JPWO2014024663A1 - 硬化剤組成物およびこれを含有するエポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
エポキシ樹脂組成物の硬化剤として使用された場合に、該エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性を良好にする硬化剤組成物を提供する。この硬化剤組成物は、スルホニウム塩化合物であるカチオン重合開始剤と、下記式(1)で表される化合物である安定剤と、を含有する。(式(1)中、R1は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、または、下記式(2)で表される基を示し、R2は、炭素数1〜6のアルキル基を示し、R3は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。ただし、R3が水素原子を示すときは、R1はカルボキシ基を示す。)(式(2)中、R4は、炭素数1〜6のアルキル基、または、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。)
Description
本発明は、硬化剤組成物およびこれを含有するエポキシ樹脂組成物に関する。
従来、エポキシ樹脂の硬化剤として、スルホニウム塩化合物などのカチオン重合開始剤が知られている(例えば、特許文献1)。
本発明者らが、特許文献1に記載されたカチオン重合開始剤を硬化剤として含むエポキシ樹脂組成物について検討したところ、硬化性は比較的良好であるものの、貯蔵安定性に劣ることが分かった。
ここで、例えば、特許文献2には、所定のアルキルフェニルスルフィド系化合物を用いた安定化方法が開示されている。
しかしながら、本発明者らが、特許文献2に開示されたアルキルフェニルスルフィド系化合物と、スルホニウム塩化合物であるカチオン重合開始剤とを含有する硬化剤組成物を作成し、作成した硬化剤組成物を硬化剤として用いたエポキシ樹脂組成物について検討したところ、貯蔵安定性が不十分であることが分かった。
しかしながら、本発明者らが、特許文献2に開示されたアルキルフェニルスルフィド系化合物と、スルホニウム塩化合物であるカチオン重合開始剤とを含有する硬化剤組成物を作成し、作成した硬化剤組成物を硬化剤として用いたエポキシ樹脂組成物について検討したところ、貯蔵安定性が不十分であることが分かった。
本発明は、以上の点を鑑みてなされたものであり、エポキシ樹脂組成物の硬化剤として使用された場合に、該エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性を良好にする硬化剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行なった。その結果、エポキシ樹脂組成物の硬化剤として、スルホニウム塩化合物であるカチオン重合開始剤に所定の化合物を配合した硬化剤組成物を使用した場合に、該エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性が優れることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の(I)〜(V)を提供する。
(I)スルホニウム塩化合物であるカチオン重合開始剤と、下記式(1)で表される化合物である安定剤と、を含有する硬化剤組成物。
(I)スルホニウム塩化合物であるカチオン重合開始剤と、下記式(1)で表される化合物である安定剤と、を含有する硬化剤組成物。
(式(1)中、R1は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、または、下記式(2)で表される基を示し、R2は、炭素数1〜6のアルキル基を示し、R3は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。ただし、R3が水素原子を示すときは、R1はカルボキシ基を示す。)
(式(2)中、R4は、炭素数1〜6のアルキル基、または、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。)
(II)上記安定剤の含有量が、上記カチオン重合開始剤に対して、0.001〜20質量%である、上記(I)に記載の硬化剤組成物。
(III)上記カチオン重合開始剤が、下記式(3)で表されるスルホニウム塩化合物である、上記(I)または(II)に記載の硬化剤組成物。
(式(3)中、R5は、ヒドロキシ基または下記式(4)〜(7)のいずれかで表される基を示し、R6は、炭素数1〜6のアルキル基を示し、R7は、置換基を有していてもよい不飽和炭化水素基を示し、Xは、非求核性アニオン性基を示す。)
(式(4)〜(7)中、R8は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい置換基を有していてもよい芳香族または脂肪族炭化水素基を示す。)
(IV)エポキシ樹脂と、上記(I)〜(III)のいずれかに記載の硬化剤組成物とを含有する、エポキシ樹脂組成物。
(V)上記硬化剤組成物の含有量が、上記エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部である、上記(IV)に記載のエポキシ樹脂組成物。
本発明によれば、エポキシ樹脂組成物の硬化剤として使用された場合に、該エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性を良好にする硬化剤組成物を提供することができる。
<硬化剤組成物>
本発明の硬化剤組成物は、スルホニウム塩化合物であるカチオン重合開始剤と、上記式(1)で表される化合物である安定剤と、を含有する硬化剤組成物である。このような本発明の硬化剤組成物と、エポキシ樹脂とを含有するエポキシ樹脂組成物においては、貯蔵安定性に優れる。また、このとき、硬化性が損なわれることもない。
これは、例えば、安定剤が後述する式(1A)で表される化合物である場合においては、オルト位に電子共与性基であるメチル基が導入されていることにより、スルフィドの求核性が高まり、貯蔵安定性が向上するものと考えられる。
また、例えば、安定剤が後述する式(1B)で表される化合物である場合においては、スルフィドの求核性の他に、カルボキシ基のカルボニル酸素がスルホニウム塩に配位する構造をとることができるため、これらの効果により貯蔵安定性が向上するものと考えられる。
以下、本発明の硬化剤組成物に含有される各成分について、詳細に説明する。
本発明の硬化剤組成物は、スルホニウム塩化合物であるカチオン重合開始剤と、上記式(1)で表される化合物である安定剤と、を含有する硬化剤組成物である。このような本発明の硬化剤組成物と、エポキシ樹脂とを含有するエポキシ樹脂組成物においては、貯蔵安定性に優れる。また、このとき、硬化性が損なわれることもない。
これは、例えば、安定剤が後述する式(1A)で表される化合物である場合においては、オルト位に電子共与性基であるメチル基が導入されていることにより、スルフィドの求核性が高まり、貯蔵安定性が向上するものと考えられる。
また、例えば、安定剤が後述する式(1B)で表される化合物である場合においては、スルフィドの求核性の他に、カルボキシ基のカルボニル酸素がスルホニウム塩に配位する構造をとることができるため、これらの効果により貯蔵安定性が向上するものと考えられる。
以下、本発明の硬化剤組成物に含有される各成分について、詳細に説明する。
(カチオン重合開始剤)
本発明の硬化剤組成物に含有されるカチオン重合開始剤としては、スルホニウム塩化合物であれば特に限定されないが、例えば、下記式(3)で表されるスルホニウム塩化合物が挙げられる。
本発明の硬化剤組成物に含有されるカチオン重合開始剤としては、スルホニウム塩化合物であれば特に限定されないが、例えば、下記式(3)で表されるスルホニウム塩化合物が挙げられる。
式(3)中、R5は、ヒドロキシ基または下記式(4)〜(7)のいずれかで表される基を示し、R6は、炭素数1〜6のアルキル基を示し、R7は、置換基を有していてもよい不飽和炭化水素基を示し、Xは、非求核性アニオン性基を示す。
式(4)〜(7)中、R8は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい置換基を有していてもよい芳香族または脂肪族炭化水素基を示す。なお、ヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子などが例示される。
式(4)〜(7)中のR8は、エポキシ樹脂組成物の硬化性を調整する観点から種々の置換基を選択することができ、特に限定されないが、R8が示すヘテロ原子を含んでいてもよい置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニレニル基、フルオレニル基、アンスリル基、p−トルエンスルホニル基(トシル基)などの炭素数6〜18のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基などのアリールアルキル基;スチリル基、シンナミル基などのアリールアルケニル基;等が挙げられる。
また、R8が示すヘテロ原子を含んでいてもよい置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基などの炭素数1〜12の飽和または不飽和の鎖式炭化水素基が挙げられ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、−CH=CH−(CH2)8−基、エチニル基などが挙げられる。
また、R8が示すヘテロ原子を含んでいてもよい置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基などの炭素数1〜12の飽和または不飽和の鎖式炭化水素基が挙げられ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、−CH=CH−(CH2)8−基、エチニル基などが挙げられる。
これらのうち、R8が示す基としては、エポキシ樹脂組成物の硬化性が優れるという理由から、ヘテロ原子を含んでいてもよい置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基が好ましく、炭素数6〜18のアリール基がより好ましく、p−トルエンスルホニル基がさらに好ましい。
式(3)中のR5が示す基としては、ヒドロキシ基または式(4)〜(7)のいずれかで表される基であれば特に限定されないが、エポキシ樹脂組成物の硬化性が優れるという理由から、ヒドロキシ基または式(6)で表される基が好ましい。
式(3)中のR6が示す炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などが挙げられ、なかでも、メチル基、エチル基であるのが好ましい。
式(3)中のR7が示す置換基を有していてもよい不飽和炭化水素基としては、例えば、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基が挙げられ、その具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニレニル基、フルオレニル基、アンスリル基、p−トルエンスルホニル基(トシル基)などの炭素数6〜18のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基などのアリールアルキル基;スチリル基、シンナミル基などのアリールアルケニル基;等が挙げられる。
これらのうち、R7が示す基としては、エポキシ樹脂組成物の硬化性が優れるという理由から、炭素数6〜18のアリール基、アリールアルケニル基が好ましく、ナフチル基、スチリル基がより好ましい。
式(3)中のXが示す非求核性アニオン性基としては、例えば、下記式(8)で表されるテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、SbF6、BF4、PF6、AsF6、SbCl4等が挙げられる。
これらのうち、エポキシ樹脂組成物の硬化性が優れるという理由から、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、SbF6、BF4、PF6が好ましく、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートがより好ましい。
以上説明したような、式(3)で表されるスルホニウム塩化合物の具体例としては、下記式(3A)〜(3D)で表されるスルホニウム塩化合物を好適に挙げることができる。
(安定剤)
本発明の硬化剤組成物に含有される安定剤は、下記式(1)で表される化合物である。このような安定剤は、上述したカチオン重合開始剤と併用されて、エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性に資する。
本発明の硬化剤組成物に含有される安定剤は、下記式(1)で表される化合物である。このような安定剤は、上述したカチオン重合開始剤と併用されて、エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性に資する。
式(1)中、R1は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、または、下記式(2)で表される基を示し、R2は、炭素数1〜6のアルキル基を示し、R3は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。ただし、R3が水素原子を示すときは、R1はカルボキシ基を示す。
式(2)中、R4は、炭素数1〜6のアルキル基、または、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。
式(2)中のR4が示す炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などが挙げられ、なかでも、メチル基、エチル基であるのが好ましい。
また、式(2)中のR4が示す置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニレニル基、フルオレニル基、アンスリル基、p−トルエンスルホニル基(トシル基)などの炭素数6〜18のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基などのアリールアルキル基;スチリル基、シンナミル基などのアリールアルケニル基;等が挙げられる。
また、式(2)中のR4が示す置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニレニル基、フルオレニル基、アンスリル基、p−トルエンスルホニル基(トシル基)などの炭素数6〜18のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基などのアリールアルキル基;スチリル基、シンナミル基などのアリールアルケニル基;等が挙げられる。
式(1)中のR1が示す基としては、エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性がより優れるという理由から、ヒドロキシ基、カルボキシ基が好ましい。
式(1)中のR2が示す炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などが挙げられ、なかでも、メチル基、エチル基であるのが好ましい。
式(1)中のR3が示す炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などが挙げられ、なかでも、メチル基、エチル基であるのが好ましい。
式(1)中のR3が示す炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などが挙げられ、なかでも、メチル基、エチル基であるのが好ましい。
式(1)中のR3が示す基としては、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であれば特に限定されないが、エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性がより優れるという理由から、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。
以上説明したような、式(1)で表される化合物の具体例としては、下記式(1A)または(1B)で表される化合物を好適に挙げることができる。
このような安定剤の含有量は、上述したカチオン重合開始剤に対して、0.001〜20質量%であるのが好ましく、0.01〜10質量%であるのがより好ましく、0.05〜10質量%であるのがさらに好ましい。
安定剤の含有量がこの範囲であれば、本発明の硬化剤組成物を用いたエポキシ樹脂組成物において、貯蔵安定性がより優れる。
安定剤の含有量がこの範囲であれば、本発明の硬化剤組成物を用いたエポキシ樹脂組成物において、貯蔵安定性がより優れる。
本発明の硬化剤組成物の製造方法については特に限定されず、例えば、上述したカチオン重合開始剤および安定剤を、減圧下または不活性雰囲気下で、十分に混練し、均一に分散させる方法が挙げられる。
なお、後述する本発明のエポキシ樹脂組成物の製造方法が、本発明の硬化剤組成物の製造方法を兼ねていてもよい。
なお、後述する本発明のエポキシ樹脂組成物の製造方法が、本発明の硬化剤組成物の製造方法を兼ねていてもよい。
<エポキシ樹脂組成物>
次に、本発明のエポキシ樹脂組成物について説明する。本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、上述した本発明の硬化剤組成物とを含有するものであれば特に限定されない。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂の硬化剤として本発明の硬化剤組成物を含有するため、硬化性が損なわれることなく、貯蔵安定性に優れる。
次に、本発明のエポキシ樹脂組成物について説明する。本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、上述した本発明の硬化剤組成物とを含有するものであれば特に限定されない。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂の硬化剤として本発明の硬化剤組成物を含有するため、硬化性が損なわれることなく、貯蔵安定性に優れる。
このとき、本発明の硬化剤組成物の含有量は、エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部であるのが好ましく、0.5〜10質量部であるのがより好ましい。本発明の硬化剤組成物の含有量がこの範囲であれば、本発明のエポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性がより優れ、かつ、ガラス転移点の高い硬化物が得られる。
(エポキシ樹脂)
本発明のエポキシ樹脂組成物に含有されるエポキシ樹脂としては、エポキシ基を2個以上有するものであれば特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビフェノール型エポキシ樹脂、ポリアルキレングリコール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このようなエポキシ樹脂としては、市販品を用いることができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、例えば、エピコート828(JER社製)、EP4100E(ADEKA社製)等が挙げられ、ポリアルキレングリコール型エポキシ樹脂としては、例えば、EP4000S、EP4010S(いずれもADEKA社製)等が挙げられ、脂環式エポキシ樹脂としては、例えば、セロキサイド2021P(ダイセル化学社製)が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物に含有されるエポキシ樹脂としては、エポキシ基を2個以上有するものであれば特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビフェノール型エポキシ樹脂、ポリアルキレングリコール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このようなエポキシ樹脂としては、市販品を用いることができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、例えば、エピコート828(JER社製)、EP4100E(ADEKA社製)等が挙げられ、ポリアルキレングリコール型エポキシ樹脂としては、例えば、EP4000S、EP4010S(いずれもADEKA社製)等が挙げられ、脂環式エポキシ樹脂としては、例えば、セロキサイド2021P(ダイセル化学社製)が挙げられる。
(添加剤)
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明の目的を損わない範囲で、必要に応じて、例えば、充填剤、反応遅延剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、可塑剤、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、溶剤、界面活性剤(レベリング剤を含む)、分散剤、脱水剤、接着付与剤、帯電防止剤などの各種添加剤を含有することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明の目的を損わない範囲で、必要に応じて、例えば、充填剤、反応遅延剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、可塑剤、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、溶剤、界面活性剤(レベリング剤を含む)、分散剤、脱水剤、接着付与剤、帯電防止剤などの各種添加剤を含有することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物の製造方法については特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂と、本発明の硬化剤組成物と、必要に応じて使用できる添加剤とを、減圧下または不活性雰囲気下で、ボールミル等の混合装置を用いて十分に混練し、均一に分散させる方法が挙げられる。
なお、本発明のエポキシ樹脂組成物の製造方法が、上述した本発明の硬化剤組成物の製造方法を兼ねていてもよい。
なお、本発明のエポキシ樹脂組成物の製造方法が、上述した本発明の硬化剤組成物の製造方法を兼ねていてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、貯蔵安定性に優れるので1液型とすることができる。本発明のエポキシ樹脂組成物を1液型とする場合、本発明のエポキシ樹脂組成物を容器に入れ、密閉して室温以下(例えば、−20〜25℃)で保管することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、加熱条件下で短時間加熱することによって、硬化させることができる。加熱温度は、60〜250℃であるのが好ましく、生産上硬化時間を短縮させる観点から、60〜200℃であるのがより好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物を使用することができる被着体としては、例えば、ガラス材料、プラスチック材料、金属、有機無機複合材料などが挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物の用途としては、特に限定されないが、例えば、封止材、積層板、接着剤、シーリング材、塗料などが挙げられる。また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、低温で短時間に硬化することができ、これにより、硬化時に生じる内部応力を低減できるため、例えば、異方性導電フィルムなどの電子材料分野での用途に好適に用いることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物の用途としては、特に限定されないが、例えば、封止材、積層板、接着剤、シーリング材、塗料などが挙げられる。また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、低温で短時間に硬化することができ、これにより、硬化時に生じる内部応力を低減できるため、例えば、異方性導電フィルムなどの電子材料分野での用途に好適に用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
<エポキシ樹脂組成物の調製>
下記第1表に示す組成(単位は質量部)になるように、各成分を配合して攪拌機(コンディショニングミキサー MX−20、シンキー社製)を用いて均一に混合し、硬化剤組成物の調製も兼ねて、エポキシ樹脂組成物を調製した。
下記第1表に示す組成(単位は質量部)になるように、各成分を配合して攪拌機(コンディショニングミキサー MX−20、シンキー社製)を用いて均一に混合し、硬化剤組成物の調製も兼ねて、エポキシ樹脂組成物を調製した。
<評価>
調製した各エポキシ樹脂組成物について、それぞれ、下記の方法でゲルタイムおよび粘度上昇率を測定することで、硬化性および貯蔵安定性を評価した。結果を下記第1表に示す。
調製した各エポキシ樹脂組成物について、それぞれ、下記の方法でゲルタイムおよび粘度上昇率を測定することで、硬化性および貯蔵安定性を評価した。結果を下記第1表に示す。
(ゲルタイム)
調製した各エポキシ樹脂組成物について、安田式ゲルタイムテスター(安田精機製作所社製、No.153ゲルタイムテスター)を用いて150℃でのゲルタイム(単位:秒)を測定した。
なお、安田式ゲルタイムテスターは、オイルバス中、試料を入れた試験管の中でローターを回転させ、ゲル化が進み一定のトルクが掛かると磁気カップリング機構によりローターが落ちタイマーが止まる装置である。
調製した各エポキシ樹脂組成物について、安田式ゲルタイムテスター(安田精機製作所社製、No.153ゲルタイムテスター)を用いて150℃でのゲルタイム(単位:秒)を測定した。
なお、安田式ゲルタイムテスターは、オイルバス中、試料を入れた試験管の中でローターを回転させ、ゲル化が進み一定のトルクが掛かると磁気カップリング機構によりローターが落ちタイマーが止まる装置である。
(粘度上昇率)
調製した各エポキシ樹脂組成物を40℃のオーブンに入れて、初期および2時間経過後の粘度をそれぞれ測定し、その増加率を粘度上昇率とした。E型粘度計 VISCONIC EHD型(東機産業社製)を用いて初期粘度を測定した。次いで、得られた初期粘度および2時間後の粘度の値を下記式に当てはめて、粘度上昇率を算出した。
(粘度上昇率)=(2時間後の粘度)/(初期粘度)
調製した各エポキシ樹脂組成物を40℃のオーブンに入れて、初期および2時間経過後の粘度をそれぞれ測定し、その増加率を粘度上昇率とした。E型粘度計 VISCONIC EHD型(東機産業社製)を用いて初期粘度を測定した。次いで、得られた初期粘度および2時間後の粘度の値を下記式に当てはめて、粘度上昇率を算出した。
(粘度上昇率)=(2時間後の粘度)/(初期粘度)
上記第1表に示す各成分の詳細は、以下のとおりである。
・エポキシ樹脂1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP4100E、ADEKA社製)
・カチオン重合開始剤1:以下のようにして調製した、式(3A)で表されるスルホニウム塩化合物
まず、4−メチルチオフェノール4.59gとシンナミルクロリド5gとをメタノールとメチルシクロヘキサンとの1:1混合溶媒中で室温で24時間反応させ、クロライド中間体を得た。次に、得られた中間体9gとテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのナトリウム塩水溶液(固形分10%)215.8gとを混合し、室温で24時間反応させることで化合物を得た。1H−NMR分析の結果、この化合物は式(3A)で表されるスルホニウム塩化合物であることが確認された。
・エポキシ樹脂1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP4100E、ADEKA社製)
・カチオン重合開始剤1:以下のようにして調製した、式(3A)で表されるスルホニウム塩化合物
まず、4−メチルチオフェノール4.59gとシンナミルクロリド5gとをメタノールとメチルシクロヘキサンとの1:1混合溶媒中で室温で24時間反応させ、クロライド中間体を得た。次に、得られた中間体9gとテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのナトリウム塩水溶液(固形分10%)215.8gとを混合し、室温で24時間反応させることで化合物を得た。1H−NMR分析の結果、この化合物は式(3A)で表されるスルホニウム塩化合物であることが確認された。
・カチオン重合開始剤2:以下のようにして調製した、式(3B)で表されるスルホニウム塩化合物
まず、1−(クロロメチル)ナフタレン10gと4−メチルチオフェノール7.9gとをメタノール中で室温24時間反応させ、クロライド中間体を得た。次に、得られたクロライド中間体10gとテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのナトリウム塩水溶液(固形分10%)220.16gとを混合し、中間体を得た。さらに、得られた中間体2gを乾燥したγ−ブチロラクトン2.4gに溶解させ、得られた溶液中に、p−トルエンスルホニルイソシアネート0.4gを添加し、式(3B)で表されるスルホニウム塩化合物を得た。
まず、1−(クロロメチル)ナフタレン10gと4−メチルチオフェノール7.9gとをメタノール中で室温24時間反応させ、クロライド中間体を得た。次に、得られたクロライド中間体10gとテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのナトリウム塩水溶液(固形分10%)220.16gとを混合し、中間体を得た。さらに、得られた中間体2gを乾燥したγ−ブチロラクトン2.4gに溶解させ、得られた溶液中に、p−トルエンスルホニルイソシアネート0.4gを添加し、式(3B)で表されるスルホニウム塩化合物を得た。
・カチオン重合開始剤3:以下のようにして調製した、式(3C)で表されるスルホニウム塩化合物
まず、1−(クロロメチル)ナフタレン10gと4−メチルチオフェノール7.9gとをメタノール中で室温24時間反応させ、クロライド中間体を得た。次に、得られたクロライド中間体10gとテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのナトリウム塩水溶液(固形分10%)220.16gとを混合し、式(3C)で表されるスルホニウム塩化合物を得た。
・カチオン重合開始剤4:式(3D)で表されるスルホニウム塩化合物(SI60L、三新化学社製)
まず、1−(クロロメチル)ナフタレン10gと4−メチルチオフェノール7.9gとをメタノール中で室温24時間反応させ、クロライド中間体を得た。次に、得られたクロライド中間体10gとテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのナトリウム塩水溶液(固形分10%)220.16gとを混合し、式(3C)で表されるスルホニウム塩化合物を得た。
・カチオン重合開始剤4:式(3D)で表されるスルホニウム塩化合物(SI60L、三新化学社製)
・安定剤1:式(1A)で表される化合物(東京化成工業社製)
・安定剤2:式(1B)で表される化合物(東京化成工業社製)
・安定剤3:下記式(Z)で表される化合物(東京化成工業社製)
・安定剤2:式(1B)で表される化合物(東京化成工業社製)
・安定剤3:下記式(Z)で表される化合物(東京化成工業社製)
上記第1表に示す結果から明らかなように、安定剤1または安定剤2を使用した実施例1〜8は、これらを使用しない比較例1〜3と比較して粘度上昇率が低く、貯蔵安定性に優れることが分かった。しかも、実施例1〜8は、比較例1〜3と比較して、ゲルタイムが同等であり、硬化性は損なわれなかった。
また、安定剤3は、特許文献2に開示された安定剤であるが、この安定剤3を用いた比較例4は、例えば、安定剤を含まない比較例1と比べれば粘度上昇率の低下は見られたものの、他の実施例と比較して粘度上昇率が高く、貯蔵安定性が不十分であることが分かった。この理由として、式(1A)で表される化合物である安定剤1は、オルト位に電子共与性基であるメチル基が導入されていることにより、スルフィドの求核性が高まり、貯蔵安定性が向上したものと考えられる。また、例えば、式(1B)で表される化合物である安定剤2は、スルフィドの求核性の他に、カルボキシ基のカルボニル酸素がスルホニウム塩に配位する構造をとることができるため、これらの効果により貯蔵安定性が向上したものと考えられる。
また、安定剤3は、特許文献2に開示された安定剤であるが、この安定剤3を用いた比較例4は、例えば、安定剤を含まない比較例1と比べれば粘度上昇率の低下は見られたものの、他の実施例と比較して粘度上昇率が高く、貯蔵安定性が不十分であることが分かった。この理由として、式(1A)で表される化合物である安定剤1は、オルト位に電子共与性基であるメチル基が導入されていることにより、スルフィドの求核性が高まり、貯蔵安定性が向上したものと考えられる。また、例えば、式(1B)で表される化合物である安定剤2は、スルフィドの求核性の他に、カルボキシ基のカルボニル酸素がスルホニウム塩に配位する構造をとることができるため、これらの効果により貯蔵安定性が向上したものと考えられる。
Claims (5)
- スルホニウム塩化合物であるカチオン重合開始剤と、
下記式(1)で表される化合物である安定剤と、を含有する硬化剤組成物。
- 前記安定剤の含有量が、前記カチオン重合開始剤に対して、0.001〜20質量%である、請求項1に記載の硬化剤組成物。
- 前記カチオン重合開始剤が、下記式(3)で表されるスルホニウム塩化合物である、請求項1または2に記載の硬化剤組成物。
- エポキシ樹脂と、請求項1〜3のいずれかに記載の硬化剤組成物とを含有する、エポキシ樹脂組成物。
- 前記硬化剤組成物の含有量が、前記エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部である、請求項4に記載のエポキシ樹脂組成物。
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