオキシド付加物、ジペンタエリスリトール−テトラヒドロフラン付加物、ジペンタエリスリトール−エチレンオキシド−プロピレンオキシド付加物などが挙げられる。
前記多価アルコール類としては、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ビスフェノールAとプロピレンオキシドまたはエチレンオキシドとの付加物、1,2,3,4−テトラヒドロキシブタン、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3−ブタンジオール、2,6−デカリングリコール、2,7−デカリングリコールなどが挙げられる。
前記水酸基含有(メタ)アクリル化合物としては、特に限定されるものではないが、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
<重合開始剤の例示>
第1の実施の形態に係るコーティング材中には、上記の環状アクリレートおよび一般アクリレート以外に、重合開始剤を混合させることが好ましい。すなわち、コーティング材は、熱または活性エネルギー線で活性化し、活性種を発生する重合開始剤を使用することで硬化することを特徴とする。
なお、本明細書において、活性エネルギー線とは、活性種を発生する化合物を分解して活性種を発生させることのできるエネルギー線をいう。このような活性エネルギー線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線、電子線などの光エネルギー線が挙げられる。
熱による硬化は、下記の重合開始剤を用いて行なうことができる。
用いられる重合開始剤の例には、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)などのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエートなどの過酸化物;およびテトラエチルチウラムジスルフィドなどのジチオカルバメート;などのラジカル重合開始剤が含まれる。
さらに重合反応の例には、リビングラジカル重合、および活性エネルギー線重合などが含まれる。
活性エネルギー線による硬化は、下記の重合開始剤を用いて行なうことができる。
活性エネルギー線重合開始剤は、紫外線や可視光線の照射によりラジカルを発生する化合物であれば特に限定しないが、用いられる活性エネルギー線重合開始剤の例には、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−4’−イソプロピルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1,4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4’−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2−(4’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3-ビス(トリクロロメチル)−5−(4’−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、2−(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、3−(2−メチル−2−ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−ドデシルカルバゾール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムが含まれる。これらの化合物は、単独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用することも有効である。3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジ(メトキシカルボニル)−4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4’−ジ(メトキシカルボニル)−4,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジ(メトキシカルボニル)−3,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが好ましい。
上記の重合開始剤の量は、環状脂肪族構造を有する化合物(環状アクリレート)と硬化可能な化合物(一般アクリレート)の全体量(すなわち塗膜になる成分)中に0.01〜10重量%添加すればよい。
<揮発性有機溶剤の例示>
環状アクリレートおよび一般アクリレートを溶解させる揮発性有機溶剤は、表面張力が28〜36mN/mであり、溶解度パラメーターが17〜22MPa1/2であり、沸点が100℃以上の溶剤が好ましい。より好ましくは、表面張力29〜31mN/mであり、溶解度パラメーターが17〜19MPa1/2である。表面張力が28〜36mN/mであると、極性の低い樹脂上でもコーティング剤を塗布する際に、ハジキを抑制し均一な硬化膜を形成できる。さらに、溶解度パラメーターが17〜22MPa1/2であると、溶剤が極性の低い樹脂(例えば環状ポリオレフィン系樹脂)中に浸透し、それに追随して溶剤に溶解した環状アクリレートおよび一般アクリレートも浸透し、密着性が良好な硬化膜を得ることができる。さらに、沸点が100℃以上の溶剤であると、急激な溶剤の揮発が抑えられ、樹脂への浸透時間を長く保つことができる。なお、溶剤の沸点が高すぎると、溶剤の揮発に高い乾燥温度が必要になり、コーティング対象となる樹脂によってはダメージを与えることになる。したがって、溶剤の沸点の上限はコーティング対象となる樹脂に応じて異なる。さらに、揮発性有機溶剤の量は、塗布方法に応じて適宜調節することが好ましい。また、揮発性有機溶剤が混合溶剤の場合は、上記条件を満たす溶剤を少なくとも1種含んでいればよい。
溶解度パラメーターが、19MPa1/2以下であり、沸点が100℃以上の有機溶剤の具体例としては、ベンゼン、エチルベンゼン、トルエン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、メシチレン、ナフタレン、スチレン、ナフタレン等、およびこれらの混合物の芳香族炭化水素化合物であり、より好ましくは、トルエン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、メシチレン、およびこれらの混合物である。これらの溶剤は、環状ポリオレフィン系樹脂への浸透性が高く、良好な密着性を発現する。
なお、揮発性有機溶剤の表面張力は、下記の他の溶剤や表面張力調整剤を添加して調整してもよい。
<他の溶剤の例示>
前記芳香族炭化水素化合物のほかに、粘度調整、コーティング材の表面張力調整等の特性を制御するために、他の溶剤として下記有機溶媒を併用してもよい。具体的には、エーテル系溶媒(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール、ジメトキシベンゼンなど)、ハロゲン化炭化水素系溶媒(塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼンなど)、ケトン系溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなど)、ニトリル系溶媒(アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなど)、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、カーボネート系溶媒(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなど)、アミド系溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド)、ハイドロクロロフルオロカーボン系溶媒(HCFC−141b、HCFC−225)、ハイドロフルオロカーボン(HFCs)系溶媒(炭素数2〜4、5および6以上のHFCs)、パーフルオロカーボン系溶媒(パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン)、脂環式ハイドロフルオロカーボン系溶媒(フルオロシクロペンタン、フルオロシクロブタン)、酸素含有フッ素系溶媒(フルオロエーテル、フルオロポリエーテル、フルオロケトン、フルオロアルコール)、芳香族系フッ素溶媒(α,α,α−トリフルオロトルエン、ヘキサフルオロベンゼン)、水が含まれる。これらを単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
表面張力の調整では、表面張力は低く、安全性は高く、環境に対する付加の低い、アルコール系溶媒が好ましい。
用いられる他の溶剤の量は、前記揮発性有機溶剤と他の溶剤の全体量に対して、30重量%未満が好ましい。30重量%未満であると、例えば環状ポリオレフィン系樹脂に対する良好な密着性を維持することができる。
<表面張力調整剤の例示>
コーティング材の表面張力を調製するために、前記他の溶剤の他にレべリング剤を使用してもよい。レべリング剤の具体的な例としては、シリコーン系、アクリル、フッ素、アルコール類の非シリコーン系が挙げられる。添加する量は、コーティング材に対して、0.01〜1.0重量%が好ましい。添加量が、1.0重量%未満であると、例えば環状ポリオレフィン系樹脂に対する良好な密着性を維持することができる。
<微粒子の例示>
コーティング材を硬化して得られる硬化膜の表面硬度および耐傷つき性を向上させるために無機微粒子を添加してもよい。具体的な無機微粒子の例として、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、ルチル型酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、フッ化マグネシウム、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銅、酸化アンチモン、氷晶石、蛍石)、燐灰石、方解石、石膏およびタルクを例示できる。用いられる無機酸化物の量は、コーティング材中の硬化成分に対して、60重量%未満が好ましい。60重量%未満であれば、例えば環状ポリオレフィン系樹脂に対する良好な密着性を維持することができる。
また、無機微粒子の平均粒子径は、5nm〜2μmが好ましく、塗膜の透明性を考慮すると、5nm〜500nmが好ましく、より好ましくは、5nm〜50nmである。5nm以上であると、硬化膜の表面硬度および耐傷つき性を向上させることができ、2μm以下であると、硬化膜の透明性に悪影響を及ぼさない。なお、無機微粒子の平均粒子径は、日機装(株)MICROTRAC UPAを使用し、動的光散乱法にて測定する。
<その他の添加剤の例示>
第1の実施の形態に係るコーティング材には、種々の目的で塗料あるいはインキに添加される、シリコーン、フッ素系などの消泡剤、汚れ防止剤、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテルなどの帯電防止剤、2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系やヒンダードフェノール系の酸化防止剤、可塑剤などを、硬化後の硬化膜の特性を阻害しない範囲で、添加することができる。
本発明の第2の実施の形態に係る環状ポリオレフィンの成形品について説明する。環状ポリエレフィンの成形品は、環状ポリオレフィン系樹脂で形成された成形部材と、本発明の第1の実施の形態に係るコーティング材を硬化させて形成した硬化膜を備える。
なお、環状ポリオレフィン系樹脂で形成された成形部材とは、例えば、コンパクトカメラのレンズやOA機器のピックアップレンズなどの光学用途で用いられる物品や、CDやMD、DVDなどの光ディスク用途で用いられる物品などを挙げることができる。さらに、LCDやタッチパネル搭載モニターに使用される拡散板や位相差フィルムなどの光学フィルムを挙げることができる。具体的には、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、タッチパネル用フィルム基板、フラットパネルディスプレイ用フィルム基板、液晶ディスプレイ用プラスチックフィルム基板、有機EL表示用基板、電子ペーパー用基板、太陽電池用基板、光ディスク基板、透明導電フィルム基板、自動車用ウインドガラス、ヘッドランプレンズ、パネルカバー等を挙げることができる。
<表面改質された成形品>
環状ポリオレフィンの成形品は、コーティング材を塗布する工程と、コーティング材中に含まれる溶剤を乾燥除去する工程と、コーティング材中の硬化性成分を硬化し、硬化膜を形成する工程によって得られる。硬化膜の形成は、例えば塗布によって行なうことができ、コーティング材中に含まれる溶剤の乾燥除去は、通常、加熱乾燥によって行なうことができ、膜の硬化は、通常は加熱または活性エネルギー線照射の一または二以上によって行なうことができる。
このように、やわらかい環状ポリオレフィン系樹脂で形成された成形部材の表面をコーティング材で硬化膜を形成して覆うことで、表面改質された成形品を得ることができる。
<塗布方法>
コーティング材を環状ポリオレフィン系樹脂に塗布する方法は、特に制限されないが、スピンコート法、ロールコート法、スリットコート法、ディッピング法、スプレーコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法、キスコート法、リバースキスコート法、エアナイフコート法、カーテンコート法などがある。
<硬化方法>
活性エネルギー線重合開始剤を用いる場合は、塗布乾燥後に、活性エネルギー線源により、光活性エネルギー線または電子線を照射して硬化させることができる。
活性エネルギー線源としては特に制限はないが、用いる活性エネルギー線重合開始剤の性質に応じて、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク、気体レーザー、固体レーザー、電子線照射装置などが挙げられる。
なお、硬化後の膜厚が、0.01〜100μmとなるように硬化膜を形成するのが好ましい。より好ましくは、1〜20μmである。膜厚が厚くなりすぎると、被塗布体となる樹脂の例えば光学特性に影響する場合があり、膜厚が薄くなりすぎると、十分な表面硬度や耐擦傷性が得られない場合がある。したがって、被塗布体の用途に応じて適切な膜厚を選択する。
<環状ポリオレフィン系樹脂の例示>
本発明のコーティング材を塗布する樹脂としては、例えば環状ポリオレフィン系樹脂を挙げることができ、中でもシクロオレフィンポリマー(COP)またはシクロオレフィンコポリマー(COC)を挙げることができる。具体的には、ゼオノア(登録商標)、ゼオネックス(登録商標):日本ゼオン製、アートン(登録商標):JSR製、アペル(登録商標):三井化学製、トパス(登録商標):ポリプラスチックス製が挙げられ、一般式(6)(7)(8)(9)(10)に挙げられる構造を有する。
Figure 2013241490
Figure 2013241490
Figure 2013241490
Figure 2013241490
Figure 2013241490
環状ポリオレフィン系樹脂は、上記一般式(6)(7)(8)(9)(10)で表される環状脂肪族構造または環状脂肪族構造とエチレン構造を有する単量体の構成単位よりなる重合体であり、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が、通常5,000〜3,000,000である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(1)コーティング材の調製
表1、表2に示す配合比で、各成分を攪拌装置が付属した混合容器に仕込み、30分間、攪拌し、均一な組成物(コーティング材)を得た。なお、配合比の単位は、例えばグラム(g)やキログラム(kg)であってもよい。
溶剤の表面張力は、自動接触角測定装置 (Drop Master500、協和界面科学(株))を使用し、測定温度25℃で懸滴法(ペンダント・ドロップ法)を用いて測定した。
溶剤の溶解度パラメーターは、ヒルデブランドの溶解度パラメーターに基づき、Brandrup,JらのPolymer Handbook(4th edition),VII/675〜VII/688から引用している。
(2)試験片の作製
被塗布体は、ゼオノア1060R(日本ゼオン(株))を使用した。この被塗布体上に表1および表2の配合比で調製したコーティング材をコーティングロッド(#16,R.D.specialities,U.S.A.製)を用いて、硬化後の膜厚が10ミクロンになるように塗布した後、100℃に設定された熱風循環乾燥機中で、3分間溶剤を除去した。その後、紫外線照射装置(アイグラフィックス、8Kwコンベア式紫外線照射装置)を用いて、照度:200mW/cm、積算光量:300mJ/cmの条件で、紫外線照射を行なった。ピーク照度および積算光量は、照度計(UV−365、岩崎電気(株)製)を使用して測定した。
(3)評価方法
3−1碁盤目剥離試験(密着性)
上記の方法で作製した試験片を用いて、JIS K 5400に準拠し、測定を行なった。
3−2塗膜の外観(濡れ性)
上記の方法で作成した試験片の外観を目視にて観察した。
○:塗膜が均一に塗布されている。
×:塗膜が弾いている。
3−3鉛筆硬度試験(鉛筆硬度)
上記の方法で作製した試験片を用いて、JIS K 5600に準拠し、測定を行なった。
実施例1〜3の評価結果を表1に示し、比較例1〜5の評価結果を表2に示す。比較例1は、実施例1〜3と他の条件は同じだが、環状構造を有するアクリレートの含有量が少ない(10重量%)。同様に、比較例2は、実施例1〜3と他の条件は同じだが、環状構造を有するアクリレートの含有量が多い(80重量%)。比較例3、4、5の環状構造を有するアクリレートの含有量は、実施例2と同量である。しかし、比較例3は、表面張力、沸点の値が範囲外である。比較例4は、表面張力の値が範囲外である。比較例5は、溶解度パラメーターの値が範囲外である。
実施例1〜3が示すように、環状構造を有するアクリレートを15重量%超80重量%未満含有し、表面張力が28〜36mN/mの範囲であり、溶解度パラメーターが17〜22MPa1/2の範囲であり、沸点が100℃以上である揮発性有機溶剤を含有するコーティング材は、塗膜の外観が良好であり、芳香族系ポリオレフィンに対する密着性も良好であった。一方で、比較例1は、環状構造を有するアクリレートの含有量が少ないため、十分な密着性を得られなかった。比較例2は、鉛筆硬度の低下が見られた。比較例3〜5は、鉛筆硬度は十分であったが、密着性、濡れ性を得ることはできなかった。
Figure 2013241490
Figure 2013241490
本発明のコーティング材により表面硬度、耐擦傷性を付与することができ、それにより表面処理された成形品は、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、タッチパネル用フィルム基板、フラットパネルディスプレイ用フィルム基板、液晶ディスプレイ用プラスチックフィルム基板、有機EL表示用基板、電子ペーパー用基板、太陽電池用基板、光ディスク基板、透明導電フィルム基板、自動車用ウインドガラス、ヘッドランプレンズ、パネルカバー等として利用できる。

Claims (6)

  1. 分子中に少なくとも1個以上の(メタ)アクリロイル基を含む環状脂肪族構造を有する化合物を15重量%より多く80重量%未満含んだ硬化可能な化合物と;
    表面張力が28〜36mN/mであり、溶解度パラメーターが17〜22MPa1/2であり、沸点が100℃以上である揮発性有機溶剤を備え;
    前記環状脂肪族構造を有する化合物を含んだ硬化可能な化合物が、前記揮発性有機溶剤に溶解した、
    コーティング材。
  2. 前記揮発性有機溶剤は、芳香族炭化水素化合物を含む、
    請求項1に記載のコーティング材。
  3. 前記芳香族炭化水素化合物は、トルエン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、メシチレン、および、これらの2種以上の混合物からなる群から選択された、
    請求項2に記載のコーティング材。
  4. 前記(メタ)アクリロイル基を含む環状脂肪族構造を有する化合物は、下記一般式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)で示す、トリシクロデカン構造、シクロヘキシル構造、または、テルペン構造を有する化合物であり、
    前記一般式(1)〜(4)のXは、下記一般式(X)で示す基であり、Rは水素原子またはCHであり、
    前記一般式(1)〜(4)のXは、下記一般式(X)で示す基または水素原子であり、Rは、水素原子またはCHである、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のコーティング材。
    Figure 2013241490
  5. 前記硬化可能な化合物は、(メタ)アクリレートモノマー、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、および、これらの2種以上の混合物からなる群から選択された、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載のコーティング材。
  6. 環状ポリオレフィン系樹脂で形成された成形部材と;
    前記成形部材の表面を覆う、請求項1〜5のいずれか1項に記載のコーティング材により形成されたコーティング層とを備える;
    環状ポリオレフィンの成形品。
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