JP2013241490A - コーティング材およびそれにより表面改質された成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コーティング材は、分子中に少なくとも1個以上の(メタ)アクリロイル基を含む環状脂肪族構造を有する化合物を15重量%より多く80重量%未満含んだ硬化可能な化合物と;表面張力が28〜36mN/mであり、溶解度パラメーターが17〜22MPa1/2であり、沸点が100℃以上である揮発性有機溶剤を備えたコーティング組成物である。
【選択図】なし
Description
そこで本発明は、極性が低く、密着性が良好な界面を形成することが難しい樹脂であっても、密着性に優れたコーティング層を形成可能なコーティング材を提供することを課題とする。
なお、揮発性有機溶剤が2種以上の混合溶剤の場合は、少なくとも1種の溶剤の表面張力が28〜36mN/m、溶解度パラメーターが17〜22MPa1/2、沸点が100℃以上であればよい。また、混合溶剤の場合は、上記3条件を満たす揮発性有機溶剤が全溶剤中70重量%以上含まれていることが好ましく、より好ましくは80重量%以上である。70重量%以上であれば、十分な濡れ性を得ることができる。また、沸点の低い溶剤を含んでいる場合に当該溶剤が揮発した後であっても、上記3条件を満たす溶剤が最後まで残るので、樹脂への十分な浸透を確保することができる。
または、上記の前処理を環状ポリオレフィン系樹脂の光学特性を低下させない程度に行い、コーティング材により硬化膜を形成することで、さらに密着性を高めてもよい。
分子中に少なくとも1個以上の(メタ)アクリロイル基を含む環状脂肪族構造を有する化合物(以下、環状アクリレートとする)とは、例えば、下記一般式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)で示される、トリシクロデカン構造、シクロヘキシル構造およびテルペン構造を有する化合物を挙げることができる。
第1の実施の形態に係るコーティング材中には、前記の環状脂肪族構造を有する化合物(環状アクリレート)以外に、硬化可能な化合物(一般アクリレート)として、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を混合してもよい。
例えば、(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、紫外線照射によるラジカル硬化が可能な化合物として、(メタ)アクリレートモノマー、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂などのラジカル重合が可能な不飽和結合を有する樹脂を挙げることができる。
(メタ)アクリレートモノマーとしては、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物が挙げられる。例えば、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、プロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレンポリトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンペンタエトキシトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また、シルセスキオキサン骨格を有する化合物で、官能基に(メタ)アクリレート基を有する化合物も挙げられる。
不飽和ポリエステル樹脂としては、多価アルコールと不飽和多塩基酸(および必要に応じて飽和多塩基酸)とのエステル化反応による縮合生成物(不飽和ポリエステル)を、重合性モノマーに溶解したものが挙げられる。
不飽和ポリエステルとしては、無水マレイン酸などの不飽和酸とエチレングリコールなどのジオールとを重縮合させて製造できるものが挙げられる。具体的にはフマル酸、マレイン酸、イタコン酸などの重合性不飽和結合を有する多塩基酸またはその無水物を酸成分とし、これとエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの多価アルコールをアルコール成分として反応させ、また、必要に応じてフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバシン酸などの重合性不飽和結合を有していない多塩基酸またはその無水物も酸成分として加えて製造されるものが挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂としては、(1)飽和多塩基酸および/または不飽和多塩基酸と多価アルコールから得られる末端カルボキシル基のポリエステルにα,β−不飽和カルボン酸エステル基を含有するエポキシ化合物を反応して得られる(メタ)アクリレート、(2)飽和多塩基酸および/または不飽和多塩基酸と多価アルコールから得られる末端カルボキシル基のポリエステルに水酸基含有アクリレートを反応させて得られる(メタ)アクリレート、(3)飽和多塩基酸および/または不飽和多塩基酸と多価アルコールから得られる末端水酸基のポリエステルに(メタ)アクリル酸を反応して得られる(メタ)アクリレートが挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレートの原料として用いられる飽和多塩基酸としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバチン酸などの重合性不飽和結合を有していない多塩基酸またはその無水物と、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などの重合性不飽和多塩基酸またはその無水物が挙げられる。さらに多価アルコール成分としては、前記不飽和ポリエステルと同様である。
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、グリシジル基(エポキシ基)を有する化合物と、アクリル酸などの重合性不飽和結合を有するカルボキシル化合物のカルボキシル基との開環反応により生成する重合性不飽和結合を持った化合物(ビニルエステル)を、重合性モノマーに溶解したものが挙げられる。
前記ビニルエステルとしては、公知の方法により製造されるものであり、エポキシ樹脂に不飽和一塩基酸、例えばアクリル酸またはメタクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、各種エポキシ樹脂をビスフェノール(例えばA型)またはアジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸(ハリダイマー270S:ハリマ化成(株))などの二塩基酸で反応させ、可撓性を付与してもよい。
原料としてのエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテルおよびその高分子量同族体、ノボラック型グリシジルエーテル類などが挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、ポリイソシアネートとポリヒドロキシ化合物あるいは多価アルコール類とを反応させた後、さらに水酸基含有(メタ)アクリル化合物および必要に応じて水酸基含有アリルエーテル化合物を反応させることによって得ることができるラジカル重合性不飽和基含有オリゴマーが挙げられる。
第1の実施の形態に係るコーティング材中には、上記の環状アクリレートおよび一般アクリレート以外に、重合開始剤を混合させることが好ましい。すなわち、コーティング材は、熱または活性エネルギー線で活性化し、活性種を発生する重合開始剤を使用することで硬化することを特徴とする。
なお、本明細書において、活性エネルギー線とは、活性種を発生する化合物を分解して活性種を発生させることのできるエネルギー線をいう。このような活性エネルギー線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線、電子線などの光エネルギー線が挙げられる。
用いられる重合開始剤の例には、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)などのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエートなどの過酸化物;およびテトラエチルチウラムジスルフィドなどのジチオカルバメート;などのラジカル重合開始剤が含まれる。
さらに重合反応の例には、リビングラジカル重合、および活性エネルギー線重合などが含まれる。
活性エネルギー線重合開始剤は、紫外線や可視光線の照射によりラジカルを発生する化合物であれば特に限定しないが、用いられる活性エネルギー線重合開始剤の例には、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−4’−イソプロピルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1,4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4’−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2−(4’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3-ビス(トリクロロメチル)−5−(4’−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、2−(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、3−(2−メチル−2−ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−ドデシルカルバゾール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムが含まれる。これらの化合物は、単独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用することも有効である。3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジ(メトキシカルボニル)−4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4’−ジ(メトキシカルボニル)−4,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジ(メトキシカルボニル)−3,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが好ましい。
環状アクリレートおよび一般アクリレートを溶解させる揮発性有機溶剤は、表面張力が28〜36mN/mであり、溶解度パラメーターが17〜22MPa1/2であり、沸点が100℃以上の溶剤が好ましい。より好ましくは、表面張力29〜31mN/mであり、溶解度パラメーターが17〜19MPa1/2である。表面張力が28〜36mN/mであると、極性の低い樹脂上でもコーティング剤を塗布する際に、ハジキを抑制し均一な硬化膜を形成できる。さらに、溶解度パラメーターが17〜22MPa1/2であると、溶剤が極性の低い樹脂(例えば環状ポリオレフィン系樹脂)中に浸透し、それに追随して溶剤に溶解した環状アクリレートおよび一般アクリレートも浸透し、密着性が良好な硬化膜を得ることができる。さらに、沸点が100℃以上の溶剤であると、急激な溶剤の揮発が抑えられ、樹脂への浸透時間を長く保つことができる。なお、溶剤の沸点が高すぎると、溶剤の揮発に高い乾燥温度が必要になり、コーティング対象となる樹脂によってはダメージを与えることになる。したがって、溶剤の沸点の上限はコーティング対象となる樹脂に応じて異なる。さらに、揮発性有機溶剤の量は、塗布方法に応じて適宜調節することが好ましい。また、揮発性有機溶剤が混合溶剤の場合は、上記条件を満たす溶剤を少なくとも1種含んでいればよい。
溶解度パラメーターが、19MPa1/2以下であり、沸点が100℃以上の有機溶剤の具体例としては、ベンゼン、エチルベンゼン、トルエン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、メシチレン、ナフタレン、スチレン、ナフタレン等、およびこれらの混合物の芳香族炭化水素化合物であり、より好ましくは、トルエン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、メシチレン、およびこれらの混合物である。これらの溶剤は、環状ポリオレフィン系樹脂への浸透性が高く、良好な密着性を発現する。
なお、揮発性有機溶剤の表面張力は、下記の他の溶剤や表面張力調整剤を添加して調整してもよい。
前記芳香族炭化水素化合物のほかに、粘度調整、コーティング材の表面張力調整等の特性を制御するために、他の溶剤として下記有機溶媒を併用してもよい。具体的には、エーテル系溶媒(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール、ジメトキシベンゼンなど)、ハロゲン化炭化水素系溶媒(塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼンなど)、ケトン系溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなど)、ニトリル系溶媒(アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなど)、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、カーボネート系溶媒(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなど)、アミド系溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド)、ハイドロクロロフルオロカーボン系溶媒(HCFC−141b、HCFC−225)、ハイドロフルオロカーボン(HFCs)系溶媒(炭素数2〜4、5および6以上のHFCs)、パーフルオロカーボン系溶媒(パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン)、脂環式ハイドロフルオロカーボン系溶媒(フルオロシクロペンタン、フルオロシクロブタン)、酸素含有フッ素系溶媒(フルオロエーテル、フルオロポリエーテル、フルオロケトン、フルオロアルコール)、芳香族系フッ素溶媒(α,α,α−トリフルオロトルエン、ヘキサフルオロベンゼン)、水が含まれる。これらを単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
表面張力の調整では、表面張力は低く、安全性は高く、環境に対する付加の低い、アルコール系溶媒が好ましい。
用いられる他の溶剤の量は、前記揮発性有機溶剤と他の溶剤の全体量に対して、30重量%未満が好ましい。30重量%未満であると、例えば環状ポリオレフィン系樹脂に対する良好な密着性を維持することができる。
コーティング材の表面張力を調製するために、前記他の溶剤の他にレべリング剤を使用してもよい。レべリング剤の具体的な例としては、シリコーン系、アクリル、フッ素、アルコール類の非シリコーン系が挙げられる。添加する量は、コーティング材に対して、0.01〜1.0重量%が好ましい。添加量が、1.0重量%未満であると、例えば環状ポリオレフィン系樹脂に対する良好な密着性を維持することができる。
コーティング材を硬化して得られる硬化膜の表面硬度および耐傷つき性を向上させるために無機微粒子を添加してもよい。具体的な無機微粒子の例として、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、ルチル型酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、フッ化マグネシウム、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銅、酸化アンチモン、氷晶石、蛍石)、燐灰石、方解石、石膏およびタルクを例示できる。用いられる無機酸化物の量は、コーティング材中の硬化成分に対して、60重量%未満が好ましい。60重量%未満であれば、例えば環状ポリオレフィン系樹脂に対する良好な密着性を維持することができる。
また、無機微粒子の平均粒子径は、5nm〜2μmが好ましく、塗膜の透明性を考慮すると、5nm〜500nmが好ましく、より好ましくは、5nm〜50nmである。5nm以上であると、硬化膜の表面硬度および耐傷つき性を向上させることができ、2μm以下であると、硬化膜の透明性に悪影響を及ぼさない。なお、無機微粒子の平均粒子径は、日機装(株)MICROTRAC UPAを使用し、動的光散乱法にて測定する。
第1の実施の形態に係るコーティング材には、種々の目的で塗料あるいはインキに添加される、シリコーン、フッ素系などの消泡剤、汚れ防止剤、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテルなどの帯電防止剤、2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系やヒンダードフェノール系の酸化防止剤、可塑剤などを、硬化後の硬化膜の特性を阻害しない範囲で、添加することができる。
なお、環状ポリオレフィン系樹脂で形成された成形部材とは、例えば、コンパクトカメラのレンズやOA機器のピックアップレンズなどの光学用途で用いられる物品や、CDやMD、DVDなどの光ディスク用途で用いられる物品などを挙げることができる。さらに、LCDやタッチパネル搭載モニターに使用される拡散板や位相差フィルムなどの光学フィルムを挙げることができる。具体的には、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、タッチパネル用フィルム基板、フラットパネルディスプレイ用フィルム基板、液晶ディスプレイ用プラスチックフィルム基板、有機EL表示用基板、電子ペーパー用基板、太陽電池用基板、光ディスク基板、透明導電フィルム基板、自動車用ウインドガラス、ヘッドランプレンズ、パネルカバー等を挙げることができる。
環状ポリオレフィンの成形品は、コーティング材を塗布する工程と、コーティング材中に含まれる溶剤を乾燥除去する工程と、コーティング材中の硬化性成分を硬化し、硬化膜を形成する工程によって得られる。硬化膜の形成は、例えば塗布によって行なうことができ、コーティング材中に含まれる溶剤の乾燥除去は、通常、加熱乾燥によって行なうことができ、膜の硬化は、通常は加熱または活性エネルギー線照射の一または二以上によって行なうことができる。
このように、やわらかい環状ポリオレフィン系樹脂で形成された成形部材の表面をコーティング材で硬化膜を形成して覆うことで、表面改質された成形品を得ることができる。
コーティング材を環状ポリオレフィン系樹脂に塗布する方法は、特に制限されないが、スピンコート法、ロールコート法、スリットコート法、ディッピング法、スプレーコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法、キスコート法、リバースキスコート法、エアナイフコート法、カーテンコート法などがある。
活性エネルギー線重合開始剤を用いる場合は、塗布乾燥後に、活性エネルギー線源により、光活性エネルギー線または電子線を照射して硬化させることができる。
活性エネルギー線源としては特に制限はないが、用いる活性エネルギー線重合開始剤の性質に応じて、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク、気体レーザー、固体レーザー、電子線照射装置などが挙げられる。
本発明のコーティング材を塗布する樹脂としては、例えば環状ポリオレフィン系樹脂を挙げることができ、中でもシクロオレフィンポリマー(COP)またはシクロオレフィンコポリマー(COC)を挙げることができる。具体的には、ゼオノア(登録商標)、ゼオネックス(登録商標):日本ゼオン製、アートン(登録商標):JSR製、アペル(登録商標):三井化学製、トパス(登録商標):ポリプラスチックス製が挙げられ、一般式(6)(7)(8)(9)(10)に挙げられる構造を有する。
(1)コーティング材の調製
表1、表2に示す配合比で、各成分を攪拌装置が付属した混合容器に仕込み、30分間、攪拌し、均一な組成物(コーティング材)を得た。なお、配合比の単位は、例えばグラム(g)やキログラム(kg)であってもよい。
溶剤の表面張力は、自動接触角測定装置 (Drop Master500、協和界面科学(株))を使用し、測定温度25℃で懸滴法(ペンダント・ドロップ法)を用いて測定した。
溶剤の溶解度パラメーターは、ヒルデブランドの溶解度パラメーターに基づき、Brandrup,JらのPolymer Handbook(4th edition),VII/675〜VII/688から引用している。
被塗布体は、ゼオノア1060R(日本ゼオン(株))を使用した。この被塗布体上に表1および表2の配合比で調製したコーティング材をコーティングロッド(#16,R.D.specialities,U.S.A.製)を用いて、硬化後の膜厚が10ミクロンになるように塗布した後、100℃に設定された熱風循環乾燥機中で、3分間溶剤を除去した。その後、紫外線照射装置(アイグラフィックス、8Kwコンベア式紫外線照射装置)を用いて、照度:200mW/cm2、積算光量:300mJ/cm2の条件で、紫外線照射を行なった。ピーク照度および積算光量は、照度計(UV−365、岩崎電気(株)製)を使用して測定した。
3−1碁盤目剥離試験(密着性)
上記の方法で作製した試験片を用いて、JIS K 5400に準拠し、測定を行なった。
3−2塗膜の外観(濡れ性)
上記の方法で作成した試験片の外観を目視にて観察した。
○:塗膜が均一に塗布されている。
×:塗膜が弾いている。
3−3鉛筆硬度試験(鉛筆硬度)
上記の方法で作製した試験片を用いて、JIS K 5600に準拠し、測定を行なった。
実施例1〜3が示すように、環状構造を有するアクリレートを15重量%超80重量%未満含有し、表面張力が28〜36mN/mの範囲であり、溶解度パラメーターが17〜22MPa1/2の範囲であり、沸点が100℃以上である揮発性有機溶剤を含有するコーティング材は、塗膜の外観が良好であり、芳香族系ポリオレフィンに対する密着性も良好であった。一方で、比較例1は、環状構造を有するアクリレートの含有量が少ないため、十分な密着性を得られなかった。比較例2は、鉛筆硬度の低下が見られた。比較例3〜5は、鉛筆硬度は十分であったが、密着性、濡れ性を得ることはできなかった。
Claims (6)
- 分子中に少なくとも1個以上の(メタ)アクリロイル基を含む環状脂肪族構造を有する化合物を15重量%より多く80重量%未満含んだ硬化可能な化合物と;
表面張力が28〜36mN/mであり、溶解度パラメーターが17〜22MPa1/2であり、沸点が100℃以上である揮発性有機溶剤を備え;
前記環状脂肪族構造を有する化合物を含んだ硬化可能な化合物が、前記揮発性有機溶剤に溶解した、
コーティング材。 - 前記揮発性有機溶剤は、芳香族炭化水素化合物を含む、
請求項1に記載のコーティング材。 - 前記芳香族炭化水素化合物は、トルエン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、メシチレン、および、これらの2種以上の混合物からなる群から選択された、
請求項2に記載のコーティング材。 - 前記硬化可能な化合物は、(メタ)アクリレートモノマー、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、および、これらの2種以上の混合物からなる群から選択された、
請求項1〜4のいずれか1項に記載のコーティング材。 - 環状ポリオレフィン系樹脂で形成された成形部材と;
前記成形部材の表面を覆う、請求項1〜5のいずれか1項に記載のコーティング材により形成されたコーティング層とを備える;
環状ポリオレフィンの成形品。
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Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH04309568A (ja) * | 1991-04-05 | 1992-11-02 | Mitsui Petrochem Ind Ltd | 被覆用硬化型樹脂組成物 |
WO1997011129A1 (fr) * | 1995-09-20 | 1997-03-27 | Mitsubishi Rayon Co., Ltd. | Composition de revetement resistant a l'usure et article ainsi revetu de cette composition |
JP2000273272A (ja) * | 1999-03-25 | 2000-10-03 | Jsr Corp | 樹脂組成物、その硬化物及び複合体 |
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2012
- 2012-05-17 JP JP2012113840A patent/JP6060522B2/ja active Active
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