JPWO2014014070A1 - 発光ガラス薄膜の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、透明性及び発光特性を有するガラス薄膜を簡便に製造することができる方法を提供することである。本発明は、リン酸類、亜鉛化合物及びスズ化合物を溶融して融液を作製し、得られた融液を基板に塗布してアモルファスになる温度で熱処理する、発光ガラス薄膜の製造方法であって、前記リン酸類はオルトリン酸及び亜リン酸からなる群から選択される少なくとも1種であり、前記亜鉛化合物はZnX2(ただし、Xはハロゲン化物、C1−4−アルキルオキシド又はC1−4−アルキルカルボニルオキシドである)であり、前記スズ化合物はSnX2(ただし、Xはハロゲン化物、C1−4−アルキルオキシド又はC1−4−アルキルカルボニルオキシドである)である、製造方法に関する。

Description

本発明は、発光ガラス薄膜の製造方法に関する。
近年、フラットパネルディスプレイ、高輝度及び低消費電力照明等に用いられる発光デバイス用蛍光材料への関心が高まっている。このような蛍光材料としては、地球環境問題を考慮すると、水銀使用蛍光灯又は希土類元素を多く含む蛍光材料ではなく、環境負荷が小さく、かつ希少原料を使用しない蛍光材料又は発光材料の開発が求められている。このような状況の下、蛍光灯又は白熱灯に代わる新しい照明光源として、白色発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)及びそれを備えた発光装置が注目されている。
一方、低融点ガラスは、作業温度が500℃以下のガラスを指し、電子部品の被覆材料等として用いられてきた。最近では、封止材料の役割に加えて、低融点ガラスを補色発光源としても利用し、白色LEDへ応用する試みも活発化している。酸化物ガラスの発光効率は一般に低いため、ガラスを発光材料として使用するためには、通常、希土類元素等の発光イオンをガラス中に分散させる手法、発光特性を有する微結晶をガラスから析出させる手法等が用いられている。この場合にも、将来にわたる安定供給を考慮すると、発光イオンとして希土類元素を含まないことが望ましい。
本発明者らは、以前に希土類元素を含有しない蛍光体材料として、Sn2+を発光中心として用いるアモルファスガラスを提案した(特許文献1)。特許文献1には、SnO(但し、x=1または2)−ZnO−Pの3成分を含むアモルファスガラスが、組成を制御することにより、青〜白の発光を示すことが記載されている。さらに、特許文献1には、このアモルファスガラスを、溶融急冷法を用いて作製することが記載されている。発光特性を大面積にわたって材料に付与するためには、薄膜化することが重要となるが、原料を1000℃以上の高温で溶融し、急冷してガラスを製造する溶融急冷法では、薄膜を形成することは困難であった。
また、ガラス蛍光体の薄膜形成法としてはゾル−ゲル法が知られているが、この方法は溶媒の除去の際にクラックが発生しやすく、得られたガラスの透明性に問題があった。ゾル−ゲル法を用いてSnO−SiO薄膜を作製したという報告はあるが(非特許文献1)、SiOガラス中にナノスケールSnO結晶を沈殿させ、還元雰囲気下でアニーリングされるという複雑な工程で製造しなければならず、得られた薄膜の発光効率も満足できるものではなかった。
特開2011−213569号公報
早川ら ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジクス、第45号、5078-5083 2006年
本発明は、透明性及び発光特性を有するガラス薄膜を簡便に製造することができる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記のような事情を鑑み、鋭意検討を重ねた結果、オルトリン酸と、ZnCl及びSnClを特定の割合で混合し、得られた融液をガラス基板に塗布して熱処理することにより発光特性を有する透明アモルファスガラス薄膜が得られることを見出し、さらに検討を加えて本発明を完成するに至った。
本発明は、下記の発光ガラス薄膜の製造方法を提供するものである。
項1.リン酸類、亜鉛化合物及びスズ化合物を溶融して融液を作製し、得られた融液を基板に塗布してアモルファスになる温度で熱処理する、発光ガラス薄膜の製造方法であって、前記リン酸類はオルトリン酸及び亜リン酸からなる群から選択される少なくとも1種であり、前記亜鉛化合物はZnX(ただし、Xはハロゲン化物、C1−4−アルキルオキシド又はC1−4−アルキルカルボニルオキシドである)であり、前記スズ化合物はSnX(ただし、Xはハロゲン化物、C1−4−アルキルオキシド又はC1−4−アルキルカルボニルオキシドである)である、製造方法。
項2.酸化物基準のモル%表示で、SnO1〜45モル%、ZnO1〜60モル%及びP30〜95モル%となるように、前記スズ化合物、前記亜鉛化合物及び前記リン酸類を混合する、項1に記載の製造方法。
項3.前記スズ化合物が塩化亜鉛であり、前記亜鉛化合物が酢酸亜鉛又は塩化亜鉛である、項1又は2に記載の製造方法。
項4.前記リン酸類がオルトリン酸である場合、オルトリン酸を予め加熱して脱水した後に、スズ化合物及び亜鉛化合物と混合する、項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
項5.出発原料として、さらに、遷移金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び第13族又は第14族の典型元素からなる群から選択される少なくとも1種を含む化合物を添加する、項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
項6.前記溶融温度が、150〜300℃である、項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
項7.前記アモルファスになる温度が、300〜600℃である、項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
項8.項1〜7のいずれかに記載の製造方法により製造される、発光ガラス薄膜。
項9.照明、光学部材、蛍光標識、ガラスコーティング又は封止材のいずれかに使用される、項8に記載の発光ガラス薄膜。
本発明の方法によれば、従来の溶融急冷法では製造することが困難であった、透明性及び発光特性を有するガラス薄膜を簡便に製造することができる。また、本発明の方法によれば、大面積で多様な形状の透明蛍光体を作製することが可能である。この方法は、発光中心として、希土類元素ではないスズイオン(Sn2+)を用いるので、安定した原料供給という点で有利である。本発明の方法で得られるガラス薄膜は、透明性及び発光特性を有しており、さらに作業温度が600℃以下と低いため、LEDの封止材料等としての適用が期待される。また、本発明のガラス薄膜は、照明、光学部材、蛍光標識、ガラスコーティング、封止材等にも使用可能である。
実施例1で得られたガラス薄膜の写真(上半分)、及び紫外線(254nm)を照射したときの写真(下半分)である。 実施例1で得られたガラス薄膜の蛍光(PL)スペクトル及び蛍光励起(PLE)スペクトルを示す図である。 実施例16で得られたガラス薄膜の蛍光(PL)スペクトル及び蛍光励起(PLE)スペクトルを示す図である。 実施例23で得られたガラス薄膜の蛍光(PL)スペクトル及び蛍光励起(PLE)スペクトルを示す図である。 実施例2、38及び40で得られたガラス薄膜の蛍光(PL)スペクトル及び蛍光励起(PLE)スペクトルを示す図である。
本発明の発光ガラス薄膜の製造方法は、リン酸類、亜鉛化合物及びスズ化合物を溶融して融液を作製し、得られた融液を基板に塗布してアモルファスになる温度で熱処理する方法である。
出発原料として、リン酸類、亜鉛化合物及びスズ化合物を用いる。
リン酸類はガラスを安定化させる成分であり、オルトリン酸及び亜リン酸からなる群から選択される少なくとも1種を用いる。透明かつ発光性を有するガラスを製造できる組成範囲が広いことから、リン酸類としてオルトリン酸を用いることが好ましい。出発原料としてオルトリン酸を用いる場合には、水を含有する状態のものを使用してもよい。オルトリン酸における水の含有量は特に限定されず、例えば、無水オルトリン酸、85%リン酸等を使用することが可能である。
亜鉛化合物は、ZnX(ただし、Xはハロゲン化物、C1−4−アルキルオキシド又はC1−4−アルキルカルボニルオキシドである)で表されるものであり、スズ化合物は、SnX(ただし、Xはハロゲン化物、C1−4−アルキルオキシド又はC1−4−アルキルカルボニルオキシドである)で表されるものである。
ハロゲン化物として、臭化物、塩化物、ヨウ化物を挙げることができる。C1−4−アルキルオキシド及びC1−4−アルキルカルボニルオキシドのC1−4−アルキルとして、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル等を挙げることができる。C1−4−アルキルオキシド(アルコキシド)として、メチルオキシド(メトキシド)、エチルオキシド(エトキシド)等を挙げることができ、C1−4−アルキルカルボニルオキシドとして、メチルカルボニルオキシド、エチルカルボニルオキシド等を挙げることができる。ZnXのXと、SnXのXとは、同一であっても異なっていてもよい。
亜鉛化合物としては酢酸亜鉛及び塩化亜鉛が好ましく、透明かつ発光性を有するガラスを製造できる組成範囲が広いことから、酢酸亜鉛が特に好ましい。
スズ化合物は、発光中心を形成する成分である。透明かつ発光性を有するガラスを製造できる組成範囲が広いことから、スズ化合物として塩化スズが好ましい。
このように、本願発明の製造方法は、発光中心を形成する成分として、希土類元素ではないスズイオンを用いるので、原料の安定供給という点からも有利な発光ガラスの製造方法といえる。
酸化物基準のモル%表示で、SnO1〜45モル%、ZnO1〜60モル%及びP30〜95モル%となるように、スズ化合物、亜鉛化合物及びリン酸類を混合することが好ましい。
スズ化合物が塩化スズ、亜鉛化合物が酢酸亜鉛、及びリン酸類がオルトリン酸の場合には、特に、酸化物基準のモル%表示で、SnO1〜45モル%、ZnO1〜45モル%及びP45〜95モル%となるように、塩化スズ、酢酸亜鉛及びオルトリン酸を混合することが好ましい。
スズ化合物が塩化スズ、亜鉛化合物が塩化亜鉛、及びリン酸類がオルトリン酸の場合には、特に、酸化物基準のモル%表示で、SnO1〜45モル%、ZnO1〜60モル%及びP40〜90モル%となるように、塩化スズ、酢酸亜鉛及びオルトリン酸を混合することが好ましい。
スズ化合物が塩化スズ、亜鉛化合物が酢酸亜鉛、及びリン酸類が亜リン酸の場合には、特に、酸化物基準のモル%表示で、SnO10〜40モル%、ZnO10〜40モル%及びP50〜80モル%となるように、塩化スズ、酢酸亜鉛及びオルトリン酸を混合することが好ましい。
得られる発光ガラスの発光効率を上げるという観点からは、SnOの配合比を、酸化物基準のモル%表示で1〜20モル%とすることが好ましい。ガラス薄膜中に含まれるSnOの含有量を上記範囲にすることで、50%以上の内部量子収率を達成することができる。特に好ましい配合比は、酸化物基準のモル%表示で、SnO1〜10モル%であり、この組成を有するガラス薄膜は、60%以上という高い内部量子収率を達成することができる。
出発原料として、上記の必須3成分のほかに、他の成分を使用してもよい。他の成分として、遷移金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、第13族又は第14族の典型元素からなる群から選択される少なくとも1種を含む化合物を添加することができる。遷移金属として、例えば、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)、イットリウム(Y)、テルビウム(Tb)、ユウロピウム(Eu)等を挙げることができる。アルカリ金属として、カリウム(K)等を挙げることができ、アルカリ土類金属として、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)等を挙げることができる。13族又は第14族の典型元素として、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)等を挙げることができる。これらの化合物として、塩化物等のハロゲン化物、酢酸塩、エトキシド等のアルコキシド等を使用することができる。
他の成分を添加する場合には、酸化物基準のモル%表示で、必須3成分の合計100モル%に対して、好ましくは0.1〜5モル%、より好ましくは0.1〜2モル%の量を添加する。特に、酸化物基準のモル%表示で、SnOを1〜10モル%、他の成分を0.1〜2モル%に出発原料を混合した場合には、60%以上という高い内部量子収率を有するガラス薄膜を製造することができる。
上記の出発原料を溶融して融液を作製する。溶融温度(加熱温度)及び溶融時間は、用いる原料により適宜決定することができる。溶融温度(加熱温度)は、通常150〜300℃程度であり、好ましくは170〜200℃程度である。また、溶融時間は、1〜5時間程度であり、好ましくは2〜3時間程度である。本願発明の溶融温度は、従来のガラス製造方法である溶融急冷法の溶融温度(1000℃以上)と比較すると低温であり、合成時のエネルギーを抑制することができるため、本願発明は環境負荷が小さい方法といえる。
出発原料を空気中、150〜300℃で攪拌することにより、リン酸類のP−OHと、亜鉛化合物のZn−X又はスズ化合物のSn−Xとが反応し、反応生成物であるH−Xが反応系外に放出されるため、反応は一方向にのみ進行してガラスネットワーク構造が形成される。
出発原料の混合順序は、すべての出発原料が均一に溶融した融液を得ることができれば、いかなる順序で混合してもよい。出発原料が、リン酸類、亜鉛化合物及びスズ化合物の3成分の場合には、例えば、3成分を一度に混合してもよいし、先に2成分を加熱しながら攪拌し、そこに残りの1成分を添加して混合してもよい。あるいは、先に1成分を加熱し、そこに残りの2成分を添加して混合してもよい。この方法によれば、溶媒を用いずに出発原料のみを混合して反応させることで、クラックの発生を抑制し、透明性の高いガラス薄膜を形成することができる。ここで、リン酸類としてオルトリン酸を用いる場合には、予めオルトリン酸だけを加熱しておき、そこに亜鉛化合物及びスズ化合物を加えて混合することが好ましい。オルトリン酸を予め200℃程度に加熱して、脱水及び縮合が起こさせておくことで、透明かつ発光性を有するガラスを製造できる組成範囲が広くなる。
出発原料として、上記3成分に加えて他の成分を含む場合には、他の成分は上記のどの段階で添加してもよい。例えば、上記3成分及び他の成分を一度に混合してもよいし、先に3成分の内の2成分及び他の成分を加熱しながら攪拌し、そこに3成分の内の残りの1成分を添加して混合してもよい。また、上記3成分の内の1成分を加熱しているところに、先に他の成分、その後に3成分の内の残りの2成分の順番で、又は、先に3成分の内の残りの2成分、その後に他の成分の順番で添加して混合してもよい。他の成分が反応性の高いものである場合には、予めエタノール等の溶媒に均一に溶解させておき、その溶液を上記3成分と混合することが好ましい。これにより、急速に反応が進行するのを防いで、均一な融液を得ることができる。なお、溶媒は加熱混合している間に蒸発するため、実質的には融液中に溶媒は含まれない。
次に、得られた融液を基板上に塗布する。
基板は、透明であって、後述する熱処理に耐えることができる素材であればよい。このような基板として、ガラス、セラミックス、金属等を用いることができる。
塗布方法は、特に限定されない。具体的には、ディップコート法、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、ナイフコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、スプレーコート法等を用いることができる。
基板上に形成された薄膜の厚みは、0.5〜100μm程度である。
最後に、融液を塗布した基板を熱処理する。
熱処理温度は、アモルファスになる温度であればよい。アモルファスになる温度は、300〜600℃程度であり、好ましくは400〜600℃程度であり、より好ましくは400〜500℃程度である。この範囲であれば、結晶化することなくガラス化反応が進行し、ガラス薄膜が形成される。熱処理は、空気中で行い、熱処理時間は、0.1〜2時間程度である。
上記方法で得られるガラス薄膜は、SnO−ZnO−P系のガラス薄膜であり、紫外光により励起され、青色から白色の蛍光を発する。例えば、波長200〜400nmの光による励起によって波長320〜700nmの領域の蛍光を発する。よって、本発明の方法によれば、大面積で多様な形状の透明蛍光体を作製することが可能である。本発明の方法で得られるガラス薄膜は、透明性及び発光特性を有しており、さらに作業温度が600℃以下と低いため、LEDの封止材料のコーティング膜等としても利用することが可能である。
また、上記方法においてSnOの配合比率を調整することにより、60%以上という高い内部量子収率を有するガラス薄膜を製造することができる。
さらに、必須3成分に遷移金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、第13族又は第14族の典型元素からなる群から選択される少なくとも1種を含む化合物を添加して作製した融液を用いた場合にも、透明性及び発光特性を有するガラス薄膜を製造することができる。特に、マンガン化合物を添加する場合、その量を調整することにより、青〜白〜赤の蛍光を発するガラス薄膜を得ることができる。また、テルビウム化合物を添加することにより、緑白色の蛍光を発し、発光効率が非常に高いガラス薄膜を得ることができる。また、ホウ素、ケイ素又はアルミニウム化合物を添加することにより、耐久性、特に耐湿性に優れたガラス薄膜を得ることができる。本発明のガラス薄膜は、照明、光学部材、蛍光標識、ガラスコーティング、封止材等にも使用可能である。
以下に本発明の実施例を示すことにより、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
実施例1
ガラスの組成が、酸化物基準のモル%で、P60.0%、SnO10.0%、ZnO30.0%となるように、85%HPO、SnCl、及びZnClを秤量した。次いで、これらの秤量した原料のうち、HPOを200℃で1時間加熱し、ここにSnCl、及びZnClを加えて、大気中において200℃で1時間加熱して融液を得た。この融液にガラス基板を浸漬(ディップ)し、100μm/sで引き上げた後、400〜500℃で10分間加熱することにより薄膜試料を得た。
上記実施例1で得られた薄膜試料に、分光光度計((株)日立製作所製 U−3500)を用いて光吸収スペクトルを測定した、その結果、可視光領域に吸収は認められず、透明であった。
また、上記実施例1で得られた薄膜試料に、アズワン(株)製 UVランプ SLUV-6を用いて紫外線(254nm)を照射した。図1に、実施例1で得られたガラス薄膜の写真、および、紫外線(254nm)を照射した際の写真を示す。図1の上半分(上部)は、蛍光灯照射時における薄膜試料の写真であり、下半分(下部)は、紫外線(254nm)を照射した際の写真である。比較のために、紫外線照射時の写真を未照射時の写真の上に重ねて表示している。また、図中における点線部は、薄膜が形成されている領域を示している。図1から、実施例1のガラス薄膜が透明で、紫外線(254nm)を照射することにより青白色の蛍光を示すことがわかる。
実施例1で得られた薄膜試料について、蛍光分光光度計((株)日立製作所製 日立850)を用いて、蛍光(PL)−蛍光励起(PLE)スペクトルを測定した。なお、蛍光スペクトルは、蛍光励起スペクトルの最大強度のエネルギーで励起して室温で測定した。図2は、実施例1で得られたガラス薄膜の蛍光(PL)スペクトル及び蛍光励起(PLE)スペクトルを示す図である。図2から、本発明の方法で得られたガラス薄膜は、紫外線励起により発光波長300〜700nm、半値全幅1.5eV程度のブロードな発光特性を有していることがわかる。
実施例2
ガラスの組成が、酸化物基準のモル%で、P50.0%、SnO10.0%、ZnO40.0%となるように、各原料(85%HPO、SnCl、及びZnCl)を秤量し、実施例1と同様にして薄膜試料を得た。得られた各薄膜試料に対して前述の分光光度計を用いて光吸収スペクトルを測定した結果、いずれの試料においても可視光領域に吸収は認められず、透明であった。
実施例2で得られた薄膜試料について、蛍光分光光度計((株)日立製作所製 日立850)を用いて、蛍光(PL)−蛍光励起(PLE)スペクトルを測定した。なお、蛍光スペクトルは、蛍光励起スペクトルの最大強度のエネルギーで励起して室温で測定した。実施例2で得られたガラス薄膜の蛍光(PL)スペクトル及び蛍光励起(PLE)スペクトルを図5に示す。図5から、本発明の方法で得られたガラス薄膜は、紫外線励起により発光波長300〜700nm、半値全幅1.5eV程度のブロードな発光特性を有していることがわかる。
実施例2で得られた薄膜試料について、絶対量子収率測定装置(浜松ホトニクス(株)製 Quantaurus-QY)を用いて、内部量子収率を測定した。その結果、250nmの励起により71%の高い量子収率を示すことがわかった。
実施例3〜実施例10
ガラスの組成が表1に示すモル%となるように、各原料(85%HPO、SnCl、及びZnCl)を秤量し、実施例1と同様にして薄膜試料を得た。得られた各薄膜試料に対して前述の分光光度計を用いて光吸収スペクトルを測定した結果、いずれの試料においても可視光領域に吸収は認められず、透明であった。また、各薄膜試料に対して前述の蛍光分光光度計を用いてスペクトルを測定した。発光が確認された場合には、前述のUVランプで紫外線(254nm)を照射し、その色を表1に示した。
実施例11〜実施例14
ガラスの組成が表1に示すモル%となるように、各原料(85%HPO、SnCl、及びZnCl)を秤量し、大気中でZnClとHPO(85%)とを攪拌しながら室温から100℃まで加熱し、SnClを添加して220℃まで昇温し、2時間加熱して融液を作製した。得られた融液にガラス基板を浸漬(ディップ)し、100μm/sで引き上げた後、400〜500℃で10分間加熱することにより薄膜試料を得た。得られた各薄膜試料に対して前述の分光光度計を用いて光吸収スペクトルを測定した結果、いずれの試料においても可視光領域に吸収は認められず、透明であった。また、各薄膜試料に対して前述の蛍光分光光度計を用いてスペクトルを測定した。発光が確認された場合には、前述のUVランプで紫外線(254nm)を照射し、その色を表1に示した。
実施例15
ガラスの組成が表1に示すモル%となるように、各原料(85%HPO、SnCl、及びZnCl)を秤量し、HPO(85%)を150℃まで加熱し、SnCl及びZnClを添加して220℃まで昇温し、2時間加熱して融液を作製し、実施例1と同様にして薄膜試料を得た。得られた薄膜試料に対して前述の分光光度計を用いて光吸収スペクトルを測定した結果、可視光領域に吸収は認められず、透明であった。また、薄膜試料に対して前述の蛍光分光光度計を用いてスペクトルを測定した。発光が確認された場合には、前述のUVランプで紫外線(254nm)を照射し、その色を表1に示した。
Figure 2014014070
実施例16
ガラスの組成が、酸化物基準のモル%で、P60.0%、SnO10.0%、ZnO30.0%となるように、85%HPO、SnCl、及びZn(OCOCHを秤量した。次いで、これらの秤量した原料のうち、HPOを200℃で1時間加熱し、ここにSnCl、及びZn(OCOCHを加えて、大気中において200℃で1時間加熱して融液を得た。この融液にガラス基板を浸漬し、100μm/sで引き上げた後、400〜500℃で10分間加熱することにより薄膜試料を得た。得られた薄膜試料に対して前述の分光光度計を用いて光吸収スペクトルを測定した結果、可視光領域に吸収は認められず、透明であった。また、この薄膜試料に対して前述の蛍光分光光度計を用いてスペクトルを測定した。発光が確認された場合には、前述のUVランプで紫外線(254nm)を照射し、その色を表2に示した。
実施例17〜実施例18
ガラスの組成が表2に示すモル%となるように、各原料(85%HPO、SnCl、及びZn(OCOCH)を秤量し、実施例15と同様にして薄膜試料を得た。得られた各薄膜試料に対して前述の分光光度計を用いて光吸収スペクトルを測定した結果、いずれの試料においても可視光領域に吸収は認められず、透明であった。また、各薄膜試料に対して前述の蛍光分光光度計を用いてスペクトルを測定した。発光が確認された場合には、前述のUVランプで紫外線(254nm)を照射し、その色を表2に示した。
実施例19〜実施例21
ガラスの組成が表2に示すモル%となるように、各原料(85%HPO、SnCl、及びZnCl)を秤量し、大気中でZn(OCOCHとHPO(85%)とを攪拌しながら室温から100℃まで加熱し、SnClを添加して190℃まで昇温し、2時間加熱して融液を作製した。得られた融液にガラス基板を浸漬(ディップ)し、100μm/sで引き上げた後、400〜500℃で10分間加熱することにより薄膜試料を得た。得られた各薄膜試料に対して前述の分光光度計を用いて光吸収スペクトルを測定した結果、いずれの試料においても可視光領域に吸収は認められず、透明であった。また、各薄膜試料に対して前述の蛍光分光光度計を用いてスペクトルを測定した。発光が確認された場合には、前述のUVランプで紫外線(254nm)を照射し、その色を表2に示した。
実施例22
ガラスの組成が表2に示すモル%となるように、各原料(85%HPO、SnCl、及びZnCl)を秤量し、溶融温度を190℃にした以外は実施例1と同様にして薄膜試料を得た。得られた薄膜試料に対して前述の分光光度計を用いて光吸収スペクトルを測定した結果、可視光領域に吸収は認められず、透明であった。また、薄膜試料に対して前述の蛍光分光光度計を用いてスペクトルを測定した。発光が確認された場合には、前述のUVランプで紫外線(254nm)を照射し、その色を表2に示した。
Figure 2014014070
実施例23
ガラスの組成が、酸化物基準のモル%で、P60.0%、SnO10.0%、ZnO30.0%となるように、HPO、SnCl、及びZn(OCOCHを秤量した。次いで、これらの秤量した原料のうち、HPOを120℃で1時間加熱し、ここにSnCl、及びZn(OCOCHを加えて、大気中において170℃まで昇温し、170℃で1〜2時間加熱して融液を得た。この融液にガラス基板を浸漬し、100μm/sで引き上げた後、400〜500℃で10分間加熱することにより薄膜試料を得た。得られた薄膜試料に対して前述の分光光度計を用いて光吸収スペクトルを測定した結果、可視光領域に吸収は認められず、透明であった。また、この薄膜試料に対して前述の蛍光分光光度計を用いてスペクトルを測定した。発光が確認された場合には、前述のUVランプで紫外線(254nm)を照射し、その色を表3に示した。
実施例24〜実施例26
ガラスの組成が表3に示すモル%となるように、各原料(HPO、SnCl、及びZn(OCOCH)を秤量し、実施例23と同様にして薄膜試料を得た。得られた各薄膜試料に対して前述の分光光度計を用いて光吸収スペクトルを測定した結果、いずれの試料においても可視光領域に吸収は認められず、透明であった。また、各薄膜試料に対して前述の蛍光分光光度計を用いてスペクトルを測定した。発光が確認された場合には、前述のUVランプで紫外線(254nm)を照射し、その色を表3に示した。
実施例27
ガラスの組成が表3に示すモル%となるように、各原料(85%HPO、SnCl、及びZn(OC)を秤量した。まず85%HPOを130℃で2時間撹拌して室温まで冷却した。ここに、Zn(OCを加えて室温で30分間攪拌した後、160℃まで昇温した。ここにSnClを加えて、大気中において160℃で1時間加熱して融液を得た。この融液にガラス基板を浸漬(ディップ)し、100μm/sで引き上げた後、400〜500℃で10分間加熱することにより薄膜試料を得た。得られた薄膜試料に対して前述の分光光度計を用いて光吸収スペクトルを測定した結果、可視光領域に吸収は認められず、透明であった。また、薄膜試料に対して前述の蛍光分光光度計を用いてスペクトルを測定した。発光が確認された場合には、前述のUVランプで紫外線(254nm)を照射し、その色を表3に示した。
実施例28
ガラスの組成が表3に示すモル%となるように、各原料(85%HPO、SnCl、及びZnCl)を秤量し、融液の熱処理温度を300℃にした以外は実施例1と同様にして薄膜試料を得た。得られた薄膜試料に対して前述の分光光度計を用いて光吸収スペクトルを測定した結果、可視光領域に吸収は認められず、透明であった。また、この薄膜試料に対して前述の蛍光分光光度計を用いてスペクトルを測定した。発光が確認された場合には、前述のUVランプで紫外線(254nm)を照射し、その色を表3に示した。
Figure 2014014070
実施例16及び23で得られた薄膜試料について、前述の蛍光分光光度計を用いて、蛍光(PL)−蛍光励起(PLE)スペクトルを測定した。なお、蛍光スペクトルは、蛍光励起スペクトルの最大強度のエネルギーで励起して室温で測定した。図3は、実施例16で得られたガラス薄膜の蛍光(PL)スペクトル及び蛍光励起(PLE)スペクトルを示す図であり、図4は、実施例23で得られたガラス薄膜の蛍光(PL)スペクトル及び蛍光励起(PLE)スペクトルを示す図である。図3及び4から、本発明の方法で得られたガラス薄膜は、紫外線励起により発光波長300〜700nm、半値全幅1.5eV程度のブロードな発光特性を有していることがわかる。
実施例29〜実施例40
ガラスの組成が表4に示すモル%となるように、各原料(85%HPO、SnCl、ZnCl、および金属化合物)を秤量した。ここで、金属化合物として、KCl、CaCl、BaCl、FeCl、EuCl、TbCl、Y(OCOCH・4HO、又はMnClを使用した。大気中でHPO(85%)を攪拌しながら室温から100〜150℃まで加熱し、金属塩を添加して30分間撹拌した。さらに、ZnCl及びSnClを添加して160〜230℃まで昇温し、2時間加熱して融液を作製した。得られた融液から、実施例1と同様にして薄膜試料を得た。得られた各薄膜試料に対して前述の分光光度計を用いて光吸収スペクトルを測定した結果、いずれの試料においても可視光領域に吸収は認められず、透明であった。また、各薄膜試料に対して前述の蛍光分光光度計を用いてスペクトルを測定した。発光が確認された場合には、前述のUVランプで紫外線(254nm)を照射し、その色を表4に示した。さらに、各薄膜試料に対して前述の絶対量子収率測定装置を用いて内部量子収率を測定し、その結果も表4に示した。
さらに、実施例38及び40で得られた薄膜試料について、前述の蛍光分光光度計を用いて、蛍光(PL)−蛍光励起(PLE)スペクトルを測定した。なお、蛍光スペクトルは、蛍光励起スペクトルの最大強度のエネルギーで励起して室温で測定した。実施例38及び40で得られたガラス薄膜の蛍光(PL)スペクトル及び蛍光励起(PLE)スペクトルを、実施例2で得られたガラス薄膜のスペクトルとともに図5に示す。
実施例41〜実施例45
ガラスの組成が表4に示すモル%となるように、各原料(85%HPO、SnCl、ZnCl、およびB(O−n−C、Si(OC、又はAl(OC)を秤量した。大気中でHPO(85%)と各元素のアルコキシドのエタノール溶液を攪拌しながら室温から100〜150℃まで加熱し1時間撹拌した。さらに、ZnCl及びSnClを添加して160〜230℃まで昇温し、2時間加熱して融液を作製した。得られた融液から、実施例1と同様にして薄膜試料を得た。得られた各薄膜試料に対して前述の分光光度計を用いて光吸収スペクトルを測定した結果、いずれの試料においても可視光領域に吸収は認められず、透明であった。また、各薄膜試料に対して前述の蛍光分光光度計を用いてスペクトルを測定した。発光が確認された場合には、前述のUVランプで紫外線(254nm)を照射し、その色を表4に示した。さらに、各薄膜試料に対して前述の絶対量子収率測定装置を用いて内部量子収率を測定し、その結果も表4に示した。
Figure 2014014070
表4から、KO、CaO、BaO、Fe又はYを添加した系(実施例29〜実施例33)では、3成分系(実施例1〜実施例28)と同様に青白の発光を示した。また、得られた薄膜の内部量子収率は35〜47%であった。
Euを添加した系(実施例34)は、白色の発色を示し、得られた薄膜の内部量子収率は50%であった。Tbを添加した系(実施例35)は、緑白色の発色を示した。得られた薄膜の内部量子収率は90%であり、非常に高い発光効率を示した。
MnOを添加した系(実施例36〜実施例40)は、MnOの添加量に応じて青〜白〜赤の発光を示した。また、図5から、MnOが添加されたガラス薄膜は、紫外線励起によりスズに由来するブロードな発光(発光波長300〜700nm)に加えてマンガンに由来するブロードな発光(発光波長500〜800nm)を有するため、3成分系(実施例1〜実施例28)よりもさらに広帯域にわたる発光特性を有していることがわかる。また、MnOの添加量が0.5〜2モル%の場合に、得られた薄膜の内部量子収率は63〜72%と高い値を示した。
SiO、Al又はBを添加した系(実施例41〜実施例45)は、3成分系(実施例1〜実施例28)と同様に青白の発光を示した。また、得られた薄膜の内部量子収率は43〜64%を示した。
これらの結果から、本発明の方法で得られたガラス薄膜は、可視光領域における優れた透明性と、紫外線励起による発光特性とを併せ持つことがわかる。

Claims (9)

  1. リン酸類、亜鉛化合物及びスズ化合物を溶融して融液を作製し、得られた融液を基板に塗布してアモルファスになる温度で熱処理する、発光ガラス薄膜の製造方法であって、前記リン酸類はオルトリン酸及び亜リン酸からなる群から選択される少なくとも1種であり、前記亜鉛化合物はZnX(ただし、Xはハロゲン化物、C1−4−アルキルオキシド又はC1−4−アルキルカルボニルオキシドである)であり、前記スズ化合物はSnX(ただし、Xはハロゲン化物、C1−4−アルキルオキシド又はC1−4−アルキルカルボニルオキシドである)である、製造方法。
  2. 酸化物基準のモル%表示で、SnO1〜45モル%、ZnO1〜60モル%及びP30〜95モル%となるように、前記スズ化合物、前記亜鉛化合物及び前記リン酸類を混合する、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記スズ化合物が塩化亜鉛であり、前記亜鉛化合物が酢酸亜鉛又は塩化亜鉛である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記リン酸類がオルトリン酸である場合、オルトリン酸を予め加熱して脱水した後に、スズ化合物及び亜鉛化合物と混合する、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 出発原料として、さらに、遷移金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び第13族又は第14族の典型元素からなる群から選択される少なくとも1種を含む化合物を添加する、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記溶融温度が、150〜300℃である、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記アモルファスになる温度が、300〜600℃である、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法により製造される、発光ガラス薄膜。
  9. 照明、光学部材、蛍光標識、ガラスコーティング又は封止材のいずれかに使用される、請求項8に記載の発光ガラス薄膜。
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