JPWO2014163013A1 - 難燃剤組成物、難燃剤組成物で処理した難燃性繊維及び該組成物により難燃成分の繊維への定着量を増加させる方法 - Google Patents

難燃剤組成物、難燃剤組成物で処理した難燃性繊維及び該組成物により難燃成分の繊維への定着量を増加させる方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、従来用いられている難燃剤組成物と比較して、より繊維への難燃成分の定着量の多い難燃剤組成物を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、下記の一般式(1)又は(2)で表されるリン化合物の少なくとも一種、カチオン界面活性剤及びノニオン界面活性剤を含有する難燃剤組成物を提供する。
【化20】
Figure 2014163013

(式中、Aは、炭素原子数1〜20の二価の炭化水素基を表し、nは、1〜10の数を表し、R1〜R8は、それぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
【化21】
Figure 2014163013

(式中、R9〜R14は、それぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。また、r1,r2,r3は、それぞれ独立して1、又は0の数を表す。)

Description

本発明は、リン化合物、カチオン界面活性剤及びノニオン界面活性剤を含有する難燃剤組成物、難燃剤組成物で処理した難燃性繊維及びその組成物により難燃成分の繊維への定着量を増加させる方法に関する。
難燃剤は、可燃性の素材に対し添加し、その素材を燃えにくく、又は燃え広がらないようにする薬剤であり、建材、カーテン、絨毯、車両の各種部材(シートの布地など)、ゴム、プラスチック、紙や包装材等あらゆるところで使用されている。中でも、繊維に難燃効果を付加させる技術はその用途が広く、防炎規制で定められている劇場や、ホテル、高層建築物等を中心に、不特定多数の人の集まる場所の繊維用品(カーテン、カーペット、絨毯等)、また、寝具類、ベビー服、老人用衣料や車両シートの布地等での使用が挙げられる。ゆえに、繊維用難燃剤のニーズは非常に高く、これまでも多くの企業や機関によって研究が為されてきた。
例えば、生産量が多く、車のシート部材やカーテンの材料としてもよく用いられるポリエステル繊維には、一般的に難燃剤が使用されており、これまでは、脂環式ハロゲン化合物(HBCD;ヘキサブロモシクロドデカン等)が主流であった。しかしながらこれは、優れた難燃効果と耐久性を持ち併せているものの、これを使用し加工したポリエステル繊維は、燃焼時に人体に有害なガスを発生することが知られており、自然環境への有害性が非常に高いと危惧されている。そこで、ハロゲン化合物に代わる難燃成分が各種検討され、これまでに、リン化合物が良好な難燃性を示すことが見出されている(特許文献1)。
HBCDを難燃剤として使用した場合のポリエステル繊維の難燃加工方法は、染色浴中、又はサーモゾル法(染液をパッドし、乾燥後、高温で乾熱処理して行う連続染色方法)にて繊維内部に難燃成分を定着させるものであった。それに対し、リン化合物を使用する場合は、溶剤などに溶解し繊維に難燃成分を定着させる、若しくは、非イオン界面活性剤又はアニオン界面活性剤の少なくとも一種を使用し、乳化分散させ、染色と同時に繊維に難燃成分を定着させる等の加工方法がよく用いられる(特許文献2,3)。
しかしながら、繊維用難燃成分として、HBCDからより安全性の高いリン化合物への代替の動きは着々と進んではいるものの、未だ問題点も多い。溶剤などに溶解させる方法で加工を行うと、溶剤や廃液が大気中に放出され、環境への負荷が懸念されたり、また、非イオン界面活性剤又はアニオン界面活性剤の少なくとも一種を使用する方法を用いると、難燃化効果は見られるものの、繊維への難燃成分の定着量が充分ではなく、耐久難燃性不足となりやすいからである。今後も、現状以上の難燃効果の高い繊維を得るために、繊維への難燃成分の定着量の多い難燃剤組成物の開発、改良は強く望まれている。
特開昭64−70555号公報 特開2000−328445号公報 特開2002−88368号公報
従って、本発明が解決しようとする課題は、従来用いられている難燃剤組成物と比較して、より繊維への難燃成分の定着量の多い難燃剤組成物を提供することにある。
そこで本発明者らは鋭意検討した結果、本発明に至った。即ち、本発明は、下記の一般式(1)又は(2)で表されるリン化合物の少なくとも一種、カチオン界面活性剤及びノニオン界面活性剤を含有する難燃剤組成物である。
Figure 2014163013
(式中、Aは、炭素原子数1〜20の二価の炭化水素基を表し、nは、1〜10の数を表し、R1〜R8は、それぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
Figure 2014163013
(式中、R9〜R14は、それぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。また、r1,r2,r3は、それぞれ独立して1、又は0の数を表す。)
本発明の効果は、従来品と比較して、より繊維への難燃成分の定着量が多い難燃剤組成物を提供したことにある。
本発明の難燃剤組成物は、下記の一般式(1)又は(2)で表されるリン化合物の少なくとも一種、カチオン界面活性剤及びノニオン界面活性剤を含有する難燃剤組成物である。
Figure 2014163013
(式中、Aは、炭素原子数1〜20の二価の炭化水素基を表し、nは、1〜10の数を表し、R1〜R8は、それぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
Figure 2014163013
(式中、R9〜R14は、それぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。また、r1,r2、r3は、それぞれ独立して1、又は0の数を表す。)
一般式(1)において、R1〜R8は、それぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、こうしたアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、へプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、及びこれら全ての異性体等が挙げられる。これらの中でも、R1〜R8は水素原子、又は炭素数が1〜10であることが好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
一般式(1)のnは平均重合度を表し、nは1〜10の数であり、好ましくは、1〜5の数である。さらに好ましくは1〜2の数、最も好ましくはnが1である。また、平均重合度nは、一般式(1)で表される化合物のモル比から計算され、例えば、n=1の化合物が50モル%、n=2の化合物が50モル%の組成ならば、平均重合度は1.5となる。
なお、nの値は高速液体クロマトグラフィーの測定結果から算出できる。
一般式(1)においてAは、炭素原子数1〜20の二価の炭化水素基を表し、こうした基としては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、及びシクロアルキル基等が挙げられる。脂肪族炭化水素基として、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基、ノナデシレン基、イコサレン基、及びこれら全ての異性体等が挙げられ、シクロアルキル基として、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基、ジシクロペンチレン基、トリシクロペンチレン基、及びこれら全ての異性体等が挙げられる。芳香族炭化水素基として、例えば、以下の一般式(3)で表される基、一般式(4)で表される基、一般式(5)で表される基、ナフチレン基、及び1,2−ジフェニルエチレン基等が挙げられる。一般式(3)で表される基の場合、結合する箇所によってオルト体、メタ体、及びパラ体の3つの構造になるが、いずれの構造であってもよく、これらの違いによって性能は変わらない。これらの中でもAは芳香族炭化水素基が好ましく、一般式(3)、一般式(4)、及び一般式(5)で表される基がより好ましい。
Figure 2014163013
上記一般式(1)に該当する化合物として、具体的に、エチレングリコールビス(ジフェニルホスフェート)、エチレングリコールビス(ジトリルホスフェート)、エチレングリコールビス(ジキシリルホスフェート)、エチレングリコールビス(ジ−n−ブチルフェニルホスフェート)、エチレングリコールビス(ジ−t−ブチルフェニルホスフェート)、エチレングリコールビス(ジイソプロピルフェニルホスフェート)、エチレングリコールビス(ジヘキシルフェニルホスフェート)、エチレングリコールビス(ジ−n−オクチルフェニルホスフェート)、エチレングリコールビス(ジ−2−エチルヘキシルフェニルホスフェート)、プロピレングリコールビス(ジフェニルホスフェート)、プロピレングリコールビス(ジトリルホスフェート)、プロピレングリコールビス(ジキシリルホスフェート)、プロピレングリコールビス(ジ−n−ブチルフェニルホスフェート)、プロピレングリコールビス(ジ−t−ブチルフェニルホスフェート)、プロピレングリコールビス(ジイソプロピルフェニルホスフェート)、プロピレングリコールビス(ジヘキシルフェニルホスフェート)、プロピレングリコールビス(ジ−n−オクチルフェニルホスフェート)、プロピレングリコールビス(ジ−2−エチルヘキシルフェニルホスフェート)、オクチレングリコールビス(ジフェニルホスフェート)、オクチレングリコールビス(ジトリルホスフェート)、オクチレングリコールビス(ジキシリルホスフェート)、オクチレングリコールビス(ジ−n−ブチルフェニルホスフェート)、オクチレングリコールビス(ジ−t−ブチルフェニルホスフェート)、オクチレングリコールビス(ジイソプロピルフェニルホスフェート)、オクチレングリコールビス(ジヘキシルフェニルホスフェート)、オクチレングリコールビス(ジ−n−オクチルフェニルホスフェート)、オクチレングリコールビス(ジ−2−エチルヘキシルフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジトリルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジキシリルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジ−n−ブチルフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジ−t−ブチルフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジイソプロピルフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジヘキシルフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジ−n−オクチルフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジ−2−エチルヘキシルフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジトリルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジキシリルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジ−n−ブチルフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジ−t−ブチルフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジイソプロピルフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジヘキシルフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジ−n−オクチルフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジ−2−エチルヘキシルフェニルホスフェート)、ビフェノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビフェノールビス(ジトリルホスフェート)、ビフェノールビス(ジキシリルホスフェート)、ビフェノールビス(ジ−n−ブチルフェニルホスフェート)、ビフェノールビス(ジ−t−ブチルフェニルホスフェート)、ビフェノールビス(ジイソプロピルフェニルホスフェート)、ビフェノールビス(ジヘキシルフェニルホスフェート)、ビフェノールビス(ジ−n−オクチルフェニルホスフェート)及びビフェノールビス(ジ−2−エチルヘキシルフェニルホスフェート)等が挙げられる。
一般式(2)におけるR9〜R14は、それぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、こうしたアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、へプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、及びこれら全ての異性体等が挙げられる。これらの中でも、R9〜R14は水素原子、又は炭素数が1〜10であることが好ましく、水素原子、又は炭素数が1〜5であることがより好ましい。
一般式(2)におけるr1,r2、r3は、それぞれ独立して1、又は0の数を表し、どの組み合わせであってもその各々の化合物の性能は変わらない。
上記一般式(2)に該当する化合物として、r1=r2=r3=1の場合、具体的に、トリフェニルホスフェート、トリトリルホスフェート、トリキシリルホスフェート、トリ−n−ブチルフェニルホスフェート、トリ−t−ブチルフェニルホスフェート、トリイソプロピルフェニルホスフェート、トリヘキシルフェニルホスフェート、トリ−n−オクチルフェニルホスフェート及びトリ−2−エチルヘキシルフェニルホスフェート等が挙げられる。r1、r2及びr3のうち一つが0、残りが1の場合、具体的に、フェニルホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジトリル、フェニルホスホン酸ジキシリル、フェニルホスホン酸ジ−n−ブチルフェニル、フェニルホスホン酸ジ−t−ブチルフェニル、フェニルホスホン酸ジイソプロピルフェニル、フェニルホスホン酸ジヘキシルフェニル、フェニルホスホン酸ジ−n−オクチルフェニル及びフェニルホスホン酸ジ−2−エチルヘキシルフェニル等が挙げられる。r1、r2及びr3のうち一つが1、残りが0の場合、具体的に、ジフェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィン酸トリル、ジフェニルホスフィン酸キシリル、ジフェニルホスフィン酸n−ブチルフェニル、ジフェニルホスフィン酸t−ブチルフェニル、ジフェニルホスフィン酸イソプロピルフェニル、ジフェニルホスフィン酸ヘキシルフェニル、ジフェニルホスフィン酸n−オクチルフェニル及びジフェニルホスフィン酸2−エチルヘキシルフェニル等が挙げられる。r1=r2=r3=0の場合、具体的に、トリフェニルホスフィンオキシド、トリトリルホスフィンオキシド、トリキシリルホスフィンオキシド、トリ−n−ブチルフェニルホスフィンオキシド、トリ−t−ブチルフェニルホスフィンオキシド、トリイソプロピルフェニルホスフィンオキシド、トリヘキシルフェニルホスフィンオキシド、トリ−n−オクチルフェニルホスフィンオキシド及びトリ−2−エチルヘキシルフェニルホスフィンオキシド等が挙げられる。
さらに、難燃成分として、一般式(1)、及び(2)で表される化合物は、単体で用いてもよく、2種以上を併用してもよく、その組み合わせによる難燃成分としての効果に違いは見られない。
一般式(1)で表される化合物を合成する方法としては、公知の方法であればいずれの方法を使用してもよく、特に制限はない。同様に、一般式(2)で表される化合物を合成する方法に関しても、公知の方法であればいずれの方法を使用してもよく、特に制限はない。
一般式(1)の化合物の合成方法の具体例として、一般式(1)のAの基に対応する分子構造にさらに2つのヒドロキシル基を有する化合物の1種または2種以上とオキシ塩化リンとを仕込み、所定の条件下に反応させる。さらに、この反応物にフェノールもしくは一般式(1)のR1〜R8に対応するアルキル基を有するフェノール化合物(1種または2種以上)を反応させることで、目的の一般式(1)の化合物を得ることができる。
前記一般式(1)のAの基に対応する分子構造にさらに2つのヒドロキシル基を含有する化合物としては、脂肪族ジオールとして、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール及びオクチレングリコール等が挙げられ、芳香族ジオールとして、例えば、レゾルシノール、ビスフェノールA及びビフェノール等が挙げられ、芳香族ジオールが好ましい。
また、前記フェノール化合物として、例えば、フェノール、クレゾール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、エチルフェノール、n−ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、n−プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、ペンチルフェノール、ヘキシルフェノール、ヘプチルフェノール、n−オクチルフェノール、2−エチルヘキシルフェノール、ノニルフェノール及びデシルフェノール等が挙げられ、フェノール、クレゾール、3,5−ジメチルフェノール、t−ブチルフェノール、イソプロピルフェノール、n−オクチルフェノール及び2−エチルヘキシルフェノールが好ましい。
一般式(2)で表される化合物の合成方法として、r1=r2=r3=1の場合、具体的に、オキシ塩化リンとフェノールもしくは一般式(2)のR9〜R14に対応するアルキル基を有するフェノール化合物(1種又は2種以上)を所定の条件下で反応させることで、目的の一般式(2)の化合物を得ることができる。r1、r2及びr3のうち一つが0、残りが1の場合、具体的に、フェニルホスホン酸とフェノールもしくは一般式(2)のR9〜R14に対応するアルキル基を有するフェノール化合物(1種又は2種以上)を所定の条件下で反応させることで、目的の一般式(2)の化合物を得ることができる。r1、r2及びr3のうち一つが1、残りが0の場合、具体的に、ジフェニルホスフィン酸とフェノールもしくは一般式(2)のR9〜R14に対応するアルキル基を有するフェノール化合物を所定の条件下で反応させることで、目的の一般式(2)の化合物を得ることができる。
上記これらの合成方法で使用可能なフェノール化合物としては、例えば、フェノール、クレゾール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、エチルフェノール、n−ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、n−プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、ペンチルフェノール、ヘキシルフェノール、ヘプチルフェノール、n−オクチルフェノール、2−エチルヘキシルフェノール、ノニルフェノール及びデシルフェノール等が挙げられ、フェノール、クレゾール、3,5−ジメチルフェノール、t−ブチルフェノール、イソプロピルフェノール、n−オクチルフェノール及び2−エチルヘキシルフェノールが好ましい。
また、一般式(2)で表される化合物の合成方法として、r1=r2=r3=0の場合、具体的に、三塩化リンとハロゲン化フェニルマグネシウムまたはハロゲン化アルキルフェニルマグネシウムを反応させて得られる(若しくは、三塩化リンとベンゼン又アルキルベンゼンのフリーデル・クラフツ反応で得られる)トリフェニルホスフィン若しくはトリアルキルフェニルホスフィンを酸化することで、目的の一般式(2)の化合物を得ることができる。この場合のハロゲン化フェニルマグネシウムまたはハロゲン化アルキルフェニルマグネシウムは、フッ化フェニル若しくはフッ化アルキルフェニル、塩化フェニル若しくは塩化アルキルフェニル、臭化フェニル若しくは臭化アルキルフェニル、ヨウ化フェニル若しくはヨウ化アルキルフェニルとマグネシウムを反応させることで得られ、アルキル部分は一般式(2)のR9〜R14に対応する。
本発明で使用するカチオン界面活性剤としては、下記一般式(6)で表されるアミン、下記一般式(6)で表されるアミンと一般式(7)で表される酸性化合物から得られる塩、及び一般式(8)で表される第4級アンモニウム塩等が挙げられる。通常、下記一般式(6)で表されるようなアミン系界面活性剤の中には、それ単体ではカチオン性が弱いことからノニオン界面活性剤に分類されるものがあるが、本明細書では、水に溶解してカチオン性を示すアミン系界面活性剤もカチオン性界面活性剤として分類し使用する。水に溶解してカチオン性を示す界面活性剤は、一般式(1)及び(2)に示されるリン化合物が繊維への定着量を増加させることに寄与していると考えられる。オキシエチレン基を含む一般式(6)で表されるアミンは水に溶解してカチオン性を示す。
Figure 2014163013
(式中、R15〜R17は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、−(G−O)m−Hで表される基(ここで、Gは炭素数2のアルキレン基を表し、mは1〜100の数を表す。)、又はエステル基、アミド基、及び水酸基から選択されるいずれか1種以上の置換基を有する炭素数1〜20の基を表す。但し、1又は2個の−(G−O)m−Hで表される基が必ず含まれる。)
Figure 2014163013
(式中、Xは、アニオン性原子、又はアニオン性基を表す。)
Figure 2014163013
(式中、R18〜R21は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、−(L−O)q−Hで表される基(ここで、Lは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、qは1〜100の数を表す。)、又はエステル基、アミド基、及び水酸基から選択されるいずれか1種以上の置換基を有する炭素数1〜20の基を表す。また、Yはアニオン性原子、又はアニオン性基を表す。)
一般式(6)で表されるアミン化合物のR15〜R17は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、−(G−O)m−Hで表される基(Gは炭素数2のアルキレン基)、又はエステル基、アミド基、及び水酸基から選択されるいずれか1種以上の置換基を有する炭素数1〜20の基を表す。但し、本発明の難燃剤組成物に一般式(6)で表されるアミン化合物をカチオン界面活性剤として使用する場合、アミン化合物中に1又は2個の−(G−O)m−Hで表される基が必ず含まれなければならない。ここでは、−(G−O)m−Hで表される基を1又2個含む、一般式(6)で表される化合物を、ポリエーテル基含有カチオン界面活性剤と呼ぶ。
まず、R15〜R17における炭素数1〜20の炭化水素基としては、飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、及びシクロアルキル基等が挙げられる。飽和脂肪族炭化水素基として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、及びこれら全ての異性体等が挙げられる。不飽和脂肪族炭化水素基として、例えば、エテニル基(ビニル基)、プロペニル基(アリル基)、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、及びこれら全ての異性体等が挙げられる。芳香族炭化水素基として、例えば、フェニル基、トルイル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基、スチレン化フェニル基、p−クミルフェニル基、フェニルフェニル基、ベンジルフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、及びこれら全ての異性体等が挙げられる。シクロアルキル基として、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、メチルシクロペンテニル基、メチルシクロヘキセニル基、メチルシクロヘプテニル基、及びこれら全ての異性体等が挙げられる。ここでは、炭素数8〜20の炭化水素基が好ましく、炭素数12〜20の炭化水素基がより好ましく、炭素数15〜20の炭化水素基が最も好ましい。
次に、−(G−O)m−Hで表される基中のGは、炭素数2のアルキレン基を表し、具体的にはエチレン基を表す。さらに、アミン化合物中に1個の−(G−O)m−Hで表される基が含まれる場合、mは、1〜100の数を表し、5〜80が好ましく、10〜60がより好ましい。また、アミン化合物中に2個の−(G−O)m−Hで表される基が含まれる場合、それぞれの基のmの合計が1〜100の数を表し、5〜80であることが好ましく、10〜60であることがより好ましい。
最後に、エステル基、アミド基および水酸基から選択されるいずれか1種以上の置換基を有する炭素数1〜20の基としては、例えば、上記に挙げた炭化水素基等の1箇所または2箇所以上の水素原子を水酸基で置換、若しくは炭素−炭素結合の1箇所または2箇所以上にエステル基やアミド基を導入する形で置換したもの等が挙げられる。これらの基は、基中の全炭素数が1〜20であれば、他に特に制限されることはない。
一般式(7)で表される酸性化合物は、一般式(6)で表されるアミン化合物と塩を形成するために用いる酸性物質であり、X は、アニオン性原子、又はアニオン性基を表す。アニオン性原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子等のハロゲン原子等が挙げられ、アニオン性基としては、例えば、メチル硫酸基、エチル硫酸基等の炭素数1〜4のモノアルキル硫酸基、硫酸水素基、アセトキシ基、リン酸水素基、硝酸基、及びグリコール酸基等が挙げられる。一般式(7)で表される酸性化合物としては、例えば、塩酸、臭酸、よう酸、硫酸、リン酸、及び硝酸等の無機酸性物質、酢酸、モノアルキル硫酸、及びグリコール酸等の有機酸性物質が挙げられる。Xとしては、ハロゲン原子、炭素数1〜4のモノアルキル硫酸基、アセトキシ基、リン酸水素基、及びグリコール酸基が好ましい。
一般式(6)で表される化合物と一般式(7)で表される化合物から得られる塩を本発明の難燃剤組成物のカチオン界面活性剤として使用する場合、1又は2個の−(G−O)m−Hで表される基が含まれている一般式(6)で表されるアミン化合物の塩であることが好ましい。ここでは、このような化合物もまた、ポリエーテル基含有カチオン界面活性剤と呼ぶ。
一般式(8)で表される化合物のR18〜R21は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、−(L−O)q−Hで表される基、又はエステル基、アミド基、及び水酸基から選択されるいずれか1種以上の置換基を有する炭素数1〜20の基を表す。ここでは、−(L−O)q−Hで表される基を少なくとも一つ以上含む一般式(8)で表される化合物もまた、ポリエーテル基含有カチオン界面活性剤と呼ぶ。
まず、R18〜R21における炭素数1〜20の炭化水素基としては、飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、及びシクロアルキル基等が挙げられる。飽和脂肪族炭化水素基として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、及びこれら全ての異性体等が挙げられる。不飽和脂肪族炭化水素基として、例えば、エテニル基(ビニル基)、プロペニル基(アリル基)、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、及びこれら全ての異性体等が挙げられ、芳香族炭化水素基として、例えば、フェニル基、トルイル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基、スチレン化フェニル基、p−クミルフェニル基、フェニルフェニル基、ベンジルフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、及びこれら全ての異性体等が挙げられる。シクロアルキル基として、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、メチルシクロペンテニル基、メチルシクロヘキセニル基、メチルシクロヘプテニル基、及びこれら全ての異性体等が挙げられる。
次に、−(L−O)q−Hで表される基中のLは、炭素数2〜4のアルキレン基を表し、炭素数2〜4のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、及びこれら全ての異性体等が挙げられ、この中でもエチレン基、プロピレン基が好ましく、プロピレン基がより好ましい。さらに、−(L−O)q−Hで表される基中のqは、1〜100の数を表し、5〜80が好ましく、10〜60がより好ましい。また、−(L−O)q−Hは、例えばエチレン基、プロピレン基、ブチレン基等、炭素数2〜4のアルキレン基それぞれ単独の重合体であっても、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等、炭素数2〜4のアルキレン基から選択される2種以上のブロック若しくはランダムの重合体であってもよい。
最後に、エステル基、アミド基および水酸基から選択されるいずれか1種以上の置換基を有する炭素数1〜20の基としては、例えば、上記に挙げた炭化水素基等の1箇所または2箇所以上の水素原子を水酸基で置換、若しくは炭素−炭素結合の1箇所または2箇所以上にエステル基やアミド基を導入する形で置換したもの等が挙げられる。これらの基は、基中の全炭素数が1〜20であれば、他に特に制限されることはない。
一般式(8)で表される化合物のR18〜R21は、上記記載した基の中でも、化合物中少なくとも一つが−(L−O)q−Hで表される基(L=エチレン基、又はプロピレン基、q=1〜100)、又は、エステル基、アミド基および水酸基から選択されるいずれか1種以上の置換基を有する炭素数1〜20の基で、残りが炭素数1〜10の炭化水素基であることが好ましく、化合物中少なくとも一つが−(L−O)q−Hで表される基(L=プロピレン基、q=10〜60)で、残りが炭素数1〜5の炭化水素基であることがより好ましい。
一般式(8)で表される化合物のYはアニオン性原子、又はアニオン性基を表す。アニオン性原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、及びよう素原子等のハロゲン原子等が挙げられ、アニオン性基としては、例えば、メチル硫酸基、エチル硫酸基等の炭素数1〜4のモノアルキル硫酸基、硫酸水素基、アセトキシ基、リン酸水素基、硝酸基、及びグリコール酸基等が挙げられる。Yとしては、ハロゲン原子、炭素数1〜4のモノアルキル硫酸基、及び硫酸水素基が好ましく、塩素原子、臭素原子、メチル硫酸基、及び硫酸水素基がより好ましい。
一般式(8)で表される第4級アンモニウム塩としては、具体的に、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、トリアルキルモノメチルアンモニウム塩、モノアルキルトリエチルアンモニウム塩、ジアルキルジエチルアンモニウム塩、トリアルキルモノエチルアンモニウム塩などが挙げられ、更に、上記に挙げた炭化水素基等の1箇所または2箇所以上の水素原子を水酸基で置換、若しくは炭素−炭素結合の1箇所または2箇所以上にエステル基やアミド基を導入する形で置換した第4級アンモニウム塩、更に、一般式(8)で表される化合物中のR18〜R21の少なくとも一つが−(L−O)q−Hで表される基である第4級アンモニウム塩等が挙げられる。この中でも、一般式(8)で表される化合物中のR18〜R21の1又は2個が−(L−O)q−Hで表される基である第4級アンモニウム塩等が本発明の効果が得られやすいことから好ましい。
以上により、本発明で使用するカチオン界面活性剤は、一般式(6)で表されるアミン、一般式(6)で表されるアミンと一般式(7)で表される酸性化合物から得られる塩、及び一般式(8)で表される第4級アンモニウム塩、どの型のカチオン界面活性剤であっても、ポリエーテル基含有カチオン界面活性剤であることが本発明の効果を発揮しやすいことから好ましい。また、本発明で使用するカチオン界面活性剤は、下記一般式(6)で表されるアミン、一般式(6)で表されるアミンと一般式(7)で表される酸性化合物から得られる塩、及び一般式(8)で表される第4級アンモニウム塩、どの型のカチオン界面活性剤を単独で使用してもよく、2種以上を併用して使用してもよいが、本発明の効果が得られやすいことから、ポリエーテル基を含有する一般式(6)で表されるアミン又は一般式(8)で表される第4級アンモニウム塩のいずれか若しくは両方を使用することが好ましい。
また、一般式(6)で表されるアミン、一般式(6)で表されるアミンと一般式(7)で表される酸性化合物から得られる塩、及び一般式(8)で表される第4級アンモニウム塩の製造・合成方法については、これらの化合物は公知の方法であればどのような方法で製造・合成したものであっても良い。
ここで、一般式(6)で表されるアミン化合物の合成方法としては、例えば、ハロゲン化アルキルやスルホン酸アルキルエステルなどに対し、アンモニアやアミンなどが求核剤として作用する置換反応、ニトロ基、アジド、アミド、イミン、オキシム、ニトリル、アゾ化合物等の還元反応、アミド、イミン、イソシアネートなどの加水分解反応等他にも様々な反応が挙げられるが、一般式(6)のR15〜R17に対応する基を有するアミン化合物が得られればどの合成方法を使用してもよい。ただし、本発明の難燃剤組成物で効果を発揮する一般式(6)で表されるカチオン界面活性剤は、ポリエーテル基含有カチオン界面活性剤であり、上記方法のいずれかでアルカノールアミンを合成し、更に、炭素数2のアルキレンオキシド(エチレンオキシド)を反応させ得ることが好ましい。
次に、一般式(6)で表されるアミン化合物と一般式(7)で表される酸性化合物から得られるアミン塩の合成方法として、例えば、一般式(6)のR15〜R17に対応する基を有するアミン化合物と塩酸等の一般式(7)で表される酸性化合物を中和反応させることで、目的のアミン塩を得ることができる。ただし、本発明のカチオン界面活性剤として、本発明の難燃剤組成物で効果を発揮する当該アミン塩はポリエーテル基含有カチオン界面活性剤であり、ポリエーテル基含有アミン塩を合成する具体的な方法は、原料にアルカノールアミンを使用し、アルカノールアミンと酸性化合物を中和反応させた後に炭素数2のアルキレンオキシド(エチレンオキシド)を付加させることで、目的のポリエーテル基含有アミン塩を得ることができる。若しくは、あらかじめアルカノールアミンに炭素数2のアルキレンオキシド(エチレンオキシド)を反応させ、その後に酸性化合物と中和反応させて得ることもできる。
また、一般式(8)で表される第4級アンモニウム塩の合成方法として、例えば、一般式(8)のR18〜R20に対応するアルキル基を有するアミン化合物とR21に対応するアルキル基を有するハロゲン化アルキルを所定の条件下で第4級化反応させることで、目的の第4級アンモニウム塩を得ることができる。ただし、本発明の難燃剤組成物で使用するカチオン界面活性剤として好ましいものは、ポリエーテル基含有カチオン界面活性剤であり、ポリエーテル基含有第4級アンモニウム塩を合成するためには、具体的に、原料であるアミン化合物にアルカノールアミンを使用すればよい。アルカノールアミンとハロゲン化アルキルを第4級化反応させた後に炭素数2〜4のアルキレンオキシド(例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド)を付加させることで、目的のポリエーテル基含有第4級アンモニウム塩を得ることができる。若しくは、あらかじめアルカノールアミンに炭素数2〜4のアルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド)を反応させ、その後にハロゲン化アルキルを第4級化反応させて得ることもできる。なお、前記合成方法において、プロピレンオキシドを用いることが好ましい。
本発明の難燃剤組成物には、難燃剤組成物のエマルション安定性を高めるために、更に、ノニオン界面活性剤を含有させる。ノニオン界面活性剤を含有しないと、乳化が困難となり、本発明の十分な効果が得られない。本発明で使用するノニオン界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及びポリエチレングリコール脂肪酸エステル等のエステル型ノニオン界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(エチレンオキシドとプロピレンオキシドはランダム、ブロック何れでも良い)、ポリアルキレングリコールのアルキレンオキシド付加物、アルキル(ポリ)グリセリンエーテル、ベンジル化フェノールのアルキレンオキシド付加物、及びスチレン化フェノールのアルキレンオキシド付加物等のエーテル型ノニオン界面活性剤、他にも、脂肪酸メチルエステルのアルキレンオキシド付加物、及びアルキルポリグルコシド等が挙げられる。これらの化合物は公知の方法であればどのような方法で製造・合成したものであっても良い。ノニオン界面活性剤の中で特に好ましいのは、下記の一般式(9)で表されるようなエーテル型ノニオン界面活性剤である。

22−O−(ZO)h−H (9)
(式中、R22は、炭素数1〜30の炭化水素基を表し、Zは、炭素数2〜4のアルキレン基を表し、hは、1〜100の数を表す)
上記一般式(9)において、R22は炭素数1〜30の炭化水素基である。これらの炭化水素基としては、飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、シクロアルキル基等が挙げられる。飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基及びこれら全ての異性体等が挙げられ、不飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、エテニル基(ビニル基)、プロペニル基(アリル基)、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基、ペンタコセニル基、ヘキサコセニル基、ヘプタコセニル基、オクタコセニル基、ノナコセニル基、トリアコンテニル基、及びこれら全ての異性体等が挙げられる。芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トルイル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基、モノスチレン化フェニル基、ジスチレン化フェニル基、トリスチレン化フェニル基、p−クミルフェニル基、フェニルフェニル基、ベンジルフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、及びこれら全ての異性体等が挙げられる。シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、メチルシクロペンテニル基、メチルシクロヘキセニル基、メチルシクロヘプテニル基、及びこれら全ての異性体等が挙げられる。この中でも、飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基、及び芳香族炭化水素基が好ましく、不飽和脂肪族炭化水素基、及び芳香族炭化水素基がより好ましく、芳香族炭化水素基が更に好ましく、特にモノスチレン化フェニル基、ジスチレン化フェニル基、トリスチレン化フェニル基、のいずれか、又はこれらの組み合わせが好ましい。
また、一般式(9)で表される化合物のZは、炭素数2〜4のアルキレン基を表し、炭素数2〜4のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、及びこれら全ての異性体等が挙げられ、この中でもエチレン基、プロピレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。また、Zは2種以上の異なる基であっても問題はなく、それらはランダム重合であっても、ブロック重合であっても良い。さらに、一般式(9)で表される基中のhは、1〜100の数を表し、5〜50が好ましく、10〜40がより好ましい。また、本発明の難燃剤組成物に使用するノニオン界面活性剤は、1種又は2種以上を使用してもよく、本発明の効果に影響は与えないが、一般式(9)で表されるようなエーテル型ノニオン界面活性剤であり、かつR22が芳香族炭化水素基であることが、本発明の効果を得られやすいことから好ましい。
本発明の難燃剤組成物に使用するカチオン界面活性剤と、ノニオン界面活性剤は、その使用量に関して特に制限はないが、本発明の難燃剤組成物に使用するリン化合物100質量部に対して、カチオン界面活性剤の使用量が1〜10質量部であることが好ましく、1.2〜5質量部であることがより好ましい。さらに、ノニオン界面活性剤の使用量に関しては、リン化合物100質量部に対して10〜60質量部であることが好ましく、20〜50質量部であることがより好ましい。カチオン界面活性剤が1質量部未満であると、繊維への難燃成分の定着性の低下が起こる場合があり、ノニオン界面活性剤が10質量部未満であると、難燃剤組成物のエマルション安定性が下がる場合がある。また逆に、カチオン界面活性剤を増やしすぎると高価であることからコストメリットの面で弱くなる場合があり、ノニオン界面活性剤の量を増やしすぎると、難燃性能の低下を引き起こす場合がある。更に、本発明の難燃剤組成物に使用する水は、その使用量に関して特に制限はないが、本発明の難燃剤組成物に使用するリン化合物100質量部に対して、150〜300質量部であることが好ましく、180〜250質量部であることがより好ましい。150質量部未満であると、難燃剤組成物のエマルションの粘度が高くなりすぎる場合があり、また、300質量部以上であると、エマルションの長期安定性が低下する場合がある。
本発明の難燃剤組成物は、輸送や保管の際、長期安定性が良好である高濃度な液体であることが好ましい。具体的な配合としては、本発明の難燃剤組成物に使用するリン化合物の含有量が、難燃剤組成物全体の20〜40質量%、カチオン界面活性剤の含有量が0.2〜4質量%、ノニオン界面活性剤の含有量が2〜20質量%であり、残部が水であることが好ましい。リン化合物の含有量が20質量%未満であると、機能性を出すために、難燃剤組成物の使用量が増えることからコストメリットの面で弱くなる場合があり、また、リン化合物の含有量が40質量%を超えると、高粘度となりすぎる場合がある。
本発明の難燃剤組成物を用いて処理する際は、本発明の上記の成分濃度を有する難燃剤組成物をさらに水で薄めて使用することが好ましい。その希釈度は、本発明の難燃剤組成物を水で30〜2500倍に薄めることが好ましく、50〜1000倍に薄めることがより好ましい。難燃剤組成物が、2500倍を超えて希釈されて有効成分の濃度が低くなりすぎると、十分な有効成分を生地に定着させることが困難となる場合があり、また、難燃剤組成物が30倍以内の希釈では所望の効果は奏するが、難燃剤組成物の消費量に見合った効果が得られない場合がある。
従って、繊維を処理する際の難燃剤組成物のリン化合物の濃度は、0.008質量%以上、好ましくは0.008〜1.33質量%、カチオン界面活性剤の濃度は、0.00008質量%以上、好ましくは0.00008〜0.13質量%、及びノニオン界面活性剤の濃度は、0.0008質量%以上、好ましくは0.0008〜0.67質量%に調整される。
そして、上記の希釈した難燃剤組成物を用いて繊維を難燃処理する際、上記の有効成分の濃度を有する難燃剤組成物は生地の重さ1gに対して5〜50mlの液量で使用される。すなわち、生地20gを難燃処理する場合は、上記有効成分の濃度を有する難燃剤組成物が100〜1000ml必要となる。
本発明の難燃剤組成物は、公知の方法で製造したものであればどのような方法で製造しても問題はなく、特に制限はない。例えば、本発明の難燃剤組成物に使用するリン化合物とカチオン界面活性剤とノニオン界面活性剤の混合物を撹拌しながら、徐々に水を加えていくことにより、リン化合物を水中に乳化分散させることができる。また、本発明の難燃剤組成物に使用するリン化合物とカチオン界面活性剤とノニオン界面活性剤の混合物と水を一気に加え、ホモジナイザーなどを用いて水中に乳化分散させることもできる。
本発明の難燃剤組成物は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐水化剤、防腐防菌剤、殺虫殺菌剤、分散剤、消泡剤、消臭剤、香料、増粘剤、粘性調整剤、染料、及び顔料などを含有、又は混合しても良い。
また、本発明の難燃性繊維とは、本発明の難燃剤組成物で処理した繊維であり、使用することが出来る繊維材料としては、例えば、天然繊維として毛髪繊維、羊毛繊維、絹繊維、麻繊維、アンゴラ繊維、モヘア繊維、及びアスベスト繊維等が挙げられ、再生繊維としてレーヨン繊維、及びベンベルグ繊維等が挙げられ、半合成繊維としてアセテート繊維等が挙げられ、合成繊維としてポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、及びスパンデックス繊維等が挙げられ、無機繊維としてガラス繊維、カーボン繊維、及びシリコンカーバイド繊維等が挙げられる。中でも、半合成繊維、及び合成繊維が好ましく、合成繊維がより好ましく、ポリエステル繊維が最も好ましい。
また、本発明の難燃剤組成物で処理した繊維の具体的な処理方法としては、公知の方法であればどのような方法を用いてもよく、例えば、本発明の難燃剤組成物を水で希釈して、有効成分の濃度を繊維の処理に適した濃度に調整した後、その難燃剤組成物に繊維を浸し、熱加工処理を行うことによって、繊維に難燃成分を定着させる等の加工方法が簡便かつ安価であるため好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
(難燃成分リン化合物A、B、C、Hについて)
リン化合物Aの合成方法
温度計、窒素導入管、及び攪拌機を付した容量500mlの窒素置換した4つ口フラスコに、レゾルシノール(Mw=110)を22g(0.2モル)、オキシ塩化リン(Mw=153)を184g(1.2モル)仕込み、100℃で30分反応した後、更に100〜110℃で発生する塩酸を窒素ガスで追い出しながら5時間反応した。塩酸、及び未反応のオキシ塩化リンを100℃で減圧して除き、50℃まで冷却した後、無水塩化マグネシウム(Mw=95)を0.2g(0.002モル)、フェノール(Mw=94)を75g(0.8モル)を加え、120℃で30分反応した後、更に発生する塩酸を窒素ガスで追い出しながら、145℃で5時間反応した。系内を減圧し、低沸不純物を留去して、目的物であるリン化合物A(一般式(1)において、R1〜R8=水素原子、n=1、A=一般式(3)で表される基(メタ体))を得た。
リン化合物Bの合成方法
温度計、窒素導入管、及び攪拌機を付した容量500mlの窒素置換した4つ口フラスコに、ビスフェノールA(Mw=228)を46g(0.2モル)、オキシ塩化リン(Mw=153)を184g(1.2モル)仕込み、100℃で30分反応した後、更に100〜110℃で発生する塩酸を窒素ガスで追い出しながら5時間反応した。塩酸、及び未反応のオキシ塩化リンを100℃で減圧して除き、50℃まで冷却した後、無水塩化マグネシウム(Mw=95)を0.2g(0.002モル)、フェノール(Mw=94)を75g(0.8モル)を加え、120℃で30分反応した後、更に発生する塩酸を窒素ガスで追い出しながら、145℃で5時間反応した。系内を減圧し、低沸不純物を留去して、目的物であるリン化合物B(一般式(1)において、R1〜R8=水素原子、n=1、A=一般式(4)で表される基)を得た。
リン化合物Cの合成方法
温度計、窒素導入管、及び攪拌機を付した容量500mlの窒素置換した4つ口フラスコに、オキシ塩化リン(Mw=153)を77g(0.5モル)、p−クレゾール(Mw=108)を178g(1.65モル)仕込み、更に触媒として塩化マグネシウムを0.3g(0.003モル)系内に添加した。窒素置換後、攪拌しながら系内の温度を130℃まで昇温し、発生する塩酸を窒素ガスで追い出しながら130℃で3時間反応した。後に145℃まで昇温し、145℃で5時間反応した。系内を減圧し、低沸不純物を留去して、目的物であるリン化合物C(R9、R11、及びR13=メチル基、R10、R12、及びR14=水素原子、r1=r2=r3=1である一般式(2)で表される化合物)を得た。
リン化合物Hの合成方法
温度計、窒素導入管、及び攪拌機を付した容量500mlの窒素置換した4つ口フラスコに、レゾルシノール(Mw=110)を22g(0.2モル)、オキシ塩化リン(Mw=153)を184g(1.2モル)仕込み、100℃で30分反応した後、更に100〜110℃で発生する塩酸を窒素ガスで追い出しながら5時間反応した。塩酸、及び未反応のオキシ塩化リンを100℃で減圧して除き、50℃まで冷却した後、無水塩化マグネシウム(Mw=95)を0.2g(0.002モル)、2,6−ジメチルフェノール(Mw=122)を98g(0.8モル)を加え、120℃で30分反応した後、更に発生する塩酸を窒素ガスで追い出しながら、145℃で5時間反応した。系内を減圧し、低沸不純物を留去して、目的物であるリン化合物A(一般式(1)において、R1〜R8=メチル基、n=1、A=一般式(3)で表される基(メタ体))を得た。
(カチオン界面活性剤成分について)
カチオン界面活性剤D
Figure 2014163013
カチオン界面活性剤E
Figure 2014163013
カチオン界面活性剤I
Figure 2014163013
(ノニオン界面活性剤成分について)
ノニオン界面活性剤F
Figure 2014163013
ノニオン界面活性剤J
Figure 2014163013
ノニオン界面活性剤K
Figure 2014163013
(アニオン界面活性剤成分について)
アニオン界面活性剤G
Figure 2014163013
以下表1に、今回配合した難燃剤組成物の実施例、比較例を示す。
Figure 2014163013
続いて、実施例1〜11、比較例1、及び2で配合した難燃剤組成物で繊維を処理し、難燃成分の生地への定着性の評価を行った。
なお、ノニオン界面活性剤を含まない場合(比較例)は、エマルションを生成できなかった。このため、ノニオン界面活性剤を含まないものは定着性の評価が出来なかった。
・生地定着性試験
試験布:ポリエステルトロピカル(35cm×25cm、約20g)
試験機器:高温高圧染色試験機(前田鉄工株式会社製)
処理条件:まず、実施例1〜11、比較例1、及び2で配合した難燃剤組成物を含有する処理液を調整する(本発明の難燃剤組成物を水で160倍に希釈する)。次に、この処理液に試験布全体を浸し、130℃において30分間加熱処理を行う。試験布を取り出し、熱処理前後の液に関して、リン含量(測定方法:ICP発光分光分析)を測定。そこから難燃成分であるリン化合物が熱処理を行うことによって何%試験布に定着したのか(試験布への定着率)算出する。また、処理前後の液約20gを採取し、105℃にて3時間乾燥後、更にデシケータにて1時間乾燥し、蒸発残分を計測。処理後液の蒸発残分と処理前液の蒸発残分から薬剤消費率、すなわち、難燃剤組成物の試験布への定着率を算出する。
上記方法で行った評価結果を表2に示す。また、より変化がわかりやすいよう、熱処理液前と熱処理液後の写真を表2に併せて記載した。
Figure 2014163013
結果、本発明のリン化合物、及びカチオン界面活性剤を含有する難燃剤組成物(実施例1〜11)は、比較例であるノニオン界面活性剤のみ使用した難燃剤組成物(比較例1)、及びノニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤を併用した難燃剤組成物(比較例2)に比べて、試験布への難燃剤組成物、及び難燃成分であるリン化合物の定着率が良好であることがわかった。試験布への難燃剤組成物、及び難燃成分であるリン化合物の定着率が良好であるものは、処理後液が透明になり、有効成分が試験布へ定着したことが目視で確認出来た。また、使用するカチオン界面活性剤は、ポリエーテル基含有カチオン界面活性剤が良好であり、リン化合物の高い定着率を示している。
さらに、上記加工した布を用いて、以下条件で燃焼試験を実施した。
・燃焼試験
試験布 :実施例1〜11、比較例1、及び2の難燃剤組成物で処理した試験布(対応する布をそれぞれ順に試験布1〜13とする)
試験条件:まず、各試験布1〜13を5cm×5cmの正方形に裁断し、試験片を作る。次に、この試験片に着火し、試験片の燃え残り量を目視で評価する。
評価方法: X:燃え残りなし(難燃性なし)
O:一部燃え残りあり(難燃性あり)
上記方法で行った評価結果を表3に示す。
Figure 2014163013
結果、本発明のリン化合物、及びカチオン界面活性剤を含有する難燃剤組成物(実施例1〜11)は、ノニオン界面活性剤のみ使用した難燃剤組成物(比較例1)、及びノニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤を併用した難燃剤組成物(比較例2)を使用した時に比べて、難燃性が良好であることがわかった。
産業上利用可能性
本発明の難燃剤組成物は、難燃性繊維用途だけではなく、家電製品をはじめとする電化製品、建材、家庭用品として用いられる素材、プラスチック、ゴム、紙、及び車両の各種部材など、あらゆる素材での難燃剤としても幅広く使用可能であり、その有用性は非常に大きい。

Claims (8)

  1. 下記の一般式(1)又は(2)で表されるリン化合物の少なくとも一種、カチオン界面活性剤及びノニオン界面活性剤を含有する難燃剤組成物。
    Figure 2014163013
    (式中、Aは、炭素原子数1〜20の二価の炭化水素基を表し、nは、1〜10の数を表し、R1〜R8は、それぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
    Figure 2014163013
    (式中、R9〜R14は、それぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。また、r1,r2,r3は、それぞれ独立して1、又は0の数を表す。)
  2. 前記カチオン界面活性剤が、下記一般式(6)で表されるアミン又は下記一般式(8)で表される第4級アンモニウム塩のいずれか若しくは両方である、請求項1に記載の難燃剤組成物。
    Figure 2014163013
    (式中、R15〜R17は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、−(G−O)m−Hで表される基(ここで、Gは炭素数2のアルキレン基を表し、mは1〜100の数を表す。)、又はエステル基、アミド基、及び水酸基から選択されるいずれか1種以上の置換基を有する炭素数1〜20の基を表す。但し、1又は2個の−(G−O)m−Hで表される基が必ず含まれる。)
    Figure 2014163013
    (式中、R18〜R21は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、−(L−O)q−Hで表される基(ここで、Lは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、qは1〜100の数を表す。)、又はエステル基、アミド基、及び水酸基から選択されるいずれか1種以上の置換基を有する炭素数1〜20の基を表す。また、Yはアニオン性原子、又はアニオン性基を表す。)
  3. カチオン界面活性剤が、ポリエーテル基含有カチオン界面活性剤である、請求項1または2に記載の難燃剤組成物。
  4. ノニオン界面活性剤が、分子中に芳香環を有するノニオン界面活性剤である、請求項1〜3のいずれかに記載の難燃剤組成物。
  5. 更に、水を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の難燃剤組成物。
  6. リン化合物100質量部に対して、カチオン界面活性剤を1〜10質量部、ノニオン界面活性剤を10〜60質量部、水を150〜300質量部含有する、請求項5に記載の難燃剤組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の難燃剤組成物で処理して得られる難燃性繊維。
  8. 繊維を請求項1〜6のいずれかに記載の難燃剤組成物で処理して、繊維への前記リン化合物の定着量を増加させる方法。
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