JPWO2014007222A1 - ガラスの製造方法、化学強化ガラス - Google Patents

ガラスの製造方法、化学強化ガラス Download PDF

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Abstract

強度が高く、所望の色調が得られるガラスの製造方法及び化学強化ガラスを提供すること。着色成分を含有するガラスを化学強化処理後、化学強化処理温度から300℃までの温度域を30℃/分未満の冷却速度で冷却することを特徴とするガラスの製造方法である。

Description

本発明は、電子機器、例えば携帯して使用可能な通信機器や情報機器等の筐体や装飾品に用いられる化学強化ガラス、およびガラスの製造方法に関する。
携帯電話等の電子機器の筐体や装飾品は、装飾性、耐傷性、加工性、コスト等の様々な要因を考慮し、樹脂、金属等の素材から適宜のものが選択され、用いられている。
近年、筐体の素材として、従来は用いられていなかったガラスを用いる試みがされている(特許文献1参照)。特許文献1によれば、携帯電話等の電子機器において、筐体本体をガラスで形成することにより、透明感のある独特の装飾効果を発揮することができるとされている。
他方、携帯電話等の携帯して使用可能な電子機器の筐体や装飾品は、使用時の落下衝撃による破損や長期間の使用による接触傷を考慮し、高い強度が求められる。
ガラスの強度を高める方法として、ガラス表面に圧縮応力層を形成させる手法が一般的に知られている。ガラス表面に圧縮応力層を形成させる手法としては、風冷強化法(物理強化法)と、化学強化法(イオン交換強化法)が代表的である。風冷強化法(物理強化法)は、軟化点付近まで加熱したガラス板表面を風冷などにより急速に冷却して行う手法である。また、化学強化法(イオン交換強化法)は、ガラス転移点以下の温度で、イオン交換により、ガラス板表面に存在するイオン半径が小さいアルカリ金属イオン(典型的にはLiイオン、Naイオン)を、イオン半径のより大きいアルカリイオン(典型的にはLiイオンに対してはNaイオンまたはKイオンであり、Naイオンに対してはKイオンである。)に交換する手法である。
例えば、上記筐体に用いられるガラスは、通常2mm以下の厚さで使用されることが多い。このように、厚みの薄いガラス板に対して風冷強化法を適用すると、表面と内部の温度差を確保しにくいため、圧縮応力層を形成することが困難である。このため、強化処理後のガラスにおいて、目的の高強度という特性を得ることができない。
また、風冷強化法では、冷却温度のばらつきにより、ガラス板の平面性を損なう懸念が大きい。特に厚みの薄いガラス板については、平面性が損なわれる懸念が大きく、本発明の目的である質感が損なわれる可能性がある。これらの点から、ガラス板は、後者の化学強化法によって強化することが好ましい。
日本特開2009−61730号公報
携帯電話等の電子機器の筐体や装飾品は、消費者の嗜好の多様性を反映し、様々な意匠表現が求められる。意匠表現の中でも色調は、特に重要なもののひとつである。前記筐体に用いられるガラスは、マーケティング活動で得られたデータに基づく色調やデザイナーが決定した色調を忠実に再現することが求められる。
しかしながら、本発明者らは、ガラスの機械的強度を高めるために、着色成分を含有するガラスを化学強化処理したところ、化学強化処理の前後でガラスの色調が変化する、という新規な課題を見出した。
そこで、本発明は、強度が高く、所望の色調が得られるガラスの製造方法、化学強化ガラスの提供を目的とする。
本発明者は、種々の検討を行った結果、着色成分を含有するガラスを化学強化処理する際、化学強化処理後の特定温度域における冷却速度を制御することで色調の変化を抑制することができることを見出した。
すなわち、本発明のガラスの製造方法は、着色成分を含有するガラスを化学強化処理後、化学強化処理温度から300℃までの温度域を30℃/分未満の冷却速度で冷却することを特徴とする。
また、本発明のガラスの製造方法は、着色成分を含有するガラスを化学強化処理後、化学強化処理温度から300℃までの温度域を10℃/分未満の冷却速度で冷却することを特徴とする。
また、本発明のガラスの製造方法は、ガラスの着色成分として、Fe、Co、NiO、CuO、TiO、MnO、Cr、V、Bi、およびSeからなる群より選択された少なくとも1成分を、酸化物基準のモル百分率表示で、0.1〜7%含有することを特徴とする。
また、本発明のガラスの製造方法は、ガラスとして、酸化物基準のモル百分率表示で、SiOを55〜80%、Alを0〜16%、Bを0〜12%、NaOを5〜20%、KOを0〜8%、MgOを0〜15%、CaOを0〜15%、ΣRO(Rは、Mg、Ca、Sr、Ba、およびZnの少なくともいずれかであり、ΣROは、含まれるROの合量を示す。以下、本明細書において、同様とする。)を0〜18%、ZrOを0〜1%、着色成分(ここにおける着色成分は、Fe、Co、NiO、CuO、TiO、MnO、Cr、V、Bi、およびSeからなる群より選択された少なくとも1成分を表す。以下、本明細書において、同様とする。)を0.1〜7%含有するように、ガラス原料を調合した後、ガラス原料を溶融し、得られた溶融ガラスを成形することにより得られることを特徴とする。
また、本発明のガラスの製造方法は、下記式(I)で示される、L表色系(F2光源)による化学強化処理前の反射光の色度aと化学強化処理及び冷却後の反射光の色度aとの差をΔa、下記式(II)で示される、L表色系(F2光源)による化学強化処理前の反射光の色度bと化学強化処理及び冷却後の反射光の色度bとの差をΔb、とした場合、下記式(III)で示される色調変化量が0.6以下であることを特徴とする。
Δa=a値(化学強化処理前)−a値(化学強化処理及び冷却後)・・(I)
Δb=b値(化学強化処理前)−b値(化学強化処理及び冷却後)・・(II)
√((Δa+(Δb)・・・(III)
また、本発明のガラスの製造方法における化学強化処理は、ガラスの表面の表面圧縮応力層を形成する化学強化処理であり、かつ表面圧縮応力層の深さが5μm以上であり、前記表面圧縮応力層の表面圧縮応力が300MPa以上となるように化学強化処理を行うことを特徴とする。
また、本発明のガラスの製造方法における冷却後のガラスは、化学強化処理後にガラスを急速に冷却した場合のガラスと比較し、ガラスの表面圧縮応力の低下率が25%未満であることを特徴とする。
また、本発明のガラスの製造方法における冷却後のガラスは、化学強化処理後にガラスを400℃/分の冷却速度で急速に冷却したガラスと比較し、ガラスの表面圧縮応力の低下率が25%未満であることを特徴とする。
本発明の化学強化ガラスは、上記の製造方法によって作製されてなることを特徴とする。
また、本発明の化学強化ガラスは、外装部材に用いることを特徴とする。
本発明によれば、強度が高いガラスを作製することができる。また、化学強化処理前後の色調の変化が少ない着色成分を含有するガラスを作製することができる。
本発明のガラスの製造方法は、着色成分を含有するガラスを化学強化処理後、化学強化処理温度から300℃までの温度域を30℃/分未満の冷却速度で冷却する工程を備える。冷却速度が30℃/分以上であると、化学強化処理前と化学強化処理及び冷却後のガラスの色調変化が大きくなり、所望の色調のガラスが得難くなる。一方、冷却速度が0.2℃/分より遅いと、冷却工程の生産性が低下する。また、化学強化処理によりガラス表面に表面圧縮応力が形成されるが、前述のように冷却速度が遅いと前記表面圧縮応力の緩和が起こり、化学強化ガラスの機械的強度が低下する。好ましい冷却速度は、25℃/分未満であり、より好ましくは20℃/分未満、更に好ましくは10℃/分未満、特に好ましくは5℃/分未満である。
化学強化処理温度とは、ガラスの化学強化処理時における溶融塩(化学強化処理液)の処理温度を示す。通常、ガラスの化学強化処理は、溶融塩を400℃〜550℃程度に加熱した状態で、溶融塩中にガラスを浸漬し、一定時間保持する。このようにすることで、ガラス表面に存在するアルカリ金属イオン(典型的には、Liイオン、Naイオン)を、溶融塩中の前記アルカリ金属イオンよりイオン半径の大きいアルカリ金属イオン(典型的にはLiイオンに対してはNaイオンまたはKイオンであり、Naイオンに対してはKイオンである。)に交換する。一定時間保持後、化学強化処理が終わったガラスは、溶融塩から取り出し、室温まで冷却する。ここで、ガラスを溶融塩から取り出した後、化学強化処理温度から300℃までの温度域の冷却速度を所定速度未満に制御することが、ガラスの色調変化を抑制する上で重要である。
化学強化処理後のガラスの冷却速度を制御して、ガラスの色調変化を抑制する理由は、以下のメカニズムによるものと考えられる。
ガラスに含有する着色成分は、典型的に遷移金属元素と呼ばれる成分である。これら着色成分は、複数の原子価を持つ。そのため、着色成分がガラス中に含有された場合にも原子価が異なったものが存在し、それらの間に平衡をもって共存している。また、これら着色成分は、複数の配位数を持つものがある。そのため、原子価と同様に、着色成分がガラス中に含有された場合にも配位数が異なったものが存在し、それらの間に平衡をもって共存している。これら着色成分は、ガラス中に存在する状態、前述した原子価の平衡や配位数の平衡によって呈するガラスの色調が異なる。
なお、本発明における「着色成分を含有するガラス」とは、前記着色成分をガラス中に0.01mol%以上含有するものである。また、複数の種類の着色成分をガラス中に含有する場合は、それら着色成分の合計量が0.01mol%以上含有することを意味する。
そのため、ガラス中の着色成分の原子価の平衡状態の変化もしくは配位数の平衡状態の変化を抑制することで、ガラスの色調変化を抑制できると考えられる。その手段として、化学強化処理後のガラスの冷却速度を化学強化処理温度から300℃までの温度域で30℃/分未満とする。ガラス中の着色成分の原子価や配位数は、基礎ガラス(すなわち、ガラス中における着色成分以外の成分)の分子構造状態に影響を受ける。前記冷却速度でガラスを冷却することにより、化学強化処理前後での基礎ガラスの分子構造状態の変化を抑制でき、よってガラスの色調変化を抑制できる。なお、300℃より低い温度域の冷却速度は、着色成分に起因するガラスの色調変化に大きな影響を及ぼさない。そのため、300℃から室温までの冷却速度は、前記30℃/分未満としてもよいし、生産性を考慮して前記冷却速度より早い速度で冷却を行ってもよい。
着色成分の原子価や配位数の相違によるガラスの色調の違いは、例えば以下のとおりである。
鉄成分は、原子価の平衡がFe2+よりであればガラスは淡青色を呈し、Fe3+よりであればガラスはピンク〜淡黄を呈する。また、原子価がFe3+であって、配位数の平衡が6配位よりであればガラスはピンク〜淡黄を呈し、4配位よりであればガラスは黄褐色を呈する。
コバルト成分は、原子価がCo2+であって、配位数の平衡が6配位よりであればガラスは赤〜ピンク〜紫色を呈し、4配位よりであればガラスは青色を呈する。
ニッケル成分は、原子価がNi2+であって、配位数の平衡が6配位よりであればガラスは黄色を呈し、4配位よりであればガラスは赤紫色を呈する。
銅成分は、原子価の平衡がCuよりであればガラスは無色を呈し、Cu2+よりであればガラスは青色を呈する。
チタン成分は、原子価がTi3+よりであればガラスは青紫色〜青色を呈し、Ti4+よりであればガラスは無色を呈する。
マンガン成分は、原子価がMn2+で配位数が6配位であればガラスは淡橙を呈し、原子価がMn2+で配位数が4配位であればガラスは無色を呈し、原子価がMn3+で配位数が4配位であれば、ガラスは赤紫色を呈する。
クロム成分は、原子価がCr3+よりであればガラスは緑色を呈し、Cr6+よりであればガラスは黄色を呈する。
バナジウム成分は、原子価がV3+よりであればガラスは緑色を呈し、V4+よりであればガラスは青色を呈し、V5+よりであればガラスは無色〜黄色を呈する。
化学強化処理は、例えば、400℃〜550℃の溶融塩中にガラスを1〜20時間程度浸漬することで行うことができる。化学強化処理に用いる溶融塩としては、カリウムイオンもしくはナトリウムイオンを含むものであれば、特に限定されないが、例えば硝酸カリウム(KNO)の溶融塩が好適に用いられる。その他、硝酸ナトリウム(NaNO)の溶融塩や硝酸カリウム(KNO)と硝酸ナトリウム(NaNO)とを混合した溶融塩を用いてもよい。
本発明のガラスの製造方法において、化学強化処理は、ガラスの表面に表面圧縮応力層を形成する工程である。また、ガラスの表面に形成される表面圧縮応力層の深さ(以下、表面圧縮応力層の深さを単に「DOL」とも称する。)は、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、更に好ましくは20μm以上、特に好ましくは30μm以上となるように化学強化処理を行うことが好ましい。化学強化ガラスを外装部材に用いる場合、ガラスの表面に接触傷がつく確率が高く、ガラスの機械的強度が低下することがある。そこで、DOLを大きくすれば、化学強化ガラスの表面に傷がついても、割れ難くなる。一方、化学強化処理後にガラスを切断加工しやすくするために、DOLを70μm以下とすることが好ましい。
本発明のガラスの製造方法において、ガラス表面に形成される表面圧縮応力(以下、表面圧縮応力層さを単に「CS」とも称する。)が、300MPa以上、500MPa以上、700MPa以上、900MPa以上となるように化学強化処理することが好ましい。CSが高くなることで化学強化ガラスの機械的強度が高くなる。一方、CSが高くなりすぎると内部の引っ張り応力が極端に高くなるおそれがあるため、CSは1200MPa以下とすることが好ましい。
化学強化処理後のガラスの冷却速度を制御することでガラスの色調変化を抑制することができるが、他方で化学強化処理後の熱処理は化学強化処理にて形成されたCSを緩和する。そのため、本発明のガラスの製造方法は、化学強化処理後にガラスを急速に冷却した場合(すなわち、400℃/分の急速冷却)と比較し、ガラスのCSの低下率が25%未満であることが好ましい。このようにすることで、ガラスの色調変化を抑制しつつ、化学強化ガラスのCS低下を一定レベルに抑え、実用に供する機械的強度の高いガラスを得ることができる。ガラスの表面圧縮応力の低下率は、より好ましくは20%未満、さらに好ましくは15%未満、特に好ましくは10%未満である。
なお、ガラスのCSの低下率は、[急速冷却した際の表面圧縮応力]−[本発明の冷却条件で冷却した際の表面圧縮応力]/[急速冷却した際の表面圧縮応力]の式を用いることで算出される。
本発明のガラスの製造方法においては、化学強化処理後の特定の温度域におけるガラスの冷却速度を制御することで、下記式(I)で示される、L表色系(F2光源)による化学強化処理前の反射光の色度aと化学強化処理及び冷却後の反射光の色度aとの差をΔa、下記式(II)で示される、L表色系(F2光源)による化学強化処理前の反射光の色度bと化学強化処理及び冷却後の反射光の色度bとの差をΔb、とした場合、下記式(III)で示される色調変化量が0.6以下であることが好ましい。
Δa=a値(化学強化処理前)−a値(化学強化処理及び冷却後)・・(I)
Δb=b値(化学強化処理前)−b値(化学強化処理及び冷却後)・・(II)
√((Δa+(Δb)・・・(III)
前記色調変化量を0.6以下とすることで、目視において色調の相違を識別し難く、色調変化がほとんどないと判断することができる。前記色調変化量は、0.5以下がより好ましく、0.4以下が更に好ましい。
上記a値、b値は、CIE(国際照明委員会)により規格化されたL表色系を用いて定義することができる。
ΔaおよびΔbは以下の方法で求める。分光色測計(例えば、エックスライト社製、Color i7)を用いて、各ガラスのF2光源における反射色度をそれぞれ測定し、測定結果を用いてΔaおよびΔbを算出する。なお、ガラスの裏面側(すなわち、光源からの光が照射される面の裏面)には、白色の樹脂板を置いて測定を行う。
次いで、本発明のガラスの製造方法におけるガラス組成について説明する。
本発明のガラスの製造方法におけるガラス組成として、ガラス中に、着色成分としてFe、Co、NiO、CuO、TiO、MnO、Cr、V、Bi、およびSeからなる群より選択された少なくとも1成分を、酸化物基準のモル百分率表示で、0.1〜7%含有することが好ましい。ガラス中に前記着色成分を含有することで、意匠性の高い色調を備えるガラスを作製することができる。なお、前記着色成分を複数種類含有する場合は、それらの合計量が0.1〜7%含有することを意味するものである。
これらの着色成分は、その合計の含有量が0.1〜7%であれば、これらのうちのいずれかを含有していればよいが、各々の含有量としては、0.01%未満では、着色成分としての効果を十分に得られない。好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.2%以上である。また、各々の含有量が6%超では、ガラスが不安定となり失透を生じる。より好ましくは5%以下、更に好ましくは4%以下である。
ガラス中の着色成分は、酸化物基準のモル百分率表示で、Feを0〜6%、Coを0〜6%、NiOを0〜6%、CuOを0〜6%、TiOを0〜6%、MnOを0〜6%、Crを0〜6%、Vを0〜6%、Biを0〜6%、Seを0〜6%、含有することが好ましい。また、ガラスにおいて、所望の色調を表現するためには、Fe、Co、NiO、CuO、TiO、MnO、Cr、V、Bi、およびSeからなる群より選ばれる成分を複数組み合わせて用いることが好ましい。なお、それぞれの含有量が6%超であるとガラスが不安定となるおそれがある。
なお、本明細書において、着色成分の含有量は、ガラス中に存在する各成分が、表示された酸化物として存在するものとした場合の換算含有量を示す。たとえば「Feを0〜6%含有する」とは、ガラス中に存在するFeが、すべてFeの形で存在するものとした場合のFe含有量、すなわち、FeのFe換算含有量が0〜6%であることを意味するものである。その他の着色成分に関しても、同様に換算含有量を示すものである。
本発明のガラスの製造方法におけるガラスの色調は限定されるものではないが、例えば黒色を呈するガラスを作製する場合は、以下の着色成分を用いることが好ましい。下記に詳述する着色成分以外のガラスにおいて、ガラス中の着色成分として、Feを1.5〜6%、およびCoを0.1〜1%の組み合わせで含有することで、波長380nm〜780nmの可視域の光を十分に吸収しつつ、平均的に可視域の光を吸収するガラスとすることができる。つまり、黒色を呈するガラスを得ようとする場合、着色成分の種類や配合量により、波長380nm〜780nmの可視域において、吸収特性が低い波長域が存在することに起因して、褐色や青色を呈した黒色となることがある。これに対し、前述の着色成分とすることで、いわゆる漆黒を表現することができる。
このような光吸収特性が得られるものとして、着色成分の上記以外の配合量の組み合わせとしては、Feを0.01〜4%、Coを0.2〜3%、NiOを1.5〜6%の組み合わせ、Feを1.5〜6%、NiOを0.1〜1%の組み合わせ、Feを0.01〜4%、Coを0.05〜2%、NiOを0.05〜2%、Crを0.05〜2%の組み合わせ、Feを0.01〜4%、Coを0.05〜2%、NiOを0.05〜2%、MnOを0.05〜2%の組み合わせ、Coを0.01〜0.2%、NiOを0.05〜1%、TiOを0.01〜3%の組み合わせ、Coを0.01〜0.2%、NiOを0.05〜1%、TiOを0.01〜3%、CuOを0.01〜3%の組み合わせが挙げられる。
また、ガラス中の着色成分を組み合わせることで、波長380nm〜780nmの可視域の光を十分に吸収しつつ、紫外光や赤外光の特定波長を透過するガラスとすることができる。例えば、着色成分として、前述のFe、Co、NiO、MnO、Cr、およびVの組み合わせを含有したガラスとすることで、波長300nm〜380nmの紫外光および波長800nm〜950nmの赤外光を透過させることができる。また、着色成分として、前述のFe、およびCoの組み合わせを含有したガラスとすることで、波長800nm〜950nmの赤外光を透過させることができる。例えば、携帯電話や携帯型ゲーム機器のデータ通信に用いられる赤外線通信装置は、波長800nm〜950nmの赤外光が利用されている。そのため、前述の着色成分の組み合わせを配合してガラスに赤外光透過特性を付与することで、例えば、ガラスを筐体用途に適用する際に、赤外線通信装置用の開口部を筐体に設けることなく適用することができる。
また、前述した着色成分以外に、ガラスの色調を調整する成分として、CeO、Er、およびNdからなる群より選択される少なくとも1成分を、0.005〜2%含有してもよい。ガラスの色調を調整する成分についても、着色成分と同様に換算含有量(酸化物基準のモル百分率表示)を示すものである。
ガラスの色調を調整する成分として、CeO、Er、およびNdからなる群より選択される少なくとも1成分を、合計で0.005%以上含有することで、可視域の波長域内での光の吸収特性の差異を低減でき、褐色や青色を呈することのない、いわゆる漆黒の黒の色調を有するガラスを得ることができる。また、上記のガラスの色調を調整する成分の含有量を2%以下とすることで、ガラスが不安定となり失透を生じるのを抑制することができる。上記のガラスの色調を調整する成分の合計の含有量は、より好ましくは0.01〜1.8%であり、さらに好ましくは0.1〜1.5%である。
本発明のガラスの製造方法におけるガラスとしては、上記の着色成分とともに、下記酸化物基準のモル百分率表示で、SiOを55〜80%、Alを0〜16%、Bを0〜12%、NaOを5〜20%、KOを0〜8%、MgOを0〜15%、CaOを0〜15%、ΣRO(Rは、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)を0〜18%、ZrOを0〜1%含有するものが挙げられる。
以下、本発明の化学強化用ガラスの着色成分以外のガラスの組成について、特に断らない限りモル百分率表示含有量を用いて説明する。
SiOはガラスの骨格を構成する成分であり必須である。55%未満ではガラスとしての安定性が低下する、または耐候性が低下する。好ましくは60%以上である。より好ましくは65%以上である。SiOが80%超ではガラスの粘性が増大し溶融性が著しく低下する。好ましくは75%以下、典型的には70%以下である。
Alはガラスの耐候性および化学強化特性を向上させる成分であり、必須ではないが必要に応じて含有することができる。Alを含有する場合、3%未満では耐候性が低下する。好ましくは4%以上、典型的には5%以上である。
Alが16%超ではガラスの粘性が高くなり均質な溶融が困難になる。好ましくは14%以下、典型的には12%以下である。
化学強化処理によりガラスの表面に高いCSを形成する場合は、Alは5〜15%(ただし、5%を含まない)とすることが好ましい。また、ガラスの溶融性を高め、安価に製造する場合は、Alは0〜5%(この場合は、5%を含む)とすることが好ましい。
はガラスの耐候性を向上させる成分であり、必須ではないが必要に応じて含有することができる。Bを含有する場合、4%未満では耐候性向上について有意な効果が得られないおそれがある。好ましくは5%以上であり、典型的には6%以上である。
が12%超では揮散による脈理が発生し、歩留まりが低下するおそれがある。好ましくは11%以下、典型的には10%以下である。
NaOはガラスの溶融性を向上させる成分であり、またイオン交換により表面圧縮応力層を形成させるため、必須である。5%未満では溶融性が悪く、またイオン交換により所望の表面圧縮応力層を形成することが困難となる。好ましくは7%以上、典型的には8%以上である。
NaOが20%超では耐候性が低下する。好ましくは18%以下、典型的には16%以下である。
Oはガラスの溶融性を向上させる成分であるとともに、化学強化におけるイオン交換速度を大きくする作用があるため、必須ではないが含有することが好ましい成分である。KOを含有する場合、0.01%未満では溶融性向上について有意な効果が得られない、またはイオン交換速度向上について有意な効果が得られないおそれがある。典型的には0.3%以上である。KOが8%超では耐候性が低下する。好ましくは6%以下、典型的には5%以下である。
RO(Rは、Mg、Ca、Sr、Ba、Znを表す)はガラスの溶融性を向上させる成分であり、必須ではないが必要に応じていずれか1種以上を含有することができる。その場合ROの含有量の合計ΣRO(Rは、Mg、Ca、Sr、Ba、Znを表す)が1%未満では溶融性が低下するおそれがある。好ましくは3%以上、典型的には5%以上である。ΣRO(Rは、Mg、Ca、Sr、Ba、Znを表す)が18%超では耐候性が低下する。好ましくは15%以下、より好ましくは13%以下、典型的には11%以下である。
MgOはガラスの溶融性を向上させる成分であり、必須ではないが必要に応じて含有することができる。MgOを含有する場合、3%未満では溶融性向上について有意な効果が得られないおそれがある。典型的には4%以上である。MgOが15%超では耐候性が低下する。好ましくは13%以下、典型的には12%以下である。
CaOはガラスの溶融性を向上させる成分であり、必須ではないが必要に応じて含有することができる。CaOを含有する場合、0.01%未満では溶融性向上について有意な効果が得られない。典型的には0.1%以上である。CaOが15%超では化学強化特性が低下する。好ましくは13%以下、典型的には12%以下である。ガラスの化学強化特性を高めたい場合は、実質的に含有しないことが好ましい。
化学強化処理によりガラスの表面に高いCSを形成する場合は、CaOは0〜5%(ただし、5%を含まない)とすることが好ましい。また、ガラスの溶融性を高め、安価に製造する場合は、CaOは5〜15%(この場合は、5%を含む)とすることが好ましい。
SrOは溶融性を向上させるための成分であり、必須ではないが必要に応じて含有することができる。SrOを含有する場合、1%未満では溶融性向上について有意な効果が得られないおそれがある。好ましくは3%以上であり、典型的には6%以上である。SrOが15%超では耐候性や化学強化特性が低下するおそれがある。好ましくは12%以下、典型的には9%以下である。
BaOは溶融性を向上させるための成分であり、必須ではないが必要に応じて含有することができる。BaOを含有する場合、1%未満では溶融性向上について有意な効果が得られないおそれがある。好ましくは3%以上であり、典型的には6%以上である。BaOが15%超では耐候性や化学強化特性が低下するおそれがある。好ましくは12%以下、典型的には9%以下である。
ZnOは溶融性を向上させるための成分であり、必須ではないが必要に応じて含有することができる。ZnOを含有する場合、1%未満では溶融性向上について有意な効果が得られないおそれがある。好ましくは3%以上であり、典型的には6%以上である。ZnOが15%超では耐候性が低下するおそれがある。好ましくは12%以下、典型的には9%以下である。
ZrOはイオン交換速度を大きくする成分であり、必須ではないが1%未満の範囲で含有してもよい。ZrOが1%超では溶融性が悪化して未溶融物としてガラス中に残る場合が起こるおそれがある。典型的にはZrOは含有しない。
上記成分以外にも下記の成分をガラス組成中に導入してもよい。
SOは清澄剤として作用する成分であり、必須ではないが必要に応じて含有することができる。SOを含有する場合0.005%未満では期待する清澄作用が得られない。好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.02%以上である。0.03%以上がもっとも好ましい。また0.5%超では逆に泡の発生源となり、ガラスの溶け落ちが遅くなったり、泡個数が増加するおそれがある。好ましくは0.3%以下、より好ましくは0.2%以下である。0.1%以下がもっとも好ましい。
SnOは清澄剤として作用する成分であり、必須ではないが必要に応じて含有することができる。SnOを含有する場合、0.005%未満では期待する清澄作用が得られない。好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.05%以上である。また1%超では逆に泡の発生源となり、ガラスの溶け落ちが遅くなったり、泡個数が増加するおそれがある。好ましくは0.8%以下、より好ましくは0.5%以下である。0.3%以下がもっとも好ましい。
LiOは溶融性を向上させるための成分であり、必須ではないが必要に応じて含有することができる。LiOを含有する場合、1%未満では溶融性向上について有意な効果が得られないおそれがある。好ましくは3%以上であり、典型的には6%以上である。LiOが15%超では耐候性が低下するおそれがある。好ましくは10%以下、典型的には8%以下である。
本発明のガラスの製造方法におけるガラスとしては、上記の着色成分とともに、下記酸化物基準のモル百分率表示で、SiOを55〜80%、Alを5〜16%(ただし、5%を含まない)、Bを0〜12%、NaOを5〜20%、KOを0〜8%、MgOを0〜15%、CaOを0〜5%(ただし、5%を含まない)、ΣRO(Rは、Mg、Ca、Sr、Ba、Znを表す)を0〜18%、ZrOを0〜1%含有するものが好ましい。このようなガラスとすることで、化学強化処理によって高いCSをガラス表面に形成することが可能となり、機械的強度が高い化学強化ガラスを得ることができる。
本発明のガラスの製造方法におけるガラスとしては、上記の着色成分とともに、下記酸化物基準のモル百分率表示で、SiOを55〜80%、Alを0〜5%(ただし、5%を含む)、Bを0〜12%、NaOを5〜20%、KOを0〜8%、MgOを0〜15%、CaOを5〜15%(ただし、5%を含む)、ΣRO(Rは、Mg、Ca、Sr、Ba、Znを表す)を0〜18%、ZrOを0〜1%含有するものが好ましい。このようなガラスとすることで、安価にガラスを溶融成形することが可能となる。
本発明のガラスの製造方法は特に限定されないが、たとえば種々のガラス原料を適量調合し、加熱し溶融した後、脱泡、撹拌などにより均質化し、周知のダウンドロー法、プレス法などによって板状等に成形するか、またはキャストして所望の形状に成形する。そして、徐冷後所望のサイズに切断し、必要に応じ研磨加工を施す。または、一旦塊状に成形したガラスを再加熱してガラスを軟化させてからプレス成形し、所望の形状を得る。このようにして得られたガラスを化学強化処理する。そして、化学強化処理したガラスを上記冷却速度で冷却し、化学強化ガラスを得る。
本発明の化学強化ガラスは、化学強化処理によってガラスの強度を高くすることができる。また、化学強化処理前後のガラスの色調変化が少ないため、所望の色調のガラスを容易に得ることができる。そのため、高い強度、耐キズ性、意匠性に優れたガラスが求められる用途、例えば携帯型の通信機器や情報機器の筐体等に好適に用いることができる。
以上、本発明のガラスの製造方法について一例を挙げて説明したが、本発明の趣旨に反しない限度において、また必要に応じて適宜構成を変更することができる。
以下、本発明の実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
本発明の実施形態であるガラスAおよびガラスBの実施例について説明する。
表1および表2の例1〜11(例1〜4及び例7〜9は実施例、例5、例6、例10、例11は比較例)について、以下に示す組成になるように、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等一般に使用されているガラス原料を適宜選択し、ガラスとして100mlとなるように秤量した。なお、表に記載のSOは、ガラス原料にボウ硝(NaSO)を添加し、ボウ硝分解後にガラス中に残る残存SOであり、計算値である。
ガラスAは、酸化物換算のモル百分率表示で、SiO 63.1%、NaO 12.3%、KO 3.9%、MgO 10.3%、Al 7.9%、TiO 0.3%、ZrO 0.4%、CoO 0.05%、NiO 0.7%、CuO 1.0%、SO 0.1%を含有する。
ガラスBは、酸化物換算のモル百分率表示で、SiO 63.8%、NaO 12.4%、KO 3.9%、MgO 10.4%、Al 7.9%、TiO 0.3%、ZrO 0.4%、CoO 0.05%、NiO 0.7%、SO 0.1%を含有する。
ついで、この原料混合物を白金製るつぼに入れ、1500〜1600℃の抵抗加熱式電気炉に投入し、約0.5時間で原料が溶け落ちた後、1時間溶融し、脱泡した後、およそ300℃に予熱した縦約50mm×横約100mm×高さ約20mmの型材に流し込み、約1℃/分の速度で徐冷し、ガラスブロックを得た。このガラスブロックからサイズが40mm×40mm、厚みが0.8mmになるように切断、研削し、最後に両面を鏡面に研磨加工し、板状のガラスを得た。
得られた板状のガラスについて、化学強化処理を行い、次いで以下に示す冷却条件にて冷却を行った。そして、冷却を行ったガラスを洗浄し、化学強化ガラスを得た。
化学強化処理は、それぞれガラスを425℃のKNO(99%)とNaNO(1%)とからなる溶融塩に6時間浸漬し、化学強化処理した。
化学強化処理後のガラスの冷却は、ガラスAについては、1℃/分、3℃/分、5℃/分、25℃/分、40℃/分、400℃/分の各条件にて降温し、またガラスBについては、3℃/分、5℃/分、25℃/分、40℃/分、400℃/分の各条件にて降温した。前記冷却は、400℃/分の冷却速度条件以外は、ガラスをバッチ式の電気炉内に入れて行った。また、前記冷却は、400℃/分の冷却速度条件では化学強化処理後、ガラスを溶融塩から取り出し、室温雰囲気で冷却した。なお、化学強化処理後のガラスの冷却は、化学強化処理時の溶融塩の温度からガラスが室温になるまで前記条件にて行った。
これらの各ガラスについて、化学強化処理前の色調、化学強化処理および冷却後の色調、化学強化処理前後の色調変化量を確認した。
各ガラスの色調は、CIEにより規格化されたL表色系のF2光源による反射光の色度を測定した。また、化学強化処理前後の色調変化量は、化学強化処理前後の色調変化(ΔaおよびΔb)を求め、それらから色調変化量√((Δa+(Δb)を算出した。L表色系のF2光源による反射光の色度測定は、分光色測計(エックスライト社製、Color i7)を用いて、各ガラスのF2光源の反射色度をそれぞれ測定した。なお、ガラスの裏面側(すなわち、光源からの光が照射される面の裏面)には、白色の樹脂板を置いて測定を行った。評価結果を表1および表2に示す。
Figure 2014007222
Figure 2014007222
表1、表2に示すとおり、実施例の各ガラスは、化学強化処理前後の色調変化量が0.6未満であり、化学強化処理後の冷却速度条件を30℃/分未満とすることで、化学強化処理前後の色調変化を抑制できることがわかる。これに対し、比較例の各ガラスは、化学強化処理前後の色調変化量が0.6を超えており、化学強化処理前後の色調変化が認識できるレベルである。
ついで、化学強化処理後の冷却速度条件とCSとDOLについて確認した。実施例として例1、例2のガラス、比較例として例6のガラスを用いた。結果を表に示す。なお、ガラスのCS低下率は、([400℃/分の表面圧縮応力]−[1℃/分もしくは3℃/分の表面圧縮応力])/[400℃/分の表面圧縮応力]の式を用いた。また、ガラスのDOL向上率は、([1℃/分もしくは3℃/分の圧縮応力層深さ]−[400℃/分の圧縮応力層深さ])/[400℃/分の圧縮応力層深さ]の式を用いた。
また、ガラスの表面圧縮応力と圧縮応力層深さは、光源として中心波長が795nmのLEDを用いた表面応力測定装置にて行った。なお、表面応力測定装置とは、ガラス表面に形成された圧縮応力層の屈折率が、圧縮応力層の存在しない他のガラス部分と相違することで光導波路効果を示すことを用いた装置である。
Figure 2014007222
表3に示すとおり、化学強化処理後の冷却速度条件が1℃/分や3℃/分であると、400℃/分の急速冷却を行なった場合に比し、表面圧縮応力の低下率は25%未満となる。また、化学強化処理後の冷却速度条件を急冷(400℃/分)より遅くすることで、圧縮応力層深さを深くすることが可能である。なお、表面圧縮応力の低下率は冷却速度が遅くなるほど大きくなる。そのため、化学強化処理後の冷却速度条件が3℃/分を超える条件での表面圧縮応力を測定していないものの、表3の結果に基づき、前記条件(冷却速度条件が3℃/分を超える)のガラスのCS低下率は、冷却速度条件が3℃/分の場合と比較して小さくなると推測できる。
本発明の化学強化ガラスは、AV機器やOA機器等の操作パネル、同機器の開閉扉、操作ボタン、操作つまみ、またはデジタル・フォト・フレームやTVなどの画像表示パネルの矩形状の表示面の周囲に配置される装飾パネル等の装飾品や電子機器用のガラス筐体など、いわゆる電子機器用の外装部材に好適に利用できる。また、自動車用内装部材、家具等の部材、屋外や屋内で用いられる建材等にも利用できる。
なお、2012年7月3日に出願された日本特許出願2012−149860号の明細書、特許請求の範囲および要約書の全内容をここに引用し、本発明の開示として取り入れるものである。

Claims (10)

  1. 着色成分を含有するガラスを化学強化処理後、化学強化処理温度から300℃までの温度域を30℃/分未満の冷却速度で冷却することを特徴とするガラスの製造方法。
  2. 着色成分を含有するガラスを化学強化処理後、化学強化処理温度から300℃までの温度域を10℃/分未満の冷却速度で冷却することを特徴とする請求項1に記載のガラスの製造方法。
  3. 前記ガラスは、着色成分として、Fe、Co、NiO、CuO、TiO、MnO、Cr、V、Bi、およびSeからなる群より選択された少なくとも1成分を、酸化物基準のモル百分率表示で、0.1〜7%含有することを特徴とする請求項1または2に記載のガラスの製造方法。
  4. 前記ガラスは、酸化物基準のモル百分率表示で、SiOを55〜80%、Alを0〜16%、Bを0〜12%、NaOを5〜20%、KOを0〜8%、MgOを0〜15%、CaOを0〜15%、ΣRO(Rは、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)を0〜18%、ZrOを0〜1%、着色成分(Fe、Co、NiO、CuO、TiO、MnO、Cr、V、Bi、およびSeからなる群より選択された少なくとも1成分)を0.1〜7%含有するように、ガラス原料を調合した後、ガラス原料を溶融し、得られた溶融ガラスを成形することにより得られることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のガラスの製造方法。
  5. 下記式(I)で示される、L表色系(F2光源)による化学強化処理前の反射光の色度aと化学強化処理及び冷却後の反射光の色度aとの差をΔa、下記式(II)で示される、L表色系(F2光源)による化学強化処理前の反射光の色度bと化学強化処理及び冷却後の反射光の色度bとの差をΔb、とした場合、下記式(III)で示される色調変化量が0.6以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のガラスの製造方法。
    Δa=a値(化学強化処理前)−a値(化学強化処理及び冷却後)・・(I)
    Δb=b値(化学強化処理前)−b値(化学強化処理及び冷却後)・・(II)
    √((Δa+(Δb)・・・(III)
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載のガラスの製造方法により得られるガラスの表面の表面圧縮応力層の深さが5μm以上であり、当該表面圧縮応力層の表面圧縮応力が300MPa以上となるように化学強化処理を行なうことを特徴とするガラスの製造方法。
  7. 前記冷却後のガラスは、化学強化処理後にガラスを急速に冷却したガラスと比較し、前記表面圧縮応力の低下率が25%未満であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のガラスの製造方法。
  8. 前記冷却後のガラスは、化学強化処理後にガラスを400℃/分の冷却速度で急速に冷却したガラスと比較し、前記表面圧縮応力の低下率が25%未満であることを特徴とする請求項7に記載のガラスの製造方法。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載のガラスの製造方法により作製されてなることを特徴とする化学強化ガラス。
  10. 外装部材に用いることを特徴とする請求項9に記載の化学強化ガラス。
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