JP6629588B2 - ダイカスト金型、ダイカスト金型を用いて作製された鋳造品、およびダイカスト金型を用いた鋳造品の作製方法 - Google Patents
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変速機ケースとトルコンカバーは、変速機ケースの開口を囲む周壁部のフランジ部と、トルコンカバーの開口を囲む周壁部のフランジ部と、を互いに接合したのち、ボルトとナットにより、互いに連結されるようになっている。
そのため、鋳造後の変速機ケースやトルコンカバーでは、フランジ部の先端側にフライス加工を施すことで、平滑度の高い接合面を形成している。
図5の(a)に示すように、フランジ部90では、周壁部95の内周側と外周側を基準として、接合面94の内周側と外周側に面取部91、92が設けられおり、外周側の面取部92は、接合面94に接続する傾斜面931を有する膨出部93として、フランジ部90の外周面901から外側に突出して形成されている。
可動型と固定型の少なくとも一方に、可動型と固定型との接合時に、パーティングラインと間隙との交差部を介して間隙に連通する空間部を形成し、空間部を、空間部の容積が交差部から離れるにつれて大きくなる形状で形成し、
前記鋳造品は、前記軸線の軸方向に沿う側面に、当該側面から前記軸線の径方向に膨出する膨出部を有しており、
前記パーティングラインと前記間隙との交差部を、前記膨出部の前記径方向の頂点となる位置に設定した構成のダイカスト金型とした。
フランジ部62は、周壁部61の端部から、周壁部61の外周側(外側)に向けて延出しており、フランジ部62において周壁部61とは反対側に位置する端面が、他の部材との接合面621となっている。
面取部623は、フランジ部62の外周面624から外方に膨出する膨出部63を利用して、接合面621の外周側に設けた直線状の傾斜面であり、面取部623もまた、外周側(図中、右側)に向かうにつれて、接合面621から離れる方向に傾斜している。
そのため、ダイカスト金型1を用いて作製した直後の鋳造品に、衝撃や振動を与えると、衝撃や振動に起因するモーメントにより、頂部625との接続部が破断して、厚肉部7が、膨出部63から簡単に分離するようになっている。
次に、フランジ部62に厚肉部7が付属した状態の鋳造品(変速機ケース6)の作製(鋳造)に用いられるダイカスト金型1について説明する。
固定型2では、変速機ケース6の周壁部61の内周面61aを規定する壁部21が、軸線Xに沿う向きで設けられていると共に、フランジ部62の接合面621を規定する壁部22が、軸線Xに交差する向きで設けられており、これら壁部21、壁部22は、前記した面取部622を規定する壁部23を介して、互いに接続されている。
頂点24aを基準として壁部22側に位置する傾斜面241は、前記した面取部623を規定する壁部となっており、この傾斜面241は、隆起部24の頂点24aから壁部22まで直線状に延びると共に、壁部22に対して所定の角度で傾斜している。
実施の形態にかかる固定型2では、隆起部24の傾斜面242と平面部243とで、固定型2と可動型3との間のパーティング面25を構成している。
なお、隆起部24を構成する2つの傾斜面241、242は、頂点24aに向かうにつれて互いに近づく方向(軸線Xの径方向の離間距離が小さくなる方向)に傾斜している。
可動型3では、変速機ケース6の周壁部61の外周面61bから、フランジ部62の外周面624までの範囲を規定する壁部31が、固定型2側の壁部21、22、23との対向部に設けられており、この壁部31におけるフランジ部62の外周面624を規定する領域311には、前記した膨出部63を形成するための傾斜部312が設けられている。
傾斜部312では、膨出部63の頂部625に対応する位置(境界点312a)よりも平面部351側に、可動型3の内部に窪んだ凹部34が形成されている。
実施の形態では、可動型3側のパーティング面35の一部の領域を窪ませることで、可動型3と固定型2との間に空間部5を形成するための凹部34を形成している。
さらに、このキャビティ4に隣接して、可動型3側の凹部34の部分に、前記した厚肉部7の形状に対応する空間部5が形成されるようになっている。
なお、図1に示すように、パーティング面25、36の間のパーティングラインPLの軸線Xの軸方向の位置は、平坦壁22を軸線Xの径方向に延長した延長線Lnよりも隆起部24の頂点24aから離れた位置(図1の(a) 下側)となるように設定されている。
次に、前記したダイカスト金型1を用いた鋳造品(変速機ケース6)の作製方法を説明する。
図2は、ダイカスト金型1を用いた鋳造品(変速機ケース6)の作製方法のフローチャートである。
図3は、実施の形態にかかるダイカスト金型1を用いた変速機ケース6の作製過程を説明する図である。図3の(a)は、固定型2と可動型3とを接合して、固定型2と可動型3の間にキャビティ4と空間部5を形成する過程を示す図であり、(b)は、固定型2と可動型3との型開きにより、鋳造品(変速機ケース6)を取り出す過程を示す図であり、(c)は、衝撃を与えて、フランジ部62から厚肉部7を分離させる過程を示す図であり、(d)は、フランジ部62の接合面621へのフライス加工により、平滑度の高い接合面621aを形成する過程を示す図である。
そのため、間隙Lを介して互いに連通しているキャビティ4と空間部5内に、溶湯が満たされることになる。
ここで、厚肉部7は、膨出部63から離れるにつれて、軸線X方向の厚みWaが厚くなる断面形状を有しており、頂部625との接続部が薄肉となっている。
そのため、ダイカスト金型1を用いて作製した直後の鋳造品に、衝撃や振動を与えると、衝撃や振動に起因するモーメントにより、この厚肉部7が膨出部63から簡単に分離するようになっている。
(1)軸線Xの軸方向で接離する可動型3と固定型2との接合時に、鋳造品(変速機ケース6)の形状に対応するキャビティ4(間隙)が可動型3と固定型2との間に形成されると共に、可動型3と固定型2とのパーティングラインPLが、軸線Xの径方向からキャビティ4と交差する位置に設定されたダイカスト金型1であって、
可動型3と固定型2の少なくとも一方に、可動型3と固定型2との接合時に、パーティングラインPLとキャビティ4との交差部を介してキャビティ4に連通する空間部5を形成し、空間部5を、当該空間部5の容積が交差部から離れるにつれて大きくなる形状で形成した構成とした。
そのため、固定型2と可動型3とを用いて作製された鋳造品では、キャビティ4内での溶湯の固化により形成されたフランジ部62に付属して、空間部5内での溶湯の固化により形成された厚肉部7が形成される。
さらに、厚肉部7には、空間部5から延びるパーティングラインPLの部分に生じたバリBもまた付属している。
ここで、厚肉部7は、膨出部63から離れるにつれて、軸線X方向の厚みWaが厚くなる断面形状を有しており、頂部625との接続部が薄肉となっている。
そのため、ダイカスト金型1を用いて作製した直後の鋳造品に、衝撃や振動を与えると、衝撃や振動に起因するモーメントにより、この厚肉部7が膨出部63から簡単に分離するようになっている。
よって、ダイカスト金型1を用いて作製した直後の鋳造品(変速機ケース6)に、衝撃や振動を与えることで、衝撃や振動に起因するモーメントにより、バリBが付属している厚肉部7を、膨出部63から簡単に分離することができる。
これにより、鋳造品に残存するバリを除去する工程を必要としないので、鋳造品の作製に必要な作業工程を省略することができ、その分だけ作業工数の削減と、作業コストの低減が可能になる。
パーティングラインPLとキャビティ4との交差部を、膨出部63の頂部625となる位置に設定した構成とした。
そのため、フランジ部62の外周面624から外周側に膨出する膨出部63により、固定型2と可動型3との軸線Xの軸方向の相対移動が阻害されることなく、ダイカスト金型1を用いた変速機ケース6の作製を確実に行うことができる。
また、変速機ケース6では、フランジ部62の外周側と内周側に面取部622、623が設けられており、フランジ部62の外周側の端縁と、内周側の端縁が尖っていないので、変速機ケース6の取り扱いにおける安全性の向上が期待される。
そのため、軸線Xの径方向に移動する型(スライド型)を用意する必要が無いので、変速機ケースを作成する場合の製造設備が複雑化することがない。これにより、変速機ケースの作成コストの上昇を好適に防止できる。
これにより、フライス加工に起因して、フライス加工後の接合面621aに生じるバリを抑制しつつ、接合面621aを一定の平滑性をもって形成することができると共に、生じたバリを切除する処理が必要とならない。
よって、バリを除去する処理が不要になった分だけ、鋳造品の作成コストの低減が期待できる。
アルミニウム合金の溶湯を、キャビティ4(間隙)と空間部5に注入するステップ(図2、ステップS102)と、
キャビティ4と空間部5に注入した溶湯を固化させたのち(図2、ステップS103)、可動型3と固定型2の型開きにより、鋳造品(変速機ケース6)をダイカスト金型1から取り出すステップ(図2、ステップS104)と、
ダイカスト金型1から取り出した鋳造品(変速機ケース6)に衝撃を加えて、空間部5内で固化した厚肉部7(アルミニウム合金)を、キャビティ4内で固化したフランジ部62の膨出部63(アルミニウム合金)から分離させるステップ(図2、ステップS105)と、を有する構成とした。
よって、変速機ケース6に衝撃を与えることで、キャビティ4内で固化したフランジ部62から空間部5内で固化した厚肉部7の分離を容易に行うことができる。
アルミニウム合金の溶湯を、キャビティ4と空間部5に注入するステップ(図2、ステップS102)と、
キャビティ4と空間部5に注入した溶湯を固化させたのち(図2、ステップS103)、可動型3と固定型2の型開きにより、鋳造品(変速機ケース6)をダイカスト金型1から取り出すステップ(図2、ステップS104)と、
ダイカスト金型1から取り出した鋳造品(変速機ケース6)に衝撃を加えて、空間部5内で固化したフランジ部62の膨出部63を、キャビティ4内で固化した厚肉部7から分離させるステップと(図2、ステップS105)、
フランジ部62の接合面621のフライス加工により、他の鋳造品(例えば、トルコンカバー)との接合面621aを形成するステップ(図2、ステップS106)を有する構成とした。
変形例にかかる変速機ケース6Aでは、フランジ部62の接合面621に設けた凹部を、接合面621の外周側の面取部623Aとしている。
この厚肉部7は、フランジ部62側の交点部64を接続点としたうえで、軸線Xの径方向(フランジ部62から離れる方向:図中、右方向)に膨出して設けられている。
この厚肉部7は、交点部64から離れるにつれて、軸線X方向の厚みWaが厚くなる断面形状を有しており、フランジ部62との接続部が薄肉となっている。
そのため、ダイカスト金型1を用いて作製した直後の鋳造品に、衝撃や振動を与えると、衝撃や振動に起因するモーメントにより、この厚肉部7がフランジ部62から簡単に分離するようになっている。
(8)鋳造品(変速機ケース6)は、軸線Xの軸方向に沿う外周面624に、外周面624から軸線Xの径方向に窪んだ凹部からなる面取部623Aを有しており、
パーティングラインPLとキャビティ4との交差部を、外周面624と面取部623Aとの境界となる位置に設定する構成とした。
2 固定型
3 可動型
4 キャビティ
5 空間部
6、6A 変速機ケース
7 厚肉部
8 台座
21〜23 壁部
24 隆起部
24a 頂点
241 傾斜面
242 傾斜面
243 平面部
25 パーティング面
31 壁部
311 領域
312 傾斜部
312a 境界点
34 凹部
35 パーティング面
351 平面部
351a 基端
352 領域
41 空間
61 周壁部
62 フランジ部
621 接合面
621a 接合面
624 外周面
625 頂部
626 傾斜面
63 膨出部
64 交点部
B バリ
L 間隙
Lm 延長線
Lt 隙間
PL パーティングライン
X 軸線
Claims (7)
- 軸線の軸方向で接離する可動型と固定型との接合時に、鋳造品の形状に対応する間隙が前記可動型と前記固定型との間に形成されると共に、前記可動型と前記固定型とのパーティングラインが、前記軸線の径方向から前記間隙と交差する位置に設定されたダイカスト金型であって、
前記可動型と前記固定型の少なくとも一方に、前記可動型と前記固定型との接合時に、前記パーティングラインと前記間隙との交差部を介して前記間隙に連通する空間部を形成し、前記空間部を、当該空間部の容積が前記交差部から離れるにつれて大きくなる形状で形成し、
前記鋳造品は、前記軸線の軸方向に沿う側面に、当該側面から前記軸線の径方向に膨出する膨出部を有しており、
前記パーティングラインと前記間隙との交差部を、前記膨出部の前記径方向の頂点となる位置に設定したことを特徴とするダイカスト金型。 - 軸線の軸方向で接離する可動型と固定型との接合時に、鋳造品の形状に対応する間隙が前記可動型と前記固定型との間に形成されると共に、前記可動型と前記固定型とのパーティングラインが、前記軸線の径方向から前記間隙と交差する位置に設定されたダイカスト金型であって、
前記可動型と前記固定型の少なくとも一方に、前記可動型と前記固定型との接合時に、前記パーティングラインと前記間隙との交差部を介して前記間隙に連通する空間部を形成し、前記空間部を、当該空間部の容積が前記交差部から離れるにつれて大きくなる形状で形成し、
前記鋳造品は、前記軸線の軸方向に沿う側面に、当該側面から前記軸線の径方向に窪んだ凹部を有しており、
前記パーティングラインと前記間隙との交差部を、前記側面と前記凹部の境界となる位置に設定したことを特徴とするダイカスト金型。 - 前記鋳造品は、他の鋳造品との接合面がフライス加工により形成されたフランジ部を有しており、
前記軸線の軸方向に沿う側面は、前記フランジ部の側面であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のダイカスト金型。 - 前記フランジ部は、前記軸線の軸方向から見て筒状を成す周壁部に設けられており、前記フランジ部の側面は、前記周壁部の外周側に位置する側面であることを特徴とする請求項3に記載のダイカスト金型。
- 請求項1から請求項4の何れか一項に記載のダイカスト金型を用いて作製された鋳造品の作製方法。
- 請求項1または請求項2に記載のダイカスト金型を用いた鋳造品の作製方法であって、
アルミニウム合金の溶湯を、前記間隙と前記空間部に注入するステップと、
前記間隙と前記空間部に注入した前記溶湯を固化させたのち、前記可動型と前記固定型の型開きにより、前記鋳造品を前記ダイカスト金型から取り出すステップと、
前記ダイカスト金型から取り出した鋳造品に衝撃を加えて、前記空間部内で固化した前記アルミニウム合金を、前記間隙内で固化した前記アルミニウム合金から分離させるステップと、を有することを特徴とする作製方法。 - 請求項3または請求項4に記載のダイカスト金型を用いる鋳造品の作製方法であって、
アルミニウム合金の溶湯を、前記間隙と前記空間部に注入するステップと、
前記間隙と前記空間部に注入した前記溶湯を固化させたのち、前記可動型と前記固定型の型開きにより、前記鋳造品を前記ダイカスト金型から取り出すステップと、
前記ダイカスト金型から取り出した鋳造品に衝撃を加えて、前記空間部内で固化した前記アルミニウム合金を、前記間隙内で固化した前記アルミニウム合金から分離させるステップと、
前記フランジ部のフライス加工により、他の鋳造品との接合面を形成するステップを、
を有することを特徴とする作製方法。
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