JPWO2013057829A1 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
制御装置は、過給機を備えた内燃機関であっ記過給機に導入される排ガスが通過する領域である通過領域の開口面積が可変である内燃機関に適用される。この制御装置は、通過領域の開口面積の変化に伴って内燃機関の燃焼室に導入される空気の量である空気導入量が変化することに起因する内燃機関のトルクの変化の度合いである第1トルク変化度、および、通過領域の開口面積の変化に伴って排ガスの圧力が変化することに起因する内燃機関のトルクの変化の度合いである第2トルク変化度、に基づき、通過領域の開口面積および燃焼室に供給される燃料の量である燃料供給量を変更する。
Description
本発明は、過給機を備えた内燃機関に適用される制御装置に関する。
従来から、排ガスが導入されるタービンおよびタービンに連動して空気を圧縮するコンプレッサを有するとともに、タービンに導入される排ガスが通過する領域の開口面積を変更することによって過給特性を調整することができる過給機(いわゆる、可変ジオメトリターボチャージャ。VGT)を備えた内燃機関が提供されている。
この種の内燃機関に適用され得る従来の制御装置の一つ(以下、「従来装置」とも称呼される。)は、内燃機関の運転状態などに応じて上記領域の開口面積を調整することにより、内燃機関の燃焼室に導入される空気の圧力(過給圧)を制御するようになっている(例えば、特許文献1を参照。)。以下、便宜上、タービンに導入される排ガスが通過する領域は「通過領域」とも称呼される。
以下、上述した過給機を備える内燃機関における通過領域の開口面積と過給機の過給特性との関係が、より具体的に説明される。
まず、通過領域の開口面積が変更されると、タービンに導入される排ガスの流速などが変化することにより、タービンの回転速度が変化するとともにコンプレッサの回転速度が変化する。その結果、上述したように、過給圧が変化する。具体的に述べると、一般に、通過領域の開口面積が小さいほど過給圧は大きいことになり、通過領域の開口面積が大きいほど過給圧は小さいことになる。
さらに、過給圧が大きいほど、燃焼室に導入される空気の量が大きいことになるとともに、燃焼室内にて燃焼させられ得る燃料の量も大きいことになる。そして、燃焼させられ得る燃料の量が大きいほど、内燃機関の燃焼サイクルにおける仕事量が大きいことになる。すなわち、通過領域の開口面積が小さいほど燃焼させられ得る燃料の量が大きいことになり(内燃機関がなし得る仕事量が大きいことになり)、通過領域の開口面積が大きいほど燃焼させられ得る燃料の量が小さいことになる(内燃機関がなし得る仕事量が小さいことになる。)。
一方、通過領域の開口面積が変更されると、燃焼室と過給機との間の空間(例えば、エキゾーストマニホールド)における排ガスの圧力(排気圧)も変化する。具体的に述べると、一般に、通過領域の開口面積が小さいほど排気圧は大きいことになり、通過領域の開口面積が大きいほど排気圧は小さいことになる。さらに、排気圧が大きいほど、内燃機関の仕事量の損失分(排気・吸気行程に係る負の仕事量。いわゆる、ポンピングロス)が大きいことになる。すなわち、通過領域の開口面積が小さいほどポンピングロスは大きいことになり、通過領域の開口面積が大きいほどポンピングロスは小さいことになる。
このように、通過領域の開口面積が変化すると、過給圧および排気圧の双方が変化する。そのため、通過領域の開口面積が変化すると、内燃機関の仕事量(正の仕事量)およびポンピングロス(負の仕事量)の双方が変化する。具体的に述べると、通過領域の開口面積が減少すると、内燃機関の仕事量(正の仕事量)が増大する一方でポンピングロス(負の仕事量)も増大する。逆に、通過領域の開口面積が増大すると、内燃機関の仕事量(正の仕事量)が減少する一方でポンピングロス(負の仕事量)も減少する。すなわち、内燃機関の仕事量とポンピングロスとの間には、通過領域の開口面積に関して二律背反の関係がある。
以上が、通過領域の開口面積と過給機の過給特性との関係についての説明である。
以上が、通過領域の開口面積と過給機の過給特性との関係についての説明である。
上述した従来装置は、過給圧を制御するとき、ポンピングロスの大きさを考慮しながら通過領域の開口面積を調整するようになっている。具体的に述べると、従来装置は、ポンピングロスの大きさが所定の上限値に近づいた場合、過給圧を所定の目標過給圧に一致させることよりもポンピングロスを減少させることを優先して通過領域の開口面積を調整する。例えば、上記の場合、従来装置は、ポンピングロスを減少させるべく、過給圧が目標過給圧よりも小さい過給圧となるように(すなわち、通過領域の開口面積が、過給圧が目標過給圧に一致することになる開口面積よりも大きい開口面積となるように)通過領域の開口面積を調整すると考えられる。
ところが、上述したように、過給圧が減少すると、燃焼室に導入される空気の量が減少するとともに、燃焼させられ得る燃料の量が減少する。しかしながら、従来装置における燃料の量は、過給圧が目標過給圧に一致することを前提として(換言すると、燃焼させられ得る燃料の量が減少する場合があることを考慮することなく)定められている。そのため、従来装置がポンピングロスを減少させることを優先して通過領域の開口面積を調整すると、燃焼室に供給される燃料の一部が燃焼しない場合がある。別の言い方をすると、燃料の一部が内燃機関の仕事量に変換されることなく消費される場合がある。
内燃機関から出力されるトルクは、内燃機関の仕事量を出力軸(クランクシャフト)周りのモーメントとして表した値である。そのため、燃料の一部が内燃機関の仕事量に変換されない場合、その燃料の一部は内燃機関のトルクに寄与しない。内燃機関の燃費を向上させる観点において、内燃機関のトルクに寄与しない燃料が消費されることは出来る限り防がれることが望ましい。
そこで、本発明の目的は、上記課題に鑑み、内燃機関の燃費を出来る限り向上させながら内燃機関のトルクを制御することができる内燃機関の制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明による制御装置は、過給機を備えた内燃機関に適用される。この過給機は、過給機に導入される排ガスが通過する領域である「通過領域」の開口面積が可変である過給機である。
上記「通過領域」は、過給機に導入される前の排ガスが通過する領域であればよく、その形態および位置などは、特に制限されない。通過領域の具体例は、後述される。
そして、本発明の制御装置は、
前記通過領域の開口面積の変化に伴って前記内燃機関の燃焼室に導入される空気の量である空気導入量が変化することに起因する前記内燃機関のトルクの変化の度合いである「第1トルク変化度」、および、前記通過領域の開口面積の変化に伴って前記排ガスの圧力が変化することに起因する前記内燃機関のトルクの変化の度合いである「第2トルク変化度」、に基づき、「前記通過領域の開口面積」および前記燃焼室に供給される燃料の量である「燃料供給量」を変更する。
前記通過領域の開口面積の変化に伴って前記内燃機関の燃焼室に導入される空気の量である空気導入量が変化することに起因する前記内燃機関のトルクの変化の度合いである「第1トルク変化度」、および、前記通過領域の開口面積の変化に伴って前記排ガスの圧力が変化することに起因する前記内燃機関のトルクの変化の度合いである「第2トルク変化度」、に基づき、「前記通過領域の開口面積」および前記燃焼室に供給される燃料の量である「燃料供給量」を変更する。
上述したように、通過領域の開口面積が変更されるとき、燃焼室に導入される空気の量(および、燃焼させられ得る燃料の量)が変化することによって内燃機関がなし得る仕事量が変化する(第1トルク変化度に相当する。)とともに、排気圧が変化することによって内燃機関のポンピングロスが変化する(第2トルク変化度に相当する。)。
そのため、第1トルク変化度および第2トルク変化度に基づき、「通過領域の開口面積」が調整されるだけではなく「燃料供給量」も調整されれば、内燃機関のトルクに寄与しない燃料が消費されることが防がれながら内燃機関のトルクが制御され得る。よって、内燃機関の燃費が出来る限り向上されながら内燃機関のトルクが制御され得る。
ところで、上記「第1トルク変化度」および上記「第2トルク変化度」は、内燃機関のトルクの変化の程度を表し得るパラメータであればよく、特に制限されない。例えば、第1トルク変化度として、通過領域の開口面積が変更される前の時点におけるトルクの大きさに対する通過領域の開口面積が変更された後のトルクの大きさの割合(すなわち、トルクの変化率)が採用され得る。さらに、例えば、第1トルク変化度として、通過領域の開口面積が変更される前の時点におけるトルクの大きさと、通過領域の開口面積が変更された後のトルクの大きさと、の差(すなわち、トルクの変化量)が採用され得る。同様に、例えば、第2トルク変化度として、トルクの変化率またはトルクの変化量が採用され得る。
上述した第1トルク変化度および第2トルク変化度を把握する方法、ならびに、それらトルク変化度に基づいて通過領域の開口面積および燃料供給量を変更する方法、は、内燃機関の構成、要求される燃費、および、要求されるトルクの応答速度などを考慮した方法であればよく、特に制限されない。
例えば、一の態様として、本発明の制御装置は、
前記内燃機関のトルクの変化の度合いの目標値が「目標トルク変化度」であるとき、
(1)前記第1トルク変化度および前記第2トルク変化度の和である「合計トルク変化度」と、前記通過領域の開口面積の変化の度合いと、の関係を推定し、
(2−1)前記合計トルク変化度の絶対値の最大値が前記目標トルク変化度の絶対値以上である場合、前記合計トルク変化度の絶対値が前記目標トルク変化度の絶対値以上となる範囲内の前記通過領域の開口面積の変化の度合いを、前記通過領域の開口面積の変化の度合いの目標値である「目標開口面積変化度」として定め、または、(2−2)前記合計トルク変化度の絶対値の最大値が前記目標トルク変化度の絶対値よりも小さい場合、前記合計トルク変化度の絶対値が前記最大値となる前記通過領域の開口面積の変化の度合いを、「前記目標開口面積変化度」として定め、
(3)前記通過領域の開口面積が前記目標開口面積変化度だけ変化したときの前記空気導入量を推定し、前記推定される空気導入量に応じて前記燃料供給量の目標値である「目標燃料供給量」を定めるとともに、
(4)前記通過領域の開口面積の変化の度合いが前記目標開口面積変化度に一致し、かつ、前記燃料供給量が前記目標燃料供給量に一致するように、前記通過領域の開口面積および前記燃料供給量を変更する、
ように構成され得る。
前記内燃機関のトルクの変化の度合いの目標値が「目標トルク変化度」であるとき、
(1)前記第1トルク変化度および前記第2トルク変化度の和である「合計トルク変化度」と、前記通過領域の開口面積の変化の度合いと、の関係を推定し、
(2−1)前記合計トルク変化度の絶対値の最大値が前記目標トルク変化度の絶対値以上である場合、前記合計トルク変化度の絶対値が前記目標トルク変化度の絶対値以上となる範囲内の前記通過領域の開口面積の変化の度合いを、前記通過領域の開口面積の変化の度合いの目標値である「目標開口面積変化度」として定め、または、(2−2)前記合計トルク変化度の絶対値の最大値が前記目標トルク変化度の絶対値よりも小さい場合、前記合計トルク変化度の絶対値が前記最大値となる前記通過領域の開口面積の変化の度合いを、「前記目標開口面積変化度」として定め、
(3)前記通過領域の開口面積が前記目標開口面積変化度だけ変化したときの前記空気導入量を推定し、前記推定される空気導入量に応じて前記燃料供給量の目標値である「目標燃料供給量」を定めるとともに、
(4)前記通過領域の開口面積の変化の度合いが前記目標開口面積変化度に一致し、かつ、前記燃料供給量が前記目標燃料供給量に一致するように、前記通過領域の開口面積および前記燃料供給量を変更する、
ように構成され得る。
以下、上記態様の制御装置において上述した制御が行われる理由が説明される。
上述したように、通過領域の開口面積が変更されるとき、内燃機関がなし得る仕事量(正の仕事量)に関連する第1トルク変化度、および、内燃機関のポンピングロス(負の仕事量)に関連する第2トルク変化度、が変化する。例えば、通過領域の開口面積が減少する場合、第1トルク変化度は正の方向に増大し、第2トルク変化度は負の方向に増大する(例えば、後述される図4を参照。)。この場合、一般に、第1トルク変化度および第2トルク変化度の和(合計トルク変化度)は、少なくとも通過領域の開口面積が所定の範囲内にあるときに正の方向に増大する(換言すると、通過領域の開口面積が減少したにもかかわらず、合計トルク変化度が常に負の方向に増大する(減少する)ことはない)と考えられる。例えば、合計トルク変化度は、通過領域の開口面積が減少するとき、正の方向に凸となる変化傾向を示す場合があると考えられる(図4を参照。)。
上記態様の制御装置は、上述した合計トルク変化度の変化傾向を考慮して通過領域の開口面積を変更する。具体的に述べると、上記態様の制御装置は、通過領域の開口面積が変更されるときの「合計トルク変化度と、通過領域の開口面積の変化の度合いと、の関係(変化傾向)」を推定する。さらに、上記態様の制御装置は、推定された上記関係(変化傾向)に基づき、合計トルク変化度が目標トルク変化度以上となる(合計トルク変化度の絶対値が目標トルク変化度の絶対値以上となる)開口面積の変化の度合い、または、合計トルク変化度が目標トルク変化度に最も近づく(合計トルク変化度の絶対値が最大値となる)開口面積の変化の度合い、を把握する。そして、上記態様の制御装置は、内燃機関のトルクが目標トルク変化度だけ変化することが出来る限り達成されるように、通過領域の開口面積の変化の度合い(目標開口面積変化度)を定める。
さらに、上記態様の制御装置は、通過領域の開口面積が目標開口面積変化度だけ変化されたときの空気導入量に基づき、内燃機関の燃費を向上させる等の観点において適切な燃料供給量(目標燃料供給量)を定める。
すなわち、上記態様の制御装置においては、合計トルク変化度が目標トルク変化度以上となるか(上記2−1)又は目標トルク変化度に出来る限り近づけられるように(上記2−2)、通過領域の開口面積が変更される(上記4)。さらに、通過領域の開口面積がそのように変更されるときの空気導入量に応じた量となるように(上記3)、燃料供給量が変更される(上記3)。これにより、内燃機関のトルクが目標トルク変化度だけ変更されることが出来る限り達成されながら、燃料供給量が空気導入量に応じた量に設定される。
以上が、上記態様の制御装置において上述した制御が行われる理由である。
以上が、上記態様の制御装置において上述した制御が行われる理由である。
上記「空気導入量に応じた量」は、推定される空気導入量を考慮して定められる量であればよく、特に制限されない。例えば、空気導入量に応じた量として、その空気導入量だけの空気によって燃焼させられ得る燃料の量を超えない量が採用され得る。さらに、例えば、空気導入量に応じた量として、その空気導入量だけの空気と過不足なく反応して燃焼し得る燃料の量(すなわち、空気導入量と燃料供給量との比が理論空燃比となる量)が採用され得る。
これにより、内燃機関のトルクが制御されながら、内燃機関のトルクに寄与しない燃料が供給されることが防がれ得る。よって、内燃機関の燃費が出来る限り向上されながら内燃機関のトルクが制御され得る。
本発明の制御装置が適用される内燃機関が備える過給機は、排ガスのエネルギを利用して燃焼室に導入される空気を圧縮することができる構成を備えていればよく、特に制限されない。
例えば、一の態様として、前記過給機は、前記内燃機関の排気通路に設けられるとともに前記通過領域を通過した排ガスが導入されることによって駆動されるタービンと、前記内燃機関の吸気通路に設けられるとともに前記タービンが駆動されることによって駆動されて前記吸気通路を通過して前記内燃機関の燃焼室に導入される空気を圧縮するコンプレッサと、前記通過領域の開口面積を変更する開口面積変更部材と、を有する、ように構成され得る。
上記「開口面積変更部材」は、通過領域の開口面積を変更し得る部材であればよく、特に制限されない。例えば、開口面積変更部材として、上記タービンを取り囲むように配置された複数の羽根状部材(ベーン)と、その羽根状部材に向けて排ガスを導入させる筐体と、を有する部材(いわゆる、可変ノズル)が採用され得る(例えば、後述される図2を参照。)。この可変ノズルにおいては、一の羽根状部材と、その一の羽根状部材に隣接する他の羽根状部材と、の間の領域が、上記「通過領域」に相当する。さらに、この可変ノズルにおいては、所定の指示に応じて羽根状部材が回動することにより、上記通過領域の開口面積が変更され得る。
以下、本発明による内燃機関の制御装置の各実施形態(第1実施形態〜第2実施形態)について、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
<装置の概要>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る制御装置(以下、「第1装置」とも称呼される。)を内燃機関10に適用したシステムの概略構成を示している。内燃機関10は、第1気筒〜第4気筒の4つの気筒を有する4気筒ディーゼル機関である。以下、便宜上、「内燃機関10」は、単に「機関10」とも称呼される。
<装置の概要>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る制御装置(以下、「第1装置」とも称呼される。)を内燃機関10に適用したシステムの概略構成を示している。内燃機関10は、第1気筒〜第4気筒の4つの気筒を有する4気筒ディーゼル機関である。以下、便宜上、「内燃機関10」は、単に「機関10」とも称呼される。
この機関10は、図1に示すように、燃料噴射系統を含むエンジン本体20、エンジン本体20に空気を導入するための吸気系統30、エンジン本体20から排出されるガスを機関10の外部に放出するための排気系統40、排ガスのエネルギによって駆動されてエンジン本体20に導入される空気を圧縮する過給機50、および、排ガスを排気系統40から吸気系統30に還流させるためのEGR装置60、を備えている。
エンジン本体20は、吸気系統30および排気系統40が連結されたシリンダヘッド21を有している。このシリンダヘッド21は、それぞれの気筒に対応するようにそれぞれの気筒の上部に設けられた複数の燃料噴射装置22(例えば、ソレノイド式インジェクタ。以下、「インジェクタ22」とも称呼される。)を有している。インジェクタ22のそれぞれは、燃料タンク(図示省略)と接続されており、電子制御装置90からの指示信号に応じてそれぞれの気筒の燃焼室内に燃料を噴射するようになっている。
吸気系統30は、シリンダヘッド21に形成された吸気ポート(図示省略)、吸気ポートを介してそれぞれの気筒に連通されたインテークマニホールド31、インテークマニホールド31の上流側の集合部に接続された吸気管32、吸気管32内の開口面積(開口断面積)を変更することができるスロットル弁(吸気絞り弁)33、電子制御装置90からの指示信号に応じてスロットル弁33を回転駆動するスロットル弁アクチュエータ33a、スロットル弁33の上流側の吸気管32に設けられたインタークーラ34、および、インタークーラ34の上流側に設けられた過給機50よりも上流側の吸気管32の端部に設けられたエアクリーナ35、を有している。インテークマニホールド31および吸気管32は、吸気通路を構成している。
排気系統40は、シリンダヘッド21に形成された排気ポート(図示省略)、排気ポートを介してそれぞれの気筒に連通されたエキゾーストマニホールド41、エキゾーストマニホールド41の下流側の集合部に接続された排気管42、および、排気管42、に設けられた過給機50よりも下流側に設けられた排ガス浄化用触媒(例えば、DPNR)43、を有している。エキゾーストマニホールド41および排気管42は、排気通路を構成している。
過給機50は、コンプレッサ51、タービン52、および、可変ノズル機構53、を有している。コンプレッサ51は、吸気通路(吸気管32)に設けられている。タービン52は、排気通路(排気管42)に設けられている。コンプレッサ51のコンプレッサブレード(図示省略)と、タービン52のタービンブレード52a(図2を参照。)と、はローターシャフト52b(図2を参照。)によって同軸回転可能に連結されている。これにより、タービンに排ガスが導入されることによってタービンブレードが回転せしめられると、タービンブレードに連動してコンプレッサブレードが回転する。これにより、コンプレッサ51に導入される空気(すなわち、燃焼室に導入される空気)が圧縮される。可変ノズル機構53は、タービンブレードの周辺に設けられている。可変ノズル機構53は、タービン52に導入される排ガスが通過する領域(以下、「通過領域」とも称呼される。)の開口面積を、電子制御装置90からの指示信号に応じて変更するようになっている。このように、機関10は、過給機50に導入される排ガスが通過する領域(通過領域)の開口面積が可変である内燃機関である。
可変ノズル機構53の構成を、図2を参照しながら説明する。可変ノズル機構53は、複数の羽根状部材(ベーン)53a、および、このベーン53aに向けて排ガスを導入させる筒状部材(図示省略)を備えている。複数のベーン53aは、タービンブレード52aを取り囲むように配置されている。そして、排ガスは、図中の矢印にて示すように、一のベーン53aと、その一のベーン53aに隣接する他のベーンと、の間の領域を通過して、タービンブレード52aに導入される。なお、この一のベーンと他のベーンとの間の領域が、上記通過領域に相当する。
ベーン53aのそれぞれは、電子制御装置90からの指示信号に応じて、図中の実線にて示される位置から破線にて示される位置までの範囲において所定の回動軸周りに回動することができるようになっている。なお、可変ノズル機構53において、ベーン53aの全ては連動して回動するようになっている。そして、ベーン53aが回動すると、通過領域の開口面積は、面積S1(ベーン53aの位置が図中の実線にて示される位置である場合の通過領域の開口面積)から面積S2(ベーン53aの位置が図中の破線にて示される位置である場合の通過領域の開口面積)まで、の範囲において変化する。
このように、可変ノズル機構53は、指示信号に応じて通過領域の開口面積を変更する。通過領域の開口面積が変化すると、例えばタービンブレード52aに導入される排ガスの流速などが変化するので、タービンブレード52aに導入される排ガスのエネルギの大きさが変化する。そして、タービンブレード52aの単位時間当たりの回転数が変化する。その結果、燃焼室に導入される空気の圧力(過給圧)が変化するとともに、燃焼室に導入される空気の量(以下、「空気導入量」とも称呼される。)が変化する。
再び図1を参照すると、EGR装置60は、排ガスをエキゾーストマニホールド41からインテークマニホールド31へと還流させる通路(EGR通路)を構成する排気還流管61、排気還流管61に設けられたEGRガス冷却装置(EGRクーラ)62、および、排気還流管61に設けられたEGR制御弁63、を有している。EGR制御弁63は、還流される排ガス量を電子制御装置90からの指示信号に応じて変更するようになっている。
アクセルペダル71は、機関10の外部に設けられている。アクセルペダル71は、機関10に加速要求などを入力するべく、機関10の操作者によって操作される。
各種のセンサ81〜86として、空気導入量センサ81、吸気温度センサ82、過給圧センサ83、クランクポジションセンサ84、粒子状物質量センサ(PMセンサ)85、および、アクセル開度センサ86を備えている。
空気導入量センサ81は、吸気通路(吸気管32)に設けられている。空気導入量センサ81は、吸気管32内を流れる空気の質量流量(すなわち、機関10に吸入される空気の質量)に応じた信号を出力するようになっている。この信号に基づき、空気導入量Mcが取得される。
吸気温度センサ82は、吸気通路(吸気管32)に設けられている。吸気温度センサ82は、吸気管32内を流れる空気の温度である吸気温度に応じた信号を出力するようになっている。この信号に基づき、吸気温度が取得される。
過給圧センサ83は、スロットル弁33の下流側の吸気管32に設けられている。過給圧センサ83は、吸気管32内の空気の圧力(すなわち、機関10の燃焼室に供給される空気の圧力。換言すると、過給機50によってもたらされる過給圧)を表す信号を出力するようになっている。この信号に基づき、過給圧Pimが取得される。
クランクポジションセンサ84は、クランクシャフト(図示省略)の近傍に設けられている。クランクポジションセンサ84は、クランクシャフトが10°回転する毎に幅の狭いパルスを有する信号を出力すると共に、クランクシャフトが360°回転する毎に幅の広いパルスを有する信号を出力するようになっている。これら信号に基づき、クランクシャフトの単位時間あたりの回転数の測定値(以下、単に「機関回転速度NE」とも称呼される。)が取得される。
PMセンサ86は、排ガス浄化用触媒43の上流側の排気管42に設けられている。PMセンサ86は、排ガス浄化用触媒43に導入される排ガスに含まれる粒子状物質(PM)の量を表す信号を出力するようになっている。
アクセル開度センサ86は、機関10の操作者によって操作されるアクセルペダルAPに設けられている。アクセル開度センサ86は、このアクセルペダルAPの開度に応じた信号を出力するようになっている。この信号に基づき、アクセルペダル開度Accpが取得される。
さらに、第1装置は、電子制御装置90を備えている。
電子制御装置90は、CPU91、CPU91が実行するプログラム、テーブル(マップ)および定数などをあらかじめ記憶したROM92、CPU91が必要に応じて一時的にデータを格納するRAM93、電源が投入された状態でデータを格納すると共に格納したデータを電源が遮断されている間も保持するバックアップRAM94、ならびに、ADコンバータを含むインターフェース95を有する。CPU91、ROM92、RAM93、RAM94およびインターフェース95は、互いにバスで接続されている。
電子制御装置90は、CPU91、CPU91が実行するプログラム、テーブル(マップ)および定数などをあらかじめ記憶したROM92、CPU91が必要に応じて一時的にデータを格納するRAM93、電源が投入された状態でデータを格納すると共に格納したデータを電源が遮断されている間も保持するバックアップRAM94、ならびに、ADコンバータを含むインターフェース95を有する。CPU91、ROM92、RAM93、RAM94およびインターフェース95は、互いにバスで接続されている。
インターフェース95は、上記センサと接続され、CPU91にそれらから出力される信号を伝えるようになっている。さらに、インターフェース95は、インジェクタ22、可変ノズル機構53、EGR制御弁63および複数のアクチュエータなどと接続され、CPU91の指示に応じてそれらに指示信号を送るようになっている。
<装置の作動の概要>
以下、機関10に適用される第1装置の作動の概要が、図3を参照しながら説明される。図3は、第1装置の作動の概要を示す「概略フローチャート」である。
以下、機関10に適用される第1装置の作動の概要が、図3を参照しながら説明される。図3は、第1装置の作動の概要を示す「概略フローチャート」である。
第1装置は、機関10のトルクが変更されるとき(例えば、トルクを所定の大きさだけ変更するように機関10の操作者から指示が与えられたとき)、通過領域の開口面積の変化に伴って空気導入量および排気圧が変化することに起因するトルクの変化の度合い(第1トルク変化度および第2トルク変化度)に基づき、「通過領域の開口面積」および「燃料供給量」を変更する。
具体的に述べると、第1装置は、図3のステップ310にて、トルクの変更が必要であるか否かを判定する。第1装置は、トルクの変更が必要であると判定した場合、ステップ310にて「Yes」と判定してステップ320に進む。
第1装置は、ステップ320にて、通過領域の開口面積の変化に伴って空気導入量が変化することに起因するトルクの変化の度合い(第1トルク変化度)を推定する。次いで、第1装置は、ステップ330に進み、通過領域の開口面積の変化に伴って排気圧が変化することに起因するトルクの変化の度合い(第2トルク変化度)を推定する。
そして、第1装置は、ステップ340に進み、第1トルク変化度および第2トルク変化度に基づき、通過領域の開口面積および燃料供給量を変更する。これにより、機関10のトルクが変更される。
なお、第1装置は、トルクの変更が必要であると判定しない場合、ステップ340にて「No」と判定し、ステップ395に直接進む。この場合、図3に示すルーチンによって通過領域の開口面積および燃料供給量は変更されない。
第1トルク変化度および第2トルク変化度に基づいて通過領域の開口面積および燃料供給量を変更する具体的な方法としては、内燃機関の構成、要求される燃費、および、要求されるトルクの応答速度などを考慮した種々の方法が採用され得る。そこで、第1装置の実際の作動の一の具体例が、後述される実施形態として説明される。
以上が、第1装置についての説明である。
以上が、第1装置についての説明である。
(第2制御装置)
第1装置の一の具体例として、「第1トルク変化度と第2トルク変化度との和に基づいて通過領域の開口面積の変化の度合いの目標値を定め、定められた通過領域の開口面積の目標値に基づいて燃料供給量の目標値を定める」実施形態が説明される。
第1装置の一の具体例として、「第1トルク変化度と第2トルク変化度との和に基づいて通過領域の開口面積の変化の度合いの目標値を定め、定められた通過領域の開口面積の目標値に基づいて燃料供給量の目標値を定める」実施形態が説明される。
この実施形態に係る制御装置(以下、「第2装置」とも称呼される。)は、第1装置が適用される機関10と同様の構成を有する内燃機関(図1を参照。以下、便宜上、「機関10」とも称呼される。)に適用される。
第2装置においては、第1トルク変化度として、通過領域の開口面積が変更される前の時点におけるトルクの大きさに対する通過領域の開口面積が変更された後のトルクの大きさの割合(すなわち、トルクの変化率。以下、「第1トルク変化率Tq1」とも称呼される。)が採用される。同様に、第2装置においては、第2トルク変化度として、トルクの変化率(以下、「第2トルク変化率Tq2」とも称呼される。)が採用される。
<通過領域の開口面積の変更方法>
図4は、通過領域の開口面積が「減少」されるときの(例えば、機関10のトルクを「増大」させる指示が与えられたときの)通過領域の開口面積の変化率ΔOvnと、第1トルク変化率Tq1と、第2トルク変化率Tq2と、第1トルク変化率Tq1と第2トルク変化率Tq2との和(以下、「合計トルク変化率Tqsum」とも称呼される。)と、の関係の一例を示す模式図である。
図4は、通過領域の開口面積が「減少」されるときの(例えば、機関10のトルクを「増大」させる指示が与えられたときの)通過領域の開口面積の変化率ΔOvnと、第1トルク変化率Tq1と、第2トルク変化率Tq2と、第1トルク変化率Tq1と第2トルク変化率Tq2との和(以下、「合計トルク変化率Tqsum」とも称呼される。)と、の関係の一例を示す模式図である。
図4に示すように、この例において、第1トルク変化率Tq1は、通過領域の開口面積の変化率ΔOvnが大きくなるにつれて(実際には、開口面積が小さくなるにつれて)増大する。一方、第2トルク変化率Tq2は、通過領域の開口面積の変化率ΔOvnが大きくなるにつれて(開口面積が小さくなるにつれて)減少する。その結果、合計トルク変化率Tqsumは、通過領域の開口面積の変化率ΔOvnが大きくなるにつれて、最大値Tqsummaxにまで増大した後に減少する(すなわち、正の方向に凸となる)変化傾向を示す。
第2装置は、この最大値Tqsummaxと、機関10のトルクの変化率の目標値(以下、「目標トルク変化率Tqtgt」とも称呼される。)と、を考慮して通過領域の開口面積の変化の度合いの目標値(以下、「目標開口面積変化率ΔOvntgt」とも称呼される。)を定める。
具体的に述べると、図5に示すように、合計トルク変化率Tqsumの最大値Tqsummaxが目標トルク変化率Tqtgt以上である場合、第2装置は、合計トルク変化率Tqsumが目標トルク変化率Tqtgt以上となる範囲内の開口面積の変化率ΔOvn(図5における値aから値bまでの範囲内の変化率ΔOvn)を目標開口面積変化率ΔOvntgtとして定める。
一方、図6に示すように、合計トルク変化率Tqsumの最大値Tqsummaxが目標トルク変化率Tqtgtよりも小さい場合、第2装置は、合計トルク変化率Tqsumが最大値Tqsummaxとなる開口面積の変化率ΔOvn(図6における値cに相当する変化率ΔOvn)を目標開口面積変化率ΔOvntgtとして定める。
そして、第2装置は、通過領域の開口面積の変化率ΔOvnが目標開口面積変化率ΔOvntgtに一致するように、通過領域の開口面積を変更する。
なお、上記説明から理解されるように、通過領域の開口面積が「増大」されるときの(例えば、機関10のトルクを「減少」させる指示が与えられたときの)通過領域の開口面積の変化率ΔOvnと、合計トルク変化率Tqsumと、の関係は、図4におけるそれらの関係を縦軸(トルク変化率Tqの軸)について反転させた関係となる。そこで、通過領域の開口面積が「増大」されるときの通過領域の開口面積の変更方法についての説明は、省略される。
以上が、第2装置における通過領域の開口面積の変更方法についての説明である。
以上が、第2装置における通過領域の開口面積の変更方法についての説明である。
<実際の作動>
以下、第2装置の実際の作動が説明される。
第2装置において、CPU91は、所定の時間が経過する毎に、図7および図8における一連のフローチャートによって示した「トルク制御ルーチン」を繰り返し実行するようになっている。
以下、第2装置の実際の作動が説明される。
第2装置において、CPU91は、所定の時間が経過する毎に、図7および図8における一連のフローチャートによって示した「トルク制御ルーチン」を繰り返し実行するようになっている。
CPU91は、このルーチンにより、機関10のトルクを所定の目標値(目標トルク変化率)Tqtgtだけ変更させるとき、通過領域の開口面積の変更率の目標値(目標開口面積変化率)ΔOvntgtおよび燃料供給量の目標値(目標燃料供給量Qtgt)を定める。そして、CPU91は、通過領域の開口面積を目標開口面積変化率ΔOvntgtだけ変更させるとともに、目標燃料供給量Qtgtだけの燃料を燃焼室に供給させる。
具体的に述べると、CPU91は、所定のタイミングにて図7のステップ700から処理を開始すると、ステップ705に進む。CPU91は、ステップ705にて、アクセルペダル開度Accpの単位時間当たりの変化量(変化率)ΔAccpの絶対値が所定の閾値ΔAccpthよりも大きいか否かを判定する。閾値ΔAccpthは、機関10の操作者からトルクを変更する指示が発せられたと判断され得る適値に設定されている。
アクセルペダル開度の変化率ΔAccpの絶対値が閾値ΔAccpthよりも大きい場合、CPU91は、ステップ705にて「Yes」と判定してステップ710に進む。
CPU91は、ステップ710にて、「アクセルペダル開度の変化率ΔAccpと、目標トルク変化率Tqtgtと、の関係」をあらかじめ定めた目標トルク変化率テーブルMapTqtgt(ΔAccp)に、現時点におけるアクセルペダル開度の変化率ΔAccpを適用することにより目標トルク変化率Tqtgtを取得する。
目標トルク変化率テーブルMapTqtgt(ΔAccp)において、目標トルク変化率Tqtgtは、アクセルペダル開度の変化率ΔAccpが大きいほど大きい値であるように定められる。
次いで、CPU91は、ステップ710に続くステップ715およびステップ720にて、通過領域の開口面積が変化率ΔOvnだけ変化したときの第1トルク変化率Tq1を推定するための関数(第1トルク変化率関数FuncTq1(ΔOvn))、および、通過領域の開口面積が変化率ΔOvnだけ変化したときの第2トルク変化率Tq2を推定するための関数(第2トルク変化率関数FuncTq2(ΔOvn))、を決定する。
具体的に述べると、CPU91は、ステップ715にて、「機関回転速度NEと、第1トルク変化率関数FuncTq1(ΔOvn)と、の関係」をあらかじめ定めた第1トルク変化率関数テーブルMapFuncTq1(NE)に、現時点における機関回転速度NEを適用することにより、第1トルク変化率関数FuncTq1(ΔOvn)を決定する。なお、第1トルク変化率関数FuncTq1(ΔOvn)に通過領域の開口面積の変化率ΔOvnが適用されることにより、通過領域の開口面積の変化に伴う第1トルク変化率Tq1が推定されることになる。
次いで、CPU91は、ステップ720に進む。CPU91は、ステップ720にて、「過給圧Pimと、第2トルク変化率関数FuncTq2(ΔOvn)と、の関係」をあらかじめ定めた第2トルク変化率関数テーブルMapFuncTq2(Pim)に、現時点における過給圧Pimを適用することにより、第2トルク変化率関数FuncTq2(ΔOvn)を決定する。なお、第2トルク変化率関数FuncTq2(ΔOvn)に通過領域の開口面積の変化率ΔOvnが適用されることより、通過領域の開口面積の変化に伴う第2トルク変化率Tq2が推定されることになる。
次いで、CPU91は、ステップ725に進む。CPU91は、ステップ725にて、第1トルク変化率関数FuncTq1(ΔOvn)と第2トルク変化率関数FuncTq2(ΔOvn)との和を、合計トルク変化率関数FuncTqsum(ΔOvn)として決定する。
このように決定される合計トルク変化率関数FuncTqsum(ΔOvn)は、通過領域の開口面積が変化率ΔOvnだけ変化したときの合計トルク変化率Tqsumを推定するための関数である(図4を参照。)。すなわち、合計トルク変化率関数FuncTqsum(ΔOvn)により、通過領域の開口面積の変化に伴う合計トルク変化率Tqsumが推定されることになる。
次いで、CPU91は、ステップ730に進む。CPU91は、ステップ730にて、合計トルク変化率関数FuncTqsum(ΔOvn)の絶対値の最大値(換言すると、合計トルク変化率の絶対値の最大値)Tqsummaxを取得する。
次いで、CPU91は、接続指標Aを経由し、図5のステップ735に進む。CPU91は、ステップ735にて、推定される合計トルク変化率の絶対値の最大値Tqsummax(以下、単に「最大値Tqsummax」とも称呼される。)が目標トルク変化率Tqtgtの絶対値以上であるか否かを判定する。
CPU91は、最大値Tqsummaxが目標トルク変化率Tqtgtの絶対値以上である場合、ステップ735にて「Yes」と判定してステップ740に進む。CPU91は、ステップ740にて、目標開口面積変化率ΔOvntgtを決定する。
ステップ740において、目標開口面積変化率ΔOvntgtは、合計トルク変化率Tqsum(すなわち、FuncTqsum(ΔOvntgt))の絶対値が目標トルク変化率Tqtgtの絶対値以上となる範囲内の開口面積の変化率であるように、決定される。
一方、CPU91は、最大値Tqsummaxが目標トルク変化率Tqtgtの絶対値よりも小さい場合、ステップ735にて「No」と判定してステップ745に進む。CPU91は、ステップ745にて、目標開口面積変化率ΔOvntgtを決定する。
ステップ745において、目標開口面積変化率ΔOvntgtは、合計トルク変化率Tqsum(すなわち、FuncTqsum(ΔOvntgt))の絶対値が最大値Tqsummaxとなる開口面積の変化率であるように、定められる。
次いで、CPU91は、ステップ750に進む。CPU91は、ステップ750にて、「目標開口面積変化率ΔOvntgtと、現時点における空気導入量Mcと、推定空気導入量Maと、の関係」をあらかじめ定めた空気導入量テーブルMapMa(ΔOvntgt,Mc)に、目標開口面積変化率ΔOvntgtおよび現時点における空気導入量Mcを適用することにより、推定空気導入量Maを取得する。
この推定空気導入量Maは、通過領域の開口面積が目標開口面積変化率ΔOvntgtだけ変化したときの空気導入量として推定される値である。
次いで、CPU91は、ステップ755に進む。CPU91は、ステップ755にて、「推定空気導入量Maと、目標燃料供給量Qtgと、の関係」をあらかじめ定めた目標燃料供給量テーブルMapQtgt(Ma)に、推定空気導入量Maを適用することにより、目標燃料供給量Qtgtを取得する。
この目標燃料供給量Qtgtは、燃費を向上させる観点において適切な量であるよう、推定空気導入量Maに応じて定められる。
次いで、CPU91は、ステップ760に進む。CPU91は、ステップ760にて、通過領域の開口面積を目標開口面積変化率ΔOvntgtだけ変更させるよう、可変ノズル機構53に指示を与える。
次いで、CPU91は、ステップ765に進む。CPU91は、ステップ765にて、目標燃料供給量Qtgtだけの燃料を噴射するよう、インジェクタ22に指示を与える。その後、CPU91は、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、図7のステップ705にて、アクセルペダル開度の変化率ΔAccpの絶対値が閾値ΔAccpth以下である場合、CPU91は、ステップ705にて「No」と判定し、接続指標Bを経由して図5のステップ770に進む。
CPU91は、ステップ770にて、「機関回転速度NEと、アクセルペダル開度と、目標燃料供給量Qtgと、の関係」をあらかじめ定めた目標燃料供給量テーブルMapQtgt(NE,Accp)に、現時点における機関回転速度NEおよびアクセルペダル開度Accpを適用することにより、目標燃料供給量Qtgtを取得する。
上記説明から理解されるように、ステップ770にて定められる目標燃料供給量Qtgtは、機関10のトルクを変更しない場合における(定常状態における)燃料供給量の目標値である。目標燃料供給量テーブルMapQtgt(NE,Accp)において、目標燃料供給量Qtgtは、機関10の出力および燃費などを考慮した適値であるように定められる。
次いで、CPU91は、ステップ765にて、目標燃料供給量Qtgtだけの燃料を噴射するようにインジェクタ22に指示を与える。そして、CPU91は、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、第2装置は、機関10のトルクを変更するとき、第1トルク変化率Tq1と第2トルク変化率Tq2との和(合計トルク変化率Tqsum)と、通過領域の開口面積の変化率ΔOvnと、の関係を推定するとともに、合計トルク変化率Tqsumが目標トルク変化率Tqtgt以上であるか又は目標トルク変化率Tqtgtに出来る限り近い値となるように、目標開口面積変化率ΔOvntgtおよび目標燃料供給量Qtgtを決定する。そして、通過領域の開口面積が目標開口面積変化率ΔOvntgtだけ変化するように通過領域の開口面積を変更し、燃料供給量が目標燃料供給量Qtgtに一致するように燃料供給量を変更する。これにより、第2装置は、機関10の燃費を出来る限り向上させながら機関10のトルクを制御することができる。
以上が、第2装置についての説明である。
以上が、第2装置についての説明である。
<実施形態の総括>
以上に図1〜図8を参照しながら説明したように、本発明の実施形態に係る制御装置(第1装置および第2装置)は、過給機50を備えた内燃機関10に適用される。ここで、前記過給機50に導入される排ガスが通過する領域である通過領域の開口面積(図2の開口面積S1,S2を参照。)は、可変である。
以上に図1〜図8を参照しながら説明したように、本発明の実施形態に係る制御装置(第1装置および第2装置)は、過給機50を備えた内燃機関10に適用される。ここで、前記過給機50に導入される排ガスが通過する領域である通過領域の開口面積(図2の開口面積S1,S2を参照。)は、可変である。
本発明の実施形態に係る制御装置は、前記通過領域の開口面積の変化に伴って前記内燃機関10の燃焼室に導入される空気の量である空気導入量Maが変化することに起因する前記内燃機関10のトルクの変化の度合いである第1トルク変化度Tq1、および、前記通過領域の開口面積の変化に伴って前記排ガスの圧力Pimが変化することに起因する前記内燃機関10のトルクの変化の度合いである第2トルク変化度Tq2、に基づき、前記通過領域の開口面積および前記燃焼室に供給される燃料の量である燃料供給量を変更する(図3のルーチンを参照。通過領域の開口面積を目標開口面積変化率ΔOvntgtだけ変更し、燃料供給量を目標燃料供給量Qtgtに一致するように変更する。)。
具体的に述べると、本発明の実施形態に係る制御装置は、前記内燃機関10のトルクの変化の度合いの目標値が目標トルク変化度(目標トルク変化率Tqtgt)であるとき、前記第1トルク変化度Tq1および前記第2トルク変化度Tq2の和である合計トルク変化度Tqsumと、前記通過領域の開口面積の変化の度合いΔOvnと、の関係FuncTqsum(ΔOvn)を推定する。
次いで、本発明の実施形態に係る制御装置は、前記合計トルク変化度Tqsumの絶対値の最大値Tqsummaxが前記目標トルク変化度Tqtgtの絶対値以上である場合(ステップ735にて「Yes」と判定される場合)、前記合計トルク変化度Tqsumの絶対値が前記目標トルク変化度Tqtgtの絶対値以上となる範囲内の前記通過領域の開口面積の変化の度合いを、前記通過領域の開口面積の変化の度合いの目標値である目標開口面積変化度ΔOvntgtとして定める(ステップ740)。
または、本発明の実施形態に係る制御装置は、前記合計トルク変化度Tqsumの絶対値の最大値Tqsummaxが前記目標トルク変化度Tqtgtの絶対値よりも小さい場合(ステップ735にて「No」と判定される場合)、前記合計トルク変化度Tqsumの絶対値が前記最大値Tqsummaxとなる前記通過領域の開口面積の変化の度合いを、前記目標開口面積変化度ΔOvntgtとして定める(ステップ745)。
次いで、本発明の実施形態に係る制御装置は、前記通過領域の開口面積が前記目標開口面積変化度ΔOvntgtだけ変化したときの前記空気導入量Maを推定し(ステップ750)、前記推定される空気導入量Maに応じて前記燃料供給量の目標値である目標燃料供給量Qtgtを定める(ステップ755)。
そして、本発明の実施形態に係る制御装置は、前記通過領域の開口面積の変化の度合いが前記目標開口面積変化度ΔOvntgtに一致し、かつ、前記燃料供給量が前記目標燃料供給量Qtgtに一致するように、前記通過領域の開口面積および前記燃料供給量を変更する(ステップ760、ステップ765)。
なお、本発明の実施形態に係る制御装置が適用される内燃機関10の前記過給機50は、前記内燃機関10の排気通路42に設けられるとともに前記通過領域を通過した排ガスが導入されることによって駆動されるタービン52と、前記内燃機関10の吸気通路32に設けられるとともに前記タービン52が駆動されることによって駆動されて前記燃焼室に導入される空気を圧縮するコンプレッサ51と、前記通過領域の開口面積を変更する開口面積変更部材53と、を有している。
<その他の態様>
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
例えば、第2装置においては、トルクの変化度として「変化率」が採用されている。しかし、本発明の制御装置においては、トルクの変化度として「変化量」が採用され得る。
さらに、第2装置においては、推定される合計トルク変化度Tqsumの絶対値の最大値Tqsummaxが目標トルク変化度Tqtgtの絶対値以上である場合(ステップ735にて「Yes」と判定される場合)、推定される合計トルク変化度Tqsumの絶対値が目標トルク変化度Tqtgtの絶対値以上となるように目標開口面積変化度ΔOvntgtが定められる(ステップ740)。この場合、「合計トルク変化率Tqsumの絶対値が目標トルク変化率Tqtgtの絶対値以上となる」との条件を満たす限り、他の目的(例えば、排ガス中のNOxなどの量を出来る限り減少させる目的)も考慮して目標開口面積変化率ΔOvntgtが決定されてもよい。さらに、この場合、通過領域の開口面積を目標開口面積変化率ΔOvntgtに一致させるためのフィードバック制御が行われてもよい。
加えて、例えば、上記複数の態様(第1実施形態、第2実施形態およびその他の態様)のうち「一の態様に、同複数の実施形態のうちの他の態様が、適用され得る。別の言い方をすると、上記複数の態様のうちの一の態様と、他の態様の一または複数と、が組み合わせられ得る。
Claims (3)
- 過給機を備えた内燃機関であって前記過給機に導入される排ガスが通過する領域である通過領域の開口面積が可変である内燃機関、に適用される制御装置であって、
前記通過領域の開口面積の変化に伴って前記内燃機関の燃焼室に導入される空気の量である空気導入量が変化することに起因する前記内燃機関のトルクの変化の度合いである第1トルク変化度、および、前記通過領域の開口面積の変化に伴って前記排ガスの圧力が変化することに起因する前記内燃機関のトルクの変化の度合いである第2トルク変化度、に基づき、前記通過領域の開口面積および前記燃焼室に供給される燃料の量である燃料供給量を変更する、内燃機関の制御装置。 - 請求項1に記載の制御装置において、
前記内燃機関のトルクの変化の度合いの目標値が目標トルク変化度であるとき、
前記第1トルク変化度および前記第2トルク変化度の和である合計トルク変化度と、前記通過領域の開口面積の変化の度合いと、の関係を推定し、
前記合計トルク変化度の絶対値の最大値が前記目標トルク変化度の絶対値以上である場合、前記合計トルク変化度の絶対値が前記目標トルク変化度の絶対値以上となる範囲内の前記通過領域の開口面積の変化の度合いを、前記通過領域の開口面積の変化の度合いの目標値である目標開口面積変化度として定め、または、前記合計トルク変化度の絶対値の最大値が前記目標トルク変化度の絶対値よりも小さい場合、前記合計トルク変化度の絶対値が前記最大値となる前記通過領域の開口面積の変化の度合いを、前記目標開口面積変化度として定め、
前記通過領域の開口面積が前記目標開口面積変化度だけ変化したときの前記空気導入量を推定し、前記推定される空気導入量に応じて前記燃料供給量の目標値である目標燃料供給量を定めるとともに、
前記通過領域の開口面積の変化の度合いが前記目標開口面積変化度に一致し、かつ、前記燃料供給量が前記目標燃料供給量に一致するように、前記通過領域の開口面積および前記燃料供給量を変更する、内燃機関の制御装置。 - 請求項1または請求項2に記載の制御装置において、
前記過給機が、前記内燃機関の排気通路に設けられるとともに前記通過領域を通過した排ガスが導入されることによって駆動されるタービンと、前記内燃機関の吸気通路に設けられるとともに前記タービンが駆動されることによって駆動されて前記燃焼室に導入される空気を圧縮するコンプレッサと、前記通過領域の開口面積を変更する開口面積変更部材と、を有する、制御装置。
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