JPWO2013129111A1 - 造水方法 - Google Patents

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Abstract

被処理水を半透膜によって処理し、透過水と濃縮水に分離する造水方法において、前記半透膜の洗浄、および/または、前記被処理水への薬剤注入を行うに際し、固形物を捕捉可能なフィルターで前記濃縮水を定期的にろ過し、ろ過した際の、フィルターの性能指標、フィルター上の付着物量およびフィルターの色からなる群から選ばれる少なくとも1つの指標から導かれる運転基準指標が予め設定した所定の基準値に達した際、前記半透膜の洗浄を実施する、または前記半透膜の洗浄条件および/または薬剤注入条件を強化することを特徴とする造水方法。本発明の造水方法によれば、膜を用いて海水やかん水などの脱塩を行うことにより淡水を得る場合、下廃水処理水や工業排水等を浄化して再利用水を得る場合などにおいて、膜面におけるファウリングの進行状態を、膜の運転データに現れる前に、簡便に把握することが可能になる。

Description

本発明は、膜を用いて海水やかん水などの脱塩を行うことにより淡水を得たり、下廃水処理水や工業排水等を浄化して再利用水を得たりする造水方法に関するものである。
半透膜を用いた造水システムは、海水の淡水化を始め、多くの産業や水処理分野で応用され、他の分離方法と比較し、分離性能やエネルギー効率等の点で優位であることが実証されてきている。一方、該造水システムにおいては、膜面での微生物増殖、膜面への生物膜(バイオフィルム)の付着、膜面への無機スケールの付着、あるいは膜面への有機物の付着、すなわちファウリングにより、膜差圧が急上昇し、膜の透過性および分離性が低下するという問題がある。
ファウリングにより、膜差圧が上昇したり、膜の透過性および分離性が低下したりした場合は、膜を、洗浄剤を用いて洗浄する薬品洗浄を行うことが一般的である。洗浄剤としては、クエン酸、水酸化ナトリウム、エチレンジアミン−4−酢酸(EDTA)などのキレート剤、および界面活性剤などがあり、これらは単独で、あるいは組み合わせて使用される。
しかし、ファウリングがいったん進行すると、たとえ薬品洗浄を行ったとしても、膜差圧、透過性および分離性が完全に回復せず、次第に薬品洗浄の頻度が多くなり、ついには運転不可能となり、膜の交換が必要となる。よって、ファウリングが進行する前の適切な段階で膜を洗浄し、ファウリングの進行を抑えることが重要である。
ファウリングの進行を抑える手段として、ファウリング物質が無機スケールの場合は、被処理水にヘキサメタリン酸ナトリウム(SHMP)などのスケール防止剤を添加する方法がある。ファウリング物質がバイオフィルムの場合は、被処理水にバイオフィルムの増殖を抑制する薬剤(以下、「殺菌剤」という)を添加する技術が有効な手法として数多く提案されている。例えば、被処理水に2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンまたは5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、および、これらの塩などを有効成分とする殺菌剤を添加してバイオフィルムの増殖を抑制する方法(特許文献1)や、被処理水に殺菌剤として、酸や銀イオンを添加する方法などが開示されている(特許文献2、3)。これらスケール防止剤や殺菌剤等の薬剤を添加する際の濃度、頻度および時間等は、少なすぎれば、ファウリングの進行を抑えることができない。一方、薬剤の濃度、頻度および時間等が多すぎれば、ファウリングの進行を抑えることはできるものの、薬品コストの増大を招く。よって、ファウリングの進行を抑えるための薬剤を添加する際の適正な濃度、頻度および時間を把握することが重要である。
そのためには、膜面におけるファウリングの進行状態を、膜差圧、透過性および分離性といった膜の運転データに現れる前に把握することにより、膜の洗浄あるいは薬剤添加の条件を決定する技術が必要である。このような技術として、特許文献4では、逆浸透膜供給水および/または逆浸透膜非透過水を逆浸透膜ろ過部の逆浸透膜モジュール内の非透過水線速度と同等の線速度で流水させた条件下に、バイオフィルム形成基材を配しておき、バイオフィルム形成基材上のバイオフィルム量を1日〜6ヶ月に1回の頻度でATP測定法により測定し、バイオフィルム形成基材の単位面上あたりのATP量が200pg/cm以下となるように膜の洗浄や殺菌剤添加条件を決定する技術が開示されている。
特開平8−229363号公報 特開平12−354744号公報 特開平10−463号公報 国際公開WO2008/038575号パンフレット
しかしながら、特許文献4の技術では、基本的にバイオフィルムによるファウリング(バイオファウリング)にしか対応できず、膜面への無機スケールの付着(無機物ファウリング)や、膜面へのバイオフィルム以外の有機物の付着(有機物ファウリング)には対応できない。また常に逆浸透膜モジュール内の非透過水線速度と同等の線速度で、逆浸透膜供給水および/または逆浸透膜非透過水を流水させる必要があるため、何かのトラブルで流水が止まったり、線速度が大きくずれたりした場合、正当な評価ができなくなる恐れがある。
本発明は、膜面におけるファウリングの進行状態を、膜差圧、透過性および分離性といった膜の運転データに現れる前に、簡便に把握することが可能な手段を提供するものである。
上記課題を解決するために、本発明における造水方法は、以下の構成のいずれかからなる。
(1) 被処理水を半透膜によって処理し、透過水と濃縮水に分離する造水方法において、前記半透膜の洗浄、および/または、前記被処理水への薬剤注入を行うに際し、固形物を捕捉可能なフィルターで前記濃縮水を定期的にろ過し、ろ過した際の、フィルターの性能指標、フィルター上の付着物量およびフィルターの色からなる群から選ばれる少なくとも1つの指標から導かれる運転基準指標が予め設定した所定の基準値に達した際、前記半透膜の洗浄を実施する、または前記半透膜の洗浄条件および/または薬剤注入条件を強化することを特徴とする造水方法。
(2) 前記フィルターの性能指標が、一定流量ろ過時の圧力値および一定流量ろ過時のろ過抵抗値からなる群から選ばれる少なくとも1つである(1)に記載の造水方法。
(3) 前記フィルターの性能指標が、一定圧力を加えたときのろ過流量値の逆数値、一定圧力を加えたときの所定時間にろ過された水量値の逆数値、一定圧力を加えたときの所定の水量をろ過するのに要した時間、および一定圧力を加えたときの前記フィルターのろ過抵抗値からなる群から選ばれる少なくとも1つである(1)に記載の造水方法。
(4) 前記フィルターの性能指標が、ASTM D4189−95で規定されるSDI値である(1)に記載の造水方法。
(5) 前記フィルター上の付着物量指標が、微生物量、無機固形物量、有機物量、無機固形物量と有機物量の比率、無機固形物量と微生物量の比率および微生物量と有機物量の比率からなる群から選ばれる少なくとも1つである(1)に記載の造水方法。
(6) 前記微生物量がATP測定法で求められる値である(5)に記載の造水方法。
(7) 前記フィルターの色指標が、ろ過を行う前の前記フィルターと、ろ過を行った後の前記フィルターとのJIS Z 8730:2009で規定される色差、および、ろ過を行った後の前記フィルターのJIS P 8148:2001で規定される白色度の逆数値からなる群から選ばれる少なくとも1つの指標である(1)に記載の造水方法。
(8) さらに、固形物を捕捉可能なフィルターで前記半透膜に供給される半透膜供給水を定期的にろ過し、ろ過した際の、フィルターの性能指標、フィルター上の付着物量およびフィルターの色からなる群から選ばれる少なくとも1つの指標をYとし、前記濃縮水をろ過した際の、フィルターの性能指標、フィルター上の付着物量およびフィルターの色からなる群から選ばれる少なくとも1つの指標をXとしたときに、XとYから計算される値を運転基準指標とし、それが所定の基準値に達した際に、前記半透膜の洗浄を実施する、または前記半透膜の洗浄条件および/または薬剤注入条件を強化する(1)〜(7)のいずれかに記載の造水方法。
(9)前記濃縮水をろ過した際の、フィルターの性能指標、フィルター上の付着物量およびフィルターの色からなる群から選ばれる少なくとも1つの指標の値をX、前記半透膜供給水をろ過した際の、フィルターの性能指標、フィルター上の付着物量およびフィルターの色からなる群から選ばれる少なくとも1つの指標の値をY、前記半透膜による処理の回収率をReとした場合、X−Y/(1−Re)の式から得られる計算値を運転基準指標とし、それが所定の基準値に達した際に、前記半透膜の洗浄を実施する、または前記半透膜の洗浄条件および/または薬剤注入条件を強化する(8)に記載の造水方法。
本発明によれば、バイオファウリング、無機物ファウリングおよび有機物ファウリングといったファウリングの種類に制限されず、膜面におけるファウリングの進行状態を、膜差圧、透過性および分離性といった膜の運転データに現れる前に、把握することが可能となる。また濃縮水をフィルターでろ過する作業が主であるため、操作も簡便である。
本発明の造水方法の一例を示す概略図である。 本発明の造水方法の別の一例を示す概略図である。 実施例で用いたSDI測定装置の概略図である。 比較例1における、半透膜供給水のSDI、濃縮水のSDI、および半透膜の運転差圧の経時変化を示す図である。 実施例1における、濃縮水のSDI、および半透膜の運転差圧の経時変化を示す図である。 実施例2における、濃縮水のSDI、および半透膜の運転差圧の経時変化を示す図である。
以下、図1を用いて本発明について詳しく説明するが、本発明の内容はこの図の態様に限定されるものではない。
本発明の造水方法は、被処理水1を半透膜3によって処理し、透過水4と濃縮水5に分離する造水システムにおいて実施される。
被処理水1の例としては、例えば海水、河川水、湖沼水、地下水、下水、下水二次処理水等が挙げられる。通常は被処理水1には濁質などの固形成分が含まれているため、被処理水1を直接半透膜3でろ過した場合、膜表面に付着する固形成分が多くなり、差圧が急上昇し、運転不可能となる。そのため、あらかじめ被処理水1を前処理することが一般的である。最も良く用いられる前処理方法は、被処理水1に凝集剤を添加し、固形成分をフロック化させ、砂やアンスラサイト等でろ過する凝集砂ろ過法である。ただし、この方法では原水変動の影響を受けやすく処理水質が不安定であるため、前処理として、精密ろ過膜や限外ろ過膜で被処理水1を処理する膜前処理も採用することができる。また、被処理水1が下水等の有機性廃水の場合は、廃水中に含まれる有機物を低減するため、活性汚泥処理を行った後、活性汚泥を分離するために固液分離を行う前処理を実施することもできる。固液分離の方法は、従来から用いられている沈殿池を用いた沈殿分離でも良く、精密ろ過膜や限外ろ過膜などの分離膜を用いて固液分離する方法も採用することができる。
前処理された被処理水は、高圧ポンプ2によって、ろ過に必要な圧力で半透膜3に供給され、透過水4と濃縮水5に分離される。なお、前処理された後、半透膜3に供給される前の被処理水を半透膜供給水と呼ぶこともある。
半透膜3としては、被処理水1を飲料水、工業用水、都市用水などに利用できるように、塩濃度を下げることができるものであれば、いかなる素材のものを用いても良いが、例えば、酢酸セルロース系半透膜や、ポリアミド系半透膜が挙げられる。この中でも、本発明の方法において特に有効であるのは、ポリアミド系半透膜である。ポリアミド系の膜は、バイオフィルムの増殖を防ぐために殺菌剤として最も一般的に用いられる塩素に対する耐性が低く、わずかな濃度の塩素であっても膜劣化が顕著に起こるため、バイオファウリングを防止することが難しい。よって本発明を実施することによる効果が顕著に現れる。
半透膜3におけるファウリングの進行を抑えるために、被処理水1へ薬剤10を注入する場合、図1に示されるように供給配管の途中から薬剤10が添加される。薬剤10を添加する装置は、薬剤の添加条件を制御するために、添加量や添加時間、添加頻度などがコントロールできるバルブやポンプを有する制御機構を備えていることが好ましい。
また、同じく、半透膜3におけるファウリングの進行を抑えるために、半透膜3を薬品洗浄する場合、半透膜3の上流に設けられた管路から、洗浄剤11が導入されることにより、薬品洗浄が実施される。洗浄剤11を導入する地点は、特に限定されるものではないが、洗浄剤11の種類によっては、高圧ポンプ2を腐食させるおそれがあるため、その下流が好ましい。また通常は、洗浄剤11は濃縮水5の配管の途中から導出され、循環される。
膜の洗浄あるいは薬剤添加の条件を決定するためには、膜面におけるファウリングの進行状態を、膜差圧、透過性および分離性といった膜の運転データに現れる前に把握する技術が必要である。膜の運転データにファウリングの影響が現れた時点では、ファウリングが既に過大に進行しており、それから、膜の洗浄あるいは薬剤添加を行っても、ファウリングは完全に除去することはできず、膜の運転圧力が高くなるなど、膜の運転に悪影響を及ぼすこととなる。一方、膜の洗浄あるいは薬剤添加を過大に行った場合、ファウリングの進行を抑えることはできるものの、コストの増大を招くだけでなく、膜を劣化させる。
ファウリングとは、膜面での微生物増殖、膜面への生物膜(バイオフィルム)の付着、膜面への無機スケールの付着、あるいは膜面への有機物の付着である。したがって、ファウリングがある程度進行すると、膜面に付着していたバイオフィルム、無機スケール、あるいは有機物が、膜面上の水の流れにより剥離し、濃縮水中にこれらの固形物が混入するようになる。
そこで、発明者らは、本発明で用いる造水システムにおいて、濃縮水5を定期的に測定することにより、膜の洗浄あるいは薬剤添加の条件を決定する指標として用いることができないか検討した。しかしながら、濃縮水には不純物が含まれており、特に被処理水が海水の場合には濃縮水に塩分が多量に含まれているため、濃縮水を直接測定したのでは、信頼性の高い測定を行うことができなかった。発明者らは、さらに検討を重ねた結果、濃縮水を直接測定するのではなく、いったんフィルターで濃縮水をろ過し、ろ過後のフィルターの特性あるいはフィルター上に回収した物質の特性を測定することにより、濃縮水中の不純物の影響を排除して、ファウリングの進行状況について信頼性の高い指標を測定できることを見出し、本発明に到達した。
本発明で用いる造水システムにおいて、濃縮水5を、固形物を捕捉可能なフィルターを備えたろ過手段6で定期的にろ過する。ろ過した際の、該フィルターの性能指標、該フィルター上の付着物量および該フィルターの色変化値からなる群から選ばれる少なくとも1つの指標から導かれる運転基準指標が予め設定した所定の基準値に達した際、前記半透膜3の洗浄を実施する、または前記半透膜の洗浄条件および/または薬剤10の注入条件を強化する。濃縮水5を、フィルターでろ過することによって、濃縮水に含まれる固形物の存在を検知することにより、ファウリングの進行を把握することが可能となる。
水中の成分はその寸法に応じて懸濁成分、コロイド成分および溶解成分に分けられる。このうち、本発明における固形物とは、懸濁成分およびコロイド成分を表す。よって、ろ過手段6に備えられるフィルターの孔径は、該固形物を捕捉可能なものであれば、特に限定されるものではないが、懸濁成分およびコロイド成分の寸法を考慮し、0.01〜5μmであることが好ましい。孔径の大きいフィルターを使用すれば、ろ過速度が速くなり、作業時間が短縮されるが、捕捉できない固形物が多くなり、ファウリングの検知が遅れる可能性がある。一方、孔径の小さいフィルターを使用すれば、捕捉できない固形物が少なくなり、ファウリングの検知の確実性が増すものの、ろ過速度が遅くなり、作業時間が長くなってしまう。どの孔径を選択するかは、目的と許容できる作業の手間に応じて当業者が適宜決定すれば良い。
また、フィルターの材質も特に限定されるものではないが、例えばフィルター上の付着物量を、無機固形物量あるいは有機物量で評価する場合には、フィルターを約600℃に加熱して有機物を揮発させる場合があり、その際には600℃程度の温度にも耐えられるフィルター、例えばガラス繊維フィルター、が望ましい。
本発明では、かかるフィルターで濃縮水をろ過した際の(a)フィルターの性能指標、(b)フィルター上の付着物量、および(c)フィルターの色から選ばれた指標から導かれる運転基準指標によって、ファウリングの進行状態を把握する。(a)〜(c)の指標について以下、説明する。
まず、(a)フィルターの性能指標は、濃縮水がフィルターを通る際の流量値や圧力値や抵抗値など、フィルターの性能を表す様々な測定値から選ばれた指標を指す。性能指標としては、一定流量ろ過時の圧力値、一定流量ろ過時のろ過抵抗値、一定圧力を加えたときのろ過流量値、一定圧力を加えたときの所定時間にろ過された水量値、一定圧力を加えたときの所定の水量をろ過するのに要した時間、および一定圧力を加えたときのフィルターのろ過抵抗値からなる群から選ばれる指標が好ましいが、これら以外でも、濃縮水がフィルターを通る性能を示すものであれば良い。なお、運転基準指標としては、前記の値を直接的に用いても良いし、前記の値を用いて計算される値(例えば変化速度など)を用いても良い。
フィルターの性能指標は、例えば、以下のように測定される。図1で示されるように、半透膜3によって分離された濃縮水5を、流量調整手段(もしくは圧力調整手段)7で流量もしくは圧力を一定に調整した後、フィルターを備えたろ過手段6に導入する。ろ過手段6でろ過する際の、濃縮水の圧力値もしくは流量値を圧力測定手段8もしくは流量測定手段9で測定する。また、水タンク、ポンプ、バルブ、圧力計およびフィルターの順に配管で接続された測定装置を用意し、濃縮水を水タンクに入れ、ポンプを用いてフィルターに供給し、ポンプとフィルターとの間にある圧力計を用いて、一定圧力または一定流量で濃縮水をろ過できるようにバルブで調整してろ過を行い、濃縮水の圧力値もしくは流量値を測定することもできる。
ろ過抵抗値は、圧力差、粘性係数および流量から次の式で得ることができる。
R=ΔP/(μ×(Q/A))
ここで、
R:ろ過抵抗値[1/m]
ΔP:濃縮水の圧力差[Pa]
μ:濃縮水の粘性係数[Pa・s]
Q:濃縮水の流量[m/s]
A:フィルター面積[m]である。
また、一定圧力を加えたときのろ過流量値の逆数値、一定圧力を加えたときの所定時間にろ過された水量値の逆数値、一定圧力を加えたときの所定の水量をろ過するのに要した時間、および一定圧力を加えたときのフィルターろ過抵抗値なども指標として用いることができる。
(a)フィルターの性能指標として、ASTM D4189−95で規定されるSDI値を用いることが特に好ましい。SDIとはSilt Density Indexの略であり、一定圧力を加えたときの所定の水量をろ過するのに要した時間に基づいて計算される値の一つである。SDIは、半透膜供給水の監視指標としてASTM D4189−95(Standard Test Method for Silt Density Index of Water D4189−95)によって規定されている。
SDIは以下の計算式により算出される。
SDI=(1−T/T15)×100/15
ここで、
:孔径0.45μm、直径47mmのメンブレンフィルターを用いて圧力206kPaで試料をろ過し、初期の試料500mlをろ過するのに要する時間(秒)
15:Tの後、さらにろ過を15分継続し、その時点から試料500mlをろ過するのに要する時間(秒)。
SDIの値は、0〜6.66の値を示し、数値が大きいほど試料の汚染度が大きいことを示す。一般に、海水や下水などの原水を前処理した後、半透膜へ供給される被処理水のSDIは4以下が好ましいとされている。SDIは、半透膜の運転において、一般的に測定されている指標であり、オペレータも習得しやすい作業であるため、SDIを指標として用いると、簡便にファウリングの進行状態を把握することが可能となる。SDI値はそのまま運転基準指標として使うこともできるし、SDIの変化速度を計算して使用することもできる。
次に、(b)フィルター上の付着物量は、濃縮水をろ過した後にフィルター上に付着している物質量である。例えば、濃縮水をろ過した後のフィルターを乾燥し、重量を測定し、ろ過前のフィルターの重量との差から、付着物量を求めることができる。またろ過した後のフィルターを純水などに浸漬させ、浸漬させた液の濁度や透視度、吸光度などを測定する方法を用いることもできる。
付着物量の指標は、微生物量、無機固形物量および有機物量からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。微生物量を測定することによりバイオファウリングを、無機固形物量を測定することにより無機物ファウリングを、有機物量を測定することにより有機物ファウリングを、それぞれ把握することが可能となる。
さらに、無機固形物量と有機物量の比率、無機固形物量と微生物量の比率または微生物量と有機物量の比率を付着物量の指標として使用することもできる。これにより、バイオファウリング、無機物ファウリングおよび有機物ファウリングから選ばれた複数のファウリングが同時に発生した際に、主にどのようなファウリングが発生しているのか判別することが可能となる。
これらの値はそのまま運転基準指標として使うこともでき、変化速度を計算して使用することもできる。
微生物量とは、細菌、その代謝生成物の多糖類やタンパク質など、その死骸、および、その構成成分の核酸などの量を表す。従って、微生物量を測定する方法としては種々考えられ、例えばタンパク質、糖、核酸、細菌の全菌数、生菌数、ATPなどにより定量化することが挙げられる。この中では、ATP測定法が、感度、簡便性および迅速性に優れ、ポータブルなキットや試薬等も市販されているため特に好ましい。
タンパク質、糖および核酸の定量には、吸光光度計や蛍光分析装置などの機器が必要であり、強アルカリ性、強酸性や変異原性の試薬を使用するため、現場で簡便、迅速に実施できる方法とは言い難い。また、フィルター上の付着物を液体中に懸濁し、その懸濁液を用いて、培養可能な微生物をコロニーとして計数する寒天培養法もあるが、培地によって培養可能な微生物のみが培養され計数できるため、全微生物数を評価できないという問題がある。また、本方法で微生物量を評価するには多くの機材や設備が必要である上に、培養に日数がかかり、迅速に評価することができないなどの問題がある。顕微鏡を用いて菌数を直接計数する方法も考えられるが、菌を分散させるのが困難であり、また、計数も非常に骨が折れる作業である。
一方、ATP測定法は、全ての生物がもつ生命活動のエネルギー物質であるATP(アデノシン−5´−三リン酸)を菌体から抽出し、ホタルの発光酵素であるルシフェラーゼを利用して発光させ、発光量(RLU:Relative Light Unit)を測定するものである。発光量はATP量に比例するため、発光量を測定することで微生物量を評価することができる。反応は、基質であるATP、ルシフェリン、酸素、ルシフェラーゼおよび補酵素マグネシウムイオン存在下で進行し、光が生じる。測定時間が数分と短く、測定試薬もキットが市販されている。また、発光光度計装置も、検出感度が高く、1pg/cmの濃度で検出可能でありながら持ち運び可能で機動性に優れたものが市販されている。
フィルター上の付着物からATP量を測定する方法としては、定量的な方法であれば特に限定されるものではないが、例えばフィルター上の付着物を綿棒などで回収し、純水に懸濁させて、市販のATP測定試薬および発光光度計装置を用いて測定する方法などがある。
無機固形物量を測定する方法としては、例えばろ過した後のフィルターを約600℃に加熱して有機物を揮発させた後のフィルターの重量を測定し、ろ過前のフィルターの重量との差から求める方法がある。またフィルターを、塩酸、硝酸などの酸や純水などに浸漬し、浸漬液中の無機物量をICP等で分析することによっても測定できる。ICP等による分析では無機物のうち、どの物質が多くを占めるかといった情報も得ることができるため、各物質に応じた薬剤を選択することも可能である。
有機物量を測定する方法としては、例えばろ過した後のフィルターを乾燥し、重量を測定し、その後、フィルターを約600℃に加熱して有機物を揮発させた後のフィルターの重量を測定し、約600℃に加熱する前のフィルターの重量との差を算出することにより、求める方法がある。またフィルターを次亜塩素酸ナトリウムや水酸化ナトリウムや純水などに浸漬し、浸漬液中の全有機炭素量をTOC計で分析したり、浸漬液中の糖やタンパクの量を分析したりすることによっても測定できる。
次に、(c)フィルターの色の指標としては、濃縮水のろ過前後のフィルターの色差や濃縮水のろ過後のフィルターの白色度などを用いることができる。
色差は、JIS Z 8730:2009で規定されるL表色系やL表色系で定義される色度の差を使用することができる。これらの色差の計算式を下記に示す。
ΔE ab=[(ΔL+(Δa+(Δb1/2
ΔE uv=[(ΔL+(Δu+(Δv1/2
ここで、
ΔE ab:L表色系に基づく色差
ΔL:2つのフィルターのLの差
Δa:2つのフィルターのaの差
Δb:2つのフィルターのbの差
ΔE uv:L表色系に基づく色差
Δu:2つのフィルターのuの差
Δv:2つのフィルターのvの差
である。色差は市販の色差計で測定できる。
白色度は、JIS P 8148:2001で規定される白色度を使用することができる。また、JIS P 8148に相当する国際規格ISO 2470−1:2009、または国際規格ISO 2470−2:2008で規定される白色度を使用することもできる。白色度は、パルプや紙などの表面色の白さの程度を示す指標であり、積分球(直径150mm)を持った拡散反射率計を用いて試験片を拡散照明により照射し、0度の角度で反射光を受光し、得られた反射率(百分率)を数値化して表す。白色度は市販の白色度計で測定できる。この際、ろ過前のフィルターが白色であることが好ましい。これにより、白色度をより有効な指標とすることができる。
これらの値はそのまま運転基準指標として使うこともでき、変化速度を計算して使用することもできる。
本発明では、以上の(a)〜(c)の3つの指標から選ばれた指標から導かれる運転基準指標により、ファウリングの進行状態を把握し、該運転基準指標が予め設定した所定の基準値に達した際に、半透膜の洗浄を実施する、または半透膜の洗浄条件および/または薬剤注入条件を強化する。ここで、運転基準指標は、前記(a)〜(c)から選ばれた指標を直接用いる場合も、前記指標の値から所定の計算式を用いて求められる値を用いる場合も含む。なお、前記指標とファウリングの進行が負の相関を示す場合、前記の測定により得られる値の逆数を運転基準指標として使用すると、運転基準指標とファウリングの進行が正の相関を示すようになるので好ましい。
これにより、ファウリングの影響が膜差圧、透過性および分離性といった膜の運転データに現れる前に、ファウリングの進行を抑える手段を実行できるため、膜差圧、透過性および分離性を適正な状態で維持することが可能となり、結果として、膜を長持ちさせることができる。
半透膜を洗浄する方法としては、例えば、前記のように図1に示す半透膜3の上流に設けられた管路から、洗浄剤11を導入することにより、薬品洗浄を実施する方法などが挙げられる。洗浄剤は、通常、洗浄用タンクなどに入れられ、ポンプで高圧ポンプ2の下流から配管に導入され、濃縮水5の配管の途中から導出され、循環される。洗浄条件としては、ファウリングの程度にもよるが、例えば1時間程度洗浄剤を循環して洗浄した後、循環を止めて、半透膜を洗浄剤に2〜24時間浸漬し、最後にリンスをして洗浄を完了する。場合によっては、この操作を2〜3回繰り返す。
また、半透膜の洗浄条件を強化する手段としては、半透膜の洗浄を定期的に行う場合において、予め設定した定常的な条件よりも、洗浄の頻度を増加する方法や洗浄剤の濃度を増やす方法などが挙げられる。
薬剤を注入する方法としては、例えば、前記のように図1に示す供給配管の途中から薬剤10が添加される。注入方法としては、連続的に添加しても良いし、1日に1回などの頻度で間欠的に添加しても良いが、通常は連続的に添加される。薬剤注入条件を強化する手段としては、予め設定した定常的な条件よりも、薬剤の添加濃度を増やす方法、添加頻度を上げる方法などが挙げられる。
また、濃縮水のみではなく、半透膜供給水に対しても同様の指標を測定し、濃縮水の指標と半透膜供給水の指標の関係を解析することで、ファウリング状況に対するより明確な運転基準指標を提示することができる。例えば、フィルターで濃縮水をろ過した際の(a)フィルターの性能指標、(b)フィルター上の付着物量、および(c)フィルターの色から選ばれた指標の値をX、フィルターで半透膜供給水をろ過した際の(a’)フィルターの性能指標、(b’)フィルター上の付着物量、および(c’)フィルターの色から選ばれた指標の値をYとした場合、XとYから計算される値(例えばX−Yの式から得られる計算値)を運転基準指標とし、それが所定の基準値に達した際に、前記半透膜の洗浄を実施する、または前記半透膜の洗浄条件および/または薬剤注入条件を強化することができる。
また、前記指標と、半透膜による処理の回収率を用いた計算値を運転基準指標として、ファウリングの進行状態を把握することもできる。例えば、フィルターで濃縮水をろ過した際の(a)フィルターの性能指標、(b)フィルター上の付着物量、および(c)フィルターの色から選ばれた指標の値をX、フィルターで半透膜供給水をろ過した際の(a’)フィルターの性能指標、(b’)フィルター上の付着物量、および(c’)フィルターの色から選ばれた指標の値をY、半透膜による処理の回収率をReとした場合、X−Y/(1−Re)の式から得られる計算値を運転基準指標とし、それが所定の基準値に達した際に、前記半透膜の洗浄を実施する、または前記半透膜の洗浄条件および/または薬剤注入条件を強化することができる。これにより、運転基準指標に、半透膜の運転回収率により発生した濃縮率を加味することができ、さらに、濃縮水から得られた指標と半透膜供給水から得られた指標の差を加味することで、より正確なファウリングの運転基準指標を提供することができる。
また、指標として(b)フィルター上の付着物量を用いた場合には、フィルター上の付着物の種類に基づき、適切な薬剤あるいは洗浄剤を選択することも可能である。例えばフィルター上の付着物のうち、微生物量が多く検出された場合には、バイオファウリングが懸念されるため、注入する薬剤として殺菌剤を選択することが好ましい。殺菌剤としては、例えば2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、これらの塩およびこれらの混合物から選ばれた成分を有効成分とする殺菌剤や2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド(DBNPA)、硫酸などが挙げられる。
フィルター上の付着物のうち、無機固形物量が多い場合には、注入する薬剤としてスケール防止剤を選択するか、もしくは、洗浄剤として酸を用いて半透膜の洗浄を行うことにより、無機物の蓄積を防ぐことが可能であるので好ましい。スケール防止剤としては、例えばヘキサメタリン酸ナトリウム(SHMP)などが挙げられる。膜洗浄に用いる酸としては、例えば2%のクエン酸、0.2%の塩酸などが挙げられる。
フィルター上の付着物のうち、有機物量が多い場合には、洗浄剤としてアルカリを用いて半透膜の洗浄を行うことにより、有機物の蓄積を防ぐことが可能である。膜洗浄に用いるアルカリとしては、例えば0.1%の水酸化ナトリウム溶液などが挙げられる。
つまり、本発明では、ファウリング自体の把握だけでなく、ファウリングの種類も検知できるため、各ファウリングの形態に応じた適切な薬剤あるいは洗浄剤を選択することができるものである。
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例の態様のみに限定されるものではない。
(比較例1)
海水12を図2に示すような処理方法で処理を行った。まず海水12を取水し、海水貯槽14に貯めた。取水点においては、取水配管中の微生物繁殖を抑えるため、2日に1回、最大15mg/Lの次亜塩素酸ナトリウム13を30分間添加した。なお、次亜塩素酸ナトリウムの添加濃度は、後述する半透膜供給水貯槽17中の遊離残留塩素濃度が約1mg/L程度となるように調整した。次に海水を、供給ポンプ15により加圧して、海水貯槽14から限外ろ過膜16(ポリフッ化ビニリデン製中空糸限外ろ過膜、東レ製HFU−1010、膜面積:28m)に供給し、ろ過を行うことにより、海水の前処理を行った。ろ過流束は2m/dayで行った。
限外ろ過膜16を用いて前処理された海水は、いったん半透膜供給水貯槽17に貯められた後、送水ポンプ18で高圧ポンプ21に送られ、高圧ポンプ21で加圧された後、半透膜24でろ過され、透過水25と濃縮水26に分離された。送水ポンプ18と高圧ポンプ21の間の被処理水中に遊離残留塩素が含まれていたため、塩素を除去するために重亜硫酸ソーダ(Sodium Bisulfite(SBS))19を約3mg/L添加した。SBSの添加は、被処理水に遊離塩素が残っていることによる半透膜の塩素劣化を防ぐことが目的であり、必要に応じて行う。半透膜は、膜材質がポリアミド、脱塩率が99.75%、膜面積が7.8mのスパイラル型の逆浸透膜(東レ製TM810C)を用い、7本直列で運転を行った。運転は膜ろ過流束14L/m/hr、回収率37%に設定した。ここで、回収率は、透過水25の流量/(透過水25の流量+濃縮水26の流量)で算出される。また、半透膜24の運転に際して、半透膜供給水22と濃縮水26との圧力差(以下、運転差圧)を常時モニタリングし、運転差圧の変化を観察した。また、高圧ポンプ21と半透膜24の間には、後述する洗浄剤23を導入する管路を設け、薬品洗浄が行えるようにした。濃縮水26の配管の途中に洗浄剤23を導出する管路を設け、循環洗浄が行えるようにした。
このような半透膜の運転において、半透膜供給水22のSDIと濃縮水26のSDIを、それぞれ1週間に2回測定し続けた。SDIの測定は、図3のSDI測定装置を用いて行った。SDI測定装置27は、膜分離手段であるフィルターホルダー28、ホルダー元バルブ29、試料タンク30(18L×2個)、加圧手段であるコンプレッサ31、圧力調整弁32、圧力計33、および、ろ液量を測定するメスシリンダー34、流量計35等から構成される。なお、流量計35は、必要に応じて設けても良く、設けなくても良い。フィルターホルダー28には、孔径0.45μm、直径47mmのメンブレンフィルター(ミリポア製MF−ミリポア、HAWP04700F1)を装填した。試料タンク30に試料として、半透膜供給水22または濃縮水26を入れ、コンプレッサ31で加圧し、圧力調整弁32でろ過圧力を206kPaに調整して、ろ過を行い、SDIを測定した。SDIの算出方法は上述の通りである。なお、比較例1では、半透膜の運転差圧が150kPa以上となった時点で半透膜の洗浄を実施することとした。
半透膜供給水22のSDI、濃縮水26のSDI、および半透膜の運転差圧の経時変化を図4に示す。まず半透膜供給水22のSDIは、運転期間中、3〜3.5の間でほとんど変化が見られなかった。次に濃縮水26のSDIは、初期は4前後であったが、徐々に上昇し、運転開始後2ヶ月を過ぎると、SDI測定中、ろ過水がほとんど出なくなり、T15が測定不能となった(即ちSDI=6.66)。一方、半透膜の運転差圧は、初期の2.5ヶ月間はほとんど変化なかったが、2.5ヶ月を過ぎると、運転差圧が急上昇し、その後0.5ヶ月で運転上限差圧(150kPa)に達した。そこで、洗浄剤23(水酸化ナトリウム水溶液、pH=12)を半透膜24に通し、1時間循環洗浄/2時間浸漬/1時間循環洗浄の順で洗浄を行った後、運転を再開したところ、運転差圧は120kPaまでしか回復せず、その後0.5ヶ月で再び運転上限差圧に達した。これにより半透膜の交換を余儀なくされた。
(実施例1)
比較例1の実験を終えて、半透膜の交換を行った後、運転を再開し、比較例1と同じ条件で、実施例1の運転を行った。ただし、実施例1では、膜洗浄を行う時期の判断を、運転差圧ではなく、濃縮水のSDI測定結果を用いて行った。すなわち、運転基準指標を濃縮水のSDIとし、基準値を初期のSDIの150%として運転を行った。比較例1と同様に、濃縮水26のSDIを1週間に2回測定し、濃縮水のSDIが初期のSDIの150%に達した際に半透膜の洗浄を実施した。濃縮水のSDI、および半透膜の運転差圧の経時変化を図5に示す。濃縮水のSDIは初期が3.8だったが、その後、徐々に上昇し、運転開始後1.5ヶ月で3.8の150%、即ち5.7に達したため、比較例1と同様に半透膜の洗浄を実施した。その結果、濃縮水26のSDIはほぼ初期と同じ値(3.9)まで回復した。その後も同様に濃縮水26のSDIが5.7に達した際に洗浄を実施し、運転を約10ヶ月続けた。その間、半透膜の運転差圧はほとんど変化せず、安定的に運転が行えた。
(実施例2)
実施例1の運転を行った後、引き続き、実施例1と同様にして実施例2の運転を行った。ただし、半透膜の洗浄頻度を減らすため、薬剤20の添加を開始した。薬剤20としては、殺菌剤である2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド(以下DBNPA)を使用し、送水ポンプ18と高圧ポンプ21の間に10mg/LのDBNPAを週1〜3回、1時間添加した。そして、実施例2では、実施例1と同様に、濃縮水のSDIが初期のSDIの150%に達した際に、比較例1と同様の半透膜の洗浄を実施した。濃縮水のSDI、および半透膜の運転差圧の経時変化を図6に示す。DBNPAの添加頻度が増えるに従い、濃縮水のSDIの上昇は緩やかになり、バイオファウリングの進行が遅くなっていることが示唆された。またこれにより、半透膜の洗浄頻度も少なくなった。これらの運転結果に基づき、コスト条件等から殺菌剤の添加頻度を決定した。このように濃縮水のSDIをモニタリングすることにより、半透膜の運転差圧上昇のリスクを冒すことなく、殺菌剤の添加条件を最適化することができた。
(実施例3)
実施例2の運転を行った後、再び薬剤20の添加を止め、実施例1と同様にして実施例3の運転を行った。実施例3においては、濃縮水のSDIを測定した際に、SDI測定後のフィルター上のATP量を1週間に2回測定し続けた。
フィルター上のATP量測定は、次の手順で行った。ATP量測定用チューブ(「ルミチューブ(登録商標)」、キッコーマン製、3mL用)に蒸留水(大塚製薬、注射用、20mL/個)を1mLずつ分注したものを3本用意した。フィルター上の付着物を滅菌綿棒1本でふき取り、1本目の前記チューブ中の水に、前記付着物をふき取った綿棒を1〜2分浸漬し、注意深く撹拌して懸濁液を得た。その綿棒を、順次2本目および3本目の前記チューブ中の水に浸漬および撹拌し、3段階の懸濁液を準備した。
調製した各々の懸濁液について、懸濁液を100μlずつ別の新しい測定用の空の「ルミチューブ(登録商標)」に分注し、そこにATP抽出試薬を100μl添加し、20秒後に発光試薬100μlを添加した後、キッコーマン製携帯型ATP分析装置「ルミテスター(登録商標)」で発光量を測定した。なおATP抽出試薬および発光試薬は、キッコーマン製専用試薬キット「ルシフェール(登録商標)250プラス」を使用した。そして、予め、既知ATP濃度の液の評価により求めておいた、ATP量と発光量の相関式から、ATP量を算出した。
また、前記測定において、フィルターでろ過された濃縮水の量を、SDI測定で使用した試料タンク30のろ過前の重量とろ過後の重量の差から計算した。そしてATP量をろ過した濃縮水の量で割ることにより、濃縮水中のATP濃度を求めた。
そして、実施例3では、フィルター上のATP量から算出される濃縮水中のATP濃度を運転基準指標とし、基準値を初期のATP濃度の10倍として運転を行った。濃縮水中のATP濃度が初期のATP濃度の10倍に達した際に、比較例1と同様に半透膜の洗浄を実施し、このような運転を約4ヶ月続けた。その間、半透膜の運転差圧はほとんど変化せず、安定的に運転が行えた。
(実施例4)
比較例1と同様にして、海水12から透過水25および濃縮水26を得た。運転中、1週間に2回、濃縮水のSDIおよびSDIを測定後のフィルター上の付着物量を測定した。フィルター上の付着物量としては、ATP量、無機固形物量および有機物量を測定した。濃縮水のSDIおよびフィルター上のATP量は、上述した方法で測定した。フィルター上の無機固形物量および有機物量は次の手順で測定した。まず、ろ過前のフィルターの重量(M)を測定しておき、ろ過した後のフィルターを乾燥し、重量(M)を測定した。その後、フィルターを約600℃に加熱して有機物を揮発させた後のフィルターの重量(M)を測定した。無機固形物量はMからMを差し引くことにより求めた。有機物量はMからMを差し引くことにより求めた。また、実施例3と同様にして、SDI測定において、フィルターでろ過された濃縮水の量を求め、無機固形物量および有機物量を、それぞれろ過した濃縮水の量で割ることにより、濃縮水中の無機固形物濃度および有機物濃度を算出した。
その結果、運転開始後、約1ヶ月で濃縮水のSDIが初期の150%に達した。その際、フィルター上の付着物量については、ATP量および有機物量は初期とほとんど変わらない値であったが、無機固形物量は初期の10倍を超える値まで増えていた。フィルター上の無機固形物の成分を分析するため、別途、濃縮水をフィルターでろ過し、そのフィルターを2.0%クエン酸に1晩浸漬させ、浸漬させた液の成分をICP発光分析で測定した結果、鉄が大部分を占めることがわかった。以上の知見から、鉄を主とした無機物ファウリングが起こっていると判断し、洗浄剤として2.0%クエン酸水溶液を半透膜24に通し、1時間循環洗浄/2時間浸漬/1時間循環洗浄の順で洗浄を行った。運転を再開し、再び濃縮水のSDIおよびフィルター上の無機固形物量を測定したところ、どちらもほぼ初期の値に戻っていた。得られた結果に基づき、その後、薬剤20として、スケール防止剤であるヘキサメタリン酸ナトリウム(SHMP)の添加を開始した。ヘキサメタリン酸ナトリウムは、濃縮水に2mg/Lになるように、連続的に添加して運転を行った。
さらに運転を継続し、約3ヶ月後、今度はフィルター上のATP量が初期の10倍に達するまで増加した。また濃縮水のSDIも初期の150%に達するまで上昇していた。一方、フィルター上の無機固形物量は初期とほとんど変わらない値であった。上の知見から、今度はバイオファウリングが起こっていると判断し、洗浄剤として水酸化ナトリウム水溶液(pH=12)を用いて、比較例1と同様に膜洗浄を行い、運転を再開したところ、濃縮水のSDIおよびフィルター上のATP量は、ほぼ初期の値に戻った。
その後も約3ヶ月ごとにフィルター上のATP量が初期の10倍、濃縮水のSDIが初期の150%まで上昇した。その都度、洗浄剤として水酸化ナトリウム水溶液(pH=12)を用いて、前記と同様に膜洗浄を行いながら運転を継続した。約1年半の運転で半透膜の運転差圧はほとんど変化せず、安定的に運転が行えた。すなわち、実施例4においては、SDIを第1の運転基準指標とし、基準値を初期のSDIの150%として、濃縮水をろ過したフィルター上のATP量を第2の運転基準指標とし、基準値を初期の10倍として運転を行った。また、濃縮水をろ過したフィルター上の微生物量、無機固形物量および有機物量を分析することによって、薬剤の添加条件や膜洗浄の条件を決定することができた。
(実施例5)
比較例1と同様にして、海水12から透過水25および濃縮水26を得た。1週間に2回、濃縮水を20L、メンブレンフィルター(ミリポア製MF−ミリポア、HAWP04700F1)でろ過し、ろ過を行う前のフィルターとろ過を行った後のフィルターの色差(ΔE ab)を色差計(日本電色工業、分光色差計SE 6000)で測定した。
実施例5では、ろ過を行う前のフィルターと、ろ過を行った後のフィルターの色差(ΔE ab)を運転基準指標とし、基準値を3.0として運転を行った。ΔE abが3.0に達した際に、比較例1と同様に半透膜の洗浄を実施し、このような運転を約6ヶ月続けた。その間、半透膜の運転差圧はほとんど変化せず、安定的に運転が行えた。
(実施例6)
比較例1と同様にして、海水12から透過水25および濃縮水26を得た。1週間に2回、濃縮水を20L、メンブレンフィルター(ミリポア製MF−ミリポア、HAWP04700F1)でろ過し、ろ過を行った後のフィルターの白色度を白色度計(日本電色工業、分光白色度計PF−10R)で測定した。ろ過を行う前のフィルターの白色度は90%、運転開始直後の濃縮水をろ過したフィルターの白色度は85%であり、その逆数はそれぞれ1÷0.9=1.11および1÷0.85=1.18であった。
実施例6では、フィルターの白色度の逆数を運転基準指標とし、それが初期値の1.3倍となるとき、すなわち1.33を基準値として設定し、運転を行った。濃縮水をろ過したフィルターの白色度が75%に達した時に、その逆数は1÷0.75=1.33となり、フィルターの白色度の逆数の初期値の1.3倍に達したため、比較例1と同様に半透膜の洗浄を実施した。このような運転を約4ヶ月続けた。その間、半透膜の運転差圧はほとんど変化せず、安定的に運転が行えた。
(実施例7)
比較例1と同様にして、海水12から透過水25および濃縮水26を得た。実施例3と同様に、1週間に2回、半透膜供給水および濃縮水それぞれについて、SDIを測定したフィルター上のATP量を測定した。また、濃縮水のSDIを測定したフィルター上のATP量をX、半透膜供給水のSDIを測定したフィルター上のATP量をY、半透膜の回収率をReとし、X−Y/(1−Re)の式から得られる値を運転基準指標とした。
その結果、運転開始後約3ヶ月で上記式で算出した運転基準指標が運転初期と比べて10倍まで増加した。これで、ファウリングが起こっていると判断し、薬剤20の添加を開始した。薬剤20としては、殺菌剤であるDBNPAを使用し、送水ポンプ18と高圧ポンプ21の間に10mg/LのDBNPAを週1〜3回、1時間添加した。さらに運転を継続し、約1ヶ月後、前記運転基準指標が運転初期と同じ程度まで低下したため、殺菌剤であるDBNPAの添加を中止した。
さらに運転を継続し、約3ヶ月後、前記運転基準指標が急激に上昇し、運転初期の20倍まで増加した。これで、ファウリングが起こっていると判断し、比較例1と同様に水酸化ナトリウム水溶液(pH=12)で膜洗浄を行い、運転を再開したところ、前記運転基準指標がほぼ運転開始時の値に戻った。
その後、前記運転基準指標の初期値の10倍を第1の基準値、初期値の20倍を第2の基準値として運転を行った。前記運転基準指標が運転初期と比べて10倍までに増加すると、DBNPAを週1〜3回、1時間添加し、20倍以上までに増加すると水酸化ナトリウム水溶液(pH=12)で膜洗浄を行った。この方法で、約1年半の運転で半透膜の運転差圧はほとんど変化せず、安定的に運転が行えた。
(実施例8)
比較例1と同様にして、海水12から透過水25および濃縮水26を得た。半透膜の運転において、半透膜供給水22と濃縮水26に対して、SDIの測定の代わりに、一定流量ろ過時の圧力を1週間に2回測定し続けた。一定流量ろ過時の圧力は、測定装置として比較例1と同じ図3の装置を用い、流量計35を設けて行った。フィルターホルダー28には孔径0.45μm、直径47mmのメンブレンフィルター(ミリポア製MF−ミリポア、HAWP04700F1)を装填した。試料タンク30に、試料として半透膜供給水22または濃縮水26を入れ、コンプレッサ31で加圧し、流量計35を見ながらホルダー元バルブ29を調整し、ろ過流量を300mL /minに調整して、15分間ろ過を行った。圧力計33を用いてろ過開始時の圧力と、ろ過開始から15分後の圧力を測定した。ろ過開始から15分後の圧力値からろ過開始の圧力値を引いた値を算出した。濃縮水をろ過した際の、ろ過開始から15分後の圧力値からろ過開始時の圧力値を引いた値をX、半透膜供給水をろ過した際の、ろ過開始から15分後の圧力値からろ過開始時の圧力値を引いた値をY、半透膜の回収率をReとし、X−Y/(1−Re)の式から得られる値を運転基準指標とした。また、濃縮水の一定流量ろ過時の圧力を測定した後のフィルター上のATP量を、実施例3と同じ方法で測定した。
その結果、運転開始後約2ヶ月で、上記式にて算出した運転基準指標値が、運転初期と比べて10倍までに増加した。この際、フィルター上のATP量も初期と比べて10倍まで増加した。これで、ファウリングが起こっていると判断し、薬剤20として殺菌剤DBNPAを、送水ポンプ18と高圧ポンプ21の間に10mg/Lの濃度になるように週1〜3回、1時間添加した。さらに運転を継続し、約1ヶ月後、前記運転基準指標が運転初期比べて同じ程度まで低下したため、殺菌剤であるDBNPAの添加を中止した。
その後も前記運転基準指標が運転初期と比べて10倍までに増加すると、DBNPAを週1〜3回、1時間添加した。この方法で、約2年半の運転で半透膜の運転差圧はほとんど変化せず安定的に運転が行えた。
本発明は、膜面におけるファウリングの進行状態を、膜差圧、透過性および分離性といった膜の運転データに現れる前に、簡便に把握することが可能な手段を提供する。そのため、本発明は、膜を用いて海水やかん水などの脱塩を行うことにより淡水を得たり、下廃水処理水や工業排水等を浄化して再利用水を得たりする際に、好適に用いることができる。
1 被処理水
2 高圧ポンプ
3 半透膜
4 透過水
5 濃縮水
6 ろ過手段
7 流量調整手段(もしくは圧力調整手段)
8 圧力測定手段
9 流量測定手段
10 薬剤
11 洗浄剤
12 海水
13 次亜塩素酸ナトリウム
14 海水貯槽
15 供給ポンプ
16 限外ろ過膜
17 半透膜供給水貯槽
18 送水ポンプ
19 重亜硫酸ソーダ
20 薬剤
21 高圧ポンプ
22 半透膜供給水
23 洗浄剤
24 半透膜
25 透過水
26 濃縮水
27 SDI測定装置
28 フィルターホルダー
29 ホルダー元バルブ
30 試料タンク
31 コンプレッサ
32 圧力調整弁
33 圧力計
34 メスシリンダー
35 流量計
A 膜洗浄実施
B0 DBNPA添加無し
B1 DBNPA週1回添加
B2 DBNPA週2回添加
B3 DBNPA週3回添加

Claims (9)

  1. 被処理水を半透膜によって処理し、透過水と濃縮水に分離する造水方法において、前記半透膜の洗浄、および/または、前記被処理水への薬剤注入を行うに際し、固形物を捕捉可能なフィルターで前記濃縮水を定期的にろ過し、ろ過した際の、フィルターの性能指標、フィルター上の付着物量およびフィルターの色からなる群から選ばれる少なくとも1つの指標から導かれる運転基準指標が予め設定した所定の基準値に達した際、前記半透膜の洗浄を実施する、または前記半透膜の洗浄条件および/または薬剤注入条件を強化することを特徴とする造水方法。
  2. 前記フィルターの性能指標が、一定流量ろ過時の圧力値および一定流量ろ過時のろ過抵抗値からなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項1に記載の造水方法。
  3. 前記フィルターの性能指標が、一定圧力を加えたときのろ過流量値の逆数値、一定圧力を加えたときの所定時間にろ過された水量値の逆数値、一定圧力を加えたときの所定の水量をろ過するのに要した時間、および一定圧力を加えたときの前記フィルターのろ過抵抗値からなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項1に記載の造水方法。
  4. 前記フィルターの性能指標が、ASTM D4189−95で規定されるSDI値である請求項1に記載の造水方法。
  5. 前記フィルター上の付着物量指標が、微生物量、無機固形物量、有機物量、無機固形物量と有機物量の比率、無機固形物量と微生物量の比率および微生物量と有機物量の比率からなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項1に記載の造水方法。
  6. 前記微生物量がATP測定法で求められる値である請求項5に記載の造水方法。
  7. 前記フィルターの色指標が、ろ過を行う前の前記フィルターと、ろ過を行った後の前記フィルターとのJIS Z 8730:2009で規定される色差、および、ろ過を行った後の前記フィルターのJIS P 8148:2001で規定される白色度の逆数値からなる群から選ばれる少なくとも1つの指標である請求項1に記載の造水方法。
  8. さらに、固形物を捕捉可能なフィルターで前記半透膜に供給される半透膜供給水を定期的にろ過し、ろ過した際の、フィルターの性能指標、フィルター上の付着物量およびフィルターの色からなる群から選ばれる少なくとも1つの指標をYとし、前記濃縮水をろ過した際の、フィルターの性能指標、フィルター上の付着物量およびフィルターの色からなる群から選ばれる少なくとも1つの指標をXとしたときに、XとYから計算される値を運転基準指標とし、それが所定の基準値に達した際に、前記半透膜の洗浄を実施する、または前記半透膜の洗浄条件および/または薬剤注入条件を強化する請求項1〜7のいずれかに記載の造水方法。
  9. 前記濃縮水をろ過した際の、フィルターの性能指標、フィルター上の付着物量およびフィルターの色からなる群から選ばれる少なくとも1つの指標の値をX、前記半透膜供給水をろ過した際の、フィルターの性能指標、フィルター上の付着物量およびフィルターの色からなる群から選ばれる少なくとも1つの指標の値をY、前記半透膜による処理の回収率をReとした場合、X−Y/(1−Re)の式から得られる計算値を運転基準指標とし、それが所定の基準値に達した際に、前記半透膜の洗浄を実施する、または前記半透膜の洗浄条件および/または薬剤注入条件を強化する請求項8に記載の造水方法。
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