JPWO2014046178A1 - 遺伝子、微生物、変換方法及び製造方法 - Google Patents
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Abstract
下記(a)〜(c)のいずれかに記載の遺伝子であって、エノイルCoAヒドラターゼをコードする遺伝子との組み合わせにより、微生物又は該微生物の培養物に、3−ヒドロキシブチリルCoAを4−ヒドロキシブチリルCoAへと、或いは、4−ヒドロキシブチリルCoAを3−ヒドロキシブチリルCoAへと変換する能力を付与できる、遺伝子。(a)配列番号1の塩基配列を有する遺伝子(b)配列番号1の塩基配列において1若しくは複数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を有する遺伝子であって、配列番号1の塩基配列に対して90%以上の同一性の塩基配列を有する遺伝子(c)配列番号1に記載の塩基配列を有する遺伝子と相補的な塩基配列を有する遺伝子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする遺伝子
Description
本発明は遺伝子、微生物、変換方法及び製造方法に関する。
近年、化石資源の枯渇や地球温暖化対策などの観点から、再生可能資源を原料とした化合物製造プロセスが注目されている。特に、バイオマスを原料として、生物化学的プロセスで種々のポリマー原料化合物や化学品原料化合物を製造する、所謂バイオリファイナリーが広く検討されている。
バイオマスの原料転換が期待されている化合物として、ブタンジオール類(1,3−ブタンジオール及び1,4−ブタンジオールを指す。)が挙げられる。例えば、1,4−ブタンジオールは、精密有機化学品の合成原料、ポリエステル及びエンジニアリングプラスチックのモノマー単位などで使用され、1,3−ブタンジオールは、有機溶媒や化粧品基材などで使用される。1,4−ブタンジオール及び1,3−ブタンジオールのいずれの場合においても、バイオマスなどの再生可能資源を原料とした、生物化学的プロセスに対する要求が大きくなっている。
生物化学的プロセスを用いたブタンジオール類の製造方法としては、例えば、特許文献1乃至3及び非特許文献1に記載された方法が挙げられる。
Harry Yim et al., Metabolic engineering of Escherichia coli for direct production of 1,4−butanediol, Nature Chemical Biology, 7, 445−452 (2011).
しかしながら、特許文献1乃至3及び非特許文献1に記載された方法は、プロセスが複雑である。
上記課題に対して、経済的に1,4−ブタンジオールを得ることができる、新たな1,4−ブタンジオールの製造方法を提供する。また、当該製造方法に関連する変換方法、並びに当該製造方法及び当該変換方法に適用可能な遺伝子、微生物を提供する。
本発明者らは、上記のような課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の遺伝子が有効であることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は以下のものを含む。
[1]下記(a)〜(c)のいずれかに記載の遺伝子であって、エノイルCoAヒドラターゼをコードする遺伝子との組み合わせにより、微生物又は該微生物の培養物に、3−ヒドロキシブチリルCoAを4−ヒドロキシブチリルCoAへと、或いは、4−ヒドロキシブチリルCoAを3−ヒドロキシブチリルCoAへと変換する能力を付与できる、遺伝子。
(a)配列番号1の塩基配列を有する遺伝子
(b)配列番号1の塩基配列において1若しくは複数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を有する遺伝子であって、配列番号1の塩基配列に対して90%以上の同一性の塩基配列を有する遺伝子
(c)配列番号1に記載の塩基配列を有する遺伝子と相補的な塩基配列を有する遺伝子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする遺伝子
[1]下記(a)〜(c)のいずれかに記載の遺伝子であって、エノイルCoAヒドラターゼをコードする遺伝子との組み合わせにより、微生物又は該微生物の培養物に、3−ヒドロキシブチリルCoAを4−ヒドロキシブチリルCoAへと、或いは、4−ヒドロキシブチリルCoAを3−ヒドロキシブチリルCoAへと変換する能力を付与できる、遺伝子。
(a)配列番号1の塩基配列を有する遺伝子
(b)配列番号1の塩基配列において1若しくは複数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を有する遺伝子であって、配列番号1の塩基配列に対して90%以上の同一性の塩基配列を有する遺伝子
(c)配列番号1に記載の塩基配列を有する遺伝子と相補的な塩基配列を有する遺伝子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする遺伝子
[2]前記微生物が、大腸菌、酵母、コリネバクテリウム又はクロストリジウムである[1]に記載の遺伝子。
[3][1]に記載の遺伝子と、エノイルCoAヒドラターゼをコードする遺伝子と、を含む微生物。
[4]アシルCoA還元酵素をコードする遺伝子を更に含む[3]に記載の微生物。
[5][3]に記載の微生物又は該微生物の培養物を用いて、3−ヒドロキシブチリルCoAを4−ヒドロキシブチリルCoAへと、或いは、4−ヒドロキシブチリルCoAを3−ヒドロキシブチリルCoAへと変換する、変換方法。
[6][4]に記載の微生物又は該微生物の培養物を用いて、1,4−ブタンジオールを製造する、製造方法。
[7]前記微生物が、アセトアセチルCoA合成酵素又はアセトアセチルCoA還元酵素の少なくとも一方をコードする遺伝子を含む、[6]に記載の製造方法。
[8]アセチルCoAから3−ヒドロキシブチリルCoAを経由して1,4−ブタンジオールを製造する、[6]に記載の製造方法。
経済的な1,4−ブタンジオールの製造方法を提供できる。また、当該製造方法に関連する変換方法、並びに当該製造方法及び当該変換方法に適用可能な遺伝子、微生物を提供できる。
以下、図1を用いて、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、「CoA」とは、コエンザイムAを意味する。
(遺伝子)
先ず、エノイルCoAヒドラターゼをコードする遺伝子との組み合わせにより、微生物又は該微生物の培養物に、3−ヒドロキシブチリルCoAを4−ヒドロキシブチリルCoAへと、或いは、4−ヒドロキシブチリルCoAを3−ヒドロキシブチリルCoAへと変換する能力を付与できる、本実施形態の遺伝子について説明する。
先ず、エノイルCoAヒドラターゼをコードする遺伝子との組み合わせにより、微生物又は該微生物の培養物に、3−ヒドロキシブチリルCoAを4−ヒドロキシブチリルCoAへと、或いは、4−ヒドロキシブチリルCoAを3−ヒドロキシブチリルCoAへと変換する能力を付与できる、本実施形態の遺伝子について説明する。
本実施形態の遺伝子は、配列番号1の塩基配列を有する遺伝子とそのホモログである。本実施形態の遺伝子は、エノイルCoAヒドラターゼ酵素をコードする遺伝子と組み合わせて形質転換などにより微生物体内で発現させることで、例えば、3−ヒドロキシブチリルと4−ヒドロキシブチリルとの間での変換方法や、1,4−ブタンジオールの製造方法に適用することができる。
本実施形態におけるホモログは、オーソログ及びパラログを含む。オーソログとは、共通祖先の遺伝子から種分化により生じた種間で対応する遺伝子及びその遺伝子より得られる酵素の組を指す。パラログとは、同種内において、種分化でなく遺伝子重複によって生じた種間で対応する遺伝子及びその遺伝子より得られる酵素の組を指す。ホモログとは、オーソログ、パラログに関係なく配列に同一性を有する遺伝子及びその遺伝子より得られる酵素を指す。
より具体的には、配列番号1に記載の塩基配列を有する遺伝子のホモログ遺伝子は、配列番号1に記載の塩基配列と90%以上の同一性、好ましくは95%以上の同一性の塩基配列を有する遺伝子、より好ましくは、その遺伝子の塩基の1個若しくは数個が欠失、置換又は付加された遺伝子を含む。
また、前記ホモログ遺伝子は、配列番号1に記載の塩基配列を有する遺伝子と相補的な塩基配列を有する遺伝子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする遺伝子を含む。具体的には、公知のデータベースに対するホモロジー検索プログラム(例えば、BLAST、FASTA)を適用して、又は、同定遺伝子の少なくとも一部から成るプローブ(当該遺伝子の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNA)を用いたストリンジェントな条件でのハイブリダイゼーション若しくはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの常法に基づいて、遺伝子(又はその遺伝子による形質転換で得られる酵素)として取得することができる。また、当業者であれば、塩基配列を置換等することによって、自ら設計することが可能である。なお、ここで言うストリンジェントな条件としては、例えば、Molecular Cloning −A LABORATORY MANUAL THIRD EDITION(Joseph Sambrook, David W. Russell., Cold Spring Harbor Laboratory Press)の非特許文献に記載されたハイブリダイズさせる条件が挙げられる。具体的には、6×SSC(1×SSCの組成:0.15M 塩化ナトリウム、0.015M クエン酸ナトリウムで、pH:7.0)、0.5% SDS、5×デンハート溶液及び100mg/mLニシン精子DNAを含む溶液に、プローブとともに65℃で8〜16時間恒温保持し、ハイブリダイズさせる条件である。
(微生物)
本実施形態の遺伝子及びエノイルCoAヒドラターゼ酵素をコードする遺伝子を導入することができる形質転換宿主微生物の例としては、遺伝子組み換え技術を適用することができる微生物であれば、特に限定されない。産業上の利用の観点から、具体例としては、大腸菌、酵母、コリネ型細菌、クロストリジウム属細菌が挙げられる。酵母としては、サッカロマイセス・セレビシエ、シゾサッカロマイセス・ポンベ、クリベロマイセス・ラクティス、クリベロマイセス・マルキシアヌス等が挙げられる。コリネ型細菌としては、コリネバクテリウム・グルタミカム、コリネバクテリウム・エフィシエンス、ブレビバクテリウム・ディバリカタム、ブレビバクテリウム・サッカロリティカム、ブレビバクテリウム・インマリオフィルム、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム、ブレビバクテリウム・ロゼウム、ブレビバクテリウム・フラバム、ブレビバクテリウム・チオゲニタリス、コリネバクテリウム・アセトアシドフィラム、コリネバクテリウム・アセトグルタミカム、コリネバクテリウム・カルナエ、コリネバクテリウム・リリウム、コリネバクテリウム・メラセコーラ、ミクロバクテリウム・アンモニアフィラム等が挙げられる。クロストリジウム属細菌としては、クロストリジウム・クリベリ、クロストリジウム・アセトブチリカム、クロストリジウム・アミノブチリカム、クロストリジウム・ベイジェリンキー、クロストリジウム・サッカロパーブチルアセトニカムなどが挙げられる。これらの中でも、大腸菌、サッカロマイセス・セレビシエ、シゾサッカロマイセス・ポンベ、コリネバクテリウム・グルタミカムを使用することが、形質転換が容易であるため、好ましく、大腸菌を使用することが、より好ましい。
本実施形態の遺伝子及びエノイルCoAヒドラターゼ酵素をコードする遺伝子を導入することができる形質転換宿主微生物の例としては、遺伝子組み換え技術を適用することができる微生物であれば、特に限定されない。産業上の利用の観点から、具体例としては、大腸菌、酵母、コリネ型細菌、クロストリジウム属細菌が挙げられる。酵母としては、サッカロマイセス・セレビシエ、シゾサッカロマイセス・ポンベ、クリベロマイセス・ラクティス、クリベロマイセス・マルキシアヌス等が挙げられる。コリネ型細菌としては、コリネバクテリウム・グルタミカム、コリネバクテリウム・エフィシエンス、ブレビバクテリウム・ディバリカタム、ブレビバクテリウム・サッカロリティカム、ブレビバクテリウム・インマリオフィルム、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム、ブレビバクテリウム・ロゼウム、ブレビバクテリウム・フラバム、ブレビバクテリウム・チオゲニタリス、コリネバクテリウム・アセトアシドフィラム、コリネバクテリウム・アセトグルタミカム、コリネバクテリウム・カルナエ、コリネバクテリウム・リリウム、コリネバクテリウム・メラセコーラ、ミクロバクテリウム・アンモニアフィラム等が挙げられる。クロストリジウム属細菌としては、クロストリジウム・クリベリ、クロストリジウム・アセトブチリカム、クロストリジウム・アミノブチリカム、クロストリジウム・ベイジェリンキー、クロストリジウム・サッカロパーブチルアセトニカムなどが挙げられる。これらの中でも、大腸菌、サッカロマイセス・セレビシエ、シゾサッカロマイセス・ポンベ、コリネバクテリウム・グルタミカムを使用することが、形質転換が容易であるため、好ましく、大腸菌を使用することが、より好ましい。
また、本実施形態における形質転換微生物は、微生物培養菌体そのもの又はその培養物の各種形態で使用されても良い。具体的には、本実施形態における微生物の培養物は、微生物培養菌体の培地・緩衝液等媒体による懸濁物、微生物培養菌体からの無細胞抽出液、さらにこの無細胞抽出液から当該反応を触媒する成分を濃縮・精製・抽出したもの等の処理物を含む。本実施形態における微生物の培養物は更に、前記の微生物の処理物を難溶性の担体に固定化したものを含む。このような固定化担体としては、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルホルムアミド、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、メチルセルロース、グルコマンナン、アルギン酸塩、カラギーナン等、更にこれらの共重合、架橋化物など、前述の微生物菌体もしくはその処理物を包合した水難溶性の固形分を形成するような化合物が挙げられる。これらは1種類を単独で使用しても良く、2種類以上を混合して使用しても良い。また、活性炭、多孔質セラミックス、グラスファイバー、多孔質ポリマー成形体、ニトロセルロース膜など、予め固形物として形成された物体上に微生物もしくはその抽出液・抽出成分を保持させたものも、微生物の培養物として用いることもできる。
(変換方法)
本実施形態の遺伝子は、前述したように、エノイルCoAヒドラターゼ酵素をコードする遺伝子と組み合わせて形質転換などにより微生物体内で発現させることで、3−ヒドロキシブチリルと4−ヒドロキシブチリルとの間での変換方法に適用することができる。
本実施形態の遺伝子は、前述したように、エノイルCoAヒドラターゼ酵素をコードする遺伝子と組み合わせて形質転換などにより微生物体内で発現させることで、3−ヒドロキシブチリルと4−ヒドロキシブチリルとの間での変換方法に適用することができる。
図1に、本実施形態に係る3−ヒドロキシブチリルと4−ヒドロキシブチリルとの間での変換方法を説明するための概略図を示す。後述する微生物体内に3−ヒドロキシブチリルCoAが供給されると、前記の遺伝子の作用により、ヒドロキシル基(OH基)が転位反応し、3−ヒドロキシブチリルCoAが4−ヒドロキシブチリルCoAへと変換される(S105及びS107)。また、この微生物体内に4−ヒドロキシブチリルCoAが供給されると、前記の遺伝子の作用により、OH基が転位反応し、4−ヒドロキシブチリルCoAが3−ヒドロキシブチリルCoAへと変換される。
配列番号1で示す遺伝子の、アミノ酸配列への翻訳結果は、GenBankのアクセッションNo.AJ250267で参照することができるクロストリジウム アミノブチリカム由来abfD遺伝子の翻訳結果と相同である。abfD遺伝子がコードする酵素の詳細は、Fermentation of 4−aminobutyrate by Clostridium aminobutyricum: cloning of two genes involved in the formation and dehydration of 4−hydroxybutyryl−CoA, Archives of Microbiology, 174(3) 189−199 (2000).などの非特許文献に記載されている。配列番号1で示す遺伝子は、翻訳配列及び前記遺伝子が提供する反応から、4−ヒドロキシブチリルCoAデヒトラターゼ活性を有する酵素をコードすると考えられる。しかしながら、比較例として後述するように、abfD遺伝子配列を含む組換え体を用いた場合では、3−ヒドロキシブチリルと4−ヒドロキシブチリルとの間での変換機能が作用しない。即ち、本実施形態においては、組換え体において、配列番号1の塩基配列を有する遺伝子と他の遺伝子との共発現によって、3−ヒドロキシブチリルと4−ヒドロキシブチリルとの間での変換機能が発現すると考えられる。なお、本実施形態の配列番号1で示す遺伝子と前述のabfD遺伝子とは、コードするアミノ酸配列は相同であるが、遺伝子情報処理ソフトウェア(GENETYX;GENETYX CORPORATION製)を用いた塩基配列の相同性は75%と大きく異なる。塩基配列が大きく異なる遺伝子を適用した本実施形態では、3−ヒドロキシブチリルと4−ヒドロキシブチリルとの間での高い変換効率を有する変換方法を提供することができる。
(1,4−ブタンジオールの製造方法)
前述の変換方法で得られる3−ヒドロキシブチリルCoA及び/又は4−ヒドロキシブチリルCoAは、そのアシルCoA部位を反応点として更に他の反応を組み合わせることで、ブタンジオール類を製造するための前駆体とすることができる。したがって、本実施形態の遺伝子は、効率の良いブタンジオール類(例えば、1,4−ブタンジオール)の製造方法に適用することができる。
前述の変換方法で得られる3−ヒドロキシブチリルCoA及び/又は4−ヒドロキシブチリルCoAは、そのアシルCoA部位を反応点として更に他の反応を組み合わせることで、ブタンジオール類を製造するための前駆体とすることができる。したがって、本実施形態の遺伝子は、効率の良いブタンジオール類(例えば、1,4−ブタンジオール)の製造方法に適用することができる。
図1には、本実施形態に係る1,4−ブタンジオールの製造方法を説明するための概略図も示した。本実施形態においては、配列番号1で示される遺伝子、エノイルCoAヒドラターゼ酵素をコードする遺伝子、更にアシルCoA還元酵素をコードする遺伝子を、微生物体内で発現させる。これらの遺伝子が発現した状態で、この微生物体内に3−ヒドロキシブチリルCoAが供給されると、先ず、4−ヒドロキシブチリルCoAに変換される(S105及びS107)。その後、アシルCoA還元酵素をコードする遺伝子の作用により1,4−ブタンジオールに変換される(S109)。また、3−ヒドロキシブチリルCoAは、アシルCoA還元酵素をコードする遺伝子の作用により、図示しない1,3−ブタンジオールに変換される。
なお、本実施形態では、下記で説明する酵素又は一連の酵素群を、遺伝子組み換えにより形質転換された微生物体内で共発現させることで、反応を進行させる。各酵素をコードする遺伝子を個別に、或いは、一連のクラスターとして、任意のベクターに挿入して宿主微生物を形質転換する。得られた形質転換体を、適当な炭素源、例えばグルコースを炭素源とする培地により培養することで、各遺伝子を発現させる。宿主で構成発現し得る遺伝子の場合には、培地中で形質転換体を培養することで、遺伝子が発現する。一方、各遺伝子をベクター上に配されたレギュレーターの制御下で構成した場合には、誘導基質を添加し、誘導的環境へ移行することにより、各々のコードする遺伝子が発現する。なお、本実施形態における培養とは、通常の微生物培養の培養条件を全て含み、また、培養するステップとは、微生物がブタンジオール類を製造するための十分な時間及び条件で培養することを意味する。
本実施形態のブタンジオール類の製造方法の基質となる3−ヒドロキシブチリルCoA又は4−ヒドロキシブチリルCoAの製造方法について説明する。先ず、アセチルCoAの供給下で、2分子のアセチルCoAから1分子のCoAが脱離し、アセトアセチルCoAを与える、チオラーゼ(EC番号2.3.1.9)をコードする遺伝子又はそのホモログを用いた酵素反応(S101)を利用する。なお、アセチルCoAは、解糖系などの既知のルートにより得られる。次に、得られたアセトアセチルCoAを還元して3−ヒドロキシブチリルCoAを与える活性を有するアセトアセチルCoAレダクターゼ(EC番号1.1.1.36)、3−ヒドロキシブチリルCoAデヒドロゲナーゼ(EC番号1.1.1.35)、3−ヒドロキシアシルCoAデヒドロゲナーゼ(EC番号1.1.1.157)又はこれらのホモログを用いた酵素反応により、3−ヒドロキシブチリルCoAを得ることができる。なお、アセトアセチルCoAレダクターゼ(EC番号:1.1.1.36)を使用した場合、(R)−3−ヒドロキシブチリルCoAを得ることができ、3−ヒドロキシブチリルCoAデヒドロゲナーゼ(EC番号:1.1.1.35)又は3−ヒドロキシアシルCoAデヒドロゲナーゼ(EC番号:1.1.1.157)を使用した場合、(S)−3−ヒドロキシブチリルCoAを得ることができる。
また、3−ヒドロキシブタン酸に直接CoAを転移する酵素として、プロピオン酸CoA転移酵素(EC番号2.8.3.1)が知られている。プロピオン酸CoA転移酵素をコードする遺伝子又はそのホモログの発現下、かつ、CoA転移反応のドナーとなるアセチルCoAの供給下で、微生物又は該微生物を含む培養物に3−ヒドロキシブタン酸を供給することにより、3−ヒドロキシブチリルCoAを生成することができる。また、4−ヒドロキシブタン酸にCoAを転移する酵素としては、Molecular analysis of the anaerobic succinate degradation pathway in Clostridium kluyveri, Journal of Bacteriology, 178 (3), 871−880 (1996).などの非特許文献に記載された4−ヒドロキシブチリルCoA;CoA転位酵素が知られている。この酵素をコードする遺伝子又はそのホモログの発現下、かつ、CoA転移反応のドナーとなるアセチルCoA供給下で、微生物又は該微生物の培養物に4−ヒドロキシブタン酸を供給することにより、4−ヒドロキシブチリルCoAを得ることができる。
(その他の酵素及び該酵素をコードする遺伝子)
次に、上述した各々の酵素と、該酵素をコードする遺伝子の具体例について、説明する。
次に、上述した各々の酵素と、該酵素をコードする遺伝子の具体例について、説明する。
[エノイルCoAヒドラターゼをコードする遺伝子]
本実施形態で用いられるエノイルCoAヒドラターゼは、3−ヒドロキシブチリルCoAを脱水してクロトニルCoAを生成する反応を触媒する酵素であれば、特に限定されない。
本実施形態で用いられるエノイルCoAヒドラターゼは、3−ヒドロキシブチリルCoAを脱水してクロトニルCoAを生成する反応を触媒する酵素であれば、特に限定されない。
(S)−3−ヒドロキシブチリルCoAからクロトニルCoAを生成する反応を触媒する酵素をコードする遺伝子の具体例としては、エノイルCoAヒドラターゼ(EC番号:4.2.1.17)をコードする遺伝子又はそのホモログが挙げられる。エノイルCoAヒドラターゼ(EC番号:4.2.1.17)をコードする遺伝子の詳細については、The complete stereochemistry of the enzymatic dehydration of 4−hydroxybutyryl coenzyme A to crotonyl coenzyme. A., Friedrich P, Darley DJ, Golding BT, Buckel W., Angewandte Chemie International Edition, 2008 47(17) 3254−3257 (2008).の非特許文献などを参照することができる。また、(R)−3−ヒドロキシブチリルCoAからクロトニルCoAを生成する反応を触媒する酵素をコードする遺伝子としては、エノイルCoAヒドラターゼ(EC番号:4.2.1.119)をコードする遺伝子又はそのホモログなどが挙げられる。エノイルCoAヒドラターゼ(EC番号:4.2.1.119)をコードする遺伝子の詳細については、Metabolism of poly−beta−hydroxybutyrate. II. Enzymatic synthesis of D−(−)−beta hydroxybutyryl coenzyme A by an enoyl hydrase from Rhodospirillum rubrum., Moskowitz GJ, Merrick JM. Journal Biochemistry., 8 2748−2755 (1969).の非特許文献などを参照することができる。
前述した通り、アセトアセチルCoAから3−ヒドロキシブチリルCoAを生成する反応を触媒するアセトアセチルCoAレダクターゼは、適用する酵素の種類によって、(R)体及び/又は(S)体の3−ヒドロキシブチリルCoAを生成することができる。また、3−ヒドロキシブチリルCoAからクロトニルCoAを生成する反応を触媒するエノイルCoAヒドラターゼも、同様の光学異性体の選択性を有する。即ち、本実施形態に係るブタンジオール類の製造方法では、アセトアセチルCoAレダクターゼとエノイルCoAヒドラターゼの光学選択性を適切に組み合わせることができるため、アセトアセチルCoAからクロトニルCoAを生成するまでの反応の収率などの観点から有利である。
[アシルCoA還元酵素をコードする遺伝子]
本発明で用いられるアシルCoA還元酵素遺伝子は、4−ヒドロキシブチリルCoAのCoA位を還元して1,4−ブタンジオールを生成する反応を触媒する酵素をコードするものであれば任意に選択することができる。具体的には、EC番号:1.2.1の一群に含まれる、アルデヒド体に作用する酸化還元酵素(例えばアルデヒドデヒドロゲナーゼ(EC番号1.2.1.10))をコードする遺伝子又はそのホモログを用いることができる。前述の酵素の詳細については、Purification, properties, and kinetic mechanism of coenzyme A−linked aldehyde dehydrogenase from Clostridium kluyveri., Journal Arch. Biochem. Biophys. 203 663−75 (1980).等の非特許文献を参照することができる。
本発明で用いられるアシルCoA還元酵素遺伝子は、4−ヒドロキシブチリルCoAのCoA位を還元して1,4−ブタンジオールを生成する反応を触媒する酵素をコードするものであれば任意に選択することができる。具体的には、EC番号:1.2.1の一群に含まれる、アルデヒド体に作用する酸化還元酵素(例えばアルデヒドデヒドロゲナーゼ(EC番号1.2.1.10))をコードする遺伝子又はそのホモログを用いることができる。前述の酵素の詳細については、Purification, properties, and kinetic mechanism of coenzyme A−linked aldehyde dehydrogenase from Clostridium kluyveri., Journal Arch. Biochem. Biophys. 203 663−75 (1980).等の非特許文献を参照することができる。
得られるアルデヒド体は、宿主のアルコールデヒドロゲナーゼによりアルコールに導かれるため、1、4−ブタンジオールを得ることができる。本実施形態の変形例として、4−ヒドロキシブタナール還元活性を持つアルコールデヒドロゲナーゼを合わせて共発現させた場合においても、1、4−ブタンジオールを得ることができる。また、本実施形態の他の変形例として、複合機能を有するアルデヒド/アルコール還元酵素をコードする遺伝子又はそのホモログを用いて、4−ヒドロキシブチリルCoAから1,4−ブタンジオールを得ることも可能である。このような複合機能を有する酵素の詳細については、Molecular Characterization and Transcriptional Analysis of adhE2, the Gene Encoding the NADH−Dependent Aldehyde/Alcohol Dehydrogenase Responsible for Butanol Production in Alcohologenic Cultures of Clostridium acetobutylicum ATCC 824.,Journal of Bacteriology, 184 (3) 821−830 (2002).などの非特許文献を参照することができる。
(培養条件)
本発明の反応は、もっとも簡便には、例えば形質転換体をLB培地などの栄養培地で15℃〜40℃、望ましくは18℃〜37℃の温度で24時間程度培養したのち、通常の炭素源、例えば0.01〜50%、望ましくは0.1〜30%のグルコースを炭素源とする培地に移殖し、引き続き同様の温度で1時間〜200時間程度培養し、その過程で培養液中にブタンジオール類を蓄積させることにより達せられる。また菌の増殖・反応の進行による炭素源の消費に応じて、連続的あるいは間欠的に炭素源を添加してもよく、この場合の炭素源の反応液中濃度は前記の限りではない。
(培養条件)
本発明の反応は、もっとも簡便には、例えば形質転換体をLB培地などの栄養培地で15℃〜40℃、望ましくは18℃〜37℃の温度で24時間程度培養したのち、通常の炭素源、例えば0.01〜50%、望ましくは0.1〜30%のグルコースを炭素源とする培地に移殖し、引き続き同様の温度で1時間〜200時間程度培養し、その過程で培養液中にブタンジオール類を蓄積させることにより達せられる。また菌の増殖・反応の進行による炭素源の消費に応じて、連続的あるいは間欠的に炭素源を添加してもよく、この場合の炭素源の反応液中濃度は前記の限りではない。
微生物を培養するための培地炭素源としては、グルコースやシュークロース、フルクトース等の糖類、 グリセロール等のポリオール、エタノールや酢酸、クエン酸、コハク酸、乳酸、安息香酸、脂肪酸などの有機物またはこれらのアルカリ金属塩、n-パラフィンなどの脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、または例えばペプトン、肉エキス、魚エキス、大豆粉、ふすま等の天然有機物を、単独、あるいはこれらの組み合わせにより、通常0.01%〜30%、望ましくは0.1%〜20%程度の濃度で用いることができる。
微生物を培養するための培地窒素源としては、例えば硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウムなどの無機窒素化合物、また尿素、尿酸などの含窒素有機物、ペプトン、肉エキス、魚エキス、大豆粉等の天然有機物を単独、あるいはこれらの組み合わせにより、通常0.01%〜20%、望ましくは0.1%〜10%程度の濃度で用いることができる。
さらに必要に応じて、リン酸2水素カリウム等のリン酸塩、硫酸マグネシウム、硫酸第一鉄、酢酸カルシウム、塩化マンガン、硫酸銅、硫酸亜鉛、硫酸コバルト、硫酸ニッケルなどの金属塩を菌の生育、酵素活性の改善のために添加することができる。添加濃度は培養条件により異なるが、通常、リン酸塩に関しては0.01%〜5%、マグネシウム塩においては10ppm〜1%、他の化合物では0.1ppm〜1,000ppm程度である。また選択する培地により、ビタミン類、アミノ酸、核酸などの供給源として例えば酵母エキス、カザミノ酸、酵母核酸を1ppm〜100ppm程度、菌の生育、酵素活性を改善のために添加することができる。
培地のpHは、4.5〜9、望ましくは5〜8に調整することが望ましい。また前記のような培地であらかじめ培養された微生物菌体を、遠心分離、膜ろ過などの方法により培養液から分取し、反応原料を含む水、生理食塩水、または培養のpHと同等のpHに調整されたリン酸、酢酸、ホウ酸、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンなどとこれらの塩よりなる緩衝液などに再度懸濁し、反応させることは、反応液中の夾雑物を低減し、後の生成物の分取を簡便にするために有用である。反応中のpHは、充分な濃度の緩衝液を用いる場合においては通常維持されうるが、反応の進行により上記pHを逸脱する場合においては、同様のpHとなるよう水酸化ナトリウム、アンモニアなどを用いて適宜調整することが望ましい。
反応液中に生成したブタンジオール類の分離回収および精製は、ブタンジオール類の生成量が実質的な量に達した時点で、反応液から菌体を遠心分離により除去してから、あるいはそのままの反応液に、一般の有機化合物の分離回収および精製の手段を用いることで行うことができる。例えば、培養液から菌体その他を除去したろ液より、適当な有機溶媒を用いて抽出する。この抽出物をそのまま留去するほか、更に適当な溶媒で再抽出する、あるいはシリカゲル等のクロマトグラフィーを用いて精製する、もしくは多段蒸留等に供することにより、高純度のブタンジオール類が得られる。
反応液中にブタンジオール類が蓄積することにより、反応速度が低下する場合、生成物の濃度に応じて反応液中に、水、生理食塩水、反応緩衝液等を追加し連続的に希釈してゆく方法は好適である。また反応速度が低下した時点で菌を分取し、上清を生産物溶液として回収し、分取した菌は再度反応原料を含む溶液あるいは懸濁液に戻すことにより、反応速度を回復することができる。この操作は、遠心分離器や分離膜等を用いて連続的に、あるいは回分的にも実施することができる。
以下に、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されない。
(実施例1)
配列番号3で示される塩基配列(4−ヒドロキシブチリルCoA;CoA転位酵素に対応)の、5'末端にGGATCC(BamHIサイト相当)、3'末端にCTCGAG(XhoIサイト相当)を付加した平滑末端断片を常法により全合成し、pUC18のマルチクローニングサイト中のSmaIサイトに挿入したプラスミドを得た。得られたプラスミドを制限酵素処理して、配列3の領域を含むBamHI−XhoI断片を得た。得られた遺伝子断片を、発現ベクターpET17b(ノバジェン社製)のマルチクローニングサイト中、BamHI−XhoIサイトに常法により挿入して、プラスミドpETSD3を得た。
配列番号3で示される塩基配列(4−ヒドロキシブチリルCoA;CoA転位酵素に対応)の、5'末端にGGATCC(BamHIサイト相当)、3'末端にCTCGAG(XhoIサイト相当)を付加した平滑末端断片を常法により全合成し、pUC18のマルチクローニングサイト中のSmaIサイトに挿入したプラスミドを得た。得られたプラスミドを制限酵素処理して、配列3の領域を含むBamHI−XhoI断片を得た。得られた遺伝子断片を、発現ベクターpET17b(ノバジェン社製)のマルチクローニングサイト中、BamHI−XhoIサイトに常法により挿入して、プラスミドpETSD3を得た。
配列番号1で示される塩基配列の、5'末端にCATATG(NdeIサイト相当)、3'末端にAAGCTT(HindIIIサイト相当)を付加した平滑末端断片を常法により全合成し、pUC18のマルチクローニングサイト中のSmaIサイトに挿入したプラスミドを得た。得られたプラスミドを制限酵素処理し、配列1の領域を含むNdeI−HindIII断片を得た。得られた遺伝子断片を、発現ベクターpET17b(ノバジェン社製)のマルチクローニングサイト中、NdeI−HindIIIサイトに常法により挿入しプラスミドpETSD1を得た。得られたpETSD1をテンプレートとして、pETSD1のpET17bベクター由来T7プロモーター上流にアニールし、更にGGATCC(BamHIサイト相当)を5'側に追加したプライマーと、pETSD1の配列1の3'末端を相補し、更にGAGCTC(SacIサイト相当)を5'側に追加したプライマーと、を用いてPCRを行い、得られた増幅物をSacI処理して、断片1を得た。
配列番号2で示される塩基配列(エノイルCoAヒドラターゼに対応)の、5'末端にCATATG(NdeIサイト相当)、3'末端にCTCGAG(XhoIサイト相当)を付加した平滑末端断片を常法により全合成し、pUC18のマルチクローニングサイト中のSmaIサイトに挿入したプラスミドを得た。得られたプラスミドを制限酵素処理し、配列2の領域を含むNdeI−XhoI断片を得た。得られた遺伝子断片を、発現ベクターpETDuet(ノバジェン社製)のマルチクローニングサイト2中、NdeI−XhoIサイトに常法により挿入して、プラスミドpEDSD02を得た。得られたプラスミドpEDSD02をテンプレートとして、pEDSD02のpETDuetベクター由来T7Lacプロモーター上流にアニールし、さらに、GAGCTC(SacIサイト相当)を5'側に追加したプライマーと、pEDSD01の配列1の3'末端を相補し、更にGGATCC(BamHIサイト相当)の相補配列を5'側に追加したプライマーと、を用いてPCRを行い、得られた増幅物をSacI処理して断片2を得た。
断片1及び断片2を常法によりSacIサイト同士でライゲーションし、配列1及び配列2を含む断片3を得た。次に、断片3と、断片3の外側にpETSD3のBamHIサイトの上・下流側15bp(断片3のBamHIサイト含む)が各々両端に付加されるよう予め設計されたプライマーとを用いて、PCRを行った。得られた増幅物と、pETSD3のBamHI処理断片とを、In−Fusion HD Cloning Kit(タカラバイオ社製)で結合し、配列3、配列1及び配列2を含むプラスミドpETSD123を得た。
得られたプラスミドpETSD123を用いて、常法により大腸菌Rosetta Blue(DE3)株(ノバジェン社製)を形質転換した。
形質転換体pETSD123/Rosetta Blue(DE3)を、アンピシリン100mg/L、クロラムフェニコール32mg/Lを含むLB培地5mLで37℃、好気下で12時間培養した。培養液0.1mLを、アンピシリン100mg/L、クロラムフェニコール32mg/L、IPTG0.2mM、更に0.3%4−ヒドロキシブタン酸ナトリウムを含む5mLの評価培地1に移植し、30℃、好気下で48時間培養した。
評価培地1の組成は、
2% グルコース、
1% ペプトン(Difco社製)、
0.5% 酵母エキス(Difco社製)、
2.4% K2HPO4、
0.6% KH2PO4、
600ppm クエン酸鉄、
100ppm リボフラビン/蒸留水(pH 7.2)、
とした。
2% グルコース、
1% ペプトン(Difco社製)、
0.5% 酵母エキス(Difco社製)、
2.4% K2HPO4、
0.6% KH2PO4、
600ppm クエン酸鉄、
100ppm リボフラビン/蒸留水(pH 7.2)、
とした。
なお、評価培地1としては、上述の組成物を全て混和し、常温下で2時間撹拌した後、φ0.45μmのフィルターを用いてろ過滅菌したものを供した。
本実施形態において、4−ヒドロキシブタン酸ナトリウムは、国際公開2010/068953号公報に記載された合成方法に基づいて下記の方法で合成したものを使用した。0.1MのNaOHを溶解した50mLのメタノールを撹拌しながら、0.1Mのγ−ブチロラクトンを滴下した。1時間撹拌した後、溶液を60℃で3時間乾燥することで、無色の結晶を得た。得られた結晶に純水を加えて水溶液にし、得られた水溶液をHPLC(カラム:Shodex C18P−4E(昭和電工製)、カラム温度:40℃、溶離液:メタノール/10mM リン酸カリウム溶液(pH3)=10/90、検出:UV 210nm)に供した。γ−ブチロラクトン由来のピークが完全に消失して、4−ヒドロキシブタン酸ナトリウム由来の単一のピークが得られたことを確認した。
培養液の上清を、HPLC(カラム:Shodex SH−1011(昭和電工製)、カラム温度:60℃、溶離液:25mM硫酸水溶液、流速0.6mL/min、検出:示差屈折検出器)に供した。培養液中には、350mg/Lの3−ヒドロキシブタン酸が検出された。
本実施形態においては、培養液中に添加した4−ヒドロキシブタン酸骨格を有する化合物が、配列3で示される4−ヒドロキシブチリルCoA;CoA転位酵素をコードする遺伝子の作用により4−ヒドロキシブチリルCoAとなる。また、配列1の遺伝子及び配列2の遺伝子の作用により3−ヒドロキシブチリルCoAに変換される。変換された3−ヒドロキシブチリルCoAは更に、宿主である大腸菌が有するチオエステラーゼの作用により、3−ヒドロキシブタン酸として培養液中に排出されたと考えられる。
(比較例1)
実施例1で得られたプラスミドpETSD3を用いて、常法により大腸菌Rosetta Blue(DE3)株(ノバジェン社製)を形質転換して、形質転換体pETSD3/Rosetta Blue(DE3)を得た。得られた形質転換体を、実施例1と同様の方法により培養した。培養後の培養液を、実施例1と同様のHPLCに供したが、3−ヒドロキシブタン酸は検出されなかった。
実施例1で得られたプラスミドpETSD3を用いて、常法により大腸菌Rosetta Blue(DE3)株(ノバジェン社製)を形質転換して、形質転換体pETSD3/Rosetta Blue(DE3)を得た。得られた形質転換体を、実施例1と同様の方法により培養した。培養後の培養液を、実施例1と同様のHPLCに供したが、3−ヒドロキシブタン酸は検出されなかった。
比較例1の方法では、配列1及び配列2の遺伝子を有さないため、これらの遺伝子の作用がなく、4−ヒドロキシブチリルCoAから3−ヒドロキシブチリルCoAへと変換されなかったと考えられる。
(比較例2)
実施例1で得られたプラスミドpETSD123を、pETSD123上の配列1のコード領域前後より外向きにアニール・増幅を行うプライマーを用いて、インバースPCRし、pETSD123から配列1を除去した直鎖平滑末端断片を得た。
実施例1で得られたプラスミドpETSD123を、pETSD123上の配列1のコード領域前後より外向きにアニール・増幅を行うプライマーを用いて、インバースPCRし、pETSD123から配列1を除去した直鎖平滑末端断片を得た。
配列番号5で示される、クロストリジウム・アミノブチリカム野生株由来abfD(4−ヒドロキシブチリルCoAデヒドラターゼに対応)遺伝子配列の平滑末端断片を常法により全合成した。得られた平滑末端断片と前述の直鎖平滑末端断片のリン酸化物をライゲーションして形質転換し、PCR及び制限酵素処理によるマッピングから、配列1と同方向に配列5が単一置換挿入されたプラスミドpETSD523を得た。
得られたプラスミドpETSD523を用いて、常法により大腸菌Rosetta Blue(DE3)株(ノバジェン社製)を形質転換した、形質転換体pETSD523/Rosetta Blue(DE3)を得た。得られた形質転換体pETSD523/Rosetta Blue(DE3)は、実施例1と同様の方法で培養評価した。培養液中には、3−ヒドロキシブタン酸が検出されなかった。
本実施形態では、配列5の遺伝子が作用しなかったため、4−ヒドロキシブチリルCoAから3−ヒドロキシブチリルCoAへの変換が生じなかったと考えられる。
(実施例2)
配列番号4で示される塩基配列の平滑末端断片を常法により全合成し、クローニングベクターpUC18のマルチクローニングサイト中のSmaIサイトに挿入したプラスミドを得た。得られたプラスミドをテンプレートとし、配列4の5'末端、3'末端に対応する各15bpに加え、実施例1で得られたpETSD123のマルチクローニングサイト中のNdeIサイトCATATGの「CAT」を含む上流側15bp分、「ATG」を含む下流側15bp分に対応する配列を外側に付加した両端各30bpのプライマーを調製して増幅反応を行い、配列4を含む平滑末端断片を得た。得られた断片と、pETSD123を制限酵素サイトNdeIの中央からのインバースPCRによって得た直鎖断片とを、In−Fusionクローニングによりライゲーションし、配列1乃至4を含むプラスミドpETSD4123を得た。
配列番号4で示される塩基配列の平滑末端断片を常法により全合成し、クローニングベクターpUC18のマルチクローニングサイト中のSmaIサイトに挿入したプラスミドを得た。得られたプラスミドをテンプレートとし、配列4の5'末端、3'末端に対応する各15bpに加え、実施例1で得られたpETSD123のマルチクローニングサイト中のNdeIサイトCATATGの「CAT」を含む上流側15bp分、「ATG」を含む下流側15bp分に対応する配列を外側に付加した両端各30bpのプライマーを調製して増幅反応を行い、配列4を含む平滑末端断片を得た。得られた断片と、pETSD123を制限酵素サイトNdeIの中央からのインバースPCRによって得た直鎖断片とを、In−Fusionクローニングによりライゲーションし、配列1乃至4を含むプラスミドpETSD4123を得た。
得られたプラスミドpETSD4123を用いて、常法により大腸菌Rosetta Blue(DE3)株を形質転換した。
得られた形質転換体pETSD4123/Rosetta Blue(DE3)を、アンピシリン100mg/L、クロラムフェニコール32mg/Lを含むLB培地5mLで37℃、好気下で12時間培養した。培養液0.1mLを、アンピシリン100mg/L、クロラムフェニコール32mg/L、IPTG0.2mM、更に0.3% 4−ヒドロキシブタン酸ナトリウムを含む5mLの前記評価培地1に移植し、30℃、好気下で48時間培養した。培養液上清を、HPLC(カラム:Shodex SH−1011(昭和電工製)、カラム温度:60℃、溶離液:25mM硫酸水溶液、流速0.6mL/min、検出:示差屈折検出器)に供した。培養液中には、320mg/Lの3−ヒドロキシブタン酸、240mg/Lの1,3−ブタンジオール、220mg/Lの1,4−ブタンジオールが検出された。
本実施形態においては、培養液中に添加した4−ヒドロキシブタン酸骨格を有する化合物が、配列3で示される4−ヒドロキシブチリルCoA;CoA転位酵素をコードする遺伝子の作用により4−ヒドロキシブチリルCoAとなる。また、配列1の遺伝子及び配列2の遺伝子の作用により3−ヒドロキシブチリルCoAに変換される。変換された3−ヒドロキシブチリルCoAは、配列4のアルデヒド還元酵素をコードする遺伝子の作用により、3−ヒドロキシブチリルCoA又は4−ヒドロキシブチリルCoAから、各々、1,3−ブタンジオール又は1,4−ブタンジオールが生成し、更に、宿主である大腸菌が有するチオエステラーゼの作用により、3−ヒドロキシブチリルCoAから3−ヒドロキシブタン酸が生成し、これらが培養液中に排出されたと考えられる。
(比較例3)
実施例2で得られたプラスミドpETSD4123を、制限酵素BamHIで処理した。得られた2つの断片の長鎖側を切り出し、ライゲーションすることで、配列1及び2の遺伝子配列が除去されたプラスミドpETSD43を得た。
実施例2で得られたプラスミドpETSD4123を、制限酵素BamHIで処理した。得られた2つの断片の長鎖側を切り出し、ライゲーションすることで、配列1及び2の遺伝子配列が除去されたプラスミドpETSD43を得た。
得られたプラスミドpETSD43を用いて、常法により大腸菌Rosetta Blue(DE3)株を形質転換した。得られた形質転換体を、実施例2と同様の方法により、培養した。培養後の培養液中には、290mg/Lの1,4−ブタンジオールが検出され、3−ヒドロキシブタン酸、1,3−ブタンジオールは検出されなかった。
本実施形態においては、培養液中に添加した4−ヒドロキシブタン酸骨格を有する化合物が、配列3で示される4−ヒドロキシブチリルCoA;CoA転位酵素をコードする遺伝子の作用により4−ヒドロキシブチリルCoAとなる。しかしながら、配列1及び配列2の塩基配列を有する遺伝子の作用がないため、4−ヒドロキシブチリルCoAから3−ヒドロキシブチリルCoAへと変換されない。そのため、培養後の培養液中には、3−ヒドロキシブタン酸、1,3−ブタンジオールが検出されなかったと考えられる。
(実施例3)
実施例1及び実施例2と同様の方法により、ベクターpET17bのマルチクローニングサイトに個別に上流にT7プロモーターを配置し、配列4、配列1及び配列2をこの順序で挿入して、プラスミドpETSD412を得た。
実施例1及び実施例2と同様の方法により、ベクターpET17bのマルチクローニングサイトに個別に上流にT7プロモーターを配置し、配列4、配列1及び配列2をこの順序で挿入して、プラスミドpETSD412を得た。
また同様に、ベクターpCDFDuet(ノバジェン社製)のマルチクローニングサイト1に配列番号6で示される塩基配列を、マルチクローニングサイト2に配列番号7で示される塩基配列を挿入したプラスミドpCDSD6−7を得た。
得られたプラスミドpETSD412及びpCDSD6−7を用いて、常法により大腸菌Rosetta Blue(DE3)株を形質転換した。
得られた形質転換体pETSD412+pCDSD6−7/Rosetta Blue(DE3)を、アンピシリン100mg/L、ストレプトマイシン50mg/L、クロラムフェニコール32mg/Lを含むLB培地5mLで37℃、好気下で12時間培養した。培養液0.1mLを、アンピシリン100mg/L、ストレプトマイシン50mg/L、クロラムフェニコール32mg/L、IPTG0.2mMを含む5mLの前記評価培地1に移植し、30℃、好気下で48時間培養した。培養液上清を、HPLC(カラム:Shodex SH−1011(昭和電工製)、カラム温度:60℃、溶離液:25mM硫酸水溶液、流速0.6mL/min、検出:示差屈折検出器)に供した。培養液中には、410mg/Lの3−ヒドロキシブタン酸、220mg/Lの1,3−ブタンジオール、40mg/Lの1,4−ブタンジオールが検出された。
本実施形態では、配列6及び配列7を有する遺伝子の作用により、解糖系から供給されるアセチルCoAを基質として3−ヒドロキシブチリルCoAが生成する。また、配列1の遺伝子及び配列2の遺伝子の作用により、3−ヒドロキシブチリルCoAの一部が4−ヒドロキシブチリルCoAに変換される。配列4のアルデヒド還元酵素をコードする遺伝子の作用により、3−ヒドロキシブチリルCoA又は4−ヒドロキシブチリルCoAから、各々、1,3−ブタンジオール又は1,4−ブタンジオールが生成し、更に、宿主である大腸菌が有するチオエステラーゼの作用により、3−ヒドロキシブチリルCoAから3−ヒドロキシブタン酸が生成し、これらが培養液中に排出されたと考えられる。
(比較例4)
実施例1乃至実施例3と同様の方法により、ベクターpET17bのマルチクローニングサイトに、個別に上流にT7プロモーターを配置した配列4、配列5及び配列2をこの順序で挿入したプラスミドpETSD452を得た。
実施例1乃至実施例3と同様の方法により、ベクターpET17bのマルチクローニングサイトに、個別に上流にT7プロモーターを配置した配列4、配列5及び配列2をこの順序で挿入したプラスミドpETSD452を得た。
また同様に、ベクターpCDFDuet(ノバジェン社製)のマルチクローニングサイト1に配列番号6で示される塩基配列を、マルチクローニングサイト2に配列番号7で示される塩基配列を挿入したプラスミドpCDSD6−7を得た。
得られたプラスミドpETSD452及びpCDSD6−7を用いて、常法により大腸菌Rosetta Blue(DE3)株を形質転換した。
形質転換体pETSD452+pCDSD6−7/Rosetta Blue(DE3)を、アンピシリン100mg/L、ストレプトマイシン50mg/L、クロラムフェニコール32mg/Lを含むLB培地5mLで37℃、好気下で12時間培養した。培養液0.1mLを、アンピシリン100mg/L、ストレプトマイシン50mg/L、クロラムフェニコール32mg/L、IPTG0.2mMを含む5mLの前記評価培地1に移植し、30℃、好気下で48時間培養した。培養液上清を、HPLC(カラム:Shodex SH−1011(昭和電工製)、カラム温度:60℃、溶離液:25mM硫酸水溶液、流速0.6mL/min、検出:示差屈折検出器)に供試した。培養液中には、530mg/Lの3−ヒドロキシブタン酸、270mg/Lの1,3−ブタンジオールが検出された。
本実施形態では、配列5の遺伝子が作用しなかったため、4−ヒドロキシブチリルCoAから3−ヒドロキシブチリルCoAへの変換が生じず、結果として1,4‐ブタンジオールが生成しなかったと考えられる。
本出願は、2012年9月24日に日本国特許庁に出願された特願2012−209982号に基づく優先権を主張するものであり、特願2012−209982号の全内容を本出願に援用する。
Claims (8)
- 下記(a)〜(c)のいずれかに記載の遺伝子であって、エノイルCoAヒドラターゼをコードする遺伝子との組み合わせにより、微生物又は該微生物の培養物に、3−ヒドロキシブチリルCoAを4−ヒドロキシブチリルCoAへと、或いは、4−ヒドロキシブチリルCoAを3−ヒドロキシブチリルCoAへと変換する能力を付与できる、遺伝子。
(a)配列番号1の塩基配列を有する遺伝子
(b)配列番号1の塩基配列において1若しくは複数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を有する遺伝子であって、配列番号1の塩基配列に対して90%以上の同一性の塩基配列を有する遺伝子
(c)配列番号1に記載の塩基配列を有する遺伝子と相補的な塩基配列を有する遺伝子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする遺伝子 - 前記微生物が、大腸菌、酵母、コリネバクテリウム又はクロストリジウムである請求項1に記載の遺伝子。
- 請求項1に記載の遺伝子と、エノイルCoAヒドラターゼをコードする遺伝子と、を含む微生物。
- アシルCoA還元酵素をコードする遺伝子を更に含む請求項3に記載の微生物。
- 請求項3に記載の微生物又は該微生物の培養物を用いて、3−ヒドロキシブチリルCoAを4−ヒドロキシブチリルCoAへと、或いは、4−ヒドロキシブチリルCoAを3−ヒドロキシブチリルCoAへと変換する、変換方法。
- 請求項4に記載の微生物又は該微生物の培養物を用いて、1,4−ブタンジオールを製造する、製造方法。
- 前記微生物が、アセトアセチルCoA合成酵素又はアセトアセチルCoA還元酵素の少なくとも一方をコードする遺伝子を含む、請求項6に記載の製造方法。
- アセチルCoAから3−ヒドロキシブチリルCoAを経由して1,4−ブタンジオールを製造する、請求項6に記載の製造方法。
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