JP2013125620A - 誘導加熱装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】送信コイル及び調理容器の位置ずれに強くかつ伝送効率の高い誘導加熱装置を提供する。
【解決手段】鍋123は、送信コイル1に電磁的に結合するように送信コイル1に近接して設けられる。送信コイル1は、水平な第1の面上の所定領域の周囲に巻線を巻回するように第1の面に沿って設けられる。誘導加熱装置は、第1の面と、第1の面の上方に近接して対向しかつ鍋123の底面が位置する第2の面との間において、少なくとも送信コイル1の巻線が存在する領域にわたって送信コイル1に電磁的に結合するように近接して設けられた磁性体3を備え、送信コイル1に磁性体3を近接させることにより送信コイル1の自己インダクタンスを増大させる。
【選択図】図32
【解決手段】鍋123は、送信コイル1に電磁的に結合するように送信コイル1に近接して設けられる。送信コイル1は、水平な第1の面上の所定領域の周囲に巻線を巻回するように第1の面に沿って設けられる。誘導加熱装置は、第1の面と、第1の面の上方に近接して対向しかつ鍋123の底面が位置する第2の面との間において、少なくとも送信コイル1の巻線が存在する領域にわたって送信コイル1に電磁的に結合するように近接して設けられた磁性体3を備え、送信コイル1に磁性体3を近接させることにより送信コイル1の自己インダクタンスを増大させる。
【選択図】図32
Description
本発明は、コイル間の誘導結合を用いた誘導加熱装置に関する。
近年、携帯電話機や電気自動車などの移動性を伴う電子機器やEV機器において無線充電を行うために、コイル間の誘導結合を用いた非接触コネクタ装置及び非接触コネクタシステムと、それを備えた電力伝送装置及び電力伝送システムの開発が進んでいる。非接触の電力伝送システムとして、例えば特許文献1〜3の発明が知られている。
特許文献1の無接点給電装置は、電力が供給される電力用1次コイルを備えた家具と、この家具に対して所定の配置位置に配置された状態で電力用1次コイルによる磁束内に配置される電力用2次コイルを備えたコードレス機器と、家具に対するコードレス機器の所定の配置位置を報知する報知手段とを具備して成ることを特徴とする。
特許文献2の無接点電力伝送コイルは、線状導体を略々同一平面内に渦巻き状に巻回して形成された平面コイルと、磁性体粒子がバインダ溶剤中に混入された液状の磁性体溶液を、上記平面コイルの一方の平面部及び当該平面コイルの側面部を覆うように塗布して形成された磁性体層とを有する、ことを特徴とする。
特許文献3の無線伝送システムは、無線電力伝送のための共振器を備え、これは、1つ以上のループを形成しかつ所定のインダクタンスを有する導体と、所定の容量及び所望の電気的パラメータを有しかつ上記導体に接続されているキャパシタネットワークとを備える。ここで、上記キャパシタネットワークは、電気的パラメータとして第1の温度プロファイルを有する第1のタイプの少なくとも1つのキャパシタと、電気的パラメータとして第2の温度プロファイルを有する第2のタイプの少なくとも1つのキャパシタとを有する。
このような非接触の電力伝送システムの原理は、非接触コネクタ装置を備えた情報伝送システムや、IH調理装置などの誘導加熱装置にも適用可能である。
非接触の電力伝送システムにおいて高い伝送効率を実現するには、送信側の電力伝送装置(例えば充電器)に備えられた送信コイルと受信側の電力伝送装置(例えば被充電器)に備えられた受信コイルとが電磁的に強く結合するように、送信コイル及び受信コイルの位置を正確に合わせて対向させることが必要となる。
特許文献1及び2の発明によれば、対向する送信コイル及び受信コイルの位置が正確に合っているならば高い伝送効率を実現できるものの、位置がずれると伝送効率が低下する課題がある。
位置ずれによる伝送効率の低下を解決するために、特許文献3の発明では、整合回路を動的に変更している。しかしながら、このような解決法は制御が複雑になるという課題があった。
同様の問題点は、非接触の電力伝送システムだけでなく、非接触コネクタ装置を備えた情報伝送システムや、誘導加熱装置にも存在する。
本発明の目的は、以上の問題点を解決し、簡単な構成でありながら、送信コイル及び受信コイルの位置ずれに強くかつ伝送効率の高い誘導加熱装置を提供することにある。
本発明の態様に係る誘導加熱装置によれば、
調理容器と電磁的に結合するように近接して設けられた誘導加熱コイルを備えた誘導加熱装置において、
上記誘導加熱コイルの巻線は水平な第1の面上で巻回され、
上記誘導加熱装置は、
上記第1の面と、上記第1の面の上方に近接して対向しかつ上記調理容器の底面が位置する第2の面との間において、少なくとも上記誘導加熱コイルの巻線及び上記調理容器の底面が存在する領域にわたって上記誘導加熱コイル及び上記調理容器の底面に電磁的に結合するように近接して設けられた磁性体を備え、
上記誘導加熱コイルに上記磁性体を近接させることにより上記誘導加熱コイルの自己インダクタンスを増大させ、上記調理容器の底面を上記磁性体に近接させることにより上記調理容器の自己インダクタンスを増大させることを特徴とする。
調理容器と電磁的に結合するように近接して設けられた誘導加熱コイルを備えた誘導加熱装置において、
上記誘導加熱コイルの巻線は水平な第1の面上で巻回され、
上記誘導加熱装置は、
上記第1の面と、上記第1の面の上方に近接して対向しかつ上記調理容器の底面が位置する第2の面との間において、少なくとも上記誘導加熱コイルの巻線及び上記調理容器の底面が存在する領域にわたって上記誘導加熱コイル及び上記調理容器の底面に電磁的に結合するように近接して設けられた磁性体を備え、
上記誘導加熱コイルに上記磁性体を近接させることにより上記誘導加熱コイルの自己インダクタンスを増大させ、上記調理容器の底面を上記磁性体に近接させることにより上記調理容器の自己インダクタンスを増大させることを特徴とする。
上記誘導加熱装置は、上記誘導加熱コイル及び上記調理容器のそれぞれの自己インダクタンスを増大させることにより、上記誘導加熱コイル及び上記調理容器の間の結合係数を、上記誘導加熱コイルから上記調理容器への伝送効率の周波数特性が2峰性かつ狭帯域の特性から単峰性かつ広帯域の特性に変化するように、低下させて設定することを特徴とする。
上記誘導加熱装置において、上記誘導加熱コイルの巻線は上記第1の面に沿って単層で巻回されることを特徴とする。
上記誘導加熱装置において、上記誘導加熱コイルの巻線は上記第1の面に沿って多層で巻回され、上記多層の巻線のうちの各層の巻線は互いに直列に接続されることを特徴とする。
上記誘導加熱装置において、上記誘導加熱コイルの巻線は上記第1の面に沿って多層で巻回され、上記多層の巻線のうちの各層の巻線は互いに並列に接続されることを特徴とする。
上記誘導加熱装置において、
上記誘導加熱コイルの巻線は、上記第1の面に沿った誘電体基板上の導体パターンとして形成され、
上記磁性体は、上記誘導加熱コイル及び上記誘電体基板と一体的に形成されることを特徴とする。
上記誘導加熱コイルの巻線は、上記第1の面に沿った誘電体基板上の導体パターンとして形成され、
上記磁性体は、上記誘導加熱コイル及び上記誘電体基板と一体的に形成されることを特徴とする。
本発明の誘導加熱装置によれば、非常に簡単な構成でありながら、誘導加熱コイル及び調理容器の間に位置ずれが生じても、安定した伝送効率で調理容器を加熱することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、同様の構成要素については同一の符号を付している。
第1の実施形態.
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電力伝送システムの概略構成を示す斜視図である。図2は、図1のA−A’線における断面図である。本実施形態の電力伝送システムは、送信コイル1及び受信コイル2の間の電磁結合を用いた非接触コネクタシステムを備えて構成される。図1他では、図示の簡単化のために、電力伝送システムに必要な電源、送電回路、受電回路などを省略し、非接触コネクタシステムのみを示す。なお、非接触コネクタシステムは、送信コイル1を備えた送信側の非接触コネクタ装置と、受信コイル2を備えた受信側の非接触コネクタ装置とからなるものとする。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電力伝送システムの概略構成を示す斜視図である。図2は、図1のA−A’線における断面図である。本実施形態の電力伝送システムは、送信コイル1及び受信コイル2の間の電磁結合を用いた非接触コネクタシステムを備えて構成される。図1他では、図示の簡単化のために、電力伝送システムに必要な電源、送電回路、受電回路などを省略し、非接触コネクタシステムのみを示す。なお、非接触コネクタシステムは、送信コイル1を備えた送信側の非接触コネクタ装置と、受信コイル2を備えた受信側の非接触コネクタ装置とからなるものとする。
図1の電力伝送システムにおいて、非接触コネクタシステムは、互いに近接して対向する第1の面及び第2の面に沿ってそれぞれ設けられた送信コイル1及び受信コイル2を備える。送信コイル1は端子P1a,P1bを有し、受信コイル2は端子P2a,P2bを有する。送信コイル1及び受信コイル2は互いに電磁的に結合するように近接して設けられる。送信コイル1は、第1の面上の所定領域の周囲に巻線を巻回するように第1の面に沿って設けられる。同様に、受信コイル2は、第2の面上の所定領域の周囲に巻線を巻回するように第2の面に沿って設けられる。非接触コネクタシステムは、第1の面と第2の面との間において、少なくとも送信コイル1及び受信コイル2の巻線が存在する領域にわたって送信コイル1及び受信コイル2に電磁的に結合するように近接して設けられた所定の比透磁率を有する磁性体3を備える。磁性体3は、例えばフェライトである。送信コイル1に磁性体3を近接させることにより送信コイル1の自己インダクタンスを増大させ、受信コイル2に磁性体3を近接させることにより受信コイル2の自己インダクタンスを増大させる。
本実施形態の電力伝送システムでは、送信コイル1及び受信コイル2のそれぞれの自己インダクタンスを増大させることにより、送信コイル1及び受信コイル2の間の結合係数を、送信コイル1から受信コイル2への伝送効率の周波数特性が2峰性かつ狭帯域の特性から単峰性かつ広帯域の特性に変化するように、低下させて設定することを特徴とする。
以下、本実施形態の非接触コネクタシステムの動作原理について説明する。
図3は、比較例の電力伝送システムの概略構成を示す断面図である。図3の電力伝送システムにおいて、非接触コネクタシステムは、磁性体3を持たないことを除いて図1の非接触コネクタシステムと同様である。送信コイル1は送信側の非接触コネクタ装置の筐体4に設けられ、受信コイル2は受信側の非接触コネクタ装置の筐体5に設けられる。送信コイル1及び受信コイル2は距離dを有して離隔される。
図3の電力伝送システムにおいて、送信コイル1に電流が流れると、その電流により形成される送信コイル1の周囲の電磁界により受信コイル2に誘導起電力が生じ、受信コイル2に誘導電流が流れる。言い換えれば、送信コイル1及び受信コイル2は互いに電磁的に結合している。この結合の度合いを評価する指標として、次式の結合係数kが用いられる。
k=M/(√L1×√L2) (0≦|k|≦1)
ここで、Mは、送信コイル1及び受信コイル2の間の相互インダクタンスを表し、L1は送信コイル1の自己インダクタンスを表し、L2は受信コイル2の自己インダクタンスを表す。
図4は、図3の電力伝送システムの等価回路の一例を示す回路図である。Qは信号源であり、z01は送信回路の負荷インピーダンスであり、z02は受信回路及び負荷の負荷インピーダンスであり、R1,R2は抵抗であり、C1,C2は整合用のキャパシタである。電力伝送システムが角周波数ωで動作するとき、伝送効率を表すパラメータS21は、自己インダクタンスL1,L2と相互インダクタンスMとを用いて次式のように表することが可能である。
なお、図4の等価回路及びこのパラメータS21の式は単なる一例であり、電力伝送システムの等価回路及び伝送効率は他の任意の適切なモデルで表されてもよい。
送信コイル1及び受信コイル2が電磁的に強く結合している場合、|k|≒1となるが、距離dが増大するにつれて、|k|の値は減少していき、送信コイル1及び受信コイル2が電磁的に結合していない場合|k|=0となる。
図5は、図3の送信コイル1及び受信コイル2の間の結合係数kを変化させたときの伝送効率の周波数特性を示す概略図である。図5では、Q値は一定であると仮定する。図5によれば、結合係数kの大小に応じて伝送効率の帯域幅が変化することがわかる。通常、送信コイル1及び受信コイル2の電磁的結合が強い場合は、2峰性かつ狭帯域の特性になり、広帯域動作を実現することができない。すなわち、広帯域動作を実現するには、送信コイル1及び受信コイル2を近接させた条件下で結合係数kを低下させる必要がある。結合係数kは、自己インダクタンスL1,L2の平方根と相互インダクタンスMとの比であるから、自己インダクタンスL1及びL2を増大させることができれば、結合係数kを低下させることができる。
図6〜図8は、図3の電力伝送システムにおける磁束の流れを示す概略図である。図6〜図8では、図3の筐体4,5は省略して送信コイル1及び受信コイル2のみを示す。図6のように送信コイル1及び受信コイル2が互いに近接している場合、送信コイル1に電流が流れると、送信コイル1及び受信コイル2の両方を包囲するように磁束M1a,M1bが形成され、相互インダクタンスMが増大し、結合係数kが高くなる。図7は、図3の電力伝送システムにおいて、送信コイル1及び受信コイル2の間の距離dを増大させたときの磁束の流れを示す概略図である。図7のように送信コイル1及び受信コイル2が互いに離れている場合、送信コイル1に電流が流れると、送信コイル1及び受信コイル2の周囲に形成される磁束のうちで一部の磁束M2a,M2bは漏れ磁束になるので、相互インダクタンスMが低下し、結合係数kが低くなる。図8は、図3の電力伝送システムにおいて、送信コイル1及び受信コイル2の間の距離dを増大させ、かつ磁性体6を挿入したときの磁束の流れを示す概略図である。送信コイル1及び受信コイル2が互いに離れている場合、図8のように送信コイル1及び受信コイル2の中心部分に磁性体6(鉄、フェライト、など)を挿入することで、図7の漏れ磁束M2a,M2bを、磁性体6の内部を通過して送信コイル1及び受信コイル2の両方を包囲する磁束M1bに変化させることができ、その結果、相互インダクタンスMが増大し、結合係数kが高くなる。
図6のように送信コイル1及び受信コイル2が互いに近接している条件下では、前述の通り、結合係数kが高くなるので、広帯域動作を実現することはできない。従って、磁束の流れを制御し、相互インダクタンスMを低下させる代わりに自己インダクタンスL1,L2を高める必要がある。
図9は、図1の電力伝送システムにおける磁束の流れを示す概略図である。送信コイル1に電流が流れると、一部の磁束M1は磁性体3を通過して送信コイル1及び受信コイル2の両方を包囲するように形成されるが、他の一部の磁束M2aは、磁性体3内において送信コイル1の近傍のみを通り、受信コイル2に向かうことはなく、送信コイル1のみを包囲する漏れ磁束として形成される。漏れ磁束M2aが形成されることで、送信コイル1の自己インダクタンスL1が増大する。同様に、受信コイル2に誘導電流が流れると、磁性体3内において受信コイル2の近傍のみを通り、送信コイル1に向かうことはなく、受信コイル2のみを包囲する漏れ磁束M2bが形成される。漏れ磁束M2bが形成されることで、受信コイル2の自己インダクタンスL2が増大する。このように、図1の電力伝送システムでは、磁性体3を備えたことにより自己インダクタンスL1,L2が増大し、図6の場合と比較して結合係数kが低くなり、よって、広帯域動作を実現することができる。
図10は、図1の電力伝送システムにおいて、送信コイル1及び受信コイル2の位置がずれたときの磁束の流れを示す概略図である。この場合も、図9の場合と同様に、送信コイル1のみを包囲する漏れ磁束M2aと、受信コイル2のみを包囲する漏れ磁束M2bとが形成される。このため、図9の場合と同様に、磁性体3を備えたことにより自己インダクタンスL1,L2が増大し、図6の場合と比較して結合係数kが低くなり、よって、広帯域動作を実現することができる。
好ましい結合係数kについて、図5を参照して説明する。前述のように、送信コイル1及び受信コイル2の電磁的結合が強い場合は、2峰性かつ狭帯域の特性であるが、結合係数kを次第に低下させると、伝送効率の2つのピークの間の周波数間隔は次第に小さくなり、かつ、2つのピークの間の伝送効率の極小値は次第に増大する。この周波数間隔が実質的に0になったとき、言い換えると、伝送効率の2つのピークとその間の極小値との差が小さくなったとき(例えば5〜10%)、電力伝送システムの帯域幅は最大になる。この条件を満たすように、結合係数kは決定され、この結合係数kの値を達成するように、電力伝送システムの各パラメータ(磁性体3の厚さ及び比透磁率、送信コイル1及び受信コイル2の巻き数、など)は決定される。
距離dを有して離隔された送信コイル1及び受信コイル2の間に磁性体3を設けると、図27を参照して後述するように、磁性体なし(「磁性体なし、d=2.6mm」、一点鎖線のプロット)では2峰性かつ狭帯域の特性であったところ、磁性体あり(「磁性体あり、d=2.6mm」、実線のプロット)では単峰性かつ広帯域の特性になる。磁性体を持たない電力伝送システムの場合、結合係数kが高いので2峰性の特性を示しているが、本実施形態の電力伝送システムの場合、磁性体3の効果により結合係数kが低下し、広帯域動作を実現できる。また、図27によれば、磁性体なし(「磁性体なし、d=2.6mm」、一点鎖線のプロット)及び磁性体あり(「磁性体あり、d=2.6mm」、実線のプロット)を比較すると、磁性体3を設けたとき、自己インダクタンスL1,L2の増大により、共振周波数が250kHzから150kHzまで低下する。言い換えれば、本実施形態の電力伝送システムでは、共振周波数が低下することにより小型化の効果も得られる。
次に、図11〜図18を参照して、本実施形態の電力伝送システムの送信コイル1及び受信コイル2の位置ずれに対する耐性について説明する。
図11は、本発明の第1の実施例に係る電力伝送システムの概略構成を示す斜視図である。図12は、図11の電力伝送システムの上面図である。図13は、図11のB−B’線における断面図である。送信コイル1及び受信コイル2は、30mm×30mmの正方形の外周を有する矩形コイルであり、配線幅0.4mm、配線ピッチ0.4mm、配線の厚さ0.2mmを有し、巻き数は5回である。送信コイル1及び受信コイル2は、距離d=2mmを有して互いに対向する。送信コイル1及び受信コイル2の間には、厚さ2mm及び比透磁率10を有するフェライトの磁性体3が設けられている。図14は、図11の電力伝送システムの等価回路を示す回路図である。Q1は信号源であり、Z1は負荷インピーダンスであり、C3,C4は整合のために装荷されたキャパシタである。キャパシタC3,C4の容量は20nFである。図15は、図11の電力伝送システムにおいて送信コイル1及び受信コイル2の間に生じさせた位置ずれを説明する図である。送信コイル1に対して受信コイル2を図15に示すようにY方向に変位させた。磁性体3は、図15の変位が可能であるように、Y方向に十分な長さを有するものとする。
計算機シミュレーション(図16〜図21、図23、図24)では、有限要素法を用いて送信コイル1及び受信コイル2の間のインピーダンス行列を計算し、送信コイル1及び受信コイル2の間の伝送効率として、100×|S21|2を求めた。
図16は、磁性体3を除去した図11の電力伝送システムにおいて、送信コイル1及び受信コイル2の位置ずれを変化させたときの伝送効率の周波数特性を示すグラフである。図17は、図11の電力伝送システムにおいて、送信コイル1及び受信コイル2の位置ずれを変化させたときの伝送効率の周波数特性を示すグラフである。磁性体3がない場合(図16)、送信コイル1及び受信コイル2の間の変位が増大するにつれて共振周波数が高い周波数帯にシフトし、伝送効率が低下していく様子がわかる。動作周波数が約700kHzであると仮定すると、伝送効率に大きな変動が生じる。これは、送信コイル1及び受信コイル2の位置にずれが生じることで、送信コイル1及び受信コイル2の間を貫く磁束が減少し、相互インダクタンスMが低下するためである。一方、本実施形態の磁性体3を備えた電力伝送システムでは(図17)、広帯域化の効果により、伝送効率の変動は小さく抑えられていることが判る。すなわち、本実施形態の電力伝送システムでは、位置ずれに強いという格別の効果があることがわかる。
図18は、図11の電力伝送システムの位置ずれに対する伝送効率の特性を示すグラフである。電力伝送システムの構成は、図11〜図14で示したものと同様であり、動作周波数は680kHzである。例えば、伝送効率が60%以上になる範囲を求めると、比較例(磁性体なし)は5mmまでのずれを許容し、実施例は13mmまでの位置ずれを許容できる。本実施形態の電力伝送システムは、送信コイル1及び受信コイル2の位置ずれに対して強い耐性を有することがわかる。
位置ずれ耐性が強くなるということは、送信コイル1及び受信コイル2の位置がずれても結合係数の相対変化が小さいということになる。
次に、図19〜図21を参照して、本実施形態の電力伝送システムにおいて磁性体3の比透磁率を変化させたときの特性について説明する。図19〜図21において、電力伝送システムの構成は、磁性体3の厚さ(送信コイル1及び受信コイル2の間の距離に等しい)及び比透磁率以外は、図11〜図14で示したものと同様である。ただし、キャパシタC3,C4の容量は10nFである。
図19は、図11の電力伝送システムにおいて、磁性体3の比透磁率を変化させたときの伝送効率の周波数特性を示すグラフである。図19の場合、磁性体3の厚さは2mmである。図19によれば、比透磁率μr=2のときは2峰性の特性を示すが、比透磁率μr=7になると伝送効率を維持したまま広帯域化し、比透磁率μr=20で単峰性になって伝送効率が低下している。従って、最適な比透磁率μrが存在することが確認できる。図20は、磁性体3の厚さを減少させた図11の電力伝送システムにおいて、磁性体3の比透磁率を変化させたときの伝送効率の周波数特性を示すグラフである。図20の場合、磁性体3の厚さは1mmであり、比透磁率μrは、比較のために図19の場合と同じ値を用いた。磁性体3の厚さを減少させたことにより、送信コイル1及び受信コイル2の間の結合係数kが増大する。図19の場合では、比透磁率μr=7のときに最適の特性が得られたが、磁性体3の厚さを変化させると、そのことが成立しなくなる。図21は、磁性体3の厚さを減少させた図11の電力伝送システムにおいて、磁性体3の比透磁率を変化させたときの伝送効率の周波数特性を示すグラフである。図21の場合でも、磁性体3の厚さは1mmであるが、図19及び図20の場合とは異なる比透磁率を用いた。図21によれば、磁性体3の厚さを減少させた場合には、大きな比透磁率(例えばμr=14)を有する磁性体を用いることで、厚さを減少させる前と同様の広帯域動作を実現できることがわかる。このように、本実施形態の電力伝送システムでは、比透磁率を高めることで薄型化にも対応できるという格別の効果がある。磁性体3の厚さを減少させることで、コスト及び重量の削減につながる。
次に、図22〜図24を参照して、本実施形態の電力伝送システムにおいて磁性体3に空洞を設けた場合の特性について説明する。
図22は、本発明の第2の実施例に係る電力伝送システムの概略構成を示す上面図である。図22の電力伝送システムは、磁性体3に空洞を設けたことの他は図11〜図14に示す電力伝送システムと同様の構成を有する。空洞の寸法は14×14mmである。図23は、空洞を除去した図22の電力伝送システムにおいて、磁性体3の比透磁率を変化させたときの伝送効率の周波数特性を示すグラフである。図24は、図22の電力伝送システムにおいて、磁性体3の比透磁率を変化させたときの伝送効率の周波数特性を示すグラフである。図23及び図24のグラフを比較すると、空洞の有無にかかわらず実質的に同様の特性を得られることがわかる。本実施形態の電力伝送システムでは、磁性体3は、少なくとも送信コイル1及び受信コイル2の巻線が存在する領域にわたって送信コイル1及び受信コイル2に近接して設けられていればよい。磁性体3に空洞を設けることで、コスト及び重量の削減につながる。
次に、図25〜図27を参照して、本実施形態の電力伝送システムのさらなる実施例について説明する。
図25は、本発明の第3の実施例に係る電力伝送システムの概略構成を示す断面図である。図26は、図25の送信コイル1及び受信コイル2を示す平面図である。送信コイル1の下方には、シールドのために磁性体11及び金属シールド12が設けられ、受信コイル2の上方にも、シールドのために磁性体13及び金属シールド14が設けられている。磁性体11,13及び金属シールド12,14の厚さは0.1mmである。シールドは漏洩電磁界を低減し、周辺機器への影響を低減する効果がある。磁性体3の比透磁率は10であり、磁性体11,13の比透磁率は1000である。送信コイル1及び受信コイル2は、図26に示すように、外径29mm及び内径12.5mmで、巻き数が17回の円形コイルである。送信コイル1及び受信コイル2の巻線は幅0.48mm及び厚さ0.3mmを有し、送信コイル1及び受信コイル2のそれぞれは、インダクタンス11.7μH及び直列抵抗0.4Ωを有する。
図27は、図25の電力伝送システムの伝送効率の周波数特性を示すグラフである。図27のグラフは、実測によって得られた結果を示す。送信コイル1及び受信コイル2の間の距離d=2.6mmであり、かつ、磁性体ありの場合(実線)と、比較のために、距離d=2.6mmであり、かつ、磁性体なしの場合(一点鎖線)と、距離d=7.5mmであり、かつ、磁性体なしの場合(一点鎖線)とについて、シミュレーションを行った。磁性体3の厚さは距離dに等しいものとする。「磁性体なし、d=2.6mm」の場合、送信コイル1及び受信コイル2が互いに近接して電磁的に強く結合しているので、周波数150kHzにおいて伝送効率が最大になっているが、広帯域動作は実現できていない。「磁性体なし、d=7.5mm」の場合、送信コイル1及び受信コイル2を互いに離したことにより相互インダクタンスが低下し、従って結合係数を低下させることができ、結果として広帯域動作を実現できるが、その際、伝送効率が最大になる周波数は250kHzに増大する。すなわち、実質的に電力伝送システムが大型化していることになる。一方、「磁性体あり、d=2.6mm」の場合、すなわち実施例に係る電力伝送システムの伝送効率の周波数特性は、150kHzで最大になり、伝送効率の帯域幅(例えば、伝送効率が60%以上になる帯域幅)も、「磁性体なし、d=2.6mm」の場合に比べると広帯域化されていることがわかる。また、「磁性体なし、d=7.5mm」の場合と比べると、伝送効率が最大になる周波数が低下している。以上の結果から、本実施形態の電力伝送システムは、広帯域化と小型化とを同時に実現できるという格別の効果がある。
以下、本発明のいくつかのアプリケーションについて説明する。
図28は、本発明の第1の実施形態に係る電力伝送システムの概略構成を示すブロック図である。以上説明した非接触コネクタシステムを備えた電力伝送システムを構成することができる。電力伝送システムは、送信側の非接触コネクタ装置を備えた送電側の電力伝送装置と、受信側の非接触コネクタ装置を備えた受電側の電力伝送装置からなるものとする。図28を参照すると、送電側の電力伝送装置において、送信コイル1(図1)は送電回路102に接続され、送電回路102は電源101に接続される。受電側の電力伝送装置において、受信コイル2(図1)は受電回路103に接続され、受電回路103は負荷104(例えば電池など)に接続される。送信コイル1に電力が供給されると送信コイル1に電流が流れ、その電流により形成される送信コイル1の周囲の電磁界により受信コイル2に誘導起電力が生じ、受信コイル2に誘導電流が流れる。この誘導電流を負荷104で取り出すことにより、送信コイル1及び受信コイル2の間で電力を伝送することができる。
図29は、図25の電力伝送システムにおける送電側の電力伝送装置と受電側の電力伝送装置の構成を示す断面図である。本実施形態の電力伝送システムを実施する場合(例えば無線充電など)、送電側の電力伝送装置(充電器)の筐体4の内部に、送信コイル1及び磁性体3を備え、受電側の電力伝送装置(充電される機器)の筐体5の内部には、受信コイル2のみを備えることが望ましい。受信コイル2は、受電側の電力伝送装置を送電側の電力伝送装置に近接させたときに、磁性体3における送信コイル1が設けられた側の面(第1の面)に対向する面(第2の面)上の所定領域の周囲に巻線を巻回するように設けられる。電力伝送を行わないときは、受信コイル2は、送信コイル1及び磁性体3から離れている。受電側の電力伝送装置を送電側の電力伝送装置に近接させて電力伝送を行うとき、受信コイル2は、少なくとも受信コイル2の巻線が存在する領域にわたって磁性体3に近接し、受信コイル2を磁性体3に近接させることにより受信コイル2の自己インダクタンスが増大する。その後は、図1等を参照して説明した場合と同様に動作する。
図30は、図25の電力伝送システムにおける送電側の電力伝送装置と受電側の電力伝送装置の変形例の構成を示す断面図である。磁性体は、送電側の電力伝送装置と受電側の電力伝送装置との両方に設けられていてもよい。図30の電力伝送システムでは、送電側の電力伝送装置の筐体4の内部に、送信コイル1及び磁性体3aを備え、受電側の電力伝送装置の筐体5の内部に、磁性体3b及び受信コイル2のみを備えている。電力伝送を行わないときは、受信コイル2は、送信コイル1から離れている。受電側の電力伝送装置を送電側の電力伝送装置に近接させて電力伝送を行うとき、受信コイル2は送信コイル1に電磁的に結合する。磁性体3a,3bにより送信コイル1及び受信コイル2のそれぞれの自己インダクタンスを増大させることにより、送信コイル1及び受信コイル2の間の結合係数を、送信コイル1から受信コイル2への伝送効率の周波数特性が2峰性かつ狭帯域の特性から単峰性かつ広帯域の特性に変化するように、低下させて設定することができる。その後は、図1等を参照して説明した場合と同様に動作する。
図29及び図30において、筐体4,5は、例えば、ABS樹脂やゴムなどの誘電体あるいは絶縁体、あるいはその両方で構成される。なお、筐体4,5の少なくとも一方を磁性体材料で構成することも可能である。例えば、磁性体粉末を筐体(誘電体)に混ぜ込むことで、筐体の比透磁率を増加させることができる。さらに、磁性体3を、磁性体材料で構成された筐体4あるいは5と一体化することも可能である。磁性体3と筐体4あるいは5とを一体化することにより、電力伝送システムを薄型化できるという効果があり、また、部材が削減されるので、コストの低減と軽量化も見込まれる。
本実施形態の電力伝送システムによれば、非常に簡単な構成でありながら、送信コイル1及び受信コイル2の間に位置ずれが生じても、安定した伝送効率で電力を伝送することができる。
第2の実施形態.
図31は、本発明の第2の実施形態に係る信号伝送システムの概略構成を示すブロック図である。以上説明した非接触コネクタシステムを用いて、電力を伝送することに代えて、信号を伝送してもよい。信号伝送システムは、送信側の非接触コネクタ装置を備えた送信側の情報伝送装置と、受信側の非接触コネクタ装置を備えた受信側の情報伝送装置とからなるものとする。図31を参照すると、送信側の情報伝送装置において、送信コイル1(図1)は送信回路112に接続され、送信回路112は信号源111に接続される。受信側の情報伝送装置において、受信コイル2(図1)は受信回路113に接続される。信号伝送システムにおける送信側の情報伝送装置及び受信側の情報伝送装置は、図29又は図30に示す送電側の電力伝送装置と受電側の電力伝送装置と同様に構成することができる。本実施形態の情報伝送システムによれば、非常に簡単な構成でありながら、送信コイル1及び受信コイル2の間に位置ずれが生じても、安定した伝送効率で情報を伝送することができる。
図31は、本発明の第2の実施形態に係る信号伝送システムの概略構成を示すブロック図である。以上説明した非接触コネクタシステムを用いて、電力を伝送することに代えて、信号を伝送してもよい。信号伝送システムは、送信側の非接触コネクタ装置を備えた送信側の情報伝送装置と、受信側の非接触コネクタ装置を備えた受信側の情報伝送装置とからなるものとする。図31を参照すると、送信側の情報伝送装置において、送信コイル1(図1)は送信回路112に接続され、送信回路112は信号源111に接続される。受信側の情報伝送装置において、受信コイル2(図1)は受信回路113に接続される。信号伝送システムにおける送信側の情報伝送装置及び受信側の情報伝送装置は、図29又は図30に示す送電側の電力伝送装置と受電側の電力伝送装置と同様に構成することができる。本実施形態の情報伝送システムによれば、非常に簡単な構成でありながら、送信コイル1及び受信コイル2の間に位置ずれが生じても、安定した伝送効率で情報を伝送することができる。
第3の実施形態.
図32は、本発明の第3の実施形態に係る誘導加熱装置の概略構成を示すブロック図である。図33は、図32の誘導加熱装置と鍋123の構成を示す断面図である。以上説明した電力伝送システムの原理を用いて、誘導加熱装置を構成することができる。
図32は、本発明の第3の実施形態に係る誘導加熱装置の概略構成を示すブロック図である。図33は、図32の誘導加熱装置と鍋123の構成を示す断面図である。以上説明した電力伝送システムの原理を用いて、誘導加熱装置を構成することができる。
図32を参照すると、誘導加熱装置において、誘導加熱コイルとしての送信コイル1(図1)は調理回路122に接続され、調理回路122は電源121に接続される。さらに、図1の受信コイル2に代えて、鍋123等の誘導加熱用調理容器が設けられる。鍋123は、送信コイル1に電磁的に結合するように送信コイル1に近接して設けられる。なお、送信コイル1と鍋123との間の電磁的結合により、送信コイル1に電流が流れると、その電流により形成される送信コイル1の周囲の電磁界により鍋123の底面に誘導起電力が生じ、誘導された渦電流が鍋123の底面に流れる。この渦電流を等価的に損失性のコイルと見なせるので、鍋123の自己インダクタンスと、送信コイル1及び鍋123の間の相互インダクタンスとを定義することができる。送信コイル1は、水平な第1の面上の所定領域の周囲に巻線を巻回するように第1の面に沿って設けられる。誘導加熱装置は、第1の面と、第1の面の上方に近接して対向しかつ鍋123の底面が位置する第2の面との間において、少なくとも送信コイル1の巻線及び鍋123の底面が存在する領域にわたって送信コイル1及び鍋123の底面に電磁的に結合するように近接して設けられた磁性体3を備える。送信コイル1に磁性体3を近接させることにより送信コイル1の自己インダクタンスを増大させ、鍋123の底面に磁性体3を近接させることにより鍋123の自己インダクタンスを増大させる。
本実施形態の誘導加熱装置によれば、送信コイル1及び鍋123のそれぞれの自己インダクタンスを増大させることにより、送信コイル1及び鍋123の間の結合係数を、送信コイル1から鍋123への伝送効率の周波数特性が2峰性かつ狭帯域の特性から単峰性かつ広帯域の特性に変化するように、低下させて設定することを特徴とする。本実施形態の誘導加熱装置によれば、非常に簡単な構成でありながら、送信コイル1及び鍋123の間に位置ずれが生じても、安定した伝送効率で鍋123を加熱することができる。
変形例.
以下、図34〜図36を参照して、本発明の実施形態の変形例について説明する。図1他を参照して説明した実施形態及び実施例では、送信コイル1の巻線は第1の面に沿って単層で巻回され、受信コイル2の巻線は第2の面に沿って単層で巻回されていたが、巻線は多層で巻回されてもよい。
以下、図34〜図36を参照して、本発明の実施形態の変形例について説明する。図1他を参照して説明した実施形態及び実施例では、送信コイル1の巻線は第1の面に沿って単層で巻回され、受信コイル2の巻線は第2の面に沿って単層で巻回されていたが、巻線は多層で巻回されてもよい。
図34は、図1の送信コイル1及び受信コイル2の変形例を示す断面図である。図35は、図34の送信コイル1の巻き方を説明する概略図である。図34及び図35では、送信コイル1及び受信コイル2のそれぞれが2層で巻回されている場合を示す。送信コイル1の各層の巻線1a,1bは、互いに逆向きに巻回され、端子Pb,Pdで接続することにより、巻線1a,1bは互いに直列に接続される。巻線1a,1bを直列接続することにより、送信コイル1のインダクタンスを増大させることができるという効果がある。受信コイル2についても同様である。
図36は、図34の送信コイル1の巻き方の変形例を説明する概略図である。送信コイル1の各層の巻線1a,1bは、同じ向きに巻回され、端子Pa,Pcで接続し、さらに端子Pb,Pdで接続することにより、巻線1a,1bは互いに並列に接続される。巻線1a,1bを並列接続することにより、送信コイル2の抵抗を低減できるという効果がある。
なお、送信コイル1及び受信コイル2のそれぞれの全長は、動作波長に対して大幅に短くされる必要がある。
送信コイル1及び受信コイル2の少なくとも一方が多層で巻回されていてもよい。また、送信コイル1及び受信コイル2のそれぞれ又は少なくとも一方が3層以上で巻回されていてもよい。
図37は、図1の送信側及び受信側の非接触コネクタ装置の変形例を示す断面図である。非接触コネクタ装置はプリント配線基板上に形成されてもよい。この場合、送信コイル1及び受信コイル2はそれぞれ、誘電体基板7,8上の導体パターンとして形成される。送信コイル1及び誘電体基板7上には磁性体3aが塗布され、受信コイル2及び誘電体基板8上(図37では誘電体基板8の下面)には磁性体3bが塗布される。このように、プリント配線基板上の送信コイル1及び受信コイル2を磁性体3a,3bと一体的に形成することで、高い強度及び低コストの非接触コネクタ装置を提供することができる。また、送信側及び受信側の非接触コネクタ装置の少なくとも一方において、プリント配線基板上の送信コイル1又は受信コイル2を磁性体と一体的に形成してもよい。
また、整合のために送信コイル1及び受信コイル2に装荷するキャパシタは、図14では送信コイル1及び受信コイル2に対して並列に接続していたが、図4に示すように直列に接続してもよい。また、他の整合回路を用いてもよい。
ここで、本発明の動作原理について補足する。本発明との対比として送信アンテナから受信アンテナに電波を放射する場合と考えると、送信アンテナと受信アンテナとは互いに離隔し、電磁的に非結合の状態にあるので、アンテナ間の相対的関係が変わっても帯域幅は変化しない。しかしながら、非接触コネクタシステムでは、送信コイル及び受信コイルが互いに近接し、電気的に結合しているので、結合の状態に応じて帯域幅が変動する。従って、狭帯域に設計してしまうと、送信コイル及び受信コイルの間の距離が少し変化しただけで、伝送効率が最大になる周波数がシフトし、その結果、伝送効率が低下してしまう。本発明の実施形態で説明した非接触コネクタシステムでは、送信コイル1及び受信コイル2の間に磁性体3を設けたことにより広帯域動作を実現し、その結果、多少の位置ずれによって伝送効率が最大になる周波数が変化しても(図17を参照)、伝送効率の変動を抑制することができる。このように、広帯域動作を実現することにより、送信コイル1及び受信コイル2の間に位置ずれが生じたときでも、所望周波数において伝送効率を維持することができる。
従来技術の中には、送信コイルと受信コイルとの間に磁性体を設けるものがあり、例えば特許文献1に開示された発明が知られている。しかしながら、特許文献1の発明は、本願の図8と同様に、送信コイルと受信コイルとの間の結合係数を増大させるために磁性体を用いているので、本願発明で磁性体を用いる目的、すなわち送信コイル1及び受信コイル2のそれぞれの自己インダクタンスを増大させて結合係数を低下させるための使用とはまったく異なる。特許文献1の発明で用いている磁性体は、結合係数を増大させるために高い比透磁率を有する。一方、本願発明で用いている磁性体は、比較的小さい比透磁率を有することが可能である。
本発明の非接触コネクタ装置及び非接触コネクタシステム、電力伝送装置及び電力伝送システムによれば、非常に簡単な構成でありながら、送信コイル及び受信コイルの間に位置ずれが生じても、安定した伝送効率で電力を伝送することができる。
本発明の情報伝送装置及び情報伝送システムによれば、非常に簡単な構成でありながら、送信コイル及び受信コイルの間に位置ずれが生じても、安定した伝送効率で情報を伝送することができる。
本発明の誘導加熱装置によれば、非常に簡単な構成でありながら、誘導加熱コイル及び調理容器の間に位置ずれが生じても、安定した伝送効率で調理容器を加熱することができる。
1,1a,1b…送信コイル、
2,2a,2b…受信コイル、
3,3a,3b,6,11,13…磁性体、
4,5…筐体、
7,8…誘電体基板、
12,14…金属シールド、
101…電源、
102…送電回路、
103…受電回路、
104…負荷、
111…信号源、
112…送信回路、
113…受信回路、
121…電源、
122…調理回路、
123…鍋、
C1〜C4…容量、
L1,L2…自己インダクタンス、
M…相互インダクタンス、
P1a,P1b,P2a,P2b,Pa,Pb,Pc,Pd…端子、
R1,R2…抵抗、
Q,Q1…信号源、
z01,z02,Z1…負荷インピーダンス。
2,2a,2b…受信コイル、
3,3a,3b,6,11,13…磁性体、
4,5…筐体、
7,8…誘電体基板、
12,14…金属シールド、
101…電源、
102…送電回路、
103…受電回路、
104…負荷、
111…信号源、
112…送信回路、
113…受信回路、
121…電源、
122…調理回路、
123…鍋、
C1〜C4…容量、
L1,L2…自己インダクタンス、
M…相互インダクタンス、
P1a,P1b,P2a,P2b,Pa,Pb,Pc,Pd…端子、
R1,R2…抵抗、
Q,Q1…信号源、
z01,z02,Z1…負荷インピーダンス。
Claims (6)
- 調理容器と電磁的に結合するように近接して設けられた誘導加熱コイルを備えた誘導加熱装置において、
上記誘導加熱コイルの巻線は水平な第1の面上で巻回され、
上記誘導加熱装置は、
上記第1の面と、上記第1の面の上方に近接して対向しかつ上記調理容器の底面が位置する第2の面との間において、少なくとも上記誘導加熱コイルの巻線及び上記調理容器の底面が存在する領域にわたって上記誘導加熱コイル及び上記調理容器の底面に電磁的に結合するように近接して設けられた磁性体を備え、
上記誘導加熱コイルに上記磁性体を近接させることにより上記誘導加熱コイルの自己インダクタンスを増大させ、上記調理容器の底面を上記磁性体に近接させることにより上記調理容器の自己インダクタンスを増大させることを特徴とする誘導加熱装置。 - 上記誘導加熱コイル及び上記調理容器のそれぞれの自己インダクタンスを増大させることにより、上記誘導加熱コイル及び上記調理容器の間の結合係数を、上記誘導加熱コイルから上記調理容器への伝送効率の周波数特性が2峰性かつ狭帯域の特性から単峰性かつ広帯域の特性に変化するように、低下させて設定することを特徴とする請求項1記載の誘導加熱装置。
- 上記誘導加熱コイルの巻線は上記第1の面に沿って単層で巻回されることを特徴とする請求項1又は2記載の誘導加熱装置。
- 上記誘導加熱コイルの巻線は上記第1の面に沿って多層で巻回され、上記多層の巻線のうちの各層の巻線は互いに直列に接続されることを特徴とする請求項1又は2記載の誘導加熱装置。
- 上記誘導加熱コイルの巻線は上記第1の面に沿って多層で巻回され、上記多層の巻線のうちの各層の巻線は互いに並列に接続されることを特徴とする請求項1又は2記載の誘導加熱装置。
- 上記誘導加熱コイルの巻線は、上記第1の面に沿った誘電体基板上の導体パターンとして形成され、
上記磁性体は、上記誘導加熱コイル及び上記誘電体基板と一体的に形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の誘導加熱装置。
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-
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- 2011-12-14 JP JP2011272908A patent/JP2013125620A/ja active Pending
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