JP7059069B2 - 難燃性組成物、難燃性繊維、その製造方法及び該難燃性組成物により難燃剤の繊維への定着量を増加させる方法 - Google Patents
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Description
繊維の難燃性を向上させる他の手法としては、平均粒子径が0.05μm~1.5μmのトリスジエチルホスフィン酸アルミニウムを、両性界面活性剤とアニオン性高分子界面活性剤を用いて水分散させた難燃加工剤が知られている(例えば特許文献3など)。しかしながら、この手法を用いて難燃剤の水分散液を調製した場合、高濃度の難燃剤を分散させた際には、分散液の流動性が低く、また経時で分散液中の難燃剤が分離してしまうことがわかった。また、低濃度に調整した場合は多量の分散液を使用する必要があり、作業性の面で課題があった。
本発明において、上記一般式(1)におけるxはMの価数に対応し、MがAlの場合はxが3となる。
また、本発明のジアルキルホスフィン酸塩については、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記一般式(2)で表される化合物において、bは1~100の整数を表す。このうち、難燃剤に対する濡れ性及び難燃性組成物の流動性の観点から、bは5~50が好ましく、7~20がより好ましい。
上記一般式(2)で表される好適なノニオン性界面活性剤の具体例は、例えば、以下に記載の化合物である。
(A)ジアルキルホスフィン酸塩(難燃剤)
A-1:上記一般式(1)においてR1、R2が共にエチル基であり、xが3であり、MがAlである化合物
(B)界面活性剤(分散剤)
B-1:上記に記載の化合物(2-1)(ノニオン性界面活性剤)
B-2:上記に記載の化合物(2-2)(ノニオン性界面活性剤)
B-3:上記に記載の化合物(2-3)(ノニオン性界面活性剤)
B-4:直鎖ドデシルアルコール1モルにエチレンオキサイド9モル、プロピレンオキサイド3モルを付加反応させて得られた化合物(一般式(2)において、R3が直鎖ドデシル基であり、A1Oがオキシエチレン基/オキシプロピレン基=3/1(モル比)であり、aが0であり、bが12である化合物)(ノニオン性界面活性剤)
B-5:直鎖ドデシルアルコール1モルにエチレンオキサイド10モル、プロピレンオキサイド3モルを付加反応させて得られた化合物(一般式(2)において、R3が直鎖ドデシル基であり、A1Oがオキシエチレン基/オキシプロピレン基=10/3(モル比)であり、aが0であり、bが13である化合物)(ノニオン性界面活性剤)
B-6:分岐型トリデシルアルコール1モルにエチレンオキサイド8モル付加させて得られた化合物(一般式(2)において、R3が分岐したトリデシル基であり、A1Oがオキシエチレン基であり、aが0であり、bが8である化合物)(ノニオン性界面活性剤)
B-7:アデカプルロニックP-84(ポリオキシエチレン―ポリオキシプロピレン縮合物、(株)ADEKA製、商品名:)(ノニオン性界面活性剤)
B-8:ソフタノール90(炭素原子数12~14の直鎖型2級アルコールの混合物のエチレンオキサイド付加物、日本触媒(株)製)(ノニオン性界面活性剤)
B-9:上記に記載の化合物(2-4)(ノニオン性界面活性剤)
B-10:アデカコールCC-36(ポリエーテルカチオン性界面活性剤、(株)ADEKA製)
B-11:ラウリルアミドプロピル酢酸ベタイン(両性界面活性剤)
<実施例1~9>
イオン交換水100gを入れた500mLビーカーに、分散剤として、表1、2で示した通りのノニオン性界面活性剤である(B)成分10gをそれぞれ加え、25℃にて10分間、スパチュラにて撹拌を行い、界面活性剤水溶液を調製した。その後、難燃剤として、(A)成分であるA-1を30g加え、ディスパー(プライミクス(株)製、商品名:高速分散機 ホモディスパー2.5型)を用いて、25℃にて30分間、3000rpm~6000rpmで撹拌を行うことにより、難燃性組成物X-1~X-9を得た。
<比較例1~4>
(B)成分として、比較例1ではカチオン性界面活性剤(B-10)を10g、比較例2では両性界面活性剤(B-11)を10g、比較例3ではノニオン性界面活性剤(B-6)5gと両性界面活性剤(B-11)5g、比較例4ではノニオン性界面活性剤(B-7)5gと両性界面活性剤(B-11)5gを用い、それ以外は、実施例1~9と同様の方法で、難燃性組成物X-10~X-13を得た。
上述した難燃性組成物の調製において、ディスパーによる撹拌工程の際に、目視にてA-1の表面が界面活性剤水溶液に完全に濡れるまでの時間を測定した。濡れ性の評価として、上記時間が10秒未満であるものを評価A、10秒以上1分未満であるものを評価B、1分以上5分未満であるものを評価C、5分以上かかるもの、若しくはディスパーで撹拌を行っても、濡れずに水溶液上部に浮いた状態のものを評価Dとした。結果を表1、2に示す。
ビーカーに、難燃性組成物X-1~X-13をそれぞれ充填し、それぞれのビーカーを水平状態から45度傾けたときに、難燃性組成物がビーカーの注ぎ口から下方に流れ出るものを評価Aとし、45度傾けただけでは流れないが、ビーカーを手で振動させるとビーカーの注ぎ口から下方に流れ出るものを評価Bとし、45度傾け、及び手による振動によっても組成物が流動しないものを評価Cとした。
難燃性組成物X-1~X-13中の(A)成分であるジアルキルホスフィン酸塩の平均粒子径について、粒度分布計(大塚電子(株)製、商品名:ELSZ-1000、動的光散乱法)により散乱強度のメジアン径(D50)の値を測定し、平均粒子径とした。平均粒子径が低い値であるほど、難燃性組成物中での分散性に優れるため、難燃性組成物の流動性が高く、繊維への含浸性も優れている傾向にある。
500mLビーカーに、難燃剤として、下記式(5)で表されるリン化合物を30g、界面活性剤として、上述したB-4を10g、水を100g加え25℃にて10分間、スパチュラにて撹拌を行った。その後、ホモミキサー(プライミクス(株)製、商品名:高速乳化、分散機ホモミクサーMARK II2.5型)を用いて、25℃にて30分間、3000rpm~6000rpmで撹拌を行うことにより、リン化合物を完全に分散させて、難燃性組成物X-14を得た。
難燃剤として、上記式(5)で表されるリン化合物30gの代わりに、ポリリン酸メラミンを10g、ポリリン酸ピペラジンを20gに変更したこと以外は、比較例5と同様の方法により、難燃性組成物X-15を得た。
難燃性組成物X-7、X-14、X-15を、それぞれ難燃剤成分が10質量%となるように調整した処理液を準備し、それぞれの処理液にポリエステル繊維(ポリエステルトロピカル 帝人(株)製)を浸漬させた後に、25℃で1日乾燥させた後、180℃で1分の条件で乾燥、処理して試験布を得た。得られた試験布の難燃性を下記に示す45°コイル法により評価を行った。なお、試験布はそのまま難燃性を測定したもの、60℃の温水に1時間浸漬させた後の試験布、25℃の溶剤(テトラクロロエチレン)に1時間浸漬させた後の試験布、それぞれについて難燃性を評価した。比較例7は難燃性組成物を用いずに、ポリエステル繊維そのままで、難燃性評価を行った。結果を表3に示す。
・試験布を幅10cm、質量1gになるようにカットし、支持コイル(直径0.5mmのステンレス鋼線製)の中に丸めて挿入する。
・試験布を挿入した支持コイルを水平面に対して45°傾斜させた状態で固定して試験布の下端からガスバーナーで接炎する。
・火が消えた場合は接炎を繰り返し、試験布が燃え尽きるまでの接炎回数を記録する。
・接炎を最大5回まで実施する。
・上記の操作を各試験布(未浸漬、60℃温水浸漬後試験布、溶剤浸漬後試験布)について6回行い、接炎回数の平均を算出する。
Claims (7)
- (A)下記一般式(1)で表されるジアルキルホスフィン酸塩からなる難燃剤、(B)下記一般式(2)~(3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であるノニオン性界面活性剤を含み、かつ両性界面活性剤を含まない分散剤、及び水、を含む難燃性組成物であって、
該難燃性組成物中の前記ジアルキルホスフィン酸塩の平均粒子径が400nm以下である難燃性組成物。
- 前記難燃性組成物は両性界面活性剤を含まない、請求項1に記載の難燃性組成物。
- 前記ジアルキルホスフィン酸塩の含有量が、前記難燃性組成物の総質量に対して10質量%~50質量%である請求項1又は2に記載の難燃性組成物。
- 前記分散剤がノニオン性界面活性剤のみからなり、前記難燃性組成物は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を含まない、請求項1~3の何れか一項に記載の難燃性組成物。
- 請求項1~4の何れか一項に記載の難燃性組成物で処理されて得られる難燃性繊維。
- 請求項1~4の何れか一項に記載の難燃性組成物を繊維に付与した後に乾燥させることを含む、難燃性繊維の製造方法。
- 繊維を請求項1~4の何れか一項に記載の難燃剤組成物で繊維を処理することにより、繊維への前記ジアルキルホスフィン酸塩の定着量を増加させる方法。
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