JP7401831B2 - エアフィルタ濾材、エアフィルタパック、および、エアフィルタユニット - Google Patents

エアフィルタ濾材、エアフィルタパック、および、エアフィルタユニット Download PDF

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Description

本開示は、エアフィルタ濾材、エアフィルタパック、および、エアフィルタユニットに関する。
従来より、気体中の塵埃を補足するエアフィルタ濾材として、捕集効率が高く、気体が通過する際の圧力損失が低いという良好な性能を有するものが求められている。
例えば、特許文献1(国際公開第2019/159654号)に記載のエアフィルタ濾材によれば、不織布をエレクトレット化させることで静電気的作用を利用することや、不織布の繊維を構成する樹脂として結晶化開始温度に差がある2つの成分を含む樹脂を用いること等が提案されている。
ところで、エアフィルタ濾材については、その構造によって、捕集効率の低下を抑制しつつ、圧力損失を低くすることは、未だ十分な検討がなされていない。捕集効率と圧力損失を用いて表されるエアフィルタ濾材の性能の指標であるPF値が、平坦な形状のものと比較して良好となる構造を有するエアフィルタ濾材等が求められる。
第1観点に係るエアフィルタ濾材は、樹脂を含んだエアフィルタ濾材であって、複数の凸部を有している。凸部は、気流の通過方向に突出している。気流の通過方向に濾材全体を投影した場合における複数の凸部の投影面積は、気流の通過方向に濾材全体を投影した場合における濾材全体の投影面積の50%以上100%以下である。濾材の有効濾材面積の、気流の通過方向に濾材全体を投影した場合における濾材全体の投影面積に対する比率が110%以上である。
このエアフィルタ濾材は、複数の凸部が設けられていない平坦な形状の濾材と比較して、PF値を高めることが可能になる。
第2観点に係るエアフィルタ濾材は、第1観点のエアフィルタ濾材であって、気流の流速が9.63cm/sであり、粒子径0.075μmの塵の捕集効率とその時の圧力損失から得られるPF値が10.2以上である。
このエアフィルタ濾材は、構造により性能を良好にすることができる。
第3観点に係るエアフィルタ濾材は、第1観点または第2観点のエアフィルタ濾材であって、複数の凸部の、気流の通過方向における平均突出比は、0.10以上0.85以下である。
ここで、平均突出比は、複数の凸部の突出比の平均値である。突出比は、気流の通過方向に凸部を投影して得られる投影部分の相当直径に対する、気流の通過方向における凸部の突出高さをいう。なお、相当直径は、気流の通過方向に凸部を投影して得られる投影部分の面積の4倍を、当該投影部分の周長で除して得られる値をいう。
このエアフィルタ濾材は、濾材の破れを抑制しつつ有効面積を増大させることが可能になる。
第4観点に係るエアフィルタ濾材は、第1観点から第3観点のいずれかのエアフィルタ濾材であって、樹脂は、フッ素樹脂を含む。
このエアフィルタ濾材は、複数の凸部を形成する際に損傷が生じにくい。
第5観点に係るエアフィルタ濾材は、第4観点のエアフィルタ濾材であって、フッ素樹脂は、繊維化し得るポリテトラフルオロエチレンを含む。エアフィルタ濾材は、気流の流速が5.3cm/sであり、粒子径0.3μmの塵の捕集効率とその時の圧力損失から得られるPF値が39以上である。
ここで、フッ素樹脂は、繊維化し得るポリテトラフルオロエチレンの単成分からなる樹脂であってよい。
このエアフィルタ濾材は、構造により性能を良好にすることができる。
第6観点に係るエアフィルタ濾材は、第4観点のエアフィルタ濾材であって、フッ素樹脂は、繊維化し得るポリテトラフルオロエチレンと、繊維化しない非熱溶融加工性成分と、融点320℃未満の繊維化しない熱溶融加工可能な成分と、を含む。エアフィルタ濾材は、気流の流速が5.3cm/sであり、粒子径0.3μmの塵の捕集効率とその時の圧力損失から得られるPF値が38以上である。
このエアフィルタ濾材は、構造により性能を良好にすることができる。
第7観点に係るエアフィルタ濾材は、第1観点から第3観点のいずれかのエアフィルタ濾材であって、樹脂は、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリフェニレンサルファイド、および、ポリイミドからなる群より選択される1種または2種以上を含む。エアフィルタ濾材は、気流の流速が5.3cm/sであり、粒子径0.3μmの塵の捕集効率とその時の圧力損失から得られるPF値が22以上である。
このエアフィルタ濾材は、構造により性能を良好にすることができる。
第8観点に係るエアフィルタ濾材は、第1観点から第7観点のいずれかのエアフィルタ濾材であって、複数の凸部は、濾材に対する気流の通過方向における上流側に突出した複数の第1凸部と、濾材に対する気流の通過方向における下流側に突出した複数の第2凸部と、を含んでいる。気流の通過方向に濾材全体を投影した場合における複数の第1凸部と複数の第2凸部の合計の投影面積は、気流の通過方向に濾材全体を投影した場合における濾材全体の投影面積の50%以上100%以下である。濾材の有効濾材面積の、気流の通過方向に濾材全体を投影した場合における濾材全体の投影面積に対する比率が110%以上である。
このエアフィルタ濾材は、気流の通過方向における両方向に凸部が形成されるため、加工時に濾材に掛かる負荷が抑制されたものが得られる。
第9観点に係るエアフィルタ濾材は、第8観点のエアフィルタ濾材であって、複数の凸部は、ドット状に存在する。
このエアフィルタ濾材は、有効面積を増大させやすい。
第10観点に係るエアフィルタ濾材は、第9観点のエアフィルタ濾材であって、第1凸部は、3つ以上の第2凸部により囲まれている。第2凸部は、3つ以上の第1凸部により囲まれている。
このエアフィルタ濾材は、有効面積を増大させやすい。
第11観点に係るエアフィルタ濾材は、第8観点のエアフィルタ濾材であって、複数の第1凸部と複数の第2凸部はいずれも筋状である。第1凸部と第2凸部は交互に並んでいる。
このエアフィルタ濾材は、有効面積を増大させやすい。
第12観点に係るエアフィルタ濾材は、第8観点から第11観点のいずれかのエアフィルタ濾材であって、第1凸部と第2凸部が連なっている。
このエアフィルタ濾材は、第1凸部と第2凸部を形成させる際に生じうる局所的な負荷を低減させやすい。
第13観点に係るエアフィルタ濾材は、第1観点から第12観点のいずれかのエアフィルタ濾材であって、複数の凸部は、気流の通過方向に押し出されることで得られた延伸成形部である。
このエアフィルタ濾材は、複数の凸部を形成させるための加工が容易である。
第14観点に係るエアフィルタ濾材は、第13のエアフィルタ濾材であって、平坦な濾材に対して、平坦な濾材の厚み方向に向けて押し出されることで複数の延伸成形部を生じさせる加工により得られる濾材である。平坦な濾材のPF値に対する複数の延伸成形部を生じさせた濾材のPF値の比であるPF値比(加工後PF値/加工前PF値)は、1.1以上である。PF値は、気流の流速を5.3cm/sとした場合の、粒子径0.3μmの塵の捕集効率とその時の圧力損失から得られるPF値である。
このエアフィルタ濾材は、平坦な濾材の形状を変えることによりPF値を良好にすることが可能になる。
第15観点に係るエアフィルタパックは、第1観点から第14観点のいずれかのエアフィルタ濾材を備える。エアフィルタパックは、エアフィルタ濾材が山折りおよび谷折りが交互に繰り返されたジグザグ形状に加工されている。エアフィルタパックは、複数の凸部がエアフィルタ濾材のうちの互いに対向する部分の間隔を保持している。
このエアフィルタパックは、折り込まれた状態でも有効に機能する面積が広く確保されやすい。
第16観点に係るエアフィルタユニットは、第15観点のエアフィルタパックと、枠体と、を備える。枠体は、エアフィルタパックを保持する。
エアフィルタ濾材(その1)の層構成を示す概略断面図である。 エアフィルタ濾材(その2)の層構成を示す概略断面図である。 エアフィルタ濾材(その3)の層構成を示す概略断面図である。 ドット状に凸部が形成されたエアフィルタ濾材の一例(その1)を示す部分拡大外観斜視図である。 第1凸部と第2凸部が連なって設けられたエアフィルタ濾材を作製するためのエンボス型の例を示す外観概略斜視図である。 筋状に凸部が形成されたエアフィルタ濾材の一例(その2)を示す部分拡大外観斜視図である。 エアフィルタパックの概略外観斜視図である。 エアフィルタユニットの概略外観斜視図である。
以下、エアフィルタ濾材(以降、単に濾材ともいう。)、エアフィルタパック、および、エアフィルタユニットについて、例を挙げて説明する。
(1)エアフィルタ濾材
エアフィルタ濾材は、樹脂を含んで構成された主捕集層を備えている。
主捕集層は、樹脂のシート状物を延伸して得られる多孔膜によって構成されていてもよいし、樹脂についてエレクトロスピニング法によりナノファイバを生じさせて得られるナノファイバ繊維層により構成されていてもよい。
エアフィルタ濾材は、強度を高めるために、主捕集層に対して積層される支持層をさらに備えることが好ましい。支持層を用いることにより、主捕集層の膜厚が薄い等で自立が困難であっても、エアフィルタ濾材を自立させることが可能になる。また、エアフィルタ濾材としての強度が確保されることにより、凸部を設けた形状や、さらに折り込まれる等の形状が保持されやすい。
支持層は、主捕集層に対して気流の下流側のみに設けられてもよいし、上流側のみに設けられてもよいし、下流側と上流側の両方に設けられてもよい。このようなエアフィルタ濾材としては、例えば、図1に示すエアフィルタ濾材30のように、主捕集層31と、主捕集層31の気流の通過方向における下流側に積層された通気性支持層32と、を有するものであってもよい。また、例えば、図2に示すエアフィルタ濾材30のように、主捕集層31と、主捕集層31の気流の通過方向における上流側に積層された通気性支持層32と、を有するものであってもよい。また、例えば、図3に示すエアフィルタ濾材30のように、主捕集層31と、主捕集層31の気流の通過方向における上流側と下流側の両方に積層された通気性支持層32と、を有するものであってもよい。
また、これらの各層の重ね合わせの仕方は、特に限定されず、加熱による一部溶融又はホットメルト樹脂の溶融によるアンカー効果を利用した貼り合わせであってもよいし、反応性接着剤等を用いた貼り合わせであってもよいし、単に重ね置くだけであってもよい。
(2)主捕集層
主捕集層を構成する樹脂は、特に限定されず、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ナイロン6等のナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンオキサイド、ポリメチルメタクリレート、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルイミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリスチレン、ポリウレタン、および、ポリカプロラクトンからなる群より選択される1種または2種以上を含んでいてよい。
なお、主捕集層について、樹脂を用いたエレクトロスピニング法によりナノファイバを生じさせて得られるナノファイバ繊維層により構成させる場合には、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリフェニレンサルファイド、および、ポリイミドからなる群より選択される1種または2種以上が好ましい。なお、当該ナノファイバとしては、例えば、平均繊維径が10nm以上1000nm以下であってよい。
なかでも、主捕集層は、フッ素樹脂を主として含んで構成されることが好ましく、フッ素樹脂多孔膜を含んで構成されていることがより好ましい。ここで、「主として」とは、複数種類の成分を含有する場合にはフッ素樹脂が最も重量割合が多いことを意味する。フッ素樹脂多孔膜については、後述する。
主捕集層を構成する樹脂としては、サンプルに対して、基準面の広がる方向と平行な所定の引張方向に100mm/minの引張速度となるように荷重を加えることで、サンプルを80℃において所定の引張方向に50%引っ張る場合において、引っ張り前のPF値を100%とした場合の引っ張り後のPF値が80%以上150%以下となるものであることが好ましい(なお、ここでのPF値は、気流の流速が9.63cm/s、粒子径0.075μmの塵の条件下のPF値である)。
主捕集層の厚みは、塵埃の保塵量を良好にすることができる観点から、例えば、10μm以上であることが好ましい。また、主捕集層の厚みは、折り込んだ箇所を有する状態で用いられる場合に、折り込み箇所の厚みが大きくなりすぎることを抑制する観点から、50μm以下であることが好ましい。主捕集層の厚みは、特定の測定装置において、測定対象に0.3Nの荷重をかけたときの厚さの値である。本実施形態のエアフィルタ濾材に用いられる主捕集層は、凸部を備えるものであるが、例えば、複数枚の主捕集層を重ねた状態で0.3Nの荷重をかけたときの厚さを測定し、そこから更に複数枚の主捕集層を追加で重ねた状態で0.3Nの荷重をかけたときの厚さを測定し、厚さの差分を追加の主捕集層の枚数で除した値として厚みを把握することができる。
(2-1)フッ素樹脂多孔膜
フッ素樹脂多孔膜は、図示しないフィブリル(繊維)とフィブリルに接続されたノード(結節部)とを有する多孔質な膜構造を有するものであることがより好ましい。
フッ素樹脂多孔膜に含まれるフッ素樹脂と異なる成分としては、例えば、後述する繊維化しない非溶融加工性成分(B成分)である無機フィラーが挙げられる。
フッ素樹脂多孔膜に用いられるフッ素樹脂は、1種類の成分からなってもよく、2種以上の成分からなってもよい。また、フッ素樹脂としては、例えば、繊維化し得るPTFE(以降、A成分ともいう)を含むものが挙げられる。また、フッ素樹脂としては、当該A成分と、繊維化しない非熱溶融加工性成分(以降、B成分ともいう)、および融点320℃未満の繊維化しない熱溶融加工可能な成分(以降、C成分ともいう)の3成分の混合物が挙げられる。
(2-2)A成分:繊維化し得るPTFE
繊維化し得るPTFEは、例えば、延伸性および非溶融加工性を有するものである。なお、「非溶融加工性」とは、高い溶融粘度を有するため、溶融状態において容易に流動せず、溶融加工することが困難であることを意味する。繊維化しうるPTFEとしては、380℃における溶融粘度が1×10Pa・S以上であることが好ましい。
繊維化し得るPTFEは、例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)の乳化重合、または懸濁重合から得られた高分子量PTFEである。ここでいう高分子量とは、多孔膜作成時の延伸の際に繊維化しやすく、繊維長の長いフィブリルが得られるものであって、標準比重(SSG)が、2.130~2.230であり、溶融粘度が高いため実質的に溶融流動しない大きさの分子量をいう。繊維化し得るPTFEのSSGは、繊維化しやすく、繊維長の長いフィブリルが得られる観点から、2.130~2.190が好ましく、2.140~2.170が更に好ましい。SSGが高すぎると、延伸性が悪化するおそれがあり、SSGが低すぎると、圧延性が悪化して、多孔膜の均質性が悪化し、多孔膜の圧力損失が高くなるおそれがある。上記標準比重(SSG)は、ASTM D 4895に準拠して測定される。
また、繊維化しやすく、繊維長の長いフィブリルが得られる観点から、乳化重合で得られたPTFEが好ましい。乳化重合は、一般に、TFE、又は、TFEとTFE以外の単量体と分散剤と重合開始剤とを含有する水性媒体中で行うことができる。なお、乳化重合は、生成したPTFE微粒子が凝集しないよう設定した撹拌条件下に、穏やかに撹拌して行うことが好ましい。乳化重合において、重合温度は、一般に20~100℃、好ましくは50~85℃であり、重合圧力は、一般に0.5~3.0MPaである。乳化重合における重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、レドックス系重合開始剤等が好ましい。
PTFEは、乳化重合により得られるファインパウダーを構成するものであってもよい。ファインパウダーは、上述の乳化重合により得られるPTFE水性分散液からPTFE微粒子を回収し、凝析させたのち乾燥させることにより得ることができる。上記PTFEからなるファインパウダーは、押出加工性が良く、例えば、20MPa以下の押出圧力でペースト押出することができる。なお、押出圧力とは、リダクションレシオ100、押出速度51cm/分、25℃の条件で、オリフィス(直径2.5cm、ランド長1.1cm、導入角30゜)を通してペースト押出を行う際に測定したものである。ペースト押出し成形は、一般に、上記ファインパウダーと押出助剤(潤滑剤)とを混合したのち、予備成形を行い、押出しするものである。押出助剤は、特に限定されず従来公知のものを使用することができるが、ナフサ等、沸点が150℃以上である石油系炭化水素が好ましい。押出助剤の使用量は、押出助剤の種類等によって異なるが、通常、PTFEの粉末100重量部に対して、5重量部以上50重量部(P)以下である。なお、10重量部以上40重量部以下とすることが好ましく、25重量部以上35重量部以下であることがより好ましい。予備成形および押出しは、従来公知の方法で行うことができ、適宜条件を選択することができる。
なお、繊維化性の有無、すなわち、繊維化し得るか否かは、TFEの重合体から作られた高分子量PTFE粉末を成形する代表的な方法であるペースト押出しが可能か否かによって判断できる。通常、ペースト押出しが可能であるのは、高分子量のPTFEが繊維化性を有するからである。ペースト押出しで得られた未焼成の成形体に実質的な強度や伸びがない場合、例えば伸びが0%で、引っ張ると切れるような場合は繊維化性がないとみなすことができる。
上記高分子量PTFEは、変性ポリテトラフルオロエチレン(以下、変性PTFEという)であってもよいし、ホモポリテトラフルオロエチレン(以下、ホモPTFEという)であってもよいし、変性PTFEとホモPTFEの混合物であってもよい。なお、高分子PTFEにおける変性PTFEの含有割合は、ポリテトラフルオロエチレンの成形性を良好に維持させる観点から、10重量%以上98重量%以下であることが好ましく、50重量%以上95重量%以下であることがより好ましい。ホモPTFEは、特に限定されず、特開昭53-60979号公報、特開昭57-135号公報、特開昭61-16907号公報、特開昭62-104816号公報、特開昭62-190206号公報、特開昭63-137906号公報、特開2000-143727号公報、特開2002-201217号公報、国際公開第2007/046345号パンフレット、国際公開第2007/119829号パンフレット、国際公開第2009/001894号パンフレット、国際公開第2010/113950号パンフレット、国際公開第2013/027850号パンフレット等で開示されているホモPTFEを好適に使用できる。中でも、高い延伸特性を有する特開昭57-135号公報、特開昭63-137906号公報、特開2000-143727号公報、特開2002-201217号公報、国際公開第2007/046345号パンフレット、国際公開第2007/119829号パンフレット、国際公開第2010/113950号パンフレット等で開示されているホモPTFEが好ましい。
変性PTFEは、TFEと、TFE以外のモノマー(以下、変性モノマーという)とからなる。変性PTFEには、変性モノマーにより均一に変性されたもの、重合反応の初期に変性されたもの、重合反応の終期に変性されたものなどが挙げられるが、特にこれらに限定されない。変性PTFEは、TFE単独重合体の性質を大きく損なわない範囲内で、TFEとともに微量のTFE以外の単量体をも重合に供することにより得られるTFE共重合体であることが好ましい。変性PTFEは、例えば、特開昭60-42446号公報、特開昭61-16907号公報、特開昭62-104816号公報、特開昭62-190206号公報、特開昭64-1711号公報、特開平2-261810号公報、特開平11-240917、特開平11-240918、国際公開第2003/033555号パンフレット、国際公開第2005/061567号パンフレット、国際公開第2007/005361号パンフレット、国際公開第2011/055824号パンフレット、国際公開第2013/027850号パンフレット等で開示されているものを好適に使用できる。中でも、高い延伸特性を有する特開昭61-16907号公報、特開昭62-104816号公報、特開昭64-1711号公報、特開平11-240917、国際公開第2003/033555号パンフレット、国際公開第2005/061567号パンフレット、国際公開第2007/005361号パンフレット、国際公開第2011/055824号パンフレット等で開示されている変性PTFEが好ましい。
変性PTFEは、TFEに基づくTFE単位と、変性モノマーに基づく変性モノマー単位とを含む。変性モノマー単位は、変性PTFEの分子構造の一部分であって変性モノマーに由来する部分である。変性PTFEは、変性モノマー単位が全単量体単位の0.001~0.500重量%含まれることが好ましく、好ましくは、0.01~0.30重量%含まれる。全単量体単位は、変性PTFEの分子構造における全ての単量体に由来する部分である。
変性モノマーは、TFEとの共重合が可能なものであれば特に限定されず、例えば、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)等のパーフルオロオレフィン;クロロトリフルオロエチレン(CTFE)等のクロロフルオロオレフィン;トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン(VDF)等の水素含有フルオロオレフィン;パーフルオロビニルエーテル;パーフルオロアルキルエチレン(PFAE)、エチレン等が挙げられる。用いられる変性モノマーは1種であってもよいし、複数種であってもよい。
パーフルオロビニルエーテルは、特に限定されず、例えば、下記一般式(1)で表されるパーフルオロ不飽和化合物等が挙げられる。
CF=CF-ORf・・・(1)
式中、Rfは、パーフルオロ有機基を表す。
本明細書において、パーフルオロ有機基は、炭素原子に結合する水素原子が全てフッ素原子に置換されてなる有機基である。上記パーフルオロ有機基は、エーテル酸素を有していてもよい。
パーフルオロビニルエーテルとしては、例えば、上記一般式(1)において、Rfが炭素数1~10のパーフルオロアルキル基であるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)が挙げられる。パーフルオロアルキル基の炭素数は、好ましくは1~5である。PAVEにおけるパーフルオロアルキル基としては、例えば、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基等が挙げられる。PAVEとしては、パーフルオロプロピルビニルエーテル(PPVE)、パーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)が好ましい。
上記パーフルオロアルキルエチレン(PFAE)は、特に限定されず、例えば、パーフルオロブチルエチレン(PFBE)、パーフルオロヘキシルエチレン(PFHE)等が挙げられる。
変性PTFEにおける変性モノマーとしては、HFP、CTFE、VDF、PAVE、PFAE及びエチレンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
ホモPTFEは、特に、繊維化しやすく、繊維長の長いフィブリルが得られる観点から、後述のB成分およびC成分を用いてフッ素樹脂多孔膜を構成させる場合には、繊維化し得るPTFEの50重量%を超えて含有されていることが好ましい。
フッ素樹脂多孔膜として、上記繊維化し得るPTFE(A成分)だけでなく、繊維化しない非熱溶融加工性成分(B成分)、および融点320℃未満の繊維化しない熱溶融加工可能な成分(C成分)も含んだものとする場合には、各B成分、C成分として、以下のものを用いることができる。これら3種の成分からなるフッ素樹脂多孔膜は、従来の繊維化し得るPTFE(高分子量PTFE)多孔膜と比べ、空隙が多く、膜厚の厚い膜構造を有していることで、気体中の微粒子を濾材における気流の通過方向の広い領域で捕集でき、これにより、保塵量を向上させることができる。フッ素樹脂多孔膜をこれら3種の成分から構成することにより、固体粒子よりも液体粒子の保塵量を特に増大させることが可能になる。
(2-3)B成分:繊維化しない非熱溶融加工性成分
繊維化しない非熱溶融加工性成分は、主に結節部において非繊維状の粒子として偏在し、繊維化し得るPTFEが繊維化されるのを抑制する働きをする。
繊維化しない非熱溶融加工性成分としては、例えば、低分子量PTFE等の熱可塑性を有する成分、熱硬化性樹脂、無機フィラー、およびこれらの混合物が挙げられる。
熱可塑性を有する成分は、融点が320℃以上であり、溶融粘度が高い方が好ましい。例えば低分子量PTFEは溶融粘度が高いため、融点以上の温度で加工しても結節部に留まることができる。本明細書において、低分子量PTFEとは、数平均分子量が60万以下、融点が320℃以上335℃以下、380℃での溶融粘度が100Pa・s~7.0×10Pa・sのPTFEである(特開平10-147617号公報参照)。
低分子量PTFEの製造方法としては、TFEの懸濁重合から得られる高分子量PTFE粉末(モールディングパウダー)またはTFEの乳化重合から得られる高分子量PTFE粉末(FP:ファインパウダー)と特定のフッ化物とを高温下で接触反応させて熱分解する方法(特開昭61-162503号公報参照)や、上記高分子量PTFE粉末や成形体に電離性放射線を照射する方法(特開昭48-78252号公報参照)、また連鎖移動剤とともにTFEを直接重合させる方法(国際公開第2004/050727号パンフレット、国際公開第2009/020187号パンフレット、国際公開第2010/114033号パンフレット等参照)等が挙げられている。低分子量PTFEは、繊維化し得るPTFEと同様、ホモPTFEであってもよく、前述の変性モノマーが含まれる変性PTFEでもよい。
低分子量PTFEは繊維化性が無い。繊維化性の有無は、上述した方法で判断できる。低分子量PTFEは、ペースト押出しで得られた未焼成の成形体に実質的な強度や伸びがなく、例えば伸びが0%で、引っ張ると切れる。
低分子量PTFEは、特に限定されないが、380℃での溶融粘度が1000Pa・s以上であることが好ましく、5000Pa・s以上であることがより好ましく、10000Pa・s以上であることがさらに好ましい。このように、溶融粘度が高いと、多孔膜の製造時に、C成分として繊維化しない熱溶融加工可能な成分が溶融しても、繊維化しない非熱溶融加工性成分は結節部に留まることができ、繊維化を抑えることができる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ、シリコーン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリイミド、フェノール、およびこれらの混合物等の各樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂は、共凝析の作業性の観点から、未硬化状態で水分散された樹脂が望ましく用いられる。これら熱硬化性樹脂は、いずれも市販品として入手することもできる。
無機フィラーとしては、タルク、マイカ、ケイ酸カルシウム、ガラス繊維、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭素繊維、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、およびこれらの混合物等が挙げられる。中でも、繊維化しうる高分子量のPTFEとの親和性および比重の点から、タルクが好ましく用いられる。無機フィラーは、多孔膜の製造時に安定な分散体を形成できる観点から、粒子径3μm以上20μm以下のものが好ましく用いられる。粒子径は、平均粒径であり、レーザー回折・散乱法によって測定される。これら無機フィラーは、いずれも市販品として入手することもできる。
なお、繊維化しない非溶融加工性成分は、上記した成分を複数組み合わせたものであってよい。
繊維化しない非熱溶融加工性成分は、多孔膜の1重量%以上50重量%以下含有させることができ、好ましくは20重量%以上40重量%以下含有され、より好ましくは30重量%含有される。
(2-4)C成分:融点320℃未満の繊維化しない熱溶融加工可能な成分
融点320℃未満の繊維化しない熱溶融加工可能な成分(以下、繊維化しない熱溶融加工可能な成分ともいう)は、溶融時に流動性を有することにより、多孔膜の製造時(延伸時)に溶融して結節部において固まることができ、多孔膜全体の強度を高めて、後工程で圧縮等されることがあってもフィルタ性能の劣化を抑えることができる。
繊維化しない熱溶融加工可能な成分は、380℃において10000Pa・s未満の溶融粘度を示すことが好ましい。なお、繊維化しない熱溶融加工可能な成分の融点は、示差走査熱量計(DSC)により昇温速度10℃/分で融点以上まで昇温して一度完全に溶融させ、10℃/分で融点以下まで冷却した後、10℃/分で再び昇温したときに得られる融解熱曲線のピークトップとする。
繊維化しない熱溶融加工可能な成分としては、熱溶融可能なフルオロポリマー、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、ポリアミド等の各樹脂、あるいはこれらの混合物であり、多孔膜の製造時の延伸温度における溶融性、流動性を十分に発揮しうるものが挙げられる。中でも、多孔膜製造時の延伸温度での耐熱性に優れ、耐薬品性に優れる点から、熱溶融可能なフルオロポリマーが好ましい。熱溶融可能なフルオロポリマーは、下記一般式(2)
RCF=CR・・・(2)
(式中、Rはそれぞれ独立して、H、F、Cl、炭素原子1~8個のアルキル、炭素原子6~8個のアリール、炭素原子3~10個の環状アルキル、炭素原子1~8個のパーフルオロアルキルから選択される。この場合に、全てのRが同じであってもよく、また、いずれか2つのRが同じで残る1つのRがこれらと異なってもよく、全てのRが互いに異なってもよい。)で示される少なくとも1種のフッ素化エチレン性不飽和モノマー、好ましくは2種以上のモノマー、から誘導される共重合単位を含むフルオロポリマーが挙げられる。
一般式(2)で表される化合物の有用な例としては、限定されないが、フルオロエチレン、VDF、トリフルオロエチレン、TFE、HFP等のパーフルオロオレフィン、CTFE、ジクロロジフルオロエチレン等のクロロフルオロオレフィン、PFBE、PFHE等の(パーフルオロアルキル)エチレン、パーフルオロ-1,3-ジオキソールおよびその混合物等が挙げられる。
また、フルオロポリマーは、少なくとも1種類の上記一般式(2)で示されるモノマーと、
上記一般式(1)および/または下記一般式(3)
C=CR・・・(3)
(式中、Rは、それぞれ独立して、H、Cl、炭素原子1~8個のアルキル基、炭素原子6~8個のアリール基、炭素原子3~10個の環状アルキル基から選択される。この場合に、全てのRが同じであってもよく、また、いずれか2以上のRが同じでこれら2以上のRと残る他のRとが異なってもよく、全てのRが互いに異なってもよい。前記他のRは、複数ある場合は互いに異なってよい。)で示される少なくとも1種の共重合性コモノマーとの共重合から誘導されるコポリマーも含み得る。
一般式(1)で表される化合物の有用な例としては、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)が挙げられる。このPAVEとしては、パーフルオロプロピルビニルエーテル(PPVE)、パーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)が好ましい。
一般式(3)で表される化合物の有用な例としては、エチレン、プロピレン等が挙げられる。
フルオロポリマーのより具体的な例としては、フルオロエチレンの重合から誘導されるポリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン(VDF)の重合から誘導されるポリフッ化ビニリデン(PVDF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)の重合から誘導されるポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、2種以上の異なる上記一般式(2)で示されるモノマーの共重合から誘導されるフルオロポリマー、少なくとも1種の上記一般式(2)のモノマーと、少なくとも1種の上記一般式(1)および/または少なくとも1種の上記一般式(3)で示されるモノマーの共重合から誘導されるフルオロポリマーが挙げられる。
かかるポリマーの例は、VDFおよびヘキサフルオロプロピレン(HFP)から誘導される共重合体単位を有するポリマー、TFEおよびTFE以外の少なくとも1種の共重合性コモノマー(少なくとも3重量%)から誘導されるポリマーである。後者の種類のフルオロポリマーとしては、TFE/PAVE共重合体(PFA)、TFE/PAVE/CTFE共重合体、TFE/HFP共重合体(FEP)、TFE/エチレン共重合体(ETFE)、TFE/HFP/エチレン共重合体(EFEP)、TFE/VDF共重合体、TFE/VDF/HFP共重合体、TFE/VDF/CTFE共重合体等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
なお、繊維化しない熱溶融加工可能な成分は、上記した成分を複数組み合わせたものであってよい。
繊維化しない熱溶融加工可能な成分の多孔膜における含有量は、0.1重量%以上20重量%未満であることが好ましい。
繊維化しない熱溶融加工可能な成分の含有率は、伸長面積倍率40倍以上800倍以下での延伸を良好に行うために、10重量%以下であるのが好ましい。
(2-5)フッ素樹脂多孔膜の製造方法
次に、エアフィルタ用濾材の製造方法について、例を挙げて説明する。
フッ素樹脂多孔膜の作製においては、フッ素樹脂を用いることができるが、例えば、上述したA成分または上記説明した3種の成分を用いることが好ましい。
上記説明したA~Cの3種の成分の形態は、特に限定されず、例えば、後述する組成物、混合粉末、成形用材料である。組成物、混合粉末、成形用材料はいずれも、上記した、A成分、B成分、C成分を含み、C成分を、例えば、全体の0.1重量%以上20重量%未満含有する。
多孔膜の原料の形態は、後述する混合粉末であってもよく、粉末でない混合物であってもよく、また、後述する成形用材料あるいは組成物であってもよい。混合粉末としては、例えば、後述する実施例で用いられる共凝析によって得られるファインパウダーや、3種の原料のうち2種を共凝析で混合し、もう1種の成分を混合機を用いて混合した粉体、3種の原料を混合機で混合した粉体などが挙げられる。粉末でない混合物としては、例えば、多孔体(例えば多孔膜)等の成形体、3種の成分を含む水性分散体が挙げられる。
成形用材料は、組成物を成形するために、加工のための調整を行ったものをいい、例えば、加工助剤(液体潤滑剤等)等を添加したもの、粒度を調整したもの、予備的な成形を行ったものである。成形用材料は、例えば、上記3種の成分に加え、公知の添加剤等を含んでもよい。公知の添加剤としては、例えば、カーボンナノチューブ、カーボンブラック等の炭素材料、顔料、光触媒、活性炭、抗菌剤、吸着剤、防臭剤等が挙げられる。
組成物は、種々の方法により製造することができ、例えば、組成物が混合粉末である場合、A成分の粉末、B成分の粉末、およびC成分の粉末を一般的な混合機等で混合する方法、A成分、B成分、およびC成分をそれぞれ含む3つの水性分散液を共凝析することによって共凝析粉末を得る方法、A成分、B成分、C成分のいずれか2成分を含む水性分散液を予め共凝析することにより得られた混合粉末を残る1成分の粉末と一般的な混合機等で混合する方法、等により製造できる。
上記共凝析の方法としては、例えば、
(i)A成分の水性分散液、B成分の水性分散液、およびC成分の水性分散液を混合した後に凝析する方法、
(ii)A成分、B成分、C成分のうちいずれか1つの成分の水性分散液に、残る2成分の粉末を添加した後に凝析する方法、
(iii)A成分、B成分、C成分のうちいずれか1つの成分の粉末を、残る2成分の水性分散液を混合した混合水性分散液に添加した後に凝析する方法、
(iv)予めA成分、B成分、C成分のうちいずれか2つの成分の各水性分散液を混合した後に凝析させて得られた2成分の混合粉末を、残る1成分の水性分散液に添加した後に凝析する方法、
が挙げられる。
上記共凝析の方法としては、3種の成分が均一に分散し易い点で、上記(i)の方法が好ましい。
共凝析後は、脱水、乾燥を行なって、液体潤滑剤(押出助剤)を混合し、押出を行う。液体潤滑剤としては、PTFEの粉末の表面を濡らすことが可能であり、共凝析により得られた混合物をフィルム状に成形した後に除去可能な物質であるものであれば、特に限定されない。例えば、流動パラフィン、ナフサ、ホワイトオイル、トルエン、キシレンなどの炭化水素油、アルコール類、ケトン類、エステル類などが挙げられる。
共凝析により得られた混合物は、液体潤滑剤と混合された後、従来公知の方法で押出、圧延されることにより、フィルム状物に成形される。ここで、フッ素樹脂(例えば、共凝析により得られた混合物)に対して混合される液体潤滑剤の量は、フッ素樹脂100重量部に対して10重量部以上40重量部以下にすることができ、25重量部以上35重量部以下であることが好ましい。
押出は、ペースト押出、ラム押出等により行えるが、好ましくはペースト押出により行われる。ペースト押出により押し出されたシート状の押出物は、加熱下、例えば40℃以上80℃以下の温度条件の下、カレンダーロール等を用いて圧延される。得られるフィルム状の圧延物の厚さは、目的の多孔膜の厚さに基づいて設定され、通常100μm以上1000μm以下であり、100μm以上400μm以下であってよく、150μm以上350μm以下であることが好ましい。
次いで、圧延物である未焼成フィルムから液体潤滑剤が除去される。液体潤滑剤の除去は、加熱法又は抽出法により、或いはこれらの組み合わせにより行われる。
ここで、液体潤滑剤が除去された圧延物は、得られるフッ素樹脂多孔膜の厚みを十分に確保し、圧力損失を低減させる観点から、延伸を行う前に、250℃以上325℃以下の温度雰囲気下で1分以上加熱するという熱処理を行うことが好ましい。
以上のようにして液体潤滑剤が除去された圧延物またはさらに熱処理された圧延物は、延伸される。なお、繊維化しない熱溶融加工性成分と繊維化しない非熱溶融加工性成分が含まれている場合には、繊維化しない熱溶融加工性成分の融点以上かつ繊維化しない非熱溶融加工性成分の分解温度以下の温度下で延伸される。
なお、フッ素樹脂多孔膜の作製において繊維化しない熱溶融加工性成分を用いている場合には、この延伸過程で、繊維化しない熱溶融加工性成分が溶融し、後に結節部において固まることで、多孔膜における気流の通過方向の強度を強化することができる。この時の延伸温度は、延伸を行う炉の温度、又は圧延物を搬送する加熱ローラの温度によって設定されてもよく、或いは、これらの設定を組み合わせることで実現されてもよい。
延伸は、第1の方向への延伸と、好ましくは第1の方向と直交する第2の方向への延伸とを含む。ここで、第1の方向への延伸の後に第2の方向への延伸を行ってもよい。また、第1の方向への延伸と第2の方向への延伸とが同時に実現されてもよい。本実施形態では、第1の方向は、圧延物の長手方向(縦方向:MD方向)であり、第2の方向は、圧延物の幅方向(横方向:TD方向)である。なお、延伸は、複数枚の圧延物を重ねた状態として、同時に延伸するようにしてもよい。
前記圧延物は、延伸させる伸長面積倍率が、250倍以上800倍以下であってよく、300倍以上600倍以下であることが好ましく、400倍以上580倍以下であることがより好ましい。
得られた多孔膜は、機械的強度、寸法安定性を得るために、好ましくは熱固定される。熱固定の際の温度は、PTFEの融点以上又はPTFEの融点未満であってよく、好ましくは250℃以上400℃以下である。
フッ素樹脂多孔膜は、単層であってもよいし、第1フッ素樹脂多孔膜と第2フッ素樹脂多孔膜とを積層させた複層であってもよい。
(3)支持層
支持層の材質及び構造は、特に限定されないが、例えば、不織布、織布、金属メッシュ、樹脂ネットなどが挙げられる。なかでも、強度、捕集性、柔軟性、作業性の点からは熱融着性を有する不織布が好ましい。不織布は、構成繊維の一部または全てが芯/鞘構造を有する不織布、低融点材料からなる繊維の層と高融点材料からなる繊維の層の2層からなる2層不織布、表面に熱融着性樹脂が塗布された不織布が好ましい。このような不織布としては、例えば、スパンボンド不織布が挙げられる。また、芯/鞘構造の不織布は、芯成分が鞘成分よりも融点が高いものが好ましい。例えば、芯/鞘の各材料の組み合わせとしては、例えば、PET/PE、高融点ポリエステル/低融点ポリエステルが挙げられる。2層不織布の低融点材料/高融点材料の組み合わせとしては、例えば、PE(ポリエチレン)/PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)/PET、PBT(ポリブチレンテレフタレート)/PET、低融点PET/高融点PETが挙げられる。表面に熱融着性樹脂が塗布された不織布としては、例えばPET不織布にEVA(エチレン酢酸ビニル共重合樹脂)が塗布されたもの、PET不織布にオレフィン樹脂が塗布されたものが挙げられる。
不織布の材質は、特に限定されず、ポリオレフィン(PE、PP等)、ポリアミド、ポリエステル(PET等)、芳香族ポリアミド、またはこれらの複合材などを用いることができる。
支持層は、上述した主捕集層と比較すると、圧力損失および捕集効率が極めて低く、実質的に0とみなすこともできるものであってもよい。支持層の空気を流速9.63cm/秒で通過させたときの圧力損失は、例えば、10Pa以下であることが好ましく、5Pa以下であることがより好ましく、1Pa以下であることがさらに好ましい。支持層の空気を流速5.3cm/秒で通過させたときの圧力損失は、例えば、5Pa以下であることが好ましく、1Pa以下であることがより好ましい。また、支持層の粒子径0.075μmのNaCl粒子を用いて把握される捕集効率は、例えば、実質的に0あるいは略0とみなすことができるものであってもよい。支持層の粒子径0.3μmのNaCl粒子を用いて把握される捕集効率は、例えば、実質的に0あるいは略0とみなすことができるものであってもよい。
支持層の厚みは、例えば、500μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましい。なお、エアフィルタ濾材に設けられる凸部の形状を維持させやすくする観点から、または、プリーツ状に折り込まれた形態で用いられる場合のプリーツ形状を維持させやすくする観点から、支持層の厚みは、50μm以上であることが好ましく、75μm以上であることがより好ましい。支持層の厚みは、特定の測定装置において、測定対象に0.3Nの荷重をかけたときの厚さの値である。本実施形態のエアフィルタ濾材に用いられる支持層は、凸部を備えるものであるが、例えば、複数枚の支持層を重ねた状態で0.3Nの荷重をかけたときの厚さを測定し、そこから更に複数枚の支持層を追加で重ねた状態で0.3Nの荷重をかけたときの厚さを測定し、厚さの差分を追加の支持層の枚数で除した値として厚みを把握することができる。
(4)エアフィルタ濾材の形状
エアフィルタ濾材は、気流の通過方向に突出した複数の凸部を有している。これにより、平坦な形状のエアフィルタ濾材と比較して、気流が通過する有効濾材面積を増大させることができている。また、有効濾材面積を増大させることにより、濾材を通過する際の気流の流速を小さく抑えることができるため、捕集効率を良好にすることが可能になる。さらに、平坦な形状のエアフィルタ濾材と比較して、剛性を高めやすいため、使用時の濾材の風圧による変形を抑制することが可能となる。
なお、エアフィルタ濾材における有効濾材面積を十分に確保しやすくする観点から、エアフィルタ濾材が有する凸部は、気流の通過方向における上流側に突出した複数の第1凸部と、気流の通過方向における下流側に突出した複数の第2凸部と、を含んでいることが好ましい。
エアフィルタ濾材の複数の第1凸部は、エアフィルタ濾材の基準面に対して、エアフィルタ濾材を通過する気流の上流側に位置している。複数の第1凸部の突出高さは、全て同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
エアフィルタ濾材の複数の第2凸部は、エアフィルタ濾材の基準面に対して、エアフィルタ濾材を通過する気流の下流側に位置している。複数の第2凸部の突出高さは、全て同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
また、複数の第1凸部の平均突出高さと、複数の第2凸部の平均突出高さとは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。第1凸部と第2凸部のいずれかに応答形成時のひずみが偏ることを抑制する観点からは、複数の第1凸部の平均突出高さは、複数の第2凸部の平均突出高さの50%以上150%以下であることが好ましく、70%以上130%以下であることがより好ましく、90%以上110%以下であることが更に好ましく、同一であることが最も好ましい。
ここで、エアフィルタ濾材の基準面は、以下の(i)~(iii)の順に定められる。
(i)エアフィルタ濾材の凸部同士の間に同一面上に広がる面が存在している場合には、当該面が基準面となる。
(ii)エアフィルタ濾材の凸部同士の間に同一面上に広がる面が存在しないがエアフィルタ濾材の周縁部において同一面上に広がる面が存在する場合には、当該面が基準面となる。
(iii)エアフィルタ濾材の凸部同士の間にもエアフィルタ濾材の周縁部においても同一面上に広がる面が存在しない場合には、エアフィルタ濾材の複数の第1凸部の突出端部をつなぐように広がる仮想的な面である第1仮想面と、複数の第2凸部の突出端部をつなぐように広がる仮想的な面である第2仮想面と、の気流の通過方向における中間位置において広がる仮想的な面が基準面となる。
エアフィルタ濾材における凸部は、気流の通過方向から見た場合において、例えば、図4に示すようにドット状に形成されていてもよい。また、エアフィルタ濾材を気流の通過方向から見た場合において、凸部は、その長手方向の長さと長手方向に対して垂直に交わる方向の長さとの比が、0.25以上4.0以下であってもよく、0.5以上2.0以下であることが好ましい。また、凸部は、複数の第1凸部と複数の第2凸部がそれぞれドット状に形成されていてもよい。この場合には、エアフィルタ濾材を気流の通過方向から見た場合において、1つの第1凸部が3つ以上の第2凸部によって囲まれていてよく、1つの第1凸部が4つ以上の第2凸部によって囲まれていてもよい。また、エアフィルタ濾材を気流の通過方向から見た場合において、1つの第2凸部が3つ以上の第1凸部によって囲まれていてよく、1つの第2凸部が4つ以上の第1凸部によって囲まれていてもよい。また、例えば、図5に示すようなエンボス型を用いたエンボス加工を施すことにより、第1凸部と第2凸部が互いに連なって設けられたエアフィルタ濾材を得てもよい。この場合には、気流の通過方向から見た場合における第1凸部と第2凸部とを連続的に設けることができ、気流の通過方向から見た場合における第1凸部と第2凸部との間に介在する介在部分を無くすることができる。これにより、第1凸部と第2凸部とを気流の通過方向に隆起させるエンボス加工により形成させる場合に、変形する領域(第1凸部と第2凸部)と変形しない領域(介在部分)とが生じることによる濾材構成の不均一性を小さく抑えることができる。また、第1凸部と第2凸部とを気流の通過方向に隆起させる際に、第1凸部と介在部分との境界近傍や第2凸部と介在部分の境界近傍において局所的に生じ得る応力の発生を抑制させやすくなり、延伸により局所的に薄くなる部分の発生を抑制しやすい。
また、エアフィルタ濾材における凸部は、気流の通過方向から見た場合において、図6に示すように筋状に形成されていてもよい。また、凸部は、筋状の第1凸部と筋状の第2凸部が互いに平行に交互に並んで形成されていてもよい。
ドット状の凸部の立体的形状は、特に限定されず、例えば、直方体、立方体、角柱、円柱、半球、球台、角錐台、円錐、角錐、切頭円錐など種々の形状から選択されうる。エンボス突起部の頂上面は長方形や正方形のような平坦な矩形形状の平面であってもよいし、半球や円柱のように曲率を有する曲面であってもよい。
凸部の形成方法は、特に限定されず、例えば、得られた平らなシート状の濾材に対してエンボス加工を施すことにより形成してもよい。エンボス加工では、特定の形状の複数のエンボス突起部と、エンボス突起部に対応した形状の複数のエンボス陥没部と、を有するエンボス型を用いて、エアフィルタ濾材を気流の通過方向から挟み込むことにより、濾材を気流の通過方向に向けて延伸させることで、凸部が形成される。なお、エンボス加工時には、雰囲気温度を50℃以上150℃以下にしてもよく、70℃以上130℃以下であることが好ましく、80℃で行ってもよい。エアフィルタ濾材に設けられる凸部の形状、大きさ、突出高さ、形成密度については、このエンボス型の形状を変えることにより調節することができる。エンボス型は、板状であってもよいし、ロール状であってもよい。
また、局所的な損傷が生じることを避けるために、エアフィルタ濾材は、折り目が無いものであることが好ましい。
なお、複数の第1凸部と複数の第2凸部が形成されたエアフィルタ濾材としては、第1凸部と第2凸部との間に平坦な面が介在せずに第1凸部と第2凸部が連なって設けられている箇所を有していることがより好ましい。例えば、エンボス加工により第1凸部と第2凸部を同時に形成させる場合には、第1凸部と第2凸部の間と第1凸部と第2凸部のいずれかに局所的に延伸負荷が生じることが抑制され、エアフィルタ濾材における損傷の発生が抑制されやすい。
エアフィルタ濾材における凸部比率は、50%以上100%以下であり、60%以上95%以下であってもよいし、70%以上90%以下であってもよい。ここで、「凸部比率」とは、複数の凸部の合計部分の濾材全体に対する割合であり、具体的には、気流の通過方向に濾材全体を投影した場合における濾材全体の投影面積に対する、気流の通過方向に濾材全体を投影した場合における複数の凸部の合計の投影面積の割合を意味する。凸部として、第1凸部と第2凸部が含まれる場合には、これらを合計した投影面積を用いて算出する。凸部比率を50%以上にすることにより、有効濾材面積を十分に増大させるために必要となる凸部の突出高さを小さく抑えることができるため、エンボス加工により濾材が受けるダメージを抑制させ、捕集効率の低下を抑制させやすい。また、凸部比率を50%以上にすることにより、凸部と凸部以外の場所との境界部分の割合を小さくすることができるため、当該境界部分で生じうる濾材の性能の悪化を抑制することができる。なお、エアフィルタ濾材の全面が第1凸部と第2凸部で構成されていてもよい。
エアフィルタ濾材の有効濾材面積比率は、110%以上であり、120%以上であることが好ましい。有効濾材面積比率を110%以上とすることによりエアフィルタ濾材の圧力損失を低く抑えて捕集効率を良好にさせやすい。また、エアフィルタ濾材の損傷の発生を抑制させる観点から、有効濾材面積比率は、例えば、300%以下であってよく、220%以下であることが好ましい。ここで、「有効濾材面積比率」とは、エアフィルタ濾材の有効濾材面積の、気流の通過方向に濾材全体を投影した場合におけるエアフィルタ濾材全体の投影面積に対する比率を意味する。
エアフィルタ濾材の凸部の平均突出比は、0.10以上0.85以下であることが好ましく、0.14以上0.78以下であることがより好ましい。平均突出比を0.10以上とすることにより、エアフィルタ濾材の有効濾材面積を増大させやすくなる。また、平均突出比を0.85以下とすることにより、エアフィルタ濾材の損傷の発生を抑制させることができる。ここで、「平均突出比」とは、複数の凸部の突出比の平均値である。突出比(mm/mm)は、気流の通過方向に凸部を投影して得られる投影部分の相当直径(mm)に対する、気流の通過方向における凸部の突出高さ(mm)をいう。この突出高さ(mm)は、濾材の厚みを除いた値である。なお、相当直径(mm)は、気流の通過方向に凸部を投影して得られる投影部分の面積(mm)の4倍を、当該投影部分の周長(mm)で除して得られる値をいう。
また、気流の通過方向における凸部の突出高さの平均値は、エアフィルタ濾材の厚さを含まない状態で、例えば、1mm以上8mm以下とすることができる。
なお、平均値としては、互いに隣接して存在する100個の凸部の平均値を用いることができる。
また、エアフィルタ濾材は、気流の通過方向から見た場合において、濾材全体の投影面積に対する凸部の個数密度(個/cm)は、有効濾材面積を増大させやすくしつつエンボス加工時の延伸により局所的に薄くなる部分の発生を抑制させやすい観点から、0.1以上10以下であることが好ましく、0.5以上5以下であってよく、1.0以上4.0以下であってよい。
(5)エアフィルタ濾材の各物性
エアフィルタ濾材は、空気を流速9.63cm/秒で通過させたときの圧力損失が、160Pa以下であることが好ましく、150Pa以下であることがより好ましい。なお、エアフィルタ濾材の空気を流速9.63cm/秒で通過させたときの圧力損失は、特に限定されないが、40Pa以上であってよい。また、エアフィルタ濾材は、空気を流速9.63cm/秒で通過させつつ、粒子径0.075μmのNaCl粒子を用いて把握される捕集効率が、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。
エアフィルタ濾材は、空気を流速5.3cm/秒で通過させたときの圧力損失が、80Pa以下であることが好ましく、75Pa以下であることがより好ましい。なお、エアフィルタ濾材の空気を流速5.3cm/秒で通過させたときの圧力損失は、特に限定されないが、20Pa以上であってよい。また、エアフィルタ濾材は、空気を流速5.3cm/秒で通過させつつ、粒子径0.3μmのNaCl粒子を用いて把握される捕集効率が、90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。
エアフィルタ濾材は、空気を流速9.63cm/秒で通過させたときの圧力損失、および、粒子径0.075μmのNaCl粒子を用いて把握される捕集効率を用いて、次式:PF値={-log((100-捕集効率(%))/100)}/(圧力損失(Pa)/1000)で定められるPF値が、10.2以上であることが好ましく、11以上であることがよりこのましい。
エアフィルタ濾材は、空気を流速5.3cm/秒で通過させたときの圧力損失、および、粒子径0.3μmのNaCl粒子を用いて把握される捕集効率を用いて、次式:PF値={-log((100-捕集効率(%))/100)}/(圧力損失(Pa)/1000)で定められるPF値が、38以上であることが好ましく、39以上であることがより好ましく、40以上であることがさらに好ましい。
エアフィルタ濾材は、粒子径0.1μmのNaCl粒子の保塵量が2.3g/m以上であることが好ましく、5.0g/m以上であることがより好ましい。
なお、本実施形態に記載の各物性は、いずれも帯電していない非帯電状態での値を示している。なお、非帯電状態のエアフィルタ濾材は、「JIS B 9908-4 第4部:換気用エアフィルタユニットの除電処理の試験方法」に準じた除電処理が施されることで帯電していない状態のエアフィルタ濾材をいう。
エアフィルタ濾材の厚みは、例えば、200μm以上500μm以下であることが好ましい。エアフィルタ濾材の厚みは、特定の測定装置において、測定対象に0.3Nの荷重をかけたときの厚さの値である。本実施形態のエアフィルタ濾材は、凸部を備えるものであるが、例えば、複数枚のエアフィルタ濾材を重ねた状態で0.3Nの荷重をかけたときの厚さを測定し、そこから更に複数枚のエアフィルタ濾材を追加で重ねた状態で0.3Nの荷重をかけたときの厚さを測定し、厚さの差分を追加のエアフィルタ濾材の枚数で除した値として厚みを把握することができる。
エアフィルタ濾材は、上記厚みの30%以下となる潰れた部分を含まない、または、気流の通過方向視における潰れた部分の面積比率が1%以下であることが好ましく、上記厚みの20%以下となる潰れた部分を含まない、または、気流の通過方向視における潰れた部分の面積比率が1%以下であることがより好ましくい。凹凸形状の加工が施されているエアフィルタ濾材であっても、潰れた部分を生じさせないまたは少なく抑えることで、性能低下部分が生じることを避けることが可能になる。
エアフィルタ濾材が、平坦な濾材をエンボス加工することにより凸部または凹凸形状が形成されたものである場合に、平坦な濾材のPF値に対するエンボス加工後の濾材のPF値の比であるPF値比(加工後PF値/加工前PF値)が1.1以上であることが好ましく、1.2以上であることがより好ましい。なお、ここでのPF値は、気流の流速を5.3cm/sとした場合の、粒子径0.3μmの塵の捕集効率とその時の圧力損失から得られるPF値である。このように、気流の通過方向に凸部または凹凸形状を形成させることにより、平坦な形状の濾材よりもPF値を良好にすることが可能になる。
エアフィルタ濾材について、主捕集層が繊維化し得るポリテトラフルオロエチレンの単成分により構成されている場合には、気流の流速を5.3cm/sとした場合の、粒子径0.3μmの塵の捕集効率とその時の圧力損失から得られるエアフィルタ濾材のPF値が39以上であることが好ましく、40以上であることがより好ましく、41以上であることがさらに好ましい。
エアフィルタ濾材について、主捕集層が、繊維化し得るポリテトラフルオロエチレンと、繊維化しない非熱溶融加工性成分と、融点320℃未満の繊維化しない熱溶融加工可能な成分と、を含んで構成されている場合には、気流の流速を5.3cm/sとした場合の、粒子径0.3μmの塵の捕集効率とその時の圧力損失から得られるエアフィルタ濾材のPF値が38以上であることが好ましく、39以上であることがより好ましく、40以上であることがさらに好ましい。
エアフィルタ濾材について、主捕集層が、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリフェニレンサルファイド、および、ポリイミドなる群より選択される1種または2種以上を含んで構成されている場合には、気流の流速を5.3cm/sとした場合の、粒子径0.3μmの塵の捕集効率とその時の圧力損失から得られるエアフィルタ濾材のPF値が22以上であることが好ましく、23以上であることがより好ましく、24以上であることがさらに好ましい。
(6)エアフィルタ濾材の用途
本実施形態のエアフィルタ濾材の用途は、特に限定されず、例えば、次のような用途に用いられる。
ULPAフィルタ(Ultra low Penetration Air Filter)(半導体製造用)、HEPAフィルタ(病院、半導体製造用)、円筒カートリッジフィルタ(産業用)、バグフィルタ(産業用)、耐熱バグフィルタ(排ガス処理用)、耐熱プリーツフィルタ(排ガス処理用)、SINBRAN(登録商標)フィルタ(産業用)、触媒フィルタ(排ガス処理用)、吸着剤付フィルタ(HDD組込み用)、吸着剤付ベントフィルタ(HDD組込み用)、ベントフィルタ(HDD組込み用等)、掃除機用フィルタ(掃除機用)、汎用複層フェルト材、ガスタービン用カートリッジフィルタ(ガスタービン向け互換品用)、クーリングフィルタ(電子機器筐体用)等の分野;
凍結乾燥用の容器等の凍結乾燥用材料、電子回路やランプ向けの自動車用換気材料、容器キャップ向け等の容器用途、電子機器向け等の保護換気用途、医療用換気用途等の換気/内圧調整分野;
半導体液ろ過フィルタ(半導体製造用)、親水性フィルタ(半導体製造用)、化学薬品向けフィルタ(薬液処理用)、純水製造ライン用フィルタ(純水製造用)、逆洗型液ろ過フィルタ(産業排水処理用)等の液濾過分野。
また、本実施形態のエアフィルタ濾材は、例えば、人間の口、鼻を介した、埃、油煙、菌、ウィルス等の体内への侵入を抑制させるマスクとして用いられてもよい。マスクの形態としては、平型、プリーツ型、立体型のいずれであってもよい。プリーツ型のマスクについては、折りたたまれたプリーツ部分を広げた状態で用いられるものであってよい。立体型のマスクとしては、前側にいくほど先細りした形状のくちばし型であってもよい。
(7)エアフィルタパック
次に、図7を参照して、本実施形態のエアフィルタパックについて説明する。
図7は、本実施形態のエアフィルタパック20の外観斜視図である。
エアフィルタパック20は、上記説明したエアフィルタ濾材について、山折りおよび谷折りが交互に繰り返されたジグザグ形状に加工(プリーツ加工)された加工済み濾材である。プリーツ加工は、例えば、公知のロータリー式折り機によって行うことができる。プリーツ加工して得られるエアフィルタパックは、山折り谷折の折り目方向から見た場合に、V字が並ぶような形状となっている。濾材の折り幅は、特に限定されないが、例えば25mm以上280mm以下である。エアフィルタパック20は、プリーツ加工が施されていることで、エアフィルタユニットに用いられた場合の濾材の折り込み面積を増やすことができ、これにより、捕集効率の高いエアフィルタユニットを得ることができる。このように、折り込み加工されたエアフィルタパックにおいては、上述のエアフィルタ濾材の凸部によって、互いに対向している部分同士の間隔が確保されている。なお、複数の凸部が濾材全体の投影面積の50%以上形成されたエアフィルタ濾材では、プリーツ加工された形状での使用時において、比較的強い風速下で用いられても、風下側で互いに対向する部分の間隔が維持されて変形が抑制されやすいため、圧力損失を小さく抑えることが可能になっている。
なお、このようなフィルタパックにおいては、エアフィルタ濾材の対向部分同士の間隔を保持するためのホットメルト樹脂等がエアフィルタ濾材の表面に設けられておらず、対向する面同士の間隔を保持するためのスタビライザ等も設けられておらず、対向部分同士は上述した凸部のみによって確保されていることが好ましい。この場合には、ホットメルト樹脂やスタビライザ等を不要とすることにより、構造的な圧力損失を小さく抑えることが可能になる。
(8)エアフィルタユニット
次に、図8を参照して、エアフィルタユニット1について説明する。
図8は、本実施形態のエアフィルタユニット1の外観斜視図である。
エアフィルタユニット1は、上記説明したエアフィルタパック20と、エアフィルタパック20を収容する枠体25と、を備えている。
なお、エアフィルタユニットは、温度変化に伴う膨張程度の相違により摩擦が生じ、粉塵が生じてしまうことを抑制するため、および、ユニットの軽量化のために、間隔保持部材が用いられていないことが好ましい。また、間隔保持部材を用いないことで、エアフィルタ濾材が受ける損傷を抑制することができる。なお、ここでいう間隔保持部材としては、例えば、エアフィルタ濾材の対向する部分同士の間隔を保持するためのエアフィルタ濾材とは別部材で構成されるセパレータが挙げられる。
枠体25は、例えば、樹脂や金属等の板材を組み合わせて作られ、エアフィルタパック20と枠体25の間は好ましくはシール剤によりシールされる。シール剤は、エアフィルタパック20と枠体25の間のリークを防ぐためのものであり、例えば、エポキシ、アクリル、ウレタン系などの樹脂製のものが用いられる。
以下、実施例および比較例を示して、本開示の内容を具体的に説明する。
(比較例1)
比較例1のエアフィルタ濾材の主捕集層に用いられるフッ素樹脂多孔膜のFP原料としては、3種の成分(繊維化し得るPTFE(A成分)、繊維化しない非熱溶融加工性成分(B成分)、および融点320℃未満の繊維化しない熱溶融加工可能な成分(C成分))から構成される混合粉末を用いた。
より具体的には、まず、国際公開第2005/061567号パンフレットの比較例3に記載の方法に準拠して作製されたSSGが2.160のPTFE水性分散体(A成分)66.5重量%(ポリマー換算)、国際公開第2009/020187号パンフレット記載の方法に準拠して作製された380℃におけるフローテスター法を用いて測定される溶融粘度が20000Pa・sの低分子量PTFE水性分散体(B成分)28.5重量%(ポリマー換算)、及び特開2010-235667号公報に記載の方法に準拠して作製された融点が215℃のFEP水性分散体(C成分)5重量%(ポリマー換算)を混合し、凝析剤として1%硝酸アルミニウム水溶液500mlを添加し、攪拌することにより共凝析を行った。そして、生成した粉をふるいを用いて水切りをした後、さらに、熱風乾燥炉により135℃で18時間乾燥し、上記3成分の混合粉末を得た。
次いで、混合物100重量部当たり押出液状潤滑剤として炭化水素油(出光興産株式会社製「IPソルベント2028」)を20℃において29.0重量部(混合粉末100重量部に対して29.0重量部)を加えて混合した。次に、得られた混合物をペースト押出装置を用いて押し出して丸棒形状の成形体を得た。この丸棒形状の成型体を70℃に加熱したカレンダーロールによりフィルム状に成形しPTFEフィルムを得た。このフィルムを250℃の熱風乾燥炉に通して炭化水素油を蒸発除去し、平均厚さ300μm、平均幅150mmの帯状の未焼成PTFEフィルム(生テープ)を得た。次に、未焼成PTFEフィルムを、所定温度環境下(250℃)、長手方向(MD方向)に所定の延伸倍率(10倍)、所定の延伸速度(13.8%/秒)で延伸した。次に、延伸した未焼成フィルムをクリップできるテンターを用いて、所定温度環境下(288℃)、幅方向(TD方向)に所定の延伸倍率(45倍)、所定の延伸速度(330%/秒)で延伸し、390℃の温度で熱固定を行った。これによりフッ素樹脂多孔膜を得た。
以上のようにして得られたフッ素樹脂多孔膜に対して、その片面に支持層を熱融着させることにより比較例1のエアフィルタ濾材を得た。なお、支持層は、PETを芯に、PEを鞘に用いた芯/鞘構造の繊維からなるスパンボンド不織布(平均繊維径24μm、目付40g/m2、厚さ0.2mm)を用いた(なお、捕集効率は、実質的に0あるいは略0とみなすことができるものであった)。
(実施例1)
上記比較例1のエアフィルタ濾材に対して、一対のロール状エンボス型を有する装置を用いてエンボス加工を行い、実施例1のエアフィルタ濾材を得た。エンボス型に設けられている突起形状は、四角錐台であり、底辺の1辺の長さが9.5mm、高さが5.5mm、四角錐台の頂部の一辺は2.0mmであった。また、一対のロール状エンボス型のうちの一方には、複数の第1凸部を形成させるための複数の突起形状が形成されており、一対のロール状エンボス型のうちの他方には、複数の第1凸部を形成させるための複数の突起形状に対応した複数の凹部形状が形成されている。同様に、一対のロール状エンボス型のうちの他方には、複数の第2凸部を形成させるための複数の突起形状が形成されており、一対のロール状エンボス型のうちの一方には、複数の第2凸部を形成させるための複数の突起形状に対応した複数の凹部形状が形成されている。実施例1のエアフィルタ濾材は、凸部比率が95%となるようなエンボス型を用いてエンボス加工をした。なお、ここでは、不織布繊維のガラス転移温度を超える温度であって不織布がフィルム化する温度以下の温度として、一対のロール状エンボス型を80℃に加熱して加工を行った。
(実施例2)
実施例2では、比較例1と同様の濾材を用いて、凸部比率が50%となるようなエンボス型を用いてエンボス加工を行い、これに伴って有効濾材面積比率を変化させた点以外は実施例1と同様にして、実施例2のエアフィルタ濾材を得た。
(実施例3)
実施例3では、比較例1と同様の濾材を用いて、平均突出比が0.21となるようなエンボス型を用いてエンボス加工を行い、これに伴って有効濾材面積比率を変化させた点以外は実施例1と同様にして、実施例3のエアフィルタ濾材を得た。
(比較例2)
比較例2では、比較例1と同様の濾材を用いて、エンボス型に設けられている突起形状の高さが9.0mmであり平均突出比が0.89となるようなエンボス型を用いてエンボス加工を行い、これに伴って有効濾材面積比率を変化させた点以外は実施例1と同様にして、比較例2のエアフィルタ濾材を得た。この比較例2では、凸部の頂上部分で破れが確認された。
(比較例3)
比較例3では、比較例1と同様の濾材を用いて、凸部比率が40%となるようなエンボス型を用いてエンボス加工を行った点以外は実施例1と同様にして、比較例3のエアフィルタ濾材を得た。
(比較例4)
比較例4では、ガラス繊維からなる不織布を用いて、当該不織布に対して、実施例3と同じロール状エンボス型を用いてエンボス加工を行うことで比較例4のエアフィルタ濾材を得た。なお、エンボス加工を行う前のガラス繊維の不織布における圧力損失と塵の捕集効率は、試験風速5.3cm/s、試験粒子径0.3μmの測定方法によれば、275Paと99.98%となり、PF=13であった。この比較例4では、凸部の頂上部分で破れが確認された。
(比較例5)
比較例5のエアフィルタ濾材の主捕集層に用いられるフッ素樹脂多孔膜のFP原料としては、単成分から構成される混合粉末を用いた。
より具体的には、平均分子量650万のポリテトラフルオロエチレンのファインパウダー(ダイキン工業株式会社製、商品名:F106)ホモPTFE100重量部に対して所定量(30重量部)の押出助剤(液状潤滑剤)を混合したものを用いた。次に、得られた混合物をペースト押出装置を用いて押し出して丸棒形状の成形体を得た。この丸棒形状の成型体を70℃に加熱したカレンダーロールによりフィルム状に成形しPTFEフィルムを得た。このフィルムを200℃の熱風乾燥炉に通して押出助剤を蒸発除去し、所定の平均厚さ200μm、平均幅170mmの帯状の未焼成PTFEフィルム(生テープ)を得た。次に、未焼成PTFEフィルムを、加熱式3本ロール式延伸装置を用いて、300℃で長手方向(MD方向)に延伸倍率10倍、延伸速度29.5%/秒で縦延伸した。次に、連続クリップできるテンター式連続延伸装置を用いて、所定温度環境下(290℃)、幅方向(TD方向)に延伸倍率30倍、延伸速度(330%/秒)で横延伸し、390℃の温度で熱固定を行った。
以上のようにして得られたフッ素樹脂多孔膜に対して、比較例1と同様に、その片面に支持層を熱融着させることにより比較例5のエアフィルタ濾材を得た。なお、支持層は、PETを芯に、PEを鞘に用いた芯/鞘構造の繊維からなるスパンボンド不織布(平均繊維径24μm、目付40g/m2、厚さ0.2mm)を用いた(なお、捕集効率は、実質的に0あるいは略0とみなすことができるものであった)。
(実施例4)
上記比較例5のエアフィルタ濾材に対して、実施例1と同様の形状となるように、一対のロール状エンボス型を有する装置を用いてエンボス加工を行い、実施例4のエアフィルタ濾材を得た。実施例4のエアフィルタ濾材は、実施例1と同様に、凸部比率が95%となるようなエンボス型を用いてエンボス加工をした。
(比較例6)
比較例6のエアフィルタ濾材は、ポリプロピレンを用いて静電紡糸方法でナノファイバの膜を得た。具体的には、ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社製:S315)を二軸押出機にて300℃で溶融混錬して静電紡糸を行った。紡糸条件は、ニードル内径0.2mm、コレクター間距離6cmとし、ニードルに印加電圧40kVを与えることで平均繊維径480nm、目付5.5g/mのナノファイバの膜を得た。
以上のようにして得られたナノファイバの膜に対して、比較例1と同様に、その片面に支持層を熱融着させることにより比較例6のエアフィルタ濾材を得た。なお、支持層は、PETを芯に、PEを鞘に用いた芯/鞘構造の繊維からなるスパンボンド不織布(平均繊維径24μm、目付40g/m2、厚さ0.2mm)を用いた(なお、捕集効率は、実質的に0あるいは略0とみなすことができるものであった)。
(実施例5)
上記比較例6のエアフィルタ濾材に対して、実施例1と同様の形状となるように、一対のロール状エンボス型を有する装置を用いてエンボス加工を行い、実施例5のエアフィルタ濾材を得た。実施例4のエアフィルタ濾材は、実施例1と同様に、凸部比率が95%となるようなエンボス型を用いてエンボス加工をした。
なお、実施例1-5および比較例1-6において測定した各物性は、以下の通りである。
(凸部比率)
エアフィルタ濾材を気流の通過方向に投影させた場合の凸部の割合である凸部比率を、以下の式により算出した。
凸部比率(%)=(気流の通過方向に濾材全体を投影した場合における複数の凸部の合計の投影面積/気流の通過方向に濾材全体を投影した場合における濾材全体の投影面積)×100
(有効濾材面積比率)
凸部が無いと仮定した場合の有効濾材面積に対する、凸部を有するエアフィルタ濾材の有効濾材面積の割合である有効濾材面積比率を、以下の式により算出した。なお、エアフィルタ濾材の有効濾材面積は、エアフィルタ濾材の風上側の総表面積をいう。
有効濾材面積比率(%)=(エアフィルタ濾材の有効濾材面積/気流の通過方向に濾材全体を投影した場合におけるエアフィルタ濾材全体の投影面積)×100
(平均突出比)
互いに隣接して位置する任意の100個の凸部を対象とした突出比の平均値である平均突出比を算出した。なお、突出比は、以下の通り、凸部の相当直径に対する、凸部の厚みを除いた高さの比とした。相当直径(mm)とは、気流の通過方向における凸部の投影部分である底面の面積(mm)の4倍を凸部の周長(mm)で割ったものである。相当直径(mm)は、例えば、凸部の底面が正方形である場合、当該正方形の一片の長さを表す。
突出比(mm/mm)=凸部の突出高さ(mm)/凸部の相当直径(mm)
相当直径(mm/mm)=4×凸部の底面の面積(mm)/凸部の底面の周長(mm)
(エアフィルタ濾材における試験風速9.63cm/秒での圧力損失)
エアフィルタ濾材の測定サンプルを、65cmのフィルタ濾材ホルダにセットし、コンプレッサで入口側を加圧し、流速計で空気の透過する流量を9.63cm/秒に調整した。そして、この時の圧力損失を差圧計で測定した。
(エアフィルタ濾材における試験風速5.3cm/秒での圧力損失)
エアフィルタ濾材の測定サンプルを、65cmのフィルタ濾材ホルダにセットし、コンプレッサで入口側を加圧し、流速計で空気の透過する流量を5.3cm/秒に調整した。そして、この時の圧力損失を差圧計で測定した。
(エアフィルタ濾材における粒子径0.075μmのNaCl粒子の捕集効率)
JIS B9928附属書5(規定)NaClエアロゾルの発生方法(加圧噴霧法)記載の方法に準じて、アトマイザーで発生させたNaCl粒子を、静電分級器(TSI社製)で、粒径0.075μmに分級し、アメリシウム241を用いて粒子帯電を中和した後、透過する流量を9.63cm/秒に調整し、パーティクルカウンター(TSI社製、CNC)を用いて、測定試料である濾材の前後での粒子数を求め、次式により捕集効率を算出した。
透過率(%)=(CO/CI)×100
捕集効率(%)=100-透過率(%)
CO=測定試料の下流側のNaCl 0.075μmの粒子数
CI=測定試料の上流側のNaCl 0.075μmの粒子数
(エアフィルタ濾材における粒子径0.3μmのNaCl粒子の捕集効率)
JIS B9928附属書5(規定)NaClエアロゾルの発生方法(加圧噴霧法)記載の方法に準じて、アトマイザーで発生させたNaCl粒子を、静電分級器(TSI社製)で、粒径0.3μmに分級し、アメリシウム241を用いて粒子帯電を中和した後、透過する流量を5.3cm/秒に調整し、パーティクルカウンター(TSI社製、CNC)を用いて、測定試料である濾材の前後での粒子数を求め、次式により捕集効率を算出した。
透過率(%)=(CO/CI)×100
捕集効率(%)=100-透過率(%)
CO=測定試料の下流側のNaCl 0.3μmの粒子数
CI=測定試料の上流側のNaCl 0.3μmの粒子数
(エアフィルタ濾材における粒子径0.075μmのNaCl粒子のPF値)
上記試験風速9.63cm/秒でのエアフィルタ濾材の圧力損失と、上記粒子径0.075μmのNaCl粒子を用いたエアフィルタ濾材の捕集効率とから、次式に従いPF値を求めた。
PF値={-log((100-捕集効率(%))/100)}/(圧力損失(Pa)/1000)
(エアフィルタ濾材における粒子径0.3μmのNaCl粒子のPF値)
上記試験風速5.3cm/秒でのエアフィルタ濾材の圧力損失と、上記粒子径0.3μmのNaCl粒子を用いたエアフィルタ濾材の捕集効率とから、次式に従いPF値を求めた。
PF値={-log((100-捕集効率(%))/100)}/(圧力損失(Pa)/1000)
(エアフィルタ濾材における粒子径0.1μmのNaCl粒子の保塵量)
NaCl粒子(固体粒子)透過時の圧力損失上昇試験で評価した。即ち、NaCl粒子を含んだ空気を有効濾過面積50cm2のサンプル濾材に流速5.3cm/秒で連続通風したときの圧力損失を差圧計で経時的に測定し、圧力損失が300Paになったときに、濾材に保持されているNaCl粒子の濾材の単位面積当たりの重量である保塵量(g/m2)を求めた。なお、NaCl粒子は、アトマイザーで発生させたNaCl粒子(個数中位径0.1μm)を用い、NaCl粒子の濃度は、約500万~700万個/cm3とした。なお、エアフィルタ濾材における粒子径0.1μmのNaCl粒子の保塵量は、実施例1、実施例3、比較例1のエアフィルタ濾材についてのみ測定した。エアフィルタ濾材における粒子径0.1μmのNaCl粒子の保塵量は、実施例1が6.8g/m2、実施例3が2.4g/m2、比較例1が2.2g/m2であった。
各実施例1-5および各比較例1-6のエアフィルタ濾材の諸物性を、以下の表に示す。
Figure 0007401831000001
Figure 0007401831000002
特に、上記表1、2に示すように、平坦な濾材である比較例1、5、6に対して、凸部を形成させた実施例1、4、5では、PF値をより良好にすることができており、凸部加工の前後でのPF値の比(実施例1のPF値/比較例1のPF値=1.34、実施例4のPF値/比較例5のPF値=1.24、実施例5のPF値/比較例6のPF値=1.27)によれば、いずれも同程度に改善されていることが確認できた。
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
1 エアフィルタユニット
20 エアフィルタパック
25 枠体
30 エアフィルタ濾材
31 主捕集層
32 支持層
国際公開第2019/159654号

Claims (13)

  1. フッ素樹脂を含んだエアフィルタ濾材であって、
    気流の通過方向に突出した複数の凸部を有し、
    前記気流の通過方向に前記濾材全体を投影した場合における複数の前記凸部の投影面積は、前記気流の通過方向に前記濾材全体を投影した場合における前記濾材全体の投影面積の50%以上100%以下であり、
    前記濾材の有効濾材面積の、前記気流の通過方向に前記濾材全体を投影した場合における前記濾材全体の投影面積に対する比率が110%以上であり、
    複数の前記凸部は、前記濾材に対する気流の通過方向における上流側に突出した複数の第1凸部と、前記濾材に対する気流の通過方向における下流側に突出した複数の第2凸部と、を含んでおり、
    前記気流の通過方向に前記濾材全体を投影した場合における複数の前記第1凸部と複数の前記第2凸部の合計の投影面積は、前記気流の通過方向に前記濾材全体を投影した場合における前記濾材全体の投影面積の50%以上100%以下であり、
    前記濾材の有効濾材面積の、前記気流の通過方向に前記濾材全体を投影した場合における前記濾材全体の投影面積に対する比率が110%以上である、
    エアフィルタ濾材。
  2. 気流の流速が9.63cm/sであり、粒子径0.075μmの塵の捕集効率とその時の圧力損失から得られるPF値が10.2以上である、
    請求項1に記載のエアフィルタ濾材。
  3. 複数の前記凸部の、前記気流の通過方向における平均突出比は、0.10以上0.85以下である、
    請求項1または2に記載のエアフィルタ濾材。
  4. 前記フッ素樹脂は、繊維化し得るポリテトラフルオロエチレンを含み、
    気流の流速が5.3cm/sであり、粒子径0.3μmの塵の捕集効率とその時の圧力損失から得られるPF値が39以上である、
    請求項1または2に記載のエアフィルタ濾材。
  5. 前記フッ素樹脂は、繊維化し得るポリテトラフルオロエチレンと、繊維化しない非熱溶融加工性成分と、融点320℃未満の繊維化しない熱溶融加工可能な成分と、を含み、
    気流の流速が5.3cm/sであり、粒子径0.3μmの塵の捕集効率とその時の圧力損失から得られるPF値が38以上である、
    請求項1または2に記載のエアフィルタ濾材。
  6. 複数の前記凸部は、ドット状に存在する、
    請求項1または2に記載のエアフィルタ濾材。
  7. 前記第1凸部は、3つ以上の前記第2凸部により囲まれており、
    前記第2凸部は、3つ以上の前記第1凸部により囲まれている、
    請求項に記載のエアフィルタ濾材。
  8. 複数の前記第1凸部と複数の前記第2凸部はいずれも筋状であり、
    前記第1凸部と前記第2凸部は交互に並んでいる、
    請求項1または2に記載のエアフィルタ濾材。
  9. 前記第1凸部と前記第2凸部が連なっている、
    請求項1または2に記載のエアフィルタ濾材。
  10. 複数の前記凸部は、前記気流の通過方向に押し出されることで得られた延伸成形部である、
    請求項1または2に記載のエアフィルタ濾材。
  11. 平坦な濾材に対して、前記平坦な濾材の厚み方向に向けて押し出されることで複数の前記延伸成形部を生じさせる加工により得られる濾材であって、
    前記平坦な濾材のPF値に対する複数の前記延伸成形部を生じさせた濾材のPF値の比であるPF値比(加工後PF値/加工前PF値)が1.1以上であり、
    前記PF値は、気流の流速を5.3cm/sとした場合の、粒子径0.3μmの塵の捕集効率とその時の圧力損失から得られるPF値である、
    請求項10に記載のエアフィルタ濾材。
  12. 請求項1または2に記載のエアフィルタ濾材を備え、
    前記エアフィルタ濾材が山折りおよび谷折りが交互に繰り返されたジグザグ形状に加工されており、複数の前記凸部が前記エアフィルタ濾材のうちの互いに対向する部分の間隔を保持している、
    エアフィルタパック。
  13. 請求項12に記載のエアフィルタパックと、
    前記エアフィルタパックを保持する枠体と、
    を備えたエアフィルタユニット。
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