JPWO2013042745A1 - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

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Abstract

透明電極1と光反射性電極2との間に発光層3を含む有機層4を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。有機層4に発光層3からの光を散乱させる散乱層5が設けられている。発光層3からの光は、干渉により定在波Aとして形成される。散乱層5の厚みの中間位置Cは、定在波Aの強度が、そのピーク値の80%以上となる位置に配置されている。散乱層5によって定在波の腹の位置で光が散乱されることにより光の強度を高めることができ、光取り出し性が向上する。

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
近年、照明パネルなどの用途に、有機エレクトロルミネセンス素子が開発されている。有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極と陰極の間に電圧を印加することによって、発光層で発した光が透明電極を通して外部に取り出される。一般的に、発光した光は有機層や基板での吸収や界面での全反射などによって光量が減少するため、外部に取り出される光は発光層での発光量よりも少なくなる。そのため、有機エレクトロルミネッセンス素子においては、高輝度化のために光取り出し効率を高めることが課題の一つとなっている。
これまでに、例えば、日本国特許公開公報2006−286616号(以下、文献1)では、発光層の両側に配置された電極の外側に光散乱層を設けることで、光取り出し効率を向上し高輝度化を図る技術が開示されている。光散乱層は、例えば、屈折率が異なる物質を塗布することにより形成されるものである。具体的には、光散乱層として、国際公開公報WO2009/060916A1(以下、文献2)では、複数の散乱物質を具備したガラスからなる散乱層も開示されている。
光散乱層によって光取り出し効率を向上させる場合、光散乱層の散乱性能をより高めるようにすることが重要である。言い換えると、光散乱層の散乱性能を最適化することが重要である。従来においては、散乱性能を高めるためには、光散乱層自体の構成、すなわち材料特性や、表面や内部の形状などに主眼がおかれている。例えば、文献1では、屈折率が異なる物質を塗布して光散乱層を形成し、この光散乱層内の物質界面での光散乱を利用している。また、文献2では、光散乱層内の屈折率分布や表面のうねり構造の最適化によって散乱性能を向上させている。
しかしながら、従来のように電極の外側に光散乱層を設けることでは光取り出し性が十分でない場合があり、さらなる光取り出し性の向上が望まれている。また、電極の外側に光散乱層を設ける場合、製造プロセスが煩雑となったり、光散乱層上に形成された電極の膜質が悪化し、電気的安定性が損なわれたりするおそれがあるという問題もあった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、光取り出し性の優れた有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することを目的とする。
本発明の第1の形態の有機エレクトロルミネッセンス素子は、透明電極と光反射性電極との間に発光層を含む有機層を備える。前記有機層に前記発光層からの光を散乱させる散乱層が設けられ、前記発光層からの光は干渉により定在波として形成され、前記散乱層の厚みの中間位置は、前記定在波の強度が、そのピーク値の80%以上となる位置に配置されている。
本発明の第2の形態の有機エレクトロルミネッセンス素子は、第1の形態において、前記散乱層は、前記発光層と前記光反射性電極との間に設けられていることが好ましい。
本発明の第3の形態の有機エレクトロルミネッセンス素子は、第1の形態において、前記散乱層は、前記発光層と前記透明電極との間に設けられていることが好ましい。
本発明の第4の形態の有機エレクトロルミネッセンス素子は、第1の形態において、前記有機層は、前記中間層を介して積層された複数の前記発光層を備えており、前記散乱層は前記中間層に設けられていることが好ましい。
本発明の第5の形態の有機エレクトロルミネッセンス素子は、第1乃至4のいずれか1つの形態において、前記発光層の光が、前記光反射性電極の位置で定在波の節を形成することが好ましい。
本発明の第6の形態の有機エレクトロルミネッセンス素子は、第1乃至5のいずれか1つの形態において、前記有機層が、1以上の緑色発光層と1以上の散乱層を有し、少なくとも1つの散乱層と前記光反射性電極間の距離が、60nm〜95nmの範囲であることが好ましい。
本発明の第7の形態の有機エレクトロルミネッセンス素子は、第1乃至5のいずれか1つの形態において、前記有機層が、1以上の緑色発光層と1以上の散乱層を有し、少なくとも1つの散乱層と前記光反射性電極間の距離が、190nm〜280nmの範囲であることが好ましい。
本発明によれば、干渉による定在波の腹に相当する位置に散乱層を配置することで、干渉により増強した光の散乱強度を高めることができ、光取り出し性の優れた有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。
有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 光の視感度特性を示す図である。
図1は、有機エレクトロルミネッセンス素子の実施形態の一例である。有機エレクトロルミネッセンス素子は、透明電極1と光反射性電極2との間に発光層3を含む有機層4を備えている。本形態の有機エレクトロルミネッセンス素子では、透明電極1の有機層4とは反対側の面(透明電極1の第2表面)102には、基板7が設けられている。この有機エレクトロルミネセンス素子は、基板7の一表面701に透明電極1が形成され、この透明電極1の一表面(透明電極1の第1表面)101上に有機層4の各層が順次積層され、さらに、この有機層4の最上面401に光反射性電極2が積層されることによって形成される。基板7は、透明な基板であり、発光層3で生じた光は、透明電極1及び基板7を透過して基板7側から外部に取り出される。すなわち、図1で示される有機エレクトロルミネセンス素子は、ボトムエミッション構造として形成されている。なお、図1では図示していないが、この有機エレクトロルミネセンス素子は、光反射性電極2の上方から覆われるように、例えば、乾燥剤及び対向基板のような封止部材を備えている。
基板7は、透明な基板であればよく、適宜の材料により構成することができる。例えば基板7は、ガラス基板又は樹脂基板などであってよい。また、図1における光反射性電極2を光透過性又は半透過性の透明電極1に置換するとともに、図1における透明電極1を光反射性電極2に置換したりすることで、透明電極1が最上層となり、この透明電極1と基板7との間に光反射性電極2を形成したりしてもよい。つまり、基板7の一表面(基板7の第1表面)701上に光反射性電極2が形成され、この光反射性電極2の上に有機層4が形成され、さらにこの有機層4の最上面401の上に透明電極1が形成される。この場合、トップエミッション構造の有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。また、光反射性電極2を透明な電極とすると透明な有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。
透明電極1は、通常、陽極として機能する電極となる。また、光反射性電極2は、通常、陰極として機能する電極となる。そして、有機層4は、一対の電極を構成する透明電極1と光反射性電極2とに挟まれた層となる。
有機層4は、少なくとも発光層3を含むものであるが、通常、発光層3が発光するために、図1で示される形態では、有機層4は、電荷を注入したり移動したりするための層を有している。そのような機能を有する層として、例えば、ホール注入層11、ホール輸送層12、電子輸送層13、及び、電子注入層14が備えられている。
そして、本形態では、発光層3や電荷を注入したり移動したりするための層の他に、有機層4は光散乱機能を有する散乱層5を有している。有機層4が散乱層5を有することにより、光取り出し性が向上する。図1の形態では、散乱層5は発光層3と光反射性電極2との間に設けられている。さらに具体的には、図1の形態における有機層4の層構成は、透明電極1側から順に、ホール注入層11、ホール輸送層12、発光層3、第1の電子輸送層13a、散乱層5、第2の電子輸送層13b、電子注入層14の配置となっている。すなわち、散乱層5は、第1の電子輸送層13aと第2の電子輸送層13bとに挟まれた構造、あるいは電子輸送層13内に設けられた構造となっている。
散乱層5は、発光層3からの光を散乱させる機能を有する層である。散乱層5は、例えば、散乱物質を層内に分散させることにより得ることができる。本形態では、散乱粒子8が層媒体9内に均一に分散されて散乱層5が形成されている。
散乱粒子8としては、散乱性を有する無機物粒子や有機物粒子などを用いることができ、例えば、シリカ粒子(SiO2)、ZnO(酸化スズ)、V25(五酸化二バナジウム)、TiO2(酸化チタン)などを用いることができる。このとき、散乱粒子8として、ナノ粒子(ナノサイズの微粒子)が用いられると、散乱層5での光散乱性が更に高まる。上記されるナノ粒子の粒径は、例えば10〜150nmの範囲にすることができる。粒子の粒径はレーザー回折粒度分布計などによって測定することができる。また、層媒体9は、適宜の有機材料又は無機材料で構成することができ、例えば、ホール輸送層12や電子輸送層13に用いる材料で構成することができる。
散乱粒子8が層媒体9内に分散して配置した散乱層5は、例えば、散乱粒子8からなる層を形成し、その上から層媒体9を構成する材料を積層して散乱粒子8の間隙を層媒体9で満たすように散乱層5を形成することで有機層4に備えることができる。あるいは、層媒体9と散乱粒子8とを混合した材料を積層することで、有機層4に散乱層5を形成してもよい。
本形態においては、発光層3からの光が干渉により定在波となり、散乱層5の厚みにける中間位置C(厚みが半分の位置)が、定在波の強度のピーク値を100%として、このピーク値の80%以上となる位置に設けられる。更に、散乱層5は完全拡散を示すような強い散乱性能を有さなくてもよい。もし、強い散乱性能を有していると干渉光自体を破壊し、定在波Aが形成されない可能性がある。一方、散乱性能が弱すぎると、十分な光取り出し性能が得られない可能性がある。したがって、散乱層5はある程度光の干渉による定在波Aの腹節を維持しつつ散乱性能を有するものであることが好ましい。
一般的に有機エレクトロルミネッセンス素子にあっては、発光層3内において正孔と電子の結合により発光源P0で発生した光は、透明電極1側に向かう光と、光反射性電極2側に向かう光とに大別される。発光層3から直接透明電極1側に向かう光は、透明電極1及び基板7を透過して取り出され、外部に放出される。図1では、この光の進路をP1で示している。また、発光層3から光反射性電極2側に向かう光は、光反射性電極2で反射して透明電極1側に向かう光となり、透明電極1及び基板7を透過して取り出され、外部に放出される。図1では、この光の進路をP2で示している。なお、光の方向は、積層方向に対して平行なもの(基板7の表面と垂直なもの)だけではなく、積層方向に対して角度をもっているものも多く存在するが、ここでは単純化して示している。
ここで、光は波動性を有しており、透明電極1側に直接向かうP1の光と、光反射性電極2で反射するP2の光とによって干渉されて定在波Aが生じる。つまり、有機エレクトルミネッセンス素子は屈折率の異なる多層膜によって形成されており、多層膜での干渉によって定在波Aが生じる。このように干渉によって形成された定在波Aは、光の強度の強弱となって現れる。また、図1では、光の干渉により定在波Aが形成されている様子を示している。この定在波Aは、強度の高い部分が定在波Aの腹A1となり、強度の低い部分が定在波Aの節A2となって描かれている。ここで定在波Aの腹A1は光のエネルギー密度が大きいことを意味し、定在波Aの節A2は光のエネルギー密度が小さいことを意味している。定在波Aは、このように腹節が交互に現れる。そして、この光強度の定在波Aにおける腹A1の頂点となる位置が、強度のピーク値(最大値)となる。この光強度が定在波Aのピーク値となる位置(腹A1の頂点)を中心として、散乱層5の厚み方向の所定範囲が、定在波Aのピーク値の80%以上となる範囲であることが好ましい。
本形態では、上記に説明されるような光強度が、定在波Aのピーク値の80%以上となる範囲内に、すなわち定在波Aにおける腹A1に、散乱層5の厚み方向の中間位置Cが配置される。定在波Aの腹節のどの位置に散乱層5を設けるかで散乱性能は異なるのであるが、定在波Aの腹A1の位置に散乱層5を設けることにより散乱性能がより高くなる。光のエネルギー密度が最も高い定在波Aの腹A1の位置において、光が散乱されることによって、取り出される光がより多くなるのである。
ここで、上記のように散乱層5の配置位置を規定するに当たって、光の定在波Aの波長をλとすると、上記散乱層5の中間位置Cは、1/4λ、3/4λ、1/4λ(2w+1)のいずれかに位置されていることが好ましい(wは正の整数)。具体的には、有機層4の全体的な屈折率が1.70〜1.85となるように形成されている場合を例示すると、定在波Aのピーク値に対して80%以上となるように散乱層5の中間位置Cは、光反射性電極2の下面(光反射性電極2の第1表面)202から所定の間隔Dで離間されている。この場合、上記定在波Aの波長λは、525〜585nmの範囲であることが好ましく、上記所定間隔Dは、60〜95nmの範囲(1/4λ)又は、190〜280nm(3/4λ)とすることが好ましい。この場合、上記波長λを525〜585nmの範囲とすることで、下面(基板7の第2表面)702から取り出される光の視認強度が、555nmの波長での視感強度を100%として、その80%以上となるので好ましい。
従来においては、散乱層5はそれ自体の構成で散乱性能の向上を図っていたが、本形態では、上記のように、散乱層5の構成に加えて散乱層5を配置する位置を設定することにより、さらに有効に散乱性能を向上することができるのである。そして、散乱層5を定在波Aの腹A1の付近(1/4λ又は3/4λ付近)に配置すること、つまり発光層3から発生した光が干渉により定在波Aとなり、この定在波Aの強度のピーク値に対して80%以上となる範囲内に散乱層5を配置することで、より有効に散乱性能を向上できるのである。なお、中間位置Cだけでなく、散乱層5の隣接する層との界面(透明電極1側の界面(散乱層5の第2界面)502又は光反射性電極2側の界面(散乱層5の第1界面)501)、或いは、これら両方の界面501、502が、定在波Aでのピーク値の80%以上となる範囲内になっていてもよい。散乱層5が定在波Aの腹A1に位置するほど散乱性が高くなる。
散乱層5は完全拡散を示すような強い散乱性能を有さなくてもよい。もし、強い散乱性能を有していると干渉光自体を破壊し、定在波Aが形成されない可能性がある。一方、散乱性能が弱すぎると、十分な光取り出し性能が得られない可能性がある。したがって、散乱層5はある程度、光の干渉による定在波Aの腹節を維持しつつ散乱性能を有するものであることが好ましい。このため、散乱層5に用いる粒子として必ずしもミー散乱が発生する光学波長サイズの大きな粒子径のものを用いる必要は無い。それよりも弱い散乱であるレイリー散乱が発生する光学波長サイズ、すなわち150nm以下、あるいは100nm以下の粒径のものを用いることができる。
散乱層5の中間位置Cは、光(定在波A)の強度がピーク値となる位置(定在波Aの腹A1の頂点)から光強度が最小値となる位置(定在波Aの節A2の最下点)までの厚み方向の距離を100%としたときに、光強度がピーク値となる位置から厚み方向で10%以内の距離の範囲であることが好ましい。つまり、定在波Aの波長をλとして、散乱層5の中間位置Cは、光反射性電極2の下面202から1/4λ又は3/4λの位置とすることが好ましい。具体的には、有機層4の全体的な屈折率が1.70〜1.85となるように形成されている場合を例示すると、上記中間位置Cは、定在波Aの波長λを525〜585nmの範囲として、光反射性電極2の下面202から60〜95nmの範囲又は、190〜280nmの範囲で離間されていることが好ましい。この場合、図6で示すように、上記波長λを525〜585nmの範囲とすることで、基板7の下面702から取り出される光の視認強度が、555nmの波長での視感強度を100%として、その80%以上となるので好ましい。ここで、光(定在波A)の強度がピーク値となる位置から離れるほど光強度は小さくなるが、光強度がピーク値となる位置からの距離がこの範囲にある場合、定在波Aの強度が、そのピーク値の80%以上となることがより可能となる。この場合、定在波Aの節A2が光反射性電極2の下面202で形成される、少なくとも透明電極1の上面101で定在波Aの節A2が形成されていないようになっていることが好ましい。これにより基板7の下面702から取り出される光の強度が低減されることを抑えることができる。
また、定在波Aは、光反射性電極2の表面202で節A2となる定在波Aとして形成され、定在波Aの腹A1に上記のように散乱層5の中間位置Cを配置することで、光の散乱強度を高めることができ、光取り出し性を向上させることができる。つまり、定在波Aの強度は、その振幅の2乗に比例するため、散乱層5が定在波Aの腹(強度のピーク値に対して80%以上となる範囲)に位置することで、有効に光を散乱することができる。一方、反射性電極の位置が定在波Aの節A2となることで、定在波Aが安定して存在させることが可能となる。
本形態においては、散乱層5は有機層4内に設けられている。従来、電極と基板の間に散乱層5を設けることが知られているが、その場合、散乱層5を製膜するプロセスが付加され、また散乱層5の材料費が必要となりコスト高となる課題があった。また、基板7の有機層4側の表面に散乱層5を設ける場合においては、散乱層5は透明電極1の外側にこの透明電極1と接して設けられることとなり、散乱層5の表面にうねりがあると、透明電極1の表面にうねりが残ることになる。このように電極表面にうねりがあると、対向する電極間でショートが発生しやすくなり、歩留まりが低下するという課題が生じやすくなる。また、製造プロセスにおいて散乱層5が大気や水分に暴露され、水分を吸収し、この残留水分が電極を透過して有機層4がダメージを受け、発光効率が低下したり、寿命が低下したりする課題もある。
しかしながら、本形態においては、散乱層5は、有機層4内の層であり、電極間(光反射性電極2と透明電極1との間)に存在している。このような散乱層5は、有機エレクトロルミネセンス素子を構成する有機層4の一部を散乱層5に置き換えて構成することが可能である。したがって、有機層4の外部に新たに散乱層5を形成しなくてもよく、また、有機層4を構成する材料を用いて散乱層5を形成することも可能であり、コストの低減を図ることができる。また、基板7の透明電極1側の表面101には散乱層5を設けなくてよいので、基板表面の散乱層のうねりに起因する電極間のショートを発生しないようにすることができる。また、製造プロセスにおいて基板表面の散乱層5が水分を吸収することがなくなるので、効率や寿命の低下を抑制することができる。このように本形態の有機エレクトルミネッセンス素子は、光取り出し性のみならず、コストや製造プロセスにおいても利点があり、また、信頼性・安定性においても利点があるのである。
散乱層5は、電極間(光反射性電極2と透明電極1との間)に存在する有機層4内の層であり、本形態では発光層3よりも光反射性電極2側に設けられているが、発光層3からみて光反射性電極2側と透明電極1側のどちら側に配置してもよい。すなわち、散乱層5は、発光層3と光反射性電極2との間に設けられていてもよく、あるいは、発光層3と透明電極1との間に設けられていてもよい。要するに、散乱層5は定在波Aの腹A1に相当する位置に存在すればよいのである。
散乱層5の厚みは、発光層3における光の発光波長よりも小さいことが好ましい。その場合、散乱は完全拡散ではなく弱い散乱となることが可能なため、光の干渉による定在波Aの腹節がある程度保存された状態で散乱機能を発現することができる。散乱層5は複数設けられていてもよい。なお、発光層3が複数ある場合は、その各発光層3に対応して散乱層5が複数あってもよい。また、散乱層5の厚みは、発光波長が小さくなるほど、その膜厚を小さくすることが好ましい。これは発光波長が小さいほどより小さな膜厚で同等の散乱性能が得られるためである。また、レイリー散乱の強度は粒子数に比例し、粒子径の6乗に比例し、波長の4乗に反比例することが知られている。そのため、レイリー散乱を利用する目的で複数の散乱層5を形成する場合は、各発光層の発光波長をもとに、散乱粒子数、散乱粒子径、及び波長を考慮して散乱層5の構成(膜厚と粒子径)を設計すればよい。ここで、散乱層5の膜厚が増加すればするほど、干渉による定在波Aの腹A1の強度が、そのピーク値の80%以上となる位置に散乱層5を配置させやすくなり、散乱性能を確保しやすくなる。しかしながら、散乱層5が無機材料を含有する場合などにおいては、電圧上昇の要因となりやすく、結果的に電力効率が向上する効果が得られないおそれがある。したがって、散乱層5の厚みは厚すぎてもよくない。よって、発光波長よりも小さい厚みが好ましいのである。
散乱層5の厚みは、具体的には、20nm以上300nm以下であることが好ましい。散乱層5の厚みがこの範囲である場合、拡散効果が強くなりすぎないようにしながら、有効に散乱効果を得ることがさらにできる。また、散乱層5の厚みが30nm以上であることも好ましい。散乱層5の厚みが30nm以上であると、後述するように、複数の発光層3を有する場合に、より多くの光の散乱強度を高めることが可能となる。
図1の形態では、散乱層5は、発光層3と光反射性電極2との間に設けられている。具体的には、2つの電子輸送層13、13の中間に散乱層5が挿入された形となって、散乱層5は、透明電極1側の電子輸送層13(第1の電子輸送層13a)と、光反射性電極2側の電子輸送層13(第2の電子輸送層13b)との間に配置している。このように電子輸送層13の間に散乱層5が配置されることが好ましい一つの形態である。このとき、二つの電子輸送層13で挟まれた散乱層5において屈折率差が発生して、散乱機能を発現する構造となることが可能である。そして、第1の電子輸送層13a及び第2の電子輸送層13bが同じ材料で構成されると、製造プロセスが簡略化されるものである。また、散乱層5の層媒体9が二つの電子輸送層13a、13bの一方又は両方と同じ材料で構成されると、製造プロセスがさらに簡略化されるものである。
図1の形態のように、散乱層5を発光層3と光反射性電極2との間に設けるようにすると、散乱性能が高まるので好ましい。光の反射は光反射性電極2側において生じるものであり、発光層3と光反射性電極2の間において、干渉により形成された定在波Aが透明電極1側より強くなることによって、散乱性能がより有効に作用する。
上記のような有機エレクトルミネッセンス素子における各層は、適宜の材料により構成することができる。
透明電極1は、導電性のある透明な層であればよく、特に限定されるものではないが、金属、金属酸化物などによって構成することができる。透明電極1の材料としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)などを用いることができる。
また、ホール注入層11は、PEDOT/PSS、CuPc(Copper(II) phtalocyanine)、MoO3(Molybdenum(VI)Oxide)などを用いることができる。ここで、PEDOT/PSSは、PEDOT(3,4−エチレンジオキシチオフェンのポリマー)とPSS(スチレンスルホン酸のポリマー)を共存させたポリマーコンプレックスである。
また、ホール輸送層12は、α−NPD、スターバーストポリアミン類(m−MTDATA)などを用いることができる。
また、電子輸送層13は、Alq3、triazole誘導体(TAZ)などを用いることができる。
また、電子注入層14はLi、Liqなどを用いることができる。図1では、電子注入層14は有機層4の一部として記載している。
発光層3は、適宜のエレクトロルミネッセンス材料により構成される。赤色の発光材料(波長605〜630nm)、緑色の発光材料(波長540〜560nm)、及び、青色の発光材料(波長440〜460nm)のいずれを用いてもよいし、複数の発光材料を用いてもよい。例えば、図1の形態では、発光層3を緑発光層、赤発光層及び青発光層のいずれかにすることができる。また、発光層3における発光は、蛍光であっても燐光であってもよい。
発光材料としては、Perylene(青)、Quinacridone(緑)、Ir(PPy)3(緑)、DCM(赤)などを挙げることができる。
また、有機エレクトロルミネッセンス素子は、複数の発光層3を備えるものであってもよい。複数の発光層3を備える場合、色の調整がより容易となり、例えば、赤/緑/青の発色によって白色発光の有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。
光反射性電極2は、導電性があり光反射性を有する層であればよく、特に限定されるものではないが、金属などによって構成することができる。光反射性電極2の材料としては、例えば、アルミ、Mg、Agなどを用いることができる。
図2は、発光層3と透明電極1との間に散乱層5が設けられた有機エレクトルミネッセンス素子の一例を示している。このように、散乱層5は、発光層3と透明電極1との間に設けられていてもよい。本形態において、各層の材料等は図1の形態と同様にすることができる。
本形態の有機エレクトロルミネッセンス素子では、ホール輸送層12の中間に散乱層5が挿入された形となって、散乱層5は、透明電極1側のホール輸送層12(第1のホール輸送層12a)と、光反射性電極2側のホール輸送層12(第2の電子輸送層12b)との間に配置している。このようにホール輸送層13の間に散乱層5が配置されることが好ましい一つの形態である。散乱層5は、図1の形態と同様に形成することができ、例えば、散乱粒子8を層媒体9内に均一に分散して形成することができるものである。そして、第1のホール輸送層12a及び第2のホール輸送層12bが同じ材料で構成されると、製造プロセスが簡略化されるものである。また、散乱層5の層媒体9が二つのホール輸送層12a、12bの一方又は両方と同じ材料で構成されると、製造プロセスがさらに簡略化されるものである。
そして、図2の形態にあっても、散乱層5は完全拡散を示すような強い散乱性能を有さなくてもよい。もし、強い散乱性能を有していると干渉光自体を破壊し、定在波Aが形成されない可能性がある。一方、散乱性能が弱すぎると、十分な光取り出し性能が得られない可能性がある。したがって、散乱層5はある程度、定在波Aの腹節を維持しつつ散乱性能を有するものであることが好ましい。このため、散乱層5に用いる粒子として必ずしもミー散乱が発生する光学波長サイズの大きな粒子径のものを用いる必要は無い。それよりも弱い散乱であるレイリー散乱が発生する光学波長サイズ、すなわち150nm以下、あるいは100nm以下の粒径のものを用いることができる。更に、散乱層5の厚みの中間位置Cは、干渉による定在波Aの強度が、そのピーク値の80%以上となる範囲内となるように設けられる。つまり、定在波Aの波長をλとして、散乱層5の中間位置Cは、光反射性電極2の下面(光反射性電極2の第1表面)202から1/4λ又は3/4λの位置、具体的には、中間層4の全体的な屈折率が1.70〜1.85となるように形成されている場合を例示すると、上記中間位置Cは、定在波Aの波長λを525〜585nmの範囲として、光反射性電極2の下面202から60〜95nmの範囲又は、190〜280nmの範囲で離間されていることが好ましい。この場合、図6で示すように、上記波長λを525〜585nmの範囲とすることで、下面702から取り出される光の視認強度が、555nmの波長での視認強度を100%として、その80%以上となるので好ましい。各層の具体的な設計も図1の形態と同様にすることができる。そして本形態においても、定在波Aの腹A1に相当する位置に散乱層5を配置するために、増強した光の散乱強度を高めることができ、光取り出し性を向上させることができるのである。更に、定在波Aの節A2が光反射性電極2の下面202で形成され、少なくとも透明電極1の上面101で定在波Aの節A2が形成されていないようになっていることが好ましい。これにより基板7の下面702から取り出される光の強度が低減されることを抑えることができる。
また、定在波Aは、光反射性電極2の表面202で節A2となる定在波Aとして形成され、定在波Aの腹A1に上記のように散乱層5の中間位置Cを配置することで、光の散乱強度を高めることができ、光取り出し性を向上させることができる。つまり、定在波Aの強度は、その振幅の2乗に比例するため、散乱層5が定在波Aの腹(強度のピーク値に対して80%以上となる範囲)に位置することで、有効に光を散乱することができる。一方、反射性電極の位置が定在波Aの節A2となることで、定在波Aが安定して存在させることが可能となる。
また、図1の形態と同様に、発光層3は、適宜のエレクトロルミネッセンス材料により構成される。赤色の発光材料(波長605〜630nm)、緑色の発光材料(波長540〜560nm)、及び、青色の発光材料(波長440〜460nm)のいずれを用いてもよいし、複数の発光材料を用いてもよい。例えば、図2の形態では、発光層3を緑発光層、赤発光層及び青発光層のいずれかにすることができる。また、発光層3における発光は、蛍光であっても燐光であってもよい。
発光材料としては、Perylene(青)、Quinacridone(緑)、Ir(PPy)3(緑)、DCM(赤)などを挙げることができる。
また、有機エレクトロルミネッセンス素子は、複数の発光層3を備えるものであってもよい。複数の発光層3を備える場合、色の調整がより容易となり、例えば、赤/緑/青の発色によって白色発光の有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。
図2の形態のように、散乱層5を発光層3と透明電極1との間に設けるようにすると、発光層3の紫外線劣化を抑制することができるので好ましい。外光の紫外線が、散乱層5で散乱されて発光層3に直接当たらないようにすることができるからである。
図3は、有機エレクトロルミネッセンス素子の実施形態の他の一例を示している。この有機エレクトロルミネッセンス素子では、有機層4は、中間層6を介して積層された複数の発光層3を備えている。すなわち、複数の発光ユニットが中間層6を介して積層されたマルチユニット型の有機エレクトロルミネッセンス素子となっている。
本形態では、有機層4は4つの発光層3を有しており、そのうち2つの発光層3は透明電極1と中間層6との間の第1の発光ユニットに設けられ、残りの2つの発光層3は中間層6と光反射性電極2との間の第2の発光ユニットに設けられている。
第1の発光ユニットは、電子注入層11、第1のホール輸送層12a、第1の発光層3a、第2の発光層3b及び第1の電子輸送層13aを含んで構成されている。また、第2の発光ユニットは、第2のホール輸送層12b、第3の発光層3c、第4の発光層3d、第2の電子輸送層13b及び電子注入層14を含んで構成されている。そして、中間層6は、第1の発光ユニットを構成する第1の電子輸送層13aと、第2の発光ユニットを構成する第2のホール輸送層12bとの間に設けられている。
4つの発光層3は、例えば、透明電極1側から順に、第1の発光層3aを青色発光とし、第2の発光層3bを緑色発光とし、第3の発光層3cを赤色発光とし、第4の発光層3dを緑色発光とすることができる。このように、発光層3について少なくとも赤、緑、青の発光色を含むようにして、全体として赤/緑/青となった発光層3を形成すると、白色の発光色を得ることがより可能となる。なお、各発光層3における発光は、蛍光であっても燐光であってもよい。
本形態において、散乱層5は完全拡散を示すような強い散乱性能を有さなくてもよい。もし、強い散乱性能を有していると干渉光自体を破壊し、定在波Aが形成されない可能性がある。一方、散乱性能が弱すぎると、十分な光取り出し性能が得られない可能性がある。したがって、散乱層5はある程度、光の干渉による定在波Aの腹節を維持しつつ散乱性能を有するものであることが好ましい。このため、散乱層5に用いる粒子として必ずしもミー散乱が発生する光学波長サイズの大きな粒子径のものを用いる必要は無い。それよりも弱い散乱であるレイリー散乱が発生する光学波長サイズ、すなわち150nm以下、あるいは100nm以下の粒径のものを用いることができる。更に、散乱層5は中間層6に設けられていることが好ましい。散乱層5を中間層6に設けることにより効率よく光取り出し性を高めることができる。ここで、発光層3を複数有する場合、散乱層5は、透明電極1と第1の発光層3a(最も透明電極1側の発光層3)との間、又は、光反射性電極2と第4の発光層3d(最も光反射性電極2側の発光層3)との間に設けてもよい。あるいは、散乱層5は、第2の発光層3bと第3の発光層3cとの間(発光層3、3間)に設けてもよい。しかしながら、中間層6に散乱層5を設けることで光取り出し性をより効率よく向上させることができるものである。
また、本形態では、中間層6は散乱層5と電荷発生層15とを含んで構成されている。このように、中間層6は散乱層5以外の層、例えば電荷発生層15などを適宜含んでもよいし、散乱層5が単独で中間層6としての機能を有してもよい。つまり、中間層6は、マルチユニット型の有機エレクトロルミネッセンス素子において、陽極(透明電極1)側に電子を移動させ、陰極(光反射性電極2)側に正孔を移動させるような機能を有していればよい。散乱層5は、図1の形態と同様に形成することができ、例えば、散乱粒子8を層媒体9内に均一に分散して形成することができるものである。散乱層5が単独で中間層6として用いられる場合、散乱層5と中間層6の機能が兼用でき、材料費が削減され低コスト化の効果がある。また、中間層6が散乱層5以外の層を含む場合であっても、例えば、中間層6を、同一材料の二つの電荷発生層15の間に、電荷発生層15を構成する材料の層媒体9に散乱粒子8が均一に分散された散乱層5を挿入した構成とすれば、簡単に散乱層5を形成することができる。このとき、中間層6に含む散乱粒子に電荷発生の作用を有する酸化物、例えばVn5(nは正の整数)などを用いると、散乱性能と電荷発生の作用を兼ねることができ、有用である。
中間層6の構成としては、図3のように、電荷発生層15と散乱層5とが積層して形成された構成のものにすることができる。このとき、電荷発生層15としては、n型電荷輸送層とp型電荷輸送層とを積層した構成にすることが好ましい。これにより中間層6における電荷の発生・輸送機能が良好になる。このような中間層6は、電荷発生層15の上に散乱粒子の層を形成することにより得られる。n型電荷輸送層の材料としては、金属ドープ層が好適であり、例えば、Cs-doped2,9-dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-phenanthrolineなどを用いることができる。また、p型電荷輸送層の材料としては、金属酸化物が好適であり、例えば、V25、WO3、MoO3などを用いることができる。また、金属酸化物の粒子を用いれば、散乱粒子の機能を兼ね備えることもでき、その場合、p型電荷輸送層は散乱層5の一部として機能させたり、散乱層5の散乱を補助する層として機能させたりすることができる。なお、n型電荷輸送層は陽極(透明電極1)側に、p型電荷輸送層は陰極(光反射性電極2)側に形成することが好ましい。
また、中間層6の構成として、電荷発生層15がn型電荷輸送層とp型電荷輸送層とを積層した構成であり、p型電荷輸送層が散乱層5の全部となるものであってもよい。このような中間層6は、散乱作用と電荷発生作用の機能を兼ね備えた材料でp型電荷輸送層を形成することにより可能となる。例えば、散乱粒子として、電荷発生の作用を有する酸化物、具体的にはVn5(nは正の整数)などを用いると、散乱性能と電荷発生の作用を兼ね備えた層を形成することができる。
中間層6を構成するための電荷発生層15の材料、及び、層媒体9の材料としては、限定されるものではないが、例えば、上記のVn5(nは正の整数)などを用いることができる。なお、中間層6の一部や散乱層5を粒子の層で形成した場合、粒子間の間隙に、その上に形成される材料が充填されていてもよい。その場合、粒子間に充填される材料が層媒体9となる。
そして、図3の形態にあっても、散乱層5の厚みの中間位置Cは、干渉により形成された定在波Aの強度が、そのピーク値の80%以上となる範囲内となるように設けられる。具体的な設計は、図1及び図2の形態と同様にすることができる。しかし、本形態においては、上記定在波Aの波長をλとして、中間位置Cが下面(光反射性電極2の第1表面)202から1/2λの位置に設けられている。このことから、本形態では、有機層4内での定在波Aの両端は節A2を形成しにくい構成となっている。また、複数の発光層3のうちの全ての発光層3について、干渉による光(定在波)の強度が、そのピーク値の80%以上となるように各発光層3からの光に対応した複数の散乱層5を設けなくてもよく、少なくとも一つの散乱層5が、上記の関係になるようにすればよい。ただし、できるだけ多くの発光層3がこの関係を満たすことがより好ましく、2以上、3以上、又は全ての発光層3がこの関係を満たすことがさらに好ましい。図3の形態においても、干渉による定在波の腹に相当する位置に散乱層5が配置されるために、増強した光の散乱強度を高めることができ、光取り出し性を向上させることができるのである。
複数の発光層3を有する場合において、緑発光層があるときは、この緑発光層の発光波長における光において、定在波の強度が、そのピーク値の80%以上となる範囲内に、中間位置Cが配置するように散乱層5を設けることが好ましい。緑色発光の波長は青と赤の間に位置するため、緑光を基準にすることによって、青、赤の発光も散乱により光の強度を高めやすくなる。また、緑発光を基準に散乱層5の配置を決めることで、青、赤のいずれか、あるいは両方についても、干渉による定在波Aの強度が、そのピーク値の80%以上となる範囲内に散乱層5を配置することがより可能となる。また、緑色光は他の光に比べて人間の視覚的な光感度に及ぼす影響が大きいため、緑色光が強いと、他の光を強くする場合よりも効果的に光強度を高めることができる。
複数の発光層3を有する場合、光の干渉による定在波の腹節は発光波長ごとに異なる。このとき、赤色光と青色光の定在波の腹の位置は、緑色光に対して±10〜15nm程度の範囲内にあることが多い。すなわち、緑の発光波長は、青、赤の中間であり、青、緑、赤の発光波長における干渉による定在波の腹の位置のずれは30nm程度以内となる。したがって、散乱層5の膜厚の中央の位置を緑発光の定在波の腹とし、散乱層5の膜厚を30nm程度以上にすれば、赤、緑、青の各色の定在波の腹の位置が散乱層5内に配置することがより可能になる。これにより、より多くの光について散乱効果を得ることができ、増強した光の散乱強度をさらに高めて光取り出し性を向上することができるのである。
例えば、図3の形態において、第1の発光層3aが青、第2の発光層3bが緑、第3の発光層3cが赤、第4の発光層3dが緑の場合、次のように設計することができる。まず、より寄与の大きい光反射性電極2側における緑色の第4の発光層3dからの光が干渉によって定在波として形成され、この定在波の強度がピーク値の80%以上となる範囲内に散乱層5を配置する。このとき、第3の発光層3cの光と第4の発光層3dの光との定在波の腹のずれが散乱層5の膜厚よりも小さいと、第3の発光層3cの光についても、その定在波の強度がピーク値の80%以上となる範囲内に散乱層5が配置されやすくなる。あるいは、干渉による定在波の強度が、そのピーク値の80%未満となる位置に中間層5が配置されていても、比較的強度を高める位置(節よりは腹側)に、散乱層5が配置されやすくなる。そしてより好ましくは、次に、緑色発光である第2の発光層3bからの光が干渉によって定在波として形成され、この定在波の強度がピーク値の80%以上となる範囲内に散乱層5が配置されるようにする。その際、二つの緑色発光のいずれについても、干渉による定在波が、そのピーク値の80%以上の強度となる位置に、散乱層5ができるだけ配置されるように、散乱層5を含め各層の膜厚を設計したり、散乱層5の位置を調整したりする。このとき、第1の発光層3aの光と第2の発光層3bの光との定在波の腹のずれが散乱層5の膜厚よりも小さいと、第1の発光層3aの光についても、干渉による定在波の強度が、そのピーク値の80%以上となる範囲内に散乱層5が配置されやすくなる。あるいは、ピーク値の80%未満であっても、比較的強度を高める位置(節よりは腹側)に、散乱層5が配置されやすくなる。こうして、光反射性電極2側の発光層3の緑色光に対する干渉が強くなるとともに、透明電極1側の発光層3の緑色光に対する干渉も強くなるように散乱層5を配置すると、光取り出し性の高い有機エレクトロルミネッセンス素子が得られる。
また、例えば、図3の形態において、第1の発光ユニットが蛍光、第2の発光ユニットが燐光である場合など、蛍光と燐光が混合するときは、蛍光の光を基準にして干渉による定在波の強度が、そのピーク値の80%以上となる範囲内に散乱層5を配置させることも好ましい。蛍光の光について散乱効果を得ることにより、全体の光強度をより有効に高めることができる。この場合も蛍光に緑色があるときは、緑色蛍光を基準に設計することが好ましい。
図3の形態では、発光ユニットの数は2個だが、これに限定されるものではなく、中間層6を介して3個以上の発光ユニットが接続されていてもよい。発光ユニットの数が増えると同じ電流量でもユニット数の倍率をかけた高い発光効率が得られるので好ましい。そのとき、散乱層5は中間層6の位置に設けることが好ましく、中間層6が複数ある場合はその一部、または全てに設けてもよい。複数の中間層6に散乱層5を設けることで複数の発光ユニットにおける定在波の腹の位置と散乱層5の位置とが一致しやすくなり、発光効率を向上する効果がさらに得やすくなる。
また、マルチユニット構造の場合、有機エレクトロルミネセンス素子を構成する有機層4の総膜厚を厚くすることができる。有機層4の総膜層が厚くなると、異物や基板の微細凹凸が起因する対向電極間のショートが防止され、且つリーク電流が起因する欠陥が防止される。従って、有機エレクトロルミネセンス素子を製造する際の歩留まりを向上する効果をより得ることができる。
なお、上記のような複数の発光層3を有する場合における散乱層5の配置設計は、マルチユニット構造に限られるものではない。例えば、図1、図2の形態において、複数の発光層3を有する場合も上記と同様に緑発光を基準にすることにより、より有効に散乱効果を高めることができる。
図4は、有機エレクトロルミネッセンス素子の実施形態の他の一例を示している。この有機エレクトロルミネッセンス素子では、有機層4は、中間層6を介して積層された複数の発光層3を備えている。すなわち、複数の発光ユニットが中間層6を介して積層されたマルチユニット型の有機エレクトロルミネッセンス素子となっている。
本形態では、有機層4は4つの発光層3を有しており、そのうち2つの発光層3は透明電極1と中間層6との間の第1の発光ユニットに設けられ、残りの2つの発光層3は中間層6と光反射性電極2との間の第2の発光ユニットに設けられている。
第1の発光ユニットは、電子注入層11、第1のホール輸送層12a、第1の発光層3a、第2の発光層3b及び第1の電子輸送層13aを含んで構成されている。また、第2の発光ユニットは、第2のホール輸送層12b、第3の発光層3c、第4の発光層3d、第2の電子輸送層13b及び電子注入層14を含んで構成されている。そして、中間層6は、第1の発光ユニットを構成する第1の電子輸送層13aと、第2の発光ユニットを構成する第2のホール輸送層12bとの間に設けられている。
4つの発光層3は、例えば、透明電極1側から順に、第1の発光層3aを青色発光とし、第2の発光層3bを緑色発光とし、第3の発光層3cを赤色発光とし、第4の発光層3dを緑色発光とすることができる。このように、発光層3について少なくとも赤、緑、青の発光色を含むようにして、全体として赤/緑/青となった発光層3を形成すると、白色の発光色を得ることがより可能となる。なお、各発光層3における発光は、蛍光であっても燐光であってもよい。
本形態において、散乱層5は完全拡散を示すような強い散乱性能を有さなくてもよい。もし、強い散乱性能を有していると干渉光自体を破壊し、定在波Aが形成されない可能性がある。一方、散乱性能が弱すぎると、十分な光取り出し性能が得られない可能性がある。したがって、散乱層5はある程度、光の干渉による定在波Aの腹節を維持しつつ散乱性能を有するものであることが好ましい。このため、散乱層5に用いる粒子として必ずしもミー散乱が発生する光学波長サイズの大きな粒子径のものを用いる必要は無い。それよりも弱い散乱であるレイリー散乱が発生する光学波長サイズ、すなわち150nm以下、あるいは100nm以下の粒径のものを用いることができる。更に、散乱層5は中間層6に設けられていることが好ましい。更に定在波の節が光反射性電極2の下面202で形成され、少なくとも透明電極1の上面101で定在波の節が形成されていないようになっていることが好ましい。これにより基板7の下面702から取り出される光の強度が低減されることを抑えることができる。ここで、発光層3を複数有する場合、散乱層5は、透明電極1と第1の発光層3a(最も透明電極1側の発光層3)との間、又は、光反射性電極2と第4の発光層3d(最も光反射性電極2側の発光層3)との間に設けてもよい。あるいは、散乱層5は、第2の発光層3bと第3の発光層3cとの間(発光層3、3間)に設けてもよい。しかしながら、中間層6に散乱層5を設けることで光取り出し性をより効率よく向上させることができるものである。
また、本形態では、中間層6は散乱層5と電荷発生層15とを含んで構成されている。このように、中間層6は散乱層5以外の層、例えば電荷発生層15などを適宜含んでもよいし、散乱層5が単独で中間層6としての機能を有してもよい。つまり、中間層6は、マルチユニット型の有機エレクトロルミネッセンス素子において、陽極(透明電極1)側に電子を移動させ、陰極(光反射性電極2)側に正孔を移動させるように構成されているとよい。散乱層5は、図1の形態と同様に形成することができ、例えば、散乱粒子8を層媒体9内に均一に分散して形成することができるものである。散乱層5が単独で中間層6として用いられる場合、散乱層5と中間層6の機能が兼用でき、材料費が削減され低コスト化の効果がある。また、中間層6が散乱層5以外の層を含む場合であっても、例えば、中間層6を、同一材料の二つの電荷発生層15の間に、電荷発生層15を構成する材料の層媒体9に散乱粒子8が均一に分散された散乱層5を挿入した構成とすれば、簡単に散乱層5を形成することができる。このとき、中間層6に含む散乱粒子に電荷発生の作用を有する酸化物、例えばVn5(バナジウム酸化物類:nは正の整数)などを用いると、散乱性能と電荷発生の作用を兼ねることができ、有用である。
中間層6の構成としては、図4のように、電荷発生層15と散乱層5とが積層して形成された構成のものにすることができる。このとき、電荷発生層15としては、n型電荷輸送層とp型電荷輸送層とを積層した構成にすることが好ましい。これにより中間層6における電荷の発生・輸送機能が良好になる。このような中間層6は、電荷発生層15の上面151に散乱粒子の層5を形成することにより得られる。n型電荷輸送層の材料としては、金属ドープ層が好適であり、例えば、Cs-doped2,9-dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-phenanthrolineなどを用いることができる。また、p型電荷輸送層の材料としては、金属酸化物が好適であり、例えば、V25、WO3、MoO3などを用いることができる。また、金属酸化物の粒子を用いれば、散乱粒子の機能を兼ね備えることもでき、その場合、p型電荷輸送層は散乱層5の一部として機能させたり、散乱層5の散乱を補助する層として機能させたりすることができる。なお、n型電荷輸送層は陽極(透明電極1)側に、p型電荷輸送層は陰極(光反射性電極2)側に形成することが好ましい。
また、中間層6の構成として、電荷発生層15がn型電荷輸送層とp型電荷輸送層とを積層した構成であり、p型電荷輸送層が散乱層5の全部となるものであってもよい。このような中間層6は、散乱作用と電荷発生作用の機能を兼ね備えた材料でp型電荷輸送層を形成することにより可能となる。例えば、散乱粒子として、電荷発生の作用を有する酸化物、具体的にはVn5(nは正の整数)などを用いると、散乱性能と電荷発生の作用を兼ね備えた層を形成することができる。
中間層6を構成するための電荷発生層15の材料、及び、層媒体9の材料としては、限定されるものではないが、例えば、上記のVn5(nは正の整数)などを用いることができる。なお、中間層6の一部や散乱層5を粒子の層で形成した場合、粒子間の間隙に、その上に形成される材料が充填されていてもよい。その場合、粒子間に充填される材料が層媒体9となる。
そして、図4の形態にあっても、散乱層5の厚みの中間位置Cは、干渉により形成された定在波Aの強度が、そのピーク値の80%以上となる範囲内となるように設けられる。具体的な設計は、図1及び図2の形態と同様にすることができる。つまり、定在波の波長をλとして、散乱層5の中間位置Cは、光反射性電極2の下面(光反射性電極2の第1表面)202から1/4λ又は3/4λの位置とすることが好ましい。具体的には、有機層4の全体的な屈折率が1.70〜1.85となるように形成されている場合を例示すると、上記中間位置Cは、定在波Aの波長λを525〜585nmの範囲として、光反射性電極2の下面202から60〜95nmの範囲又は、190〜280nmの範囲で離間されていることが好ましい。この場合、図6で示すように、上記波長λを525〜585nmの範囲とすることで、下面702から取り出される光の視認強度が、555nmの波長での視感強度を100%として、その80%以上となるので好ましい。さらに、複数の発光層3のうちの全ての発光層3について、干渉による光(定在波)の強度が、そのピーク値の80%以上となるように各発光層3からの光に対応した複数の散乱層5を設けなくてもよく、少なくとも一つの散乱層5が、上記の範囲内になるようにすればよい。ただし、できるだけ多くの発光層3が上記範囲に配置されていることが好ましく、2以上、3以上、又は全ての発光層3がこの関係を満たすことがさらに好ましい。これにより、図4の形態においても、定在波の腹に相当する位置に散乱層5が配置されるために、増強した光の散乱強度を高めることができ、光取り出し性を向上させることができるのである。
複数の発光層3を有する場合において、有機層4は、少なくとも緑発光層を備えていることが好ましい。この緑発光層の発光波長における光において、干渉による定在波の強度が、そのピーク値の80%以上となる範囲内に、中間位置Cが配置するように散乱層5を設けることが好ましい。つまり、定在波の波長をλとして、散乱層5の中間位置Cは、光反射性電極2の下面202から1/4λ又は3/4λの位置とすることが好ましい。具体的には、有機層4の全体的な屈折率が1.70〜1.85となるように形成されている場合を例示すると、上記中間位置Cは、定在波Aの波長λを525〜585nmの範囲として、光反射性電極2の下面202から60〜95nmの範囲又は、190〜280nmの範囲で離間されていることが好ましい。この場合、上記波長λを525〜585nmの範囲とすることで、下面702から取り出される光の視認強度が、555nmの波長での視感強度を100%として、その80%以上となるので好ましい。上記緑発光層からの緑色発光の波長は青と赤の間に位置するため、緑色光を基準にすることによって、青、赤の発光も散乱により光の強度を高めやすくなる。つまり、上記のように緑発光層からの緑発光が、散乱層5を介して有機層4内で干渉されることにより定在波Aとして形成される様態及び、この定在波Aの節A2が光反射性電極2の下面202で形成され、少なくとも透明電極1の上面101で定在波Aの節A2が形成されていないようになっている様態を基準にするよい。これにより、上記される散乱層5の配置が容易に決めることが可能になる。
また、定在波Aは、光反射性電極2の表面202で節A2となる定在波Aとして形成され、定在波Aの腹A1に上記のように散乱層5の中間位置Cを配置することで、光の散乱強度を高めることができ、光取り出し性を向上させることができる。つまり、定在波Aの強度は、その振幅の2乗に比例するため、散乱層5が定在波Aの腹(強度のピーク値に対して80%以上となる範囲)に位置することで、有効に光を散乱することができる。一方、反射性電極の位置が定在波Aの節A2となることで、定在波Aが安定して存在させることが可能となる。
このように青色光、赤色光のいずれか、あるいは両方も加えて用いる場合でも、上記のように緑色光を基準にして定められた範囲内に散乱層5を配置することが可能である。また、緑色光は他の光に比べて人間の視覚的な光感度に及ぼす影響が大きいため、緑色光が強いと、他の光を強くする場合よりも効果的に光強度を高めることができる。
更に、複数の発光層3を有する場合、発色光ごとに波長が異なる。このとき、散乱層5を介して干渉された赤色光と青色光の定在波Aの腹A1の位置は、緑色光に対して±10〜15nm程度の範囲内にあることが多い。すなわち、青、緑、赤の各発色光は、干渉により個々の定在波Aとして形成される。しかし、緑の発光波長は、青、赤の中間であるので、それぞれの定在波Aの腹A1の位置のずれは30nm程度以内となる。したがって、散乱層5の中心位置Cを緑発光の定在波Aの腹A1とし、散乱層5の膜厚を30nm程度以上にすれば、赤、緑、青の各色の定在波Aの腹A1の位置が散乱層5内に配置することがより可能になる。これにより、より多くの光について散乱効果を得ることができ、散乱層5で増強した光の散乱強度をさらに高めて光取り出し性を向上することができるのである。
例えば、図4の形態において、第1の発光層3aが青、第2の発光層3bが緑、第3の発光層3cが赤、第4の発光層3dが緑の場合、次のように設計することができる。まず、より寄与の大きい光反射性電極2側における緑色の第4の発光層3dからの光が干渉によって定在波として形成され、この定在波の強度がピーク値の80%以上となる範囲内に散乱層5を配置する。つまり、緑色光での定在波Aの波長をλとして、散乱層5の中間位置Cは、光反射性電極2の下面202から1/4λ又は3/4λの位置、具体的には、有機層4の全体的な屈折率が1.70〜1.85となるように形成されている場合を例示すると、上記中間位置Cは、上記定在波Aの波長λを525〜585nmの範囲として、光反射性電極2の下面202から60〜95nmの範囲又は、190〜280nmの範囲で離間するように配置するとよい。この場合、上記波長λを525〜585nmの範囲とすることで、下面702から取り出される光の視認強度が、555nmの波長での視感強度を100%として、その80%以上となるので好ましい。更に、第3の発光層3cの光と第4の発光層3dからの光の各定在波の腹のずれが散乱層5の膜厚よりも小さいと、第3の発光層3cの光についても、その定在波の強度がピーク値の80%以上となる範囲内に散乱層5が配置されやすくなる。あるいは、干渉による定在波の強度が、そのピーク値の80%となる場合であっても、比較的定在波の強度が高められる位置(節よりは腹側)に、散乱層5が配置されやすくなる。そしてより好ましくは、緑色発光である第2の発光層3bからの光が干渉によって定在波として形成され、この定在波の強度がピーク値の80%以上となるように散乱層5が上記のように例示される範囲内に配置されるようにすることが好ましい。その際、二つの緑色発光の定在波のいずれもが、各発光層3b、3dからのそれぞれの光が干渉によって定在波として形成され、この定在波の強度がピーク値の80%以上の強度となる位置で、散乱層5ができるだけ配置されるように、散乱層5の膜厚以外に有機層4が有する各層の膜厚が設計されたり、散乱層5の位置が調整される。このとき、第1の発光層3aの光と第2の発光層3bとの光の定在波の腹のずれが散乱層5の膜厚よりも小さいと、干渉による定在波が、そのピーク値の80%以上となる範囲に散乱層5が収まりやすくなる。あるいは、ピーク値の80%未満であっても、比較的定在波の強度を高める位置(節よりは腹側)に、散乱層5が配置されやすくなる。このことから、光反射性電極2側の発光層3の緑色光の干渉により定在波の強度が強くなるとともに、透明電極1側の発光層3の緑色光からなる定在波の強度が強くなるように散乱層5を配置すると、光取り出し性の高い有機エレクトロルミネッセンス素子が得られる。
また、例えば、図4の形態において、第1の発光ユニットが蛍光、第2の発光ユニットが燐光である場合など、蛍光と燐光が混合するときは、蛍光の光を基準にして干渉による定在波の強度が、そのピーク値の80%以上となる範囲内に散乱層5を配置させることも好ましい。蛍光の光について散乱効果を得ることにより、全体の光強度をより有効に高めることができる。この場合も蛍光に緑色があるときは、緑色蛍光を基準に設計することが好ましい。
図4の形態では、発光ユニットの数は2個だが、これに限定されるものではなく、中間層6を介して3個以上の発光ユニットが接続されていてもよい。発光ユニットの数が増えると同じ電流量でも発光ユニット数の倍率をかけた高い発光効率が得られるので好ましい。そのとき、散乱層5は中間層6の位置に設けることが好ましく、中間層6が複数ある場合はその一部、または全てに設けてもよい。複数の中間層6に散乱層5を設けることで各複数の発光ユニットからの光が干渉によりそれぞれ定在波として形成される。この場合、各定在波の波長をλX(Xは正の整数)として、1/4λX、3/4λX、1/4λX(2Y+1)(Yは正の整数)のいずれかの位置で散乱層5を配置する。つまり各発光ユニットからの光に対応して散乱層5を設けることにより、上記のように各定在波の腹の位置と散乱層5の位置とが一致することとなる。このことから上記有機エレクトロルミネッセンス素子は全体的に発光効率を更に向上されやすくなる。
また、マルチユニット構造の場合、有機エレクトロルミネセンス素子を構成する有機層4の総膜厚を厚くすることができる。有機層4の総膜層が厚くなると、異物や基板7の微細凹凸が起因する対向電極間のショートが防止され、且つリーク電流が起因する欠陥が防止されるので、有機エレクトロルミネセンス素子を製造する際の歩留まりが更に向上され得る。
なお、上記のような複数の発光層3を有する場合における散乱層5の配置設計は、マルチユニット構造に限られるものではない。例えば、図1、図2の形態において、複数の発光層3を有する場合も上記と同様に緑発光を基準にすることにより、より有効に散乱効果を高めることができる。
有機エレクトロルミネッセンス素子は、上記のような散乱効果を損ねない範囲で適宜に設計を変更することが可能である。例えば、図5では、マルチユニット型の有機エレクトロルミネッセンス素子において、基板7の透明電極1とは反対側(外部側:基板7の第2表面702)に光取り出し層10を設けた例を示している。この場合、散乱層5は完全拡散を示すような強い散乱性能を有さなくてもよい。もし、強い散乱性能を有していると干渉光自体を破壊し、定在波Aが形成されない可能性がある。一方、散乱性能が弱すぎると、十分な光取り出し性能が得られない可能性がある。したがって、散乱層5はある程度、光の干渉による定在波Aの腹節を維持しつつ散乱性能を有するものであることが好ましい。このため、散乱層5に用いる粒子として必ずしもミー散乱が発生する光学波長サイズの大きな粒子径のものを用いる必要は無い。それよりも弱い散乱であるレイリー散乱が発生する光学波長サイズ、すなわち150nm以下、あるいは100nm以下の粒径のものを用いることができる。更に、散乱層5は、定在波の波長の1/4の位置に配置されているので、定在波Aの節A2は、光反射性電極2の下面(光反射性電極2の第1表面)202に形成されている。
また、定在波Aは、光反射性電極2の表面202で節A2となる定在波Aとして形成され、定在波Aの腹A1に上記のように散乱層5の中間位置Cを配置することで、光の散乱強度を高めることができ、光取り出し性を向上させることができる。つまり、定在波Aの強度は、その振幅の2乗に比例するため、散乱層5が定在波Aの腹(強度のピーク値に対して80%以上となる範囲)に位置することで、有効に光を散乱することができる。一方、反射性電極の位置が定在波Aの節A2となることで、定在波Aが安定して存在させることが可能となる。光取り出し層10の表面1002に凹凸が形成された光取り出しフィルムを用い、凹凸面1002Aを外部側にして基板7の下面702に積層することにより形成できる。このように光取り出し層10を設けることにより、基板7の導波光Gを外部に取り出すことができ、散乱層5で強度が増した光をさらに外部に取り出しやすくなる。なお、図5の形態では、散乱層5は、光反射性電極2と第4の発光層3dとの間における、第2の電子輸送層13bと第3の電子輸送層13cとの間に設けられているが、もちろん散乱層5は、中間層6に設けられていてもよい。
以上のように構成される有機エレクトロルミネッセンス素子は、種々の用途に使用可能であり、例えば、照明パネルなどの発光装置において特に有用なものとなる。
(実施例1)
陽極(透明電極1)としてITOを製膜したガラス基板(基板7)上に、PEDOT/PSSによりホール注入層11を塗布と乾燥で形成した。次に、その上に、α−NPDによりホール輸送層12を蒸着法により形成した。次に、赤色りん光ドーパント材であるBis(1-phenylisoquinoline)-(acetylacetonate)iridium (III) (ADS069RE、American Dye source社製)と、ホスト材料の(4,4'-N,N'-dicarbazole)biphenyl (CBP)とを、ドープ濃度10%で混合して蒸着し、赤色の発光層3(波長620nm)を形成した。次に、Alq3により第1の電子輸送層13aを蒸着で形成した。
次に、SiO2のナノ粒子(シグマアルドリッチ社製:直径5〜15nm)を第1の電子輸送層13a上に均一に分散させて厚み60nmでナノ粒子の層を形成した。続いて、このSiO2のナノ粒子層上に、第2の電子輸送層13bの材料であるAlq3を蒸着することで、Alq3がSiO2粒子の間隙に入り込んで散乱層5が形成されるとともに、その散乱層5の上に第2の電子輸送層13bが形成された。ここで、散乱層5は、散乱粒子8であるSiO2粒子と層媒体9であるAlq3とにより構成された層であり、第2の電子輸送層13bはAlq3により構成された層である。このとき、散乱層5は、二つの電子輸送層13に挟まれて配置されており、この散乱層5において屈折率差が発生して散乱機能が発現される。
そして、第2の電子輸送層13bの上に、Liにより電子注入層14、及び、アルミニウムにより光反射性電極2(金属陰極)を蒸着で形成した。
以上により、図1に示す構成の有機エレクトロルミネッセンス素子が得られた。
実施例1では、散乱層5の厚みは60nmであり、赤の発光波長620nmよりも小さい。このため、散乱は完全拡散ではなく弱い散乱となるため、干渉による定在波Aの腹節がある程度保存された状態で散乱機能が発現するものと考えられる。また、実施例1における構成での上記定在波Aの腹節の位置と散乱層5の位置は、図1に示すものと同様になる。実施例1の構成では、干渉による定在波Aの腹A1のピークは、金属陰極(光反射性電極2)からの距離が90nmの位置に存在する。このため、散乱層5は、膜厚の中間位置Cが金属陰極から90nmの位置(ピーク値の位置)となるように配置している。
(比較例1)
実施例1と同様にして、ITOを表面に有するガラス基板上に、ホール注入層(PEDOT/PSS)を塗布で形成したのち、ホール輸送層(α−NPD)、赤色の発光層(波長620nm)を形成した。次に、赤色の発光層の上に、電子輸送層(Alq3)を蒸着で形成した。このとき、電子輸送層(Alq3)の厚みは、実施例1における第1の電子輸送層13aと散乱層5と第2の電子輸送層13bとの合計厚みと同じ厚みにした。つまり、散乱層5を備えることなく、電子輸送層を形成した。それ以外は、実施例1と同様の方法にて、有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。
(評価1)
実施例1及び比較例1の有機エレクトロルミネッセンス素子について、分光放射輝度計(CS−2000)を用いて正面輝度を測定した。その結果、有機層の総膜厚が同じで散乱層がない比較例1の正面輝度が500cd/m2のときの電流密度の場合に、実施例1の正面輝度は580cd/m2であり、約1.2倍の高輝度化の効果が得られた。また、積分球で全光束を測定したところ、実施例1は比較例1に比べて全光束が1.15倍に増加しており、光取り出し効率が向上する効果が得られた。
ところで、実施例1では、光が干渉により形成された定在波Aの強度が最も強い位置(定在波Aの腹A1の頂点に相当する位置)に散乱層5の中間位置Cが配置されている。ここで、実施例1において、第1の電子輸送層13aの透明電極1側の位置と第2の電子輸送層13bの光反射性電極2側の位置を変化させず、散乱層5の厚みをそのままにして、散乱層5の位置を厚み方向でずらした。すると、散乱層5の中間位置Cが、光の干渉によって形成される定在波Aのピーク値の90%となる位置では、光取り出し効率が比較例1に比べて1.15倍となった。また、散乱層5の中間位置Cが、光の干渉によって形成され定在波Aのピーク値の80%未満となる位置では、光取り出し効率が比較例1と同等かそれよりも低くなった。よって、散乱層5の中間位置Cが、光の干渉による定在波Aのピーク値の80%以上となる位置、つまり上記定在波Aの波長の1/4となる位置付近に配置することが好適であることが確認された。
(実施例2)
陽極(透明電極1)としてITOを製膜したガラス基板(基板7)上に、PEDOT/PSSによりホール注入層11を塗布と乾燥で形成した。次に、その上に、α−NPDにより第1のホール輸送層12aを蒸着で形成した。
次に、SiO2のナノ粒子(シグマアルドリッチ社製:直径5〜15nm)を第1のホール輸送層12a上に均一に分散させて厚み60nmでナノ粒子の層を形成した。続いて、このSiO2のナノ粒子層上に、第2のホール輸送層12bの材料であるα−NPDを蒸着することで、α−NPDがSiO2粒子の間隙に入り込んで散乱層5が形成されるとともに、その散乱層5の上に第2の電子輸送層12bが形成された。ここで、散乱層5は、散乱粒子8であるSiO2粒子と層媒体9であるα−NPDとにより構成された層であり、第2のホール輸送層12bはα−NPDにより構成された層である。このとき、散乱層5は、二つのホール輸送層12に挟まれて配置されており、この散乱層5において屈折率差が発生して散乱機能が発現される。
そして、第2のホール輸送層12bの上に、赤色りん光ドーパント材であるADS069RE、(American Dye source社製)と、ホスト材料の(4,4'-N,N'-dicarbazole)biphenyl(CBP)
とを、ドープ濃度10%で混合して蒸着し、赤色の発光層3(波長620nm)を形成した。次に、Alq3により電子輸送層13、Liにより電子注入層14、及び、アルミニウムにより光反射性電極2(金属陰極)を順に蒸着で形成した。
以上により、図2に示す構成の有機エレクトロルミネッセンス素子が得られた。
実施例2では、散乱層5の厚みは60nmであり、赤の発光波長620nmよりも小さい。このため、散乱は完全拡散ではなく弱い散乱となるため、干渉による定在波Aの腹節がある程度保存された状態で散乱機能が発現するものと考えられる。また、実施例2における構成での定在波の腹節の位置と散乱層5の位置は、図2に示すものと同様になる。実施例2の構成では、干渉による定在波Aの腹A1のピークは透明電極1からの距離が90nmの位置に存在する。このため、散乱層5は、膜厚の中間位置Cが透明電極から90nmの位置(ピーク値の位置)となるように配置している。
(比較例2)
実施例2と同様にして、ITOを表面に有するガラス基板上に、ホール注入層(PEDOT/PSS)を塗布で形成したのち、ホール輸送層(α−NPD)を形成した。このとき、ホール輸送層(α−NPD)の厚みは、実施例2における第1のホール輸送層12aと散乱層5と第2のホール輸送層12bとの合計厚みと同じ厚みにした。それ以外は、実施例2と同様の方法にて、有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。
(評価2)
実施例2及び比較例2の有機エレクトロルミネッセンス素子について、分光放射輝度計(CS−2000)を用いて正面輝度を測定した。その結果、有機層の総膜厚が同じで散乱層がない比較例2の正面輝度が500cd/m2のときの電流密度の場合に、実施例2の正面輝度は550cd/m2であり、約1.1倍の高輝度化の効果が得られた。また、積分球で全光束を測定したところ、実施例2は比較例2に比べて全光束が1.1倍に増加しており、光取り出し効率が向上する効果が得られた。
(実施例3)
陽極(透明電極1)としてITOを製膜したガラス基板(基板7)上に、PEDOT/PSSによりホール注入層11を塗布と乾燥で形成した。次に、その上に、α−NPDによりホール輸送層12を、スチリル系ドーパント材料とホスト材料の共蒸着により青色(蛍光)の第1の発光層3a(波長440nm)を、クマリン系ドーパント材料とホスト材料の共蒸着により緑色(蛍光)の第2の発光層3b(波長550nm)を、Alq3により第1の電子輸送層13aを順に蒸着で形成した。これにより第1の発光ユニットが得られた。
次に、電荷発生層15を含む中間層6を積層した。このとき、中間層6の一部を散乱層5とした。中間層6の形成にあたっては、まず、第1の発光ユニット上(第1の電子輸送層13a上)に、n型電荷輸送層とp型電荷輸送層を順に蒸着で積層して電荷発生層15を形成した。次に、その上に、SiO2のナノ粒子(シグマアルドリッチ社製:直径5〜15nm)を均一に分散させて厚み60nmでナノ粒子の層を形成した。なお、n型電荷輸送層の材料としては、金属ドープ層であるCs-doped2,9-dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-phenanthrolineを用いた。また、p型電荷輸送層の材料としては、金属酸化物であるV25を用いた。これらn型電荷輸送層、p型電荷輸送層、及び、SiO2からなる散乱層5で中間層6を形成した。
次に、中間層6の上に、第2の発光ユニットを形成した。第2の発光ユニットの形成にあたっては、まず、α−NPDにより第2のホール輸送層12bを蒸着により形成した。このとき、中間層のSiO2上にα−NPDが蒸着されることで散乱性が発現する。なお、SiO2の粒子間の間隙にはα−NPDが充填された。
次に、赤色りん光ドーパント材であるBis(1-phenylisoquinoline)-(acetylacetonate) iridium(III) (ADS069RE、American Dye source社製)と、ホスト材料の(4,4'-N,N'-dicarbazole)biphenyl (CBP)とを、ドープ濃度10%で混合して蒸着し、赤色(燐光)の第3の発光層3c(波長620nm)を形成した。次に、Bis(2-(9,9-dihexylfluorenyl)-1-pyridine)(acetylacetonate)iridium(III) (ADS078GE 、American Dye Source社製)と、ホスト材料の(4,4'-N,N'-dicarbazole)biphenyl (CBP)とを、ドープ濃度15%で混合して蒸着し、緑色(燐光)の第4の発光層3d(波長548nm)を形成した。次に、Alq3により第2の電子輸送層13bを蒸着で形成した。その後、アルカリ金属であるLiにより電子注入層14、及び、アルミニウムにより光反射性電極2(陰極)を積層して形成した。
以上により、図3に示す構成のマルチユニット型有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。
実施例3では、散乱層5の厚みは60nmであり、各色の光の発光波長よりも小さい。このため、散乱は完全拡散ではなく弱い散乱となるため、定在波の腹節がある程度保存された状態で散乱機能が発現するものと考えられる。また、実施例3における構成では、散乱層5は、その中間位置Cが、第1の発光ユニットにおける青発光(蛍光)と緑発光(蛍光)とにおいて、光の定在波の強度が80%以上の位置になるように配置された。
(実施例4)
散乱層5の中間位置Cが光反射電極2の下面202から250nmの位置で配置されるようにした以外は、実施例3と同様にすることにより、図4で示す構成のマルチユニット型有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。
(比較例3)
実施例3と同様にして、ITOを表面に有するガラス基板上に、第1の発光ユニットを形成した。次に、第1の発光ユニットの上に、電荷発生層を含む中間層を積層した。このとき、中間層には散乱層を設けず、中間層の厚みは、実施例3における中間層6の厚みと同じにした。また、電荷発生層の材料は実施例3と同様の材料を用いた。それ以外は、実施例3と同様の方法にて、有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。
(比較例4)
散乱層5の中間位置Cが光反射電極2の下面202から350nmの位置で配置されるようにした以外は、実施例3と同様にすることにより、図4で示す構成のマルチユニット型有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。
(評価3)
実施例3、4及び比較例3、4の有機エレクトロルミネッセンス素子について、分光放射輝度計(CS−2000)を用いて正面輝度を測定した。その結果、有機層の総膜厚が同じで散乱層がない比較例3の正面輝度は1000cd/m2であり、中間位置Cが光反射電極2の下面202から350nmの位置で配置された比較例4の正面輝度は950cd/m2であった。一方、実施例3の正面輝度は1250cd/m2であり、実施例4の正面輝度は1300cd/m2であった。このことから、実施例3では比較例3よりも約1.25倍の高輝度化の効果が得られ、実施例4では比較例4よりも約1.37倍の高輝度化の効果が得られた。また、積分球で全光束を測定したところ、実施例3は比較例3に比べて全光束が1.2倍に増加し、実施例4は比較例4に比べて全光束が1.4倍に増加しており、光取り出し効率が向上する効果が得られた。
本発明の第4の形態の有機エレクトロルミネッセンス素子は、第1の形態において、前記有機層は、中間層を介して積層された複数の前記発光層を備えており、前記散乱層は前記中間層に設けられていることが好ましい。

Claims (7)

  1. 透明電極と光反射性電極との間に発光層を含む有機層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記有機層に前記発光層からの光を散乱させる散乱層が設けられ、前記発光層からの光は干渉により定在波として形成され、前記散乱層の厚みの中間位置は、前記定在波の強度が、そのピーク値の80%以上となる位置に配置されている、有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記散乱層は、前記発光層と前記光反射性電極との間に設けられている、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記散乱層は、前記発光層と前記透明電極との間に設けられている、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記有機層は、前記中間層を介して積層された複数の前記発光層を備えており、前記散乱層は前記中間層に設けられている、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記発光層の光が、前記光反射性電極の位置で定在波の節を形成する請求項1乃至4のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記有機層が、1以上の緑色発光層と1以上の散乱層を有し、少なくとも1つの前記散乱層と前記光反射性電極間の距離が、60nm〜95nmの範囲である請求項1乃至5のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 前記有機層が、1以上の緑色発光層と1以上の散乱層を有し、少なくとも1つの前記散乱層と前記光反射性電極間の距離が、190nm〜280nmの範囲である請求項1乃至5のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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