JPWO2014069461A1 - 難燃性粘着剤組成物及び難燃性粘着シート - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、電気絶縁テープ等における粘着剤組成物の難燃性を向上させる方法として、一般に、粘着剤組成物に対し、難燃剤を含有させる方法が採られている。
また、かかる難燃剤としては、塩素や臭素等のハロゲン系化合物や、ハロゲン系化合物及び酸化アンチモンを併用したもの等が一般的であった。
そこで、これらの問題を解決すべく、ハロゲン系化合物以外の難燃剤として、リン酸エステル系難燃剤を用いる方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、基材の少なくとも片面に、芳香族縮合リン酸エステル系難燃剤αとリン酸エステルβを含む粘着剤層が設けられてなる難燃性粘着テープであって、該粘着剤層中のベースポリマー100重量部に対してα+βが45〜250重量部、かつα/βが0.3〜3となるように配合された難燃性粘着テープが開示されている。
一方、特許文献2においては、難燃剤成分として用いるホスフィン酸塩が粒子状であるため、粒子状のホスフィン酸塩を多量に含むと難燃性粘着剤の塗工液を均一分散させることが困難である。また、該難燃剤を多く用いないと充分な難燃性が得られない等の問題点を有している。
本発明は、このような状況下になされたもので、ハロゲン化物を添加せずに難燃性を有し、かつ高温時においても粘着物性が維持される上、難燃性粘着剤組成物の均質塗工液の調製が容易な難燃剤を用いた難燃性粘着剤組成物、及びそれを用いた難燃性粘着シートを提供することを目的とするものである。
(メタ)アクリル酸エステル重合体と、難燃剤とを含む難燃性粘着剤組成物において、前記難燃剤が窒素含有リン酸塩系難燃剤を含むと共に、その含有量を特定の範囲とし、かつ前記(メタ)アクリル酸エステル重合体の単量体成分として、特定の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、分子内にカルボキシル基を有するビニル化合物、特にアクリル酸とを特定の割合で含むこと、及び600℃における質量保持率が20%以上である難燃性粘着剤組成物がその目的に適合し得ることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
[1](A)(メタ)アクリル酸エステル重合体と、(B)窒素含有リン酸塩系難燃剤を含み、(B)窒素含有リン酸塩系難燃剤の含有量が(A)(メタ)アクリル酸エステル重合体100質量部に対して20〜50質量部であり、かつ下記要件(1)及び(2)を満たすことを特徴とする難燃性粘着剤組成物。
(1)(A)(メタ)アクリル酸エステル重合体が、重合する際の単量体成分として、(a)炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル70〜93質量%と(b)分子内にカルボキシル基を有するビニル化合物7〜30質量%を含む。
(2)窒素雰囲気下における熱重量測定において、600℃における難燃性粘着剤組成物の質量保持率が20%以上である。
[2]さらに(C)架橋剤を含む、上記[1]に記載の難燃性粘着剤組成物。
[3](B)難燃剤がリン酸アンモニウム系難燃剤である、上記[1]又は[2]に記載の難燃性粘着剤組成物。
[4]基材の少なくとも一方の面に、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の難燃性粘着剤組成物を用いた粘着剤層が積層されたことを特徴とする難燃性粘着シート。
[5]粘着剤層の厚みが5〜30μmである、上記[4]に記載の難燃性粘着シート。
[6]基材が、UL94規格に準ずる試験においてVTM−0に適合する難燃性を有する、上記[4]又は[5]に記載の難燃性粘着シート。
本発明の難燃性粘着剤組成物は、(A)(メタ)アクリル酸エステル重合体と、(B)窒素含有リン酸塩系難燃剤を含み、(B)窒素含有リン酸塩系難燃剤の含有量が(A)(メタ)アクリル酸エステル重合体100質量部に対して20〜50質量部であり、かつ下記要件(1)及び(2)を満たすことを特徴とする。
(1)(A)(メタ)アクリル酸エステル重合体が、重合する際の単量体成分として、(a)炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル70〜93質量%と(b)分子内にカルボキシル基を有するビニル化合物7〜30質量%を含む。
(2)窒素雰囲気下における熱重量測定において、600℃における難燃性粘着剤組成物の質量保持率が20%以上である。
ここで、上記(2)の「窒素雰囲気下における熱重量測定において、600℃における難燃性粘着剤組成物の質量保持率が20%以上」とは、難燃性粘着剤組成物を窒素雰囲気下(窒素流量100ml/min)、昇温速度20℃/minの条件で600℃まで昇温して加熱した後の質量を「残存質量」、難燃性粘着剤組成物の加熱前の質量を「初期質量」とした場合に、下記式で表される質量保持率が20%以上であることをいう。
質量保持率(%)=(残存質量/初期質量)×100
難燃性と常温及び高温時の粘着物性とを両立する観点から、難燃性粘着剤組成物の質量保持率は、好ましくは21%以上、より好ましくは22%以上、さらに好ましくは24%以上である。当該質量保持率は、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
本発明の難燃性粘着剤組成物(以下、単に「粘着剤組成物」ともいう)においては、後述する(B)窒素含有リン酸塩系難燃剤と共に、(A)(メタ)アクリル酸エステル重合体を含む。
なお、以下の記載において、例えば「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を意味し、他の類似用語も同様である。
(A)(メタ)アクリル酸エステル重合体は、重合する際の単量体成分として、(a)炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを70〜93質量%、及び(b)分子内にカルボキシル基を有するビニル化合物を7〜30質量%の割合で含む。
なお、単量体成分(a)として、炭素数が13以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いた場合には、(A)(メタ)アクリル酸エステル重合体のガラス転移温度が高くなりすぎ、十分な粘着力が得られない。
なお、単量体成分(a)と単量体成分(b)の使用割合が上記範囲を逸脱すると、得られる粘着剤組成物の600℃における質量保持率を20%以上にすることが難しく、また所望の粘着物性が得られない。
また単量体成分(a)と単量体成分(b)以外にも、本発明の効果を損なわない程度でその他の単量体成分(c)を含んでいてもよい。その他の単量体成分(c)としては、単量体成分(a)と単量体成分(b)と共重合可能なビニル系モノマーであれば特に制限は無く、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル等が挙げられる。
(A)(メタ)アクリル酸エステル重合体の重合の方法については特に制限は無く、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合のいずれであってもよいが、溶液重合と乳化重合が好ましい。
本発明の粘着剤組成物においては、前述(A)(メタ)アクリル酸エステル重合体と共に、(B)窒素含有リン酸塩系難燃剤を含む。難燃剤として(B)窒素含有リン酸塩系難燃剤を用いることにより、難燃性粘着剤組成物の均質塗工液の調製が容易となる。また、ハロゲン化物を添加せずに難燃性を有し、かつ高温時においても粘着物性が維持される難燃性粘着剤組成物を得ることができる。
上記窒素含有リン酸塩系難燃剤としては、リン酸アンモニウムやポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム系難燃剤が好ましく用いられる。
また、リン酸アンモニウム系以外の窒素含有リン酸塩系難燃剤としては、リン酸メラミン、リン酸ジメラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、リン酸エステルアミド、リン酸グアニジン等が挙げられる。これらの窒素含有リン酸塩化合物は、1種単独、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の難燃性粘着剤組成物においては、本発明の効果を損なわない範囲において、(B)窒素含有リン酸塩系難燃剤以外の難燃剤を用いてもよいが、当該含有量は、(A)(メタ)アクリル酸エステル重合体100質量部に対して、好ましくは0〜35質量部、より好ましくは0〜28質量部、さらに好ましくは0〜14質量部、特に好ましくは0質量部である。
[(C)架橋剤]
前述した(A)(メタ)アクリル酸エステル重合体では、カルボキシル基含有ビニル化合物単位が架橋点として作用することができる。このような架橋点を持つ重合体の架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、金属キレート系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤等を用いることができるが、イソシアネート系架橋剤を用いることが好ましい。
これらのイソシアネート系架橋剤の中でも、粘着剤としての物性の観点から、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート及びこれらの変性体から選ばれる1種以上が好ましく、2,4−トリレンジイソシアネートの変性体が特に好ましい。
このイソシアネート系架橋剤は、当該(メタ)アクリル酸エステル重合体100質量部に対して0.01〜10質量部の割合で用いることが好ましい。
当該粘着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を配合することができる。その他の成分としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、可塑剤、消泡剤及び濡れ性調整剤等が挙げられる。
[難燃性粘着シート]
本発明の難燃性粘着シートは、基材の少なくとも一方の面に、前述した本発明の難燃性粘着剤組成物を用いた粘着剤層が積層されてなることを特徴とする。
本発明の粘着シートの構成は、基材の片面又は両面に該粘着剤層を有していれば特に限定されない。
図1は、本発明の粘着シートの構成の一態様を示す図である。本発明の粘着シートの構成は、図1(a)のように、基材11の片面に粘着剤層12aを有する粘着シート1aに限らず、図1(b)のように、基材11の片面に形成された粘着剤層12aの上に、更に剥離シート13aが積層された粘着シート1bであってもよい。
また、本発明の粘着シートは、図1(c)のように、基材11の両面に粘着剤層12a、12bを有する粘着シート1cであってもよく、該粘着剤層12a、12bのそれぞれの上に、更に剥離シート13a、13bが積層された粘着シートであってもよい。なお、図1(c)において、剥離シート13a、13bの表示は省略する。
本発明の粘着シートに用いられる基材は、UL94規格に準ずる試験においてVTM−0に適合する難燃性を有するものであることが好ましい。本発明において、「UL94規格に準ずる試験においてVTM−0に適合」とは、アンダーライターズラボラトリーズ社発行のプラスチック材料の難燃性試験規格UL94の薄手材料垂直燃焼試験方法に準ずる試験において、VTMランクがVTM−0と判定されるものであることをいう。
樹脂単体で難燃性を有する樹脂としては、ポリエーテルイミド樹脂やポリフェニレンエーテルイミド樹脂等のポリイミド樹脂、ポリアラミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等が挙げられる。
難燃剤としては、リン系難燃剤、シリコーン系化合物、メラミン系化合物、ヒンダードアミン系化合物、グアニジン系化合物等の有機系難燃剤や、アンチモン系化合物、金属水酸化物等の無機系難燃剤が挙げられる。上記難燃剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、環境対応の観点から、ハロゲン系難燃剤を実質的に含有しない基材が好ましく、いずれの難燃剤も実質的に含有しない基材を用いることがより好ましい。
また、LAXRONポリカSDB−3(商品名、難燃剤含有ポリカーボネート樹脂フィルム、トキワ電気株式会社製)、サンロイドバリア(商品名、ポリフェニレンエーテル系樹脂フィルム、住友ベークライト株式会社製)、サンロイドエコシートポリカ(商品名、ノンハロゲン難燃剤含有ポリカーボネート樹脂フィルム、住友ベークライト株式会社製)、ウルテム(商品名、ポリエーテルイミド樹脂フィルム、旭硝子株式会社製)、レキサン(商品名、ポリカーボネート系樹脂シート、旭硝子株式会社製)、バロックス(商品名、ポリブチレンテレフタレート系樹脂フィルム、旭硝子株式会社製)、セフティーフィルム(商品名、ポリエチレン系樹脂フィルム、大井田工業株式会社製)等が挙げられる。なお、これらの製品例に限定されるわけではない。
本発明の粘着シートは、上記基材の少なくとも一方の面に前述した本発明の難燃性粘着剤組成物を用いて積層されてなる粘着剤層を有するものである。
本発明の粘着シートにおいて、難燃性及び粘着力の両立の観点から、該粘着剤層の片面あたりの厚みは5〜30μmであることが好ましく、10〜25μmであることがより好ましい。
なお、本発明において「粘着剤層の片面あたりの厚み」とは、基材の片面又は両面に設けられる粘着剤層のそれぞれの厚み(図1(a)〜(c)のZ1、Z2の各々)を示す。
本発明の粘着シートは、例えば図1(b)に示すように、粘着剤層の上に剥離シートが積層されたものであってもよい。
本発明の粘着シートに用いられる剥離シートとしては、特に制限がないが、取り扱い易さの観点から、シート基材上に剥離剤を塗布した剥離シートが好ましい。剥離シートは、シート基材の両面に剥離剤が塗布され剥離処理がされたものでもよく、シート基材の片面のみに剥離剤が塗布され剥離処理がされたものでもよい。
剥離シートに用いられるシート基材としては、例えば、グラシン紙、コート紙、キャストコート紙等の紙基材、これらの紙基材にポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙、又はポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルム等のプラスチックフィルム等が挙げられる。
剥離剤としては、例えば、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。
剥離シートにおける剥離剤からなる層の乾燥後の厚さとしては、特に限定されないが、剥離剤を溶液状態で塗布する場合は、好ましくは0.01〜2.0μm、より好ましくは0.03〜1.0μmである。剥離シートのシート基材としてプラスチックフィルムを用いる場合、該プラスチックフィルムの厚さは、好ましくは3〜50μm、より好ましくは5〜40μmである。
本発明の粘着シートの製造方法は、特に限定されない。
図1(a)に示された粘着シート1aの製造方法としては、基材11上に、本発明の粘着剤組成物を塗布及び乾燥させて粘着剤層12aを形成して製造する方法や、剥離シート13a上に、本発明の粘着剤組成物を塗布及び乾燥させて粘着剤層12aとし、当該粘着剤層12aと基材11とを貼り合わせて、一旦粘着シート1bを得た後、剥離シートを除去して製造する方法等が挙げられる。
また、図1(b)に示された粘着シート1bの製造方法としては、上記粘着シート1aを製造した後、粘着剤層12a上に剥離シート13aを積層して製造する方法や、剥離シート13a上に、本発明の粘着剤組成物を塗布及び乾燥させて粘着剤層12aとし、当該粘着剤層12aと基材11とを貼り合わせて製造する方法等が挙げられる。
図1(c)に示された粘着シート1cの製造方法としては、基材11の片面上に、本発明の粘着剤組成物を塗布及び乾燥させて粘着剤層12aを形成した後、基材11の他方の面上に、同様にして、粘着剤層12bを形成して製造する方法や、剥離シート上に粘着剤層を設けたシートを2枚用意し、当該シートの粘着剤層と基材とを貼り合わせて、一旦粘着シート1bを得た後、剥離シートを除去して製造する方法等が挙げられる。
用いる溶媒としては、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトンの有機溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒を配合して、適度な固形分濃度の粘着剤溶液とすることで、薄膜化した粘着剤層を形成することができる。粘着剤溶液の固形分濃度は、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは10〜40質量%である。5質量%以上であれば、塗布するための粘度としては十分であり、60質量%以下であれば、粘着剤溶液が適度な粘度となり、該粘着剤溶液を塗布するに際して作業性が良好となる。
塗布方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ロールナイフコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等の公知の方法が挙げられる。
また、溶剤や低沸点成分の残留を防ぐと共に、架橋剤が配合されている場合には架橋(反応)を進行させて粘着性を発現するために、基材や剥離シートに塗布した後、加熱処理をすることが好ましい。
以上のようにして作製される本発明の粘着シートは、以下の実施例記載の測定方法において、常温(23℃、50%RH(相対湿度))での粘着力が8N/25mm以上、高温(80℃)時粘着力が8N/25mm以上、及び難燃性がUL94規格でVTM−0であり、常温粘着力、高温(80℃)粘着力及び難燃性の全てを充分に満たすことができる。
以下の実施例の記載において示された重量平均分子量(Mw)は、東ソー株式会社製「HLC−8020」を用いて、下記の条件で測定し、標準ポリスチレン換算にて求めた値である。
(測定条件)
カラム:「TSK gel GMHXL(×2)」「TSK gel G2000HXL」(いずれも東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
検出器:示差屈折計
基材として、両面にポリイミドをコーティングしたポリエステルフィルム(東レ株式会社製、商品名「ルミラーZV10#25」、厚み25μm)を用いたこと以外は、下記の実施例及び比較例と同様の方法で、粘着力試験用の粘着シートを作製した。
剥離シートを剥離し、23℃、50%RH環境下で、25mm×300mmにカットした上記粘着シートの試験片を被着体(SUS304鋼板♯360)に重さ2kgのゴムローラを用いて1往復させて試験片を貼付して、粘着力試験用サンプルとした。貼付24時間後、剥離角度180°、剥離速度300mm/分の条件にて引き剥がし法で粘着力を測定した。
試験には前記(1)の常温粘着力試験で用いた粘着シートと同じものを用いた。
剥離シートを剥離し、23℃、50%RH環境下で、25mm×300mmにカットした上記粘着シートの試験片を被着体(SUS304鋼板♯360)に重さ2kgのゴムローラを用いて1往復させて試験片を貼付して、粘着力試験用サンプルとした。貼付24時間後、80℃環境下にて60分放置後、同環境下で剥離角度180°、剥離速度300mm/分の条件にて引き剥がし法で粘着力を測定した。
基材に代えて、剥離シート(リンテック株式会社製、商品名「SP−PET381031」、剥離処理面にシリコーンがコーティングされたポリエステルフィルム、厚み38μm)を用い、実施例及び比較例と同様にして難燃性粘着剤層が2枚の剥離シートに挟持された形態の質量保持率試験用の粘着シートを作製した。
粘着シートを所定の大きさに切り出し、2枚の剥離シートを剥離して測定用サンプルとし、初期質量を測定した。その後、測定用サンプルを、熱分析装置(株式会社島津製作所製、商品名「DTG−60」)を用いて、窒素雰囲気下(窒素流量100ml/min)、昇温速度20℃/minの条件で600℃まで昇温して加熱を終了し、残存質量を測定した。
そして、下記式から、質量保持率(%)を求めた。
質量保持率(%)=(残存質量/初期質量)×100
作製した難燃性粘着シートの剥離シートを剥離し、アンダーライターズラボラトリーズ社発行のプラスチック材料の難燃性試験規格UL94の薄手材料垂直燃焼試験方法に準ずる試験を行い、VTMランクを判定した。評価に用いた難燃性粘着シートのサンプルサイズは50mm×200mmであり、粘着剤層を外側にして試験を行った。
なお、VTMランクの判定基準は下記の通りである。
VTM−0;サンプルの燃焼時間が10秒以内であり、かつ燃焼物又は落下物による脱脂綿の着火が起こらず、更に標線(サンプル下端より125mmの位置)までの燃焼が認められない。
VTM−1;サンプルの燃焼時間が30秒以内であり、かつ燃焼物又は落下物による脱脂綿の着火が起こらず、更に標線までの燃焼が認められない。
VTM−2;サンプルの燃焼時間が30秒以内であり、かつ標線までの燃焼が認められない。
なお、表2において、VTM−0に適合したものを「VTM−0」、VTM−0に適合せずVTM−1に適合したものを「VTM−1」、VTM−0及びVTM−1に適合せずVTM−2に適合したものを「VTM−2」、VTM−0とVTM−1とVTM−2のいずれにも適合しなかったものを「不合格」とした。
(アクリル系共重合体溶液1の調製)
単量体成分として、アクリル酸ブチル90質量部、及びアクリル酸10質量部、溶剤として、酢酸エチル200質量部、重合開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部を反応器に入れ混合した。4時間窒素ガスで脱気を行い、60℃まで徐々に昇温した後、24時間撹拌しながら重合反応を行い、重量平均分子量が65万のアクリル系共重合体1を含む酢酸エチル溶液(固形分濃度33質量%)を得た。
(アクリル系共重合体溶液2の調製)
単量体成分として、アクリル酸ブチル80質量部、及びアクリル酸20質量部を用いたこと以外は、製造例1と同様に重合反応を行い、重量平均分子量が60万のアクリル系共重合体2を含む酢酸エチル溶液(固形分濃度33質量%)を得た。
(アクリル系共重合体溶液3の調製)
単量体成分として、アクリル酸ブチル95質量部、及びアクリル酸5質量部を用いたこと以外は、製造例1と同様に重合反応を行い、重量平均分子量が60万のアクリル系共重合体3を含む酢酸エチル溶液(固形分濃度33質量%)を得た。
(アクリル系共重合体溶液4の調製)
単量体成分として、アクリル酸ブチル48質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル48質量部及びアクリル酸4質量部を用いたこと以外は、製造例1と同様に重合反応を行い、重量平均分子量が60万のアクリル系共重合体4を含む酢酸エチル溶液(固形分濃度33質量%)を得た。
(難燃性粘着シートの作製)
製造例1で得たアクリル系共重合体1を含む酢酸エチル溶液100質量部(固形分)と、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン株式会社製、商品名「コロネートL」、トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネートの酢酸エチル溶液(固形分75質量%))2.3質量部(固形分)と、窒素含有リン酸塩系難燃剤(株式会社ADEKA製、商品名「アデカスタブFP−2200」)30質量部との混合物を、固形分濃度が10質量%となるように酢酸エチルで希釈し、粘着剤組成物の溶液を調製した。
この溶液を、剥離シートである、シリコーン処理された38μmポリエステルフィルム(リンテック株式会社製、商品名「SP−PET381031」)に、乾燥後の粘着剤層の厚さが20μmとなるように塗布し、100℃で1分間乾燥した後に、基材である、両面にポリイミド樹脂がコートされたポリエステルフィルム(東レ株式会社製、商品名「ルミラーZV30#40」、厚み:47μm、UL94規格に準ずる試験においてVTM−0に適合)に転写し、23℃、50%RH環境下で7日間シーズニングを行い、難燃性粘着シートを作製した。
なお、難燃性粘着シートの各層の厚みならびに総厚みは、シート断面を電子顕微鏡(株式会社キーエンス製、商品名「VHX−1000」)で観測することで測定した。
粘着剤組成を表1に記載のとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で粘着シートを作製した。
BA:アクリル酸ブチル
2EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
AAc:アクリル酸
FP2200:アデカスタブFP2200(株式会社ADEKA製、窒素含有リン酸塩系難燃剤)
TBP:トリブチルホスフェート(大八化学工業株式会社製)
コロネートL:イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン株式会社製、商品名「コロネートL」、トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネートの酢酸エチル溶液(固形分75質量%))
11 基材
12a、12b 粘着剤層
13a 剥離シート
Claims (6)
- (A)(メタ)アクリル酸エステル重合体と、(B)窒素含有リン酸塩系難燃剤を含み、(B)窒素含有リン酸塩系難燃剤の含有量が(A)(メタ)アクリル酸エステル重合体100質量部に対して20〜50質量部であり、かつ下記要件(1)及び(2)を満たすことを特徴とする難燃性粘着剤組成物。
(1)(A)(メタ)アクリル酸エステル重合体が、重合する際の単量体成分として、(a)炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル70〜93質量%と(b)分子内にカルボキシル基を有するビニル化合物7〜30質量%を含む。
(2)窒素雰囲気下における熱重量測定において、600℃における難燃性粘着剤組成物の質量保持率が20%以上である。 - さらに(C)架橋剤を含む、請求項1に記載の難燃性粘着剤組成物。
- (B)難燃剤がリン酸アンモニウム系難燃剤である、請求項1又は2に記載の難燃性粘着剤組成物。
- 基材の少なくとも一方の面に、請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性粘着剤組成物を用いた粘着剤層が積層されたことを特徴とする難燃性粘着シート。
- 粘着剤層の厚みが5〜30μmである、請求項4に記載の難燃性粘着シート。
- 基材が、UL94規格に準ずる試験においてVTM−0に適合する難燃性を有する、請求項4又は5に記載の難燃性粘着シート。
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