JPWO2014111971A1 - 無接触式伝送装置 - Google Patents
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Abstract
簡易な構成で他のコイル部材からの磁束の影響を低減可能としつつ、複数のコイル部材をより接近してスペース効率良く配設することの出来る、新規な構造の無接触式伝送装置を提供する。相対変位可能に対向された一対の第一のコイル部材14a,14bと、相対変位可能に対向された一対の第二のコイル部材16a,16bを設け、相互誘導により前記一対の第一のコイル部材14a,14bの間で電力又は電気信号の伝送を行うと共に、前記一対の第二のコイル部材16a,16bの間で電気信号の伝送を行う一方、該一対の第二のコイル部材16a,16bの少なくとも一方を、前記第一のコイル部材14a,14bによって生じた磁束の影響で前記第二のコイル部材16a,16bに生ぜしめられる起電力を相殺するコイル巻線経路26,28をもって形成した。
Description
本発明は、コイル部材間の相互誘導によって、相対変位する部材間で電力や電気信号の伝送を可能とする無接触式伝送装置に係り、特に、相互誘導を生じるコイル部材の対が複数設けられた無接触式伝送装置に関するものである。
従来から、例えばロボットの関節部分、超音波モータや超音波スピンドル装置等の回転部分、電気自動車と充電機器との接続部分、本体に対して工具が交換可能とされた加工機械の本体と工具との接続部分等のように、相対変位される部材の間で、電力や電気信号の伝送を可能とするために、無接触式伝送装置が用いられている。無接触式伝送装置は、特開2009−117548号公報(特許文献1)や実開平6−44304号公報(特許文献2)に記載のように、相対変位される部材の間に一対のコイル部材を設け、それら両コイル部材の間で相互誘導作用を用いることにより、電力や電気信号を無接触状態で伝送することが可能とされている。
ところで、相対変位される部材間で電力と電気信号の両方を伝送したり、複数チャンネルの信号を伝送しようとする場合には、両部材のそれぞれにコイル部材を複数設ける必要がある。しかし、複数のコイル部材を配設すると、例えば電力用のコイル部材によって生ぜしめられた磁束が信号用のコイル部材を通過して、信号用のコイル部材にノイズ起電力を生ぜしめることとなり、信号伝送の品質を低下するおそれがあった。それ故、各コイル部材を互いの磁路が干渉しない程度に大きく離れて配設しなければならず、大きな配設スペースが必要になるという問題があった。
そこで、互いの磁路の干渉を抑えつつ、複数のコイル部材をスペース効率良く配設するために、特開平11−354348号公報(特許文献3)には、透磁性材から形成されたコア部材に複数のコイル部材を同心軸上に組み付けると共に、コア部材に各コイル部材の磁路を遮断する溝状のギャップ部を形成した構造が提案されている。また、特開平11−313491号公報(特許文献4)には、共通のコア部材に同心軸上に組み付けられたコイル部材の間に非磁性材を介在させた構造が提案されている。しかし、これらの構造では、互いのコイル部材が軸方向で重なり合わないように、各コイル部材の径寸法を異ならせて、入れ子状に配設する必要があることから、外側のコイル部材の大径化を招く。また、コア部材において各コイル部材の間にギャップ部や非磁性材を設けなければならないことから、スペース効率を向上するには未だ不十分であった。
このような問題に対処するために、本出願人は、特許第4999177号公報(特許文献5)において、コア部材の外周にノイズ抑制用コイル部材を配設して、信号用コイルに生ぜしめられるノイズ起電力を、ノイズ抑制用コイルからの相互誘導によって低減する無接触式伝送装置を提案した。本出願人による先の発明は、ノイズの発生を抑制しつつ、電力用コイル部材と信号用コイル部材をより接近して配設することを可能にすると共に、電力用コイル部材の磁路と信号用コイル部材の磁路を遮断するギャップ部や非磁性材を必要としないことから、コア部材を用いる場合にはコア部材の大型化を招くことも無く、スペース効率の大幅な向上を可能とするものであった。
しかし、特許文献5に記載の無接触式伝送装置においては、ノイズ抑制用コイル部材と、ノイズ抑制用コイル部材への供給電力を制御する給電制御装置とが新たに必要になる点と、ノイズ起電力を低減する逆起電力を信号用コイル部材に誘起させられるように、ノイズ抑制用コイルへの給電制御にチューニングを要する点において、未だ改善の余地を有していた。
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、簡易な構成で他のコイル部材からの磁束の影響を低減可能としつつ、複数のコイル部材をより接近してスペース効率良く配設することの出来る、新規な構造の無接触式伝送装置を提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
本発明の第一の態様は、互いに相対変位可能に対向された一対の第一のコイル部材と、互いに相対変位可能に対向された一対の第二のコイル部材とを備え、相互誘導により前記一対の第一のコイル部材の間で電力又は電気信号の伝送を行なうと共に、相互誘導により前記一対の第二のコイル部材の間で電気信号の伝送を行なう無接触式伝送装置において、前記一対の第二のコイル部材の少なくとも一方が、前記第一のコイル部材によって生じた磁束の影響で該第二のコイル部材に生ぜしめられる起電力を相殺するように互いに逆向きの起電力を生じるコイル巻線経路をもって形成されていることを、特徴とする。
本発明に従う構造とされた無接触式伝送装置においては、第二のコイル部材に、共通磁界に対する通電方向が互いに逆向きとなる特定のコイル巻線経路を採用した。これにより、第一のコイル部材によって生ぜしめられた磁束が第二のコイル部材を通過した場合には、互いに逆向きの誘導電流が生ぜしめられて、相互に相殺される。従って、別途にノイズ抑制用のコイル部材を設けたり、ノイズ起電力を打ち消すための給電制御装置を設けることなく、第二のコイル部材自身でノイズ起電力を低減することが出来る。その結果、簡易な構成で他のコイル部材からの磁束の影響を低減することが出来、第二のコイル部材間での電気信号の伝送をより精度良く行なうことが出来る。
さらに、特定のコイル巻線経路を用いて相互に相殺する逆向きの起電力を生ぜしめることから、第二のコイル部材に影響する磁束の量が変化した場合でも、ノイズ起電力の大きさに応じた逆向きの起電力を生ぜしめることが出来る。これにより、例えば給電制御装置で第二のコイル部材に生じたノイズ起電力の変化を監視して、ノイズ起電力の変化に応じて第二のコイル部材へのノイズ低減用の印加電圧を変化させる等の高度な制御を要することもなく、極めて簡易な構成で、優れたノイズ抑制効果を得ることが出来る。
そして、第一のコイル部材による磁束の影響を低減することが可能であることから、従来では第一のコイル部材による磁束の影響から配設することが困難であった、第一のコイル部材に近接した位置に第二のコイル部材をスペース効率良く配設することが出来、無接触式伝送装置のコンパクト化を図ることが出来る。
加えて、本態様によれば、電気信号をより速やかに伝送することが出来る。即ち、例えば無線通信の場合には、一般に、受信した電気信号を検波してから増幅し、ノイズを除去して信号を再生するという多段の処理が必要となって、時間を要する。しかし、本態様によれば、第二のコイル部材の構造そのものにノイズ低減効果を付与したことにより、より速やかに電気信号を伝送することが可能となり、信号伝達のリアルタイム性を向上することが出来る。
なお、一対の第一のコイル部材および一対の第二のコイル部材における相対変位方向は何等限定されるものではなく、本発明の無接触式伝送装置は、各種の機械に広く適用可能である。例えば、超音波スピンドルの回転部分に本発明の無接触式伝送装置を採用して、一対のコイル部材が相対回転可能に設けられていても良いし、電気自動車の充電機器との接続部分に本発明の無接触式伝送装置を採用して、両コイル部材が相互に分離可能且つ接続時には多少の位置ずれが許容される等しても良い。
また、互いに同じ側に配設される第一のコイル部材と第二のコイル部材の相対位置も限定されない。例えば、第一のコイル部材と第二のコイル部材を同心軸上に配設しても良いし、偏心して配設しても良い。更に、第一のコイル部材と第二のコイル部材を、完全に又は部分的に重ねて配設しても良い。加えて、第一のコイル部材による磁束の第二のコイル部材への影響は、必ずしも両コイル部材が重なっている場合に限定して生じるものではないことから、例えば、第二のコイル部材が、第一のコイル部材に重なることなく隣接して配設されていても良い。
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載の無接触式伝送装置において、前記互いに逆向きの起電力を生じるコイル巻線経路が、互いに逆向きに巻回された第一の巻線部分と第二の巻線部分を含んで構成されているものである。
本態様によれば、第一の巻線部分と第二の巻線部分が互いに反対方向に巻回されている。なお、互いに逆向きに巻回された第一の巻線部分と第二の巻線部分の巻回方向とは、第一のコイル部材の中心に対する巻回方向を言う。これにより、共通磁界に対して、第一の巻線部分と第二の巻線部分において、互いに逆向きの誘導電流が生ぜしめられるようになっており、第一のコイル部材による磁束が第二のコイル部材を通過した場合には、第一の巻線部分と第二の巻線部分に互いに逆向きの起電力が生ぜしめられて相互に相殺される。その結果、第二のコイル部材に生じるノイズ起電力を低減することが出来る。
なお、第一の巻線部分と第二の巻線部分の巻数は、第一の巻線部分に生じる起電力と第二の巻線部分に生じる起電力を考慮して任意に設定され、好適には、共通磁界に対して第一の巻線部分と第二の巻線部分に、互いに逆方向で大きさの等しい起電力が生ぜしめられるように設定される。従って、第一の巻線部分の巻数と第二の巻線部分の巻数は、互いに異ならされていても良い。
本発明の第三の態様は、前記第二の態様に記載のものにおいて、前記第一の巻線部分と前記第二の巻線部分が同一平面上に形成されているものである。
本態様によれば、第二のコイル部材を薄く形成することが出来る。また、第二のコイル部材を平状に形成できることから、第一のコイル部材に重ねて配設する等、配設作業を容易にすることが出来る。
本発明の第四の態様は、前記第二の態様に記載のものにおいて、前記第一の巻線部分と前記第二の巻線部分が、前記第一のコイル部材を軸方向で挟む互いに反対側に形成されているものである。
本態様においては、第一の巻線部分と第二の巻線部分が、互いに異なる平面上に形成される。これにより、第一の巻線部分と第二の巻線部分のそれぞれにおいて形成スペースをより大きく確保することが出来て、第一の巻線部分と第二の巻線部分の巻数の設定自由度を向上することが出来る。
本発明の第五の態様は、前記第一〜第四の何れか1つの態様に記載のものにおいて、前記第一のコイル部材のコイル巻線と前記第二のコイル部材のコイル巻線が重ねて配設されているものである。
従来の無接触式伝送装置においては、複数のコイル部材を重ねて配設すると、一方のコイル部材による磁束が他方のコイル部材に影響することから、複数のコイル部材を重ねて配設することは困難であった。しかし、本発明によれば、第二のコイル部材に特定のコイル巻線経路を採用したことにより、第一のコイル部材からの影響を低減出来ることから、第二のコイル部材を、第一のコイル部材に重ねて配設することが出来る。これにより、無接触式伝送装置の更なるコンパクト化を図ることが出来る。なお、本態様における「重ねて」とは、第一のコイル部材のコイル巻線と、第二のコイル部材のコイル巻線が、これらコイルの軸方向の投影視で重なる位置に配設されていることを言うものであって、両コイル部材のコイル巻線が相互に非接触であることは勿論であり、両コイル部材のコイル巻線が接触状態にあることを言うものではない。また、第一のコイル部材のコイル巻線と第二のコイル部材のコイル巻線は、略全周に亘って重ねられていても良いし、部分的に交差するように重ねられていても良い。
本発明の第六の態様は、前記第二〜第五の何れか1つの態様に記載のものにおいて、軸方向一方の端面に開口する収容凹所が形成された透磁性材からなるコア部材を備え、少なくとも一方の前記第一のコイル部材と前記第二のコイル部材が、同一の前記収容凹所に収容されているものである。
本態様においては、コア部材を用いて、第一のコイル部材と第二のコイル部材の磁路を形成することによって、電力および電気信号の伝送効率を向上することが出来る。そして、本発明によれば、第一のコイル部材による磁束の影響を低減しつつ、第二のコイル部材を第一のコイル部材に近接して配設出来ることから、第一のコイル部材と第二のコイル部材を、コア部材に形成された同一の収容凹所に収容することが出来る。これにより、優れたスペース効率を得ることが出来る。
なお、本態様におけるコア部材は、対向配置される一方の側のみに設けられていても良いし、両方に設けられていても良い。また、本態様におけるコア部材としては、各種の形状が採用可能であり、例えば一方に開口する収容凹所が形成された有底の筒形状や、切欠状に収容凹所が形成された板形状のもの等でも良い。更に、収容凹所は、第一のコイル部材および第二のコイル部材を部分的に収容するものでも良い。加えて、第一のコイル部材と第二のコイル部材は、コア部材の同一の収容凹所内で、互いのコイル巻線を重ねて収容されていても良いし、互いの大きさを異ならせて、互いの巻線が重ならないように収容されていても良い。
本発明の第七の態様は、前記第六の態様に記載のものにおいて、前記コア部材には、前記収容凹所としての溝部が形成されているものである。
本態様においては、収容凹所が溝形状とされることで、収容凹所に収容された第一のコイル部材および第二のコイル部材のそれぞれの内側と外側に、溝部の内壁と外壁が配設される。これにより、溝部の内壁と外壁の両方を用いて、第一のコイル部材および第二のコイル部材による磁束の密度をより効果的に高めることが出来る。特に、第二のコイル部材の第一の巻線部分と第二の巻線部分が、第二のコイル部材の外側と内側に形成される場合には、第一の巻線部分と第二の巻線部分に溝部の外壁と内壁がそれぞれ接近して配設されることにより、第一の巻線部分および第二の巻線部分による磁束の密度をそれぞれ高めることが出来て、より効率良く電気信号の伝送を行なうことが出来る。
なお、溝部は、コア部材に複数設けられていても良い。従って、例えば、E字の板形状のように、一方に開口する溝部が2つ形成されているコア部材を採用して、2つの溝部に跨って環状の第一のコイル部材と第二のコイル部材を部分的に収容する等しても良い。
本発明の第八の態様は、前記第七の態様に記載のものにおいて、前記第一の巻線部分と前記第二の巻線部分との離隔距離が、前記第二のコイル部材の両側における前記溝部の壁部との離隔距離よりも大きくされているものである。
本態様においては、第二のコイル部材における第一の巻線部分が溝部の外壁と内壁の一方に接近して配設されていると共に、第二の巻線部分が、外壁と内壁の他方に接近して配設されており、第一の巻線部分および第二の巻線部分が、他方の巻線部分よりも溝部の何れか一方の壁部に近接して配設されている。これにより、第一の巻線部分による磁束と第二の巻線部分による磁束が、溝部のそれぞれの壁部に通し易くされており、第一の巻線部分の磁路と第二の巻線部分の磁路との干渉を低減することが出来る。その結果、第二のコイル部材による電気信号の伝送品質をより高めることが出来る。
本発明の第九の態様は、前記第七又は第八の態様に記載のものにおいて、前記コア部材として、周方向に延びる前記溝部としての周溝を有するポット型コアが用いられているものである。
本態様においては、第一のコイル部材と第二のコイル部材が、ポット型コアの周溝内に収容される。これにより、第一のコイル部材および第二のコイル部材の外側が全周に亘って周溝の外壁で囲まれることから、特に電気信号の伝送に際して、無接触式伝送装置の近辺に配設されたモータ等からの磁気による外乱を低減することが出来る。
本発明の第十の態様は、前記第六〜第九の何れか1つに記載のものにおいて、前記互いに逆向きの起電力を生じるコイル巻線経路が、前記収容凹所に収容された前記第二のコイル部材が前記コア部材の外部に延び出されて該コア部材の外周面に巻回された外周巻線部分を含んで構成されているものである。
本態様においては、第二のコイル部材がコア部材の外部に延び出されて、コア部材の外側に外周巻線部分が形成されている。これにより、互いに逆向きの起電力を生じるコイル巻線経路を必要に応じてコア部材の外部にも形成することが出来、ノイズ低減効果をより精度良く調節することが出来る。
本発明の第十一の態様は、前記第二〜第十の何れか1つの態様に記載のものにおいて、前記第二のコイル部材には、該第二のコイル部材の径方向の外側を周方向に部分的に延びる外側巻線部分と、該外側巻線部分から折り返されて該第二のコイル部材の径方向の内側を周方向に部分的に延びる内側巻線部分とを有する小ループ部が周上に並んで複数形成されており、各前記小ループ部の前記外側巻線部分によって前記第一の巻線部分が形成されていると共に、各前記小ループ部の前記内側巻線部分によって前記第二の巻線部分が形成されているものである。
本態様においては、第二のコイル部材において、互いに逆向きの起電力を生じるコイル巻線経路が、周上に並んで形成された複数の小ループ部を含んで形成されている。そして、本態様によれば、各小ループ部毎に巻数を調節することが出来、ノイズ起電力の低減効果をより高精度に調節することが出来る。また、環形状の小ループ部を周上で複数形成することによって、第二のコイル部材の強度を向上して、形状安定性を向上することが出来る。
本発明の第十二の態様は、前記第一〜第十一の何れか1つの態様に記載のものにおいて、前記第二のコイル部材の外側が非磁性体で覆われているものである。
本態様によれば、第二のコイル部材による電気信号の伝送を、外部の磁気の影響から保護することが出来て、伝送品質を向上することが出来る。また、本態様は、前記第六の態様等と組み合わせて用いることが可能であり、第二のコイル部材を収容するコア部材の外側を非磁性体で覆うことによって、コア部材からの磁束の漏れを抑えて、より優れた伝送効率を得ることも出来る。なお、非磁性体としては、例えば、アルミニウム合金、銅合金、チタン合金、ニッケル合金、セラミックス、合成樹脂材料等が採用され得る。また、第二のコイルと共に、第一のコイル部材も非磁性材料で覆うことも勿論可能である。
本発明においては、一対の第一のコイル部材と、一対の第二のコイル部材を、それぞれ相対変位可能に対向して配設すると共に、少なくとも一方の第二のコイル部材を、第一のコイル部材によって生じる磁束の影響で生ぜしめられる起電力を相殺するように互いに逆向きの起電力を生じるコイル巻線経路をもって形成した。これにより、第一のコイル部材からの影響によって第二のコイル部材に生じるノイズ起電力を、極めて簡易な構成で低減することが出来る。その結果、伝送品質の向上を図ることが出来ると共に、第一のコイル部材に近接して第二のコイル部材を配設することが出来、更なるコンパクト化を図ることが出来る。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
先ず、図1に、本発明の第一の実施形態としての無接触式伝送装置10を分解状態で示す。無接触式伝送装置10は、互いに対向配置された一対のコイルヘッド12aおよびコイルヘッド12bを含んで構成されている。なお、図1および後述する図4、図5においては、理解を容易とするために、後述する信号用コイル16a,16bが固定された保持板34を透視して示している。
コイルヘッド12aは、第一のコイル部材としての電力用コイル14aと、第二のコイル部材としての信号用コイル16aが、コア部材としてのポット型コア18aに収容された構造とされている。一方、コイルヘッド12bは、第一のコイル部材としての電力用コイル14bと、第二のコイル部材としての信号用コイル16bが、コア部材としてのポット型コア18bに収容された構造とされている。これらコイルヘッド12a,12bは互いに略同様の構造とされていることから、以下、コイルヘッド12aを例に説明し、コイルヘッド12bについては、図中に同様の符号を付することにより、説明を省略する。
電力用コイル14aは、銅などによって形成されたコイル巻線としてのリード線20aが、所定回数だけ円形に巻回されて形成されている。電力用コイル14aの大きさおよび巻数は、伝送される電力の大きさや、対向する電力用コイル14bとの相対的な位置等を考慮して任意に設定され得る。また、本実施形態における電力用コイル14aは、合成樹脂などによって形成された略円筒形状のボビン22に巻回されて形成されているが、ボビン22は必ずしも必要ではない。
一方、信号用コイル16aは、図2にモデル的に示すように、銅などによって形成されたコイル巻線としてのリード線24aから形成されている。信号用コイル16aは全体として円形に形成されており、径方向の外側で巻回された第一の巻線部分26と、径方向の内側で第一の巻線部分26と反対方向に巻回された第二の巻線部分28とが、一本のリード線24aによって形成されている。
具体的には、先ず、図2中の点Aから、リード線24aが略半周されることで外側巻回部30aが形成された後に、径方向の内側に折り曲げられて、径方向の内側で外側巻回部30aと反対回り(図2中、反時計回り)に略一周されることで、内側巻回部32aが形成される。そして、リード線24aが内側巻回部32aから更に径方向の外側に折り曲げられて、径方向の外側で内側巻回部32aと反対回り(図2中、時計回り)に半周されて点Aに戻ることで外側巻回部30bが形成される。以降、これを繰り返すことにより、外側巻回部30c、内側巻回部32b、外側巻回部30dが順に形成される。このようにして、外側巻回部30a〜30dによって第一の巻線部分26が形成されると共に、内側巻回部32a,32bによって第二の巻線部分28が形成されている。要するに、リード線24aが外側で略半周された後に内側に折り返されて、内側で逆向きに略一周される。そして、更に外側に折り返されて残りの外側を半周されることにより、信号用コイル16aの外側に、一方向(図2中、時計回り)に巻回された第一の巻線部分26が形成されると共に、信号用コイル16aの内側に、第一の巻線部分26と反対方向(図2中、反時計回り)に巻回された第二の巻線部分28が形成される。これを繰り返すことにより、信号用コイル16aの巻数を任意に設定することが出来る。なお、理解を容易とするために、図2においては、リード線24aが重ならないように図示しているが、リード線24aは、第一の巻線部分26と第二の巻線部分28のそれぞれにおいて重ねられていても良い。
本実施形態の信号用コイル16aは、電力用コイル14aと略等しい大きさの円形状に形成されている。また、第一の巻線部分26と第二の巻線部分28は、それぞれ略円形に巻回されて、同一平面上で同心軸上に形成されている。なお、信号用コイル16aは、図1に示したように、合成樹脂等からなる薄肉で円環板形状の保持板34にリード線24aが接着等で固定されることにより、巻線形状が維持されるようになっている。但し、保持板34は必ずしも必要ではない。
これら電力用コイル14aおよび信号用コイル16aは、ポット型コア18aに収容される。ポット型コア18aは、例えば鉄やけい素鋼、パーマロイ、フェライト等の透磁性材から形成されている。ポット型コア18aは、中心軸上を延びる中央孔36が貫設された円筒形状を有すると共に、軸方向の一方に開口して中心軸周りを延びる溝部としての周溝38が形成されており、周溝38が、電力用コイル14aと信号用コイル16aを収容する収容凹所とされている。なお、ポット型コア18aの具体的形状としては各種のものが採用可能であり、ポット型コア18aは、一体成形品でも良いし、例えば周溝38の外壁40、内壁42、底壁の3部品が接着等されて形成された複数部品からなるもの等でも良い。更に、例えば外壁40が周方向で複数に分割されていたり、ポット型コア18aの形成部材が電力用コイル14aや信号用コイル16aに近接して配置されるもの等でも良い。
そして、周溝38に、電力用コイル14aと信号用コイル16aが収容されることで、コイルヘッド12aが形成されている。本実施形態においては、電力用コイル14a、信号用コイル16aの順でポット型コア18aに収容されているが、ポット型コア18aへの収容順序は逆でも良い。これにより、図3に示すように、電力用コイル14aと信号用コイル16aが、略同心軸上で、互いのリード線20a,24aを軸方向(図3中、上下方向)で重ねた状態で周溝38に収容されている。このように、電力用コイル14aと信号用コイル16aが略同心軸上に配設されることにより、信号用コイル16aの第一の巻線部分26と第二の巻線部分28が、電力用コイル14aの中心に対して互いに逆回りで巻回されている。なお、電力用コイル14aと信号用コイル16aの間にボビン22が介在されることによって、電力用コイル14aと信号用コイル16aが隙間を隔てて配設されていると共に、互いのリード線20a,24aの接触が防止されている。
また、図4に示すように、信号用コイル16aが周溝38に収容されることにより、信号用コイル16aの第一の巻線部分26が周溝38の外壁40側に、第二の巻線部分28が周溝38の内壁42側に配設される。ここにおいて、第一の巻線部分26と第二の巻線部分28は離れて位置されており、ポット型コア18aの径方向で、第一の巻線部分26と第二の巻線部分28の離隔距離:Dが、信号用コイル16aの外側における第一の巻線部分26と外壁40との離隔距離:d1、信号用コイル16aの内側における第二の巻線部分28と内壁42との離隔距離:d2の何れよりも大きくされている。即ち、第一の巻線部分26が、第二の巻線部分28側よりも外壁40側寄りに、第二の巻線部分28が、第一の巻線部分26側よりも内壁42側寄りに位置されている。
このような一対のコイルヘッド12a,12bを含んで、無接触式伝送装置10が構成されている。コイルヘッド12a,12bは、図3に示したように、例えばロボットの関節部分、超音波スピンドルの回転部分、加工機械の本体と工具との接続部分等のように、相対変位可能とされた部材44a,44bにそれぞれ取り付けられて、略同心軸上で、ポット型コア18a,18bの周溝38,38の開口側の端面を互いに対向して配設される。ここにおいて、コイルヘッド12a,12bの相対変位方向は、部材44a,44bの相対変位方向に応じて任意の方向が設定可能であり、図5にモデル的に示すように、X,Y,Zの直交3軸座標において、一方のコイルヘッド12aの軸方向に延びる前後方向(X軸方向)、左右方向(Y軸方向)、上下方向(Z軸方向)の3方向で他方のコイルヘッド12bの相対変位が許容されると共に、X軸回りのロール、Y軸回りのピッチ、Z軸回りのヨーの3方向で傾動乃至は回動が許容される。これにより、一対の電力用コイル14a,14bと、一対の信号用コイル16a,16bが、それぞれ、6自由度をもって互いに相対変位可能に対向されている。なお、各方向の相対変位の許容量は、部材44a,44bの相対変位量や、コイルヘッド12a,12bの形状や大きさ等を適当に調節して設定することが出来る。
そして、例えば図3に示したように、部材44aにおいて、コイルヘッド12aの電力用コイル14aに、直流電源を供給する電源回路46がインバータ48を介して接続されると共に、信号用コイル16aに、CPU等の制御回路50がインバータを備えた通信用回路52を介して接続される。一方、部材44bにおいて、コイルヘッド12bの電力用コイル14bに、直流電源で駆動する例えばモータや回路基板等の各種の負荷54が整流安定化回路56を介して接続されると共に、信号用コイル16aに、負荷54の作動等を制御するCPU等の制御回路58がインバータを備えた通信用回路60を介して接続される。
このようなコイルヘッド12a,12bは、対向配置された電力用コイル14aと電力用コイル14bの間で、無接触状態で電力の伝送が可能とされていると共に、対向配置された信号用コイル16aと信号用コイル16bの間で、無接触状態で電気信号の伝送が可能とされている。先ず、電力用コイル14aから電力用コイル14bに電力を伝送する場合には、電源回路46の直流電圧が、インバータ48によって高周波電圧に変換されて、電力用コイル14aに供給される。そして、電力用コイル14aに高周波電圧が供給されることによって、電力用コイル14aを貫き、出力周波数に応じて変化する磁束が発生する。かかる磁束がポット型コア18aから対向するポット型コア18bに入り、電力用コイル14bと鎖交される。これにより、電力用コイル14aと電力用コイル14bが電磁結合されて、電力用コイル14bに、相互誘導による誘導起電力が発生する。その結果、電力用コイル14aに供給された高周波電圧が、電力用コイル14bから取り出し可能とされる。電力用コイル14bから取り出された高周波電圧は、整流安定化回路56で直流電圧に変換された後に、直流電圧で駆動する負荷54に駆動電圧として供給される。このようにして、電力用コイル14aと電力用コイル14bの間で、無接触状態で電力の伝送が可能とされており、相対変位される部材44aと部材44bの間で、電力の伝送が可能とされる。
また、信号用コイル16aから信号用コイル16bに電気信号を伝送する場合には、先ず、制御回路50によって生成された電気信号が通信用回路52に入力されて、通信用回路52によって高周波電圧に重畳される。なお、電気信号の変調方式は何等限定されるものではなく、例えば振幅変調(AM)、周波数変調(FM)、位相変調(PM)等のアナログ変調、位相偏移変調(PSK)、2相位相偏移変調(マンチェスタ符号化方式、BPSK)、周波数偏移変調(FSK)等のデジタル変調、パルス幅変調(PWM)等のパルス変調など、各種の変調方式が採用され得る。そして、電気信号が重畳された高周波電圧が、通信用回路52から信号用コイル16aに供給されることにより、信号用コイル16aを貫き、出力周波数に応じて変化する磁束が発生し、かかる磁束が対向する信号用コイル16bと鎖交される。これにより、信号用コイル16bに、信号用コイル16aとの相互誘導による誘導起電力が発生し、電気信号が重畳された高周波電圧が、信号用コイル16bから取り出される。信号用コイル16bから取り出された高周波電圧に重畳された電気信号は、通信用回路60によって高周波電圧から取り出された後に、制御回路58に伝達される。このようにして、信号用コイル16aと信号用コイル16bの間で、無接触状態で電気信号の伝送が可能とされており、相対変位される部材44aと部材44bの間で、電気信号の伝送が可能とされる。
そして、本実施形態の無接触式伝送装置10によれば、信号用コイル16a,16bのそれぞれにおいて、互いに逆向きに巻回された第一の巻線部分26と第二の巻線部分28が形成されていることにより、電力用コイル14aへの通電によって生ぜしめられる磁束で信号用コイル16a,16bに誘起されるノイズ起電力を低減しつつ、電気信号の伝送を行なうことが出来る。
すなわち、図6(a)および図7(a)にモデル的に示すように、信号用コイル16aから信号用コイル16bに電気信号を伝送する場合には、先ず、信号用コイル16aに交流電圧が印加されることにより、信号用コイル16aの第一の巻線部分26に電流isoが流されると共に、第二の巻線部分28に電流isiが流される。なお、図7においては、紙面の手前側に流れる電流を斜め下方に延びる矢印で、紙面の奥側に流れる電流を斜め上方に延びる矢印で示している。これら電流isoと電流isiは同一の電流であり、信号用コイル16aのリード線24a内を互いに同方向に流れる。そして、信号用コイル16aに電流isoと電流isiが流れることによって、第二の巻線部分28の内側に磁束bi 、第二の巻線部分28と第一の巻線部分26の間に磁束bc 、第一の巻線部分26の外側に磁束bo が生ぜしめられる。ここにおいて、第一の巻線部分26と第二の巻線部分28が互いに逆向きに巻回されていることから、電流isoと電流isiはリード線24aを外から見た場合には互いに逆回りに流れている。その結果、磁束bi と磁束bo の磁力線は同一方向に向かう一方、磁束bc の磁力線は磁束bi および磁束bo の磁力線と反対方向となる。
なお、第一の巻線部分26の外側には、第二の巻線部分28を流れる電流isiによって、磁束bo と反対方向の磁束rbo が生ぜしめられる一方、第二の巻線部分28の内側には、第一の巻線部分26を流れる電流isoによって、磁束bi と反対方向の磁束rbi が生ぜしめられるが、第一の巻線部分26と第二の巻線部分28が離れて位置されており、第二の巻線部分28から第一の巻線部分26の外側、第一の巻線部分26から第二の巻線部分28の内側までは距離があることから、これら磁束rbo 、rbi は、磁束bo 、bi に殆ど影響しない程度に小さい。特に本実施形態においては、ポット型コア18aを用い、第一の巻線部分26がポット型コア18aの外壁40に近接配置されていると共に、第二の巻線部分28が内壁42に近接配置されていることから、第一の巻線部分26から生じる磁力線を外壁40に集束させることにより、第二の巻線部分28からの影響をより軽減出来ると共に、第二の巻線部分28から生じる磁力線を内壁42に集束させることにより、第一の巻線部分26からの影響をより軽減することが可能とされている。
そして、信号用コイル16aによって生ぜしめられた磁束bi 、bc 、bo により、対向する信号用コイル16bの第一の巻線部分26に誘導電流iroが生ぜしめられると共に、第二の巻線部分28に誘導電流iriが生ぜしめられる。これらの誘導電流iro、iriは、信号用コイル16bのリード線24b内を互いに同方向に流れ、相殺されることは無い。このようにして、信号用コイル16aから、信号用コイル16bに電気信号を伝送することが可能とされている。
一方、図6(b)および図7(b)にモデル的に示すように、電力用コイル14aに交流電圧が印加されると、電力用コイル14aの内側に磁束Bi 、外側に磁束Bo が生ぜしめられる。磁束Bi の磁力線の向きと、磁束Bo の磁力線の向きは互いに反対方向となる。これら磁束Bi 、Bo が、信号用コイル16a,16bのそれぞれにおいて、第二の巻線部分28の内側と第一の巻線部分26の外側を通過する。これにより、信号用コイル16bを例に説明すると、第一の巻線部分26にノイズ電流となる誘導電流inoが、第二の巻線部分28にノイズ電流となる誘導電流iniが生ぜしめられる。磁束Bi と磁束Bo が、第一の巻線部分26と第二の巻線部分28を挟む両側で互いに反対方向に向かうことから、誘導電流inoと、誘導電流iniは、信号用コイル16bのリード線24bを外から見た場合には互いに同方向に流れている。そして、第一の巻線部分26と第二の巻線部分28は互いに逆方向に巻回されていることから、誘導電流inoと誘導電流iniは、リード線24b内では互いに逆方向の電流であり、第一の巻線部分26と第二の巻線部分28に、共通磁界に対して互いに逆向きの起電力が生ぜしめられる。その結果、誘導電流inoと誘導電流iniは相互に打ち消し合うこととなり、誘導電流inoと誘導電流iniの大きさが可及的に接近するように、第一の巻線部分26および第二の巻線部分28の大きさや巻数を調節することによって、電力用コイル14aによって生じた磁束Bi ,Bo の影響で信号用コイル16bに生ぜしめられる、ノイズとなる起電力を相殺することが出来る。このようにして、電力用コイル14aの影響によるノイズを軽減しつつ、電気信号の伝送を行なうことが出来る。
なお、図6(b)および図7(b)に併せ示すように、信号用コイル16aにおいても、同様にしてノイズ起電力を低減することが可能であり、本実施形態においては、電気信号の送信側(信号用コイル16a)および受信側(信号用コイル16b)の両方においてノイズを軽減することが可能とされている。更に、ポット型コア18a,18bを用い、信号用コイル16aの第一の巻線部分26と第二の巻線部分28から生じる磁力線を外壁40と内壁42にそれぞれ集束させることにより、対向する信号用コイル16bにおける第一の巻線部分26の外側と第二の巻線部分28の内側の磁束密度を高めることが出来て、信号用コイル16bの第一の巻線部分26と第二の巻線部分28のそれぞれにおいて、誘導電流iroと誘導電流iriを、より効果的に生ぜしめることが出来、より安定的な電気信号の伝送を行なうことが出来る。
このように、本実施形態に従う構造とされた無接触式伝送装置10によれば、信号用コイル16a,16bにおいて、電力用コイル14aの影響で生ぜしめられるノイズ起電力を低減することが出来る。そして、信号用コイル16a,16bに上述の如き特定のコイル巻線経路を採用したことにより、何ら特別な制御装置や、ノイズ抑制用のコイル部材を別途に設けることなく、極めて簡易な構成で、電気信号の伝送品質を向上することが出来る。更に、信号用コイル16a,16bの特定形状を用いて逆方向の起電力を発生させて相殺することから、信号用コイル16a,16bに影響する磁束の量が変化した場合でも、再チューニング等を要することなく、磁束の量の変化に自動的に対応することが出来、優れたノイズ抑制効果を得ることが出来る。
そして、電力用コイル14aからの影響を相殺できることから、信号用コイル16a,16bを電力用コイル14a,14bに極めて近接した位置に配設することが可能となるのであり、本実施形態においては、コイルヘッド12aを例に説明すれば、信号用コイル16aが、電力用コイル14aと共に同一の周溝38に収容されている。このように、従来では、互いの磁路が干渉することから困難であった、互いのリード線20a,24aが重なるように配設することも可能となるのであり、コア部材の大型化や形状の複雑化を回避して、極めて優れたスペース効率を得ることが出来る。また、電力用コイル14a,14bをポット型コア18a,18bの内部に収容したことにより、例えばモータ等からの磁気による外乱から電力用コイル14a,14bを保護することも出来る。
本発明に従う構造とされた無接触式伝送装置は、各種の機械に適用することが出来る。例えば、図8に、適用例の1つとして、前記第一の実施形態としての無接触式伝送装置10を備えた液晶表示器70とコントローラ72を示す。
液晶表示器70は、液晶パネル74を備えている。液晶パネル74は、コレステリック液晶を用いた液晶表示パネルであり、コレステリック液晶の特徴である双安定性を用いることによって、電圧が印加されずとも表示内容を維持することが可能とされている。液晶パネル74には、所定の画像データに基づいて液晶パネル74の作動を制御するドライバ回路76が接続されている。このような液晶表示器70に、無接触式伝送装置10の一方のコイルヘッド12bが外部に露出した状態で設けられている。液晶表示器70は、図3に示した部材44bに相当するものであり、液晶パネル74およびドライバ回路76が図3の負荷54、ドライバ回路76が図3の制御回路58に相当する。従って、図示は省略するが、液晶表示器70には、図3に示した整流安定化回路56や通信用回路60等が設けられている。
一方、コントローラ72は、液晶表示器70に電力を供給すると共に制御信号の送受信を行なうことにより、液晶表示器70の作動を制御するものである。コントローラ72には、文字や数字等を入力するキーボード等の入力部80、入力内容を表示する液晶表示器等の表示部82、入力部80からの入力内容に基づいて、液晶表示器70に送信する制御信号を生成するコントロール回路84が設けられている。更に、コントローラ72には、送信機86がケーブルを介して接続されている。送信機86には、無接触式伝送装置10の他方のコイルヘッド12aが外部に露出した状態で設けられている。このコントローラ72が図3に示した部材44aに相当し、コントロール回路84が図3の制御回路50に相当する。従って、図示は省略するが、コントローラ72には、図3に示した電源回路46、インバータ48、通信用回路52等が設けられており、電源回路46によって、液晶表示器70に駆動電力が供給される。
このような液晶表示器70の表示内容を変更する場合には、コントローラ72の入力部80等を操作して適当な書換情報を入力した後に、送信機86のコイルヘッド12aを液晶表示器70のコイルヘッド12bと対向位置させる。そして、コントローラ72の電源回路46(図3参照)から、電力用コイル14a,14bを通じて液晶表示器70の液晶パネル74およびドライバ回路76に駆動電力が供給される。また、コントローラ72のコントロール回路84から信号用コイル16a,16bを通じて液晶表示器70のドライバ回路76に電気信号としての制御信号が伝送される。これにより、ドライバ回路76は、受信した制御信号に基づいて、液晶パネル74の表示内容を変更する。
このように、本実施形態の無接触式伝送装置10を、互いに分離可能とされた液晶表示器70とコントローラ72の送信機86との間に用いることが出来る。特に、液晶パネル74にコレステリック液晶が用いられており、電圧を印加せずとも表示内容を維持できることから、電力用コイル14a,14bを用いて表示内容の書換時にのみコントローラ72から液晶パネル74に駆動電源を供給することによって、液晶表示器70側に電源装置を設けることを不要とすることが出来る。そして、本発明に従うコイル巻線経路を有する信号用コイル16a,16bを、電力用コイル14a,14bに重ねて同一のポット型コア18a,18bに収容したことにより、液晶表示器70およびコントローラ72(送信機86)の小型化を実現することが出来ると共に、コントローラ72から液晶表示器70に駆動電力を伝送しながらも、ノイズ混入のおそれを低減した、優れた伝送品質をもって電気信号としての制御信号を伝送することが出来る。
なお、例えば半二重のシリアル通信を用いる等して、液晶パネル74の書き換えが完了したことを通知する制御信号を、液晶表示器70からコントローラ72に伝送することも勿論可能である。そのような場合には、液晶表示器70のドライバ回路76によって生成された、書換完了を示す制御信号が通信用回路60(図3参照)で高周波電圧に重畳されて、信号用コイル16bおよび信号用コイル16aを通じてコントローラ72側の通信用回路52に伝送された後に、通信用回路52で高周波電圧から取り出されてコントロール回路84に伝達される。
次に、図9に、本発明に従う構造とされた無接触式伝送装置の異なる適用例として、前記第一の実施形態の無接触式伝送装置10を備えた超音波スピンドル装置90をモデル的に示す。
超音波スピンドル装置90は、本体92に回転駆動手段としてのモータ94が設けられており、モータ94によって回転される回転主軸96の先端部に、超音波振動子98を介して工具100が取り付けられた構造とされている。回転主軸96は、ベアリング102,102を介して本体92に支持されている。また、本体92において回転主軸96の先端側の端部にはラビリンスシール104が設けられており、外部からの粉塵の侵入が阻止されている。
回転主軸96の先端部には、超音波振動子98が設けられている。超音波振動子98は、例えば圧電素子が複数積層されて形成されたボルト締めランジュバン型振動子等である。この超音波振動子98に対して、例えばエンドミルやドリル等の工具100が取り付けられている。そして、モータ94で回転主軸96を回転させつつ、超音波振動子98に高周波電圧を印加して振動させることにより、工具100を、本体92に対して回転させつつ振動させて、図示しない被加工部材を切削や研削等することが可能とされている。
このように、超音波振動子98は、本体92に対して相対回転可能とされており、この超音波振動子98に本体92側から駆動電力を供給するために、無接触式伝送装置10を用いることが出来る。本例においては、本体92における工具100側の端部に、無接触式伝送装置10の一方のコイルヘッド12aが設けられていると共に、回転主軸96に、他方のコイルヘッド12bが固定されており、これらコイルヘッド12aとコイルヘッド12bが、回転主軸96と同心軸上で、隙間を隔てて対向配置されている。
従って、本例においては、本体92側が図3に示した部材44aに相当し、本体92には、図3に示した電源回路46、インバータ48、制御回路50および通信用回路52が設けられている。一方、超音波振動子98が設けられた回転主軸96が部材44bに相当し、超音波振動子98が負荷54に相当する。更に、回転主軸96には、超音波振動子98の振動状態を通電状態から検出する例えば圧電素子やホール素子等を含んだ検出回路106と、検出回路106からの検出信号を増幅して高周波電圧として信号用コイル16bに供給する増幅回路108が設けられており、検出回路106が図3における制御回路58に相当すると共に、増幅回路108が図3における通信用回路60に相当する。なお、超音波振動子98は交流電圧で駆動するものであることから、本例においては、図3に示した整流安定化回路56は設けられておらず、電力用コイル14bが、整流安定化回路56を介することなく超音波振動子98と接続されている。
また、特に本適用例におけるコイルヘッド12aは、前記ポット型コア18aを用いることなく構成されている。このことから明らかなように、本発明において、コア部材は必ずしも必要ではない。従って、回転主軸96側に設けられたコイルヘッド12bにおいても、ポット型コア18bを省略することも可能である。更に、コイルヘッド12aの外側には、シールド部材110が配設されている。シールド部材110は、例えばアルミニウム合金、銅合金、チタン合金、ニッケル合金、セラミックス、合成樹脂材料等の非磁性体から形成されており、中央に貫通孔が形成された有底円筒形状とされている。このようなシールド部材110で電力用コイル14aおよび信号用コイル16aの外側が覆われることによって、特に信号用コイル16aが、外部のモータ94等からの磁気による外乱から保護されている。
このような超音波スピンドル装置90は、本体92に設けられた電源回路46から、本体92に対して回転される超音波振動子98に対して、電力用コイル14a,14bを介して駆動電力が供給される。これにより、超音波振動子98が振動されて、工具100に対して回転主軸96の回転動作と超音波振動子98の振動動作が重畳される。
さらに、本例においては、回転主軸96側に設けられた検出回路106によって、超音波振動子98に印加された電圧や超音波振動子98を流れる電流等が検出されて、電気信号としての検出信号が生成されるようになっている。そして、検出回路106で生成された検出信号が増幅回路108から信号用コイル16b,16aを介して本体92の制御回路50(図3参照)に入力されるようになっている。これにより、本体92側の制御回路50において、検出回路106から伝送された例えば電圧と電流の位相や振幅等に基づいて、超音波振動子98の振動状態を検出することが可能とされており、インバータ48の駆動周波数を調節することで、超音波振動子98への印加電圧の周波数を調節するフィードバック制御を行なうことが可能とされている。
このように、本例においては、コイルヘッド12aからコイルヘッド12bに向けて電力が伝送される一方、電気信号がコイルヘッド12bからコイルヘッド12aに伝送されるようになっている。そして、本例の超音波スピンドル装置90においては、本発明に従う構造とされた無接触式伝送装置10を用いたことにより、本体92側および回転主軸96側のそれぞれにおいて、電力用コイル14aと信号用コイル16a,電力用コイル14bと信号用コイル16bを、回転主軸96と同心軸上で、回転主軸96の軸方向(図9中、上下方向)に重ねて配設することが出来る。これにより、超音波スピンドル装置90の径方向寸法(図9中、左右方向寸法)を小型化することが出来る。
加えて、信号用コイル16a,16bの構造そのものでノイズ起電力を低減出来ることから、特別なノイズ除去処理を要することがなく、検出回路106から発信された検出信号を、本体92の制御回路50(図3参照)で速やかに再生することが出来る。これにより、フィードバック制御において、検出信号の時間的な遅れを考慮する手間を解消乃至は減少することが出来る。その結果、制御の簡素化を図ることが出来ると共に、より応答性に優れたフィードバック制御を行なうことが出来る。
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、本発明の具体的な実施形態は、上記実施形態に限定されるものでは無い。以下、本発明の異なる実施形態を幾つか示すが、これらはあくまでも例示であり、本発明が以下の具体的態様に限定されることを示すものでは無い。また、以下の実施形態において、前記第一の実施形態に相当する部材および部位には、図中に前記第一の実施形態と同一の符号を付することによって、その説明を省略する。
先ず、図10に、本発明の第二の実施形態としての無接触式伝送装置を構成する、一方のコイルヘッド120を分解状態で示す。本実施形態の信号用コイル16aは、リード線24aが円形に巻回されて第一の巻線部分26が形成された後に、第一の巻線部分26からリード線24aが延び出されて、第一の巻線部分26と反対回りに巻回されることによって、第二の巻線部分28が形成されている。そして、ポット型コア18aの周溝38に、先ず第一の巻線部分26が収容されて、その後に電力用コイル14a,第二の巻線部分28が順に収容されている。これにより、第一の巻線部分26と第二の巻線部分28が、電力用コイル14aを軸方向で挟む両側に配設されるようになっている。
本実施形態のように、信号用コイル16aにおける第一の巻線部分26と第二の巻線部分28を、異なる平面上に形成することも可能である。このようにすれば、第一の巻線部分26の形成スペースと第二の巻線部分28の形成スペースを各別に大きく確保できることから、第一の巻線部分26および第二の巻線部分28の巻数の設定自由度を向上することが出来る。なお、図示は省略しているが、コイルヘッド120に対向するコイルヘッドとしては、本実施形態のコイルヘッド120と同様の構造とされたものを用いても良いし、或いは前記第一の実施形態に示したコイルヘッド12b(図1等参照)等、異なる構造のものを用いても良い。
次に、図11に、本発明の第三の実施形態としての無接触式伝送装置130を示す。本実施形態の無接触式伝送装置130は、一方のコイルヘッド12bにおいて、ポット型コア18bの周溝38に収容された信号用コイル16bのリード線24bがポット型コア18bの外部に延び出されて、ポット型コア18bの外周面132に巻回されている。そして、外周面132に巻回されたリード線24bによって、外周巻線部分134が形成されている。外周巻線部分134の巻線方向は、第一の巻線部分26と第二の巻線部分28の何れか一方と等しい方向に設定される。
本実施形態においては、第一の巻線部分26、第二の巻線部分28、および外周巻線部分134によって、互いに逆向きの起電力を生じるコイル巻線経路が形成されている。このようにすれば、ノイズ低減効果をより精度良く調節することが出来る。なお、第一の巻線部分26および第二の巻線部分28の何れか一方のみと、外周巻線部分134とによって、互いに逆向きの起電力を生じるコイル巻線経路を形成することも可能である。また、本実施形態において、コイルヘッド12bと対向するコイルヘッド12aの信号用コイル16aは、一方向のみに巻回された、従来から広く用いられている円環形状とされている。このように、互いに逆向きの起電力を生ぜしめるコイル巻線経路は、対向された信号用コイル16a,16bの少なくとも一方に形成されておれば良い。
また、図12に、本発明の第四の実施形態としての無接触式伝送装置を構成する、第二のコイル部材としての信号用コイル140をモデル的に示す。信号用コイル140は、リード線142が径方向の外側において一周に満たない周方向(本実施形態においては、略1/6周)に延ばされることで外側巻線部分144が形成されると共に、外側巻線部分144から折り返されて、径方向の内側において外側巻線部分144と逆方向で外側巻線部分144と略等しい周方向(本実施形態においては、略1/6周)だけ延ばされることで内側巻線部分146が形成されており、これら外側巻線部分144と内側巻線部分146によって、小ループ部148が形成されている。なお、各小ループ部148における巻数は任意に設定され得る。このような小ループ部148が連続して形成されて、複数の小ループ部148が周方向に並んで形成されている。これにより、各小ループ部148の外側巻線部分144が略同一円周上に形成されて、これら複数の外側巻線部分144によって、第一の巻線部分150が形成されていると共に、各小ループ部148の内側巻線部分146が外側巻線部分144の内側で略同一円周上に形成されて、複数の内側巻線部分146によって、第二の巻線部分152が形成されている。
このような巻線経路によっても、外側巻線部分144と内側巻線部分146が、信号用コイル140と同心軸上に配設される図示しない電力用コイルの中心:o回りで、互いに逆向き(図12においては、外側巻線部分144が時計回り、内側巻線部分146が反時計回り)に巻回されており、複数の外側巻線部分144と、複数の内側巻線部分146によって、互いに逆向きに巻回された第一の巻線部分150と第二の巻線部分152を形成することが出来る。そして、本実施形態によれば、各小ループ部148毎に巻数を調節出来ることから、例えば信号用コイル140の周方向における局所的な磁束変化量のばらつき等に応じて、ノイズ起電力の低減効果をより精度良く調節することが出来る。また、周方向に部分的に延びる環形状の小ループ部148を複数形成することによって、信号用コイル140の形状安定性を高めることも出来る。
なお、図13に、前記第一の実施形態に従う構造とされた無接触式伝送装置10(図3参照)を用い、部材44a側(図中、発信側)から発信した電気信号が、部材44b側(図中、受信側)で受信されるまでに要した時間を測定した結果を示す。図13のグラフ下部にΔXとして表示されているように、部材44a側で電気信号が発信された時刻:X1から、部材44b側で電気信号を受信した時刻:X2までの信号伝達の所要時間は64.0nsであり、極めて速やかな信号伝達が可能であることが確認された。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
例えば、第一のコイル部材と第二のコイル部材の数はそれぞれ一対のみに限定されるものではなく、例えば第一のコイル部材の対と、第二のコイル部材の対を複数設けることも可能である。そして、第一のコイル部材と第二のコイル部材の相対位置も、前記実施形態のように、互いのコイル巻線が重なる位置に限定されることはないのであって、例えば第一のコイル部材による磁束の影響を受け得る近接位置で、第一のコイル部材と隣接して第二のコイル部材を配設する等しても良い。従って、第一のコイル部材と第二のコイル部材を重ねて配設する場合でも、必ずしも同心軸上に配設されている必要はなく、第二のコイル部材を第一のコイル部材に対して偏心して配設しても良い。
また、第一のコイル部材および第二のコイル部材の巻線形状は円形に限定されるものではなく、例えば矩形状や楕円形状等とされていても良い。更に、第二のコイル部材における、互いに逆向きの起電力を生じるコイル巻線経路の具体的形状は、前記実施形態の形状に限定されるものではない。
更にまた、第一のコイル部材は、電気信号の伝送に用いられるものでも良い。例えば前記第一の実施形態における第一のコイル部材としての電力用コイル14a,14bを用いて電気信号の伝送を行うことも可能であり、そのような場合には、電力用コイル14aに、信号用コイル16aと同様に制御回路50や通信用回路52を接続する一方、電力用コイル14bに、信号用コイル16bと同様に制御回路58や通信用回路60を接続することで、信号用コイル16a,16bと同様にして電気信号の伝送を行うことが出来る。
また、例えば前記第一の実施形態において、信号用コイル16aから信号用コイル16bに電気信号を伝送する際に、送信元となる部材44a側の制御回路50で電力伝送のインバータ48のスイッチングタイミングを検出して、インバータ48のスイッチングタイミングに合わせて電気信号の伝達タイミング、即ち信号用コイル16aへの電圧の印加タイミングを制御するようにしても良い。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
10:無接触式伝送装置、12a,b:コイルヘッド、14a,b:電力用コイル(第一のコイル部材)、16a,b:信号用コイル(第二のコイル部材)、18a,b:ポット型コア(コア部材)、20a,b:リード線(電力用コイルのコイル巻線)、24a,b:リード線(信号用コイルのコイル巻線)、26,150:第一の巻線部分、28,152:第二の巻線部分、40:外壁、42:内壁、44a,b:部材、110:シールド部材(非磁性体)、134:外周巻線部分、144:外側巻線部分、146:内側巻線部分、148:小ループ部
Claims (12)
- 互いに相対変位可能に対向された一対の第一のコイル部材と、互いに相対変位可能に対向された一対の第二のコイル部材とを備え、相互誘導により前記一対の第一のコイル部材の間で電力又は電気信号の伝送を行なうと共に、相互誘導により前記一対の第二のコイル部材の間で電気信号の伝送を行なう無接触式伝送装置において、
前記一対の第二のコイル部材の少なくとも一方が、前記第一のコイル部材によって生じた磁束の影響で該第二のコイル部材に生ぜしめられる起電力を相殺するように互いに逆向きの起電力を生じるコイル巻線経路をもって形成されていることを特徴とする無接触式伝送装置。 - 前記互いに逆向きの起電力を生じるコイル巻線経路が、互いに逆向きに巻回された第一の巻線部分と第二の巻線部分を含んで構成されている請求項1に記載の無接触式伝送装置。
- 前記第一の巻線部分と前記第二の巻線部分が同一平面上に形成されている請求項2に記載の無接触式伝送装置。
- 前記第一の巻線部分と前記第二の巻線部分が、前記第一のコイル部材を軸方向で挟む互いに反対側に形成されている請求項2に記載の無接触式伝送装置。
- 前記第一のコイル部材のコイル巻線と前記第二のコイル部材のコイル巻線が重ねて配設されている請求項1〜4の何れか1項に記載の無接触式伝送装置。
- 軸方向一方の端面に開口する収容凹所が形成された透磁性材からなるコア部材を備え、少なくとも一方の前記第一のコイル部材と前記第二のコイル部材が、同一の前記収容凹所に収容されている請求項2〜5の何れか1項に記載の無接触式伝送装置。
- 前記コア部材には、前記収容凹所としての溝部が形成されている請求項6に記載の無接触式伝送装置。
- 前記第一の巻線部分と前記第二の巻線部分との離隔距離が、前記第二のコイル部材の両側における前記溝部の壁部との離隔距離よりも大きくされている請求項7に記載の無接触式伝送装置。
- 前記コア部材として、周方向に延びる前記溝部としての周溝を有するポット型コアが用いられている請求項7又は8に記載の無接触式伝送装置。
- 前記互いに逆向きの起電力を生じるコイル巻線経路が、前記収容凹所に収容された前記第二のコイル部材が前記コア部材の外部に延び出されて該コア部材の外周面に巻回された外周巻線部分を含んで構成されている請求項6〜9の何れか1項に記載の無接触式伝送装置。
- 前記第二のコイル部材には、該第二のコイル部材の径方向の外側を周方向に部分的に延びる外側巻線部分と、該外側巻線部分から折り返されて該第二のコイル部材の径方向の内側を周方向に部分的に延びる内側巻線部分とを有する小ループ部が周上に並んで複数形成されており、各前記小ループ部の前記外側巻線部分によって前記第一の巻線部分が形成されていると共に、各前記小ループ部の前記内側巻線部分によって前記第二の巻線部分が形成されている請求項2〜10の何れか1項に記載の無接触式伝送装置。
- 前記第二のコイル部材の外側が非磁性体で覆われている請求項1〜11の何れか1項に記載の無接触式伝送装置。
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