本出願では、2012年1月31日に日本国に出願された特許出願番号2012−017576、2012年2月10日に日本国に出願された特許出願番号2012−027160、2012年3月2日に日本国に出願された特許出願番号2012−047166、及び2012年3月29日に日本国に出願された特許出願番号2012−075741の利益を主張し、これらの出願の内容は引用することによりここに組み込まれているものとする。
以下に、本発明の詳細な説明を述べる。以下に説明する実施の形態は本発明の単なる例であり、本発明は様々な態様に変形することができる。従って、以下に開示する特定の構成および機能は、特許請求の範囲を限定するものではない。
本発明の実施の形態の画像処理装置は、有歪み画像に対して設定されたマスク領域を保持するマスク領域保持部と、マスク領域保持部のマスク領域を用いて有歪み画像にマスク処理を行うマスク処理部と、有歪み画像の歪みを補正する補正パラメータを用いて、マスク処理された有歪み画像を補正する歪補正部と、補正後の画像のマスク領域を所定の形状に整形するマスク領域整形部とを備えた構成を有する。
この構成によれば、有歪み画像の歪みが補正された歪補正画像において、マスクされる領域の見栄えがよくなる。
上記の画像処理装置は、歪補正部で補正された画像のマスク領域を検出するマスク領域検出部を備えていてよく、マスク領域整形部はマスク領域検出部で検出されたマスク領域を所定の形状に整形してよい。
この構成によれば、マスク領域検出部にて歪補正画像からマスク領域が検出されるので、この検出されたマスク領域を整形できる。
上記の画像処理装置において、マスク領域整形部は、画像に対して垂直及び平行な線によって囲まれる矩形となるように、マスク領域を整形してよい。
この構成によれば、好適にマスク領域を見栄えのよい形状に整形できる。
上記の画像処理装置において、マスク領域整形部は、歪補正部による歪補正によって曲線となる線が直線になるように、マスク領域を整形してよい。
この構成によれば、マスク領域を自然で見栄えのよい形状に整形できる。
上記の画像処理装置において、有歪み画像は、全周囲画像から切り出した画像であってよく、マスク領域整形部は、有歪み画像の全周囲画像からの切出し方向に応じてマスク領域を整形してよい。
この構成によれば、全周囲画像から切り出した画像において、被写体の正立方向とマスク領域の正立方向がそろうように、マスク領域を整形できる。
上記の画像処理装置において、歪補正部は、複数の画素からなるスクエアごとに変換元の座標を線形補間して対応する座標の画素を埋めることで、補正を行なってよく、マスク領域整形部は、補正が行なわれたマスク領域を含むスクエアを、整形後のマスク領域としてよい。
この構成によれば、マスク領域を斜めの辺や湾曲した辺を含む領域ではなく、スクエアの境界に沿った形状とすることができるので、好適にマスク領域の見栄えをよくすることができる。
上記の画像処理装置において、マスク領域整形部は、補正が行なわれたマスク領域を含むスクエアを含み全体として矩形に構成される複数のスクエアを、整形後のマスク領域としてよい。
この構成によれば、歪補正の際に用いるスクエアを利用してマスク領域を整形できるので、好適にマスク領域の見栄えをよくすることができる。
上記の画像処理装置は、有歪み画像を入力する撮像部を備えていてよい。
この構成によれば、撮影部から入力された有歪み画像について、歪補正画像におけるマスク領域の見栄えがよくなる。
上記の画像処理装置において、撮像部は魚眼レンズを含んでいてよい。
この構成によれば、撮影部にて広角の有歪み画像が得られ、そのような有歪み画像について、歪補正画像におけるマスク領域の見栄えがよくなる。
上記の画像処理装置は、マスク領域保持部にて保持するマスク領域を、有歪み画像上でユーザが指定するための指定部と、指定部より指定されたマスク領域を、補正パラメータにより補正するマスク領域補正部とを備えていてよく、ユーザがマスク領域を指定する際に、補正されたマスク領域を同時に表示してよい。
この構成によれば、マスク領域を指定する際に、指定されたマスク領域が有歪み画像においてどのように適用されるかを確認することができる。
上記の画像処理装置は、マスク領域保持部にて保持するマスク領域を、有歪み画像上でユーザが指定するための指定部と、指定部より指定されたマスク領域を、補正パラメータにより補正するマスク領域補正部とを備えていてよく、ユーザがマスク領域を指定する際に、補正されたマスク領域を有歪み画像上に重畳表示してよい。
この構成によれば、指定されたマスク領域を有歪み画像上で確認できる。
本発明の他の実施の形態の画像処理装置は、有歪み画像に対して設定されたマスク領域を保持するマスク領域保持部と、有歪み画像の歪みを補正する補正パラメータを用いて、マスク領域保持部のマスク領域を補正するマスク領域補正部と、マスク領域補正部で補正されたマスク領域を所定の形状に整形するマスク領域整形部と、マスク領域整形部で整形されたマスク領域に補正パラメータを用いた逆変換を行う逆変換補正部と、逆変換補正部で逆変換されたマスク領域を用いて有歪み画像にマスク処理を行うマスク処理部と、補正パラメータを用いて、マスク処理された有歪み画像を補正する歪補正部とを備えた構成を有している。
この構成によれば、補正が行なわれるマスク領域を、そのマスク領域でのマスク処理が施された有歪み画像に対する歪補正の後に見やすい形状となるように整形できる。
本発明のさらに他の実施の形態の画像処理装置は、有歪み画像に対して設定されたマスク領域を保持するマスク領域保持部と、有歪み画像の歪みを補正する補正パラメータを用いて、有歪み画像を補正する歪補正部と、補正パラメータを用いて、マスク領域保持部のマスク領域を補正するマスク領域補正部と、マスク領域補正部で補正されたマスク領域を所定の形状に整形するマスク領域整形部と、歪補正部で補正された画像に対して、マスク領域整形部で整形されたマスク領域のマスク処理をするマスク処理部とを備えた構成を有している。
この構成によれば、有歪み画像とマスク領域とがそれぞれ補正されて、マスク領域についてはさらに見栄えがよくなるように整形された上で、歪補正画像に適用される。
本発明の実施の形態の画像処理方法は、有歪み画像を取得するステップと、有歪み画像に対して設定されたマスク領域を保持するステップと、マスク領域を用いて有歪み画像にマスク処理を行うステップと、有歪み画像の歪みを補正する補正パラメータを用いて、マスク処理された有歪み画像を補正するステップと、補正後の画像のマスク領域を所定の形状に整形するステップとを有する。
この構成によっても、有歪み画像の歪みが補正された歪補正画像において、マスクされる領域の見栄えがよくなる。
以下、本発明の実施の形態の撮影システムについて、図面を用いて説明する。なお、以下に説明する撮影システムは、撮影された画像を処理するものであり、その全部又は一部の構成を画像処理装置として捉えることができる。
1.第1〜第3の実施の形態
1−1.第1の実施の形態
まず、本実施の形態のカメラの構造について説明する。図1は、本実施の形態におけるカメラの外観図である。図2は、本実施の形態におけるカメラの部切り欠き斜視図である。図1に示すように、カメラ100は、筐体11、ドームカバー12、基台13を備えている。カメラ100は、例えば、施設の監視用途に用いられ、施設の壁や天井に設置される。カメラ100は、合成樹脂等によって円環状に形成された筐体11によって外周を覆われ、中央には透明なプラスチック製のドームカバー12が配置される。基台13の外面側が取り付け金具18等によって壁や天井等に取り付けられる。その場合、ドームカバー12が下向きとなる。
図2に示すように、基台13の光学ユニット14の周囲には部品収容スペースが形成され、画像処理や電源供給のための主基板15が設けられている。主基板15にはCPUや記憶部を備えた制御部(図示せず)が実装されている。光学ユニット14はレンズホルダ19に支持された魚眼レンズ16や開閉カバー17を備える。
図3は、本実施の形態における光学ユニットの分解斜視図である。図3において、レンズホルダ19にはパッキン材20を介して魚眼レンズ16が装着される。主基板15に接続されるセンサ基板21にはMOSホルダ24が固定ネジ23によって固定される。MOSホルダ24が固定されたセンサ基板21はMOSブランケット25と固定ネジ26によりレンズホルダ19の下面側に固定される。
レンズホルダ19の外周には貫通孔22が四箇所設けられている。基台13には四つの嵌合ボス29が設けられており、支持柱28をそれぞれ固定する。それぞれの支持柱28はレンズホルダ19の貫通孔22を貫通し、固定ネジ21で固定される。基台13とレンズホルダ19の貫通孔22との間にはコイルバネ27が外挿され、コイルバネ27はレンズホルダ19を基台13から浮上させる方向に付勢する。
図4は、本実施の形態の撮影システムの構成を示すブロック図である。図4に示すように、第1の実施の形態の撮影システム101は、カメラ110とビューワ210を含んで構成される。カメラ110は、監視対象箇所に設置される監視カメラである。ビューワ210は、カメラ110と有線又は無線で通信可能に接続される。ビューワ210は、例えば監視室に備えられたコンピュータとモニタ、又は監視要員が持ち歩く携帯端末である。
カメラ110は、全周囲撮像部111、マスクデータ保持部112、マスク実行部113、切出しパラメータ設定部114、及び切出し歪補正部115を備えている。全周囲撮像部111は、魚眼レンズ、魚眼レンズを介して入射した被写体(監視対象)からの光が結像される撮像素子、撮像素子にて得られた画像信号に対して処理を行い、画像データを生成する処理部等を含む公知の全周囲カメラである。全周囲撮像部111は、撮影により生成した全周囲画像をマスク実行部113に出力する。
ここで、全周囲画像は、魚眼レンズによって水平画角約360度で撮影された画像であり、円形又はドーナツ形の画像である。この全周囲画像には歪みが生じており、その度合いは、画像中の外周に近いほど大きくなる。このような全周囲画像をそのままビューワ210で表示することも可能であるが、後述するように、ビューワ210では、歪みが除去された画像を表示することも可能である。
マスクデータ保持部112には、全周囲画像上のマスク領域を表すデータ(以下、「マスクデータ」あるいは「マスク領域」ともいう。)が保持されている。即ち、マスクデータ保持部112に保持されるマスクデータは、マスク領域の形状と、その向きと、その全周囲画像上の位置を示すデータである。ユーザは、全周囲画像中の任意の領域をマスク領域として設定できる。即ち、ユーザは、全周囲画像中の任意の位置に、任意の形状(例えば、矩形、楕円、円等)のマスク領域を設定して、マスクデータ保持部12に保存できる。なお、全周囲画像中の複数箇所にマスク領域が設定されてよい。
マスク実行部113は、全周囲撮像部111から取得した全周囲画像のうちの、マスクデータ保持部112に設定されたマスク領域に対してマスク処理を行なう。ここで、マスク処理とは、画像から得られる情報量を減じる処理であって、所定の色で塗り潰す処理のように当該領域の情報量をゼロにする処理のほか、当該領域の解像度が低くなるように変換する処理(モザイク処理)やすりガラス越しに見たような画像に変換する処理等を含むものである。本実施の形態では、一色に塗り潰す処理を採用している。
切出しパラメータ設定部114は、全周囲画像中の切出し範囲を示す切出しパラメータを設定する。切出しパラメータは、例えば切出し範囲の中心座標、ズーム率(全周囲画像上の切出し範囲の大きさ)、切出し方向のパラメータを含む。切出し歪補正部115は、マスク実行部113によってマスク領域にマスク処理が施された全周囲画像から、切出しパラメータ設定部114にて設定された切出しパラメータによって特定される切出し範囲を切り出して、歪みがなくなるように補正して、歪補正画像を生成する。
切出しパラメータ設定部114にて切出し範囲が特定されると、当該切出し範囲について、歪みがなくなるように補正するためのパラメータは一義に求まるため、切出しパラメータ設定部114に設定された切出しパラメータは、即ち切出し歪補正部115の処理で用いられる補正パラメータとなる。切出しパラメータ設定部114に設定される切出しパラメータは、ユーザが指定することで設定されてもよいし、カメラ110自身が全周囲画像に対して画像認識処理を行うことで、所定の被写体が認識された領域を含むように設定されてもよい。
切出し歪補正部115は、マスク処理が施された全周囲画像の切出し範囲を切り出して、歪補正を行なうことで、歪補正画像を生成する。この切出し歪補正部115は、全周囲画像の切出し範囲について歪補正を行なうことで、全周囲画像に適用されたマスク領域を補正するものである。切出し歪補正部115にて歪補正画像が生成されると、当該歪補正画像は、図示しない通信インタフェースを介して、ビューワ210に送信される。ビューワ210では、この歪補正画像を受信する。
ビューワ210は、マスク領域検出部211、マスク領域整形部212、及び出力部213を備えている。マスク領域検出部211は、カメラ110から送信されてきた歪補正画像を取得して、この歪補正画像からマスク領域を検出する。本実施の形態では、マスク領域が一色で塗りつぶされているので、当該色の領域をマスク領域として検出する。検出されたマスク領域は、歪補正画像とともにマスク領域整形部212に出力される。
マスク領域整形部212は、マスク領域検出部211で検出したマスク領域の形状を後述する方法で見やすい形状に整形して、整形後の形状で、歪補正画像に対して再度マスク処理を施す。出力部213は、マスク領域整形部212にて再度のマスク処理が施された歪補正画像を表示する表示装置である。
ここで、マスク領域整形部212におけるマスク領域の整形について説明する。図5は、マスク領域整形部212におけるマスク領域の整形を説明するための図である。図5の例では、元画像である全周囲画像上で、水平及び垂直の辺からなる矩形のマスク領域mo1がマスクデータ保持部112において設定されている。
このマスク領域mo1がマスク実行部113において全周囲画像に適用され、そのような全周囲画像の切出し範囲が切出し歪補正部115にて補正されると、もとのマスク領域mo1は、例えば図5のマスク領域mm1のように補正される。即ち、歪補正前の全周囲画像に適用したマスク領域は水平及び垂直の辺からなる矩形であって、整った形状であったが、切出し歪補正部115による歪補正によって、歪な形状の四角形になってしまっている。なお、この図に示す歪補正後のマスク領域は例であり、実際にはレンズの歪などから決定される歪補正パラメータで決定される形状であり、四角形に限らず曲線を含む形状である場合もある。
マスク領域整形部212は、このような歪な四角形のマスク領域を、そのマスク領域の全て又は一部を含む水平及び垂直の辺からなる矩形に整形する。図5において、整形後のマスク領域ms11は、歪補正によって歪になった四角形を完全に含む、それより大きい水平及び垂直の辺からなる矩形であり、整形後のマスク領域ms12は、歪補正によって歪になった四角形の一部を含む水平及び垂直の辺からなる矩形である。マスク領域整形部22は、これらの矩形ms11又はms12の領域について、再度マスク処理を施す。
図5において歪補正後のマスク領域mm2は、歪補正によって4つの辺が凹んだ曲線となっている形状を有している。マスク領域整形部22は、このような形状のマスク領域mm2における凹んだ曲線部分を直線になるように整形する。また、図5において、歪補正後のマスク領域mm3は、対向する2つの辺が凹んだ曲線になっており、かつ他の対向する2つの辺が凸の曲線になっている形状を有している。マスク領域整形部212は、このような形状のマスク領域mm3における凹んだ曲線部分が直線になり、かつ、凸の曲線部分も直線になるように整形する。
以上のように構成された撮影システム101における処理の流れを画像及びマスク領域とともに説明する。図6は、撮影システム101における処理の流れを説明する図である。まず、全周囲撮像部111が監視対象箇所を撮影することで全周囲画像IM11を取得する(ステップS61)。全周囲画像IM11は、図6に示すように円形であり、外周に向かうにつれて度合いを増して歪んだ画像である。この全周囲画像IM11に対して、マスク実行部13はマスクデータ保持部12から読み出したマスク領域MA11について、マスク処理を行う(ステップS62)。これにより、全周囲画像IM11は、マスク領域MA11にマスク処理が施された画像IM12となる。
このように部分的にマスク処理が施された画像IM12に対して、切出しパラメータ設定部112にて設定された切出しパラメータ(即ち、補正パラメータ)を用いて、切出し範囲が切り出されて歪補正が行われる(ステップS63)。これにより、マスク処理が施された全周囲画像IM12から切出し範囲が歪補正された状態で切り出されて、歪補正画像IM13が得られる。この歪補正画像IM13には、マスク領域MA12が含まれているが、マスク領域MA12は切出し歪補正部15による切出し及び歪補正によって、もとのマスク領域MA11が補正され、歪な形状になっている。
このようにして生成された歪補正画像IM13は、カメラ110からビューワ210に送信されて、ビューワ210のマスク領域検出部211に与えられる。マスク領域検出部211は、歪補正画像IM13からマスク領域を検出する(ステップS64)。マスク領域MA12が検出されると、マスク領域整形部212は、このマスク領域を整形して、整形後のマスク領域MA13を得る(ステップS65)。図6の例では、整形後のマスク領域MA13は、もとの歪んだマスク領域MA12を囲う水平及び垂直な辺からなる矩形とされる。
マスク領域整形部212は、整形後のマスク領域MA13について、歪補正画像IM13に対してマスク処理を施す(ステップS66)。このようにして、マスク領域整形部212にて、水平及び垂直な辺からなる矩形のマスク領域MA13にマスク処理が施された歪補正画像IM14が得られる。
以上のように、本発明の第1の実施の形態によれば、歪みを有する全周囲画像に対して、所望の領域をマスク領域としてマスク処理を施した上で、そのような画像に対して歪補正を行う。この歪補正によって、マスク領域以外の画像の歪みは解消するが、マスク領域が歪な形状になる。そこで、マスク領域検出部211にて、歪補正画像からマスク領域を検出して、マスク領域整形部212にてマスク領域を見栄えのよい形状に整形して、再度マスク処理を行う。よって、最終的に得られる歪補正画像では、マスク処理された領域が見栄えのよい形状となる。
なお、上記の第1の実施の形態では、マスクデータ保持部112、マスク実行部113、切出しパラメータ設定部114、切出し歪補正部115がカメラ110に備えられ、マスク領域検出部211及びマスク領域整形部212がビューワ210に備えられていたが、これらの構成要素は、カメラ110及びビューワ210のいずれに備えられていてもよい。
例えば、カメラ110には、全周囲撮像部111のみが設けられ、他の構成はすべてビューワ210に設けられていてもよい。図7は、この場合のカメラ110及びビューワ210での処理及びそれらの間のデータのやり取りを示す図である。この場合には、カメラ110の全周囲撮像部111にて撮像が行われると(ステップS71)、全周囲画像が得られ、この全周囲画像は、ビューワ210に送信される(ステップS72)。ビューワ210では、切出し補正部115が全周囲画像の切出し範囲を切出して歪補正を行う切出し補正を行い(ステップS73)、出力部213が歪補正画像を表示する(ステップS74)。なお、図7の説明では、マスク処理に関する説明を省略している。
図8は、図4に示す構成の撮影システム101に対して、切出しパラメータ設定部114がビューワ210に備えられるよう変形された場合のカメラ110及びビューワ210での処理及びそれらの間のデータのやり取りを示す図である。この場合には、カメラ110の全周囲撮像部111にて撮像が行われ(ステップS81)、ビューワ210の切出しパラメータ設定部114にて切出し範囲が指定されると(ステップS82)、この切出し範囲を特定する切出しパラメータがビューワ210からカメラ110に送信される(ステップS83)。
カメラ110の切出し歪補正部115は、この切出しパラメータを補正パラメータとして用いて、全周囲画像に対して歪補正を行い(ステップS84)、歪補正画像を得る。この歪補正画像は、カメラ110からビューワ210に送信され(ステップS85)、出力部213にて表示される(ステップS86)。
1−2.第2の実施の形態
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。図9は、第2の実施の形態の撮影システムの構成を示すブロック図である。図9に示すように、第2の実施の形態の撮影システム102は、カメラ120とビューワ220を含んで構成される。カメラ120及びビューワ220の各構成要素において、第1の実施の形態と同じものについては、同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
カメラ120は、全周囲撮像部111、マスクデータ保持部112、マスク実行部113、切出し歪補正部115、及びマスク領域整形部126を含んでいる。本実施の形態では、マスク領域整形部126において、切出し歪補正部115における歪補正を受けることで見栄えのよい形状となるように、マスクデータ保持部112から読み出したマスク領域を整形した上で、マスク実行部113に提供し、マスク実行部113がそのような予め整形された形状のマスク領域について、全周囲画像に対してマスク処理を行い、切出し歪補正部115は、マスク領域についてマスク処理が施された全周囲画像について、切出し歪補正を行う。
このために、カメラ120は、マスク保持部112とマスク実行部113との間にマスク領域整形部126を有している。マスク領域整形部126は、補正後マスク領域生成部1261、補正後マスク領域整形部1262、及び逆変換補正部1263を備えている。ビューワ220の切出しパラメータ設定部114で設定された切出しパラメータは、ビューワ220からカメラ120に送信され、カメラ120の補正後マスク領域生成部161、逆変換補正部163、及び切出し歪補正部115に与えられる。
補正後マスク領域生成部1261は、マスクデータ保持部112からマスク領域を読み出して、切出しパラメータを補正パラメータとして用いて、このマスク領域を補正し、補正後マスク領域を生成する。このマスク領域の補正は、同一の切出しパラメータを用いて切出し歪補正部115にて行われる歪補正と同一の方法により行われる。上述のように、マスクデータ補正部112には、水平及び垂直な辺からなる矩形のマスク領域が保持されているが、補正後マスク領域生成部1261における、切出しパラメータを用いた上述の補正によって、補正後マスク領域は歪な形状になる。この補正後マスク領域は、補正後マスク領域整形部1262に与えられる。
補正後マスク領域整形部1262は、見栄えがよくなるように、補正後マスク領域を整形する。整形の具体的方法は、すでに述べたとおりである。整形されたマスク領域は、逆変換補正部1263に与えられる。逆変換補正部1263は、切出しパラメータを用いて、補正後マスク領域生成部1261及び切出し歪補正部115にて行われる補正とは逆の補正を行う。これにより、補正後マスク領域整形部1262で整形された見栄えのよい形状のマスク領域は、再び歪な形状になる。この歪な形状は、切出しパラメータを用いて歪補正を行うことで、補正後マスク領域整形部1262における整形によって得られた見栄えのよい形状に戻る形状である。
逆変換補正部1263にて逆変換が行われたマスク領域は、マスク実行部113に与えられ、マスク実行部113は、全周囲画像に対して、このマスク領域においてマスク処理を施す。切出し歪補正部115は、そのようにして得られた、マスク領域にマスク処理が施された全周囲画像に対して、切出しパラメータを用いた切出し、及び歪補正を行う。図9から明らかなように、この切出し歪補正部115で補正パラメータとして用いられる切出しパラメータは、補正後マスク領域生成部1261にてマスク領域を補正するのに用いた切出しパラメータ及び逆変換補正部1263における逆変換に用いられた切出しパラメータと同一のパラメータである。
この切出し歪補正部115による切出し及び歪補正によって、マスク領域は見栄えのよい形状になるとともに、マスク領域以外の歪みも解消する。このようにして得られたマスク処理済みの歪補正画像をカメラ120からビューワ220に送信すると、ビューワ220では、出力部213にてこの歪補正画像が表示される。
以上のように構成された撮影システム102における処理の流れを画像及びマスク領域とともに説明する。図10は、撮影システム102における処理の流れを説明する図である。補正後マスク領域生成部1261は、マスクデータ保持部112からマスク領域MA21を取得し、かつ、切出しパラメータ設定部14から切出しパラメータを取得して、この切出しパラメータを補正パラメータとして用いてマスク領域MA21に対して歪補正を行い、補正後マスク領域MA22を生成する(ステップS101)。
補正後マスク領域整形部1262は、補正後マスク領域MA22を補正後マスク領域MA23に整形する(ステップS102)。次に、逆変換補正部1263が、切出しパラメータ設定部14から切出しパラメータを取得して、この切出しパラメータの逆数を補正パラメータとして、補正後マスク領域MA23に対して、ステップS102における補正とは逆方向の変換を行い(ステップS103)、逆変換補正マスク領域MA24を得る。全周囲撮像部111が監視対象箇所を撮影することで全周囲画像IM21を取得すると(ステップS104)、マスク実行部113は、補正逆変化部1263にて得られた逆変換補正マスク領域NAを用いて、全周囲画像IM21に対してマスク処理を行い(ステップS105)、マスク処理が施された画像IM22が得られる。
切出し歪補正部115は、このマスク処理が施された画像IM22に対して、切出しパラメータ設定部114にて設定された切出しパラメータを用いて、切出し範囲の切出し及び歪補正を行い(ステップS106)、歪補正画像IM23を得る。上述のように、この歪補正画像IM23では、補正後マスク領域整形部1262にて整形された見栄えのよいマスク領域にてマスク処理が行われている。
以上のように、本発明の第2の実施の形態によれば、マスク領域に対して、全周囲画像対する切出し歪補正で用いられるのと同じ補正パラメータを用いた補正が行われて、マスク領域が歪な形状とされる。そして、その歪な形状のマスク領域が整形された見栄えのよいマスク領域とされ、そのようなマスク領域がいったん上記の補正パラメータによって逆変換されて、そのような領域をマスク領域として、歪みを有する全周囲画像にマスク処理が行われる。そして、切出し歪補正部115にて、再び上記と同じ補正パラメータを用いて歪補正が行われる。これにより、このようにして得られた歪補正画像において、マスク領域は、補正後マスク領域整形部1262にて整形された見栄えのよい形状となる。
なお、第2の実施の形態では、図9に示すように、ビューワ220は、本発明に関連する構成としては、切出しパラメータ設定部114及び出力部213のみを備えていればよく、それらの処理負荷も大きくないので、ビューワ220は処理能力の限られた装置においても実現できる。例えば、ビューワ220を携帯端末とする場合に、本実施の形態が有効である。
1−3.第3の実施の形態
次に、第3の実施の形態を説明する。図11は、第3の実施の形態の撮影システムの構成を示すブロック図である。図11に示すように、第3の実施の形態の撮影システム103は、カメラ130とビューワ230を含んで構成される。カメラ130及びビューワ230の各構成要素において、第1の実施の形態と同じものについては、同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
カメラ130は、全周囲撮像部111、マスクデータ保持部112、マスク実行部113、切出しパラメータ設定部114、切出し歪補正部115、マスク領域歪補正部137、及びマスク領域整形部138を備えている。
マスク領域歪補正部137は、マスクデータ保持部112に保持されたマスク領域に対して、切出しパラメータ設定部114から取得した切出しパラメータを補正パラメータとして用いて、切出し範囲の切出し及び歪補正を行い、全周囲画像上の歪補正マスク領域を生成する。この歪補正マスク領域は、切出し範囲上のマスク領域であり、かつ、歪な形状をしている。この歪補正マスク領域はマスク領域整形部138に出力される。
マスク領域整形部138は、マスク領域歪補正部137にて生成された切出し範囲上の歪補正マスク領域を見栄えがよい形状に整形する。具体的な整形の方法は、上述したとおりである。
切出し歪補正部115は、全周囲撮像部111にて取得された全周囲画像に対して、切出しパラメータ設定部114から読み出した切出しパラメータを補正パラメータとして、切出し領域の切出し、及び歪補正を行い、歪補正画像を生成する。マスク実行部113には、切出し歪補正部115にて生成された歪補正画像と、マスク領域整形部138で整形されたマスク領域を入力して、歪補正画像に対して、整形されたマスク領域のマスク処理を行う。
マスク実行部113でマスク処理された歪補正画像は、カメラ130からビューワ230に送信される。ビューワ230の出力部213は、カメラ130から送信されてきた歪補正画像を表示する。
以上のように構成された撮影システム103における処理の流れを画像及びマスク領域とともに説明する。図12は、撮影システム103における処理の流れを説明する図である。まず、マスク領域歪補正部137が切出しパラメータ設定部114から切出しパラメータを読み出し、それを補正パラメータとして、マスクデータ保持部112から読み出したマスク領域MA31を補正して(ステップS121)、補正後のマスク領域MA32を生成する。ここで、マスク領域歪補正部137は、全周囲画像上のマスク領域MA31に対して、切出しパラメータを用いて切出し範囲を切り出した上で歪補正をする。その後、マスク領域整形部138は、マスク領域歪補正部137にて補正されたマスク領域を見栄えのよい形状に整形して(ステップS122)、整形後のマスク領域MA33を生成する。
全周囲撮像部111が監視対象を撮影して、全周囲画像IM31を取得すると(ステップS123)、切出し歪補正部115は、切出しパラメータ設定部114で設定された切出しパラメータを用いてこの全周囲画像IM31から切出し範囲を切り出して、歪補正を行ない(ステップS124)、歪補正画像IM32を生成する。マスク実行部113には、この歪補正画像IM32とマスク領域整形部138で生成された整形後のマスク領域MA33が入力される。マスク実行部113は、歪補正画像IM32に対して、整形後のマスク領域MA33についてマスク処理を行い(ステップS125)、マスク領域MA33がマスク処理された歪補正画像IM33を生成する。
以上のように、本発明の第3の実施の形態によれば、マスク領域及び全周囲画像に対して、それぞれ同一の切出しパラメータを用いて、切出し歪補正が行なわれ、マスク領域については、そのようにして補正されたマスク領域が整形されて、切出し歪補正された全周囲画像(歪補正画像)に適用される。
また、第3の実施の形態の撮影システム103では、ビューワ230は本件発明に関する構成としては出力部213を備えるのみであるので、ビューワ230は、処理能力の少ない装置においても実現できる。
なお、第2及び第3の実施の形態においても、カメラ120、130が少なくとも全周囲撮像部111を備え、ビューワ220、230が少なくとも出力部213を備えていれば、他の構成要素については、カメラ120、130に備えられても、ビューワ220、230に備えられてもよい。例えば、第3の実施の形態の撮影システム103において、第2の実施の形態の撮影システム102と同様に、切出しパラメータ設定部114がビューワ230に備えられて、ビューワ230側で切出し範囲を指定できるようにしてよい。
また、第1〜第3の実施の形態の撮影システムにおける全周囲撮像部111及び出力部以外の構成一部又は全部の構成が、カメラ及びビューワとは別体であってカメラとビューワとの間に設けられた装置に備えられていてもよい。
以下、第1〜第3の実施の形態におけるマスク領域の整形の変形例を説明する。
1−4.マスク領域の整形の変形例
1−4−1.第1の変形例
図13は、第1ないし第3の実施の形態で説明した切出し歪補正部115による、切出し方向を説明する図である。図13Aは、円形状の全周囲画像の半径方向に切り出す場合を示しており、図13Bは、全周囲画像の半径方向とは異なる方向(図13Aの切出し方向と角度αをなす方向)に切り出す場合を示している。なお、切出し歪補正においてある方向に切り出すとは、切出し範囲を切り出して歪補正をした後の矩形の画像において、当該ある方向が上になるように切り出すことを意味する。
図13Aの場合には、半径方向に切り出して歪補正画像を生成した結果、その切出し範囲CA11に映っている人物Mを含む被写体の正立方向は、歪補正画像IM42における垂直方向と一致する。一方、図13Bの場合は、半径方向と角度αをなす方向に切り出して歪補正画像を生成した結果、その切出し範囲CA12に映っている人物Mを含む被写体の正立方向は、歪補正画像IM43における垂直方向から角度αだけ傾いている。
図14は、図13A及び図13Bの場合のマスク領域の整形を説明する図である。切出し範囲CA11を半径方向に切り出して、歪補正画像IM42において被写体の正立方向が歪補正画像IM42の垂直方向に一致している場合には、歪補正によって歪な形状になったマスク領域MA41を正立した矩形で囲うようなマスク領域MA42に整形することで、ユーザにとって見やすいマスク形状とすることができる。
しかしながら、切出し範囲CA12を半径方向から傾いた方向に切り出して、歪補正画像IM43において被写体の正立方向が歪補正画像IM43の垂直方向から傾いている場合において、歪補正によって歪な形状になったマスク領域MA43を正立した矩形で囲うようなマスク領域MA44とすると、被写体は傾いているのに対してマスク領域MA44は正立しているので、違和感が生じる。
そこで、本変形例では、切出し方向の傾きによって歪補正画像IM43において被写体の正立方向が歪補正画像IM43の垂直方向から傾いている場合には、その傾きを考慮して、歪補正によって歪な形状となったマスク領域MA43を整形する。具体的には、マスク領域MA43を、切出し方向の半径方向に対する傾き角度と同じ角度だけ傾いた方向を成立方向とするマスク領域MA45に整形する。
本変形例によれば、マスク領域にマスク処理が施された歪補正画像において、被写体の正立方向と整形後のマスク領域の成立方向とが一致するので、違和感のない自然なマスク処理が施された歪補正画像が得られる。
1−4−2.第2の変形例
図15ないし図17は、マスク領域の整形の第2の変形例を説明するための図である。まず、図15を参照して、全周囲画像に対して切出し範囲を切り出して歪補正を行ない、歪補正画像を生成する処理を説明する。本変形例では、切出し範囲CA21を切出し範囲として切出し歪補正が行なわれる場合には、全周囲画像IM51における切出し範囲CA21内の画素がそれぞれ座標変換されて歪補正画像に投影される。例えば、全周囲画像IM51における画素P11、P12、P13は、それぞれ、歪補正画像上のP21、P22、P23となる。歪補正画像において不足する画素は、例えば16画素四方のスクエアごとに、変換元の座標を線形補間することで埋められて、最終的に歪補正画像IM52が生成される。
本変形例では、このスクエアを利用して、マスク領域の整形を行なう。即ち、マスク領域の整形はスクエア単位で行う。図16は、本変形例の第1の方法を示す図である。この例では、全周囲画像IM51上の切出し範囲CA21に対して切出し歪補正が行なわれて歪補正画像IM53が生成されると、そこに設定されていたマスク領域MA51は、歪な形状のマスク領域MA52となる。このマスク領域MA52を整形する場合には、このマスク領域MA52を囲い、かつ、全体が矩形となる複数のスクエアを整形後のマスク領域MA53とする。
具体的には、歪補正によって歪な形状となったマスク領域MA52の最上点を含むスクエアSQ1を含む行のスクエアを整形後のマスク領域の最上行のスクエアとし、マスク領域MA52の最右点を含むスクエアSQ2を含む列のスクエアを整形後のマスク領域の最右列のスクエアとし、マスク領域MA52の最下点を含むスクエアSQ3を含む行のスクエアを整形後のマスク領域の最下行のスクエアとし、マスク領域MA52の最左点を含むスクエアSQ4を含む列のスクエアを整形後のマスク領域の最左列のスクエアとして、それらの最上行、最右列、最下行、及び最左列によって囲まれる矩形の領域を整形後のマスク領域MA53とする。
図17は、本変形例の第2の方法を示す図である。第2の方法では、歪補正によって歪な形状となったマスク領域MA52を含むスクエア(のみ)を整形後のマスク領域MA54とする。整形後のマスク領域MA54は、水平及び垂直な線分のみからなる領域となり、整形前のマスク領域MA52のように斜めの線分がないので、見栄えがよくなる。
なお、上記では、全周囲画像上の切出し範囲を切り出して歪補正を行なう場合を例に本発明の第1〜第3の実施の形態を説明したが、本発明は、全周囲画像に対して歪補正を行なうことでパノラマ画像を生成し、その際に当該パノラマ画像の一部領域に対してマスク処理をする場合にも適用できる。さらに、上記では、歪みを有する画像として、全周囲画像を撮影する例を説明したが、歪みを有する画像は全周囲画像(水平画角約360度)に限られない。歪みを有する画像に対して、マスク領域を設定するとともに、歪補正を行なう撮影システムであれば、本発明が有効に適用される。
2.第4〜第6の実施の形態
以下、本発明の第4〜第6の実施の形態の撮影システムを説明する。以下の説明において、第4ないし第6の実施の形態のいずれも、カメラが魚眼レンズを用いて、有歪み画像として全周囲画像を撮像する撮影システムを例に説明する。但し、本発明の有歪み画像は、全周囲画像には限られず、広角レンズを用いた撮像によって歪みが生じている画像であればよい。
2−1.第4の実施の形態
図20は、本発明の実施の形態の画像表示システムを示すブロック図である。図20に示すように、撮影システム104は、カメラ140とビューワ240とが接続されて構成されている。カメラ140が監視カメラである場合は、カメラ140は監視対象箇所を撮像できるように設置され、ビューワ240は、カメラ140において撮像されて、画像処理された画像をユーザが閲覧するための装置である。ビューワ240は、例えばパーソナルコンピュータであってよく、携帯端末であってもよい。カメラ140は、いわゆるネットワークカメラであり、ビューワ240とは有線で接続されてよく、無線で接続されてもよい。また、カメラ140の全周囲撮像部141以外の構成の一部又は全部がビューワ240に備えられていてもよい。
カメラ140は、全周囲撮像部141と、マスク領域受付部142と、マスク枠生成部143と、マスク枠重畳部144と、マスク実行部145と、切出し歪補正部146と、合成部147とを備えている。ビューワ240は、入力部241と、マスク領域決定部242と、表示切替部243と、表示部244とを備えている。
カメラ140の全周囲撮像部141は、広角レンズの一種である魚眼レンズを有する撮像系である。この全周囲撮像部141によって、円形の全周囲画像が撮像される。この全周囲画像は、外周に向かうほど歪みが強くなる有歪み画像である。全周囲撮像部141は、撮像によって取得した全周囲画像をマスク枠重畳部144及びマスク実行部145に出力し、また、ビューワ240に送信する。なお、全周囲撮像部141が撮像して出力する画像は、静止画像であっても動画像であってもよい。動画である場合は、フレームごとに以下に説明する処理が行われる。
ビューワ240の入力部241は、ユーザによる各種の指示を入力する。これらの指示には、表示の切り替えの指示、マスク領域の指定、マスク領域のキャンセル/決定の指示等が含まれる。これらのうち、表示の切り替えの指示は表示切替部243に入力され、マスク領域の指定及びマスク領域のキャンセル/決定の指示は、マスク領域決定部242に入力される。入力部241は、例えばマウス及びキーボード、又は表示部244と一体となったタッチセンサである。
マスク領域決定部242は、入力部241で入力された入力内容からマスク領域を求める。具体的には、マウスでクリックされた全周囲画像上の点を1つの頂点として、現在のポインタの位置をその頂点の対角にある頂点とする、垂直方向及び水平方向の辺からなる矩形(長方形)を求める。この全周囲画像上の矩形の位置及び形状(垂直方向の高さ及び水平方向の幅)の情報は、マスク領域の指示情報として、カメラ140に送信される。
マスク領域受付部142は、マスク領域決定部242で決定されたマスク領域の指示情報を受け付けて、マスク枠生成部143及びマスク実行部145に出力する。マスク枠生成部143は、マスク領域受付部142から得たマスク領域の指示情報に基づいて、当該マスク領域の外延を示すマスク枠を生成する。このマスク枠には、全周囲画像におけるマスク枠の位置を示す情報も含まれる。
マスク枠重畳部144は、全周囲撮像部141から全周囲画像を取得するとともに、マスク枠生成部143からマスク枠を取得し、全周囲画像にマスク枠の形状を重畳する。マスク枠重畳部144は、マスク枠が重畳された全周囲画像を合成部147及び表示切替部243に出力する。
マスク実行部145は、全周囲撮像部141から全周囲画像を取得するとともに、マスク領域受付部142からマスク領域の指定情報を取得し、全周囲画像中のその指定情報に対応するマスク領域に対して、マスク処理を行う。ここで、本実施の形態のマスク実行部145によるマスク処理は、マスク領域を黒く塗りつぶす処理である。但し、マスク処理はこれに限られず、モザイク処理など、マスク領域の画像の情報量を減少させる処理であれば他のマスク処理であってもよい。マスク実行部145は、マスク領域においてマスク処理が施された全周囲画像を切出し歪補正部146に出力する。
切出し歪補正部146は、マスク領域においてマスク処理が施された全周囲画像の切出し範囲を切出して、歪補正を行い、切出し歪補正画像を生成する。本実施の形態では、切出し範囲は予め決められている。なお、この切出し範囲を示す枠が全周囲画像に重畳されて表示されてもよい。切出し歪補正部146は、この切出し歪補正画像を合成部147に出力し、また、ビューワ240に送信する。
合成部147は、マスク領域枠重畳部144から得た、マスク枠が重畳された全周囲画像と、切出し歪補正部146から得た、マスク領域においてすでにマスク処理が施された切出し歪補正画像を合成して、両画像を同時に表示するプレビュー画像を生成する。合成部147は、生成したプレビュー画像をビューワ240に送信する。
表示切替部243は、全周囲撮像部141から全周囲画像を受信し、マスク枠重畳部144からマスク枠が重畳された全周囲画像を受信し、切出し補正部146からマスク領域についてマスク処理が施された切出し歪補正画像を受信し、合成部147からプレビュー画像を受信する。
ここで、撮影システム104の表示モードについて説明する。撮影システム104には、マスク領域を決定するためのマスク領域指定モードと、マスク領域についてマスク処理がされた切出し歪補正画像を表示する通常モードとが設けられている。これらの表示モードは、入力部241から入力に基づいて切り替えられる。表示切替部243は、入力部241からモードの切り替えの情報を取得して表示モードの切り替えを行う。
表示切替部243は、マスク領域指定モードでは、まず、全周囲撮像部141から得た全周囲画像を表示部244に出力する。マスク領域指定モードにて、マスク枠重畳部144からマスク枠が重畳された全周囲画像を得たときには、表示切替部243は、そのマスク枠が重畳された全周囲画像を表示部244に出力し、合成部147からプレビュー画像を得たときには、そのプレビュー画像を表示部244に出力する。また、表示切替部243は、通常モードでは、全周囲撮像部141から得た全周囲画像又は切出し歪補正部146から得たマスク領域についてマスク処理が施された切出し歪補正画像のいずれかを表示部244に出力する。全周囲画像及びマスク処理が施された切出し歪補正画像のいずれを出力するかは入力部241から指示に従う。
表示部244は、表示切替部243から得た画像を表示する。表示部244は、例えば液晶表示パネルを備えた液晶表示装置であり、入力部241タッチセンサである場合は、それと一体となったタッチパネルである。
図19及び図21〜図24は、表示部244における表示例である。図21は、本実施の形態の全周囲画像の例を示す図である。全周囲撮像部141の水平視野角は360度であり、図21に示すように、全周囲画像は円形となる。この円形の全周囲画像には歪み画生じており、その度合いは、画像全域において均一ではなく、円形の縁に近づくほど歪みが大きくなる。図21に示す全周囲画像は、通常モードにおいて全周囲画像の表示が選択された場合、及びマスク領域指定モードにてマスク領域を指定する際に表示される。
図22は、本発明の実施の形態のマスク領域指定の例を示す図である。本実施の形態では、全周囲画像上でマスク領域を指定する。図22に示すように、全周囲画像上には入力部241としてのマウスの操作に応じて移動するポインタが表示され、マウスをクリックすることでマスク領域の始点が指定される。始点が指定されてポインタが移動すると、マスク領域決定部242によって、始点とポインタの位置を対角の頂点とする、画面の垂直方向に平行な辺及び画面の水平方向に平行な辺からなる矩形が求められる。この矩形の情報(マスク領域の指定情報)を用いてマスク枠重畳部144にてマスク枠が重畳された全周囲画像が生成されると、それが表示部244にて表示される。
図23は、本発明の実施の形態のマスク領域指定の例を示す図である。全周囲画像上には、求められた矩形を示す枠が重畳表示されている。ポインタを移動させて所望のマスク領域を示す枠ができたら、その位置で、再度マウスをクリックすると、そのときのマスク領域の指定情報を用いて、プレビュー画像が生成され、表示部244で表示される。
図19は、本発明の実施の形態のプレビュー画像の例を示す図である。プレビュー画像では、マスク枠が重畳された全周囲画像に、マスク領域にマスク処理が施された切出し歪補正画像が重畳されて表示される。このとき、切出し歪補正画像は、全周囲画像に重畳されたマスク枠から吹き出す吹き出しの中に配置される。
このプレビュー画像とともに、「キャンセル」ボタン及び「決定」ボタンが表示される。ユーザは、吹き出し内の切出し歪補正画像を確認して、そのマスク領域が不満である場合は、「キャンセル」ボタンをクリックすることで、このマスク領域をキャンセルできる。キャンセルすると、表示切替部243は、図22に示すマスク領域指定のための表示に切り替える。ユーザは、吹き出し内の切出し歪補正画像を確認して、そのマスク領域でよい場合は、「決定」ボタンをクリックすることで、このマスク領域を確定することができる。
図24は、本発明の実施の形態の切出し歪補正画像の例を示す図である。この切出し歪補正画像は、通常モードにて切出し歪補正画像の表示が選択された場合に表示される。この切出し歪補正画像では、確定されたマスク領域についてマスク処理が施されている。但し、このマスク領域は、全周囲画像上で矩形の領域として指定されて確定されたものであるので、切出し歪補正画像においては、それを全周囲画像から生成する際の歪補正によって、矩形で指定されたマスク領域は歪な形状になっている。
図25は、本発明の第4の実施の形態においてプレビュー画像を生成する手順を説明するフロー図である。図25を参照して、本実施の形態においてプレビュー画像を生成する手順を説明する。まず、全周囲撮像部141にて全周囲画像D71が撮像される。次に、この全周囲画像上でマスク領域D72が指定される。マスク枠重畳部144は、マスク領域D72を用いて、生成されたマスク枠が全周囲画像D71に重畳されて、マスク枠が重畳された全周囲画像D73を生成する。また、マスク実行部145は、全周囲画像D71に対して、マスク領域D72におけるマスク処理が行われて、マスク領域についてマスク処理が施された全周囲画像D74を生成する。
そして、切出し歪補正部146は、このマスク領域についてマスク処理がされた全周囲画像D74に対して、切出し範囲の切出し及び歪補正を行って、マスク領域においてマスク処理がされた切出し歪補正画像D75を生成する。最後に、合成部147は、マスク領域にマスク枠が重畳された全周囲画像D73に対して、マスク領域においてマスク処理がされた切出し歪補正画像D75をその中に含む吹き出しを重畳して、プレビュー画像D76を生成する。
図26は、本発明の第4の実施の形態の撮影システムの動作フロー図である。図26のフローは、マスク領域指定モードにおける撮影システム104の動作を示している。図26を参照して、第4の実施の形態の撮影システム104の動作を説明する。
まず、全周囲撮像部141が全周囲画像を撮像して、表示部244がこれを表示する(ステップS261)。次に、入力部241によって、マスク領域の指定が開始されたか否かを判断する(ステップS262)。具体的には、入力部241の操作によってマスク領域の始点がクリックされた場合に、マスク領域の指定が開始されたと判断する。マスク領域の指定が開始されていない場合は(ステップS262にてNO)、マスク領域の指定が開始されるまで、全周囲画像を表示して待つ。
マスク領域の指定が開始されたとき、即ち、全周囲画像上でマスク領域の始点となる点がクリックされたときは(ステップS262にてYES)、マウスの操作によるポインタの移動に応じてマスク領域決定部242がマスク領域を求めてその指定情報をカメラ140に送信し、マスク領域受付部142がこのマスク領域の指定情報を取得する(ステップS263)。次に、マスク枠生成部143がマスク領域の指定情報に基づいて、マスク枠を生成し(ステップS264)、マスク枠重畳部144が全周囲画像にマスク枠を重畳する(ステップS265)。このマスク枠の生成及び全周囲画像への重畳は、始点がクリックされた後にポインタが移動している間、そのポインタの位置に応じて行われる。
次に、マスク領域の終点がクリックされると、マスク領域が仮確定し、マスク実行部145は、全周囲画像に対して、その仮確定したマスク領域(以下単に「マスク領域」という。)をマスクするマスク処理を行う(ステップS266)。そして、切出し歪補正部146は、マスク領域についてマスク処理がされた全周囲画像から、切出し範囲の切出し及び歪補正を行って、切出し歪補正画像を生成する(ステップS267)。この切出し歪補正画像においては、マスク領域にマスク処理が施されている。合成部147は、マスク枠が重畳された全周囲画像とマスク領域についてマスク処理が施された切出し歪補正画像とを合成して、プレビュー画像を生成し(ステップS268)、ビューワ240に送信する。
ビューワ240の表示切替部243は、プレビュー画像を受信すると、このプレビュー画像を表示部244に出力し、表示部244は、このプレビュー画像を表示する(ステップS269)。ユーザが入力部241に対して、このプレビュー画像で示されたマスク領域を確定したか否かを判断する(ステップS270)、プレビュー画像で示されたマスク領域が確定すると(ステップS270でYES)、処理を終了する。ユーザが入力部241に対して、このプレビュー画像で示されたマスク領域をキャンセルすると(ステップS270にてNO)、表示切替部243は、表示部244に出力する画像を全周囲画像に切り替えて、再びマスク領域の指定情報を取得するステップS263に戻る。
以上のように、本実施の形態の撮影システム104及びそれによって実行される画像表示方法によれば、全周囲画像上でマスク領域の指定が行われて、プレビュー画像では、指定されたマスク領域が全周囲画像上で認識可能に示されるとともに、このマスク領域も含めて歪補正がされ、マスク領域を認識可能な切出し歪補正画像も同時に表示されるので、全周囲画像上で指定したマスク領域が切出し歪補正画像においてどのような位置及び形状の領域になるのかを確認できる。そして、確認の結果そのマスク領域でよい場合には、プレビュー画像に対して「決定」を指示することで、そのマスク領域を確定できる。
2−2.第5の実施の形態
次に、本発明の第5の実施の形態を説明する。図27は、本発明の第5の実施の形態の撮影システムのブロック図である。図27に示すように、撮影システム105は、カメラ150とビューワ250とが接続されて構成されている。カメラ150が監視カメラである場合は、カメラ150は監視対象箇所を撮像できるように設置され、ビューワ250は、カメラ150において撮像されて、画像処理された画像をユーザが閲覧するための装置である。ビューワ250は、例えばパーソナルコンピュータであってよく、携帯端末であってもよい。カメラ150は、いわゆるネットワークカメラであり、ビューワ250とは有線で接続されてよく、無線で接続されてもよい。また、カメラ150の全周囲撮像部121以外の構成の一部又は全部がビューワ250に備えられていてもよい。
カメラ150は、全周囲撮像部151と、マスク領域受付部152と、切出し範囲決定部153と、マスク実行部154と、切出し歪補正部155と、合成部156とを備えている。ビューワ250は、入力部251と、マスク領域決定部252と、マスク枠生成部253と、マスク枠重畳部254と、表示切替部255と、表示部256とを備えている。
以下、第4の実施の形態と同様の構成については、説明を省略する。本実施の形態では、第4の実施の形態と比較して、主に以下の2点で相違する。第1の相違点は、プレビュー画像を生成する手順及びそのための構成のカメラ150とビューワ250との間の分配の相違である。即ち、第4の実施の形態では、カメラ140において、マスク実行部145で全周囲画像に対してマスク処理を行なった後に切出し歪補正部146でマスク領域でのマスク処理がされた切出し歪補正画像を生成し、一方で、マスク枠重畳部144では、全周囲画像に対してマスク領域の枠を重畳してマスク枠が重畳された全周囲画像を生成し、合成部147で、マスク領域でマスク処理がされた切出し歪補正画像とマスク枠が重畳された全周囲画像とを合成して、図19に示すプレビュー画像を生成した。これに対して、本実施の形態では、カメラ150において、同様に、全周囲画像に対してマスク処理を行なった後に切出し歪補正画像補正を行なって切出し歪補正画像を生成するが、この切出し歪補正画像をまず全周囲画像と合成して、ビューワ250に送信する。ビューワ250では、この合成画像にマスク枠を重畳することで、図19に示すようなプレビュー画像を生成する。
第2の相違点は、第4の実施の形態では、切出し歪補正部146における切出し範囲は固定とされていたが、本実施の形態では、マスク領域の指定情報に基づいて、切出し範囲が決定される点である。以下、具体的に説明する。
マスク領域決定部252は、入力部251から入力内容を受けると、マスク領域を求めて、そのマスク領域を示す指示情報をマスク枠生成部253に出力するとともに、カメラ150に送信する。マスク領域受付部152は、マスク領域の指定情報を得て、それを切出し範囲決定部153及びマスク実行部154に出力する。切出し範囲決定部153は、マスク領域受付部152から得たマスク領域の指定情報に基づいて、切出し範囲を決定する。切出し範囲決定部153には指定情報によって示されるマスク領域と切出し範囲との関係が記憶されており、マスク領域の指定情報が与えられるとそれに対応する切出し範囲を求める。
指定情報によって示されるマスク領域と切出し範囲との関係は種々の関係が考えられるが、本実施の形態では、切出し範囲決定部153は、マスク領域と中心及び向きが同一で、マスク領域の10/7の大きさを持つ矩形の領域を切出し範囲として決定する。
マスク実行部154は、全周囲撮像部151から得た全周囲画像に対して、マスク領域受付部152から得たマスク領域にマスク処理を行なう。切出し歪補正部155は、マスク領域にマスク処理が施された全周囲画像に対して、切出し範囲決定部153にて決定された切出し範囲の切出し及び歪補正を行ない、マスク領域にマスク処理がされた切出し歪補正画像を生成する。生成された切出し歪補正画像は合成部156に出力される。
本実施の形態では、全周囲撮像部151で撮像された全周囲画像は、そのまま合成部156に出力され、ビューワ250に送信される。合成部156では、この全周囲画像と切出し歪補正部155で生成された切出し歪補正画像とを合成して、合成画像を生成する。この合成画像では、図19に示すように、全周囲画像に対して、切出し歪補正画像を含む吹き出しが重畳されている。但し、この合成画像では、全周囲画像に、ユーザが指定したマスク領域を示すマスク枠は重畳されていない。合成部156は、生成した合成画像をビューワ250に送信する。
ビューワ250のマスク枠重畳部254は、合成画像を受信する。一方、マスク枠生成部253は、マスク領域決定部252から得たマスク領域の指示情報に基づいて、マスク枠を生成し、マスク枠重畳部254に出力する。マスク枠重畳部254は、マスク枠生成部253から得たマスク枠をカメラ150から得た合成画像に重畳して、図19に示すようなプレビュー画像を生成し、表示切替部255に出力する。
マスク枠重畳部254は、全周囲撮像部151から直接全周囲画像を受けた場合には、その全周囲画像にマスク枠生成部253にて生成されたマスク枠を重畳して、表示切替部255に出力する。マスク枠重畳部254は、全周囲画像でマスク領域の視点が指定されてから、終点が決定されるまでの間に、ポインタの位置に応じて、ポインタの位置を終点とする矩形のマスク枠を全周囲画像に重畳するときに、上記のように全周囲撮像部151から得た全周囲画像にマスク枠を重畳する。マスク領域が仮確定されて、それに伴って切出し歪補正部155がその仮確定されたマスク領域をマスク処理した切出し歪補正画像を生成し、合成部156がその切出し歪補正画像を吹き出し内に含む合成画像を生成してビューワ250に送信し、マスク枠重畳部254がこれを受けた後には、マスク枠重畳部254は、全周囲撮像部151から得た全周囲画像ではなく、この合成画像に対してマスク枠を重畳して、プレビュー画像を生成し、表示切替部255に出力する。
表示切替部255は、全周囲撮像部151から全周囲画像を取得し、マスク枠重畳部254からプレビュー画像又はマスク枠が重畳された全周囲画像を取得し、切出し歪補正部155からマスク領域にてマスク処理が施された切出し歪補正画像を取得する。表示切替部255は、入力部251から表示モードの切り替えの情報を取得して表示モードの切替えを行なう。
表示切替部255は、マスク領域指定モードでは、まず、全周囲撮像部151から得た全周囲画像を表示部256に出力する。マスク領域指定モードにて、マスク枠重畳部254からマスク枠が重畳された全周囲画像を得たときには、表示切替部255は、そのマスク枠が重畳された全周囲画像を表示部256に出力し、マスク枠重畳部254からプレビュー画像を得たときには、そのプレビュー画像を表示部256に出力する。また、表示切替部255は、通常モードでは、全周囲撮像部151から得た全周囲画像又は切出し歪補正部155から得たマスク領域についてマスク処理が施された切出し歪補正画像のいずれかを表示部256に出力する。全周囲画像及びマスク処理が施された切出し歪補正画像のいずれを出力するかは入力部251から指示に従う。
図28は、本発明の第5の実施の形態においてプレビュー画像を生成する手順を説明するフロー図である。図28を参照して、本実施の形態においてプレビュー画像を生成する手順を説明する。まず、全周囲撮像部151にて全周囲画像D11が撮像される。次に、この全周囲画像上でマスク領域D12が指定される。マスク実行部154は、全周囲画像D11に対して、マスク領域D12におけるマスク処理を行い、マスク領域についてマスク処理が施された全周囲画像D13を生成する。切出し範囲決定部153は、マスク領域D12に基づいて切出し範囲を決定する。切出し歪補正部155は、マスク領域についてマスク処理がされた全周囲画像D13から、切出し範囲を切り出して、歪補正を行なって、切出し歪補正画像D14を生成する。合成部156は、全周囲画像D11に対して、マスク領域においてマスク処理がされた切出し歪補正画像D14をその中に含む吹き出しを重畳して、合成画像D15を生成する。
ビューワ250では、マスク枠生成部253がマスク枠D16を生成する。マスク枠重畳部254は、このマスク枠D16を合成画像D15に重畳して、プレビュー画像D17を生成する。
図29は、本発明の第5の実施の形態の撮影システムの動作フロー図である。図29のフローは、マスク領域指定モードにおける撮影システム105の動作を示している。図29を参照して、第5の実施の形態の画像表示方法を説明する。
まず、全周囲撮像部151が全周囲画像を撮像して、表示部256がこれを表示する(ステップS291)。次に、入力部251によって、マスク領域の指定が開始されたか否かを判断する(ステップS292)。具体的には、入力部251の操作によってマスク領域の始点がクリックされた場合に、マスク領域の指定が開始されたと判断する。マスク領域の指定が開始されていない場合は(ステップS292にてNO)、マスク領域の指定が開始されるまで、全周囲画像を表示して待つ。
マスク領域の指定が開始されたとき、即ち、全周囲画像上でマスク領域の始点となる点がクリックされたときは(ステップS292にてYES)、マウスの操作によるポインタの移動に応じてマスク領域決定部252がマスク領域を求めてその指定情報をカメラ150に送信するとともに、マスク枠生成部253に出力する。カメラ150のマスク領域受付部152がこのマスク領域の指定情報を取得する(ステップS293)。また、ビューワ250のマスク枠生成部253がマスク領域の指定情報に基づいて、マスク枠を生成して(ステップS294)、マスク枠重畳部254に出力する。マスク重畳部254は、全周囲画像にマスク枠を重畳して、表示部256は、これを表示する。このマスク枠の生成及び全周囲画像への重畳は、始点がクリックされた後にポインタが移動している間、そのポインタの位置に応じて行われる。
次に、マスク領域の終点がクリックされると、マスク領域が仮確定し、マスク実行部124は、全周囲画像に対して、全周囲画像におけるその仮確定したマスク領域についてマスク処理を行い(ステップS295)、切出し範囲決定部153は、仮確定したマスク領域に基づいて切出し範囲を決定する(ステップS296)。そして、切出し歪補正部155は、マスク領域についてマスク処理がされた全周囲画像から、切出し範囲の切出し及び歪補正を行って、切出し歪補正画像を生成する(ステップS297)。この切出し歪補正画像においては、マスク領域にマスク処理が施されている。合成部156は、全周囲撮像部151から取得した全周囲画像とマスク領域についてマスク処理が施された切出し歪補正画像とを合成して、合成画像を生成し(ステップS298)、ビューワ250に送信する。
ビューワ250のマスク枠重畳部254は、合成画像を受信すると、この合成画像に、マスク枠生成部253で生成されたマスク枠を重畳して、プレビュー画像を生成し、表示切替部255に出力し(ステップS299)、表示部256はこのプレビュー画像を表示する(ステップS300)。ユーザが入力部251に対して、このプレビュー画像で示されたマスク領域を確定したか否かを判断する(ステップS301)、プレビュー画像で示されたマスク領域が確定すると(ステップS301でYES)、処理を終了する。ユーザが入力部251に対して、このプレビュー画像で示されたマスク領域をキャンセルすると(ステップS301にてNO)、表示切替部253は、表示部254に出力する画像を全周囲画像に切り替えて、再びマスク領域の指定情報を取得するステップS293に戻る。
以上のように、本実施の形態では、マスク枠をビューワ250にて生成して、ビューワ250で合成画像に重畳してプレビュー画像を生成したり、全周囲画像に重畳してマスク枠が重畳された全周囲画像を生成したりしている。上述のように、マスク領域を指定する際には、始点を指定した後に、始点とポインタの現在位置とを対角の2頂点とする矩形の枠を生成して全周囲画像に重畳する。このとき、始点とポインタの位置の情報をカメラ150に送信して、矩形の枠をカメラ150側で生成して全周囲画像に重畳した上で、ビューワ250に送ると、通信状況がよくない場合には、ポインタの動きに追随して全周囲画像上に矩形の枠を表示することが困難になる場合がある。これに対して、本実施の形態では、マスク枠は、ポインタの位置を指定するための入力部251とそのマスク枠が重畳された全周囲画像を表示するための表示部256とを備えたビューワ250側で生成されて、全周囲画像に重畳される。よって、カメラ150とビューワ250との間の通信状況に関わらず、遅延無くマスク枠を全周囲画像に重畳して表示することができる。
また、本実施の形態では、切出し範囲決定部153が、マスク領域の指定情報に基づいて、切出し範囲を決定するので、マスク領域を含む切出し補正画像を全周囲画像とともに確認することができる。なお、マスク領域の指定情報に基づいて切出し範囲を決定するための本実施の形態で説明した構成は、本願の他の実施の形態の撮影システムにも適用できる。
2−3.第6の実施の形態
次に、本発明の第6の実施の形態を説明する。図30は、本発明の第6の実施の形態の画像表示システムのブロック図である。図30に示すように、撮影システム106は、カメラ160とビューワ260とが接続されて構成されている。カメラ160が監視カメラである場合は、カメラ160は監視対象箇所を撮像できるように設置され、ビューワ260は、カメラ160において撮像されて、画像処理された画像をユーザが閲覧するための装置である。ビューワ260は、例えばパーソナルコンピュータであってよく、携帯端末であってもよい。カメラ160は、いわゆるネットワークカメラであり、ビューワ260とは有線で接続されてよく、無線で接続されてもよい。また、カメラ160の全周囲撮像部161以外の構成の一部又は全部がビューワ260に備えられていてもよい。
カメラ160は、全周囲撮像部161と、マスク領域受付部162と、マスク枠生成部163と、マスク枠重畳部164と、マスク領域歪補正部165と、切出しマスク実行部166と、切出し補正部167と、合成部168とを備えている。ビューワ260は、入力部261と、マスク領域決定部262と、表示切替部263と、表示部264とを備えている。
以下、第4の実施の形態と同様の構成については、説明を省略する。本実施の形態では、マスク領域にマスク処理がされた切出し歪補正画像を生成するために、全周囲画像に対して切出し歪補正をして切出し歪補正画像を生成するとともに、マスク領域に対しても全周囲画像に対する切出し歪補正と同じ補正パラメータ(変換行列)を用いて切出し歪補正をして切出し歪補正マスク領域を生成する。そして、切出し歪補正画像における切出し歪補正マスク領域についてマスク処理をすることによって、マスク領域にマスク処理がされた切出し歪補正画像を生成する。以下、具体的に説明する。
入力部261が全周囲画像上で指定された始点及び終点の座標を入力すると、マスク領域決定部262は、マスク領域を求めて、マスク領域の指定情報をカメラ160に送信する。カメラ160のマスク領域受付部162は、マスク領域の指定情報を受け付けて、マスク領域歪補正部165及びマスク枠生成部163に出力する。
マスク枠生成部163は、マスク領域受付部162から得たマスク領域の指示情報に基づいてマスク枠を生成し、マスク枠重畳部164に出力する。マスク枠重畳部164は、全周囲撮像部161から全周囲画像を得て、それにマスク枠を重畳して、マスク枠が重畳された全周囲画像を生成し、合成部168に出力する。
一方、マスク領域歪補正部165は、マスク領域受付部162より得たマスク領域の指定情報に基づいて、そのマスク領域に対して切出し歪補正を行うことで、切出し歪補正マスク領域を生成し、切出しマスク実行部166に出力する。また、切出し歪補正部167は、全周囲撮像部161から得た全周囲画像に対して、切出し歪補正を行うことで切出し歪補正画像を生成して、切出しマスク実行部166に出力する。
切出しマスク実行部166は、切出し歪補正画像における、切出し歪補正マスク領域について、マスク処理を行うことで、マスク領域にマスク処理が施された切出し歪補正画像を生成し、これを合成部168に出力する。合成部168は、マスク枠重畳部164からマスク枠が重畳された全周囲画像を取得し、切出しマスク実行部166からはマスク領域においてマスク処理がされた切出し歪補正画像を取得して、それらを用いて図19に示すようなプレビュー画像を生成する。ビューワ260における表示切替部263及び表示部264は、第4の実施の形態のビューワ240における表示切替部243及び表示部244と同じであるので説明を省略する。
図31は、本発明の第6の実施の形態においてプレビュー画像を生成する手順を説明するフロー図である。図31を参照して、本実施の形態においてプレビュー画像を生成する手順を説明する。まず、全周囲撮像部161にて全周囲画像D31が撮像される。次に、この全周囲画像D3上でマスク領域D32が指定される。そして、マスク枠生成部163が、マスク枠を生成して、マスク枠重畳部264が、このマスク枠を全周囲画像D31に重畳して、マスク枠が重畳された全周囲画像D34を生成する。
一方、切出し歪補正部167は、全周囲画像D31から切出し範囲を切出して、歪補正を行うことで、切出し歪補正画像D35を生成する。また、マスク領域歪補正部165は、マスク領域D32に対して、切出し歪補正部167と同じ切出し歪補正を行うことで、切出し歪補正マスク領域D36を生成する。そして、切出しマスク実行部166は、切出し歪補正画像D35における切出し歪補正マスク領域D36にマスク処理を行うことで、マスク領域にてマスク処理がされた切出し歪補正画像D37を生成する。最後に、合成部168は、マスク領域にマスク枠が重畳された全周囲画像D34に対して、マスク領域においてマスク処理がされた切出し歪補正画像D37をその中に含む吹き出しを重畳して、プレビュー画像D38を生成する。
図32は、本発明の第6の実施の形態の撮影システムの動作フロー図である。図32のフローは、マスク領域指定モードにおける撮影システム106の動作を示している。図32を参照して、第6の実施の形態の画像表示方法を説明する。
まず、全周囲撮像部161が全周囲画像を撮像して、表示部264がこれを表示する(ステップS321)。次に、入力部261によって、マスク領域の指定が開始されたか否かを判断する(ステップS322)。具体的には、入力部261の操作によってマスク領域の始点がクリックされた場合に、マスク領域の指定が開始されたと判断する。マスク領域の指定が開始されていない場合は(ステップS322にてNO)、マスク領域の指定が開始されるまで、全周囲画像を表示して待つ。
マスク領域の指定が開始されたとき、即ち、全周囲画像上でマスク領域の始点となる点がクリックされたときは(ステップS322にてYES)、マウスの操作によるポインタの移動に応じてマスク領域決定部262がマスク領域を求めてその指定情報をカメラ160に送信する。カメラ160のマスク領域受付部162がこのマスク領域の指定情報を取得すると(ステップS323)、マスク枠生成部163がマスク領域の指定情報に基づいて、マスク枠を生成して(ステップS324)、マスク重畳部164が、全周囲画像にマスク枠を重畳して(ステップS325)、表示部264は、これを表示する。このマスク枠の生成及び全周囲画像への重畳は、始点がクリックされた後にポインタが移動している間、そのポインタの位置に応じて行われる。
次に、マスク領域の終点がクリックされると、マスク領域が仮確定し、マスク重畳部164は、マスク枠が重畳された全周囲画像を合成部168に出力する。そして、切出し歪補正部167は、全周囲画像に対して切出し歪補正を行うことで、切出し歪補正画像を生成する(ステップS326)。また、マスク領域歪補正部165は、マスク領域に対して、ステップS326における切出し歪補正と同じ補正を行って、切出し歪補正マスク領域を生成する(ステップS327)。次に、切出しマスク実行部166は、ステップS326で生成されたマスク処理がされた切出し歪補正画像における、ステップS327で生成された切出し歪補正マスク領域に対してマスク処理を行う(ステップS328)。
合成部168は、マスク枠重畳部164からマスク枠が重畳された全周囲画像を取得し、切出しマスク実行部166からマスク領域についてマスク処理がされた切出し補正画像を取得すると、それらを合成して、図19に示すようなプレビュー画像を生成し(ステップS329)、表示切替部263に出力する。そして、表示部264はこのプレビュー画像を表示する(ステップS330)。ユーザが入力部261に対して、このプレビュー画像で示されたマスク領域を確定したか否かを判断する(ステップS331)、プレビュー画像で示されたマスク領域が確定すると(ステップS331でYES)、処理を終了する。ユーザが入力部261に対して、このプレビュー画像で示されたマスク領域をキャンセルすると(ステップS331にてNO)、表示切替部263は、表示部264に出力する画像を全周囲画像に切り替えて、再びマスク領域の指定情報を取得するステップS323に戻る。
以上のように、本実施の形態では、マスク領域と全周囲画像に対して、それぞれ同一の補正パラメータを用いて切出し歪補正を行い、補正によって得られたマスク領域で切出し歪補正画像をマスク処理する。本実施の形態によれば、マスク処理は歪補正された後に実行されるので、プレビューにおいてもマスクされた画像ではなく、枠だけを描画するなどの表示方法が可能となる。なお、第2の実施の形態で説明した、マスク領域の指定情報に基づいて切出し範囲を決定する構成を本実施の形態に適用してもよいことは、上述したとおりである。この場合には、マスク領域の指定情報によって決定された切出し範囲の情報は、切出し歪補正部167及びマスク領域歪補正部165において共有される。
以上、第4ないし第6の実施の形態を説明した。上記の実施の形態には種々の変形が可能である。以下、各種の変形例を説明する。
2−4.変形例
図33A〜図33Dは、本発明のプレビュー画像表示の指示操作の変形例を示す図である。図33A〜図33Dは、表示部としての液晶パネルと入力部としてのタッチセンサとで構成されるタッチパネルを用いた場合のマスク領域の指定からプレビュー画像の表示の指示を行うまでの表示を示している。図33Aは、全周囲画像上でマスク領域が指定された例を示す図である。ユーザは、まず全周囲画像が表示されたタッチパネルにピンチイン操作を行うことで、マスク領域を指定する。ここでは、上記の実施の形態と同様に、ピンチイン操作により指定された2点を頂点とする、垂直方向及び水平方向の辺からなる矩形の領域がマスク領域となる。
図33Bは、全周囲画像上で切出し範囲が指定された例を示す図である。ユーザは、マスク領域が重畳された全周囲画像に対して、ピンチアウト操作を行うことで、切出し範囲を指定する。ここでは、切出し方向を半径方向としたときに、ピンチアウト操作により指定された2点が切出し補正画像において対角の2頂点となる形状が切出し範囲となる。図33Cは、全周囲画像上でプレビュー画像の表示が指示された例を示す図である。ユーザが、このマスク領域又は切出し領域に対してフリック操作をすると、全周囲画像に対してマスク領域にてマスク処理が施された切出し補正画像が表示される。図33Dは、プレビュー画像の表示例を示す図である。この変形例のプレビュー画像では、切出し歪補正画像を含む吹き出しはなく、切出し歪補正画像がそのまま全周囲画像に重畳されて表示される。また、プレビュー画像では、フリック操作によってはじかれた先の位置に切出し歪補正画像が配置される。
この変形例のように、プレビュー画像は、全周囲画像と切出し歪み画像とを同時に表示するものであれば、上記の実施の形態の例に限られない。例えば、全周囲画像と切出し歪補正画像とが並列に並べられてもよい。
また、上記の実施の形態では、全周囲画像に対しては、マスク領域を示すために、マスク枠を重畳し、切出し歪補正画像では、マスク領域を示すために、実際にマスク領域においてマスク処理をしたが、本発明はこれに限られない。全周囲画像上のマスク領域を示すために、全周囲画像のマスク領域がマスク処理されてよく、切出し歪補正画像におけるマスク領域を示すために、切出し歪補正画像にマスク枠が重畳されてもよい。
また、上記の実施の形態では、ユーザにマスク領域を指定させるために全周囲画像上で始点と終点の2点を指定させて、全周囲画像上でその2点を対角の頂点とする垂直方向及び水平方向の辺からなる矩形をマスク領域としたが、本発明はこれに限られない。例えば、全周囲画像上で2点を指定することにより、切出し歪補正画像においてその2点を2つの頂点とする垂直方向及び水平方向の辺からなる矩形となる領域を求めて、それに対して切出し歪補正の逆変換補正を行って、全周囲画像上でのマスク領域を求めて、それを全周囲画像上に重畳するようにしてよい。この場合には、ユーザは、全周囲画像上で2点を指定するが、全周囲画像上では、指定した処理領域として、その2点を対角の頂点とする矩形は表示されず、歪な領域(切出し歪補正後に矩形となる)が重畳されることになる。また、指定するマスク領域が矩形に限られないのはいうまでもない。
さらに、上記の実施の形態では、全周囲画像の2点を指定することでマスク領域の指定が行われたが、本発明はこれに限られない。マスク領域の大きさ及び形状は予め決められていてもよく、この場合には、ユーザはマスク領域の指定として、その所定の大きさ及び形のマスク領域の全周囲画像上での位置を指定するための1点の指定のみでよい。
また、上記の実施の形態では、全周囲画像上でマスク領域の指定を行うと、そのマスク領域でマスク処理がされた切出し歪補正が全周囲画像と合成されて、プレビュー画像が生成されたが、本発明はこれに限られない。例えば、先に、切出し歪補正画像が表示されていて、その切出し歪補正画像上で、マスク領域を指定することにより、切出し歪補正画像においてその指定されたマスク領域が示されるとともに、そのマスク領域を示すマスク枠でマスク処理がされた全周囲画像と切出し歪補正画像とが合成されて、表示されてもよい。
また、上記の実施の形態では、切出し範囲が予め決められている例、及び切出し範囲がマスク領域の指定に基づいて決定される例を説明したが、切出し範囲は、別の方法で決定されてもよい。例えば、マスク領域の指定とは独立したユーザによる切出し範囲の指定を受けて、切出し範囲を決定してよい。また、切出し範囲の位置は固定されていても、移動するものであってもよい。また、プレビュー画像を表示してそれを「キャンセル」してマスク領域の指定をし直すごとに、異なる切出し範囲が設定されてもよい。
また、上記の実施の形態では、プレビュー画像には、全周囲画像上で指定されたマスク領域についてマスク処理が施された1つの切出し歪補正画像が全周囲画像と合成されたが、プレビュー画像において、マスク領域にマスク処理が施された切出し歪補正画像が複数表示されてもよい。即ち、全周囲画像上で1つのマスク領域が指定された場合にも、切出し範囲が異なる場合には、それぞれの切出し範囲の切出し歪補正画像上で、マスク領域は異なる形状になるので、切出し範囲が複数種類ある場合には、プレビュー画像は、それらの複数の切出し範囲に対応する複数の、マスク領域にてマスク処理がされた切出し歪み画像を全周囲画像とともに表示するものであってよい。また、全周囲画像において、複数のマスク領域が指定された場合に、それぞれのマスク領域について、上記と同様の処理を行って、複数の切出し歪補正画像を含むプレビュー画像を生成してよい。
また、上記の実施の形態では、マスク処理は、プライバシー保護のための処理であり、処理範囲を黒く塗りつぶす処理であったが、これに限られず、例えばマスク領域の解像度を低くする(例えばモザイク処理)等、他の情報量を減らす処理によってプライバシーを保護してもよい。また、マスク処理として、重要な範囲を処理範囲として指定して、この処理範囲について優先的に符号量を割り当てて、低速の通信網でも当該処理範囲について優先的に画質を確保するROI(Region Of Interest)処理を行ってもよい。
また、上記の実施の形態では、全周囲撮像部が、有歪み画像として、魚眼レンズを用いて全周囲画像を撮像し、画像表示システムはこの全周囲画像を取得したが、有歪み画像は、補正可能な歪みを有する画像であれば、全周囲画像に限られない。
3.第7の実施の形態
次に、本発明の第7の実施の形態の撮影システムを説明する。図35は、本発明の実施の形態の撮影システムを示すブロック図である。図35に示すように、撮影システム107は、カメラ170と、ビューワ270と、画像処理装置370とを備えている。画像処理装置370には、カメラ170及びビューワ270が接続されている。
カメラ170は、画像処理装置370において画像処理の対象となり、ビューワ270で表示の対象となる画像を撮影する。カメラ170は、撮影対象を撮影するように所定の箇所に固定される。
ビューワ270は、カメラ170において撮影されて、画像処理装置370にて画像処理された画像をユーザが閲覧するための装置である。ビューワ270は、例えばパーソナルコンピュータであってよく、携帯端末であってもよい。カメラ170が監視カメラである場合は、カメラ170は監視対象箇所を撮影できるように設置され、ビューワ270は画像を監視する者によって利用される。
撮影システム107は、カメラ170とビューワ270との間に配置され、カメラ170及びビューワ270のそれぞれと接続される。画像処理装置370は、カメラ170及びビューワ270と有線で接続されてよく、無線で接続されてもよい。また、画像処理装置370は、その一部又は全部の構成がカメラ170又はビューワ270に備えられていてもよい。
カメラ170は、全周囲撮像部171を備えている。全周囲撮像部171は、広角レンズの一種である魚眼レンズを有する撮像系である。この全周囲撮像部171によって、円形の全周囲画像が撮影される。この全周囲画像は、例えば立体射影、等距離射影、等立体角射影、正射影などの射影方式を持つ魚眼レンズによって撮像された有歪み画像である。全周囲撮像部171は、撮影された画像を画像処理装置370に出力する。なお、全周囲撮像部171が撮影して出力する画像は、静止画像であっても動画像であってもよい。
ビューワ270は、入力部272及び画像表示部271を備えている。入力部272は、マウス、タッチパネル等の入力装置を用いて、各種の入力を行う。本実施の形態では、特に、カメラ170で撮影された全周囲画像上で位置指定の入力を行い、また、範囲確定の入力を行う。
画像表示部271は、画像処理装置370から出力される画像を表示する。画像表示部271は、例えば液晶表示パネルであってよい。画像表示部271は、後述する範囲指定モード時にはユーザが処理範囲を指定するためのプレビュー画像を表示し、後述する通常モード時には処理範囲に処理が施された通常画像を表示する。
画像処理装置370は、表示切替部371、範囲処理部372、範囲記憶部373、範囲重畳部374、確定判断部375、歪補正部376、画像出力部377、範囲計算部378、及び範囲指定部379を備えている。画像処理装置370は、通常モードと範囲指定モードのいずれかで動作する。通常モードは、カメラ170で撮影された画像をビューワ270で表示するためのモードであり、範囲指定モードは、処理範囲を決定するためのモードである。
表示切替部371は、カメラ170の全周囲撮像部171にて撮影された全周囲画像の入力を受けて、この全周囲画像の出力先を決定する。表示切替部371は、通常モード時には入力画像を範囲処理部372に出力し、範囲指定モード時には入力画像を範囲重畳部374に出力する。また、表示切替部371は、入力画像をいずれの出力先に決定したかを示す情報を画像出力部377に出力する。
通常モードには、さらに、パノラマ画像を表示するモード、複数の切出し歪補正画像を表示するモード、1つの切出し歪補正画像を表示するモード等、複数の表示モードがあり、表示切替部371は、入力画像とともにこの表示モードの情報も範囲処理部372に出力する。
範囲処理部372は、表示切替部371から全周囲画像を取得し、範囲記憶部373に記憶された処理範囲の情報を用いて、全周囲画像中の当該処理範囲に画像処理を施す。本実施の形態では、範囲処理部372は、画像処理として、処理範囲を黒一色で塗りつぶすマスキング処理を行う。よって、処理範囲はマスク領域に相当する。
範囲処理部372は、範囲記憶部373に記憶された処理範囲のうち、表示モードに対応した処理範囲を採用する。また、範囲記憶部373に、複数の表示モードにそれぞれ対応する複数の処理範囲が記憶されている場合において、全周囲画像をそのまま表示するときは、範囲処理部372は、それらの複数の処理範囲の合算(AND処理)で得られる範囲を処理範囲とする。
範囲記憶部373は、範囲処理部372にて画像処理の対象となる処理範囲の情報を記憶している。通常モードに上述のような複数の表示モードがある場合には、範囲記憶部373は、表示モードごとに処理範囲を記憶していている。この処理範囲の情報は、確定判断部375より取得する。
範囲記憶部373は、全周囲画像上での処理範囲の外周(枠)の位置の座標の集合として処理範囲を記憶していてもよく、また、処理範囲の外周(枠)の曲線を示す関数の集合として処理範囲を記憶していてもよい。
図36A及び図36Bは、範囲記憶部373に記憶される処理範囲を示す図である。図36Aは、座標の集合として処理範囲を記憶する場合を示しており、図36Bは、関数の集合として処理範囲を記憶する場合を示している。図36Aの場合には、範囲記憶部373は、処理範囲の外周を構成する全ての点(画素)の座標(x0,y0),(x1,y1),・・・を記憶している。図36Bの場合は、範囲記憶部373は、処理範囲の外周の曲線を示す4つの関数f(x)、g(x)、h(x)、k(x)を記憶している。
範囲重畳部374、確定判断部375、範囲計算部378、範囲指定部379は、範囲指定モードにおいて用いられる。なお、範囲指定モードであるか通常モードであるかは、ユーザがビューワ270の入力部272にて指定して、その情報が画像処理装置370に与えられる。
範囲重畳部374は、範囲指定モードにおいて、表示切替部371から全周囲画像を取得して、これに、確定判断部375から出力された未確定の処理範囲を示す画像情報を重畳して、画像出力部377に出力する。なお、本実施の形態では、処理範囲を示す画像情報は、処理範囲を囲う線分であるが、これに限らず、処理範囲を塗りつぶしたもの等、他の画像情報であってもよい。
範囲指定部379は、範囲指定モードにおいて、ビューワ270の画像表示部271において全周囲画像がプレビュー画像として示されている場合において、ユーザが入力部272によってその全周囲画像上で指定した座標を取得し、範囲計算部378に出力する。
図37A及び図37Bは、ユーザによる範囲の指定を説明する図である。図37Aは、範囲指定の開始を説明する図であり、図37Bは、範囲指定の途中もしくは確定を説明する図である。ユーザは、画像表示部271に、範囲指定用のプレビュー画像としての全周囲画像が表示されている場合に、その全周囲画像上で処理範囲を指定する。本実施の形態では、入力部272がマウスでポインタを移動させる装置であり、このような入力部272を用いて始点及び終点を指定する。
ユーザは、歪補正後に矩形となる範囲における対角の2つの頂点を指定する。具体的には、ユーザは、入力部272を用いて、図37Aに示すように、始点としたいと箇所にポインタを合わせてクリックし、そのまま図37Bに示すように、終点としたい箇所にドラッグする。終点としたい箇所でドラッグを終了すると、そのときのポインタの位置が終点となり、この操作によって始点と終点が確定される。ドラッグの最中には、図37Bに示すように、始点とドラッグされているポインタの位置である終点とから求められる処理範囲がプレビュー画像に重畳表示される。範囲指定部379は、ユーザがポインタをドラッグ中は始点及びドラッグされているポインタの位置である終点の座標を、ドラッグを終了した時は始点及び確定された終点の座標を範囲計算部378に出力する。
範囲計算部378は、範囲指定部379から取得した始点及び終点の座標を用いて、歪補正後に矩形となる全周囲画像上での範囲を算出する。範囲指定部379にて指定された2点を対角の頂点とする歪補正後に矩形となる形状の全周囲画像における形状は、歪補正のパラメータ、即ち歪補正の方法(パノラマ補正、切出し歪補正、など)や切出し歪補正の場合は歪補正の対象となる位置(切出しの中心)及び画角(ズーム倍率)に応じて異なってくる。
従って、指定された2点を対角の頂点とする矩形の全周囲画像における形状を算出するためには、全周囲画像の歪補正のパラメータ(以下、「歪補正パラメータ」という。)の情報が必要となる。歪補正パラメータは、例えば、歪補正の方法(パノラマ補正、切出し歪補正、など)や切出し歪補正の場合は歪補正の対象となる位置(切出しの中心)及び画角(ズーム倍率)である。
範囲計算部378は、歪補正方法が切出し歪補正であり、その切出し位置が予め固定されたものであれば、その切出し位置の情報を予め有していてもよい。予め固定された切出し位置が複数ある場合には、範囲計算部378は、それぞれの表示範囲についてその情報を有していてよい。このような固定的な切出し位置は扉に出入りする人を監視するような場合に扉に対応する位置で常に切出し歪補正を行う場合などに使われる。歪補正パラメータをユーザが指定する場合には、歪補正パラメータについての入力部272に対するユーザの入力を範囲指定部379を介して取得して、それに基づいて歪補正パラメータを決定してもよい。なお、これらの歪補正パラメータは、歪補正部376でも共有されており、通常モードでは、歪補正部376は、これらの歪補正パラメータにもとづいて歪補正を行う。
処理範囲の計算を行う際に用いる歪補正パラメータは、ユーザによって指定された処理範囲の指定に基づいて決定してもよい。図38A及び図38Bは、処理範囲の指定に基づいて表示範囲を決定する処理を示す図である。図38Aは、全周囲画像上で指定された処理範囲の始点及び終点を示す図であり、図38Bは、図38Aに示す処理範囲を切出し歪補正後の画像上で示す図である。
図38Aに示すように、上述した方法で、歪補正後に矩形となる処理範囲の対角の2つの頂点を指定されると、範囲計算部378は、この2点の中間点を中心とするように歪補正パラメータの切出し位置を決定する。切出し画角(ズーム倍率)は、固定であってよいし、始点と終点との間の距離に応じて決定されてもよい。例えば、始点と終点とを結ぶ線が切出し領域の対角線の一定割合となるようにしてよい。図38A及び図38Bの例では、始点と終点とを結ぶ線が切出し領域の対角線の70%となり、かつ、始点と終点との中点が切出し領域の中心となるように、歪補正パラメータが決定されている。なお、始点と終点とを切出し領域の対向する2つの頂点(角)とする場合は、処理範囲と切出し領域とが一致することになり、この場合には、切出し領域全体に対して範囲処理部372による画像処理が行われることになる。
範囲計算部378は、上記のようにして歪補正パラメータが決定された上で、範囲指定部379から始点及び終点の座標を取得すると、この歪補正パラメータと処理範囲の始点及び終点の情報を用いて、全周囲画像における処理範囲を計算する。この処理範囲は、歪補正パラメータにもとづいて歪補正がされて表示された場合に矩形となる範囲である。
範囲計算部378は、表示モードが複数ある場合には、それぞれの表示モードでの歪補正パラメータについて、歪補正後に矩形となる範囲を算出する。図39は、プレビュー画像に重畳表示された処理範囲を示す図である。以下では、歪補正パラメータとして、第1の歪補正パラメータ(例えば、任意の一部範囲の切出し歪補正画像)と第2の歪補正パラメータ(例えば、パノラマ画像)があるとする。
範囲計算部378は、始点及び終点の情報を得ると、第1及び第2の歪補正パラメータの各々に基づいた補正を行った後に矩形となるような処理範囲を計算する。
範囲計算部378は、第1の歪補正パラメータによる座標変換された始点及び終点を対角の頂点とする第1の矩形を求める。範囲計算部378は、この第1の矩形に対して、先に行われた第1の歪補正パラメータによる座標変換の逆変換を行う。この場合に、範囲計算部378は、第1の歪補正パラメータが示す座標変換方法の変換関数の逆関数を用いて、座標変換を行う。これにより、第1の矩形は歪んだ形状になる。この歪んだ形状が、図39に示す全周囲画像における第1の処理範囲CA1となる。
範囲計算部378は、第2の補正パラメータによる座標変換された始点及び終点を対角の頂点とする第2の矩形を求める。範囲計算部378は、この第2の矩形に対して、先に行われた第2の歪補正パラメータによる座標変換の逆変換を行う。これにより、第2の矩形は歪んだ形状になる。この歪んだ形状が、図39に示す全周囲画像における第2の処理範囲CA2となる。
確定判断部379は、ユーザが終点を確定していない場合(マウスをドラッグ中など)は、範囲計算部378で算出された処理範囲を範囲重畳部374に出力し、ユーザが入力部272に対して行った確定アクション(マウスのドラッグを終了するなど)を受け取ると、その時点で範囲計算部378が算出している処理範囲を範囲記憶部373に記憶させる。
範囲重畳部374は、範囲指定モード時に、表示切替部371から入力画像(全周囲画像)を受け取り、これに、確定判断部375より出力された処理範囲を重畳して画像出力部377に出力する。上記のように、範囲計算部378にて複数の表示範囲に対応する複数の処理範囲が計算されている場合には、範囲重畳部374は、これらの複数の処理範囲をすべて全周囲画像に重畳する。
歪補正部376は、通常モードにおいて用いられる。通常モードでは、表示切替部371に入力された全周囲画像が範囲処理部372に出力され、範囲処理部372にて範囲記憶部373に記憶された処理範囲について画像処理が行われ、そのような部分的に画像処理が施された全周囲画像が歪補正部376に入力される。
歪補正部376は、入力された全周囲画像(処理範囲について画像処理がされている)に対して、歪補正を行い、歪補正画像を生成する。表示モード即ち歪補正方法が複数通りあり、範囲記憶部373に複数の表示モードに対応した複数通りの処理範囲が記憶されている場合には、範囲処理部372は、表示モードに応じた処理範囲を読み出して、その処理範囲について画像処理を施す。また、切出し歪補正を行う場合は、切り出し中心が処理範囲を求めた際と異なる場合があるが、その場合には処理範囲は切出し領域の中心から外れた場所に位置し、わずかに歪んだ矩形となる。また、処理範囲を計算する際に複数の切出し中心に基づいた処理範囲を求めている場合には、歪補正部376が用いている切出し中心に最も近い切出し中心で計算された処理範囲について画像処理を施すとよい。
そして、歪補正部376においても、この表示モードに対応した表示範囲での切出し及び歪補正を行う。表示モードがパノラマ画像を表示するモードである場合は、この切出し歪補正画像はパノラマ画像であり、表示モードが任意の一部範囲を切出して表示するモードである場合は、この切出し歪補正画像は、当該一部範囲を切り出して歪補正をした画像である。歪補正部376で生成された切出し歪補正画像は、画像出力部377に出力される。
画像出力部377は、範囲指定モードでは、範囲重畳部374から出力された画像をビューワ270の画像表示部271に出力し、通常モードでは、歪補正部376から出力された画像をビューワ270の画像表示部271に出力する。画像出力部377は、範囲重畳部374から出力された画像及び歪補正部376から出力された画像のいずれを出力するか、即ち、範囲指定モードであるか通常モードであるかの情報を表示切替部371より取得する。
画像表示部271は、範囲指定モード時には、画像出力部377から出力された画像をプレビュー画像として表示し、通常モード時には、画像出力部377から出力された画像を一部範囲に画像処理が施された通常画像として表示する。
図40A及び図40Bは、通常モードにおける画像表示部271の表示例を示す図である。図40Aは、全周囲画像の任意の一部範囲を切出して補正した切出し歪補正画像を表示する例を示し、図40Bは、全周囲画像の右半分をパノラマ展開したパノラマ画像を表示する例を示している。
図40Aに示すように、図39において全周囲画像に重畳された第1の処理範囲CA1は、切出し歪補正画像において矩形となっており、この矩形の処理範囲にマスキング処理が施されている。また、図40Bに示すように、図39において全周囲画像に重畳された第2の処理範囲CA2は、パノラマ画像において矩形となっており、この矩形の処理範囲にマスキング処理が施されている。
次に、画像処理装置370の動作について説明する。図34は、画像処理装置370の動作を示すフロー図である。まず、表示切替部371は、全周囲撮像部171から全周囲画像を入力すると(ステップS341)、範囲指定モードであるか通常モードであるかを判断する(ステップS342)。
範囲指定モードである場合は(ステップS342にて「範囲指定モード」)、表示切替部371は、範囲重畳部374に全周囲画像(入力画像)を出力して、この全周囲画像が範囲重畳部374から画像出力部377を介して画像表示部271にてプレビュー画像として表示されるとともに、このプレビュー画像を用いて入力部272によって指定された処理範囲を指定するための始点及び終点の情報が、範囲指定部379に入力される(ステップS343)。
範囲計算部378は、範囲指定部379に入力された始点及び終点の情報及び表示範囲の情報を用いて、始点及び終点の座標変換を行い、座標変換された始点及び終点を対角の頂点とする矩形を求め、この矩形に対して元の座標変換の逆変換を行うことで、処理範囲を計算する(ステップS344)。
範囲確定部375は、範囲が確定されたか否かを判断し(ステップS345)、確定されていない場合には(ステップS345にてNO)、範囲計算部378にて算出された処理範囲の外周を示す線分を範囲重畳部374に出力し、範囲重畳部374は、この線分を表示切替部371から入力された全周囲画像に重畳(合成)する(ステップS346)。この処理範囲を示す線分が重畳された全周囲画像は、画像出力部377を介して画像表示部271に出力されて、画像出力部377に表示される(ステップS347)。この表示画像の例が図37である。
ユーザは、処理範囲を示す線分が重畳されたプレビュー画像を確認しながら、その処理範囲でよいか否かを判断して、入力部272を用いて、その処理範囲を確定するアクション(マウスのドラッグを終了する)及び範囲指定を継続するアクション(そのままマウスのドラッグを継続する)のいずれかを行う。処理範囲が確定しておらず、ステップS345からステップS346を経てステップS347の処理が終了した後には、ステップS343に戻って、ユーザに新たな終点を指定させる。
範囲確定部375は、処理範囲が確定すると(ステップS345にてYES)、この処理範囲の情報を範囲記憶部373に出力して、範囲記憶部373にこの処理範囲を記憶させる(ステップS348)。ステップS348の後は通常モードとなる。ステップS348を経て通常モードとなった場合、及びステップS342にて通常モードと判断された場合は、範囲処理部372は、範囲記憶部373から入力された処理範囲を、表示切替部371から入力された全周囲画像に適用して、その処理範囲について画像処理を行う(ステップS349)。
歪補正部376は、範囲処理部372にて処理領域について画像処理が施された全周囲画像を取得して、その全周囲画像から表示範囲を切出して歪補正を行い、切出し歪補正画像を生成する(ステップS350)。画像出力部377は、歪補正部376にて生成された切出し歪補正画像を画像表示部31に出力し、画像表示部271はこれを表示する(ステップS351)。この表示画像の例が、図40Aや図40Bである。
以上のように、本実施の形態の撮影システムによれば、ユーザが、全周囲画像上で処理範囲とすべき範囲の対角の2頂点を指定すると、全周囲画像を歪補正部376で歪補正した場合に当該指定された2点を対角の2頂点とする矩形範囲となる範囲を、全周囲画像上に表示するので、ユーザは、全周囲画像に歪補正がされた場合に矩形となる処理範囲を、全周囲画像上で処理範囲を確認できる。また、ドラッグ中のマウスのポインタの位置における処理範囲が表示されるため、現在の位置を終点として確定した場合にユーザの望む画像上の位置が処理範囲内に入っているかどうかを確認することができる。また、複数の歪補正の方法がある場合(即ち、複数の表示モードに対応した複数の表示範囲がある場合)には、それぞれの表示モードに対応した歪補正によって矩形となるそれぞれの処理範囲を全周囲画像上で同時に確認できる。これによってどのような表示モードにした場合でもユーザの望む画像上の位置が処理範囲に入っているかどうかを確認することができる。
以上、本発明の第7の実施の形態を説明したが、上記の実施の形態は、本発明の範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記の実施の形態では、処理範囲の内側に対して画像処理を施したが、処理範囲の外側に画像処理を施してもよい。例えば、画像を得たい範囲を処理範囲として指定して、この処理範囲については画像処理をせずに、その周囲にマスキング処理を施してもよい。また、重要な範囲を処理範囲として指定して、この処理範囲について優先的に符号量を割り当てて、低速の通信網でも当該処理範囲について優先的に画質を確保するROI(Region Of Interest)処理を行ってもよい。
さらに、歪補正部376において切出す範囲を範囲指定部379にて指定された範囲に基づいて決定してよく、その場合に、指定された範囲全体を処理範囲としてよいことを上述したが、この場合に、この処理範囲を歪補正部376において切出し処理を行う範囲としてよい。この場合には、範囲処理部372は画像処理として、処理範囲の切り出しを行い、歪補正部376は、範囲記憶部373から取得した切り出された範囲の画像に対して歪補正を行う。
また、上記の実施の形態では、範囲計算部378は、歪補正後に矩形となる処理範囲を算出したが、歪補正後の処理範囲は、円、楕円等の他の種類の形状であってもよい。また、歪補正後の処理範囲が矩形以外の種類の形状である場合に、ユーザは3点以上の点を、処理範囲を計算するための点として指定してよい。さらに、処理範囲の形状及び大きさを固定とした場合には、ユーザは、その位置のみを指定してもよい(例えば中心を示す1点のみを指定してよい)。
また、ユーザによる範囲指定が確定し範囲記憶部373に処理範囲の情報が保存された後に、ユーザが入力部272を使用してこの保存された処理範囲に対する操作を行って、プレビュー画像上で処理範囲を変形させることで、処理範囲の指定を変更するようにしてよい。なお、この場合にも、変形される処理範囲は、常に歪補正後に矩形等の所定の種類の形状となる形状に変形される。
また、上記の実施の形態では、全周囲撮像部171が、有歪み画像として、魚眼レンズを用いて全周囲画像を撮影し、画像処理装置370はこの全周囲画像を取得したが、有歪み画像は、補正可能な歪みを有する画像であれば、全周囲画像に限られない。
4.第8の実施の形態
次に、本発明の第8の実施の形態を説明する。上述のように、全周囲画像はパノラマ画像に変形することができる。また、全周囲画像の一部を切出して補正して表示することもできる。この場合、切出し位置をリアルタイムに変化させることで、PTZカメラとして機能することができる。このように、全周囲画像については複数の表示方法を持つことができる。また、ビデオカメラでは、任意の範囲を指定し、その範囲に画像処理を行うことがある。例えば、プライバシー保護のためのマスク処理などがこれに当たる。
しかしながら、例えば特許文献2に記載の技術のように、歪を有する画像に対してこのような任意の範囲を指定する方法で範囲指定を行うと、歪補正の有無や表示方法の違い、また画像の切出し位置によって範囲の形状が変化することになる。この状態ではユーザからは範囲指定の方法が難しく、指定された範囲の位置も判り難い表示になる。さらに、特許文献2に記載の技術では、歪補正前後で多量の座標を投影する必要があり、情報の処理量が増大するという問題がある。
そこで、本実施の形態では、ユーザの範囲指定の容易さの向上と、歪補正前後における範囲共有の情報処理量を低減できる撮影システムを説明する。
図42は、本発明の第8の実施の形態の撮影システム108の構成を示すブロック図である。図42に示すように、画像処理装置380には、カメラ180及びビューワ280が接続されており、撮影システム108を構成している。
カメラ180は、画像処理装置380において画像処理の対象となり、ビューワ280で表示の対象となる画像を撮影する。カメラ180は、撮影対象を撮影するように所定の箇所に固定される。
ビューワ280は、カメラ180において撮影されて、画像処理装置380にて画像処理された画像をユーザが閲覧するための装置である。ビューワ280は、例えばパーソナルコンピュータであってよく、携帯端末であってもよい。カメラ180が監視カメラである場合は、カメラ180は監視対象箇所を撮影できるように設置され、ビューワ280は画像を監視する者によって利用される。
画像処理装置380は、カメラ180とビューワ280との間に配置され、カメラ180及びビューワ280のそれぞれと接続される。画像処理装置380は、カメラ180及びビューワ280と有線で接続されてよく、無線で接続されてもよい。また、画像処理装置380は、その一部または全部の構成がカメラ180またはビューワ280に備えられていてもよい。
カメラ180は、全周囲撮像部181を備えている。全周囲撮像部181は、広角レンズの一種である魚眼レンズを有する撮像系である。この全周囲撮像部181によって、円形の全周囲画像が撮影される。この全周囲画像は、例えば立体射影、等距離射影、等立体角射影、正射影などの射影方式を持つ魚眼レンズによって撮像された有歪み画像である。全周囲撮像部181は、撮影された画像を画像処理装置380に出力する。なお、全周囲撮像部181が撮影して出力する画像は、静止画像であっても動画像であってもよい。
ビューワ280は、入力部282及び画像表示部281を備えている。入力部282は、マウス、タッチパネル等の入力装置を用いて、各種の入力を行う。本実施の形態では、特に、カメラ180で撮影された全周囲画像上で位置指定の入力を行う。
画像表示部281は、画像処理装置380から出力される画像を表示する。画像表示部281は、例えば液晶表示パネルであってよい。画像表示部281は、後述する範囲指定時にはユーザが処理範囲を指定するための画像を表示し、後述する画像表示時には処理範囲に処理が施された画像を表示する。
画像処理装置380は、画像取得部381、歪補正部382、範囲適用部383、画像処理部384、表示設定部385、範囲生成部386、位置指定部387、位置記憶部388、座標投影部389を備えている。画像処理装置380はカメラ180で撮影された画像からビューワ280で表示するための画像を作成する機能と、処理範囲の指定を行う機能との、2つの機能を備えている。
画像取得部381は、カメラ180の全周囲撮像部181にて撮影された全周囲画像を取得する。
歪補正部382は、画像取得部381にて取得した全周囲画像に歪補正を行う。歪補正には複数の補正処理が想定され、歪補正パラメータによって補正方法が決まる。図49Aは、従来の全周囲画像の例を示す図であり、図49Bは、従来の全周囲画像のパノラマ画像を表示する例を示す図であり、図49Cは、従来の全周囲画像とともに複数の切出し範囲の切出し画像を並べて表示する例を示す図である。例えば、図49Aの全周囲画像に対して、図49Bに示すような全周囲画像から複数の範囲を切出して補正を行う方法(以下、切出し歪補正と呼ぶ)や、図49Cに示すように、全周囲画像のうち180度分を使用したパノラマ画像を生成し並べて表示する方法(以下、パノラマ補正またはパノラマ展開と呼ぶ)などがある。なお、歪補正を行わず全周囲画像のまま出力してもよい。本実施の形態では、歪補正部12は切出し歪補正またはパノラマ補正で処理を行い、画像を出力する。なお、歪補正パラメータとしては、歪補正の方法とその方法において必要なパラメータ(例えば切出し歪補正では切出し位置と大きさ)などである。
表示設定部385は、歪補正部382で行う歪補正の歪補正パラメータの設定を行う。また、歪補正を行わない場合には歪補正パラメータを設定しない。表示設定部385で設定された歪補正パラメータは歪補正部382、範囲生成部386、座標投影部389に受け渡される。
範囲適用部383は、歪補正部382から歪補正が行われた画像を取得し、その画像に範囲生成部386が生成した範囲情報を付加して出力する。この付加された範囲情報は任意の画像処理の処理範囲として使用される。なお、範囲生成部386が範囲情報を生成していない場合、入力画像をそのまま出力する。
画像処理部384は、範囲適用部383から範囲情報が付加された画像を取得し、前記範囲情報の範囲に任意の画像処理を行う。画像処理は、範囲情報の逆の範囲に適用してもよい。本実施の形態では、画像処理部384は、画像処理として、処理範囲を黒一色で塗りつぶすプライバシーマスク処理を行う。よって、処理範囲はマスク領域に相当する。
位置指定部387は、入力部282での入力にもとづいて表示画像上の座標情報を送信する。本実施の形態では、位置情報は画像表示部281で表示される画像上の一点の座標値となる。
座標投影部389は、位置指定部387から入力された表示画像上の座標情報を、表示設定部385の歪補正パラメータにもとづいて、全周囲画像上の座標情報に変換する。
位置記憶部388は、座標投影部389から入力された全周囲画像上の座標情報(以下、「位置情報」と呼ぶ)を記憶する。本実施の形態では位置記憶部388は全周囲画像上での直行座標系における一点の位置座標を記憶する。前記位置情報は極座標系などの、他の座標系を用いてもよく、各表示設定で共有できる位置情報のテーブルとして保持してもよい。
範囲生成部386は、位置記憶部388に記憶された位置情報と表示設定部385の歪補正パラメータに基づいて、特定の位置に予め定められた形状の範囲情報を生成する。本実施の形態では、位置記憶部388に記憶された全周囲画像上の位置座標を歪補正パラメータに基づいて歪補正された画像上の座標系に変換し、その位置座標を中心とする固定された半径の円を範囲情報として生成する。
次に、画像処理装置380の動作について説明する。画像処理装置380の動作は、画像表示と範囲設定の2つの動作がある。はじめに画像表示の動作について説明する。図43は、本発明の第8の実施の形態の画像表示装置の処理を示すフロー図である。画像取得部381がカメラ180から入力された全周囲画像を歪補正部382に出力すると(ステップS431)、歪補正部382は表示設定部385から受信する歪補正パラメータの有無を判断する(ステップS432)。
歪補正パラメータが有りの場合、歪補正部382は歪補正パラメータにもとづいて歪補正処理を行う(ステップS433)。歪補正パラメータが無い場合、ステップS433は省略され、次のステップS434に移行する。
次に、位置記憶部388の位置情報の有無を判断する(ステップS434)。位置記憶部388の位置情報は後述する範囲設定動作を行った場合に生成されるものである。すでに範囲設定が行われ位置情報がある場合は、範囲生成部386が前記位置情報に応じた範囲情報を出力し、範囲適用部383にて範囲情報が歪補正部382から出力された映像に付加される(ステップS435)。範囲設定が行われていない、もしくは設定がリセットされたなど位置情報が無い場合は、範囲情報の付加は行われない。
ここで、範囲情報生成の詳細について説明する。図44は、本実施の形態の範囲生成部の処理を示すフロー図である。はじめに、範囲生成部386が位置記憶部から位置情報を取得する(ステップS441)。本実施の形態では、この位置情報は全周囲画像上の一点の座標である。次に、範囲生成部386は表示設定部385から歪補正パラメータの有無を判断する(ステップS442)。
歪補正が有りと判断された場合は、範囲生成部386は表示設定部385から取得した歪補正パラメータに基づいて、位置情報を変換する。本実施の形態では、全周囲画像上の座標を歪補正された画像での座標へと変換を行う(ステップS443)。歪補正が無しと判断された場合は、ステップS443は経由せずにステップS444に進む。続いて範囲生成部386は最終的に得られた位置情報を基点とし、予め定めたれた形状の範囲情報を生成する(ステップS444)。本実施の形態では、最終的に得られた歪補正後の座標を中心とした予め定められた半径の円を範囲情報として形成する。ここで、歪補正パラメータが無い場合における最終的に得られた位置情報とは全周囲画像上の座標(位置記憶部388が保持していた位置情報のまま)を意味する。
再び画像処理装置380のフロー図の説明に戻る。範囲適用部383から出力された画像は画像処理部384に入力され、画像に付加された範囲情報が示す処理範囲に任意の画像処理を適用する(ステップS436)。画像処理が適用された画像は画像表示部281へ出力され、ユーザに表示される(ステップS437)。
続いて、画像処理装置380における範囲設定の動作について説明する。図45は、本実施の形態における位置情報を生成する処理を示すフロー図である。入力部282からのユーザの入力情報に応じて、位置指定部387は画像表示部281に表示されている画像上の位置情報を出力する(ステップS451)。座標投影部389は表示設定部385の設定情報を受け取り、歪補正パラメータの有無を判断する(ステップS452)。
前記設定情報が、歪補正パラメータが有りの場合、座標投影部389は歪補正パラメータを元に、位置情報を歪補正前の全周囲画像上の座標に変換する(ステップS453)。S452で歪補正パラメータが無しと判断された場合は、位置情報の必要はないので、ステップS453は実行せずにステップS454に進む。最後に、全周囲画像上の座標を位置情報として位置記憶部に保持する(ステップS454)。
図46は、本実施の形態の画像処理の例を示す図である。図46を用いて、画像に対して範囲指定を行い、画像処理が行われた画像を表示する例について説明する。歪補正画像510は、歪補正部382が全周囲画像520の複数個所について切出し歪補正を行った画像である。この歪補正画像510に対してユーザが入力部282を通じ範囲指定のための位置511を指定する。
次に座標投影部389は、全周囲画像520から切出し歪補正画像510を作成するための歪補正パラメータを用いて、指定された位置511を全周囲画像上520の座標521に変換する。続いて、位置記憶部388は変換された座標521を記憶する。
続いてユーザが歪補正パラメータとしてパノラマ展開を選択したとする。表示設定部15は歪補正パラメータを切出し歪補正からパノラマ展開に変更する。歪補正部382はパノラマ展開を行ったパノラマ展開画像530を作成する。また、範囲生成部386は位置記憶部388から読み出した座標521と歪補正パラメータとを用いて、パノラマ展開画像上での座標531を求める。続いて、予め定められた形状である円を座標531が中心になるように範囲532を生成する。
続いて、範囲適用部383は生成された範囲532をパノラマ展開画像530に適用する。さらに画像処理部384が範囲532に対してプライバシー処理を施す。最後に画像表示部281が、プライバシー処理が施された画像を表示する。なお、位置511を指定する際に、予め定められた形状である円を座標511が中心になるように表示してもよい。
以上のように、本実施の形態の画像処理装置380によれば、ユーザが歪補正された画像上の1点を指定するだけで画像中の任意の範囲に対して画像処理を行うことができる。その際に、画像処理される範囲は歪補正の有無やパラメータによらず同じ形状となりユーザにとって分かりやすい画像表示を実現することができる。
以上、本発明の第8の実施の形態を説明したが、上記の実施の形態は、本発明の範囲内で種々の変形が可能である。例えば、範囲として円形以外の形状を用いてもよい。図47A及び図47Bは、本発明の第8の実施の形態の範囲情報の例を示す図である。図47Aに範囲の形状として円、正方形、正三角形、正六角形を用いる場合を示す。図47Bに範囲の形状として楕円、長方形、ひし形を用いる場合を示す。
なお、円以外の形状を範囲として用いる場合は、形状の方向を決定する必要がある。方向を決定する方法としては、例えばユーザが位置指定を行う際に位置に加えて方向も指定する方法が考えられる。図48は、本発明の第8の実施の形態の形状の方向を指定する例を示す図である。710は歪補正部382によって歪補正が行われ表示されている画像であり、その画像上でユーザは範囲指定の位置711と方向712を指定する。指定する方法としては、タッチパネルで位置711をタップし、そこから方向712に沿って指を滑らせる方法などが好適である。図47Aの楕円などにおいては、ユーザに縦横比を決定させてもよい。また滑らせた指をどこで離すかなどの方法で形状の大きさを設定可能にしてもよい。
また、方向を決定する方法として、画像中の決められた方向をデフォルトの方向としてそれに合わせて範囲を設定する方法が考えられる。具体的には、図47A中の矢印が、画像の鉛直方向と一致するように形状の方向を決定すればよい。
さらに、上記の実施の形態では位置情報として全周囲画像上の座標を用いたが、全周囲画像上の1点と対応付けられる情報であれば何でもよい。例えば、歪補正有の場合には歪補正パラメータと歪補正された画像上の座標の両方を位置情報としてもよい。この場合には、歪補正パラメータを用いて、歪補正された画像上の座標を全周囲画像上の座標に対応付けることができる。また、絶対空間での座標に変換してそれを位置情報としてもよい。
さらに、歪補正パラメータのズーム倍率に応じて形状の大きさを変更してもよい。ズーム率が大きい場合(画像中の物体を拡大して表示する場合)は、形状の大きさは小さくし、ズーム率が小さい場合は形状の大きさを大きくする。これにより、ズーム倍率が変わっても画像上の同じ対象について画像処理できるようになる。
また、上記の実施の形態では、全周囲撮像部181が、魚眼レンズを用いて全周囲画像を撮影し、画像処理装置380はこの全周囲画像を取得したが、撮像する画像は補正可能な歪みを有する画像であれば、全周囲画像に限られない。
以上に現時点で考えられる本発明の好適な実施の形態として第1〜第8の実施の形態を説明したが、上記の実施の形態に対して多様な変形が可能であり、そして、本発明の真実の精神と範囲内にあるそのようなすべての変形を添付の請求の範囲が含むことが意図されている。
また、上記において、ある実施の形態、及びある実施の形態について説明された変形例又は他の可能性は、実現可能である限り、他の実施の形態において、追加的に、又は代替して適用され得る。