本開示の第1の態様に係る誘導加熱調理器は、
調理容器に載置された被加熱物を上方から輻射加熱する発熱体を設けた輻射加熱部と、
前記輻射加熱部を支持する屋根部と、
誘導給電される受電コイルを設けた受電部と、
前記受電部の受電コイルと、前記輻射加熱部の発熱体と、を電気的に接続する接続部と、
前記受電部から延びて前記屋根部を支持する支持部と、
を備え、
前記支持部は、少なくとも前記発熱体と前記受電部とが垂直方向に重ならないように、かつ調理容器が前記輻射加熱部の下の加熱領域にアクセス可能な開口を有するように前記屋根部を支持する。
このような構成によって、使用者は、調理容器を、開口を通じて輻射加熱部の下の加熱領域に配置することまたは調理容器を、加熱領域から開口を通じて取り出すことを自由に行うことができる。また、使用者は、調理中においても、調理材料を、開口から目視することができ、調理状況を容易に確認することができる。このように、本開示の誘導加熱調理器は、取扱い性を向上させることができる。
他方、調理容器で発生した高温の空気は、開口から屋根部の外側へ拡散できる。輻射加熱部の熱は、支持部によって受電部へ熱伝導するので、受電部への伝熱量は少なくなる。これらの結果、受電コイルの温度上昇の抑制が図れる。
本開示の第2の態様に係る誘導加熱調理器においては、前記第1の態様における前記受電部の端部から、前記加熱領域の端縁に沿って延びる脚部をさらに備える。
このような構成によって、輻射加熱部の重量を脚部で受けることが可能となる。即ち、本開示の誘導加熱調理器は、支持部と脚部とで、輻射加熱部の重量を支えることができる。その結果、輻射加熱部と受電部との互いの重量バランスを均一に保ち、安定した誘導加熱調理器を提供できる。
本開示の第3の態様に係る誘導加熱調理器においては、前記第2の態様における前記脚部は、前記脚部で囲われた前記加熱領域を水平方向に開放するように構成されている。
このような構成によって、脚部がある場合に、使用者は、脚部の開放されている部分で調理容器を、輻射加熱部の下の加熱領域に配置することまたは調理容器を加熱領域から取り出すことができる。その結果、本開示の誘導加熱調理器の利便性が向上する。
本開示の第4の態様に係る誘導加熱調理器においては、前記第2又は3のいずれかの態様における前記脚部と前記屋根部との間が開放されている。
このような構成によって、脚部と屋根部との間が開放されることによって開口を形成することができる。特に、調理容器の周囲に使用者が把持可能な鍔部を有する場合には、この開口に調理容器の鍔部を位置させることが可能となる。その結果、調理容器の鍔部の長さ分だけ、誘導加熱調理器の長さを短くすることができるため、誘導加熱調理器の設置面積を少なくして誘導加熱調理器全体の小型化が可能となる。また、脚部と屋根部との間の開口は、輻射加熱部により加熱される加熱領域の外側にあるため、調理容器の鍔部は、外気への放熱により低温になる。その結果、本開示の誘導加熱調理器は、高温の調理容器の取り出しによる使用者の「熱い」という不快感を抑えるとともに、取り扱い性を向上させることができる。
本開示の第5の態様に係る誘導加熱調理器においては、前記第1〜4のいずれかの態様における前記輻射加熱部の発熱体の端子は、前記屋根部の端部に接合され、
前記支持体は、前記屋根部の端部に接合する。
このような構成によって、支持部は、温度の低い部分である、発熱体の端子が接合される屋根部の端部に接続することができる。発熱体の端子は、発熱体の発熱による加熱を発熱体の中央部側に比べて受けにくいため、発熱体の端子が接合される屋根部の端部の温度が、発熱体の中央部側より低くなる。したがって、支持部は、発熱体の中央部側より温度の低い部分である屋根部の端部に接合した分、支持部を介して受電部へ熱伝導する伝熱量が少なくなり、受電コイルの温度上昇の抑制を図ることができる。
本開示の第6の態様に係る誘導加熱調理器においては、前記第1〜5のいずれかの態様における前記支持部は、前記輻射加熱部と前記受電部との間に遮断部を備え、
前記遮断部は、調理容器側の前記受電部の端部を覆い、前記端部から上方に向かって延び、かつ前記輻射加熱部と前記遮断部との間に間隙を有するように配置される。
このような構成によって、遮断部が、輻射加熱部及び調理容器から受電部への輻射を遮断できる。また、換気扇又はエアコンなどによる気流がある場合に、遮断部は、調理容器により発生した高温の空気が換気扇、エアコンなど周辺の気流により受電部へ流れ込むことを防止することができる。これらの結果、本開示の誘導加熱調理器は、受電コイルの温度上昇の抑制を図れる。
本開示の第7の態様に係る誘導加熱調理器においては、前記第1〜6のいずれかの態様における前記屋根部は、内郭と外郭との間に設けられた空気通路と、前記内郭で形成された内側空間と前記外郭の外側空間とを上下方向に連通する排気通路と、を備え、
前記輻射加熱部は、前記発熱体からの輻射熱を被加熱物の方向に導く反射体を備えると共に、前記屋根部の前記内側空間に配置され、
前記空気通路の入口は、前記屋根部の前記内郭または前記外郭の端部近傍に配置され、
前記空気通路の出口は、前記排気通路の近傍に配置される。
このような構成によって、加熱されて高温になった調理容器により発生した高温空気は、排気通路を通って排気通路の出口から排気される。このとき、排気通路の出口近傍に配置された空気通路の出口は、負圧になり、外気が空気通路の入口から空気通路に吸引される。本開示の誘導加熱調理器は、この空気通路を通過する外気が屋根部の外郭を内側から冷却することにより、屋根部の外郭の温度上昇の抑制を図れる。
本開示の第8の態様に係る誘導加熱調理器においては、前記第7の態様における前記空気通路の出口は、前記排気通路に連通する。
このような構成によって、空気通路の出口と排気通路とがつながるため、排気通路の出口が負圧になることで、より多くの外気が空気通路の入口から空気通路に吸引される。
本開示の第9の態様に係る誘導加熱調理器においては、前記第7又は8の態様における前記屋根部は、空気通路内に配置される隔壁を備え、
前記隔壁は、前記空気通路を、前記外郭と前記隔壁との間に形成される第1の空気通路と、前記隔壁と前記内郭との間に形成される第2の空気通路と、に分割する。
このような構成によって、室内の気流などに押し出され、屋根部の内郭で形成された内側空間から溢れた高温空気が、第2の空気通路に流入する。一方、第1の空気通路には、外気が流れることにより、外気が屋根部の外郭を第1の空気通路である内側から十分に冷却する。また、隔壁は、内郭からの輻射を遮断するため、発熱体から反射体及び内郭を経由する屋根部の外郭への輻射加熱の熱伝導を抑制できる。
本開示の第10の態様に係る誘導加熱調理器においては、前記第9の態様における前記屋根部は、前記外郭と前記隔壁とを接合し、前記隔壁と前記内郭とを接合し、前記内郭と前記輻射加熱部の反射体とを接合して構成される。
このような構成によって、屋根部の外郭と反射体とが直接接合されないため、屋根部の外郭の温度上昇を抑制できる。このように、屋根部の外郭は、隔壁を介して反射体から熱伝導するため、温度上昇を抑制できる。即ち、屋根部の外郭と反射体との熱伝導距離を長くすることができるため、屋根部の外郭の温度上昇を抑制できる。
本開示の第11の態様に係る誘導加熱調理器においては、前記第7〜10のいずれかの態様における前記屋根部は、前記空気通路の出口を入口より高い位置に配置し、前記空気通路の入口から出口までの通路を傾斜させる。
このような構成によって、高温空気が傾斜した屋根部の内郭に沿って流れることによって、排気通路に高温空気が集まりやすくなる。また、屋根部の空気通路が傾斜することによって、通路内を流れる高温空気または外気が自然対流で上昇しやすくなる。したがって、排気通路から排出される高温空気の量が増大し、空気通路の出口において負圧が大きくなる。このため、本開示の誘導加熱調理器は、空気通路により多くの量の外気を吸引することができる。さらに、空気通路を直角に曲げて形成した場合と比べて、空気通路を傾斜させて形成した場合の方が、通路長さを短くでき、通路抵抗を減少させることができる。この結果、空気通路を通過する外気が増加するので、外気による屋根部の外郭への冷却性能が向上する。
本開示の第12の態様に係る誘導加熱調理器においては、前記第7〜11のいずれかの態様における前記空気通路の出口と前記排気通路の出口とは、同一方向に延びる長孔形状である。
このような構成によって、空気通路のどの位置でも、排気通路の出口が近くなる。すなわち、空気通路の入口から出口までの通路長が短くなり、通路抵抗が減少する。この結果、空気通路を通過する外気が増加することにより、屋根部の外郭への冷却性能が向上する。
本開示の第13の態様に係る誘導加熱調理器においては、前記第1〜12のいずれかの態様における前記屋根部の周囲は、開放されている。
このような構成によって、使用者は、調理中においても調理材料を目視することができる。また、調理容器で発生した高温の空気は、開放されている屋根部の周囲から自然対流によって拡散できるため、屋根部の温度上昇を抑制することができる。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本開示が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本開示の実施の形態1における誘導加熱調理器の要部構成を示した斜視図である。図2は、誘導加熱調理器及び誘導加熱装置の要部構成を示した断面図である。図3は、誘導加熱調理器と誘導加熱装置とを示した斜視図である。図4は、本開示の実施の形態1における誘導加熱調理器に適用されるトッププレートを除いた誘導加熱装置を示した斜視図である。図5は、誘導加熱装置における制御要素を示すブロック図である。
本開示の実施の形態1における誘導加熱調理器100は、調理容器2に載置された被加熱物を上方から輻射加熱する発熱体3を設けた輻射加熱部1と、輻射加熱部1を支持する屋根部19と、誘導給電される受電コイル9を設けた受電部8と、受電部8の受電コイル9と、輻射加熱部1の発熱体3と、を電気的に接続する接続部18と、受電部8から延びて屋根部19を支持する支持部10と、を備える。支持部10は、少なくとも前記発熱体3と受電部8とが垂直方向に重ならないように、かつ調理容器2が輻射加熱部1の加熱領域にアクセス可能な開口14を有するように屋根部19を支持している。
以下、更に図面に基づいて、本開示の実施の形態1における誘導加熱調理器100を具体的に説明する。
図1及び図2に示すように、輻射加熱部1は、鍋や鉄板などの調理容器2に載置された被加熱物(調理材料)を上方から輻射加熱する発熱体3を備える。発熱体3は、例えば、2本の赤外線ランプヒーターを使用することができる。発熱体3は、赤外線ランプヒーターに限らず、シーズヒーターなどであってもよい。また、輻射加熱部1は、発熱体3からの輻射熱を被加熱物の方向に導くように反射体を備えてもよい。
屋根部19は、輻射加熱部1を支持しており、輻射加熱部1の上部を覆うように設けられている。また、屋根部19の周囲は、開放されている。屋根部19の両側の対向する端部19L、19Rの内側には、輻射加熱部1の発熱体3の端子3L、3Rが接合されている。実施の形態1では、端子3L、3Rは、屋根部19の端部19L、19Rの両方に接合されているが、これに限定されず、どちらか片方に接合されていてもよい。
図3に示すように実施の形態1における誘導加熱調理器100は、誘導加熱装置200に載置されて使用される。図3及び図4に示すように、誘導加熱装置200は、トッププレート4と、トッププレート4の直下に配置される加熱コイルユニット7と、加熱コイルユニット7の動作を操作する操作表示部6と、加熱コイルユニット7の周囲に配置される発光体表示部13と、加熱コイルユニット7、操作表示部6、及び発光体表示部13を収納する本体筐体5と、を備える。
調理容器2は、トッププレート4上に載置される。トッププレート4は、本体筐体5の上面に被せられている。図4に示すように、本体筐体5の内部には、液晶表示部にタッチパネルを有する操作表示部6と、格子状に45個配列(操作表示部6に対して前後の行が9行、左右の列が5列)した加熱コイルユニット7と、が収納される。加熱コイルユニット7の数は、例示として示したものであり、これに限定されない。加熱コイルユニット7は、被加熱物を誘導加熱すること、及び受電部8に誘導給電することが可能である。例えば、図2に示すように、加熱コイルユニット7Bは、調理容器2を誘導加熱し、加熱コイルユニット7Aは、受電コイル9に対して誘導給電する。
図2に示すように、受電部8は、直下に配置される加熱コイルユニット7Aから誘導給電される受電コイル9を備える。実施の形態1の誘導加熱調理器100では、受電部8は、複数の受電コイル9を備え、複数の受電コイル9は、誘導加熱装置200のそれぞれの加熱コイルユニット7と1対1で対応するように配置されている。なお、受電コイル9は、複数の場合だけでなく、1つのみを備える場合であってもよい。また、受電コイル9と加熱コイルユニット7は、誘導給電することができるのであれば、それぞれ1対1で対応するように配置されていなくてもよい。受電コイル9は、接続部18を介して、輻射加熱部1の赤外線ランプヒーター(発熱体)3と電気的に接続される。接続部18は、受電コイル9と、赤外線ランプヒーター3の端子3L、3Rと、を接続する。接続部18は、電気的に導通させるものであればよく、例えば、導線などの配線であってもよい。
また、支持部10には、調理容器2と屋根部19との空間温度を検出する温度センサA(例えば、サーミスタなど)が備えられている。また、受電部8には、温度センサAを駆動する制御部B(図示せず)が設けてあり、受電コイル9からの電力で駆動する。
支持部10は、発熱体3と受電部8とが垂直方向に重ならないように受電部8から延びて屋根部19を支持する。発熱体3と受電部8との配置関係については、少なくとも、ランプヒーター3の軸の中心位置と、赤外線ランプヒーター3側の受電部8の端面8Fから上方へ延びる垂直方向の線と、が重ならなければよい。具体的には、図1及び図2に示すように、支持部10として、一対の板状部材が用いられ、支持部10の下部が受電部8の両端部8L、8Rにそれぞれ接合されるとともに、受電部8より斜め上方に延びる支持部10の上部が屋根部19の両端部19L、19Rにそれぞれ接合されている。支持部10は、屋根部19が受電部8より高い位置に配置させた状態で、屋根部19を片持ちで支持している。これにより、輻射加熱部1の下には、調理容器2が自由にアクセスできる開口14(屋根部19の周縁とトッププレート4との間の開放部分)が形成されている。使用者は、この開口14によって、調理容器2を、トッププレート4上をスライドさせて、輻射加熱部1の下の加熱領域に配置することができる。ここで、加熱領域とは、輻射加熱部1によって加熱される領域を意味する。例えば、使用者は、図3の白矢印で示す方向(操作表示部6に対して前後の方向または左右の方向)に、調理容器2をスライドさせて輻射加熱部1の加熱領域移動させることができる。なお、使用者は、調理容器2をスライドさせて加熱領域に移動させるだけでなく、調理容器2を持ち上げて加熱領域に移動させてもよい。
開口14は、調理容器2が輻射加熱部1の加熱領域に自由にアクセスできるように開放されている。例えば、図3に誘導加熱調理器100において、操作表示部6側の方向を前方向とし、操作表示部6の側から見て右側を右方向、左側を左方向と定義する。図3に示す加熱調理器100では、前方向の開口14C、左方向の開口14L、右方向の14Rが開口しており、それぞれの開口14C、14L、14Rは連通している。これにより、調理容器2は、開口14から輻射加熱部1の加熱領域に自由にアクセスすることができる。また、使用者は、誘導加熱調理器100を操作することなく、調理中においても調理容器2に入れられた調理材料を開口14C、14L、14Rから容易に目視することができる。なお、実施の形態1の誘導加熱調理器100では、開口14C、14L、14Rの全てが連通した構成を説明したが、これに限定されず、開口14C、14L、14Rのうち少なくとも1つがあればよい。少なくとも1つの開口14があれば、使用者は、開口14から調理容器2の配置および取り出しができるとともに、調理材料を開口14から目で確認することができる。
遮断部11は、輻射加熱部1及び調理容器2から受電部8への輻射熱を遮るために、輻射加熱部1と受電部8との間に配置されている。遮断部11は、調理容器2側の受電部8の端部8Fを覆っており、調理容器2が遮断部11によって直接受電部8に接触しないようになっている。調理容器2側の受電部8の端部8Fとは、トッププレート4上に載置された調理容器2に対向する受電部8の端部(端面)8Fを意味する。また、遮断部11は、調理容器2側の受電部8の端部8Fから上方に向かって(輻射加熱部1に向かって)延び、かつ輻射加熱部1と遮断部11との間に外気が通り抜ける間隙20を有するように配置される。例えば、遮断部11は、調理容器2側の受電部8の端部(端面)8Fから略平行に、輻射加熱部1に向かって延びるように支持部10に取り付けられてもよい。なお、遮断部11は、輻射加熱部1から調理材料への輻射を遮らず、かつ輻射加熱部1から受電部8への輻射を遮る範囲で、傾斜していてもよい。なお、実施の形態1の誘導加熱調理器100では、受電部8の温度上昇が大きくない場合、遮断部11を配置しなくてもよい。
加熱コイルユニット7の下面には、鍋などの調理容器2の温度を光により測定する温度センサ12(図2)が、設けられている。温度センサ12は、例えば、赤外線センサを用いることができる。温度センサ12は、赤外線センサに限定されず、温度を測定できるものであればよい。
さらに、上面が発光する発光表示体13が、加熱コイルユニット7を囲むように多数格子状に配置されている。発光表示体13の光源(LED)である発光部(図示せず)が複数の加熱コイルユニット7に囲まれた空間に設けられている。操作表示部6、発光表示体13は、トッププレート4の該当箇所を透過して、トッププレート4の上から閲覧できるようになっている。
なお、本体筐体5の内部には、加熱コイルユニット7を駆動する加熱制御部24と共に調理容器2、受電コイル9を検知する被加熱物検出部15が収納されている。さらに、受電部8の位置ずれ防止のために、ゴム足(図示せず)を受電部8の下面四隅に設けているため、受電部8の下面とトッププレート4との間には1〜2mmの間隙を有する。
以上のように構成された誘導加熱調理器100について、以下その動作、作用について説明する。
図5に示すように、使用者が操作表示部6における調理開始操作により、誘導加熱装置200を起動したとき、操作表示部6から加熱制御部24に起動信号が入力される。
次に、加熱制御部24は、起動信号が入力されたとき、被加熱物検出部15に対して、加熱コイルユニット7の各々において被加熱物が載置されたか否かを検出する検出動作を実行させる。この検出動作は、加熱コイルユニット7の各々に検出電流を流して、その検出電流の変化により、被加熱物の有無を検出するものである。
そして、誘導加熱調理器100の受電部8がトッププレート4に載置されるとき、被加熱物検出部15は、受電部8の受電コイル9の直下の加熱コイルユニット7Aの検出電流に基づいて、検出結果である検出信号を加熱制御部24に出力する。
加熱制御部24は、受電部8の載置されるべき位置に対応する加熱コイルユニット7Aの周りにある発光表示体13を発光させるべく発光部を発光させる。そして、使用者は、発光している発光表示体13に囲まれた領域中央へ、受電部8の位置を修正する。例えば、使用者は、発光している発光表示体13で囲まれた領域内に受電部8が入るように、受電部8を移動させる。
使用者が、調理材料を載置した調理容器2をトッププレート4の上面を滑らせて、輻射加熱部1の下方の加熱領域に配置すると、被加熱物検出部15は、調理容器2の直下の加熱コイルユニット7Bの検出電流に基づいて、検出結果である検出信号を加熱制御部24に出力する。
加熱制御部24は、調理容器2の載置されるべき位置に対応する加熱コイルユニット7Bの周りにある発光表示体13を発光させるべく発光部を発光させる。そして、使用者は、発光している発光表示体13に囲まれた領域中央へ、調理容器2の位置を修正する。例えば、使用者は、発光している発光表示体13で囲まれた領域内に調理容器2が入るように、調理容器2を移動させる。
続いて、使用者が操作表示部6を操作して、輻射加熱部1の出力と調理容器2の温度を設定すると、操作表示部6からのそれぞれの加熱コイルユニット7A、7Bに応じた出力信号が加熱制御部24に入力される。加熱制御部24は、それぞれの出力信号に応じて加熱コイルユニット7A、7Bを通電する。
受電コイル9は、加熱コイルユニット7Aから電磁誘導を受けて起電力が発生し、接続部18を介して赤外線ランプヒーター3を通電し、赤外線ランプヒーター3の発熱、発光を開始する。また、調理容器2は、加熱コイルユニット7Bから誘導加熱される。そして、調理容器2の底面に渦電流が発生し、調理容器2が自己発熱(ジュール熱)して加熱される。
制御部Bは、温度センサAにより調理容器2と屋根部19との空間の温度を検出している。温度センサAにより検出された温度が、所定の閾値よりも高い場合(例えば、使用者の設定した温度よりも高い場合)、制御部Bは、赤外線ランプヒーター3への電力量を減らし、赤外線ランプヒーター3の温度を下げるように制御する。このように、実施の形態1における誘導加熱調理器100は、加熱コイルユニット7Aから給電される電力量を受電部8側で調整することにより、輻射加熱部1の出力を制御している。つまり、給電側の加熱コイルユニット7Aでは、使用者の設定した出力に応じた一定の電力量を給電している一方で、受電側の受電部8では、温度センサAで検出した温度に応じて、赤外線ランプヒーター3への電力量を調整して、輻射加熱部1の出力を制御している。
一方、加熱コイルユニット7Bにおいては、加熱コイルユニット7Bに設けられた温度センサ12が調理容器2の底面の温度を検出している。温度センサ12の検出結果である検出信号は、加熱制御部24に入力される。このため、加熱制御部24は、調理容器2の検出温度に応じて加熱コイルユニット7Bへの入力を調整して、調理容器2を所定温度(例えば、220℃前後)に制御する。
このように、調理材料は、輻射加熱部1により上方から加熱され、加熱コイルユニット7Bにより調理容器2の底面から加熱される。即ち、実施の形態1における誘導加熱調理器100と誘導加熱装置200とを用いれば、調理材料を上下両側から加熱調理できる。その際、使用者は、開口14によって調理材料を目視でき、調理状況を確認することができる。さらに、使用者は、調理材料を見るために、開口14から調理容器2を容易に取り出すことができる。
調理材料の調理が終わって、使用者が操作表示部6を操作して加熱停止を設定すると、操作表示部6から加熱制御部24に停止信号が入力される。加熱制御部24に停止信号が入力されると、加熱制御部24は、加熱コイルユニット7A、7Bを停止する。加熱調理した後、使用者は、調理容器2を、トッププレート4の上面を滑らせて開口14を通じて加熱領域から容易に取り出すことができる。
これら一連の動作において、発熱体3と受電部8とが垂直方向に重ならないように配置されている。また、輻射加熱部1は、受電部8より高い位置に配置され、受電部8が配置されていない三方向(図3の誘導加熱調理器100における前方向、右方向、左方向)において、開口14C、14L、14Rを形成している。したがって、図3の白矢印で示すように、使用者は、開口14C、14L、14Rを通じて調理容器2を輻射加熱部1の下に配置または取り出すことが自由に行えるため、利便性が向上する。なお、実施の形態1では、開口14C、14L、14Rが全て連通しているが、少なくとも1つの開口14があれば、使用者は、調理容器2を輻射加熱部1の加熱領域に自由に配置又は取り出しすることができ、調理材料を目視することができる。
特に、調理容器2を取り出すときには、トッププレート4を構成する平面上に沿って調理容器2を摺動させる事ができ、加熱されている調理容器2を扱うのに有効である。
また、調理容器2により発生した高温の空気は、自然対流により上方へ拡散する。さらに、赤外線ランプヒーター3の輻射、熱伝導により高温になった輻射加熱部1の熱は、支持部10で接続された輻射加熱部1から受電部8へ熱伝導するため、輻射加熱部1から受電部8への伝熱量は少なくなる。これらの結果、受電コイル9の温度上昇が抑制できる。
赤外線ランプヒーター(発熱体)3は、発熱中において中央部側の温度が高くなっている。そのため、赤外線ランプヒーター3の端部側に設けられた端子3L、3Rと、端子3L、3Rに接続された接続部18とは、赤外線ランプヒーター3の発熱による加熱を中央部側に比べて受けにくい。そのため、端子3L、3R及び接続部18近傍の輻射加熱部1では、温度が中央部側より低くなる。したがって、端子3L、3Rは、屋根部19の対向する端部19L、19Rに接合されているため、屋根部19の端部19L、19Rにおける温度上昇が抑制される。
支持部10は、端子3L、3R、接続部18近傍に接合された、発熱体3の中央部側の温度より低い屋根部19の端子19L、19Rに接合した分、支持部10を介して輻射加熱部1から受電部8へ熱伝導する伝熱量が少なくなり、受電コイル9の温度上昇の抑制が図れる。
遮断部11は、輻射加熱部1及び高温の調理容器2から受電部8への輻射を遮断し、かつ調理容器2により発生した高温の空気が換気扇、エアコンなど周辺の気流により受電部8へ流れ込むことを防止できる。これらの結果、受電コイル9の温度上昇の抑制が十分に図れる。
(実施の形態2)
本開示の実施の形態2における誘導加熱調理器について説明する。図6は、本開示の実施の形態2の誘導加熱調理器の要部構成を示した斜視図である。図7は、同誘導加熱調理器の要部構成を示した斜視図である。
以下、実施の形態1と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。実施の形態1と異なるところは、受電部8の両側の対向する端部8L、8Rから輻射加熱部1の加熱領域の端縁に沿って延びる脚部16を設けた点である。また、実施の形態2で使用する調理容器2は、調理容器2の周囲に使用者が把持可能な鍔部17を2ヶ所形成したものを使用する。
実施の形態2では、受電部8の両側の対向する端部8L、8Rから輻射加熱部1の加熱領域の端縁に沿って延びる板状の一対の脚部16を設けている。そのため、実施の形態2では、誘導加熱調理器100の左右方向に脚部16と屋根部19との間を開放した開口15R、15Lを形成している。また、実施の形態2では、両脚部16の間を水平方向(誘導加熱調理器100の前方向)に開放することにより、開口15Cを形成している。
したがって、実施の形態2の誘導加熱調理器100は、受電部8と垂直方向に重ならない位置に配置された発熱体3が設けられた輻射加熱部1の重量を脚部16で受けることが可能となる。つまり、実施の形態2の誘導加熱調理器100は、脚部16によって輻射加熱部1と受電部8との互いの重量バランスを均一に保っており、安定した構成を有する。なお、脚部16の形状は、輻射加熱部1の重量を支えることができる形状であればよく、板状に限定されない。
実施の形態2では、調理容器2は、使用者が把持可能な鍔部17を備えている。そのため、調理容器2を輻射加熱部1の下の加熱領域に配置すると、鍔部17は、脚部16の上方の開口15R、15Lに入れることができる。このため、調理容器2の鍔部17の長さ分だけ、誘導加熱調理器100の長さを短くできるため、誘導加熱調理器100の設置面積を少なくして誘導加熱調理器100全体の小型化が可能となる。特に、開口15R、15Lは、輻射加熱部1で輻射加熱される領域(加熱領域)の外側に位置する。そのため、調理容器2の鍔部17を開口15R、15Lに位置させると、調理容器2の鍔部17は、外気への放熱により加熱領域で加熱されている調理容器2よりも低温になる。このように、鍔部17は、放熱により加熱領域の中央部分より低温となるため、使用者は、加熱により高温となった調理容器2を取り出す際に、鍔部17を持って調理容器2を取り出すことができ、「熱い」という不快感を抑制し、取り扱い性を向上させることができる。
(実施の形態3)
本開示の実施の形態3における誘導加熱調理器について説明する。以下、実施の形態1及び2と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。実施の形態1及び2と異なるところは、屋根部に空気通路と、排気通路と、を設けた点である。
本開示の実施の形態1及び2の誘導加熱調理器において、調理材料から発生した油煙および/または蒸気(高温空気)は、自然対流により屋根部の周囲から拡散している。そのため、実施の形態1及び2の誘導加熱調理器における屋根部は、調理材料から発生した高温空気により加熱され、屋根部の上面(外郭)の温度が200℃を超えて上昇し、使用者に「熱い」という不快感を与える可能性がある。
そこで、本開示の実施の形態3における誘導加熱調理器は、屋根部に空気通路と、排気通路と、を設けることによって、動力を使わず、外気による冷却により屋根部の外郭の温度上昇の抑制を図った。
図8は、本開示の実施の形態3における誘導加熱調理器及び誘導加熱装置の要部構成を示した側面断面図である。図9は、誘導加熱調理器の要部構成を示した斜視図である。図10は、誘導加熱調理器の要部構成を示した正面断面図である。図11は、誘導加熱調理器と誘導加熱装置とを示した斜視図である。
本開示の実施の形態3における誘導加熱調理器100において、屋根部19は、内郭30と外郭31との間に配置される空気通路と、内郭30で形成された内側空間55と外郭31の外側空間56とを連通する排気通路43と、を備える。輻射加熱部1は、発熱体3からの輻射熱を被加熱物の方向に導く反射体34を備え、屋根部19の内側空間55に配置される。また、空気通路の入口は、屋根部19の内郭30または外郭31の端部近傍に配置され、空気通路の出口は、排気通路43の近傍に配置される。
図8〜図10に示すように、屋根部19は、輻射加熱部1を支持している。屋根部19は、内郭30と、外郭31と、内郭30と外郭31との間に配置された隔壁37と、を備え、それぞれの間に空間(空気通路)を設けた三重構造を有している。また、屋根部19の内郭30は、輻射加熱部1の反射体34を兼ねている。
屋根部19は、中央部分を頂点に端部へ向かって下がる方向に傾斜しており、端部では、垂直方向に下がるように延びる垂直面を形成している。屋根部19の頂上付近には、排気通路の出口41が開口されている。また、屋根部19は、内部に外郭31と隔壁37との間に形成される第1の空気通路44と、内郭30と隔壁37との間に形成される第2の空気通路49と、を備えた二層構造を有している。第1の空気通路44と第2の空気通路49とは、外気または高温空気が流入する入口47、50を屋根部19の端部近傍に設け、出口48、51を排気通路43に連通するように設けている。ここで、屋根部19の端部近傍とは、屋根部19の端部の垂直面(垂直面部45)を形成している外郭31又は内郭30の周辺部を意味する。
輻射加熱部1は、発熱体3と、反射体34と、を備える。発熱体3は、鍋や鉄板などの調理容器2に載置された被加熱物(調理材料)を上方から輻射加熱する。反射体34は、発熱体3からの輻射熱を調理容器(調理材料)2の方向に導くために、上面を傾斜させた反射体上面部35を有する。さらに、反射体34は、反射体上面部35の頂上付近に反射体出口36を開口している。
隔壁37は、屋根部19の外郭31と内郭30(反射体34)との間に設けられる。隔壁37は、上面を傾斜させた隔壁上面部38を有し、かつ隔壁上面部38の頂上付近に、反射体出口36を覆うように、隔壁ダクト39を設けている。屋根部19は、外郭31の上面を傾斜させた屋根部上面部40を有し、かつ屋根部上面部40の頂上付近に、隔壁ダクト39を覆うように、排気通路の出口41を開口している。なお、誤って指や物が入ってしまうのを防止する保護枠42が、排気通路の出口41に設けられてもよい。
排気通路43では、反射体出口36と、隔壁ダクト39と、排気通路の出口41と、が連通している。すなわち、排気通路43とは、屋根部19の内郭30を兼ねた反射体34で形成された内側空間55と、屋根部19の外郭31の外側空間56と、を連通する通路を形成している。
実施の形態3では、発熱体3は、例えば、400W赤外線ランプヒーターを2本用いている。調理容器2は、例えば、W330mm×D160mmの鉄板を用いてもよい。屋根部上面部40は、切妻屋根(Gable Roof)のように、例えば、水平方向から10°傾斜している。
反射体出口36と、隔壁ダクト39と、排気通路の出口41とは、同一方向に延びる長孔形状に形成されている。例えば、反射体出口36は、W260mm×D10mmの長孔形状を有し、隔壁ダクト39は、反射体出口36と同等のW260mm×D10mm×H3mmの長孔形状を有している。また、排気通路の出口41は、例えば、隔壁ダクト39より広いW280mm×D30mmの長孔形状を有している。
隔壁上面部38と屋根部上面部40との間の間隔は、5mm前後である。また、屋根部19の垂直面部45と隔壁37の垂直面部46との間の間隙は、10mm前後である。反射体上面部35と隔壁上面部38との間隔は、5mm前後である。屋根部19の内郭30と隔壁37とは、互いの左右側面(対向する面)との間隙を保つ円柱状のスペーサ52を介して接合している。反射体34は、反射体上面部35と隔壁上面部38の間隙を保つ円柱状のスペーサ53を介して隔壁37に吊り下げられている。誤って指が赤外線ランプヒーター(発熱体)3に触れることを防ぐ保護枠54は、反射体34の端部の開口部を覆うように設けられている。
第1の空気通路44は、屋根部19の外郭31の端部近傍に第1の空気通路入口47を形成し、第2の空気通路49は、屋根部19の内郭30の端部近傍に第2の空気通路入口50を形成している。第1と第2の空気通路入口47、50は、外郭31または内郭30の端部近傍に限定されない。例えば、外郭31の屋根部上面40に設けられてもよく、外気が流入しやすい位置であればよい。例えば、また、第1の空気通路出口48と第2の空気通路出口51とは、排気通路43に連通しているが、連通されていなくてもよい。例えば、第1の空気通路出口48と第2の空気通路出口51とは、排気通路43の近傍に配置されてもよい。ここで、排気通路43の近傍とは、排気通路の出口41から出る空気の流れによって圧力が下がる部分を意味する。
また、第1の空気通路44と第2の空気通路49とは、屋根部19の周囲全体にわたって形成されている。なお、屋根部19において、使用者が触れない部分がある場合においては、部分的に空気通路を設けない構成としてもよい。
本開示の実施の形態3における誘導加熱調理器100は、受電部8の上面に放熱板62が配置されている。放熱板62は、例えば、アルミ等の熱伝導のよい板状の材料で作成される。
また、実施の形態3の誘導加熱調理器100は、実施の形態2と同様に、受電部8の対向する両端部8L、8Rから輻射加熱部1の加熱領域の端縁に沿って延びる、一対の脚部16を備えている。また、受電部8の対向する両端部には、使用者が把持可能な取っ手68が設けられている。
図11は、本開示の実施の形態3における誘導加熱調理器を示した斜視図である。図11に示すように、トッププレート4上に本開示の実施の形態3における誘導加熱調理器が載置される。実施の形態3における誘導加熱調理器の動作は、実施の形態1及び2における誘導加熱調理器の動作と同じであるため、説明を省略する。
次に、屋根部19に関する熱流体について、実験結果を合わせて説明する。図12は、本開示の実施の形態3における誘導加熱調理器の要部構成を示した拡大側面断面図である。
高温の調理容器2により発生した調理材料からの蒸気などを含む高温空気は、自然対流により上昇する。続いて、高温空気は、発熱体3により加熱され、さらに温度上昇して300℃を超える。その後、図12に示すように高温空気(図12中、黒矢印で示す)が反射体上面部35に沿って上昇して、反射体出口36から排気通路43に流入し、隔壁ダクト39を上昇する。その際に、第2の空気通路出口51の近傍は、負圧になり、外気(図12中、白矢印で示す)が第2の空気通路入口50から第2の空気通路49に吸引される。続いて、高温空気は、隔壁ダクト39により整流されて排気通路の出口41から一方向(トッププレート4の上面に対して略垂直上方向)に噴出する。これにより、第1の空気通路出口48は、さらに大きな負圧になり、外気(図12中、白矢印で示す)が第1の空気通路入口47から第1の空気通路44に吸引される(いわゆるエジェクター効果)。なお、排気通路の出口41は、高温空気が通過する隔壁ダクト39より開口が大きい。これにより、高温空気は、第1の空気通路出口48から噴出する外気に囲まれるので、使用者が誤って排気通路の出口41に手をかざしても「熱い」という不快感を与えることを抑制することができる。さらに、高温空気が排気通路43の出口41の中ほどから、トッププレート4の上面に対して略垂直上方向に噴出するため、高温空気は、排気通路の出口41の周辺の屋根部19の外郭31に接触することはない。これらの結果、第1の空気通路44を通過する外気が屋根部19の外郭31を内側から冷却する。
なお、発明者らが、屋根部19と調理容器2との間の間隙の空気の流れを線香の煙で可視化する実験を行ったところ、屋根部19の外郭31を内側から冷却するために十分な量の外気(図8に示す大きな白矢印)が第1と第2の空気通路44、49に流入していることを確認できた。
また、高温空気が換気扇やエアコンなどによる室内の気流に押し出され、反射体34の内側空間55内から溢れた場合でも、高温空気(黒矢印)が隣接する第2の空気通路入口50から第2の空気通路49に流入する。これにより、高温空気が第1の空気通路44に侵入することなく、第1の空気通路44には外気が流れることになり、外気が屋根部19の外郭31を第1の空気通路44である内側から十分に冷却する。また、反射体34は、発熱体3から主に輻射により500℃を超える高温に加熱されるが、隔壁37は、反射体34の外面からの輻射を遮断するので、発熱体3から屋根部19の外郭31への輻射加熱を防止できる。なお、隔壁37は、200℃近くまで温度上昇するが、屋根部19の外郭31は、100℃を下回る。
実施の形態3の誘導加熱調理器100は、第1と第2の空気通路出口48、51を第1と第2の空気通路入口47、50より高い位置に配置するように、屋根部19が傾斜している。そのため、屋根部19の内側空間55の高温空気が屋根部19の内郭30の傾斜面に沿って、屋根部19の反射体出口36付近に集まりやすくなる。また、第1と第2の空気通路44、49が傾斜することによって、通路内を流れる高温空気または外気が自然対流で上昇しやすくなる。これによって、排気通路43から排出される高温空気の量が増大し、第1と第2の空気通路出口48、51において負圧が大きくなるため、第1と第2の空気通路44、49により多くの量の外気を吸引することができる。さらに、第1と第2の空気通路44、49を直角に曲げて形成した場合に比べて、第1と第2の空気通路44、49を傾斜させて形成した場合の方が、通路長さを短くでき、通路抵抗を減少させることができる。この結果、第1の空気通路44と第2の空気通路49とを通過する外気が増加するので、外気による屋根部19の外郭31への冷却性能が向上する。
さらに、実施の形態3は、第1と第2の空気通路の出口48、51と排気通路の出口41とが屋根部19の長手方向に延びる長孔形状を有している。このような構成によって、第1の空気通路44と第2の空気通路49のどの位置でも、排気通路の出口41と排気通路43が近くなる。即ち、第1の空気通路44及び第2の空気通路49の通路長が短くなり、通路抵抗が減少する。また、第2の空気通路49のどの位置でも、通路長がほぼ同じになる。この結果、第1の空気通路44及び第2の空気通路49を通過する外気が増加し、かつほぼ均一に流れるので、外気の屋根部19の外郭31への冷却性能が向上する。なお、実施の形態3では、第1と第2の空気通路の出口48、51と、排気通路の出口41と、を長孔形状としたが、この形状に限定されない。例えば、第1と第2の空気通路の出口48、51と、排気通路の出口41と、は複数の孔で形成されていてもよい。また、排気通路の出口41は、長孔形状とし、第1と第2の空気通路の出口48、51は、排気通路の出口41の長孔の延びる方向に沿って並ぶ複数の孔としてもよい。
なお、屋根部19の垂直面部45と隔壁37の垂直面部46との間隙は、隔壁上面部38と屋根部上面部40との間隔より約2倍の距離を確保している。これによって、隔壁37からの輻射加熱の影響を極力減らし、かつ外気を吸引し易くしている。この結果、屋根部19の垂直面部45は、発熱体3および/または反射体34に近くなるので高温になりやすいが、温度上昇が抑えられる。
また、本開示の実施の形態3における誘導加熱調理器は、屋根部19の外郭31と反射体34とが直接接合されていない。すなわち、屋根部19の外郭31は、隔壁37とスペーサ52、53とを介して反射体34から熱伝導する構成なので、熱抵抗が非常に大きく(熱伝導距離が長く)、屋根部19の外郭31の温度上昇が抑制できる。
以上のように本実施の形態では、屋根部19の外郭の温度上昇が防止でき、100℃を下回り、使用者が不用意に触ってしまっても、「熱い」という不快感を与えることを抑制することができる。
また、発熱体3は、受電部8に向かっても輻射加熱するが、放熱板62がこの輻射加熱を受けて、発熱体3から離れた端部へ熱伝導し外気へ放熱する。したがって、受電部8及び放熱板62の温度上昇が抑えられ、60℃より低くなり、使用者が不用意に受電部8および/または放熱板62を触ってしまっても、「熱い」という不快感を与えることを抑制することができる。
なお、反射体上面部35の傾斜角度は、5°前後でも効果があるが、誘導加熱装置200を設置する床が3°〜5°傾く場合があるので、10°に設定している。逆に、反射体上面部35の傾斜角度を大きくすると屋根部19が厚くなり、空気通路のサイズを大きくできるため、より多くの外気を吸引しやすくなり冷却性能が向上する。
図13〜図17は、本開示の実施の形態3における誘導加熱調理器の屋根部の変形例を示した拡大斜視図である。実施の形態3では、屋根部19の形状は、切妻屋根(Gable Roof)であるが、図14〜図17に示すように、片流れ屋根(Shed Roof)19a、寄棟屋根(Hipped Roof)19b、方形屋根(Pavilion Roof)19c、マンサード屋根(Mansard Roof)19d、かまぼこ屋根(Barrel Roof)19eなどであってもよく、特に限定されるものではない。片流れ屋根19aは、図13に示すように、屋根が一方だけに傾斜して構成される。寄棟屋根19bは、図14に示すように、四方向に傾斜した、2つの略三角形の屋根と2つの略台形の屋根とで構成される。方形屋根19cは、図15に示すように、屋根の頂点から四方向に傾斜した4つの略三角形の屋根で構成される。マンサード屋根19dは、図16に示すように、2段階で傾斜を大きくした寄棟屋根であって、屋根の上部の傾斜を緩くし、屋根の下部の傾斜を大きくした屋根で構成される。かまぼこ屋根19eは、図17に示すように、丸みを帯びたアーチ状の屋根で構成される。なお、図13〜17に示すように、これらの屋根の排気通路43及び排気通路の出口41は、それぞれの屋根の頂点近傍に配置されている。なお、反射体34においても、屋根部19の形状に応じて様々な形状としてもよく、実施の形態1〜3の形状に限定されない。
実施の形態3の誘導加熱料理器100は、屋根部19内に隔壁37を備えた構成であるが、隔壁37を備えない構成であってもよい。隔壁37を設けない場合においても、室内の気流に押し出され、反射体34の内側空間55から溢れた高温空気が空気通路に流入する。そのため、反射体34からの輻射により屋根部19の外郭は、100℃を超えるが、外気への放熱があるので、150℃を下回る。その結果、使用者が不用意に屋根部19の外郭31を触ってしまっても、「熱い」という不快感を与えることを抑制することができる。
また、実施の形態3では、反射体34は、屋根部19の内郭30を兼ねているが、反射体34と屋根部19の内郭30とを互いに独立して設けてもよい。反射体34を屋根部19の外郭31と発熱体3との間に配置し、反射体34と屋根部19の内郭30とを別々に設けると、屋根部19の外郭31の温度上昇がより抑制できる。
図18は、本開示の実施の形態3における誘導加熱調理器の変形例を示した斜視図である。実施の形態2及び3では、脚部16は、受電部8の両側の端部8L、8Rから輻射加熱部1の加熱領域の端縁に沿って延びる形状を有しているが、この形状に限定されない。例えば、図18に示すように、変形例の誘導加熱調理器100aでは、脚部16は、受電部8の一方の端部8Lから延び、輻射加熱部1の加熱領域を囲うように直角に曲げたL字形状であってもよい。即ち、変形例の誘導加熱調理器100aでは、1本の脚部16が、加熱領域を囲うように配置されるとともに、脚部16で囲われた加熱領域を水平方向に開放するように構成されている。このような構成により、1本の脚部16によって輻射加熱部1の重量を脚部16で受けることが可能となり、輻射加熱部1と受電部8との互いの重量バランスを均一に保つことができる。また、使用者は、脚部16の開放されている部分(開口)から、調理容器2を自由にアクセスすることができ、また開口15Rから調理材料を目視することができる。なお、本開示の誘導加熱調理器は、例えば、コの字状の板状の脚部16を輻射加熱部1の加熱領域を囲うように設け、屋根部19と脚部16との間が開放された開口を有していてもよい。
図19は、本開示の実施の形態3における誘導加熱調理器の別の変形例を示した斜視図である。実施の形態1〜3の誘導加熱調理器100は、受電部8を1つだけ備え、支持部10によって屋根部19を片持ちで支持しているが、これに限定されない。例えば、図19に示すように、変形例の誘導加熱調理器100bは、2つの受電部8と、2つの支持部10と、を備え、受電部8から延びる支持部10が屋根部19を両側から支持する構成(両持ちの構成)を有している。このような構成により、支持部10が屋根部19を両側から支持することができ、輻射加熱部1と受電部8との互いの重量バランスを均一に保つことができる。また、支持部10が配置されていない側には、調理容器2が輻射加熱部1の加熱領域に自由にアクセスできる開口14Cが形成されるため、使用者は、開口14Cから調理容器2を容易に配置または取り出しができる。さらに、使用者は、開口14Cから調理材料を目視することもできる。
なお、実施の形態1〜3においては、加熱コイルユニット7により調理容器2を誘導加熱せずに、輻射加熱部1のみによって上方から輻射して調理材料をあぶり調理してもよい。
本開示の実施の形態1〜3の誘導加熱調理器100における開口14は、調理容器2がアクセスできる大きさ及び位置に形成されていればよい。即ち、開口14は、使用者が調理容器2を加熱領域に配置すること、及び取り出すことができる大きさ及び位置にあればよい。このような構成によって、使用者は、調理容器2を開口14から輻射加熱部1の加熱領域へ配置すること、及び調理容器2を開口14から取り出すことを自由に行うことができる。また、使用者は、調理中においても開口14から調理材料を目視することができる。