JP6769613B2 - チルベント部材及びそれを用いたダイカスト用金型 - Google Patents

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Description

本発明は、ダイカスト鋳造等の高圧鋳造に用いられる金型のチルベント構造及びチルベント部材に関する。
ダイカスト鋳造は、アルミニウム及びその合金、マグネシウム及びその合金等の溶湯を金型内に高圧及び高速で射出し、製品を鋳造する方法であり、射出成型サイクルが短く、生産性が高い。
その一方で、金型のキャビティ内に溶湯が高速で射出されるため、製品へのガスの巻き込みを防止すべく、キャビティをオーバーフローするように溶湯の流路を方案し、途中で溶湯を急冷凝固させつつ排ガスを行うべく、チルベント構造が設けられている。
従来は、ダイカスト用金型の固定型と可動型の両方の合わせ面に相互の凹凸部を形成し、波形形状に蛇行するチルベント構造が採用されていた。
特許文献1には、ガス排出通路を横断するように形成した帯状凸部と、この帯状凸部から突設した四角形状の凸部(24)を千鳥状に配置したベント部を開示する。
しかし、同公報のチルベント構造であっては、凸部の側面で流れを堰き止めるのが目的であって、溶湯中のガス分離が充分でなく、また冷却速度も遅く、ベント部が大型になる傾向があった。
特開2006−212697号公報
本発明は、ダイカスト鋳造におけるガス排出量の改善による鋳造品の品質向上及び生産性の向上に有効なチルベント部材及びそれを用いたダイカスト用金型の提供を目的とする。
本発明に係るダイカスト用チルベント部材は、ダイカスト用金型のキャビティからの排ガス通路に設けられるチルベント部材であって、前記チルベント部材は溶湯の導入部と、前記溶湯を冷却凝固させるチル部と、ガスを金型外に排出する放出部とを備え、前記チル部は複数の六角形状凸部を有することを特徴とする。
ここで、ダイカスト用金型は横型でも縦型でもよく、チルベントは鋳造時にキャビティから空気を排出するいわゆるエアベントであっても、いわゆる真空ダイカストにおける排ガスベントであってもよい。
チルベント部材と表現したのは、ダイカスト金型にチルベント機構を形成するのに用いる部材であれば、金型に一体的に設けても、別部材として金型に固定してもよい趣旨である。
本発明において、複数の六角形状凸部はハニカム状に配置してあるのが好ましい。
このように、複数の六角形状凸部をハニカム形状、即ち蜂の巣形状に配置すると、溶湯がチル部(Chill:冷却)に到達した際に詳細は後述するが、例えば図3に示すようにハニカム状に配置した六角形状凸部の周囲に形成された溝状の流路に沿って流れ込む。
第1の溝部に流れ込んだ溶湯は、六角柱の側壁に反射されながら、Vd,Vdの2つに分流される。
分流された溶湯は、次の第2の溝部にて合流Vaする際に、お互いにエネルギーを打ち消し合うことになる。
この流れを繰り返すことで急激に溶湯が冷却され、凝固するとともにガスが排出される。
本発明において、六角形状凸部は頂面部(上面部)の大きさが根元部の断面形状よりも小さい凸形状になっているのが好ましい。
ここで、六角形状凸部の頂面は平面状になっている。
これにより、チル部にて凝固したアルミやマグネシウムは、強度が高いハニカム形状になるとともに、離型が容易になる。
このようなチルベント部材を固定型又は可動型の一方の合わせ面に取り付ける際に、他の型合わせ面を六角形状の頂面部が当接する平面部にすることができるので、従来の波形形状のチルベント構造に比較して、固定型と可動型の型合わせが容易であり、チルベント部材の六角形状の大きさや配置数の変更も容易である。
本発明に係るチルベント部材は、チル部を複数の六角形状凸部を蜂の巣形状に配置したハニカム構造にすることで、溶湯の流れが反射による分流と合流による打ち消しにより、急激に流れのエネルギーが減り、大きな冷却効果と大断面のガス排出路が得られる。
これにより、従来のチルベント構造よりも小型化でき、ダイカスト鋳造の生産性,品質が向上する。
本発明に係るチルベント部材の外観図を示し、(a)は導入部側から見た斜視図、(b)は放出部側から見た斜視図である。 チルベント部材の平面図を示す。 チル部の拡大図を示す。 (a)はA−A線断面図、(b)はB−B線断面図を示す。 (a)はC−C線断面図、(b)はD−D線断面図、(c)はE−E線断面図を示す。 ダイカストの金型構造例を示す。
本発明に係るチルベント部材を取り付けたダイカスト用金型の例を、アルミダイカスト用金型にて以下説明する。
本発明に係るチルベント部材10の外観図を図1に示し、そのアルミダイカスト用金型1への取り付け例を図6に示す。
固定型2と可動型3との合わせ面であって、どちらか一方にチルベント部材10を取り付けることで、高圧,高速鋳造時のアルミ溶湯の型外へのフラッシュを防止し、溶湯中のガス及び巻き込みエアー等を金型外に放出する。
なお、本発明に係るチルベント構造は、真空ダイカストに適用することもできる。
図6に示した実施例は、チルベント部材10を可動型3に取り付け、固定型2のこのチルベント部材10との合わせ面は、平面状態になっている。
よって、後述する六角形状凸部13の頂面は六角形の平面になっていて、相手型の平面部に当接する。
チルベント部材10は、ブロック11からなる略直方体状のブロック体に形成し、図4(a)に示すように裏面側にてボルト孔18を用いて金型に固定できるようになっている。
チルベント部材10は、ダイカスト鋳造時にキャビティ内に射出されたアルミ溶湯の流れ先端部(オーバーフロー)を流し込むための導入部15と、その先に横方向に設けた帯状の溝部15aを介して溶湯の流れを急激に弱くし、冷却及び凝固させるチル部12を有する。
チル部12の先には、エアーやガスを放出させる放出部16を平面視略三角形状の収束部16aを経由して設けられている。
また、チルベント部材10には、必要に応じて冷却水等を通水させる冷却路17を設けてある。
チル部12は、図1〜3に示すように正六角形の形状をした六角形状凸部13を複数、蜂の巣状に配置したハニカム構造になっている。
六角形状凸部13の配置数やその大きさに制限はなく、ダイカスト製品の大きさ,鋳造条件等に合せて設定される。
六角形状凸部の外形は正六角形が好ましく、正六角形の対角線が導入部15から放出部16に向けての直線方向と平行になるように配置されているのが好ましい。
また、六角形状凸部13の頂面(上面)13aの大きさ(広さ)が、その根元部の外形の大きさ13bよりも小さくなるように凸部の側壁が傾斜面に形成され、その角度は、図5(a)にθで示した値が20〜45°が好ましく、本実施例では30°に設定してある。
また、根元部や頂面部の角には、必要に応じてR部を形成する。
凸部間に形成される流路の大きさも適宜設定でき、溝部の根元幅で例えば約1〜5mm、凸部は項部までの高さで約1〜5mmに設定できる。
正六角形の頂面部13aの大きさは、外線円で5〜20mmの範囲が好ましい。
溶湯の流れを図3に基づいて説明する。
導入部15からチル部12に向かって勢いよく流れ込んできた溶湯の流れVは、次の六角形状の凸部13の側壁に反射されながら、120°の角度の2つの流れVd,Vdに分流される。
ここで、分流された流れは、隣の凸部からの分流と合流した流れVaを形成する際に、流れのエネルギーはお互いに打ち消し合うことになり、急激に流れのエネルギーが弱くなる。
このように、分流と合流を繰り返すことで巻き込みガスが排出されつつ、急激に冷却凝固する。
1 金型
10 チルベント部材
11 ブロック
11a 合わせ面
12 チル部
13 六角形状凸部
14 流路
15 導入部
16 放出部
17 冷却路

Claims (3)

  1. ダイカスト用金型のキャビティからの排ガス通路に設けられるチルベント部材であって、
    前記チルベント部材は前記ダイカスト用金型を構成する固定型と可動型との合わせ面の一方に取り付けられ、
    前記チルベント部材は溶湯の導入部と、前記溶湯を冷却凝固させるチル部と、ガスを金型外に排出する放出部とを備え、
    前記チル部は複数の六角形状凸部を有し、
    前記複数の六角形状凸部はハニカム状に配置してあり、前記六角形状凸部の頂面部が前記合わせ面の他方の合わせ面に当接するものであることを特徴とするダイカスト用チルベント部材。
  2. 前記六角形状凸部は頂面部の大きさが根元部の断面形状よりも小さい凸形状になっていることを特徴とする請求項記載のダイカスト用チルベント部材。
  3. 固定型と可動型とからなるダイカスト用金型の一方の型の合わせ面に請求項1又は2に記載のダイカスト用チルベント部材を取り付け、前記複数の六角形状凸部の頂面部が他方の型の合わせ面に形成した平面部に当接するように配置されていることを特徴とするダイカスト用金型。
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