JP2014171987A - 造水方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】膜を用いて海水やかん水などの脱塩を行うことにより淡水を得る場合、下廃水処理水や工業排水等を浄化して再利用水を得る場合などにおいて、被処理水の持つバイオファウリングポテンシャルを適正に評価し、薬品洗浄や殺菌剤添加の適正条件を決定する手段を提供する。
【解決手段】被処理水中の生菌数の全菌数に対する割合、被処理水中のCFU(コロニーフォーミングユニット)の全菌数に対する割合、被処理水中の細胞内ATP(アデノシン−5´−三リン酸)量の全菌数に対する割合、被処理水中の生菌数の全ATP量に対する割合、被処理水中のCFUの全ATP量に対する割合、および、被処理水中の細胞内ATP量の全ATP量に対する割合、からなる群から選ばれる少なくとも1つの値に基づいて、前記半透膜の洗浄条件および/または殺菌剤注入条件を調整する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、膜を用いて海水やかん水などの脱塩を行うことにより淡水を得たり、下廃水処理水や工業排水等を浄化して再利用水を得たりする造水方法に関するものである。
半透膜を用いた造水システムは、海水の淡水化を始め、多くの産業や水処理分野で応用され、他の分離方法と比較し、分離性能やエネルギー効率等の点で優位性が実証されてきている。一方、該造水システムでは、膜面での微生物増殖、あるいは膜面への生物膜(バイオフィルム)の付着すなわちバイオファウリングにより、膜差圧が急上昇し、膜の透過性、分離性が低下するという問題がある。
バイオファウリングにより、膜差圧が上昇したり、膜の透過性、分離性が低下したりした場合は、膜を、洗浄剤を用いて洗浄する(薬品洗浄)ことが一般的である。洗浄剤としては、水酸化ナトリウムなどのアルカリ、エチレンジアミン−4−酢酸(EDTA)などのキレート剤、界面活性剤などがあり、これらは単独あるいは組み合わせて使用される。
しかし、ファウリングがいったん進行すると、たとえ薬品洗浄を行ったとしても膜差圧、透過性、分離性が完全に回復せず、次第に薬品洗浄の頻度が多くなり、ついには運転不可能となり、膜の交換が必要となる。よって、ファウリングが進行する前の適切な段階で膜を洗浄し、ファウリングの進行を抑えることが重要である。
また、ファウリングの進行を抑える手段として、被処理水にバイオフィルムの増殖を抑制する薬剤(以下、「殺菌剤」という)を添加する技術も有効な手法として数多く提案されている。例えば、被処理水に2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンまたは5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンまたはこれらの塩およびこれらの混合物を有効成分とする殺菌剤を添加してバイオフィルムの増殖を抑制する方法(特許文献1)や、被処理水に殺菌剤として、酸や銀イオンを添加する方法などが開示されている(特許文献2、3)。これら殺菌剤の添加濃度、頻度、時間等は少なすぎればファウリングの進行を抑えることができない。一方、多すぎればファウリングの進行を抑えることはできるものの、薬品コストの増大を招く。よって、ファウリングの進行を抑えるための殺菌剤添加の適正な濃度、頻度、時間等の条件を把握することが重要である。
薬品洗浄や殺菌剤添加の適正条件を決定するには、被処理水の持つバイオファウリングポテンシャルを適正に評価する必要がある。被処理水のバイオファウリングポテンシャルを決定づける因子としては、被処理水に含まれる微生物量もあるが、特に重要な因子は被処理水中の栄養源量である。その理由は、たとえ被処理水に含まれる微生物量を可能な限り少なく抑えたとしても相当量の栄養源が存在する限り、微生物の増殖を抑えることはできないからである。
特許文献4では、海水やかん水などを原水として、殺菌剤を添加して半透膜に供給する際に、取水された原水に含まれる生菌数や菌体量および原水の同化可能有機炭素(以下、AOC(Assimilable Organic Carbon)という)の濃度を評価し、これらの評価結果に応じて、殺菌剤の添加条件を決定する方法が提案されている。AOCは微生物にとっての栄養源量の指標として、浄水処理の分野でその測定手法が開発されたもので、特許文献4では、これを海水やかん水に適用している。
また特許文献5では、半透膜供給水及び/又は半透膜非透過水を半透膜ろ過部の半透膜モジュール内の非透過水線速度と同等の線速度で流水させた条件下に、バイオフィルム形成基材を配しておき、バイオフィルム形成基材上のバイオフィルム量を1日〜6ヶ月に1回の頻度でATP(アデノシン−5´−三リン酸)測定法により測定し、バイオフィルム形成基材の単位面上あたりのATP量が200pg/cm以下となるように膜の洗浄や殺菌剤添加条件を決定する技術が開示されている。これはバイオフィルム形成基材上のバイオフィルム量を測定することにより、被処理水のバイオファウリングポテンシャルを直接評価しようというものである。
特開平8−229363号公報 特開平12−354744号公報 特開平10−463号公報 特開2002−143849号公報 国際公開WO2008/038575号
しかしながら、特許文献4の技術では取水された海水やかん水に含まれる生菌数や菌体量およびAOCをもとに殺菌剤の添加条件を決定することになっているが、通常、海水やかん水は、塩素などの酸化剤添加や、前処理(砂ろ過や膜ろ過)を行ってから半透膜に供給されるのが一般的である。よって、酸化剤の添加条件や前処理の性能によって半透膜に供給される被処理水のバイオファウリングポテンシャルは変わることが予想されるため、バイオファウリングポテンシャルを精度良く予想することが困難である。またAOCの正確な測定は難しく、実際には適用が困難な場合が多い。具体的には、容器の準備、サンプルの前処理が煩雑であり、また、サンプルの保存が極めて困難であるため、事実上、半透膜プラントの近くに実験室がない限り実施が困難であった。また、コンタミネーションの発生を原理的に100%防止できる手法ではない。
また特許文献5の技術では、半透膜供給水及び/又は半透膜非透過水を一定の流量で常にバイオフィルム形成基材に流すために、配管の分岐が必要である。また水を基材に流した後の排水のための配管も設ける必要があり、プラントによっては適用が難しいケースもある。また常に逆浸透膜モジュール内の非透過水線速度と同等の線速度で流水させる必要があるため、何かのトラブルで流水が止まったり、線速度が大きくずれたりした場合、正当な評価ができなくなる恐れがある。
そこで、本発明は、膜を用いて海水やかん水などの脱塩を行うことにより淡水を得る場合、下廃水処理水や工業排水等を浄化して再利用水を得る場合などにおいて、被処理水の持つバイオファウリングポテンシャルを適正に評価し、薬品洗浄や殺菌剤添加の適正条件を決定する手段を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明における造水方法は、以下の構成のいずれかからなる。
(1) 被処理水を半透膜によって処理し、透過水と濃縮水に分離する工程と前記半透膜の洗浄工程を有する造水方法であって、前記半透膜の洗浄条件および/または殺菌剤注入条件を調整するに際し、
被処理水中の生菌数の全菌数に対する割合、
被処理水中のCFU(コロニーフォーミングユニット)の全菌数に対する割合、
被処理水中の細胞内ATP量の全菌数に対する割合、
被処理水中の生菌数の全ATP量に対する割合、
被処理水中のCFUの全ATP量に対する割合、および、
被処理水中の細胞内ATP量の全ATP量に対する割合、
からなる群から選ばれる少なくとも1つの値に基づいて、前記半透膜の洗浄条件および/または殺菌剤注入条件を調整することを特徴とする造水方法。
(2) 被処理水中のCFUの全ATP量に対する割合、および/または、被処理水中の細胞内ATP量の全ATP量に対する割合に基づいて、前記半透膜の洗浄条件および/または殺菌剤注入条件を調整することを特徴とする(1)に記載の造水方法。
本発明によれば、バイオファウリング防止を目的とした薬品洗浄、殺菌剤添加などの適正条件を信頼性高く、かつ簡便に決定することができる。
本発明の造水方法の一例を示す概略図である。 海水淡水化プラントAの処理方法を示す概略図である。 海水淡水化プラントBの処理方法を示す概略図である。
以下、図1を用いて本発明について詳しく説明するが、本発明の内容はこの図の態様に限定されるものではない。
本発明の造水方法は、被処理水1を半透膜3によって処理し、透過水4と濃縮水5に分離する造水システムにおいて実施される。
被処理水1の原水としては、例えば海水、かん水、河川水、湖沼水、地下水、下水、下水二次処理水等が挙げられる。原水に濁質などの固形成分が含まれている場合は、直接半透膜3でろ過すると、膜表面に付着する固形成分が多くなり、差圧が急上昇し、運転不可能となるため、その場合は、あらかじめ原水を前処理する。最も良く用いられる前処理方法は原水に凝集剤を添加し、固形成分をフロック化させ、砂やアンスラサイト等でろ過する凝集砂ろ過法である。但し、この方法では原水変動の影響を受けやすく処理水質が不安定であるため、精密ろ過膜や限外ろ過膜で処理する膜前処理も採用することができる。また、原水が下水等の有機性廃水の場合は、廃水中に含まれる有機物を低減するため、活性汚泥処理を行った後、活性汚泥を分離するために固液分離を行う前処理を実施することもできる。固液分離の方法は、従来から用いられている沈殿池を用いた沈殿分離でも良く、処理水質の向上などを目的として、精密ろ過膜や限外ろ過膜などの分離膜を用いて固液分離する方法も採用することができる。
被処理水1は、高圧ポンプ2によって、ろ過に必要な圧力で半透膜3に供給され、透過水4と濃縮水5に分離される。供給配管の途中では、半透膜3におけるバイオファウリングの進行を抑えるための殺菌剤6が添加される。殺菌剤6を添加する装置については、殺菌剤の添加条件を制御するために、添加量や添加時間、添加頻度などがコントロールできるバルブやポンプを有する制御機構を備えていることが好ましい。
また半透膜3の上流には、薬品洗浄のために、洗浄剤7を導入する管路が設けられる。洗浄剤7を導入する地点は特に限定されるものではないが、洗浄剤7の種類によっては、高圧ポンプ2を腐食させるおそれがあるため、その下流が好ましい。また通常は洗浄剤7は濃縮水5の配管の途中から導出され、循環される。
半透膜3は、被処理水1を飲料水、工業用水、都市用水などに利用できるように、塩濃度を下げることができるものであれば、いかなる素材のものを用いても良いが、例えば、酢酸セルロース系、ポリアミド系の素材により構成されるものが挙げられる。この中でも、本発明の方法において特に有効であるのは、ポリアミド系の素材により構成されるものである。ポリアミド系の膜は、バイオフィルムの増殖を防ぐために殺菌剤として最も一般的に用いられる塩素に対する耐性が低く、わずかな濃度の塩素であっても膜劣化が顕著に起こるため、バイオファウリングを防止することが難しい。よって本発明を実施することによる効果が顕著に現れる。
本発明ではかかる造水システムにおいて、被処理水1中の
生菌数の全菌数に対する割合、
CFUの全菌数に対する割合、
細胞内ATP量の全菌数に対する割合、
生菌数の全ATP量に対する割合、
CFUの全ATP量に対する割合、および、
細胞内ATP量の全ATP量に対する割合、
からなる群から選ばれる少なくとも1つの値に基づいて、半透膜3の洗浄条件および/または殺菌剤注入条件を調整することを特徴とする。各項目の測定方法としては、例えば以下のような方法が挙げられる。
[全菌数]蛍光色素で微生物の核酸を特異的に染色し、蛍光顕微鏡にて直接微生物を観察・計測する。例えば微生物をホルマリン溶液で固定し、これを孔径0.2μmのメンブレンフィルターでろ過して微生物をフィルター上に捕集、アクリジンオレンジ、4’,6−diamidino−2−Phenylindol(DAPI)などの蛍光染色剤で微生物を染色し蛍光顕微鏡で観察・カウントして求める。
[全ATP量]全ての生物がもつ生命活動のエネルギー物質であるATP(アデノシン−5´−三リン酸)を界面活性剤などの抽出試薬を用いて、菌体細胞から抽出し、ホタルの発光酵素ルシフェラーゼを利用して発光させ、発光量(RLU:Relative Light Unit)を測定する。発光量はATP量に比例するため、発光量を測定することで全ATP量が評価することができる。
[生菌数]蛍光染色剤には、核酸と特異的に反応する染色試薬の中で、細胞膜を透過する特性を有するため、生死菌(生菌および死菌)を染色する上記アクリジンオレンジやDAPIなどの他に、生細胞の細胞膜を透過できず、死細胞のみ浸透して染色するpropidium iodide(PI)やethydium bromide(EB)などがある。生死菌と死菌を染色する試薬で細菌をニ重染色し、生菌と死菌を区別することにより、生菌数を測定することが可能である。また、生菌だけが有しているエステラーゼと反応する6−carboxylfluorescein diacetate(6CFDA)を用いて生菌数を測定する方法や、蛍光グルコースを用いて蛍光基質を取り込ませることで、生菌を蛍光染色する方法もある。その他細菌の呼吸活性に伴う電子伝達系の作用を利用して、5−cyano−2,3−ditolyl tetrazolium chloride(CTC)を用いて、呼吸活性を有する細菌のみを測定する方法もある。
[細胞内ATP量]初めにATP消去試薬を用いて、菌体細胞外のATPを消去した後、抽出試薬で菌体細胞内のATPを抽出し、ATP量を測定する。これにより、菌体細胞内に存在するATP量を測定することが可能となる。
[CFU]一般細菌用寒天培地に被処理水1を100μL塗沫し、約5日間培養した後、培地に形成されたコロニー数を計数し、その数を10倍した値をCFU(単位:個/mL)とする。
これらの測定方法に鑑みると、全菌数、全ATP量は細胞膜を保持している生菌と細胞膜を保持していない死菌を含んだ全細菌の濃度を表す指標であるのに対し、生菌数、細胞内ATP量は生菌のみの濃度を表す指標である。被処理水1中の栄養状態が良ければ(栄養源量が多ければ)生菌の全菌に対する割合が高くなり、逆に栄養状態が悪ければ(栄養源量が少なければ)生菌の割合が低くなる。よって逆に言えば、生菌の割合を測定することにより、被処理水1中の栄養状態が推定可能なため、被処理水1のバイオファウリングポテンシャルを精度良く予測することが可能となる。またCFUは寒天培地でのコロニー形成能力をもつ菌の数を表す。寒天培地中の栄養源濃度は一般的に被処理水1中の栄養源濃度よりも大幅に高いため、CFUは高栄養源濃度で増殖しやすい菌の数ということができる。よってCFUの全菌数もしくは全ATP量に対する割合を測定することにより、被処理水1中の栄養状態が推定可能なため、被処理水1のバイオファウリングポテンシャルを精度良く予測することが可能となる。
また測定の簡便性という観点から見ると、全細菌の濃度は全ATP量で評価し、生菌の濃度は細胞内ATP量で評価し、その割合をとるのが最も簡便であり、好ましい。ATP量は測定時間が数分と短く、測定試薬もキットが市販されている。また、発光光度計装置も、検出感度が高く、持ち運び可能で機動性に優れたものが市販されている。よって現場で高感度、簡便、迅速に評価可能である。更に1つの装置で全細菌の濃度と生菌の濃度を両方測定できるところも利点として挙げられる。また被処理水1が特に海水である場合にはCFUを測定しても簡便である。海水の場合、CFU測定に用いられる寒天培地は海洋性細菌用寒天培地であり、相当量の塩が含まれているため、空気中の細菌によるコンタミネーションが起こりにくく、実験室がなくても現場で簡便に測定可能なためである。
なお、本発明において、生菌数、細胞内ATP量、CFUそのものではなく、全菌数もしくは全ATP量に対する割合に着目した理由は、被処理水中の生菌数、細胞内ATP量、CFUは元々の原水に含まれる量や前処理の性能によって影響を受けるのに対し、全菌数もしくは全ATP量に対する割合はこれらの因子に影響を受けることなく、ダイレクトに被処理水1中の栄養状態が推定可能という知見に基づくものである。
本発明では上記指標から選ばれる少なくとも1つの値に基づいて、半透膜3の洗浄条件および/または殺菌剤注入条件を調整する。ここで洗浄条件としては、洗浄剤の種類、濃度、注入方法、洗浄時間、洗浄方法などが挙げられる。洗浄剤の種類は特に限定されるものではないが、バイオファウリングの場合はアルカリで洗浄することが一般的であり、洗浄剤として例えば0.1%の水酸化ナトリウム溶液などが挙げられる。洗浄剤は通常、洗浄用タンクなどに入れられ、ポンプで高圧ポンプの下流からRO配管に導入され、濃縮水の配管の途中から導出され、循環される。洗浄方法としては、例えば1時間程度循環洗浄した後(場合によっては2〜3回繰り返し)、ファウリングの程度にもよるが、2−24時間浸漬し、最後にリンスをして洗浄を完了する。
また殺菌剤注入条件としては、殺菌剤の種類、濃度、注入方法・時間などが挙げられる。殺菌剤の種類としては、例えば上記した2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンまたは5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンまたはこれらの塩およびこれらの混合物を有効成分とする殺菌剤や2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド(DBNPA)、硫酸などが挙げられる。濃度としては、例えばDBNPAの場合は半透膜供給水の最終濃度で10ppmになるように注入したり、硫酸の場合は半透膜供給水のpHが3になるように注入したりする。注入方法・時間としては、連続的に添加しても良いし、例えば1日に1回1時間など、間欠的に添加しても良い。
また前記調整方法の具体的な方法としては、例えば海水を原水とし、洗浄剤として0.1%の水酸化ナトリウム溶液を使用し、殺菌剤として硫酸をpH=3となるように注入する場合、表1に示すように調整を行うことができる。但し、調整方法についてはこれに限定されるものではない。
Figure 2014171987
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例の態様のみに限定されるものではない。
(比較例1)
海水淡水化プラントAで、図2に示すような処理方法で海水の処理を行った。まず海水8を取水し、海水貯槽9に貯めた。次に海水8を供給ポンプ10で砂ろ過槽11(ろ過面積:17m、ろ層高さ:1.5m、ろ材:砂(平均孔径0.6mm))に供給し、ろ過を行うことにより、海水8の前処理を行った。ろ過速度は10m/hで、1日に1回、逆圧洗浄と空気洗浄を行った。前処理された海水はいったん半透膜供給水貯槽12に貯めた後、送水ポンプ13で高圧ポンプ14に送り、高圧ポンプ14で加圧することにより半透膜15でろ過し、透過水16と濃縮水17を得た。半透膜15は膜材質がポリアミド、脱塩率が99.75%、膜面積が37.3mのスパイラル型の逆浸透膜(東レ製TM820C−400)であった。運転は膜ろ過流束14L/m/hr、回収率37%であった。なお、この回収率とは、透過水16の流量/(透過水16の流量+濃縮水17の流量)×100で算出される。また、半透膜15の運転では、半透膜供給水18と濃縮水17との圧力差(以下、運転差圧)を常時モニタリングし、運転性能の変化を観察した。また、高圧ポンプ14と半透膜15の間には、洗浄剤19を導入する管路を設け、薬品洗浄が行えるようにした。また洗浄剤19は濃縮水17の配管の途中から導出し、循環洗浄が行えるようにした。プラントAでは、運転開始から1年経過したが、殺菌剤添加や薬品洗浄を行うことなく、運転差圧は安定した。
一方、別の海水淡水化プラントBで、図3に示すような処理方法で海水の処理を行った。まず海水8を取水し、海水貯槽9に貯めた。取水点においては、取水配管中の微生物繁殖を抑えるため、連続で約1mg/Lの次亜塩素酸ナトリウム20を添加した。次に海水8を供給ポンプ10で分離膜21(ポリフッ化ビニリデン製中空糸限外ろ過膜(東レ製HFU−2020)、膜面積:72m)に供給し、ろ過を行うことにより、海水8の前処理を行った。ろ過流束は2m/dで、30分に1回、逆圧洗浄と空気洗浄を行った。前処理された海水はいったん半透膜供給水貯槽12に貯めた後、送水ポンプ13で高圧ポンプ14に送り、高圧ポンプ14で加圧することにより半透膜15でろ過し、透過水16と濃縮水17を得た。半透膜15は膜材質がポリアミド、脱塩率が99.75%、膜面積が37.3mのスパイラル型の逆浸透膜(東レ製TM820C−400)であった。運転は膜ろ過流束14L/m/hr、回収率37%であった。送水ポンプ13と高圧ポンプ14の間では次亜塩素酸ナトリウムを中和するための重亜硫酸ソーダ(SBS)22を約3mg/L添加した。これは次亜塩素酸ナトリウム20が半透膜15に接触すると、半透膜が劣化するためである。また、高圧ポンプ14と半透膜15の間には、洗浄剤19を導入する管路を設け、薬品洗浄が行えるようにした。また洗浄剤19は濃縮水17の配管の途中から導出し、循環洗浄が行えるようにした。なお、プラントBは運転開始したばかりで、殺菌剤添加が必要かどうかを判断する必要があった。
そこで、プラントA、プラントBの半透膜供給水のCFUを測定した。CFUは以下の方法で測定した。まずディフコ(Difco)社製、「マリンアガー2216」55.1gを水1リットルに溶解し、121℃で20分オートクレーブ滅菌したのち、直径9cmのシャーレに15〜20mlを分注し、室温まで放冷することによりあらかじめ固形培地を作製しておいた。次にプラントA、プラントBの半透膜供給水を100μL固形培地に植種し、コンラージ棒で均一に塗り広げ、室温(25℃)で5日間培養し、コロニー数をカウントした。なお、コロニー数が多い場合は必要に応じてサンプルの希釈を行い、植種した。希釈液は4%の塩化ナトリウム水溶液をあらかじめ121℃で20分オートクレーブ滅菌したものを用いた。
その結果、プラントAとプラントBのCFUはそれぞれ4.5×10個/mL、5.0×10個/mLとほぼ同じ値であり、このことからプラントBでも殺菌剤添加は必要ないと判断し、そのまま運転を継続した。しかし3ヵ月後、バイオファウリングによる急激な運転差圧上昇が起こった。膜洗浄を行ったものの、運転差圧は十分に回復せず、その後1ヶ月で再び運転差圧上昇が起き、これにより膜交換を余儀なくされた。
次に、プラントAとプラントBの違いとして、半透膜供給水中の栄養源量に差があるのではないかと推察し、栄養源量としてAOCを測定しようとした。しかし、プラントAやプラントBの近くにAOCを測定可能な実験室はなく、また国内へ輸送するにもサンプルの保存が極めて困難であるため、AOCの測定を断念し、差し当たりプラントBについて殺菌剤23の添加を開始した。殺菌剤としては硫酸を用い、1日に1回、1時間、pH=3となるように添加を行った。この条件で約6ヶ月間運転を行ったところ、運転差圧は上昇することなく、安定的に運転することができた。
(実施例1)
次に、ATP量を測定できる市販のキットを購入し、プラントA、プラントBの半透膜供給水の、CFUの全ATP量に対する割合を測定した。全ATP量の測定は以下の方法で行った。ATP量測定用チューブ(「ルミチューブ(登録商標)」、キッコーマン製、3mL用)に蒸留水(大塚製薬、注射用、20mL/個)を400μLずつ分注する。そこにプラントA、プラントBの半透膜供給水を100μL添加し、撹拌(すなわち5倍希釈)した。希釈した液を100μlずつ別の新しい測定用の空の「ルミチューブ(登録商標)」に分注し、そこにATP抽出試薬を100μl追加添加し、20秒後に発光試薬100μlを添加後、キッコーマン製携帯型ATP分析装置「ルミテスター(登録商標)」で発光量を測定した。なおATP抽出試薬、発光試薬はキッコーマン製専用試薬キット「ルシフェール(登録商標)HSセット」を使用した。そして、予め、既知ATP濃度の液の評価により求めておいたATP量と発光量の相関式から、ATP量を算出した。
その結果、プラントAで2%、プラントBで10%となり、プラントBのCFUの全ATP量に対する割合が大幅に高く、プラントAとプラントBの違いを説明できることがわかった。そこでプラントBについてCFUの全ATP量に対する割合を月1回程度測定し続け、測定結果に応じて表2に示されるように殺菌剤の添加条件を変更させて運転を継続したところ、運転差圧は上昇することなく、約1年間安定的に運転することができた。またその結果、比較例1の時と比べて殺菌剤の添加量を年換算で約58%低減することができた。
Figure 2014171987
(実施例2)
次にプラントBにおいて、CFUの全ATP量に対する割合の代わりに細胞内ATP量の全ATP量に対する割合の測定を開始し、月1回程度測定を続けた。細胞内ATP量の測定は以下の方法で行った。ATP量測定用チューブ(「ルミチューブ(登録商標)」、キッコーマン製、3mL用)に蒸留水(大塚製薬、注射用、20mL/個)を240μLずつ分注する。そこにプラントA、プラントBの半透膜供給水を60μL添加し、撹拌(すなわち5倍希釈)した。希釈した液にATP消去試薬を30μL添加し、約30分間放置した。次にこの液を100μlずつ別の新しい測定用の空の「ルミチューブ(登録商標)」に分注し、そこにATP抽出試薬を100μl追加添加し、20秒後に発光試薬100μlを添加後、キッコーマン製携帯型ATP分析装置「ルミテスター(登録商標)」で発光量を測定した。なおATP抽出試薬、ATP消去試薬、発光試薬はキッコーマン製専用試薬キット「ルシフェール(登録商標)HSセット」を使用した。そして、予め、既知ATP濃度の液の評価により求めておいたATP量と発光量の相関式から、ATP量を算出した。
ある時、プラントBの取水点での次亜塩素酸ナトリウムの添加を止めてみたところ、細胞内ATP量の全ATP量に対する割合が低下し、プラントAの値とほぼ同じになった。この結果に基づき、プラントBについても殺菌剤の添加を止めたところ、運転差圧は上昇することなく、約1年間安定的に運転することができた。なお、この間も細胞内ATP量の全ATP量に対する割合の測定を月1回程度続けたが、終始、その値はプラントAの値と同じような値で推移していた。
(実施例3)
別の海水淡水化プラントCにおいて、処理方法は海水淡水化プラントAと同じ処理方法で海水の処理を行った。ただし、海水は海水淡水化プラントAで処理した海水と異なる海水を処理した。半透膜供給水の細胞内ATP量の全ATP量に対する割合の測定を月1回程度続け、別のプラントで取得していた表1の関係から運転継続可能期間を推定し、その期間が来る前に膜洗浄を行った。洗浄は洗浄剤(水酸化ナトリウム水溶液、pH=12)を半透膜表面に通水し、1時間循環洗浄→2時間浸漬→1時間循環洗浄の順で行った。その結果、運転差圧は上昇することなく、1年間安定的に運転することができた。
本発明は、膜を用いて海水やかん水などの脱塩を行うことにより淡水を得たり、下廃水処理水や工業排水等を浄化して再利用水を得たりする際に、好適に用いることができる。
1 被処理水
2 高圧ポンプ
3 半透膜
4 透過水
5 濃縮水
6 殺菌剤
7 洗浄剤
8 海水
9 海水貯槽
10 供給ポンプ
11 砂ろ過槽
12 半透膜供給水貯槽
13 送水ポンプ
14 高圧ポンプ
15 半透膜
16 透過水
17 濃縮水
18 半透膜供給水
19 洗浄剤
20 次亜塩素酸ナトリウム
21 分離膜
22 重亜硫酸ソーダ(SBS)
23 殺菌剤

Claims (2)

  1. 被処理水を半透膜によって処理し、透過水と濃縮水に分離する工程と前記半透膜の洗浄工程を有する造水方法であって、前記半透膜の洗浄条件および/または殺菌剤注入条件を調整するに際し、
    被処理水中の生菌数の全菌数に対する割合、
    被処理水中のCFU(コロニーフォーミングユニット)の全菌数に対する割合、
    被処理水中の細胞内ATP(アデノシン−5´−三リン酸)量の全菌数に対する割合、
    被処理水中の生菌数の全ATP量に対する割合、
    被処理水中のCFUの全ATP量に対する割合、および、
    被処理水中の細胞内ATP量の全ATP量に対する割合、
    からなる群から選ばれる少なくとも1つの値に基づいて、前記半透膜の洗浄条件および/または殺菌剤注入条件を調整することを特徴とする造水方法。
  2. 被処理水中のCFUの全ATP量に対する割合、および/または、被処理水中の細胞内ATP量の全ATP量に対する割合に基づいて、前記半透膜の洗浄条件および/または殺菌剤注入条件を調整することを特徴とする請求項1に記載の造水方法。
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