JPWO2014041917A1 - 流れパターンの語表現方法、語表現装置、および、プログラム - Google Patents

流れパターンの語表現方法、語表現装置、および、プログラム Download PDF

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Abstract

本発明は、位相幾何学的にN個の穴を有する多重連結外部領域における流れパターンの語表現を形成させるために、一つの穴を有する単連結外部領域において位相幾何学的に採り得る2種類の流れパターンを規定する語のうちのいずれか一語を付与し、付与した語に対して、流れパターンに一つの穴を加える場合に位相幾何学的に採り得る5種類の操作を規定した語のうちのいずれか一語を繰り返し付与することにより、N個の穴を有する多重連結外部領域に対応する語表現を形成させる。

Description

本発明は、流れパターンの語表現方法、語表現装置、および、プログラムに関する。
従来、気流や水流などの流れ場における最適な構造物の設計を行うために、風洞実験のほか、大規模な数値計算による流体シミュレーションが用いられている。
例えば、焼きなまし法(Simulated Annealing法)や遺伝的アルゴリズム法等を用いて構造物の設計変数を変化させながら、当該構造物に対する流体シミュレーションを繰り返し行う最適化技術が開発されている。
また、近年、流体等の数理モデルを構築して、流れのパターンのトポロジーを数理的に扱うことのできるアルゴリズムやプログラムが開発されている。
Tomasz Kaczynski, Konstantin Mischaikow, Marian Mrozek著 "Computational Homology" Springer, 2000年
しかしながら、従来の構造物設計の最適化手法においては、繰り返し行われる大規模計算により計算時間と設計コストの増大化を招くので、それらの制約上、探索範囲を限定せざるを得ず、導き出される最適な構造物が局所最適なものである可能性を排除できないという問題点を有していた。すなわち、従来、探索範囲をどこにするのかは、技術者の経験と直感に頼らざるを得ず、どこに探索範囲を設定したかによって、導き出される構造物の最適化結果が左右されるという問題があった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、流れ場における構造物設計を行うにあたって、構造物に対して採り得る流れパターンを経験や直感に頼ることなく容易に扱うことができる、流れパターンの語表現方法、語表現装置、および、プログラムを提供することを目的とする。
このような目的を達成するため、本発明の流れパターンの語表現方法は、位相幾何学的にN個の穴を有する多重連結外部領域における流れパターンの語表現方法であって、一つの穴を有する単連結外部領域において位相幾何学的に採り得る2種類の流れパターンを規定する語のうちのいずれか一語を付与するパターン語付与ステップと、上記パターン語付与ステップにて付与された語に対して、上記流れパターンに一つの穴を加える場合に位相幾何学的に採り得る5種類の操作を規定した語のうちのいずれか一語を繰り返し付与することにより、上記N個の穴を有する多重連結外部領域に対応する語表現を形成させる操作語付与ステップと、を含むことを特徴とする。
また、本発明の流れパターンの語表現方法は、位相幾何学的にN個の穴を有する多重連結外部領域における流れパターンの語表現方法であって、上記流れパターンに一つの穴を加える場合に位相幾何学的に採り得る5種類の操作を規定した語のうちのいずれか一語を繰り返し付与することにより、上記N個の穴を有する多重連結外部領域に対応する語表現を形成させる操作語付与ステップと、上記操作語付与ステップにて付与された語に対して、一つの穴を有する単連結外部領域において位相幾何学的に採り得る2種類の流れパターンを規定する語のうちのいずれか一語を付与するパターン語付与ステップと、を含むことを特徴とする。
また、本発明の流れパターンの語表現方法は、上記記載の流れパターンの語表現方法において、上記パターン語付与ステップは、上記一つの穴を有する単連結外部領域において位相幾何学的に採り得る2種類の流れパターンを規定する語に加えて、二つの穴を有する二重連結外部領域において吸い込み湧き出し対を持たないパターンを追加した、合計3種類の流れパターンを規定する語のうちのいずれか一語を付与することを特徴とする。
また、本発明の流れパターンの語表現方法は、上記記載の流れパターンの語表現方法において、上記合計3種類の流れパターンは、1)吸い込み湧き出し対をもち、二つのss−∂−saddle connectionをもつパターンI、2)上記吸い込み湧き出し対をもち、一つのsaddle point、それを結び内部に穴を持つhomoclinic saddle connectionと二つのss−saddle connectionをもつパターンII、および3)上記吸い込み湧き出し対をもたないパターンO、であることを特徴とする。
また、本発明の流れパターンの語表現方法は、上記記載の流れパターンの語表現方法において、上記パターン語付与ステップは、上記N個の穴を有する多重連結外部領域を形成しうる流線図において、ss−∂−saddle connectionが存在するか否かを判定し、ss−∂−saddle connectionが存在する場合に上記パターンIの語を与えるI分類ステップと、上記I分類ステップにおいてss−∂−saddle connectionが存在しない場合に、上記流線図においてss−saddle connectionが存在するか否かを判定し、ss−saddle connectionが存在する場合に上記パターンIIの語を与え、一方、ss−saddle connectionが存在しない場合に上記パターンOの語を与えるII/O分類ステップと、を含むことを特徴とする。
また、本発明の流れパターンの語表現方法は、上記記載の流れパターンの語表現方法において、上記位相幾何学的に採り得る5種類の操作は、1)一本のss−orbitを、一つのsaddle point、それを結び内部に穴をもつhomoclinic saddle connectionと二つのss−saddle connectionに置き換えるA操作、2)一本のss−orbitを、二つのss−∂−saddle connectionと新たに追加した境界上の二つの∂−saddleに置き換えるA操作、3)一本のclosed orbitを、一つの穴とsaddle pointを追加して8の字をした2本のhomoclinic軌道に置き換えるB操作、4)一本のclosed orbitを、新たに追加した穴の境界上に二つ∂−saddleをつけて一本の∂−saddle connectionでつなぐような軌道に置き換えるB操作、および、5)既に2k個(k>0)の∂−saddleをもつ境界に、新たに二つの∂−saddleを付け加えて一本の∂−saddle connectionでつなぎ内部に新たに付け加えた穴を置くC操作、であることを特徴とする。
また、本発明の流れパターンの語表現方法は、上記記載の流れパターンの語表現方法において、上記操作語付与ステップは、上記5種類の操作を規定した語を付与する場合に、1)一本のss−orbitが存在することを条件として、上記A操作または上記A操作を規定した語を付与し、2)一本のclosed orbitが存在することを条件として、上記B操作または上記B操作を規定した語を付与し、3)∂−saddlesを持つ境界が存在することを条件として、上記C操作を規定した語を付与することを特徴とする。
また、本発明は、流れパターンの語表現装置に関するものであり、本発明の流れパターンの語表現装置は、制御部を少なくとも備えた、位相幾何学的にN個の穴を有する多重連結外部領域における流れパターンの語表現装置であって、上記制御部は、一つの穴を有する単連結外部領域において位相幾何学的に採り得る2種類の流れパターンを規定する語のうちのいずれか一語を付与するパターン語付与手段と、上記パターン語付与手段により付与された語に対して、上記流れパターンに一つの穴を加える場合に位相幾何学的に採り得る5種類の操作を規定した語のうちのいずれか一語を繰り返し付与することにより、上記N個の穴を有する多重連結外部領域に対応する語表現を形成させる操作語付与手段と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明の流れパターンの語表現装置は、制御部を少なくとも備えた、位相幾何学的にN個の穴を有する多重連結外部領域における流れパターンの語表現装置であって、上記制御部は、上記流れパターンに一つの穴を加える場合に位相幾何学的に採り得る5種類の操作を規定した語のうちのいずれか一語を繰り返し付与することにより、上記N個の穴を有する多重連結外部領域に対応する語表現を形成させる操作語付与手段と、上記操作語付与手段により付与された語に対して、一つの穴を有する単連結外部領域において位相幾何学的に採り得る2種類の流れパターンを規定する語のうちのいずれか一語を付与するパターン語付与手段と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明は、プログラムに関するものであり、本発明のプログラムは、制御部を少なくとも備えたコンピュータに実行させるためのプログラムであって、上記制御部において実行される、位相幾何学的にN個の穴を有する多重連結外部領域における流れパターンの語表現を形成させるために、一つの穴を有する単連結外部領域において位相幾何学的に採り得る2種類の流れパターンを規定する語のうちのいずれか一語を付与するパターン語付与ステップと、上記パターン語付与ステップにて付与された語に対して、上記流れパターンに一つの穴を加える場合に位相幾何学的に採り得る5種類の操作を規定した語のうちのいずれか一語を繰り返し付与することにより、上記N個の穴を有する多重連結外部領域に対応する語表現を形成させる操作語付与ステップと、を実行させることを特徴とする。
また、本発明のプログラムは、制御部を少なくとも備えたコンピュータに実行させるためのプログラムであって、上記制御部において実行される、位相幾何学的にN個の穴を有する多重連結外部領域における流れパターンの語表現を形成させるために、上記流れパターンに一つの穴を加える場合に位相幾何学的に採り得る5種類の操作を規定した語のうちのいずれか一語を繰り返し付与することにより、上記N個の穴を有する多重連結外部領域に対応する語表現を形成させる操作語付与ステップと、上記操作語付与ステップにて付与された語に対して、一つの穴を有する単連結外部領域において位相幾何学的に採り得る2種類の流れパターンを規定する語のうちのいずれか一語を付与するパターン語付与ステップと、を実行させることを特徴とする。
また、本発明は記録媒体に関するものであり、上記記載のプログラムを記録したことを特徴とする。
この発明によれば、位相幾何学的にN個の穴を有する多重連結外部領域における流れパターンの語表現を形成させるために、一つの穴を有する単連結外部領域において位相幾何学的に採り得る2種類の流れパターンを規定する語のうちのいずれか一語を付与し、付与した語に対して、流れパターンに一つの穴を加える場合に位相幾何学的に採り得る5種類の操作を規定した語のうちのいずれか一語を繰り返し付与することにより、N個の穴を有する多重連結外部領域に対応する語表現を形成させる。これにより、本発明は、経験や直感に頼ることなく、構造物に対して採り得る流れパターンを語表現によって容易に扱うことができるという効果を奏する。例えば、一様流を仮定する橋梁や列車や自動車や航空機等の構造物の設計において、経験や直感に頼ることなく、構造物に対して採り得る全ての流れパターンを導き出すことができるとともに、ある流れパターンが採り得る全ての流れパターンのいずれに対応するかを語表現の一致によって確かめることができる。これにより、構造物の設計において、どの範囲を網羅したかを把握することができる。また、予め採り得る全ての流れパターンのうちで最適な流れパターン(例えば、オイルフェンスの設計において封じ込め可能な流れパターン)を決定して、適切な探索範囲で効率的なシミュレーションによる最適設計を行うことができる。
また、本発明によれば、上記において、一つの穴を有する単連結外部領域において位相幾何学的に採り得る2種類の流れパターンを規定する語に加えて、二つの穴を有する二重連結外部領域において吸い込み湧き出し対を持たないパターンを追加した、合計3種類の流れパターンを規定する語のうちのいずれか一語を付与する。これにより、本発明は、一様流を仮定する流れ場とともに一様流を仮定しない流れ場も含めて全ての取り得る流れパターンを容易に扱うことができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、上記において、合計3種類の流れパターンは、1)吸い込み湧き出し対をもち、二つのss−∂−saddle connectionをもつパターンI、2)上記吸い込み湧き出し対をもち、一つのsaddle point、それを結ぶhomoclinic saddle connectionと二つのss−saddle connectionをもつパターンII、および3)上記吸い込み湧き出し対をもたないパターンO、である。これにより、本発明は、基本となる全ての流れパターンに対してパターン語を付与することができ、具体的な流れパターンの語表現を扱えるようになるという効果を奏する。
また、本発明によれば、上記において、N個の穴を有する多重連結外部領域を形成しうる流線図において、ss−∂−saddle connectionが存在するか否かを判定し、ss−∂−saddle connectionが存在する場合にパターンIの語を与え、ss−∂−saddle connectionが存在しない場合に、流線図においてss−saddle connectionが存在するか否かを判定し、ss−saddle connectionが存在する場合にパターンIIの語を与え、一方、ss−saddle connectionが存在しない場合にパターンOの語を与える。これにより、本発明は、ある流れパターンが、基本となる3種類の流れパターンのうちのいずれに属するかを容易に把握することができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、上記において、位相幾何学的に採り得る5種類の操作は、1)一本のss−orbitを、一つのsaddle point、それを結び内部に穴をもつhomoclinic saddle connectionと二つのss−saddle connectionに置き換えるA操作、2)一本のss−orbitを、二つのss−∂−saddle connectionと新たに追加した境界上の二つの∂−saddleに置き換えるA操作、3)一本のclosed orbitを、一つの穴とsaddle pointを追加して8の字をした2本のhomoclinic軌道に置き換えるB操作、4)一本のclosed orbitを、新たに追加した穴の境界上に二つ∂−saddleをつけて一本の∂−saddle connectionでつなぐような軌道に置き換えるB操作、および、5)既に2k個(k>0)の∂−saddleをもつ境界に、新たに二つの∂−saddleを付け加えて一本の∂−saddle connectionでつなぎ内部に新たに付け加えた穴を置くC操作、である。これにより、本発明は、流れパターンに位相幾何学的な穴を付加する操作を行う場合に、具体的な操作語の語表現を扱えるようになるという効果を奏する。
また、本発明によれば、上記において、5種類の操作を規定した語を付与する場合に、1)一本のss−orbitが存在することを条件として、A操作またはA操作を規定した語を付与し、2)一本のclosed orbitが存在することを条件として、B操作またはB操作を規定した語を付与し、3)∂−saddlesを持つ境界が存在することを条件として、C操作を規定した語を付与する。これにより、位相幾何学的に操作を行うことができる操作に限定した語表現を形成させることができるという効果を奏する。
図1は、本実施形態の概要に示すフローチャートである。 図2は、構造安定な流れのパターンを模式的に示した図である。 図3は、領域における構造安定な流れの位相的分類を行う特徴的な軌道(流線)を全て記述した図である。 図4は、初期構造となる3種類の流れパターンを模式的に示す図である。 図5は、穴を一つ付け加えて構造安定な流れを構成する5種類の操作を模式的に示した図である。 図6は、二つの構造物と一様流がある場合の流れパターンの全分類を示す図である。 図7は、本実施形態が適用される本語表現装置100の一例を示すブロック図である。 図8は、パターン語の割り当て処理の一例を示すフローチャートである。 図9は、アルゴリズムBにおけるI系列の操作語の割り当て処理の一例を示すフローチャートである。 図10は、アルゴリズムBにおけるI系列の操作語の割り当て処理の一例を示すフローチャートである。 図11は、アルゴリズムBにおけるII系列の操作語の割り当て処理の一例を示すフローチャートである。 図12は、アルゴリズムBにおけるO系列の操作語の割り当て処理の一例を示すフローチャートである。 図13は、アルゴリズムB(I,II−Word alg)におけるI,II系列の操作語の割り当て処理の他の例を示すフローチャートである。 図14は、アルゴリズムB(I,II−Word alg)におけるI,II系列の操作語の割り当て処理の他の例を示すフローチャートである。 図15は、アルゴリズムB(0−Word alg)におけるO系列の操作語の割り当て処理の他の例を示すフローチャートである。 図16は、I系列におけるアルゴリズムAの処理の一例を示すフローチャートである。 図17は、II系列におけるアルゴリズムAの処理の一例を示すフローチャートである。 図18は、O系列におけるアルゴリズムAの処理の一例を示すフローチャートである。
以下に、本発明にかかる流れパターンの語表現方法、語表現装置、および、プログラムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
特に以下の実施形態においては、本発明を二次元流体のシミュレーションに適用した例について説明することがあるが、この場合に限られず、三次元流体のシミュレーションにおける任意の断面(構造物の断面等)についても、同様に本発明を適用することができる。
[本発明の実施形態の概要]
以下、本発明の実施形態の概要について図1を参照して説明し、その後、本実施形態の構成および処理等について詳細に説明する。ここで、図1は、本実施形態の概要に示すフローチャートである。
図1に示すように、まず、本実施形態は、位相幾何学的にN個の穴を有する多重連結外部領域における流れパターンの語表現を形成させるために、一つの穴を有する単連結外部領域において位相幾何学的に採り得る2種類の流れパターンを規定する語のうちのいずれか一語を付与する(ステップSA−1)。ここで、本実施形態は、上記の2種類の流れパターンに加えて更に、二つの穴を有する二重連結外部領域において吸い込み湧き出し対を持たないパターンを追加した、合計3種類の流れパターンを規定する語(「パターン語」と呼ぶ。)のうちのいずれか一語を付与してもよい。なお、一様流のない湖などの閉水域での構造物の設計に関しては、二つの穴を有する二重連結外部領域において吸い込み湧き出し対を持たないパターンのみを用いてもよい。
そして、本実施形態は、ステップSA−1にて付与された語に対して、流れパターンに一つの穴を加える場合に位相幾何学的に採り得る5種類の操作を規定した語(「操作語」と呼ぶ。)のうちのいずれか一語を付与し(ステップSA−2)、当該ステップSA−2の処理を穴の数がN個となるまで繰り返し行うことにより(ステップSA−3)、N個の穴を有する多重連結外部領域に対応する語表現を形成させる。
ここで、本実施形態において、「多重連結外部領域」とは、二次元(平面)の中にある領域で、複数の穴があいたものをいう。ここでいう「穴」という表現は、数学的な抽象表現であるが、応用上はさまざまな表現形態であってもよい。例えば、河川の表面の流れに注目した場合、そこに砂州が複数あった場合や、橋脚がいくつか刺さっているような状況があれば、その領域は多重連結外部領域として扱える。この他、海洋の上に島があるような場合も多重連結外部領域である。換言すれば、「流れの中に複数の障害物がある」ような流れを、本実施形態では、多重連結外部領域における流れとして扱う。また、孤立した渦構造や周囲に周期軌道を持つような流れ構造(楕円型の停留点など)も「穴」とみなすことができる。
本実施形態によれば、流れパターンに対して語表現を割り当てることによって、多重連結外部領域における流れの位相的分類が可能となる。位相的というのは数学の専門用語であり、トポロジー(位相幾何学)とも呼ばれる幾何学の一分野を指す。古典的な幾何学では、三角形や四角形はその角の数の違いにより異なる図形と見なすが、位相幾何学の立場ではそういった細かい情報を見ず、三角形と四角形を例えば輪ゴムを変形させて互いに移りあえるという立場にたって同じ図形と見なす。すなわちすべての多角形は、円と同じと見なす。一方で、円の中にもう一つ円がくりぬかれているような円環領域があったときに円と円環領域は一つの輪ゴムの変形では互いに変形できないので、異なる図形と見なす。多重連結外部領域では、空いている穴の数が異なれば、それらの図形は位相的に異なると見なす一方で、穴の形さえ同じであれば、その穴の形が円であろうが三角形であろうが線分であろうが同じものとみなす。このような理由から流れの領域を特徴づけるのは穴の数のみであるため、本実施形態では、穴の数M+1に対して多重連結外部領域をDζ(M)と表現する。例えば、穴が1つのみの場合は、単連結外部領域Dζ(0)であり、穴が2つ在る場合は、二重連結外部領域Dζ(1)となる。
流れの位相的分類を扱うときは、流れを特徴づけるある特定の構造(「位相構造」と呼ぶ。)を捕まえて、その特定の構造をもった流れが二つあったときに、その双方を特定の構造の連続的な(すなわち切ったり貼ったりしない)変形によって互いに変形できないものは異なる流れと見なす。このような流れの分類の中でも、本実施形態では、構造安定な流れを主に扱う。構造安定とは、与えられた流れに小さな擾乱(乱れ)が加わっても流れの特定の位相構造が変化しないものを呼ぶ。これはすべての起こりうる流れのパターンに対してある種の制限をつけることになるが、構造安定な流れは実用上重要なものであるため、その制限は特に問題とならない。すなわち、通常、流れの様子を観測したり、計算機によって流れの様子を可視化した場合には、観測誤差や計算誤差が入るので、こういった誤差によらない流れ構造が観測されやすいからである。
[流れの構成要素の説明]
ここで、本実施形態において扱う流れの構成要素について図2〜図4を参照して説明する。本実施形態における「流れ」とは非圧縮流れである。流体の非圧縮性とは、力を加えてもほとんどその体積を変えないような性質をいう。通常の水や大気の流れは、日常生活のスケールで考える場合は、こうした流れの枠組みで考えても概ね差し支えはない。なお、本発明は、これに限られず、圧縮性のある流れを計算上取り扱ってもよい。
本実施形態で扱う流れの構成要素は、以下の3つである。一つは障害物、一つは渦(vortex)、一つは一様流(uniform flow)である。障害物は多重連結外部領域における穴のことであり、この形状は位相的分類を考えている上で円としておいても数学的に与える結果に影響はないことが一般的な流体の数学理論から導くことができる。ここで、図2は、構造安定な流れのパターンを模式的に示した図である。なお、図2(c)は、4つのサドル点を持つ境界を模式的に示している。
図2(a)に示すように、渦はそのまわりで回転する流れを作る要素である。一様流とは、川の流れでいえば基本的な流れのことであり、領域全体を横切るような流れである。一様流を構成する要素は、吸い込み湧き出し対(1−source−sink)と呼ぶ(数学的定義Definition 2.1参照)。
Figure 2014041917
ここで、一様流ではなく吸い込み湧き出し対と呼ぶことには理由がある。その理由の説明のため、いくつかの数学的な解説を以下に行う。一様流が存在するとき、考えている流れの領域は無限に拡がる平面であり、その中に複数の穴(障害物)が埋め込まれているような多重連結外部領域であるが、このような流れを模式的(Schematic)に表現する上では扱いにくい。そのため、数学におけるstereographic projection(ステレオ射影・立体射影)と呼ばれる射影法によって、平面を球面の上に投影する。この場合、平面における無限遠点は球面の北極に、平面の原点は南極に対応させることができる。
このようにしておくと、一様流は球面の北極における流れの湧き出しと吸い込み対といった流れ構造となり、図2(b)のような流れ場に対応していることが数学的に示せる。さらに模式的に流れ場を表現するためには、球面は対称性の高い形状であるということを利用して、北極と南極の位置を適当にずらすことができるので、無限遠点を南極に、ある円形の穴(障害物)の中心を北極にあわせてから、再びstereographic projectionを使って平面に投影すると、南極に対応する原点付近の近くでは図2(b)のような流れができる。さらに無限遠点に中心を持つ円境界は平面の外側円境界に投影されるので、結果として平面全体の流れ場が、例えば図2のような形の有界な領域として表現できる。したがって、図2のような表現は適切な射影法を通じて、平面全体の中に一様流が入っている流れと等価なものである。本実施形態の説明では、流れを模式的に示すために便利であることから、このような射影法を用いて図に表現することにする。
図3は、このような領域における構造安定な流れの位相的分類を行う特徴的な軌道(流線)を全て記述した図である。図3(a)に示すように、まず吸い込み湧き出し対から出て自分自身に戻ってくる軌道をss−orbitと呼ぶ。次に、図3(b)に示すように、吸い込み湧き出し対から出て境界の上につながる軌道をss−∂ connectionと呼び、図3(c)に示すように、その軌道がつながっている境界上の点をss−∂−saddleと呼ぶ。
また、図3(e)に示すように、吸い込み湧き出し対からではなく、ある境界の上の点から出て同じ境界上の点につながる軌道を∂−saddle connectionと呼び、図3(d)に示すように、これによってつながれている境界上の点を∂−saddleと呼ぶ。また、図3(h)に示すような、境界上にない点をsaddle point(サドル点)と呼ぶが、図3(f)に示すように、吸い込み湧き出し対から出る軌道で、このsaddle pointにつながる軌道をss−∂−saddle connectionと呼ぶ。また、図3(g)に示すように、境界や渦の回りを作る閉曲線軌道をclosed orbitと呼び、図3(i)に示すように、saddle pointから出てそれ自身に戻るような軌道をhomoclinic saddle connectionと呼ぶ。対象とする構造安定な流れは、これらの軌道の組み合わせによってしか表現されないことが数学的に証明できる。
本実施形態では、上述したステップSA−2において、穴の数がM個ある多重連結外部領域Dζ(M−1)の流れに、一つの穴とそれに伴う流れの構造を付け足すことで、一つ穴の多い多重連結外部領域Dζ(M)の構造安定な流れ場を帰納的に構成していく。そのため、もっとも簡単な穴が一つの単連結外部領域Dζ(0)や、二重連結外部領域Dζ(1)で、これらの帰納的構成の初期構造になるものをステップSA−1で与えている。
具体的には、上述した合計3種類の流れパターンは、
1)吸い込み湧き出し対をもち、二つのss−∂−saddle connectionをもつパターンI、
2)吸い込み湧き出し対をもち、一つのsaddle point、それを結ぶhomoclinic saddle connectionと二つのss−saddle connectionをもつパターンII、および
3)吸い込み湧き出し対をもたないパターンO、
である。ここで、図4は、初期構造となる3種類の流れパターンを模式的に示す図である。
すなわち、図4(a)と(b)に示すように、穴が一個の単連結外部領域Dζ(0)にある構造安定な流れは、パターンIとパターンIIの2種類存在する。これらのパターンは、ともに吸い込み湧き出し対を持ち、数学的にはこれら2種類しかないことが証明できる。一様流を仮定した吸い込み湧き出し対を持つような流れに対して、原則的には二重連結外部領域Dζ(1)は、これらから構成されるが、吸い込み湧き出し対を持たない流れはここから構成されないので、その流れを構成するために必要な初期流れが図4(c)に模式的に示されるパターンOである。なお、これらの位相構造は表現の簡便さのため、吸い込み湧き出し対を丸囲みSと図示し、ss−orbitやclosed orbitは、無限に存在するので表現せず、以後、模式的に図4(d)や(e)のように簡略的に表す。また、図4(c)に示すように、吸い込み湧き出し対を持たない二重連結外部Dζ(1)における構造安定な流れのパターンclosed orbitsも、すべて書かないで図4(f)のように簡略に記す。
[操作語の説明]
帰納的に構造安定な流れを構成していくために、穴を一つとそれに伴う流れの構造を追加するという「操作」について、図5および図6を参照して説明する。すなわち、穴の数がM個ある多重連結外部領域Dζ(M−1)の流れに、一つの穴を加えて多重連結外部領域Dζ(M)の流れを求める操作について説明する。
上述したステップSA−2において、位相幾何学的に採り得る5種類の操作は、
1)一本のss−orbitを、一つのsaddle point、それを結び内部に穴をもつhomoclinic saddle connectionと二つのss−saddle connectionに置き換えるA操作、
2)一本のss−orbitを、二つのss−∂−saddle connectionと新たに追加した境界上の二つの∂−saddleに置き換えるA操作、
3)一本のclosed orbitを、一つの穴とsaddle pointを追加して8の字をした2本のhomoclinic軌道に置き換えるB操作、
4)一本のclosed orbitを、新たに追加した穴の境界上に二つ∂−saddleをつけて一本の∂−saddle connectionでつなぐような軌道に置き換えるB操作、および、
5)既に2k個(k>0)の∂−saddleをもつ境界に、新たに二つの∂−saddleを付け加えて一本の∂−saddle connectionでつなぎ内部に新たに付け加えた穴を置くC操作、
である。ここで、図5は、穴を一つ付け加えて構造安定な流れを構成する5種類の操作を模式的に示した図である。
図5(a)に示すように、操作AとAは一本のss−orbitに対して行われる。また、図5(b)に示すように、操作BとBは、一本のclosed orbitに対して行われる。また、図5(c)に示すように、操作Cは、既に∂−saddlesを持つ境界に対して行われる。なお、構造安定性を維持しながらそのようなことを可能にする操作が、上記の5種類しかないことが数学的に証明可能である(Theorem 3.1, Corollary3.1, Theorem 3.2参照)。
Figure 2014041917
Figure 2014041917
Figure 2014041917
ステップSA−1で与えた初期構造の3種類の流れパターンI,II,Oから、これらの操作を行って一つずつ穴を増やす(M→M+1)ことで、多くの穴を持つ領域における流れが帰納的に構成されるので、本実施形態では、その操作を表す操作語の列を文字列と見なして列挙することで、流れ場の語表現(Word represetnation)を得ることができる。ここで、図6は、二つの構造物と一様流がある場合の流れパターンの全分類を示す図である。図6に示すように、単連結外部領域Dζ(0)における初期構造のパターンI,IIに対して、操作語を付与することで、二重連結外部領域Dζ(1)における全ての流れパターンを記述することができる。ただし、図6に示す全ての流れパターンは、2種類(I,II)×5種類(A,A,B,B,C)の計10種類とはなっていない。すなわち、操作語は、5種類の操作語を任意に並べてできるわけではなく、数学的な理由から様々な制約がつく。
ここで、制約について説明すれば以下のようになる。すなわち、図5を用いて上述したように、操作AとAは、一本のss−orbitに対して行われるので、この操作を行う前提として、一本のss−orbitの存在が不可欠となる。また、操作BとBは、一本のclosed orbitに対して行われるので、この操作を行う前提として、一本のclosed orbitの存在が不可欠である。また、操作Cは、∂−saddlesを持つ境界に対して行われるので、この操作を行う前提として、∂−saddlesを持つ境界の存在が不可欠となる。そのため、パターン語をI,II,Oのどこからはじめるかによって並べ方のルールは異なる。上記の制約条件に基づいて導出される、各パターン語I,II,Oからはじまる文字列の並べ方のルールについて、以下に説明する。
まず、湧き出し吸い込み対を持たないOのパターン語からはじめる場合には、次のようなルールがある。Oから始まる語表現に対して、それが構造安定な流れを表すために以下が必要十分である。
O−1)実際に施すことができる操作は、B,B,Cのみであり、その結果、Oから始まる語表現はこれら三つの語を列挙したものとなる。
O−2)操作列の語表現においてCの語が含まれるためには、それ以前に必ずBが存在しなければならない。
このような文字列をO系列の語(O−Word)と呼び、そのルールの正しさは数学的に証明可能である(Lemma 3.1参照)。
Figure 2014041917
次に、パターン語Iから始まる語表現については、以下のルールが成り立つ必要がある。
I−1) 実施可能な操作はA,A,B,B,Cの全てであり、その結果、Iから始まる語表現はこれら5種類の操作語を列挙したものである。
I−2) 操作列の語表現において、BあるいはBの語が含まれるためには、それ以前に必ずCかAが存在しなければならない。
このような文字列をI系列の語(I−Word)と呼び、そのルールの正しさは数学的に証明可能である(Lemma3.3参照)
Figure 2014041917
最後にパターン語IIから始まる語表現については、以下のルールが成り立つ必要がある。
II−1)実施可能な操作はA,B,B,Cであり、その結果、Iから始まる語表現はこれら四つの語を列挙したものである。
II−2)操作列の語表現においてCの語が含まれるためには、それ以前に必ずBが存在しなければならない。
このような文字列をII系列の語(II−Word)と呼び、そのルールの正しさは数学的に証明可能である(Lemma 3.4参照)。
Figure 2014041917
つづいて、上述した本実施形態の方法をコンピュータにより実施するための装置構成や処理の詳細について、以下に詳しく説明する。なお、以上の本実施形態による方法を、人またはコンピュータにより実施してもよく、以下の実施形態による処理等を人により実施する場合に用いてもよいものである。
[語表現装置の構成]
次に、本実施形態における語表現装置の構成について図7を参照して説明する。図7は、本実施形態が適用される本語表現装置100の一例を示すブロック図であり、該構成のうち本実施形態に関係する部分のみを概念的に示している。
図7に示すように、本実施形態における語表現装置100は、概略的に、制御部102と記憶部106を少なくとも備え、本実施形態において、更に、入出力制御インターフェース部108と通信制御インターフェース部104を備える。ここで、制御部102は、語表現装置100の全体を統括的に制御するCPU等である。また、通信制御インターフェース部104は、通信回線等に接続されるルータ等の通信装置(図示せず)に接続されるインターフェースであり、入出力制御インターフェース部108は、入力装置112や出力装置114に接続されるインターフェースである。また、記憶部106は、各種のデータベースやテーブルなどを格納する装置である。これら語表現装置100の各部は任意の通信路を介して通信可能に接続されている。更に、この語表現装置100は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、ネットワーク300に通信可能に接続されている。
記憶部106に格納される各種のデータベースやテーブル(シミュレーション結果ファイル106a、流線図ファイル106b、および、語表現ファイル106c等)は、固定ディスク装置等のストレージ手段である。例えば、記憶部106は、各種処理に用いる各種のプログラム、テーブル、ファイル、データベース、および、ウェブページ等を格納する。
これら記憶部106の各構成要素のうち、シミュレーション結果ファイル106aは、シミュレーション部102aにより数理的にシミュレーションされた、シミュレーション結果を示すデータを記憶するシミュレーション結果記憶手段である。例えば、シミュレーション結果ファイル106aは、構造物の形状を示す設計変数の値や、その構造物に対する所定の流体(海流や気流等)の流体力学的シミュレーション結果(各空間座標における流体の圧力や流れの向き等)を示すデータであってもよい。なお、シミュレーション結果ファイル106aは、風洞実験等の実験室内でのモデル計測などを通じて事前に入力装置112を介して入力されたデータをシミュレーション結果として記憶してもよい。
また、流線図ファイル106bは、流線図等の流線を示すデータを記憶する流線データ記憶手段である。例えば、流線図ファイル106bに記憶される流線データは、シミュレーション結果を示すデータに基づいて流線解析部102bにより解析された流線を示すデータであってもよい。
また、語表現ファイル106cは、語表現データを記憶する語表現記憶手段である。例えば、語表現ファイル106cに記憶される語表現データは、パターン語と操作語の組み合わせからなる文字列等である。
図7に戻り、入出力制御インターフェース部108は、入力装置112や出力装置114の制御を行う。ここで、出力装置114としては、モニタ(家庭用テレビを含む。)の他、スピーカを用いることができる(なお、以下においては出力装置114をモニタとして記載する場合がある)。また、入力装置112としては、キーボード、マウス、およびマイク等を用いることができる。
また、図7において、制御部102は、OS(Operating System)等の制御プログラムや、各種の処理手順等を規定したプログラム、および、所要データを格納するための内部メモリを有する。そして、制御部102は、これらのプログラム等により、種々の処理を実行するための情報処理を行う。制御部102は、機能概念的に、シミュレーション部102a、流線解析部102b、パターン語付与部102c、操作語付与部102d、および、極大語表現部102eを備える。
このうち、シミュレーション部102aは、構造物に対する流体のシミュレーションを行うシミュレーション手段である。ここで、シミュレーション部102aは、2次元平面におけるシミュレーションに限られず、3次元空間における流体のシミュレーションを行ってもよいものである。また、シミュレーション部102aは、公知の最適化手法を用いて、構造物の最適化を行ってもよい。例えば、シミュレーション部102aは、構造物の形状を決定する設計変数を、焼きなまし法や遺伝的アルゴリズム法等を用いて繰り返し変化させながら、当該構造物に対する流体シミュレーションを行って、適切な構造物の形状(例えば、水流に対する抵抗の少ない橋脚の形状等)を求めてもよい。なお、本実施形態において、シミュレーション部102aは、シミュレーション結果を示すデータをシミュレーション結果ファイル106aに格納する。例えば、シミュレーション部102aは、構造物の形状を示す設計変数の値や、その構造物に対する所定の流体(海流や気流等)の流体力学的シミュレーション結果(各空間座標における流体の圧力や流れの向きや抵抗等)を示すデータを格納してもよい。
また、流線解析部102bは、流線解析を行う流線解析手段である。ここで、流線解析部102bは、シミュレーション部102aによるシミュレーション結果に対し流線解析を行って流線図を導出してもよい。例えば、流線解析部102bは、シミュレーション結果ファイル106aに記憶された、数値シミュレーションや実験のデータから、公知の手法を用いて流線図を作成する。具体的には、流線解析部102bは、数値シミュレーション結果から、saddle pointやsource−sinkなどをすべて計算した後、その点における流れ関数の値と同じ値を持つ流れ関数の等高線をすべて描画し、また、境界(boundary)上の流れ関数の値と同じ値を持つ流れ関数の等高線をすべて描画することにより流線図の作成が可能となる。なお、3次元のシミュレーション結果の場合、流線解析部102bは、構造物における断面における2次元のデータに変換してから、流線解析を行ってもよい。断面とする平面は任意であるが好適には、流線解析部102bは、流体の流れ方向(一様流)の方向に沿った断面で2次元データに変換してもよい。例えば、列車や自動車や航空機等の乗り物においては、進行方向に沿って断面を生成してもよい。また、流線解析部102bは、Computational Homology(非特許文献1)に記載の技術等を用いて、流れ場から条件を満たす特徴的な構造を抽出してもよい。なお、本実施形態において、流線解析部102bは、作成した流線図データを流線図ファイル106bに格納する。
また、パターン語付与部102cは、一つの穴を有する単連結外部領域において位相幾何学的に採り得る2種類の流れパターンを規定する語(例えば、パターン語I,II)のうちのいずれか一語を付与するパターン語付与手段である。ここで、パターン語付与部102cは、上記に加えて、二つの穴を有する二重連結外部領域において吸い込み湧き出し対を持たないパターンを追加した、合計3種類の流れパターンを規定する語(すなわちパターン語I,II,O)のうちのいずれか一語を付与してもよい。より具体的には、3種類の流れパターンは、
1)吸い込み湧き出し対をもち、二つのss−∂−saddle connectionをもつパターンI、
2)吸い込み湧き出し対をもち、一つのsaddle point、それを結ぶhomoclinic saddle connectionと二つのss−saddle connectionをもつパターンII、および
3)吸い込み湧き出し対をもたないパターンO、
である。
ここで、パターン語付与部102cは、流線図から語表現を求めるアルゴリズム(「アルゴリズムB」と呼ぶ。)において、流線図に、ss−∂−saddle connectionが存在するか否かを判定し、ss−∂−saddle connectionが存在する場合にパターンIの語を与えるI分類ステップと、I分類ステップにおいてss−∂−saddle connectionが存在しない場合に、流線図においてss−saddle connectionが存在するか否かを判定し、ss−saddle connectionが存在する場合にパターンIIの語を与え、一方、ss−saddle connectionが存在しない場合にパターンOの語を与えるII/O分類ステップと、を行ってもよい。これにより、パターン語付与部102cは、流線図が属する系列(I系列,II系列,O系列)を適切に判別することができる。
また、操作語付与部102dは、流れパターンに一つの穴を加える場合に位相幾何学的に採り得る5種類の操作を規定した語(例えば、操作語A,A,B,B,C)のうちのいずれか一語を繰り返し付与することにより、N個の穴を有する多重連結外部領域に対応する語表現を形成させる操作語付与手段である。より具体的には、5種類の操作は、
1)一本のss−orbitを、一つのsaddle point、それを結び内部に穴をもつhomoclinic saddle connectionと二つのss−saddle connectionに置き換えるA操作、
2)一本のss−orbitを、二つのss−∂−saddle connectionと新たに追加した境界上の二つの∂−saddleに置き換えるA操作、
3)一本のclosed orbitを、一つの穴とsaddle pointを追加して8の字をした2本のhomoclinic軌道に置き換えるB操作、
4)一本のclosed orbitを、新たに追加した穴の境界上に二つ∂−saddleをつけて一本の∂−saddle connectionでつなぐような軌道に置き換えるB操作、および、
5)既に2k個(k>0)の∂−saddleをもつ境界に、新たに二つの∂−saddleを付け加えて一本の∂−saddle connectionでつなぎ内部に新たに付け加えた穴を置くC操作、
である。
ここで、操作語付与部102dは、以下の制約条件に従って操作語を付与してもよい。すなわち、操作語付与部102dは、5種類の操作語を付与する場合に、
1)一本のss−orbitが存在することを条件に、操作語AまたはAを付与し、
2)一本のclosed orbitが存在することを条件に、操作語BまたはBを付与し、
3)∂−saddlesを持つ境界が存在することを条件に、操作語Cを付与してもよい。なお、当該制約条件にしたがった操作語付与部102dの具体的な処理の詳細については、フローチャートを参照して後述する。なお、本実施形態において、操作語付与部102dは、パターン語に対して付与した操作語の文字列である語表現を語表現ファイル106cに格納する。
また、極大語表現部102eは、パターン語付与部102cおよび操作語付与部102dにより形成された語表現(パターン語および操作語の組み合せからなる文字列)を極大語に変換する極大語表現手段である。すなわち、全ての採り得る流れパターンを書き出すアルゴリズム(以下、「アルゴリズムA」と呼ぶ。)において、パターン語付与部102cおよび操作語付与部102dにより形成された語表現群は、流れパターンを全て書き出しているものの、互いに同じ流れパターンを規定した語表現や、互いに包含関係となる流れパターンを規定した語表現が存在する。そこで、極大語表現部102eは、これらの語表現群に対して、重複する語表現や、包含される語表現等を排除することにより、極大語表現(maximal word representation)とする処理を行う。例えば、極大語表現部102eは、以下の表で示される包含関係に従って、語表現を入れ替えて極大語表現を形成させる。なお、下表において「=」は一致関係、「≦」または「≧」は包含関係を示す。唯一の例外はBとCであり、これは入れ替えても包含関係が成立しないので、この二つは入れ替えることができないので、このことを、BC||CBと象徴的に表している。なお、当該関係式にしたがった極大語表現部102eの具体的な処理の詳細については、フローチャートを参照して後述する。
Figure 2014041917
以上が、本実施形態における語表現装置100の構成の一例である。なお、語表現装置100は、ネットワーク300を介して外部システム200に接続されてもよい。この場合、通信制御インターフェース部104は、語表現装置100とネットワーク300(またはルータ等の通信装置)との間における通信制御を行う。すなわち、通信制御インターフェース部104は、他の端末と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。また、ネットワーク300は、語表現装置100と外部システム200とを相互に接続する機能を有し、例えば、インターネット等である。
また、外部システム200は、ネットワーク300を介して、語表現装置100と相互に接続され、シミュレーション結果データや流線図データ等の各種データに関する外部データベースや、接続された情報処理装置に語表現方法を実行させるためのプログラム等を提供する機能を有する。
ここで、外部システム200は、WEBサーバやASPサーバ等として構成していてもよい。また、外部システム200のハードウェア構成は、一般に市販されるワークステーション、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置およびその付属装置により構成していてもよい。また、外部システム200の各機能は、外部システム200のハードウェア構成中のCPU、ディスク装置、メモリ装置、入力装置、出力装置、通信制御装置等およびそれらを制御するプログラム等により実現される。
以上で、本実施形態の構成の説明を終える。
[語表現装置100の処理]
次に、このように構成された本実施形態における語表現装置100の処理の一例について、以下に図面を参照して詳細に説明する。
[基本処理]
まず、語表現装置100により実行される基本処理の一例について、上述した図1を再び参照して説明する。なお、以下の基本処理は、全ての採り得る流れパターンを書き出すアルゴリズムAにおいても、流線図から語表現を求めるアルゴリズムBにおいても基本となる処理である。なお、以下の例では、パターン語の付与(ステップSA−1)が先に行われ、操作語の付与(ステップSA−2)が後に行われるが、これに限られず、操作語の付与を先に行い、後にパターン語の付与を行ってもよいものである。
図1に示すように、まず、パターン語付与部102cは、パターン語I,IIのうちのいずれか一語を付与する(ステップSA−1)。ここで、パターン語付与部102cは、上記に加えてパターンOを追加した、合計3種類のパターン語I,II,Oのうちのいずれか一語を付与してもよい。より具体的には、3種類のパターン語は、
1)吸い込み湧き出し対をもち、二つのss−∂−saddle connectionをもつパターンを規定するパターン語I、
2)吸い込み湧き出し対をもち、一つのsaddle point、それを結ぶhomoclinic saddle connectionと二つのss−saddle connectionをもつパターンを規定するパターン語II、および
3)吸い込み湧き出し対をもたないパターンを規定するパターン語O、
である。
そして、操作語付与部102dは、パターン語付与部102cにより付与されたパターン語に対して、5種類の操作語A,A,B,B,Cのうちのいずれか一語を付与する(ステップSA−2)。より具体的には、5種類の操作語は、
1)一本のss−orbitを、一つのsaddle point、それを結び内部に穴をもつhomoclinic saddle connectionと二つのss−saddle connectionに置き換える操作を規定した操作語A
2)一本のss−orbitを、二つのss−∂−saddle connectionと新たに追加した境界上の二つの∂−saddleに置き換える操作を規定した操作語A
3)一本のclosed orbitを、一つの穴とsaddle pointを追加して8の字をした2本のhomoclinic軌道に置き換える操作を規定した操作語B
4)一本のclosed orbitを、新たに追加した穴の境界上に二つ∂−saddleをつけて一本の∂−saddle connectionでつなぐような軌道に置き換える操作を規定した操作語B、および、
5)既に2k個(k>0)の∂−saddleをもつ境界に、新たに二つの∂−saddleを付け加えて一本の∂−saddle connectionでつなぎ内部に新たに付け加えた穴を置く操作を規定した操作語C、
である。なお、上記の操作は、穴を追加する場合の操作を規定したものであることから、ある流線図に操作語を割り当てていくアルゴリズムBにおいては、当該流線図に対して上記操作の逆の操作(逆の置き換え操作)を行うことになる。
ここで、操作語付与部102dは、上記の操作がss−orbitやclosed orbit等の存在を前提にしていることから、以下の制約条件に従って操作語を付与してもよい。すなわち、操作語付与部102dは、5種類の操作語を付与する場合に、
1)一本のss−orbitが存在することを条件に、操作語AまたはAを付与し、
2)一本のclosed orbitが存在することを条件に、操作語BまたはBを付与し、
3)∂−saddlesを持つ境界が存在することを条件に、操作語Cを付与してもよい。
そして、操作語付与部102dは、穴の数がN個に達したか否かを判定する(ステップSA−3)。例えば、操作語付与部102dは、穴が1つの単連結外部領域Dζ(0)におけるパターン語I,IIに対して、穴がN個となるまで(N−1)個の操作語を付与し終えたか否かを判定する。また、操作語付与部102dは、穴が2つの二重連結外部領域Dζ(1)におけるパターン語Oに対して、穴がN個となるまで(N−2)個の操作語を付与し終えたか否かを判定する。なお、アルゴリズムAにおいては、求める多重連結外部領域の穴の数をN個と設定しているが、アルゴリズムBにおいては予め穴の数を設定していない。アルゴリズムBの場合は、操作語付与部102dは、流線図に対する操作語に従った置き換え操作によって、流線図が初期パターン(I,II,またはO)に達したか否かで、穴の数がN個に達したか否かを判定してもよい。
穴の数がN個に達していない場合(ステップSA−3,No)、操作語付与部102dは、これまでに作成した文字列に対して、更に操作語を付与する(ステップSA−2)。
一方、穴の数がN個に達した場合(ステップSA−3,Yes)、操作語付与部102dは、これまでに作成した文字列を語表現として語表現ファイル106cに格納して処理を終える。
以上が、本実施形態における語表現装置100の基本処理の一例である。このように語表現を形成させることによって、構造物設計の最適化手法に利用することができる。例えば、語表現装置100は、アルゴリズムAにおいて、構造物が採り得る全ての流れパターンを規定する語表現群を語表現ファイル106cに記憶しておき、アルゴリズムBにおいて、シミュレーション結果がどの流れパターンに対応するか語表現にて表す。これにより、シミュレーション部102aにより行われた探索範囲が、全ての流れパターンのうちのどの範囲まで行われたかが、語表現の一致によって把握することができる。シミュレーション部102aは、語表現の一致不一致に従って、探索範囲が一部の流れパターンに限定されていると判断した場合は、最適化手法において探索範囲を広げる処理を行ってもよい。
例えば、シミュレーション部102aは、焼きなまし法において、ローカルミニマムを抜け出せるように、設計変数に対して大きな変更を許容するように、グローバルパラメータT(温度)を高く設定してもよい。このほか、他の用途として、利用者が、アルゴリズムAにて導出された全ての流れパターンの中から所望のパターン(例えば、オイルフェンスの設計において封じ込め可能な流れパターン)を設定してもよい。その場合、シミュレーション部102aは、設定された所望のパターンを規定する語表現との一致不一致に従って、探索範囲が当該所望のパターンになるよう調整してもよい。例えば、上記と同様に、シミュレーション部102aは、焼きなまし法において、探索範囲が所望のパターンと不一致の場合は、設計変数に対して大きな変更を許容するようにグローバルパラメータT(温度)を高く設定し、一方、探索範囲が所望のパターンと一致している場合は、設計変数に対して小さな変更を求めるようにグローバルパラメータT(温度)を低く設定してもよい。
[アルゴリズムB]
つづいて、上述した基本処理を基礎として、流線図から語表現を求めるアルゴリズムBの処理の詳細について、以下に図8〜図15を参照して説明する。
[B−1.パターン語の割り当て処理]
上述した基本処理のステップSA−1におけるパターン語の割り当て処理について図8を参照して以下に説明する。図8は、パターン語の割り当て処理の一例を示すフローチャートである。
ここで、与えられた流線図は、図6に示したように円内の領域として描画の便宜上記載したが、本アルゴリズムは、もともと一様流を持つ非有界な領域における流れの判定アルゴリズムである。数値シミュレーションや実際の計測によって得られる流れは非有界な流れ場(から必要な部分を切り出した)の流線図であることから、円内の領域への変換が必要であるかどうかが問題になるが、本願発明者らによる鋭意検討の結果、本アルゴリズムを適用するにあたり、そのような変換は不要であることがわかった。それに基づいて、与えられた流線図に対して以下の処理を施せば、その流線図がI系列かII系列かO系列かがわかる。すなわち、以下の処理を実施する場合に、流線図をステレオ射影法等によって円内の領域への変換することは不要である。
図8に示すように、パターン語付与部102cは、流線図から語表現を求めるアルゴリズムBにおいて、与えられた流線図において、ss−∂−saddle connectionが存在するか否かを判定する(ステップSA−11)。
ss−∂−saddle connectionが存在すると判定した場合(ステップSA−11,Yes)、パターン語付与部102cは、パターン語Iを付与する(ステップSA−12)。すなわち、与えられた流線図はI系列と判定される。
一方、ss−∂−saddle connectionが存在しない場合(ステップSA−11,No)、パターン語付与部102cは、流線図においてss−saddle connectionが存在するか否かを判定する(ステップSA−13)。
そして、ss−saddle connectionが存在すると判定した場合(ステップSA−13,Yes)、パターン語付与部102cは、パターン語IIを付与する(ステップSA−15)。すなわち、与えられた流線図はII系列と判定される。
一方、ss−saddle connectionが存在しない場合(ステップSA−13,No)、パターン語付与部102cは、パターン語Oを付与する(ステップSA−14)。すなわち、与えられた流線図はO系列と判定される。
以上が、パターン語の割り当て処理の一例である。
[B−2.I系列における操作語の割り当て処理]
つづいて、アルゴリズムBにおけるI系列の操作語の割り当て処理の一例について、図9および図10を参照して説明する。図9および図10は、アルゴリズムBにおけるI系列の操作語の割り当て処理の一例を示すフローチャートである。
図9に示すように、流線解析部102bは、シミュレーション結果ファイル106aに記憶された、数値シミュレーションや実験データから、流線解析により流線図を作成する(ステップSB−1)。具体的には、流線解析部102bは、数値シミュレーション結果から、saddle pointやsource−sinkなどをすべて計算した後、その点における流れ関数の値と同じ値を持つ流れ関数の等高線をすべて描画し、また、境界(boundary)上の流れ関数の値と同じ値を持つ流れ関数の等高線をすべて描画することにより流線図の作成が可能となる。そのほか、流線解析部102bは、Computational Homology(非特許文献1)に記載の技術等を用いて、流れ場から条件を満たす特徴的な構造を抽出してもよい。なお、本実施形態において、流線解析部102bは、作成した流線図データを流線図ファイル106bに格納する。なお、データ管理上、流線解析部102bは、得られたすべての線やsaddle point, ss−orbits, ∂−saddle, boundary, soure−sinkに番号をつけて流線図データを扱ってもよい。これにより、それらの包含関係をつけてその順位をつけてデータ構造を決めることによって、以降の前処理や各系列のアルゴリズムを計算機上で扱いやすくなる。
そして、流線解析部102bは、流線図に対して前処理を施す(ステップSB−2)。例えば、流線解析部102bは、与えられた流線図に対して以下の三つの前処理を施す。なお、これらの操作を施した回数をエラー数と呼び、語表現にてどの程度流線を表すことができているかの指標となる。例えば、渦潮では、平面上の流体の動きにとどまらず、平面の垂直方向にも海流が移動しているので、以下の前処理を行うことで、平面状の流れと近似して、前処理を行った回数(エラー回数)だけ、真から外れていることの指標としている。
1. ∂−saddleの安定多様体、不安定多様体あるいは極限集合が、sink,sourceのlimit cycleを含むならば、それを閉じてsink,source,limit cycleを消去する。
2. sinkの(吸引)領域を、center/diskとhomoclinic(∂−)saddle connectionに置き換える。
3. sourceの(発散)領域を、center/disk とhomoclinic(∂−)saddle connectionに置き換える。
そして、操作語付与部102dは、流線解析部102bにより前処理が施された流線図について、∂−saddleが存在するか判定する(ステップSB−3)。
∂−saddleが存在する場合(ステップSB−3,Yes)、操作語付与部102dは、ちょうど2つの∂−saddleが存在する境界で、ss−∂−saddle connectionを持つものがあるか否かを判定する(ステップSB−5)。
ちょうど二つの∂−saddleが存在する境界を含むss−∂−saddle connectionを持つものがk個ある場合(ステップSB−5,Yes)、操作語付与部102dは、操作語Aをk個付与し(ステップSB−6)、流線解析部102bは、流線図上において、これら二つの∂−saddlesと境界(boundary)を消去して、一本のss−orbitに置き換える操作をk回行う(ステップSB−7)。
一方、ちょうど二つの∂−saddleが存在する境界を含むss−∂−saddle connectionを持つものがない場合(ステップSB−5,No)、操作語付与部102dは、ちょうど2つの∂−saddleが存在する境界で、同じ境界上の∂−saddle connectionを持つものがあるか否かを判定する(ステップSB−8)。
ちょうど2つの∂−saddleが存在する境界を含む∂−saddle connectionを持つものがk個ある場合(ステップSB−8,Yes)、操作語付与部102dは、操作語Bをk個付与し(ステップSB−9)、流線解析部102bは、流線図上において、同じ境界上の∂−saddle connectionで結ばれた∂−saddleと境界(boundary)を消去して一本のperiodic orbit に置き換える操作をk回行う(ステップSB−10)。
一方、ちょうど二つの∂−saddleが存在する境界を含む∂−saddle connectionを持つものがない場合(ステップSB−8,No)、操作語付与部102dは、4つ以上の∂−saddleを持つ境界の中に、同じ境界上の∂−saddle connectionで、その内側がcenter/diskであるものがあるか否かを判定する(ステップSB−11)。
∂−saddleを4つ以上含む境界上の∂−saddle connectionで、その内側がcenter/diskであるような境界がk個ある場合(ステップSB−11,Yes)、操作語付与部102dは、操作語Cをk個付与し(ステップSB−12)、流線解析部102bは、流線図上において、同じ境界上の∂−saddle connectionと、それによって結ばれている二つの∂−saddleと、それらに囲まれるcenter/diskを消去する操作をk回行う(ステップSB−13)。
一方、∂−saddleを4つ以上含む境界上の∂−saddle connectionで、その内側がcenter/diskであるような境界がない場合(ステップSB−11,No)、もっとも内側にあるFigure eight(すなわち∂−saddle−connectionで,その内側の少なくとも片方がcenter/diskであるもの)が存在するので、その数をk個とし、操作語付与部102dは、操作語Bをk個付与し(ステップSB−14)、流線解析部102bは、流線図上において、もっとも内側にあるFigure eightからsaddleとboundaryを一つ消去して、center/diskを囲むperiodic orbitに置き換える操作をk回行う(ステップSB−15)。ここで、「Figure eight」とは、一つのサドル点とそれをつなぐ二つのhomoclinic connectionsからなり、各homoclinic connectionはその内部にcenter/diskを囲んでいるような(8の字のような形をした)流れの構造を指す。
そして、以上の処理を行った後、処理をステップSB−3に戻し、まだ∂−saddleが存在する場合は(ステップSB−3,Yes)、語表現装置100は、上述した処理を繰り返す。
一方、∂−saddleがなくなった場合は(ステップSB−3,No)、図10に示すように、操作語付与部102dは、saddle point(サドル点)が存在するか否かを判定する(ステップSB−16)。
saddle pointが存在する場合(ステップSB−16,Yes)、操作語付与部102dは、Figure eightパターンに存在するsaddle pointがあるか否かを判定する(ステップSB−17)。
Figure eightパターンに存在するsaddle pointがk個ある場合(ステップSB−17,Yes)、操作語付与部102dは、操作語Bをk個付与し(ステップSB−18)、流線解析部102bは、流線図上において、もっとも内側にあるFigure eightパターンを一つのcenter/diskまわりのperiodic orbitに置き換える操作をk回行う(ステップSB−19)。
一方、Figure eightパターンに存在するsaddle pointがない場合(ステップSB−17,No)、操作語付与部102dは、操作語Aを付与し(ステップSB−20)、流線解析部102bは、saddle point(サドル点)とそれを結ぶhomoclinic connectionおよび、それらに囲まれるcenter/diskを消去する(ステップSB−21)。
そして、以上の処理を行った後、処理をステップSB−16に戻し、まだsaddle pointが存在する場合は(ステップSB−16,Yes)、語表現装置100は、上述した処理を繰り返す。
一方、saddle pointがもはやない場合は(ステップSB−16,No)、語表現装置100は、アルゴリズムBにおけるI系列の操作語の割り当て処理を終える。なお、得られた文字列の中から一つAを選んで、それをIと置き換えて文字列の先頭に移動させ、残りの文字列をルールに従って並び替えれば、極大語(maximal word)に変換することができる。
[B−3.II系列における操作語の割り当て処理]
つづいて、アルゴリズムBにおけるII系列の操作語の割り当て処理の一例について、図11を参照して説明する。図11は、アルゴリズムBにおけるII系列の操作語の割り当て処理の一例を示すフローチャートである。なお、I系列の操作語の割り当て処理のステップSB−1およびステップSB−2と同様に、流線解析により流線図の作成と前処理が行われていてもよい。
図11に示すように、操作語付与部102dは、与えられた流線図について、∂−saddleが存在するか判定する(ステップSC−1)。
∂−saddleが存在する場合(ステップSC−1,Yes)、操作語付与部102dは、ちょうど2つの∂−saddleが存在する境界で、その境界上の∂−saddle connectionを持つものがあるか否かを判定する(ステップSC−2)。
ちょうど2つの∂−saddleが存在する境界を含む∂−saddle connectionを持つものがk個ある場合(ステップSC−2,Yes)、操作語付与部102dは、操作語Bをk個付与し(ステップSC−3)、流線解析部102bは、流線図上において、同じ境界上の∂−saddleと∂−saddle connectionを一本のperiodic orbitに置き換える操作をk回行う(ステップSC−4)。
一方、ちょうど2つの∂−saddleが存在する境界を含む∂−saddle connectionを持つものがない場合(ステップSC−2,No)、操作語付与部102dは、4つ以上の∂−saddleを持つ境界の中に、同じ境界上の∂−saddle connectionで、その内側がcenter/diskであるものがあるか否かを判定する(ステップSC−5)。
∂−saddleを4つ以上含む境界上の∂−saddle connectionで、その内側がcenter/diskであるような境界がk個ある場合(ステップSC−5,Yes)、操作語付与部102dは、操作語Cをk個付与し(ステップSC−6)、流線解析部102bは、流線図上において、同じ境界上の∂−saddle connectionと、それによって結ばれている二つの∂−saddleと、それらに囲まれるcenter/diskを消去する操作をk回行う(ステップSC−7)。
一方、∂−saddleを4つ以上含む境界上の∂−saddle connectionで、その内側がcenter/diskであるような境界がない場合(ステップSC−5,No)、もっとも内側にあるFigure eightが存在するので、その数をk個とし、操作語付与部102dは、操作語Bをk個付与し(ステップSC−8)、流線解析部102bは、流線図上において、もっとも内側にあるFigure eightパターンを、一つのcenter/diskを囲むperiodic orbitに置き換える操作をk回行う(ステップSC−9)。
そして、以上の処理を行った後、処理をステップSC−1に戻し、まだ∂−saddleが存在する場合は(ステップSC−1,Yes)、語表現装置100は、上述した処理を繰り返す。
一方、∂−saddleがもはやない場合は(ステップSC−1,No)、操作語付与部102dは、saddle point(サドル点)が存在するか否かを判定する(ステップSC−10)。
saddle pointが存在する場合(ステップSC−10,Yes)、操作語付与部102dは、Figure eightパターンに存在するsaddle pointがあるか否かを判定する(ステップSC−11)。
Figure eightパターンに存在するsaddle pointがk個ある場合(ステップSC−11,Yes)、操作語付与部102dは、操作語Bをk個付与し(ステップSC−12)、流線解析部102bは、流線図上において、もっとも内側にあるFigure eightパターンを一つのcenter/diskまわりのperiodic orbitに置き換える操作をk回行う(ステップSC−13)。
一方、Figure eightパターンに存在するsaddle pointがない場合(ステップSC−11,No)、saddle pointとそれを結ぶhomoclinic connectionおよび、それらに囲まれるcenter/diskが存在するので、その数をk個とし、操作語付与部102dは、操作語Aをk個付与し(ステップSC−14)、流線解析部102bは、saddle point(サドル点)とそれを結ぶhomoclinic connectionおよび、それらに囲まれるcenter/diskを消去する操作をk回行う(ステップSC−15)。
そして、以上の処理を行った後、処理をステップSC−10に戻し、まだsaddle pointが存在する場合は(ステップSC−10,Yes)、語表現装置100は、上述した処理を繰り返す。
一方、saddle pointがもはやない場合は(ステップSC−10,No)、語表現装置100は、アルゴリズムBにおけるII系列の操作語の割り当て処理を終える。なお、得られた文字列の中から一つAを選んで、それをIIと置き換えて文字列の先端に移動し、残りの文字列をルールに従って並び替えれば極大語(maximal word)に変換することが可能である。
[B−4.O系列における操作語の割り当て処理]
つづいて、アルゴリズムBにおけるO系列の操作語の割り当て処理の一例について、図12を参照して説明する。図12は、アルゴリズムBにおけるO系列の操作語の割り当て処理の一例を示すフローチャートである。なお、I系列の操作語の割り当て処理のステップSB−1およびステップSB−2と同様に、流線解析により流線図の作成と前処理が行われていてもよい。
図12に示すように、操作語付与部102dは、与えられた流線図について、∂−saddleが存在するか判定する(ステップSD−1)。
∂−saddleが存在する場合(ステップSD−1,Yes)、操作語付与部102dは、ちょうど2つの∂−saddleが存在する境界で、同じ境界上の∂−saddle connectionを持つものがあるか否かを判定する(ステップSD−2)。
ちょうど2つの∂−saddleが存在する境界を∂−saddle connectionを持つものがk個ある場合(ステップSD−2,Yes)、操作語付与部102dは、操作語Bをk個付与し(ステップSD−3)、流線解析部102bは、流線図上において、同じ境界上の∂−saddle connectionで結ばれた∂−saddleと境界(boundary)を消去して一本のperiodic orbitに置き換える操作をk回行う(ステップSD−4)。
一方、ちょうど2つの∂−saddleが存在する境界を含む∂−saddle connectionを持つものがない場合(ステップSD−2,No)、操作語付与部102dは、4つ以上の∂−saddleを持つ境界の中に、同じ境界上の∂−saddle connectionで、その内側がcenter/diskであるものがあるか否かを判定する(ステップSD−5)。
∂−saddleを4つ以上含む境界上の∂−saddle connectionで、その内側がcenter/diskであるような境界がk個ある場合(ステップSD−5,Yes)、操作語付与部102dは、操作語Cをk個付与し(ステップSD−6)、流線解析部102bは、流線図上において、同じ境界上の∂−saddle connectionと、それによって結ばれている二つの∂−saddleと、それらに囲まれるcenter/diskを消去する操作をk回行う(ステップSD−7)。
一方、∂−saddleを4つ以上含む境界上の∂−saddle connectionで、その内側がcenter/diskであるような境界がない場合(ステップSD−5,No)、もっとも内側にあるFigure eightが存在するので、その数をk個とし、操作語付与部102dは、操作語Bをk個付与し(ステップSD−8)、流線解析部102bは、流線図上において、もっとも内側にあるFigure eightパターンを、一つのcenter/diskを囲むperiodic orbitに置き換える操作をk回行う(ステップSD−9)。
そして、以上の処理を行った後、処理をステップSD−1に戻し、まだ∂−saddleが存在する場合は(ステップSD−1,Yes)、語表現装置100は、上述した処理を繰り返す。
一方、∂−saddleがもはやない場合は(ステップSD−1,No)、操作語付与部102dは、saddle point(サドル点)が存在するか否かを判定する(ステップSD−10)。
saddle pointがk個存在する場合(ステップSD−10,Yes)、操作語付与部102dは、操作語Bをk個付与し(ステップSD−11)、流線解析部102bは、流線図上において、もっとも内側にあるFigure eightパターンを、一つのcenter/diskまわりのperiodic orbitに置き換える操作をk回行う(ステップSD−12)。
そして、以上の処理を行った後、処理をステップSD−10に戻し、まだsaddle pointが存在する場合は(ステップSD−10,Yes)、語表現装置100は、上述した処理を繰り返す。
一方、saddle pointがもはやない場合は(ステップSD−10,No)、語表現装置100は、アルゴリズムBにおけるO系列の操作語の割り当て処理を終える。なお、得られた文字列の先頭にOをつけて、それをルールに従って並び替えれば極大語(maximal word)に変換することが可能である。
以上が、流線図から語表現を求めるアルゴリズムBの処理の詳細な例である。これにより、任意の流線図に対応する語表現を適切に求めることができる。なお、以上のアルゴリズムBの処理は、一例に過ぎず、本発明は、上記のアルゴリズムに限定されるものではない。例えば、アルゴリズムBの処理の他の例として、以下の処理を行ってもよいものである。
[B−5.I,II系列における操作語の割り当て処理(亜種アルゴリズム)]
ここで、アルゴリズムBにおけるI,II系列の操作語の割り当て処理(亜種アルゴリズム)の一例について、図13および図14を参照して説明する。図13および図14は、アルゴリズムB(I,II−Word alg)におけるI,II系列の操作語の割り当て処理の他の例を示すフローチャートである。なお、上述した割り当て処理のステップSB−1およびステップSB−2と同様に、流線解析により流線図の作成と前処理が行われていてもよい。また、以下の操作語の割り当て処理において、操作語を付与する場合は、後ろから前に付与するものとする。
図13および図14に示すように、操作語付与部102dは、流線解析部102bにより前処理が施された流線図について、吸い込み湧き出し対(source−sink)に繋がっていないsaddleが存在する、または、∂−saddle connectionが存在するか判定する(ステップSI−1)。
吸い込み湧き出し対(source−sink)に繋がっていないsaddleが存在する、または、∂−saddle connectionが存在する場合(ステップSI−1,Yes)、操作語付与部102dは、ちょうど2つの∂−saddleが存在する境界で、∂−saddle connectionを持つものがあるか否かを判定する(ステップSI−2)。
ちょうど2つの∂−saddleが存在する境界で、∂−saddle connectionを持つものがk個ある場合(ステップSI−2,Yes)、操作語付与部102dは、操作語Bをk個付与し(ステップSI−3)、流線解析部102bは、流線図上において、同じ境界上の∂−saddle connectionで結ばれた∂−saddleと境界(boundary)を消去して一本のperiodic orbitに置き換える操作をk回行う(ステップSI−4)。
ちょうど2つの∂−saddleが存在する境界で、∂−saddle connectionを持つものがない場合であって(ステップSI−2,No)、もっとも内側にあるFigure eightパターンがある場合(ステップSI−5,Yes)、操作語付与部102dは、操作語Bを付与し、操作語付与部102dは、流線図上において、もっとも内側にあるFigure eightパターンを一つのcenter/diskまわりのperiodic orbitに置き換える操作を行う(ステップSI−6)。なお、この操作(操作語Bを付与し、periodic orbitに置き換える操作)は、可能な限り繰り返し実行される。
一方、もっとも内側にあるFigure eightパターンに存在するsaddle pointがない場合(ステップSI−5,No)、すなわち∂−saddleを4つ以上含む境界上の∂−saddle connectionで、その内側がcenter/diskであるような境界がある場合、操作語付与部102dは、操作語Cを付与し、流線解析部102bは、流線図上において、その境界上の∂−saddle connectionと、それによって結ばれている二つの∂−saddleと、それらに囲まれるcenter/diskを消去する操作を繰り返し行う(ステップSI−7)。なお、この操作(操作語Cを付与し、center/diskを消去する操作)は、可能な限り繰り返し実行される。
そして、以上の処理を行った後、処理をステップSI−1に戻し、まだ吸い込み湧き出し対(source−sink)に繋がっていないsaddleが存在する、または、∂−saddle connectionが存在する場合は(ステップSI−1,Yes)、語表現装置100は、上述した処理を繰り返す。
一方、吸い込み湧き出し対(source−sink)に繋がっているsaddleのみが存在し、かつ、∂−saddle connectionがもはやない場合は(ステップSI−1,No)、図14に示すように、操作語付与部102dは、ss−∂−saddleが存在するか判定する(ステップSH−1)。
そして、ss−∂−saddleが存在しない場合(ステップSH−1,No)、流線解析部102bは、saddle point(サドル点)とそれを結ぶhomoclinic saddle connectionおよび、それらに囲まれるcenter/diskを消去する操作を1回行う(ステップSH−2)。
そして、ss−saddleがk個あるとき、操作語付与部102dは、操作語Aをk個付与する(ステップSH−3)。
そして、流線解析部102bは、saddle point(サドル点)とそれを結ぶhomoclinic saddle connectionおよび、それらに囲まれるcenter/diskを消去する操作をk回行う(ステップSH−4)。
そして、パターン語付与部102cは、パターン語IIを付与し(ステップSH−5)、語表現装置100は、アルゴリズム(I,II−Word alg)におけるI,II系列の操作語の割り当て処理を終える。なお、得られた文字列は極大語(maximal word)である。
一方、上記のステップSH−1において、ss−∂−saddleが存在する場合(ステップSH−1,Yes)、流線解析部102bは、流線図上において、これら二つの∂−saddlesと境界(boundary)を消去して、一本のss−orbitに置き換える操作を1回行う(ステップSH−7)。
そして、ss−∂−saddleがk個あるとき、操作語付与部102dは、操作語Aをk個付与する(ステップSH−8)。
そして、流線解析部102bは、流線図上において、これら二つの∂−saddlesと境界(boundary)を消去して、一本のss−orbitに置き換える操作をk回行う(ステップSH−9)。
そして、操作語付与部102dは、ss−saddleがk個あるとき、操作語Aをk個付与する(ステップSH−10)。
そして、流線解析部102bは、saddle point(サドル点)とそれを結ぶhomoclinic saddle connectionおよび、それらに囲まれるcenter/diskを消去する操作をk回行う(ステップSH−11)。
そして、パターン語付与部102cは、パターン語Iを付与し(ステップSH−12)、語表現装置100は、アルゴリズムB(I,II−Word alg)におけるI,II系列の操作語の割り当て処理を終える。なお、得られた文字列は極大語(maximal word)である。
[B−6.O系列における操作語の割り当て処理(亜種アルゴリズム)]
つづいて、アルゴリズムBにおけるO系列の操作語の割り当て処理(亜種アルゴリズム)の一例について、図15を参照して説明する。図15は、アルゴリズムB(0−Word alg)におけるO系列の操作語の割り当て処理の他の例を示すフローチャートである。なお、上述した割り当て処理のステップSB−1およびステップSB−2と同様に、流線解析により流線図の作成と前処理が行われていてもよい。また、以下の操作語の割り当て処理において、操作語を付与する場合は、後ろから前に付与するものとする。
図15に示すように、操作語付与部102dは、与えられた流線図について、saddleまたは∂−saddleが存在するか判定する(ステップSJ−1)。
saddleまたは∂−saddleが存在する場合(ステップSJ−1,Yes)、操作語付与部102dは、ちょうど2つの∂−saddleが存在する境界で、同じ境界上の∂−saddle connectionを持つものがあるか否かを判定する(ステップSJ−2)。
ちょうど2つの∂−saddleが存在する境界を繋ぐ∂−saddle connectionを持つものがk個ある場合(ステップSJ−2,Yes)、操作語付与部102dは、操作語Bをk個付与する(ステップSJ−3)。
そして、流線解析部102bは、流線図上において、その境界上の∂−saddle connectionで結ばれた∂−saddleと境界(boundary)を消去して一本のperiodic orbitに置き換える操作をk回行う(ステップSJ−4)。
一方、ちょうど2つの∂−saddleが存在する境界を繋ぐ境界上の∂−saddle connectionを持つものがない場合(ステップSJ−2,No)、操作語付与部102dは、もっとも内側にあるFigure eightがあるか否かを判定する(ステップSJ−5)。
もっとも内側にあるFigure eightがあるもの(すなわち、∂−saddle connectionで、その内側の少なくとも片方center/diskであるもの)がある場合(ステップSJ−5,Yes)、操作語付与部102dは、操作語Bを付与し、流線解析部102bは、流線図上において、一つのcenter/diskを囲むperiodic orbitに置き換える操作を行う(ステップSJ−6)。なお、この操作(操作語Bを付与し、periodic orbitに置き換える操作)は、可能な限り繰り返し実行される。
一方、もっとも内側にあるFigure eightがない場合(ステップSJ―5,No)、すなわち∂−saddleを4つ以上含む境界上の∂−saddle connectionで、その内側がcenter/diskであるような境界がある場合、操作語付与部102dは、操作語Cを付与し、流線解析部102bは、流線図上において、その境界上の∂−saddle connectionと、それによって結ばれている二つの∂−saddleと、それらに囲まれるcenter/diskを消去する(ステップSJ−7)。なお、この操作(操作語Cを付与し、center/diskを消去する操作)は、可能な限り繰り返し実行される。
そして、以上の処理を行った後、処理をステップSJ−1に戻し、まだsaddleまたは、∂−saddleが存在する場合は(ステップSJ−1,Yes)、語表現装置100は、上述した処理を繰り返す。
一方、saddleまたは、∂−saddleがもはやない場合は(ステップSJ−1,No)、語表現装置100は、アルゴリズムB(0−Word alg)におけるO系列の操作語の割り当て処理を終える。なお、得られた文字列の先頭にOをつけると、それは極大語(maximal word)である。
以上が、流線図から語表現を求めるアルゴリズムBの処理(亜種アルゴリズム)の詳細な例である。これにより、任意の流線図に対応する語表現を適切に求めることができる。
[アルゴリズムA]
つづいて、上述した基本処理を基礎として、M+1個の穴を有する多重連結外部領域Dζ(M)において採り得る全ての語表現を求めるアルゴリズムAの処理の詳細な一例について、以下に図16〜図18を参照して説明する。
なお、以下に例示する本実施形態のアルゴリズムAでは、パターン語の組み合わせから全文字列を生成したのち、各文字列が極大語になっているか否かを判定し、極大語表現になっていれば書き出すアルゴリズムとなっている。
すなわち、操作語を付与する場合の制約条件に従えば、原則的にはすべての構造安定な流れの位相構造は、操作語を列挙することで表現することができる。ただし、注意すべき点は、「一つの流れパターンを表現する語は複数ある」ということである。また一方で「一つの語表現で表される流れのパターンも複数ある」という点である。この実例は、IAとIA等にみることができる。語表現という観点からすれば、後者の点は特に大きな問題ではない。ある一つの語がある流れパターンの集合(グループ)を表現するにすぎないからである。一方、前者の点は一つの流れを複数の語が表現すると冗長であり、たいへん紛らわしいので問題である。そこで、「極大語表現(maximal word representation)」というものを用いてこの問題を解決することができる。
この極大語表現は、I系列,II系列,O系列で与えられている操作を表す文字列の順序の入れ替えによって、それが表現している流れの集合がどうなるかを調べることによって導入される。例えば、文字IAとIAなる二つの語表現について、これらが表す流れのパターンは同じであることが示されるのでAとAの入れ替えによって表現されるパターンは変化しない。そこで、「AのほうがAより先に語表現の中で現れる」というルールを追加して、重複するIAという表現を排除する。このような文字の入れ替えに関して起こる、語表現されるパターンの変化を象徴的にA=Aのように表現することにする。このように語を入れ替えても、それが表すパターンが変化しないような組み合わせが、Lemma3.5とLemma3.6に与えられる。
Figure 2014041917
Figure 2014041917
一方で、語を入れ替えることによって、それが表現するパターンの集合が変化する場合もある。例えばIBとIAについては、前者が表すパターンの集合は後者が表すパターンの集合に含まれる包含関係がある。すなわち集合の記号を使えば、(IB)⊂(IA)となる。このように入れ替えによって、一方が一方のパターンの集合を含んでしまう場合は、含まれる側の語表現は排除して、より大きな語表現のみを採用する。この関係式を象徴的にB≦Aと表現することにする。このような包含関係を生むような語の入れ替えの組み合わせはLemma3.7で与えられる。
Figure 2014041917
これらの語の入れ替えによる包含関係式をまとめたものが下の表である。なお、BC||CBは、BとCが入れ替えても包含関係が成立しないので、この二つは入れ替えることができないことを表している。
Figure 2014041917
なお、ある適切なアルゴリズムを1つ固定すると、これらの語表現の入れ替えによりできる極大語表現は、一つのパターンに対して、必ず一つしかないということを数学的に証明可能である(Lemma 3.8参照)。
Figure 2014041917
さらに、これに基づいて極大語表現の標準形を求めることができる。O系列に対する極大語表現の標準形を与えたのがTheorem 3.3であり、I系列に対する極大語表現の標準形を与えたのがTheorem 3.4であり、II系列に対するそれはTheorem 3.5で与えられている。
Figure 2014041917
Figure 2014041917
Figure 2014041917
上記の理論に基づいて、文字列が極大語になっているか否かを判定し、極大語表現になっていれば書き出すアルゴリズムAについて、図面を参照して以下に具体的に説明する。
[A−1.I系列の極大語判定処理]
まず、I系列の極大語判定処理について説明する。ここで、図16は、I系列におけるアルゴリズムAの処理の一例を示すフローチャートである。
図16に示すように、まず、操作語付与部102dは、A,A,B,B,CからなるMの長さの文字列O1,O2,・・・OMを生成する(ステップSE−1)。5種類のパターン語をM個並べるので、5通りの並べ方ができる。
そして、極大語表現部102eは、文字列のうち判定対象とする文字位置iを1に設定する(ステップSE−2)。
そして、極大語表現部102eは、判定対象の文字OiがAか否か判定する(ステップSE−3)。
判定対象の文字OiがAである場合(ステップSE−3,Yes)、極大語表現部102eは、Oi=Aである限り、判定対象とする文字位置iをインクリメントする(ステップSE−4)。
そして、極大語表現部102eは、判定対象の文字OiがAか否か判定する(ステップSE−5)。
判定対象の文字OiがAである場合(ステップSE−5,Yes)、極大語表現部102eは、Oi=Aである限り、判定対象とする文字位置iをインクリメントする(ステップSE−6)。
そして、極大語表現部102eは、判定対象の文字OiがCか否か判定する(ステップSE−7)。
判定対象の文字OiがCである場合(ステップSE−7,Yes)、極大語表現部102eは、Oi=Cである限り、判定対象とする文字位置iをインクリメントする(ステップSE−8)。
そして、極大語表現部102eは、文字位置iがM+1に到達した場合(ステップSE−9,Yes)、その文字列を極大語として維持し、語表現ファイル106cに書き出す(ステップSE−10)。
一方、上記において、判定対象の文字OiがAでない場合(ステップSE−5,No)、判定対象の文字OiがCでない場合(ステップSE−7,No)、あるいは、文字位置iがM+1に到達していない場合(ステップSE−9,No)、iをi−1と置き換えて、残りの文字列すべてに対してOjをOj−1と置き換えて、O系列のフローチャートのSG−3に移行する。
なお、上記ステップSE−3において、判定対象の文字OiがAでない場合(ステップSE−3,No)、極大語表現部102eは、判定対象の文字OiがAか否か判定し(ステップSE−11)、Oi=Aである限り、判定対象の文字位置iをインクリメントする(ステップSE−12)。なお、判定対象の文字OiがAでない場合(ステップSE−11,No)、そのまま次の処理に移行する。
そして、極大語表現部102eは、文字位置iがM+1に到達したか否かを判定し(ステップSE−13)、文字位置iがM+1に到達した場合(ステップSE−13,Yes)、その文字列を極大語として維持する(ステップSE−14)。
一方、文字位置iがM+1に到達していない場合(ステップSE−13,No)、極大語表現部102eは、判定対象の文字OiがCか否か判定する(ステップSE−15)。なお、判定対象の文字OiがCでない場合(ステップSE−15,No)、その文字列を排除する(ステップSE−16)。
判定対象の文字OiがCである場合(ステップSE−15,Yes)、極大語表現部102eは、Oi=Cである限り、判定対象とする文字位置iをインクリメントする(ステップSE−17)。
そして、文字位置iがM+1に到達したか否かを判定し(ステップSE−18)、文字位置iがM+1に到達した場合(ステップSE−18,Yes)、その文字列を極大語として維持する(ステップSE−19)。
一方、文字位置iがM+1に到達していない場合(ステップSE−18,No)、iをi−1と置き換えて、残りの文字列すべてに対してOjをOj−1と置き換えて、O系列のフローチャートのステップSG−3に移行する。
[A−2.II系列の極大語判定処理]
つづいて、II系列の極大語判定処理について説明する。ここで、図17は、II系列におけるアルゴリズムAの処理の一例を示すフローチャートである。
図17に示すように、まず、操作語付与部102dは、A,B,B,CからなるMの長さの文字列O1,O2,・・・OMを生成する(ステップSF−1)。4種類のパターン語をM個並べるので、4通りの文字列ができる。
そして、極大語表現部102eは、文字列のうち判定対象とする文字位置iを1に設定する(ステップSF−2)。
そして、極大語表現部102eは、判定対象の文字OiがAか否か判定する(ステップSF−3)。
判定対象の文字OiがAである場合(ステップSF−3,Yes)、極大語表現部102eは、Oi=Aである限り、判定対象とする文字位置iをインクリメントする(ステップSF−4)。
そして、文字位置iがM+1に到達したか否かを判定し(ステップSF−5)、文字位置iがM+1に到達した場合(ステップSF−5,Yes)、その文字列を極大語として維持する(ステップSF−6)。
一方、文字位置iがM+1に到達していない場合(ステップSF−5,No)、あるいは、ステップSF−3において判定対象の文字OiがAでない場合(ステップSF−3,No)、iをi−1と置き換えて、残りの文字列すべてに対してOjをOj−1と置き換えて、O系列のフローチャートのSG−3に移行する。
[A−3.O系列の極大語判定処理]
最後に、O系列の極大語判定処理について説明する。ここで、図18は、O系列におけるアルゴリズムAの処理の一例を示すフローチャートである。
図18に示すように、まず、操作語付与部102dは、B,B,CからなるM−1の長さの文字列を生成する(ステップSG−1)。3種類のパターン語を(M−1)個並べるので、3M−1通りの文字列ができる。
そして、極大語表現部102eは、文字列のうち判定対象とする文字位置iを1に設定する(ステップSG−2)。
そして、極大語表現部102eは、文字位置iがM未満であるか否かを判定する(ステップSG−3)。なお、文字位置iがMに達すれば(ステップSG−3,No)、その文字列を極大語として維持する(ステップSG−14)。
文字位置iがM未満である場合(ステップSG−3,Yes)、極大語表現部102eは、判定対象の文字OiがBか否か判定する(ステップSG−4)。
判定対象の文字OiがBである場合(ステップSG−4,Yes)、極大語表現部102eは、Oi=Bである限り、判定対象の文字位置iをインクリメントし(ステップSG−5)、ステップSG−3に処理を戻し、上述した処理を繰り返す。
一方、判定対象の文字OiがBでない場合(ステップSG−4,No)、極大語表現部102eは、判定対象の文字OiがBか否か判定する(ステップSG−6)。
判定対象の文字OiがBでない場合(ステップSG−6,No)、極大語表現部102eは、その文字列が極大語ではないとして排除する(ステップSG−7)。
一方、判定対象の文字OiがBである場合(ステップSG−6,Yes)、極大語表現部102eは、Oi=Bである限り、判定対象の文字位置iをインクリメントする(ステップSG−8)。
そして、文字位置iがMに到達したか否かを判定し(ステップSG−9)、文字位置iがMに到達した場合(ステップSG−9,Yes)、極大語表現部102eは、その文字列を極大語として維持する(ステップSG−10)。
一方、文字位置iがMに到達していない場合(ステップSG−9,No)、極大語表現部102eは、判定対象の文字OiがCか否か判定する(ステップSG−11)。
判定対象の文字OiがCでない場合(ステップSG−11,No)、極大語表現部102eは、その文字列は極大語ではないとして排除する(ステップSG−13)。
一方、判定対象の文字OiがCである場合(ステップSG−11,Yes)、極大語表現部102eは、Oi=Cである限り、判定対象の文字位置iをインクリメントし(ステップSG−12)、ステップSG−3に処理を戻し、上述した処理を繰り返す。
以上が、極大語表現の判定を伴うアルゴリズムAの処理の一例である。これにより、任意の穴の数M+1を有する多重連結外部領域Dζ(M)において、採り得る全ての流れパターンを重複なく文字列にて列挙することができる。
例えば、本実施形態は、橋梁の設計等において用いることができる。まず橋梁の数を決め、その時に発生されうる流れのパターンを、上述したアルゴリズムAによってすべて書き出すことができる。次に、橋梁設計においては数値計算によるシミュレーション、あるいは、実験室内でのモデル計測などを通じて事前に様々なデータを得ておき、それらのデータを可視化したり計算機などで処理をして、流線図という流れの様子をとらえるスナップショットとして表現することができる。これを、上述したアルゴリズムBに入力することによって、それがアルゴリズムAによって求められた、どれに相当するかを把握することができる。
従来、様々な試行錯誤によって最適な橋梁設計を行う場合、配置を変えて最適な流れの様子を設計するときに、すべての場合が尽くされたかどうか、またその中からどのような配置が最も橋梁設計後の流れにおいて望ましいものかを事前に議論することはできなかった。本実施形態によれば、アルゴリズムAによって、全ての流れパターンを把握することが可能になり、さらにアルゴリズムBによって、実際に最適化設計を行うようなシミュレーションや実験を行う場合に、得られたパターンがどのような極大語表現を持つかがわかることにより、所望のパターンに到るための配置変更の最も効率的な語表現を介することで、これまでは試行錯誤的に行われていた最適な橋梁設計を行うステップが飛躍的に縮減される。
また、オイルフェンスの設置に関しても、同様にフェンスの個数を入力して、その場合に達成されうるすべての流れのパターンがアルゴリズムAによって書き出されるため、そこからオイルを効率的に集めるために達成できる実現可能な流れを直ちに確定することができる。そして、周辺海流の計測や数値シミュレーションおよび実験などを行って試行錯誤的に最適配置を決める際に、得られた実験計測やシミュレーション結果を流線図として書き出し、それをアルゴリズムBに入力することによって語表現が得られる。それがアルゴリズムAから求められた流れの中のどれに対応しており、それが欲しい流れにどれくらい近いかを確認することで、最短の探索により最適化を図ることができる。
従来の技術では、起こりうる全てのパターンもわからず、適当な条件のもとで限られた範囲での局所的な最適化しか行われなかったが、本実施形態によれば、全てのパターンとその語表現を予め知ることができ、さらに現在の状況を表現する語表現を知ることで、大域的な最適化を効率的に行うことが可能になる。このように、河川や海洋、飛行など物体配置と流れの相互作用の最適状態を、短時間および低コストで高精度の計算を行うことが可能となる。また、目的に応じた流線パターンの特定によって、構造物設計の省力化を図ることができる。
[他の実施形態]
さて、これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
例えば、語表現装置100がスタンドアローンの形態で処理を行う場合を一例に説明したが、語表現装置100は、クライアント端末からの要求に応じて処理を行い、その処理結果を当該クライアント端末に返却するようにしてもよい。
また、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
このほか、上記文献中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、語表現装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
例えば、語表現装置100の各装置が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、後述する記録媒体に記録されており、必要に応じて語表現装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDなどの記憶部106などには、OS(Operating System)として協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部102を構成する。
また、このコンピュータプログラムは、語表現装置100に対して任意のネットワーク300を介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
また、本発明に係るプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USBメモリ、SDカード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM、EEPROM、CD−ROM、MO、DVD、および、Blu−ray(登録商標)Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
また、「プログラム」とは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードやバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OS(Operating System)に代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成、読み取り手順、あるいは、読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
記憶部106に格納される各種のデータベース等(シミュレーション結果ファイル106a、流線図ファイル106b、語表現ファイル106c等)は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
また、語表現装置100は、既知のパーソナルコンピュータ、ワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、該情報処理装置に任意の周辺装置を接続して構成してもよい。また、語表現装置100は、該情報処理装置に本発明の方法を実現させるソフトウェア(プログラム、データ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じて、または、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
以上詳述に説明したように、本発明によれば、流れ場における構造物設計を行うにあたって、構造物に対して採り得る流れパターンを経験や直感に頼ることなく容易に扱うことができる、流れパターンの語表現方法、語表現装置、および、プログラムを提供することができる。例えば、橋脚の設計、防波堤の配置、港湾の汚染物の除去、風力発電のブレードの設計、列車のパンタグラフの構造、オイルフェンスの最適配置などのように、構造物設計や配置を伴う様々な分野において極めて有用である。また、スポーツ用品の構造設計などのようにスポーツ力学等の分野に応用することも可能である。
100 語表現装置
102 制御部
102a シミュレーション部
102b 流線解析部
102c パターン語付与部
102d 操作語付与部
102e 極大語表現部
104 通信制御インターフェース部
106 記憶部
106a シミュレーション結果ファイル
106b 流線図ファイル
106c 語表現ファイル
108 入出力制御インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 外部システム
300 ネットワーク
図3は、このような領域における構造安定な流れの位相的分類を行う特徴的な軌道(流線)を全て記述した図である。図3(a)に示すように、まず吸い込み湧き出し対から出て自分自身に戻ってくる軌道をss−orbitと呼ぶ。次に、図3(b)に示すように、吸い込み湧き出し対から出て境界の上につながる軌道をss−∂−saddle connectionと呼び、図3(c)に示すように、その軌道がつながっている境界上の点をss−∂−saddleと呼ぶ。
また、図3(e)に示すように、吸い込み湧き出し対からではなく、ある境界の上の点から出て同じ境界上の点につながる軌道を∂−saddle connectionと呼び、図3(d)に示すように、これによってつながれている境界上の点を∂−saddleと呼ぶ。また、図3(h)に示すような、境界上にない点をsaddle point(サドル点)と呼ぶが、図3(f)に示すように、吸い込み湧き出し対から出る軌道で、このsaddle pointにつながる軌道をsssaddle connectionと呼ぶ。また、図3(g)に示すように、境界や渦の回りを作る閉曲線軌道をclosed orbitと呼び、図3(i)に示すように、saddle pointから出てそれ自身に戻るような軌道をhomoclinic saddle connectionと呼ぶ。対象とする構造安定な流れは、これらの軌道の組み合わせによってしか表現されないことが数学的に証明できる。

Claims (11)

  1. 位相幾何学的にN個の穴を有する多重連結外部領域における流れパターンの語表現方法であって、
    一つの穴を有する単連結外部領域において位相幾何学的に採り得る2種類の流れパターンを規定する語のうちのいずれか一語を付与するパターン語付与ステップと、
    上記パターン語付与ステップにて付与された語に対して、上記流れパターンに一つの穴を加える場合に位相幾何学的に採り得る5種類の操作を規定した語のうちのいずれか一語を繰り返し付与することにより、上記N個の穴を有する多重連結外部領域に対応する語表現を形成させる操作語付与ステップと、
    を含むことを特徴とする、流れパターンの語表現方法。
  2. 位相幾何学的にN個の穴を有する多重連結外部領域における流れパターンの語表現方法であって、
    上記流れパターンに一つの穴を加える場合に位相幾何学的に採り得る5種類の操作を規定した語のうちのいずれか一語を繰り返し付与することにより、上記N個の穴を有する多重連結外部領域に対応する語表現を形成させる操作語付与ステップと、
    上記操作語付与ステップにて付与された語に対して、一つの穴を有する単連結外部領域において位相幾何学的に採り得る2種類の流れパターンを規定する語のうちのいずれか一語を付与するパターン語付与ステップと、
    を含むことを特徴とする、流れパターンの語表現方法。
  3. 請求項1または2に記載の流れパターンの語表現方法において、
    上記パターン語付与ステップは、
    上記一つの穴を有する単連結外部領域において位相幾何学的に採り得る2種類の流れパターンを規定する語に加えて、二つの穴を有する二重連結外部領域において吸い込み湧き出し対を持たないパターンを追加した、合計3種類の流れパターンを規定する語のうちのいずれか一語を付与することを特徴とする、流れパターンの語表現方法。
  4. 請求項3に記載の流れパターンの語表現方法において、
    上記合計3種類の流れパターンは、
    1)上記吸い込み湧き出し対をもち、二つのss−∂−saddle connectionをもつパターンI、
    2)上記吸い込み湧き出し対をもち、一つのsaddle point、それを結ぶhomoclinic saddle connectionと二つのss−saddle connectionをもつパターンII、および
    3)上記吸い込み湧き出し対をもたないパターンO、
    であることを特徴とする、流れパターンの語表現方法。
  5. 請求項4に記載の流れパターンの語表現方法において、
    上記パターン語付与ステップは、
    上記N個の穴を有する多重連結外部領域を形成しうる流線図において、ss−∂−saddle connectionが存在するか否かを判定し、ss−∂−saddle connectionが存在する場合に上記パターンIの語を与えるI分類ステップと、
    上記I分類ステップにおいてss−∂−saddle connectionが存在しない場合に、上記流線図においてss−saddle connectionが存在するか否かを判定し、ss−saddle connectionが存在する場合に上記パターンIIの語を与え、一方、ss−saddle connectionが存在しない場合に上記パターンOの語を与えるII/O分類ステップと、
    を含むことを特徴とする、流れパターンの語表現方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一つに記載の流れパターンの語表現方法において、
    上記位相幾何学的に採り得る5種類の操作は、
    1)一本のss−orbitを、一つのsaddle point、それを結び内部に穴をもつhomoclinic saddle connectionと二つのss−saddle connectionに置き換えるA操作、
    2)一本のss−orbitを、二つのss−∂−saddle connectionと新たに追加した境界上の二つの∂−saddleに置き換えるA操作、
    3)一本のclosed orbitを、一つの穴とsaddle pointを追加して8の字をした2本のhomoclinic軌道に置き換えるB操作、
    4)一本のclosed orbitを、新たに追加した穴の境界上に二つ∂−saddleをつけて一本の∂−saddle connectionでつなぐような軌道に置き換えるB操作、および、
    5)既に2k個(k>0)の∂−saddleをもつ境界に、新たに二つの∂−saddleを付け加えて一本の∂−saddle connectionでつなぎ内部に新たに付け加えた穴を置くC操作、
    であることを特徴とする、流れパターンの語表現方法。
  7. 請求項6に記載の流れパターンの語表現方法において、
    上記操作語付与ステップは、
    上記5種類の操作を規定した語を付与する場合に、
    1)一本のss−orbitが存在することを条件として、上記A操作または上記A操作を規定した語を付与し、
    2)一本のclosed orbitが存在することを条件として、上記B操作または上記B操作を規定した語を付与し、
    3)∂−saddlesを持つ境界が存在することを条件として、上記C操作を規定した語を付与すること
    を特徴とする、流れパターンの語表現方法。
  8. 制御部を少なくとも備えた、位相幾何学的にN個の穴を有する多重連結外部領域における流れパターンの語表現装置であって、
    上記制御部は、
    一つの穴を有する単連結外部領域において位相幾何学的に採り得る2種類の流れパターンを規定する語のうちのいずれか一語を付与するパターン語付与手段と、
    上記パターン語付与手段により付与された語に対して、上記流れパターンに一つの穴を加える場合に位相幾何学的に採り得る5種類の操作を規定した語のうちのいずれか一語を繰り返し付与することにより、上記N個の穴を有する多重連結外部領域に対応する語表現を形成させる操作語付与手段と、
    を備えたことを特徴とする、流れパターンの語表現装置。
  9. 制御部を少なくとも備えた、位相幾何学的にN個の穴を有する多重連結外部領域における流れパターンの語表現装置であって、
    上記制御部は、
    上記流れパターンに一つの穴を加える場合に位相幾何学的に採り得る5種類の操作を規定した語のうちのいずれか一語を繰り返し付与することにより、上記N個の穴を有する多重連結外部領域に対応する語表現を形成させる操作語付与手段と、
    上記操作語付与手段により付与された語に対して、一つの穴を有する単連結外部領域において位相幾何学的に採り得る2種類の流れパターンを規定する語のうちのいずれか一語を付与するパターン語付与手段と、
    を備えたことを特徴とする、流れパターンの語表現装置。
  10. 制御部を少なくとも備えたコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
    上記制御部において実行される、
    位相幾何学的にN個の穴を有する多重連結外部領域における流れパターンの語表現を形成させるために、一つの穴を有する単連結外部領域において位相幾何学的に採り得る2種類の流れパターンを規定する語のうちのいずれか一語を付与するパターン語付与ステップと、
    上記パターン語付与ステップにて付与された語に対して、上記流れパターンに一つの穴を加える場合に位相幾何学的に採り得る5種類の操作を規定した語のうちのいずれか一語を繰り返し付与することにより、上記N個の穴を有する多重連結外部領域に対応する語表現を形成させる操作語付与ステップと、
    を実行させるためのプログラム。
  11. 制御部を少なくとも備えたコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
    上記制御部において実行される、
    位相幾何学的にN個の穴を有する多重連結外部領域における流れパターンの語表現を形成させるために、上記流れパターンに一つの穴を加える場合に位相幾何学的に採り得る5種類の操作を規定した語のうちのいずれか一語を繰り返し付与することにより、上記N個の穴を有する多重連結外部領域に対応する語表現を形成させる操作語付与ステップと、
    上記操作語付与ステップにて付与された語に対して、一つの穴を有する単連結外部領域において位相幾何学的に採り得る2種類の流れパターンを規定する語のうちのいずれか一語を付与するパターン語付与ステップと、
    を実行させるためのプログラム。
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