JPWO2013179746A1 - 液圧発生装置 - Google Patents

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Abstract

本発明は、液圧式ブレーキシステムに組込まれる液圧発生装置において、倍力失陥状態時に制動機能を維持しつつ、ブレーキペダルの操作を好適に行えるようにすることを課題とする。プライマリピストン72には、サブピストン92が摺動可能かつ液密的に配置されている。サブピストン92には、入力ピストン93の小径部93dが摺動可能かつ液密的に配置されている。通常制動時には、ブレーキペダル22の操作量に基づきモータ33を駆動してプライマリピストン72及びサブピストン92が前進することでマスタシリンダ19にブレーキ液圧が発生する。倍力失陥時には、ブレーキペダル22の操作により、入力ピストン93が前進し、その段部93がサブピストン92に当接することで、サブピストン92がプライマリピストン72から離間して前進し、入力ピストン93とサブピストン92との受圧面積によりブレーキ液圧が発生する。

Description

本発明は、自動車等の車両の液圧式ブレーキシステムに組み込まれてブレーキ液圧を発生させるための液圧発生装置に関する。
この種の液圧発生装置として、例えば、特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載された液圧発生装置は、ブレーキ液圧を発生するマスタシリンダと、ブレーキペダルの操作に対して電動モータによってサーボ力を付与する電動倍力装置と、ブレーキペダルの操作量に応じて電動モータを制御するコントローラとを備えている。マスタシリンダには、ブレーキペダルに連結された受圧面積の小さい主ピストン、及び、電動モータによって推進される受圧面積の大きいブーストピストンが挿入され、主ピストンとブーストピストンとは相対移動可能となっている。
ブレーキペダルが操作されると、主ピストンが前進すると共に、コントローラがブレーキペダルの操作量に応じて電動モータを作動させ、ブーストピストンを前進させてマスタシリンダにブレーキ液圧を発生させる。このとき、マスタシリンダのブレーキ液圧が主ピストンを介してブレーキペダルにフィードバックされる。
万一、電気系統や機械的な失陥等により電動モータによるブーストピストンの作動が不能な倍力失陥状態となった場合、ブレーキペダルの操作により、主ピストンのみが前進してマスタシリンダにブレーキ液圧を発生させることができる。あるいは、主ピストンが所定量だけ移動したとき、ブーストピストンに当接してブーストピストンを前進させることによりマスタシリンダにブレーキ液圧を発生させることができる。これにより、万一、倍力失陥状態となった場合でも制動機能を維持することができる。
特開平10−138909号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載された液圧発生装置では次のような問題がある。電動モータが停止した状態でブレーキペダルを操作する場合、ブレーキペダルの操作により主ピストンのみが前進するものでは、受圧面積の小さい主ピストンによってブレーキ液圧を発生させるので、ブレーキペダルの操作力を小さくできる反面、必要な制動力を得るためにはブレーキペダルを大きくストロークさせる必要がある。また、主ピストンを当接させてブーストピストンを前進させるものでは、受圧面積の大きいブーストピストンによってブレーキ液圧を発生させるので、ブレーキペダルのストロークを小さくできる反面、必要な制動力を得るためには、相当に大きなブレーキペダル踏力が必要となる。
本発明は、電動モータが作動しない状態でも、ブレーキペダルの操作による制動機能を維持しつつ、ブレーキペダルの操作を好適に行うことができる液圧発生装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明に係る一の液圧発生装置は、シリンダ本体と、該シリンダ本体に挿入されたピストンと、該ピストンを駆動するアクチュエータと、前記シリンダ本体に挿入されて前記アクチュエータにより前記ピストンと共に駆動されるサブピストンと、前記シリンダ本体に挿入されてブレーキペダルに連結された入力ピストンとを備え、前記サブピストンは、前記入力ピストンの前進により、前記入力ピストンに係合して前記ピストンとは独立して前記入力ピストンと共に前進することを特徴とする。 また、本発明に係る他の液圧発生装置は、シリンダ本体と、該シリンダ本体に挿入され液圧を発生するピストンと、該ピストンを駆動するアクチュエータと、前記シリンダ本体に挿入されるサブピストンと、前記シリンダ本体に挿入されてブレーキペダルに連結された入力ピストンとを備え、前記サブピストンは、前記入力ピストンが所定量前進したときに前記入力ピストンに係合して前記入力ピストンと共に前進することで液圧を発生することを特徴とする。
本発明に係る液圧発生装置によれば、電動モータが作動しない場合でも、ブレーキペダルの操作による制動機能を維持しつつ、ブレーキペダルの操作を好適に行うことができる。
本発明の一実施形態に係る液圧発生装置が組込まれた自動車のブレーキシテムの概略構成を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る液圧発生装置の縦断面図である。 図1に示す液圧発生装置のマスタシリンダ部分の拡大縦断面図である。 図1に示す液圧発生装置の非制動時における本体部分の拡大縦断面図である。 図1に示す液圧発生装置の通常制動時における本体部分の縦断面図である。 図1に示す液圧発生装置の失陥時における制動状態を示す要部の縦断面図である。 第1実施形態に係る液圧発生装置の概念的構成を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る液圧発生装置の要部の縦断面図である。 本発明の第3実施形態に係る液圧発生装置の非制動状態を示す要部の縦断面図である。 図9の液圧発生装置の失陥時における制動状態を示す要部の縦断面図である。 本発明の第4実施形態に係る液圧発生装置の要部の縦断面図である。 本発明の第1乃第4実施形態に係る液圧発生装置のブレーキペダルストロークに対する液圧特性を示すグラフ図である。 本発明の第1乃第4実施形態に係る液圧発生装置のブレーキペダル踏力、ブレーキペダルストローク、及び、制動による車両減速度(ブレーキ液圧)の相互関係を示すグラフ図である。
1…液圧発生装置、22…ブレーキペダル、33…モータ(アクチュエータ)、72…プライマリピストン、73…シリンダ本体、92…サブピストン、93…入力ピストン
以下、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態は、エンジンのみが発生するトルクに基づき走行する車両(以下エンジン車という)、エンジンと電動機の両方が発生するトルクに基づき走行するハイブリッド車、あるいは、電動機のみが発生するトルクに基づき走行する純粋な電気自動車(以下EV車という)等の車両走行システムの種類が異なる車両、あるいは、乗用車、バス、トラック等の用途が異なる車両に対して、制限されることなく、これらの車両を含むあらゆる車両に適用することができる。
以下の実施形態の説明では、代表例として、前輪駆動の乗用車、特にEV車に適用した例について説明するが、エンジン車、ハイブリッド車等、異なる種類の車両にも適用が可能である。
第1実施形態について、図1乃至図6を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る液圧発生装置1が組込まれたブレーキシステム3及び走行用駆動システム4を搭載する車両2の概略構成を示すシステム図である。以下の説明において、「前方」、「後方」、「前部」、「後部」、「上方」、「下方」、「上部」、「下部」という記載及は、それぞれ車両2における方向を示すものとする。
〔走行用駆動システム〕
車両2に搭載される走行用駆動システム4は、高電圧蓄電システム5と、モータジェネレータ6と、電力変換装置7と、受電用コネクタ8と、充電装置9とを備える。高電圧蓄電システム5は、例えば数百ボルトの高電圧直流電力を蓄電する。モータジェネレータ6は、交流電力を受けて車両2を走行するためのトルクを発生するモータの機能と、車両の走行エネルギーに基づき交流電力を発生するジェネレータの機能とを有する。電力変換装置7は、高電圧蓄電システム5からの高電圧直流電力を受けてモータジェネレータ6に供給する交流電力を発生すると共に、モータジェネレータ6が発生した交流電力を直流電力に変換する。受電用コネクタ8は、外部の充電設備から電力を受電するために車両2の外装部に設けられる。充電装置9は、受電用コネクタ8を介して受電した電力に基づいて高電圧蓄電システム5を充電する。
〔走行用駆動システムの充電動作〕
操作者によって受電用コネクタ8が車外の充電設備に接続されると、交流電力が受電用コネクタ8を介して充電装置9に供給される。充電装置9は、交流電力を直流電力に変換すると共に、高電圧蓄電システム5へ供給する電流が予め定められた範囲内となるように供給する電流値を制御する。また、高電圧蓄電システム5の充電状態(以下、SOCという)を表す情報は、高電圧蓄電システム5から充電装置9へ以下で述べる情報伝送線10を介して伝送される。充電装置9は、高電圧蓄電システム5のSOCが規定値、例えば満充電に対し80パーセントのSOCに達するまで高電圧蓄電システム5の充電動作を続ける。充電装置9は、高電圧蓄電システム5のSOCが規定値に達すると高電圧蓄電システム5への充電動作を停止する。また、充電装置9は、充電動作中に必要に応じて、車両2に搭載されている様々なシステムを動作させるための制御装置の電源用電力を電力供給線11に供給する。仮に低電圧電源装置12の電力供給が十分でない状態でも、高電圧蓄電システム5の制御装置は、上記充電装置9の制御電力を受けて正常に動作することが可能となっている。高電圧蓄電システム5は、例えばリチウムイオン二次電池を備えて高電圧直流電力を蓄電する。この場合、SOCはリチウムイオン二次電池の端子電圧から求めることができる。
〔走行時の走行用駆動システムの動作〕
車両2の走行状態における走行用駆動システム4の動作について説明する。
車両2の走行状態でモータジェネレータ6は、モータとして走行用のトルクを発生する力行運転状態と、ジェネレータとして運転し交流電力を発生する回生運転状態とを取り得る。ここで、モータジェネレータ6は、永久磁石を備えた回転子を有する永久磁石モータであってもよいし、誘導電動機であってもよい。但し、永久磁石モータの方が誘導電動機よりも小型で大きなトルクを発生することができるため、永久磁石モータが望ましい。
モータジェネレータ6の「力行運転状態」では、図示しないアクセルペダル等の操作部の操作量に基づき、図示しない制御装置は、モータジェネレータ6が発生する目標トルクを演算する。電力変換装置7の電力変換制御装置13は、情報伝送線10を介して目標トルクを受信し、受信した目標トルクに基づき電力変換装置7のインバータ回路14の電力変換動作を制御する。インバータ回路14は、高電圧蓄電システム5から高電圧の直流電力を受け、電力変換制御装置13の制御に基づいて交流電力を発生し、モータジェネレータ6に供給する。モータジェネレータ6は、インバータ回路14が発生した交流電力を受け、目標トルクを発生する。一方、「回生運転(回生制動)状態」では、モータジェネレータ6は、車両2の運動エネルギーを電力に変換、すなわち、ブレーキ操作による減速中に発電機として動作して高電圧蓄電システム5に電力を回生する。
モータジェネレータ6の力行運転あるいは回生運転への切り替えは、モータジェネレータ6の回転子の回転速度と交流電力による回転磁界との速度関係や位相関係を制御して行う。例えば、インバータ回路14が、モータジェネレータ6の回転子の回転速度より早い回転磁界を発生する交流電力を発生すると、即ち回転子の磁極位置より進み位相の交流電力を発生すると、モータジェネレータ6はモータとして機能する。逆にインバータ回路14が、モータジェネレータ6の回転子の回転速度より遅い回転磁界を発生すると、即ち交流電力を発生(回転子の磁極位置より遅れ位相の交流電力を発生)すると、モータジェネレータ6は、ジェネレータとして機能する。
インバータ回路14は、電力変換制御装置13により制御される。インバータ回路14は、上アームを構成する半導体スイッチと下アームを構成する半導体スイッチとを直列に接続した直列回路を3相分並列接続することで、ブリッジ回路として構成される。インバータ回路14は、直列回路の両端を高電圧蓄電システム5と接続し、各相の上下アームの接続点をモータジェネレータ6のU相、V相、W相の各端子にそれぞれ接続するように構成される。上下アームの導通状態を電力変換制御装置13で制御して、上述のインバータ回路14の制御がなされる。代表的な制御方式としては例えばPWM制御方式がある。
〔低電圧電源装置〕
車両2は、低電圧、例えば14ボルト又は28ボルトを基準電圧とする低電圧の直流電力を蓄電する低電圧電源装置12と、蓄電している低電圧直流電力を供給する電力供給線11を備えている。走行用駆動システム4と後述するブレーキシステム3には、電力供給線11を介して低電圧電源装置12から直流電力が供給される。低電圧電源装置12は、制御回路の動作電源や低電圧のモータなどの電源として使用される。
低電圧電源装置12はDC−DC変換装置とバッテリとを備え、上述の高電圧蓄電システム5に蓄電されている高電圧直流電力を受け、DC−DC変換装置により低電圧の直流電圧に変換し、バッテリに蓄電する。なお、低電圧電源装置12は、バッテリとして鉛バッテリを有し、鉛バッテリに低電圧直流電力を蓄電すると共に、電力供給線11を介して蓄えている低電圧の直流電力を供給する。低電圧電源装置12は、14ボルト又は28ボルト系のバッテリでもよいが、これとは異なる電圧系の電池でもよい。
〔車載情報ネットワーク〕
車両2には、情報を伝送するための情報伝送線10が設けられている。この情報伝送線10を介して、ブレーキシステム3、走行用駆動システム4及び低電圧電源装置12が、それぞれの動作に使用する情報の送受信を行う。情報伝送線10は、後述のECU20、30に接続され、例えば時分割多重通信方式の電気信号を用いて情報を送受信する。情報伝送線10は、車両2に搭載される図1に示していない様々な装置やシステムとも接続することができる。情報伝送線10は、車両2内の情報ネットワークを形成する。情報伝送線10は、情報の伝送方式として、例えばCAN方式を使用することができる。電気信号の形式はシリアル通信でもよいし、FlexRay、LAN等の多重通信でもよい。なお、電力供給線11および情報伝送線10は、万一の失陥に備えて多重化してもよい。例えば、電力供給線11の電力線が、独立した2系統からなり、おのおのが電力供給源となる蓄電手段あるいは発電手段を備えた構成でもよい。また、情報伝送線10が独立した2系統からなるものでもよい。
〔ブレーキシステムの構成〕
車両2のブレーキシステム3は、液圧発生装置1と、液圧制御ユニット16と、各車輪に対して制動力を発生するホイールシリンダ17とを有する。ホイールシリンダ17は、4つの車輪にそれぞれ設けられ、液圧によって制動力を発生する公知のディスクブレーキ、ドラムブレーキ等の液圧ブレーキとすることができる。液圧発生装置1は、車両2のエンジンルームと車室とを区画する隔壁であるダッシュパネル18に取付けられている。液圧発生装置1は、電動倍力装置15と、マスタシリンダ19と、制御装置20とを備えている。電動倍力装置15の入力ロッド21は、車室内に延出し、ブレーキペダル22に機械的に連結されて操作者によるブレーキペダル22の操作により変位する。
操作者によるブレーキ操作量は、ブレーキペダル22の変位として入力ロッド21に伝達されて、入力ロッド21の軸方向の変位として電動倍力装置15に伝達される。また、ブレーキペダル22の変位は、ストロークセンサ23により検出され、電気信号に変換されて、情報伝送線10を介して、制御装置20(以下、ECU20という)に伝達される。なお、図示の例では、ストロークセンサ23は、情報伝達線10に接続されているが、ノイズの影響を低減するため、情報伝達線10を介さずに直接ECU20に接続して検出信号を伝達するようにしてもよい。また、ストロークセンサ23は、ブレーキペダル22の変位を検出するように設けられているが、入力ロッド21の変位、若しくは、後述する入力部材31の変位を検出するようにしてもよい。また、操作者によるブレーキ操作量は、ブレーキペダル22への踏力を検出する踏力センサにより検出するようにしてもよい。
ECU20はブレーキペダル22の操作量である変位や踏力に基づいて、電動倍力装置15を制御してマスタシリンダ19のピストンを推進する。マスタシリンダ19は、制動力を発生するためにホイールシリンダ17に供給するブレーキ液圧を発生する。液圧発生装置1が発生するブレーキ液圧は、2系統のアクチュエーション管路24、25を介して液圧制御ユニット16に伝達される。液圧制御ユニット16は、2系統のアクチュエーション管路24、25を介して供給されるブレーキ液圧に基づき、各車輪のホイールシリンダ17にブレーキ液圧を供給する。液圧制御ユニット16のブレーキ液圧は、4系統のファンデーション管路26a、26b、26c、26dを介して各車輪のホイールシリンダ17に伝達されてそれぞれの車輪で制動力を発生する。また、液圧制御ユニット16は、これ自体でブレーキ液圧を発生させることができ、各ホイールシリンダ17に供給し、そのブレーキ液圧を制御することができる。これにより、車両2の走行状態、運転状態等に応じて液圧制御ユニット16の作動を制御してブレーキ液圧を加圧、減圧及び保持することにより、アンチロックブレーキ制御(ABS)、トラクション制御、あるいは、アンダーステア及びオーバーステア等を抑制する車両姿勢安定化のブレーキ制御が可能となる。
液圧制御ユニット16には、内部の電動機、電磁弁等の作動を制御するための制御装置30(以下、ECU30という)が設けられている。液圧発生装置1及び液圧制御ユニット16のECU20、30は、低電圧電源装置12から電力供給線11を介して直流電力を受け、直流電力を交流電力に変換し、交流電力を電動機に供給する。ECU20、30は、供給する交流電力を制御して、電動機の回転方向や回転トルクを制御することができる。図1に示す例では、液圧発生装置1の電動倍力装置15とECU20とが、互いに分離して図示されている。また、液圧制御ユニット16のハウジング27とECU30とが互いに分離して図示されている。しかし、これらのECU20、30は、それぞれ電動倍力装置15、ハウジング27と一体構造としてもよい。これらは、一体構造とすることにより、省スペース化を図ることができ、また、図示のように別体構造とすることにより組み立ての簡易化を期待することができる。
また、ECU20、30は、回生制動時には、次のようにして回生協調制御を実行する。回生制動時には、モータジェネレータ6の回生運転により運動エネルギーが電力に変換される分だけ車両2に制動力が発生する。ECU20、30は、ブレーキ液圧による制動力が、回生が無い場合に比較して回生によって発生した制動力に相当する分だけ小さくなるように液圧発生装置1又は液圧制御ユニット16を制御して回生協調制御を実行する。回生協調制御を行うために、電力変換制御装置13は、回生量、あるいは回生量に相当する制動力、トルク、ブレーキ液圧などの情報を、直接または情報伝送線10を介して回生制動要求としてECU20、30へ伝達する。
〔液圧制御装置の構成〕
図2乃至図4に示すように、液圧発生装置1は、ブレーキ液圧を発生するマスタシリンダ19と、マスタシリンダ19に結合されてマスタシリンダ19を作動させる電動倍力装置15とから構成されている。
電動倍力装置15は、入力部材31と、電動で回転するモータ33と、ボールネジ機構34と、これらを収容するハウジング32とを備えている。ハウジング32は、アルミニウム合金等で形成され、マスタシリンダ19側のフロントハウジング35と、ブレーキペダル22側のリアハウジング36と、これらの間に結合される中間ハウジング37とを有する3分割構造となっている。本実施形態においては、モータ33とボールネジ機構34とからアクチュエータが構成されている。
フロントハウジング35は、略有底円筒状で底部にマスタシリンダ19の開口端部が嵌合する小径円筒部35aが形成されている。小径円筒部35aは、内周面に環状溝であるシール溝35bが形成されている。シール溝35bには、カップ状のシール部材38が装着されている。フロントハウジング35の開口側が中間ハウジング37の一端部に結合されている。中間ハウジング37は、フロントハウジング35の側方に配置されたモータケース41が結合されて、モータケース41と共にモータ33を収容する。また、中間ハウジング37には、2本のスルーボルト48(1本のみ図示)が圧入、固定され、このスルーボルト48をフロントハウジング35及びマスタシリンダ19に挿通してナット49を螺着することによって、これら、中間ハウジング37、フロントハウジング35及びマスタシリンダ19が固定されている。中間ハウジング37の他端部には、リアハウジング36が結合されている。リアハウジング36は、その後端部がダッシュパネル18に固定される。リアハウジング36の後端部には、突出形成された円筒部36aが設けられ、円筒部36aはダッシュパネル18を貫通して車室内に延ばされている。
ハウジング32の内部には、リアハウジング36の円筒部36aの外方からマスタシリンダ19にかけて入力部材31が挿入されている。入力部材31は、入力ロッド21、プランジャロッド90及び入力ピストン93を備えている。入力ロッド21は、基端部のクレビス21aによってブレーキペダル22に連結される。
プランジャロッド90は、その基端部が入力ロッド21の先端部に揺動可能に連結される。入力ピストン93は、その基端部がプランジャロッド90の先端部に当接し、先端部がサブピストン92を挿通してマスタシリンダ19内に臨んで配置される。
なお、入力ピストン93へのブレーキペダル22の連結は、上記のように機械的に連結してもよく、または、ワイヤで連結してもよい。また、ブレーキペダル22により発生した液圧によって入力ピストン93を動かすように液圧で連結してもよく、要は、ブレーキペダル22の操作力を入力ピストン93に伝達する構造であればよい。
サブピストン92は、円筒形状で、内周部が入力ピストン93の先端の小径部93dに摺動可能かつ液密的に外嵌されてマスタシリンダ19内に挿入されるようになっている。リアハウジング36の円筒部36aには、図2に示す(他の図面では省略)ようにプランジャ90の変位を検出するストロークセンサ23が設けられている。本実施形態においてストロークセンサ23は、操作者によるブレーキ操作量、言い換えれば、ブレーキペダル22の変位、若しくは、入力ロッド21の軸方向の変位を検出するようになっている。
プランジャロッド90は、リアハウジングの36の円筒部に36aによって軸方向に沿って摺動可能に案内され、中間部に形成された大径のフランジ部90bが円筒部36aに形成されたストッパ36bに当接することで後退位置が規定されている。 入力ピストン93は、先端側の小径部93d、基端側の中径93a及び中径部93aに形成された大径のフランジ部93bを有する段付形状となっており、小径部93dと中径93aとの間の段部93eがサブピストン92の後端部に当接可能に形成されている。また、サブピストン92の後端部とフランジ部93bとの間には、圧縮コイルスプリングであるバネ100が介装されている。このバネ100は、入力ピストン93と後述するピストン92とが相対変位した際のペダル反力を調整するものとなっている。
モータ33は、ECU20からの制御電流によって作動して電動倍力装置15に駆動力を提供する。モータ33は、出力軸42、ロータ43、マグネット44、ステータ45及びこれらを収容するモータケース41等を有するブラシレスDCモータとなっている。出力軸42の先端部には、モータ33の出力をボールネジ機構34に伝達するための歯付のプーリ46が取付けられている。モータ33は、出力軸42の回転を検出して検出信号をECU20、30に送信する回転検出器としてのレゾルバ47を有する。なお、回転検出器として本実施形態では、レゾルバ47を使用しているが、ロータリエンコーダやホール素子等を用いてもよい。また、モータ33は、本実施形態のブラシレスDCモータのほか、ブラシ付DCモータ、ACモータ等とすることができるが、制御性や静粛性や耐久性等の観点からはDCブラシレスモータが望ましい。
ボールネジ機構34は、プライマリピストン72と同軸上に配置された円筒状の直動部材55と、直動部材55が挿入された円筒状の回転部材57と、これらの間に形成された螺旋状のネジ溝55aに装填された複数の転動体であるボール56(鋼球)とを備えている。直動部材57は、リアハウジング36の円筒部36a内に挿入されてハウジング32内で軸方向に沿って移動可能、かつ、軸回りに回転しないように支持されている。回転部材57は、ハウジング32内で一対のベアリング51によって軸回りに回転可能かつ軸方向に移動しないように支持されている。そして、ボールネジ機構34は、モータ33の駆動力によって回転部材57を回転させることにより、ネジ溝55a内をボール56が転動して直動部材55が軸方向に移動するようになっている。
直動部材55の前端部は、図4に示すように、大径のフランジ状のバネ受61がCリング63によって結合されている。バネ受61は、フロントハウジング35内に配置され、スルーボルト48が摺動可能に挿通されて軸方向に沿って移動可能に案内されると共に軸回りに回転しないように支持されている。これにより、回転部材57を軸回りに回転しないように支持している。また、バネ受61は、プライマリピストン72の後端部にリテーナ61aによって連結されている。フロントハウジング35内には、フロントハウジング35の底部とバネ受61との間に圧縮コイルバネであるリターンスプリング62が介装されて、バネ受61及びリテーナ61aを介して直動部材55を後退位置へ向けて付勢している。直動部材55の後退位置は、リターンスプリング62の付勢によってばね受61が中間ハウジング37に当接することにより規定されるようになっている。直動部材55は、モータ33の駆動力が伝達されない状態の時には、リターンスプリング62の付勢力によって後退位置に復帰するようになっている。直動部材55内には、入力部材31のプランジャロッド90及び入力ピストン93が移動可能に配置されるようになっている。
回転部材57の軸方向中間部の外周側には、歯付プーリであるプーリ58がスプライン結合等によって取付けられている。このプーリ58と、モータ33の出力軸42に取付けられた歯付のプーリ46との間に歯付ベルトであるゴム製のベルト53が巻装されている。これらにより、ベルト伝動機構が構成され、モータ33によって回転部材57が所定の減速比で回転駆動される。
なお、ベルト伝動機構として、歯付のベルト及びプーリを用いず、Vベルト及びVプーリ等や金属ベルト、樹脂ベルトを用いてもよいが、本実施形態のように歯付のベルト及びプーリとすることが、伝達効率の向上及び低騒音化の観点で望ましい。また、ベルト伝動機構の代りに、歯車伝動機構、チェーン伝動機構等の他の公知の伝動機構を用いることができ、あるいは、伝達機構を介さずにモータによって回転部材57を直接駆動(ダイレクトドライブ)するようにしてもよい。また、ベルト伝動機構に、歯車減速機構等の減速機構を組み合わせて設けて減速比を調整するようにしてもよい。さらに、ベルト伝動機構に、歯車減速機構等の減速機構を併設して設け、この減速機構をベルトが切断した際のバックアップとして用いてもよい。
マスタシリンダ19は、タンデム型であり、有底筒状に形成されたシリンダ本体73の内部のシリンダボア74内に、円筒状のプライマリピストン72及び有底円筒状のセカンダリピストン71が軸方向に直列に配置されている。シリンダボア74内における、プライマリピストン72とセカンダリピストン71との間には、プライマリ室76が形成され、また、セカンダリピストン71とシリンダ本体73の底部との間には、セカンダリ室75が形成されている。プラマリピストン72には、サブピストン92が摺動可能かつ液密的に挿入され、サブピストン92には、入力ピストン93の小径部93dが摺動可能かつ液密的に挿入されている。サブピストン92の前端部は、フランジ状の大径部98が形成され、この大径部98の後端部にプライマリピストン72の前端部が当接している。大径部98の外周部は、シリンダボア74との間に隙間が形成されるようになっている。
シリンダ本体73の側壁の上部には、プライマリ室76及びセカンダリ室75にそれぞれ連通するリザーバポート73b、73aが設けられている。これらのリザーバポート73b、73aには、ブレーキ液を貯留するリザーバ77が接続されている。図3に示すように、シリンダ本体73のシリンダボア74に形成された内周溝には、その軸方向において各リザーバポート73b、73aを挟むように一対のピストンシール81、82及び79、80がそれぞれ装着されている。ピストンシール81、82及び79、80は、シリンダボア74とプライマリ及びセカンダリピストン72、71との間をシールしている。 プライマリピストン72の側壁及びセカンダリピストン71の円筒部の側壁には、それぞれ径方向に貫通するピストンポート95a、71aがそれぞれ複数、形成されている。
プライマリピストン72に形成された内周溝には、軸方向においてピストンポート95aを挟むように一対のピストンシール96、97aが装着されて、サブピストン92との間をシールしている。また、ピストンシール97aの後端側には、ピストンシール97bが設けられており、ピストンシール97aの失陥時の補償を行うようになっている。サブピストン92の側壁には、径方向に貫通する複数のピストンポート95bが形成されている。サブピストン92の内周部には、ピストンシール103が装着されてサブピストン92と入力ピストン93の小径部93dとの間をシールしている。ピストンシール103は、ピストンポート95bに対してサブピストン92の後端側に配置されており、カップシール103aとOリング103bとを有し、これらの間には、Oリング103bの格納部位を形成するためのカラー103cが配置されている。ピストンポート95bは、入力ピストン93の位置にかかわらず、プライマリ室76に常時連通するようになっている。
プライマリ室76内には、一端がセカンダリピストン71に当接し、他端がサブピストン92に当接する圧縮コイルバネである大径の戻しバネ99a及び小径の戻しバネ99bが配置されている。戻しバネ99a及び99bは、そのバネ力により、プライマリピストン72及びサブピストン92を後退位置へ向けて付勢しており、サブピストン92の大径部98をプライマリピストン72の前端部に当接させている。小径の戻しバネ99bには伸縮可能なリテーナ102が挿入され、リテーナ102によって戻しバネ99bが所定の圧縮状態で保持され、そのバネ力に抗して圧縮可能となっている。大径の戻しバネ99aは、プライマリピストン72を直接、後退位置へ向けて付勢するようになっている。一方、小径の戻しバネ99bは、サブピストン92を後退位置へ向けて付勢することで、サブピストン92の大径部98をプライマリピストン72の前端部に当接させるとともに、このサブピストン92の大径部98を介してプライマリピストン72を後退位置へ向けて付勢するようになっている。また、セカンダリ室75には、一端がシリンダ本体73の底部に当接し、他端がセカンダリピストン71に当接する戻しバネ106が配置されている。戻しバネ106は、そのバネ力により、セカンダリピストン71を後退位置へ向けて付勢している。戻しバネ106には、伸縮可能なリテーナ102aが挿入され、リテーナ102aによって戻しバネ106が所定の圧縮状態で保持され、そのバネ力に抗して圧縮可能となっている。
そして、図3及び図4に示すように、プライマリ及びセカンダリピストン72、71、並びに、サブピストン92が後退位置にあるとき、プライマリピストン72のピストンポート95aは一対のピストンシール81、82の間に配置され、サブピストン92のピストンポート95bは一対のピストンシール96、97の間に配置される。このとき、リザーバ77とプライマリ室76とがリザーバポート73b及びピストンポート95a、95bを介して連通される。また、セカンダリピストン71のピストンポート71aは、一対のピストンシール79、80の間に配置される。このとき、リザーバ77とセカンダリ室75とがリザーバポート73a及びピストンポート71aを介して連通される。これにより、ブレーキパッドの摩耗等に対して、リザーバ77からプライマリ室76及びセカンダリ室75に適宜ブレーキ液を供給して、各ホイールシリンダ17にブレーキ液を補充する。
図5に示すように、プライマリピストン72及びサブピストン92が前進してプライマリピストンのピストンポート95aが一方のピストンシール81を越えて前進し、セカンダリピストン71が前進してそのピストンポート71aが一方のピストンシール79を越えて移動すると、リザーバポート73b、73aとピストンポート95a、71aとの間が、それぞれピストンシール81、79によって遮断される。これにより、プライマリ室76及びセカンダリ室75がリザーバ77から遮断されて、プライマリ及びセカンダリピストン72、71の前進に伴って、プライマリ室76及びセカンダリ室75が加圧されていくことになる。
また、図6に示すように、プライマリピストン72が後退位置にあり、サブピストン92が入力ピストン93と共に前進し、サブピストン92のピストンポート18がプライマリピストン72の一方のピストンシール96を越えて移動すると、ピストンシール96によりプライマリピストン72のピストンポート95aがプライマリ室76から遮断される。これにより、プライマリ室72とリザーバ77との連通が遮断されて、入力ピストン93及びサブピストン92の前進によりプライマリ室76が加圧される。
プライマリ室72に対して、プライマリピストン72の受圧面積Aは、外周側のピストンシール81と内周側のピストンシール96とによって規定される。サブピストン92の受圧面積Bは、外周側のピストンシール96と内周側のピストンシール103によって規定される。また、入力ピストン93の受圧面積Cは、外周側のピストンシール103によって規定される。そして、プライマリピストン72、サブピストン92及び入力ピストン93の受圧面積A、B及びCの関係はA>B>Cとなっている。
プライマリ室76、セカンダリ室75Bは、2系統のアクチュエーション管路25、24(図1参照)を介して同じブレーキ液圧を液圧制御ユニット16に供給する。このように2系統のアクチュエーション管路25、24を備えていることで、万一、アクチュエーション管路25、24の一方が失陥した場合でも、他方に液圧が供給されるので、制動機能を維持することができる。
なお、ピストンシール79、80、81、82、96、97及び103には、断面C形や断面E形のカップシール等を適宜用いることができる。また、本実施形態では、ピストンシール79、80、81、82は、シリンダ本体73に形成した内周溝内に配置しているが、シリンダ本体73内に別体のスリーブを複数設けて形成したシール溝内に配置するようにしてもよい。本実施形態では、ピストンシール97を2箇所に設けた二重シールとして気密性及び信頼性を高めているが、ピストンシール97は、必要な気密性及び信頼性が得られるように、1箇所又は3箇所以上設けてもよい。また、本実施形態では、プライマリピストン72の内周部にピストンシールのシール溝(内周溝)を設けているが、これらのシール溝を省略し、代りに、サブピストン92の外周部にシール溝(外周溝)を設けてピストンシールを収容するようにしてもよい。この場合、サブピストン92に溝加工を集中することになり、プライマリピストン72の加工工数を減らすことができる。
〔液圧発生装置の作動〕
次に液圧発生装置1の作動について図2乃至図7を参照して説明する。なお、以下の説明において、セカンダリピストン71は、プライマリピストン72若しくはサブピストン92の移動に応じて移動するものとなっているため、その作動に関する説明を省略する。また、図7は、液圧発生装置1の概念的構成を図示して、その作動原理を示すものである。
(非制動状態時)
非制動状態では、図2乃至4に示すように、プライマリピストン72は、リターンスプリング62のバネ力によりボールネジ機構34の直動部材55と共に後退位置にある。また、サブピストン92は、戻しバネ99a、99b、106のバネ力により、大径部98の端部がプライマリピストン72の前端部に当接して位置決めされる後退位置にある。そして、入力ピストン93は、バネ100のバネ力によりプランジャロッド90に当接し、プランジャロッド90のフランジ部90bがリアハウジング36の円筒部36aのストッパ36bに当接して位置決めされる後退位置にある。上述したように、この非制動状態においては、リザーバ77とプライマリ室76とがリザーバポート73b及びピストンポート95a、95bを介して連通されているので、プライマリ室76は大気圧状態となっている。
(通常制動時)
図5に示すように、ブレーキペダル22が操作されて入力ロッド21及びプランジャロッド90を介して入力ピストン93が前進すると、プランジャ90の変位、すなわち入力部材31の変位がストロークセンサ23によって検出される。この検出信号を受けたECU20は、入力部材31の変位に基づく目標位置にプライマリピストン72を到達させるためにモータ33を駆動し、回転検出器であるレゾルバ47の検出に応じてモータ33の回転をフィードバック制御する。なお、レゾルバ47に代えて、直動部材55の位置を検出する図示しない変位センサ、または、マスタシリンダ19の液圧を検出する図示しない液圧センサ等の検出に基づいてモータ33を制御するようにしてもよい。モータ33の回転により、プーリ46、58及びベルト53を介してボールネジ機構34の回転部材57が駆動されて直動部材55が前進することで、プライマリピストン72が推進する。このとき、サブピストン92は、その大径部98がプライマリピストン72の前端部に当接しているので、プライマリピストン72と共に前進する。これにより、マスタシリンダ19のプライマリ室76は、入力ピストン93(受圧面積C)、プライマリピストン72(受圧面積A)及びサブピストン92(受圧面積B)によって加圧される。マスタシリンダ19で発生したブレーキ液圧は、2系統のアクチュエーション管路24、25によって液圧制御ユニット16に供給され、更に、4系統のファンデーション管路26a、26b、26c、26dを介して各車輪のホイールシリンダ17に供給されて制動力を発生させる。
マスタシリンダ19のプライマリ室76の液圧は、入力ピストン93(受圧面積C)を介してブレーキペダル22に反力としてフィードバックされる。この反力がフィードバックされることにより、プライマリピストン72、サブピストン92及び入力ピストン93の受圧面積A、B及びCの合計面積に対する入力ピストン93の受圧面積Cの比率に基づき電動倍力装置1の基本的な入出力特性が決定されるようになっている。また、入力ピストン93とプライマリピストン72及びサブピストン92との相対位置を調整することにより、バネ100のバネ力により入力ピストン93(すなわちブレーキペダル22)に対する反力を加減して入出力特性を制御することができる。このとき、入力ピストン93に対して、プライマリピストン72の位置を前方に調整することにより入力に対する出力の度合いが大きくなり、後方に調整することにより入力に対する出力の度合いが小さくなる。これにより、倍力制御、ブレーキアシスト制御、車間車両安定性制御、車間制御、回生協調制御等の種々のブレーキ制御を実行することができる。
ブレーキペダル22の踏込みを解除すると、入力ピストン93、プライマリピストン72、及びサブピストン92が図2乃至4に示す後退位置に後退して、マスタシリンダ19のブレーキ液圧が解除され、ホイールシリンダ17の液圧が解除されて制動が解除される。
(回生制動時)
車両2の減速時に車輪の回転によってモータジェネレータ6を発電機として作動させることにより、動力系における制動力である回生制動力を発生しつつ、車両2の運動エネルギーを電気エネルギーに変換して回収する回生制動を実行することができる。このとき、ECU20は、ブレーキペダル22の操作量に対するモータ33の制御量を変化させることにより、回生制動力に対応する液圧分だけマスタシリンダ19の液圧を減圧して、ブレーキペダル22の操作量に応じた所望の制動力を得る。詳細には、回生制動時にECU20は、通常制動時に比して、マスタシリンダ19の液圧を減圧する分だけモータ33によるプライマリピストン72の前進量を小さく、すなわち、プライマリピストン72の目標位置を通常制動時の目標位置よりも後退側(ブレーキぺダル22側)に設定してモータ33を制御する。このとき、通常制動時に比べてサブピストン92の後端部とフランジ部93bとの間隔が小さくなるので、通常制動時に比べて入力ピストン93へのバネ100のバネ力が大きくなり、マスタシリンダ19の減圧により減少する液圧反力を補完してブレーキペダル22の操作力を適正化するようにしている。
(倍力失陥時)
ECU20、モータ33、あるいは、ボールネジ機構34等の失陥によりボールネジ機構34の直動部材55が後退位置から前進できなくなった場合、すなわち、倍力失陥時について図6を参照して説明する。操作者のブレーキペダル22の操作により、先ず、入力ロッド21、プランジャロッド90及び入力ピストン93が前進する。この場合、モータ33は作動することができず、ボールネジ機構34の直動部材55は前進せず、プライマリピストン72及びサブピストン92も前進しない。このとき、入力ピストン93の段部93eがサブピストン92の後端部に当接するまでは、マスタシリンダ19のプライマリ室76が、ピストンポート95a、95bを介してリザーバ77に連通されたままとなっているので、マスタシリンダ19はブレーキ液圧を発生しない。入力部材31の前進が続いて入力ピストン93の段部93eがサブピストン92の後端部に当接すると、サブピストン92が、入力ピストン93と共に移動する。これにより、大径部98がプライマリピストン72の前端部から離間してプライマリピストン72から独立して前進する。そして、入力部材31の前進により、サブピストン92のピストンポート95bがピストンシール96を超える位置までサブピストン92が移動すると、プライマリ室76がリザーバ77から遮断され、プライマリ室76は、入力ピストン93及びサブピストン92によって加圧される。
このようにして、倍力失陥時においてもブレーキペダル22の操作、すなわち、操作者の踏力により、ブレーキ液圧を発生させることができ、制動機能を維持することができる。このとき、入力ピストン93とサブピストン92が、入力ピストン93の受圧面積Cとサブピストン92の受圧面積Bとの合計面積(B+C)でプライマリ室76を加圧してブレーキ液圧を発生させる。したがって、従来の受圧面積の小さい入力ピストン(例えば、本実施形態における受圧面積C)のみによりブレーキ液圧を発生させる場合、あるいは、入力ピストン及びプライマリピストンによってマスタシリンダの全断面積を受圧面積としてブレーキ液圧を発生させる場合に比して、適度な受圧面積によってブレーキ液圧を発生させることができる。このため、ブレーキペダル22の操作力及びストロークを好適に行うことができる。
なお、上記は失陥によりボールネジ機構34の直動部材55が後退位置から前進できなくなった場合として説明したが、失陥ではくとも、制御則としてボールネジ機構34を移動させない場合においても、本実施の形態の構造は同様に作用して、ブレーキペダル22の操作力及びストロークを好適に行うことができる。
詳細には、従来技術においては、電気系統や機械的な失陥等により電動モータによるブーストピストンの作動が不能な倍力失陥状態となった場合、制動機能を維持するために、次の2通りの構造がある。(1)ブレーキペダルの操作により、主ピストンのみを前進させてマスタシリンダにブレーキ液圧を発生させる。(2)ブレーキペダルの操作により、主ピストンが所定量だけ移動したとき、主ピストンをブーストピストンに当接させるようにしてブーストピストンを前進させることによりマスタシリンダにブレーキ液圧を発生させる。
上記構造(1)においては、受圧面積の小さい主ピストンによってブレーキ液圧を発生させるので、ブレーキペダルの操作力を小さくできる反面、必要な制動力を得るためにはブレーキペダルを大きくストロークさせる必要がある。このため、倍力失陥時に備えてブレーキペダルのストロークを大きくしておく必要があり、このようにしてしまうと、通常制動時のブレーキペダルの操作がし辛くなってしまう。また、運転者が座席に座った状態でブレーキペダルを操作できるストロークは限られているため、操作ストロークが足りなくなってしまう場合がある。
また、上記構造(2)においては、圧面積の大きいブーストピストンによってブレーキ液圧を発生させるので、ブレーキペダルのストロークを小さくできる反面、必要な制動力を得るためには、相当に大きなブレーキペダル踏力が必要となる。このため、運転者が非力である場合には、充分な制動を行えない可能性がある。また、機械的な失陥によってブースタピストンの摺動性が悪化してしまっているような場合には、さらに大きなブレーキペダル踏力が必要となってしまう。
このような従来構造(1)、(2)に対して、上記実施形態においては、シリンダ本体73に挿入されてアクチュエータであるモータ33によりプライマリピストン72と共に駆動されるサブピストン92は、入力部材31の前進により、前記入力部材31に係合して前記プライマリピストン72とは独立して前記入力ピストン31と共に前進するようになっている。このため、倍力失陥状態となった場合でも、ブレーキペダルの操作による制動機能を維持しつつ、ブレーキペダルの操作を好適に行うことができる。
なお、プライマリピストン72、サブピストン92及び入力ピストン93の受圧面積A、B及びCの関係は、必ずしもA>B>Cでなくてもよく、通常制動時において所望の倍力を得ることができ、また、失陥時においてブレーキペダル22の操作力及びストロークを適正化できるように、適宜設定すればよい。
次に、本発明の第2実施形態について、図8を参照して説明する。
なお、本実施形態に係る液圧発生装置は、上記第1実施形態に対して、プライマリピストン72及びサブピストン92の構造が異なる以外は概して同様の構造である。図8にはマスタシリンダ19及び入力部材31の部分のみを図示し、上記第1実施形態に対して、同様の部分には同じ参照符号を用いて、異なる部分について適宜説明する。
本第2実施形態に係る液圧発生装置において、サブピストン92は、その後端部92aがボールネジ機構34の直動部材55の前端部55bに直接当接するようになっている。したがって、サブピストン92は、第1実施形態のように、前端部側に大径部98が設けられておらず、軸方向においてプライマリピストン72に当接するようにはなっていない。また、プランジャロッド90は省略されて、入力ロッド21と入力ピストン93とが直接連結されるようになっている。
このような構造により、通常制動時(回生制動時を含む)には、直動部材55によってプライマリピストン72と共にサブピストン92を前進させて、上記第1実施形態と同様に、プライマリピストン72とサブピストン92とにより、マスタシリンダ19のプライマリ室76を加圧する。また、倍力失陥時には、入力ピストン93の段部93eによりサブピストン92の後端部92aを押圧することにより、サブピストン92を直動部材55から離間してプライマリピストン72とは独立して前進させて、入力ピストン93及びサブピストン92によってプライマリ室76を加圧する。その結果、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
なお、上記実施形態においては、電動で回転するモータ33とボールネジ機構34とでアクチュエータを構成した電動倍力装置を例にして説明したが、リニアモータを用いた電動倍力装置を用いた液圧発生装置に本実施形態の構造を適用してもよい。また、電動倍力装置に限らず、ピストンを用いた液圧発生装置であれば、油圧倍力装置や制御型の気圧式倍力装置を用いた液圧発生装置に本実施形態の構造を適用してもよい。
上述の各実施形態の液圧発生装置においては、シリンダ本体と、該シリンダ本体に挿入され液圧を発生するピストンと、該ピストンを駆動するアクチュエータと、前記シリンダ本体に挿入されて前記アクチュエータにより前記ピストンと共に駆動されるサブピストンと、前記シリンダ本体に挿入されてブレーキペダルに連結された入力ピストンとを備え、前記サブピストンは、前記入力ピストンの前進により、前記入力ピストンに係合して前記ピストンとは独立して前記入力ピストンと共に前進することで液圧を発生する構成となっている。
このような構成によれば、液圧発生装置が倍力失陥状態となった場合でも、ブレーキペダルの操作による制動機能を維持しつつ、ブレーキペダルの操作を好適に行うことができる。 また、上記構成の液圧発生装置においては、入力ピストンは液圧を発生する構成となっている。
上述の各実施形態の液圧発生装置においては、前記シリンダ本体には液圧室が設けられ、前記サブピストンは、前記液圧室の液圧を受圧する外側寸法が、前記ピストンよりも小さく、かつ、前記入力部材よりも大きくなっている。
このような構成によれば、前記サブピストンの受圧面積を適正なものとすることでき、液圧発生装置が倍力失陥状態となった場合でも、ブレーキペダルの操作による制動機能を維持しつつ、ブレーキペダルの操作を好適に行うことができる。
上述の第1実施形態の液圧発生装置においては、前記サブピストンは、前記アクチュエータが駆動したときに前記ピストンにより移動するように構成されている。
上記構成の液圧発生装置においては、前記サブピストンは戻しばねにより前記ピストンに付勢される構成となっている。
上述の第1実施形態の液圧発生装置においては、前記サブピストンは、前記ピストンの前記液圧室に臨む先端側に当接するように構成されている。
上述の第2実施形態の液圧発生装置においては、前記アクチュエータには、前記ピストンを推進する直動部材が設けられ、前記サブピストンは、前記アクチュエータが駆動したときに前記直動部材により移動するように構成されている。
上述の各実施形態の液圧発生装置においては、前記ピストンと、前記サブピストンと、前記入力ピストンとは、同軸上に配置されている。
上述の第1実施形態の液圧発生装置においては、前記入力ピストンと前記サブピストンとの間には、これらの間の相対変位に対してバネ力を付与するバネ手段が介装されている。
このような構成によれば、バネ手段によって、入力ピストンとピストンとが相対変位した際のペダル反力を調整することが可能となる。
なお、上記各実施形態では、入力ピストン93の外周にサブピストン92を、サブピストン92の外周にプライマリピストン72を配置した同軸構造を示したが、これら各ピストンの配置順は、上記実施例の構造が合理的ではあるが、順番を変えてもよい。また、図7に概念的構成を示すとおり、大きくなるが、それぞれ独立にシリンダを設けて、並列に設けてもよい。
また、上記各実施形態では、通常制動時は、サブピストン92がプライマリピストン72と係合して移動し、倍力失陥時に、入力ピストン93と係合する例を示したが、これに限らず、例えば、図7の係合部72Aを無くすことで、サブピストン92は、プライマリピストン72は係合せずに、入力ピストン93のみと係合するようにしてもよい。なお、この場合、通常にプライマリピストン72が前進した際にサブピストン92が後退してしまうとシリンダ内の圧力が上がらないので、サブピストン92の最大後退位置を規制するストッパが必要である。
次に、本発明の第3実施形態に係る液圧発生装置について、図9、図10及び図12を参照して説明する。なお、本実施形態は、上記第1実施形態に対して、主に入力ピストン、サブピストン及びプライマリピストンの一部の構造が異なる以外は概して同様の構造であるから、以下の説明において、上記第1実施形態に対して、同様の部分には同じ参照符号を用いて、異なる部分について適宜詳細に説明する。
図9に示すように、本実施形態に係る液圧発生装置では、入力ピストン93のフランジ部93bの外径がプライマリピストン72のサブピストン92が挿入されたボア72aの内径よりも大きくなっている。また、プライマリピストン72のボア72aの後端部は、入力ピストン93のフランジ部93bが挿入されるように拡径されて段部72bが形成されている。そして、入力ピストン93は、その段部93eがサブピストン92の後端部に当接した後、更に、サブピストン92と共に所定距離だけ前進すると、図10に示すように、フランジ部93bがプライマリピストン72の段部72bに当接するようになっている。フランジ部93bが段部72bに当接した後、入力ピストン93が更に前進すると、プライマリピストン72は、フランジ部93bによって押圧されて入力ピストン93と共に前進する。
このように構成したことにより、通常制動時(回生制動時を含む)には、上記第1実施形態と同様に、直動部材55によってプライマリピストン72と共にサブピストン92を前進させて、プライマリピストン72とサブピストン92とにより、マスタシリンダ19のプライマリ室76を加圧する(ブレーキペダル22のストロークとブレーキ液圧(車両減速度)との関係は、図12の実線(1)に示す特性となる。)。
また、倍力失陥時には、次のようにしてマスタシリンダ19でブレーキ液圧を発生させる。ブレーキペダル22の操作により、上記第1実施形態のものと同様、先ず、入力ロッド21、プランジャロッド90及び入力ピストン93が前進する。このとき、入力ピストン93の段部93eがサブピストン92の後端部に当接するまでは、マスタシリンダ19のプライマリ室76が、ピストンポート95a、95bを介してリザーバ77に連通されたままとなっているので、マスタシリンダ19はブレーキ液圧を発生しない(図12の実線(3)で示す特性のブレーキペダルストロークS1までの区間参照)。
入力部材31の前進が続いて入力ピストン93の段部93eがサブピストン92の後端部に当接すると、サブピストン92が、入力ピストン93と共に移動する。これにより、大径部98がプライマリピストン72の前端部から離間してプライマリピストン72から独立して前進する。そして、入力部材31の前進により、サブピストン92のピストンポート95bがピストンシール96を超える位置までサブピストン92が移動すると、プライマリ室76がリザーバ77から遮断され、プライマリ室76は、入力ピストン93及びサブピストン92によって加圧される(図12の実線(3)で示す特性のブレーキペダルストロークS1〜S2の区間参照)。
このとき、入力ピストン93(受圧面積C)とサブピストン92(受圧面積B)が、これらの合計受圧面積(B+C)でプライマリ室76を加圧してブレーキ液圧を発生させる。これにより、制動初期においては、プライマリピストン93の受圧面積Aを除いた適度に小さい受圧面積(B+C)によってブレーキ液圧を発生させることができ、ブレーキペダル22の操作力を軽減しつつ、ホイールシリンダ17に必要なブレーキ液量を供給することができる。
更に、ブレーキペダル22が踏込まれて入力部材31が前進すると、図10に示すように、入力ピストン93のフランジ部93bがプラマリピストン72の段部72bに当接する(図12の実線(3)で示す特性のブレーキペダルストロークS2参照)。その後、入力ピストン93が更に前進すると、プライマリピストン72がフランジ部93bに押圧されて入力ピストン93及びサブピストン92と共に前進して、プライマリ室76を加圧してブレーキ液圧を発生させる。このとき、プライマリ室76は、プライマリピストン72(受圧面積A)、サブピストン92(受圧面積B)及び入力ピストン93(受圧面積C)の合計受圧面積(A+B+C)によって加圧されるので、ホイールシリンダ17に供給するブレーキ液量を増大させることができ、ブレーキペダル22の踏力の増大により、必要な制動力を迅速に得ることができる(図12の実線(3)で示す特性のブレーキペダルストロークS2以降の区間参照)。
このように、入力ピストン31によってサブピストン92が所定量前進したとき、入力ピストン31と共にプライマリピストン72が前進して液圧を発生することにより、ブレーキペダル22の可動ストローク範囲内において、ブレーキ踏力に応じた高減速度の達成が可能になる。
すなわち、第1及び第2実施形態のように、倍力失陥時に、入力ピストン31によってサブピストン92だけを前進させた場合、ブレーキペダル22のストロークとブレーキ液圧(車両減速度)との関係は、図12の破線(2)で示す特性となる。この場合、車両の諸元によっては、ブレーキペダル22の可動ストローク範囲内で、緊急ブレーキとして十分な減速度に達しない可能性がある。このため、上述した第3実施形態の構成とすることで、ブレーキペダル22の可動ストローク範囲内での最大減速度を増加させることが可能となる。
ここで、入力ピストン93が、例えば、0.2〜0.3Gぐらいまでの車両の常用減速度に対応する液圧よりも大きな液圧となる位置まで前進したとき、プライマリピストン72が入力ピストン93と共に前進し始めるように、入力ピストン93のフランジ部93bとプライマリピストン72の段部72bとが当接する位置を設定するとよい。このように設定することで、倍力失陥時において、車両の常用減速度領域での必要ブレーキペダル踏力を低減できるとともに、緊急ブレーキ時の減速度を高めることが可能になる。
次に、本発明の第4実施形態について、図11及び図12を参照して説明する。なお、本実施形態は、上記第2実施形態に対して、サブピストン92の一部の構造が異なる以外は概して同様の構造であるから、以下の説明において、上記第2実施形態に対して、同様の部分には同じ参照符号を用いて、異なる部分について適宜詳細に説明する。
図11に示すように、本実施形態に係る液圧発生装置では、段付円筒状に形成されたサブピストン92の後部側の大径部92bがプライマリピストン72のボア72a内に摺動可能に挿入され、前部側の小径部92cがプライマリピストン72のピストンシール96、97が設けられた小径部72c内に摺動可能に挿入されている。これにより、サブピストン92の大径部92bの前端部とプライマリピストン72の小径部72cの後端部とが当接可能に対向している。そして、入力ピストン93が前進してその段部93eがサブピストン92の後端部92aに当接した後、サブピストン92が入力ピストン93と共に所定距離だけ前進すると、サブピストン92の大径部92bの前端部がプライマリピストン72の小径部72cの後端部に当接するようになっている。その後、入力ピストン93と共にサブピストン93が更に前進すると、プライマリピストン72は、サブピストン92の大径部92bに押圧されて、入力ピストン93及びサブピストン92と共に前進する。
このように構成したことにより、通常制動時(回生制動時を含む)には、直動部材55によってプライマリピストン72と共にサブピストン92を前進させて、上記第2実施形態と同様に、プライマリピストン72とサブピストン92とにより、マスタシリンダ19のプライマリ室76を加圧する(ブレーキペダル22のストロークとブレーキ液圧(車両減速度)との関係は、図12の実線(1)に示す特性となる。)。
また、倍力失陥時には、次のようにしてマスタシリンダ19でブレーキ液圧を発生させる。ブレーキペダル22の操作により、上記第2実施形態のものと同様、制動初期においては、入力ピストン93が前進して、入力ピストン93の段部93eでサブピストン92の後端部92aを押圧することにより、サブピストン92が直動部材55から離間してプライマリピストン72とは独立して前進し、ピストンポート95a、95bを閉じて(図12の実線(3)で示す特性のブレーキペダルストロークS1参照)、入力ピストン93及びサブピストン92によってプライマリ室76を加圧する(図12の実線(3)で示す特性のブレーキペダルストロークS1〜S2の区間参照)。
このとき、入力ピストン93の受圧面積Cとサブピストン92の受圧面積Bとの合計受圧面積(B+C)でプライマリ室76を加圧してブレーキ液圧を発生させるので、制動初期において、プライマリピストン93の受圧面積Aを除いた適度に小さい受圧面積(B+C)によってブレーキ液圧を発生させることができ、ブレーキペダル22の操作力を軽減しつつ、ホイールシリンダ17に必要なブレーキ液量を供給することができる。
更にブレーキペダル22が踏込まれて入力ピストン93と共にサブピストン92が前進すると、サブピストン92の大径部92bの前端部がプラマリピストン72の小径部72cの後端部に当接する(図12の実線(3)で示す特性のブレーキペダルストロークS2参照)。その後、入力ピストン93及びサブピストン92が更に前進すると、プライマリピストン72がサブピストン92によって押圧されてサブピストン92と共に前進し、プライマリ室76を加圧してブレーキ液圧を発生させる。
このとき、プライマリ室76は、プライマリピストン72(受圧面積A)、サブピストン92(受圧面積B)及び入力ピストン93(受圧面積C)の合計受圧面積(A+B+C)によって加圧されるので、ホイールシリンダ17に供給するブレーキ液量を増大させることができ、ブレーキペダル22の踏力の増大により、必要な制動力を迅速に得ることができる。その結果、ブレーキペダルの可動範囲内において、ブレーキ踏力に応じて高減速度の達成が可能になる。
ここで、入力ピストン93が、車両の常用減速度に対応する液圧よりも大きな液圧となる位置まで前進したとき、プライマリピストン72が入力ピストン93と共に前進し始めるように、サブピストン92の大径部92bの前端部とプラマリピストン72の小径部72cの後端部とが当接する位置を設定するとよい。このように設定することで、倍力失陥時において、車両の常用減速度領域での必要ブレーキペダル踏力を低減できるとともに、緊急ブレーキ時の減速度を高めることが可能になる。
なお、上記第1乃至第4実施形態に係る液圧発生装置の特性は、図12及び図13に示されている。 図12は、ブレーキペダル22のストローク(図中Sで示す)とブレーキ液圧(車両減速度)(図中P(G)で示す)との関係を示している。図13において、(A)はブレーキペダル22のストローク(図中Sで示す)とブレーキ液圧(車両減速度)(図中P(G)で示す)との関係を示し、(B)はブレーキペダル22の踏力(図中Fで示す)とブレーキ液圧(車両減速度)(図中P(G)で示す)との関係を示し、(C)ブレーキペダル22の踏力(図中Fで示す)とストローク(図中Sで示す)との関係を示す。 図12及び図13中、実線(1)は、上記第1乃至第4実施形態の通常制動時の特性を表し、破線(2)は、上記第1及び第2実施形態の倍力失陥時の特性を表し、実線(3)は、上記第3及び第4実施形態の倍力失陥時の特性を表している。
上述したように、第1乃至第4実施形態の液圧発生装置においては、シリンダ本体と、該シリンダ本体に挿入され液圧を発生するピストンと、該ピストンを駆動するアクチュエータと、前記シリンダ本体に挿入されて前記アクチュエータにより前記ピストンと共に駆動されるサブピストンと、前記シリンダ本体に挿入されてブレーキペダルに連結された入力ピストンとを備え、前記サブピストンは、前記入力ピストンの前進により、前記入力ピストンに係合して前記ピストンとは独立して前記入力ピストンと共に前進することで液圧を発生するようになっている。
このような液圧発生装置によれば、電動モータが作動しない場合でも、ブレーキペダルの操作による制動機能を維持しつつ、ブレーキペダルの操作を好適に行うことができる。
第1乃至第4実施形態の液圧発生装置においては、前記シリンダ本体には液圧室が設けられ、前記サブピストンは、前記液圧室の液圧を受圧する外側寸法が、前記ピストンよりも小さく、かつ、前記入力部材よりも大きくなっている。
このような液圧発生装置によれば、電動モータが作動しない場合でも、必要な制動力を得るためのブレーキペダル踏力を比較的小さくすることが可能となる。
第1乃至第4実施形態の液圧発生装置においては、シリンダ本体と、該シリンダ本体に挿入され液圧を発生するピストンと、該ピストンを駆動するアクチュエータと、前記シリンダ本体に挿入されるサブピストンと、前記シリンダ本体に挿入されてブレーキペダルに連結された入力ピストンとを備え、前記サブピストンは、前記入力ピストンが所定量前進したときに前記入力ピストンに係合して前記入力ピストンと共に前進することで液圧を発生するようになっている。
このような液圧発生装置によれば、電動モータが作動しない場合でも、ブレーキペダルの操作による制動機能を維持しつつ、ブレーキペダルの操作を好適に行うことができる。
第3及び第4実施形態の液圧発生装置においては、前記ピストンが、前記サブピストンが所定量前進したとき、前記入力ピストンと共に前進して液圧を発生するようになっている。
このような液圧発生装置によれば、ブレーキペダルの可動ストローク範囲内において、ブレーキ踏力に応じた高減速度の達成が可能になる。
上記の課題を解決するために、本発明に係る一の液圧発生装置は、シリンダ本体と、該シリンダ本体に挿入され液圧を発生するピストンと、該ピストンを駆動するアクチュエータと、前記シリンダ本体に挿入されて前記アクチュエータにより前記ピストンと共に駆動されるサブピストンと、前記シリンダ本体に挿入されてブレーキペダルに連結された入力ピストンと、を備え、前記シリンダ本体には液圧室が設けられ、前記サブピストンは、前記液圧室の液圧を受圧する外側寸法が、前記ピストンよりも小さく、かつ、前記入力部材よりも大きくなっており、前記入力ピストンの前進により、前記入力ピストンに係合して前記ピストンとは独立して前記入力ピストンと共に前進することで液圧を発生することを特徴とする。
また、本発明に係る他の液圧発生装置は、シリンダ本体と、該シリンダ本体に挿入され液圧を発生するピストンと、該ピストンを駆動するアクチュエータと、前記シリンダ本体に挿入されるサブピストンと、前記シリンダ本体に挿入されてブレーキペダルに連結された入力ピストンと、を備え、前記サブピストンは、前記入力ピストンが所定量前進したときに前記入力ピストンに係合して前記入力ピストンと共に前進することで液圧を発生し、前記ピストンは、前記サブピストンが所定量前進したとき、前記入力ピストンと共に前進して液圧を発生することを特徴とする。

Claims (10)

  1. シリンダ本体と、該シリンダ本体に挿入され液圧を発生するピストンと、該ピストンを駆動するアクチュエータと、前記シリンダ本体に挿入されて前記アクチュエータにより前記ピストンと共に駆動されるサブピストンと、前記シリンダ本体に挿入されてブレーキペダルに連結された入力ピストンとを備え、前記サブピストンは、前記入力ピストンの前進により、前記入力ピストンに係合して前記ピストンとは独立して前記入力ピストンと共に前進することで液圧を発生することを特徴とする液圧発生装置。
  2. 前記シリンダ本体には液圧室が設けられ、 前記サブピストンは、前記液圧室の液圧を受圧する外側寸法が、前記ピストンよりも小さく、かつ、前記入力部材よりも大きくなっていることを特徴とする請求項1に記載の液圧発生装置。
  3. 前記サブピストンは、前記アクチュエータが駆動したときに前記ピストンにより移動することを特徴とする請求項1または2に記載の液圧発生装置。
  4. 前記サブピストンは、前記ピストンの前記液圧室に臨む先端側に当接することを特徴とする請求項3に記載の液圧発生装置。
  5. 前記アクチュエータには、前記ピストンを推進する直動部材が設けられ、前記サブピストンは、前記アクチュエータが駆動したときに前記直動部材により移動することを特徴とする請求項1または2に記載の液圧発生装置。
  6. 前記ピストンと、前記サブピストンと、前記入力ピストンとは、同軸上に配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の液圧発生装置。
  7. 前記入力ピストンと前記サブピストンとの間には、これらの間の相対変位に対してバネ力を付与するバネ手段が介装されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の液圧発生装置。
  8. シリンダ本体と、該シリンダ本体に挿入され液圧を発生するピストンと、該ピストンを駆動するアクチュエータと、前記シリンダ本体に挿入されるサブピストンと、前記シリンダ本体に挿入されてブレーキペダルに連結された入力ピストンとを備え、前記サブピストンは、前記入力ピストンが所定量前進したときに前記入力ピストンに係合して前記入力ピストンと共に前進することで液圧を発生することを特徴とする液圧発生装置。
  9. 前記ピストンは、前記サブピストンが所定量前進したとき、前記入力ピストンと共に前進して液圧を発生することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の液圧発生装置。
  10. 前記入力ピストンが、車両の常用減速度に対応する液圧よりも大きな液圧となる位置まで前進したとき、前記ピストンは、前記入力ピストンと共に前進し始めることを特徴とする請求項9に記載の液圧発生装置。
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