JPWO2013047513A1 - 積層構造及び積層体 - Google Patents

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Abstract

積層構造は、室の外側と内側とを仕切る窓ガラス(G)の外側に設けられる。積層構造は、積層構造を厚さ3mmのフロート板ガラスに積層させたもののヘイズ値が10%以下となるようなヘイズ値を有している。積層構造は、赤外線吸収材料を含むことで赤外線を吸収する膜からなる光吸収層(12)と、光吸収層(12)の外側に配置される保護層(13)とを備える。保護層(13)は、光吸収層(12)への紫外線及び水分の少なくとも一方の到達を抑制する構成である。積層体(11)は、基材(B)と光吸収層(12)と保護層(13)とを備え、保護層(13)は光吸収層(12)の外側に配置される。

Description

本発明は、建築構造物、自動車等に用いられる窓ガラスの外側において赤外線を吸収する光吸収層を有する積層構造、及びその積層構造を既存建築物等の窓ガラスに容易に形成することのできる積層体に関する。
窓ガラスの透明性を維持するとともに室内への赤外線の入射を抑制するため、建築物や自動車等の窓ガラスに、赤外線を吸収する光吸収層を設けることが有効である(特許文献1参照)。光吸収層は、赤外線を吸収することで、窓ガラスとしての視認性を維持しつつ、室温の上昇を抑制したり室内の冷房効率を高めたりすることができる。
特開2008−169074号公報
上述した光吸収層を窓ガラスに設けた場合、太陽光に含まれる赤外線が光吸収層に吸収されるに伴って光吸収層が昇温する。この光吸収層で発生した熱が室内へ直接的に放出されることを回避するためには、窓ガラスの外側に光吸収層を設けることが有効である。
ところが、マトリックス樹脂に赤外線吸収材料が分散されてなる光吸収層を窓ガラスの外側に設けた場合、マトリックス樹脂が紫外線の影響で劣化したり、赤外線吸収材料が水分の影響を受けて劣化したりする傾向が強くなる。また、赤外線吸収材料として例えば導電性微粒子を用いた場合、光吸収層のマトリックス樹脂が長期間の紫外線の照射により劣化すると、導電性微粒子の凝集が起こるおそれがある。そして、凝集した導電性微粒子により、可視光が散乱される結果、窓ガラスの外観に違和感を生じるおそれがある。赤外線吸収材料が水分の影響を受けて劣化すると、光吸収層による光吸収性能が低下するおそれがある。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、窓ガラスの視認性を維持しつつ、光吸収層の劣化を抑制することのできる積層構造、及びその積層構造を既存建築物等の窓ガラスに容易に形成することのできる積層体を提供することにある。
上記の目的を達成するために本発明の第一の態様では、室の外側と内側とを仕切る窓ガラスの外側に設けられる積層構造であって、前記積層構造を厚さ3mmのフロート板ガラスに積層させたもののヘイズ値は10%以下であり、前記積層構造は、赤外線吸収材料を含むことで赤外線を吸収する膜からなる光吸収層と、前記光吸収層の外側に配置される保護層とを備え、前記保護層は、前記光吸収層への紫外線及び水分の少なくとも一方の到達を抑制する構成である積層構造を提供する。
前記積層構造において、前記光吸収層は、マトリックス樹脂に赤外線吸収材料が分散されてなる膜、及び赤外線吸収材料からなる膜の少なくとも一方を含むことが好ましい。
前記積層構造において、前記保護層は、マトリックス樹脂と、紫外線吸収成分及び紫外線散乱成分から選ばれる少なくとも一種とを含むことが好ましい。
前記積層構造において、前記光吸収層の外側に配置される光触媒層を最外層としてさらに備えることが好ましい。
本発明の第二の態様では、室の外側と内側とを仕切る窓ガラスの外側に設けられる積層体であって、前記積層体を厚さ3mmのフロート板ガラスに積層させたもののヘイズ値は10%以下であり、前記積層体は、基材と、赤外線吸収材料を含むことで赤外線を吸収する膜からなる光吸収層と、前記光吸収層の外側に配置される保護層とを備え、前記保護層は、前記光吸収層への紫外線及び水分の少なくとも一方の到達を抑制する構成である積層体を提供する。
前記積層体において、前記光吸収層は、マトリックス樹脂に赤外線吸収材料が分散されてなる膜、及び赤外線吸収材料からなる膜の少なくとも一方を含むことが好ましい。
前記積層体において、前記保護層は、マトリックス樹脂と、紫外線吸収成分及び紫外線散乱成分から選ばれる少なくとも一種とを含むことが好ましい。
前記積層体において、前記光吸収層の外側に配置される光触媒層を最外層としてさらに備えることが好ましい。
上記積層構造及び積層体によれば、保護層により、光吸収層への紫外線及び水分の少なくとも一方の到達が抑制される。このため、光吸収層を構成するマトリックス樹脂が紫外線により劣化することを抑制したり、光吸収層に含まれる赤外線吸収材料が水分の影響を受けて劣化することを抑制したりすることができる。
また、積層体は、既存建築物等の窓ガラスに貼り合わせて用いることができる。
保護層がマトリックス樹脂を含む場合、光吸収層への水分の到達が良好に抑制される。さらに、保護層が紫外線吸収成分及び紫外線散乱成分から選ばれる少なくとも一種を含む場合、光吸収層への紫外線の到達が良好に抑制される。
積層構造及び積層体は、光吸収層の外側に配置される光触媒層を最外層としてさらに備える場合、室外で露出している面に汚れが付着することが抑制されるとともに、付着した汚れが雨等によって容易に洗い流される。
本発明によれば、窓ガラスの視認性を維持しつつ、光吸収層の劣化を抑制することのできる積層構造、及びその積層構造を既存建築物等の窓ガラスに容易に形成することのできる積層体が提供される。
(a)は、本発明の実施形態の積層構造及び積層体を示す模式断面図であり、(b)及び(c)は積層構造及び積層体の変更例を示す模式断面図である。 (a)及び(b)は、比較例における積層構造及び積層体を示す模式断面図である。
以下、本発明を具体化した実施形態について図1(a)を参照して詳細に説明する。
図1(a)に示されるように積層体11は、室の外側と内側とを仕切る窓ガラスGの外側に設けられる。積層体11は、厚さ3mmのフロート板ガラスに積層体11を積層させたもののヘイズ値が10%以下となるようなヘイズ値を有している。そのため、積層体11が設けられた窓ガラスGの視認性、換言すれば積層体11が設けられた窓ガラスGを通して室外又は室内を視認する視認性が維持される。積層体11は、基材Bと、赤外線を吸収する膜からなり基材Bの外側に配置される光吸収層12と、光吸収層12の外側に配置される保護層13とを備えている。
基材Bを構成する材料としては、ガラス及び樹脂が挙げられる。基材Bは、単一種類の材料から形成されてもよいし、複数種の材料を複合させた複合材料から形成されてもよい。また、異なる材料からなる複数の層を積層することで基材Bを構成してもよい。
基材Bとして用いることのできるガラスの例としては、例えばLCD基板として用いられる超薄板ガラスが挙げられる。超薄板ガラスは、例えばオーバーフロー法で製造される。
基材Bの材料として用いることのできる樹脂の例としては、例えばポリエステル系樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単一種類で用いてもよいし複数種を組み合わせて用いてもよい。窓ガラスとしての視認性を阻害しない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種添加剤を添加した樹脂を使用してもよい。
基材Bは、樹脂をマトリックスとして含むことが好ましい。この場合、基材Bの物性を所望に調整することが容易になるため、例えば基材Bに光吸収層12及び保護層13を設けるための十分な加工適性を付与しやすくなる。
基材Bは、25μm〜250μmの厚さを有するフィルム状であることが好ましい。
基材Bは、低いヘイズ値と高い全光線透過率に加えて高強度を実現することが容易であることから、好ましくはポリエステル系樹脂、より好ましくはポリエチレンテレフタレートから形成される。また、ポリエステル系樹脂から形成した基材Bを用いることで、積層体11は窓ガラスGの飛散防止用として有効に利用することができるようになる。
基材Bにおいて窓ガラスGとは反対側の面には、光吸収層12が積層される。光吸収層12、すなわち光吸収層12を構成する膜は、赤外線吸収材料を含む。
光吸収層12は、マトリックス樹脂に赤外線吸収材料が分散されてなる膜、及び赤外線吸収材料からなる膜の少なくとも一方を含むことが好ましい。なお、図1(a)中に模式的に示されている光吸収層12は、マトリックス樹脂に赤外線吸収材料が分散されてなる膜である。
マトリックス樹脂に分散される赤外線吸収材料は、赤外線吸収能を有するものであれば特に限定されず、その例としては、例えば、導電性微粒子、及び色素(有機色素、金属錯体など)が挙げられる。導電性微粒子の例としては、例えば金属酸化物、金属窒化物、及び金属ホウ化物から選ばれる少なくとも一種の導電性材料からなるものが挙げられる。
金属酸化物の例としては、例えば酸化タングステン系化合物、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化亜鉛、アンチモン酸亜鉛、酸化ルテニウム、酸化インジウム、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、及び酸化セシウムが挙げられる。金属窒化物の例としては、例えば窒化チタンが挙げられる。金属ホウ化物の例としては、例えば六ホウ化ランタンが挙げられる。
導電性微粒子の平均粒子径は、例えば550nm以下であり、好ましくは200nm以下であり、これにより赤外線吸収能が発揮されるとともに光吸収層12の透明性が確保されやすくなる。この平均粒子径は、透過型電子顕微鏡像観察により測定される、光吸収層12内に分散している分散粒子径の平均を示す。
色素の例としては、例えばフタロシアニン系化合物、アントラキノン系化合物、ジチオール系化合物、ジイモニウム系化合物、アンスラキノン系化合物、スクアリリウム系化合物、ナフタロシアニン系化合物、アミニウム系化合物、シアニン系化合物、アゾ化合物、ポリメチン系化合物、キノン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、メルカプトナフトール系化合物、及びジチオール金属錯体系化合物が挙げられる。
上述した赤外線吸収材料は単一種類で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
光吸収層12を構成するマトリックス樹脂は、特に限定されない。マトリックス樹脂の例としては、例えばアクリルウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単一種類で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
光吸収層12は、マトリックス樹脂と赤外線吸収材料とを含む光吸収層用コーティング剤を調製し、そのコーティング剤を用いて形成されることが好ましい。光吸収層用コーティング剤の塗工は、例えばディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、又はグラビアコート法により可能であるが、これらの方法に限定されない。
光吸収層12の厚みは、光吸収層12がマトリックス樹脂に赤外線吸収材料が分散されてなる膜である場合、例えば1〜100μmの範囲であることが好ましい。
光吸収層12中のマトリックス樹脂の含有量は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上である。光吸収層12中の赤外線吸収材料の含有量は、例えば0.1〜50質量%の範囲である。
赤外線吸収材料からなる膜の例としては、例えば、金属膜及び金属酸化物膜が挙げられる。金属膜を構成する金属の例としては、銀、金、銅、白金、インジウム、スズ、及びアルミニウムが挙げられる。金属膜は、複数種の金属を含む合金から構成されてもよい。中でも、可視光の透過性が高いことから、銀からなる膜、又は銀合金からなる膜が好ましい。金属膜は、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、又はプラズマCVD法により形成することができる。
金属酸化物膜を構成する金属酸化物の例としては、上記導電性微粒子を構成する金属酸化物として先に例示したのと同じものが挙げられる。金属酸化物は、単一種類で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。金属酸化物膜は、例えば気相法又は液相法により形成することができる。
赤外線吸収材料からなる膜は、金属膜及び金属酸化物膜のいずれか一方から構成されてもよいし、金属膜と金属酸化物膜との積層膜から構成されてもよい。金属膜と金属酸化物膜との積層膜を使用した場合には、可視光の透過性をより高めることが容易となる。可視光の透過性をさらに高めるという観点から、積層膜は、金属膜の両面が金属酸化物膜により挟まれた構造、すなわち金属酸化物膜、金属膜、及び金属酸化物膜の順に積層された構造を含むことが好ましい。
光吸収層12の厚みは、光吸収層12が赤外線吸収材料からなる膜である場合、例えば10〜200nmの範囲であることが好ましい。
保護層13は、光吸収層12への紫外線及び水分の少なくとも一方の到達を抑制する。マトリックス樹脂と、紫外線吸収成分及び紫外線散乱成分から選ばれる少なくとも一種とが保護層13に含まれる場合には、光吸収層12への紫外線及び水分の両方の到達が抑制される。紫外線吸収成分及び紫外線散乱成分が保護層13に含まれない場合でも、光吸収層12への水分の到達は抑制される。
保護層13を構成するマトリックス樹脂の例としては、例えばアクリルウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、及びフッ素樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単一種類で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
保護層13を構成するマトリックス樹脂は、光吸収層12を構成するマトリックス樹脂の水蒸気透過度よりも低い水蒸気透過度を有することが好ましい。例えば、アクリルウレタン系樹脂、ポリウレタン系樹脂等の架橋構造を有する樹脂を用いて保護層13を形成することで、保護層13による光吸収層12への水分の到達を抑制する効果を容易に高めることができる。
保護層13の水蒸気透過量は、40℃、90%RHの条件で測定した場合、500[cc/m・24hr/atm]以下であることが好ましい。
保護層13により光吸収層12への紫外線の到達を抑制するためには、保護層13は、波長300〜380nmの領域において、好ましくは50%以下であり、より好ましくは30%以下であり、さらに好ましくは15%以下の紫外線透過率を有するように構成される。
紫外線吸収成分は、紫外線のエネルギーを熱エネルギー等に変換可能な化学構造を有する有機成分である。保護層13に紫外線吸収成分を含有させる場合、市販の紫外線吸収剤をマトリックス樹脂に添加してもよいし、前記化学構造が導入された市販の樹脂を用いてもよい。
紫外線吸収成分の例としては、例えばベンゾトリアゾール類、ベンゾエート類、シアノアクリレート類、ベンゾフェノン類、サリチル酸エステル類、及び置換アクリロニトリル類が挙げられる。
ベンゾトリアゾール類の例としては、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、及び2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールが挙げられる。
ベンゾエート類の例としては、例えば2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートが挙げられる。
シアノアクリレート類の例としては、例えばエチル−2−シアノ−3,5−ジフェニルアクリレートが挙げられる。
ベンゾフェノン類の例としては、例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−アセトキシエトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−o―オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−i−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−ジスルホベンゾフェノン−ジ−ナトリウム塩、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロポキシベンゾフェノン、及び2−ヒドロキシ−4−オクタデシルオキシベンゾフェノンが挙げられる。
サリチル酸エステル類の例としては、例えばフェニルサリチレート、p−t−ブチルフェニルサリチレート、及びp−オクチルフェニルサリチレートが挙げられる。
置換アクリロニトリル類の例としては、例えば2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチル、及び2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシルが挙げられる。
紫外線吸収成分は、単一種類で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
紫外線散乱成分の例としては、無機系粉末材料が挙げられる。無機系粉末材料の例としては、例えば二酸化チタン粉末、酸化亜鉛粉末、酸化セリウム粉末等の金属酸化物粉末、二酸化チタンと酸化鉄との複合無機材料粉末、及び、酸化セリウム微粒子の表面を非晶質シリカで被覆した複合無機材料粉末が挙げられる。紫外線散乱成分は、単一種類で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
紫外線を散乱させる働きが十分に得られ易いという観点から、紫外線散乱成分の平均粒径は、好ましくは5μm以下であり、より好ましくは10nm〜2μmの範囲である。なお、保護層13には、光触媒活性が不要であるため、紫外線散乱成分として光触媒活性を有する無機系粉末材料を用いる場合には、無機系粉末材料の粒子表面に水ガラス等を用いて薄膜を形成することで、光触媒活性を失活させて用いることが好ましい。
保護層13中のマトリックス樹脂の含有量は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上である。保護層13中の紫外線吸収成分及び紫外線散乱成分から選ばれる少なくとも一種の含有量は、例えば0.01〜30質量%の範囲である。
保護層13中の紫外線散乱成分、各種フィラー、導電性微粒子等の粒子状物質の含有量は、光吸収層12への水分の到達を抑制する効果を高めるという観点から、光吸収層12中の粒子状物質(導電性微粒子を含む)の含有量よりも少ないことが好ましい。さらに、保護層13は、光吸収層12への水分の到達を抑制する効果をさらに高めるという観点から、粒子状物質を含まずに構成することがより好ましい。
保護層13は、光安定化成分及び酸化防止成分から選ばれる少なくとも一種を含有してもよい。この場合、保護層13の耐久性を高めることができる。保護層13に光安定化成分を含有させる場合、市販の光安定化剤をマトリックス樹脂に添加してもよいし、光安定化に寄与する化学構造が導入された市販の樹脂を用いてもよい。
光安定化成分の例としては、例えばヒンダードアミン類が挙げられる。ヒンダードアミン類の例としては、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2、4−ジイル][(2,2,6,6−テトラ−メチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルイミド]、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、(ミックスト2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、N,N‘−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、及び[N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−2−メチル−2−(2,2,6,6、−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]プロピオンアミドが挙げられる。ヒンダードアミン類は、例えばTINUVIN(商品名、Ciba Geigy社)770,123,144,622、SANOL(商品名、三共株式会社)LS−770,765,292,2626、及びアデカスタブ(商品名、旭電化株式会社)LA−52,57,62として市販されている。光安定化成分は単一種類で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
酸化防止成分の例としては、例えばビタミンC(アスコルビン酸、又はアスコルビン酸塩)、ビタミンE(酢酸トコフェロール)、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、エリソルビン酸ナトリウム、没食子酸プロピル、亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、コーヒー豆抽出物(クロロゲン酸)、緑茶抽出物(カテキン)、及びローズマリー抽出物が挙げられる。酸化防止成分は、単一種類で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
保護層13には、例えば、滑剤、難燃剤等を含有させることもできる。
保護層13の厚みは、例えば0.1〜100μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜20μmの範囲である。保護層13の厚みをより厚くすることで、光吸収層12への紫外線及び水分の少なくとも一方の到達を抑制する保護層13の働きが容易に得られる。保護層13の厚みをより薄くすることで、コストを削減することが容易となり、また保護層13の可撓性が得られ易くなる。例えば、保護層13をアクリルウレタン系樹脂から構成する場合には、保護層13の厚みは5μm以上であることが好ましい。
保護層13は、光吸収層12にコーティングすることで形成してもよいし、予め成膜した保護層13を光吸収層12に貼り合わせてもよい。
光吸収層12の外側には光触媒層14が積層されている。光触媒層14は、積層体11の最外層として構成される。光触媒層14によって、室外で露出している面に汚れが付着することが抑制されるとともに、付着した汚れが雨等によって容易に洗い流される。光触媒層14は、光触媒前駆体を含む光触媒前駆体コーティング剤を用いて形成されることが好ましい。例えば特開2009−208062号公報に開示されている方法を用いて光触媒前駆体コーティング剤から光触媒層14を形成してもよい。
光触媒層14の厚みは、好ましくは0.01〜1μmの範囲であり、より好ましくは0.03〜0.3μmの範囲である。このように光触媒層14は、一般に薄膜として形成されるため、上述した保護層13のような紫外線吸収能は発揮しない。また、光触媒層14に紫外線吸収能を付与しようとした場合、光触媒能が阻害されるおそれがある。
光吸収層12とは反対側の基材Bの面、すなわち基材Bの内側には、粘着層15が積層されている。これにより、積層体11を窓ガラスGに容易に取り付けることができるようになっている。粘着層15としては、市販の粘着剤をコーティングすることにより形成してもよいし、粘着テープ又は粘着シートを基材Bに貼り合わせることで設けてもよい。粘着層15を構成する粘着剤の例としては、例えばアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等を用いることができるが、これらに限定されない。
窓ガラスGに用いられるガラス基板の例としては、ソーダライムガラス基板、石英ガラス基板、ホウ珪酸ガラス基板、無アルカリガラス基板等が挙げられるが、これらに限定されない。積層体11が適用される窓ガラスGの例としては、例えば建築建造物の窓ガラス、及び自動車の窓ガラスが挙げられる。
次に、上述した積層体11の作用について説明する。
積層体11は、粘着層15により窓ガラスGの外側に貼り合わせて使用される。これにより、窓ガラスGの外側、すなわち室外には、窓ガラスGに近い順に、光吸収層12、保護層13、及び光触媒層14が配置された積層構造が形成される。
このように窓ガラスGに貼り合わされた積層体11(積層構造)に太陽光が照射されると、太陽光中の赤外線(特に、近赤外線)が光吸収層12に吸収される。これにより、窓ガラスGを透過する赤外線が減少されることで、室温の上昇は抑制されるようになる。また、光吸収層12は窓ガラスGの外側に設けられているため、赤外線の吸収により昇温した光吸収層12の熱が室内に直接放出されることを回避することができる。従って、例えば夏場において快適な室内環境が提供されるようになる。
また、積層体11は、厚さ3mmのフロート板ガラスに積層体11を積層させたもののヘイズ値が10%以下となるようなヘイズ値を有している。そのため、窓ガラスGの透明性に対する積層体11の影響は極力低減される。
太陽光を室内に取り入れることでより明るい室内環境にするという観点から、積層体11は、厚さ3mmのフロート板ガラスに積層体11を積層させたものの全光線透過率が60%以上、さらに言えば70%以上となるような全光線透過率を有していることが好ましい。なお、ヘイズ値及び全光線透過率の測定に用いるフロート板ガラスは、日本工業規格JIS R3202:1996に規定される厚さ3mmのフロート板ガラスである。
室外に配置される積層体11は、太陽光に含まれる紫外線の照射も受ける。ここで、光吸収層12を構成するマトリックス樹脂が紫外線の影響で劣化すると、マトリックス樹脂の働き、すなわち、導電性微粒子を分散した状態で支持する働きが低下する。このため、積層体11の使用期間が長くなるのに伴って導電性微粒子の凝集が起こるおそれがある。導電性微粒子が凝集すると太陽光に含まれる可視光が反射する結果、積層体11の色調、すなわち積層体11を設けた窓ガラスGの色調が変化する。こうした色調の経時変化は、窓ガラスとしての外観に違和感を生じるおそれがある。この点、光吸収層12への紫外線の到達を抑制する保護層13を光吸収層12の外側に配置することにより、導電性微粒子の凝集が抑制されるため、積層体11を設けた窓ガラスGの色調が経時変化することを抑制することができる。
また、上述した赤外線吸収材料(例えば、六ホウ化ランタン)の赤外線吸収能は、水分との接触によって低下するおそれがある。この点、光吸収層12への水分の到達を抑制する保護層13を光吸収層12の外側に配置することにより、水分を要因として光吸収層12の赤外線吸収能が低下することを抑制することができる。
また、赤外線吸収材料からなる膜の色調は、例えば水分との接触によって経時変化するおそれがある。この点、赤外線吸収材料からなる膜を含む光吸収層12の外側に保護層13を配置することにより、水分を要因として光吸収層12の色調が経時変化することを抑制することができる。
保護層13による光吸収層12の劣化を抑制する効果は、厚さ3mmのフロート板ガラスに積層体11を貼り付けたガラスサンプルを、サンシャインウエザーメーターを用いた暴露試験に供することで評価することができる。この暴露試験は、フロート板ガラスとは反対側の積層体11の面を光源に向けて配置し、光源の光を120分間照射する1サイクル中に18分間の降雨期間を設けることにより行われ、1500時間継続して行われる。
光吸収層12への紫外線の到達を抑制する効果、すなわち、導電性微粒子の凝集を抑制する効果は、ガラスサンプルの色差(ΔE、反射法)により示される。暴露試験前と1500時間の暴露試験後のガラスサンプルの色差(ΔE、反射法)は、好ましくは5.0以下であり、より好ましくは3.0以下である。この色差は、例えば、保護層13中の紫外線吸収成分の含有量を増大させたり、保護層13の厚みを増したりすることで小さくすることができる。
光吸収層12への水分の到達を抑制する効果、すなわち、赤外線吸収材料の赤外線吸収能の低下を抑制する効果は、ガラスサンプルの日射吸収率で示される。1500時間の暴露試験後のガラスサンプルの日射吸収率は、20%以上であることが好ましく、25%以上であることがより好ましい。この日射吸収率は、例えば、保護層13を構成するマトリックス樹脂として水蒸気透過度がより低い樹脂を用いたり、マトリックス樹脂中に含まれる粒子状物質を削減したりすることで高めることができる。
以上詳述した本実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(1)光吸収層12の外側には、光吸収層12への紫外線及び水分の少なくとも一方の到達を抑制する保護層13が配置されている。これにより、積層体11を設けた窓ガラスGの色調が経時変化したり、水分を要因として光吸収層12の赤外線吸収能が低下したりすることを抑制することができる。また、積層体11を厚さ3mmのフロート板ガラスに積層させたもののヘイズ値は10%以下である。従って、窓ガラスGの視認性を維持しつつ、光吸収層12の劣化を抑制することができる。
(2)マトリックス樹脂に赤外線吸収材料が分散されてなる膜、及び赤外線吸収材料からなる膜の少なくとも一方を光吸収層12が含む場合、室温の上昇を好適に抑制することが容易となる。
(3)保護層13がマトリックス樹脂と、紫外線吸収成分及び紫外線散乱成分から選ばれる少なくとも一種とを含む場合、積層体11を設けた窓ガラスGの色調の経時変化を抑制し、かつ、水分を要因として光吸収層12の赤外線吸収能が低下することを抑制することができる。従って、光吸収層12の構成、例えばマトリックス樹脂の種類や赤外線吸収材料の種類の設計の自由度を高めることができるようになる。
(4)積層体11は、光吸収層12の外側に配置される光触媒層14を最外層として備えるため、積層体11を設けた窓ガラスGの清浄性を維持することが容易となる。ただし、光触媒層14には光吸収層12を有効に保護する機能はないため、光吸収層12の経時変化、例えば窓ガラスの外観に違和感や劣化が生じるのを防ぐためには、保護層13を設けることが必要である。
(5)基材B、光吸収層12及び保護層13を備える積層体11は、建築構造物、自動車等に設置した後の窓ガラスGに対して容易に設けることができる。また、定期的に積層体11を貼り替えることも容易である。
(変更例)
なお、前記実施形態を次のように変更して構成してもよい。
・図1(b)に示すように、積層体11は光触媒層14を省略した構成でもよい。
・図1(a)の実施形態では、光吸収層12の内側に基材Bを配置しているが、図1(c)に示すように、前記実施形態の基材Bに相当する第1保護層13aを光吸収層12よりも外側に配置するとともに、その外側に前記実施形態の保護層13に相当する第2保護層13bを配置してもよい。第1保護層13a及び第2保護層13bは、光吸収層12への紫外線及び水分の少なくとも一方の到達を抑制する保護層13を構成し、第1保護層13aは、基材としての機能も兼ねる。この場合も、保護層13により光吸収層12の劣化を抑制することができる。
また、図1(c)の積層体11において、第1保護層13aと第2保護層13bとの積層順序を入れ替えてもよい。また、図1(c)の積層体11において、第2保護層13bを省略してもよい。この場合であっても、第1保護層13aにより光吸収層12への水分の到達が抑制される。また、第2保護層13bを省略した場合でも、第1保護層13aに紫外線吸収成分及び紫外線散乱成分から選ばれる少なくとも一種を含有させることで、光吸収層12への紫外線の到達を抑制することもできる。
・図1(a)の実施形態では、光吸収層12を基材Bの外側に配置しているが、基材Bの外側と内側の両方に光吸収層12を配置してもよい。
・図1(a)〜図1(c)に示す積層体11において、粘着層15を省略してもよい。この場合、基材Bに粘着性を付与することで、基材Bを窓ガラスGに貼り付け可能に構成してもよい。あるいは、窓ガラスGに粘着剤を塗布して、粘着層15を省略した積層体を窓ガラスGに貼り付けてもよい。
・図1(a)〜図1(c)に示す積層体11において、光吸収層12に酸化防止成分、紫外線吸収成分、光安定化成分等を含有させてもよい。これら成分の具体例としては、図1(a)の実施形態の保護層13の説明の中で先に記載したのと同じものが挙げられる。また、光吸収層12に紫外線吸収成分又は光安定化成分を含有させる場合、市販の紫外線吸収剤又は光安定化剤をマトリックス樹脂に添加してもよいし、紫外線の吸収又は光安定化に寄与する化学構造が導入された市販の樹脂を用いてもよい。
・積層体11の各層の層間に、例えば接着性を高める易接着層等の層を設けてもよい。また、積層体11の各層は、単層構造であってもよいし、複層構造であってもよい。
・前記粘着層15に離型用のシートを設けるとともに、積層体11を窓ガラスGに貼り付ける際に、離型用のシートを剥がして使用するように積層体11を構成してもよい。
・窓ガラスG、又は窓ガラスGを形成するためのガラス基板に対して、光吸収層用コーティング剤と保護層用コーティング剤を順に塗工することで、窓ガラスGの外側に積層構造を形成してもよい。この場合であっても、光吸収層12よりも外側に保護層13を配置することにより、光吸収層12の劣化を抑制することができ、しかも、基材Bや粘着層15を省略することもできる。また、窓ガラスG又はガラス基板に接着剤等を塗工した後に、光吸収層用コーティング剤及び保護層用コーティング剤を順に塗工してもよい。また、ガラスとの接着性を有するように光吸収層用コーティング剤を構成し、それをガラス面上に直接的に塗工してもよい。
・光吸収層12、保護層13、又は光触媒層14の厚みを比較的厚く設定する場合には、光吸収層12を構成する膜、保護層13を構成する膜、光触媒層14を構成する膜の少なくとも一つを予め形成した後に、当該膜を基材Bに積層させてもよい。
・窓ガラスGと光吸収層12との間に断熱層を配置してもよい。この場合、光吸収層12で発生した熱が窓ガラスGに伝達することが抑制される結果、例えば窓ガラスGにおける不要な応力の発生を抑制することができるとともに、室内環境をより快適にすることができる。断熱層は、マトリックス樹脂と中空粒子とを含むことで独立気泡を有する膜として構成してもよい。中空粒子は、無機系中空粒子、有機系中空粒子、及び有機無機複合系中空粒子のいずれであってもよい。無機系中空粒子の例としては、例えばシリカ中空粒子、アルミナ中空粒子等が挙げられる。有機系中空粒子の例としては、例えばアクリル系中空粒子、アクリロニトリル系中空粒子、ポリスチレン系中空粒子等が挙げられる。有機無機複合系中空粒子の例としては、有機シリカ複合系粒子が挙げられる。
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
<保護層用コーティング剤>
紫外線吸収能を有するアクリルポリオール系樹脂(株式会社日本触媒製、商品名:ハルスハイブリット紫外線吸収性アクリルポリオールUV−G301)100質量部と、イソシアネート系硬化剤(住友バイエルウレタン株式会社製、商品名:デスモジュールN3200)12.7質量部とを室温下で混合することにより、保護層用コーティング剤として使用するアクリルウレタン塗料を調製した。
<光吸収層用コーティング剤A>
紫外線吸収能を有するアクリルポリオール系樹脂(株式会社日本触媒製、商品名:ハルスハイブリット紫外線吸収性ポリオールUV−G301)100質量部と、イソシアネート系硬化剤(住友バイエルウレタン株式会社製、商品名:デスモジュールN3200)12.7質量部と、赤外線吸収能を有する導電性微粒子(日産化学工業株式会社製、アンチモン酸亜鉛微粒子、IR−50K)62質量部とを室温下で混合することにより、光吸収層用コーティング剤Aとして使用するアクリルウレタン塗料を調製した。
<光吸収層用コーティング剤B>
非晶性ポリエステル樹脂(東洋紡績株式会社製、商品名:バイロン240)とメチルエチルケトンとを容器に入れ、その容器を回転させることで非晶性ポリエステル樹脂とメチルエチルケトンとの撹拌を行った。非晶性ポリエステル樹脂がメチルエチルケトンに溶解した後に、赤外線吸収能を有する導電性微粒子(住友金属鉱山株式会社製、六ホウ化ランタン微粒子、KHF−7A)を非晶性ポリエステル樹脂8質量部に対して10質量部となるように混合することにより、光吸収層用コーティング剤Bとして使用するポリエステル樹脂塗料を調製した。
<光吸収層用コーティング剤C>
非晶性ポリエステル樹脂(東洋紡績株式会社製、商品名:バイロン240)とメチルエチルケトンとを容器に入れ、その容器を回転させることで非晶性ポリエステル樹脂とメチルエチルケトンとの撹拌を行った。非晶性ポリエステル樹脂がメチルエチルケトンに溶解した後に、赤外線吸収能を有する導電性微粒子(住友金属鉱山株式会社製、セシウムを含有する酸化タングステン系微粒子、YMF−02A)を非晶性ポリエステル樹脂100質量部に対して14質量部となるように混合することにより、光吸収層用コーティング剤Cとして使用するポリエステル樹脂塗料を調製した。
<光吸収層用コーティング剤D>
紫外線吸収能を有するアクリルポリオール系樹脂(株式会社日本触媒製、商品名:ハルスハイブリット紫外線吸収性ポリオールUV−G301)100質量部と、イソシアネート系硬化剤(住友バイエルウレタン株式会社製、商品名:デスモジュールN3200)12.7質量部と、赤外線吸収能を有する導電性微粒子(住友金属鉱山株式会社製、セシウムを含有する酸化タングステン系微粒子、YMF−02A)30質量部と、酢酸ブチル30質量部とを室温下で混合することにより、光吸収層用コーティング剤Dとして使用するアクリルウレタン塗料を調製した。
<光触媒前駆体コーティング剤>
光触媒前駆体コーティング剤は、以下の(a)〜(c)の工程により調製した。
(a)チタンアルコキシドの加水分解縮合液の調製
エチルセロソルブ149gに、チタンテトライソプロポキシド(日本曹達株式会社製、商品名:A−1)76gを攪拌しながら滴下した。その後、この溶液にエチルセロソルブ58g、蒸留水4.6g、60質量%濃硝酸13gの混合溶液を攪拌しながら滴下した。
その後、この溶液を30℃で4時間攪拌を行うことによってチタンアルコキシドの加水分解縮合液を調製した。
(b)有機成分溶液の調製
2Lのセパラブルフラスコに窒素雰囲気下でメチルイソブチルケトン700g、メタクリル酸メチル337g、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン43gを添加し、60℃まで昇温した。この混合溶液にアゾビスイソブチロニトリル3.3gを予め溶解したメチルイソブチルケトン117gを滴下して重合反応を開始し、30時間攪拌することで有機成分溶液を調製した。
(c)光触媒前駆体コーティング剤の調製
エチルセロソルブ29gに硝酸アルミニウム・九水和物(純度99%、和光純薬工業株式会社製)4.2gを溶解させ、続いて上記チタンアルコキシドの加水分解縮合液を71g加えてよく攪拌することで溶液(1)を得た。
続いて、上記の有機成分溶液7.3g、メチルイソブチルケトン236g、エチルセロソルブ139g、上記の溶液(1)104g、及びコロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製、商品名:スノーテックスIPA−ST、一次粒子径:10〜20nm、分散(二次)平均粒子径:約20nm)13.9gをこの順番で混合した。その後、32℃の温浴で24時間攪拌し、コロイダルシリカ及び硝酸アルミニウムを含む光触媒前駆体コーティング剤を調製した。
<保護層及び光触媒層の紫外線透過率>
厚みが1mmのガラス板(コーニング社製、商品名:パイレックス(登録商標))に保護用コーティング剤を乾燥後の厚みが10μmとなるようにマイヤーバーで塗布した。それを120℃で2分間乾燥させた後、60℃で3日間加熱養生することにより、アクリルポリオール樹脂とイソシアネート系硬化剤とを熱架橋させた。これにより、ガラス板上に保護層を形成した。
一方、厚みが1mmのガラス板(コーニング社製、商品名:パイレックス(登録商標))に光触媒前駆体コーティング剤を乾燥後の厚みが100nmになるようにマイヤーバーで塗布し、120℃で2分間乾燥させた。これにより、ガラス板上に光触媒層を形成した。
上記のガラス板単体、保護層を形成したガラス板、及び、光触媒層を形成したガラス板について、紫外線透過率(波長300〜380nm)をJIS A5759:2008に準拠して求めた。その結果、ガラス板単体の紫外線透過率は、92.10%(紫外線反射率7.13%、紫外線吸収率0.77%)であった。保護層を形成したガラス板の紫外線透過率は、8.40%(紫外線反射率4.44%、紫外線吸収率87.16%)であった。光触媒層を形成したガラス板の紫外線透過率は、87.70%(紫外線反射率7.83%、紫外線吸収率4.47%)であった。これにより、光触媒層は、保護層のような紫外線吸収能は発揮しないことが分かる。
(実施例1)
基材としてのポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、HB3、紫外線吸収剤含有PETフィルム、厚み50μm)に、上記の光吸収層用コーティング剤Aを乾燥後の厚みが9μmとなるようにマイヤーバーで塗布した。それを120℃で2分間乾燥させた後、60℃で3日間加熱養生することにより、アクリルポリオール樹脂とイソシアネート系硬化剤とを熱架橋させた。これにより、基材上に光吸収層を形成した。光吸収層上に、保護層用コーティング剤を乾燥後の厚みが10μmとなるように、マイヤーバーで塗布した。それを120℃で2分間乾燥させた後、60℃で3日間加熱養生することに
より、アクリルポリオール樹脂とイソシアネート系硬化剤とを熱架橋させた。これにより、光吸収層上に保護層を形成した。さらに、保護層上に光触媒前駆体コーティング剤を乾燥後の厚みが100nmになるようにマイヤーバーで塗布し、120℃で2分間乾燥させた。これにより、基材に光吸収層、保護層、及び光触媒層をこの順に設けた積層体を得た。
次いで、基材上に、ノンサポート型粘着テープ(綜研化学株式会社製、SK2057)を貼り合わせた後に、220mm×220mm×3mmtのフロート板ガラスにドライラミネートすることで、図1(a)に示される積層構造を有するガラスサンプルを作製した。
(比較例1)
基材としてのポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、HB3、紫外線吸収剤含有PETフィルム、厚み50μm)に、上記の光吸収層用コーティング剤Aを乾燥後の厚みが9μmとなるようにマイヤーバーで塗布した。それを120℃で2分間乾燥させた後、60℃で3日間加熱養生することにより、アクリルポリオール樹脂とイソシアネート系硬化剤とを熱架橋させた。これにより、基材上に光吸収層を形成した。光吸収層上に、光触媒前駆体コーティング剤を乾燥後の厚みが100nmとなるようにマイヤーバーで塗布し、120℃で2分間乾燥させた。これにより、基材に光吸収層、及び光触媒層をこの順に設けた積層体を得た。
次いで、基材上に、ノンサポート型粘着テープ(綜研化学株式会社製、SK2057)を貼り合わせた後に、220mm×220mm×3mmtのフロート板ガラスにドライラミネートすることで、図2(a)に示される積層構造を有するガラスサンプルを作製した。
(実施例2)
基材としてのポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、HB3、紫外線吸収剤含有PETフィルム、厚み50μm)に、上記の光吸収層用コーティング剤Bを乾燥後の厚みが3μmとなるように、マイヤーバーで塗布し、120℃で2分乾燥させた。これにより、基材上に光吸収層を形成した。光吸収層上に、保護層用コーティング剤を乾燥後の厚みが10μmとなるように、マイヤーバーで塗布した。それを120℃で2分間乾燥させた後、60℃で3日間加熱養生することにより、アクリルポリオール樹脂とイソシアネート系硬化剤とを熱架橋させた。これにより、光吸収層上に保護層を形成した。これにより、基材に光吸収層、及び保護層をこの順に設けた積層体を得た。
次いで、基材上に、ノンサポート型粘着テープ(綜研化学株式会社製、SK2057)を貼り合わせた後に、220mm×220mm×3mmtのフロート板ガラスにドライラミネートすることで、図1(b)に示される積層構造を有するガラスサンプルを作製した。
(比較例2)
基材としてのポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、HB3、紫外線吸収剤含有PETフィルム、厚み50μm)に、上記の光吸収層用コーティング剤Bを乾燥後の厚みが3μmとなるように、マイヤーバーで塗布し、120℃で2分乾燥させた。これにより、基材に光吸収層を設けた積層体を得た。
次いで、基材上に、ノンサポート型粘着テープ(綜研化学株式会社製、SK2057)を貼り合わせた後に、220mm×220mm×3mmtのフロート板ガラスにドライラミネートすることで、図2(b)に示される積層構造を有するガラスサンプルを作製した。
(実施例3)
保護層上に光触媒前駆体コーティング剤を乾燥後の厚みが100nmとなるようにマイヤーバーで塗布し、120℃で2分間乾燥させた以外は、実施例2と同様にして、図1(a)に示される積層構造を有するガラスサンプルを作製した。
(実施例4)
第1保護層としてのポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、HB3、紫外線吸収剤含有PETフィルム、厚み50μm)に、上記の光吸収層用コーティング剤Bを乾燥後の厚みが3μmとなるように、マイヤーバーで塗布し、120℃で2分乾燥させた。これにより、第1保護層上に光吸収層を形成した。光吸収層とは反対側の第1保護層の面に、保護層用コーティング剤を乾燥後の厚みが10μmとなるように、マイヤーバーで塗布した。それを120℃で2分間乾燥させた後、60℃で3日間加熱養生することにより、アクリルポリオール樹脂とイソシアネート系硬化剤とを熱架橋させた。これにより、第1保護層と第2保護層とからなる保護層を形成した。さらに、第2保護層上に光触媒前駆体コーティング剤を乾燥後の厚みが100nmとなるようにマイヤーバーで塗布し、120℃で2分間乾燥させた。これにより、光吸収層、保護層、及び光触媒層をこの順に備えた積層体を得た。
次いで、光吸収層上に、ノンサポート型粘着テープ(綜研化学株式会社製、SK2057)を貼り合わせた後に、220mm×220mm×3mmtのフロート板ガラスにドライラミネートすることで、図1(c)に示される積層構造を有するガラスサンプルを作製した。
(実施例5)
基材としてのポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、HB3、紫外線吸収剤含有PETフィルム、厚み50μm)に、上記の光吸収層用コーティング剤Cを乾燥後の厚みが3μmとなるようにマイヤーバーで塗布した。それを120℃で2分間乾燥させ、光吸収層を形成した。その後、光吸収層上に、保護層用コーティング剤を乾燥後の厚みが10μmとなるように、マイヤーバーで塗布した。それを120℃で2分間乾燥させた後、60℃で3日間加熱養生することにより、アクリルポリオール樹脂とイソシアネート系硬化剤とを熱架橋させた。これにより、光吸収層上に保護層を形成した。さらに、保護層上に光触媒前駆体コーティング剤を乾燥後の厚みが80nmになるようにマイヤーバーで塗布し、120℃で2分間乾燥させた。これにより、基材に光吸収層、保護層、及び光触媒層をこの順に設けた積層体を得た。
次いで、基材上に、ノンサポート型粘着テープ(綜研化学株式会社製、SK2057)を貼り合わせた後に、220mm×220mm×3mmtのフロート板ガラスにドライラミネートすることで、図1(a)に示される積層構造を有するガラスサンプルを作製した。
(比較例3)
光吸収層を変更するとともに保護層を省略した以外は実施例5と同様に基材に光吸収層及び光触媒層をこの順に設けた積層体を得た。この比較例3では、上記光吸収層用コーティング剤Dを用いて乾燥後の厚みが9μmとなるように光吸収層を形成した。
(実施例6)
基材としてのポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、HB3、紫外線吸収剤含有PETフィルム、厚み50μm)に、ITOからなる膜(厚み25nm)、銀からなる膜(厚み10nm)、及びITOからなる膜(厚み25μm)を順に積層することで、金属膜と金属酸化物膜との積層膜を光吸収層として形成した。ITO薄膜は、ITOターゲットを用いて、アルゴンガスと酸素ガスの混合雰囲気下、圧力0.1Pa未満の条件でスパッタリングすることで形成した。銀からなる膜は、銀ターゲットを用いて、アルゴンガス雰囲気下、圧力0.1Pa未満でスパッタリングすることで形成した。その後、光吸収層上に、保護層用コーティング剤を乾燥後の厚みが10μmとなるように、マイヤーバーで塗布した。それを120℃で2分間乾燥させた後、60℃で3日間加熱養生することにより、アクリルポリオール樹脂とイソシアネート系硬化剤とを熱架橋させた。これにより、光吸収層上に保護層を形成した。さらに、保護層上に光触媒前駆体コーティング剤を乾燥後の厚みが80nmになるようにマイヤーバーで塗布し、120℃で2分間乾燥させた。これにより、基材に光吸収層、保護層、及び光触媒層をこの順に設けた積層体を得た。
次いで、基材上に、ノンサポート型粘着テープ(綜研化学株式会社製、SK2057)を貼り合わせた後に、220mm×220mm×3mmtのフロート板ガラスにドライラミネートすることで、積層構造を有するガラスサンプルを作製した。
(比較例4)
基材としてのポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、HB3、紫外線吸収剤含有PETフィルム、厚み50μm)に、実施例6と同様にして積層膜を光吸収層として形成した。
次いで、基材上に、ノンサポート型粘着テープ(綜研化学株式会社製、SK2057)を貼り合わせた後に、220mm×220mm×3mmtのフロート板ガラスにドライラミネートすることで、積層構造を有するガラスサンプルを作製した。
(実施例7)
基材としてのポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、HB3、紫外線吸収剤含有PETフィルム、厚み50μm)の一方の面に、上記の光吸収層用コーティング剤Cを乾燥後の厚みが1μmとなるようにマイヤーバーで塗布した。それを120℃で2分間乾燥させ、光吸収層を形成した。基材の他方の面には、実施例6と同様にして積層膜を積層した。すなわち、実施例7では、基材の両面に光吸収層を形成した。その後、積層膜上に、保護層用コーティング剤を乾燥後の厚みが9μmとなるように、マイヤーバーで塗布した。それを120℃で2分間乾燥させた後、60℃で3日間加熱養生することにより、アクリルポリオール樹脂とイソシアネート系硬化剤とを熱架橋させた。これにより、光吸収層上に保護層を形成した。さらに、保護層上に光触媒前駆体コーティング剤を乾燥後の厚みが80nmになるようにマイヤーバーで塗布し、120℃で2分間乾燥させた。これにより、基材に光吸収層、保護層、及び光触媒層をこの順に設けた積層体を得た。
次いで、基材上に、ノンサポート型粘着テープ(綜研化学株式会社製、SK2057)を貼り合わせた後に、220mm×220mm×3mmtのフロート板ガラスにドライラミネートすることで、積層構造を有するガラスサンプルを作製した。
(評価方法)
各例のガラスサンプルについて、フロート板ガラスとは反対側の面を光源に向けて配置して、サンシャインウエザーメーター(SWM:スガ試験機株式会社製、サンシャインウエザーメーターS300)を用いた暴露試験を行った。この暴露試験は、光源の光を120分間照射する1サイクル中に18分間の降雨期間を設けて、1500時間継続して行った。表1中の“SWM試験時間”欄に示す各時間の試験後に光学特性、色調(透過法及び反射法)、密着性の評価を次のように行った。
<光学特性>
各例のガラスサンプルについて、ヘイズメーター(日本電色株式会社製、NDH2000)を用いて、JIS K7361−1:1997(ISO 13468−1:1996)に準拠してヘイズ値(Hz)及び全光線透過率(Tt)を測定した。また、各例のガラスサンプルについて、可視光線透過率、紫外線透過率、日射透過率、及び日射吸収率について、JIS A5759:2008に準拠して測定した。
<色調(透過法及び反射法)>
各例のガラスサンプルについて、ヘイズメーター(日本電色株式会社製、NDH2000)を用いて、CIE1976(L,a,b)色空間(CIELAB)、及びJIS Z8729:2004に規定されるL値、a値、及びb値を測定した。なお、この測定は、透過法及び反射法のそれぞれについて行った。次いで、SWM試験時間が0時間すなわち暴露試験前のガラスサンプルと、300〜1500時間の暴露試験を行った後のガラスサンプルとの色差(ΔE)を以下の式(1)に従って算出した。
ΔE=(Δa+Δb+ΔL1/2 ・・・(1)
式(1)中のΔa、Δb及びΔLはそれぞれ、SWM試験時間が0時間のガラスサンプルと、暴露試験を行った後のガラスサンプルとのa値、b値、及びL値の差を示す。
<密着性>
各例のガラスサンプルにおける各層の密着性について、JIS K5600−5−6:1999に準拠したクロスカット法により評価した。具体的には、クロスカット法による剥離面積が5%のものを密着性が良好(○)、剥離面積が5%以上15%未満のものを密着性にやや劣る(△)、剥離面積が15%以上のものを密着性に劣る(×)と判定した。
(評価結果)
実施例1のガラスサンプルの評価結果を表1に示す。
Figure 2013047513
表1に示すように、実施例1のガラスサンプルの光学特性及び色調は、暴露試験によってほとんど変化しない結果となった。また、実施例1のガラスサンプルでは、暴露試験による密着性の低下も確認されなかった。
次に、比較例1のガラスサンプルの評価結果を表2に示す。
Figure 2013047513
表2に示すように、比較例1のガラスサンプルの色調(反射法)では、色差(ΔE)の値が実施例1のガラスサンプルよりも変化し易いことが分かる。比較例1のガラスサンプルを目視により観察したところ、SWM試験時間の経過に伴って青色が濃くなっていた。比較例1の光吸収層12の断面を顕微鏡で観察した結果、暴露試験前の光吸収層12の厚みは約9μmであったが、1500時間の暴露試験後の光吸収層の厚みは約6μmまで薄くなっていた。さらに、1500時間の暴露試験後の光吸収層の外側では、赤外線吸収能を有する導電性微粒子が層状となって凝集していることも確認された。この結果から、保護層を設けない場合、光吸収層12のマトリックス樹脂が劣化することで、凝集した導電性微粒子が光を反射する結果、ガラスサンプルの色調に影響を与えてしまうことが分かる。また、比較例1のガラスサンプルでは、暴露試験後、基材Bと光吸収層12との層間の密着性が低下していた。
次に、実施例2のガラスサンプルの評価結果を表3に示す。
Figure 2013047513
表3に示すように、実施例2のガラスサンプルの光学特性及び色調は、暴露試験によってほとんど変化しない結果となった。また、実施例2のガラスサンプルでは、暴露試験による密着性の低下も確認されなかった。
次に、比較例2のガラスサンプルの評価結果を表4に示す。
Figure 2013047513
表4に示すように、比較例2のガラスサンプルの光学特性では、暴露試験の時間が長くなるのに伴って、ヘイズ値及び日射透過率の大幅な増加、並びに日射吸収率の大幅な減少が確認された。この結果から、赤外線吸収能を有する導電性微粒子が水分により劣化されることで、赤外線吸収能が低下していることが分かる。また、比較例2のガラスサンプルの色調(透過法及び反射法)では、色差(ΔE)の値が実施例2のガラスサンプルよりも暴露試験によって変化し易いことが分かる。
次に、実施例3のガラスサンプルの評価結果を表5に示す。
Figure 2013047513
表5に示すように、実施例3のガラスサンプルの光学特性及び色調は、暴露試験によってほとんど変化しない結果となった。また、実施例3のガラスサンプルでは、暴露試験による密着性の低下も確認されなかった。
次に、実施例4のガラスサンプルの評価結果を表6に示す。
Figure 2013047513
表6に示すように、実施例4のガラスサンプルの光学特性及び色調は、暴露試験によってほとんど変化しない結果となった。また、実施例4のガラスサンプルでは、暴露試験による密着性の低下も確認されなかった。
次に、実施例5のガラスサンプルの評価結果を表7に示す。
Figure 2013047513
表7に示すように、実施例5のガラスサンプルの光学特性及び色調は、暴露試験によってほとんど変化しない結果となった。また、実施例5のガラスサンプルでは、暴露試験による密着性の低下も確認されなかった。
次に、比較例3のガラスサンプルの評価結果を表8に示す。
Figure 2013047513
表8に示すように、比較例3のガラスサンプルの光学特性では、暴露試験の時間が長くなるのに伴ってヘイズ値の増加が確認された。また、比較例3のガラスサンプルでは、暴露試験による密着性の低下が確認された。
次に、実施例6のガラスサンプルの評価結果を表9に示す。
Figure 2013047513
表9に示すように、実施例6のガラスサンプルの光学特性及び色調は、暴露試験によってほとんど変化しない結果となった。また、実施例6のガラスサンプルでは、暴露試験による密着性の低下も確認されなかった。
次に、比較例4のガラスサンプルの評価結果を表10に示す。
Figure 2013047513
表10に示すように、比較例4のガラスサンプルの光学特性では、暴露試験の時間が長くなるのに伴って、ヘイズ値の増加、並びに可視光線透過率の減少が確認された。また、比較例4のガラスサンプルの色調(透過法及び反射法)では、色差(ΔE)の値が実施例6のガラスサンプルよりも暴露試験によって変化し易いことが分かる。
次に、実施例7のガラスサンプルの評価結果を表11に示す。
Figure 2013047513
表11に示すように、実施例7のガラスサンプルの光学特性及び色調は、暴露試験によってほとんど変化しない結果となった。また、実施例7のガラスサンプルでは、暴露試験による密着性の低下も確認されなかった。
B…基材、G…窓ガラス、11…積層体、12…光吸収層、13…保護層、14…光触媒層。

Claims (8)

  1. 室の外側と内側とを仕切る窓ガラスの外側に設けられる積層構造であって、前記積層構造を厚さ3mmのフロート板ガラスに積層させたもののヘイズ値は10%以下であり、
    前記積層構造は、
    赤外線吸収材料を含むことで赤外線を吸収する膜からなる光吸収層と、
    前記光吸収層の外側に配置される保護層とを備え、
    前記保護層は、前記光吸収層への紫外線及び水分の少なくとも一方の到達を抑制する構成であることを特徴とする積層構造。
  2. 前記光吸収層は、マトリックス樹脂に赤外線吸収材料が分散されてなる膜、及び赤外線吸収材料からなる膜の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載の積層構造。
  3. 前記保護層は、マトリックス樹脂と、紫外線吸収成分及び紫外線散乱成分から選ばれる少なくとも一種とを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の積層構造。
  4. 前記光吸収層の外側に配置される光触媒層を最外層としてさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の積層構造。
  5. 室の外側と内側とを仕切る窓ガラスの外側に設けられる積層体であって、前記積層体を厚さ3mmのフロート板ガラスに積層させたもののヘイズ値は10%以下であり、
    前記積層体は、
    基材と、
    赤外線吸収材料を含むことで赤外線を吸収する膜からなる光吸収層と、
    前記光吸収層の外側に配置される保護層とを備え、
    前記保護層は、前記光吸収層への紫外線及び水分の少なくとも一方の到達を抑制する構成であることを特徴とする積層体。
  6. 前記光吸収層は、マトリックス樹脂に赤外線吸収材料が分散されてなる膜、及び赤外線吸収材料からなる膜の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項5に記載の積層体。
  7. 前記保護層は、マトリックス樹脂と、紫外線吸収成分及び紫外線散乱成分から選ばれる少なくとも一種とを含むことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の積層体。
  8. 前記光吸収層の外側に配置される光触媒層を最外層としてさらに備えることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の積層体。
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