JPWO2014016881A1 - 流体機器用のダイアフラム構造 - Google Patents
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Abstract
Description
ダイアフラムは、柔軟性を備えた膜部材であって、可動体と本体との間に設けられ、可動体の移動に伴って変形しながら可動体と本体の間のシール性を維持するものである。
例えば、ダイアフラムバルブの場合、ダイアフラムは流路の開閉のために往復動する弁体とバルブ本体との間に設けられる。
例えば、特許文献1の図4に記載された従来のダイアフラムバルブでは、ダイアフラムの水平部だけが変形する構成なので、弁体のストロークは水平部の変形量で限定され、十分なストロークが得られない。
また、上記ダイアフラムの直径が大きくなると受圧面積が大きくなり、圧力に抗して可動体を移動させるときの駆動力を大きくせざるを得ない。
従って、この場合にも、弁体のストロークには水平部の変形のみが寄与することになる。
さらに、上記特許文献1(図4)及び特許文献2以外のダイアフラム構造において、受圧面積を小さくしながら長い膜長を実現するものとして、特許文献1の図1のようにダイアフラムの水平部を山形にしたり、波状にしたりしたものも知られている。
また、水平部の変形だけで、弁体の十分なストロークを実現しようとすれば、ダイアフラムの水平部の膜長を長くする必要があり、そのため直径を大きくする必要がある。ダイアフラムの直径を大きくすれば、当然のこととして機器全体が大型化してしまうという問題が発生する。
さらに、ダイアフラムの水平部を山形にしたり、波状の部分を形成したりしたものは、山や波の凹み部分の洗浄が困難であったり、そこにエアがたまったりする問題があった。
なお、上記弾性材からなるサポート部材と上記円筒膜部との接触には、円筒膜部が円筒状態において接触する場合と、円筒膜部が内径あるいは外径方向に変形した結果において接触する場合とを含むものとする。
さらに、ストロークを大きくするために環状膜部を山形や、波状に形成する必要がないので、山や波の凹み部分の洗浄が困難であったり、そこにエアがたまったりするような問題が発生しない。
さらに、環状膜部の直径を小さくして受圧面積を小さくできるので、環状膜部に作用する圧力に抗した方向の駆動力を小さくでき、駆動機構を小型化できる。
この第1実施形態のダイアフラムバルブは、本体1に流体室2を形成するとともに、この流体室2に接続した第1流路3及び第2流路4が設けられている。
上記本体1は、上記第1流路3を接続した第1本体部1aと、第2流路4を接続した第2本体部1bとからなり、これら両本体部1a,1bをクランプ部材5で連結して構成されている。
上記弁体7にはシャフト8が一体的に形成され、このシャフト8には連結部材9を介して図示しない駆動機構が連結されている。この駆動機構によって上記弁体7を、軸線方向に往復移動可能にしている。そして、上記弁体7の移動方向及びシャフト8の軸線に沿った方向がこの発明の軸線方向である。
上記ダイアフラム10は、中央に上記シャフト8を貫通させる孔を形成した樹脂製の膜部材である。このダイアフラム10の材質は特に限定されないが、柔軟性及び強度を兼ね備えたポリテトラフルオロエチレンなどを用いることができる。
なお、上記したダイアフラム10の各部分の形状及び位置関係は、図1に示す閉弁時におけるものである。また、図1に示す状態は、上記流体室2内の流体圧がそれほど高くない状態である。
但し、上記ダイアフラム10は弁体7と一体的に形成されていてもかまわない。
また、上記押さえ部材14は、円板部14aと、図中下方へ突出した筒部14bとを備え、この筒部14b内に上記流体を進入させないエリア11が形成される。
そして、上記保持凹部14cに、ダイアフラム10の上記固定用凸部10fを嵌め込んで保持するとともに、上記筒部14bと第1本体部1aの内壁とによって上記保持用膜部10eを挟持している。
上記押圧部14dは、図2の部分拡大図に示す通り、その先端に上記シール用凸部1cの斜面に沿った斜面14fが形成されるとともに、軸心側には弧面14gを形成している。そして、上記シール部10cは上記斜面14eとシール用凸部1cとで挟持される。
さらに、上記押さえ部材14の円板部14aと第2本体部1bとの間には、板バネ15を設け、この板バネ15の弾性力によって上記押圧部14dがダイアフラム10のシール部10dをシール用凸部1cの斜面上に適度な押圧力で押し付けている。
なお、上記板バネ15の弾性力は、上記流体室2と上記エリア11との間を確実に遮断する押しつけ力に対応するものであるが、上記環状膜部10cの張力が大きくなったときには、上記シール部10dが上記シール用凸部1c上を移動可能にする大きさに設定されている。
弁体7が移動し、図1に示す閉弁状態から図3に示す開弁状態になると、ダイアフラム10が変形するが、このとき、ダイアフラム10は円筒膜部10bと環状膜部10cとが一体となって撓む。
仮に、円筒膜部10bの長さL1がほとんどないようなダイアフラム構造では、環状膜部10cのみが弁体7のストロークに伴って撓むことになるため、環状膜部10cの直径を大きくしなければ十分なストロークを確保することは難しい。また、無理にストロークさせた場合、環状膜部10cに発生する応力が大きくなる。その結果、ダイアフラム10の耐久性が落ちてしまうことが予測されるが、この第1実施形態のように十分な長さの円筒膜部10bを備えていれば、そのようなことはない。
但し、円筒膜部10bの軸方向長さを長くすれば、本体1の軸方向長さも長くしなければならないため、結果として流体機器全体の軸方向長さも長くなってしまう。そのため、円筒膜部10bをやたら長くすることは現実的ではなく、使用条件などに応じた最適な長さを設定する必要がある。
つまり、この第1実施形態では、ダイアフラム10の環状膜部10cのみで流体圧を受けたとしても、その圧力によって環状膜部10cの特定箇所を劣化させることはなく、耐久性を維持できるため、環状膜部10cに作用する流体圧を受けるためのバックアップ部材を設けていない。
バックアップ部材を設け、環状膜部10cがバックアップ部材に対して接触、離反を繰り返した場合には、摩耗などの問題も発生するが、この第1実施形態のようにバックアップ部材が不要になれば、そのような問題も発生しない。
また、上記押さえ部材14の先端には弧面14gを形成しているので、図3に示す状態でシール部10cが弧面14gに押し付けられたとしても、ダイアフラム10がダメージを受けにくい。
また、この第2実施形態では、上記流体室2内の圧力はそれほど高くなく、円筒膜部10bが円筒状を保っている状態で、円筒膜部10bの内周が上記サポート部材20の外周に接触するようにしている。
すなわち、第2実施形態においても、円筒膜部10bと環状膜部10cとが一体となって撓み変形するダイアフラム構造を備えている。そのため、弁体7の十分なストロークを確保しながら、環状膜部10cの面積を小さくできる。
また、図5〜7において、破線は、閉弁状態であり、流体室2に高圧が作用していない状態でのダイアフラム10の状態を示したものである。
そして、弁体7が移動し、ダイアフラム10の端部10aが矢印のように移動したときのダイアフラムの形状を太線で示している。なお、図中、移動前後の上記端部10aの位置を、それぞれ白丸と黒丸で示している。
但し、流体圧が低く、シャフト8側への変形量が小さければ上記A部分に内径側へ凹んだくびれ状の変形跡は残らない。
そのため、サポート部材20を設ければ、高圧が作用したとしても円筒膜部10bの径方向の変形量を制限することができる。そのため、円筒膜部10bに応力が集中することを緩和でき、ダイアフラム10の劣化を防止できる。
なお、図4に示す第2実施形態では、円筒膜部10bが弾性変形していない状態で、サポート部材20が円筒膜部10bの内周に接触するように構成しているが、弾性変形していない円筒膜部10bとサポート部材20との間に隙間が保たれるようにしてもよい。
このような隙間を設けたとき、円筒膜部10bは上記隙間の範囲では自由に弾性変形するが、変形量が上記隙間の大きさに達した時点で、弾性材からなるサポート部材20に接触し、サポート部材20とともに弾性変形し、結果として弾性変形量が制限されることになる。
特に、サポート部材30に押し付けられ円筒膜部10bが、環状膜部10c側へ引っ張られて、サポート部材30から離れるポイントCには応力が集中する。
試験1は、第1実施形態のダイアフラム10について、円筒膜部10bの長さL1を変化させて、上記連結部材9に連結した図示しない駆動機構の軸推力の変化を確認するものである。
<試験1>
この試験条件は、次の通りである。
ダイアフラム10の外径を57.5mm、環状膜部10cの半径方向の長さL2=12mmとし、円筒膜部10bの長さL1を4mm、6mm、12mmの3種類とする。
そして、流体圧を作用させずに、上記駆動機構によって上記弁体7を、全閉状態からフルストローク位置まで移動させるときに必要な軸推力を測定した。なお、上記フルストロークとは、配管の断面積と同等以上の流路面積を得ることができるストロークで、ここでは12mmである。
上記軸推力は、弁体7を移動させるとともにこの弁体7に連結したダイアフラム10を変形させるための力である。そして、上記円筒膜部10bが環状膜部10cと一体となって撓む場合、円筒膜部10bの長さL1が長ければ長いほど、環状膜部10cと一体となった膜部の長さが長くなって撓みやすくなるため、上記軸推力が小さくて足りるものと考えられる。
つまり、上記円筒膜部10bの長さを長くすると、必要な軸推力が小さくなるというこの試験1の結果から、上記弁体7が移動したとき、上記円筒膜部10bが、環状膜部10cと一体的に撓んでいることが確認できた。
〈試験2〉
この試験条件は、次のとおりである。
ダイアフラム10の外径を57.5mm、環状膜部10cの半径方向の長さL2=12mmとし、円筒膜部10bの長さL1を4mm、6mm、12mm、16mmとする。
そして、弁体7をシート部6に押し付け、ダイアフラム10全体に高圧ポンプを用いて1.6MPaの流体圧を一定時間加え、その後、分解してダイアフラム10の変形状態を確認した。
なお、上記1.6MPaは、通常のダイアフラムバルブの使用条件よりも高圧である。
サポート部材20を備えていないもの、すなわち上記第1実施形態のダイアフラム構造では、円筒膜部10bの長さL1=4mmで、円筒膜部10bと環状膜部10cとの連続部分にくびれたような変形が残り、白化していた。この部分は、図5のB部分に相当し、高圧によって内径側へ大きく変形し、部分的に弾性限界を超える変形があったことが推測できる。特に、円筒膜部10bの長さL1が短いため、大きな張力が作用し、応力が集中した箇所が変質したことを表わす白化が起こっている。この白化は、破壊の前兆と考えられる。
つまり、ゴム製のサポート部材20を備えていた場合でも、L1=4mmのように、L1が短い場合には、ダイアフラム10の変形時に円筒膜部10bに作用する単位長さあたりの張力が大きくなるため、応力が集中することになる。このような応力集中を避けるためには、L1≧0.5×L2を満足する必要がある。
また、上記第2実施形態のゴム製のサポート部材20は、高圧が作用した円筒膜部10bとともに弾性変形し、円筒膜部10bの過大な変形を防止しつつ、自由な撓みも許容できるため、特定の箇所に過大な応力を集中させない機能を発揮する。
また、円筒膜部10bの変形量の大きさや、最大変位箇所は、ダイアフラム10の材質や、寸法、使用条件などによって異なるため、サポート部材20を設ける位置は、上記諸条件に応じて設定する必要がある。
さらに、サポート部材20は、流体圧によって円筒膜部10bとともに変形可能な弾性材であれば、その材質はゴムにかぎらない。
上記円筒膜部10bの内周とサポート部材との間に間隔があると、その隙間の範囲内で、円筒膜部10bの内径側への弾性変形を可能にし、円筒膜部10bと環状膜部10cとが一体的に撓み変形することができる。しかも、流体圧が高圧になって円筒膜部10bの内径側への変形量が上記隙間の大きさに達したときには、円筒膜部10bの内周が金属製のサポート部材に接触して内径側への変形量が制限されることになる。その結果、応力集中を緩和することができる。
但し、その場合には、上記筒部材13の軸方向長さを図1に示すものよりも長くし、円筒膜部10bの軸方向長さ以上にすることが好ましい。なぜなら、筒部材13の軸方向長さが円筒膜部10bよりも短いと、流体圧が高くなったとき円筒膜部10bが筒部材13の端部の角に押し付けられて傷つく可能性があるからである。
〈試験3〉
この試験3は、サポート部材を備えていない第1実施形態と、サポート部材20を備えた第2実施形態のダイアフラムバルブについて、以下の条件で行なった耐久性試験である。
ダイアフラム10の外径を70mm、環状膜部10cの半径方向の長さL2=16mmとし、円筒膜部10bの長さL1=8mmとする。上記長さL1、L2は、L1≧0.5×L2の条件を満足するものである。
そして、動作条件を、150℃、圧力0.6MPaの加圧熱水下で、弁体7を連続で50万回往復動させ、その後、ダイアフラム10の状態を目視で確認した。上記往復動のストロークは、接続配管の断面積と同等以上の流路面積を得るためのストロークであり、ここでは16mmである。
この試験の結果、サポート部材のない第1実施形態のダイアフラム10には、わずかな変形が見られたが、機能上は全く問題なかった。
また、ゴム製サポート部材20を備えた第2実施形態のダイアフラム10は、初期状態と比べて変化は見られなかった。
この試験4は、上記試験3と動作条件を変更した耐久性試験である。
この試験3の動作条件は、80℃、圧力0.8MPaの加圧温水下で弁体7を連続で1億回往復動し、その後、ダイアフラム10の状態を目視で確認した。
この試験4では、第1、第2実施形態いずれのダイアフラム10にも、初期状態と比べて変化は見られなかった。
以上のように、上記第1、第2実施形態のダイアフラム構造は、応力が集中しにくい構造であり、十分なストロークを満足しながら、高温高圧下における耐久性も満足することを確認できた。
また、上記第1、第2実施形態では、ダイアフラム10の円筒膜部10bの外側を流体室2とし、内側を、流体を進入させないエリア11としたが、円筒膜部10bの内側を流体室とし、外側を、流体を進入させないエリアとすることもできる。
そして、円筒膜部10bの内側を流体室とする場合には、流体圧は円筒膜部10bを拡径する方向に作用し、円筒膜部10bが外形側へ変形するので、サポート部材は円筒膜部の外周に沿わせて設ける必要がある。
円筒膜部10bの内側に設けるサポート部材としては、円筒膜部10bの内側面に対向する面が円筒膜部10bと同心円状に設けられていればよく、第2実施形態のような円筒にかぎらない。例えば、円柱でもよいし、その外表面に凹凸が形成されていてもかまわない。
さらに、円筒膜部10bの内側あるいは外側において、複数の部材を同心円上に連続的に配置することによってサポート部材を構成してもよい。
2 流体室
7 (可動体である)弁体
10 ダイアフラム
10a 端部
10b 円筒膜部
10c 環状膜部
10d シール部
10e 保持用膜部
10f 固定用凸部
11 (流体を進入させない)エリア
14 押さえ部材
14b 筒部
14c 保持凹部
14d 押圧部
20 サポート部材
Claims (4)
- 本体内に軸線方向に移動する可動体を組み込み、この可動体と本体との間にダイアフラムを設け、このダイアフラムで本体内を、流体室と流体を進入させないエリアとに区画する流体機器用のダイアフラム構造であって、上記ダイアフラムは、上記軸線方向に伸びるとともに一端を上記可動体に固定した円筒膜部と、この円筒膜部の他端に連続するとともに、上記軸線を中心にした円周方向に広がる外端側を上記本体に固定した環状膜部とを備えるとともに、上記円筒膜部の軸方向の長さL1と上記環状膜部の半径方向の長さL2との寸法関係をL1≧0.5×L2とし、上記可動体が移動したとき、上記円筒膜部が上記軸線方向に直交する方向、すなわち内径側あるいは外径側に弾性変形しながら、上記環状膜部と一体となって撓み変形する構成にした流体機器用のダイアフラム構造。
- 上記円筒膜部との間に所定の隙間を保って上記円筒膜部と同心円状に設けたサポート部材を備え、上記サポート部材は、上記円筒膜部が内径側あるいは外径側に弾性変形して、その変形量が上記隙間の大きさに達したとき、上記円筒膜部に接触して、上記円筒膜部の内径側あるいは外径側への弾性変形量を制限する構成にした請求項1に記載の流体機器用のダイアフラム構造。
- 上記円筒膜部に沿って円筒膜部と同心円状に設けた弾性材からなるサポート部材を備え、上記サポート部材は、内径側あるいは外径側に弾性変形する上記円筒膜部に接触して上記円筒膜部とともに弾性変形し、上記円筒膜部の内径側あるいは外径側への弾性変形量を制限する構成にした請求項1に記載の流体機器用のダイアフラム構造。
- 上記環状膜部の外端側に、上記軸方向に伸びる円筒状の保持用膜部を、流体を進入させない上記エリア側に設け、この保持用膜部と上記環状膜部との連続部分をシール部とするとともに、上記保持用膜部を本体の内壁との間で挟持する筒部を備えた押さえ部材を設け、上記押さえ部材の筒部の先端と本体との間で上記シール部を移動可能に押さえ付けた請求項1〜3のいずれか1に記載の流体機器用のダイアフラム構造。
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