JPWO2013146045A1 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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Abstract

優れた耐熱保存性を維持しつつ、環境変動に対する帯電安定性を向上させることができ、長期間保存後も優れた安定性が得られる静電荷像現像用トナーを提供する。結着樹脂、着色剤、及び、帯電制御剤を含有する着色樹脂粒子、並びに外添剤を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記帯電制御剤が正帯電性帯電制御剤であり、さらに、分子量が100〜300であるシアノ基含有炭化水素化合物を80〜500ppm含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。

Description

本発明は、複写機、ファクシミリ、及びプリンター等の、電子写真法を利用した画像形成装置の現像に用いることができる静電荷像現像用トナーに関するものである。
静電潜像を静電荷像現像用トナー(以下、「静電荷像現像用トナー」のことを、単に「トナー」と称する場合がある。)により現像することによって、所望の画像を形成する方法が広く実施されている。
例えば、電子写真法では、感光体に形成された静電潜像を、着色粒子中に必要に応じて外添剤やキャリア等の他の粒子を配合してなるトナーで現像し、紙やOHPシート等の記録材に転写した後、定着して印刷物を得る。
このような電子写真法を用いた複写機、ファクシミリ及びプリンター等の画像形成装置に対し、カラー化のニーズが高まっている。フルカラー電子写真法によるカラー画像形成は、一般にイエロー、マゼンタ、及びシアンの3色のカラートナー、又はこれらカラートナーにさらに黒色を加えた4色を用いて色の再現を行うものである。カラー複写(カラーコピー)の場合の画像形成方法の一例としては、先ず、カラー原稿を多数の画素に分解して読み取り、色別のデジタル画像信号として、帯電させた感光体上に光を当てて静電潜像を形成する。次に、色別の静電潜像に画像信号に対応するカラートナーにより、感光体上に現像し、これを紙やOHPシート等からなる記録材に転写する。
一般に、現像に用いられるトナーの製造方法は、粉砕法及び重合法に大別される。
粉砕法においては、結着樹脂と着色剤を溶融混練する方法により得た着色樹脂の固形物を粉砕し、分級することにより、着色樹脂粒子が製造される。
一方、重合法は、重合性単量体と着色剤を含有する重合性単量体組成物の液滴を形成し、当該液滴を重合させて着色樹脂粒子を製造する方法である。粉砕法により得られる着色樹脂粒子が不定形であるのに対して、重合法により得られる着色樹脂粒子は形状が球形に近く、小粒径且つシャープな粒径分布をもつ。特に、画像再現性や精細性等の画質特性を向上させる観点から、重合法により得られるトナー(いわゆる重合法トナー)のように、形状及び粒径分布が高度に制御されたトナーが用いられるようになってきた。
また、トナーには、温度変化や湿度変化等による画質劣化防止の観点から環境安定性、トナー消費量低減の観点から印字耐久性、及び消費電力低減の観点から低温定着性等様々な特性が要求されている。
静電荷像現像用トナーは、着色樹脂粒子及び当該着色樹脂粒子に付着した外添剤よりなるトナーの粒子同士、トナーの粒子と現像ブレード等の部材との間、又は、トナーの粒子とキャリアの間で帯電された後、静電潜像を有する感光体上に供給される。当該供給段階において、静電潜像の電荷密度に応じたトナー量が感光体上に付着する。トナーが適度に帯電していると、高画質な画像を形成することができる。
しかしながら、温度変化や湿度変化等の環境の変化により、トナーの帯電量の低下や不均一化等の変動が生じると、感光体上に静電潜像に応じた所望の現像ができず、画像の濃度変化やムラ、カブリ等の問題が引き起こされる。
そこで、環境変化によるトナー帯電量の変動を抑制するため、様々な帯電制御剤が検討されている。
特許文献1には、ジエチルジメチルサクシノニトリルを0.0001〜4質量%含有するトナー組成物が開示されている。また、特許文献1には、帯電制御剤として、負帯電性のクロム錯体を用いるトナーが実施例に開示されている。
特許文献2には、特定の高分子の正帯電制御剤を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナーが開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示されたトナーは、環境変化によるトナー帯電量の変動の抑制が十分であるとは言えず、特に低温下且つ低湿下においては、環境変動が大きく、カブリが増え、耐久性が低下しやすい。また、特許文献2に開示されたトナーは、環境変化による変動はある程度抑えられるものの、トナーを長期間保存した場合に、環境変化による変動が大きくなりやすいという問題があった。
特開平8−62898号公報 特開平11−15192号公報
本発明の課題は、優れた耐熱保存性を維持しつつ、環境変動に対する帯電安定性を向上させることができ、長期間保存後も優れた安定性が得られる静電荷像現像用トナーを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、着色樹脂粒子中に正帯電性帯電制御剤と、負帯電性の官能基であるシアノ基を含む低分子量の炭化水素化合物を少量含有させることで、上記課題が解決できることを見出した。
すなわち、本発明によれば、結着樹脂、着色剤、及び、帯電制御剤を含有する着色樹脂粒子、並びに外添剤を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記帯電制御剤が正帯電性帯電制御剤であり、さらに、分子量が100〜300であるシアノ基含有炭化水素化合物を80〜500ppm含有することを特徴とする静電荷像現像用トナーが提供される。
本発明においては、前記帯電制御剤が、正帯電性帯電制御樹脂であることが好ましい。
本発明においては、前記帯電制御剤が、4級アンモニウム塩基を有する帯電制御樹脂であることがより好ましい。
本発明においては、前記シアノ基含有炭化水素化合物が、下記一般式(1)により表される分子構造を有することが好ましい。
Figure 2013146045
(上記一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜4の炭化水素基である。)
本発明においては、前記シアノ基含有炭化水素化合物が、下記一般式(2)により表される分子構造を有していてもよい。
Figure 2013146045
(上記一般式(2)中、m及びnは、それぞれ独立して、1〜4の整数である。)
本発明においては、前記シアノ基含有炭化水素化合物の含有量が150〜300ppmであることが好ましい。
上記の如き本発明の静電荷像現像用トナーによれば、正帯電制御剤と、逆の帯電性である負帯電性を有し且つ特定の分子構造を有するシアノ基含有炭化水素化合物とを共に含有することにより、保存性に優れ、長期保存後においても環境安定性に優れるトナーが提供される。
ストリッピング処理に用いるシステムの一例を示す図である。
本発明の静電荷像現像用トナーは、結着樹脂、着色剤、及び、帯電制御剤を含有する着色樹脂粒子、並びに外添剤を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記帯電制御剤が正帯電性帯電制御剤であり、さらに、分子量が100〜300であるシアノ基含有炭化水素化合物を80〜500ppm含有することを特徴とする。
以下、本発明のトナーについて説明する。本発明のトナーは、結着樹脂、着色剤、正帯電性帯電制御剤、シアノ基含有炭化水素化合物、及び外添剤を含有する。
以下、本発明に用いられる着色樹脂粒子の製造方法、当該製造方法により得られる着色樹脂粒子、当該着色樹脂粒子を用いた本発明のトナーの製造方法及び本発明のトナーについて、順に説明する。
1.着色樹脂粒子の製造方法
本発明の着色樹脂粒子は、湿式法、または乾式法を採用して製造することが出来る。湿式法の中でも好ましい懸濁重合法は、以下に示すプロセスにより行われる。
(A)懸濁重合法
(A−1)重合性単量体組成物の調製工程
まず、重合性単量体、着色剤、正帯電性帯電制御剤、及びシアノ基含有炭化水素化合物、さらに必要に応じて添加される離型剤等のその他の添加物を混合し、重合性単量体組成物の調製を行う。重合性単量体組成物を調製する際の混合には、例えば、メディア式分散機を用いる。
本発明において重合性単量体とは、重合可能な官能基を有するモノマーのことをいい、重合性単量体が重合して結着樹脂となる。重合性単量体の主成分として、モノビニル単量体を使用することが好ましい。モノビニル単量体としては、例えば、スチレン;ビニルトルエン、及びα−メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリル酸、及びメタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸ジメチルアミノエチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル;アクリロニトリル、及びメタクリロニトリル等のニトリル化合物;アクリルアミド、及びメタクリルアミド等のアミド化合物;エチレン、プロピレン、及びブチレン等のオレフィン;が挙げられる。これらのモノビニル単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。これらのうち、モノビニル単量体として、スチレン、スチレン誘導体、及びアクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステルが、好適に用いられる。
ホットオフセット改善及び保存性改善のために、モノビニル単量体とともに、任意の架橋性の重合性単量体を用いることが好ましい。架橋性の重合性単量体とは、2つ以上の重合可能な官能基を持つモノマーのことをいう。架橋性の重合性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、及びジエチレングリコールジメタクリレート等の2個以上の水酸基を持つアルコールに炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸が2つ以上エステル結合したエステル化合物;N,N−ジビニルアニリン、及びジビニルエーテル等の、その他のジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物;等を挙げることができる。これらの架橋性の重合性単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明では、架橋性の重合性単量体を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.1〜5質量部、好ましくは0.3〜2質量部の割合で用いることが望ましい。
また、さらに、重合性単量体の一部として、マクロモノマーを用いると、得られるトナーの保存性と低温での定着性とのバランスが良好になるので好ましい。マクロモノマーは、分子鎖の末端に重合可能な炭素−炭素不飽和二重結合を有するもので、数平均分子量が、通常、1,000〜30,000の反応性の、オリゴマー又はポリマーである。マクロモノマーは、モノビニル単量体を重合して得られる重合体のガラス転移温度(以下、「Tg」と称することがある。)よりも、高いTgを有する重合体を与えるものが好ましい。マクロモノマーは、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.03〜5質量部、さらに好ましくは0.05〜1質量部用いることが望ましい。
本発明においては着色剤を用いるが、カラートナーを作製する場合、ブラック、シアン、イエロー、マゼンタの着色剤を用いることができる。
ブラック着色剤としては、カーボンブラック、チタンブラック、並びに酸化鉄亜鉛、及び酸化鉄ニッケル等の磁性粉等を用いることができる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、その誘導体、及びアントラキノン化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17:1、及び60等が挙げられる。
イエロー着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ系顔料、縮合多環系顔料等の化合物が用いられ、C.I.ピグメントイエロー3、12、13、14、15、17、62、65、73、74、83、93、97、120、138、155、180、181、185、186、及び213等が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ系顔料、縮合多環系顔料等の化合物が用いられ、C.I.ピグメントレッド31、48、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、150、163、170、184、185、187、202、206、207、209、237、238、251、254、255、269及びC.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
本発明においては、各着色剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて使用できる。着色剤の量は、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは1〜10質量部である。
本発明においては、トナーの帯電性を向上させるために、正帯電性帯電制御剤を用いる。正帯電性帯電制御剤としては、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩、トリアミノトリフェニルメタン化合物及びイミダゾール化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのポリアミン樹脂、並びに3級アミノ基含有共重合体、及び4級アンモニウム塩基含有共重合体等が挙げられる。これらの正帯電性帯電制御剤の内、正帯電性帯電制御樹脂を用いることが好ましく、4級アンモニウム塩基を含有する帯電制御樹脂を用いることがより好ましい。
本発明では、正帯電性帯電制御剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.01〜20質量部、好ましくは0.01〜10質量部、更に好ましくは0.03〜8質量部の割合で用いることが望ましい。正帯電性帯電制御剤の添加量が、0.01質量部未満の場合にはカブリが発生することがある。一方、正帯電性帯電制御剤の添加量が20質量部を超える場合には印字汚れが発生することがある。
分子量が100〜300であるシアノ基含有炭化水素化合物を用いることが、本発明の主な特徴の1つである。
本発明に用いられるシアノ基含有炭化水素化合物の構造は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状の内の少なくともいずれか1つの炭化水素骨格を有し、且つ、当該炭化水素骨格中の少なくとも1つの水素が、シアノ基(−CN)に置換された構造であれば、特に限定されない。なお、本発明においては、シアノ基とニトリル基は同義であるものとする。
シアノ基含有炭化水素化合物は、シアノ基以外の他の官能基、例えば、ヒドロキシル基(−OH)、アミノ基(−NH)、ニトロ基(−NO)、フルオロ基(−F)、クロロ基(−Cl)、ブロモ基(−Br)、ヨード基(−I)等を有していてもよい。ただし、当該他の官能基の数は1分子中に2個以下が好ましく、1分子中に1個以下がより好ましい。また、シアノ基含有炭化水素化合物は、シアノ基以外に官能基を有していないことがさらに好ましい。
シアノ基含有炭化水素化合物は、シアノ基を1分子中に1〜3個有することが好ましく、シアノ基を1分子中に2個有することがより好ましい。シアノ基が1分子中に4個以上含まれる場合、低温低湿(L/L)環境下でカブリが発生することがある。
シアノ基含有炭化水素化合物は、1分子中に少なくとも1つの第4級炭素原子を有することが好ましい。ここで、第4級炭素原子とは、異なる4つの炭素原子とそれぞれ結合を有する炭素原子のことを指す。また、当該第4級炭素原子は、シアノ基中の炭素原子と直接結合を有していてもよい。
シアノ基含有炭化水素化合物は、ビシナルジシアノ(vic−ジシアノ)化合物であることが好ましい。ここで、ビシナルジシアノ化合物とは、シアノ基を1分子中に2つ有し、且つ、当該2つのシアノ基が、隣接する2つの炭素原子にそれぞれ結合している化合物のことを指す。この場合、当該隣接する2つの炭素原子が、いずれも第4級炭素原子であってもよい。
シアノ基含有炭化水素化合物の分子量が100未満の場合には、耐久保存性が低下するおそれがある。一方、シアノ基含有炭化水素化合物の分子量が300を超える場合には、環境安定性の効果が小さくなるおそれがある。
シアノ基含有炭化水素化合物の分子量は、120〜250であることがより好ましく、150〜200であることがさらに好ましい。
上述したシアノ基の数の条件、第4級炭素原子を有すること、ビシナルジシアノ化合物であること、及び分子量の条件を全て満たす構造として、シアノ基含有炭化水素化合物は、下記一般式(1)により表されるような、分岐鎖状構造を有することが好ましい。
Figure 2013146045
(上記一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜4の炭化水素基である。)
上記一般式(1)により表される分子構造を有するシアノ基含有炭化水素化合物の具体例としては、2,3−ジエチル−2,3−ジメチルブタンジニトリル(CAS No.128903−20−8、分子量:164、下記式(1a))、2,2,3,3−テトラメチルブタンジニトリル(CAS No.3333−52−6、分子量:136、下記式(1b))、及び2,3−ジメチル−2,3−ビス(2−メチルプロピル)ブタンジニトリル(CAS No.80822−82−8、分子量:220、下記式(1c))等が挙げられる。
Figure 2013146045
本発明においては、下記一般式(2)により表されるような、環状構造を有するシアノ基含有炭化水素化合物を用いてもよい。
Figure 2013146045
(上記一般式(2)中、m及びnは、それぞれ独立して、1〜4の整数である。)
上記一般式(2)により表される分子構造を有するシアノ基含有炭化水素化合物の具体例としては、1,1’−ビシクロヘキシル−1,1’−ジカルボニトリル(CAS No.18341−40−7、分子量:216、下記式(2a))、1,1’−ビシクロペンチル−1,1’−ジカルボニトリル(CAS No.85688−88−6、分子量:188、下記式(2b))、1,1’−ビシクロブチル−1,1’−ジカルボニトリル(分子量:160、下記式(2c))、及び1,1’−ビシクロヘプチル−1,1’−ジカルボニトリル(CAS No.85688−89−7、分子量:244、下記式(2d))等が挙げられる。
Figure 2013146045
シアノ基含有炭化水素化合物を加えることによる効果の詳細は不明であるが、シアノ基含有炭化水素化合物と正帯電性帯電制御剤が近接して存在し、それぞれの官能基同士による相互作用により、本発明の効果である優れた耐熱保存性及び印字耐久性を奏することができると推測される。
本発明に用いられるシアノ基含有炭化水素化合物は、予め合成したものを用いてもよいし、市販のものを用いてもよい。
シアノ基含有炭化水素化合物の合成方法は特に限定されず、公知の方法を採用してもよい。シアノ基含有炭化水素化合物の製造方法、特に上記一般式(1)に示した分岐鎖状構造を有する化合物の製造方法や、上記一般式(2)に示した環状構造を有する化合物の製造方法については、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(azobisisobutyronitrile)に代表されるアゾニトリル系化合物の分解による方法が挙げられる。アゾニトリル系化合物の分解による方法としては、例えば、公知文献1(W.Barbe et al.,Chem.Ber.116,1017−1041(1983))の化合物7a〜7lに関する実験項や、公知文献2(C.G.Overberger et al.,J.Am.Chem.Soc.,1949,71(8),pp2661−2666)の表4〜表6に記載されたような加熱による分解方法;公知文献3(M.C.Ford et al.,J.Chem.Soc.,1952,2240−2245)に記載されたようなωωω−トリブロモキナルジン(ωωω−Tribromoquinaldine)やN−ブロモスクシンイミド(N−Bromosuccinimide)等のハロゲン化剤との反応;等が挙げられる。アゾニトリル系化合物の分解による方法以外にも、例えば、公知文献4(W.Barbe et al.,Chem.Ber.116,1042−1057(1983))のスキーム1に記載されたような、ケテンイミン(ketenimine;化合物3a)からのラジカル解裂を経た異性化によっても、シアノ基含有炭化水素化合物を合成することができると考えられる。
本発明に用いられるシアノ基含有炭化水素化合物は、例えば、Achemica社等において市販されているもの等が使用できる。
本発明のトナーは、上記シアノ基含有炭化水素化合物を80〜500ppm含有する。シアノ基含有炭化水素化合物の含有量が80ppm未満である場合には、後述する比較例1及び比較例3の結果から分かるように、帯電安定性が悪化する。一方、シアノ基含有炭化水素化合物の含有量が500ppmを超える場合には、後述する比較例2及び比較例4の結果から分かるように、耐熱保存性及び印字耐久性にいずれも劣る。
本発明のトナーにおけるシアノ基含有炭化水素化合物の含有量は、100〜400ppmであることが好ましく、120〜300ppmであることがより好ましく、150〜250ppmであることが更に好ましい。
定着時におけるトナーの定着ロールからの離型性を改善する観点から、重合性単量体組成物には、離型剤を添加することが好ましい。離型剤としては、一般にトナーの離型剤として用いられるものであれば、特に制限無く用いることができる。
上記離型剤は、エステルワックス及び炭化水素系ワックスの少なくともいずれか1つを含有することが好ましい。これらのワックスを離型剤として使用することにより、低温定着性と保存性とのバランスを好適にすることができる。
本発明において離型剤として好適に用いられるエステルワックスは、多官能エステルワックスがより好適であり、例えば、ペンタエリスリトールテトラパルミネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等のペンタエリスリトールエステル化合物;ヘキサグリセリンテトラベヘネートテトラパルミネート、ヘキサグリセリンオクタベヘネート、ペンタグリセリンヘプタベヘネート、テトラグリセリンヘキサベヘネート、トリグリセリンペンタベヘネート、ジグリセリンテトラベヘネート、グリセリントリベヘネート等のグリセリンエステル化合物;ジペンタエリスリトールヘキサミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミネート等のジペンタエリスリトールエステル化合物;等が挙げられ、中でもジペンタエリスリトールエステル化合物が好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサミリステートがより好ましい。
本発明において離型剤として好適に用いられる炭化水素系ワックスは、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、石油系ワックス等が挙げられ、中でも、フィッシャートロプシュワックス、石油系ワックスが好ましく、石油系ワックスがより好ましい。
炭化水素系ワックスの数平均分子量は、300〜800であることが好ましく、400〜600であることがより好ましい。また、JIS K2235 5.4で測定される炭化水素系ワックスの針入度は、1〜10であることが好ましく、2〜7であることがより好ましい。
上記離型剤の他にも、例えば、ホホバ等の天然ワックス;オゾケライト等の鉱物系ワックス;等を用いることができる。
離型剤は、上述した1種又は2種以上のワックスを組み合わせて用いてもよい。
上記離型剤は、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部用いられ、更に好ましくは1〜20質量部用いられる。
また、その他の添加物として、重合して結着樹脂となる重合性単量体を重合する際に、分子量調整剤を用いることが好ましい。
分子量調整剤としては、一般にトナー用の分子量調整剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラムジスルフィド、N,N’−ジオクタデシル−N,N’−ジイソプロピルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;等が挙げられる。これらの分子量調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、分子量調整剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部の割合で用いることが望ましい。
(A−2)懸濁液を得る懸濁工程(液滴形成工程)
本発明では、少なくとも重合性単量体、着色剤、正帯電性帯電制御剤、及びシアノ基含有炭化水素化合物を含む重合性単量体組成物を、分散安定化剤を含む水系媒体中に分散させ、重合開始剤を添加した後、重合性単量体組成物の液滴形成を行う。液滴形成の方法は特に限定されないが、例えば、(インライン型)乳化分散機(株式会社荏原製作所製、商品名「マイルダー」)、高速乳化分散機(プライミクス株式会社製、商品名「T.K.ホモミクサー MARK II型」)等の強攪拌が可能な装置を用いて行う。
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩:4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルブタノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルブタノエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、及びt−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中で、残留重合性単量体を少なくすることができ、印字耐久性も優れることから、有機過酸化物を用いるのが好ましい。
有機過酸化物の中でも、開始剤効率がよく、残留する重合性単量体も減らせることからシアノ基を含まないものが好ましく、パーオキシエステルがより好ましく、非芳香族パーオキシエステルすなわち芳香環を有しないパーオキシエステルが更に好ましい。
重合開始剤は、前記のように、重合性単量体組成物が水系媒体中へ分散された後、液滴形成前に添加されても良いが、水系媒体中へ分散される前の重合性単量体組成物へ添加されても良い。
重合性単量体組成物の重合に用いられる、重合開始剤の添加量は、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部であり、さらに好ましくは0.3〜15質量部であり、特に好ましくは1〜10質量部である。
本発明において、水系媒体とは、水を主成分とする媒体のことを言う。
本発明において、水系媒体には、分散安定化剤を含有させることが好ましい。分散安定化剤としては、例えば、硫酸バリウム、及び硫酸カルシウム等の硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸カルシウム等のリン酸塩;酸化アルミニウム、及び酸化チタン等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化第二鉄等の金属水酸化物;等の無機化合物や、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、及びゼラチン等の水溶性高分子;アニオン性界面活性剤;ノニオン性界面活性剤;両性界面活性剤;等の有機化合物が挙げられる。上記分散安定化剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記分散安定化剤の中でも、無機化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイドが好ましい。無機化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイドを用いることにより、着色樹脂粒子の粒径分布を狭くすることができ、また、洗浄後の分散安定化剤残存量を少なくできるため、得られるトナーが画像を鮮明に再現することができ、且つ環境安定性が優れたものとなる。
(A−3)重合工程
上記(A−2)のようにして、液滴形成を行い、得られた水系分散媒体を加熱し、重合を開始し、着色樹脂粒子の水分散液を調製する。
重合性単量体組成物の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
着色樹脂粒子は、そのまま外添剤を添加してトナーとして用いてもよいが、この着色樹脂粒子をコア層とし、その外側にコア層と異なるシェル層を作ることで得られる、所謂コアシェル型(又は、「カプセル型」ともいう)の着色樹脂粒子とすることが好ましい。コアシェル型の着色樹脂粒子は、低軟化点を有する物質よりなるコア層を、それより高い軟化点を有する物質で被覆することにより、定着温度の低温化と保存時の凝集防止とのバランスを取ることができる。
上述した、上記着色樹脂粒子を用いて、コアシェル型の着色樹脂粒子を製造する方法としては特に制限はなく、従来公知の方法によって製造することができる。in situ重合法や相分離法が、製造効率の点から好ましい。
in situ重合法によるコアシェル型の着色樹脂粒子の製造法を以下に説明する。
着色樹脂粒子が分散している水系媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)と重合開始剤を添加し、重合することでコアシェル型の着色樹脂粒子を得ることができる。
シェル用重合性単量体としては、前述の重合性単量体と同様なものが使用できる。その中でも、スチレン、アクリロニトリル、及びメチルメタクリレート等の、Tgが80℃を超える重合体が得られる単量体を、単独であるいは2種以上組み合わせて使用することが好ましい。
シェル用重合性単量体の重合に用いる重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の、過硫酸金属塩;2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、及び2,2’−アゾビス−(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)等の、アゾ系開始剤;等の水溶性重合開始剤を挙げることができる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。重合開始剤の量は、シェル用重合性単量体100質量部に対して、好ましくは、0.1〜30質量部、より好ましくは1〜20質量部である。
シェル層の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
(A−4)洗浄、ろ過、脱水、及び乾燥工程
重合により得られた着色樹脂粒子の水分散液は、重合終了後に、公知の方法に従い、ろ過、分散安定化剤の除去を行う洗浄、脱水、及び乾燥の操作が、必要に応じて数回繰り返されることが好ましい。
なお、洗浄、濾過、脱水、及び乾燥の一連の操作の前に、着色樹脂粒子の水分散液について、着色樹脂粒子から揮発性物質(主にエーテル成分、及びスチレン)を除去する目的で、ストリッピング処理工程を設けてもよい。
ストリッピング処理の一例について説明する。上記により得られた着色樹脂粒子の水分散液は、気体を吹き込む方法により、図1に示すストリッピング処理システムにおいて、以下のようにストリッピング処理できる。
先ず、着色樹脂粒子の水分散液4をイオン交換水で所定の固形分濃度まで希釈した後、蒸発器1に供給し、必要であれば消泡剤を所定量蒸発器1に加える。蒸発器1内に不活性ガス(例えば、窒素ガス等)又は飽和水蒸気を吹き込み、蒸発器内の気相部を不活性ガスで置換する。
次いで、着色樹脂粒子の水分散液4を、攪拌翼を備えた攪拌機3を用いて、所定の回転数で攪拌しながら、蒸発器1の外部に接して設けられたジャケット2に温水を通じることにより、蒸発器1を加温する。着色樹脂粒子の水分散液4の液温が所定の温度まで上がった後、ブロワー6を起動して、不活性ガスの流量を調整し、ガス吹き込み口が直管形状の気体吹き込み管5から、着色樹脂粒子の水分散液中に不活性ガスを吹き込んで、着色樹脂粒子から揮発性物質の除去(ストリッピング処理)を行う。着色樹脂粒子の水分散液4の泡レベルを90〜95%に維持しながらストリッピング処理を行ってもよい。
所定時間のストリッピング処理後、蒸発器1の外部に接して設けられたジャケット2に冷却水を通じることにより、着色樹脂粒子の水分散液4の液温が25℃になるまで冷却を行い、ストリッピングを終了する。
上記の洗浄の方法としては、分散安定化剤として無機化合物を使用した場合、着色樹脂粒子の水分散液への酸、又はアルカリの添加により、分散安定化剤を水に溶解し除去することが好ましい。分散安定化剤として、難水溶性の無機水酸化物のコロイドを使用した場合、酸を添加して、着色樹脂粒子水分散液のpHを6.5以下に調整することが好ましい。添加する酸としては、硫酸、塩酸、及び硝酸等の無機酸、並びに蟻酸、及び酢酸等の有機酸を用いることができるが、除去効率の大きいことや製造設備への負担が小さいことから、特に硫酸が好適である。
脱水、ろ過の方法は、種々の公知の方法等を用いることができ、特に限定されない。例えば、遠心ろ過法、真空ろ過法、加圧ろ過法等を挙げることができる。また、乾燥の方法も、特に限定されず、種々の方法が使用できる。
(B)粉砕法
粉砕法を採用して着色樹脂粒子を製造する場合、以下のようなプロセスにより行われる。
まず、結着樹脂、着色剤、正帯電性帯電制御剤、シアノ基含有炭化水素化合物、さらに必要に応じて添加される離型剤等のその他の添加物を混合機、例えば、ボールミル、V型混合機、ヘンシェルミキサー(:商品名)、高速ディゾルバ、インターナルミキサー、フォールバーグ等を用いて混合する。次に、上記により得られた混合物を、加圧ニーダー、二軸押出混練機、ローラ等を用いて加熱しながら混練する。得られた混練物を、ハンマーミル、カッターミル、ローラミル等の粉砕機を用いて、粗粉砕する。更に、ジェットミル、高速回転式粉砕機等の粉砕機を用いて微粉砕した後、風力分級機、気流式分級機等の分級機により、所望の粒径に分級して粉砕法による着色樹脂粒子を得る。
なお、粉砕法で用いる結着樹脂、着色剤、正帯電性帯電制御剤、シアノ基含有炭化水素化合物、さらに必要に応じて添加される離型剤等のその他の添加物は、前述の(A)懸濁重合法で挙げたものを用いることができる。また、粉砕法により得られる着色樹脂粒子は、前述の(A)懸濁重合法により得られる着色樹脂粒子と同じく、in situ重合法等の方法によりコアシェル型の着色樹脂粒子とすることもできる。
結着樹脂としては、他にも、従来からトナーに広く用いられている樹脂を使用することができる。粉砕法で用いられる結着樹脂としては、具体的には、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、ポリエステル樹脂、及びエポキシ樹脂等を例示することができる。
2.着色樹脂粒子
上述の(A)懸濁重合法、又は(B)粉砕法等の製造方法により、着色樹脂粒子が得られる。
以下、トナーを構成する着色樹脂粒子について述べる。なお、以下で述べる着色樹脂粒子は、コアシェル型のものとそうでないもの両方を含む。
着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)は、好ましくは4〜12μmであり、更に好ましくは5〜10μmである。Dvが4μm未満である場合には、トナーの流動性が低下し、転写性が悪化したり、画像濃度が低下したりする場合がある。Dvが12μmを超える場合には、画像の解像度が低下する場合がある。
また、着色樹脂粒子は、その体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が、好ましくは1.0〜1.3であり、更に好ましくは1.0〜1.2である。Dv/Dnが1.3を超える場合には、転写性、画像濃度及び解像度の低下が起こる場合がある。着色樹脂粒子の体積平均粒径、及び個数平均粒径は、例えば、粒度分析計(ベックマン・コールター製、商品名「マルチサイザー」)等を用いて測定することができる。
本発明の着色樹脂粒子の平均円形度は、画像再現性の観点から、0.96〜1.00であることが好ましく、0.97〜1.00であることがより好ましく、0.98〜1.00であることがさらに好ましい。
上記着色樹脂粒子の平均円形度が0.96未満の場合、印字の細線再現性が悪くなるおそれがある。
本発明において、円形度は、粒子像と同じ投影面積を有する円の周囲長を、粒子の投影像の周囲長で除した値として定義される。また、本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、着色樹脂粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、平均円形度は着色樹脂粒子が完全な球形の場合に1を示し、着色樹脂粒子の表面形状が複雑になるほど小さな値となる。
3.トナーの製造方法
本発明においては、上記着色樹脂粒子を、外添剤と共に混合攪拌して外添処理を行うことにより、着色樹脂粒子の表面に、外添剤を付着させて1成分トナー(現像剤)とする。
なお、1成分トナーは、さらにキャリア粒子と共に混合攪拌して2成分現像剤としてもよい。
外添処理を行う攪拌機は、着色樹脂粒子の表面に外添剤を付着させることができる攪拌装置であれば特に限定されず、例えば、ヘンシェルミキサー(:商品名、三井鉱山社製)、FMミキサー(:商品名、日本コークス工業社製)、スーパーミキサー(:商品名、川田製作所社製)、Qミキサー(:商品名、日本コークス工業社製)、メカノフュージョンシステム(:商品名、ホソカワミクロン社製)、及びメカノミル(:商品名、岡田精工社製)等の混合攪拌が可能な攪拌機を用いて外添処理を行うことができる。
外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、及び酸化セリウム等からなる無機微粒子;ポリメタクリル酸メチル樹脂、シリコーン樹脂、及びメラミン樹脂等からなる有機微粒子;等が挙げられる。これらの中でも、無機微粒子が好ましく、無機微粒子の中でも、シリカ及び酸化チタンが好ましく、特にシリカからなる微粒子が好適である。
なお、これらの外添剤は、それぞれ単独で用いることもできるが、2種以上を併用して用いることができる。中でも粒径の異なる2種以上のシリカを併用することが好ましい。
本発明では、外添剤を、着色樹脂粒子100質量部に対して、通常、0.05〜6質量部、好ましくは0.2〜5質量部の割合で用いることが望ましい。外添剤の添加量が0.05質量部未満の場合には転写残が発生することがある。外添剤の添加量が6質量部を超える場合にはカブリが発生することがある。
4.本発明のトナー
本発明のトナーは、優れた耐熱保存性を維持しつつ、環境変動に対する帯電安定性を向上させることができ、長期間保存後も優れた安定性が得られるトナーである。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、部及び%は、特に断りのない限り質量基準である。
1.静電荷像現像用トナーの製造
[実施例1]
モノビニル単量体としてスチレン75部及びn−ブチルアクリレート25部(得られる共重合体の計算Tg=44℃)、シアン着色剤として銅フタロシアニン顔料(C.I.Pigment Blue 15:3)6部、正帯電性帯電制御剤として正帯電性帯電制御樹脂(4級アンモニウム塩基含有共重合体(スチレン/アクリル樹脂(4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体単位を8質量%含有)、藤倉化成社製、商品名「FCA−161P」、Tg:60℃、Mw:21,000))0.5部、ポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名「AA6」、Tg=94℃)0.25部を、攪拌装置で攪拌、混合した後、さらにメディア式分散機により、均一に分散させた。ここに、離型剤としてジペンタエリスリトールヘキサミリステート(スチレンに対する溶解度:10g以上/100g、吸熱ピーク:65℃、分子量:1,514)5部、シアノ基含有炭化水素化合物として下記式(1a)により表される2,3−ジエチル−2,3−ジメチルスクシノジニトリル(別名:2,3−ジエチル−2,3−ジメチルブタンジニトリル、分子量:164;以下、DEDMSNと称する場合がある。)0.016部を添加、混合、及び溶解して、重合性単量体組成物を得た。
Figure 2013146045
他方、イオン交換水250部に塩化マグネシウム(水溶性多価金属塩)8.6部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム(水酸化アルカリ金属)4.8部を溶解した水溶液を、攪拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイド)分散液を調製した。
なお、得られた水酸化マグネシウムコロイドの粒径分布を、粒径分布測定器(島津製作所社製、商品名「SALD」)を用いて測定したところ、粒径は、D50(個数粒径分布の50%累積値)が0.36μm、D90(個数粒径分布の90%累積値)が0.80μmであった。
上記により得られた水酸化マグネシウムコロイド分散液に、室温下で、上記重合性単量体組成物を投入し、液滴が安定するまで攪拌し、そこに重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルブタノエート(アクゾノーベル社製、商品名「トリゴノックス27」、純度:98%、分子量:188、1時間半減期温度:94℃)5部、分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン1.2部、架橋性の重合性単量体としてジビニルベンゼン0.5部を添加後、インライン型乳化分散機(荏原製作所社製、商品名「エバラマイルダー」)を用いて15,000rpmの回転数で10分間高剪断攪拌して重合性単量体組成物の液滴形成を行った。
上記により得られた重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液(重合性単量体組成物分散液)を、攪拌翼を装着した反応器内に投入し、90℃に昇温し、重合反応を開始させた。重合転化率が95%に達したときに、シェル用重合性単量体としてメチルメタクリレート(シェル用重合性単量体)1部、及びイオン交換水10部に溶解したシェル用重合開始剤である2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド)(和光純薬工業社製、商品名「VA−086」)0.1部を添加し、90℃にて3時間反応を継続した後、反応を停止し、pH9.5のコアシェル構造を有する着色樹脂粒子の水分散液を得た。
上記により得られた着色樹脂粒子の水分散液は、気体を吹き込む方法により、図1に示すストリッピング処理システムにおいて、以下のようにストリッピング処理を行った。
先ず、着色樹脂粒子の水分散液4をイオン交換水で固形分濃度20%に希釈した後、蒸発器1に供給し、消泡剤(サンノプコ社製、商品名「SNデフォーマー180」)0.1部を蒸発器1に加えた。蒸発器1内に窒素ガスを吹き込み、蒸発器内の気相部を窒素ガスで置換した。
次いで、着色樹脂粒子の水分散液4を、攪拌翼を備えた攪拌機3で攪拌しながら80℃になるまで加熱した後、ブロワー6を起動して、窒素ガスの流量が0.6m/(hr・kg)となるように調節して、着色樹脂粒子の水分散液中にガス吹き込み口が直管形伏の気体吹き込み管5から窒素ガスを吹き込んで、着色樹脂粒子から揮発性物質を除去した。
ストリッピング処理後の窒素ガスは、ガス循環ライン7を通って、凝縮器8、凝縮タンク9に順次導き凝集させ、凝縮後の窒素ガスは、ガス循環ライン10を通って揮発性物質除去装置(活性炭を充填した吸着塔)11に導き、窒素ガス中に含まれる揮発性物質が除去された。揮発性物質が除去された窒素ガスは、ガス循環ライン12を通って、ブロワー6からガス循環ライン13を通して、蒸発器1内に再び吹き込まれた。
ストリッピング処理は、着色樹脂粒子の水分散液の温度80℃、蒸発器1内の圧力101kPa、窒素ガス流量0.6m/(hr・kg)で6時間行った。6時間の処理後、着色樹脂粒子の水分散液を室温まで冷却した。
この後、得られた着色樹脂粒子の水分散液は、室温で攪拌しながら硫酸を添加しpHを6.5以下にする酸洗浄を行い、濾過により水を分離した後、イオン交換水500部を再び加えて再スラリー化する水洗浄を行った。その後、さらに、脱水と水洗浄を、数回繰り返し行って、濾過分離した後、乾燥機に入れ、温度30℃にて一昼夜乾燥した。
なお、得られた着色樹脂粒子の体積平均粒径Dvは9.5μmであり、粒径分布Dv/Dnは1.16であった。また、シェル用重合性単量体とコア粒子(シェルを形成する前の着色樹脂粒子)の粒径から算定したシェルの厚さは0.03μm、球形度Sc/Srは1.2であった。
上記により得られた着色樹脂粒子100部に、疎水化処理されたシリカ微粒子(キャボット社製、商品名「TG820F」)0.6部と、疎水化処理されたシリカ微粒子(日本アエロジル社製、商品名「NA50Y」)1.0部を添加し、高速攪拌機(三井鉱山社製、商品名「ヘンシェルミキサー」)を用いて混合して非磁性一成分の実施例1の静電荷像現像用トナーを作製し、試験に供した。
[実施例2]
実施例1において、DEDMSNの添加量を0.016部から0.024部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の静電荷像現像用トナーを作製し、試験に供した。
[実施例3]
実施例1において、DEDMSNの添加量を0.016部から0.032部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の静電荷像現像用トナーを作製し、試験に供した。
[実施例4]
実施例1において、DEDMSN 0.016部を、下記式(1b)により表される2,2,3,3−テトラメチルスクシノジニトリル(別名:2,2,3,3−テトラメチルブタンジニトリル、分子量:136;以下、TMSNと称する場合がある。)0.028部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の静電荷像現像用トナーを作製し、試験に供した。
Figure 2013146045
[実施例5]
実施例1において、正帯電性帯電制御剤を4級アンモニウム塩基含有共重合体0.5部からニグロシン染料(オリエント化学社製、商品名「ボントロンN−01」)0.05部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5の静電荷像現像用トナーを作製し、試験に供した。
[比較例1]
実施例1において、DEDMSNを添加しないこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の静電荷像現像用トナーを作製し、試験に供した。
[比較例2]
実施例1において、DEDMSNの添加量を0.016部から0.062部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2の静電荷像現像用トナーを作製し、試験に供した。
[比較例3]
実施例1において、DEDMSNを添加しないこと、及び、帯電制御剤として、更に負帯電性帯電制御剤(保土ケ谷化学社製、製品名「スピロンブラックTRH」)0.08部を添加したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3の静電荷像現像用トナーを作製し、試験に供した。
[比較例4]
実施例1において、DEDMSNを添加しないこと、重合開始剤をt−ブチルパーオキシ−2−エチルブタノエート5部からアゾビスイソブチロニトリル2部に変更したこと、及び、重合温度を90℃から80℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例4の静電荷像現像用トナーを作製し、試験に供した。
2.静電荷像現像用トナーの評価
上記実施例1〜実施例5、及び比較例1〜比較例4の静電荷像現像用トナーについて特性を調べた。詳細は以下の通りである。
2−1.トナー中のシアノ基含有炭化水素化合物の残留量
トナー3gを1mg単位まで精秤した。精秤したトナー3gに酢酸エチル27gを加えて15分間攪拌した後、メタノール13gを加えて、更に10分間攪拌した。得られた溶液を静置して、不溶分を沈殿させた。当該溶液の上澄み液を測定用試料として採取し、2μLをガスクロマトグラフに注入して、シアノ基含有炭化水素化合物の残留量を定量した。結果を表1に示す。なお、ガスクロマトグラフによる測定条件は以下の通りである。
カラム:Agilent社製、商品名「DB−5」、内径0.25mm×長さ30m
カラム温度:40℃で3分間保持後、130℃まで昇温速度10℃/分で昇温し、さらに230℃まで昇温速度20℃/分で昇温させた。
インジェクション温度:200℃
FID検出側温度:250℃
定量用標準試料:各シアノ基含有炭化水素化合物の酢酸エチル/メタノール溶液
2−2.耐熱保存性
トナー20gを容器に入れて、密閉した後、温度を60℃にした恒温水槽の中に容器を沈め、5時間経過した後に取り出した。取り出した容器からトナーを42メッシュの篩の上にできるだけ振動を与えないように移し、粉体測定機(ホソカワミクロン社製、商品名「パウダーテスターPT−R」)にセットした。篩の振幅を1.0mmに設定して、30秒間振動させた後、篩上に残ったトナーの質量を測定し、これを凝集したトナーの質量とした。測定したトナーの質量(20g)に対する、篩上に残ったトナーの質量(凝集したトナーの質量に相当)の割合(質量%)から、トナーの耐熱保存性(%)を算出した。
トナーの耐熱保存性(%)は、数値が小さい程、凝集したトナーが少なく耐熱保存性が良いことを示す。
2−3.印字試験
市販の非磁性一成分現像方式プリンターを用い、印字用紙をセットし、トナーカートリッジにトナーを入れた。温度23℃、湿度50%の常温常湿(N/N)環境下で、一昼夜放置した後、温度30℃、湿度80%の高温高湿(H/H)環境下にて、カブリ値を以下のようにして測定した。
白ベタ印字(印字濃度0%)を行い、白ベタ印字の途中でプリンターを停止させ、現像後の感光体上における非画像部のトナーを、粘着テープ(住友スリーエム社製、製品名「スコッチメンディングテープ810−3−18」)に付着させた後、剥ぎ取り、それを印字用紙に貼り付けた。次に、その粘着テープを貼り付けた印字用紙を、分光色差計(日本電色社製、商品名「SE−2000」)で色調を測定し、同様にレファレンスとして、未使用の粘着テープだけを印字用紙に貼り付け、測定し、得られた色差をカブリ値とした。この値が小さい方が、カブリが少なく良好であることを示す。
その後、プリンターからトナーカートリッジを取り出し、ポリ塩化ビニル製の袋に入れて密閉し、温度30℃且つ湿度50%の環境下で60日長期保存した後、温度30℃、湿度80%の高温高湿(H/H)環境下の初期カブリの測定、及び、温度10℃、湿度20%の低温低湿(L/L)環境下の初期カブリの測定を行った。
また、上記の長期保存後、温度23℃且つ湿度50%の常温常湿(N/N)環境下で、1%印字濃度で連続印字を行い、500枚毎にカブリ値を測定した。カブリ値が1以上になった枚数(カブリ発生枚数)をカウントし、耐久印字試験は、15,000枚まで行い、途中でカブリ値が1以上になった場合には、その時点で耐久印字試験を中止した。
実施例1〜実施例5、及び比較例1〜比較例4の静電荷像現像用トナーの測定及び評価結果を、シアノ基含有炭化水素化合物及び帯電制御剤の種類等と併せて表1に示す。なお、下記表1中、「HH初期」とは温度30℃、湿度80%の高温高湿(H/H)環境下の初期カブリの値を、「LL初期」とは温度10℃、湿度20%の低温低湿(L/L)環境下の初期カブリの値をそれぞれ意味する。また、下記表1中、「CCR」とは帯電制御樹脂を、「CCA」とは帯電制御剤をそれぞれ意味する。したがって、例えば、下記表1中、「正CCR」とは正帯電性の帯電制御樹脂を意味し、「負CCA」とは負帯電性の帯電制御剤を意味する。また、下記表1中、「<25」とはシアノ基含有炭化水素化合物の残留量が、検出限界である25ppmよりも少ないことを意味し、「>15000」とは15,000枚連続で印字しても、カブリ値が1未満であることを示す。
Figure 2013146045
3.トナーの評価
以下、表1を参照しながら、静電荷像現像用トナーの評価結果について検討する。
表1より、比較例1のトナーは、シアノ基含有炭化水素化合物を添加せず、且つ、正帯電性帯電制御樹脂を用いたトナーである。表1より、比較例1のトナーは、凝集トナーの割合が0.5質量%である。したがって、少なくとも耐熱保存性に問題は見られない。
しかし、比較例1のトナーは、長期保存前における高温高湿(H/H)環境下の初期カブリの値が0.9と高く、長期保存後における高温高湿(H/H)環境下の初期カブリの値が1.7と高く、長期保存後における低温低湿(L/L)環境下の初期カブリの値が2.2と高い。また、比較例1のトナーは、常温常湿(N/N)環境下における印字耐久試験のカブリ発生枚数が13,000枚に留まる。したがって、シアノ基含有炭化水素化合物を添加しなかった比較例1のトナーは、長期保存の有無にかかわらず初期カブリが発生しやすく、且つ、帯電安定性に劣ることが分かる。
表1より、比較例2のトナーは、DEDMSNを540ppm含み、且つ、正帯電性帯電制御樹脂を用いたトナーである。表1より、比較例2のトナーは、長期保存前における高温高湿(H/H)環境下の初期カブリの値が0.6である。したがって、少なくとも長期保存前の帯電安定性に問題は見られない。
しかし、比較例2のトナーは、凝集トナーの割合が1.2質量%と高く、長期保存後における高温高湿(H/H)環境下の初期カブリの値が1.9と高く、長期保存後における低温低湿(L/L)環境下の初期カブリの値が1.8と高い。また、比較例2のトナーは、常温常湿(N/N)環境下における印字耐久試験のカブリ発生枚数が13,000枚に留まる。したがって、シアノ基含有炭化水素化合物の含有量が500ppmを超える比較例2のトナーは、耐熱保存性に劣り、その結果、長期保存後の初期カブリが発生しやすく、且つ、印字耐久性にも劣ることが分かる。
表1より、比較例3のトナーは、シアノ基含有炭化水素化合物を添加せず、且つ、正帯電性帯電制御樹脂及び負帯電性帯電制御剤を用いたトナーである。表1より、比較例3のトナーは、凝集トナーの割合が0.4質量%である。また、表1より、比較例3のトナーは、長期保存前における高温高湿(H/H)環境下の初期カブリの値が0.5であり、長期保存後における高温高湿(H/H)環境下の初期カブリの値が1.1であり、長期保存後における低温低湿(L/L)環境下の初期カブリの値が1.2である。したがって、比較例3のトナーは、少なくとも耐熱保存性の問題及びカブリ発生の問題は見られない。
しかし、比較例3のトナーは、常温常湿(N/N)環境下における印字耐久試験のカブリ発生枚数が13,000枚に留まる。したがって、シアノ基含有炭化水素化合物を添加せず、且つ、正帯電性帯電制御樹脂及び負帯電性帯電制御剤を用いた比較例3のトナーは、長期保存後の帯電安定性に劣ることが分かる。
表1より、比較例4のトナーは、TMSNを2,100ppm含み、且つ、正帯電性帯電制御樹脂を用いたトナーである。
表1より、比較例4のトナーは、凝集トナーの割合が1.8質量%と高い。当該凝集トナーの割合の値は、実施例1〜実施例5、及び比較例1〜比較例4のトナー中、最も高い。また、表1より、比較例4のトナーは、長期保存前における高温高湿(H/H)環境下の初期カブリの値が1.6と高く、長期保存後における高温高湿(H/H)環境下の初期カブリの値が3.1と高く、長期保存後における低温低湿(L/L)環境下の初期カブリの値が2.8と高い。これら3つの初期カブリの値は、実施例1〜実施例5、及び比較例1〜比較例4のトナー中、いずれも最も高い。比較例4のトナーは、常温常湿(N/N)環境下における印字耐久試験のカブリ発生枚数が11,000枚に留まる。このカブリ発生枚数の値は、実施例1〜実施例5、及び比較例1〜比較例4のトナー中、最も少ない。
したがって、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を用い、その結果TMSNを2,100ppmも含む比較例4のトナーは、耐熱保存性及び印字耐久性にいずれも極めて劣ることが分かる。
一方、表1より、実施例1〜実施例5のトナーは、いずれも、DEDMSN又はTMSNを150〜290ppm含み、且つ、正帯電性帯電制御樹脂又は正帯電性帯電制御剤を用いたトナーである。
表1より、実施例1〜実施例5のトナーは、凝集トナーの割合が1.2質量%以下と低い。また、表1より、実施例1〜実施例5のトナーは、長期保存前における高温高湿(H/H)環境下の初期カブリの値が0.6以下と低く、長期保存後における高温高湿(H/H)環境下の初期カブリの値が1.2以下と低く、長期保存後における低温低湿(L/L)環境下の初期カブリの値が1.3以下と低い。また、表1より、実施例1〜実施例5のトナーは、常温常湿(N/N)環境下における印字耐久試験のカブリ発生枚数が13,500枚以上と多い。
したがって、シアノ基含有炭化水素化合物を80〜500ppm含み、且つ、正帯電性帯電制御樹脂又は正帯電性帯電制御剤を用いた実施例1〜実施例5のトナーは、優れた耐熱保存性を維持しつつ、温度変化や湿度変化等の環境変動に対する帯電安定性を向上させることができ、長期間保存後も優れた安定性が得られるトナーであることが分かる。
なお、表1より、実施例1〜実施例3のトナーは、いずれも、DEDMSNを150〜290ppm含み、且つ、正帯電性帯電制御樹脂を用いたトナーである。
表1より、実施例1〜実施例3のトナーは、凝集トナーの割合が0.7質量%以下と極めて低い。また、表1より、実施例1〜実施例3のトナーは、長期保存前における高温高湿(H/H)環境下の初期カブリの値が0.6以下と低く、長期保存後における高温高湿(H/H)環境下の初期カブリの値が0.9以下と極めて低く、長期保存後における低温低湿(L/L)環境下の初期カブリの値が1.0以下と極めて低い。また、表1より、実施例1〜実施例3のトナーは、常温常湿(N/N)環境下において15,000枚連続で印字しても、カブリが1未満であり、印字耐久性に極めて優れる。
1 蒸発器
2 ジャケット
3 攪拌翼を備えた攪拌機
4 着色樹脂粒子の水分散液
5 気体吹き込み管
6 ブロワー
7 ガス循環ライン
8 凝縮器
9 凝縮タンク
10 ガス循環ライン
11 揮発性物質除去装置
12 ガス循環ライン
13 ガス循環ライン
14 非接触型泡レベル計

Claims (6)

  1. 結着樹脂、着色剤、及び、帯電制御剤を含有する着色樹脂粒子、並びに外添剤を含有する静電荷像現像用トナーであって、
    前記帯電制御剤が正帯電性帯電制御剤であり、
    さらに、分子量が100〜300であるシアノ基含有炭化水素化合物を80〜500ppm含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 前記帯電制御剤が、正帯電性帯電制御樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記帯電制御剤が、4級アンモニウム塩基を有する帯電制御樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記シアノ基含有炭化水素化合物が、下記一般式(1)により表される分子構造を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
    Figure 2013146045
    (上記一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜4の炭化水素基である。)
  5. 前記シアノ基含有炭化水素化合物が、下記一般式(2)により表される分子構造を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
    Figure 2013146045
    (上記一般式(2)中、m及びnは、それぞれ独立して、1〜4の整数である。)
  6. 前記シアノ基含有炭化水素化合物の含有量が150〜300ppmであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
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