JP2011179472A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】この発明は、内燃機関の制御装置に関し、早期に実EGR率を目標EGR率に収束させることのできる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】内燃機関の排気通路と吸気通路とを接続する外部EGR通路と吸気バルブとを有し、前記外部EGR通路の前記排気通路側の開放端から前記吸気バルブまでの外部EGRガス経路長と、前記吸気通路上流の開放端から前記吸気バルブまでの新気ガス経路長とが異なるように構成される。前記吸気バルブの開弁特性を変更可能とする可変動弁機構を備える。実EGR率が目標EGR率よりも高い場合には、前記可変動弁機構により前記吸気バルブの閉弁時期を、前記新気ガス経路長に基づいて定まる新気ガスの慣性効果が最大となる時期に近づけると共に、前記外部EGRガス経路長に基づいて定まる外部EGRガスの慣性効果が最大となる時期から遠ざける。
【選択図】図2

Description

この発明は、内燃機関の制御装置に係り、特に、車両に搭載される内燃機関の制御を実行するのに好適な内燃機関の制御装置に関する。
従来、例えば特許文献1に開示されるように、内燃機関の排気通路と吸気通路とを接続し排気ガスの一部を該吸気通路に還流させる外部EGR通路を設けて、外部EGRを行う内燃機関が知られている。また、このような内燃機関においては、運転状態に応じて目標トルクや目標EGR率が設定され制御されることが知られている。
特開2006−207504号公報 特開2000−192820号公報 特開昭63−120819号公報 特開2009−52505号公報 特開2001−336432号公報 特開2003−41956号公報
しかしながら、目標EGR率が変動する過渡時には、実EGR率の追従が遅れ目標EGR率と乖離する場合がある。実EGR率と目標EGR率とが乖離すれば、ドライバビリティやエミッションが悪化する要因となる。そのため、早期に実EGR率を目標EGR率に収束させることが望ましい。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、外部EGRを行う内燃機関において、早期に実EGR率を目標EGR率に収束させることのできる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、
内燃機関の排気通路と吸気通路とを接続し、排気ガスの一部を該吸気通路に還流させる外部EGR通路と、
前記吸気通路の下流端に設けられた吸気バルブと、を有し、
前記外部EGR通路の前記排気通路側の開放端から前記吸気バルブまでの外部EGRガス経路長と、前記吸気通路上流の開放端から前記吸気バルブまでの新気ガス経路長とが異なるように構成された内燃機関の制御装置であって、
前記吸気バルブの開弁特性を変更可能とする可変動弁機構と、
実EGR率が目標EGR率よりも高い場合には、前記可変動弁機構により前記吸気バルブの閉弁時期を、前記新気ガス経路長に基づいて定まる新気ガスの慣性効果が最大となる時期に近づけると共に、前記外部EGRガス経路長に基づいて定まる外部EGRガスの慣性効果が最大となる時期から遠ざける閉弁時期変更手段と、を備えることを特徴とする。
また、第2の発明は、上記の目的を達成するため、
内燃機関の排気通路と吸気通路とを接続し、排気ガスの一部を該吸気通路に還流させる外部EGR通路と、
前記吸気通路の下流端に設けられた吸気バルブと、を有し、
前記外部EGR通路の前記排気通路側の開放端から前記吸気バルブまでの外部EGRガス経路長と、前記吸気通路上流の開放端から前記吸気バルブまでの新気ガス経路長とが異なるように構成された内燃機関の制御装置であって、
前記吸気バルブの開弁特性を変更可能とする可変動弁機構と、
実EGR率が目標EGR率よりも低い場合には、前記可変動弁機構により前記吸気バルブの閉弁時期を、前記外部EGRガス経路長に基づいて定まる外部EGRガスの慣性効果が最大となる時期に近づけると共に、前記新気ガス経路長に基づいて定まる新気ガスの慣性効果が最大となる時期から遠ざける閉弁時期変更手段と、を備えることを特徴とする。
また、第3の発明は、第1又は第2の発明において、
前記新気ガス経路長が長くエンジン回転数が高いほど、遅角側に大きい前記新気ガスの慣性効果が最大となる時期を算出する新気慣性効果最大時期算出手段と、
前記外部EGRガス経路長が長くエンジン回転数が高いほど、遅角側に大きい前記外部EGRガスの慣性効果が最大となる時期を算出するEGR慣性効果最大時期算出手段と、
を更に備えることを特徴とする。
第1の発明によれば、外部EGRガス経路長と新気ガス経路長とが異なるように構成される。外部EGRガス経路長と新気ガス経路長とが異なれば、外部EGRガスの慣性効果が最大となる吸気バルブの閉弁時期と、新気ガスの慣性効果が最大となる吸気バルブの閉弁時期とが異なることとなる。そして、第1の発明によれば、実EGR率が目標EGR率よりも高い場合には、可変動弁機構により吸気バルブの閉弁時期を、新気ガスの慣性効果が最大となる時期に近づけると共に、外部EGRガスの慣性効果が最大となる時期から遠ざける。これにより、新気ガス量が増大されると共にEGRガス量が低減されて実EGR率を低下させることができる。そのため、本発明によれば、実EGR率が目標EGR率よりも高い場合に、早期に実EGR率を目標EGR率に収束させることができる。その結果、ドライバビリティやエミッションの悪化を抑制することができる。
第2の発明によれば、外部EGRガス経路長と新気ガス経路長とが異なるように構成される。外部EGRガス経路長と新気ガス経路長とが異なれば、外部EGRガスの慣性効果が最大となる吸気バルブの閉弁時期と、新気ガスの慣性効果が最大となる吸気バルブの閉弁時期とが異なることとなる。そして、第2の発明によれば、実EGR率が目標EGR率よりも低い場合には、可変動弁機構により吸気バルブの閉弁時期を、外部EGRガスの慣性効果が最大となる時期に近づけると共に、新気ガスの慣性効果が最大となる時期から遠ざける。これにより、外部EGRガス量が増大されると共に新気ガス量が低減されて実EGR率を高めることができる。そのため、本発明によれば、実EGR率が目標EGR率よりも低い場合に、早期に実EGR率を目標EGR率に収束させることができる。その結果、ドライバビリティやエミッションの悪化を抑制することができる。
第3の発明によれば、新気ガスの慣性効果が最大となる時期を、新気ガス経路長とエンジン回転数とに応じて算出することができる。また、外部EGRガスの慣性効果が最大となる時期を、外部EGRガス経路長とエンジン回転数とに応じて算出することができる。そのため、本発明によれば、各慣性効果が最大となる吸気バルブの閉弁時期を、運転状態の変動に応じて適切に変更することができる。その結果、ドライバビリティやエミッションの悪化を抑制することができる。
本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。 図1の外部EGR経路Aにおける外部EGRガスの慣性効果と、新気経路Bにおける新気ガスの慣性効果とについて説明するための図である。 本発明の実施の形態1における制御例を示すタイミングチャートである。 本発明の実施の形態1においてECU50が実行する制御ルーチンのフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
実施の形態1.
[実施の形態1のシステム構成]
図1は、本発明の実施の形態1に係るシステム構成を説明するための図である。図1に示すシステムは圧縮着火式の内燃機関10を備えている。圧縮着火式内燃機関の一例として、内燃機関10はディーゼルエンジンであるものとする。内燃機関10は図示しない複数の気筒12を有している。各気筒12には、吸気通路16および排気通路18が接続されている。
吸気通路16の入口付近には、エアクリーナ(図示略)が取り付けられている。エアクリーナの下流近傍には、吸気通路16に吸入される新気の流量に応じた信号を出力するエアフローメータ(図示略)が設けられている。
エアフローメータの下流には、ターボ過給機20が設けられている。ターボ過給機20は、コンプレッサ20aとタービン20bを備えている。コンプレッサ20aとタービン20bとは連結軸によって一体に連結されている。コンプレッサ20aはタービン20bに入力される排気ガスの排気エネルギによって回転駆動される。
コンプレッサ20aの下流には、コンプレッサ20aで圧縮された新気を冷却するためのインタークーラ22が設けられている。インタークーラ22は、それより下流の吸気通路16について開放端BOEとなる。インタークーラ22の下流には、スロットルバルブ24が配置されている。スロットルバルブ24は、スロットルモータにより駆動される電子制御式のバルブである。
スロットルバルブ24下流の吸気通路16には、吸気マニホールド26が設けられている。吸気マニホールド26は、枝分かれして各気筒12の吸気ポート28に接続されている。吸気通路16の下流端には、吸気ポート28と燃焼室との間を開閉する吸気バルブ30が設けられている。吸気通路16は、インタークーラ22、吸気マニホールド26および吸気ポート28を含む通路である。
各気筒12には、燃料を筒内に直接噴射するインジェクタ32と、ピストン34とが設置されている。各気筒12のピストン34の往復運動は、クランク機構を介して、クランク軸の回転運動に変換される。クランク軸の近傍には、クランク軸の回転角を検出するためのクランク角センサ(図示略)が取り付けられている。クランク角センサの出力によれば、エンジン回転数を検出することもできる。
また、排気通路18の上流端には、各気筒12の排気ポート36と燃焼室との間を開閉する排気バルブ38が設けられている。排気ポート36下流の排気通路18には、排気マニホールド40が設けられている。排気通路18は、排気マニホールド40で合流する。合流後の排気通路18には、ターボ過給機20のタービン20bが配置されている。また、タービン20bの下流には、排気ガスを浄化するための触媒42が配置されている。触媒42としては、例えば三元触媒、NOx触媒等が用いられる。排気通路18は、排気ポート36および排気マニホールド40を含む通路である。
更に、排気通路18の排気マニホールド40には、吸気通路16に向かう外部EGR通路44の一端(開放端AOE)が接続されている。外部EGR通路44の途中には、EGRクーラー(図示略)が設けられている。EGRクーラー下流の外部EGR通路44には、外部EGRガスの流量を制御するEGRバルブ46が設けられている。外部EGR通路44の他端は、吸気通路16の吸気マニホールド26に接続されている。
また、本実施形態のシステムは、各気筒12における吸気バルブ30の開弁特性を変更可能とする可変動弁機構48を備えている。より具体的には、ここでは、可変動弁機構48は、吸気バルブ30のリフト量および作用角を連続的に変更できる機能(リフト可変機能)と、油圧もしくはモータを用いて吸気カムの位相を変更することにより吸気バルブ30の開閉時期を変更できる機能(位相可変機能)とを具備する機構であるものとする。更に、可変動弁機構48は、吸気カム軸の回転位置(進角量)を検知するための吸気カム角センサ(図示略)を備えている。
本実施形態のシステムは、ECU(Electronic Control Unit)50を備えている。ECU50の入力部には、上述したエアフローメータ、クランク角センサ、吸気カム角センサ等の各種センサが接続されている。また、ECU50の出力部には、上述したスロットルバルブ24、インジェクタ32、EGRバルブ46、可変動弁機構48等の各種アクチュエータが接続されている。ECU50は、入力された各種の情報に基づいて、内燃機関10の運転状態を制御する。例えば、ドライバ要求等に応じて目標トルクが設定され、好適なドライバビリティやエミッション性能を考慮し、燃料噴射量やEGR率の目標値が設定される。燃料噴射量に応じてインジェクタ32から燃料が噴射される。また、EGR率の目標値に応じてEGRバルブ46の開度が変更される(スロットルバルブ24を併用することとしてもよい。)。
[実施の形態1における特徴的構成]
しかしながら、上述したシステムにおいて、ドライバ要求等により目標トルクが大きく変化し、EGR率の目標値(以下、目標EGR率という。)も大きく変化するような過渡時には、目標EGR率に対する実EGR率の追従が遅れ、乖離する場合がある。実EGR率と目標EGR率とが乖離すれば、ドライバビリティの悪化、エミッションの悪化の原因となる。そのため、早期に実EGR率を目標EGR率に収束させることが望まれる。そこで、本実施形態のシステムでは、早期に実EGR率を目標EGR率に収束させるように制御を実施することとした。
本実施形態のシステムにおいて、早期に実EGR率を目標EGR率に収束させるための構成について図1及び図2を用いて説明する。図1に示す経路Aは、外部EGR通路44の排気マニホールド40側の開放端AOEから吸気バルブ30までの外部EGR経路を表している(以下、単に外部EGR経路Aという。)。また、図1に示す経路Bは、吸気バルブ30から吸気通路16のインタークーラ22内の開放端BOEまでの新気経路を表している(以下、単に新気経路Bという。)。本実施形態のシステムでは、外部EGR経路Aと新気経路Bとは経路長が異なるように構成されている。ここでは、外部EGR経路Aが新気経路Bよりも長く構成されている。
図2は、図1の外部EGR経路Aによる外部EGRガスの慣性効果と、新気経路Bによる新気ガスの慣性効果とについて説明するための図である。図2に示す実線60は、新気ガスについての開放端BOEからの反射による高圧波を表している。実線62は、外部EGRガスについての開放端AOEからの反射による高圧波を表している。また、高圧波の到達するタイミング(CA1、CA2)は経路長に比例して遅れ、経路長の長い外部EGR経路Aの方が新気経路Bに比して遅れる。
図2に示す実線64および実線66は、吸気行程における吸入による負圧の圧力波を表している。実線64、66のCA0は、吸気バルブ30の開弁時期を示している。また、CA3、CA4はそれぞれ吸気バルブ30の閉弁時期(IVC:Intake Valve Closing timing)を示している。閉弁時期は、慣性効果を得るために下死点後(ABDC:After Bottom Dead Center)に設定されている。なお、図2に示す各時期は、あるエンジン回転数、ある経路長における時期であるが、エンジン回転数が高く経路長が長いほど遅角される傾向がある。
本実施形態のシステムでは、外部EGR経路Aと新気経路Bとの経路長が異なるため、新気ガスの慣性効果が最大となる閉弁時期CA3と、外部EGRガスの慣性効果が最大となる閉弁時期CA4とが異なる。経路長の短い新気経路Bの閉弁時期CA3は閉弁時期CA4よりも進角側に位置する。新気ガスの慣性効果は、閉弁時期CA3において最大となり、閉弁時期CA3以降は低下する。一方、EGRガスの慣性効果は、閉弁時期CA3からCA4にかけて高まり、閉弁時期CA4において最大となる。
ここで、現在のエンジン回転数や燃料噴射量等に応じて予め定められた吸気バルブ30の閉弁時期(以下、基本目標閉弁時期という。)がCA3とCA4との間に設定されている場合には、閉弁時期をCA3に近づけることにより、新気ガス量を増大させると共にEGRガス量を減少させることができる。そのため、実EGR率を低くすることができる。一方、閉弁時期をCA4に近づけることにより、EGRガス量を増大させると共に新気ガス量を減少させることができる。そのため、実EGR率を高めることができる。
そこで、本実施形態のシステムでは、実EGR率が目標EGR率よりも高い場合には、吸気バルブ30の閉弁時期をCA3側に進角させ、実EGR率が目標EGR率よりも低い場合には、吸気バルブ30の閉弁時期をCA4側に遅角させることとした。
(タイミングチャート)
より具体的な制御の概要について図3を用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態1における制御例を示すタイミングチャートである。図3(A)の実線70は、エンジン回転数の変化を表している。図3(B)の実線72は目標EGR率の変化を、実線74は実EGR率の変化を表している。図3(C)の実線76は、上述した基本目標閉弁時期(IVCBSE)を、実線78は、新気ガスの慣性効果が最大となる吸気バルブ30の閉弁時期を、実線80は、本実施形態のシステムの特徴的制御による補正後の閉弁時期(IVCFN)を、実線82は、外部EGRガスの慣性効果が最大となる吸気バルブ30の閉弁時期を表している。図3(D)の実線84は新気ガス量の変化を、実線86はEGRガス量の変化を表している。
時刻t0において、ドライバ要求等により目標トルクが高まり燃料噴射量が増大する。燃料噴射量の増大に応じて、新気ガスを増やすために目標EGR率が低く設定される(図3(B)実線72)。目標EGR率に応じてEGRバルブ46等の開度が下げられる。そして、エンジン回転数が上昇する(図3(A)実線70)。また、燃料噴射量の増大とエンジン回転数の上昇に伴い、後述する基本目標閉弁時期マップに基づいて、基本目標閉弁時期IVCBSEが遅角側に変更される(図3(C)実線76)。
時刻t0において、目標EGR率(図3(B)実線72)が大きく低下する過渡時においては、実EGR率の追従が遅れ、実EGR率が目標EGR率よりも大きい状態となる。本実施形態のシステムでは、時刻t0後、実EGR率と目標EGR率との差に応じて、吸気バルブ30の閉弁時期を、基本目標閉弁時期IVCBSEから新気ガスの慣性効果が最大となる閉弁時期(図3(C)実線78)に向けて進角させる(実線80)。閉弁時期を進角させることで、新気ガス量を増大させ(図3(D)実線84)、EGRガス量を減少させる(実線86)。
EGR率は、次式(1)で表されるため、新気ガス量を増大させEGRガス量を減少させることでEGR率を低下させることができる。よって、図3(B)の実線74に示すように、早期に実EGRを低下させることができる。その結果、時刻t1近傍において、実EGR率は目標EGR率に収束することとなる。
EGR率=(EGRガス量/(EGRガス量+新気ガス量)) ・・・(1)
また、図3の制御例においては、時刻t2において、ドライバ要求等により目標トルクが低くなり燃料噴射量が減少する。燃料噴射量の減少に応じて、外部EGRガスを増やすために目標EGR率が高く設定される(図3(B)実線72)。目標EGR率に応じてEGRバルブ46等の開度が上げられる。そして、エンジン回転数が低下する(図3(A)実線70)。また、燃料噴射量の減少とエンジン回転数の低下に伴い、後述する基本目標閉弁時期マップに基づいて、基本目標閉弁時期IVCBSEが進角側に変更される(図3(C)実線76)。
時刻t2において、目標EGR率(図3(B)実線72)が大きく上昇する過渡時においては、実EGR率の追従が遅れ、実EGR率が目標EGR率よりも小さい状態となる。本実施形態のシステムでは、時刻t2後、実EGR率と目標EGR率との差に応じて、吸気バルブ30の閉弁時期を、基本目標閉弁時期IVCBSEから外部EGRガスの慣性効果が最大となる閉弁時期(図3(C)実線82)に向けて遅角させる(実線80)。閉弁時期を遅角させることで、EGRガス量を増大させ(図3(D)実線86)、新気ガス量を減少させる(実線84)。
EGRガス量を増大させ新気ガス量を減少させることでEGR率を高めることができる。よって、図3(B)の実線74に示すように、実EGRを早期に高めることができる。その結果、時刻t3近傍において、実EGR率は目標EGR率に収束することとなる。
(制御ルーチン)
図4は、上述の動作を実現するために、ECU50が実行する制御ルーチンのフローチャートである。図4に示すルーチンは、運転中繰り返し実行される。まず、ステップ100において、基本目標閉弁時期IVCBSEが算出される。具体的には、ECU50には、エンジン回転数と燃料噴射量とに対応する吸気バルブ30の基本目標閉弁時期IVCBSEを実験等により予め定めた「基本目標閉弁時期マップ」が記憶されている。
「基本目標閉弁時期マップ」によれば、エンジン回転数が高く燃料噴射量が多いほど、遅角側に大きい基本目標閉弁時期IVCBSEが取得される。また、上述した新気経路Aの経路長、外部EGR経路Bの経路長が長いほど遅角側に大きい基本目標閉弁時期IVCBSEが取得される。但し、基本目標閉弁時期IVCBSEは、外部EGRガスの慣性効果が最大となる閉弁時期から外部EGRガスの慣性効果が最大となる閉弁時期までの間(例えば中間値とする。)で定められている(図3(C)実線76)。なお、エンジン回転数は、クランク角センサにより検出される。燃料噴射量は、目標トルク等に基づいてECU50に決定される。
次に、ステップ110において、EGR偏差の絶対値が所定値以上であるか否かが判定される。EGR偏差は、目標EGR率と実EGR率との差である。燃料噴射量が多いと目標EGR率は低く設定される。ECU50には、燃料噴射量等と目標EGR率との関係を定めたマップが予め記憶されている。当該マップを参照することにより、目標EGR率が算出される。実EGR率は、エンジン回転数、燃料噴射量、吸入空気量等に基づいて算出することができる。所定値は、ECU50に記憶された閾値である。
ステップ110において、EGR偏差の絶対値が所定値以上であると判定された場合には、続いて、慣性補正量IVCINSが算出される(ステップ120)。ECU50には、エンジン回転数とEGR偏差とに対応する慣性補正量IVCINSを実験等により予め定めた「慣性補正量マップ」が記憶されている。慣性補正量IVCINSとは、基本目標閉弁時期IVCBSEに対する進角量・遅角量である。
新気ガスの慣性効果が最大となる吸気バルブ30の閉弁時期は、エンジン回転数が高くなるほど下死点後に大きく遅角される関係を有する(実線90)。同様に、外部EGRガスの慣性効果が最大となる吸気バルブ30の閉弁時期も、エンジン回転数が高くなるほど下死点後に大きく遅角される関係を有する(実線92)。また、上述した新気経路Aの経路長、外部EGR経路Bの経路長が長いほど下死点後に大きく遅角される関係を有する。
これらの関係を踏まえて、「慣性補正量マップ」には、経路長が長く、エンジン回転数が高く、実EGR率と目標EGR率との差が広がるほど、大きな慣性補正量IVCINS(進角量・遅角量)が定められている。
上述した「慣性補正量マップ」によれば、実EGR率が目標EGR率よりも高い場合には、基本目標閉弁時期IVCBSEを、新気ガスの慣性効果が最大となる閉弁時期に近づけ、外部EGRガスの慣性効果が最大となる時期から遠ざける進角量が、慣性補正量IVCINSとして取得される。
一方、実EGR率が目標EGR率よりも低い場合には、基本目標閉弁時期IVCBSEを、EGRガスの慣性効果が最大となる吸気バルブ30の閉弁時期に近づけ、新気ガスの慣性効果が最大となる閉弁時期から遠ざける遅角量が、慣性補正量IVCINSとして取得される。
その後、ステップ130において、最終目標閉弁時期IVCFNが算出される。最終目標閉弁時期IVCFNは次式(2)で表されるように、基本目標閉弁時期IVCBSEと慣性補正量IVCINSとの和である。
最終目標閉弁時期IVCFN
=基本目標閉弁時期IVCBSE+慣性補正量IVCINS ・・・(2)
その後、可変動弁機構48により吸気バルブ30の閉弁時期が最終目標閉弁時期IVCFNに変更される。
なお、上記ステップ110において条件不成立、即ち、EGR偏差の絶対値が所定値よりも小さいと判定された場合には、慣性補正量IVCINSが0に設定される(ステップ140)。この場合、ステップ130において算出される最終目標閉弁時期IVCFNは、基本目標閉弁時期IVCBSEとなる。
以上説明したように、図4に示すルーチンによれば、実EGR率が目標EGR率よりも高い場合には、吸気バルブ30の閉弁時期を、新気ガスの慣性効果が最大となる時期に近づけ、外部EGRガスの慣性効果が最大となる時期から遠ざけることができる。新気ガス量が増大されEGRガス量が低減されることで実EGR率を低下させることができる。
また、図4に示すルーチンによれば、実EGR率が目標EGR率よりも低い場合には、吸気バルブ30の閉弁時期を、外部EGRガスの慣性効果が最大となる時期に近づけ、新気ガスの慣性効果が最大となる時期から遠ざけることができる。外部EGRガス量が増大され新気ガス量が低減されることで実EGR率を高めることができる。
このように、本実施形態のシステムによれば、実EGR率が目標EGR率よりも高い場合にも、実EGR率が目標EGR率よりも低い場合にも、早期に実EGR率を目標EGR率に収束させることができる。その結果、ドライバビリティやエミッションの悪化を抑制することができる。
ところで、上述した実施の形態1のシステムにおいては、外部EGR経路Aの経路長を、新気経路Bの経路長よりも長い構成としているが、反対に新気経路Bの経路長を、外部EGR経路Aの経路長よりも長い構成としてもよい。この場合、新気ガスの慣性効果が最大となる吸気バルブ30の閉弁時期が、外部EGRガスの慣性効果が最大となる閉弁時期よりも下死点後の遅角側に位置することとなる。そのため、実EGR率が目標EGR率よりも高い場合には、吸気バルブ30の閉弁時期を基本目標閉弁時期よりも遅角側に設定することとする。一方、実EGR率が目標EGR率よりも低い場合には、吸気バルブ30の閉弁時期を基本目標閉弁時期よりも進角側に設定することとする。
尚、上述した実施の形態1においては、外部EGR通路44が前記第1及び第2の発明における「外部EGR通路」に、吸気バルブ30が前記第1及び第2の発明における「吸気バルブ」に、可変動弁機構48が前記第1及び第2の発明における「可変動弁機構」に、それぞれ相当している。
また、ここでは、ECU50が、上記ステップ100〜ステップ130の処理を実行することにより前記第1及び第2の発明における「閉弁時期変更手段」が、ステップ120の処理を実行することにより前記第3の発明における「新気慣性効果最大時期算出手段」と「EGR慣性効果最大時期算出手段」とが、それぞれ実現されている。
更に、実施の形態1においては、開放端AOEが前記第1及び第2の発明における「排気通路側の開放端」に、開放端BOEが前記第1及び第2の発明における「吸気通路上流の開放端」に、外部EGR経路Aの経路長が前記第1及び第2の発明における「外部EGRガス経路長」に、新気経路Bの経路長が前記第1及び第2の発明における「新気ガス経路長」に、それぞれ対応している。
A 外部EGR経路
OE 外部EGR経路の開放端
B 新気経路
OE 新気経路の開放端
CA3 新気ガスの慣性効果が最大となる吸気バルブの閉弁時期
CA4 外部EGRガスの慣性効果が最大となる吸気バルブの閉弁時期
IVCBSE 基本目標閉弁時期
IVCFN 最終目標閉弁時期
IVCINS 慣性補正量
10 内燃機関
12 気筒
16 吸気通路
18 排気通路
20、20a、20b ターボ過給機、コンプレッサ、タービン
22 インタークーラ
26 吸気マニホールド
30 吸気バルブ
32 インジェクタ
34 ピストン
38 排気バルブ
40 排気マニホールド
42 触媒
44 外部EGR通路
46 EGRバルブ
48 可変動弁機構
50 ECU

Claims (3)

  1. 内燃機関の排気通路と吸気通路とを接続し、排気ガスの一部を該吸気通路に還流させる外部EGR通路と、
    前記吸気通路の下流端に設けられた吸気バルブと、を有し、
    前記外部EGR通路の前記排気通路側の開放端から前記吸気バルブまでの外部EGRガス経路長と、前記吸気通路上流の開放端から前記吸気バルブまでの新気ガス経路長とが異なるように構成された内燃機関の制御装置であって、
    前記吸気バルブの開弁特性を変更可能とする可変動弁機構と、
    実EGR率が目標EGR率よりも高い場合には、前記可変動弁機構により前記吸気バルブの閉弁時期を、前記新気ガス経路長に基づいて定まる新気ガスの慣性効果が最大となる時期に近づけると共に、前記外部EGRガス経路長に基づいて定まる外部EGRガスの慣性効果が最大となる時期から遠ざける閉弁時期変更手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 内燃機関の排気通路と吸気通路とを接続し、排気ガスの一部を該吸気通路に還流させる外部EGR通路と、
    前記吸気通路の下流端に設けられた吸気バルブと、を有し、
    前記外部EGR通路の前記排気通路側の開放端から前記吸気バルブまでの外部EGRガス経路長と、前記吸気通路上流の開放端から前記吸気バルブまでの新気ガス経路長とが異なるように構成された内燃機関の制御装置であって、
    前記吸気バルブの開弁特性を変更可能とする可変動弁機構と、
    実EGR率が目標EGR率よりも低い場合には、前記可変動弁機構により前記吸気バルブの閉弁時期を、前記外部EGRガス経路長に基づいて定まる外部EGRガスの慣性効果が最大となる時期に近づけると共に、前記新気ガス経路長に基づいて定まる新気ガスの慣性効果が最大となる時期から遠ざける閉弁時期変更手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  3. 前記新気ガス経路長が長くエンジン回転数が高いほど、遅角側に大きい前記新気ガスの慣性効果が最大となる時期を算出する新気慣性効果最大時期算出手段と、
    前記外部EGRガス経路長が長くエンジン回転数が高いほど、遅角側に大きい前記外部EGRガスの慣性効果が最大となる時期を算出するEGR慣性効果最大時期算出手段と、
    を更に備えることを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関の制御装置。
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