JP5827934B2 - 有機電界発光素子 - Google Patents

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Description

本発明は、有機電界発光(EL:エレクトロルミネセンス)素子に関する。
有機EL素子は、透明基板上に、透明電極と、発光層と、反射電極とをこの順に積層した構造が一般的である。
このような有機EL素子において、透明基板からの光取り出し効率を高めるための様々な工夫がなされている。
例えば、特許文献1には、透明電極と発光層の間の界面に凹凸を設けることで、光取り出し効率を高める有機EL素子が記載されている。
また、特許文献2〜4には、透明基板の表面に凹凸を設け、この凹凸形状を維持するように、透明電極、発光層、及び反射電極を形成した有機EL素子が記載されている。
また、特許文献5には、透明基板の表面に凹凸を設け、この凹凸形状を維持するように透明電極を形成し、この上に、透明電極の凹凸を埋める発光層を形成した有機EL素子が記載されている。
有機EL素子に用いられる透明電極は、ITO、IZO、AZO、GZO、FTO、ATO等の導電性酸化物を透明導電材料として用い、スパッタ法や真空蒸着法などの気相成膜法等で形成するのが一般的である。
気相成膜方法は高価な装置や多量のエネルギーが必要であるため、製造コストや環境負荷を低減する技術が求められている。また、この方法で成膜した透明導電膜の屈折率はガラス基板に比べて高いため、基板と透明電極との間での屈折率差による全反射が生じやすい。そして、この全反射ロスが、光取り出し効率を低下させる要因になる。
そこで、特許文献6では、スピンコート、スクリーン印刷、ディップコート、ダイコート、キャスト、スプレーコート、グラビアコート等によって成膜可能な有機の導電性材料からなる透明電極を用いることで、製造コストや環境負荷の軽減と高効率の光取り出しを実現している。
特開2009−272059号公報 特表2007−525706号公報 特開2012−28307号公報 国際公開WO2010/41611号公報 特開2007−294438号公報 特開2012−9359号公報
有機EL素子においては、透明電極と発光層との間の界面をなるべく平坦にすることが必要と考えられている。例えば、特許文献6には、透明電極と発光層の間の界面の平均面粗さRaを0.3μm以下にすることが記載されている。
一方で、光取り出し効率向上のためには、特許文献1に記載されているように、透明電極と発光層の界面に散乱構造を設けることが有効である。
したがって、散乱性と平坦性を両立させるためには、散乱構造として微小な凹凸を形成するのがよい。しかし、このような微小な凹凸を、塗布膜によって構成する透明電極の表面に形成することは難しく、また、形成できてもコストが高くなる。このため、有機の塗布膜からなる透明電極を用いた有機EL素子において、透明電極と発光層の界面に散乱構造を設けることはこれまで検討されてこなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、製造コストと光取り出し効率のバランスをとることのできる有機電界発光素子を提供することを目的とする。
本発明の有機電界発光素子は、透明基板、透明電極、有機材料により構成される有機発光層を少なくとも含む発光層、及び反射電極の積層構造を含む有機電界発光素子であって、前記透明電極は、有機の導電性材料の塗布膜であり、前記透明電極と前記発光層の界面には散乱性を有する凹凸が形成され、前記界面の平均面粗さRaが0.3μmよりも大きく、1.5μm以下であり、前記透明基板と前記透明電極の間に設けられ、前記透明電極側の表面に凹凸を有する透光性材料からなる透光性材料層を備え、前記透光性材料層の屈折率と前記透明電極の屈折率との差が0.1以下である。
本発明の有機電界発光素子は、透明基板、透明電極、有機材料により構成される有機発光層を少なくとも含む発光層、及び反射電極の積層構造を含む有機電界発光素子であって、前記透明電極は、有機の導電性材料の塗布膜であり、前記透明電極と前記発光層の界面には散乱性を有する凹凸が形成され、前記界面の平均面粗さRaが0.3μmよりも大きく、1.5μm以下であり、前記発光層に含まれる層のうち前記透明電極に接する層の屈折率と前記透明電極の屈折率との差が0.1以上である。
本発明の有機電界発光素子は、透明基板、透明電極、有機材料により構成される有機発光層を少なくとも含む発光層、及び反射電極の積層構造を含む有機電界発光素子であって、前記透明電極は、有機の導電性材料の塗布膜であり、前記透明電極と前記発光層の界面には散乱性を有する凹凸が形成され、前記界面の平均面粗さRaが0.3μmよりも大きく、1.5μm以下であり、前記発光層はバンドギャップ化合物層を含み、前記バンドギャップ化合物層は、Eg(バンドギャップ)が1.3〜2.5eVの化合物からなり、かつ、膜厚が0.5nm以上10nm未満である。
本発明によれば、製造コストと光取り出し効率のバランスをとることのできる有機電界発光素子を提供することができる。
本発明の一実施形態を説明するための有機EL素子の断面構成を示す図 光取出し効率を検証した素子構成を示す図 図2に示す素子構成の近似構成を示す図 シミュレーション結果を示す図 シミュレーション結果を示す図 シミュレーション結果を示す図 シミュレーション結果を示す図 吸収スペクトルの裾野(吸収端)の波長の求め方を示す図 PTCDAの吸収スペクトルの図 CuPCの吸収スペクトルの図 実施例の素子構成及び測定結果を示す図
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態を説明するための有機EL素子の断面構成を示す図である。
有機EL素子100は、透明基板1と、透明基板1上に形成された透光性材料層2と、透光性材料層2上に形成された透明電極3と、透明電極3上に形成された、有機の発光材料からなる有機発光層を含む発光層4と、発光層4上に形成された反射電極5と、これらを封止する封止缶6と、を備える。
透明電極3と反射電極5のうち、一方は陽極、他方は陰極である。これら陽極と陰極との間に直流電圧を印加すると、陰極及び陽極から発光層4に含まれる有機発光層に電子及び正孔が注入され、それらの再結合によって励起子が生成され、この励起子が失活する際の光の放出により、発光層4が発光する。発光層4から発せられた光を透明基板1側に取り出すことで、有機EL素子100を照明や表示素子等に利用することができる。
透明基板1は、発光層4から発せられる光を十分に透過できる材料で構成されたものであればよく、例えばガラス基板、樹脂基板等が用いられる。
透明基板1の屈折率は特に限定されないが、1.45〜1.85の間としておくのがよく、1.45〜1.65の間とするのが更によい。
透光性材料層2は、発光層4から発せられる光を十分に透過できる材料で、かつ、透明電極3よりも導電性が十分に低い材料(例えば絶縁材料)により構成される。透光性材料層2は、透明基板1とは反対側の表面に凹凸が形成されている。
発光層4から発せられて透明電極3を通過した光が、透明電極3と透光性材料層2との界面において散乱しないように、透光性材料層2の屈折率と透明電極3の屈折率の関係を定めておくのがよい。
透光性材料層2の屈折率と透明電極3の屈折率の差を0.1未満とすることで、透明電極3と透光性材料層2との界面における散乱を強く抑制することができる。この結果、透明電極3と透光性材料層2との界面に到達した光が、散乱によって透明電極3に戻る量を減らすことができ、有機EL素子100の光取り出し効率を高くすることができる。
図1の例では、透光性材料層2は、バインダ層2aと、バインダ層2aに埋められた多数の粒子2bとにより構成される。この多数の粒子2bのバインダ層2aの外側に突出した(はみでた)部分により、透光性材料層2の透明基板1とは反対側の表面に凹凸が形成される。なお、図1の例において、透光性材料層2の屈折率とは、粒子2bの屈折率のことを言う。粒子2bは、円状のものに限らず、三角柱、四角柱等、様々な形状のものが用いられる。
透光性材料層2は、例えば、アクリル等の樹脂製の粒子を分散させたバインダを透明基板1に塗布することによって形成することができる。
透光性材料層2に用いられるバインダ層の材料としては、透明性のある適宜の樹脂が用いられる。
この樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン、ポリアクリルニトリル、ポリビニルアセタール、ポリアミド、ポリイミド、ジアクリルフタレート樹脂、セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、その他の熱可塑性樹脂や、これらの樹脂を構成する単量体の2種以上の共重合体等が挙げられる。
透光性材料層2は、透明電極3から入射する光が内部において散乱しないように、バインダ層2aの屈折率と粒子2bの屈折率との関係を定めておくのがよい。バインダ層2aの屈折率と粒子2bの屈折率の差を0.3以下とすることで、透光性材料層2内部での光の散乱を効果的に防ぐことができる。この結果、透光性材料層2に入射した光が散乱によって発光層4側に戻る量を減らすことができ、有機EL素子100の光取り出し効率を高くすることができる。
バインダ層2bの屈折率は、1.45〜1.8の間とするのが好ましく、1.45〜1.65の間とするのが更に好ましい。透光性材料層2と透明基板1との界面での光の散乱を防ぐためにも、バインダ層2bと透明基板1とはほぼ同じ屈折率にしておくことが好ましい。
なお、透光性材料層2は、透明基板1の表面に凹凸を形成する加工を行っておき、この凹凸面上に、この凹凸の形状を維持するように、発光層4から発せられる光を透過できる絶縁材料(例えば樹脂)を塗布することで形成することもできる。このようにして透光性材料層2を形成した場合、透光性材料層2の屈折率とは、上記絶縁材料の屈折率のことを言う。
透明電極3は、発光層4から発せられる光を十分に透過でき、かつ、発光層4に含まれる材料よりも導電性が十分に高い有機の導電性材料で構成された塗布膜である。透明電極3の材料には、例えば導電性高分子が用いられる。
透明電極3に用いられる導電性高分子としては、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセチレン、ポリカルバゾール、ポリアセチレン、ポリエチレンジオキシチオフェン等の導電性高分子が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらを単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。また、導電性を高めるために、ドーパントを用いたドーピングを行っても良い。ドーパントとしては、スルホン酸、ルイス酸、プロトン酸、アルカリ金属、アルカリ土類金属などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
透明電極3は、例えば、導電性高分子の分散液などの材料を、透光性材料層2の表面に、スピンコート、スクリーン印刷、ディップコート、ダイコート、キャスト、スプレーコート、グラビアコート等を用いた塗布によって形成することができる。したがって、気相法などを行う必要がなく、コーティングによって簡単に透明電極3を形成することができる。また、透明電極3の屈折率の制御も容易である。
図1に示すように、透明電極3は、透光性材料層2の表面にある凹凸の形状を反映した形状となっており、透明電極3の発光層4側の表面には、透光性材料層2側の表面と同等の凹凸が形成される。
透明電極3の発光層4側の表面の平均面粗さRaは、0.3μm<Ra≦1.5μmの関係を満たしている。この関係を満たすことで、光取り出し効率を高く保ちつつ、有機EL素子100の製造を容易に行うことができる。なお、透明電極3の発光層4側の表面の平均面粗さRaは、0.3μm<Ra≦1.0μmの範囲とするのが好ましく、0.35μm≦Ra≦1.0μmの範囲とすることが更に好ましく、0.65≦Ra≦0.8μmの範囲とすることが更に好ましい。
この関係は、透光性材料層2の表面の平均面粗さRaを上記範囲に調整しておき、透光性材料層2の表面に形成される凹凸形状が維持されるように透明電極3の厚み及び成膜条件を決めることで、達成することができる。
なお、本明細書におけるRaとは、例えば下記のとおり求められる。
透明基板と、透明基板上に形成された透光性材料層と、透光性材料層上に形成された透明電極で構成された基板を、透光性材料層と透明電極の断面が確認できるように基板平面に垂直な面で切断する。そして、切断面である凹凸面を5000倍程度のSEM(例えば、(株)日立ハイテクノロジーズ製走査電子顕微鏡S−4300)で観察する。凹凸の高いところ(凸頂点)と低いところ(凹底面)の差を何点か測定し、平均化した値をRaとする。
透明電極3の厚みは、透光性材料層2の表面に形成される凹凸形状を維持できる程度に薄くするのがよいが、あまり薄いと必要な導電性が得られなくなる。また、透明電極3は、ITO等の無機材料と比べると光を吸収しやすいため、あまり厚くしないほうがよい。これらの事情に鑑みて、透明電極3の厚みは、50nm〜200nmの範囲とするのが好ましい。
発光層4は、有機の発光材料により構成される有機発光層を少なくとも含む。発光層4は、必要に応じて正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層等を含んでいてもよく、これらは有機に限らず無機の材料を用いてもよい。また、これらは単層構造に限らず、複数層構造としてもよい。
有機EL素子100では、発光層4と透明電極3との界面に散乱性を持たせるために、発光層4を構成する少なくとも1つの層のうち、透明電極3と接触する層の屈折率Neと、透明電極3の屈折率Ncとの差を0.1以上とするのがよい。
|Ne−Nc|を0.6より大きくしても、光取り出し効率はそれ以上向上しないため、|Ne−Nc|の上限値は0.6としておくのが好ましいが、これより大きくしても勿論よい。
図1では、発光層4の反射電極5側の面に、透明電極3の発光層4側の面に形成された凹凸を反映した形状の凹凸が形成されている。しかし、発光層4の反射電極5側の面は、平坦であってもよい。
反射電極5は、発光層4から発せられる光を反射することができ、かつ、発光層4に用いられる材料よりも導電性の十分に高い導電性材料で構成される。反射電極5は、例えばアルミニウム、銀等が用いられる。
次に、有機EL素子100の製造方法の一例を説明する。
(透光性材料層形成工程)
樹脂材料(材料名:トリメチロールプロパントリアクリレート、商品名:TMPT(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社社製))2gと、溶媒としてPGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)9gと、重合開始剤(IRGACURE819、BASFジャパン社製)40mgとを、ローラー、スターラーにより攪拌し、十分に混合させてバインダを形成する。
次に、このバインダ11gに対し、粒子径1.5μmの架橋アクリル系粒子(MX−150(綜研化学(株)製))2gを添加し、スターラーにて攪拌する。更に、超音波にて架橋アクリル系粒子をバインダに十分に分散させ、さらにスターラー等でよく攪拌することにより、透光性材料層2の材料液を形成する。
なお、上記バインダの屈折率は1.475、架橋アクリル系粒子の屈折率は1.490であるため、これらの屈折率差は上述した好ましい条件を満たすことができる。また、PGMEを溶媒としているため、樹脂の粒子を用いる場合には十分な耐溶剤性が必要であるが、その点でも上記材料の組み合わせは溶剤に強く、また経時変化による分散の劣化(粒子の凝集等)においても非常に優れている。
このようにして形成した材料液に重合開始剤(IRGACURE819)を添加する。そして、洗浄し、シランカップリング処理をしたガラス基板にワイヤーバーを用いて上記材料液を塗布し、その後、UV照射(365nm)を10分間行い硬化させて、透光性材料層2を形成する。
(透明電極形成工程)
透光性材料層2上に下記構造式で示されるPEDOT−PSSをスピンコートにて200nmの厚みとなるように塗布して、透明電極3を形成する。
Figure 0005827934
(発光層形成工程)
透明電極3上に、下記構造式で表される4,4’,4”−トリス(N,N−(2−ナフチル)−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATA)に、下記構造式で表されるF4−TCNQを0.3質量%ドープした材料を、厚みが150nmになるように共蒸着して正孔注入層を形成する。
Figure 0005827934
次に、正孔注入層上に、α−NPD(Bis[N−(1−naphthyl)−N−phenyl]benzidine)を厚みが7nmとなるように真空蒸着して、第一の正孔輸送層を形成する。
次に、第一の正孔輸送層上に、下記構造式で表される有機材料Aを厚み3nmとなるように真空蒸着して、第二の正孔輸送層を形成する。
Figure 0005827934
次に、第二の正孔輸送層上に、ホスト材料として下記構造式で表される有機材料Bと、該有機材料Bに対して40質量%の燐光発光材料である下記構造式で表される発光材料Aをドープした材料を厚み30nmとなるように真空蒸着して、有機発光層を形成する。
Figure 0005827934
次に、有機発光層上に、下記構造式で表されるBAlq(Bis−(2−methyl−8−quinolinolato)−4−(phenyl−phenolate)−aluminium(III))を厚みが39nmとなるように真空蒸着して、第一の電子輸送層を形成する。
Figure 0005827934
次に、第一の電子輸送層上に、下記構造式で表されるBCP(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)を厚みが1nmとなるように蒸着して、第二の電子輸送層を形成する。
Figure 0005827934
次に、第二の電子輸送層上にLiFを厚み1nmとなるように蒸着して電子注入層を形成する。これにより、発光層4の形成を終了する。
(反射電極形成工程)
電子注入層の上にアルミニウムを厚み100nmとなるように蒸着して、反射電極5を形成する。
(封止工程)
窒素ガス雰囲気中にて乾燥剤を貼り付け、透明基板との設置面に封止材を塗った封止ガラス缶6にて、透明基板1以外の構成要素を封止する。
以上のように構成された有機EL素子100において、発光層4を、正孔注入層41、正孔輸送層42、有機発光層43、電子輸送層44、及び電子注入層45の積層構造とし、発光層4の反射電極5側の面を平坦化した、図2に示す構成について光取出し効率を検証した結果を以下に説明する。
図2において、透明電極3は、透光性材料層2表面に形成される凹凸形状を維持する必要があるため、十分に薄くする必要がある。そのため、図2における正孔注入層41とバインダ層2aとの間の構成は、図3に示した構成に近似することができる。このため、図3に示した構成をモデルとして、光取り出し効率をシミュレーションする。
図3において、バインダ層2a上には、透明電極3に相当する模擬透明電極3aが形成され、模擬透明電極3a上には模擬粒子層21が形成されている。
模擬粒子層21の発光層4側の表面は、図2における透明電極3の発光層4側の表面と同じ形状である。また、模擬粒子層21は、図2における粒子2bと同じ材料によって構成される層である。模擬粒子層21は、正孔輸送層41をバインダ層として、このバインダ層に粒子2bを分散させた層と見なすことができる。
<検証1>
図3に示したモデル構成における、発光層4と模擬粒子層21の界面の平均面粗さRaによる光取り出し効率への影響をシミュレーションによって検証した結果を説明する。
本検討における具体的なシミュレーション条件は以下のとおりである。なお、屈折率は全て波長550nmにおける値である。
(反射電極5)
厚み100nm、材料:アルミニウム
(電子注入層45)
厚み1nm、材料:LiF
(電子輸送層44)
厚み1nm、屈折率=1.72
(有機発光層43)
厚み39nm、屈折率=1.72
(正孔輸送層42)
厚み7nm、屈折率=1.81
(正孔注入層41)
厚み150nm、屈折率Nb1=1.88
(模擬粒子層21)
・厚み1μm
・粒子の直径1.5μm、粒子の含有比率50%、粒子の屈折率Np1=1.49
・発光層4側の表面の平均面粗さRa=0〜1.2
(模擬透明電極3a)
・厚み200nm
・屈折率=1.4543
・波長550nmに対する光の減衰係数K=0〜0.10
(バインダ層2a)
・厚み2μm
・粒子の直径1.5μm、粒子の含有比率50%、粒子の屈折率Np2=1.49
・バインダの屈折率Nb2=1.475
(透明基板1)
厚み0.7mm、材料:BK7
サイバネットシステム株式会社の有機デバイスシミュレータSetfos(登録商標)を用いて、以上の条件としたときの、有機発光層43から発光される光の正孔注入層41における配向分布を計算した。そして、光線追跡ソフトZEMAX(登録商標)に、計算した配向分布と、有機発光層43から出射して反射電極5に到達した光の反射率とを入力して、光取り出し効率を求めた。
なお、光取り出し効率は、空気まで出射される光エネルギー/有機発光層43から出射された光エネルギーとして求めた。
図4は、検討1のシミュレーション結果を示す図である。図4において、横軸は、模擬粒子層21の発光層4側の表面の平均面粗さRaを示し、縦軸は、最大値を1として規格化した光取り出し効率を示している。模擬粒子層21の発光層4側の表面の平均面粗さRaは、図2に示す有機EL素子において透明電極3と発光層4の界面の平均面粗さに相当する。
減衰係数K=0の結果は、模擬透明電極3aをITO等の塗布以外の方法で形成される電極としたときのものに相当する。有機導電性材料の塗布膜により構成される透明電極は、減衰係数が0よりも大きくなる。つまり、K>0の各結果は、透明電極3として有機導電性材料の塗布膜を用いたときの結果を示している。
図4に示すように、Raを0.2μm付近にすれば、光取り出し効率を最大にすることができる。しかし、このような小さいRaを実現するには、粒子2bの粒径を小さくする必要がある。粒径が小さいと粒子の凝集等によって所望のRaを得ることは容易ではない。
図4に示す結果をみると、Ra=1.2μmのようにRaを十分に大きくしても、光取り出し効率の最大値からの減少率は最大でも25%程度に留まっている。つまり、透明電極3として有機の塗布膜を用いる場合には、透明電極3として有機の塗布膜以外のものを用いたときと比べると、透明電極3と発光層4の界面のRaを大きくしても、光取り出し効率の低下度合いが小さいことが分かる。このため、図1に示した有機EL素子100では、透明電極3と発光層4の界面のRaを0.3μmよりも大きい値にしている。
透明電極3と発光層4の界面のRaは、0.3μmよりも大きければ、その数値の制御が容易になる。このため、製造コストを考えて、Raの下限値は0.3μmとしている。なお、Ra≧0.35μmとすれば、更に製造を容易にすることができ、更なるコスト削減が可能である。
透明電極3と発光層4の界面のRaの上限値は、必要とする光取り出し効率によって決めればよい。光取り出し効率を実用に耐えられる程度にするには、Raの上限値を1.5μmとしておくのが好ましい。図4の結果では、Raが1μmを超えたあたりから、光取り出し効率の減衰率が高くなっている。このため、Raの上限値は約1μmとしておくのがより好ましい。また、光取り出し効率が最大効率の90%以上を保つために、Raの上限値は約0.8μmとしておくのが更に好ましい。
また、図4に示す結果では、Ra=約0.65μmを境にして、K=0の場合よりもK>0の場合の方が光取り出し効率がよくなっている。したがって、有機EL素子における透明基板側の電極に光吸収の大きい有機の塗布膜を用いる場合には、Ra≧0.65とすることで、光取り出し効率と製造コストを両立できるという効果を顕著に得ることができる。
<検証2>
検証1における各種条件において、模擬粒子層21の発光層4側の表面の平均面粗さRaを0.32μmとし、模擬透明電極3aの減衰係数Kを0.028とし、模擬粒子層21を構成する粒子の屈折率Np1を1.1〜1.88の間で変化させて検証1と同様のシミュレーションを行い、光取り出し効率Xaを求めた。
検証1の各種条件において、模擬粒子層21とバインダ層2aの厚みをそれぞれ0とし、模擬透明電極3aの減衰係数Kを0.02として、検証1と同様のシミュレーションを参考例として行い、光取り出し効率Xbを求めた。
図5は、検証2のシミュレーション結果を示す図である。図5において、縦軸は、Xa/Xbの値を示し、横軸はΔN1=|Np1−Nb1|を示している。
図5に示すように、ΔN1=0.1を境に、光取り出し効率が急峻に立ち上がっている。また、ΔN1は0.6になってからはそれ以上上昇していない。したがって、ΔN1≧0.1とすることで、光取り出し効率を向上させられることが分かる。
屈折率Np1は、図2に示す構成における透明電極3の屈折率に相当する。また、屈折率Nb1は、図2における正孔注入層41の屈折率に相当する。つまり、上記ΔN1は、透明電極3の屈折率と、発光層4に含まれる層のうちの透明電極3に接する層の屈折率との差に相当する。したがって、有機EL素子100において、この差を0.1以上にすることで、透明電極3と発光層4との界面における光の散乱性を高めて、光取り出し効率を上げることができる。
<検証3>
検証1における各種条件において、模擬粒子層21の発光層4側の表面の平均面粗さRaを0.32μmとし、模擬透明電極3aの減衰係数Kを0.02とし、バインダ層2a内の粒子の屈折率Np2を1.475〜2.4の間で変化させて検証1と同様のシミュレーションを行い、光取り出し効率Xcを求めた。
図6は、検証3のシミュレーション結果を示す図である。図6において、縦軸は、Xc/Xbの値を示し、横軸はΔN2=|Nb2−Np2|を示している。
図6に示すように、ΔN2=0.3を境に、光取り出し効率が急峻に低下する。したがって、ΔN2≦0.3とすることで、光取り出し効率を向上させられることが分かる。
バインダ層2aの粒子の屈折率Np2は、図2に示す構成における粒子2bの屈折率に相当する。また、バインダ層2aのバインダの屈折率Nb2は、図2におけるバインダ層2aの屈折率に相当する。つまり、上記ΔN2は、粒子2bの屈折率と、バインダ層2aの屈折率との差に相当する。したがって、この差を0.3以下にすることで、透光性材料層2内部における光の散乱を抑制して、光取り出し効率を上げることができる。
<検証4>
検証1における各種条件において、模擬粒子層21の発光層4側の表面の平均面粗さRaを0.32μmとし、模擬透明電極3aの減衰係数Kを0.02とし、バインダ層2aのバインダの屈折率Nb2=バインダ層2aの粒子の屈折率Np2とし、屈折率Np2を1.47〜2.5の間で変化させて検証1と同様のシミュレーションを行い、光取り出し効率Xdを求めた。
図7は、検証4のシミュレーション結果を示す図である。図7において、縦軸は、Xd/Xbの値を示し、横軸はΔN3=|Np1−Np2|を示している。
図7に示すように、ΔN3=0.1を境に、光取り出し効率が急峻に低下する。したがって、ΔN3≦0.1とすることで、光取り出し効率を向上させられることが分かる。
模擬粒子層21の屈折率Np1は、図2に示す構成における透明電極3の屈折率に相当する。また、バインダ層2aの粒子の屈折率Np2は、図2に示す構成における粒子2bの屈折率に相当する。つまり、上記ΔN3は、粒子2bの屈折率と、透明電極3の屈折率との差に相当する。したがって、この差を0.1未満にすることで、透光性材料層2と透明電極3との界面における光の散乱を抑制して、光取り出し効率を上げることができる。
以下、有機EL素子100において特に好ましい発光層4の構成について説明する。
発光層4は、有機発光層の他にバンドギャップ化合物層を有することが好ましい。
(バンドギャップ化合物層)
バンドギャップ化合物層(以下、「Eg化合物層」とも称する。)は、Eg(バンドギャップ)が1.3〜2.5eVの化合物(以下、「バンドギャップ化合物層を形成する化合物」とも称する。)からなり、膜厚が0.5nm以上10nm未満の層である。バンドギャップ化合物層は電極から正孔を注入しやすくする機能を有し、有機EL素子の駆動電圧を低減させる効果を有する層である。
ここで、本明細書におけるEgとは、下記のとおり求められる。厚さ50nmの有機材料の膜を真空蒸着法により石英基板上に成膜し、日立ハイテク製分光光度計「U−3310」により紫外線領域から可視光領域までの光の吸収を測定する。吸収スペクトルの山の長波長側の裾野(吸収端)の波長(nm)をEg(eV)として求める。ここで、上記裾野(吸収端)の波長の求め方を、図8により説明する。裾野(吸収端)の波長は、長波側のスペクトルに沿った仮想直線(図8における破線)を引き、吸収0のグランドレベルと重なった位置から求めることができる。
例えば、図9に示すPTCDA(3,4,9,10−Perylenetetracarboxylic 3,4:9,10−dianhydride)の吸収スペクトルにおいては、裾野(吸収端)の波長は570nmである。この波長を式E=hc/λによりエネルギーに換算することにより、Eg=2.2eVが求まる。
また、図10に示すCuPc(Copper phthalocyanine)の吸収スペクトルにおいては、Egに対応する吸収スペクトルの山の長波長側の裾野(吸収端)の波長は775nmである。この波長を上記のとおりエネルギーに換算することにより、Eg=1.6eVが求まる。
バンドギャップ化合物層を形成する化合物のEgが1.3〜2.5eVの範囲にあることにより、電極とのエネルギー順位のマッチングと電気伝導性の向上から電極からの正孔注入性が向上し、駆動電圧を抑えることができる。バンドギャップ化合物層を形成する化合物のEgが1.3eV未満であると、電極とのエネルギー順位のマッチングが悪化するため好ましくない。また、バンドギャップ化合物層を形成する化合物のEgが2.5eVを超えると、電極とのエネルギー順位のマッチングと電気伝導性が低下するため好ましくない。
バンドギャップ化合物層を形成する化合物は、Egが1.3〜2.5eVの範囲にあれば特に制限はないが、例えば、CuPC、PTCDA又はPTCDI(N,N’−Bis(2,5−di−tert−butylphenyl)perylene−3,4:9,10−bis(dicarbimide))を好ましく使用することができる。
バンドギャップ化合物層の膜厚は0.5nm以上10nm未満である。バンドギャップ化合物層の膜厚が0.5nm未満であると、膜として機能しなくなるため好ましくない。また、バンドギャップ化合物層の膜厚が10nm以上であると、光吸収が強くなるため好ましくない。
光吸収低減とバンドギャップ化合物の機能可能な最適な膜厚の観点から、バンドギャップ化合物層の膜厚は0.5nm以上5nm未満であることがより好ましく、0.5nm以上2nm未満であることが更に好ましい。
発光層4におけるバンドギャップ化合物層の位置には特に制限はないが、光取り出し効率をより向上させるために、透明電極3に隣接していることが好ましい。また、バンドギャップ化合物層は、正孔注入層であることが好ましい。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
上記実施形態における(透光性材料層形成工程)において述べた方法で、ガラス基板上に透光性材料層を形成し、その上に、PEDOT−PSSを150nmの厚みになるようにスピンコートにより塗布して透明電極を形成した。透光性材料層の表面の平均面粗さRaは1.0μmであった。
次に、α−NPDを150nmの厚みとなるように蒸着して第一の正孔輸送層を形成し、有機材料Aを3nmの厚みとなるように蒸着して第二の正孔輸送層を形成した。更に、有機材料Bと発光材料Aを6:4の割合で30nmの厚みとなるように共蒸着して有機発光層を形成し、BAlqを39nmの厚みとなるように蒸着して第一の電子輸送層を形成し、BCPを1nmの厚みとなるように蒸着して第二の電子輸送層を形成し、LiFを1nmの厚みとなるように蒸着して電子注入層を形成した。
次に、アルミニウムを厚み100nmとなるように蒸着して反射電極を形成し、(封止工程)で述べた方法で封止を行って、実施例1の素子を得た。
(実施例2)
透光性材料層の表面の平均面粗さRa=0.35μmとなるように透光性材料層を形成した以外は、実施例1と同じ方法で素子を作製した。
(実施例3)
実施例1と同じ方法で、ガラス基板上に透光性材料層及び透明電極を形成した後、CuPCを5nmの厚みとなるように真空下で蒸着して正孔注入層を形成し、その上に、α−NPDを145nmの厚みで蒸着して第一の正孔輸送層を形成した後は、実施例1と同じ方法で素子を作製した。
(実施例4〜8)
実施例3における正孔注入層(CuPC)及び第一の正孔輸送層(α−NPD)の厚みを図11に示すように変えた素子を作製した。ただし、実施例6は、反射電極をアルミニウム0.5nmと銀100nmの2層構造とした。
(実施例9〜12)
実施例3における正孔注入層の材料及び厚みと第一の正孔輸送層(α−NPD)の厚みを図11に示すように変えた素子を作製した。
このようにして作製した素子について、外部量子効率と駆動電圧を測定した。外部量子効率と駆動電圧は、浜松ホトニクス製「C9920−12」を用い、2.5mA/cmの電流を素子に流したときの外部量子効率と素子に加わった電圧値を読みとった。
また、正孔注入層として使用したCuPC、PTCDA、PTCDI、及びα−NPDのそれぞれについて、上述した方法によりEg(バンドギャップ)を測定した。
図11は、実施例の素子構成(実施例毎に違いのある部分のみ記載)と各種測定結果を示す図である。
実施例1と実施例2の対比結果から、Raを大きくしても外部量子効率は低下しないことが認められる。
実施例3〜6と実施例7,8の対比結果、実施例9と実施例10の対比結果、実施例11と実施例12の対比結果から、Eg化合物層(正孔注入層)の膜厚を10nm未満にした場合に、駆動電圧の上昇が認められる。
なお、Eg化合物層(正孔注入層)の膜厚を0nmにした場合は、実施例1のように、駆動電圧が大きくなる。このため、Eg化合物層(正孔注入層)の膜厚は0.5nm以上とするのがよいことが認められる。
実施例5と実施例6の対比結果から、反射電極をアルミニウムから銀に変更することにより、素子の外部量子効率が大幅に上昇することが認められる。これは、銀の反射率がアルミニウムより高いことに起因すると考えられる。
以上説明してきたように、本明細書には以下の事項が開示されている。
開示された有機電界発光素子は、透明基板、透明電極、有機材料により構成される有機発光層を少なくとも含む発光層、及び反射電極の積層構造を含む有機電界発光素子であって、上記透明電極は、有機の導電性材料の塗布膜であり、上記透明電極と上記発光層の界面には散乱性を有する凹凸が形成され、上記界面の平均面粗さRaが0.3μmよりも大きく、1.5μm以下である。
開示された有機電界発光素子は、上記透明基板と上記透明電極の間に設けられ、上記透明電極側の表面に凹凸を有する透光性材料からなる透光性材料層を備え、上記透光性材料層の屈折率と上記透明電極の屈折率との差が0.1以下である。
開示された有機電界発光素子は、上記透光性材料層は、バインダ層と、上記バインダ層に埋められる粒子とにより構成され、上記バインダ層の外側に突出する上記粒子によって、上記透光性材料層の上記透明電極との界面には凹凸が形成されており、上記粒子の屈折率と上記バインダ層の屈折率の差が0.3以下である。
開示された有機電界発光素子は、上記発光層に含まれる層のうち上記透明電極に接する層の屈折率と上記透明電極の屈折率との差が0.1以上である。
開示された有機電界発光素子の上記透明電極を構成する導電性材料は、導電性高分子材料である。
開示された有機電界発光素子の上記導電性高分子材料は、ポリエチレンジオキシチオフェンを含む。
開示された有機電界発光素子の上記発光層はバンドギャップ化合物層を含み、上記バンドギャップ化合物層は、Eg(バンドギャップ)が1.3〜2.5eVの化合物からなり、かつ、膜厚が0.5nm以上10nm未満である。
開示された有機電界発光素子の上記バンドギャップ化合物層の膜厚は0.5nm以上5nm未満である。
開示された有機電界発光素子の上記バンドギャップ化合物層の膜厚は0.5nm以上2nm未満である。
開示された有機電界発光素子の上記反射電極は銀を含む。
開示された有機電界発光素子の上記バンドギャップ化合物層を形成する化合物は、CuPC、PTCDA、又はPTCDIである。
開示された有機電界発光素子の上記バンドギャップ化合物層は上記透明電極に隣接する。
100 有機EL素子
1 透明基板
2 透光性材料層
2a バインダ層
2b 粒子
3 透明電極(導電性高分子材料の塗布膜)
4 発光層
5 反射電極
6 封止缶
41 正孔注入層
42 正孔輸送層
43 有機発光層
44 電子輸送層
45 電子注入層
3a 模擬透明電極
21 模擬粒子層

Claims (19)

  1. 透明基板、透明電極、有機材料により構成される有機発光層を少なくとも含む発光層、及び反射電極の積層構造を含む有機電界発光素子であって、
    前記透明電極は、有機の導電性材料の塗布膜であり、
    前記透明電極と前記発光層の界面には散乱性を有する凹凸が形成され、
    前記界面の平均面粗さRaが0.3μmよりも大きく、1.5μm以下であり、
    前記透明基板と前記透明電極の間に設けられ、前記透明電極側の表面に凹凸を有する透光性材料からなる透光性材料層を備え、
    前記透光性材料層の屈折率と前記透明電極の屈折率との差が0.1以下である有機電界発光素子。
  2. 請求項記載の有機電界発光素子であって、
    前記透光性材料層は、バインダ層と、前記バインダ層に埋められる粒子とにより構成され、
    前記バインダ層の外側に突出する前記粒子によって、前記透光性材料層の前記透明電極との界面には凹凸が形成されており、
    前記粒子の屈折率と前記バインダ層の屈折率の差が0.3以下である有機電界発光素子。
  3. 請求項1又は2項記載の有機電界発光素子であって、
    前記発光層に含まれる層のうち前記透明電極に接する層の屈折率と前記透明電極の屈折率との差が0.1以上である有機電界発光素子。
  4. 請求項1〜のいずれか1項記載の有機電界発光素子であって、
    前記透明電極を構成する導電性材料は、導電性高分子材料である有機電界発光素子。
  5. 請求項記載の有機電界発光素子であって、
    前記導電性高分子材料は、ポリエチレンジオキシチオフェンを含む有機電界発光素子。
  6. 透明基板、透明電極、有機材料により構成される有機発光層を少なくとも含む発光層、及び反射電極の積層構造を含む有機電界発光素子であって、
    前記透明電極は、有機の導電性材料の塗布膜であり、
    前記透明電極と前記発光層の界面には散乱性を有する凹凸が形成され、
    前記界面の平均面粗さRaが0.3μmよりも大きく、1.5μm以下であり、
    前記発光層に含まれる層のうち前記透明電極に接する層の屈折率と前記透明電極の屈折率との差が0.1以上である有機電界発光素子。
  7. 請求項記載の有機電界発光素子であって、
    前記透明電極を構成する導電性材料は、導電性高分子材料である有機電界発光素子。
  8. 請求項記載の有機電界発光素子であって、
    前記導電性高分子材料は、ポリエチレンジオキシチオフェンを含む有機電界発光素子。
  9. 透明基板、透明電極、有機材料により構成される有機発光層を少なくとも含む発光層、及び反射電極の積層構造を含む有機電界発光素子であって、
    前記透明電極は、有機の導電性材料の塗布膜であり、
    前記透明電極と前記発光層の界面には散乱性を有する凹凸が形成され、
    前記界面の平均面粗さRaが0.3μmよりも大きく、1.5μm以下であり、
    前記発光層はバンドギャップ化合物層を含み、
    前記バンドギャップ化合物層は、Eg(バンドギャップ)が1.3〜2.5eVの化合物からなり、かつ、膜厚が0.5nm以上10nm未満である有機電界発光素子。
  10. 請求項記載の有機電界発光素子であって、
    前記バンドギャップ化合物層の膜厚は0.5nm以上5nm未満である有機電界発光素子。
  11. 請求項10記載の有機電界発光素子であって、
    前記バンドギャップ化合物層の膜厚は0.5nm以上2nm未満である有機電界発光素子。
  12. 請求項9〜11のいずれか1項記載の有機電界発光素子であって、
    前記反射電極が銀を含む有機電界発光素子。
  13. 請求項9〜12のいずれか1項記載の有機電界発光素子であって、
    前記バンドギャップ化合物層を形成する化合物が、CuPC、PTCDA、又はPTCDIである有機電界発光素子。
  14. 請求項9〜13のいずれか1項記載の有機電界発光素子であって、
    前記バンドギャップ化合物層が前記透明電極に隣接する有機電界発光素子。
  15. 請求項9〜14のいずれか1項記載の有機電界発光素子であって、
    前記透明基板と前記透明電極の間に設けられ、前記透明電極側の表面に凹凸を有する透光性材料からなる透光性材料層を備え、
    前記透光性材料層の屈折率と前記透明電極の屈折率との差が0.1以下である有機電界発光素子。
  16. 請求項15記載の有機電界発光素子であって、
    前記透光性材料層は、バインダ層と、前記バインダ層に埋められる粒子とにより構成され、
    前記バインダ層の外側に突出する前記粒子によって、前記透光性材料層の前記透明電極との界面には凹凸が形成されており、
    前記粒子の屈折率と前記バインダ層の屈折率の差が0.3以下である有機電界発光素子。
  17. 請求項9〜16のいずれか1項記載の有機電界発光素子であって、
    前記発光層に含まれる層のうち前記透明電極に接する層の屈折率と前記透明電極の屈折率との差が0.1以上である有機電界発光素子。
  18. 請求項9〜17のいずれか1項記載の有機電界発光素子であって、
    前記透明電極を構成する導電性材料は、導電性高分子材料である有機電界発光素子。
  19. 請求項18記載の有機電界発光素子であって、
    前記導電性高分子材料は、ポリエチレンジオキシチオフェンを含む有機電界発光素子。
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