JPWO2013190836A1 - スピーカおよびそれを備える機器 - Google Patents

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Abstract

少なくとも一つの孔(108、308、408、508、708)を有するマグネット(102、302、402、502)と、前記マグネットの一方の磁極面に固着されたプレート(103、303、403、503)と、前記マグネットの他方の磁極面に内側底面が固着された函状のヨーク(101、301、401、501)とを備えた磁気回路と、前記プレートと前記ヨークとが形成する磁気空隙(107、307、507)に上下方向に振動可能に配置されたボイスコイル(106、306、406、506)と、周縁部が前記ボイスコイルの上端と接合された振動板(104、304、404、504)と、前記ボイスコイルと前記プレートとの間隙と、前記ボイスコイルと前記ヨークとの間隙の少なくとも一方に充填された磁性流体(110、310、410、510、610)とを備え、前記磁性流体を均等に分布させる手段(108、308、411、506、708)を少なくとも一つ有するスピーカ(100、203、300、400、500、700)を提供する。

Description

本発明はスピーカの構成に関する。
近年、TVやモバイル機器のスタイリッシュな外観要求により、ディスプレイデバイス周囲の外枠を細くする狭額縁化が進んでいる。そのため一般的に額縁部に設置されるスピーカの形状は、より細長い形状が求められている。
しかしながら、細長い形状のスピーカにおいては、短辺方向の幅が狭まるため、振動板を保持するサスペンションの幅を十分に確保することが出来ない。そのため、サスペンションのスティフネスが増大し、スピーカの最低共振周波数f0も増大する。この結果、低域の特性が劣化し、再生帯域幅が縮小するといった問題が発生してしまう。この問題に対し、特許文献1では、磁性流体と分割サスペンションを利用し細長いスピーカでもあっても再生帯域幅が縮小しない従来のスピーカが提案されている。
図22(a)は特許文献1における従来のスピーカにおいて、磁性流体と分割サスペンションを利用したスピーカ600の断面図を表す図であり、図22(b)は図22(a)の切断線A−Bでスピーカを切断したときに矢印C方向にスピーカ600を見た図である。スピーカ600は、ヨーク601と、マグネット602と、プレート603と、振動板604と、サスペンション605aおよび605bと、ボイスコイル606と、音孔608と、リブ609と、磁性流体610とを備える。マグネット602は、前面外形状がトラック形状であり、上面が開放された箱形状のヨーク601の内部底面に接着される。プレート603は、前面外形状がトラック形状であり、マグネット602の上面に接着される。ヨーク601とプレート603との間には、磁気空隙607が形成される。このように、ヨーク601、マグネット602、およびプレート603は、磁気空隙607を形成する磁気回路を構成する。なお、ヨーク601、マグネット602、およびプレート603には、ヨーク601、マグネット602、およびプレート603を中心軸Oに沿って貫通する音孔608が形成される。振動板604には、振動板604の短辺と平行な複数個のリブ609が形成される。振動板604の短辺には、振動板604を振動可能に支持する支持体として、サスペンション605aおよび605bが設けられる。すなわち振動板604の全周囲にはサスペンションが設けられず、その一部に複数の独立したサスペンション(分割サスペンション)が設けられる。サスペンション605aおよび605bは、振動板604と同じ材料で構成され、振動板604と一体成形される。ボイスコイル606は、前面外形状および前面内形状がトラック形状であり、磁気空隙607内に配置される。磁気空隙607内には、ボイスコイル606の他に、磁性流体610が充填される。なお、特許文献1における従来のスピーカ600では、磁性流体610は、磁気空隙607内におけるボイスコイル606の内周側にのみ充填されている。
以上の構成によれば、振動板604を振動可能に支持するサスペンション605aおよび605bは、振動板604の外周部であって互いに異なる位置に設けられ構成される。これにより、スピーカを小型化しても、サスペンション605aおよび605bの幅や厚さを調整することによってスティフネスを小さくしスピーカの最低共振周波数を低下させることができる。さらに磁性流体610を封入することによって、振動板604の各面で発生する音波間での干渉やローリングを抑制することもできる。以上のように、磁性流体610と分割サスペンション605aおよび605bを利用したスピーカ600を用いることによって細長いスピーカで課題となる再生帯域幅の縮小を改善することができる。
国際公開第2009/066415号 国際公開第2009/016743号
上記従来のスピーカ600では、分割サスペンション605aおよび605bと磁性流体610を利用することによって、再生帯域幅の縮小を抑制することができる。しかしながら、上記従来のスピーカ600では磁性流体610を磁気空隙607内に均一に分布させることに関して考慮された構成となっていなかった。そのため、上記従来のスピーカ600のような細長い形状を用いたスピーカにおいては、場合によっては磁性流体610が一部に集中し、ボイスコイル606とプレート603間の磁気空隙607内に空気の隙間が形成されローリングや低域特性の劣化を生じさせるという課題が発生していた。
本開示におけるスピーカは、マグネットと、前記マグネットの一方の磁極面に固着されたプレートと、前記マグネットの他方の磁極面に内側底面が固着された函状のヨークとを備えた磁気回路と、前記プレートと前記ヨークとが形成する磁気空隙に上下方向に振動可能に配置されたボイスコイルと、周縁部が前記ボイスコイルの上端と接合された振動板と、前記ボイスコイルと前記プレートとの間隙と、前記ボイスコイルと前記ヨークとの間隙との少なくとも一方に充填された磁性流体とを備え、前記磁性流体を均等に分布させる手段を少なくとも一つ有することを特徴としている。
また、本開示におけるスピーカは、マグネットと、前記マグネットの一方の磁極面に固着されたプレートと、前記マグネットの他方の磁極面に内側底面が固着された函状のヨークとを備えた磁気回路と、前記プレートと前記ヨークとが形成する磁気空隙に上下方向に振動可能に配置されたボイスコイルと、周縁部が前記ボイスコイルの上端と接合された振動板と、前記ボイスコイルと前記プレートとの間隙と、前記ボイスコイルと前記ヨークとの間隙との少なくとも一方に充填された磁性流体とを備え、前記ボイスコイルに対する前記磁気回路の外側磁極の内縁の形状と、前記ボイスコイルに対する前記磁気回路の内側磁極の外縁の形状とはそれぞれ、上面視において互いに対向する2つの略直線部と、互いに対向する2つの湾曲部であって外側に凸形状をなす湾曲部とから成り、前記外側磁極の内縁と前記内側磁極の外縁との間隙は互いの前記略直線部同士および互いの前記湾曲部同士で形成されており、前記間隙の間隔は、互いの前記湾曲部同士の間において互いの前記略直線部同士の間よりも小さいことを特徴としている。
本開示によれば、磁気空隙内に、磁性流体を均一に分布させることができるため、磁気空隙内での空気の隙間が発生することを抑制することができ、それにより音漏れによる低域特性の劣化やローリングを防止することができる。
図1は、本開示に係るスピーカの断面図である。 図2は、従来のスピーカと本開示に係るスピーカの磁束密度分布の差異を示す図である。 図3は、従来のスピーカと本開示に係るスピーカの一部拡大図である。 図4は、本開示の変形例に係るスピーカの断面図である。 図5は、本開示に係るスピーカを搭載した薄型テレビの正面外観図である。 図6は、本開示に係る他のスピーカの断面図である。 図7は、本開示に係るさらに他のスピーカの断面図である。 図8は、本開示に係るさらに他のスピーカの断面図である。 図9は、本開示に係るさらに他のスピーカの上面視図である。 図10は、図9のスピーカの断面図である。 図11は、引き出し部の配置を示す図である。 図12は、磁性流体の保持状態を示す図である。 図13は、磁束の分布を表す図である。 図14は、本開示に係るさらに他のスピーカの断面図である。 図15は、図14のスピーカの上面視図である。 図16は、本開示に係るさらに他のスピーカの上面視図である。 図17は、図16のスピーカの断面図である。 図18は、本開示に係るスピーカアレイを説明する図である。 図19は、本開示に係るインナーイヤーヘッドホンの部分断面図である。 図20は、本開示に係る携帯型情報端末を説明する図である。 図21は、本開示に係る映像音声情報端末を説明する図である。 図22は、従来のスピーカの構造断面図である。 図23は、特許文献1に開示されたスピーカの構造断面図である。 図24は、特許文献2に開示されたスピーカの構造断面図である。
本開示は、マグネットと、前記マグネットの一方の磁極面に固着されたプレートと、前記マグネットの他方の磁極面に内側底面が固着された函状のヨークとを備えた磁気回路と、前記プレートと前記ヨークとが形成する磁気空隙に上下方向に振動可能に配置されたボイスコイルと、周縁部が前記ボイスコイルの上端と接合された振動板と、前記ボイスコイルと前記プレートとの間隙と、前記ボイスコイルと前記ヨークとの間隙との少なくとも一方に充填された磁性流体とを備え、前記磁性流体を均等に分布させる手段を少なくとも一つ有する第1のスピーカを含んでいる。
また、本開示は、マグネットと、前記マグネットの一方の磁極面に固着されたプレートと、前記マグネットの他方の磁極面に内側底面が固着された函状のヨークとを備えた磁気回路と、前記プレートと前記ヨークとが形成する磁気空隙に上下方向に振動可能に配置されたボイスコイルと、周縁部が前記ボイスコイルの上端と接合された振動板と、前記ボイスコイルと前記プレートとの間隙と、前記ボイスコイルと前記ヨークとの間隙との少なくとも一方に充填された磁性流体とを備え、前記ボイスコイルに対する前記磁気回路の外側磁極の内縁の形状と、前記ボイスコイルに対する前記磁気回路の内側磁極の外縁の形状とはそれぞれ、上面視において互いに対向する2つの略直線部と、互いに対向する2つの湾曲部であって外側に凸形状をなす湾曲部とから成り、前記外側磁極の内縁と前記内側磁極の外縁との間隙は互いの前記略直線部同士および互いの前記湾曲部同士で形成されており、前記間隙の間隔は、互いの前記湾曲部同士の間において互いの前記略直線部同士の間よりも小さい第2のスピーカを含んでいる。
これにより、磁気空隙内に、磁性流体を均一に分布させることができるため、磁気空隙内での空気の隙間が発生することを抑制することができ、それにより音漏れによる低域特性の劣化やローリングを防止することができる。
また、第1のスピーカのその他の態様として、次のような構成を採ることも可能である。
例えば、前記手段として、前記プレートと前記マグネットとを貫通するように設けられた音孔を有していても良い。
また例えば、前記音孔は、前記プレートと前記マグネットとのそれぞれに形成された同一形状の各開口部が合わされて形成されていても良い。
また例えば、前記音孔の貫通軸方向に見て、前記音孔の重心から前記プレート外周に最も近い点を第1の点とし、前記第1の点と前記音孔外周との間の最短距離を第1の距離、前記音孔の重心から前記プレート外周に最も遠い点を第2の点とし、前記第2の点と前記音孔外周との間の最短距離を第2の距離とするとき、第1の距離<第2の距離であっても良い。これにより、距離の調整による磁束分布の均一化を行って磁性流体の均一な分布を実現することができる。
その他にも、距離の調整による磁束分布の均一化を行う手法として以下の構成が挙げられる。
例えば、前記手段として、前記プレートと前記マグネットと前記ヨークとのそれぞれに形成された同一形状の各開口部が合わされて前記プレートと前記マグネットと前記ヨークとを貫通するように設けられた複数の音孔を有していても良い。
また例えば、前記音孔は少なくとも磁束密度の高い箇所に設けられていても良い。
また例えば、前記マグネットの水平断面の外周形状はトラック形状であり、前記音孔は貫通軸方向に見てトラック形状であり、前記マグネットの直線部分の前記外周を貫く磁束の磁束密度を低下させる位置に設けられていても良い。
また例えば、前記手段として、前記間隙内に前記磁性流体が均等に分布するように形状が調整された前記ボイスコイルを有していても良い。
また例えば、前記プレートと前記マグネットと前記ヨークとのそれぞれに形成された同一形状の各開口部が組み合わされて前記プレートと前記マグネットと前記ヨークとを貫通するように音孔が設けられており、前記音孔の貫通軸方向に見て、前記音孔の重心から前記プレート外周に最も近い点を第3の点とし、前記第3の点と前記ボイスコイルとの間の最短距離を第3の距離、前記音孔の重心から前記プレート外周に最も遠い点を第4の点とし、前記第4の点と前記ボイスコイルとの間の最短距離を第4の距離とするとき、第3の距離>第4の距離であっても良い。
また例えば、前記手段として、前記ボイスコイルよりも外側に設けられた補助マグネットを有していても良い。
また例えば、前記ボイスコイルの水平断面形状はトラック形状であり、前記補助マグネットは、前記ボイスコイルの短辺方向の外周に前記プレート外周と同様の曲率半径を有するように設けられていても良い。
前記スピーカを備えたテレビ、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、イヤホン、補聴器を含むAV機器を構成することもできる。
また、第2のスピーカのその他の態様として、次のような構成を採ることも可能である。
例えば、前記磁気回路の形状は、上面視において、トラック形と略矩形とのいずれかの形状であっても良い。
また例えば、前記ヨークは、前記ボイスコイルの引き出し線を前記磁気回路の外に通過させる少なくとも2つのスリット部を前記湾曲部に有していても良い。これにより、ボイスコイル引き出し線の他部材への接触を防止し、さらに切り欠き部の磁気ギャップ幅を、他の部分より狭くすることにより磁性流体を均等に分布させ、高能率で線形性の高い小型スピーカを提供することができる。
スリット部の具体的な態様として、以下のものが挙げられる。
例えば、前記スリット部は、ヨークの上端に延伸する切り欠きであっても良い。
また例えば、前記スリット部は、前記引き出し線の振動範囲の上下に所定のクリアランスを有するように前記ヨークの側壁に設けられた貫通孔であっても良い。
前記スピーカを備えるインナーイヤーヘッドホン、携帯型情報端末、タブレット型映像音声情報端末を構成することができる。
(従来技術から得られた知見)
従来のスピーカ600では、磁性流体610を磁気空隙607内に均一に分布させることに関して考慮された構成となっていないため、磁性流体610が一部に集中してしまうという課題が発生する。本願発明者は、磁性流体が一部に集中してしまうことの要因が、スピーカの形状が細長い形状であることによることを知見した。細長い形状のスピーカでは、磁気空隙曲線部における磁束密度が不均一となる。例えば従来のスピーカ600では、磁気空隙607を形成するボイスコイル606やプレート603がトラック形状(2つの並行する線分と、当該線分間の相対する端部同士をつなぐ2つの曲線とからなる形状)に構成されるが、磁気空隙607曲線部の磁束が直線部に比べ大きく拡散してしまうため、磁気空隙607曲線部における磁束密度は直線部に比べ低下してしまう。このため、場合によっては、磁性流体が一部に集中することになり、ボイスコイル606とプレート603間の磁気空隙607内に空気の隙間が形成されローリングや低域特性の劣化を生じさせてしまう。本開示はこれら知見した課題を解決する。
以下、本開示の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。本開示は、請求の範囲だけによって限定される。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、本開示の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。なお、同じ要素には同じ符号を付しており、説明を省略する場合がある。
(実施の形態1)
本開示に係るスピーカ100の断面図を図1に示す。以下の説明では、図1(a)右側に示した矢印の通り、紙面上部を垂直方向上、紙面下部を垂直方向下として垂直方向を定義する。また水平方向は垂直方向に直交する方向である。また図1の説明において、「振動方向」とは垂直方向と同様の方向を示す。図1(a)は、スピーカ100の垂直断面図を表す図であり、図1(b)は図1(a)の切断線A−Bでスピーカを切断したときに矢印C方向にスピーカを見た図である。スピーカ100は、ヨーク101と、マグネット102と、プレート103と、振動板104と、サスペンション105aおよび105bと、ボイスコイル106と、音孔108と、磁性流体110とを備える。ヨーク101と、マグネット102と、プレート103とによって、磁気空隙107が形成される。ボイスコイル106と、磁性流体110とは、この磁気空隙107内に配置される。以下各構成について説明する。
ヨーク101は、上面が開放された函状であり、底面中央には開口端がトラック形状の開口部を有し音孔108の一部を形成している。トラック形状の2つの並行する線分を2つの直線部が構成し、線分間の相対する端部同士をつなぐ2つの曲線を外側に凸形状となるように弧状に湾曲した2つの曲線部が構成している。すなわち、ヨーク101の開口部は長辺が直線形状であり、短辺が曲線形状である。また、ヨーク101は磁性材料で構成される。
マグネット102は、水平断面の外周形状がトラック形状である。マグネット102は中央に開口部を有しており、音孔108の一部を形成している。マグネット102の開口部の形状はヨーク101に設けられている開口部の形状と同様の形状である。また、マグネット102はその開口部の位置と、ヨーク101の開口部の位置とが合わさるように、ヨーク101の内部底面に接着される。マグネット102の着磁方向は、振動板104の振動方向と同様の方向となるよう着磁されている。
プレート103は、水平断面の外周形状がトラック形状である。プレート103はヨーク101やマグネット102同様に、中央に開口部を有しており、音孔108の一部を形成している。プレート103の開口部の形状もまた、ヨーク101に設けられている開口部の形状と同様の形状である。また、プレート103は、その開口部の位置とマグネット102の開口部の位置とが合わさるように、マグネット102の一方の磁極面をなす上面に接着等により固着されている。マグネット102の他方の磁極面をなす下面は、上述したようにヨーク101の内部底面に接着等により固着されている。プレート103の外周には磁性流体110が接触している。プレート103は、磁性材料で構成される。音孔108の貫通軸方向に見て、プレート103において音孔108の重心からプレート108の外周に最も近い点(第1の点)をPとし、点Pと音孔108の外周との間の最短距離をLP(第1の距離)、プレート103において音孔108の重心からプレート103の外周に最も遠い点(第2の点)をQとし、点Qと音孔108の外周との間の最短距離をLQ(第2の距離)とするとき、LP<LQの関係がある。なお、音孔108はプレート103の開口部とマグネット102の開口部とからのみで構成されていても良く、この場合にはヨーク101には少なくとも、プレート103の開口部とマグネット102の開口部とに合わせられる開口部は設けられない。
振動板104は、水平断面の外周形状がトラック形状である。すなわち振動板104は長辺が直線形状であり、短辺が曲線形状である。また振動板104は、サスペンション105a、サスペンション105bと同じ材料にて構成され、サスペンション105a、サスペンション105bにその曲線部が一体形成されて接着される。なお、振動板104は、サスペンション105aおよびサスペンション105bと一体形成されていなくても良いし、同じ材料で構成されていなくても良い。また、振動板104の周縁部のうち底面外周部にはボイスコイル106の上端が接着等により接合されている。また、図1(a)のように振動板104の短辺と平行な複数個のリブ109が形成されたものであってもよい。リブ109があることで、可聴帯域内での共振を抑制することが出来る。
サスペンション105aと、サスペンション105bとは、振動板104およびヨーク101に接着される。サスペンション105aおよびサスペンション105bが、振動板104と接着される辺は、曲線形状である。また、サスペンション105aおよびサスペンション105bがヨーク101に接着される辺は直線形状である。振動板の全周囲を覆わずに、一部(曲線部)のみに複数接着されていることから、サスペンション105aと、サスペンション105bとを合わせて分割サスペンションと呼ぶ。また、サスペンション105aと、サスペンション105bとの垂直断面形状は非直線となる。この形状によって振動板104を振動可能に保持している。また、サスペンション105aと、サスペンション105bとの垂直断面形状は、図1(a)のように振動方向において下に凸の形状でも良いし、上に凸の形状でも良い。なお、サスペンション105aおよびサスペンション105bの形状はこれらに限られない。例えば、ヨーク101に接着される辺が曲線形状でもよい。この際には当然、ヨーク101のサスペンション105aおよびサスペンション105bと接着される辺は曲線形状となる。
ボイスコイル106は、水平断面形状がトラック形状であり、立体形状は筒状である。ボイスコイル106の垂直方向上端が振動板104の底面外周部に接着される。またボイスコイル106の垂直方向下端は、磁気空隙107内に配置される。またボイスコイル106の垂直方向下端、内周には、磁性流体110が接触している。これにより、ボイスコイル106は磁気空隙107に上下方向に振動可能に配置されている。
音孔108(磁性流体を均等に分布させる手段)は、ヨーク101と、マグネット102と、プレート103とにそれぞれに設けられた同一形状の開口部によって構成される。音孔108の形状は図1(b)のように貫通軸方向に見てトラック形状である。
磁性流体110は、プレート103の外周およびボイスコイル106の内周の空間に隙間無く充填される。なお、磁性流体110は、一般に、ボイスコイル106とプレート103との間隙と、ボイスコイル106とヨーク101との間隙との少なくとも一方に充填されていればよい。
以上のように構成されたスピーカ100の動作について説明する。ボイスコイル106に電気信号が入力されると、フレミングの左手の法則に従ってボイスコイル106が振動する。ボイスコイル106は振動板104と接着されているため、振動板104から音波が発生する。この時、サスペンション105aおよび105bは振動板104全周を囲うことなく部分的に振動板と接着しているため、サスペンション105aおよび105bのスティフネスは、一般的な振動板全周を囲うサスペンションのスティフネスに比べ十分低くなる。それにより、最低共振周波数を低減させることができ、再生帯域幅の縮小を抑制することができる。
また音孔108は、プレート103の外側面に磁性流体110が均一に分布するよう設計されているため、磁性流体110をボイスコイル106の内側に形成される磁気空隙において均一に分布させることができる。
図2に、従来の構成と本開示とにおけるプレート側面の磁束密度分布を比較した結果を示す。図2は、横軸が図1(b)に矢印で示すように、点Pの位置X0と点Qの位置X1と間のプレート外周に沿った距離X内にある位置に対応し、縦軸は磁束密度の高さを示す。従来の構成における磁束密度分布の結果を実線、本開示の磁束密度分布の結果を点線で示す。図2より、従来の構成においては音孔や磁気空隙曲線部の影響で磁束密度の分布が不均一になっているのに対し、本開示においては、磁気空隙内の磁束密度分布が一定となるよう音孔が設計されているため、従来の構成に比べ磁束密度の分布が均一になっている。そのため、本開示においては磁性流体110をプレート103側面に均一に分布させることができる。
ここで、本開示で示すような音孔108を設けることで、磁束密度の分布が均一となる理由を説明する。図3(a)には従来のスピーカ600の一部を拡大したものを示し、図3(b)には本開示におけるスピーカ100の一部を拡大したものを示す。図3(a)のように従来のスピーカではトラック形状における直線部分の磁束密度が高く、曲線部分の磁束密度が低い。一方で図3(b)の本開示においては音孔108が形成されていることによって直線部分の磁束密度が低下する。よって磁束密度の分布が均一となる。このような音孔を、例えば、少なくとも、音孔が無かったと仮定した場合に磁束密度が相対的に高くなる箇所に設けることで、磁束密度の分布を均一にすることができる。スピーカ100のようにトラック形状のマグネットを有する場合には、例えば、マグネットの直線部分の外周を貫く磁束の磁束密度を低下させる位置に音孔を設ける。
以上の理由により本開示におけるスピーカ100では、従来のスピーカ600のように磁性流体110が一部に集中することはない。これにより、プレート103の外周およびボイスコイル106の内周の空間に隙間が生じることがないので、音孔108および振動板104の下部の空間は磁性流体によって封止された状態に保たれる。すなわち音孔108および振動板104の下部の空間から、分割サスペンションの下部空間に発生した音が漏れることが抑制される。すなわち音漏れによる低域特性の劣化やローリングを防止することができる。
さらに音孔108が、プレート103の外側面に磁性流体110が均一に分布するよう設計されていることで、組立段階における磁気回路への磁性流体注入時において、磁性流体110を偏りなく注入することできる。よって、ヨーク101の内側面に磁性流体110が付着することを抑制することができる。
さらに音孔108から放射される音波に関して、本開示においては、長辺方向に延伸するように音孔108が設けられているため、振動板104中央と端から放射された音波が経路差によって干渉することを防止できる。それにより、スピーカ100が細長い形状であっても経路差による干渉の影響を受けやすい高域の特性を損なうことなく、音波を放射することができる。
次に、本開示の変形例であるスピーカ装置700について、図4を用いて説明する。スピーカ装置700がスピーカ装置100と異なる点は音孔708である。音孔708は、円形の穴が3つ並んでいるものである。このような形状の穴で形成することで、容易に設計しやすく、なおかつ磁性流体110をボイスコイル106の内側に形成される磁気空隙において、均等に分布させることができる。なお、穴の個数は3つに限られない。ここで図3を用いて説明したように磁束密度の不均一が顕著に生じる箇所はトラック形状のスピーカの場合、直線部から曲線部の境目付近であり、この付近の直線部(磁束密度の高い箇所)における磁束密度を低下させる位置に音孔を設けるようにすれば良い。すなわち本開示はトラック形状以外の形状(例えば長方形等、円形以外の形状)でも適用することができる。その場合でも、同様に磁束密度の不均一が顕著に生じる箇所において磁束密度の高い箇所の磁束密度を低下させるように音孔を設計すればよい。
次に、本開示のスピーカを薄型テレビに搭載した例を説明する。図5は、本開示のスピーカを搭載した薄型テレビの構成を示す図である。ここで、図5は薄型テレビの正面外観図である。同図において、201はセットの筐体、202はPDP、液晶、或いは有機ELなどのディスプレー部、203はスピーカである。スピーカ203はディスプレー部202の両サイドのセット筐体内部に設けられる。このスピーカ203には本開示におけるスピーカ100、300、400、500、700のいずれもが採用可能である。
以上のように構成された薄型テレビについて、その動作を説明する。ここでは図示しないが、信号処理部で処理された音響信号がスピーカ左右のスピーカ203に入力されることによって、スピーカ203から音が再生される。スピーカ203はテレビの狭額縁デザインに合わせて細長い形状となるが、プレート外側面の磁束密度が一定となるよう音孔が設計されているため、磁性流体がボイスコイルとプレートによって形成される磁気空隙内で均等に分布するため、空気孔による低域特性の低減やローリングを抑制した状態で、低音再生に優れた薄型テレビが実現されるものである。なお本開示においては、スピーカをディスプレー部の両端に配置したが、スピーカの個数や設置位置を限定するものではない。
本開示に係るスピーカ300の断面図を図6に示す。なお、前述と同様に垂直方向、水平方向、振動方向を定義する。図6(a)は、スピーカ300の垂直断面図を表す図であり、図6(b)は図6(a)の切断線A−Bでスピーカ300を切断したときに矢印C方向にスピーカ300を見た図である。スピーカ300は、ヨーク301と、マグネット302と、プレート303と、振動板304と、サスペンション305aおよび305bと、ボイスコイル306と、音孔308と、磁性流体310とを備える。ヨーク301と、マグネット302と、プレート303とによって磁気空隙307が形成される。ボイスコイル306と、磁性流体310とは、この磁気空隙307内に配置される。スピーカ100と異なる点は、マグネット302に、ボンド磁石を使用する点および、音孔308である。以下、スピーカ300の動作について、スピーカ100と異なる構成について説明する。
ボイスコイル306が振動し、振動板304から音波が発生する点は、スピーカ100と同様である。スピーカ100と大きく異なる点は、マグネット302(磁性流体を均等に分布させる手段)にボンド磁石を使用する点である。ここで、ボンド磁石とは、磁石を砕いてゴムやプラスチックに練り込んだ柔軟性のある磁石であり、形状や着磁方向の設計自由度が高い磁石である。そのためボンド磁石を使用することによって、磁性流体310をボイスコイル306の内側に形成される磁気空隙において均等に分布させるよう磁束密度を設計することができる。したがって、スピーカ100のような形状の音孔を設ける必要は無く、従来の音孔と同様の形状を用いても効果を奏する。すなわち、磁性流体の偏りによって、プレート303とボイスコイル306との間に空気の隙間が発生することを抑制し、音漏れによる低域特性の劣化やローリングを防止することができる。
さらに組立段階における磁気回路への磁性流体310注入時において、磁性流体310を偏りなく注入することできるため、ヨーク301の内側面に磁性流体310が付着することを抑制することができる。さらに、ボンド磁石は加工が容易である。よって音孔308から放射される音波に関して、成形時に振動板中央と端から放射された音波の干渉が発生しないよう、音孔308を自由に設計することができ、経路差による干渉を抑制することができる。よって、図4のスピーカ700のように複数の円形状の穴によって音孔を形成することも容易である。複数の円形状の穴によって音孔を形成することにより、スピーカが細長い形状であっても経路差による干渉の影響を受けやすい高域の特性を損なうことなく音波を放射することができる。
このように、本開示では、マグネットに磁気空隙内の磁束密度を自由に変えられるマグネットを採用する態様が可能である。
本開示に係るスピーカ400の断面図を図7に示す。なお、前述と同様に垂直方向、水平方向、振動方向を定義する。図7(a)は、スピーカ400の垂直断面図を表す図であり、図7(b)は図7(a)の切断線A−Bでスピーカ400を切断したときに矢印C方向にスピーカ400を見た図である。スピーカ400は、ヨーク401と、マグネット402と、プレート403と、振動板404と、サスペンション405aおよび405bと、ボイスコイル406と、音孔408と、磁性流体410と、補助マグネット411とを備える。スピーカ100と異なる点は、補助マグネット411を設けていることである。以下、スピーカ400の動作について、スピーカ100と異なる構成について説明する。
ボイスコイル406が振動し、振動板404から音波が発生する点は、スピーカ100と同様である。スピーカ100と大きく異なる点は、補助マグネット411(磁性流体を均等に分布させる手段)が、ヨーク401の短辺方向の両端に接着されている点である。補助マグネット411は、磁性流体410がプレート403の外側面に均等に保持されるよう、大きさや形状を調整してあるため、磁性流体410をボイスコイル406の内側に形成される磁気空隙において均等に分布させることができる。このことにより、磁性流体410の偏りによってプレート403とボイスコイル406との間に空気の隙間が発生することを抑制でき、音漏れによる低域特性の劣化やローリングを防止することができる。
さらに、組立段階における磁気回路への磁性流体410注入時において、磁性流体410を偏りなく注入することできるため、ヨーク401の内側面に磁性流体110が付着することを抑制することができる。さらに本開示においては、補助マグネット411によって、磁気空隙407の曲線部に対して不足している磁気空隙曲線部の磁束密度を増大させることができる。そのため能率の低下を伴うことなく磁束密度分布を均一にできる。
本開示に係るスピーカ500の断面図を図8に示す。なお前述と同様に垂直方向、水平方向、振動方向を定義する。図8(a)は、スピーカ500の垂直断面図を表す図であり、図8(b)は図8(a)の切断線A−Bでスピーカ500を切断したときに矢印C方向にスピーカ500を見た図である。スピーカ500は、ヨーク501と、マグネット502と、プレート503と、振動板504と、サスペンション505aおよび505bと、ボイスコイル506と、音孔508と、磁性流体510とを備える。スピーカ100と異なる点は、ボイスコイル506の形状である。以下、スピーカ500の動作について、スピーカ100と異なる構成について説明する。
ボイスコイル506が振動し、振動板504から音波が発生する点は、スピーカ100と同様である。スピーカ100と大きく異なる点は、ボイスコイル506(磁性流体を均等に分布させる手段)に磁性流体510の分布に合わせて、変形したものを用いている点である。具体的には図8(b)において、トラックの曲線部の領域Dに比べてトラックの直線部の領域Eにおける磁束密度が高くなるため、領域Dの磁気空隙507の幅w1に比べて領域Eの磁気空隙507の幅w2を広く設けている。この条件は一般に、音孔の貫通軸方向に見て、音孔の重心からプレート外周に最も近い点を第3の点(図8の点Rに相当)とし、第3の点とボイスコイルとの間の最短距離を第3の距離(図8の幅w2に相当)、音孔の重心からプレート外周に最も遠い点を第4の点(図8の点Sに相当)とし、第4の点とボイスコイルとの間の最短距離を第4の距離(図8の幅w1に相当)とするとき、第3の距離>第4の距離となる。このような構成によって、磁性流体510が、プレート503の外側面に不均一に分布した状態でもあっても、ボイスコイル506が磁性流体510の分布に合った形状となっているため、ボイスコイル506の内側に形成される磁気空隙507に空隙が発生することを抑制し、音漏れによる低域特性の劣化やローリングを防止することができる。なお本開示では、ボイスコイル506の長辺方向を変形させているが、磁性流体の分布に合わせた変形であれば、どのような変形であっても良い。
(実施の形態2)
次に、磁性流体を磁気空隙内に均一に分布させることのできるスピーカについてさらに説明を進めていく。また、以下の説明は、小型かつ低音再生可能なスピーカの生産効率向上および能率向上にも関する。なお、以下の説明における各部材の符号は、図1〜図8、図22のものとは独立したものとする。
近年、携帯型情報端末の普及、および映像や音楽を個人で視聴する生活形態の普及により、高音質なインナーイヤーヘッドホンの需要が高まっている。インナーイヤーヘッドホンを挿入する耳孔の形状は、ユーザーによって大きく異なるため、より多くのユーザーの装用感を向上させるためには筐体設計の自由度が高い小型のスピーカが必要とされる。また、携帯型情報端末本体に搭載されるスピーカにおいては、音が出力される周波数帯域が広く、かつ薄型であることが求められている。これらインナーイヤーヘッドホンや携帯型情報端末に求められる省スペース性を実現し、かつ低音域の再生が可能な方式として、特許文献1に開示される動電型スピーカの一方式が提案されている。
図23は、特許文献1に開示されたスピーカ1100の構造断面図である。図23のうち、図23(a)は、スピーカ1100の上面視図である。図23(b)は、図23(a)に示す線A−O−Bでスピーカ1100を切断し矢印方向から見たときのスピーカ1100の構造断面図である。図23に示すように、特許文献1のスピーカ1100は、ヨーク1101と、マグネット1102と、プレート1103と、振動板1106と、エッジ片1108a〜1108dと、スペーサ1109と、ボイスコイル1107と、磁性流体1110とを備える。磁性流体1110は、磁気空隙G2内におけるボイスコイル1107の内周側に充填されている。特許文献1の開示によれば、振動板1106を振動可能に支持する支持体は、複数のエッジ片1108a〜1108dで構成されているため、スピーカ1100を小型化しても支持体のスティフネスを小さくし、大振幅で動作させる事が可能である。また、磁性流体1110が磁気空隙G2内におけるボイスコイル1107の内周側に充填されているため、振動板1106の背面から放射される音波が磁気空隙G2を経由して振動板1106の前面に漏れ出し、振動板1106の前面から放射される音波を打ち消すことを防止し、音圧を向上させることができる。
以上のように、特許文献1の開示によれば、スピーカを小型化しながら低音域を拡大することが可能である。一方で、省スペース化した動電型スピーカでは、ボイスコイルを外部端子に接続する引き出し線の配線スペースが狭く、動作時に他の部材と接触することによる異音や断線のリスクが高い。また、省スペース化した動電型スピーカのボイスコイルには、軽量化を目的として比較的線径が細い銅線が用いられるため、組み立て時の曲げによって断線するリスクも高い。
これらを防ぐため、ヨークの側面にスリット状の切り欠きを設けて引き出し線を通し、引き出し線が他の部材に接触することなく振動可能にする構造が提案されている。図24は、特許文献2に開示されたスピーカ装置1の断面図である。スピーカ装置1は、ヨーク21と、磁石22と、プレート23と、振動体3と、ボイスコイル33と、引出線4と、フレーム5と、端子部6とを有する。なお、平面図において振動体3は省略されている。また、ボイスコイル33からは一対の引出線4が引き出される。また、図24に示すように、ヨーク21は、ヨークの側部21Cに形成された切欠部71を有する。引出線4は、切欠部71の近傍のボイスコイル33の下端部から引き出されて、切欠部71を通ってフレーム5に形成された端子部6にその端部が電気的に接続される。このことにより、ボイスコイル33が上下方向に沿って変位した場合であっても引出線4がヨーク21、エッジ32などの他の部材と接触することを低減することができる。以上のように、特許文献2の開示によれば、引き出し線が他の部材に接触することなく振動可能な薄型のスピーカ、もしくは小型のスピーカを提供することができる。
以下、本開示について、図面を参照しながら説明する。
図9〜図11を参照して、本開示に係るスピーカ100の構造について説明する。図9は、スピーカ100の上面視図である。図10(a)は、図9の1A−1A'線断面で切断したときの構造断面図である。図10(b)は、スピーカ100の図10(a)における2A−2A'線断面図である。
図10(a)において、スピーカ100は、ヨーク101と、マグネット103と、プレート104と、振動板105と、ボイスコイル106と、サスペンション107aおよび107bと、フレーム部108aおよび108bと、磁性流体109とを備える。ヨーク101は、上面が開放された函状であり、切り欠き部102a、102bを備える。スピーカ100を上面から見た外形状は、図9に示すように長尺状である。振動板105の全体形状は長尺状であり、ボイスコイル106と固着される部分の内側にリブが設けられている。なお、リブは必須の構成ではない。また、スピーカ100の磁気回路部を上面から見た外形状は、図10(b)に示すように半円部と直線部からなる略長円形状である。ボイスコイル106は、ヨーク101の側部101a、101bにおける内周とプレート104の外周との間隙に上下に振動可能に配置され、上面から見た形状は略長円形状である。さらに、ボイスコイル106は、図11に示すように引き出し部110a、110bを備える。
マグネット103の下面は、図10(a)に示すように、ヨーク101の内部底面に固着される。プレート104は、マグネット103の上面に固着される。マグネット103の上面はマグネット103の一方の磁極をなし、マグネット103の下面はマグネット103の他方の磁極をなす。ヨーク101の側部101a、101bとプレート104との間には、断面が略長円の筒状の磁気空隙が形成される。ボイスコイル106は、磁気空隙内に、上下方向である中心軸O方向に振動可能に配置される。磁性流体109は、プレート104とボイスコイル106との間に充填され、上面視で略長円形の環状に分布している。なお、磁性流体109は、一般に、ボイスコイル106とプレート104との間隙と、ボイスコイル106とヨーク101との間隙との少なくとも一方に充填されていればよい。また、ヨーク101、マグネット103、およびプレート104のそれぞれに形成された孔によって、中心軸Oに沿った貫通孔111が設けられる。振動板105は、周縁部がボイスコイル106の上面と接合されている。サスペンション107aは、振動板105の左端辺とフレーム108aとを接続し、サスペンション107bは、振動板105の右端辺とフレーム108bとを接続するように設置される。サスペンション107a、107bの断面形状は、図10(a)に示すように下に凸な曲線形状である。
上述のヨーク101、プレート104の形状のように、ボイスコイル106に対する磁気回路の外側磁極の内縁の形状と、ボイスコイル106に対する磁気回路の内側磁極の外縁の形状とはそれぞれ、上面視において互いに対向する2つの略直線部と、互いに対向する2つの湾曲部であって外側に凸形状をなす湾曲部とから成る。ヨーク101は、ボイスコイル106の引き出し線を磁気回路の外に通過させる少なくとも2つのスリット部を湾曲部に有している。
以上のように構成されたスピーカ100について、その動作を説明する。ボイスコイル106に電気信号が入力されると、フレミングの左手の法則に従って、ボイスコイル106が振動する。振動板105はボイスコイル106と接合されているため、ボイスコイル106の振動に伴って振動し、上面および下面の空気に圧力変化を起こし、音波を発する。スピーカの上面、もしくは下面のいずれかを放射面として用いることで、音声聴取が可能となる。
磁性流体109は、プレート104とボイスコイル106との間に充填され、ヨーク101と、マグネット103と、プレート104とが発生させる磁場によって保持されることで、スピーカ100の上面と下面で発生する互いに逆位相の音波を遮断し、音波の回り込みによる再生音圧の低下を防ぐ。図11に示すように、ボイスコイル106の引き出し部110aはヨーク101の切り欠き部102aを、引き出し部110bは切り欠き部102bを、それぞれ通過し、フレーム108a、108bおよびヨーク101との接触を防ぐ形状に曲げられ、最終的に図示されない外部端子へ電気的に接続される。
ここで、ヨーク101およびプレート104の形状と、磁性流体109との関係について、図12を用いて説明する。図12(a)〜(c)は、スピーカ100からヨーク101、プレート104、磁性流体109以外の要素を省略して表した図である。図12(a)〜(c)においては、図12(c)がスピーカ100を示すものである。図12(a)、(b)におけるヨーク101の内周とプレート104の外周との距離をd1、図12(c)における切り欠き部102a、102b付近でのヨーク101の内周とプレート104の外周との距離をd2とする。
仮に、ヨーク101が切り欠き部102a、102bを備えない構成であるときに、図12(a)のヨーク101、プレート104の形状で磁性流体109がプレート104の周囲に均一に分布していたとする。ヨーク101と、プレート104との形状を変えずに、ヨーク101の円弧部に切り欠き部102a、102bを設けた場合、切り欠き部102a、102b付近でヨーク101とプレート104との磁極間距離が遠くなり、磁束密度が低下することから、図12(b)に示す切り欠き部102a、102b付近で磁性流体109の保持される量は他の部分より少ない量となる。この結果、ボイスコイル106とプレート104との間に磁性流体109が充填されず空気漏れが起こり、スピーカ100の音圧が低下する虞がある。また、空気漏れが起こらなかった場合も、磁性流体109の分布が不均一であるために、磁性流体の表面張力によりボイスコイル106を所定の位置に保持する作用が弱まり、ローリング等の虞がある。さらに、ボイスコイル106自体に働く電磁力も切り欠き部102a、102bにおいて低下するため、同様にローリング等の虞があり、またスピーカ100の能率自体も低下する。
一方、図12(c)において、プレート104の外周は、図12(a)、(b)の場合よりも半円部がヨーク101の内周寄りになっている。すなわち、切り欠き部102a、102b付近でのヨーク101の内周とプレート104の外周との距離d2は、図12(c)で示すように距離d1より小となっている。この結果、切り欠き部102a、102b付近でも磁束密度は低下せず、磁性流体109は全周にわたって均一に保持される。したがって、図12(b)の構成で発生する、空気漏れによるスピーカ100の音圧低下、ローリング、および能率低下を防止することができる。
したがって、スピーカ100によれば、切り欠き部102aおよび102b付近でのヨーク内周とプレート外周との距離を他の部分よりも小とすることで、引き出し線の他部材への接触防止と、磁性流体の均等な保持を両立させ、信頼性と低音再生能力を向上させた小型および薄型のスピーカを提供することができる。このように、外側磁極の内縁と内側磁極の外縁との間隙の間隔は、互いの前記湾曲部同士の間において互いの前記略直線部同士の間よりも小さい。これにより磁性流体の分布を均一にする効果がある。すなわちこれは、切り欠き部を有するスピーカのみに効果を奏するものではない。切り欠き部を有さないスピーカにも採用できる。すなわち、本実施の形態で述べた上記課題のみを解決するものではなく、切り欠き部が設けられていないスピーカに採用することでも、実施の形態1で述べた課題を解決する構成になる。
また、スピーカ100によれば、サスペンション107a、107bが長軸方向に分割されている。すなわち振動板の全周囲をサスペンションが覆わない形状となっている。そのため、スピーカ100の短軸方向の長さをヨーク101の短軸方向の長さまで縮小することができ、狭幅かつ広帯域再生可能なスピーカを構成することができる。
また、ボイスコイル106の引き出し部110a、110bは、ヨーク101とフレーム部108aおよび108bとの間で、かつサスペンション108a、108bの下側の空間に配置されるため、引き出し部110aおよび110bの配置場所を別途設ける必要がない。したがって、ボイスコイル106を振動自在にしながら省スペースのスピーカを構成することができる。
本開示の目的を効果的に達成するために、ヨーク101の切り欠き部102a、102bとプレート104との詳細な形状は下記の方法で定めてもよい。図13は、切り欠き部102a近傍において磁気回路を生じさせる磁束の分布(b)を、ヨーク101が切り欠き部102a、102bを備えない場合(a)と比較して示したものである。説明を簡単にするため、磁気回路の極性を、プレート104側がN極、ヨーク101側がS極であるとする。切り欠き部102aの幅を範囲Y−Y’間の高さHとする。図13(a)、(b)の範囲Y−Y’間において、ボイスコイルを通る磁束の単位面積あたりの密度は、プレート104側を始端としヨーク101側を終端とする磁束線の、平均長の二乗に反比例する。すなわち、範囲Y−Y’間の磁束線の平均長が、ヨークが切り欠き部を持たない場合の磁束線の平均長と等しくなるようd2を設定することで、切り欠き部102a付近の磁束密度をヨークが切り欠き部を持たない場合の磁束密度と等しくすることができる。
ヨーク101が切り欠き部を持たない場合、磁束線の平均長は図13(a)に示すようにヨーク101内壁とプレート104外周との距離d1と見なしてよい。ヨーク101が切り欠き部102a、102bを持つ場合、図13(b)のように磁束線の平均長はヨーク101内壁とプレート104外周の距離d2よりも長い値d2’となり、値d2’は切り欠き部102aの幅Hによって変化する。実用的には、磁束線の分布を楕円の円弧等の2次曲線で近似し、Y−Y’間を複数の微小領域に分割し、各微小領域を通る磁力線の平均長を求めてもよい。
なお、スピーカ100において、振動板105の全体形状は長尺状であるとしたが、振動板105の形状は磁気回路部と略同一形状の略長円形とし、長尺形状のコーナー部を切り抜いた形であっても良い。上述の振動板形状によれば、引き出し部110a、110bをコーナー部に延長させ、振動板105が引き出し部110a、110bと接触することなく上下に振動できる範囲を拡大することができる。
また、振動板105のリブは、ボイスコイル106と固着される部分の内側に設けられるとしたが、長尺形状のコーナー部に設けても良い。また、振動板105の形状はリブを設けた平面であるとしたが、中央部を凸としたドーム状としてもよい。これらの振動板形状によれば、振動板105の剛性を高めることで分割振動による音圧低下を防ぎ、高域の出力周波数特性に優れたスピーカを提供することができる。
また、磁気回路部を上面から見た外形状は、半円部と直線部からなる略長円形状であるとしたが、磁気回路部の形状はコーナー部を円弧状とした略長尺形であっても良い。この構成によれば、マグネット103の体積をスピーカ100の形状内で更に拡大することができ、高能率なスピーカを提供することができる。
また、ボイスコイル106の引き出し部110a、110bは、図11に示すような長辺側への引き出し配置に限るものでなく、たとえばフレーム部108a、108bの下側の空間に延在させ、短辺側に引き出しても良い。本開示によれば、磁気回路の形状を変えることなく、多様な引き出し線配置を実現することができる。さらに、磁性流体109の保持力によってボイスコイル106の向きを安定に保持することができるため、引き出し部110a、110bがボイスコイル106に対して非対称に配置されていても引き出し線の張力の偏りによるローリングや能率低下の虞を減少させることができる。したがって、本開示によれば、部材の形状を変えることなく端子部の方向の選択肢を増やし、低コストでカスタマイズ性に優れたスピーカを提供することができる。
また、切り欠き部102a、102bの位置は、スピーカ100の長軸上に限るものではなく、ヨーク101の半円部の任意の位置に形成して良い。たとえば、切り欠き部102a、102bを、ヨーク101の半円部の一端と中間点との間で形成することで、ボイスコイル106の引き出し部110a、110bの配置をスピーカ100の長辺側に近づけることができ、引き出し線110a、110bがサスペンション107a、107b、フレーム部108a、108b、およびヨーク101に接触する虞を減少させることができる。
また、スピーカ100において、切り欠き部102a、102bの形状はヨーク101の上面から内底に延びるスリット状であるが、この形状に限るものではない。一例として、切り欠き部102a、102bの下端がヨーク101の外底まで延びていても良い。この構成によれば、切り欠き部102a、102bはヨーク101の側面方向から切削手段によって切れ込みを入れることで容易に形成することができるため、加工コストを減少させることができる。また一例として、切り欠き部102a、102bの上部に充填材を充填してもよい。この構成によれば、落下等の衝撃で引き出し部110a、110bがヨークの上方に飛び出ることを防ぐことができる。
また、スピーカ100において、プレート104の形状のみを変えることで切り欠き部102a、102b付近での、プレート104の外周とヨーク101の外周との距離を縮小しているが、ヨーク101の半円部内周をプレート104に近づけても良いし、ヨーク101およびプレート104の両方の形状を変えても良い。
また、スリット部を切り欠き部として設ける代わりに、引き出し線の振動範囲の上下に所定のクリアランスを有するようにヨーク101の側壁に設けられた貫通孔として設けても良い。
図14、図15を参照して、本開示に係るスピーカ700の構造について説明する。図15はスピーカ700の上面視図である。図14(a)はスピーカ700の図15における4A−4A'線断面図であり、図14(b)はスピーカ700の図14(a)における3A−3A'線断面図である。スピーカ700は、ヨーク701と、マグネット703と、プレート704と、振動板705と、ボイスコイル706と、サスペンション707a、707bと、サスペンション貼付部708a、708bと、磁性流体709とを備える。ボイスコイル706は、図示しないが、前述と同様の引き出し部を備える。スピーカ700の上面視における外形状は、図15に示すように略長方形状である。マグネット703、プレート704およびボイスコイル706の外形状は角が丸められた長方形等からなる略矩形であり、ヨーク701および振動板705の外形状は角が丸められた長方形等からなる略矩形である。
ヨーク701、マグネット703、プレート704、振動板705、ボイスコイル706、磁性流体709の位置関係および接触関係は、ヨーク701、マグネット703、プレート704、振動板705およびボイスコイル706の形状が略長方形状であること、およびヨーク701が切り欠き部を持たないことを除いて、図9〜図13で説明したものと同様である。なお、同様に切り欠き部を形成してもよい。
以上の構成によるスピーカ700の動作は、スピーカ100の動作と同様である。
図16、図17を参照して、本開示に係るスピーカ200の構造について説明する。図はスピーカ200の上面視図である。図17(a)はスピーカ200の図16における5A−5A'線断面図であり、図17(b)はスピーカ200の図16における5B−5B'線断面図であり、図17(c)はスピーカ200の図17(a)における6A−6A'線断面図である。スピーカ200は、ヨーク201と、マグネット203と、プレート204と、振動板205と、ボイスコイル206と、サスペンション207a〜207dと、サスペンション貼付部208a〜208dと、磁性流体209とを備える。ボイスコイル206は、図17(c)に示すように引き出し部210a、210bを備える。ヨーク201は、切り欠き部202a、202bを備える。スピーカ200の上面視における外形状は、図16に示すように略正方形状である。マグネット203、プレート204およびボイスコイル206の外形状は略真円形状であり、ヨーク201および振動板205の外形状は、図の上下方向を長径とする略楕円形状である。
ヨーク201、マグネット203、プレート204、振動板205、ボイスコイル206、磁性流体209、切り欠き部202a、202bの位置関係および接触関係は、ヨーク201、マグネット203、プレート204、振動板205およびボイスコイル206の形状が略円形状であることを除いて、図9〜図13で説明したものと同様である。切り欠き部202a、202bは、ヨーク201の短径方向の側壁に、スピーカ200の中心に対して互いに点対称で短軸に対して傾いた直線状の切り込みとして設けられる。サスペンション207a〜207dは、図9〜図13で説明したものと異なり、図16に示すように4ヶ所に帯状に配置され、中心側で振動板205と接続し、サスペンション貼付部208a〜208dに固着されている。
以上の構成によるスピーカ200の動作は、スピーカ100の動作と同様である。
スピーカ200においては、プレート204の外周が略真円形状であり、一方でヨーク201の側壁部の内周は略楕円形状である。これにより、切り欠き部202a、202b付近でのヨーク201の内周とプレート204の外周との距離は、ヨーク201の長径方向におけるヨーク201の内周とプレート204の外周との距離よりも小となるため、スピーカ100と同様に引き出し線の他部材への接触防止と、磁性流体の均等な保持を両立させ、信頼性と低音再生能力を向上させた小型および薄型のスピーカを提供することができる。
また、スピーカ200において、切り欠き部202a、202bは、ヨーク201の側壁に傾いた直線状に設けられているため、スピーカ200の内部で引き出し線210a、210bを撓ませるスペースを容易に設けることができ、引っ張りの力による引き出し線210a、210bの破断の危険を回避することができる。
また、スピーカ200において、プレート204の外周が略真円形状であり、ヨーク201の側壁部の内周は略楕円形状であるとしたが、プレート204およびヨーク201の形状はこれに限らない。たとえば、マグネット203、プレート204およびボイスコイル206の外形状を図16(a)の左右方向を長径とする略楕円形状とし、ヨーク201および振動板205の外形状を略真円形状としても良い。
また、スピーカ200において、切り欠き部202a、202bは、互いに点対称で短軸に対して傾いた直線状の切り込みであるとしたが、切り欠き部202a、202bは互いにヨーク201の短軸方向に対して線対称な直線状の切り込みであっても良い。本構成によれば、引き出し線210a、210bの双方を根元で曲げることなく外部に引き出すことができ、繰り返し曲げによる引き出し線210a、210bの破断の虞を回避することができる。
図18を参照して、本開示に係るスピーカアレイ311の構造について説明する。図18(a)はスピーカアレイ311の上面視図であり、図18(b)はスピーカアレイ311の図18(a)における7A−7A'線断面図である。スピーカアレイ311は、直線状に配置された4個のスピーカ300からなる。スピーカ300は、スピーカ200に準じた形状および構成をとり、ヨーク301と、マグネット303と、プレート304と、振動板305と、ボイスコイル306と、サスペンション307a〜307dと、サスペンション貼付部308a〜308dと、磁性流体309とを備える。ボイスコイル306は、図17(a)に示すように、引き出し部310a、310bを備える。ヨーク301は、切り欠き部302a、302bを備える。サスペンション貼付部308a〜308dのうち、308bは隣り合うスピーカ300のサスペンション貼付部308a'、308dは隣り合うスピーカ300のサスペンション貼付部308c'とそれぞれ一体である。
以上の構成によるスピーカ300の動作は、スピーカ200の動作と同様である。したがって、スピーカ200と同様に引き出し線の他部材への接触防止と、磁性流体の均等な保持を両立させることができる。これにより、本開示のスピーカアレイ311によれば、信頼性と低音再生能力を向上させた狭幅かつ薄型のスピーカアレイを提供することができる。
また、スピーカ300において、切り欠き部302bと、隣り合うスピーカ300の切り欠き部302a'は、引き出し部310b、と引き出し部310a'が互いに7A−7A'断面に対して同じ側の外部へ接続されるように形成されている。これにより、隣り合うスピーカ300同士の引き出し部の接触を防ぎ、異音の発生を防止することができる。
また、スピーカアレイ311において、スピーカ300はスピーカ200に準じた略正方形状としたが、スピーカ300の形状は、これに限るものではなく、図14および図15で説明したような、スピーカ100に準じた略長方形状とし、長辺方向にスピーカ300を配列した構成としても良い。本構成によれば、更に狭幅のスピーカアレイ311を実現することができる。
また、ヨーク301は円筒状の側壁と底面部で形成されている図で説明したが、ヨーク301は複数個の円筒状のくぼみとして形成し、スピーカアレイ311の長方形の外周をヨーク301の外壁として一体にしても良い。この場合、切り欠き部は一体で構成された台座の溝として設けられることが望ましい。本構成によれば、ヨーク301を別々に形成する必要がなく、製造コストを低減することができる。
また、スピーカアレイ311を構成する4個のスピーカ300は、それぞれ独立した引き出し部310a、310bを備えるものとして説明したが、隣り合うスピーカ300のボイスコイル306同士の引き出し部を共通とし、スピーカ300を直列に接続しても良い。この場合、切り欠き部の形状は7A−7A'線断面を通る直線状であることが望ましい。本構成によれば、スピーカアレイ311の引き出し部の終端をスピーカアレイ311の両端の2ヶ所のみとすることができ、引き出し部と他の部材の接触の虞をさらに低減させることができる。
図19を参照して、スピーカ100をインナーイヤーヘッドホン410に搭載した例について説明する。図19は、インナーイヤーヘッドホン410の部分断面図である。図19においては、インナーイヤーヘッドホン410の構成要素のうち、スピーカ400と、ケース402と、イヤーチップ403の断面と、ハウジング407と、コード408とが示されている。ケース402は、前面容積404と、ポート405と、背面音孔406とを有する。スピーカ400は、スピーカ100に準じた形状および構成を有し、振動板が磁気回路と対抗する面を音波放射面として、前面容積404と、ポート405と、イヤーチップ403とを介して聴取者の耳道内に音を出力する。
ここで、スピーカ400は、本開示の構成を取ることにより、引き出し線の他部材への接触防止と、磁性流体の均等な保持を両立させている。これにより、装用者の移動や揺れにより、インナーイヤーヘッドホン410が動き、磁性流体が磁気回路に対して移動しようとする外力を受けた場合も、磁性流体の偏在による能率低下や磁性流体の抜けによる空気漏れが起こることを防ぎ、音量の低下を防ぐことができる。
また、スピーカ400は、イヤーピースの背面に対して傾けて取り付けることで、ポート部を耳道の入り口に挿入可能に小口径化しながら、同時に背面音孔406から放射される逆位相の音が聴取音に干渉することを防ぎ、音量の低下を防ぐことができる。したがって、本開示に係るインナーイヤーヘッドホン410によれば、プレートを本開示の構成とすることにより、小型でありながら低音域から高音域までの幅広い帯域を再生することが可能となり、装用感の向上と高音質を両立させたインナーイヤーヘッドホンを提供することができる。
図20を参照して、スピーカ100を携帯型情報端末の音声レシーバとして搭載した例について説明する。図20(a)は、携帯型情報端末510の外観図である。図20(b)は、携帯型情報端末510の10A−10A'線断面図である。図20においては、携帯型情報端末510の構成要素のうち、スピーカ500と、筐体502と、ディスプレイ503と、基板504と、音孔505とが示されている。
スピーカ500は、基板504に設けられる穿孔部分に取り付けられた状態で、筐体502内に収納されている。また、スピーカ500は、スピーカ100に準じた形状および構成を有し、振動板が磁気回路と対抗する面を音波放射面として、音孔505を介してユーザーの耳元に通話音声を出力する。上述の、スピーカ500はインナーイヤーヘッドホン410と同様、本開示の構成を取ることによって、携帯型情報端末510の移動や揺れにより、磁性流体の偏在や磁性流体の抜けによる能率低下が起こることを防ぎ、音量の低下を防ぐことができる。
図21を参照して、スピーカ200をタブレット型映像音声情報端末のスピーカとして搭載した例について説明する。図21(a)は、映像音声情報端末610の外観図である。図21(b)は、映像音声情報端末610の9A−9A'線断面図あるいは9B−9B’線断面図である。図21においては、映像音声情報端末610の構成要素のうち、スピーカモジュール600と、筐体602と、ディスプレイ603と、筐体補強フレーム604と、音孔605とが示されている。スピーカモジュール600は、筐体補強フレーム604に取り付けられた状態で、筐体602内に収納されている。また、スピーカモジュール600は、スピーカアレイ311に準じた形状および構成を有し、振動板が磁気回路と対抗する面を音波放射面として、音孔605を介してユーザーの耳元に通話音声を出力する。上述のスピーカモジュール600は、インナーイヤーヘッドホン410と同様、本開示の構成を取ることによって、映像音声情報端末610の移動や揺れにより、磁性流体の偏在や磁性流体の抜けによる能率低下が起こることを防ぎ、音量の低下を防ぐことができる。
なお、図18においては、スピーカ200を配列したスピーカアレイ311で説明しているが、配列するスピーカの構成および形状はこれに限るものではなく、スピーカ100の構成および形状を配列しても良い。
また、図19および図20においては、スピーカ100を搭載した例を図示しているが、スピーカの構成および形状はこれに限るものではなく、スピーカ200の構成および形状であっても良い。
また、図21においては、図18に係るスピーカアレイ311を搭載した例を図示しているが、スピーカの構成および形状はこれに限るものではなく、スピーカ100、200の構成および形状であっても良い。
また、図19、20および21においては、本開示に係るスピーカおよびスピーカアレイをインナーイヤーヘッドホン、携帯情報端末、およびタブレット型映像音声情報端末搭載した例を示したが、搭載する機器はこれに限るものではなく、たとえば補聴器、ヘッドセット、ディスプレイ機器等に本開示に係るスピーカを備えても良い。
以上のように、本開示によれば、細長い形状のスピーカでもあっても、磁気空隙内における磁性流体の分布を均一にすることができるため、狭額縁化が進むテレビ、タブレット端末、スマートフォンに搭載し細長い形状であっても、低音再生に優れたスピーカを実現する。またイヤホンや補聴器などにおいては、外耳道内に収まる細長い形状を実現でるため、スピーカを鼓膜近傍に設置することができる。これにより、従来の入力電圧も少ない電圧で同等の音圧レベルを実現することができる。
また、本開示に係るスピーカは、信頼性と低音再生能力を向上させた小型および薄型のスピーカを提供することが可能であり、インナーイヤーヘッドホン、携帯情報端末、映像音声情報端末、補聴器、ヘッドセット、ディスプレイ機器、その他AV機器に利用可能である。
図1〜図8、図22について
100、203、300、400、500、600、700 スピーカ
101、301、401、501、601 ヨーク
102、302、402、502、602 マグネット
103、303、403、503、603 プレート
104、304、404、504、604 振動板
105a、105b、305a、305b、405a、405b、505a、505b、605a、605b サスペンション
106、306、406、506、606 ボイスコイル
107、307、507、607 磁気空隙
108、308、408、508、608、708 音孔
109、609 リブ
110、310、410、510、610 磁性流体
201 筐体
202 ディスプレー部
411 補助マグネット
P、Q、R、S 点
LP、LQ 距離
w1、w2 幅

図9〜図21、図23、図24について
100、200、300、400、500、700、1100、1200 スピーカ
101、201、301、701、1101、21、1201 ヨーク
102a、102b、202a、202b、302a、302b、1202a、1202b 切り欠き部
103、203、303、703、1102 マグネット
104、204、304、704、1103、23、1204 プレート
105、205、305、705、1106 振動板
106、206、306、706、1107、33、1206 ボイスコイル
107a、107b、207a〜207d、307a〜307d、707a、707b サスペンション
108a、108b フレーム部
208a〜208d、308a〜308d、308a'、308c'、708a、708b サスペンション貼付部
109、209、309、709、1110、1209 磁性流体
110a、110b、210a、210b、310a、310b 引き出し部
311 スピーカアレイ
410 インナーイヤーヘッドホン
402 ケース
404 前面容積
405 ポート
406 背面音孔
407 ハウジング
408 コード
510 携帯型情報端末
502、602 筐体
503、603 ディスプレイ
504 基板
505、605a〜605d 音孔
610 映像音声情報端末
600a〜600d スピーカモジュール
604 筐体補強フレーム
1108a〜1108d エッジ片
1109 スペーサ
G2 磁気空隙
1 スピーカ装置
21C 側部
22 磁石
3 振動体
4 引出線
5 フレーム
6 端子部
71 切欠部
本発明はスピーカの構成に関する。
近年、TVやモバイル機器のスタイリッシュな外観要求により、ディスプレイデバイス周囲の外枠を細くする狭額縁化が進んでいる。そのため一般的に額縁部に設置されるスピーカの形状は、より細長い形状が求められている。
しかしながら、細長い形状のスピーカにおいては、短辺方向の幅が狭まるため、振動板を保持するサスペンションの幅を十分に確保することが出来ない。そのため、サスペンションのスティフネスが増大し、スピーカの最低共振周波数f0も増大する。この結果、低域の特性が劣化し、再生帯域幅が縮小するといった問題が発生してしまう。この問題に対し、特許文献1では、磁性流体と分割サスペンションを利用し細長いスピーカでもあっても再生帯域幅が縮小しない従来のスピーカが提案されている。
図22(a)は特許文献1における従来のスピーカにおいて、磁性流体と分割サスペンションを利用したスピーカ600の断面図を表す図であり、図22(b)は図22(a)の切断線A−Bでスピーカを切断したときに矢印C方向にスピーカ600を見た図である。スピーカ600は、ヨーク601と、マグネット602と、プレート603と、振動板604と、サスペンション605aおよび605bと、ボイスコイル606と、音孔608と、リブ609と、磁性流体610とを備える。マグネット602は、前面外形状がトラック形状であり、上面が開放された箱形状のヨーク601の内部底面に接着される。プレート603は、前面外形状がトラック形状であり、マグネット602の上面に接着される。ヨーク601とプレート603との間には、磁気空隙607が形成される。このように、ヨーク601、マグネット602、およびプレート603は、磁気空隙607を形成する磁気回路を構成する。なお、ヨーク601、マグネット602、およびプレート603には、ヨーク601、マグネット602、およびプレート603を中心軸Oに沿って貫通する音孔608が形成される。振動板604には、振動板604の短辺と平行な複数個のリブ609が形成される。振動板604の短辺には、振動板604を振動可能に支持する支持体として、サスペンション605aおよび605bが設けられる。すなわち振動板604の全周囲にはサスペンションが設けられず、その一部に複数の独立したサスペンション(分割サスペンション)が設けられる。サスペンション605aおよび605bは、振動板604と同じ材料で構成され、振動板604と一体成形される。ボイスコイル606は、前面外形状および前面内形状がトラック形状であり、磁気空隙607内に配置される。磁気空隙607内には、ボイスコイル606の他に、磁性流体610が充填される。なお、特許文献1における従来のスピーカ600では、磁性流体610は、磁気空隙607内におけるボイスコイル606の内周側にのみ充填されている。
以上の構成によれば、振動板604を振動可能に支持するサスペンション605aおよび605bは、振動板604の外周部であって互いに異なる位置に設けられ構成される。これにより、スピーカを小型化しても、サスペンション605aおよび605bの幅や厚さを調整することによってスティフネスを小さくしスピーカの最低共振周波数を低下させることができる。さらに磁性流体610を封入することによって、振動板604の各面で発生する音波間での干渉やローリングを抑制することもできる。以上のように、磁性流体610と分割サスペンション605aおよび605bを利用したスピーカ600を用いることによって細長いスピーカで課題となる再生帯域幅の縮小を改善することができる。
国際公開第2009/066415号 国際公開第2009/016743号
上記従来のスピーカ600では、分割サスペンション605aおよび605bと磁性流体610を利用することによって、再生帯域幅の縮小を抑制することができる。しかしながら、上記従来のスピーカ600では磁性流体610を磁気空隙607内に均一に分布させることに関して考慮された構成となっていなかった。そのため、上記従来のスピーカ600のような細長い形状を用いたスピーカにおいては、場合によっては磁性流体610が一部に集中し、ボイスコイル606とプレート603間の磁気空隙607内に空気の隙間が形成されローリングや低域特性の劣化を生じさせるという課題が発生していた。
本開示におけるスピーカは、マグネットと、前記マグネットの一方の磁極面に固着されたプレートと、前記マグネットの他方の磁極面に内側底面が固着された函状のヨークとを備えた磁気回路と、前記プレートと前記ヨークとが形成する磁気空隙に上下方向に振動可能に配置されたボイスコイルと、周縁部が前記ボイスコイルの上端と接合された振動板と、前記ボイスコイルと前記プレートとの間隙と、前記ボイスコイルと前記ヨークとの間隙との少なくとも一方に充填された磁性流体とを備え、前記磁性流体を均等に分布させる手段を少なくとも一つ有することを特徴としている。
また、本開示におけるスピーカは、マグネットと、前記マグネットの一方の磁極面に固着されたプレートと、前記マグネットの他方の磁極面に内側底面が固着された函状のヨークとを備えた磁気回路と、前記プレートと前記ヨークとが形成する磁気空隙に上下方向に振動可能に配置されたボイスコイルと、周縁部が前記ボイスコイルの上端と接合された振動板と、前記ボイスコイルと前記プレートとの間隙と、前記ボイスコイルと前記ヨークとの間隙との少なくとも一方に充填された磁性流体とを備え、前記ボイスコイルに対する前記磁気回路の外側磁極の内縁の形状と、前記ボイスコイルに対する前記磁気回路の内側磁極の外縁の形状とはそれぞれ、上面視において互いに対向する2つの略直線部と、互いに対向する2つの湾曲部であって外側に凸形状をなす湾曲部とから成り、前記外側磁極の内縁と前記内側磁極の外縁との間隙は互いの前記略直線部同士および互いの前記湾曲部同士で形成されており、前記間隙の間隔は、互いの前記湾曲部同士の間において互いの前記略直線部同士の間よりも小さいことを特徴としている。
本開示によれば、磁気空隙内に、磁性流体を均一に分布させることができるため、磁気空隙内での空気の隙間が発生することを抑制することができ、それにより音漏れによる低域特性の劣化やローリングを防止することができる。
図1は、本開示に係るスピーカの断面図である。 図2は、従来のスピーカと本開示に係るスピーカの磁束密度分布の差異を示す図である。 図3は、従来のスピーカと本開示に係るスピーカの一部拡大図である。 図4は、本開示の変形例に係るスピーカの断面図である。 図5は、本開示に係るスピーカを搭載した薄型テレビの正面外観図である。 図6は、本開示に係る他のスピーカの断面図である。 図7は、本開示に係るさらに他のスピーカの断面図である。 図8は、本開示に係るさらに他のスピーカの断面図である。 図9は、本開示に係るさらに他のスピーカの上面視図である。 図10は、図9のスピーカの断面図である。 図11は、引き出し部の配置を示す図である。 図12は、磁性流体の保持状態を示す図である。 図13は、磁束の分布を表す図である。 図14は、本開示に係るさらに他のスピーカの断面図である。 図15は、図14のスピーカの上面視図である。 図16は、本開示に係るさらに他のスピーカの上面視図である。 図17は、図16のスピーカの断面図である。 図18は、本開示に係るスピーカアレイを説明する図である。 図19は、本開示に係るインナーイヤーヘッドホンの部分断面図である。 図20は、本開示に係る携帯型情報端末を説明する図である。 図21は、本開示に係る映像音声情報端末を説明する図である。 図22は、従来のスピーカの構造断面図である。 図23は、特許文献1に開示されたスピーカの構造断面図である。 図24は、特許文献2に開示されたスピーカの構造断面図である。
本開示は、マグネットと、前記マグネットの一方の磁極面に固着されたプレートと、前記マグネットの他方の磁極面に内側底面が固着された函状のヨークとを備えた磁気回路と、前記プレートと前記ヨークとが形成する磁気空隙に上下方向に振動可能に配置されたボイスコイルと、周縁部が前記ボイスコイルの上端と接合された振動板と、前記ボイスコイルと前記プレートとの間隙と、前記ボイスコイルと前記ヨークとの間隙との少なくとも一方に充填された磁性流体とを備え、前記磁性流体を均等に分布させる手段を少なくとも一つ有する第1のスピーカを含んでいる。
また、本開示は、マグネットと、前記マグネットの一方の磁極面に固着されたプレートと、前記マグネットの他方の磁極面に内側底面が固着された函状のヨークとを備えた磁気回路と、前記プレートと前記ヨークとが形成する磁気空隙に上下方向に振動可能に配置されたボイスコイルと、周縁部が前記ボイスコイルの上端と接合された振動板と、前記ボイスコイルと前記プレートとの間隙と、前記ボイスコイルと前記ヨークとの間隙との少なくとも一方に充填された磁性流体とを備え、前記ボイスコイルに対する前記磁気回路の外側磁極の内縁の形状と、前記ボイスコイルに対する前記磁気回路の内側磁極の外縁の形状とはそれぞれ、上面視において互いに対向する2つの略直線部と、互いに対向する2つの湾曲部であって外側に凸形状をなす湾曲部とから成り、前記外側磁極の内縁と前記内側磁極の外縁との間隙は互いの前記略直線部同士および互いの前記湾曲部同士で形成されており、前記間隙の間隔は、互いの前記湾曲部同士の間において互いの前記略直線部同士の間よりも小さい第2のスピーカを含んでいる。
これにより、磁気空隙内に、磁性流体を均一に分布させることができるため、磁気空隙内での空気の隙間が発生することを抑制することができ、それにより音漏れによる低域特性の劣化やローリングを防止することができる。
また、第1のスピーカのその他の態様として、次のような構成を採ることも可能である。
例えば、前記手段として、前記プレートと前記マグネットとを貫通するように設けられた音孔を有していても良い。
また例えば、前記音孔は、前記プレートと前記マグネットとのそれぞれに形成された同一形状の各開口部が合わされて形成されていても良い。
また例えば、前記音孔の貫通軸方向に見て、前記音孔の重心から前記プレート外周最も近い点を第1の点とし、前記第1の点と前記音孔外周との間の最短距離を第1の距離、前記音孔の重心から前記プレート外周最も遠い点を第2の点とし、前記第2の点と前記音孔外周との間の最短距離を第2の距離とするとき、第1の距離<第2の距離であっても良い。これにより、距離の調整による磁束分布の均一化を行って磁性流体の均一な分布を実現することができる。
その他にも、距離の調整による磁束分布の均一化を行う手法として以下の構成が挙げられる。
例えば、前記手段として、前記プレートと前記マグネットと前記ヨークとのそれぞれに形成された同一形状の各開口部が合わされて前記プレートと前記マグネットと前記ヨークとを貫通するように設けられた複数の音孔を有していても良い。
また例えば、前記音孔は少なくとも磁束密度の高い箇所に設けられていても良い。
また例えば、前記マグネットの水平断面の外周形状はトラック形状であり、前記音孔は貫通軸方向に見てトラック形状であり、前記マグネットの直線部分の前記外周を貫く磁束の磁束密度を低下させる位置に設けられていても良い。
また例えば、前記手段として、前記間隙内に前記磁性流体が均等に分布するように形状が調整された前記ボイスコイルを有していても良い。
また例えば、前記プレートと前記マグネットと前記ヨークとのそれぞれに形成された同一形状の各開口部が組み合わされて前記プレートと前記マグネットと前記ヨークとを貫通するように音孔が設けられており、前記音孔の貫通軸方向に見て、前記音孔の重心から前記プレート外周最も近い点を第3の点とし、前記第3の点と前記ボイスコイルとの間の最短距離を第3の距離、前記音孔の重心から前記プレート外周最も遠い点を第4の点とし、前記第4の点と前記ボイスコイルとの間の最短距離を第4の距離とするとき、第3の距離>第4の距離であっても良い。
また例えば、前記手段として、前記ボイスコイルよりも外側に設けられた補助マグネットを有していても良い。
また例えば、前記ボイスコイルの水平断面形状はトラック形状であり、前記補助マグネットは、前記ボイスコイルの短辺方向の外周に前記プレート外周と同様の曲率半径を有するように設けられていても良い。
前記スピーカを備えたテレビ、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、イヤホン、補聴器を含むAV機器を構成することもできる。
また、第2のスピーカのその他の態様として、次のような構成を採ることも可能である。
例えば、前記磁気回路の形状は、上面視において、トラック形と略矩形とのいずれかの形状であっても良い。
また例えば、前記ヨークは、前記ボイスコイルの引き出し線を前記磁気回路の外に通過させる少なくとも2つのスリット部を前記湾曲部に有していても良い。これにより、ボイスコイル引き出し線の他部材への接触を防止し、さらに切り欠き部の磁気ギャップ幅を、他の部分より狭くすることにより磁性流体を均等に分布させ、高能率で線形性の高い小型スピーカを提供することができる。
スリット部の具体的な態様として、以下のものが挙げられる。
例えば、前記スリット部は、ヨークの上端に延伸する切り欠きであっても良い。
また例えば、前記スリット部は、前記引き出し線の振動範囲の上下に所定のクリアランスを有するように前記ヨークの側壁に設けられた貫通孔であっても良い。
前記スピーカを備えるインナーイヤーヘッドホン、携帯型情報端末、タブレット型映像音声情報端末を構成することができる。
(従来技術から得られた知見)
従来のスピーカ600では、磁性流体610を磁気空隙607内に均一に分布させることに関して考慮された構成となっていないため、磁性流体610が一部に集中してしまうという課題が発生する。本願発明者は、磁性流体が一部に集中してしまうことの要因が、スピーカの形状が細長い形状であることによることを知見した。細長い形状のスピーカでは、磁気空隙曲線部における磁束密度が不均一となる。例えば従来のスピーカ600では、磁気空隙607を形成するボイスコイル606やプレート603がトラック形状(2つの並行する線分と、当該線分間の相対する端部同士をつなぐ2つの曲線とからなる形状)に構成されるが、磁気空隙607曲線部の磁束が直線部に比べ大きく拡散してしまうため、磁気空隙607曲線部における磁束密度は直線部に比べ低下してしまう。このため、場合によっては、磁性流体が一部に集中することになり、ボイスコイル606とプレート603間の磁気空隙607内に空気の隙間が形成されローリングや低域特性の劣化を生じさせてしまう。本開示はこれら知見した課題を解決する。
以下、本開示の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。本開示は、請求の範囲だけによって限定される。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、本開示の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。なお、同じ要素には同じ符号を付しており、説明を省略する場合がある。
(実施の形態1)
本開示に係るスピーカ100の断面図を図1に示す。以下の説明では、図1(a)右側に示した矢印の通り、紙面上部を垂直方向上、紙面下部を垂直方向下として垂直方向を定義する。また水平方向は垂直方向に直交する方向である。また図1の説明において、「振動方向」とは垂直方向と同様の方向を示す。図1(a)は、スピーカ100の垂直断面図を表す図であり、図1(b)は図1(a)の切断線A−Bでスピーカを切断したときに矢印C方向にスピーカを見た図である。スピーカ100は、ヨーク101と、マグネット102と、プレート103と、振動板104と、サスペンション105aおよび105bと、ボイスコイル106と、音孔108と、磁性流体110とを備える。ヨーク101と、マグネット102と、プレート103とによって、磁気空隙107が形成される。ボイスコイル106と、磁性流体110とは、この磁気空隙107内に配置される。以下各構成について説明する。
ヨーク101は、上面が開放された函状であり、底面中央には開口端がトラック形状の開口部を有し音孔108の一部を形成している。トラック形状の2つの並行する線分を2つの直線部が構成し、線分間の相対する端部同士をつなぐ2つの曲線を外側に凸形状となるように弧状に湾曲した2つの曲線部が構成している。すなわち、ヨーク101の開口部は長辺が直線形状であり、短辺が曲線形状である。また、ヨーク101は磁性材料で構成される。
マグネット102は、水平断面の外周形状がトラック形状である。マグネット102は中央に開口部を有しており、音孔108の一部を形成している。マグネット102の開口部の形状はヨーク101に設けられている開口部の形状と同様の形状である。また、マグネット102はその開口部の位置と、ヨーク101の開口部の位置とが合わさるように、ヨーク101の内部底面に接着される。マグネット102の着磁方向は、振動板104の振動方向と同様の方向となるよう着磁されている。
プレート103は、水平断面の外周形状がトラック形状である。プレート103はヨーク101やマグネット102同様に、中央に開口部を有しており、音孔108の一部を形成している。プレート103の開口部の形状もまた、ヨーク101に設けられている開口部の形状と同様の形状である。また、プレート103は、その開口部の位置とマグネット102の開口部の位置とが合わさるように、マグネット102の一方の磁極面をなす上面に接着等により固着されている。マグネット102の他方の磁極面をなす下面は、上述したようにヨーク101の内部底面に接着等により固着されている。プレート103の外周には磁性流体110が接触している。プレート103は、磁性材料で構成される。音孔108の貫通軸方向に見て、プレート103において音孔108の重心からプレート103の外周最も近い点(第1の点)をPとし、点Pと音孔108の外周との間の最短距離をLP(第1の距離)、プレート103において音孔108の重心からプレート103の外周最も遠い点(第2の点)をQとし、点Qと音孔108の外周との間の最短距離をLQ(第2の距離)とするとき、LP<LQの関係がある。なお、音孔108はプレート103の開口部とマグネット102の開口部とからのみで構成されていても良く、この場合にはヨーク101には少なくとも、プレート103の開口部とマグネット102の開口部とに合わせられる開口部は設けられない。
振動板104は、水平断面の外周形状がトラック形状である。すなわち振動板104は長辺が直線形状であり、短辺が曲線形状である。また振動板104は、サスペンション105a、サスペンション105bと同じ材料にて構成され、サスペンション105a、サスペンション105bにその曲線部が一体形成されて接着される。なお、振動板104は、サスペンション105aおよびサスペンション105bと一体形成されていなくても良いし、同じ材料で構成されていなくても良い。また、振動板104の周縁部のうち底面外周部にはボイスコイル106の上端が接着等により接合されている。また、図1(a)のように振動板104の短辺と平行な複数個のリブ109が形成されたものであってもよい。リブ109があることで、可聴帯域内での共振を抑制することが出来る。
サスペンション105aと、サスペンション105bとは、振動板104およびヨーク101に接着される。サスペンション105aおよびサスペンション105bが、振動板104と接着される辺は、曲線形状である。また、サスペンション105aおよびサスペンション105bがヨーク101に接着される辺は直線形状である。振動板の全周囲を覆わずに、一部(曲線部)のみに複数接着されていることから、サスペンション105aと、サスペンション105bとを合わせて分割サスペンションと呼ぶ。また、サスペンション105aと、サスペンション105bとの垂直断面形状は非直線となる。この形状によって振動板104を振動可能に保持している。また、サスペンション105aと、サスペンション105bとの垂直断面形状は、図1(a)のように振動方向において下に凸の形状でも良いし、上に凸の形状でも良い。なお、サスペンション105aおよびサスペンション105bの形状はこれらに限られない。例えば、ヨーク101に接着される辺が曲線形状でもよい。この際には当然、ヨーク101のサスペンション105aおよびサスペンション105bと接着される辺は曲線形状となる。
ボイスコイル106は、水平断面形状がトラック形状であり、立体形状は筒状である。ボイスコイル106の垂直方向上端が振動板104の底面外周部に接着される。またボイスコイル106の垂直方向下端は、磁気空隙107内に配置される。またボイスコイル106の垂直方向下端、内周には、磁性流体110が接触している。これにより、ボイスコイル106は磁気空隙107に上下方向に振動可能に配置されている。
音孔108(磁性流体を均等に分布させる手段)は、ヨーク101と、マグネット102と、プレート103とにそれぞれに設けられた同一形状の開口部によって構成される。音孔108の形状は図1(b)のように貫通軸方向に見てトラック形状である。
磁性流体110は、プレート103の外周およびボイスコイル106の内周の空間に隙間無く充填される。なお、磁性流体110は、一般に、ボイスコイル106とプレート103との間隙と、ボイスコイル106とヨーク101との間隙との少なくとも一方に充填されていればよい。
以上のように構成されたスピーカ100の動作について説明する。ボイスコイル106に電気信号が入力されると、フレミングの左手の法則に従ってボイスコイル106が振動する。ボイスコイル106は振動板104と接着されているため、振動板104から音波が発生する。この時、サスペンション105aおよび105bは振動板104全周を囲うことなく部分的に振動板と接着しているため、サスペンション105aおよび105bのスティフネスは、一般的な振動板全周を囲うサスペンションのスティフネスに比べ十分低くなる。それにより、最低共振周波数を低減させることができ、再生帯域幅の縮小を抑制することができる。
また音孔108は、プレート103の外側面に磁性流体110が均一に分布するよう設計されているため、磁性流体110をボイスコイル106の内側に形成される磁気空隙において均一に分布させることができる。
図2に、従来の構成と本開示とにおけるプレート側面の磁束密度分布を比較した結果を示す。図2は、横軸が図1(b)に矢印で示すように、点Pの位置X0と点Qの位置X1と間のプレート外周に沿った距離X内にある位置に対応し、縦軸は磁束密度の高さを示す。従来の構成における磁束密度分布の結果を実線、本開示の磁束密度分布の結果を点線で示す。図2より、従来の構成においては音孔や磁気空隙曲線部の影響で磁束密度の分布が不均一になっているのに対し、本開示においては、磁気空隙内の磁束密度分布が一定となるよう音孔が設計されているため、従来の構成に比べ磁束密度の分布が均一になっている。そのため、本開示においては磁性流体110をプレート103側面に均一に分布させることができる。
ここで、本開示で示すような音孔108を設けることで、磁束密度の分布が均一となる理由を説明する。図3(a)には従来のスピーカ600の一部を拡大したものを示し、図3(b)には本開示におけるスピーカ100の一部を拡大したものを示す。図3(a)のように従来のスピーカではトラック形状における直線部分の磁束密度が高く、曲線部分の磁束密度が低い。一方で図3(b)の本開示においては音孔108が形成されていることによって直線部分の磁束密度が低下する。よって磁束密度の分布が均一となる。このような音孔を、例えば、少なくとも、音孔が無かったと仮定した場合に磁束密度が相対的に高くなる箇所に設けることで、磁束密度の分布を均一にすることができる。スピーカ100のようにトラック形状のマグネットを有する場合には、例えば、マグネットの直線部分の外周を貫く磁束の磁束密度を低下させる位置に音孔を設ける。
以上の理由により本開示におけるスピーカ100では、従来のスピーカ600のように磁性流体110が一部に集中することはない。これにより、プレート103の外周およびボイスコイル106の内周の空間に隙間が生じることがないので、音孔108および振動板104の下部の空間は磁性流体によって封止された状態に保たれる。すなわち音孔108および振動板104の下部の空間から、分割サスペンションの下部空間に発生した音が漏れることが抑制される。すなわち音漏れによる低域特性の劣化やローリングを防止することができる。
さらに音孔108が、プレート103の外側面に磁性流体110が均一に分布するよう設計されていることで、組立段階における磁気回路への磁性流体注入時において、磁性流体110を偏りなく注入することできる。よって、ヨーク101の内側面に磁性流体110が付着することを抑制することができる。
さらに音孔108から放射される音波に関して、本開示においては、長辺方向に延伸するように音孔108が設けられているため、振動板104中央と端から放射された音波が経路差によって干渉することを防止できる。それにより、スピーカ100が細長い形状であっても経路差による干渉の影響を受けやすい高域の特性を損なうことなく、音波を放射することができる。
次に、本開示の変形例であるスピーカ装置700について、図4を用いて説明する。スピーカ装置700がスピーカ装置100と異なる点は音孔708である。音孔708は、円形の穴が3つ並んでいるものである。このような形状の穴で形成することで、容易に設計しやすく、なおかつ磁性流体110をボイスコイル106の内側に形成される磁気空隙において、均等に分布させることができる。なお、穴の個数は3つに限られない。ここで図3を用いて説明したように磁束密度の不均一が顕著に生じる箇所はトラック形状のスピーカの場合、直線部から曲線部の境目付近であり、この付近の直線部(磁束密度の高い箇所)における磁束密度を低下させる位置に音孔を設けるようにすれば良い。すなわち本開示はトラック形状以外の形状(例えば長方形等、円形以外の形状)でも適用することができる。その場合でも、同様に磁束密度の不均一が顕著に生じる箇所において磁束密度の高い箇所の磁束密度を低下させるように音孔を設計すればよい。
次に、本開示のスピーカを薄型テレビに搭載した例を説明する。図5は、本開示のスピーカを搭載した薄型テレビの構成を示す図である。ここで、図5は薄型テレビの正面外観図である。同図において、201はセットの筐体、202はPDP、液晶、或いは有機ELなどのディスプレー部、203はスピーカである。スピーカ203はディスプレー部202の両サイドのセット筐体内部に設けられる。このスピーカ203には本開示におけるスピーカ100、300、400、500、700のいずれもが採用可能である。
以上のように構成された薄型テレビについて、その動作を説明する。ここでは図示しないが、信号処理部で処理された音響信号がスピーカ左右のスピーカ203に入力されることによって、スピーカ203から音が再生される。スピーカ203はテレビの狭額縁デザインに合わせて細長い形状となるが、プレート外側面の磁束密度が一定となるよう音孔が設計されているため、磁性流体がボイスコイルとプレートによって形成される磁気空隙内で均等に分布するため、空気孔による低域特性の低減やローリングを抑制した状態で、低音再生に優れた薄型テレビが実現されるものである。なお本開示においては、スピーカをディスプレー部の両端に配置したが、スピーカの個数や設置位置を限定するものではない。
本開示に係るスピーカ300の断面図を図6に示す。なお、前述と同様に垂直方向、水平方向、振動方向を定義する。図6(a)は、スピーカ300の垂直断面図を表す図であり、図6(b)は図6(a)の切断線A−Bでスピーカ300を切断したときに矢印C方向にスピーカ300を見た図である。スピーカ300は、ヨーク301と、マグネット302と、プレート303と、振動板304と、サスペンション305aおよび305bと、ボイスコイル306と、音孔308と、磁性流体310とを備える。ヨーク301と、マグネット302と、プレート303とによって磁気空隙307が形成される。ボイスコイル306と、磁性流体310とは、この磁気空隙307内に配置される。スピーカ100と異なる点は、マグネット302に、ボンド磁石を使用する点および、音孔308である。以下、スピーカ300の動作について、スピーカ100と異なる構成について説明する。
ボイスコイル306が振動し、振動板304から音波が発生する点は、スピーカ100と同様である。スピーカ100と大きく異なる点は、マグネット302(磁性流体を均等に分布させる手段)にボンド磁石を使用する点である。ここで、ボンド磁石とは、磁石を砕いてゴムやプラスチックに練り込んだ柔軟性のある磁石であり、形状や着磁方向の設計自由度が高い磁石である。そのためボンド磁石を使用することによって、磁性流体310をボイスコイル306の内側に形成される磁気空隙において均等に分布させるよう磁束密度を設計することができる。したがって、スピーカ100のような形状の音孔を設ける必要は無く、従来の音孔と同様の形状を用いても効果を奏する。すなわち、磁性流体の偏りによって、プレート303とボイスコイル306との間に空気の隙間が発生することを抑制し、音漏れによる低域特性の劣化やローリングを防止することができる。
さらに組立段階における磁気回路への磁性流体310注入時において、磁性流体310を偏りなく注入することできるため、ヨーク301の内側面に磁性流体310が付着することを抑制することができる。さらに、ボンド磁石は加工が容易である。よって音孔308から放射される音波に関して、成形時に振動板中央と端から放射された音波の干渉が発生しないよう、音孔308を自由に設計することができ、経路差による干渉を抑制することができる。よって、図4のスピーカ700のように複数の円形状の穴によって音孔を形成することも容易である。複数の円形状の穴によって音孔を形成することにより、スピーカが細長い形状であっても経路差による干渉の影響を受けやすい高域の特性を損なうことなく音波を放射することができる。
このように、本開示では、マグネットに磁気空隙内の磁束密度を自由に変えられるマグネットを採用する態様が可能である。
本開示に係るスピーカ400の断面図を図7に示す。なお、前述と同様に垂直方向、水平方向、振動方向を定義する。図7(a)は、スピーカ400の垂直断面図を表す図であり、図7(b)は図7(a)の切断線A−Bでスピーカ400を切断したときに矢印C方向にスピーカ400を見た図である。スピーカ400は、ヨーク401と、マグネット402と、プレート403と、振動板404と、サスペンション405aおよび405bと、ボイスコイル406と、音孔408と、磁性流体410と、補助マグネット411とを備える。スピーカ100と異なる点は、補助マグネット411を設けていることである。以下、スピーカ400の動作について、スピーカ100と異なる構成について説明する。
ボイスコイル406が振動し、振動板404から音波が発生する点は、スピーカ100と同様である。スピーカ100と大きく異なる点は、補助マグネット411(磁性流体を均等に分布させる手段)が、ヨーク401の短辺方向の両端に接着されている点である。補助マグネット411は、磁性流体410がプレート403の外側面に均等に保持されるよう、大きさや形状を調整してあるため、磁性流体410をボイスコイル406の内側に形成される磁気空隙において均等に分布させることができる。このことにより、磁性流体410の偏りによってプレート403とボイスコイル406との間に空気の隙間が発生することを抑制でき、音漏れによる低域特性の劣化やローリングを防止することができる。
さらに、組立段階における磁気回路への磁性流体410注入時において、磁性流体410を偏りなく注入することできるため、ヨーク401の内側面に磁性流体110が付着することを抑制することができる。さらに本開示においては、補助マグネット411によって、磁気空隙407の曲線部に対して不足している磁気空隙曲線部の磁束密度を増大させることができる。そのため能率の低下を伴うことなく磁束密度分布を均一にできる。
本開示に係るスピーカ500の断面図を図8に示す。なお前述と同様に垂直方向、水平方向、振動方向を定義する。図8(a)は、スピーカ500の垂直断面図を表す図であり、図8(b)は図8(a)の切断線A−Bでスピーカ500を切断したときに矢印C方向にスピーカ500を見た図である。スピーカ500は、ヨーク501と、マグネット502と、プレート503と、振動板504と、サスペンション505aおよび505bと、ボイスコイル506と、音孔508と、磁性流体510とを備える。スピーカ100と異なる点は、ボイスコイル506の形状である。以下、スピーカ500の動作について、スピーカ100と異なる構成について説明する。
ボイスコイル506が振動し、振動板504から音波が発生する点は、スピーカ100と同様である。スピーカ100と大きく異なる点は、ボイスコイル506(磁性流体を均等に分布させる手段)に磁性流体510の分布に合わせて、変形したものを用いている点である。具体的には図8(b)において、トラックの曲線部の領域Dに比べてトラックの直線部の領域Eにおける磁束密度が高くなるため、領域Dの磁気空隙507の幅w1に比べて領域Eの磁気空隙507の幅w2を広く設けている。この条件は一般に、音孔の貫通軸方向に見て、音孔の重心からプレート外周最も近い点を第3の点(図8の点Rに相当)とし、第3の点とボイスコイルとの間の最短距離を第3の距離(図8の幅w2に相当)、音孔の重心からプレート外周最も遠い点を第4の点(図8の点Sに相当)とし、第4の点とボイスコイルとの間の最短距離を第4の距離(図8の幅w1に相当)とするとき、第3の距離>第4の距離となる。このような構成によって、磁性流体510が、プレート503の外側面に不均一に分布した状態でもあっても、ボイスコイル506が磁性流体510の分布に合った形状となっているため、ボイスコイル506の内側に形成される磁気空隙507に空隙が発生することを抑制し、音漏れによる低域特性の劣化やローリングを防止することができる。なお本開示では、ボイスコイル506の長辺方向を変形させているが、磁性流体の分布に合わせた変形であれば、どのような変形であっても良い。
(実施の形態2)
次に、磁性流体を磁気空隙内に均一に分布させることのできるスピーカについてさらに説明を進めていく。また、以下の説明は、小型かつ低音再生可能なスピーカの生産効率向上および能率向上にも関する。なお、以下の説明における各部材の符号は、図1〜図8、図22のものとは独立したものとする。
近年、携帯型情報端末の普及、および映像や音楽を個人で視聴する生活形態の普及により、高音質なインナーイヤーヘッドホンの需要が高まっている。インナーイヤーヘッドホンを挿入する耳孔の形状は、ユーザーによって大きく異なるため、より多くのユーザーの装用感を向上させるためには筐体設計の自由度が高い小型のスピーカが必要とされる。また、携帯型情報端末本体に搭載されるスピーカにおいては、音が出力される周波数帯域が広く、かつ薄型であることが求められている。これらインナーイヤーヘッドホンや携帯型情報端末に求められる省スペース性を実現し、かつ低音域の再生が可能な方式として、特許文献1に開示される動電型スピーカの一方式が提案されている。
図23は、特許文献1に開示されたスピーカ1100の構造断面図である。図23のうち、図23(a)は、スピーカ1100の上面視図である。図23(b)は、図23(a)に示す線A−O−Bでスピーカ1100を切断し矢印方向から見たときのスピーカ1100の構造断面図である。図23に示すように、特許文献1のスピーカ1100は、ヨーク1101と、マグネット1102と、プレート1103と、振動板1106と、エッジ片1108a〜1108dと、スペーサ1109と、ボイスコイル1107と、磁性流体1110とを備える。磁性流体1110は、磁気空隙G2内におけるボイスコイル1107の内周側に充填されている。特許文献1の開示によれば、振動板1106を振動可能に支持する支持体は、複数のエッジ片1108a〜1108dで構成されているため、スピーカ1100を小型化しても支持体のスティフネスを小さくし、大振幅で動作させる事が可能である。また、磁性流体1110が磁気空隙G2内におけるボイスコイル1107の内周側に充填されているため、振動板1106の背面から放射される音波が磁気空隙G2を経由して振動板1106の前面に漏れ出し、振動板1106の前面から放射される音波を打ち消すことを防止し、音圧を向上させることができる。
以上のように、特許文献1の開示によれば、スピーカを小型化しながら低音域を拡大することが可能である。一方で、省スペース化した動電型スピーカでは、ボイスコイルを外部端子に接続する引き出し線の配線スペースが狭く、動作時に他の部材と接触することによる異音や断線のリスクが高い。また、省スペース化した動電型スピーカのボイスコイルには、軽量化を目的として比較的線径が細い銅線が用いられるため、組み立て時の曲げによって断線するリスクも高い。
これらを防ぐため、ヨークの側面にスリット状の切り欠きを設けて引き出し線を通し、引き出し線が他の部材に接触することなく振動可能にする構造が提案されている。図24は、特許文献2に開示されたスピーカ装置1の断面図である。スピーカ装置1は、ヨーク21と、磁石22と、プレート23と、振動体3と、ボイスコイル33と、引出線4と、フレーム5と、端子部6とを有する。また、ボイスコイル33からは一対の引出線4が引き出される。また、図24に示すように、ヨーク21は、ヨークの側部21Cに形成された切欠部71を有する。引出線4は、切欠部71の近傍のボイスコイル33の下端部から引き出されて、切欠部71を通ってフレーム5に形成された端子部6にその端部が電気的に接続される。このことにより、ボイスコイル33が上下方向に沿って変位した場合であっても引出線4がヨーク21、エッジ32などの他の部材と接触することを低減することができる。以上のように、特許文献2の開示によれば、引き出し線が他の部材に接触することなく振動可能な薄型のスピーカ、もしくは小型のスピーカを提供することができる。
以下、本開示について、図面を参照しながら説明する。
図9〜図11を参照して、本開示に係るスピーカ100の構造について説明する。図9は、スピーカ100の上面視図である。図10(a)は、図9の1A−1A'線断面で切断したときの構造断面図である。図10(b)は、スピーカ100の図10(a)における2A−2A'線断面図である。
図10(a)において、スピーカ100は、ヨーク101と、マグネット103と、プレート104と、振動板105と、ボイスコイル106と、サスペンション107aおよび107bと、フレーム部108aおよび108bと、磁性流体109とを備える。ヨーク101は、上面が開放された函状であり、切り欠き部102a、102bを備える。スピーカ100を上面から見た外形状は、図9に示すように長方形状である。振動板105の全体形状は長方形状であり、ボイスコイル106と固着される部分の内側にリブが設けられている。なお、リブは必須の構成ではない。また、スピーカ100の磁気回路部を上面から見た外形状は、図10(b)に示すように半円部と直線部からなる略長円形状である。ボイスコイル106は、ヨーク101の側部101a、101bにおける内周とプレート104の外周との間隙に上下に振動可能に配置され、上面から見た形状は略長円形状である。さらに、ボイスコイル106は、図11に示すように引き出し部110a、110bを備える。
マグネット103の下面は、図10(a)に示すように、ヨーク101の内部底面に固着される。プレート104は、マグネット103の上面に固着される。マグネット103の上面はマグネット103の一方の磁極をなし、マグネット103の下面はマグネット103の他方の磁極をなす。ヨーク101の側部101a、101bとプレート104との間には、断面が略長円の筒状の磁気空隙が形成される。ボイスコイル106は、磁気空隙内に、上下方向である中心軸O方向に振動可能に配置される。磁性流体109は、プレート104とボイスコイル106との間に充填され、上面視で略長円形の環状に分布している。なお、磁性流体109は、一般に、ボイスコイル106とプレート104との間隙と、ボイスコイル106とヨーク101との間隙との少なくとも一方に充填されていればよい。また、ヨーク101、マグネット103、およびプレート104のそれぞれに形成された孔によって、中心軸Oに沿った貫通孔111が設けられる。振動板105は、周縁部がボイスコイル106の上面と接合されている。サスペンション107aは、振動板105の左端辺とフレーム108aとを接続し、サスペンション107bは、振動板105の右端辺とフレーム108bとを接続するように設置される。サスペンション107a、107bの断面形状は、図10(a)に示すように下に凸な曲線形状である。
上述のヨーク101、プレート104の形状のように、ボイスコイル106に対する磁気回路の外側磁極の内縁の形状と、ボイスコイル106に対する磁気回路の内側磁極の外縁の形状とはそれぞれ、上面視において互いに対向する2つの略直線部と、互いに対向する2つの湾曲部であって外側に凸形状をなす湾曲部とから成る。ヨーク101は、ボイスコイル106の引き出し線を磁気回路の外に通過させる少なくとも2つのスリット部を湾曲部に有している。
以上のように構成されたスピーカ100について、その動作を説明する。ボイスコイル106に電気信号が入力されると、フレミングの左手の法則に従って、ボイスコイル106が振動する。振動板105はボイスコイル106と接合されているため、ボイスコイル106の振動に伴って振動し、上面および下面の空気に圧力変化を起こし、音波を発する。スピーカの上面、もしくは下面のいずれかを放射面として用いることで、音声聴取が可能となる。
磁性流体109は、プレート104とボイスコイル106との間に充填され、ヨーク101と、マグネット103と、プレート104とが発生させる磁場によって保持されることで、スピーカ100の上面と下面で発生する互いに逆位相の音波を遮断し、音波の回り込みによる再生音圧の低下を防ぐ。図11に示すように、ボイスコイル106の引き出し部110aはヨーク101の切り欠き部102aを、引き出し部110bは切り欠き部102bを、それぞれ通過し、フレーム108a、108bおよびヨーク101との接触を防ぐ形状に曲げられ、最終的に図示されない外部端子へ電気的に接続される。
ここで、ヨーク101およびプレート104の形状と、磁性流体109との関係について、図12を用いて説明する。図12(a)〜(c)は、スピーカ100からヨーク101、プレート104、磁性流体109以外の要素を省略して表した図である。図12(a)〜(c)においては、図12(c)がスピーカ100を示すものである。図12(a)、(b)におけるヨーク101の内周とプレート104の外周との距離をd1、図12(c)における切り欠き部102a、102b付近でのヨーク101の内周とプレート104の外周との距離をd2とする。
仮に、ヨーク101が切り欠き部102a、102bを備えない構成であるときに、図12(a)のヨーク101、プレート104の形状で磁性流体109がプレート104の周囲に均一に分布していたとする。ヨーク101と、プレート104との形状を変えずに、ヨーク101の円弧部に切り欠き部102a、102bを設けた場合、切り欠き部102a、102b付近でヨーク101とプレート104との磁極間距離が遠くなり、磁束密度が低下することから、図12(b)に示す切り欠き部102a、102b付近で磁性流体109の保持される量は他の部分より少ない量となる。この結果、ボイスコイル106とプレート104との間に磁性流体109が充填されず空気漏れが起こり、スピーカ100の音圧が低下する虞がある。また、空気漏れが起こらなかった場合も、磁性流体109の分布が不均一であるために、磁性流体の表面張力によりボイスコイル106を所定の位置に保持する作用が弱まり、ローリング等の虞がある。さらに、ボイスコイル106自体に働く電磁力も切り欠き部102a、102bにおいて低下するため、同様にローリング等の虞があり、またスピーカ100の能率自体も低下する。
一方、図12(c)において、プレート104の外周は、図12(a)、(b)の場合よりも半円部がヨーク101の内周寄りになっている。すなわち、切り欠き部102a、102b付近でのヨーク101の内周とプレート104の外周との距離d2は、図12(c)で示すように距離d1より小となっている。この結果、切り欠き部102a、102b付近でも磁束密度は低下せず、磁性流体109は全周にわたって均一に保持される。したがって、図12(b)の構成で発生する、空気漏れによるスピーカ100の音圧低下、ローリング、および能率低下を防止することができる。
したがって、スピーカ100によれば、切り欠き部102aおよび102b付近でのヨーク内周とプレート外周との距離を他の部分よりも小とすることで、引き出し線の他部材への接触防止と、磁性流体の均等な保持を両立させ、信頼性と低音再生能力を向上させた小型および薄型のスピーカを提供することができる。このように、外側磁極の内縁と内側磁極の外縁との間隙の間隔は、互いの前記湾曲部同士の間において互いの前記略直線部同士の間よりも小さい。これにより磁性流体の分布を均一にする効果がある。すなわちこれは、切り欠き部を有するスピーカのみに効果を奏するものではない。切り欠き部を有さないスピーカにも採用できる。すなわち、本実施の形態で述べた上記課題のみを解決するものではなく、切り欠き部が設けられていないスピーカに採用することでも、実施の形態1で述べた課題を解決する構成になる。
また、スピーカ100によれば、サスペンション107a、107bが長軸方向に分割されている。すなわち振動板の全周囲をサスペンションが覆わない形状となっている。そのため、スピーカ100の短軸方向の長さをヨーク101の短軸方向の長さまで縮小することができ、狭幅かつ広帯域再生可能なスピーカを構成することができる。
また、ボイスコイル106の引き出し部110a、110bは、ヨーク101とフレーム部108aおよび108bとの間で、かつサスペンション108a、108bの下側の空間に配置されるため、引き出し部110aおよび110bの配置場所を別途設ける必要がない。したがって、ボイスコイル106を振動自在にしながら省スペースのスピーカを構成することができる。
本開示の目的を効果的に達成するために、ヨーク101の切り欠き部102a、102bとプレート104との詳細な形状は下記の方法で定めてもよい。図13は、切り欠き部102a近傍において磁気回路を生じさせる磁束の分布(b)を、ヨーク101が切り欠き部102a、102bを備えない場合(a)と比較して示したものである。説明を簡単にするため、磁気回路の極性を、プレート104側がN極、ヨーク101側がS極であるとする。切り欠き部102aの幅を範囲Y−Y’間の高さHとする。図13(a)、(b)の範囲Y−Y’間において、ボイスコイルを通る磁束の単位面積あたりの密度は、プレート104側を始端としヨーク101側を終端とする磁束線の、平均長の二乗に反比例する。すなわち、範囲Y−Y’間の磁束線の平均長が、ヨークが切り欠き部を持たない場合の磁束線の平均長と等しくなるようd2を設定することで、切り欠き部102a付近の磁束密度をヨークが切り欠き部を持たない場合の磁束密度と等しくすることができる。
ヨーク101が切り欠き部を持たない場合、磁束線の平均長は図13(a)に示すようにヨーク101内壁とプレート104外周との距離d1と見なしてよい。ヨーク101が切り欠き部102a、102bを持つ場合、図13(b)のように磁束線の平均長はヨーク101内壁とプレート104外周の距離d2よりも長い値d2’となり、値d2’は切り欠き部102aの幅Hによって変化する。実用的には、磁束線の分布を楕円の円弧等の2次曲線で近似し、Y−Y’間を複数の微小領域に分割し、各微小領域を通る磁力線の平均長を求めてもよい。
なお、スピーカ100において、振動板105の全体形状は長方形状であるとしたが、振動板105の形状は磁気回路部と略同一形状の略長円形とし、長方形状のコーナー部を切り抜いた形であっても良い。上述の振動板形状によれば、引き出し部110a、110bをコーナー部に延長させ、振動板105が引き出し部110a、110bと接触することなく上下に振動できる範囲を拡大することができる。
また、振動板105のリブは、ボイスコイル106と固着される部分の内側に設けられるとしたが、長方形状のコーナー部に設けても良い。また、振動板105の形状はリブを設けた平面であるとしたが、中央部を凸としたドーム状としてもよい。これらの振動板形状によれば、振動板105の剛性を高めることで分割振動による音圧低下を防ぎ、高域の出力周波数特性に優れたスピーカを提供することができる。
また、磁気回路部を上面から見た外形状は、半円部と直線部からなる略長円形状であるとしたが、磁気回路部の形状はコーナー部を円弧状とした略長方形状であっても良い。この構成によれば、マグネット103の体積をスピーカ100の形状内で更に拡大することができ、高能率なスピーカを提供することができる。
また、ボイスコイル106の引き出し部110a、110bは、図11に示すような長辺側への引き出し配置に限るものでなく、たとえばフレーム部108a、108bの下側の空間に延在させ、短辺側に引き出しても良い。本開示によれば、磁気回路の形状を変えることなく、多様な引き出し線配置を実現することができる。さらに、磁性流体109の保持力によってボイスコイル106の向きを安定に保持することができるため、引き出し部110a、110bがボイスコイル106に対して非対称に配置されていても引き出し線の張力の偏りによるローリングや能率低下の虞を減少させることができる。したがって、本開示によれば、部材の形状を変えることなく端子部の方向の選択肢を増やし、低コストでカスタマイズ性に優れたスピーカを提供することができる。
また、切り欠き部102a、102bの位置は、スピーカ100の長軸上に限るものではなく、ヨーク101の半円部の任意の位置に形成して良い。たとえば、切り欠き部102a、102bを、ヨーク101の半円部の一端と中間点との間で形成することで、ボイスコイル106の引き出し部110a、110bの配置をスピーカ100の長辺側に近づけることができ、引き出し線110a、110bがサスペンション107a、107b、フレーム部108a、108b、およびヨーク101に接触する虞を減少させることができる。
また、スピーカ100において、切り欠き部102a、102bの形状はヨーク101の上面から内底に延びるスリット状であるが、この形状に限るものではない。一例として、切り欠き部102a、102bの下端がヨーク101の外底まで延びていても良い。この構成によれば、切り欠き部102a、102bはヨーク101の側面方向から切削手段によって切れ込みを入れることで容易に形成することができるため、加工コストを減少させることができる。また一例として、切り欠き部102a、102bの上部に充填材を充填してもよい。この構成によれば、落下等の衝撃で引き出し部110a、110bがヨークの上方に飛び出ることを防ぐことができる。
また、スピーカ100において、プレート104の形状のみを変えることで切り欠き部102a、102b付近での、プレート104の外周とヨーク101の内周との距離を縮小しているが、ヨーク101の半円部内周をプレート104に近づけても良いし、ヨーク101およびプレート104の両方の形状を変えても良い。
また、スリット部を切り欠き部として設ける代わりに、引き出し線の振動範囲の上下に所定のクリアランスを有するようにヨーク101の側壁に設けられた貫通孔として設けても良い。
図14、図15を参照して、本開示に係るスピーカ700の構造について説明する。図15はスピーカ700の上面視図である。図14(a)はスピーカ700の図15における4A−4A'線断面図であり、図14(b)はスピーカ700の図14(a)における3A−3A'線断面図である。スピーカ700は、ヨーク701と、マグネット703と、プレート704と、振動板705と、ボイスコイル706と、サスペンション707a、707bと、サスペンション貼付部708a、708bと、磁性流体709とを備える。ボイスコイル706は、図示しないが、前述と同様の引き出し部を備える。スピーカ700の上面視における外形状は、図15に示すように略長方形状である。マグネット703、プレート704およびボイスコイル706の外形状は角が丸められた長方形等からなる略矩形であり、ヨーク701および振動板705の外形状は角が丸められた長方形等からなる略矩形である。
ヨーク701、マグネット703、プレート704、振動板705、ボイスコイル706、磁性流体709の位置関係および接触関係は、ヨーク701、マグネット703、プレート704、振動板705およびボイスコイル706の形状が略長方形状であること、およびヨーク701が切り欠き部を持たないことを除いて、図9〜図13で説明したものと同様である。なお、同様に切り欠き部を形成してもよい。
以上の構成によるスピーカ700の動作は、スピーカ100の動作と同様である。
図16、図17を参照して、本開示に係るスピーカ200の構造について説明する。図16はスピーカ200の上面視図である。図17(a)はスピーカ200の図16における5A−5A'線断面図であり、図17(b)はスピーカ200の図16における5B−5B'線断面図であり、図17(c)はスピーカ200の図17(a)における6A−6A'線断面図である。スピーカ200は、ヨーク201と、マグネット203と、プレート204と、振動板205と、ボイスコイル206と、サスペンション207a〜207dと、サスペンション貼付部208a〜208dと、磁性流体209とを備える。ボイスコイル206は、図17(c)に示すように引き出し部210a、210bを備える。ヨーク201は、切り欠き部202a、202bを備える。スピーカ200の上面視における外形状は、図16に示すように略正方形状である。マグネット203、プレート204およびボイスコイル206の外形状は略真円形状であり、ヨーク201および振動板205の外形状は、図の上下方向を長径とする略楕円形状である。
ヨーク201、マグネット203、プレート204、振動板205、ボイスコイル206、磁性流体209、切り欠き部202a、202bの位置関係および接触関係は、ヨーク201、マグネット203、プレート204、振動板205およびボイスコイル206の形状が略円形状であることを除いて、図9〜図13で説明したものと同様である。切り欠き部202a、202bは、ヨーク201の短径方向の側壁に、スピーカ200の中心に対して互いに点対称で短軸に対して傾いた直線状の切り込みとして設けられる。サスペンション207a〜207dは、図9〜図13で説明したものと異なり、図16に示すように4ヶ所に帯状に配置され、中心側で振動板205と接続し、サスペンション貼付部208a〜208dに固着されている。
以上の構成によるスピーカ200の動作は、スピーカ100の動作と同様である。
スピーカ200においては、プレート204の外周が略真円形状であり、一方でヨーク201の側壁部の内周は略楕円形状である。これにより、切り欠き部202a、202b付近でのヨーク201の内周とプレート204の外周との距離は、ヨーク201の長径方向におけるヨーク201の内周とプレート204の外周との距離よりも小となるため、スピーカ100と同様に引き出し線の他部材への接触防止と、磁性流体の均等な保持を両立させ、信頼性と低音再生能力を向上させた小型および薄型のスピーカを提供することができる。
また、スピーカ200において、切り欠き部202a、202bは、ヨーク201の側壁に傾いた直線状に設けられているため、スピーカ200の内部で引き出し線210a、210bを撓ませるスペースを容易に設けることができ、引っ張りの力による引き出し線210a、210bの破断の危険を回避することができる。
また、スピーカ200において、プレート204の外周が略真円形状であり、ヨーク201の側壁部の内周は略楕円形状であるとしたが、プレート204およびヨーク201の形状はこれに限らない。たとえば、マグネット203、プレート204およびボイスコイル206の外形状を図16(a)の左右方向を長径とする略楕円形状とし、ヨーク201および振動板205の外形状を略真円形状としても良い。
また、スピーカ200において、切り欠き部202a、202bは、互いに点対称で短軸に対して傾いた直線状の切り込みであるとしたが、切り欠き部202a、202bは互いにヨーク201の短軸方向に対して線対称な直線状の切り込みであっても良い。本構成によれば、引き出し線210a、210bの双方を根元で曲げることなく外部に引き出すことができ、繰り返し曲げによる引き出し線210a、210bの破断の虞を回避することができる。
図18を参照して、本開示に係るスピーカアレイ311の構造について説明する。図18(a)はスピーカアレイ311の上面視図であり、図18(b)はスピーカアレイ311の図18(a)における7A−7A'線断面図である。スピーカアレイ311は、直線状に配置された4個のスピーカ300からなる。スピーカ300は、スピーカ200に準じた形状および構成をとり、ヨーク301と、マグネット303と、プレート304と、振動板305と、ボイスコイル306と、サスペンション307a〜307dと、サスペンション貼付部308a〜308dと、磁性流体309とを備える。ボイスコイル306は、図17(a)に示すように、引き出し部310a、310bを備える。ヨーク301は、切り欠き部302a、302bを備える。サスペンション貼付部308a〜308dのうち、308bは隣り合うスピーカ300のサスペンション貼付部308a'、308dは隣り合うスピーカ300のサスペンション貼付部308c'とそれぞれ一体である。
以上の構成によるスピーカ300の動作は、スピーカ200の動作と同様である。したがって、スピーカ200と同様に引き出し線の他部材への接触防止と、磁性流体の均等な保持を両立させることができる。これにより、本開示のスピーカアレイ311によれば、信頼性と低音再生能力を向上させた狭幅かつ薄型のスピーカアレイを提供することができる。
また、スピーカ300において、切り欠き部302bと、隣り合うスピーカ300の切り欠き部302a'は、引き出し部310b、と引き出し部310a'が互いに7A−7A'断面に対して同じ側の外部へ接続されるように形成されている。これにより、隣り合うスピーカ300同士の引き出し部の接触を防ぎ、異音の発生を防止することができる。
また、スピーカアレイ311において、スピーカ300はスピーカ200に準じた略正方形状としたが、スピーカ300の形状は、これに限るものではなく、図14および図15で説明したような、スピーカ100に準じた略長方形状とし、長辺方向にスピーカ300を配列した構成としても良い。本構成によれば、更に狭幅のスピーカアレイ311を実現することができる。
また、ヨーク301は円筒状の側壁と底面部で形成されている図で説明したが、ヨーク301は複数個の円筒状のくぼみとして形成し、スピーカアレイ311の長方形の外周をヨーク301の外壁として一体にしても良い。この場合、切り欠き部は一体で構成された台座の溝として設けられることが望ましい。本構成によれば、ヨーク301を別々に形成する必要がなく、製造コストを低減することができる。
また、スピーカアレイ311を構成する4個のスピーカ300は、それぞれ独立した引き出し部310a、310bを備えるものとして説明したが、隣り合うスピーカ300のボイスコイル306同士の引き出し部を共通とし、スピーカ300を直列に接続しても良い。この場合、切り欠き部の形状は7A−7A'線断面を通る直線状であることが望ましい。本構成によれば、スピーカアレイ311の引き出し部の終端をスピーカアレイ311の両端の2ヶ所のみとすることができ、引き出し部と他の部材の接触の虞をさらに低減させることができる。
図19を参照して、スピーカ100をインナーイヤーヘッドホン410に搭載した例について説明する。図19は、インナーイヤーヘッドホン410の部分断面図である。図19においては、インナーイヤーヘッドホン410の構成要素のうち、スピーカ400と、ケース402と、イヤーチップ403の断面と、ハウジング407と、コード408とが示されている。ケース402は、前面容積404と、ポート405と、背面音孔406とを有する。スピーカ400は、スピーカ100に準じた形状および構成を有し、振動板が磁気回路と対抗する面を音波放射面として、前面容積404と、ポート405と、イヤーチップ403とを介して聴取者の耳道内に音を出力する。
ここで、スピーカ400は、本開示の構成を取ることにより、引き出し線の他部材への接触防止と、磁性流体の均等な保持を両立させている。これにより、装用者の移動や揺れにより、インナーイヤーヘッドホン410が動き、磁性流体が磁気回路に対して移動しようとする外力を受けた場合も、磁性流体の偏在による能率低下や磁性流体の抜けによる空気漏れが起こることを防ぎ、音量の低下を防ぐことができる。
また、スピーカ400は、イヤーピースの背面に対して傾けて取り付けることで、ポート部を耳道の入り口に挿入可能に小口径化しながら、同時に背面音孔406から放射される逆位相の音が聴取音に干渉することを防ぎ、音量の低下を防ぐことができる。したがって、本開示に係るインナーイヤーヘッドホン410によれば、プレートを本開示の構成とすることにより、小型でありながら低音域から高音域までの幅広い帯域を再生することが可能となり、装用感の向上と高音質を両立させたインナーイヤーヘッドホンを提供することができる。
図20を参照して、スピーカ100を携帯型情報端末の音声レシーバとして搭載した例について説明する。図20(a)は、携帯型情報端末510の外観図である。図20(b)は、携帯型情報端末510の10A−10A'線断面図である。図20においては、携帯型情報端末510の構成要素のうち、スピーカ500と、筐体502と、ディスプレイ503と、基板504と、音孔505とが示されている。
スピーカ500は、基板504に設けられる穿孔部分に取り付けられた状態で、筐体502内に収納されている。また、スピーカ500は、スピーカ100に準じた形状および構成を有し、振動板が磁気回路と対抗する面を音波放射面として、音孔505を介してユーザーの耳元に通話音声を出力する。上述の、スピーカ500はインナーイヤーヘッドホン410と同様、本開示の構成を取ることによって、携帯型情報端末510の移動や揺れにより、磁性流体の偏在や磁性流体の抜けによる能率低下が起こることを防ぎ、音量の低下を防ぐことができる。
図21を参照して、スピーカ200をタブレット型映像音声情報端末のスピーカとして搭載した例について説明する。図21(a)は、映像音声情報端末610の外観図である。図21(b)は、映像音声情報端末610の9A−9A'線断面図あるいは9B−9B’線断面図である。図21においては、映像音声情報端末610の構成要素のうち、スピーカモジュール600と、筐体602と、ディスプレイ603と、筐体補強フレーム604と、音孔605とが示されている。スピーカモジュール600は、筐体補強フレーム604に取り付けられた状態で、筐体602内に収納されている。また、スピーカモジュール600は、スピーカアレイ311に準じた形状および構成を有し、振動板が磁気回路と対抗する面を音波放射面として、音孔605を介してユーザーの耳元に通話音声を出力する。上述のスピーカモジュール600は、インナーイヤーヘッドホン410と同様、本開示の構成を取ることによって、映像音声情報端末610の移動や揺れにより、磁性流体の偏在や磁性流体の抜けによる能率低下が起こることを防ぎ、音量の低下を防ぐことができる。
なお、図18においては、スピーカ200を配列したスピーカアレイ311で説明しているが、配列するスピーカの構成および形状はこれに限るものではなく、スピーカ100の構成および形状を配列しても良い。
また、図19および図20においては、スピーカ100を搭載した例を図示しているが、スピーカの構成および形状はこれに限るものではなく、スピーカ200の構成および形状であっても良い。
また、図21においては、図18に係るスピーカアレイ311を搭載した例を図示しているが、スピーカの構成および形状はこれに限るものではなく、スピーカ100、200の構成および形状であっても良い。
また、図19、20および21においては、本開示に係るスピーカおよびスピーカアレイをインナーイヤーヘッドホン、携帯情報端末、およびタブレット型映像音声情報端末搭載した例を示したが、搭載する機器はこれに限るものではなく、たとえば補聴器、ヘッドセット、ディスプレイ機器等に本開示に係るスピーカを備えても良い。
以上のように、本開示によれば、細長い形状のスピーカでもあっても、磁気空隙内における磁性流体の分布を均一にすることができるため、狭額縁化が進むテレビ、タブレット端末、スマートフォンに搭載し細長い形状であっても、低音再生に優れたスピーカを実現する。またイヤホンや補聴器などにおいては、外耳道内に収まる細長い形状を実現でるため、スピーカを鼓膜近傍に設置することができる。これにより、従来の入力電圧も少ない電圧で同等の音圧レベルを実現することができる。
また、本開示に係るスピーカは、信頼性と低音再生能力を向上させた小型および薄型のスピーカを提供することが可能であり、インナーイヤーヘッドホン、携帯情報端末、映像音声情報端末、補聴器、ヘッドセット、ディスプレイ機器、その他AV機器に利用可能である。
図1〜図8、図22について
100、203、300、400、500、600、700 スピーカ
101、301、401、501、601 ヨーク
102、302、402、502、602 マグネット
103、303、403、503、603 プレート
104、304、404、504、604 振動板
105a、105b、305a、305b、405a、405b、505a、505b、605a、605b サスペンション
106、306、406、506、606 ボイスコイル
107、307、507、607 磁気空隙
108、308、408、508、608、708 音孔
109、609 リブ
110、310、410、510、610 磁性流体
201 筐体
202 ディスプレー部
411 補助マグネット
P、Q、R、S 点
LP、LQ 距離
w1、w2 幅

図9〜図21、図23、図24について
100、200、300、400、500、700、1100、1200 スピーカ
101、201、301、701、1101、21、1201 ヨーク
102a、102b、202a、202b、302a、302b、1202a、1202b 切り欠き部
103、203、303、703、1102 マグネット
104、204、304、704、1103、23、1204 プレート
105、205、305、705、1106 振動板
106、206、306、706、1107、33、1206 ボイスコイル
107a、107b、207a〜207d、307a〜307d、707a、707b サスペンション
108a、108b フレーム部
208a〜208d、308a〜308d、308a'、308c'、708a、708b サスペンション貼付部
109、209、309、709、1110、1209 磁性流体
110a、110b、210a、210b、310a、310b 引き出し部
311 スピーカアレイ
410 インナーイヤーヘッドホン
402 ケース
404 前面容積
405 ポート
406 背面音孔
407 ハウジング
408 コード
510 携帯型情報端末
502、602 筐体
503、603 ディスプレイ
504 基板
505、605a〜605d 音孔
610 映像音声情報端末
600a〜600d スピーカモジュール
604 筐体補強フレーム
1108a〜1108d エッジ片
1109 スペーサ
G2 磁気空隙
1 スピーカ装置
21C 側部
22 磁石
3 振動体
4 引出線
5 フレーム
6 端子部
71 切欠部

Claims (20)

  1. マグネットと、前記マグネットの一方の磁極面に固着されたプレートと、前記マグネットの他方の磁極面に内側底面が固着された函状のヨークとを備えた磁気回路と、
    前記プレートと前記ヨークとが形成する磁気空隙に上下方向に振動可能に配置されたボイスコイルと、
    周縁部が前記ボイスコイルの上端と接合された振動板と、
    前記ボイスコイルと前記プレートとの間隙と、前記ボイスコイルと前記ヨークとの間隙との少なくとも一方に充填された磁性流体とを備え、
    前記磁性流体を均等に分布させる手段を少なくとも一つ有することを特徴とするスピーカ。
  2. 前記手段として、前記プレートと前記マグネットとを貫通するように設けられた音孔を有することを特徴とする請求項1に記載のスピーカ。
  3. 前記音孔は、前記プレートと前記マグネットとのそれぞれに形成された同一形状の各開口部が合わされて形成される、請求項2に記載のスピーカ。
  4. 前記音孔の貫通軸方向に見て、前記音孔の重心から前記プレート外周に最も近い点を第1の点とし、前記第1の点と前記音孔外周との間の最短距離を第1の距離、前記音孔の重心から前記プレート外周に最も遠い点を第2の点とし、前記第2の点と前記音孔外周との間の最短距離を第2の距離とするとき、第1の距離<第2の距離であることを特徴する請求項2または3に記載のスピーカ。
  5. 前記手段として、前記プレートと前記マグネットと前記ヨークとのそれぞれに形成された同一形状の各開口部が合わされて前記プレートと前記マグネットと前記ヨークとを貫通するように設けられた複数の音孔を有することを特徴とする、請求項2または3に記載のスピーカ。
  6. 前記音孔は少なくとも磁束密度の高い箇所に設けられることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載のスピーカ。
  7. 前記マグネットの水平断面の外周形状はトラック形状であり、
    前記音孔は貫通軸方向に見てトラック形状であり、前記マグネットの直線部分の前記外周を貫く磁束の磁束密度を低下させる位置に設けられていることを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載のスピーカ。
  8. 前記手段として、前記間隙内に前記磁性流体が均等に分布するように形状が調整された前記ボイスコイルを有することを特徴とする、請求項1に記載のスピーカ。
  9. 前記プレートと前記マグネットと前記ヨークとのそれぞれに形成された同一形状の各開口部が組み合わされて前記プレートと前記マグネットと前記ヨークとを貫通するように音孔が設けられており、
    前記音孔の貫通軸方向に見て、前記音孔の重心から前記プレート外周に最も近い点を第3の点とし、前記第3の点と前記ボイスコイルとの間の最短距離を第3の距離、前記音孔の重心から前記プレート外周に最も遠い点を第4の点とし、前記第4の点と前記ボイスコイルとの間の最短距離を第4の距離とするとき、第3の距離>第4の距離であることを特徴する請求項8に記載のスピーカ。
  10. 前記手段として、前記ボイスコイルよりも外側に設けられた補助マグネットを有することを特徴とする請求項1に記載のスピーカ。
  11. 前記ボイスコイルの水平断面形状はトラック形状であり、
    前記補助マグネットは、前記ボイスコイルの短辺方向の外周に前記プレート外周と同様の曲率半径を有するように設けられていることを特徴とする請求項10に記載のスピーカ。
  12. 請求項1から11のいずれか1項に記載のスピーカを備えたテレビ、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、イヤホン、補聴器を含むAV機器。
  13. マグネットと、前記マグネットの一方の磁極面に固着されたプレートと、前記マグネットの他方の磁極面に内側底面が固着された函状のヨークとを備えた磁気回路と、
    前記プレートと前記ヨークとが形成する磁気空隙に上下方向に振動可能に配置されたボイスコイルと、
    周縁部が前記ボイスコイルの上端と接合された振動板と、
    前記ボイスコイルと前記プレートとの間隙と、前記ボイスコイルと前記ヨークとの間隙との少なくとも一方に充填された磁性流体とを備え、
    前記ボイスコイルに対する前記磁気回路の外側磁極の内縁の形状と、前記ボイスコイルに対する前記磁気回路の内側磁極の外縁の形状とはそれぞれ、上面視において互いに対向する2つの略直線部と、互いに対向する2つの湾曲部であって外側に凸形状をなす湾曲部とから成り、
    前記外側磁極の内縁と前記内側磁極の外縁との間隙は互いの前記略直線部同士および互いの前記湾曲部同士で形成されており、前記間隙の間隔は、互いの前記湾曲部同士の間において互いの前記略直線部同士の間よりも小さいことを特徴とするスピーカ。
  14. 前記磁気回路の形状は、上面視において、トラック形と略矩形とのいずれかの形状であることを特徴とする請求項13に記載のスピーカ。
  15. 前記ヨークは、前記ボイスコイルの引き出し線を前記磁気回路の外に通過させる少なくとも2つのスリット部を前記湾曲部に有することを特徴とする請求項13に記載のスピーカ。
  16. 前記スリット部は、ヨークの上端に延伸する切り欠きであることを特徴とする、請求項1514に記載のスピーカ。
  17. 前記スリット部は、前記引き出し線の振動範囲の上下に所定のクリアランスを有するように前記ヨークの側壁に設けられた貫通孔であることを特徴とする、請求項15に記載のスピーカ。
  18. 請求項13から17のいずれか1項に記載のスピーカを備える、インナーイヤーヘッドホン。
  19. 請求項13から17のいずれか1項に記載のスピーカを備える、携帯型情報端末。
  20. 請求項13から17のいずれか1項に記載のスピーカを備える、タブレット型映像音声情報端末。
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