JPWO2013084760A1 - フッ素樹脂繊維を含んでなるフッ素樹脂系シートおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、フィルタ性能等が格段に向上したフッ素樹脂系シートを提供することを目的としており、該フッ素樹脂系シートは、主繊維と主繊維の繊維径より小さい繊維径を有する副繊維とからなり、同じ主繊維内および/または異なる主繊維間を該副繊維が架橋しており、その架橋点に結節が形成されておらず、該主繊維および該副繊維が、ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕を含むフッ素樹脂繊維からなることを特徴とする。

Description

本発明は、ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕のみからなる繊維、または、PTFEとPTFE以外のフッ素樹脂とを含んでなる繊維(両者をまとめて「フッ素樹脂繊維」ともいう。)を用いて、特定の工程を経て得られたフッ素樹脂系シートおよびその製造方法に関する。
PTFEは、優れた耐薬品性、耐熱性、電気絶縁性を備え、さらに自己潤滑性、非粘着性等の特性を有することから、工業的分野のみならず、日常生活の分野においても広範に使用されている。しかしながら反面これら特性は、PTFEの加工の困難さを示している。すなわち、PTFEは熱可塑性樹脂に分類されるものであるが、一般のプラスチック、例えばポリエチレン、塩化ビニル樹脂等と異なり、非結晶状態となる327℃以上に加熱されても流動性を示さず、従って加熱状態でのスクリュ押出、射出成形、圧延成形等が適用できない。また、PTFE溶液を調製して基材表面に塗布したり、基材の被覆を行おうとしたりしても適当な溶媒が存在せず、また、PTFE成形体を相手基材と接着しようとしても直接の接着を可能にする接着剤も未だ発見されていない。また、PTFE同士あるいはPTFEと他の樹脂等との加熱融着は可能ではあるが、強力な加圧を必要とし、他のプラスチックのように容易に接合することもできない。
現在までに開発されたPTFEの加工法は粉末冶金の方法に類似し、例えば、PTFEを室温付近にて加圧成形したものを327℃以上に加熱して焼結する方法;これ(焼結体)をさらに機械切削や加熱コイニング等で成形する方法;PTFE粉末に液状潤滑剤を混和し、これをラム式押出機にて押出成形した後、乾燥、焼結を行ってパイプ・チューブの製造や電線被覆を行う方法;PTFE系樹脂の水性懸濁液を用いて塗布、浸漬等により基材を被覆した後、焼結する方法などが挙げられる。
また、PTFEを極細繊維(「ナノファイバー」または「ナノ繊維」ともいう。)に加工する場合、特許文献1〜4,7〜10に記載されているような電界紡糸法(「エレクトロスピニング法」「エレクトロデポジション法」「静電紡糸法」もしくは「電気紡糸法」ともいう。)、あるいは、特許文献5,6に記載されているような延伸法を用いることができる。
特許文献1には、ポリエチレンオキシド〔PEO〕を含有するPTFE分散水溶液から電界紡糸法により紡糸した後、焼成と同時にPEOを除去することによって、図1に示すようなナノ繊維を製造する方法が開示されている。特許文献1に記載の製造方法によると、溶液条件、紡糸条件により繊維径、目付け等を調整することができ、特殊装置を用いることで繊維を配向させることも可能である。また材料の複合化が容易であり、高アスペクト比の均一な繊維径を有するナノ繊維を製造することができる。ただし、最小の繊維径は500nm程度が限界である。
特許文献2には、静電紡糸法により形成された繊維径0.001〜1μmの超極細繊維と、メルトブロー法により形成された繊維径2〜25μmの極細繊維とが混在する不織布が開示されており、静電紡糸法により形成された超極細繊維を構成するフッ素系樹脂としてポリフッ化ビニリデン〔PVDF〕が挙げられている(段落[0019])。
特許文献3には、マルチノズル型のエレクトロデポジション法(エレクトロスピニング法)において、隣り合うノズル間の干渉を防止することができ、さらに異なる高分子溶液を同時にデポジションすることができる装置が開示されている。このような装置により製造される高分子ウェブは、繊維が互いに絡まることがあっても、繋がることはない。
特許文献4には、外周部に径の異なる複数種類の小穴がそれぞれ複数形成された一つの回転容器または同心状に一体結合された複数の回転容器内に、高分子物質を溶媒に溶解させた高分子溶液を供給する工程と、回転容器を回転するとともに小穴から流出する高分子溶液に電荷を帯電させ、小穴から流出した高分子溶液を遠心力と溶媒の蒸発に伴う静電爆発にて延伸させて高分子物質からなるナノファイバーを生成する工程とを有する製造方法が開示されている。当該製造方法によると、物性の異なる複数種類のナノファイバーを混合または積層して堆積してなる高分子ウェブを製造することができるが、物性の異なる繊維どうしが繋がる態様は存在しない。
特許文献5には、液状潤滑剤を含む未焼結の4弗化エチレン樹脂(すなわちPTFE)混和物を押出および/または圧延にて成形した後、未焼結状態にて少なくとも一方向に延伸した状態で約327℃以上に加熱する多孔性構造物(図2)の製造方法が開示されている。未焼結の4弗化エチレン樹脂は、押出工程でダイから押出される時やロールで圧延される時や烈しく攪拌を受けた時のように剪断力を受けると、微細な繊維状組織となる傾向がある。液状潤滑剤を含む樹脂はさらに容易に繊維状化する(第2頁右欄9〜13行目)。図2に示すように、太い塊のノード(「結節」ともいう。)と細い繊維のフィブリルが混在しており、ノードの繊維径は数μm〜1μmであり、フィブリルの繊維径は約100nmである。特許文献5に記載の製造方法によると、延伸処理および加熱処理により、繊維の配向は可能である。
特許文献6には、繊維と該繊維によって互いに連結された結節とからなる微細繊維状組織を有するポリテトラフルオロエチレン多孔質体が開示されており、このPTFE多孔質体には網目状に三次元的に連続している繊維の短い部分が存在する。特許文献6には、PTFE多孔質体の製造方法として、先ずPTFE未焼結粉末に液状潤滑剤を混和し、押出し、圧延等により所望の形状に成形する。次に得られた成形体から液状潤滑剤を除去してもしなくてもよく、少なくとも一軸方向に延伸すると、繊維と該繊維によって互いに連結された結節とからなる微細繊維状組織を有するPTFE多孔質体が形成される。
特許文献7には、ポリフッ化ビニリデン〔PVDF〕やポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(段落[0016])等を含有する紡糸溶液から静電紡糸法により繊維集合体を形成した後、この繊維集合体を一方向に延伸処理することによって、一方向に繊維が再配向した繊維シートを製造する方法が開示されている。
特許文献8には、エレクトロスピニング方式を用いて、好ましくは繊維径が500nm以下のナノ繊維からなる連続状フィラメントを連続工程により製造する方法が開示されている。このようなナノ繊維を構成する具体的な高分子として、ポリ(ε-カプローラークトン)高分子(実施例1)、ポリウレタン樹脂(実施例2)、ナイロン6-樹脂(実施例3)が例示されている。
特許文献9には、ナイロン樹脂を含有する高分子紡糸溶液(実施例1等)から電気紡糸方式を用いて、好ましくは繊維径が500nm以下のナノ繊維からなる連続状フィラメントを連続工程により製造する方法が開示されている。
特許文献10には、フィブリルを有する全芳香族ポリアミド繊維とポリエステル樹脂繊維とからなる湿式繊維ウェブに対して非加圧下で赤外線を照射することによって、該全芳香族ポリアミド繊維が、その繊維交点に非繊維状態で凝固したポリエステル樹脂によって固定されている湿式不織布が開示されている。また、該全芳香族ポリアミド繊維の代わりにPTFEを用いることができる旨記載されている(段落[0032])が、実施例等において具体的に示されてはいない。
フッ素樹脂繊維からなるフッ素樹脂繊維シートにおいて、いずれにしろ、PTFEの優れた特性(撥水性、耐熱性、耐薬品性、通音性等)と高い比表面積とを両立させたシート状フィルタについては、更なる改善の余地が認められる。
米国特開2010/0193999 A1号公報 特開2009−057655号公報 特開2009−024293号公報 特開2009−097112号公報 特公昭42−13560号公報 特開平4−353534号公報 特開2005−097753号公報 特表2007−518891号公報 特表2008−519175号公報 特開2005−159283号公報
本発明は、従来のものと比較してフィルタ性能等が格段に向上した、PTFE繊維を含んでなるフッ素樹脂系シートを提供することを目的とする。
本発明者らは、特許文献1に記載の方法で得られたPTFE繊維からなるフッ素樹脂繊維シートを、360℃の電気炉の中でプレスしつつ、該プレス垂直方向に応力を発生させた後、電気炉から取り出して常温・常圧下にてその表面を走査型電子顕微鏡〔SEM〕で観察したところ、例えば図3に示すように、加熱・加圧処理に供されたフッ素樹脂繊維シート(a0)中に存在していた元のPTFE繊維である太い繊維(主繊維)の他に、元のフッ素樹脂繊維シート(a0)中には見られなかった細い繊維(副繊維)が加熱・加圧処理後のフッ素樹脂系シート(a1)には新たに発生しており、しかも、加熱・加圧処理後のフッ素樹脂系シート(a1)では、太い繊維(主繊維)どうしを、新たに生じた細い繊維(副繊維)が結節(またはノード)の無い状態で架橋しており、一部細い繊維同士の、結節の無い状態での架橋も存在していることなどを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明のフッ素樹脂系シートは、主繊維と主繊維の繊維径より小さい繊維径を有する副繊維とからなり、同じ主繊維内および/または異なる主繊維間を該副繊維が架橋しており、その架橋点に結節が形成されておらず、該主繊維および該副繊維が、ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕を含むフッ素樹脂繊維からなることを特徴とする。
上記主繊維の繊維径は100nm以上50μm以下であり、上記副繊維の繊維径が10nm以上1μm未満であることが、強度、通気性、フィルタ性能等の点で好ましい。
上記フッ素樹脂繊維は、PTFEのみからなることが、得られるフッ素樹脂系シートの特性(撥水性、耐熱性、耐薬品性、通音性等)、性能(フィルタ性能)などの点で好ましい。また、本発明では、上記フッ素樹脂繊維が、PTFE以外に、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体〔PFA〕,テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体〔FEP〕,テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体〔EPE〕,ポリ(クロロトリフルオロエチレン)〔PCTFE〕,テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体〔ETFE〕,低融点エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体,エチレン−クロロトリフルオエチレン共重合体〔ECTFE〕,ポリフッ化ビニリデン〔PVDF〕,フルオロエチレン−ビニルエーテル共重合体〔FEVE〕およびテトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソール共重合体〔TFEPD〕からなる群から選択される少なくとも一種のフッ素樹脂からなる群から選択される少なくとも一種のフッ素樹脂を含んでなり、PTFEと該フッ素樹脂との合計を100重量%とするとき、該フッ素樹脂が0重量%を超えて50重量%未満で含有されると、PTFEのみの場合に比して、耐熱性、耐久性等は多少低下するが、加工性、繊維径制御性等が向上する傾向がある。
本発明のフッ素樹脂系シートの製造方法は、フッ素樹脂繊維からなるフッ素樹脂繊維シートに対し、加熱された状態で、少なくとも二方向の応力を発生させることによって上記副繊維を生成させることを特徴とする。
特に、PTFE単独繊維よりなるフッ素樹脂繊維シート(a0)を用いた場合は、上記加熱下(例:電気炉の中)の温度が、通常50℃以上400℃以下、好ましくは180℃以上400℃以下であり、上記応力が0.05kg/cm2以上10kg/cm2以下の圧縮応力およびせん断応力であることが主繊維間に一様に所望の太さの副繊維が掛け渡され、しかも主繊維と副繊維との架橋(接合)部位に結節が発生せず、上記特性・性能に優れるため好ましい。
一方、PTFEとそれ以外のフッ素樹脂を含む繊維よりなるフッ素樹脂繊維シート(b0)を用いた場合は、上記加熱下(例:電気炉の中)の温度は、完全に溶融して繊維形状を失わないような条件が好ましく、例えば、通常50℃以上360℃以下、好ましくは150℃以上360℃以下であり、上記応力が0.01kg/cm2以上20kg/cm2以下の圧縮応力およびせん断応力であることが繊維形状安定性などの点で好ましい。
本発明のフッ素樹脂系シートは、繊維として、PTFE単独(PTFE:100重量%)、または、少なくともPTFEを含んでなる(PTFE含量:通常50重量%以上100重量%未満、好ましくは、80重量%以上100重量%未満)ため、PTFEが潜在的に有する種々の特性(撥水性、耐熱性、耐薬品性、通音性等)を発揮すると同時に、副繊維がナノファイバーであるため、ナノファイバーが有する特性も発揮できる。特に、副繊維の繊維径が100nm付近であるとフィルタ性能が顕著に高い。
本発明のフッ素樹脂系シートは、主繊維と副繊維とが一体化となっているため、主に主繊維由来の強度と副繊維由来のナノファイバー特性とを両立できるとともに、繊維同士での分離が生じにくいため、複合安定性が高い。
本発明のフッ素樹脂系シートは、ランダムに配列している主繊維間にランダムに副繊維が発生するため、等方的な物性値を示す。また、主繊維として配向制御されたシートを用いることで、異方的な物性値を示すシートを製造することもできる。このように、全方向において強度が一定なシートの製造を可能にするとともに、特定方向にのみ強度が優れたシートの製造も可能としている。
本発明のフッ素樹脂系シートの製造方法によると、生成する副繊維の繊維径およびその生成密度は、繊維を構成する樹脂の溶融状態および二方向への応力(すなわち、シートのプレス方向とその垂直方向)によって制御することができる。例えば、樹脂溶融比率が高いほど繊維径は増加し、応力が大きいほど繊維密度が増加する傾向が見られる。
図1は、特許文献1に開示されたPTFEマット表面をSEMにより1,000倍に拡大した画像を示す。この図1によれば、繊維径が500nm以上の繊維しか観察されないことがわかる。 図2は、特許文献5に開示されたPTFEからなる多孔性構造物表面をSEMにより1,000倍に拡大した画像を示す。この図2によれば、結節(太い塊のノード)が多く存在しているとともに、結節の方向が一定であることがわかる。 図3は、実施例2で製造されたフッ素樹脂系シート表面のSEMによる5,000倍に拡大した画像を示す。この図3によれば、副繊維が生成されたフッ素樹脂系シート(主繊維と、主繊維の繊維径より小さい繊維径を有する副繊維との複合体)となっていることがわかる。
以下、本発明のフッ素樹脂系シートおよび該フッ素樹脂系シートの製造方法を詳述する。
<フッ素樹脂系シート>
本発明のフッ素樹脂系シートは、PTFEのみからなる繊維(PTFE単独繊維)、または、PTFEとPTFE以外のフッ素樹脂とを含んでなる繊維(フッ素樹脂繊維)を用いて、特定の工程を経て得られるシート(好ましくは本発明の製造方法により得られるシート)であって、例えば図3中、実施例2の5,000倍に拡大した画像に示すように、該繊維が、主繊維と主繊維の繊維径より小さい繊維径を有する副繊維とからなり、同じ主繊維内および/または異なる主繊維間を該副繊維が「架橋する」(あるいは「繋げる」とも表現でき、単純に「接触させる」や「絡める」とは異なる態様であって、高分子主鎖に側鎖が架渡したような状態とも言える。)が、その架橋点に結節が形成されていないことを特徴とする。
本明細書において、PTFEのみからなる繊維、または、PTFEとPTFE以外のフッ素樹脂とを含んでなる繊維をまとめて「フッ素樹脂繊維」といい、従来公知の方法でこのフッ素樹脂繊維を用いてシート状に成形したものを「フッ素樹脂繊維シート」といい、このフッ素樹脂繊維シートを用いて特定の工程を経て得られるものを「フッ素樹脂系シート」(すなわち、本発明のフッ素樹脂系シート)という。特に、フッ素樹脂繊維がPTFEのみからなる繊維である場合、フッ素樹脂繊維シートを「フッ素樹脂繊維シート(a0)」ともいい、このフッ素樹脂繊維シート(a0)を用いて特定の工程を経て得られるものを「フッ素樹脂系シート(a1)」ともいう。一方、フッ素樹脂繊維がPTFEとPTFE以外のフッ素樹脂とからなる繊維である場合、フッ素樹脂繊維シートを「フッ素樹脂繊維シート(b0)」ともいい、このフッ素樹脂繊維シート(b0)を用いて特定の工程を経て得られるものを「フッ素樹脂系シート(b1)」ともいう。
上記のように、主繊維より副繊維の方が細いという要件を満たしつつ、主繊維と副繊維それぞれの繊維径は、強度、粒子捕捉性能、安定性などの点を考慮すると、主繊維が通常100nm以上50μm以下であり、副繊維が10nm以上1μm未満であるのが好ましく、より好ましくは主繊維が500nm以上1μm以下であり、副繊維が30nm以上300nm以下であり、さらに好ましくは副繊維が30nm以上100nm以下である。なお、本明細書において「繊維径」はすべてSEMによる画像を用いて計測する方法により測定したものであり、平均値を意味する。より具体的に、この平均値は、測定対象となるフッ素樹脂系シートについて、無作為にSEM観察の領域を選択し、この領域をSEM観察(倍率:10,000倍)して無作為に10本のフッ素樹脂繊維を選択し、これらのフッ素樹脂繊維の測定結果に基づいて算出される値である。
特に、副繊維の繊維径が300nm以下であると、空気抵抗が極めて小さくなる「スリップフロー効果」を発揮すること、比表面積が極めて大きくなること、そして、超分子配列効果が得られることから、フィルタ等の用途に本発明のフッ素樹脂系シートを用いる場合に好適である。
上記副繊維の存在密度としては、強度、粒子捕捉性能などを考慮すると、シート表面における存在密度が、主繊維本数:副繊維本数=10:1〜1:10程度であることが好ましい。存在密度の算出方法としては、測定対象となるフッ素樹脂系シートについて、SEM観察の領域を選び、この領域をSEM観察(倍率5,000倍)して、その繊維径の違いより、主繊維と副繊維の本数をそれぞれ求めることで算出される。
上記繊維は、PTFE以外に、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体〔PFA〕(例えば、住友スリーエム(株)製の「Dyneon PFA」(商品名)や旭硝子(株)製の「Fluon(登録商標) PFA」(商品名)等),テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体〔FEP〕,テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体〔EPE〕,ポリ(クロロトリフルオロエチレン)〔PCTFE〕,テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体〔ETFE〕,低融点エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体,エチレン−クロロトリフルオエチレン共重合体〔ECTFE〕,ポリフッ化ビニリデン〔PVDF〕,フルオロエチレン−ビニルエーテル共重合体〔FEVE〕,テトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソール共重合体〔TFEPD〕などの「他のフッ素樹脂」を一種または二種以上含んでなっていてもよく、特に安定性、耐久性の点などを考慮すると、好ましくは上記繊維はPTFEのみ(PTFE含量:100重量%)を含んでなる。
上記繊維が、PTFEと、PTFE以外の上記「他のフッ素樹脂」とからなる場合、PTFEは50重量%以上含有されることが好ましい(ただし、PTFEと上記他のフッ素樹脂との合計を100重量%とする)。PTFEが50重量%未満であると、後述する製造方法において、加熱状態で上記他のフッ素樹脂が溶出し、シートとして成形することができない虞がある。
<フッ素樹脂系シートの製造方法>
本発明のフッ素樹脂系シートの製造方法は、下記工程(i)〜(iv)を含むことが好ましく、なかでも下記工程(iii)を含むことを特徴とする。
工程(i)として、電界紡糸法によりフッ素樹脂繊維(すなわち上記主繊維)を作製し;
工程(ii)として、このフッ素樹脂繊維をシート状に成形(すなわちフッ素樹脂繊維シート(a0),(b0)を製造)し;
工程(iii)として、加熱された状態(例えば電気炉の中)で、このシートに少なくとも二方向の応力(好ましくは圧縮応力と、圧縮応力に垂直なせん断応力)を発生させ;および
工程(iv)として、この加圧下で冷却した後に加圧を開放することによって、上記副繊維が生成されたフッ素樹脂系シート(a1),(b1)が製造される。
本発明では、このように、主繊維からなり副繊維のない原反シートを加熱炉(例:電気炉)内で加圧し、少なくとも二方向へ応力を加えることにより、各主繊維の外表面で生じた一部樹脂(例:PTFE等の主繊維を構成する樹脂)の溶融と、隣接する主繊維外表面相互の熱融着とが起こり、シートあるいはシート中に含まれる主繊維の弾性復元力により、各主繊維間隔が広がり、隣接する主繊維表面相互間で納豆の糸が延びるように、主繊維相互間を繋ぐ副繊維が発生して伸び、その状態で温度低下に伴い主繊維表面や、生じた副繊維も固化し、その結果、主繊維相互間を架け渡すように、主繊維より細い副繊維が形成されるのであろうと推測される。
また、形成された副繊維外表面と、隣接する主繊維外表面または別の副繊維外表面樹脂においても同様に、副繊維の形成が起こると推測される。すなわち本発明のフッ素樹脂系シート(a1),(b1)はさらに、主繊維−副繊維間および/または副繊維−副繊維間を架け渡すように、主繊維より細い副繊維が架橋していてもよい。
本発明において、フッ素樹脂シートに作用させる外部からの力(外力)を「荷重」とし、フッ素樹脂シートに荷重が作用するとき、該シート内部にその荷重に抵抗してつり合いを保とうとする内力を「応力」とする。応力は荷重に等しく、向きは反対となる。
工程(i)における電界紡糸法として、例えば特許文献1(米国特開2010/0193999 A1号公報)に記載の方法などを用いることができる。
工程(ii)の、フッ素樹脂繊維をシート状に成形する方法としては、例えば特許文献1に記載の方法などを用いることができる。
工程(iii)において、加熱条件を確保する電気炉の中の温度は、PTFE単独繊維からなるフッ素樹脂繊維シート(a0)では、通常50℃以上400℃、好ましくは180℃以上400℃以下であり、より好ましくは270℃以上380℃以下、さらに好ましくは320℃以上380℃以下である。圧縮応力は、通常0.01kg/cm2以上10kg/cm2以下であり、好ましくは0.05kg/cm2以上1kg/cm2以下であり、より好ましくは0.05kg/cm2以上0.40kg/cm 2以下であり、さらに好ましくは0.10kg/cm2以上0.40kg/cm2以下である。温度と応力それぞれが上記範囲内であると、主繊維間に一様に所望の太さの副繊維が掛け渡され、しかも主繊維と副繊維との架橋(接合)部位に結節が発生せず、上記特性・性能に優れるため好ましい。
一方、PTFEとそれ以外のフッ素樹脂を含む繊維よりなるフッ素樹脂繊維シート(b0)を用いた場合は、上記加熱下(例:電気炉の中)の温度は、太い繊維(主繊維)が表面のみ溶融し、その内部まで完全に溶融して繊維形状を失わないような条件が好ましく、例えば、通常50℃以上360℃以下であり、好ましくは150℃以上360℃以下であり、圧縮応力は0.01kg/cm2以上20kg/cm2以下である。温度と応力それぞれが上記範囲内であると、繊維形状安定性などの点で好ましい。
工程(iii)において、少なくとも二方向の応力を発生させるには、例えば、フッ素樹脂繊維シートを一対のステンレス板の間に挟み加重しつつ、少なくとも一方のステンレス板を水平にずらす態様や回転速度が異なる二本のロールの間にフッ素樹脂シートを挟む態様、平板を加重をかけながら水平移動させる態様(アイロン方式)などが挙げられるが、本発明はこれらの態様に限定されない。
本発明の製造方法により副繊維が生成されるメカニズムとして、次のように推測できる。
[その1]工程(iii)において主繊維どうしが接した後、工程(iv)において加重から開放されて主繊維どうしが離れる際、一部の主繊維表面の樹脂(例えばPTFE)が納豆の糸が伸びるように糸を引いて引っ張られることで、副繊維が生成される。これは、主繊維間に橋渡しのように副繊維が存在しているケースが多い(副繊維が少ない場合に顕著)という事実から、PTFE繊維を含んでなるフッ素樹脂系シートを加熱することで、PTFE繊維表面が溶融・ゲル化し、この加圧の開放過程において、主繊維の弾性復元力により、主繊維どうしが付き離れする際に、主繊維表面のゲル状樹脂が互いの主繊維に引っ張られ、主繊維より細い繊維状の副繊維となることが考えられる。
[その2]工程(iii)において主繊維どうしが接する際、主繊維が裂けるか、解れることで副繊維となる。これは、PTFE主繊維は、元々は球状粒子の集合からなるものであり、PTFEを含んでなるフッ素樹脂繊維シートでは、加熱することで、繊維の流動性が高まり、外からの力により細かい繊維に分離し易くなったと考えられる。
[その3]工程(iii)において、好ましくは主繊維がせん断力により、極細に繊維化する。PTFEはせん断力によりフィブリルが形成されることが知られており(例えば、特開2004-154652号公報の段落[0016]等)、加圧の開放過程において微弱なせん断力が働き、従来公報のような成形体ではないが、フィブリル(副繊維)が形成されたと考えられる。
<フッ素樹脂系シートの用途>
本発明のフッ素樹脂系シートは、フィルタ用途に好適である。具体的なフィルタとしては、例えば、エアフィルタやベントフィルタなどが挙げられる。
次に、本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
[実施例1]
既存の電界紡糸法により作製した、縦10cm、横10cm、厚さ65.7μm、重量18.6mg、平均繊維径1μmのPTFE繊維からなるフッ素樹脂繊維シートを、一対のステンレス板の間に挟み、金型により6kgを加重することによって、該フッ素樹脂繊維シートに0.06kg/cm2の圧縮応力を発生させながら360℃の電気炉の中で1時間保持した。
次に、該フッ素樹脂繊維シートに対して、圧縮応力の垂直方向にせん断応力が発生するように、金型下部および下側のステンレス板は固定した状態に保持しつつ、金槌を用い金型上部を上側のステンレス板とともに2mm移動させた。その後室温まで冷却し、金型とステンレス板を取り外し、本発明のフッ素樹脂系シートを得た。
SEM(S−3400N((株)日立ハイテクノロジーズ製)によりフッ素樹脂系シートの表面を観察し(5,000倍)、副繊維の発生有無を確認した。この結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、加重を20kg(=0.20kg/cm2の圧縮応力)に変更した以外は実施例1と同様にしてフッ素樹脂系シートを製造し、副繊維の発生有無を確認した。この結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、加重を35kg(=0.35kg/cm2の圧縮応力)に変更した以外は実施例1と同様にしてフッ素樹脂系シートを製造し、副繊維の発生有無を確認した。この結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1において、加重を50kg(=0.5kg/cm2の圧縮応力)、電気炉の温度を50℃に変更した以外は実施例1と同様にしてフッ素樹脂系シートを製造し、副繊維の発生有無を確認した。この結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例4において、電気炉の温度を100℃に変更した以外は実施例4と同様にしてフッ素樹脂系シートを製造し、副繊維の発生有無を確認した。この結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例4において、電気炉の温度を150℃に変更した以外は実施例4と同様にしてフッ素樹脂系シートを製造し、副繊維の発生有無を確認した。この結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、加重およびせん断応力を発生させなかった以外は実施例1と同様にしてフッ素樹脂系シートを製造し、副繊維の発生有無を確認した。この結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例3において、せん断応力を発生させなかった以外は実施例3と同様にしてフッ素樹脂系シートを製造し、副繊維の発生有無を確認した。この結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例4において、電気炉の温度を25℃に変更した以外は実施例4と同様にしてフッ素樹脂系シートを製造し、副繊維の発生有無を確認した。この結果を表1に示す。
実施例2,3および比較例1,2それぞれで得られたフッ素樹脂系シートについて、下記の物性を評価した。
(厚さ)
フッ素樹脂系シートの厚さを、マイクロメータであるLITEMATIC VL-50((株)ミツトヨ製)により測定した。
(最大引張荷重/引張強度)
フッ素樹脂系シートの強度に関して、(株)島津製作所製の「EZ-test」を用い引張試験を行った。測定方法は次の通りである。
マイクロダンベルを用いて中心幅5mmのダンベル型試験片を打ち抜き、幅(ノギス使用)および厚さ((株)ミツトヨ製「LITEMATIC VL-50A」使用)を精秤した。
この試験片を、つかみ間長を25mmとなるよう引張試験機にとりつけ20mm/minのクロスヘッド速度で引張り、試験片破断時の最大荷重から最大応力を求めた。
(バブルポイント細孔径/バプルポイント圧力)
バブルポイント細孔径とは、フッ素樹脂系シートの最大細孔径を示し、バブルポイント法(ASTM F316-86)により算出した。なお、測定にはGalwick(15.9dyn/cm)を浸漬液として使用した。
液体によく浸されたフッ素樹脂系シートは、液体を満たした毛細管と同様の特性を示し、毛細管内の液体表面張力に打ち勝ち、液体をその細孔から押し出す圧力を測定する事によって細孔直径を算出できる。特に最初に検出される気泡の地点を「バブルポイント=最大細孔径」と呼ぶ。下記のバブルポイントの式からバブルポイント細孔径d[m]を算出する。
d=4γcosθ/ΔP
(式中、θはフッ素樹脂系シートと液体との接触角を、γ[N/m]は液体の表面張力を、ΔPがバブルポイント圧力を表す。)
(平均流量径/平均流量径圧力)
平均流量径は、ASTM E1294-89のハーフドライ法により求めた。なお、測定にはGalwick(15.9dyn/cm)を浸漬液として使用した。
ハーフドライ法は、液体によく浸された状態のフッ素樹脂系シートの通気曲線(Wet Curve)と、乾いた状態のサンプルの通気曲線(Dry Curve)の1/2の傾きの曲線(Half Dry Curve)が交わる点の圧力(平均流量径圧力)を求め、これをバブルポイントの式に代入し、平均流量径を求める。
これらの結果を表2に示す。
(粒子捕捉率評価)
フッ素樹脂系シートの粒子捕捉率として、JIS B 9908に準じて、粒子捕集率を測定した。この際、フィルタユニットの替わりに、実施例3および比較例1,2で得られた100mm×100mmの大きさのフッ素樹脂系シートを用い、測定用粉じんとして大気塵(0.15μm〜10μm粒径の塵を含む)を用い、空気の流量を面速度14.8cm/sとした。
この結果を表3に示す。
表1から、実施例1〜6で製造したフッ素樹脂系シートにおいて、主繊維間に100nm以下の副繊維(最小繊維径が40nm、平均80nm程度)の発生が見られた。そして、加重が大きくなるにつれ、また温度が高くなるにつれ、副繊維の数が多くなった。
また、実施例1〜3では電気炉内の温度を360℃としたが、300℃でも副繊維が発生することを確認した。また二方向への応力をかける際の温度として、実施例1〜3は360℃環境下としたが、180℃へ冷却後に応力をかけた際も、副繊維が発生することを確認した。
表2から、加重処理で厚みが薄くなる、すなわち、繊維がつぶされることによって、膜強度(引張り強度)が上昇するとともに、細孔径が縮小する傾向が見られた。
表3から、本発明のフッ素樹脂系シートは、副繊維の発生により、特に従来捕捉が困難とされている0.333μm(=0.15〜0.50μm)粒子径の粒子捕捉性能が向上することが確認された。
本発明のフッ素樹脂系シートは、PTFE由来の優れた撥水性、耐熱性、耐薬品性、通音性等を保持しつつ、繊維の比表面積が顕著に大きいため、エアフィルタ等のフィルタに用いるのが好ましい。

Claims (6)

  1. 主繊維と主繊維の繊維径より小さい繊維径を有する副繊維とからなり、
    同じ主繊維内および/または異なる主繊維間を該副繊維が架橋しており、
    その架橋点に結節が形成されておらず、
    該主繊維および該副繊維が、ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕を含むフッ素樹脂繊維からなることを特徴とするフッ素樹脂系シート。
  2. 上記主繊維の繊維径が100nm以上50μm以下であり、
    上記副繊維の繊維径が10nm以上1μm未満である請求項1に記載のフッ素樹脂系シート。
  3. 上記フッ素樹脂繊維が、PTFE以外に、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体〔PFA〕,テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体〔FEP〕,テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体〔EPE〕,ポリ(クロロトリフルオロエチレン)〔PCTFE〕,テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体〔ETFE〕,低融点エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体,エチレン−クロロトリフルオエチレン共重合体〔ECTFE〕,ポリフッ化ビニリデン〔PVDF〕,フルオロエチレン−ビニルエーテル共重合体〔FEVE〕,およびテトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソール共重合体〔TFEPD〕からなる群から選択される少なくとも一種のフッ素樹脂を含んでなり、
    PTFEと該フッ素樹脂との合計を100重量%とするとき、該フッ素樹脂が0重量%を超えて50重量%未満で含有される請求項1または2に記載のフッ素樹脂系シート。
  4. 上記フッ素樹脂繊維が、PTFEのみを含んでなる請求項1または2に記載のフッ素樹脂系シート。
  5. 請求項1に記載のフッ素樹脂系シートを製造する方法であって、
    ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕を含むフッ素樹脂繊維からなるフッ素樹脂繊維シートに対し、加熱された状態で、少なくとも二方向の応力を発生させることによって上記副繊維を生成させることを特徴とする、フッ素樹脂系シートの製造方法。
  6. 上記フッ素樹脂繊維シートが、電界紡糸法により作製したフッ素樹脂繊維をシート状に成形したフッ素樹脂繊維シートであり、
    上記加熱の温度が、50℃以上400℃以下であり、
    上記応力が、0.01kg/cm2以上10kg/cm2以下の圧縮応力およびせん断応力である、請求項5に記載のフッ素樹脂系シートの製造方法。
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