JPWO2013062050A1 - ゲムシタビン水溶液製剤 - Google Patents
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Abstract
安定性および溶解性ともに良好なゲムシタビン水溶液製剤を提供すること。本発明のゲムシタビン水溶液製剤は、ゲムシタビン塩酸塩、ポリエチレングリコールを含有する。本発明のゲムシタビン水溶液製剤は、さらにリン酸水素二ナトリウム12水和物、ニコチンアミド、アルギニンならびにサリチル酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1つを含有してもよい。上記製剤は、望ましくは、ゲムシタビンを20mg/mL以上の濃度で含有する。
Description
本発明は、ゲムシタビン水溶液製剤に関する。
ゲムシタビンは、デオキシシチジン誘導体であり、その塩酸塩は、強力で特異性の高い代謝拮抗作用を示す抗悪性腫瘍剤として用いられる。適応症は、非小細胞肺癌、膵癌、胆道癌、尿路上皮癌、手術不能または再発乳癌などがある。ゲムシタビン塩酸塩は凍結乾燥製剤として市販されている。凍結乾燥製剤は、生理食塩液に溶解し、ゲムシタビンとして体表面積あたり1000mgまたは1250mg(成人1人あたり約1600mgまたは2000mg)を30分かけて点滴静注される。
ゲムシタビン塩酸塩の凍結乾燥製剤としては、ジェムザール(登録商標)注射用200mg製剤および1g製剤が市販されている。これらの製剤には、ゲムシタビン塩酸塩228mg(ゲムシタビンとして200mg)に対してD−マンニトールが200mg、無水酢酸ナトリウムが12.5mgの割合で含有されており、さらに適量のpH調節剤が添加されている。ゲムシタビン塩酸塩を生理食塩液にゲムシタビンとして16mg/mLの濃度で溶解した場合、その溶液のpHは約3、そして浸透圧比は約2である。特許文献1には、ゲムシタビンの溶解度が、pH2.7〜3.3では38mg/mL、pH5付近では16mg/mL、pH7付近では15.3mg/mL、およびpH9付近では15.8mg/mLであることが記載されており、酸性では中性の2倍以上の溶解度を示すことがわかる。
このように、ジェムザール(登録商標)注射用製剤は、使用に際して溶解操作を必要とし、複数の製剤を使用しなければならない場合は、操作が煩雑化し、無菌性の確保に注意が割かれる。さらには、溶解操作時の医療従事者への抗癌剤曝露のリスクが高い。このため、医療現場ではゲムシタビン塩酸塩の液剤化が望まれていた。
ゲムシタビン塩酸塩を生理食塩液に溶解すると、溶液は酸性となり、ゲムシタビンが加水分解を受け、安定性に問題が生じる。溶液のpHを中性にすると、加水分解は抑制されるが、ゲムシタビンが析出し、溶解性に問題が生じる。このように、ゲムシタビン塩酸塩を液剤化するうえで、溶液状態での安定性と溶解性とを両立させることが課題であった。
Public Assessment Report Decentralised Procedure, Gemcitabine NIDDA 38mg/ml Concentration for Solution for Infusion and Gemcitabine STADA 38mg/ml Concentration for Solution for Infusion, UK/H/1859-60/001/DC, UK Licence No: PL 11204/0215-6, STADA Arzneimittel AG, Medicines and Healthcare products Regulatory Agency
高木博司著、「図解薬理学(新版)」、中外医学社、1991年3月、p.43
本発明は、安定性および溶解性ともに良好なゲムシタビン水溶液製剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、安定性および溶解性ともに良好なゲムシタビン水溶液製剤を提供するために鋭意研究を重ねた。その結果、ポリエチレングリコールを含有させることにより、安定性および溶解性ともに良好なゲムシタビン水溶液を得ることに成功した。
本発明は、ゲムシタビン水溶液製剤を提供し、該製剤は、ゲムシタビン塩酸塩とポリエチレングリコールとを含有する(ただし、塩化マグネシウムは含まない)。
1つの実施態様では、上記製剤は、さらにリン酸水素二ナトリウム12水和物、ニコチンアミド、アルギニンならびにサリチル酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1つを含有する。
1つの実施態様では、上記製剤は、pHが4〜9である。
1つの実施態様では、上記ゲムシタビンの濃度は20mg/mL以上である。
本発明によれば、安定性および溶解性ともに良好なゲムシタビン水溶液製剤を提供することができる。本製剤は、使用に際して溶解操作を必要としないため、点滴バッグへの混注作業にかかる労力が軽減され、点滴静注による投与が簡便となるうえ、医療従事者への抗癌剤曝露のリスクを低減できるため、医療従事者の負担が軽減される。また、無菌性の確保も容易となる。
本発明のゲムシタビン水溶液製剤は、ゲムシタビン塩酸塩、ポリエチレングリコールを含有する(但し、塩化マグネシウムを除く)。
本発明の水溶液中には、溶質である固体の粒子(析出物)が認められない。
ゲムシタビン(gemcitabine)とは、抗癌剤として用いられる含フッ素ヌクレオシドの一種であり、シチジンのリボース環の2’位がフッ素2個で置換された構造を有する。ジェムザール(Gemzar)(登録商標)という商品名でゲムシタビン塩酸塩の凍結乾燥製剤が市販されている。ゲムシタビン塩酸塩は、白色〜微黄白色の結晶性の粉末である。ゲムシタビンの溶解度は、pH2.7〜3.3では38mg/mL、pH5付近では16mg/mL、pH7付近では15.3mg/mL、およびpH9付近では15.8mg/mLである(特許文献1)。ゲムシタビンは、抗癌剤として体表面積あたり1000mgまたは1250mg(成人1人あたり約1600mgまたは2000mg)が点滴静注にて投与される。
ポリエチレングリコールとは、日本薬局方(局方)または医薬品添加物規格(薬添規)に収載された規格を満たすものをいう。ポリエチレングリコールは、製剤において、安定化剤、界面活性剤、可塑剤、滑沢剤、基剤、結合剤、光沢化剤、コーティング剤、溶解補助剤、乳化剤、崩壊剤、溶解補助剤などとして用いられる。本発明において、ポリエチレングリコールは、ゲムシタビンの溶解補助剤として、最大使用量の範囲内になるように製剤中に含有される。
本発明は、好ましくはリン酸水素二ナトリウム12水和物、ニコチンアミド、アルギニンならびにサリチル酸ナトリウムからなる群より選択される1つ以上の添加剤をさらに含有してもよい。
リン酸水素二ナトリウム12水和物とは、日本薬局方(局方)に収載された規格を満たすリン酸水素二ナトリウム12水和物をいう。
ニコチンアミドとは、白色粉末で水に溶けやすく、製剤において、安定化剤、等張化剤、溶解補助剤などとして用いられる。静脈内注射の場合、最大使用量は250mgである。本発明において、ニコチンアミドは、ゲムシタビンの溶解補助剤として、最大使用量の範囲内になるように製剤中に含有される。
アルギニンとは、アミノ酸の一種であり、白色粉末で水に溶けやすく、製剤において、安定化剤、可溶化剤、緩衝剤、溶解補助剤などとして用いられる。静脈内注射の場合、最大使用量は3.24gである。本発明において、アルギニンは、ゲムシタビンの溶解補助剤として、最大使用量の範囲内になるように製剤中に含有される。
サリチル酸ナトリウムとは、日本薬局方(局方)または医薬品添加物規格(薬添規)に収載された規格を満たすサリチル酸ナトリウムをいう。サリチル酸ナトリウムは、白色の結晶又は結晶性の粉末であり、製剤において、安定化剤、防腐剤、保存剤、溶解補助剤などとして用いられる。静脈内注射の場合、最大使用量は600mgである。本発明において、サリチル酸ナトリウムは、ゲムシタビンの溶解補助剤として、最大使用量の範囲内になるように製剤中に含有される。
本発明の水溶液製剤は、ゲムシタビン塩酸塩および上記溶解補助剤などを水に溶解することにより製造される。必要に応じて、適量のpH調節剤によりpHを調整する。
本発明の水溶液製剤のpHは、通常4〜9であり、好ましくは5〜8である。pHが4未満では、ゲムシタビンが加水分解を受け、安定性に問題が生じる。pHが9を超える場合は、溶解性に問題が生じるとともに、安定性にも問題が生じる。
本発明の水溶液製剤は、通常バイアルなどのガラス容器に封入されて、室温にて、好ましくは冷所にて保存される。
本発明の水溶液製剤は、望ましくは、ゲムシタビンを20mg/mL以上の濃度で含有する。本発明の水溶液製剤は、用時、生理食塩液で希釈して用いる。
本発明の水溶液製剤は、例えば、非小細胞肺癌に適用する場合、点滴静脈内注射により、ゲムシタビンとして体表面積あたり1000mg(成人1人あたり約1600mg)が30分かけて投与される。点滴静注に際してゲムシタビンの量は適宜調整される。例えば、水溶液製剤中のゲムシタビンの濃度が20mg/mLである場合、成人1人あたり1600mgの点滴静注では、80mLを投与することになる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
蒸留水1mLに対して、ゲムシタビン塩酸塩22.8mg(ゲムシタビンとして20mg)、ポリエチレングリコール(商品名:マクロゴール400)28mgおよびリン酸水素二ナトリウム12水和物3.6mgを混合した。この混合液を室温にて攪拌しながら、適量の4mol/L水酸化ナトリウム溶液を添加し、pHを6.7にした。得られた混合液は澄明であった。
蒸留水1mLに対して、ゲムシタビン塩酸塩22.8mg(ゲムシタビンとして20mg)、ポリエチレングリコール(商品名:マクロゴール400)28mgおよびリン酸水素二ナトリウム12水和物3.6mgを混合した。この混合液を室温にて攪拌しながら、適量の4mol/L水酸化ナトリウム溶液を添加し、pHを6.7にした。得られた混合液は澄明であった。
このように調製した混合液を室温にて1ヶ月半保存し、ゲムシタビンの溶解性を目視観察により次の指標に基づいて評価した。結果を以下の表1に示す。
(評価指標)
○:室温にて1ヶ月半以上析出物なし
×:室温にて1ヶ月半以内に析出物あり
○:室温にて1ヶ月半以上析出物なし
×:室温にて1ヶ月半以内に析出物あり
得られた混合液は、室温にて1ヶ月半以上析出物が認められなかった。すなわち、安定な水溶液製剤であることがわかった。
(実施例2)
リン酸水素二ナトリウム12水和物3.6mgに代えてニコチンアミド2.2mgを混合したこと以外は、実施例1と同様にして混合液を調製した。得られた混合液は澄明であり、ゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
リン酸水素二ナトリウム12水和物3.6mgに代えてニコチンアミド2.2mgを混合したこと以外は、実施例1と同様にして混合液を調製した。得られた混合液は澄明であり、ゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
得られた混合液は、室温にて1ヶ月半以上析出物が認められなかった。すなわち、安定な水溶液製剤であることがわかった。
(実施例3)
リン酸水素二ナトリウム12水和物3.6mgに代えてアルギニン4.8mgを混合したこと以外は、実施例1と同様にして混合液を調製した。得られた混合液は澄明であり、ゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
リン酸水素二ナトリウム12水和物3.6mgに代えてアルギニン4.8mgを混合したこと以外は、実施例1と同様にして混合液を調製した。得られた混合液は澄明であり、ゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
得られた混合液は、室温にて1ヶ月半以上析出物が認められなかった。すなわち、安定な水溶液製剤であることがわかった。
(実施例4)
リン酸水素二ナトリウム12水和物3.6mgに代えてサリチル酸ナトリウム5.3mgを混合したこと以外は、実施例1と同様にして混合液を調製した。得られた混合液は澄明であり、ゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
リン酸水素二ナトリウム12水和物3.6mgに代えてサリチル酸ナトリウム5.3mgを混合したこと以外は、実施例1と同様にして混合液を調製した。得られた混合液は澄明であり、ゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
得られた混合液は、室温にて1ヶ月半以上析出物が認められなかった。すなわち、安定な水溶液製剤であることがわかった。
(実施例5)
リン酸水素二ナトリウム12水和物3.6mgに代えてエタノールを最終濃度が10%になるように混合したこと以外は、実施例1と同様にして混合液を調製した。得られた混合液は澄明であり、ゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
リン酸水素二ナトリウム12水和物3.6mgに代えてエタノールを最終濃度が10%になるように混合したこと以外は、実施例1と同様にして混合液を調製した。得られた混合液は澄明であり、ゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
得られた混合液は、室温にて1ヶ月半以上析出物が認められなかった。すなわち、安定な水溶液製剤であることがわかった。
(実施例6)
蒸留水1mLに対して、ゲムシタビン塩酸塩45.6mg(ゲムシタビンとして40mg)、ポリエチレングリコール56mgおよびエタノールを最終濃度が40%になるように混合した。この混合液を室温にて攪拌しながら、適量の4mol/L水酸化ナトリウム溶液を添加し、pHを4.5に変更した。得られた混合液は澄明であった。この混合液について、実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
蒸留水1mLに対して、ゲムシタビン塩酸塩45.6mg(ゲムシタビンとして40mg)、ポリエチレングリコール56mgおよびエタノールを最終濃度が40%になるように混合した。この混合液を室温にて攪拌しながら、適量の4mol/L水酸化ナトリウム溶液を添加し、pHを4.5に変更した。得られた混合液は澄明であった。この混合液について、実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
得られた混合液は、冷所(5℃)保存にて1ヶ月半以上析出物が認められなかった。すなわち、安定な水溶液製剤であることがわかった。
(実施例7)
pHを4.2に変更したこと以外は実施例6と同様にして混合液を調整した。得られた混合液は澄明であり、ゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
pHを4.2に変更したこと以外は実施例6と同様にして混合液を調整した。得られた混合液は澄明であり、ゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
得られた混合液は、冷所(5℃)保存にて1ヶ月半以上析出物が認められなかった。すなわち、安定な水溶液製剤であることがわかった。
(比較例1)
ゲムシタビン塩酸塩22.8mg(ゲムシタビンとして20mg)に代えてゲムシタビン塩酸塩28.5mg(ゲムシタビンとして25mg)を混合し、ポリエチレングリコール 28mgの代わりに塩化マグネシウム2.3mgを混合し、pHを6.96に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、混合液を調製した。得られた混合液は澄明であり、ゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
ゲムシタビン塩酸塩22.8mg(ゲムシタビンとして20mg)に代えてゲムシタビン塩酸塩28.5mg(ゲムシタビンとして25mg)を混合し、ポリエチレングリコール 28mgの代わりに塩化マグネシウム2.3mgを混合し、pHを6.96に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、混合液を調製した。得られた混合液は澄明であり、ゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
得られた混合液は、室温にて1日後に析出物が認められた。すなわち、安定な水溶液製剤が得られなかった。
(比較例2)
塩化マグネシウム2.3mgに代えて塩化マグネシウム2.9mgを混合し、pHを6.95に変更したこと以外は、比較例1と同様にして、混合液を調製した。得られた混合液は澄明であり、ゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
塩化マグネシウム2.3mgに代えて塩化マグネシウム2.9mgを混合し、pHを6.95に変更したこと以外は、比較例1と同様にして、混合液を調製した。得られた混合液は澄明であり、ゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
得られた混合液は、室温にて1日後に析出物が認められた。すなわち、安定な水溶液製剤が得られなかった。
(比較例3)
pHを7.95に変更したこと以外は比較例2と同様にして、混合液を調製した。その混合液についてゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
pHを7.95に変更したこと以外は比較例2と同様にして、混合液を調製した。その混合液についてゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
得られた混合液は、析出物が認められた。すなわち、水溶液製剤が得られなかった。
(比較例4)
アセチルトリプトファン1.5mgをさらに混合し、pHを6.97に変更したこと以外は、比較例1と同様にして、混合液を調製した。その混合液について、ゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
アセチルトリプトファン1.5mgをさらに混合し、pHを6.97に変更したこと以外は、比較例1と同様にして、混合液を調製した。その混合液について、ゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
得られた混合液は、析出物が認められた。すなわち、水溶液製剤が得られなかった。
(比較例5)
蒸留水1mLに対して、ゲムシタビン塩酸塩45.6mg(ゲムシタビンとして40mg)、リン酸水素二ナトリウム12水和物3.6mg及びエタノールを最終濃度が40%になるように混合した。この混合液を室温にて攪拌しながら、適量の4mol/L水酸化ナトリウム溶液を添加し、pHを4.5にした。得られた混合液は澄明であった。この混合液について、実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
蒸留水1mLに対して、ゲムシタビン塩酸塩45.6mg(ゲムシタビンとして40mg)、リン酸水素二ナトリウム12水和物3.6mg及びエタノールを最終濃度が40%になるように混合した。この混合液を室温にて攪拌しながら、適量の4mol/L水酸化ナトリウム溶液を添加し、pHを4.5にした。得られた混合液は澄明であった。この混合液について、実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
得られた混合液は、冷所(5℃)保存にて17日後に析出物が認められた。すなわち、安定な水溶液製剤が得られなかった。
(比較例6)
pHを4.2に変更したこと以外は比較例5と同様にして、混合液を調製した。得られた混合液は澄明であった。その混合液についてゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
pHを4.2に変更したこと以外は比較例5と同様にして、混合液を調製した。得られた混合液は澄明であった。その混合液についてゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
得られた混合液は、冷所(5℃)保存にて1ヶ月後に析出物が認められた。すなわち、安定な水溶液製剤が得られなかった。
(比較例7)
リン酸水素二ナトリウム12水和物3.6mgに代えてニコチンアミド4.4mgを混合したこと以外は比較例5と同様にして、混合液を調製した。得られた混合液は澄明であった。その混合液についてゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
リン酸水素二ナトリウム12水和物3.6mgに代えてニコチンアミド4.4mgを混合したこと以外は比較例5と同様にして、混合液を調製した。得られた混合液は澄明であった。その混合液についてゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
得られた混合液は、冷所(5℃)保存にて17日後に析出物が認められた。すなわち、安定な水溶液製剤が得られなかった。
(比較例8)
pHを4.2に変更したこと以外は比較例7と同様にして、混合液を調製した。得られた混合液は澄明であった。その混合液についてゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
pHを4.2に変更したこと以外は比較例7と同様にして、混合液を調製した。得られた混合液は澄明であった。その混合液についてゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
得られた混合液は、冷所(5℃)保存にて17日後に析出物が認められた。すなわち、安定な水溶液製剤が得られなかった。
(比較例9)
リン酸水素二ナトリウム12水和物3.6mgに代えてアルギニン4.8mgを加えたこと以外は比較例5と同様にして、混合液を調製した。得られた混合液は澄明であった。その混合液についてゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
リン酸水素二ナトリウム12水和物3.6mgに代えてアルギニン4.8mgを加えたこと以外は比較例5と同様にして、混合液を調製した。得られた混合液は澄明であった。その混合液についてゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
得られた混合液は、冷所(5℃)保存にて17日後に析出物が認められた。すなわち、安定な水溶液製剤が得られなかった。
(比較例10)
pHを4.2に変更したこと以外は比較例9と同様にして、混合液を調製した。得られた混合液は澄明であった。その混合液についてゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
pHを4.2に変更したこと以外は比較例9と同様にして、混合液を調製した。得られた混合液は澄明であった。その混合液についてゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
得られた混合液は、冷所(5℃)保存にて約1ヶ月後に析出物が認められた。すなわち、安定な水溶液製剤が得られなかった。
(比較例11)
リン酸水素二ナトリウム12水和物3.6mgに代えてサリチル酸ナトリウム10mgを加えたこと以外は比較例5と同様にして、混合液を調製した。得られた混合液は澄明であった。その混合液についてゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
リン酸水素二ナトリウム12水和物3.6mgに代えてサリチル酸ナトリウム10mgを加えたこと以外は比較例5と同様にして、混合液を調製した。得られた混合液は澄明であった。その混合液についてゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
得られた混合液は、冷所(5℃)保存にて約1ヶ月半後に析出物が認められた。すなわち、安定な水溶液製剤が得られなかった。
(比較例12)
pHを4.2に変更したこと以外は比較例11と同様にして、混合液を調製した。得られた混合液は澄明であった。その混合液についてゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
pHを4.2に変更したこと以外は比較例11と同様にして、混合液を調製した。得られた混合液は澄明であった。その混合液についてゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
得られた混合液は、冷所(5℃)保存にて約1ヶ月後に析出物が認められた。すなわち、安定な水溶液製剤が得られなかった。
(比較例13)
リン酸水素二ナトリウム12水和物3.6mgに代えて塩化マグネシウム3.7mgを加えたこと以外は比較例5と同様にして、混合液を調製した。得られた混合液は澄明であった。その混合液についてゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
リン酸水素二ナトリウム12水和物3.6mgに代えて塩化マグネシウム3.7mgを加えたこと以外は比較例5と同様にして、混合液を調製した。得られた混合液は澄明であった。その混合液についてゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
得られた混合液は、冷所(5℃)保存にて6日後に析出物が認められた。すなわち、安定な水溶液製剤が得られなかった。
(比較例14)
リン酸水素二ナトリウム12水和物3.6mgに代えてアセチルトリプトファン3.0mgを加えたこと以外は比較例5と同様にして、混合液を調製した。得られた混合液は澄明であった。その混合液についてゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
リン酸水素二ナトリウム12水和物3.6mgに代えてアセチルトリプトファン3.0mgを加えたこと以外は比較例5と同様にして、混合液を調製した。得られた混合液は澄明であった。その混合液についてゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
得られた混合液は、冷所(5℃)保存にて17日後に析出物が認められた。すなわち、安定な水溶液製剤が得られなかった。
(比較例15)
pHを4.2に変更したこと以外は比較例13と同様にして、混合液を調製した。得られた混合液は澄明であった。その混合液についてゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
pHを4.2に変更したこと以外は比較例13と同様にして、混合液を調製した。得られた混合液は澄明であった。その混合液についてゲムシタビンの溶解性を実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
得られた混合液は、冷所(5℃)保存にて半月後に析出物が認められた。すなわち、安定な水溶液製剤が得られなかった。
(比較例16)
蒸留水1mLに対して、ゲムシタビン塩酸塩45.6mg(ゲムシタビンとして40mg)およびエタノールを最終濃度が40%になるように混合した。この混合液を室温にて攪拌しながら、適量の4mol/L水酸化ナトリウム溶液を添加し、pHを4.2に変更した。得られた混合液は澄明であった。この混合液について、実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
蒸留水1mLに対して、ゲムシタビン塩酸塩45.6mg(ゲムシタビンとして40mg)およびエタノールを最終濃度が40%になるように混合した。この混合液を室温にて攪拌しながら、適量の4mol/L水酸化ナトリウム溶液を添加し、pHを4.2に変更した。得られた混合液は澄明であった。この混合液について、実施例1と同様に評価した。結果を以下の表1に併せて示す。
得られた混合液は、冷所(5℃)保存にて半月後に析出物が認められた。すなわち、安定な水溶液製剤が得られなかった。
本発明によれば安定性および溶解性ともに良好なゲムシタビン水溶液製剤を提供することができる。本製剤は、使用に際して溶解操作を必要としないため、点滴バッグへの混注作業にかかる労力が軽減され、点滴静注による投与が簡便となるうえ、医療従事者への抗癌剤曝露のリスクを低減できるため、医療従事者の負担が軽減される。また、無菌性の確保も容易となるため、薬液の菌による汚染も防ぐことができる。
Claims (3)
- ゲムシタビン塩酸塩およびポリエチレングリコールを含有し、ゲムシタビンの濃度が20mg/mL以上であるゲムシタビン水溶液製剤。
- リン酸水素二ナトリウム12水和物、ニコチンアミド、アルギニンならびにサリチル酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1つをさらに含有する、請求項1に記載の水溶液製剤。
- pHが4〜9である、請求項1または2に記載の水溶液製剤。
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