JPWO2014108996A1 - 耐圧容器用ダイカスト製品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、削り代が最大となる領域を包含する厚肉部に大きな巻き込み巣と引け巣が形成され難い耐圧容器用ダイカスト製品の製造方法を提供することを課題とするものである。削り代が最大となる領域を包含する厚肉部を有する耐圧容器用ダイカスト製品(D)を製造する方法であって、耐圧容器用ダイカスト製品(D)を成形するための金型の内部空間(C)に大気圧以上の圧力で活性ガスを充満させる活性ガス充填過程と、金型に設けたピンゲート(31,31)から内部空間(C)に溶湯を圧入する溶湯圧入過程とを含み、溶湯圧入過程では、厚肉部を成形するための金型部分(4a,5)に向けてピンゲート(31,31)から溶湯を噴出させ、金型部分(4a,5)に溶湯をぶつけることを特徴とする。

Description

本発明は、耐圧容器用ダイカスト製品の製造方法に関する。
鋳造方法の一種として、ダイカスト法が知られている。ダイカスト法は、アルミニウム合金等の溶湯を金型の内部空間(キャビティ)に圧入する、というものである。
金型内部に充満しているガス(空気、水蒸気等)は、溶湯の圧入によって大半が金型の内部空間から排出されるが、金型内に残留するものもある。金型内に残留したガスは、溶湯に巻き込まれ、巻き込み巣(巻き込まれたガスにより生じる鋳巣)の原因となる。大きな巻き込み巣を内包したダイカスト製品に熱処理を施すと、ガスの膨張に起因してダイカスト製品にブリスター(膨れ)が発生する場合もある。
ガスの巻込みを防止するダイカスト法として、ポアフリーダイカスト法(無孔性ダイカスト法)が知られている(特許文献1,2参照)。ポアフリーダイカスト法は、大気圧以上の圧力で酸素等の活性ガスを金型の内部空間に充満させ、かかる状態で金型内に溶湯を圧入する、というものである。ポアフリーダイカスト法によれば、金型内の活性ガスが溶湯と反応するので、溶湯に巻き込まれるガスが減少するようになる。
なお、ダイカスト製品の肉厚は、2〜4mmが適当とされている。ダイカスト製品の肉厚が7mmを超えると、引け巣が顕在化するようになることから、ダイカスト法は、厚肉部を有する製品には不向きとされている。
特開2000−52016号公報 特開2011−136343号公報
ところで、耐圧容器(例えば、油圧シリンダ、エアシリンダなど)を製造する場合には、平滑面(ピストンに摺接する面)やシール溝を得るべく、耐圧容器の素となる素形材の厚肉部に表面切削や溝加工を施す必要があるので、前記素形材の肉厚は、削り代等を考慮して設定する必要がある。素形材の肉厚の大きさは、耐圧容器の用途や圧力の大きさによって異なるが、ダイカスト法に適していない大きさになることもある。
ダイカスト製品を耐圧容器の素形材とする場合には、ダイカスト製品の鋳肌に対して表面切削や溝加工等の機械加工を施すことになるが、削り代が大きくなると、機械加工後の製品表面に巻き込み巣や引け巣が露出する可能性がある。特に、シール溝を跨ぐような大きな巻き込み巣または引け巣が存在すると、シール性が損なわれる虞がある。
このような観点から、本発明は、削り代が最大となる領域を包含する厚肉部に大きな巻き込み巣と引け巣が形成され難い耐圧容器用ダイカスト製品の製造方法を提供することを課題とする。
本願発明者は、ダイカスト製品で耐圧容器を形成すべく鋭意研究を行った結果、厚肉部に大きな巻き込み巣と引け巣が形成され難い耐圧容器用ダイカスト製品の製造方法を見出すに至った。
すなわち、本発明は、削り代が最大となる領域を包含する厚肉部を有する耐圧容器用ダイカスト製品を製造する方法であって、前記耐圧容器用ダイカスト製品を成形するための金型の内部空間に大気圧以上の圧力で活性ガスを充満させる活性ガス充填過程と、前記金型に設けた少なくとも一つのゲートから前記内部空間に溶湯を圧入する溶湯圧入過程とを含み、前記溶湯圧入過程では、前記厚肉部を成形するための金型部分に向けて少なくとも一つの前記ゲートから溶湯を噴出させ、前記金型部分に溶湯をぶつけることを特徴とする。
本発明は、ポアフリーダイカスト法を利用するものである。ポアフリーダイカスト法を利用すると、金型内の活性ガスが溶湯と反応して微細な固体となり、金型内に残留する活性ガスが無くなるので、溶湯に巻き込まれるガスが減少するようになる。
また、金型部分に溶湯をぶつけて金型内で溶湯が霧状または飛沫状に微細化するようにして、ダイカスト製品の厚肉部(削り代が最大となる領域を包含する部分)を成形する金型部分に溶湯を導入すると、活性ガスと溶湯との反応が促進され、巻き込み巣の原因となるガス量を減少させることができる。さらに、金型の内部空間のうちの溶湯で満たされていない部分が真空に近い状態になるので、溶湯が金型の隅々まで素早く満たされるようになり、かつ、溶湯と金型との密着性が良好になる。金型に密着した溶湯が効率良く冷却され、かつ、金型にぶつかった溶湯が霧状・飛沫状に分散すると共に冷却され凝固するので、鋳巣の少ない微細な鋳造組織が得られる。
金型内に活性ガスを充満させたとしても、金型内の空気や離型剤から出てくる水蒸気の全てを置換することはできないので、金型内に不活性ガスが僅かに残留する。残留した不活性ガスは巻き込み巣となるので、巻き込み巣をゼロにすることはできないが、前記のとおり、金型の内部空間が真空に近い状態になる結果、溶湯が金型の隅々まで素早く満たされ、かつ、金型との密着性が良好となる。さらに、溶湯は、金型にぶつかって冷却されているので、厚肉部となる空間に充填された溶湯は、速やかに凝固するようになる。このように、本発明によれば、溶湯が分散し速やかに凝固するので、溶湯に巻き込まれた気泡が溶湯中を漂っている時間は極めて短いものとなり、したがって、溶湯中に分散していた気泡が厚肉部に集合する(=巻き込み巣が大きくなる)こともない。つまり、本発明によれば、削り代が最大となる領域の周囲に残留ガスが存在した場合であっても、小さな気泡のまま独立して分散するようになるので、大きな巻き込み巣が形成され難くなり、例えば削り代が最大となる領域を切削してシール溝を形成しても、シール溝を跨ぐような内部欠陥が出現し難くなる。なお、耐圧容器用ダイカスト製品の肉厚が7mm以上となると、凝固収縮による引け巣の発生が懸念されるが、僅かに残った巻き込み巣の内部には、高圧のガスが残留しているので、凝固収縮に見合う程度に巻き込み巣を微細分散させていると、引け巣の発生を抑制することができる。
前記厚肉部となる空間に鋳抜き部(厚肉部に穴や欠損部を形成するための金型)を配置した場合には、当該鋳抜き部に向けて溶湯を噴出し、当該鋳抜き部の表面に溶湯をぶつけてもよい。厚肉部となる空間に充填された溶湯が鋳抜き部の表面にぶつかると、霧状または飛沫状に微細化し、冷却されつつ分散して速やかに凝固するようになるので、厚肉部に形成される巻き込み巣を好適に独立して分散させることが可能となる。
前記金型部分(金型のうち、溶湯がぶつかる金型部分)を冷却するとよい。このようにすると、当該金型部分にぶつかった溶湯がより速やかに凝固するようになる。
なお、前記したとおり、巻き込み巣を適度に分散させると、引け巣の発生を効果的に抑制することができる。巻き込み巣を適度に発生させるためには、水で希釈した水溶性離型剤を前記金型に付着させた状態で、前記内部空間に溶湯を圧入するとよい。水溶性離型剤は、シリコンオイル系水溶性離型剤又は黒鉛系水溶性離型剤が好適である。
水で希釈した水溶性離型剤を使用すると、金型に付着した離型剤中の水(H2O)の一部が金型の熱と溶湯の熱によって水蒸気になるが、ポアフリーダイカスト法では、金型の内部空間内の活性ガスの酸素と溶湯とが優先して反応することによって溶湯の表面に常に酸化膜が形成されるので、酸素より安定物質の水蒸気中の水(H2O)と溶湯との反応が起こり難い状況にあり、その結果、水蒸気が小さな気泡のままダイカスト製品内に分散するものと解される。このように、水で希釈した水溶性離型剤を使用すると、水蒸気に起因した巻き込み巣が適度に発生するようになるので、引け巣を抑制することが可能となる。なお、水(H2O)の一部は溶湯と反応するが、溶湯と反応した水は、固体である酸化物と、固溶した水素とになる。凝固時に水素の溶解度が減少して水素ガスが生成するが、凝固速度が速いので、顕微鏡でも見えない位の小さな気泡となり、大きな気泡にはならない。
本発明によれば、耐圧容器用ダイカスト製品の厚肉部に大きな巻き込み巣と引け巣が形成され難くなるので、厚肉部に表面加工や溝加工を施しても、耐圧容器の性能を阻害するような内部欠陥が出現し難くなり、ひいては、歩留まりを向上させることが可能となる。
(a)は耐圧容器用ダイカスト製品を示す平面図、(b)は(a)のX1−X1線断面図である。 本発明の実施形態に係る耐圧容器用ダイカスト製品の製造方法に使用する金型の断面図である。 図2のX2−X2線断面図である。 耐圧容器用ダイカスト製品中の巻き込み巣の様子を模式的に表した図であって、(a)は本発明の実施形態に係る耐圧容器用ダイカスト製品の製造方法によって得られた耐圧容器用ダイカスト製品の拡大断面図、(b)は比較例に係る製造方法によって得られた耐圧容器用ダイカスト製品の拡大断面図である。
本発明の実施形態に係る製造方法によって得られる耐圧容器用ダイカスト製品(以下「ダイカスト製品D」という。)は、油圧シリンダ、エアシリンダその他の耐圧容器の素となるアルミニウム合金製の素形材である。図1に示すように、ダイカスト製品Dには、有底の円柱状空間V1が形成されている。
ダイカスト製品Dは、円柱状空間V1に面する表層1と、表層1の外側に位置する本体2とを備えている。ダイカスト製品Dの肉厚は、ダイカスト法の一般的な適用範囲である2〜4mmを超えており、最も薄い部分でも7mm以上である。つまり、本実施形態では、ダイカスト製品Dの全体が厚肉部となっている。円柱状空間V1は、金型に設けた抜け勾配の関係で、開口端から底部に向かうに従って内径が漸減する形状となっている。
表層1は、切削加工によって切除される削り代(仕上げ代)である。本実施形態の表層1は、表面切削加工によって切除される円筒状領域1aおよび円板状領域1bと、表面切削加工後の溝加工によって切除されるリング状領域1cとを備えている。
円筒状領域1aは、円柱状空間V1の周壁(内周面)に相当する部位であり、円柱状空間V1の開口端から底部に向かうに従って肉厚が漸増する形状となっている。円筒状領域1aを切除した後に出現する本体2の表面は、ピストン(図示略)の外周面に摺接する摺動面となる。
円板状領域1bは、円柱状空間V1の底壁(底面)に相当する部位である。円板状領域1bの肉厚は、円筒状領域1aの肉厚よりも小さくなっている。なお、円柱状空間V1の底部を鋳肌のまま残す場合には、円板状領域1bは不要となる。
リング状領域1cは、円筒状領域1aの外周側に設けられた断面矩形状の領域である。リング状領域1cは、円柱状空間V1の開口端付近に設けられていて、円柱状空間V1の周方向に連続している。リング状領域1cを切除した後に出現する断面矩形状の溝は、シール溝となる。シール溝には、ピストン(図示略)の外周面に接する環状のシール材(図示略)が嵌め込まれる。
円柱状空間V1の中心軸線を法線とする仮想平面上における表層1の肉厚(リング状領域1cの内周面から本体2までの距離)は、当該仮想平面がリング状領域1cを通るときに最大となる。つまり、ダイカスト製品Dにおいて削り代が最大となる領域(以下「削り代最大領域」という。)は、リング状領域1cとその内周側に隣接する円筒状領域1aとを合わせた領域であり、削り代最大領域における削り代t1は、円筒状領域1aの下部における削り代t2よりも大きい。
本体2は、表層1を切削した後に残る部位である。本実施形態の本体2は、円筒状領域1aの外周側に形成されたシリンダ側部2aと、円板状領域1bの外側(図1の(b)において下側)に形成されたシリンダ底部2bと、シリンダ側部2aの外周面から側方に向かって張り出す張出部2c,2cと、張出部2cに突設された湯口部2dとを備えている。
シリンダ側部2aは、シリンダの周壁(表層1の切削後における円柱状空間V1の周壁)となる部位であり、円筒状領域1aの外周側において円柱状空間V1を囲んでいる。シリンダ側部2aの外周面は、テーパ面となっている。このテーパ面の外径は、円柱状空間V1の開口端側からシリンダ底部2bに向かうに従って漸減している。なお、本実施形態では、シリンダ側部2aの外周面をテーパ面としたが、適宜変更してもよい。
シリンダ底部2bは、シリンダの底壁(表層1の切削後における円柱状空間V1の底壁)となる部位であり、円板状領域1bの外側(図1の(b)において下側)に形成されている。
張出部2cは、リング状領域1cの外周側(=削り代最大領域の外周側)に形成されている。張出部2cには、空洞V2が形成されている。図示の張出部2cは、直方体状を呈しているが、張出部2cの形状を限定する趣旨ではない。また、本実施形態では、円柱状空間V1を挟んで両側に一対の張出部2c,2cを配置しているが、張出部2cの位置や個数は適宜変更してもよいし、シリンダ側部2aの全周に亘って連続して形成してもよい。
湯口部2dは、金型のゲート内で不可避的に形成される余剰部である。本実施形態の湯口部2dは、張出部2cの下面(シリンダ底部2b側の面)に突設されている。
空洞V2は、鋳抜き部5(図2参照)を利用して鋳造時に形成される。本実施形態では、一つの張出部2cに対して空洞V2を一つ設けているが、空洞V2の数や配置等は変更してもよい。
ダイカスト製品Dの製造方法は、ポアフリーダイカスト法を利用するものであり、準備過程と、活性ガス充填過程と、溶湯圧入過程とを含むものである。
図2および図3に示すように、金型(固定型3A、可動型3B、中子4)は、ダイカスト製品Dに対応する内部空間(ギャビティ)Cを備えている。削り代最大領域(リング状領域1cとその内周側に隣接する円筒状領域1aとを合わせた領域)は、内部空間Cの上部に位置しており、円板状領域1bは、内部空間Cの下部に位置している。内部空間Cに通じるピンゲート31,31は、固定型3Aと可動型3Bとの合せ面(分割面)に設けられている。
固定型3Aおよび可動型3B(図3参照)は、ダイカスト製品Dの外周面および下面を成形するものである。
中子4は、ダイカスト製品Dの開口端面、円柱状空間V1(図1参照)の周壁および底壁を成形するものである。中子4の入隅部分4a(円柱状空間V1の開口端側の周壁とこれに繋がるダイカスト製品Dの開口端面とを成形する部分)は、削り代最大領域に近接している。
鋳抜き部5は、空洞V2を成形するものであり、中子4の入隅部分4aの近傍に配置されている。図示は省略するが、固定型3A、可動型3B、中子4および鋳抜き部5には、金型表面を冷却するための水冷用管路、型枠外へ活性ガスを排出させるためのエアベントなどが形成されている。
ピンゲート31は、中子4の入隅部分4aおよび少なくとも一つの鋳抜き部5を見通すことができる位置(本実施形態では、張出部2cの下面を成形する金型の表面)に開口している。つまり、一のピンゲート31から中子4の入隅部分4aに至る仮想の線分P1,P2および一のピンゲート31から何れか一つの鋳抜き部5に至る仮想の線分Qは、他の金型部分に遮られることなく内部空間Cを通過している。
準備過程は、水で希釈した水溶性離型剤を金型に塗布する過程である。水溶性離型剤は、シリコンオイル系水溶性離型剤又は黒鉛系水溶性離型剤が好適である。なお、図2および図3では、金型を型締めした状態を図示しているが、水溶性離型剤を塗布する作業は、型開きした状態で行い、水溶性離型剤を塗布した後に型締めをする。
活性ガス充填過程は、金型の内部空間Cに大気圧以上の圧力で活性ガスを充満させる過程である。金型の内部空間Cを大気圧以上とすれば、大気の浸入を防ぐことができる。本実施形態の活性ガスは、酸素である。
溶湯圧入過程は、ピンゲート31,31から内部空間Cにアルミニウム合金の溶湯を圧入(射出)する過程である。金型表面に接した溶湯は、速やかに凝固し、内部空間C内の活性ガス(酸素)は、溶湯の一部と反応して酸化物(Al23)となる。
溶湯圧入過程では、削り代最大領域を包含する厚肉部を成形するための金型部分(中子4の入隅部分4aまたは鋳抜き部5)に向けてピンゲート31,31から溶湯を噴出させ、当該金型部分に溶湯をぶつける。本実施形態では、ピンゲート31からの溶湯の噴出速度を80〜120m/secとしている。中子4の入隅部分4aまたは鋳抜き部5の表面に溶湯を勢いよく衝突させると、溶湯が霧状または飛沫状に微細化するようになるので、活性ガスと溶湯との反応が促進され、ひいては、巻き込み巣の原因となるガス量を減少させることができる。さらに、金型の内部空間Cのうちの溶湯で満たされていない部分が真空に近い状態になるので、溶湯が金型の隅々まで素早く満たされるようになり、かつ、溶湯と金型との密着性が良好になり、溶湯を効率良く冷却できるようになる。さらに、溶湯は、冷却された金型にぶつかって冷却されているので、速やかに凝固し、その結果、鋳巣の少ない微細な鋳造組織が得られる。
このように、本実施形態に係るダイカスト製品Dの製造方法によれば、金型内の活性ガスが溶湯と反応するので、溶湯に巻き込まれるガスが減少するようになる。
また、中子4の入隅部分4aまたは鋳抜き部5の表面に溶湯をぶつけると、削り代最大領域を包含する領域において溶湯が霧状または飛沫状に微細化するようになるので、当該領域中の活性ガスの反応が促進され、ひいては、削り代最大領域の周囲に巻き込み巣が形成され難くなる(図3の(a)参照)。
なお、金型内に活性ガスを充満させたとしても、金型内の空気や離型剤から出てくる水蒸気の全てを置換することはできないので、金型内に不活性ガスが僅かに残留する。残留した不活性ガスは巻き込み巣となるので、巻き込み巣をゼロにすることはできないが、削り代最大領域を包含する厚肉部(内部空間Cの上部)に充填された溶湯は、その周囲の金型部分(中子4の入隅部分4aまたは鋳抜き部5の表面)に接して速やかに凝固するので、溶湯に巻き込まれた気泡が溶湯中を漂っている時間は極めて短いものとなり、したがって、溶湯中に分散していた気泡が削り代最大領域の周辺に集合する(=巻き込み巣が大きくなる)こともない。
つまり、本実施形態に係るダイカスト製品Dの製造方法によれば、図4の(a)に示すように、削り代最大領域の周囲に不活性ガスが残存した場合であっても、小さな気泡のまま分散するようになるので、大きな巻き込み巣が形成され難くなり、削り代最大領域を切削してシール溝を形成しても、シール溝を跨ぐような内部欠陥が出現し難くなる。なお、ダイカスト製品Dの肉厚が7mm以上となると、凝固収縮による引け巣の発生が懸念されるが、僅かに残った巻き込み巣の内部には、高圧のガスが残留しており、かつ、このような巻き込み巣が凝固収縮に見合う程度に適度に微細分散しているので、引け巣の発生を抑制することができる。
また、ダイカスト製品Dによれば、切削後の表面に出現する巻き込み巣の数が少なくなるとともに、独立した巻き込み巣になるので、シール溝を跨ぐような大きな内部欠陥が出現し難くなるので、含浸処理を省略した場合であっても、高い気密性・液密性を確保することができる。
ちなみに、中子4の入隅部分および鋳抜き部5の表面に溶湯をぶつけないで製造した比較例に係るダイカスト製品D’では、図4の(b)に示すように、削り代最大領域の周囲に多数の巻き込み巣が形成されるようになるので、シール溝を跨ぐ連続した内部欠陥(空洞)が出現する可能性が高く、シール性が損なわれる虞がある。
また、水で希釈した水溶性離型剤を使用すると、水(H2O)の一部が金型の熱と溶湯の熱によって水蒸気になるが、ポアフリーダイカスト法では、内部空間C内の酸素と溶湯とが優先して反応することによって溶湯の表面に常に酸化膜が形成されるので、酸素よりも安定物質の水蒸気中の水(H2O)と溶湯との反応が起こり難い状況にあり、その結果、水蒸気が小さな気泡のままダイカスト製品D内に分散するものと解される。このように、水で希釈した水溶性離型剤を使用すると、水蒸気に起因した巻き込み巣が適度に発生するようになるので、引け巣を抑制することが可能となる。なお、水(H2O)の一部は溶湯と反応するが、溶湯と反応した水は、固体である酸化物(Al23)と、固溶した水素とになる。凝固時に水素の溶解度が減少して水素ガスが生成するが、凝固速度が速いので、顕微鏡でも見えない位の小さな気泡となり、大きな気泡にはならない。
また、本実施形態では、金型の内部空間Cの下部にピンゲート31,31を連通させ、上向きに溶湯を噴射しているので、霧状または飛沫状に微細化した溶湯が、厚肉部全体に広がりやすくなる。つまり、厚肉部全体において活性ガスと溶湯との反応が促進されるようになり、ひいては、巻き込み巣の原因となるガス量を減少させることができる。
なお、金型の構成は、ダイカスト製品Dの形状や大きさ等に応じて適宜変更してもよい。例えば、本実施形態では、ピンゲート31の数を二つとしているが、ダイカスト製品Dの形状や大きさ等に応じて適宜変更してもよい。また、図示は省略するが、固定型3Aと可動型3Bとの合せ面以外にピンゲートを設けてもよい。また、ピンゲート31に代えてあるいは追加して、中子4の入隅部分4aおよび鋳抜き部5の少なくとも一方を見通すことができるピンゲートを設けてもよいし、ピンゲート31に加えて、中子4の入隅部分4aおよび鋳抜き部5を見通すことができないピンゲートを設けてもよい。
D 耐圧容器用ダイカスト製品
1 表層
2 本体
3A 固定型(金型)
3B 可動型(金型)
4 中子(金型)
5 鋳抜き部(金型)
V1 円柱状空間
V2 空洞
本願発明者は、ダイカスト製品で耐圧容器を形成すべく鋭意研究を行った結果、厚肉部に大きな巻き込み巣と引け巣が形成され難い耐圧容器用ダイカスト製品の製造方法を見出すに至った。
すなわち、本発明は、削り代が最大となる削り代最大領域を包含する厚肉部を有する耐圧容器用ダイカスト製品を製造する方法であって、前記耐圧容器用ダイカスト製品を成形するための金型の内部空間に大気圧以上の圧力で活性ガスを充満させる活性ガス充填過程と、前記金型に設けた少なくとも一つのゲートから前記内部空間に溶湯を圧入する溶湯圧入過程とを含み、前記溶湯圧入過程では、前記削り代最大領域を成形するための金型部分に向けて少なくとも一つの前記ゲートから溶湯を噴出させ、前記金型部分に溶湯をぶつけることを特徴とする。
また、削り代最大領域を成形するための金型部分に溶湯をぶつけて金型内で溶湯が霧状または飛沫状に微細化するようにして、ダイカスト製品の厚肉部(削り代最大領域を包含する部分)を成形する金型部分に溶湯を導入すると、活性ガスと溶湯との反応が促進され、巻き込み巣の原因となるガス量を減少させることができる。さらに、金型の内部空間のうちの溶湯で満たされていない部分が真空に近い状態になるので、溶湯が金型の隅々まで素早く満たされるようになり、かつ、溶湯と金型との密着性が良好になる。金型に密着した溶湯が効率良く冷却され、かつ、金型にぶつかった溶湯が霧状・飛沫状に分散すると共に冷却され凝固するので、鋳巣の少ない微細な鋳造組織が得られる。
金型内に活性ガスを充満させたとしても、金型内の空気や離型剤から出てくる水蒸気の全てを置換することはできないので、金型内に不活性ガスが僅かに残留する。残留した不活性ガスは巻き込み巣となるので、巻き込み巣をゼロにすることはできないが、前記のとおり、金型の内部空間が真空に近い状態になる結果、溶湯が金型の隅々まで素早く満たされ、かつ、金型との密着性が良好となる。さらに、溶湯は、金型にぶつかって冷却されているので、厚肉部となる空間に充填された溶湯は、速やかに凝固するようになる。このように、本発明によれば、溶湯が分散し速やかに凝固するので、溶湯に巻き込まれた気泡が溶湯中を漂っている時間は極めて短いものとなり、したがって、溶湯中に分散していた気泡が厚肉部に集合する(=巻き込み巣が大きくなる)こともない。つまり、本発明によれば、削り代最大領域の周囲に残留ガスが存在した場合であっても、小さな気泡のまま独立して分散するようになるので、大きな巻き込み巣が形成され難くなり、例えば削り代最大領域を切削してシール溝を形成しても、シール溝を跨ぐような内部欠陥が出現し難くなる。なお、耐圧容器用ダイカスト製品の肉厚が7mm以上となると、凝固収縮による引け巣の発生が懸念されるが、僅かに残った巻き込み巣の内部には、高圧のガスが残留しているので、凝固収縮に見合う程度に巻き込み巣を微細分散させていると、引け巣の発生を抑制することができる。

Claims (5)

  1. 削り代が最大となる領域を包含する厚肉部を有する耐圧容器用ダイカスト製品を製造する方法であって、
    前記耐圧容器用ダイカスト製品を成形するための金型の内部空間に大気圧以上の圧力で活性ガスを充満させる活性ガス充填過程と、
    前記金型に設けた少なくとも一つのゲートから前記内部空間に溶湯を圧入する溶湯圧入過程とを含み、
    前記溶湯圧入過程では、前記厚肉部を成形するための金型部分に向けて少なくとも一つの前記ゲートから溶湯を噴出させ、前記金型部分に溶湯をぶつけることを特徴とする耐圧容器用ダイカスト製品の製造方法。
  2. 前記金型部分が鋳抜き部の表面であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の耐圧容器用ダイカスト製品の製造方法。
  3. 前記金型部分を冷却することを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項に記載の耐圧容器用ダイカスト製品の製造方法。
  4. 前記溶湯圧入過程では、水で希釈した水溶性離型剤を前記金型に付着させた状態で、前記内部空間に溶湯を圧入することを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項に記載の耐圧容器用ダイカスト製品の製造方法。
  5. 前記水溶性離型剤は、シリコンオイル系水溶性離型剤又は黒鉛系水溶性離型剤であることを特徴とする請求の範囲第4項に記載のダイカスト製品の製造方法。
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