JPWO2013171816A1 - 樹脂シート材と複合シート材及びこれらの製造方法 - Google Patents

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Abstract

モジュラスが大きく引張りや曲げなどの加工適正に優れる樹脂シート材及び複合シート材と、それらの製造方法を提供することを目的とする。かかる目的を達成する樹脂シート材は、その少なくとも片面に布帛の布面の転写形状が形成されており、その製造方法は、未硬化の樹脂膜上に布帛の布面を着接することにより、樹脂膜に布面の形状を転写し、樹脂膜を硬化させたのちに樹脂膜から布帛を剥離又は溶解除去することを特徴とする。また、複合シート材は、樹脂シート材に基材が積層されており、その製造方法は、樹脂シート材の少なくとも片面に基材を貼着することを特徴とする。

Description

本発明は、少なくとも片面に布帛の転写形状が形成された樹脂シート材とその製造方法、及び前記樹脂シート材に基材が積層された複合シート材とその製造方法に関する。詳しくは、被服、鞄、靴、自動車用内装材(センターパネル、ドアパネル、シート表皮等)、携帯電話、ノートパソコンの筐体、パーテーションパネル、住宅設備関連素材などに好適に使用可能な樹脂シート材及び複合シート材とこれらの製造方法である。
一般的に「シート」とは、日本工業規格(以下「JIS」と称する。)における定義上では、薄く、一般にその厚さが長さと幅の割には小さく平らな製品をいい、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものとされている(JIS K 6900)。また、厚さに関して言えば、100μm以上のものをシートと称し、100μm未満のものをフィルムと称する場合がある。本発明における「シート材」とは、上記「シート」と「フィルム」を区別せずに両方を含むものである。
また、本発明における「複合シート材」とは、本発明の樹脂シート材と織物、編物、不織布、皮革、紙などのシート状の基材とが積層されたものである。
従来、模様や柄を付した樹脂シート材や、天然皮革を模したりして造られた皮革様の樹脂シート材として、(1)エンボス加工や印刷を施した樹脂シート材や、(2)樹脂シート材と基材とを貼り合わせた複合シート材(例えば合成皮革、人工皮革など)がある。(1)の従来の樹脂シート材としては、樹脂フィルムの表面に印刷などの方法によって着色層を形成し、さらにその上に保護目的のクリア層を積層したものが一般的である。しかしながら、このような樹脂シート材は、伸長や変形により着色層に生じる微細なヒビや切れを防ぐために、その材質として硬く伸長し難い樹脂が用いられていることから、引張加工や曲げ加工が難しいという問題があった(特許文献1)
また、(2)の従来の複合シート材は、樹脂層と基材とが剥離しないようにしっかりと接着されているが、樹脂シートと基材となる織物、編物、不織布等の縦方向(MD)や横方向(CD)のそれぞれの引張強度やモジュラス(定伸長時の応力)が異なるため、曲面を有する立体的な形状物の表面に密着させて貼り付ける場合のような引張加工や曲げ加工を施した際に、部分的にシワや浮きが生じて、仕上がりに優美さを欠くという問題があった(特許文献2)。
特許第2600958号公報 特開平11−117181号公報
本発明は、引張加工や曲げ加工に対する適性に優れ、例えば、曲面を有するなど複雑な立体形状物の表面に密着させて貼り付けた場合でも、シワや浮きが生じ難く、美しい外観に仕上げることができる樹脂シート材と複合シート材を提供することを課題とし、さらに、これらの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するため、樹脂シート材自体や樹脂シート材と基材とを積層させた複合シート材の加工適性を向上させるべく検討を重ねた結果、樹脂シート材の少なくとも片面に布帛の布面の転写形状を形成することにより、樹脂シート材のモジュラスが増大することを見出し、本発明を完成した。なお、モジュラスとは、樹脂シート等の定伸長時の応力、すなわち、物体に対し引張方向に特定の伸長を与えたとき、その原形を保つために収縮しようとする引張応力のことである。
上記の課題は、以下の本発明により解決することができる。
すなわち、本発明の樹脂シート材は、請求の範囲の請求項1に記載のとおり、合成樹脂からなるシート材であって、該シート材の少なくとも片面に布帛の布面の転写形状が形成されていることを特徴とする樹脂シート材である。
また、本発明の樹脂シート材は、請求項2に記載のとおり、前記布帛が不織布であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂シート材である。
また、本発明の樹脂シート材は、請求項3に記載のとおり、前記樹脂シート材が複数の樹脂層からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂シート材である。
また、本発明の複合シート材は、請求項4に記載のとおり、請求項1、2、3のいずれか1項に記載の樹脂シート材に基材が積層されてなることを特徴とする複合シート材である。
また、本発明の樹脂シート材の製造方法は、請求項5に記載のとおり、合成樹脂からなるシート材の製造方法であって、未硬化の樹脂膜上に布帛の布面を着接することにより樹脂膜に布面の形状を転写し、前記樹脂膜を硬化させた後に前記樹脂膜から前記布帛を剥離除去することを特徴とする樹脂シート材の製造方法である。
また、本発明の樹脂シート材の製造方法は、請求項6に記載のとおり、合成樹脂からなるシート材の製造方法であって、未硬化の樹脂膜上に布帛の布面を着接することにより樹脂膜に布面の形状を転写し、前記樹脂膜を硬化させた後に前記樹脂膜から前記布帛を溶解除去することを特徴とする樹脂シート材の製造方法である。
また、本発明の樹脂シート材の製造方法は、請求項7に記載のとおり、合成樹脂からなるシート材の製造方法であって、硬化した或いは未硬化の樹脂膜上に、さらに一層又は複数層の硬化した或いは未硬化の樹脂膜を形成し、少なくとも最上層の樹脂膜を未硬化の状態として、該樹脂膜上に布帛の布面を着接することにより布面の形状を転写することを特徴とする請求項5又は6に記載の樹脂シート材の製造方法である。
また、本発明の複合シート材の製造方法は、請求項8に記載のとおり、複合シート材の製造方法であって、請求項5、6、7の何れか1項に記載の製造方法により製造した樹脂シート材の少なくとも片面に、基材を貼着することを特徴とする複合シート材の製造方法である。
本発明の樹脂シート材は、その少なくとも片面に布帛の布面の転写形状が形成されているためモジュラスが増大し、引張加工や曲げ加工に対する適性に優れるものである。したがって、例えば本発明の樹脂シート材を、曲面が形成されているなど複雑な立体形状物の表面に貼着して使用する場合でも、多様な形状への追随性が良好なため部分的なシワや浮きが生じ難く、ピンと張った滑らかで優美な外観に仕上げることができる。また、本発明の樹脂シート材の表面に形成された布帛の布面の転写形状は微細な凹凸形状なので、その凹凸形状が樹脂シート材の裏面にまでは表出し難いため、裏面に施された意匠等に悪影響を及ぼさないものである。したがって本発明は、特に厚さが薄い樹脂シート材に好適である。
また、本発明の樹脂シート材が、複数の樹脂層からなる場合、例えば、上下二層の樹脂層からなる樹脂シート材の場合には、上層を形成する樹脂膜が未硬化の状態である時に布帛の布面を圧着することで、布帛の繊維が樹脂膜に深く押し込まれ、上層に厚さが極端に薄い部分が生じたり、突き抜けて小穴が生じたりしても、下層を形成する樹脂膜を先に硬化させておけば、その下層の樹脂膜は布面の圧着により変形しないので、結果的に樹脂シート材全体の厚さとしては、最も薄い部分であっても下層の樹脂膜の厚さ相当分を保持することができる。したがって、樹脂シート材に極端に薄い部分や小穴が目立つことなく、意匠性や機能性に優れた樹脂シート材とすることができる。
本発明の複合シート材は、その樹脂シート材部分のモジュラスが大きいため、基材部分の伸縮変形に対する追随性が高いものである。したがって、例えば本発明の複合シート材を、曲面が形成されているなど複雑な立体形状物の表面に貼着して使用する場合でも、多様な形状への追随性が良好なため部分的なシワや浮きが生じ難く、ピンと張った滑らかで優美な外観に仕上げることができる。
本発明の樹脂シート材の製造方法によれば、布帛を未硬化の樹脂膜上に着接して樹脂膜の硬化後に剥離除去または溶解除去するだけで、布帛の布面の転写形状が形成されたモジュラスが大きい樹脂シート材を容易に製造でき、また、樹脂シート材に極端に薄い部分や小穴などの不良が生じ難く、意匠性や機能性に優れた樹脂シート材を歩留まり良く製造することができる。
ここで、布帛を剥離除去する方法を採用する場合において、樹脂膜から剥離除去した布帛を再利用するようにすれば、樹脂シート材の製造コストを低減することができる。
また、布帛を溶解除去する方法を採用する場合には、布帛を樹脂膜から剥離する必要がないため、布帛を樹脂膜から剥離する際に樹脂膜が破れたり傷付いたりする恐れがなく、樹脂シート材の製造工程において、不良品の発生を防ぎ歩留まりを向上することができる。したがって、特に厚さの薄い樹脂シート材の製造に好適である。
実施例1で得られた樹脂シート材の表面における布面の転写形状の形成状態を示す電子顕微鏡写真 実施例1で得られた樹脂シート材の断面を示す電子顕微鏡写真 実施例5で得られた樹脂シート材の断面を示す電子顕微鏡写真
まず、本発明の樹脂シート材について説明する。本発明の樹脂シート材は、その少なくとも片面に布帛の転写形状が形成されていることにより、モジュラスが増大している。
ここで布帛の布面の転写形状とは、布帛の布面を形成する多数の繊維の形状を写し取った微細な凹凸形状であり、例えば、布面の凸部は樹脂シート材の凹部となり、布面の凹部は樹脂シート材の凸部となる。
樹脂シート材の表面に、このような凹凸形状を形成すると、樹脂シート材の厚さは、凹部は薄く凸部は分厚くなる。このような樹脂シート材に外部から引張力を加えた場合、厚さの薄い凹部は相対的に変形し易いため、変形して引張力を逃がすと考えられ、他方、厚さの分厚い凸部は相対的に変形し難いため、引張力に対し抵抗して樹脂シート材を原形に戻そうとする応力を生ずると考えられる。この両方の作用が相まって、樹脂シート材のモジュラスを増大させるものと考えられる。
しかも、布面の転写形状の凹凸は微細なので、樹脂シート材の布面の転写形状を形成していない側の面(裏面)に凹凸形状が表出し難く、裏面に施された意匠等に悪影響を及ぼすことはない。
本発明の樹脂シート材を形成する合成樹脂は、一般的に使用されている熱可塑性の軟質の合成樹脂であればよく、用途毎に要求される特性に応じて適宜使い分けることができれば、特に制限されるものではない。前記合成樹脂としては、例えば、塩化ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂などが挙げられる。衣類や靴など、模様、柔軟性、風合い等を重視する皮革様シート材を形成する場合にはポリウレタン系樹脂を、難燃性が求められる皮革様シート材を形成する場合は、塩化ビニル系樹脂を用いるなどと、用途に応じて選択すればよい。
また、上記合成樹脂には、必要に応じて顔料や各種添加剤、安定剤を添加することもでき、外観を向上させるために、着色剤やぬめり剤等を添加することもできる。
また、樹脂シート材の表面のみに布面の転写形状を形成し、樹脂シート材の裏面は意匠面として、各種の意匠的効果を得るために模様や色彩を付与することができる。かかる模様や色彩を付与するには公知の方法によれば良く、例えば、模様を付与するには、離型紙に皮革調柄、幾何学模様柄、織物調柄、木目調柄等の凹凸を有するものを用いればよく、あるいは、離型紙に凹凸がなく滑らかなものを用いてもよい。また、色彩を付与するには、各種印刷等の方法により染料や顔料による所望の色彩を付与すればよい。
さらに、樹脂シート材の材質として、ポリウレタン系樹脂などからなる多数の微小気泡を含有する材質を用いる場合には、樹脂シート材の厚さの薄い部分において通気性を付与することができる。このように通気性が付与された樹脂シート材は、衣類や靴などの素材として、好適に用いることができる。
本発明において布帛の布面の転写形状を形成するために用いる布帛としては、織物、編物、不織布等のいずれでもよく、特に限定されるものではないが、一般に不織布は織物に比べて安価であるため好ましい。
布帛を構成する繊維としては、通常の繊維、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン、ポリビニルアルコールなどの合成樹脂からなる繊維、再生セルロースなどの人造繊維、コットン、麻、ウール等の天然繊維等が挙げられる。それらの繊維を用いて製造した織物、編物、不織布、あるいはそれらを組み合わせた積層布帛などから樹脂シート材の材質や用途に応じて任意に選択すればよい。さらに、合成繊維の場合には、単独ポリマーからなる繊維はもちろんのこと、2種以上のポリマーを混合紡糸あるいは複合紡糸した繊維でもよい。
布帛が織物である場合、平織、綾織、朱子織等特に組織を限定するものではないが、布面をあまりにも平滑に仕上げたものを用いると、樹脂シート材に布面の繊維形状が転写形成され難くなる。
布帛が不織布である場合、短繊維不織布や長繊維不織布、ニードルパンチ不織布や抄造不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、エレクトロスピニング不織布等、種々のカテゴリーで表現される全ての不織布が適用できる。
短繊維不織布として、ケミカルボンド方式、サーマルボンド方式、スパンレース方式、ニードルパンチ方式などで製造された不織布を用いることができる。また、長繊維不織布としては、スパンボンド方式によって得られる不織布を好適に用いることができる。
布帛の繊度(dtex)については、布帛が織物の場合、織糸として製織可能な通常の繊度であればよい。
また、布帛が不織布の場合には、は、0.5〜25dtexであることが好ましい。0.5dtexよりも細くなると、未硬化の樹脂膜上に布面を着接した際に、液状の樹脂が細かな繊維の間に深く染み込み、布帛の除去が難しくなる傾向がある。また、繊度が25dtexよりも太くなると、不織布の嵩が高くなるため樹脂膜と着接する際の操作性が悪くなる傾向がある。より好ましい繊度としては、1〜20dtexである。
次に、本発明の樹脂シート材の製造方法について説明する。本発明の樹脂シート材の製造方法によれば、未硬化の樹脂膜上に布帛の布面を着接して、樹脂膜に布面の形状を転写し、前記樹脂膜を硬化させた後に前記樹脂膜から前記布帛を剥離除去又は溶解除去するという簡易な工程により、布帛の布面の転写形状が形成されたモジュラスの大きい樹脂シート材を、容易に製造することができる。
また、本発明の樹脂シート材の製造方法においては、樹脂膜に布帛の布面の形状を転写する際に、必要に応じて圧着ロール等を用いて樹脂膜上に布面を圧着するが、布帛はクッション性を有するため、圧着時に加えられる押圧力を均等に分散して、樹脂膜上の特定箇所のみに大きな押圧力が加わるような不都合を防ぐことができる。したがって、樹脂シート材に極端に薄い部分や小穴などの不良が生じ難く、意匠性や機能性に優れた樹脂シート材を歩留まり良く製造することができる。
なお、本発明の樹脂シート材の製造工程において、布面の転写形状を形成する際に、未硬化の樹脂膜上に布面を着接して押し込む深さの程度については、製造する樹脂シート材の用途等に応じて適宜調整すれば良い。しかし、樹脂膜に布面を深く押し込み過ぎると、得られる樹脂シート材が、部分的に極端に薄くなったり、小穴が空いたりする場合があり好ましくない。
未硬化の樹脂膜に布面を着接すると、布帛の繊維により液状の樹脂が押し動かされて、布帛の繊維間の空隙に入り込み、或いは、布帛の繊維の毛管力により液状の樹脂が布帛の繊維間に染み込むが、そのまま樹脂膜を硬化させた後に布帛を剥離又は溶解して除去すると、樹脂膜に繊維の転写形状が現出する。この転写形状は、樹脂が布帛の繊維により押し出されて陥没した部分と、樹脂が布帛の繊維間に染み込み隆起した部分とから形成されているものである。したがって、得られる樹脂シート材の厚さは、布面を着接する前の表面が平滑な樹脂膜よりも、隆起が生じた分だけ分厚くなっている。
本発明の樹脂シート材の表面は、そのような複雑な凹凸状態を呈しているため、その凹凸の深さの程度を、正確に計測することは困難である。したがって、本発明の樹脂シート材に形成された布面の転写形状の深さの程度については、間接的に、布面の着接により樹脂膜が隆起した高さの程度により規定することが便宜である。本願においては、このような得られた樹脂シート材の厚さと、布面を着接しないまま硬化させた樹脂膜の厚さとの差を、樹脂膜が隆起した高さ、つまり「隆起高」であると定義する。
そうすると、後述する本発明の実施例1で得られた樹脂シート材については、その厚さである0.22mmから、樹脂膜に布面を着接しないまま硬化させて得られた比較例1の樹脂シート材の厚さである0.09mmを差引いて得られる0.13mmが隆起高である。
本発明の樹脂シート材では、隆起高が0.01〜0.13mmである場合に、形成されている布面の転写形状の深さの程度が適切であり、モジュラスが大きく多様な形状への追随性が良好な樹脂シート材とすることができるため好ましい。
本発明の樹脂シート材の第1の製造方法は、未硬化の樹脂膜上に布帛の布面を着接することにより樹脂膜に布面の形状を転写し、前記樹脂膜を硬化させた後に前記樹脂膜から前記布帛を剥離除去することである。
樹脂膜の形成方法には乾式法と湿式法があり、いずれの方法も採用することが可能である。乾式法では、離型紙や離型シートの上に、乾式法に適したポリウレタンやポリ塩化ビニルなどを主成分とした合成樹脂溶液を塗工し、熱乾燥及び熟成させて樹脂膜を硬化させる。湿式法では、離型シートの上に、湿式法に適したポリウレタンを主成分とした合成樹脂溶液を塗工し、これを凝固槽中で凝固させて成膜することにより樹脂膜を形成する。
また、必要に応じて、樹脂シート材の樹脂層を多層にすることにより、樹脂シート材の耐久性を高めたり、樹脂シート材に一定以上の厚みを持たせたりすることができる。また、種類の異なる樹脂の組み合わせが可能であり、樹脂シート材に多様な性質を付与することができる。
上記の合成樹脂溶液を塗工する方法としては、ナイフコーティング、ナイフオーバーロールコーティング、リバースロールコーティングなど任意のコーティング方法を採用することができる。
次に、樹脂膜を硬化させる前に、上記のいずれかの方法で形成した樹脂膜と布帛とを、樹脂膜に布帛の布面の転写形状が形成されるよう着接する。着接の方法としては、未硬化の樹脂膜上に布帛を載置するだけでよいが、さらに、カレンダーロールや圧着ロール等を用いて、押圧力を加えて圧着してもよい。
次に、布帛を着接したまま樹脂膜を硬化させた後、樹脂膜から布帛を剥離する。この場合、布帛が樹脂膜から剥離しやすいように、あらかじめ、シリコン系やフッ素系からなる撥水剤の溶液を布帛に含浸させたり、該撥水剤を布帛に塗布したりしておくことができる。
剥離除去する場合の布帛は、非弾性繊維からなるものが好ましい。弾性繊維からなる布帛の場合、樹脂膜から剥がれ難いことがあり、無理に引きはがすと樹脂膜を傷つけてしまうおそれがあるからである。具体的には、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン等からなる繊維が好ましい。なお、剥離除去する場合、樹脂膜に布帛の繊維片が多少残っていても差し支えない。
次に、上記樹脂シート材の第2の製造方法は、未硬化の樹脂膜上に布帛の布面を着接することにより樹脂膜に布面の形状を転写し、前記樹脂膜を硬化させた後に前記樹脂膜から前記布帛を溶解除去する方法である。
まず、樹脂膜を形成する。上述のとおり、樹脂膜の形成方法には乾式法と湿式法があるが、この第2の製造方法では、乾式法を採用することが好ましい。次に、樹脂膜を硬化させる前に、樹脂膜と布帛とを、樹脂膜に布帛の布面の転写形状が形成されるよう着接する。着接の方法としては上述の第1の製造方法に準ずればよい。
次に、布帛を着接したまま樹脂膜を硬化させた後、布帛を溶解除去する。布帛を溶解する場合、溶媒は布帛の材質に合わせて適宜に選択すればよいが、例えば、ポリビニルアルコール(以下、「PVA」ともいう)樹脂からなる不織布を用いると、溶媒に水を用いることができるので便宜である。さらに水温が20℃〜90℃の程度の低温で溶解するPVA樹脂を用いれば、水温を上げるためのエネルギーコストを抑えられるため好ましい。また、スパンボンド不織布を用いる場合には、溶融成型可能なPVA樹脂を用いると、不織布の製造が容易にできるので好ましい。
なお、溶解除去する場合、樹脂膜に布帛の繊維片が完全に溶解せずに、多少残っていても差し支えない。布帛を溶解除去する方法では、除去の際に、樹脂膜を傷つけることが極めて少ないという利点がある。したがって、樹脂膜の厚みが薄い場合に特に適した製造方法である。
次に本発明の複合シート材について説明する。本発明の複合シート材は、本発明の樹脂シート材と基材が積層されている。本発明の複合シート材に用いられる基材には、織物、編物、不織布、フィルム、樹脂板、木材、天然皮革、人工皮革などがある。目的の製品に応じて、基材を選ぶことができる。複合シート材の樹脂シート材部分が、基材部分の伸縮変形に対して良好に追随するので、例えば本発明の複合シート材を、曲面が形成されているなど複雑な立体形状物の表面に貼着して使用する場合でも、あらゆる形状への追随性が良好なため部分的にシワや浮きが生じ難く、ピンと張った滑らかで優美な外観に仕上げることができる。
なお、樹脂シート材と基材を貼り合せるには、例えば、ホットメルト接着剤などの接着剤を使用すればよい。その際、樹脂シート材の布帛の布面の転写形状の凹凸が、アンカー効果により基材との密着性を高めるため、接着剤の使用量が少なくすみ、さらに、接着剤によって加工適性が損なわれ難い。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、実施例中の各物性値の測定方法は、以下の方法を用いた。
(1)目付
目付(g/m)は、試験片を5点採取し、それぞれの質量(g)と面積(m)を量り、1m当たりの質量(g/m)を求めた。
(2)厚さ
厚さ(mm)は、厚さ測定器((株)尾崎製作所製、Hタイプ)により、試験片に0.5kPaの荷重を加えた状態で無作為に5箇所測定して、その平均値を求めた。
(3)引張強度(N/50mm幅)
試験機(株式会社島津製作所製、オートグラフAGS−J型)を用いて、幅50mm、長さ200mmの試験片を、把持間隔100mm、引張速度100mm/分の条件で測定し、破断した時の強度を測定した。試験片5点の平均値を求め、引張強度とした。なお、引張強度については、試験片のMD方向(機械方向)、CD方向(MD方向に直交する方向)共に求めた。
(4)5%モジュラス(5%伸長時の応力(N/5cm幅))
上記の引張強度測定法に準じ、5%伸長時の応力を求めた。なお、5%伸長時の応力も、試験片5点の平均値を求めたものであり、試験片のMD方向(機械方向)、CD方向(MD方向に直交する方向)の両者について求めた。
(5)10%モジュラス(10%伸長時の応力(N/50mm幅))
上記の引張強力測定法に準じ、10%伸長時の応力を求めた。なお、10%伸長時の応力も、試験片5点の平均値を求めたものであり、試験片のMD方向(機械方向)、CD方向(MD方向に直交する方向)の両者について求めた。
(6)通気量
100mm×100mmの大きさの試験片を5点採取し、通気性試験器(カトーテック株式会社製、KES−F8−AP1)を用いて、通気性試験器のピストン速度を0.2cm/secに調整し、通気抵抗R(KPa・s/m)を測定した。測定された通気抵抗Rから、次式を用い、試験片5点の単位面積当たりの通気量V(cm/m・s)の平均値を求めた。通気性試験器の空気は、試験片の下面から上面に流れる。
(式) V=1.2455/R
本実施例では、試験片の不織布の布面の転写形状が形成された面(表面)および離型紙側の面(裏面)を、それぞれを下面にして測定を行った。
(実施例1)
布帛の布面の転写形状を形成するための不織布の調製
溶融成型可能なPVA樹脂を用いてスパンボンド法により長繊維不織布を調整した。
まず初めに、溶融成型可能なPVA樹脂のチップを溶融押出機に投入して溶融させた後、紡糸孔を具えた紡糸口金に導入し、繊度が4dtexになるように紡糸口金の紡糸口を調整し、溶融紡糸した。そして、紡糸された長繊維群をネット上の裏面側から吸引しつつ連続的に捕集して長繊維ウェブとした。この長繊維ウェブを加熱された凹凸ロールとフラットロールからなるエンボス装置に通して、部分的に長繊維同士が融着した、繊度4dtex、厚さ0.3mm、目付40g/mのPVA樹脂からなる長繊維不織布を得た。
ウレタン樹脂膜の調製
絞付き離型紙(Sappi社製、Ultracast Verona)上に、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)69部に対して、100%モジュラスが89kgf/cmの脂肪族ポリウレタンからなるポリウレタン樹脂(Stahl社製:SU9202)25部、シリコン樹脂(Stahl社製、HM145)3部、顔料分散体(Stahl社製、黒色)3部を含む溶液を、乾燥した後の厚みが0.03mmとなるようにナイフコーターにて塗布し、表面を90℃で2分間熱風乾燥した。その上にN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)57部に対して、100%モジュラスが4kgf/cmの脂肪族ポリウレタンからなるポリウレタン樹脂(Stahl社製:SU5089)40部、シリコン樹脂(Stahl社製、HM145)3部、を含む溶液を、乾燥した後の厚みが0.03mmとなるようにナイフコーターにて塗布し、表面を90℃で3分間熱風乾燥させた。さらにその上に、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)40部に対して、100%モジュラスが4kgf/cmの脂肪族ポリウレタンからなるポリウレタン樹脂(Stahl社製、SU5089)40部、架橋剤(Stahl社製、XR40−102)5部、顔料分散体(Stahl社製、黒色)15部を含む溶液を、乾燥した後の厚みが0.03mmとなるようにナイフコーターにて塗布し、表面を90℃で1分間熱風乾燥させた後、厚さ0.09mmの3種のポリウレタン樹脂からなる積層膜(三層)を得た。
樹脂シート材の製造
上述で得られたウレタン樹脂積層膜の上に、上述のPVA樹脂からなる長繊維不織布を載置し、一対のラミネートロールのクリアランスを0.39mm(ウレタン樹脂積層膜と長繊維不織布の厚みの合計とほぼ同じ)に調整し、ロール温度150℃で着接した。着接した後、ウレタン樹脂積層膜を熟成するために48時間保管し、ウレタン樹脂を硬化させた。その後、離型紙からウレタン樹脂積層膜を剥離して、PVA長繊維不織布を温度25℃の水中で溶解し、ウレタン樹脂積層膜を乾燥させて、シート材を得た。
得られた樹脂シート材は、厚さは0.22mmであり、その表面には不織布の布面の転写形状が形成されていた(図1及び図2)。なお、図1及び図2の写真は、電子顕微鏡(日本電子株式会社製)を用いて撮影した。
また、樹脂シート材の裏面には、離型紙による紋模様が美しく形成されていた。
(実施例2)
樹脂シート材の製造
実施例1と同じウレタン樹脂積層膜の上に、PVA繊維からなる平織の織物(株式会社ニチビ製、GTS970、厚さ0.095mm)を載置し、一対のラミネートロールのクリアランスを0.185mm(ウレタン樹脂積層膜と平織の織物の厚みの合計とほぼ同じ)に調整し、ロール温度150℃で着接した。着接した後、ウレタン樹脂積層膜を熟成するために48時間保管し、ウレタン樹脂を硬化させた。その後、離型紙からウレタン樹脂積層膜を剥離して、PVA繊維からなる平織の織物を温度90℃の水中で溶解し、ウレタン樹脂積層膜を乾燥させて、シート材を得た。
得られた樹脂シート材の厚さは0.12mmであり、その表面には織物の布面の転写形状が形成されていた。また、樹脂シート材の裏面には、離型紙による紋模様が美しく形成されていた。
(実施例3)
布帛の表面の転写形状を形成するための不織布の調製
PVA繊維を用いてサーマルボンド法により短繊維不織布を調整した。
繊度2.2dtexで繊維長51mmのPVA樹脂からなる繊維を準備した。そして、このPVA樹脂からなる繊維を均一に混合し、カード機で開繊及び集積して、繊維ウェブを得た。繊維ウェブを185℃のエンボスロールに通すことによって、繊維同士を接着させて、厚さ0.33mm、目付40g/mのPVA短繊維不織布を得た。
ウレタン樹脂膜の調整
実施例1と同様に調整した。
樹脂シート材の製造
上述のウレタン樹脂積層膜の上に、PVA短繊維不織布を載置し、一対のラミネートロールのクリアランスを0.42mm(ウレタン樹脂積層膜と短繊維不織布の厚みの合計とほぼ同じ)に調整し、ロール温度150℃で着接した。着接した後、ウレタン樹脂積層膜を熟成するために48時間保管し、ウレタン樹脂を硬化させた。その後、離型紙からウレタン樹脂積層膜を剥離して、PVA短繊維不織布を温度25℃の水中で溶解し、ウレタン樹脂積層膜を乾燥させて、樹脂シート材を得た。得られた樹脂シート材は、厚さは0.17mmであり、その表面には不織布の布面の転写形状が形成されていた。
(実施例4)
布帛の表面の転写形状を形成するための不織布の調製
ポリプロピレン樹脂を用いてスパンボンド法により長繊維不織布を調整した
まず初めに、ポリプロピレン樹脂(融点163℃)のチップを溶融押出機に投入して溶融させた後、紡糸孔を具えた紡糸口金に導入し、繊度が2.5dtexになるように紡糸口金の紡糸口を調整し、溶融紡糸した。そして、紡糸された長繊維群を裏面側から吸引しつつネット上に連続的に捕集して長繊維ウェブとした。この長繊維ウェブを加熱された凹凸ロールとフラットロールからなるエンボス装置に通して、部分的に長繊維相互間が融着した、厚さ0.30mm、目付40g/mのポリプロピレン長繊維不織布を得た。その後、エンボス(凸凹)を消さない程度(該長繊維不織布の表面を平滑にしない程度)に、加熱されたフラットロールとフラットロールとの間に、このポリプロピレン長繊維不織布を通して、剥離除去用のポリプロピレン長繊維不織布を得た。
ウレタン樹脂膜の製造
実施例1と同様に調整した。
樹脂シート材の製造
上述で得られたウレタン樹脂積層膜の上に、上述のポリプロピレン長繊維不織布を載置し、一対のラミネートロールのクリアランスを0.47mm(ウレタン樹脂積層膜と長繊維不織布の厚みの合計とほぼ同じ)に調整し、120℃で着接した。着接した後、ウレタン樹脂積層膜を熟成するために48時間保管し、ウレタン樹脂を硬化させた。ポリプロピレン不織布を剥離除去し、離型紙を剥離して、樹脂シート材を得た。得られた樹脂シート材の厚さは、0.10mmであり、その表面には不織布の布面の転写形状が形成されていた。
(実施例5)
布帛の表面の転写形状を形成するための不織布の製造
PVA繊維を用いてスパンレース法により短繊維不織布を調整した。
繊度1.9dtexで繊維長47mmのPVA樹脂からなる繊維を準備した。そして、このPVA樹脂からなる繊維を均一に混合し、カード機で開繊及び集積して繊維ウェブを得た。繊維ウェブに水流交絡処理行い、乾燥させて、厚さ0.45mm、目付100g/mのPVA短繊維不織布を得た。
ウレタン樹脂膜の調整
実施例1と同様に3種類のウレタン樹脂を調整し、各ウレタン樹脂を塗布し、乾燥した後の厚さをそれぞれ0.06mmとして、厚さ0.18mmのウレタン樹脂膜を得た。
樹脂シート材の製造
上述で得られたウレタン樹脂積層膜の上に、PVA短繊維不織布を積層し、一対のラミネートロールのクリアランスを0.63mm(ウレタン樹脂積層膜と短繊維不織布の厚みの合計とほぼ同じ)に調整し、ロール温度150℃で着接した。着接した後、ウレタン樹脂積層膜を熟成するために48時間保管し、ウレタン樹脂を硬化させた。その後、離型紙からウレタン樹脂積層膜を剥離して、PVA短繊維不織布を温度90℃の水中で溶解し、ウレタン樹脂積層膜を乾燥させて、樹脂シート材を得た。得られた樹脂シート材の厚さは0.21mmであり、その表面には不織布の布面の転写形状が形成されていた(図3)。なお、図3の写真は、図1及び図2と同様に、電子顕微鏡(日本電子株式会社製)を用いて撮影した。
(比較例1)
実施例1と同様の方法で、3種類のウレタン樹脂からなるウレタン樹脂積層膜を調整し、布帛を着接することなく、そのまま48時間熟成させて、表面が平滑な樹脂シート材(厚さ0.09mm)を得た。
(比較例2)
ウレタン樹脂膜の調製
実施例5と同様の方法で、3種類のウレタン樹脂からなるウレタン樹脂積層膜を調整し、布帛を着接することなく、そのまま48時間熟成させて、表面が平滑な樹脂シート材(厚さ0.18mm)を得た。
(試験例1)
上記の実施例1〜5、比較例1及び比較例2で得られた樹脂シート材の厚さ、引張強度、モジュラス(引張強度、5%モジュラス、10%モジュラス)及び通気量の測定結果を表1に示した。
Figure 2013171816
実施例1〜4は、比較例1と同じ原材料から構成された樹脂膜であるにもかかわらず、布帛の布面の転写形状を形成することによりモジュラスが向上していることが確認された。同様に実施例5と比較例2からも、布帛の布面の転写形状を形成することによりモジュラスが向上していることが確認された。
また、実施例1及び2の樹脂シート材では、比較例1のウレタン樹脂膜と比較して、布帛の布面の転写形状が形成されることにより、通気性が生じていることが確認された。なお、比較例1及び比較例2の樹脂シート材は、通気抵抗(R)が大きすぎたため、通気性試験器では測定できなかった。
(実施例6)
複合シート材の製造
接着剤として、ウレタン系の感熱型の不織布(KBセーレン(株)製、エスパンシオーネFF UEO100、目付100g/m)を使用して、実施例1で得られた樹脂シート材と基材とを積層し、一対のラミネートロールのクリアランスをそれぞれの厚みの合計とほぼ同じ幅に調整し、130℃で圧着し、複合シート材を得た。なお、基材には、長繊維不織布からなる人工皮革(San Fang社製、厚さ0.75mm、目付250g/m)を用いた。
(実施例7)
実施例1で得られた樹脂シート材に代えて、実施例3で得られた樹脂シート材を用い、それ以外は実施例6と同様の方法により、複合シート材を製造した。
(比較例3)
実施例1で得られた樹脂シート材に代えて、比較例1で得られた樹脂シート材を用い、それ以外は実施例6と同様の方法により、複合シート材を製造した。
(試験例2)
実施例6、7及び比較例3で得られた複合シート材から、幅50mm、長さ200mmの試験片を切り出して、試験機(株式会社島津製作所製、オートグラフAGS−J型)を用いて、把持間隔100mmとして、各試験片に5%伸長時の応力を加えた後、試験機から外した複合シート材の外観を目視で観察した。結果を表2に示した。
Figure 2013171816
表2に示したように、実施例6及び7の複合シート材は、樹脂シート材と基材との密着性に優れていることが確認できた。一方、比較例3の複合シート材は、樹脂シート材と基材との密着性が弱いことが確認できた。すなわち、本発明の実施例1及び実施例3の樹脂シート材は、比較例1のものと比較して、モジュラスが大きいことから、これらに基材を接着して複合シート材とした場合にも、基材の伸縮への追従性に優れ、外観を美しく保持できるものである。
本発明は、被服、鞄、靴、自動車用内装材(センターパネル、ドアパネル、シート表皮等)、携帯電話、ノートパソコンの筐体、パーテーションパネル、住宅設備関連素材などに好適に使用することができる樹脂シート材と複合シート材及びこれらの製造方法を提供するのに有用である。
上記の課題は、以下の本発明により解決することができる。
すなわち、本発明の樹脂シート材は、特許請求の範囲の請求項1に記載のとおり、合成樹脂からなるシート材であって、該シート材の表面に布帛の布面の転写形状が形成されており、かつ該シートの裏面は意匠的効果を得るために模様又は色彩が付与されていることを特徴とする樹脂シート材である。
また、本発明の樹脂シート材は、請求項2に記載のとおり、前記布帛が不織布であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂シート材である。
また、本発明の樹脂シート材は、請求項3に記載のとおり、前記樹脂シート材が複数の樹脂層からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂シート材である。
また、本発明の複合シート材は、請求項4に記載のとおり、請求項1、2、3のいずれか1項に記載の樹脂シート材に基材が積層されてなることを特徴とする複合シート材である。
また、本発明の樹脂シート材の製造方法は、請求項5に記載のとおり、合成樹脂からなるシート材の製造方法であって、離型紙又は離型シートの上に形成した未硬化の樹脂膜上に布帛の布面を着接することにより樹脂膜に布面の形状を転写し、前記樹脂膜を硬化させた後に前記樹脂膜から前記布帛を剥離除去し、さらに前記離型紙又は離型シートを剥離除去することを特徴とする樹脂シート材の製造方法である。
また、本発明の樹脂シート材の製造方法は、請求項6に記載のとおり、合成樹脂からなるシート材の製造方法であって、離型紙又は離型シートの上に形成した未硬化の樹脂膜上に布帛の布面を着接することにより樹脂膜に布面の形状を転写し、前記樹脂膜を硬化させた後に前記樹脂膜から前記離型紙又は離型シートを剥離除去し、さらに前記布帛を溶解除去することを特徴とする樹脂シート材の製造方法である。
また、本発明の樹脂シート材の製造方法は、請求項7に記載のとおり、合成樹脂からなるシート材の製造方法であって、離型紙又は離型シートの上に形成した硬化した或いは未硬化の樹脂膜上に、さらに一層又は複数層の硬化した或いは未硬化の樹脂膜を形成し、少なくとも最上層の樹脂膜を未硬化の状態として、該樹脂膜上に布帛の布面を着接することにより布面の形状を転写することを特徴とする請求項5又は6に記載の樹脂シート材の製造方法である。
また、本発明の複合シート材の製造方法は、請求項8に記載のとおり、複合シート材の製造方法であって、請求項5、6、7の何れか1項に記載の製造方法により製造した樹脂シート材の少なくとも片面に、基材を貼着することを特徴とする複合シート材の製造方法である。

Claims (8)

  1. 合成樹脂からなるシート材であって、該シート材の少なくとも片面に布帛の布面の転写形状が形成されていることを特徴とする樹脂シート材。
  2. 前記布帛が不織布であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂シート材。
  3. 前記樹脂シート材が複数の樹脂層からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂シート材。
  4. 請求項1、2、3のいずれか1項に記載の樹脂シート材に基材が積層されてなることを特徴とする複合シート材。
  5. 合成樹脂からなるシート材の製造方法であって、未硬化の樹脂膜上に布帛の布面を着接することにより樹脂膜に布面の形状を転写し、前記樹脂膜を硬化させた後に前記樹脂膜から前記布帛を剥離除去することを特徴とする樹脂シート材の製造方法。
  6. 合成樹脂からなるシート材の製造方法であって、未硬化の樹脂膜上に布帛の布面を着接することにより樹脂膜に布面の形状を転写し、前記樹脂膜を硬化させた後に前記樹脂膜から前記布帛を溶解除去することを特徴とする樹脂シート材の製造方法。
  7. 合成樹脂からなるシート材の製造方法であって、硬化した或いは未硬化の樹脂膜上に、さらに一層又は複数層の硬化した或いは未硬化の樹脂膜を形成し、少なくとも最上層の樹脂膜を未硬化の状態として、該樹脂膜上に布帛の布面を着接することにより布面の形状を転写することを特徴とする請求項5又は6に記載の樹脂シート材の製造方法。
  8. 複合シート材の製造方法であって、請求項5、6、7の何れか1項に記載の製造方法により製造した樹脂シート材の少なくとも片面に、基材を貼着することを特徴とする複合シート材の製造方法。
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