JPWO2013179639A1 - 無接点コネクタシステム - Google Patents

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Abstract

無接点コネクタ装置は、受信コイル2と電磁的に結合するように近接しかつ対向して設けられる送信コイルを備える。送信コイルは、送信コイルの中心を通る軸の周囲に巻回された内側送信コイル1bと、軸の周囲において内側コイルの外側に巻回された外側送信コイル1aとを備える。送信コイル1a,1bに電流を流すとき、内側送信コイル1bを流れる電流により軸の周囲に生じるループ電流の向きが外側送信コイル1aを流れる電流により軸の周囲に生じるループ電流の向きとは逆になるように、外側送信コイル1aの一端及び内側送信コイル1bの一端は互いに接続される。外側送信コイル1aの自己インダクタンスは内側送信コイル1bの自己インダクタンスより大きい。

Description

本開示は、コイル間の誘導結合を用いた無接点コネクタ装置及び無接点コネクタシステムと、それを備えた電力伝送装置及び電力伝送システムとに関する。
近年、携帯電話機や電気自動車などの移動性を伴う電子機器やEV機器において無線充電を行うために、コイル間の誘導結合を用いた無接点コネクタ装置及び無接点コネクタシステムと、それを備えた電力伝送装置及び電力伝送システムの開発が進んでいる。無接点の電力伝送システムとして、例えば特許文献1〜3の発明が知られている。
特許文献1の電池内蔵機器と充電台は、電源コイルに交流電源を接続してなる充電台と、この充電台にセットされて電源コイルに電磁結合される誘導コイルを内蔵する電池内蔵機器とからなり、電源コイルから誘導コイルに電力搬送される電力でもって、電池内蔵機器の内蔵電池を充電する。前記電源コイルが、平面コイルである内側コイルと、この内側コイルの外側に位置し、かつ内側コイルと同一平面に配置してなる平面コイルの外側コイルとからなり、前記充電台の交流電源は、内側コイルに交流電力を供給して、外側コイルに交流電力を供給しない内側コイル励起状態と、内側コイルと外側コイルの両方に交流電力を供給する内外コイル励起状態とを切り換える切換回路を備えており、充電台にセットされる電池内蔵機器によって、交流電源が内側コイル励起状態と内外コイル励起状態とを切り換えて、電池内蔵機器の誘導コイルに電力搬送する。すなわち、特許文献1の電池内蔵機器と充電台は、2つの励起状態を切り換えることで最適な電力伝送を実現することを特徴とする。
特許文献2の非接触電力伝送装置は、相対するコイル間の電磁誘導を用い、空隙を介して1次側コイルから2次側コイルに非接触にて電力を伝送する電力伝送装置に於いて、1次側を複数、2次側を一以上の平面型コイルで構成し、2次側コイル外径は1次側コイル外径よりも小とすることを特徴とする。特許文献2の非接触電力伝送装置は、複数の1次側コイルから最適なコイルを選択することで安定した電力伝送を実現することを特徴とする。
特許文献3の無線伝送システムは、無線電力伝送のための共振器を備え、これは、1つ以上のループを形成しかつ所定のインダクタンスを有する導体と、所定の容量及び所望の電気的パラメータを有しかつ上記導体に接続されているキャパシタネットワークとを備える。ここで、上記キャパシタネットワークは、電気的パラメータとして第1の温度プロファイルを有する第1のタイプの少なくとも1つのキャパシタと、電気的パラメータとして第2の温度プロファイルを有する第2のタイプの少なくとも1つのキャパシタとを有する。
このような無接点の電力伝送システムの原理は、無接点コネクタ装置を備えた情報伝送システムや、IH調理装置などの誘導加熱装置にも適用可能である。
特開2011−259534号公報 特開2009−164293号公報 米国特許出願公開第2010/0181845号明細書
無接点の電力伝送システムにおいて高い伝送効率を実現するには、送信側の電力伝送装置(例えば充電器)に備えられた送信コイルと受信側の電力伝送装置(例えば被充電器)に備えられた受信コイルとが電磁的に強く結合するように、送信コイル及び受信コイルの位置を正確に合わせて対向させることが必要になる。
特許文献1の発明によれば、対向する送信コイル及び受信コイルの位置が正確に合っているならば高い伝送効率を実現できるものの、位置がずれると伝送効率が低下するという課題がある。また、特許文献2の発明によれば、位置がずれても伝送効率は安定するが、送信コイルの面積が増大するという課題がある。
位置ずれによる伝送効率の低下を解決するために、特許文献3の発明では、整合回路を動的に変更している。しかしながら、このような解決法は制御が複雑になるという課題があった。
同様の問題点は、無接点の電力伝送システムだけでなく、無接点コネクタ装置を備えた情報伝送システムや、誘導加熱装置にも存在する。
本開示の目的は、以上の問題点を解決し、簡単な構成でありながら、送信コイル及び受信コイルの位置ずれに強くかつ伝送効率の高い無接点コネクタ装置及び無接点コネクタシステムを提供し、また、そのような無接点コネクタ装置を備えた電力伝送装置及び電力伝送システムを提供することにある。
本開示の態様に係る無接点コネクタ装置によれば、
第2のコイルと電磁的に結合するように近接しかつ対向して設けられる第1のコイルを備えた無接点コネクタ装置において、
上記第1のコイルは、上記第1のコイルの中心を通る軸の周囲に巻回された内側コイルと、上記軸の周囲において上記内側コイルの外側に巻回された外側コイルとを備え、
上記第1のコイルに電流を流すとき、上記内側コイルを流れる電流により上記軸の周囲に生じるループ電流の向きが上記外側コイルを流れる電流により上記軸の周囲に生じるループ電流の向きとは逆になるように、上記外側コイルの一端及び上記内側コイルの一端は互いに接続され、
上記外側コイルの自己インダクタンスは上記内側コイルの自己インダクタンスより大きい。
本開示の無接点コネクタ装置及び無接点コネクタシステム、電力伝送装置及び電力伝送システムによれば、非常に簡単な構成でありながら、送信コイル及び受信コイルの間に位置ずれが生じても、十分な伝送効率で安定した電力を伝送することができる。
第1の実施形態に係る無接点コネクタシステムの概略構成を示す斜視図である。 図1の送信コイル1a,1bの概略構成を示す上面図である。 図1のA1−A1’線における断面図である。 図1の無接点コネクタシステムの等価回路の一例を示す回路図である。 図1の送信コイル1a,1b及び受信コイル2の間の結合係数kを変化させたときの伝送効率の周波数特性を示す概略図である。 第1の実施形態に係る比較例の無接点コネクタシステムの送信コイル1a,1cを示す上面図である。 図6の無接点コネクタシステムに係る、位置の変位dxに対する相互インダクタンスの変化を概略的に示す図である。 図1の無接点コネクタシステムに係る、位置の変位dxに対する相互インダクタンスの変化を概略的に示す図である。 第1の実施形態の第1の変形例に係る無接点コネクタシステムの送信コイルの概略構成を示す上面図である。 第1の実施形態の第2の変形例に係る無接点コネクタシステムの送信コイルの概略構成を示す上面図である。 第1の実施形態の第3の変形例に係る無接点コネクタシステムの送信コイルの概略構成を示す上面図である。 第1の実施形態の第4の変形例に係る無接点コネクタシステムの概略構成を示す斜視図である。 第1の実施形態の第5の変形例に係る無接点コネクタシステムの概略構成を示す斜視図である。 第2の実施形態に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す上面図である。 図14の磁性体基板13を示す上面図である。 図14のA2−A2’線における断面図である。 第3の実施形態に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す上面図である。 第3の実施形態の変形例に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す上面図である。 第4の実施形態に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す上面図である。 図19のA3−A3’線における断面図である。 第4の実施形態の第1の変形例に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す上面図である。 図21のA4−A4’線における断面図である。 第4の実施形態の第2の変形例に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す上面図である。 図23のA5−A5’線における断面図である。 第4の実施形態の第3の変形例に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す上面図である。 図25のA6−A6’線における断面図である。 第4の実施形態の第4の変形例に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す上面図である。 図27のA7−A7’線における断面図である。 第4の実施形態の第5の変形例に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す断面図である。 第4の実施形態の第6の変形例に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す断面図である。 第5の実施形態に係る無接点コネクタシステムの送信コイルの部分を示す図である。 第6の実施形態に係る無接点コネクタシステムの送信コイルの部分を示す図である。 第7の実施形態に係る無接点コネクタシステムの送信コイルの概略構成を示す上面図である。 第8の実施形態に係る無接点コネクタシステムの送信コイルのアレーを示す概略図である。 第8の実施形態に係る比較例の無接点コネクタシステムの送信コイルのアレーを示す概略図である。 第9の実施形態に係る電力伝送システムの概略構成を示すブロック図である。 第1の実施例に係る無接点コネクタシステムの送信コイル及び受信コイルのモデルを示す斜視図である。 第1の比較例に係る無接点コネクタシステムの各コイル間の相互インダクタンスを示すグラフである。 第1の実施例に係る無接点コネクタシステムの各コイル間の相互インダクタンスを示すグラフである。 図38及び図39に示す各相互インダクタンスを合計した結果を示すグラフである。 第2の実施例に係る無接点コネクタシステムの概略構成を示す断面図である。 第2の実施例及び第2の比較例に係る無接点コネクタシステムの相互インダクタンスを示すグラフである。 第2の比較例に係る無接点コネクタシステムの伝送効率を示すグラフである。 第2の実施例に係る無接点コネクタシステムの伝送効率を示すグラフである。 第3の実施例の無接点コネクタシステムの概略構成を示す断面図である。 図45の無接点コネクタシステムに係る、位置の変位dx及び内側コイルの巻数に対する相互インダクタンスの変化を示すグラフである。 第4の実施例及び第3の比較例に係る無接点コネクタシステムの規格化された送電可能エリアを示すグラフである。 第4の実施例及び第3の比較例に係る無接点コネクタシステムの送電可能エリアの拡大率を示すグラフである。
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、同様の構成要素については同一の符号を付している。
第1の実施形態.
図1は、第1の実施形態に係る無接点コネクタシステムの概略構成を示す斜視図である。図2は、図1の送信コイル1a,1bの概略構成を示す上面図である。図3は、図1のA1−A1’線における断面図である。本実施形態の無接点コネクタシステムは、送信コイル1a,1bを備えた送信側の無接点コネクタ装置と、受信コイル2を備えた受信側の無接点コネクタ装置とを含み、送信コイル1a,1b及び受信コイル2の間の電磁結合を用いて信号又は電力などを伝送する。
図1において、送信側の無接点コネクタ装置の筐体を符号11により示し、受信側の無接点コネクタ装置の筐体を符号12により示す。図1他では、図示の簡単化のために、信号又は電力を伝送するために必要な電源、送信回路、受信回路などを省略する。
図1〜図3を参照すると、送信コイル1a,1bは、その中心O1を通る軸の周囲に巻回された内側送信コイル1bと、軸の周囲において内側送信コイルの外側に巻回された外側送信コイル1aとを含む。受信コイル2は、その中心O2を通る軸の周囲に巻回される。例えば、送信コイル1a,1bは、第1の面(XY面に実質的に平行な、筐体11の上面)に沿って設けられ、受信コイル2は、第1の面に近接して対向する第2の面(XY面に実質的に平行な、筐体12の下面)に沿って設けられる。送信コイル1a,1b及び受信コイル2は、互いに近接して対向したことにより、互いに電磁的に結合する。送信コイルは、その中心O1を通る軸の周囲において時計回り(図1において上から見たとき)に巻回された外側送信コイル1aと、軸の周囲において外側送信コイル1aの内側に反時計回り(図1において上から見たとき)に巻回された内側送信コイル1bとを備える。すなわち、内側送信コイル1bが軸の周囲に巻回される方向は、外側送信コイル1aが軸の周囲に巻回される方向とは逆である。外側送信コイル1aはその両端に端子P1,P2を有し、内側送信コイル1bはその両端に端子P3,P4を有する。送信コイル1a,1bに電流を流すとき、内側送信コイル1bを流れる電流により軸の周囲に生じるループ電流の向きが外側送信コイル1aを流れる電流により軸の周囲に生じるループ電流の向きとは逆になるように、端子P2,P3は接続素子3により互いに接続される。また、端子P1,P4は送信回路(図示せず)に接続される。また、受信コイル2は、その中心O2を通る軸の周囲に時計回り又は反時計回りに巻回される。受信コイル2はその両端に端子P5,P6を有し、端子P5,P6は、受信回路(図示せず)に接続される。
送信コイル1a,1bは、外側送信コイル1aの自己インダクタンスが内側送信コイル1bの自己インダクタンスより大きくなるように構成される。外側送信1aコイルの自己インダクタンスに対する内側送信コイル1bの自己インダクタンスの比は、例えば、図47及び図48を参照して説明するように、0より大きく0.45未満である。
例えば、外側送信コイル1aの巻数を10回とし、内側送信コイル1bの巻数を5回とし、直径方向の長さの比を1:1として、送信コイル1a,1bを構成することができるが、これらの値に限定されるものではない。送信コイル1a,1bの特性には、巻数と直径方向の長さとの両方が影響する可能性があるが、本願発明者は、主に直径方向の長さが影響することを確かめた。本願発明者が行った実験では、直径3〜4cmのサイズを有する送信コイル及び受信コイルを用いて、送信コイル1a,1bに100〜200kHzの交流電流を流すことにより、5Wの電力を伝送することができた。
以下、本実施形態の無接点コネクタシステムの動作原理について説明する。
図3に示すように、送信コイル1a,1b及び受信コイル2が、Z方向にdzにわたって離隔し、送信コイル1a,1bの中心O1及び受信コイル2の中心O2が、X方向にdxにわたって変位する場合を考える。
一般に、従来技術の無接点コネクタシステムにおいて、送信コイルに電流が流れると、その電流により形成される送信コイルの周囲の電磁界により受信コイルに誘導起電力が生じ、受信コイルに誘導電流が流れる。言い換えれば、送信コイル及び受信コイルは互いに電磁的に結合している。この結合の強さを評価する指標として、次式の結合係数kが用いられる。
k=M/(√L1×√L2)
ここで、Mは、送信コイル及び受信コイルの間の相互インダクタンスを表し、L1は送信コイルの自己インダクタンスを表し、L2は受信コイルの自己インダクタンスを表す。結合係数kは、0≦|k|≦1の値をとる。
図4は、図1の無接点コネクタシステムの等価回路の一例を示す回路図である。Qは信号源であり、Z01は送信回路の内部インピーダンスであり、Z02は受信回路及び負荷の負荷インピーダンスであり、R1,R2は抵抗成分であり、C1,C2は整合用のキャパシタである。無接点コネクタシステムが角周波数ωで動作するとき、伝送効率を表すパラメータS21は、送信コイル1a,1b及び受信コイル2の自己インダクタンスL1,L2及び相互インダクタンスMを用いて次式のように表すことができる。
Figure 2013179639
なお、図4の等価回路及びこのパラメータS21の式は単なる一例であり、無接点コネクタシステムの等価回路及び伝送効率は他の任意の適切なモデルで表されてもよい。例えば、送信回路の構成によっては、実質的に内部インピーダンスZ01が存在しない場合もある。以下の動作原理の説明は、図4とは異なる等価回路で表される無接点コネクタシステムにも同様にあてはまる。
送信コイル1a,1b及び受信コイル2が電磁的に強く結合している場合、|k|≒1になるが、距離dxあるいはdzが増大するにつれて、|k|の値は減少していき、送信コイル1a,1b及び受信コイル2が電磁的に結合していない場合、|k|=0になる。
図5は、図1の送信コイル1a,1b及び受信コイル2の間の結合係数kを変化させたときの伝送効率の周波数特性を示す概略図である。図5では、Q値は一定であると仮定する。図5によれば、結合係数kの大小に応じて伝送効率の帯域幅が変化することがわかる。通常、送信コイル1a,1b及び受信コイル2の位置が合っているとき(図3の中心O1,O2が一致しているとき)は、送信コイル1a,1b及び受信コイル2の電磁結合が強く、伝送効率は2峰性かつ狭帯域の特性になり、広帯域動作を実現することができない。従って、広帯域動作を実現するには、送信コイル1及び受信コイル2が互いに近接しているときに結合係数kを低下させる、すなわち、相互インダクタンスMを低下させる必要がある。一方、送信コイル1a,1b及び受信コイル2の位置がずれているときは、送信コイル1a,1b及び受信コイル2の電磁結合が小さくなり、伝送効率は2峰性から単峰性になるが、送信コイル1a,1b及び受信コイル2の間の距離が増大するにつれて伝送効率が低下する。従って、この場合では逆に、結合係数kを増大させる、すなわち、相互インダクタンスMを増大させる必要がある。まとめると、送信コイル1a,1b及び受信コイル2の位置が一致しているときは相互インダクタンスMを弱める一方、位置がずれているときには相互インダクタンスMの低下を抑制することが、送信コイル1a,1b及び受信コイル2の位置の変位に起因する伝送効率の変動を防止するためのポイントとなる。
図6は、第1の実施形態に係る比較例の無接点コネクタシステムの送信コイル1a,1cを示す上面図である。図6の送信コイル1a,1cは、従来技術の無接点コネクタシステムの送信コイルを図1の無接点コネクタシステムと対比するように示したものである。図1の無接点コネクタシステムは、反時計回りに巻回した内側送信コイル1bを備えていたが、図6の無接点コネクタシステムは、時計回りに巻回した内側送信コイル1cを備えている。すなわち、内側送信コイル1bが中心O1を通る軸の周囲に巻回される方向は、外側送信コイル1aが軸の周囲に巻回される方向と同じである。図6の送信コイル1a,1cに電流を流すとき、内側送信コイル1cを流れる電流により軸の周囲に生じるループ電流の向きが外側送信コイル1aを流れる電流により軸の周囲に生じるループ電流の向きと同じになるように、端子P2,P3は接続素子3Aにより互いに接続される。
図7は、図6の無接点コネクタシステムに係る、位置の変位dxに対する相互インダクタンスの変化を概略的に示す図である。位置の変位dxを、図3と同様に定義する。図7において、「1a」は、図6の外側送信コイル1aと、図1の受信コイル2と同様の受信コイル(図示せず)との相互インダクタンスを示し、「1c」は、図6の内側送信コイル1cと受信コイルとの相互インダクタンスを示し、「1a+1c」は、送信コイル1a,1cの全体と受信コイルとの相互インダクタンスを示す。「1c」の相互インダクタンスは、位置の変位dxが0又は小さな値であるときは高い値を有するが、位置の変位dxが増大するにつれて小さくなり、ある地点で負になる。従って、「1a+1c」の相互インダクタンスは、位置の変位dxが0又は小さな値であるときは高い値を有する一方、位置の変位dxが大きいときには小さい値になり、その変動幅は大きい。
図8は、図1の無接点コネクタシステムに係る、位置の変位dxに対する相互インダクタンスの変化を概略的に示す図である。図8において、「1a」は、外側送信コイル1aと受信コイル2との相互インダクタンスを示し、「1b」は、内側送信コイル1bと受信コイル2との相互インダクタンスを示し、「1a+1b」は、送信コイル1a,1bの全体と受信コイル2との相互インダクタンスを示す。前述のように、送信コイル1a,1bに電流を流すとき、内側送信コイル1bを流れる電流により中心O1を通る軸の周囲に生じるループ電流の向きが外側送信コイル1aを流れる電流により軸の周囲に生じるループ電流の向きとは逆になるように、送信コイル1a,1bは構成されている。本実施形態の無接点コネクタシステムでは、さらに、位置の変位dxが0及び小さな値であるとき、内側送信コイル1bと受信コイル2との相互インダクタンスが負の値になるように、かつ、位置の変位dxが所定値を超えるとき、内側送信コイル1bと受信コイル2との相互インダクタンスが正の値になるように構成する。こうすることで、位置の変位dxが0及び小さな値であるときは、送信コイル1a,1bの全体と受信コイル2との相互インダクタンスを低下させ、電磁結合を弱めることができるという効果がある。また、位置の変位dxが大きいときには、送信コイル1a,1bの全体と受信コイル2との相互インダクタンスの低下を、従来技術の無接点コネクタシステムの場合(図7)よりも抑圧できるという効果がある。結果として、送信コイル1a,1b及び受信コイル2の位置関係に関わらず、十分な伝送効率で安定した電力を伝送することができる。さらには、従来であれば、伝送効率の低下に対処するために送信電力を増大させなければならず、結果として発熱量が増大していたが、本実施形態の無接点コネクタシステムでは伝送効率が低下しないので、発熱も防止できるという効果がある。
結合係数kについて、図5を参照してさらに説明する。前述のように、送信コイル1a,1b及び受信コイル2の電磁的結合が強い場合は、2峰性かつ狭帯域の特性であるが、結合係数kを次第に低下させると、伝送効率の2つのピークの間の周波数間隔は次第に小さくなり、かつ、2つのピークの間の伝送効率の極小値は次第に増大する。この周波数間隔が実質的に0になったとき、言い換えると、伝送効率の2つのピークとその間の極小値との差が小さくなったとき(例えば5〜10%)、電力伝送システムの帯域幅は最大になる。この条件を満たすように、結合係数kは決定され、この結合係数kの値を達成するように、電力伝送システムの各パラメータ(送信コイル1a,1b及び受信コイル2の巻数、直径方向の長さ、など)は決定される。
本実施形態の無接点コネクタシステムは、上述の構成を備えたことにより、非常に簡単な構成でありながら、送信コイル及び受信コイルの間に位置ずれが生じても、十分な伝送効率で安定した電力を伝送することができる。
図9は、第1の実施形態の第1の変形例に係る無接点コネクタシステムの送信コイルの概略構成を示す上面図である。外側送信コイル1a及び内側送信コイル1bは、送信コイル1a,1bに電流を流すとき、内側送信コイル1bを流れる電流により中心O1を通る軸の周囲に生じるループ電流の向きが外側送信コイル1aを流れる電流により軸の周囲に生じるループ電流の向きとは逆になるのであれば、図1の場合とは異なる方法で接続されてもよい。図9では、端子P1,P4が接続素子3Bにより互いに接続される。また、端子P2,P3が送信回路(図示せず)に接続される。
図10は、第1の実施形態の第2の変形例に係る無接点コネクタシステムの送信コイルの概略構成を示す上面図である。図11は、第1の実施形態の第3の変形例に係る無接点コネクタシステムの送信コイルの概略構成を示す上面図である。図10及び図11の無接点コネクタシステムは、図6の無接点コネクタシステムと同様に、時計回りに巻回した内側送信コイル1cを備えている。図10の場合は、送信コイル1a,1cに電流を流すとき、内側送信コイル1cを流れる電流により中心O1を通る軸の周囲に生じるループ電流の向きが外側送信コイル1aを流れる電流により軸の周囲に生じるループ電流の向きとは逆になるように、端子P2,P4が接続素子3Cにより互いに接続される。また、このとき、端子P1,P3が送信回路(図示せず)に接続される。図11の場合は、同様に、端子P1,P3が接続素子3Dにより互いに接続され、端子P2,P4が送信回路(図示せず)に接続される。
図9〜図11の無接点コネクタシステムもまた、図1の無接点コネクタシステムと同様に、非常に簡単な構成でありながら、送信コイル及び受信コイルの間に位置ずれが生じても、十分な伝送効率で安定した電力を伝送することができる。
図12は、第1の実施形態の第4の変形例に係る無接点コネクタシステムの概略構成を示す斜視図である。本変形例の無接点コネクタシステムは、送信コイル1を備えた送信側の無接点コネクタ装置と、受信コイル2a,2bを備えた受信側の無接点コネクタ装置とを含む。本変形例の無接点コネクタシステムでは、送信コイル1ではなく受信コイル2a,2bに電流を流すとき、内側受信コイル2bを流れる電流により内側受信コイル2bの中心を通る軸の周囲に生じるループ電流の向きが外側受信コイル2aを流れる電流により軸の周囲に生じるループ電流の向きとは逆になるように、受信コイル2a,2bが構成されている。
図12において、送信コイル1は、その中心を通る軸の周囲に巻回される。受信コイル2は、その中心を通る軸の周囲に巻回された内側受信コイル2bと、軸の周囲において内側受信コイルの外側に巻回された外側受信コイル2aとを含む。例えば、送信コイル1は、第1の面(XY面に実質的に平行な、筐体11の上面)に沿って設けられ、受信コイル2a,2bは、第1の面に近接して対向する第2の面(XY面に実質的に平行な、筐体12の下面)に沿って設けられる。送信コイル1及び受信コイル2a,2bは、互いに近接して対向したことにより、互いに電磁的に結合する。送信コイル1は、その中心を通る軸の周囲において時計回り又は反時計回りに巻回される。送信コイル1はその両端に端子P7,P8を有し、端子P7,P8は、送信回路(図示せず)に接続される。また、受信コイルは、その中心を通る軸の周囲において時計回りに巻回された外側受信コイル2aと、軸の周囲において外側受信コイル2aの内側に反時計回りに巻回された内側受信コイル2bとを備える。外側受信コイル2aはその両端に端子P9,P10を有し、内側受信コイル2bはその両端に端子P11,P12を有する。受信コイル2a,2bに電流を流すとき、内側受信コイル2bを流れる電流により内側受信コイル2bの中心を通る軸の周囲に生じるループ電流の向きが外側受信コイル2aを流れる電流により軸の周囲にに生じるループ電流の向きとは逆になるように、端子P10,P11は接続素子4により互いに接続される。また、端子P9,P12は受信回路(図示せず)に接続される。
図13は、第1の実施形態の第5の変形例に係る無接点コネクタシステムの概略構成を示す斜視図である。図13に示すように、図1の送信側の無接点コネクタ装置と、図12の受信側の無接点コネクタ装置とを組み合わせてもよい。
図12及び図13の無接点コネクタシステムもまた、図1の無接点コネクタシステムと同様に、非常に簡単な構成でありながら、送信コイル及び受信コイルの間に位置ずれが生じても、十分な伝送効率で安定した電力を伝送することができる。
第2の実施形態.
図14は、第2の実施形態に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す上面図である。図15は、図14の磁性体基板13を示す上面図である。図16は、図14のA2−A2’線における断面図である。送信側の無接点コネクタ装置は、端子P1,P4にそれぞれ接続された導線5,6と、送信コイル1a,1bに対して、受信コイルが近接して設けられる側とは逆の側に設けられた磁性体基板13とを備える。導線5,6は送信回路(図示せず)に接続される。磁性体基板13は、例えばフェライトであり、送信回路のためのシールドとして機能する。図15に示すように、磁性体基板13は、送信コイル1a,1b及び導線5,6の少なくとも一部を収容する溝部G1,G2をさらに有してもよい。図14〜図16に示す場合、導線6が送信コイル1a,1bの下を通るように設けられるので、導線6を溝部G1に収容する。通常、内側送信コイル1bから外側送信コイル1aの外部への導線6が存在することで、送信コイルの厚みが増加してしまうが、導線6を溝部G1に収容することにより、無接点コネクタ装置から余分な突起部を除去できるという効果がある。また、図31に示すように単一の導線を折り返すことで外側送信コイル1a及び内側送信コイル1bを構成する場合には、導線の折り返し部分において送信コイルの厚みが増加してしまうが、この場合は、導線の折り返し部分を溝部G2に収容することにより、無接点コネクタ装置から余分な突起部を除去できるという効果がある。導線の折り返し部分のための溝部G2は、必要に応じて設ければよい。
第3の実施形態.
図17は、第3の実施形態に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す上面図である。送信側の無接点コネクタ装置は、端子P1,P4にそれぞれ接続された導線5,6Aを備える。端子P4は中心O1を通る軸に近接し、端子P1は軸から遠隔している。内側送信コイル1bの端子P4に接続された導線6Aは、軸から次第に遠隔するように軸の周囲において時計回りに巻回されている。図14の磁性体基板13が非常に薄く、導線6を完全に収容する溝部G1を設けることができない場合、図17に示すように巻回された導線6Aを使用してもよく、これにより、無接点コネクタ装置から余分な突起部を除去することができる。また、巻回された導線6Aと受信コイルとの相互インダクタンスによって、位置ずれに対する耐性をさらに強化できるという効果がある。導線6Aが絶縁被覆を有する場合は、導線6Aと内側送信コイル1b及び外側送信コイル1aとが接触していてもよい。
図18は、第3の実施形態の変形例に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す上面図である。送信側の無接点コネクタ装置は、端子P1,P4にそれぞれ接続された導線5,6Bを備える。内側送信コイル1bの端子P4に接続された導線6Bは、中心O1を通る軸から次第に遠隔するように軸の周囲において反時計回りに巻回されている。図18の無接点コネクタ装置も、図17の無接点コネクタ装置と同様の効果を有する。導線6Bが絶縁被覆を有する場合は、導線6Bと内側送信コイル1b及び外側送信コイル1aとが接触していてもよい。
第4の実施形態.
図19は、第4の実施形態に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す上面図である。図20は、図19のA3−A3’線における断面図である。図19の送信コイル1a,1bは、図1の送信コイル1a,1bと同様である。外側送信コイル1a及び内側送信コイル1bのそれぞれは、プリント配線基板の誘電体基板14の少なくとも一方の面上に配線パターン形成法により形成(パターン形成)されてもよい。図19では、外側送信コイル1a、内側送信コイル1b、及び接続素子3は、誘電体基板14の上面にパターン形成される。無接点コネクタ装置は、端子P1,P4にそれぞれ接続された導線5,6を備える。導線5は、誘電体基板14の上面にパターン形成される。導線6は、誘電体基板14の下面にパターン形成された導体と、誘電体基板14を貫通するビア導体15とを含む。
図21は、第4の実施形態の第1の変形例に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す上面図である。図22は、図21のA4−A4’線における断面図である。図21では、外側送信コイル1a及び接続素子3は誘電体基板14の上面にパターン形成され、内側送信コイル1bは誘電体基板14の下面にパターン形成される。導線5は、誘電体基板14の上面にパターン形成される。無接点コネクタ装置は、誘電体基板14を貫通して接続素子3及び内側送信コイル1bを互いに接続するビア導体15をさらに含む。
図23は、第4の実施形態の第2の変形例に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す上面図である。図24は、図23のA5−A5’線における断面図である。送信コイル1a,1bは、図23に示すように、部分的に誘電体基板14の上面にパターン形成され、部分的に誘電体基板14の下面にパターン形成されてもよい。誘電体基板14の上面にパターン形成された部分と、誘電体基板14の下面にパターン形成された部分とは、誘電体基板14を貫通するビア導体15Dを介して互いに接続される。図23の構成によれば、受信コイルと電磁結合する方向を鉛直方向(Z方向)から傾けることができる。
図25は、第4の実施形態の第3の変形例に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す上面図である。図26は、図25のA6−A6’線における断面図である。図25の送信コイル1a,1cは、図10の送信コイル1a,1cと同様である。無接点コネクタ装置は、端子P1,P3にそれぞれ接続された導線5,6Cを備える。導線5は、誘電体基板14の下面にパターン形成された導体と、誘電体基板14を貫通するビア導体15B1とを含む。導線6Cは、誘電体基板14の下面にパターン形成された導体と、誘電体基板14を貫通するビア導体15B2,15B3とを含む。
図27は、第4の実施形態の第4の変形例に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す上面図である。図28は、図27のA7−A7’線における断面図である。図27では、外側送信コイル1aは誘電体基板14の上面にパターン形成され、内側送信コイル1bは誘電体基板14の下面にパターン形成される。接続素子3は、誘電体基板14の上面にパターン形成された導体と、誘電体基板14を貫通するビア導体15Cとを含む。導線5は、誘電体基板14の上面にパターン形成される。導線6Cは、誘電体基板14の下面にパターン形成される。
図29は、第4の実施形態の第5の変形例に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す断面図である。図30は、第4の実施形態の第6の変形例に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す断面図である。図29及び図30に示すように、送信コイルは、誘電体基板14の両面にパターン形成されてもよい。図29の無接点コネクタ装置は、誘電体基板14の両面にパターン形成された外側送信コイル1a及び外側送信コイル1aaと、誘電体基板14の両面にパターン形成された内側送信コイル1b及び内側送信コイル1baとを備える。図30の無接点コネクタ装置は、誘電体基板14の両面にパターン形成された外側送信コイル1ab及び外側送信コイル1acと、誘電体基板14の両面にパターン形成された内側送信コイル1bb及び内側送信コイル1bcとを備える。送信コイルの巻数は、図29に示すように、誘電体基板14の上面及び下面で均等であってもよく、図30に示すように、無接点コネクタ装置の特性の微調整のために、誘電体基板14の上面及び下面で不均等であってもよい。
図19〜図30の無接点コネクタ装置によれば、誘電体基板14上に外側送信コイル1a及び内側送信コイル1bを一体形成することで薄型化できるという効果がある。
第5の実施形態.
図31は、第5の実施形態に係る無接点コネクタシステムの送信コイルの部分を示す図である。図1の外側送信コイル1a、内側送信コイル1b、及び接続素子3は、別個の導線であることに限定されず、単一の導線を折り返すことで外側送信コイル1a、内側送信コイル1b、及び接続素子3を構成してもよい。これにより、送信コイルの構成を簡単化することができる。
一方、外側送信コイル1a、内側送信コイル1b、及び接続素子3は、別個の導線、パターン形成された導体、はんだなどにより構成した場合、又は異なる材料を用いて構成した場合には、例えばループに沿った経路長の長い外側送信コイル1aのみに低抵抗の材料を用いたりすることで、無接点コネクタ装置全体のコストを削減できるという効果がある。
第6の実施形態.
図32は、第6の実施形態に係る無接点コネクタシステムの送信コイルの部分を示す図である。外側送信コイル1aの端子P2及び内側送信コイル1bの端子P3は、所定のインピーダンスを有する受動素子であるインピーダンス素子21を介して互いに接続されてもよい。インピーダンス素子21は、抵抗、キャパシタ、インダクタ、電流反転回路のいずれかである。
例えば、インピーダンス素子21として抵抗を用いたとき、Q値を低下させ、広帯域化できるという効果がある。さらに、例えば1Ω以下の抵抗を用いることで、波形の歪みを低減し、ノイズへの耐性を向上させてもよい。
また、インピーダンス素子21としてキャパシタを用いたとき、送信コイル1a,1bの外部に設けることが必要になる整合回路の面積を低減できるという効果がある。また、インピーダンス素子21として設けたキャパシタと、送信コイル1a,1bの外部に設けたキャパシタとの組み合わせを用いてもよい。また、例えば100〜300nFのキャパシタを用いることで、共振周波数を調整してもよい。
また、インピーダンス素子21としてインダクタを用いたとき、内側送信コイル1bと外側送信コイル1aとを互いに逆方向に巻回することで低下する送信コイル1a,1bの全体の自己インダクタンスを増大させることができるという効果がある。また、インダクタを用いることで、送信コイル1a,1bの電気長を増大させてもよい。
また、インピーダンス素子21として電流反転回路(例えば、1:1トランスなど)を用いて、送信コイル1a,1bを流れる電流の正負を反転させてもよい。
インピーダンス素子21としてこれらの受動素子を組み合わせることで、整合回路の面積を低減しつつ、伝送効率をさらに向上させるように送信コイル1a,1bのインピーダンスを調整できるという効果がある。
第7の実施形態.
図33は、第7の実施形態に係る無接点コネクタシステムの送信コイルの概略構成を示す上面図である。送信側の無接点コネクタ装置は、送信コイルに電流を流すとき、内側送信コイル1bを流れる電流により中心O1を通る軸の周囲に生じるループ電流とは逆に流れるループ電流が軸の周囲に生じるように、軸の周囲において内側送信コイル1bのさらに内側に追加の送信コイル1dを備えてもよい。追加の送信コイル1dは、例えば時計回りに巻回される。追加の送信コイル1dはその両端に端子P13,P14を有する。送信コイルに電流を流すとき、追加の送信コイル1dを流れる電流により軸の周囲に生じるループ電流の向きが内側送信コイル1bを流れる電流により軸の周囲に生じるループ電流の向きとは逆になるように、端子P4,P13は接続素子7により互いに接続される。この構成によれば、追加の送信コイル1dを備えたことにより、無接点コネクタ装置の特性を微調整することができる。
図33の構成では、追加の送信コイル1dが中心O1を通る軸の周囲に巻回される方向が、内側送信コイル1bが軸の周囲に巻回される方向とは逆であったが、これらの方向は同じであってもよい。この場合、送信コイルに電流を流すとき、追加の送信コイル1dを流れる電流により軸の周囲に生じるループ電流の向きが内側送信コイル1bを流れる電流により軸の周囲に生じるループ電流の向きとは逆になるように、送信コイル1a,1b,1dは構成される。また、同様に、追加の送信コイル1dよりもさらに内側の送信コイルを備えてもよい。
第8の実施形態.
図34は、第8の実施形態に係る無接点コネクタシステムの送信コイルのアレーを示す概略図である。図35は、第8の実施形態に係る比較例の無接点コネクタシステムの送信コイルのアレーを示す概略図である。図34のアレーは、規則的に配置された複数の送信コイル31−1〜31−3を備える。送信コイル31−1〜31−3は、互いに等間隔D11を有して位置する複数の平行な軸の周囲にそれぞれ巻回されている。送信コイル31−1〜31−3のそれぞれは、図1他の送信コイルと同様に構成される。また、図35のアレーは、図6と同様に(又は、図1の内側送信コイル1bを含まずに)構成された、複数の送信コイル32−1〜32−3を備える。図34及び図35の送信コイルの上方に示した太点線は、各送信コイルと受信コイル(図示せず)との相互インダクタンスを示し、太点線の上の実線は、各送信コイルに係る相互インダクタンスを合成したものを示す。図35のアレーでは、複数の送信コイルを配置しても、隣接する送信コイル間に受信コイルが位置するとき、相互インダクタンスが低下し、伝送効率が低下するという課題があった。一方、図34のアレーでは、各送信コイルが、非常に簡単な構成でありながら、送信コイル及び受信コイルの間に位置ずれが生じても、十分な伝送効率で安定した電力を伝送することができるので、アレー全体でも、位置に依存しない安定した電力伝送を実現できるという効果がある。図34では、一直線上に配置された3つの送信コイル31−1〜31−3を示したが、4つ以上の送信コイルを配置してもよく、また、複数の送信コイルを2次元的に配置してもよい。
第9の実施形態.
図36は、第9の実施形態に係る電力伝送システムの概略構成を示すブロック図である。以上説明した無接点コネクタシステムを備えた電力伝送システムを構成することができる。電力伝送システムは、送信側の無接点コネクタ装置を備えた送電側の電力伝送装置と、受信側の無接点コネクタ装置を備えた受電側の電力伝送装置からなるものとする。図36を参照すると、送電側の電力伝送装置において、送信コイル1a,1b(図1)は送電回路102に接続され、送電回路102は電源101に接続される。受電側の電力伝送装置において、受信コイル2(図1)は受電回路103に接続され、受電回路103は負荷104(例えば電池など)に接続される。送信コイル1a,1bに電力が供給されると送信コイル1に電流が流れ、その電流により形成される送信コイル1a,1bの周囲の電磁界により受信コイル2に誘導起電力が生じ、受信コイル2に誘導電流が流れる。この誘導電流を負荷104で取り出すことにより、送信コイル1a,1b及び受信コイル2の間で電力を伝送することができる。
本実施形態の電力伝送システムによれば、非常に簡単な構成でありながら、送信コイル1a,1b及び受信コイル2の間に位置ずれが生じても、十分な伝送効率で安定した電力を伝送することができる。
以上説明した無接点コネクタシステムを用いて、電力を伝送することに代えて、信号を伝送してもよい。
以上説明した電力伝送システムの原理を用いて、誘導加熱装置を構成することができる。誘導加熱装置において、誘導加熱コイルとしての図1の送信コイルは調理回路に接続され、調理回路は電源に接続される。さらに、図1の受信コイル2に代えて、鍋等の誘導加熱用調理容器が設けられる。鍋は、送信コイルに電磁的に結合するように送信コイルに近接して設けられる。なお、送信コイルと鍋との間の電磁的結合により、送信コイルに電流が流れると、その電流により形成される送信コイルの周囲の電磁界により鍋の底面に誘導起電力が生じ、誘導された渦電流が鍋の底面に流れる。この渦電流を等価的に損失性のコイルとみなせるので、鍋の自己インダクタンスと、送信コイル及び鍋の間の相互インダクタンスとを定義することができる。このような誘導加熱装置によれば、非常に簡単な構成でありながら、送信コイル及び鍋の間に位置ずれが生じても、十分な伝送効率で安定して鍋を加熱することができる。
なお、第2〜第9の実施形態を、送信側の無接点コネクタ装置を参照して説明したが、これらの構成は、受信側の無接点コネクタ装置(図12)にも適用可能である。
また、送信コイル及び受信コイルの形状は円形だけに限らず、矩形や楕円形など任意の形状をとってもよい。
また、外側送信コイルの巻数及び内側送信コイルの巻数は整数回に限らず、分数回又は小数回であってもよい。
また、外側送信コイルと内側送信コイルとは、部分的に重なっていてもよい。また、外側送信コイル及び内側送信コイルは、実質的に同じ面上にあるのであれば、図21〜図22等に示すように異なる面上にあってもよい。また、外側送信コイル及び内側送信コイルのそれぞれは単層に限らず、多層になるように巻回されてもよい。
また、図1他では、送信コイル及び受信コイルが互いに平行に設けられるように示したが、このような配置に限定されず、送信コイル及び受信コイルが互いに電磁的に結合できるのであれば、他の配置(例えば、受信コイルが送信コイルに対して所定の傾きを有する配置など)であってもよい。
また、図1他では、送信コイル及び受信コイルが平面状に巻回されるように示したが、このような形状に限定されず、送信コイル及び受信コイルが電磁的に結合するのであれば、ソレノイドなど、他の任意の形状に巻回されてもよい。
外側送信コイル及び内側送信コイルの巻線は単線に限らず、リッツ線(低抵抗化)、プリント配線基板の導体パターン(薄型化)、リボン線(低抵抗化)、ツイストペア線(低抵抗化)などを用いてもよい。巻線の材料は銅線に限らず、銅被覆のアルミ線(軽量化)や、磁性被覆の銅線(低損失化)など多層構造のものを用いてもよい。
上記に例示した構成を組み合わせてもよい。
以下、説明した本開示の実施形態に係る無接点コネクタシステムの効果について、理論計算を用いて説明する。
図37は、第1の実施例に係る無接点コネクタシステムの送信コイル及び受信コイルのモデルを示す斜視図である。図1の送信コイル1a,1bのそれぞれの巻数が1回であり、図1の受信コイル2の巻数が2回であり、送信コイル1a,1b及び受信コイル2が波長に比べて十分小さい場合(巻線の全長が波長の1/10程度、例えば1/100である場合)には、図37のように近似的に2重ループに置き換えることができる。送信コイルは、外側送信コイル41a及び内側送信コイル41bを備え、受信コイルは、外側受信コイル42a及び内側受信コイル42bを備えるものとみなす。第1の実施例では、外側送信コイル41a及び内側送信コイル41bに互いに逆向きに電流が流れる。また、第1の比較例として、外側送信コイル41a及び内側送信コイル41bに同じ向きに電流が流れる場合も考える。第1の実施例及び第1の比較例のいずれにおいても、外側受信コイル42a及び内側受信コイル42bには同じ向きに電流が流れる。
内側送信コイル41b及び内側受信コイル42bの半径D1を16mmとし、外側送信コイル41aと外側受信コイル42aの半径D3を8mmとし、送信コイル及び受信コイルの間の距離dz=2mmとし、図3と同様に定義された位置の変位dxを、0〜20mmまで変化させた場合の相互インダクタンスの変化を計算する。図37の無接点コネクタシステムの送信コイル及び受信コイルの間の相互インダクタンスMは、4つの成分、すなわち、M=M11+M12+M21+M22に分解することができる。ここで、M11は、内側送信コイル41bと内側受信コイル42bとの相互インダクタンスを示し、M12は、外側送信コイル41aと内側受信コイル42bとの相互インダクタンスを示し、M21は、内側送信コイル41bと外側受信コイル42aとの相互インダクタンスを示し、M22は、外側送信コイル41aと外側受信コイル42aとの相互インダクタンスを示す。
図38は、第1の比較例に係る無接点コネクタシステムの各コイル間の相互インダクタンスを示すグラフである。位置の変位dxが増大するにつれて相互インダクタンスM22及びM11が減少していくことが確認できる。ただし、相互インダクタンスM11に関しては、位置の変位dx=15mm付近で負の値になっているので、定義から明らかなように全体の相互インダクタンスMの低下要因になることが予想される。
図39は、第1の実施例に係る無接点コネクタシステムの各コイル間の相互インダクタンスを示すグラフである。外側送信コイル41a及び内側送信コイル41bに互いに逆向きに電流が流れる結果として、相互インダクタンスM11及びM21の符号が図38の場合から反転し、位置の変位dx=15mmにおいて相互インダクタンスM11が正の値になっていることがわかる。
図40は、図38及び図39に示す各相互インダクタンスを合計した結果を示すグラフである。第1の実施例の無接点コネクタシステムでは、第1の比較例の無接点コネクタシステムに比べて、相互インダクタンスの変化量が小さいことがわかる。これにより、第1の実施例の無接点コネクタシステムによれば、送信コイル及び受信コイルの間に位置ずれが生じても、伝送効率の変動を防止できるという効果があることがわかった。
図41は、第2の実施例に係る無接点コネクタシステムの概略構成を示す断面図である。送信コイルには、直径0.08mmの素線を100本束にしたリッツ線を用いた。送信コイルは、リッツ線を2層にわたって20回巻回したスパイラルコイルにおいて、内側の6周分の巻線をいったん持ち上げて、反転させてから元の位置に戻すことにより、互いに逆方向に巻回された外側送信コイル1a及び内側送信コイル1bとして構成された。外側送信コイル1aの外径は39mmであった。送信コイル1a,1bの全体の自己インダクタンスは9.6μHであり、抵抗は69mΩであり、比透磁率2400の磁性体基板13を装荷した際の自己インダクタンスは13.6μHであり、抵抗は123mΩであった。図4の等価回路で考えると、内部インピーダンスZ01は1Ωであり、キャパシタC1の容量は270pFであった。また、受信コイル2として、寸法及び等価回路のパラメータ(図4)について以下の2種類の値を有する、受信コイルA及びBを用いた。
(受信コイルA)
外径:32mm
巻数:18回
C2:82nF
dz1:1.0mm
Z02:8.7Ω
(受信コイルB)
外径:30mm
巻数:30回
C2:56nF
dz1:2.0mm
Z02:10.0Ω
また、第2の比較例の送信コイルとして、リッツ線を同じ向きに20回巻回したスパイラルコイル(すなわち、内側送信コイル1bの巻線を反転させない場合)も構成した。この場合、図4の等価回路で考えると、内部インピーダンスZ01は1Ωであり、キャパシタC1の容量は120pFであった。
図42は、第2の実施例及び第2の比較例に係る無接点コネクタシステムの相互インダクタンスを示すグラフである。第2の実施例によれば、送信コイルに電流を流すとき、内側送信コイル1bを流れる電流により中心を通る軸の周囲に生じるループ電流の向きが外側送信コイル1aを流れる電流により軸の周囲に生じるループ電流の向きとは逆になるように、送信コイル1a,1bを構成することにより、送信コイル及び受信コイルの間に位置ずれが生じても、相互インダクタンスの変化を防止できていることがわかる。
図43は、第2の比較例に係る無接点コネクタシステムの伝送効率を示すグラフである。図44は、第2の実施例に係る無接点コネクタシステムの伝送効率を示すグラフである。伝送効率80%以上になる範囲をカバーエリアとして規定すると、第2の比較例では位置の変位dx=11mmまで、第2の実施例では位置の変位dx=15mmまでを利用可能であり、カバーエリアを1.4倍に拡大できた。
図45は、第3の実施例の無接点コネクタシステムの概略構成を示す断面図である。送信コイルの全巻数N=15を固定し、外側送信コイル1aの巻数と内側送信コイル1bの巻数とを変化させたときの、位置ずれに対する伝送効率の変動を計算で求めた。送信コイルとして、外径70mm、内径40mm、巻数15、銅線径1.0mmを有するものを用い、受信コイルとして、外径30mm、内径10mm、巻数30を有するものを用いた。また、磁性体基板13,16の厚さは0.5mmであり、比透磁率は2400であった。
図46は、図45の無接点コネクタシステムに係る、位置の変位dx及び内側コイルの巻数に対する相互インダクタンスの変化を示すグラフである。横軸が受信コイルの位置の変位dxであり、縦軸が内側送信コイルの巻数であり、これらの条件ごとに、相互インダクタンスのピーク値に対する割合[%](すなわち、規格化された相互インダクタンス)を等高線で示している。シミュレーション結果より、内側送信コイルの巻数が0の場合は、位置の変位dx=20mmの地点で、相互インダクタンスがピーク値の80%になっていることがわかる。一方、内側送信コイルの巻数を4回にすると、相互インダクタンスがピーク値の80%になる距離が、位置の変位dx=25mmの地点まで延びていることがわかる。この計算条件では、全巻数N=15に対する内側送信コイルの巻数の比が1/3以下ならば、位置ずれ耐性を強化できることがシミュレーション結果よりわかった。
図47は、第4の実施例及び第3の比較例に係る無接点コネクタシステムの規格化された送電可能エリアを示すグラフである。第4の実施例では、送信コイルとして、内径12mm、外径40mm、巻数15を有するものを用い、受信コイルとして、内径10mm、外径30mm、巻数11を有するものを用いた。送信コイル及び受信コイルの間の距離dz=5mmであった。第4の実施例の送信コイルは、外側送信コイル及び内側送信コイルを含み、外側送信コイル及び内側送信コイルには互いに逆向きに電流が流れるように構成された。このとき、外側送信コイル及び内側送信コイルの各巻数は、外側送信コイルの自己インダクタンスLoutに対する内側送信コイルの自己インダクタンスLinの比(Lin/Lout)が変化するように構成された。第3の比較例では、第4の実施例と同じ寸法を有する送信コイル及び受信コイルを用いた。ただし、第3の比較例の送信コイルは、図6と同様に、外側送信コイル及び内側送信コイルに同じ向きに電流が流れるように構成された。
図47のシミュレ−ション結果は以下のように得られた。所定の自己インダクタンスの比Lin/Loutを有する送信コイルを構成したとき、受信コイルを送信コイルに対してX方向に変位させ、相互インダクタンスの変動が±20%以内である変位の範囲を、電力を安定して伝送できる「送電可能エリア」とした。図47の縦軸は、送信コイルの半径で規格化された送電可能エリアを示す。第3の比較例では、送信コイルを外側送信コイル及び内側送信コイルに分割してもそれらの相互インダクタンスは変わらないので、自己インダクタンスの比Lin/Loutにかかわらず、送電可能エリアは一定になる。一方、第4の実施例では、内側送信コイルの自己インダクタンス(逆巻き回数)が増加するに従い、送電可能エリアが増加していくことがわかる。ただし、自己インダクタンスの比Lin/Loutが0.45以上となると、第4の実施例に係る送電可能エリアは、第3の比較例よりも下回ることがわかる。これは、外側送信コイル及び内側送信コイルによって、その中心部の磁束が打ち消されるためである。
図48は、第4の実施例及び第3の比較例に係る無接点コネクタシステムの送電可能エリアの拡大率を示すグラフである。図48は、第3の比較例に係る送電可能エリアに対する第4の実施例に係る送電可能エリアの比を示す。図48によれば、自己インダクタンスの比Lin/Loutが0.3付近で拡大率が2倍以上となり、最大値となることがわかる。ただし、自己インダクタンスの比Lin/Loutが0.45以上となると送電可能エリアの拡大率が1以下となり、第3の比較例よりも送電可能エリアが狭まることがわかる。従って、内側送信コイルと外側送信コイルの自己インダクタンスの比を最適化することで、送電可能エリアを最大化することができる。
図47及び図48によれば、自己インダクタンスの比Lin/Loutを0.45未満に設定することによって、送電可能エリアを拡大できる効果が得られた。また、自己インダクタンスの比Lin/Loutを0.3にしたとき、最良の効果が得られた。
まとめ.
本開示の態様に係る無接点コネクタ装置、無接点コネクタシステムと、電力伝送装置、及び電力伝送システムは以下の構成を備える。
第1の態様に係る無接点コネクタ装置によれば、
第2のコイルと電磁的に結合するように近接しかつ対向して設けられる第1のコイルを備えた無接点コネクタ装置において、
上記第1のコイルは、上記第1のコイルの中心を通る軸の周囲に巻回された内側コイルと、上記軸の周囲において上記内側コイルの外側に巻回された外側コイルとを備え、
上記第1のコイルに電流を流すとき、上記内側コイルを流れる電流により上記軸の周囲に生じるループ電流の向きが上記外側コイルを流れる電流により上記軸の周囲に生じるループ電流の向きとは逆になるように、上記外側コイルの一端及び上記内側コイルの一端は互いに接続され、
上記外側コイルの自己インダクタンスは上記内側コイルの自己インダクタンスより大きい。
第2の態様に係る無接点コネクタ装置によれば、第1の態様に係る無接点コネクタ装置において、上記外側コイルの自己インダクタンスに対する上記内側コイルの自己インダクタンスの比は0より大きく0.45未満である。
第3の態様に係る無接点コネクタ装置によれば、第1又は第2の態様に係る無接点コネクタ装置において、上記内側コイルが上記軸の周囲に巻回される方向は、上記外側コイルが上記軸の周囲に巻回される方向とは逆である。
第4の態様に係る無接点コネクタ装置によれば、第1又は第2の態様に係る無接点コネクタ装置において、上記内側コイルが上記軸の周囲に巻回される方向は、上記外側コイルが上記軸の周囲に巻回される方向と同じである。
第5の態様に係る無接点コネクタ装置によれば、第1〜第4のいずれか1つの態様に係る無接点コネクタ装置は、上記第1のコイルに対して、上記第2のコイルが近接して設けられる側とは逆の側に設けられた磁性体基板をさらに備える。
第6の態様に係る無接点コネクタ装置によれば、第5の態様に係る無接点コネクタ装置は、上記第1のコイルに接続された導線をさらに備え、
上記磁性体基板は、上記第1のコイル及び上記導線の少なくとも一部を収容する溝部を有する。
第7の態様に係る無接点コネクタ装置によれば、第1〜第6のいずれか1つの態様に係る無接点コネクタ装置において、
上記第1のコイルは、上記軸に近接した第1の端部と、上記軸から遠隔した第2の端部とを有し、
上記無接点コネクタ装置は、上記第1の端部に接続された導線をさらに備え、上記導線は、上記軸から次第に遠隔するように上記軸の周囲に巻回される。
第8の態様に係る無接点コネクタ装置によれば、第1〜第7のいずれか1つの態様に係る無接点コネクタ装置において、上記外側コイル及び上記内側コイルのそれぞれは、プリント配線基板の少なくとも一方の面上に配線パターン形成法により形成される。
第9の態様に係る無接点コネクタ装置によれば、第1〜第8のいずれか1つの態様に係る無接点コネクタ装置において、上記外側コイルの一端及び上記内側コイルの一端は、インピーダンス素子を介して互いに接続され、上記インピーダンス素子は、抵抗、キャパシタ、インダクタ、電流反転回路のいずれかである。
第10の態様に係る無接点コネクタ装置によれば、第1〜第9のいずれか1つの態様に係る無接点コネクタ装置において、互いに等間隔を有して位置する複数の平行な軸の周囲にそれぞれ巻回された複数の上記第1のコイルを備える。
第11の態様に係る無接点コネクタシステムによれば、
送信側の無接点コネクタ装置としての第1〜第10のいずれか1つの態様に係る無接点コネクタ装置と、
上記第2のコイルを備えた受信側の無接点コネクタ装置とを含む。
第12の態様に係る無接点コネクタシステムによれば、
上記第2のコイルを備えた送信側の無接点コネクタ装置と、
受信側の無接点コネクタ装置としての第1〜第10のいずれか1つの態様に係る無接点コネクタ装置とを含む。
第13の態様に係る無接点コネクタシステムによれば、
送信側の無接点コネクタ装置としての第1〜第10のいずれか1つの態様に係る無接点コネクタ装置と、
受信側の無接点コネクタ装置としての第1〜第10のいずれか1つの態様に係る無接点コネクタ装置とを含む。
第14の態様に係る電力伝送装置によれば、送電回路と、上記送電回路に接続された第1〜第10のいずれか1つの態様に係る無接点コネクタ装置とを備える。
第15の態様に係る電力伝送装置によれば、受電回路と、上記受電回路に接続された第1〜第10のいずれか1つの態様に係る無接点コネクタ装置とを備える。
第16の態様に係る電力伝送システムによれば、第11〜第13のいずれか1つの態様に係る無接点コネクタシステムと、上記送信側の無接点コネクタ装置に接続された送電回路と、上記受信側の無接点コネクタ装置に接続された受電回路とを備える。
本開示の無接点コネクタ装置及び無接点コネクタシステム、電力伝送装置及び電力伝送システムによれば、非常に簡単な構成でありながら、送信コイル及び受信コイルの間に位置ずれが生じても、十分な伝送効率で安定した電力を伝送することができる。
また、従来であれば、伝送効率の低下に対処するために送信電力を増大させなければならず、結果として発熱量が増大していたが、本開示の無接点コネクタ装置及び無接点コネクタシステム、電力伝送装置及び電力伝送システムでは伝送効率が低下しないので、発熱も防止できるという効果がある。
1,1a,1b,1aa,1ba,1ab,1bb,1ac,1bc,1c,1d,31−1〜31−3,32−1〜32−3,41a,41b…送信コイル、
2,2a,2b,42a,42b…受信コイル、
3,3A〜3D,4,7…接続素子、
5,6,6A〜6C…導線、
11,12…筐体、
13,16…磁性体基板、
14…誘電体基板、
15,15A,15B1〜15B3,15C,15D…ビア導体、
21…インピーダンス素子、
101…電源、
102…送電回路、
103…受電回路、
104…負荷、
C1,C2…容量、
G1,G2…溝部、
L1,L2…自己インダクタンス、
M…相互インダクタンス、
P1〜P14…端子、
R1,R2…抵抗成分、
Q…信号源、
Z01,Z02…負荷インピーダンス。
本開示は、コイル間の誘導結合を用いた無接点コネクタ装置及び無接点コネクタシステムと、それを備えた電力伝送装置及び電力伝送システムとに関する。
近年、携帯電話機や電気自動車などの移動性を伴う電子機器やEV機器において無線充電を行うために、コイル間の誘導結合を用いた無接点コネクタ装置及び無接点コネクタシステムと、それを備えた電力伝送装置及び電力伝送システムの開発が進んでいる。無接点の電力伝送システムとして、例えば特許文献1〜3の発明が知られている。
特許文献1の電池内蔵機器と充電台は、電源コイルに交流電源を接続してなる充電台と、この充電台にセットされて電源コイルに電磁結合される誘導コイルを内蔵する電池内蔵機器とからなり、電源コイルから誘導コイルに電力搬送される電力でもって、電池内蔵機器の内蔵電池を充電する。前記電源コイルが、平面コイルである内側コイルと、この内側コイルの外側に位置し、かつ内側コイルと同一平面に配置してなる平面コイルの外側コイルとからなり、前記充電台の交流電源は、内側コイルに交流電力を供給して、外側コイルに交流電力を供給しない内側コイル励起状態と、内側コイルと外側コイルの両方に交流電力を供給する内外コイル励起状態とを切り換える切換回路を備えており、充電台にセットされる電池内蔵機器によって、交流電源が内側コイル励起状態と内外コイル励起状態とを切り換えて、電池内蔵機器の誘導コイルに電力搬送する。すなわち、特許文献1の電池内蔵機器と充電台は、2つの励起状態を切り換えることで最適な電力伝送を実現することを特徴とする。
特許文献2の非接触電力伝送装置は、相対するコイル間の電磁誘導を用い、空隙を介して1次側コイルから2次側コイルに非接触にて電力を伝送する電力伝送装置に於いて、1次側を複数、2次側を一以上の平面型コイルで構成し、2次側コイル外径は1次側コイル外径よりも小とすることを特徴とする。特許文献2の非接触電力伝送装置は、複数の1次側コイルから最適なコイルを選択することで安定した電力伝送を実現することを特徴とする。
特許文献3の無線伝送システムは、無線電力伝送のための共振器を備え、これは、1つ以上のループを形成しかつ所定のインダクタンスを有する導体と、所定の容量及び所望の電気的パラメータを有しかつ上記導体に接続されているキャパシタネットワークとを備える。ここで、上記キャパシタネットワークは、電気的パラメータとして第1の温度プロファイルを有する第1のタイプの少なくとも1つのキャパシタと、電気的パラメータとして第2の温度プロファイルを有する第2のタイプの少なくとも1つのキャパシタとを有する。
このような無接点の電力伝送システムの原理は、無接点コネクタ装置を備えた情報伝送システムや、IH調理装置などの誘導加熱装置にも適用可能である。
特開2011−259534号公報 特開2009−164293号公報 米国特許出願公開第2010/0181845号明細書
無接点の電力伝送システムにおいて高い伝送効率を実現するには、送信側の電力伝送装置(例えば充電器)に備えられた送信コイルと受信側の電力伝送装置(例えば被充電器)に備えられた受信コイルとが電磁的に強く結合するように、送信コイル及び受信コイルの位置を正確に合わせて対向させることが必要になる。
特許文献1の発明によれば、対向する送信コイル及び受信コイルの位置が正確に合っているならば高い伝送効率を実現できるものの、位置がずれると伝送効率が低下するという課題がある。また、特許文献2の発明によれば、位置がずれても伝送効率は安定するが、送信コイルの面積が増大するという課題がある。
位置ずれによる伝送効率の低下を解決するために、特許文献3の発明では、整合回路を動的に変更している。しかしながら、このような解決法は制御が複雑になるという課題があった。
同様の問題点は、無接点の電力伝送システムだけでなく、無接点コネクタ装置を備えた情報伝送システムや、誘導加熱装置にも存在する。
本開示の目的は、以上の問題点を解決し、簡単な構成でありながら、送信コイル及び受信コイルの位置ずれに強くかつ伝送効率の高い無接点コネクタ装置及び無接点コネクタシステムを提供し、また、そのような無接点コネクタ装置を備えた電力伝送装置及び電力伝送システムを提供することにある。
本開示の態様に係る無接点コネクタ装置によれば、
第2のコイルと電磁的に結合するように近接しかつ対向して設けられる第1のコイルを備えた無接点コネクタ装置において、
上記第1のコイルは、上記第1のコイルの中心を通る軸の周囲に巻回された内側コイルと、上記軸の周囲において上記内側コイルの外側に巻回された外側コイルとを備え、
上記第1のコイルに電流を流すとき、上記内側コイルを流れる電流により上記軸の周囲に生じるループ電流の向きが上記外側コイルを流れる電流により上記軸の周囲に生じるループ電流の向きとは逆になるように、上記外側コイルの一端及び上記内側コイルの一端は互いに接続され、
上記外側コイルの自己インダクタンスは上記内側コイルの自己インダクタンスより大きい。
本開示の無接点コネクタ装置及び無接点コネクタシステム、電力伝送装置及び電力伝送システムによれば、非常に簡単な構成でありながら、送信コイル及び受信コイルの間に位置ずれが生じても、十分な伝送効率で安定した電力を伝送することができる。
第1の実施形態に係る無接点コネクタシステムの概略構成を示す斜視図である。 図1の送信コイル1a,1bの概略構成を示す上面図である。 図1のA1−A1’線における断面図である。 図1の無接点コネクタシステムの等価回路の一例を示す回路図である。 図1の送信コイル1a,1b及び受信コイル2の間の結合係数kを変化させたときの伝送効率の周波数特性を示す概略図である。 第1の実施形態に係る比較例の無接点コネクタシステムの送信コイル1a,1cを示す上面図である。 図6の無接点コネクタシステムに係る、位置の変位dxに対する相互インダクタンスの変化を概略的に示す図である。 図1の無接点コネクタシステムに係る、位置の変位dxに対する相互インダクタンスの変化を概略的に示す図である。 第1の実施形態の第1の変形例に係る無接点コネクタシステムの送信コイルの概略構成を示す上面図である。 第1の実施形態の第2の変形例に係る無接点コネクタシステムの送信コイルの概略構成を示す上面図である。 第1の実施形態の第3の変形例に係る無接点コネクタシステムの送信コイルの概略構成を示す上面図である。 第1の実施形態の第4の変形例に係る無接点コネクタシステムの概略構成を示す斜視図である。 第1の実施形態の第5の変形例に係る無接点コネクタシステムの概略構成を示す斜視図である。 第2の実施形態に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す上面図である。 図14の磁性体基板13を示す上面図である。 図14のA2−A2’線における断面図である。 第3の実施形態に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す上面図である。 第3の実施形態の変形例に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す上面図である。 第4の実施形態に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す上面図である。 図19のA3−A3’線における断面図である。 第4の実施形態の第1の変形例に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す上面図である。 図21のA4−A4’線における断面図である。 第4の実施形態の第2の変形例に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す上面図である。 図23のA5−A5’線における断面図である。 第4の実施形態の第3の変形例に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す上面図である。 図25のA6−A6’線における断面図である。 第4の実施形態の第4の変形例に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す上面図である。 図27のA7−A7’線における断面図である。 第4の実施形態の第5の変形例に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す断面図である。 第4の実施形態の第6の変形例に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す断面図である。 第5の実施形態に係る無接点コネクタシステムの送信コイルの部分を示す図である。 第6の実施形態に係る無接点コネクタシステムの送信コイルの部分を示す図である。 第7の実施形態に係る無接点コネクタシステムの送信コイルの概略構成を示す上面図である。 第8の実施形態に係る無接点コネクタシステムの送信コイルのアレーを示す概略図である。 第8の実施形態に係る比較例の無接点コネクタシステムの送信コイルのアレーを示す概略図である。 第9の実施形態に係る電力伝送システムの概略構成を示すブロック図である。 第1の実施例に係る無接点コネクタシステムの送信コイル及び受信コイルのモデルを示す斜視図である。 第1の比較例に係る無接点コネクタシステムの各コイル間の相互インダクタンスを示すグラフである。 第1の実施例に係る無接点コネクタシステムの各コイル間の相互インダクタンスを示すグラフである。 図38及び図39に示す各相互インダクタンスを合計した結果を示すグラフである。 第2の実施例に係る無接点コネクタシステムの概略構成を示す断面図である。 第2の実施例及び第2の比較例に係る無接点コネクタシステムの相互インダクタンスを示すグラフである。 第2の比較例に係る無接点コネクタシステムの伝送効率を示すグラフである。 第2の実施例に係る無接点コネクタシステムの伝送効率を示すグラフである。 第3の実施例の無接点コネクタシステムの概略構成を示す断面図である。 図45の無接点コネクタシステムに係る、位置の変位dx及び内側送信コイルの巻数に対する相互インダクタンスの変化を示すグラフである。 第4の実施例及び第3の比較例に係る無接点コネクタシステムの規格化された送電可能エリアを示すグラフである。 第4の実施例及び第3の比較例に係る無接点コネクタシステムの送電可能エリアの拡大率を示すグラフである。
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、同様の構成要素については同一の符号を付している。
第1の実施形態.
図1は、第1の実施形態に係る無接点コネクタシステムの概略構成を示す斜視図である。図2は、図1の送信コイル1a,1bの概略構成を示す上面図である。図3は、図1のA1−A1’線における断面図である。本実施形態の無接点コネクタシステムは、送信コイル1a,1bを備えた送信側の無接点コネクタ装置と、受信コイル2を備えた受信側の無接点コネクタ装置とを含み、送信コイル1a,1b及び受信コイル2の間の電磁結合を用いて信号又は電力などを伝送する。
図1において、送信側の無接点コネクタ装置の筐体を符号11により示し、受信側の無接点コネクタ装置の筐体を符号12により示す。図1他では、図示の簡単化のために、信号又は電力を伝送するために必要な電源、送信回路、受信回路などを省略する。
図1〜図3を参照すると、送信コイル1a,1bは、その中心O1を通る軸の周囲に巻回された内側送信コイル1bと、軸の周囲において内側送信コイルの外側に巻回された外側送信コイル1aとを含む。受信コイル2は、その中心O2を通る軸の周囲に巻回される。例えば、送信コイル1a,1bは、第1の面(XY面に実質的に平行な、筐体11の上面)に沿って設けられ、受信コイル2は、第1の面に近接して対向する第2の面(XY面に実質的に平行な、筐体12の下面)に沿って設けられる。送信コイル1a,1b及び受信コイル2は、互いに近接して対向したことにより、互いに電磁的に結合する。送信コイルは、その中心O1を通る軸の周囲において時計回り(図1において上から見たとき)に巻回された外側送信コイル1aと、軸の周囲において外側送信コイル1aの内側に反時計回り(図1において上から見たとき)に巻回された内側送信コイル1bとを備える。すなわち、内側送信コイル1bが軸の周囲に巻回される方向は、外側送信コイル1aが軸の周囲に巻回される方向とは逆である。外側送信コイル1aはその両端に端子P1,P2を有し、内側送信コイル1bはその両端に端子P3,P4を有する。送信コイル1a,1bに電流を流すとき、内側送信コイル1bを流れる電流により軸の周囲に生じるループ電流の向きが外側送信コイル1aを流れる電流により軸の周囲に生じるループ電流の向きとは逆になるように、端子P2,P3は接続素子3により互いに接続される。また、端子P1,P4は送信回路(図示せず)に接続される。また、受信コイル2は、その中心O2を通る軸の周囲に時計回り又は反時計回りに巻回される。受信コイル2はその両端に端子P5,P6を有し、端子P5,P6は、受信回路(図示せず)に接続される。
送信コイル1a,1bは、外側送信コイル1aの自己インダクタンスが内側送信コイル1bの自己インダクタンスより大きくなるように構成される。外側送信コイル1aの自己インダクタンスに対する内側送信コイル1bの自己インダクタンスの比は、例えば、図47及び図48を参照して説明するように、0より大きく0.45未満である。
例えば、外側送信コイル1aの巻数を10回とし、内側送信コイル1bの巻数を5回とし、直径方向の長さの比を1:1として、送信コイル1a,1bを構成することができるが、これらの値に限定されるものではない。送信コイル1a,1bの特性には、巻数と直径方向の長さとの両方が影響する可能性があるが、本願発明者は、主に直径方向の長さが影響することを確かめた。本願発明者が行った実験では、直径3〜4cmのサイズを有する送信コイル及び受信コイルを用いて、送信コイル1a,1bに100〜200kHzの交流電流を流すことにより、5Wの電力を伝送することができた。
以下、本実施形態の無接点コネクタシステムの動作原理について説明する。
図3に示すように、送信コイル1a,1b及び受信コイル2が、Z方向にdzにわたって離隔し、送信コイル1a,1bの中心O1及び受信コイル2の中心O2が、X方向にdxにわたって変位する場合を考える。
一般に、従来技術の無接点コネクタシステムにおいて、送信コイルに電流が流れると、その電流により形成される送信コイルの周囲の電磁界により受信コイルに誘導起電力が生じ、受信コイルに誘導電流が流れる。言い換えれば、送信コイル及び受信コイルは互いに電磁的に結合している。この結合の強さを評価する指標として、次式の結合係数kが用いられる。
k=M/(√L1×√L2)
ここで、Mは、送信コイル及び受信コイルの間の相互インダクタンスを表し、L1は送信コイルの自己インダクタンスを表し、L2は受信コイルの自己インダクタンスを表す。結合係数kは、0≦|k|≦1の値をとる。
図4は、図1の無接点コネクタシステムの等価回路の一例を示す回路図である。Qは信号源であり、Z01は送信回路の内部インピーダンスであり、Z02は受信回路及び負荷の負荷インピーダンスであり、R1,R2は抵抗成分であり、C1,C2は整合用のキャパシタである。無接点コネクタシステムが角周波数ωで動作するとき、伝送効率を表すパラメータS21は、送信コイル1a,1b及び受信コイル2の自己インダクタンスL1,L2及び相互インダクタンスMを用いて次式のように表すことができる。
Figure 2013179639
なお、図4の等価回路及びこのパラメータS21の式は単なる一例であり、無接点コネクタシステムの等価回路及び伝送効率は他の任意の適切なモデルで表されてもよい。例えば、送信回路の構成によっては、実質的に内部インピーダンスZ01が存在しない場合もある。以下の動作原理の説明は、図4とは異なる等価回路で表される無接点コネクタシステムにも同様にあてはまる。
送信コイル1a,1b及び受信コイル2が電磁的に強く結合している場合、|k|≒1になるが、距離dxあるいはdzが増大するにつれて、|k|の値は減少していき、送信コイル1a,1b及び受信コイル2が電磁的に結合していない場合、|k|=0になる。
図5は、図1の送信コイル1a,1b及び受信コイル2の間の結合係数kを変化させたときの伝送効率の周波数特性を示す概略図である。図5では、Q値は一定であると仮定する。図5によれば、結合係数kの大小に応じて伝送効率の帯域幅が変化することがわかる。通常、送信コイル1a,1b及び受信コイル2の位置が合っているとき(図3の中心O1,O2が一致しているとき)は、送信コイル1a,1b及び受信コイル2の電磁結合が強く、伝送効率は2峰性かつ狭帯域の特性になり、広帯域動作を実現することができない。従って、広帯域動作を実現するには、送信コイル1及び受信コイル2が互いに近接しているときに結合係数kを低下させる、すなわち、相互インダクタンスMを低下させる必要がある。一方、送信コイル1a,1b及び受信コイル2の位置がずれているときは、送信コイル1a,1b及び受信コイル2の電磁結合が小さくなり、伝送効率は2峰性から単峰性になるが、送信コイル1a,1b及び受信コイル2の間の距離が増大するにつれて伝送効率が低下する。従って、この場合では逆に、結合係数kを増大させる、すなわち、相互インダクタンスMを増大させる必要がある。まとめると、送信コイル1a,1b及び受信コイル2の位置が一致しているときは相互インダクタンスMを弱める一方、位置がずれているときには相互インダクタンスMの低下を抑制することが、送信コイル1a,1b及び受信コイル2の位置の変位に起因する伝送効率の変動を防止するためのポイントとなる。
図6は、第1の実施形態に係る比較例の無接点コネクタシステムの送信コイル1a,1cを示す上面図である。図6の送信コイル1a,1cは、従来技術の無接点コネクタシステムの送信コイルを図1の無接点コネクタシステムと対比するように示したものである。図1の無接点コネクタシステムは、反時計回りに巻回した内側送信コイル1bを備えていたが、図6の無接点コネクタシステムは、時計回りに巻回した内側送信コイル1cを備えている。すなわち、内側送信コイル1cが中心O1を通る軸の周囲に巻回される方向は、外側送信コイル1aが軸の周囲に巻回される方向と同じである。図6の送信コイル1a,1cに電流を流すとき、内側送信コイル1cを流れる電流により軸の周囲に生じるループ電流の向きが外側送信コイル1aを流れる電流により軸の周囲に生じるループ電流の向きと同じになるように、端子P2,P3は接続素子3Aにより互いに接続される。
図7は、図6の無接点コネクタシステムに係る、位置の変位dxに対する相互インダクタンスの変化を概略的に示す図である。位置の変位dxを、図3と同様に定義する。図7において、「1a」は、図6の外側送信コイル1aと、図1の受信コイル2と同様の受信コイル(図示せず)との相互インダクタンスを示し、「1c」は、図6の内側送信コイル1cと受信コイルとの相互インダクタンスを示し、「1a+1c」は、送信コイル1a,1cの全体と受信コイルとの相互インダクタンスを示す。「1c」の相互インダクタンスは、位置の変位dxが0又は小さな値であるときは高い値を有するが、位置の変位dxが増大するにつれて小さくなり、ある地点で負になる。従って、「1a+1c」の相互インダクタンスは、位置の変位dxが0又は小さな値であるときは高い値を有する一方、位置の変位dxが大きいときには小さい値になり、その変動幅は大きい。
図8は、図1の無接点コネクタシステムに係る、位置の変位dxに対する相互インダクタンスの変化を概略的に示す図である。図8において、「1a」は、外側送信コイル1aと受信コイル2との相互インダクタンスを示し、「1b」は、内側送信コイル1bと受信コイル2との相互インダクタンスを示し、「1a+1b」は、送信コイル1a,1bの全体と受信コイル2との相互インダクタンスを示す。前述のように、送信コイル1a,1bに電流を流すとき、内側送信コイル1bを流れる電流により中心O1を通る軸の周囲に生じるループ電流の向きが外側送信コイル1aを流れる電流により軸の周囲に生じるループ電流の向きとは逆になるように、送信コイル1a,1bは構成されている。本実施形態の無接点コネクタシステムでは、さらに、位置の変位dxが0及び小さな値であるとき、内側送信コイル1bと受信コイル2との相互インダクタンスが負の値になるように、かつ、位置の変位dxが所定値を超えるとき、内側送信コイル1bと受信コイル2との相互インダクタンスが正の値になるように構成する。こうすることで、位置の変位dxが0及び小さな値であるときは、送信コイル1a,1bの全体と受信コイル2との相互インダクタンスを低下させ、電磁結合を弱めることができるという効果がある。また、位置の変位dxが大きいときには、送信コイル1a,1bの全体と受信コイル2との相互インダクタンスの低下を、従来技術の無接点コネクタシステムの場合(図7)よりも抑圧できるという効果がある。結果として、送信コイル1a,1b及び受信コイル2の位置関係に関わらず、十分な伝送効率で安定した電力を伝送することができる。さらには、従来であれば、伝送効率の低下に対処するために送信電力を増大させなければならず、結果として発熱量が増大していたが、本実施形態の無接点コネクタシステムでは伝送効率が低下しないので、発熱も防止できるという効果がある。
結合係数kについて、図5を参照してさらに説明する。前述のように、送信コイル1a,1b及び受信コイル2の電磁的結合が強い場合は、2峰性かつ狭帯域の特性であるが、結合係数kを次第に低下させると、伝送効率の2つのピークの間の周波数間隔は次第に小さくなり、かつ、2つのピークの間の伝送効率の極小値は次第に増大する。この周波数間隔が実質的に0になったとき、言い換えると、伝送効率の2つのピークとその間の極小値との差が小さくなったとき(例えば5〜10%)、電力伝送システムの帯域幅は最大になる。この条件を満たすように、結合係数kは決定され、この結合係数kの値を達成するように、電力伝送システムの各パラメータ(送信コイル1a,1b及び受信コイル2の巻数、直径方向の長さ、など)は決定される。
本実施形態の無接点コネクタシステムは、上述の構成を備えたことにより、非常に簡単な構成でありながら、送信コイル及び受信コイルの間に位置ずれが生じても、十分な伝送効率で安定した電力を伝送することができる。
図9は、第1の実施形態の第1の変形例に係る無接点コネクタシステムの送信コイルの概略構成を示す上面図である。外側送信コイル1a及び内側送信コイル1bは、送信コイル1a,1bに電流を流すとき、内側送信コイル1bを流れる電流により中心O1を通る軸の周囲に生じるループ電流の向きが外側送信コイル1aを流れる電流により軸の周囲に生じるループ電流の向きとは逆になるのであれば、図1の場合とは異なる方法で接続されてもよい。図9では、端子P1,P4が接続素子3Bにより互いに接続される。また、端子P2,P3が送信回路(図示せず)に接続される。
図10は、第1の実施形態の第2の変形例に係る無接点コネクタシステムの送信コイルの概略構成を示す上面図である。図11は、第1の実施形態の第3の変形例に係る無接点コネクタシステムの送信コイルの概略構成を示す上面図である。図10及び図11の無接点コネクタシステムは、図6の無接点コネクタシステムと同様に、時計回りに巻回した内側送信コイル1cを備えている。図10の場合は、送信コイル1a,1cに電流を流すとき、内側送信コイル1cを流れる電流により中心O1を通る軸の周囲に生じるループ電流の向きが外側送信コイル1aを流れる電流により軸の周囲に生じるループ電流の向きとは逆になるように、端子P2,P4が接続素子3Cにより互いに接続される。また、このとき、端子P1,P3が送信回路(図示せず)に接続される。図11の場合は、同様に、端子P1,P3が接続素子3Dにより互いに接続され、端子P2,P4が送信回路(図示せず)に接続される。
図9〜図11の無接点コネクタシステムもまた、図1の無接点コネクタシステムと同様に、非常に簡単な構成でありながら、送信コイル及び受信コイルの間に位置ずれが生じても、十分な伝送効率で安定した電力を伝送することができる。
図12は、第1の実施形態の第4の変形例に係る無接点コネクタシステムの概略構成を示す斜視図である。本変形例の無接点コネクタシステムは、送信コイル1を備えた送信側の無接点コネクタ装置と、受信コイル2a,2bを備えた受信側の無接点コネクタ装置とを含む。本変形例の無接点コネクタシステムでは、送信コイル1ではなく受信コイル2a,2bに電流を流すとき、内側受信コイル2bを流れる電流により内側受信コイル2bの中心を通る軸の周囲に生じるループ電流の向きが外側受信コイル2aを流れる電流により軸の周囲に生じるループ電流の向きとは逆になるように、受信コイル2a,2bが構成されている。
図12において、送信コイル1は、その中心を通る軸の周囲に巻回される。受信コイル2は、その中心を通る軸の周囲に巻回された内側受信コイル2bと、軸の周囲において内側受信コイルの外側に巻回された外側受信コイル2aとを含む。例えば、送信コイル1は、第1の面(XY面に実質的に平行な、筐体11の上面)に沿って設けられ、受信コイル2a,2bは、第1の面に近接して対向する第2の面(XY面に実質的に平行な、筐体12の下面)に沿って設けられる。送信コイル1及び受信コイル2a,2bは、互いに近接して対向したことにより、互いに電磁的に結合する。送信コイル1は、その中心を通る軸の周囲において時計回り又は反時計回りに巻回される。送信コイル1はその両端に端子P7,P8を有し、端子P7,P8は、送信回路(図示せず)に接続される。また、受信コイルは、その中心を通る軸の周囲において時計回りに巻回された外側受信コイル2aと、軸の周囲において外側受信コイル2aの内側に反時計回りに巻回された内側受信コイル2bとを備える。外側受信コイル2aはその両端に端子P9,P10を有し、内側受信コイル2bはその両端に端子P11,P12を有する。受信コイル2a,2bに電流を流すとき、内側受信コイル2bを流れる電流により内側受信コイル2bの中心を通る軸の周囲に生じるループ電流の向きが外側受信コイル2aを流れる電流により軸の周囲生じるループ電流の向きとは逆になるように、端子P10,P11は接続素子4により互いに接続される。また、端子P9,P12は受信回路(図示せず)に接続される。
図13は、第1の実施形態の第5の変形例に係る無接点コネクタシステムの概略構成を示す斜視図である。図13に示すように、図1の送信側の無接点コネクタ装置と、図12の受信側の無接点コネクタ装置とを組み合わせてもよい。
図12及び図13の無接点コネクタシステムもまた、図1の無接点コネクタシステムと同様に、非常に簡単な構成でありながら、送信コイル及び受信コイルの間に位置ずれが生じても、十分な伝送効率で安定した電力を伝送することができる。
第2の実施形態.
図14は、第2の実施形態に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す上面図である。図15は、図14の磁性体基板13を示す上面図である。図16は、図14のA2−A2’線における断面図である。送信側の無接点コネクタ装置は、端子P1,P4にそれぞれ接続された導線5,6と、送信コイル1a,1bに対して、受信コイルが近接して設けられる側とは逆の側に設けられた磁性体基板13とを備える。導線5,6は送信回路(図示せず)に接続される。磁性体基板13は、例えばフェライトであり、送信回路のためのシールドとして機能する。図15に示すように、磁性体基板13は、送信コイル1a,1b及び導線5,6の少なくとも一部を収容する溝部G1,G2をさらに有してもよい。図14〜図16に示す場合、導線6が送信コイル1a,1bの下を通るように設けられるので、導線6を溝部G1に収容する。通常、内側送信コイル1bから外側送信コイル1aの外部への導線6が存在することで、送信コイルの厚みが増加してしまうが、導線6を溝部G1に収容することにより、無接点コネクタ装置から余分な突起部を除去できるという効果がある。また、図31に示すように単一の導線を折り返すことで外側送信コイル1a及び内側送信コイル1bを構成する場合には、導線の折り返し部分において送信コイルの厚みが増加してしまうが、この場合は、導線の折り返し部分を溝部G2に収容することにより、無接点コネクタ装置から余分な突起部を除去できるという効果がある。導線の折り返し部分のための溝部G2は、必要に応じて設ければよい。
第3の実施形態.
図17は、第3の実施形態に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す上面図である。送信側の無接点コネクタ装置は、端子P1,P4にそれぞれ接続された導線5,6Aを備える。端子P4は中心O1を通る軸に近接し、端子P1は軸から遠隔している。内側送信コイル1bの端子P4に接続された導線6Aは、軸から次第に遠隔するように軸の周囲において時計回りに巻回されている。図14の磁性体基板13が非常に薄く、導線6を完全に収容する溝部G1を設けることができない場合、図17に示すように巻回された導線6Aを使用してもよく、これにより、無接点コネクタ装置から余分な突起部を除去することができる。また、巻回された導線6Aと受信コイルとの相互インダクタンスによって、位置ずれに対する耐性をさらに強化できるという効果がある。導線6Aが絶縁被覆を有する場合は、導線6Aと内側送信コイル1b及び外側送信コイル1aとが接触していてもよい。
図18は、第3の実施形態の変形例に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す上面図である。送信側の無接点コネクタ装置は、端子P1,P4にそれぞれ接続された導線5,6Bを備える。内側送信コイル1bの端子P4に接続された導線6Bは、中心O1を通る軸から次第に遠隔するように軸の周囲において反時計回りに巻回されている。図18の無接点コネクタ装置も、図17の無接点コネクタ装置と同様の効果を有する。導線6Bが絶縁被覆を有する場合は、導線6Bと内側送信コイル1b及び外側送信コイル1aとが接触していてもよい。
第4の実施形態.
図19は、第4の実施形態に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す上面図である。図20は、図19のA3−A3’線における断面図である。図19の送信コイル1a,1bは、図1の送信コイル1a,1bと同様である。外側送信コイル1a及び内側送信コイル1bのそれぞれは、プリント配線基板の誘電体基板14の少なくとも一方の面上に配線パターン形成法により形成(パターン形成)されてもよい。図19では、外側送信コイル1a、内側送信コイル1b、及び接続素子3は、誘電体基板14の上面にパターン形成される。無接点コネクタ装置は、端子P1,P4にそれぞれ接続された導線5,6を備える。導線5は、誘電体基板14の上面にパターン形成される。導線6は、誘電体基板14の下面にパターン形成された導体と、誘電体基板14を貫通するビア導体15とを含む。
図21は、第4の実施形態の第1の変形例に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す上面図である。図22は、図21のA4−A4’線における断面図である。図21では、外側送信コイル1a及び接続素子3は誘電体基板14の上面にパターン形成され、内側送信コイル1bは誘電体基板14の下面にパターン形成される。導線5は、誘電体基板14の上面にパターン形成される。無接点コネクタ装置は、誘電体基板14を貫通して接続素子3及び内側送信コイル1bを互いに接続するビア導体15Aをさらに含む。
図23は、第4の実施形態の第2の変形例に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す上面図である。図24は、図23のA5−A5’線における断面図である。送信コイル1a,1bは、図23に示すように、部分的に誘電体基板14の上面にパターン形成され、部分的に誘電体基板14の下面にパターン形成されてもよい。誘電体基板14の上面にパターン形成された部分と、誘電体基板14の下面にパターン形成された部分とは、誘電体基板14を貫通するビア導体15Dを介して互いに接続される。図23の構成によれば、受信コイルと電磁結合する方向を鉛直方向(Z方向)から傾けることができる。
図25は、第4の実施形態の第3の変形例に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す上面図である。図26は、図25のA6−A6’線における断面図である。図25の送信コイル1a,1cは、図10の送信コイル1a,1cと同様である。無接点コネクタ装置は、端子P1,P3にそれぞれ接続された導線5,6Cを備える。導線6Cは、誘電体基板14の下面にパターン形成された導体と、誘電体基板14を貫通するビア導体15B1とを含む。接続素子3Cは、誘電体基板14の下面にパターン形成された導体と、誘電体基板14を貫通するビア導体15B2,15B3とを含む。
図27は、第4の実施形態の第4の変形例に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す上面図である。図28は、図27のA7−A7’線における断面図である。図27では、外側送信コイル1aは誘電体基板14の上面にパターン形成され、内側送信コイル1cは誘電体基板14の下面にパターン形成される。接続素子3Cは、誘電体基板14の上面にパターン形成された導体と、誘電体基板14を貫通するビア導体15Cとを含む。導線5は、誘電体基板14の上面にパターン形成される。導線6Cは、誘電体基板14の下面にパターン形成される。
図29は、第4の実施形態の第5の変形例に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す断面図である。図30は、第4の実施形態の第6の変形例に係る送信側の無接点コネクタ装置の概略構成を示す断面図である。図29及び図30に示すように、送信コイルは、誘電体基板14の両面にパターン形成されてもよい。図29の無接点コネクタ装置は、誘電体基板14の両面にパターン形成された外側送信コイル1a及び外側送信コイル1aaと、誘電体基板14の両面にパターン形成された内側送信コイル1b及び内側送信コイル1baとを備える。図30の無接点コネクタ装置は、誘電体基板14の両面にパターン形成された外側送信コイル1ab及び外側送信コイル1acと、誘電体基板14の両面にパターン形成された内側送信コイル1bb及び内側送信コイル1bcとを備える。送信コイルの巻数は、図29に示すように、誘電体基板14の上面及び下面で均等であってもよく、図30に示すように、無接点コネクタ装置の特性の微調整のために、誘電体基板14の上面及び下面で不均等であってもよい。
図19〜図30の無接点コネクタ装置によれば、誘電体基板14上に外側送信コイル1a及び内側送信コイル1bを一体形成することで薄型化できるという効果がある。
第5の実施形態.
図31は、第5の実施形態に係る無接点コネクタシステムの送信コイルの部分を示す図である。図1の外側送信コイル1a、内側送信コイル1b、及び接続素子3は、別個の導線であることに限定されず、単一の導線を折り返すことで外側送信コイル1a、内側送信コイル1b、及び接続素子3を構成してもよい。これにより、送信コイルの構成を簡単化することができる。
一方、外側送信コイル1a、内側送信コイル1b、及び接続素子3は、別個の導線、パターン形成された導体、はんだなどにより構成した場合、又は異なる材料を用いて構成した場合には、例えばループに沿った経路長の長い外側送信コイル1aのみに低抵抗の材料を用いたりすることで、無接点コネクタ装置全体のコストを削減できるという効果がある。
第6の実施形態.
図32は、第6の実施形態に係る無接点コネクタシステムの送信コイルの部分を示す図である。外側送信コイル1aの端子P2及び内側送信コイル1bの端子P3は、所定のインピーダンスを有する受動素子であるインピーダンス素子21を介して互いに接続されてもよい。インピーダンス素子21は、抵抗、キャパシタ、インダクタ、電流反転回路のいずれかである。
例えば、インピーダンス素子21として抵抗を用いたとき、Q値を低下させ、広帯域化できるという効果がある。さらに、例えば1Ω以下の抵抗を用いることで、波形の歪みを低減し、ノイズへの耐性を向上させてもよい。
また、インピーダンス素子21としてキャパシタを用いたとき、送信コイル1a,1bの外部に設けることが必要になる整合回路の面積を低減できるという効果がある。また、インピーダンス素子21として設けたキャパシタと、送信コイル1a,1bの外部に設けたキャパシタとの組み合わせを用いてもよい。また、例えば100〜300nFのキャパシタを用いることで、共振周波数を調整してもよい。
また、インピーダンス素子21としてインダクタを用いたとき、内側送信コイル1bと外側送信コイル1aとを互いに逆方向に巻回することで低下する送信コイル1a,1bの全体の自己インダクタンスを増大させることができるという効果がある。また、インダクタを用いることで、送信コイル1a,1bの電気長を増大させてもよい。
また、インピーダンス素子21として電流反転回路(例えば、1:1トランスなど)を用いて、送信コイル1a,1bを流れる電流の正負を反転させてもよい。
インピーダンス素子21としてこれらの受動素子を組み合わせることで、整合回路の面積を低減しつつ、伝送効率をさらに向上させるように送信コイル1a,1bのインピーダンスを調整できるという効果がある。
第7の実施形態.
図33は、第7の実施形態に係る無接点コネクタシステムの送信コイルの概略構成を示す上面図である。送信側の無接点コネクタ装置は、送信コイルに電流を流すとき、内側送信コイル1bを流れる電流により中心O1を通る軸の周囲に生じるループ電流とは逆に流れるループ電流が軸の周囲に生じるように、軸の周囲において内側送信コイル1bのさらに内側に追加の送信コイル1dを備えてもよい。追加の送信コイル1dは、例えば時計回りに巻回される。追加の送信コイル1dはその両端に端子P13,P14を有する。送信コイルに電流を流すとき、追加の送信コイル1dを流れる電流により軸の周囲に生じるループ電流の向きが内側送信コイル1bを流れる電流により軸の周囲に生じるループ電流の向きとは逆になるように、端子P4,P13は接続素子7により互いに接続される。この構成によれば、追加の送信コイル1dを備えたことにより、無接点コネクタ装置の特性を微調整することができる。
図33の構成では、追加の送信コイル1dが中心O1を通る軸の周囲に巻回される方向が、内側送信コイル1bが軸の周囲に巻回される方向とは逆であったが、これらの方向は同じであってもよい。この場合、送信コイルに電流を流すとき、追加の送信コイル1dを流れる電流により軸の周囲に生じるループ電流の向きが内側送信コイル1bを流れる電流により軸の周囲に生じるループ電流の向きとは逆になるように、送信コイル1a,1b,1dは構成される。また、同様に、追加の送信コイル1dよりもさらに内側の送信コイルを備えてもよい。
第8の実施形態.
図34は、第8の実施形態に係る無接点コネクタシステムの送信コイルのアレーを示す概略図である。図35は、第8の実施形態に係る比較例の無接点コネクタシステムの送信コイルのアレーを示す概略図である。図34のアレーは、規則的に配置された複数の送信コイル31−1〜31−3を備える。送信コイル31−1〜31−3は、互いに等間隔D11を有して位置する複数の平行な軸の周囲にそれぞれ巻回されている。送信コイル31−1〜31−3のそれぞれは、図1他の送信コイルと同様に構成される。また、図35のアレーは、図6と同様に(又は、図1の内側送信コイル1bを含まずに)構成された、複数の送信コイル32−1〜32−3を備える。図34及び図35の送信コイルの上方に示した太点線は、各送信コイルと受信コイル(図示せず)との相互インダクタンスを示し、太点線の上の実線は、各送信コイルに係る相互インダクタンスを合成したものを示す。図35のアレーでは、複数の送信コイルを配置しても、隣接する送信コイル間に受信コイルが位置するとき、相互インダクタンスが低下し、伝送効率が低下するという課題があった。一方、図34のアレーでは、各送信コイルが、非常に簡単な構成でありながら、送信コイル及び受信コイルの間に位置ずれが生じても、十分な伝送効率で安定した電力を伝送することができるので、アレー全体でも、位置に依存しない安定した電力伝送を実現できるという効果がある。図34では、一直線上に配置された3つの送信コイル31−1〜31−3を示したが、4つ以上の送信コイルを配置してもよく、また、複数の送信コイルを2次元的に配置してもよい。
第9の実施形態.
図36は、第9の実施形態に係る電力伝送システムの概略構成を示すブロック図である。以上説明した無接点コネクタシステムを備えた電力伝送システムを構成することができる。電力伝送システムは、送信側の無接点コネクタ装置を備えた送電側の電力伝送装置と、受信側の無接点コネクタ装置を備えた受電側の電力伝送装置からなるものとする。図36を参照すると、送電側の電力伝送装置において、送信コイル1a,1b(図1)は送電回路102に接続され、送電回路102は電源101に接続される。受電側の電力伝送装置において、受信コイル2(図1)は受電回路103に接続され、受電回路103は負荷104(例えば電池など)に接続される。送信コイル1a,1bに電力が供給されると送信コイル1に電流が流れ、その電流により形成される送信コイル1a,1bの周囲の電磁界により受信コイル2に誘導起電力が生じ、受信コイル2に誘導電流が流れる。この誘導電流を負荷104で取り出すことにより、送信コイル1a,1b及び受信コイル2の間で電力を伝送することができる。
本実施形態の電力伝送システムによれば、非常に簡単な構成でありながら、送信コイル1a,1b及び受信コイル2の間に位置ずれが生じても、十分な伝送効率で安定した電力を伝送することができる。
以上説明した無接点コネクタシステムを用いて、電力を伝送することに代えて、信号を伝送してもよい。
以上説明した電力伝送システムの原理を用いて、誘導加熱装置を構成することができる。誘導加熱装置において、誘導加熱コイルとしての図1の送信コイルは調理回路に接続され、調理回路は電源に接続される。さらに、図1の受信コイル2に代えて、鍋等の誘導加熱用調理容器が設けられる。鍋は、送信コイルに電磁的に結合するように送信コイルに近接して設けられる。なお、送信コイルと鍋との間の電磁的結合により、送信コイルに電流が流れると、その電流により形成される送信コイルの周囲の電磁界により鍋の底面に誘導起電力が生じ、誘導された渦電流が鍋の底面に流れる。この渦電流を等価的に損失性のコイルとみなせるので、鍋の自己インダクタンスと、送信コイル及び鍋の間の相互インダクタンスとを定義することができる。このような誘導加熱装置によれば、非常に簡単な構成でありながら、送信コイル及び鍋の間に位置ずれが生じても、十分な伝送効率で安定して鍋を加熱することができる。
なお、第2〜第9の実施形態を、送信側の無接点コネクタ装置を参照して説明したが、これらの構成は、受信側の無接点コネクタ装置(図12)にも適用可能である。
また、送信コイル及び受信コイルの形状は円形だけに限らず、矩形や楕円形など任意の形状をとってもよい。
また、外側送信コイルの巻数及び内側送信コイルの巻数は整数回に限らず、分数回又は小数回であってもよい。
また、外側送信コイルと内側送信コイルとは、部分的に重なっていてもよい。また、外側送信コイル及び内側送信コイルは、実質的に同じ面上にあるのであれば、図21〜図22等に示すように異なる面上にあってもよい。また、外側送信コイル及び内側送信コイルのそれぞれは単層に限らず、多層になるように巻回されてもよい。
また、図1他では、送信コイル及び受信コイルが互いに平行に設けられるように示したが、このような配置に限定されず、送信コイル及び受信コイルが互いに電磁的に結合できるのであれば、他の配置(例えば、受信コイルが送信コイルに対して所定の傾きを有する配置など)であってもよい。
また、図1他では、送信コイル及び受信コイルが平面状に巻回されるように示したが、このような形状に限定されず、送信コイル及び受信コイルが電磁的に結合するのであれば、ソレノイドなど、他の任意の形状に巻回されてもよい。
外側送信コイル及び内側送信コイルの巻線は単線に限らず、リッツ線(低抵抗化)、プリント配線基板の導体パターン(薄型化)、リボン線(低抵抗化)、ツイストペア線(低抵抗化)などを用いてもよい。巻線の材料は銅線に限らず、銅被覆のアルミ線(軽量化)や、磁性被覆の銅線(低損失化)など多層構造のものを用いてもよい。
上記に例示した構成を組み合わせてもよい。
以下、説明した本開示の実施形態に係る無接点コネクタシステムの効果について、理論計算を用いて説明する。
図37は、第1の実施例に係る無接点コネクタシステムの送信コイル及び受信コイルのモデルを示す斜視図である。図1の送信コイル1a,1bのそれぞれの巻数が1回であり、図1の受信コイル2の巻数が2回であり、送信コイル1a,1b及び受信コイル2が波長に比べて十分小さい場合(巻線の全長が波長の1/10程度、例えば1/100である場合)には、図37のように近似的に2重ループに置き換えることができる。送信コイルは、外側送信コイル41a及び内側送信コイル41bを備え、受信コイルは、外側受信コイル42a及び内側受信コイル42bを備えるものとみなす。第1の実施例では、外側送信コイル41a及び内側送信コイル41bに互いに逆向きに電流が流れる。また、第1の比較例として、外側送信コイル41a及び内側送信コイル41bに同じ向きに電流が流れる場合も考える。第1の実施例及び第1の比較例のいずれにおいても、外側受信コイル42a及び内側受信コイル42bには同じ向きに電流が流れる。
内側送信コイル41b及び内側受信コイル42bの半径D1を16mmとし、外側送信コイル41aと外側受信コイル42aの半径D3を8mmとし、送信コイル及び受信コイルの間の距離dz=2mmとし、図3と同様に定義された位置の変位dxを、0〜20mmまで変化させた場合の相互インダクタンスの変化を計算する。図37の無接点コネクタシステムの送信コイル及び受信コイルの間の相互インダクタンスMは、4つの成分、すなわち、M=M11+M12+M21+M22に分解することができる。ここで、M11は、内側送信コイル41bと内側受信コイル42bとの相互インダクタンスを示し、M12は、外側送信コイル41aと内側受信コイル42bとの相互インダクタンスを示し、M21は、内側送信コイル41bと外側受信コイル42aとの相互インダクタンスを示し、M22は、外側送信コイル41aと外側受信コイル42aとの相互インダクタンスを示す。
図38は、第1の比較例に係る無接点コネクタシステムの各コイル間の相互インダクタンスを示すグラフである。位置の変位dxが増大するにつれて相互インダクタンスM22及びM11が減少していくことが確認できる。ただし、相互インダクタンスM11に関しては、位置の変位dx=15mm付近で負の値になっているので、定義から明らかなように全体の相互インダクタンスMの低下要因になることが予想される。
図39は、第1の実施例に係る無接点コネクタシステムの各コイル間の相互インダクタンスを示すグラフである。外側送信コイル41a及び内側送信コイル41bに互いに逆向きに電流が流れる結果として、相互インダクタンスM11及びM21の符号が図38の場合から反転し、位置の変位dx=15mmにおいて相互インダクタンスM11が正の値になっていることがわかる。
図40は、図38及び図39に示す各相互インダクタンスを合計した結果を示すグラフである。第1の実施例の無接点コネクタシステムでは、第1の比較例の無接点コネクタシステムに比べて、相互インダクタンスの変化量が小さいことがわかる。これにより、第1の実施例の無接点コネクタシステムによれば、送信コイル及び受信コイルの間に位置ずれが生じても、伝送効率の変動を防止できるという効果があることがわかった。
図41は、第2の実施例に係る無接点コネクタシステムの概略構成を示す断面図である。送信コイルには、直径0.08mmの素線を100本束にしたリッツ線を用いた。送信コイルは、リッツ線を2層にわたって20回巻回したスパイラルコイルにおいて、内側の6周分の巻線をいったん持ち上げて、反転させてから元の位置に戻すことにより、互いに逆方向に巻回された外側送信コイル1a及び内側送信コイル1bとして構成された。外側送信コイル1aの外径は39mmであった。送信コイル1a,1bの全体の自己インダクタンスは9.6μHであり、抵抗は69mΩであり、比透磁率2400の磁性体基板13を装荷した際の自己インダクタンスは13.6μHであり、抵抗は123mΩであった。図4の等価回路で考えると、内部インピーダンスZ01は1Ωであり、キャパシタC1の容量は270pFであった。また、受信コイル2として、寸法及び等価回路のパラメータ(図4)について以下の2種類の値を有する、受信コイルA及びBを用いた。
(受信コイルA)
外径:32mm
巻数:18回
C2:82nF
dz1:1.0mm
Z02:8.7Ω
(受信コイルB)
外径:30mm
巻数:30回
C2:56nF
dz1:2.0mm
Z02:10.0Ω
また、第2の比較例の送信コイルとして、リッツ線を同じ向きに20回巻回したスパイラルコイル(すなわち、内側送信コイル1bの巻線を反転させない場合)も構成した。この場合、図4の等価回路で考えると、内部インピーダンスZ01は1Ωであり、キャパシタC1の容量は120pFであった。
図42は、第2の実施例及び第2の比較例に係る無接点コネクタシステムの相互インダクタンスを示すグラフである。第2の実施例によれば、送信コイルに電流を流すとき、内側送信コイル1bを流れる電流により中心を通る軸の周囲に生じるループ電流の向きが外側送信コイル1aを流れる電流により軸の周囲に生じるループ電流の向きとは逆になるように、送信コイル1a,1bを構成することにより、送信コイル及び受信コイルの間に位置ずれが生じても、相互インダクタンスの変化を防止できていることがわかる。
図43は、第2の比較例に係る無接点コネクタシステムの伝送効率を示すグラフである。図44は、第2の実施例に係る無接点コネクタシステムの伝送効率を示すグラフである。伝送効率80%以上になる範囲をカバーエリアとして規定すると、第2の比較例では位置の変位dx=11mmまで、第2の実施例では位置の変位dx=15mmまでを利用可能であり、カバーエリアを1.4倍に拡大できた。
図45は、第3の実施例の無接点コネクタシステムの概略構成を示す断面図である。送信コイルの全巻数N=15を固定し、外側送信コイル1aの巻数と内側送信コイル1bの巻数とを変化させたときの、位置ずれに対する伝送効率の変動を計算で求めた。送信コイルとして、外径70mm、内径40mm、巻数15、銅線径1.0mmを有するものを用い、受信コイルとして、外径30mm、内径10mm、巻数30を有するものを用いた。また、磁性体基板13,16の厚さは0.5mmであり、比透磁率は2400であった。
図46は、図45の無接点コネクタシステムに係る、位置の変位dx及び内側送信コイルの巻数に対する相互インダクタンスの変化を示すグラフである。横軸が受信コイルの位置の変位dxであり、縦軸が内側送信コイルの巻数であり、これらの条件ごとに、相互インダクタンスのピーク値に対する割合[%](すなわち、規格化された相互インダクタンス)を等高線で示している。シミュレーション結果より、内側送信コイルの巻数が0の場合は、位置の変位dx=20mmの地点で、相互インダクタンスがピーク値の80%になっていることがわかる。一方、内側送信コイルの巻数を4回にすると、相互インダクタンスがピーク値の80%になる距離が、位置の変位dx=25mmの地点まで延びていることがわかる。この計算条件では、全巻数N=15に対する内側送信コイルの巻数の比が1/3以下ならば、位置ずれ耐性を強化できることがシミュレーション結果よりわかった。
図47は、第4の実施例及び第3の比較例に係る無接点コネクタシステムの規格化された送電可能エリアを示すグラフである。第4の実施例では、送信コイルとして、内径12mm、外径40mm、巻数15を有するものを用い、受信コイルとして、内径10mm、外径30mm、巻数11を有するものを用いた。送信コイル及び受信コイルの間の距離dz=5mmであった。第4の実施例の送信コイルは、外側送信コイル及び内側送信コイルを含み、外側送信コイル及び内側送信コイルには互いに逆向きに電流が流れるように構成された。このとき、外側送信コイル及び内側送信コイルの各巻数は、外側送信コイルの自己インダクタンスLoutに対する内側送信コイルの自己インダクタンスLinの比(Lin/Lout)が変化するように構成された。第3の比較例では、第4の実施例と同じ寸法を有する送信コイル及び受信コイルを用いた。ただし、第3の比較例の送信コイルは、図6と同様に、外側送信コイル及び内側送信コイルに同じ向きに電流が流れるように構成された。
図47のシミュレ−ション結果は以下のように得られた。所定の自己インダクタンスの比Lin/Loutを有する送信コイルを構成したとき、受信コイルを送信コイルに対してX方向に変位させ、相互インダクタンスの変動が±20%以内である変位の範囲を、電力を安定して伝送できる「送電可能エリア」とした。図47の縦軸は、送信コイルの半径で規格化された送電可能エリアを示す。第3の比較例では、送信コイルを外側送信コイル及び内側送信コイルに分割してもそれらの相互インダクタンスは変わらないので、自己インダクタンスの比Lin/Loutにかかわらず、送電可能エリアは一定になる。一方、第4の実施例では、内側送信コイルの自己インダクタンス(逆巻き回数)が増加するに従い、送電可能エリアが増加していくことがわかる。ただし、自己インダクタンスの比Lin/Loutが0.45以上となると、第4の実施例に係る送電可能エリアは、第3の比較例よりも下回ることがわかる。これは、外側送信コイル及び内側送信コイルによって、その中心部の磁束が打ち消されるためである。
図48は、第4の実施例及び第3の比較例に係る無接点コネクタシステムの送電可能エリアの拡大率を示すグラフである。図48は、第3の比較例に係る送電可能エリアに対する第4の実施例に係る送電可能エリアの比を示す。図48によれば、自己インダクタンスの比Lin/Loutが0.3付近で拡大率が2倍以上となり、最大値となることがわかる。ただし、自己インダクタンスの比Lin/Loutが0.45以上となると送電可能エリアの拡大率が1以下となり、第3の比較例よりも送電可能エリアが狭まることがわかる。従って、内側送信コイルと外側送信コイルの自己インダクタンスの比を最適化することで、送電可能エリアを最大化することができる。
図47及び図48によれば、自己インダクタンスの比Lin/Loutを0.45未満に設定することによって、送電可能エリアを拡大できる効果が得られた。また、自己インダクタンスの比Lin/Loutを0.3にしたとき、最良の効果が得られた。
まとめ.
本開示の態様に係る無接点コネクタ装置、無接点コネクタシステムと、電力伝送装置、及び電力伝送システムは以下の構成を備える。
第1の態様に係る無接点コネクタ装置によれば、
第2のコイルと電磁的に結合するように近接しかつ対向して設けられる第1のコイルを備えた無接点コネクタ装置において、
上記第1のコイルは、上記第1のコイルの中心を通る軸の周囲に巻回された内側コイルと、上記軸の周囲において上記内側コイルの外側に巻回された外側コイルとを備え、
上記第1のコイルに電流を流すとき、上記内側コイルを流れる電流により上記軸の周囲に生じるループ電流の向きが上記外側コイルを流れる電流により上記軸の周囲に生じるループ電流の向きとは逆になるように、上記外側コイルの一端及び上記内側コイルの一端は互いに接続され、
上記外側コイルの自己インダクタンスは上記内側コイルの自己インダクタンスより大きい。
第2の態様に係る無接点コネクタ装置によれば、第1の態様に係る無接点コネクタ装置において、上記外側コイルの自己インダクタンスに対する上記内側コイルの自己インダクタンスの比は0より大きく0.45未満である。
第3の態様に係る無接点コネクタ装置によれば、第1又は第2の態様に係る無接点コネクタ装置において、上記内側コイルが上記軸の周囲に巻回される方向は、上記外側コイルが上記軸の周囲に巻回される方向とは逆である。
第4の態様に係る無接点コネクタ装置によれば、第1又は第2の態様に係る無接点コネクタ装置において、上記内側コイルが上記軸の周囲に巻回される方向は、上記外側コイルが上記軸の周囲に巻回される方向と同じである。
第5の態様に係る無接点コネクタ装置によれば、第1〜第4のいずれか1つの態様に係る無接点コネクタ装置は、上記第1のコイルに対して、上記第2のコイルが近接して設けられる側とは逆の側に設けられた磁性体基板をさらに備える。
第6の態様に係る無接点コネクタ装置によれば、第5の態様に係る無接点コネクタ装置は、上記第1のコイルに接続された導線をさらに備え、
上記磁性体基板は、上記第1のコイル及び上記導線の少なくとも一部を収容する溝部を有する。
第7の態様に係る無接点コネクタ装置によれば、第1〜第6のいずれか1つの態様に係る無接点コネクタ装置において、
上記第1のコイルは、上記軸に近接した第1の端部と、上記軸から遠隔した第2の端部とを有し、
上記無接点コネクタ装置は、上記第1の端部に接続された導線をさらに備え、上記導線は、上記軸から次第に遠隔するように上記軸の周囲に巻回される。
第8の態様に係る無接点コネクタ装置によれば、第1〜第7のいずれか1つの態様に係る無接点コネクタ装置において、上記外側コイル及び上記内側コイルのそれぞれは、プリント配線基板の少なくとも一方の面上に配線パターン形成法により形成される。
第9の態様に係る無接点コネクタ装置によれば、第1〜第8のいずれか1つの態様に係る無接点コネクタ装置において、上記外側コイルの一端及び上記内側コイルの一端は、インピーダンス素子を介して互いに接続され、上記インピーダンス素子は、抵抗、キャパシタ、インダクタ、電流反転回路のいずれかである。
第10の態様に係る無接点コネクタ装置によれば、第1〜第9のいずれか1つの態様に係る無接点コネクタ装置において、互いに等間隔を有して位置する複数の平行な軸の周囲にそれぞれ巻回された複数の上記第1のコイルを備える。
第11の態様に係る無接点コネクタシステムによれば、
送信側の無接点コネクタ装置としての第1〜第10のいずれか1つの態様に係る無接点コネクタ装置と、
上記第2のコイルを備えた受信側の無接点コネクタ装置とを含む。
第12の態様に係る無接点コネクタシステムによれば、
上記第2のコイルを備えた送信側の無接点コネクタ装置と、
受信側の無接点コネクタ装置としての第1〜第10のいずれか1つの態様に係る無接点コネクタ装置とを含む。
第13の態様に係る無接点コネクタシステムによれば、
送信側の無接点コネクタ装置としての第1〜第10のいずれか1つの態様に係る無接点コネクタ装置と、
受信側の無接点コネクタ装置としての第1〜第10のいずれか1つの態様に係る無接点コネクタ装置とを含む。
第14の態様に係る電力伝送装置によれば、送電回路と、上記送電回路に接続された第1〜第10のいずれか1つの態様に係る無接点コネクタ装置とを備える。
第15の態様に係る電力伝送装置によれば、受電回路と、上記受電回路に接続された第1〜第10のいずれか1つの態様に係る無接点コネクタ装置とを備える。
第16の態様に係る電力伝送システムによれば、第11〜第13のいずれか1つの態様に係る無接点コネクタシステムと、上記送信側の無接点コネクタ装置に接続された送電回路と、上記受信側の無接点コネクタ装置に接続された受電回路とを備える。
本開示の無接点コネクタ装置及び無接点コネクタシステム、電力伝送装置及び電力伝送システムによれば、非常に簡単な構成でありながら、送信コイル及び受信コイルの間に位置ずれが生じても、十分な伝送効率で安定した電力を伝送することができる。
また、従来であれば、伝送効率の低下に対処するために送信電力を増大させなければならず、結果として発熱量が増大していたが、本開示の無接点コネクタ装置及び無接点コネクタシステム、電力伝送装置及び電力伝送システムでは伝送効率が低下しないので、発熱も防止できるという効果がある。
1,1a,1b,1aa,1ba,1ab,1bb,1ac,1bc,1c,1d,31−1〜31−3,32−1〜32−3,41a,41b…送信コイル、
2,2a,2b,42a,42b…受信コイル、
3,3A〜3D,4,7…接続素子、
5,6,6A〜6C…導線、
11,12…筐体、
13,16…磁性体基板、
14…誘電体基板、
15,15A,15B1〜15B3,15C,15D…ビア導体、
21…インピーダンス素子、
101…電源、
102…送電回路、
103…受電回路、
104…負荷、
C1,C2…容量、
G1,G2…溝部、
L1,L2…自己インダクタンス、
M…相互インダクタンス、
P1〜P14…端子、
R1,R2…抵抗成分、
Q…信号源、
Z01,Z02…負荷インピーダンス。

Claims (16)

  1. 第2のコイルと電磁的に結合するように近接しかつ対向して設けられる第1のコイルを備えた無接点コネクタ装置において、
    上記第1のコイルは、上記第1のコイルの中心を通る軸の周囲に巻回された内側コイルと、上記軸の周囲において上記内側コイルの外側に巻回された外側コイルとを備え、
    上記第1のコイルに電流を流すとき、上記内側コイルを流れる電流により上記軸の周囲に生じるループ電流の向きが上記外側コイルを流れる電流により上記軸の周囲に生じるループ電流の向きとは逆になるように、上記外側コイルの一端及び上記内側コイルの一端は互いに接続され、
    上記外側コイルの自己インダクタンスは上記内側コイルの自己インダクタンスより大きい無接点コネクタ装置。
  2. 上記外側コイルの自己インダクタンスに対する上記内側コイルの自己インダクタンスの比は0より大きく0.45未満である請求項1記載の無接点コネクタ装置。
  3. 上記内側コイルが上記軸の周囲に巻回される方向は、上記外側コイルが上記軸の周囲に巻回される方向とは逆である請求項1又は2記載の無接点コネクタ装置。
  4. 上記内側コイルが上記軸の周囲に巻回される方向は、上記外側コイルが上記軸の周囲に巻回される方向と同じである請求項1又は2記載の無接点コネクタ装置。
  5. 上記無接点コネクタ装置は、上記第1のコイルに対して、上記第2のコイルが近接して設けられる側とは逆の側に設けられた磁性体基板をさらに備えた請求項1〜4のいずれか1つに記載の無接点コネクタ装置。
  6. 上記無接点コネクタ装置は、上記第1のコイルに接続された導線をさらに備え、
    上記磁性体基板は、上記第1のコイル及び上記導線の少なくとも一部を収容する溝部を有する請求項5記載の無接点コネクタ装置。
  7. 上記第1のコイルは、上記軸に近接した第1の端部と、上記軸から遠隔した第2の端部とを有し、
    上記無接点コネクタ装置は、上記第1の端部に接続された導線をさらに備え、上記導線は、上記軸から次第に遠隔するように上記軸の周囲に巻回された請求項1〜6のいずれか1つに記載の無接点コネクタ装置。
  8. 上記外側コイル及び上記内側コイルのそれぞれは、プリント配線基板の少なくとも一方の面上に配線パターン形成法により形成された請求項1〜7のいずれか1つに記載の無接点コネクタ装置。
  9. 上記外側コイルの一端及び上記内側コイルの一端は、インピーダンス素子を介して互いに接続され、上記インピーダンス素子は、抵抗、キャパシタ、インダクタ、電流反転回路のいずれかである請求項1〜8のいずれか1つに記載の無接点コネクタ装置。
  10. 互いに等間隔を有して位置する複数の平行な軸の周囲にそれぞれ巻回された複数の上記第1のコイルを備えた請求項1〜9のいずれか1つに記載の無接点コネクタ装置。
  11. 送信側の無接点コネクタ装置としての請求項1〜10のいずれか1つに記載の無接点コネクタ装置と、
    上記第2のコイルを備えた受信側の無接点コネクタ装置とを含む無接点コネクタシステム。
  12. 上記第2のコイルを備えた送信側の無接点コネクタ装置と、
    受信側の無接点コネクタ装置としての請求項1〜10のいずれか1つに記載の無接点コネクタ装置とを含む無接点コネクタシステム。
  13. 送信側の無接点コネクタ装置としての請求項1〜10のいずれか1つに記載の無接点コネクタ装置と、
    受信側の無接点コネクタ装置としての請求項1〜10のいずれか1つに記載の無接点コネクタ装置とを含む無接点コネクタシステム。
  14. 送電回路と、上記送電回路に接続された請求項1〜10のいずれか1つに記載の無接点コネクタ装置とを備えた電力伝送装置。
  15. 受電回路と、上記受電回路に接続された請求項1〜10のいずれか1つに記載の無接点コネクタ装置とを備えた電力伝送装置。
  16. 請求項11〜13のうちのいずれか1つに記載の無接点コネクタシステムと、上記送信側の無接点コネクタ装置に接続された送電回路と、上記受信側の無接点コネクタ装置に接続された受電回路とを備えた電力伝送システム。
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