JPWO2014073372A1 - 溶剤組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、各種有機物の溶解性に優れ、充分な乾燥性を有し、かつ地球環境に悪影響を及ぼさず、安定化されて分解しない安定な溶剤組成物であり、洗浄や塗布用途等の広範囲の工業用途で、金属、プラスチック、エラストマー等の様々な材質の物品に対し、悪影響を与えることなく使用することができる溶剤組成物の提供を目的とする。1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む溶剤と、フェノール類、エーテル類、エポキサイド類およびアミン類からなる群より選ばれる少なくとも1種の安定剤とを含む溶剤組成物。

Description

本発明は、各種有機物の溶解性に優れ、充分な乾燥性を有し、かつ地球環境に悪影響を及ぼさず、安定化されて分解しない安定な溶剤組成物に関する。具体的に本発明の溶剤組成物は、洗浄用溶剤や塗布用溶剤など、広範囲な用途に用いることができる。
IC、電子部品、精密機械部品、光学部品等の製造では、製造工程、組立工程、最終仕上げ工程等において、部品を洗浄用溶剤によって洗浄し、該部品に付着したフラックス、加工油、ワックス、離型剤、ほこり等を除去することが行われている。また潤滑剤等の各種有機化学物質を含有する塗膜を有する物品の製造方法としては、例えば、該有機化学物質を塗布用溶剤に溶解した溶液を調製し、該溶液を被塗布物上に塗布した後に塗布用溶剤を蒸発させて塗膜を形成する方法が知られている。塗布用溶剤には、有機化学物質を充分に溶解させることができ、また充分な乾燥性を有していることが求められる。
このような用途に用いる溶剤としては、不燃性で毒性が小さく、安定性に優れ、金属、プラスチック、エラストマー等の基材を侵さず、化学的および熱的安定性に優れる点から、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン等のクロロフルオロカーボン類(以下、「CFC類」と記す。)、2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン等のハイドロクロロフルオロカーボン類(以下、「HCFC類」と記す。)等を含有するフッ素系溶剤等が使用されていた。
しかし、CFC類は、化学的に極めて安定であることから、気化後の対流圏内での寿命が長く、拡散して成層圏にまで達する。そのため、成層圏に到達したCFC類が紫外線により分解され、塩素ラジカルを発生してオゾン層が破壊される問題がある。このことから、CFC類の生産は世界的に規制されており、先進国での生産は既に全廃されている。
また、HCFC類も塩素原子を有しており、僅かではあるがオゾン層に悪影響を及ぼすことから、先進国においては2020年に生産が全廃されることになっている。
一方、塩素原子を有さず、オゾン層に悪影響を及ぼさない溶剤としては、ペルフルオロカーボン類(以下、「PFC類」と記す。)が知られている。また、CFC類およびHCFC類の代替溶剤として、ハイドロフルオロカーボン類(以下、「HFC類」と記す。)、ハイドロフルオロエーテル類(以下、「HFE類」と記す。)等も開発されている。
しかし、HFC類やPFC類は、地球温暖化防止のため、京都議定書の規制対象物質となっている。
HFC類、HFE類、PFC類の溶剤に替わる新しい溶剤として、炭素原子−炭素原子間に二重結合を持つフルオロオレフィンが提案されている。これらのフルオロオレフィンは、分解しやすいために大気中での寿命が短く、オゾン破壊係数や地球温暖化係数が小さいという、地球環境への影響が小さいという優れた性質を有しているが、反面、分解をしやすいために、安定性に劣り、洗浄用溶剤や塗布用溶剤として使用した場合に、使用中に分解が発生して酸性化してしまう問題があった。
このような問題から、炭素原子−炭素原子間に二重結合を持つフルオロオレフィンの安定性を高める技術が必要である。従来の二重結合を含まないフッ素系溶剤を安定化する技術の例としては、一般的な安定剤が示されている(特許文献1、2、3)。さらに、炭素原子−炭素原子間に二重結合を持つフルオロオレフィンを安定化する技術の例も開示されている(特許文献4、5、6)が、いかなるフルオロオレフィンも安定化する技術ではなく、フルオロオレフィンの種類によってその安定化の技術は異なっている。
特開平11−293285号公報 特許第4292348号公報 特表2008−505212号公報 特表2008−531836号公報 国際公開第2010−098451号 特表2010−531924号公報
このように、フルオロオレフィンの種類によって安定化のための技術が異なることが知られており、仮に先行技術文献に記載された技術を適用したとしても、1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペンに対する安定化効果が得られるかどうかは予測できない。本発明者らは、フルオロオレフィンである1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペンに対し安定剤としての効果がある化合物を見出した。その結果として、本発明は、各種有機物の溶解性に優れ、充分な乾燥性を有し、かつ地球環境に悪影響を及ぼさず、安定化されて分解しない安定な溶剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは以下の点を鑑み検討を行った結果、本発明を完成した。すなわち本発明は以下よりなる。
1.1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、フェノール類、エーテル類、エポキサイド類およびアミン類からなる群より選ばれる少なくとも1種の安定剤とを含む溶剤組成物。
2.1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンに対して前記安定剤を1質量ppm〜10質量%含む、前項1に記載の溶剤組成物。
3.溶剤組成物に対して1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを80質量%以上含む、前項1または2に記載の溶剤組成物。
4.フェノール類が、フェノール、1,2−ベンゼンジオール、2,6―ジターシャリーブチル−4−メチルフェノール、3−クレゾール、2−イソプロピル−5−メチルフェノールまたは2−メトキシフェノールである、前項1〜3のいずれか1項に記載の溶剤組成物。
5.1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンに対してフェノール類を5質量ppm〜5質量%含む、前項1から4のいずれか1項に記載の溶剤組成物。
6.エーテル類が、1、4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン、フラン、2−メチルフランまたはテトラヒドロフランである、前項1〜5のいずれか1項に記載の溶剤組成物。
7.1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンに対してエーテル類を0.01質量%〜5質量%含む、前項1〜6のいずれか1項に記載の溶剤組成物。
8.エポキサイド類が、1,2−プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,2−エポキシ−3−フェノキシプロパン、ブチルグリシジルエーテルまたはジエチレングリコールジグリシジルエーテルである、前項1〜7のいずれか1項に記載の溶剤組成物。
9.1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンに対してエポキサイド類を0.01質量%〜5質量%含む、前項1〜8のいずれか1項に記載の溶剤組成物。
10.アミン類が、ピロール、N−メチルピロール、2−メチルピリジン、n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、N−メチルモルホリンまたはN−エチルモルホリンである、前項1〜9のいずれか1項に記載の溶剤組成物。
11.1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンに対してアミン類を5質量ppm〜5質量%を含む、前項1〜10のいずれか1項に記載の溶剤組成物。
12.溶剤組成物が少なくとも2種の前記安定剤を含み、そのうちの少なくとも1種がフェノール類の安定剤であり、かつそのうちの少なくとも1種がフェノール類以外の前記安定剤である、前項1〜11のいずれか1項に記載の溶剤組成物。
13.前項1〜12のいずれか1項に記載の溶剤組成物を用いて被洗浄物を洗浄することを特徴とする、洗浄方法。
14.被洗浄物が衣類である、前項13に記載の洗浄方法。
15.前項1〜12のいずれか1項に記載の溶剤組成物に潤滑剤を溶解し、得られた潤滑剤組成物を被塗布物上に塗布し、溶剤組成物を蒸発させ、潤滑剤で塗膜を形成することを特徴とする、潤滑剤の塗膜を形成する方法。
本発明の溶剤組成物は、例えば、各種部品の製造工程等において、部品に付着したフラックス、加工油、ワックス、離型剤、ほこり等を洗浄により除去するために用いる洗浄用溶剤として使用しても、潤滑剤等の希釈し物品に塗布するための塗布用溶剤として使用しても、分解を起こさずに使用できる安定化された溶剤組成物である。本発明の溶剤組成物を衣類の洗浄に使用した場合、ボタン、スパンコール、ファスナー等の衣類に付属する樹脂製部材への影響が小さく、また洗浄後の衣類の風合いが良い洗浄が可能である。
本発明の溶剤組成物は、1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(以下、「CFO−1214ya」と記す。)と、フェノール類、エーテル類、エポキサイド類およびアミン類からなる群より選ばれる少なくとも1種の安定剤を含む溶剤組成物である。
CFO−1214yaは、炭素原子−炭素原子間に二重結合を持つフルオロオレフィンであるため、大気中での寿命が短く、オゾン破壊係数や地球温暖化係数が小さい。また、CFO−1214yaの沸点は約46℃で乾燥性に優れている。また、沸騰させて蒸気となっても約46℃であるので、樹脂部品等の熱による影響を受けやすい部品であっても悪影響を及ぼし難い。また、CFO−1214yaは引火点を持たず、表面張力や粘度も低く、室温でも容易に蒸発する等、優れた性能を有している。しかし空気中ではCFO−1214yaは安定性に劣り、室温に保管すると数日で分解して酸性化する。
本発明者等が検討した結果、CFO−1214yaに、フェノール類、エーテル類、エポキサイド類およびアミン類からなる群より選ばれる少なくとも1種の安定剤を添加することで、CFO−1214yaが安定化することが判明した。
本発明における安定剤とは、フェノール類、エーテル類、エポキサイド類およびアミン類からなる群より選ばれる少なくとも1種であってCFO−1214yaに対し安定剤としての効果を有するものをいう。ここでCFO−1214yaに対し安定剤としての効果を有するとは、以下の安定性試験により判断する。純度99質量%以上のCFO−1214yaに、組成物中の濃度が1質量%になるように化合物(ただし単独の化合物)を添加した処方を100g調製し、室温(21〜23℃)で3日間保存する。調製直後と3日間保存後のpHを測定し、以下の式の値(pHの変化率)が20以下である場合、その化合物がCFO−1214yaに対し安定剤としての効果を有するとする。なお、純度99.5質量%以上のCFO−1214yaに、組成物中の濃度が1質量%となるまで溶解しない化合物の場合、その化合物の溶解度量となる量で試験する。
pHの変化率=(|調製直後のpH−3日間保存後のpH|)×100/調製直後のpH
本発明の溶剤組成物に安定化効果を有する安定剤は、前述の安定性試験によるpHの変化率が20以下であり、好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である。
本発明の溶剤組成物における安定剤の含有量は、CFO−1214yaに対して、下限は1質量ppm以上であることが好ましく、5質量ppm以上であることがより好ましく、10質量ppm以上であることが特に好ましい。上限は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下が特に好ましい。安定剤の含有量の下限が好ましい範囲よりも低い濃度の場合は、安定化のための充分な効果が発揮されない場合がある。また、上限が好ましい範囲よりも高い濃度の場合は、それ以上添加しても安定化能力の向上が認められないこともあり、またCFO−1214yaの持つ表面張力や粘度が低く浸透性が良く、室温でも容易に蒸発するという特性を損なう場合がある。
本発明における4種類の安定剤はそれぞれ安定化作用が異なると考えられる。したがって本発明の溶剤組成物において4種類の安定剤の2種類以上を含有することがより好ましい。たとえば、フェノール類は酸化防止作用によりCFO−1214yaの分解を抑制し、アミン類は分解によって生じた酸性物質を中和して酸性物質によるCFO−1214yaの分解促進を抑制すると推測される。特に、本発明の溶剤組成物はフェノール類とフェノール類以外の少なくとも1種類の前記安定剤を含むことが好ましい。なお、4種類の安定剤の2種類以上を含有する場合、各種類の安定剤は複数含有してもよい。たとえば、アミン類として2種以上を含有してもよい。
本発明の溶剤組成物が含むCFO−1214yaの量は、溶剤組成物に対しCFO−1214yaが80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
以下、各安定剤の濃度は、単独使用したときの濃度を示す。
本発明におけるフェノール類とは、芳香族炭化水素核に1個以上のヒドロキシ基を有する芳香族ヒドロキシ化合物をいう。芳香族ヒドロキシ化合物としてはCFO−1214yaに溶解することが好ましい。芳香族炭化水素核としてはベンゼン核が好ましい。芳香族炭化水素核には水素原子以外に1つ以上の置換基が結合していてもよい。置換基としては、炭化水素基、アルコキシ基、アシル基、カルボニル基などが挙げられる。また、芳香族炭化水素核に結合している1つ以上の水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい。炭化水素基には、アルキル基、アルケニル基、芳香族炭化水素基アラルキル基などが挙げられる。このうち、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アシル基、カルボニル基の炭素数は6以下が好ましく、芳香族炭化水素基や、アラルキル基の炭素数は10以下が好ましい。炭化水素基としてはアルキル基やアルケニル基が好ましく、特にアルキル基が好ましい。さらに、芳香族炭化水素核のヒドロキシ基に対してオルト位にアルキル基やアルコキシ基を有していることが好ましい。オルト位のアルキル基としてはターシャリーブチル基などの分岐アルキル基が好ましい。オルト位が2つ存在する場合はそのいずれにもアルキル基が存在していてもよい。
フェノール類としては、具体的には、フェノール、1,2−ベンゼンジオール、1,3−ベンゼンジオール、1,4−ベンゼンジオール、1,3,5−ベンゼントリオール、2,6―ジターシャリーブチル−4−メチルフェノール、2,4,6―トリターシャリーブチルフェノール、2−ターシャリーブチルフェノール、3−ターシャリーブチルフェノール、4−ターシャリーブチルフェノール、2,4−ジターシャリーブチルフェノール、2,6−ジターシャリーブチルフェノール、4,6−ジターシャリーブチルフェノール、1−クレゾール、2―クレゾール、3−クレゾール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール、2,5,6−トリメチルフェノール、3−イソプロピルフェノール、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、2−メトキシフェノール、3−メトキシフェノール、4−メトキシフェノール、2−エトキシフェノール、3−エトキシフェノール、4−エトキシフェノール、2−プロポキシフェノール、3−プロポキシフェノール、4−プロポキシフェノールおよびターシャリーブチルカテコールが挙げられる。
なかでも、フェノール、1,2−ベンゼンジオール、2,6―ジターシャリーブチル−4−メチルフェノール、3−クレゾール、2−イソプロピル−5−メチルフェノールおよび2−メトキシフェノールがより好ましい。
前記フェノール類の添加濃度は、CFO−1214yaに対して1質量ppm〜10質量%が好ましく、5質量ppm〜5質量%がより好ましく、さらに好ましくは10質量ppm〜1質量%である。好ましい範囲よりも低い濃度の場合は、安定化のための充分な効果が発揮されない場合がある。好ましい範囲よりも高い濃度の場合は、それ以上添加しても安定化能力の向上が認めらないこともあり、またCFO−1214yaの持つ表面張力や粘度が低く浸透性が良く、室温でも容易に蒸発するという特性を損なう場合がある。
また本発明におけるエーテル類とは、酸素原子に2つの炭化水素基が結合した鎖状エーテルと環を構成する原子として酸素原子を有する環状エーテル(ただし、3員環状エーテルであるエポキシ環を除く)とをいう。鎖状エーテルと環状エーテルにおけるエーテル性酸素原子の数は2以上であってもよい。エーテル類の炭素数は12以下が好ましい。また、エーテルを構成する炭化水素基の炭素原子にはハロゲン原子、ヒドロキシ基等の置換基を有していてもよい。ただし、エポキシ基を有するエーテル類はエポキサイド類とみなす。
エーテル類としては、具体的には、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジアリルエーテル、エチルメチルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルイソプロルエーテル、エチルイソブチルエーテル、エチルイソペンチルエーテル、エチルビニルエーテル、アリルエチルエーテル、エチルフェニルエーテル、エチルナフチルエーテル、エチルプロパルギルエーテル、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、アニソール、アネトール、トリメトキシエタン、トリエトキシエタン、フラン、2−メチルフランおよびテトラフドロフランが挙げられる。
エーテル類としては4〜6員環の環状エーテルが好ましく、なかでも、1、4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン、フラン、2−メチルフランおよびテトラヒドロフランが好ましい。
前記エーテル類の添加濃度はCFO−1214yaに対して1質量ppm〜10質量%が好ましく、10質量ppm〜7質量%がより好ましく、0.01質量%〜5質量%がさらに好ましい。好ましい範囲よりも低い濃度の場合は、安定化のための充分な効果が発揮されない場合がある。好ましい範囲よりも高い濃度の場合は、それ以上添加しても安定化能力の向上が認められないこともあり、またCFO−1214yaの持つ表面張力や粘度が低く浸透性が良く、室温でも容易に蒸発するという特性を損なう場合がある。
また本発明におけるエポキサイド類とは、3員環状エーテルであるエポキシ基を1個以上有する化合物をいう。エポキサイド類は、エポキシ基を1分子中に2個以上有していてもよく、また、ハロゲン原子、エーテル性酸素原子、ヒドロキシ基等の置換基を有していてもよい。エポキサイド類の炭素原子数は12以下が好ましい。
エポキサイド類としては、具体的には、1,2−プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1,2−エポキシ−3−フェノキシプロパン、ブチルグリシジルエーテル、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、エピクロロヒドリン、d−リモネンオキサイドおよびl−リモネンオキサイドが挙げられる。なかでも、1,2−プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイドおよびブチルグリシジルエーテルが好ましい。
前記エポキサイド類の添加濃度は、CFO−1214yaに対して1質量ppm〜10質量%が好ましく、10質量ppm〜7質量%がより好ましく、0.01質量%〜5質量%がさらに好ましい。好ましい範囲よりも低い濃度の場合は、安定化のための充分な効果が発揮されない場合がある。好ましい範囲よりも高い濃度の場合は、それ以上添加しても安定化能力の向上が認められないこともあり、またCFO−1214yaの持つ表面張力や粘度が低く浸透性が良く、室温でも容易に蒸発するという特性を損なう場合がある。
また本発明におけるアミン類とは、第1級〜第3級のアミノ基を1個以上有する化合物をいう。また、アミン類は非環状のアミン類であっても環状アミン類(アミノ酸の窒素原子が環を構成する原子である環状化合物)であってもよい。第2級アミノ基や第3級アミノ基の窒素原子に結合している基としては、炭素数6以下のアルキル基やヒドロキシアルキル基が好ましい。非環状のアミン類としては脂肪族アミンや芳香族アミンが挙げられる。脂肪族アミンとしては第1級〜第3級のアミノ基を1個以上有するベンゼン核含有化合物が挙げられる。環状アミン類としては、環を構成する窒素原子の数が1〜3個の4〜6員環化合物が挙げられる。また、アミン類の炭素原子数は16以下が好ましく、10以下がより好ましい。
アミン類としては、具体的には、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、イソブチルアミン、ジイソブチルアミン、セカンダリー−ブチルアミン、ターシャリー−ブチルアミン、ペンチルアミン、ジペンチルアミン、トリペンチルアミン、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、ピコリン、モルホリン、N−メチルモルホリン、ベンジルアミン、ジベンジルアミン、α−メチルベンジルアミン、プロピレンジアミン、ジエチルヒドロキシアミン、ピロール、N−メチルピロール、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、ジプロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ジフェニルアミンおよびエチレンジアミンが挙げられる。
アミン類としては、アルキルアミンと環状アミン類が好ましく、なかでも、ピロール、N−メチルピロール、2−メチルピリジン、n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、N−メチルモルホリンおよびN−エチルモルホリンが好ましい。
前記アミン類の添加濃度は、CFO−1214yaに対して1質量ppm〜10質量%が好ましく、5質量ppm〜5質量%がより好ましく、さらに好ましくは10質量ppm〜1質量%である。好ましい範囲よりも低い濃度の場合は、安定化のための充分な効果が発揮されない場合がある。好ましい範囲よりも高い濃度の場合は、それ以上添加しても安定化能力の向上が認められないことがあり、またCFO−1214yaの持つ表面張力や粘度が低く浸透性が良く、室温でも容易に蒸発するという特性を損なう場合がある。
さらに、本発明の溶剤組成物が、銅または銅合金と接触する場合に、それらの金属の腐食を避けるために、トリアゾール類を含有してもよい。トリアゾール類は、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−ターシャリー−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、1,2,3−ベンゾトリアゾール、1−[(N,N−ビス−2−エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール等から選ばれるものであり、より好ましくは1,2,3−ベンゾトリアゾールである。前記トリアゾール類の含有濃度は、溶剤組成物全体に対して10質量ppm〜1質量%が好ましい。
本発明の溶剤組成物は、CFO−1214yaに加えて、さらに溶解性を高める、揮発速度を調節する等の各種の目的に応じて、CFO−1214yaに可溶な溶剤(以下、「溶剤(A)」と記す。)を含んでもよい。なお、CFO−1214yaに可溶な溶剤とは、所望の濃度となるようにCFO−1214yaに混合して、常温(25℃)で撹拌することにより二層分離や濁りを起こさずに均一に溶解できる溶剤を意味する。
本発明の溶剤組成物に含まれる溶剤(A)は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
溶剤(A)としては、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、クロロカーボン類、HFC類およびHFE類からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶剤が好ましい。
前記本発明における安定剤のうちには溶剤(A)として使用できる化合物がある(たとえばテトラヒドロフランなど)。そのような安定剤は、安定化効果を発揮するために充分な量を超えて本発明の溶剤組成物中に含有されていてもよい。その場合、安定化効果を発揮するために充分な量を超えた量の安定剤については溶剤(A)とみなすものとする。
溶剤(A)である炭化水素類としては、炭素数が5以上の炭化水素類が好ましい。炭素数が5以上の炭化水素類あれば、鎖状であっても環状であってもよく、また飽和炭化水素類であっても、不飽和炭化水素類であってもよい。
炭化水素類としては、具体的には、n−ペンタン、2−メチルブタン、n−ヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、n−ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,4−ジメチルペンタン、n−オクタン、2−メチルヘプタン、3−メチルヘプタン、4−メチルヘプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン、3,3−ジメチルヘキサン、2−メチル−3−エチルペンタン、3−メチル−3−エチルペンタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,3,4−トリメチルペンタン、2,2,3−トリメチルペンタン、2−メチルヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−ノナン、2,2,5−トリメチルヘキサン、n−デカン、n−ドデカン、2−メチル−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ビシクロヘキサン、シクロヘキセン、α−ピネン、ジペンテン、デカリン、テトラリン、アミルナフタレン等が挙げられる。なかでも、n−ペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタンがより好ましい。
溶剤(A)であるアルコール類としては、炭素数1〜16のアルコール類が好ましい。炭素数1〜16のアルコール類であれば、鎖状であっても環状であってもよく、また飽和アルコール類であっても、不飽和アルコール類であってもよい。
アルコール類としては、具体的には、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−ノナノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、1−デカノール、1−ウンデカノール、1−ドデカノール、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、α−テルピネオール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、ノニルアルコール、テトラデシルアルコール等が挙げられる。なかでも、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールがより好ましい。
溶剤(A)であるケトン類としては、炭素数3〜9のケトン類が好ましい。炭素数3〜9のケトン類であれば、鎖状であっても環状であってもよく、また飽和ケトン類であっても、不飽和ケトン類であってもよい。
ケトン類としては、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、メシチルオキシド、ホロン、2−オクタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、イソホロン、2,4−ペンタンジオン、2,5−ヘキサンジオン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン等が挙げられる。なかでも、アセトン、メチルエチルケトンがより好ましい。
溶剤(A)であるエーテル類としては、炭素数2〜8のエーテル類が好ましい。炭素数2〜8のエーテル類であれば、鎖状であっても環状であってもよく、また飽和エーテル類であっても、不飽和エーテル類であってもよい。
エーテル類としては、具体的には、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アニソール、フェネトール、メチルアニソール、フラン、メチルフラン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。なかでも、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランがより好ましい。
溶剤(A)であるエステル類としては、炭素数2〜19のエステル類が好ましい。炭素数2〜19のエステル類であれば、鎖状であっても環状であってもよく、また飽和エステル類であっても、不飽和エステル類であってもよい。
エステル類としては、具体的には、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸ペンチル、酢酸メトキシブチル、酢酸sec−ヘキシル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸ベンジル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸ブチル、イソ酪酸イソブチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸ベンジル、γ−ブチロラクトン、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、シュウ酸ジペンチル、マロン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、酒石酸ジブチル、クエン酸トリブチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル等が挙げられる。なかでも、酢酸メチル、酢酸エチルがより好ましい。
溶剤(A)であるクロロカーボン類としては、炭素数1〜3のクロロカーボン類が好ましい。炭素数1〜3のクロロカーボン類であれば、鎖状であっても環状であってもよく、また飽和クロロカーボン類であっても、不飽和クロロカーボン類であってもよい。
具体的には、塩化メチレン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、cis−1,2−ジクロロエチレン、trans−1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,2−ジクロロプロパン等が挙げられる。なかでも、塩化メチレン、trans−1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレンがより好ましい。
溶剤(A)であるHFC類としては、炭素数4〜8の鎖状または環状のHFC類が好ましく、1分子中のフッ素原子数が水素原子数以上であるHFC類に含まれる溶剤がより好ましい。
具体的には、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロヘキサン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロヘキサン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロオクタン等が挙げられる。なかでも、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロヘキサン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロヘキサンがさらに好ましい。
溶剤(A)であるHFE類としては、例えば、(ペルフルオロブトキシ)メタン、(ペルフルオロブトキシ)エタン、1,1,2,2−テトラフルオロ−1−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン等が挙げられる。なかでも、(ペルフルオロブトキシ)メタン、1,1,2,2−テトラフルオロ−1−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタンが好ましい。
溶剤(A)は引火点を持たない溶剤であることがさらに好ましい。引火点を持たない溶剤(A)としては、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロヘキサン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロヘキサン等のHFC類や、(ペルフルオロブトキシ)メタン、1,1,2,2−テトラフルオロ−1−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン等のHFE類が挙げられる。溶剤(A)として引火点を有する溶剤を用いる場合でも、本発明の溶剤組成物として引火点を持たない範囲でCFO−1214yaと混合して用いることが好ましい。
また、CFO−1214yaと溶剤(A)が共沸組成を形成する場合は、共沸組成での使用も可能である。
本発明の溶剤組成物が溶剤(A)を含有する場合、本発明の溶剤組成物中の溶剤(A)の含有量は、CFO−1214yaと溶剤(A)の合計量100質量部に対して溶剤(A)が0.1〜50質量部であることが好ましく、0.5〜20質量部であることがより好ましく、1〜10質量部であることがさらに好ましい。
溶剤(A)の含有量が前記下限値以上であれば、溶剤(A)による効果が充分に得られる。溶剤(A)の含有量が前記上限値以下であれば、CFO−1214yaの持つ優れた乾燥性を阻害することがない。
以上説明した本発明の溶剤組成物は、各種有機物の溶解性に優れ、充分な乾燥性を有し、かつ地球環境に悪影響を及ぼさず、安定化されて分解しない安定な溶剤組成物である。
本発明の溶剤組成物は、金属、プラスチック、エラストマー、ガラス、セラミックス等の広範囲の材質の接触物に対して、悪影響を与えることなく使用できる。
本発明の溶剤組成物は、特に、被洗浄物を洗浄するための洗浄用溶剤、潤滑剤等を被塗布物に塗布するための塗布用溶剤などとして適している。
本発明の溶剤組成物を用いる洗浄用途を例示すると、IC、電子部品、精密機械部品、光学部品等の各種の被洗浄物に付着したフラックス、加工油、ワックス、離型剤、ほこり等の洗浄除去が挙げられる。また、本発明の溶剤組成物は、金属、樹脂、ゴム、繊維およびそれらの複合材料等、様々な材質の被洗浄物の洗浄に適用できる。
さらに、本発明の溶剤組成物は、天然繊維製や合成繊維製の布帛などからなる各種衣類の汚れを除去するための洗浄に使用できる。
本発明の溶剤組成物を用いた被洗浄物の洗浄方法は、本発明の溶剤組成物を用いる以外は特に限定されない。例えば、手拭き洗浄、浸漬洗浄、スプレー洗浄、浸漬揺動洗浄、浸漬超音波洗浄、蒸気洗浄、およびこれらを組み合わせた方法等を採用すればよい。洗浄装置、洗浄条件等も適宜選定することができ、分解することなく長期間の繰り返し使用することができる。
本発明の溶剤組成物は、衣類の洗浄用溶剤、すなわち、ドライクリーニング用溶剤、として適している。
本発明の溶剤組成物を用いるドライクリーニング用途は、シャツ、セーター、ジャケット、スカート、ズボン、ジャンパー、手袋、マフラー、ストール等の衣類に付着した汚れの洗浄除去が挙げられる。
さらに、本発明の溶剤組成物は、綿、麻 、ウール、レーヨン、ポリエステル、アクリル、ナイロン等といった繊維からなる衣類や、金具、ボタン、ファスナー等の部品やスパンコール等の修飾物が取り付けられた衣類のドライクリーニングに適用できる。
従来のドライクリーニング用溶剤としては、石油系溶剤、パークロロエチレン、HCFC類、HFC類やHFE類のフッ素系溶剤が使われている。その中でもフッ素系溶剤は、不燃性で仕上がり時の風合いの良さが特長であることから、フッ素系溶剤によるドライクリーニングには、HCFC−225等のHCFC類、HFC−365mfc、HFC−43−10mee等のHFC類、HFE−449sf、HFE−569sf、HFE−347pc−f等のHFE類が使用されている。
しかしながら、前記フッ素系溶剤は、ボタン等の部品、スパンコール等の修飾物、ウレタン加工生地、衣類の絵柄プリント部等に影響を与えることが知られている。
ボタンへの影響としては、変色や割れ・変形が生じる場合がある。影響を受けやすいボタンは、材質が樹脂製のボタンである。そのなかでもアクリル樹脂製のものが変色や変形、割れといった影響を受けやすいため、ドライクリーニングでは注意が必要である。また、様々な形状がある樹脂製ボタンのうち、裏足ボタンへの影響も知られている。裏足ボタンとは、ボタンの衣類側に糸を通す穴があるボタンで、裏穴型、アーチ型などがある。裏足ボタンは、さらに裏足の取り付けにより分類ができる。裏足ボタンには、裏足を別のボタンの部品と接着されて組合わされる接着型や、裏足をボタンの部品にある穴を貫通して組合せて固定するワンプッシュ型がある。このような裏足ボタンでは、裏足の樹脂部分に加工時の応力が残留しており、ドライクリーニングにより割れなどが生じる場合がある。このような影響から、樹脂製ボタンはドライクリーニング処理前に取り外してドライクリーニング後に取り付けるという工程が必要になっており、樹脂への影響が小さな溶剤が求められている。
また、スパンコールが修飾された衣類では、スパンコールの樹脂材料の変色のほか、スパンコールが接着剤で衣類に接着されている場合、ドライクリーニングによりスパンコールが剥がれる場合がある。ウレタン加工生地の衣類や、絵柄プリントされている衣類では、ドライクリーニングによりウレタン加工生地やプリント部分の変色や樹脂の劣化が生じる場合がある。
本発明の溶剤組成物の主成分であるCFO−1214yaは、アクリル樹脂を始め、樹脂材料への影響が従来のドライクリーニング用溶剤より小さいため、ボタンやスパンコール材料に影響のある従来のドライクリーニング用フッ素系溶剤よりも優れた性能を有する。
また、本発明の溶剤組成物に含まれるCFO−1214yaは、分子に塩素原子を含むため汚れの溶解性が高いため、幅広い溶解力があり材質への影響が小さいCFC−113等のCFC類と同程度の油脂汚れに対する洗浄力があることが分かっている。
さらに、本発明の溶剤組成物をドライクリーニング用溶剤として使用するには、汗や泥等の水溶性汚れの除去性能を高めるためにソープを配合することができる。ソープとはドライクリーニングに用いられる界面活性剤を示し、カチオン系、ノニオン系、アニオン系、および両イオン性界面活性剤を使用することが好ましい。CFO−1214yaは、分子に塩素原子を有するため様々な有機化合物に幅広い溶解性を持つことが分かっており、HFE類、HFC類のように、溶剤によってソープを最適化する必要がなく、様々なソープが使用できる。このように、本発明の溶剤組成物には、カチオン系、ノニオン系、アニオン系、および両イオン性界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含むことができる。
ソープの具体例には、カチオン性界面活性剤ではドデシルジメチルアンモニウムクロライド、トリメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩が挙げられる。ノニオン性界面活性剤ではポリオキシアルキレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、リン酸と脂肪酸のエステル等の界面活性剤が挙げられる。アニオン性界面活性剤では、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩などのアルキル硫酸エステル塩、脂肪酸塩(せっけん)などのカルボン酸塩、αオレフィンスルホン酸塩、ラウリル硫酸塩等のスルホン酸塩が挙げられる。両イオン性界面活性剤では、アルキルベタイン等のベタイン化合物が挙げられる。
ドライクリーニング用溶剤組成物中のソープの含有割合は0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%、さらに好ましくは0.2〜2質量%である。
また本発明の溶剤組成物を、例えば潤滑剤の塗布用溶剤として使用する場合には、潤滑剤を本発明の溶剤組成物に溶解して潤滑剤溶液とし、その潤滑剤溶液を被塗布物上に塗布し、溶剤組成物を蒸発させ、前記被塗布物上に潤滑剤塗膜を形成させる。
潤滑剤の塗布用溶剤と同様に、防錆剤を本発明の溶剤組成物に溶かした溶液を被塗布物上に塗布し、本発明の溶剤組成物を蒸発させ、前記被塗布物上に防錆剤塗膜を形成させることもできる。
潤滑剤や防錆剤が塗布される被塗布物としては、金属、プラスチック、エラストマー、ガラス、セラミックス等、様々な材質の被塗布物を採用できる。
潤滑剤や防錆剤を溶解する前の本発明の溶剤組成物の状態でも、前記溶液の状態でも、保管中や使用中に分解することなく使用することができる。
潤滑剤は、2つの部材が互いの面を接触させた状態で運動するときに、接触面における摩擦を軽減し、熱の発生や摩耗損傷を防ぐために用いるものを意味する。潤滑剤は、液体(オイル)、半固体(グリース)、固体のいずれの形態であってもよい。
潤滑剤としては、CFO−1214yaへの溶解性が優れる点から、フッ素系潤滑剤またはシリコーン系潤滑剤が好ましい。なお、フッ素系潤滑剤とは、分子内にフッ素原子を有する潤滑剤を意味する。また、シリコーン系潤滑剤とは、シリコーンを含む潤滑剤を意味する。
前記潤滑剤溶液に含まれる潤滑剤は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。フッ素系潤滑剤とシリコーン系潤滑剤は、それぞれを単独で使用してもよく、それらを併用してもよい。
前記潤滑剤溶液(100質量%)中の潤滑剤の含有量は、0.01〜50質量%が好ましく、0.05〜30質量%がより好ましく、0.1〜20質量%がさらに好ましい。潤滑剤の含有量が前記範囲内であれば、潤滑剤溶液を塗布したときの塗布膜の膜厚、および乾燥後の潤滑剤塗膜の厚さを適正範囲に調製しやすい。同様に、防錆剤溶液における防錆剤の含有量も上記と同じ範囲であることが好ましい。
以上説明した本発明の溶剤組成物は、大気中の寿命が短く、かつ溶解性に優れ、地球環境に悪影響を及ぼさずに、分解することなく安定な状態で使用することができる。
1.安定性試験
純度99.9質量%のCFO−1214yaに、表1〜8に示す安定剤を添加した各処方を100gずつ調製し、室温(21〜23℃)で3日間保存した。調製直後と保存後のpHを測定した結果を表1〜8に示す。
pH測定は、各処方の溶液40gとpH7に調製した40gの純水とを、200ml容分液漏斗に入れ、1分間振盪した。その後静置して2層分離した上層の水相を分取し、その水相のpHをpHメーター(型番:HM−30R、東亜ディーケーケー株式会社製)で測定した。
表1〜7に示す例は、例2〜115、122〜126は実施例を、例1、116〜120は比較例を示す。表1ではフェノール類、表2ではエーテル類、表3ではエポキサイド類、表4ではアミン類単独での安定化効果を示した実施例である。また、表5〜7では、安定剤を2種類以上組み合わせた場合の安定化効果を示した実施例である。以上より、表1〜7の本発明の溶剤組成物は、いずれもCFO−1214yaを安定化することが示された。
一方、表8では、一般的に安定剤や添加剤として知られている化合物のうち、CFO−1214yaに安定化効果をもたらさない物質を試験した。組成物中の濃度が1質量%になるように各化合物を添加し、それ以外は表1〜7に記載の実施例と同様の試験を行った。その結果、表8に示す物質はいずれも安定化効果を示さなかった。
Figure 2014073372
Figure 2014073372
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Figure 2014073372
純度99.9質量%のCFO−1214yaに、表9に示す安定剤のみを添加した各処方を100gずつ調製し、CFO−1214yaの沸点(46℃)で3日間保存した。各処方の溶液40gとpH7に調製した40gの純水とを、200ml容分液漏斗に入れ、1分間振盪した。その後静置して2層分離した上層の水相を分取し、その水相のpHをpHメーター(型番:HM−30R、東亜ディーケーケー株式会社製)で測定しpH測定を行った。調製直後と保存後のpHを測定した結果を表9に示す。例121は比較例、例122〜126は実施例を示す。本試験結果より、CFO−1214yaの沸点下においても、いずれの実施例もCFO−1214yaの安定化効果が示された。
Figure 2014073372
2.洗浄性能の評価
純度99.9質量%のCFO−1214yaに、表10に示す安定剤のみを添加した各処方を調製し、以下の各洗浄試験を行った。
[洗浄試験A]
SUS−304のテストピース(25mm×30mm×2mm)を、切削油である製品名「ダフニーマーグプラスHT−10」(出光興産株式会社製)中に浸漬した後、各例の溶剤組成物50mL中に1分間浸漬し、引き上げて切削油が除去された度合を観察した。洗浄性の評価は以下の基準に従って行った。
「◎(優良)」:切削油が完全に除去される。
「○(良好)」:切削油がほぼ除去される。
「△(やや不良)」:切削油が微量に残存する。
「×(不良)」:切削油がかなり残存する。
[洗浄試験B]
切削油として製品名「ダフニーマーグプラスAM20」(出光興産株式会社製)を使用した以外は洗浄試験Aと同様に試験し、同じ基準で洗浄性を評価した。
[洗浄試験C]
切削油として製品名「ダフニーマーグプラスHM25」(出光興産株式会社製)を使用した以外は洗浄試験Aと同様に試験し、同じ基準で洗浄性を評価した。
[洗浄試験D]
切削油として製品名「G−6318FK」(日本工作油株式会社製)を使用した以外は洗浄試験Aと同様に試験し、同じ基準で洗浄性を評価した。
表10に示す組成の洗浄用溶剤組成物について、洗浄性を評価した。
表に示すように、例127〜138の本発明の溶剤組成物は、いずれの洗浄試験においても安定剤を添加していない例1と同様に切削油を充分に洗浄除去でき、優れた洗浄性があることを示した。
Figure 2014073372
3.塗布用溶剤としての性能の評価
洗浄試験と同様に、純度99.9質量%のCFO−1214yaに、表11に示す安定剤を添加した処方を調製した。調製した溶剤組成物とフッ素系潤滑剤である製品名「クライトックス(登録商標)GPL102」(デュポン株式会社製、フッ素系オイル。)を混合し、該フッ素系潤滑剤の含有量が0.5質量%である潤滑剤溶液を調製した。
次に、鉄製の板にアルミニウムを蒸着させたアルミニウム蒸着板の表面に、得られた潤滑剤溶液を厚み0.4mmで塗布し、19〜21℃の条件下で風乾することにより、アルミニウム蒸着板表面に潤滑剤塗膜を形成した。潤滑剤としての性能の評価は以下のように行った。
[評価方法]
[溶解状態]
各例の潤滑剤溶液の溶解状態を目視で確認し、以下の基準で評価した。
「◎(優良)」:直ちに均一に溶解し、透明になる。
「○(良好)」:振盪すれば均一に溶解し、透明になる。
「△(やや不良)」:若干白濁する。
「×(不良)」:白濁もしくは相分離する。
[塗膜状態]
各例における潤滑剤塗膜の状態を目視で確認して以下の基準で評価した。
「◎(優良)」:均一な塗膜である。
「○(良好)」:ほぼ均一な塗膜である。
「△(やや不良)」:塗膜に部分的にムラが見られる。
「×(不良)」:塗膜にかなりムラが見られる。
[乾燥性]
各例における潤滑剤塗膜の形成時の潤滑剤溶液の乾燥性を以下の基準で乾燥性を評価した。
「◎(優良)」:直ちに溶剤が蒸発する。
「○(良好)」:10分間以内に溶剤が蒸発する。
「△(可)」:10分超1時間以内で溶剤が蒸発する。
「×(不良)」:1時間経過しても溶剤が残存している。
表11において、例139〜150は実施例である。表11に示すように、例136〜147の本発明の潤滑剤溶液は、いずれの塗付試験においても安定剤のない例1と同様に潤滑剤の溶解性に優れ、かつ充分な乾燥性を有しており、均一な潤滑剤塗膜を簡便に形成できることが明らかになった。
Figure 2014073372
4.衣類の洗浄性と風合いの評価
本発明の溶剤組成物を用いて、ウール生地の白色カーディガンを洗浄して洗浄性、風合いの状態、ボタンおよびスパンコールへの影響を評価した。前記カーディガンには、アクリル樹脂製のボタンが付いており、前記カーディガンにはスパンコール修飾がされている。
始めに10L(15kg)の前記実施例95の溶剤組成物(2,6―ジターシャリーブチル−4−メチルフェノールとN−メチルピロールをそれぞれ10質量ppm含有)を調製した。さらに、ソープとしてNF−98(日華化学株式会社性:商品名「NF−98」)を75g(0.5質量%)加えてよく攪拌し、洗浄試験に使用する試験溶剤とした。
着用して汚れた前記カーディガンを半分に切断し、その一方を洗浄試験に使用した。洗浄試験は、ドライクリーニング試験機(DC−1A:大栄科学精器製作所製)を用いて、約11Lの洗浄槽に前記試験溶剤と被洗浄物を入れて、室温で10分間行った。その後、洗浄したカーディガンを洗浄槽から取り出して十分に乾燥させ、洗浄しなかった残り半分のカーディガンと比較して洗浄性能および風合い、ボタンおよびスパンコールへの影響を評価した。比較例として同様の試験を従来の洗浄用溶剤であるHFC−365mfcとHFE−347pc−fについて洗浄を行った。
その結果、実施例95の溶剤組成物で洗浄したカーディガンは従来の溶剤で洗浄した場合と同等の洗浄性と風合いであった。さらに、実施例95の溶剤組成物で洗浄したカーディガンは、ボタンおよびスパンコールへの影響も見られなかった。一方、従来の溶剤では、ボタンおよびスパンコールに変色が見られ、本発明の溶剤組成物が従来のドライクリーニング用溶剤よりも優れていることが明らかになった。
本発明の溶剤組成物は、各種有機物の溶解性に優れ、充分な乾燥性を有し、かつ地球環境に悪影響を及ぼさず、安定化されて分解しない安定な溶剤組成物であり、洗浄や塗布用途等の広範囲の工業用途で、金属、プラスチック、エラストマー等の様々な材質の物品に対し、悪影響を与えることなく使用することができる。
なお、2012年11月7日に出願された日本特許出願2012−245590号の明細書、特許請求の範囲および要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (15)

  1. 1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、フェノール類、エーテル類、エポキサイド類およびアミン類からなる群より選ばれる少なくとも1種の安定剤とを含む溶剤組成物。
  2. 1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンに対して前記安定剤を1質量ppm〜10質量%含む、請求項1に記載の溶剤組成物。
  3. 溶剤組成物に対して1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを80質量%以上含む、請求項1または2に記載の溶剤組成物。
  4. フェノール類が、フェノール、1,2−ベンゼンジオール、2,6―ジターシャリーブチル−4−メチルフェノール、3−クレゾール、2−イソプロピル−5−メチルフェノールまたは2−メトキシフェノールである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶剤組成物。
  5. 1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンに対してフェノール類を5質量ppm〜5質量%含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の溶剤組成物。
  6. エーテル類が、1、4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン、フラン、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、エチルフェニルエーテルまたはジエチレングリコールモノエチルエーテルである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の溶剤組成物。
  7. 1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンに対してエーテル類を0.01質量%〜5質量%含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の溶剤組成物。
  8. エポキサイド類が、1,2−プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,2−エポキシ−3−フェノキシプロパン、ブチルグリシジルエーテルまたはジエチレングリコールジグリシジルエーテルである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の溶剤組成物。
  9. 1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンに対してエポキサイド類を0.01質量%〜5質量%含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の溶剤組成物
  10. アミン類が、ピロール、N−メチルピロール、2−メチルピリジン、n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、N−メチルモルホリンまたはN−エチルモルホリンである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の溶剤組成物。
  11. 1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンに対してアミン類を5質量ppm〜5質量%を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の溶剤組成物。
  12. 溶剤組成物が少なくとも2種の前記安定剤を含み、そのうちの少なくとも1種がフェノール類の安定剤であり、かつそのうちの少なくとも1種がフェノール類以外の前記安定剤である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の溶剤組成物。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の溶剤組成物を用いて被洗浄物を洗浄することを特徴とする、洗浄方法。
  14. 被洗浄物が衣類である、請求項13に記載の洗浄方法。
  15. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の溶剤組成物に潤滑剤を溶解し、得られた潤滑剤組成物を被塗布物上に塗布し、溶剤組成物を蒸発させ、潤滑剤で塗膜を形成することを特徴とする、潤滑剤の塗膜を形成する方法。
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