JPWO2013015385A1 - エレクトレットおよびその製造方法、ならびに静電誘導型変換素子 - Google Patents

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Abstract

高い電荷密度を発現し、かつ、高温高湿下での電荷密度の安定性が良好なエレクトレット、また該エレクトレットを具備する静電誘導型変換素子を得る。樹脂層(A)と、樹脂層(A)と直接積層した樹脂層(B)とを有する積層体に、電荷が注入されたエレクトレットであって、樹脂層(A)が、含フッ素重合体とシランカップリング剤との反応生成物を含み、樹脂層(B)が、含フッ素重合体とシランカップリング剤との反応生成物を含まず、含フッ素重合体を含み、樹脂層(B)が空気と接するように最外層に配置され、樹脂層(B)の合計厚さが前記樹脂層(A)の合計厚さの5〜55%であることを特徴とするエレクトレット。また、エレクトレットを具備する静電誘導型変換素子。

Description

本発明は、エレクトレットおよびその製造方法、ならびに静電誘導型変換素子に関する。
発電装置、マイクロフォン等の静電誘導型変換素子には、絶縁材料に電荷を注入したエレクトレットが使用されている。静電誘導型変換素子としては、例えば、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、あるいは主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素重合体から形成した樹脂層に、電荷を注入したエレクトレットを有する静電誘導型変換素子が知られている。
例えば、主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素重合体とシランカップリング剤とを含む組成物から形成した樹脂層に、電荷を注入したエレクトレットを有する静電誘導型変換素子が知られている(特許文献1)。該静電誘導型変換素子は、高い電荷密度を発現する。
静電誘導型変換素子は、自動車、道路用センサ等、高温多湿環境にて使用または設置する用途にも使用されるようになり、高い電荷密度の発現に加えて、高温高湿下における電荷密度の安定性が要求されている。
防湿性を高めた静電誘導型変換素子としては、例えば、主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素重合体から形成した樹脂層上に、ポリパラキシリレンから形成した防湿層を積層したエレクトレットを有する静電誘導型変換素子が知られている(特許文献2)。
特開2008−266563号公報 特開2006−180450号公報
本発明者らの知見によれば、特許文献1に記載の静電誘導型変換素子は、エレクトレットが、高温高湿下において高い密度電荷を安定的に保持することが難しく、電荷が経時的に放出されやすい。
また、特許文献2に記載の静電誘導型変換素子は、エレクトレットにおける含フッ素重合体から形成した樹脂層と、ポリパラキシリレンから形成した防湿層との密着性が不充分である。そのため、高温高湿下では、エレクトレットの層間に水分が進入しやすく、電荷を安定的に保持することが困難である。含フッ素重合体から形成した樹脂層の表面に表面処理を施せば、含フッ素重合体から形成した樹脂層と、ポリパラキシリレンから形成した防湿層との密着性を高められる。しかし、表面処理を施すと、含フッ素重合体から形成した樹脂層が変質し、電荷保持性能が低下する。
本発明は、高い電荷密度を発現し、かつ、高温高湿下での電荷密度の安定性が良好なエレクトレットおよびその製造方法、ならびに前記エレクトレットを具備する静電誘導型変換素子の提供を目的とする。
本発明は、以下の[1]〜[15]である。
[1] 樹脂層(A)と、該樹脂層(A)と直接積層した樹脂層(B)とを有する積層体に、電荷が注入されたエレクトレットであって、
前記樹脂層(A)が、含フッ素重合体とシランカップリング剤との反応生成物を含み、
前記樹脂層(B)が、含フッ素重合体とシランカップリング剤との反応生成物を含まず、含フッ素重合体を含み、
前記樹脂層(B)が空気と接するように最外層に配置され、
前記樹脂層(B)の合計厚さが前記樹脂層(A)の合計厚さの5〜55%であることを特徴とするエレクトレット。
[2] 前記シランカップリング剤が、アミノ基を有するシランカップリング剤である、[1]のエレクトレット。
[3] 前記シランカップリング剤が、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシランおよびアミノフェニルトリメトキシシランからなる群より選ばれる1種以上である、[1]または[2]のエレクトレット。
[4] 前記樹脂層(A)に含まれる反応生成物を形成する含フッ素重合体が、カルボキシ基およびその塩(−COOM。ただし、Mは、カルボキシ基と塩を形成し得る金属原子または原子団である。)、アルコキシカルボニル基、1分子中の2つのカルボキシ基が脱水縮合した酸無水物基およびアシル基からなる群より選ばれる1種以上を有する含フッ素重合体である、[1]〜[3]のいずれかのエレクトレット。
[5] 前記樹脂層(A)に含まれる反応生成物を形成する含フッ素重合体が、主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素重合体である、[1]〜[4]のいずれかのエレクトレット。
[6] 前記樹脂層(B)に含まれる含フッ素重合体が、主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素重合体である、[1]〜[5]のいずれかのエレクトレット。
[7] 前記樹脂層(A)に含まれる反応生成物を形成する含フッ素重合体と樹脂層(B)に含まれる含フッ素重合体とが同じ種類の含フッ素重合体である、[1]〜[6]のいずれかのエレクトレット。
[8] 下記工程(X1)〜(X5)を有することを特徴とするエレクトレットの製造方法。
(X1)基板上に、含フッ素重合体、シランカップリング剤および溶媒を含むコーティング液をコーティングしてコーティング膜(A1)を形成し、予備乾燥する工程。
(X2)前記予備乾燥したコーティング膜(A1)を焼成して樹脂層(A)を形成する工程。
(X3)前記樹脂層(A)上に、シランカップリング剤を含まず、含フッ素重合体および溶媒を含むコーティング液をコーティングしてコーティング膜(B1)を形成し、予備乾燥する工程。
(X4)前記予備乾燥したコーティング膜(B1)を焼成して樹脂層(B)を形成し、前記基板上に樹脂層(A)と樹脂層(B)とが直接積層した積層体を形成する工程。
(X5)前記積層体に電荷を注入する工程。
[9] 前記シランカップリング剤が、アミノ基を有するシランカップリング剤である、[8]のエレクトレットの製造方法。
[10] 前記工程(X1)で用いる含フッ素重合体が、カルボキシ基およびその塩(−COOM。ただし、Mは、カルボキシ基と塩を形成し得る金属原子または原子団である。)、アルコキシカルボニル基、1分子中の2つのカルボキシ基が脱水縮合した酸無水物基およびアシル基からなる群より選ばれる1種以上を有する含フッ素重合体である、[8]または[9]のエレクトレットの製造方法。
[11] 前記工程(X1)で用いる含フッ素重合体が、主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素重合体である、[8]〜[10]のいずれかのエレクトレットの製造方法。
[12] 前記工程(X1)で用いる含フッ素重合体と工程(X3)で用いる含フッ素重合体とが同じ種類の含フッ素重合体である、[8]〜[11]のいずれかのエレクトレットの製造方法。
[13] 前記工程(X1)において、含フッ素重合体とシランカップリング剤との合計量に対するシランカップリング剤の割合が0.1〜20質量%である、[8]〜[12]のいずれかのエレクトレット。
[14] 前記工程(X3)で用いる溶媒が、表面張力が20mN/m以下の含フッ素有機溶媒である、[8]〜[13]のいずれかのエレクトレットの製造方法。
[15] [1]〜[7]のいずれかのエレクトレットを具備することを特徴とする静電誘導型変換素子。
本発明のエレクトレットは、高い電荷密度を発現し、かつ、高温高湿下での電荷密度の安定性が良好である。
本発明のエレクトレットの製造方法によれば、高い電荷密度を発現し、かつ、高温高湿下での電荷密度の安定性が良好なエレクトレットが得られる。
本発明の静電誘導型変換素子は、高い電荷密度を発現し、かつ、高温高湿下での電荷密度の安定性が良好なエレクトレットを具備する。
本発明のエレクトレットの一例を示す断面図である。 本発明の静電誘導型変換素子の一例を示す斜視図である。 電荷の注入に用いたコロナ荷電装置の概略構成図である。 エレクトレットの表面電位の測定点を示す図である。
本明細書においては、単量体が重合することによって形成された、該単量体に由来する繰り返し単位を単に「単位」と略称する。単位は、重合反応によって直接形成された単位であってもよく、重合体を処理することによって該単位の一部が別の構造に変換された単位であってもよい。本明細書における「単量体」とは、重合反応性の炭素−炭素二重結合を有する化合物を意味する。
本明細書において、「側鎖」とは、繰り返し単位が主鎖を構成する重合体において、主鎖を構成する炭素原子に結合する、水素原子およびハロゲン原子以外の基である。
本明細書においては、式(1)で表される化合物を「化合物(1)」と記し、他の式で表される化合物も同様に記す。また、式(3−1)で表される単位を「単位(3−1)」と記し、他の式で表される単位も同様に記す。
[エレクトレット]
本発明のエレクトレットは、下記の樹脂層(A)と、該樹脂層(A)と直接積層した樹脂層(B)とを有する積層体に、電荷が注入されたエレクトレットであって、樹脂層(B)が空気と接するように最外層に配置され、前記樹脂層(B)の合計厚さが前記樹脂層(A)の合計厚さの5〜55%であることを特徴とする。すなわち、本発明のエレクトレットでは、製造時および使用時において、樹脂層(A)の一方の側には各種基板、各種樹脂層等が配置され、樹脂層(A)の他方の側である空気と接する最外層に樹脂層(B)が配置される。
樹脂層(A):含フッ素重合体(以下、「含フッ素重合体(a1)」ともいう。)とシランカップリング剤(以下、「シランカップリング剤(a2)」ともいう。)との反応生成物を含む樹脂層。
樹脂層(B):含フッ素重合体(以下、「含フッ素重合体(b1)」ともいう。)とシランカップリング剤(以下、「シランカップリング剤(b2)」ともいう。)との反応生成物を含まず、含フッ素重合体(b1)を含む樹脂層。
本発明のエレクトレットは、樹脂層(A)を含むことから、電荷密度を高くできる。該樹脂層(A)が含フッ素重合体とシランカップリング剤との反応生成物を含むことで、エレクトレットの電荷密度が高くなり、表面電位が高まる。電荷密度が高くなる機構は、以下のように考えられる。
樹脂層(A)と樹脂層(B)との積層体に電荷が注入される際に、樹脂層(A)中の反応生成物におけるシランカップリング剤由来の部分が分極し、ナノクラスタ構造が形成される。該ナノクラスタ構造が、樹脂層(A)に注入された電荷を蓄える部位として機能する。
また、本発明のエレクトレットは、樹脂層(A)の空気側に、含フッ素重合体とシランカップリング剤との反応生成物を含まず、含フッ素重合体を含む樹脂層(B)が直接積層されて最外層となっているため、優れた防湿性を有し、高温高湿下でも電荷を安定的に保持できる。防湿性が向上する機構は、以下のように考えられる。
シランカップリング剤は、分子内の−SiOR基、アミノ基、エポキシ基等の影響により、含フッ素重合体に比べて吸水しやすい性質を有する。そのため、含フッ素重合体(b1)とシランカップリング剤(b2)の反応生成物を含まない樹脂層(B)は、−SiOR基、アミノ基、エポキシ基等による影響がなく、樹脂層(A)よりも吸水し難い。また、含フッ素重合体(b1)は電気陰性度が大きく、分子間力が小さいので、含フッ素重合体(b1)を含む樹脂層(B)は、撥水効果が高く、疎水性に優れる。このような性質を有する樹脂層(B)を樹脂層(A)の空気側に直接積層することで、樹脂層(A)の空気側からの吸水が抑制される。また、樹脂層(A)と樹脂層(B)は共に含フッ素重合体を含むため、層間のなじみが良好であり、優れた密着性が得られる。そのため、樹脂層(A)と樹脂層(B)との界面剥離が抑制されることから、樹脂層(A)と樹脂層(B)との層間に水分が浸入することも抑制される。
また、本発明のエレクトレットは、樹脂層(B)の合計厚さが樹脂層(A)の合計厚さの5〜55%である。10〜45%が好ましく、15〜40%が特に好ましい。樹脂(A)の合計厚さの割合が大きいと、電荷密度は高いが、防湿性は高くない。樹脂(B)の合計厚さの割合が大きいと、防湿性は向上するが、電荷密度自体は高くない。樹脂層(B)の合計厚さを樹脂層(A)の合計厚さの5〜55%にすることにより、高い電荷密度と防湿性を両立することができる。なお、合計厚さとは、同じ種類の樹脂層が2層以上ある場合に、それらの合計の厚さであることを意味する。
図1は、本発明のエレクトレットの一例を示す断面図である。
エレクトレット10は、図1に示すように、樹脂層(A)12と樹脂層(B)14とが直接積層された積層体に電荷が注入されており、樹脂層(A)12側に基板20が配置されている。つまり、エレクトレット10は、樹脂層(A)12の空気側に、空気と接触する最外層として樹脂層(B)14が配置されている。
エレクトレット10の厚さは、1〜200μmが好ましく、6〜32μmがより好ましく、5〜20μmが特に好ましい。エレクトレット10の厚さが上記範囲の下限値以上であれば、発電出力が得られやすい。エレクトレット10の厚さが上記範囲の上限値以下であれば、積層体の製造が容易になる。
樹脂層(A)12の厚さは、5〜30μmが好ましく、5〜25μmが特に好ましい。樹脂層(A)12の厚さが上記範囲の下限値以上であれば、高い電荷密度が発現しやすい。樹脂層(A)12の厚さが上記範囲の上限値以下であれば、膜厚均一性に優れる。
樹脂層(B)14の厚さは、0.1〜10μmが好ましく、1〜7μmが特に好ましい。樹脂層(B)14の厚さが上記範囲の下限値以上であれば、防湿性が向上し、また樹脂層(A)12と樹脂層(B)14の積層体への電荷の注入がより均一に行える。樹脂層(B)14の厚さが上記範囲の上限値以下であれば、膜厚均一性に優れ、高い電荷密度を発現できる。
基板20としては、例えば、電荷を注入する際にアースに接続できる材質からなる基板(1)、絶縁性材料からなる基板の表面に導電性の金属膜が形成された基板(2)、絶縁性材料からなる基板(3)等が挙げられる。基板(3)の場合は、電荷を注入する際は、樹脂層(A)12と樹脂層(B)14との積層体を、基板(1)または基板(2)上に付け替えればよい。
基板(1)としては、例えば、金、白金、銅、アルミニウム、クロム、ニッケル等の導電性の金属からなる基板、あるいは抵抗値が低い半導体材料からなる基板が挙げられる。
基板(2)としては、例えば、ガラス等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリル樹脂等の有機高分子材料等の絶縁性材料の表面に、スパッタリング、蒸着、ウエットコーティング等の方法で導電性の金属膜を形成した基板、シリコン等の半導体材料の表面に前記金属膜を形成した基板が挙げられる。
基板(1)、(2)におけるアースに接続できる部分の抵抗値は、体積固有抵抗値で、0.1Ω・cm以下が好ましく、0.01Ω・cm以下が特に好ましい。
基板(3)としては、例えば、基板(2)で挙げた絶縁性材料からなる基板が挙げられる。
基板20は、表面が平滑な平板でもよく、表面に凹凸を形成した平板でもよく、様々な形状にパターニングされた平板でもよい。
また、基板20が前記基板(2)であり、パターニングされた金属膜を有する場合、絶縁性材料の表面にパターニングされた凹凸を形成し、その凸部の表面に金属膜を形成してもよく、絶縁性材料の表面に直接パターニングされた金属膜を形成してもよい。
また、凹凸を有する金属膜を有する基板(2)の場合、絶縁性材料の表面に凹凸を形成し、該凹凸上に金属膜を形成してもよく、絶縁性材料の表面に直接凹凸を有する金属膜を形成してもよい。
基板の表面に、凹凸を有する金属膜またはパターニングされた金属膜を形成する方法としては、従来公知の方法が採用でき、特に限定されない。凹凸を有する金属膜またはパターニングされた金属膜を形成する方法としては、真空プロセス、湿式プロセスのいずれを用いてもよい。真空プロセスとしては、例えば、マスクを介したスパッタリング法、マスクを介した蒸着法等が挙げられる。湿式プロセスとしては、例えば、ロールコーター法、キャスト法、ディッピング法、スピンコート法、水上キャスト法、ラングミュア・ブロジェット法、ダイコート法、インクジェット法、スプレーコート法等が挙げられる。また、凸版印刷法、グラビア印刷法、平板印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法等の印刷技術を採用してもよい。また、微細な凹凸またはパターンを有する金属膜を形成する場合は、ナノインプリント法、フォトリソグラフィ法等を採用できる。
基板20の表面には、基板20と樹脂層(A)12との密着性の向上等を目的として、表面処理を行ってもよい。表面処理方法としては、基板表面にポリエチレンイミン等を塗布する方法、サンドブラスト等により表面を物理的に処理する方法、コロナ放電等によって表面を化学的に処理する方法等が挙げられる。
なお、本発明のエレクトレットの様態は、図1に限定されない。例えば、基板上に、樹脂層(B)、樹脂層(A)および樹脂層(B)がこの順に直接積層された積層体に、電荷が注入されたエレクトレットであってもよく、基板上に、樹脂層(A)および樹脂層(B)以外の他の層(C)、樹脂層(A)、ならびに樹脂層(B)がこの順に直接積層された積層体に、電荷が注入されたエレクトレットであってもよい。
前記他の層(C)としては、例えば、着色層、防汚層等が挙げられる。
[樹脂層(A)]
本発明における樹脂層(A)は、含フッ素重合体(a1)とシランカップリング剤(a2)との反応生成物を含む樹脂層である。含フッ素重合体(a1)とシランカップリング剤(a2)とを含む組成物においては、熱処理によって、含フッ素重合体(a1)が有する反応性官能基と、シランカップリング剤(a2)が有する反応性官能基とが反応して、含フッ素重合体(a1)とシランカップリング剤(a2)とが結合する。次に、シランカップリング剤(a2)同士が縮合反応により結合し、含フッ素重合体(a1)とシランカップリング剤(a2)との反応生成物が得られる。該反応は、赤外分光スペクトル(以下、「IRスペクトル」ともいう。)の解析により確認することができる。なお、樹脂層(A)中に未反応の含フッ素重合体(a1)またはシランカップリング剤(a2)を含んでいてもよい。
(含フッ素重合体(a1))
含フッ素重合体(a1)としては、例えば、主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素重合体(以下、「含フッ素重合体(a11)」という。)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等が挙げられる。
含フッ素重合体(a1)としては、より高い電荷密度を発現することから、含フッ素重合体(a11)またはETFEが好ましく、含フッ素重合体(a11)が特に好ましい。
また、含フッ素重合体(a1)は、反応性官能基を有することが好ましい。反応性官能基とは、加熱等を行った際に、含フッ素重合体(a1)の分子間、または含フッ素重合体(a1)とともに配合されているシランカップリング剤(a2)と反応して結合を形成し得る反応性を有する基を意味する。
含フッ素重合体(a1)は、主鎖の末端に反応性官能基を有してもよく、側鎖の末端に反応性官能基を有してもよく、主鎖の末端および側鎖の末端の双方に反応性官能基を有してもよい。なかでも、製造が容易であることから、主鎖の末端に反応性官能基を有することが好ましい。
反応性官能基としては、カルボキシ基およびその塩(−COOM。ただし、Mは、カルボキシ基と塩を形成し得る金属原子または原子団である。)、アルコキシカルボニル基、1分子中の2つのカルボキシ基が脱水縮合した酸無水物基、ヒドロキシ基、スルホ基およびその塩(−SO。ただし、Mは、スルホ基と塩を形成し得る金属原子または原子団である。)、エポキシ基、シアノ基、カーボネート基、イソシアネート基、アミド基、アルデヒド基、アミノ基、加水分解性シリル基、炭素−炭素二重結合、アルコキシ基およびアシル基等が挙げられる。
加水分解性シリル基とは、ケイ素原子にアルコキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が結合してなる基であり、加水分解によりシロキサン結合を形成することにより架橋し得る基である。
アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等が挙げられる。なかでも、メトキシカルボニル基、またはエトキシカルボニル基が好ましい。
反応性官能基としては、シランカップリング剤(a2)が有する反応性官能基との反応性の点から、カルボキシ基およびその塩(−COOM。ただし、Mは、カルボキシ基と塩を形成し得る金属原子または原子団である。)、アルコキシカルボニル基、1分子中の2つのカルボキシ基が脱水縮合した酸無水物基およびアシル基からなる群より選ばれる1種以上が好ましく、カルボキシ基またはアルコキシカルボニル基が特に好ましい。
含フッ素重合体(a1)が有する反応性官能基は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。また、反応性官能基の種類や含有量は、シランカップリング剤(a2)の種類、シランカップリング剤(a2)が有する反応性官能基、エレクトレットの用途、エレクトレットに要求される特性、含フッ素重合体(a1)への反応性官能基の導入方法等により適宜選択される。
反応性官能基の導入方法としては、例えば、下記方法(i)〜(iv)が挙げられる。
(i)重合開始剤を用いて重合を行い、生成する不安定末端基を熱処理等により分解し、末端にカルボニルフルオリド基(−CF=O基)を生成させ、後処理を施すことによって、主鎖の末端に反応性官能基を導入する。具体的には、カルボニルフルオリド基を加水分解するとカルボキシ基に変換できる。また、アルコールを作用させるとアルコキシカルボニル基に変換できる。
(ii)側鎖に反応性官能基を有する単量体を共重合させることにより、側鎖の末端に反応性官能基を導入する。
(iii)重合の際に、反応性官能基を有する重合開始剤、連鎖移動剤等を用いることによって、主鎖の末端に反応性官能基を導入する。
(iv)含フッ素重合体に、反応性官能基およびグラフト化が可能な官能基(不飽和結合等)を有する化合物(グラフト性化合物)をグラフトさせる。
方法(i)〜(iv)は、2種以上を組み合わせてもよい。
含フッ素重合体(a1)にカルボキシ基またはアルコキシカルボニル基を導入する場合、導入方法としては方法(i)が好ましい。
<含フッ素重合体(a11)>
含フッ素重合体(a11)における「脂肪族環構造」とは、芳香族性を有さない環構造を意味する。また、「主鎖に脂肪族環構造を有する」とは、環構造を構成する炭素原子のうち、少なくとも1つが含フッ素重合体の主鎖を構成する炭素原子であることを意味する。
脂肪族環構造としては、環骨格が炭素原子のみから構成される環構造であってもよく、炭素原子以外に、酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子を含む複素環構造であってもよい。
例えば、置換基を有していてもよい飽和または不飽和の炭化水素環構造、該炭化水素環構造における炭素原子の一部が酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換された複素環構造が挙げられる。
脂肪族環構造としては、電荷密度が向上することから、環骨格にエーテル性酸素原子を有する複素環構造の脂肪族環構造が好ましく、環骨格に1〜2個のエーテル性酸素原子を有する複素環構造の脂肪族環構造が特に好ましい。
脂肪族環構造の環骨格を構成する原子数は、4〜7が好ましく、5〜6が特に好ましい。すなわち、脂肪族環構造は4〜7員環が好ましく、5〜6員環が特に好ましい。
脂肪族環構造を構成する炭素原子のうち、主鎖を構成する炭素原子は、含フッ素重合体(a11)の重合に用いられた単量体が有する重合性二重結合に由来する。
例えば、含フッ素重合体(a11)が、後述するような環状単量体を重合させて得た含フッ素重合体の場合、該二重結合を構成する2個の炭素原子が主鎖を構成する炭素原子となる。また、2個の重合性二重結合を有する単量体を環化重合させて得た含フッ素重合体の場合は、2個の重合性二重結合を構成する4個の炭素原子のうちの少なくとも2個が主鎖を構成する炭素原子となる。
含フッ素重合体(a11)としては、例えば、主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体が挙げられる。「含フッ素脂肪族環構造」とは、フッ素原子を有する脂肪族環構造である。また、「主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する」とは、含フッ素脂肪族環構造を構成する炭素原子のうち少なくとも1つが含フッ素重合体の主鎖を構成する炭素原子であることを意味する。
含フッ素脂肪族環構造としては、例えば、前記炭化水素環構造、複素環構造等における水素原子の一部または全部が、フッ素原子で置換された環構造が挙げられる。
なかでも、環骨格にエーテル性酸素原子を有する複素環構造の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された含フッ素脂肪族環構造が好ましく、環骨格に1〜2個のエーテル性酸素原子を有する複素環構造の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された含フッ素脂肪族環構造が特に好ましい。
また、含フッ素脂肪族環構造は、環構造における水素原子の全部がフッ素原子で置換されていることが好ましい。
なお、含フッ素重合体(a11)は、主鎖における脂肪族環構造が、総て含フッ素脂肪族環構造以外の脂肪族環構造で、環構造を形成していない主鎖にフッ素原子が結合している重合体であってもよい。
含フッ素重合体(a11)は、シランカップリング剤(a2)が有する反応性官能基との反応性の点から、反応性官能基としてカルボキシ基またはアルコキシカルボニル基を有することが好ましく、主鎖の末端にカルボキシ基またはアルコキシカルボニル基を有することが特に好ましい。
カルボキシ基またはアルコキシカルボニル基の導入方法は、前記方法(i)が好ましい。
含フッ素重合体(a11)としては、下記含フッ素重合体(a11−1)および含フッ素重合体(a11−2)が好ましい。
含フッ素重合体(a11−1):環状含フッ素単量体に基づく単位を有する重合体。
含フッ素重合体(a11−2):ジエン系含フッ素単量体の環化重合により形成される単位を有する重合体(環状含フッ素単量体に基づく単位を有する重合体を除く)。
含フッ素重合体(a11−1)は、環状含フッ素単量体に基づく単位を有する。
環状含フッ素単量体とは、含フッ素脂肪族環構造を構成する炭素原子−炭素原子間に重合性二重結合を有する単量体、または含フッ素脂肪族環を構成する炭素原子と含フッ素脂肪族環外の炭素原子との間に重合性二重結合を有する単量体である。
環状含フッ素単量体としては、下記化合物(1)または化合物(2)が好ましい。
Figure 2013015385
ただし、式中、X11〜X14、Y11およびY12は、それぞれ独立に、フッ素原子、ペルフルオロアルキル基またはペルフルオロアルコキシ基である。
11〜X14、Y11およびY12におけるペルフルオロアルキル基の炭素数は、1〜7が好ましく、1〜4がより好ましい。該ペルフルオロアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状が好ましく、直鎖状がより好ましい。具体的には、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基等が挙げられ、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
11〜X14、Y11およびY12におけるペルフルオロアルコキシ基としては、前記ペルフルオロアルキル基にエーテル性酸素原子が結合した基が挙げられる。具体的には、トリフルオロメトキシ基が挙げられる。
11としては、フッ素原子が好ましい。
12としては、フッ素原子、トリフルオロメチル基、または炭素数1〜4のペルフルオロアルコキシ基が好ましく、フッ素原子またはトリフルオロメトキシ基が特に好ましい。
13およびX14としては、それぞれ独立に、フッ素原子または炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基が好ましく、フッ素原子またはトリフルオロメチル基が特に好ましい。
11およびY12としては、それぞれ独立に、フッ素原子、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基または炭素数1〜4のペルフルオロアルコキシ基が好ましく、フッ素原子またはトリフルオロメチル基が特に好ましい。
化合物(1)は、X13およびX14が相互に結合して2つ目の含フッ素脂肪族環を形成した化合物でもよい。
2つ目の含フッ素脂肪族環としては、4〜6員環が好ましい。
2つ目の含フッ素脂肪族環は、飽和脂肪族環であることが好ましい。
2つ目の含フッ素脂肪族環は、その環骨格中に、エーテル性酸素原子を有していてもよい。この場合、含フッ素脂肪族環中のエーテル性酸素原子数は、1または2が好ましい。
化合物(2)は、Y11およびY12が相互に結合して2つ目の含フッ素脂肪族環を形成していてもよい。
2つ目の含フッ素脂肪族環としては、4〜6員環が好ましい。
2つ目の含フッ素脂肪族環は、飽和脂肪族環であることが好ましい。
2つ目の含フッ素脂肪族環は、その環骨格中に、エーテル性酸素原子を有していてもよい。この場合、含フッ素脂肪族環中のエーテル性酸素原子数は、1または2が好ましい。
化合物(1)の好ましい具体例としては、下記化合物(1−1)〜(1−5)が挙げられる。
化合物(2)の好ましい具体例としては、下記化合物(2−1)〜(2−2)が挙げられる。
環状含フッ素単量体としては、化合物(1)および化合物(2)のなかでも、化合物(1−1)、化合物(1−3)、化合物(2−2)が特に好ましい。
Figure 2013015385
Figure 2013015385
含フッ素重合体(a11−1)は、環状含フッ素単量体に基づく単位のみから構成されてもよく、該単位と、環状含フッ素単量体以外の他の単量体に基づく単位とを有する共重合体であってもよい。
溶媒に可溶で、かつ高い電荷密度が得られる点から、含フッ素重合体(a11−1)中の環状含フッ素単量体に基づく単位の割合は、含フッ素重合体(a11−1)を構成する全単位の合計に対して、20モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、100モル%が特に好ましい。
環状含フッ素単量体以外の他の単量体としては、環状含フッ素単量体と共重合可能な単量体であればよく、特に限定されない。具体的には、後述するジエン系含フッ素単量体、側鎖に反応性官能基を有する単量体、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)等が挙げられる。
なお、環状含フッ素単量体とジエン系含フッ素単量体との共重合により得られる重合体は含フッ素重合体(a11−1)として考える。
環状含フッ素単量体と共重合させるジエン系含フッ素単量体としては、ペルフルオロブテニルビニルエーテル(CF=CF−OCFCF−CF=CF)、またはペルフルオロ(4−メチルブテニル)ビニルエーテル(CF=CF−OCF(CF)CF−CF=CF)が好ましく、ペルフルオロブテニルビニルエーテルが特に好ましい。
側鎖に反応性官能基を有する単量体としては、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−4−(1,2,2−トリフルオロビニロキシ)ブタン酸メチル、2,2,3,3−テトラフルオロ−3−(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−(1,2,2−トリフロオロビニロキシ)プロポキシ)プロパン酸メチル、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−(1,2,2−トリフロオロビニロキシ)プロパン−2−イルオキシ)エタンスルホン酸フルオリド、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(1,2,2−トリフロオロビニロキシ)エタンスルホン酸フルオリド等の含フッ素単量体;ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−(2−(ビニロキシ)エトキシ)エタノール、アクリル酸メチル、アクリル酸ヒドロキシエチル等の炭化水素単量体等が挙げられる。
環状含フッ素単量体と共重合させる側鎖に反応性官能基を有する単量体としては、ビニル基、アニル基を有する単量体が好ましい。
含フッ素重合体(a11−1)としては、重合性が高く、高い電荷密度が得られる点から、下記含フッ素重合体(a11−1A)および含フッ素重合体(a11−1B)が好ましく、含フッ素重合体(a11−1B)が特に好ましい。
含フッ素重合体(a11−1A):化合物(1−1)、化合物(1−3)および化合物(2−2)からなる群より選ばれる1種の環状含フッ素単量体から得られる単独重合体に、カルボキシ基またはアルコキシカルボニル基を導入した重合体。
含フッ素重合体(a11−1B):化合物(1−1)、化合物(1−3)および化合物(2−2)からなる群より選ばれる1種の環状含フッ素単量体と、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンおよびジエン系含フッ素単量体からなる群より選ばれる1種とから得られる共重合体に、カルボキシ基またはアルコキシカルボニル基を導入した重合体。
含フッ素重合体(a11−2)は、ジエン系含フッ素単量体の環化重合により形成される単位を有する重合体である。
ジエン系含フッ素単量体とは、2個の重合性二重結合およびフッ素原子を有する単量体である。重合性二重結合としては、特に限定されないが、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、またはメタクリロイル基が好ましい。
ジエン系含フッ素単量体としては、下記化合物(3)が好ましい。
CF=CF−Q−CF=CF ・・・(3)。
ただし、式(3)中、Qは、エーテル性酸素原子を有していてもよく、フッ素原子の一部がフッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜5のペルフルオロアルキレン基である。前記ペルフルオロアルキレン基は、分岐を有してもよい。前記フッ素原子以外のハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
Qのペルフルオロアルキレン基の炭素数は、1〜3が好ましい。
Qとしては、エーテル性酸素原子を有するペルフルオロアルキレン基が好ましい。この場合、該ペルフルオロアルキレン基におけるエーテル性酸素原子は、該基の一方の末端に存在していてもよく、該基の両末端に存在していてもよく、該基の炭素原子−炭素原子間に存在していてもよい。なかでも、環化重合性が優れることから、該基の一方の末端に存在していることが好ましい。
化合物(3)の具体例としては、例えば、下記化合物が挙げられる。
CF=CF−OCF−CF=CF
CF=CF−OCF(CF)−CF=CF
CF=CF−OCFCF−CF=CF
CF=CF−OCFCF(CF)−CF=CF
CF=CF−OCF(CF)CF−CF=CF
CF=CF−OCFClCF−CF=CF
CF=CF−OCClCF−CF=CF
CF=CF−OCFO−CF=CF
CF=CF−OC(CFO−CF=CF
CF=CF−OCFCF(OCF)−CF=CF
CF=CF−CF−CF=CF
CF=CF−CFCF−CF=CF
CF=CF−CFOCF−CF=CF
化合物(3)の環化重合により形成される単位としては、下記単位(3−1)〜(3−4)等が挙げられる。
Figure 2013015385
化合物(3)の環化重合により形成される単位として、より具体的には下記単位(3−a)〜(3−k)等が挙げられる。単位(3−a)〜(3−k)中、xおよびyは一方が0で他方が1である。
なお、単位(3−a)〜(3−k)は、x=0、y=1の場合、単位(3−1)に相当し、x=1、y=0の場合、単位(3−2)に相当する。
Figure 2013015385
含フッ素重合体(a11−2)は、ジエン系含フッ素単量体の環化重合により形成される単位のみから構成されてもよく、該単位と、ジエン系含フッ素単量体以外の他の単量体(ただし、環状含フッ素単量体を除く)に基づく単位とを有する共重合体であってもよい。
溶媒に可溶で、電荷密度の均一性に優れる点から、含フッ素重合体(a11−2)中のジエン系含フッ素単量体の環化重合により形成される単位の割合は、含フッ素重合体(a11−2)を構成する全単位の合計に対し、50モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、100モル%が特に好ましい。
ジエン系含フッ素単量体以外の他の単量体としては、ジエン系含フッ素単量体と共重合可能なものであればよく、特に限定されない。具体的には、側鎖に反応性官能基を有する単量体、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)等が挙げられる。
側鎖に反応性官能基を有する単量体は、含フッ素重合体(a11−2)における他の単量体として挙げたものと同じものが挙げられる。側鎖に反応性官能基を有する単量体を共重合すれば、含フッ素重合体(a11−2)の側鎖の末端に反応性官能基を導入できる。
含フッ素重合体(a11−2)としては、下記含フッ素重合体(a11−2A)〜(a11−2C)が好ましい。
含フッ素重合体(a11−2A):ペルフルオロブテニルビニルエーテル(CF=CF−OCFCF−CF=CF)、ペルフルオロ(3−メチルブテニル)ビニルエーテル(CF=CF−OCFCF(CF)−CF=CF)、ペルフルオロ(4−メチルブテニル)ビニルエーテル(CF=CF−OCF(CF)CF−CF=CF)、ペルフルオロ(4−クロロブテニル)ビニルエーテル(CF=CF−OCFClCF−CF=CF)、ペルフルオロ(4,4’−ジクロロブテニル)ビニルエーテル(CF=CF−OCClCF−CF=CF)、およびペルフルオロ(3−メトキシブテニル)ビニルエーテル(CF=CF−OCFCF(OCF)−CF=CF)(以下、これら6種の単量体をまとめて「単量体(c)」という。)からなる群より選ばれる1種のジエン系含フッ素単量体から得られる単独重合体に、カルボキシ基またはアルコキシカルボニル基を導入した重合体。
含フッ素重合体(a11−2B):単量体(c)からなる群より選ばれる2種または3種から得られる共重合体に、カルボキシ基またはアルコキシカルボニル基を導入した重合体。
含フッ素重合体(a11−2C):単量体(c)からなる群より選ばれる1種のジエン系含フッ素単量体と、テトラフルオロエチレンもしくはクロロトリフルオロエチレンとの共重合体に、カルボキシ基またはアルコキシカルボニル基を導入した重合体。
含フッ素重合体(a11−2)としては、含フッ素重合体(a11−2A)〜(a11−2C)のなかでも、含フッ素重合体(a11−2A)がより好ましく、ペルフルオロブテニルビニルエーテルまたはペルフルオロ(3−メチルブテニル)ビニルエーテルの単独重合体に、カルボキシ基またはアルコキシカルボニル基を導入した重合体が特に好ましい。
含フッ素重合体(a11)の製造では、重合開始剤を用いて重合を行う。
重合開始剤としては、一般的に用いられている重合開始剤を適用でき、パーオキシド基を有する重合開始剤が好ましい。パーオキシド基を有する重合開始剤としては、炭化水素系重合開始剤および含フッ素重合開始剤のいずれも使用できる。
炭化水素系重合開始剤としては、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジイソブチルパーオキシジカーボネート、ジプロパン酸パーオキシド、ジブタン酸パーオキシド、ベンゾイックパーオキシド、ジターシャリーブチルパーオキシド等が挙げられる。
含フッ素重合開始剤としては、例えば、ジペルフルオロプロパン酸パーオキシド、ジペルフルオロブタン酸パーオキシド、ペルフルオロベンゾイックパーオキシド、ジペルフルオロターシャリーブチルパーオキシド等が挙げられる。
含フッ素重合体(a11)は、溶媒に可溶で、かつシランカップリング剤(a2)との相溶性が良好である点から、非晶質であることが好ましい。
含フッ素重合体(a11)の質量平均分子量(Mw)は、5万以上が好ましく、15万以上がより好ましく、20万以上がさらに好ましく、25万以上が特に好ましい。質量平均分子量(Mw)が5万以上であれば、製膜が容易になる。また、質量平均分子量(Mw)が20万以上であれば、樹脂層(A)の耐熱性が向上し、エレクトレットの熱安定性が向上する。
一方、含フッ素重合体(a11)の質量平均分子量(Mw)は、100万以下が好ましく、85万以下がより好ましく、65万以下がさらに好ましく、55万以下が特に好ましい。質量平均分子量(Mw)が上記上限値以下であれば、溶媒への溶解性が向上し、膜厚が均一な樹脂層が製造できる。
なお、含フッ素重合体(a11)の質量平均分子量(Mw)は、含フッ素重合体(a11)の固有粘度と相関関係にある。したがって、上記好ましい質量平均分子量(Mw)に対応する固有粘度を有することが好ましい。
具体的な好ましい固有粘度の値は、含フッ素重合体(a11)を構成する単位に応じて変化する。たとえば、含フッ素重合体(a11)が、CF=CFOCFCFCF=CFの環化重合体である場合には、固有粘度(30℃)が0.25〜0.90dl/gであることが好ましく、0.30〜0.80dl/gであることがより好ましく、0.30〜0.60dl/gであることが特に好ましい。
なお、前記固有粘度は、ペルフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)を溶媒として測定される値である。
含フッ素重合体(a11)の比誘電率は、エレクトレットの電荷保持性能が向上することから、1.8〜8が好ましく、1.8〜5がより好ましく、1.8〜3が特に好ましい。該比誘電率は、ASTM D150に準拠し、周波数1MHzにおいて測定される値である。
また、含フッ素重合体(a11)としては、体積固有抵抗が高く、絶縁破壊電圧が大きいものが好ましい。
含フッ素重合体(a11)の体積固有抵抗は、1010〜1020Ω・cmが好ましく、1016〜1019Ω・cmが特に好ましい。該体積固有抵抗は、ASTM D257により測定される値である。
含フッ素重合体(a11)の絶縁破壊電圧は、10〜25kV/mmが好ましく、15〜22kV/mmが特に好ましい。該絶縁破壊電圧は、ASTM D149により測定される値である。
含フッ素重合体(a11)としては、絶縁性に悪影響を与える水を排除し、高い絶縁性を維持するために、疎水性の高いものが好ましい。
含フッ素重合体(a11)は、市販品を用いてもよい。例えば、サイトップ(登録商標、旭硝子社製)が挙げられる。
含フッ素重合体(a11)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<ETFE>
ETFEは、テトラフルオロエチレン(以下、「TFE」という。)に基づく単位と、エチレン(以下、「E」という。)に基づく単位と、を有する共重合体である。ETFEは、下記(1)〜(3)の点で有利である。
(1)含フッ素重合体(a11)よりも安価であるため、より低コストでエレクトレットを製造できる。
(2)結晶性を有するため、エレクトレット中に添加剤を導入し、結晶間のアモルファス部位に取り込ませることにより、ナノオーダーでの分散が可能となる。
(3)結晶性を有するため、ガラス転移点以上でも軟化し難い。
TFEに基づく単位とEに基づく単位とのモル比(TFE/E)は、70/30〜30/70が好ましく、65/35〜40/60がより好ましく、60/40〜40/60が特に好ましい。該モル比が上記範囲内であれば、耐熱性、耐候性、耐薬品性等のTFEに基づく単位に由来する特性と、機械的強度、溶融成形性等のEに基づく単位に由来する特性とのバランスが良好となる。
ETFEは、各種機能を付与できることから、TFEおよびE以外の単量体に基づく単位を有することが好ましい。TFEおよびE以外の単量体としては、国際公開第2010/044421号の段落[0025]〜[0026]、国際公開第2010/044425号の段落[0026]〜[0027]に記載されたその他の単量体等が挙げられる。例えば、フッ化ビニリデン(CF=CH)、ヘキサフルオロプロピレン(CF=CFCF)、3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテン(CFCFCH=CH)、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ−1−ヘキセン(CFCFCFCFCH=CH)、2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロ−1−ペンテン(CFHCFCFCF=CH)、プロピレン、イソブチレン、4−メチル−1−ペンテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。
ETFEは、反応性官能基を有することが好ましい。ETFEが有する反応性官能基としては、カルボキシ基およびその塩(−COOM。ただし、Mは、カルボキシ基と塩を形成し得る金属原子または原子団である。)、1分子中の2つのカルボキシ基が脱水縮合した酸無水物基およびアシル基が好ましい。ETFEに反応性官能基を導入する方法としては、前記方法(i)〜(iv)のなかでも、方法(ii)、方法(iv)、または方法(ii)と方法(iv)の併用が好ましい。
方法(ii)でETFEに反応性官能基を導入する場合、ETFE中の反応性官能基を有する単量体に基づく単位の割合は、ETFEを構成する全単位に対して、0.01〜5モル%が好ましい。該割合が上記範囲内であれば、実質的にTFEに基づく単位およびEに基づく単位のみからなるETFEが有する特性を損うことなく、シランカップリング剤(a2)に対する充分な反応性を付与できる。
ETFEの融点は、溶解性および機械的強度等の点から、130〜275℃が好ましく、140〜265℃がより好ましく、150〜260℃が特に好ましい。ETFEの融点は、示差走査熱量測定(DSC)装置によって測定される値である。
ETFEの容量流速(以下、「Q値」という。)は、0.1〜2,000mm/秒が好ましい。Q値は、ETFEの溶融流動性を表す指標であり、分子量の目安となる。Q値が大きいと分子量が低く、小さいと分子量が高いことを示す。Q値は、フローテスタ(島津製作所社製)を用い、ETFEの融点より50℃高い温度において、荷重7kgf下に直径2.1mm、長さ8mmのオリフィス中にETFEを押出すときの押出速度である。Q値が小さすぎると溶解性が悪くなり、大きすぎると含フッ素共重合体の機械的強度が低下するとともに、樹脂層(A)にひび割れ等が発生しやすくなる。ETFEのQ値は、5〜500mm/秒がより好ましく、10〜200mm/秒が特に好ましい。Q値が上記範囲内にあれば、ETFEの機械的強度が向上し、樹脂層(A)にひび割れ等が発生し難い。
ETFEは、市販を用いてもよい。例えば、国際公開第2010/044421号の段落[0028]、国際公開第2010/044425号の段落[0031]に記載されたもの、旭硝子社製:Fluon(登録商標)ETFE Series、Fluon LM−ETFE AH Series等が挙げられる。
ETFEは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(シランカップリング剤(a2))
シランカップリング剤(a2)は、反応性官能基を有するのが好ましい。反応性官能基は、含フッ素重合体(a1)の有する反応性官能基と反応する基が好ましい。反応性官能基としては、アミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ビニル基、エポキシ基、(メタ)アクリル基、メルカプト基等が挙げられる。シランカップリグ剤由来の部分が分極し、ナノクラスタ構造が形成されて高い電荷密度が得られる点から、アミノ基が好ましい。すなわち、シランカップリング剤(a2)としては、アミノ基を有するシランカップリング剤(以下、「シランカップリング剤(a21)」という。)が好ましい。アミノ基の数は、1個であってもよく、2個以上であってもよい。
シランカップリング剤(a21)としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン類、
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類。
また、シランカップリング剤(a21)としては、下記化合物(s1)、化合物(s2)等の芳香族アミン構造を有するシランカップリング剤が挙げられる。
ArSi(OR)(OR)(OR) …(s1)
ArSiR(OR)(OR) …(s2)
式中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基を表し、Arはp−、m−またはo−アミノフェニル基を表す。
化合物(s1)および化合物(s2)の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリプロポキシシラン、アミノフェニルトリイソプロポキシシラン、アミノフェニルメチルジメトキシシラン、アミノフェニルメチルジエトキシシラン、アミノフェニルメチルジプロポキシシラン、アミノフェニルメチルジイソプロポキシシラン、アミノフェニルフェニルジメトキシシラン、アミノフェニルフェニルジエトキシシラン、アミノフェニルフェニルジプロポキシシラン、アミノフェニルフェニルジイソプロポキシシラン等。
また、シランカップリング剤(a21)の部分加水縮合物を使用することも好ましい。また、シランカップリング剤(a21)と、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン等のテトラアルコキシシランとの共部分加水縮合物を使用することも好ましい。
入手の容易性等を考慮すると、特に好ましいシランカップリング剤(a21)は、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシランおよびアミノフェニルトリメトキシシランからなる群より選ばれる1種以上である。
シランカップリング剤(a21)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(含フッ素重合体(a11)とシランカップリング剤(a2)との組み合わせ)
含フッ素重合体(a11)とシランカップリング剤(a2)との組み合わせとしては、エレクトレットの電荷密度および電荷保持特性(すなわち、耐久性)がより優れることから、カルボキシ基またはアルコキシカルボニル基を有する含フッ素重合体(a11)と、シランカップリング剤(a21)との組み合わせが好ましい。なかでも、以下の組み合わせ1、2がより好ましく、組み合わせ2が特に好ましい。
なお、カルボキシ基またはアルコキシカルボニル基を有する含フッ素重合体(a11)とシランカップリング剤(a21)との反応生成物は、含フッ素重合体(a11)の有するカルボキシ基またはアルコキシカルボニル基と、シランカップリング剤(a21)の有するアミノ基とが反応してアミド結合を形成した化合物である。
<組み合わせ1>
含フッ素重合体(a11):化合物(1−1)と、TFEまたはジエン系含フッ素単量体との共重合体に、カルボキシ基またはアルコキシカルボニル基を導入した重合体、およびジエン系含フッ素単量体の単独重合体に、カルボキシ基またはアルコキシカルボニル基を導入した重合体からなる群より選ばれる1種、
シランカップリング剤(a21):γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシランおよびアミノフェニルトリメトキシシランからなる群より選ばれる1種。
<組み合わせ2>
含フッ素重合体(a11):ジエン系含フッ素単量体の単独重合体に、カルボキシ基またはアルコキシカルボニル基を導入した重合体、
シランカップリング剤(a21):γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびN−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシランからなる群より選ばれる1種。
前記組み合わせ1、2におけるジエン系含フッ素単量体としては、ペルフルオロブテニルビニルエーテル(CF=CFOCFCFCF=CF)、またはペルフルオロ(4−メチルブテニル)ビニルエーテル(CF=CFOCF(CF)CFCF=CF)が好ましく、ペルフルオロブテニルビニルエーテルが特に好ましい。
(ETFEとシランカップリング剤(a2)との組み合わせ)
ETFEとシランカップリング剤(a2)との組み合わせとしては、以下の組み合わせが好ましい。
ETFE:TFE/エチレン/反応性官能基(カルボキシ基およびその塩(−COOM。ただし、Mは、カルボキシ基と塩を形成し得る金属原子または原子団である。)、1分子中の2つのカルボキシ基が脱水縮合した酸無水物基およびアシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種。)を有する単量体が65〜40/35〜60/0.01〜5(モル比)であるETFE、
シランカップリング剤(a2):シランカップリング剤(a21)の組み合わせ。
なかでも、以下の組み合わせ3〜7が特に好ましい。
<組み合わせ3>
ETFE:TFE/E/ヘキサフルオロプロピレン/3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ−1−ヘキセン/無水イタコン酸の共重合体、
シランカップリング剤(a21):γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン。
<組み合わせ4>
ETFE:TFE/E/ヘキサフルオロプロピレン/3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ−1−ヘキセン/無水イタコン酸の共重合体、
シランカップリング剤(a21):N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン。
<組み合わせ5>
ETFE:TFE/E/ヘキサフルオロプロピレン/3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ−1−ヘキセン/無水イタコン酸の共重合体、
シランカップリング剤(a21):N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン。
<組み合わせ6>
ETFE:TFE/E/3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテン/無水イタコン酸の共重合体、
シランカップリング剤(a21):N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン。
<組み合わせ7>
ETFE:Dyneon社製 Dyneon(登録商標)HTE 1705(TFE、エチレン、ヘキサフルオロプロピレンの共重合体)、
シランカップリング剤(a21):N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン。
[樹脂層(B)]
本発明における樹脂層(B)は、含フッ素重合体(b1)とシランカップリング剤(b2)との反応生成物を含まず、含フッ素重合体(b1)を含む樹脂層であり、樹脂層(A)の空気側に直接積層されており、空気と接触する最外層となっている。含フッ素重合体(b1)の好ましい様態は、樹脂層(A)で挙げた含フッ素重合体(a1)の好ましい様態と同じものが挙げられる。含フッ素重合体(b1)は、樹脂層(A)と樹脂層(B)の密着性が向上し、樹脂層(A)と樹脂層(B)の層間に水分が浸入することを抑制する効果がより高くなることから、樹脂層(A)の含フッ素重合体(a1)と同じ種類の含フッ素重合体であることが好ましい。また、含フッ素重合体(b1)の一様態として含フッ素重合体(b11)を挙げた場合、含フッ素重合体(b11)は、樹脂層(A)の含フッ素重合体(a11)と同じ種類の含フッ素重合体であることが好ましい。また、シランカップリング剤(b2)は、全てのシランカップリング剤を含み、例えば、樹脂層(A)におけるシランカップリング剤(a2)と同じものが挙げられる。
樹脂層(B)は、含フッ素重合体(b1)とシランカップリング剤(b2)との反応生成物を含まないことから、樹脂層(A)に比べて吸水し難いので、優れた防湿性が得られる。
[エレクトレットの製造方法]
本発明のエレクトレットの製造方法は、下記工程(X1)〜(X5)を有する方法が好ましい。
(X1)基板上に、含フッ素重合体(a1)、シランカップリング剤(a2)および溶媒(以下、「溶媒(a3)」ともいう。)を含むコーティング液(以下、「コーティング液(α)」ともいう。)をコーティングしてコーティング膜(A1)を形成し、予備乾燥する工程。
(X2)前記予備乾燥したコーティング膜(A1)を焼成して樹脂層(A)を形成する工程。
(X3)前記樹脂層(A)上に、シランカップリング剤(b2)を含まず、含フッ素重合体(b1)および溶媒(以下、「溶媒(b3)」ともいう。)を含むコーティング液(以下、「コーティング液(β)」ともいう。)をコーティングしてコーティング膜(B1)を形成し、予備乾燥する工程。
(X4)前記予備乾燥したコーティング膜(B1)を焼成して樹脂層(B)を形成し、基板上に樹脂層(A)と樹脂層(B)とが直接積層した積層体を形成する工程。
(X5)前記積層体に電荷を注入する工程。
以下、含フッ素重合体(a1)として説明する場合、含フッ素重合体(a1)は、含フッ素重合体(a11)、ETFE、PTFEおよびFEPを含む様態であり、また含フッ素重合体(b1)として説明する場合、含フッ素重合体(b1)は、含フッ素重合体(b11)、ETFE、PTFEおよびFEPを含む様態である。
(工程(X1))
工程(X1)は、含フッ素重合体(a1)、シランカップリング剤(a2)および溶媒(a3)を含むコーティング液(α)を調製し、次に、基板上に、該コーティング液(α)をコーティングして、コーティング膜(A1)を形成し、予備乾燥する工程である。
<溶媒(a3)>
溶媒(a3)としては、少なくとも含フッ素重合体(a1)を溶解する溶媒が好ましい。含フッ素重合体(a1)が含フッ素重合体(a11)である場合、例えば、含フッ素有機溶媒が好ましい。
均一なコーティング液が得られやすい点から、溶媒(a3)としては、含フッ素重合体(a1)の溶解性に優れた溶媒の単独使用、含フッ素重合体(a1)とシランカップリング剤(a2)の双方を溶解する溶媒の単独使用、または含フッ素重合体(a1)の溶解性に優れた溶媒と、含フッ素重合体(a1)とシランカップリング剤(a2)の双方を溶解する溶媒との併用が挙げられる。
含フッ素重合体(a1)の溶解性に優れた溶媒としては、非プロトン性含フッ素溶媒が好ましい。非プロトン性含フッ素溶媒とは、プロトン供与性を有さない含フッ素溶媒である。非プロトン性含フッ素溶媒としては、例えば、以下の含フッ素化合物が挙げられる。
ペルフルオロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等のポリフルオロ芳香族化合物;ペルフルオロトリブチルアミン、ペルフルオロトリプロピルアミン等のポリフルオロトリアルキルアミン化合物;ペルフルオロデカリン、ペルフルオロシクロヘキサン、ペルフルオロ(1,3,5−トリメチルシクロヘキサン)等のポリフルオロシクロアルカン化合物;ペルフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)等のポリフルオロ環状エーテル化合物;ペルフルオロポリエーテル。
ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロオクタン、ペルフルオロデカン、ペルフルオロドデカン、ペルフルオロ(2,7−ジメチルオクタン)、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、1,1,1−トリクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,3−テトラクロロ−2,2,3,3−テトラフルオロプロパン、1,1,3,4−テトラクロロ−1,2,2,3,4,4−ヘキサフルオロブタン、ペルフルオロ(1,2−ジメチルヘキサン)、ペルフルオロ(1,3−ジメチルヘキサン)、1,1,2,2,3,3,5,5,5−デカフルオロペンタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロヘキサン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ヘプタデカフルオロオクタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10−ヘニコサフルオロデカン、1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロヘキサン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロオクタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ヘプタデカフルオロデカン、1,1,1,2,3,4,5,5,5−ノナフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ペンタン、1,1,1,2,2,3,5,5,5−ノナフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ペンタン、3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン等のポリフルオロアルカン化合物。
これらの非プロトン性含フッ素溶媒は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
非プロトン性含フッ素溶媒としては、前記溶媒以外にハイドロフルオロエーテル(HFE)とハイドロフルオロカーボン(HFC)も挙げられる。
HFEとしては、一般式R−O−R(Rはエーテル性酸素原子を有してもよい炭素数5〜12の直鎖状または分岐状のポリフルオロアルキル基であり、Rは炭素数1〜5の直鎖状または分岐状のアルキル基またはポリフルオロアルキル基である。)で表されるHFEが好ましい。
ポリフルオロアルキル基とは、アルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された基であり、アルキル基の水素原子のすべてがフッ素原子に置換されたペルフルオロアルキル基、またはアルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換されかつアルキル基の水素原子の1個以上がフッ素原子以外のハロゲン原子に置換された基を含むものである。フッ素原子以外のハロゲン原子としては塩素原子が好ましい。
の炭素数が5以上であれば、含フッ素重合体(a1)を溶解しやすい。Rの炭素数が12以下であれば、工業的に入手しやすい。Rの炭素数は、6〜10が好ましく、6〜7または9〜10が特に好ましい。
は、ポリフルオロアルキル基に対応するアルキル基の水素原子の総数に対する、フッ素原子に置換された数の割合が、60%以上の基が好ましく、80%以上の基がより好ましく、ペルフルオロアルキル基であることが特に好ましい。
がエーテル性酸素原子を有する場合、含フッ素重合体(a1)の溶解性が向上することから、R中のエーテル性酸素原子数は、1〜3が好ましく、1〜2が特に好ましい。
の炭素数が5以下であれば、含フッ素重合体(a1)の溶解性が向上する。
としては、メチル基、エチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基またはテトラフルオロプロピル基が好ましい。
HFEの分子量は、コーティング液の粘度が高くなりすぎるのを抑制しやすく、また含フッ素重合体(a1)の溶解性が向上することから、1,000以下が好ましい。
また、含フッ素重合体(a1)の溶解性が向上することから、HFEのフッ素含有量は60〜80質量%が好ましい。
HFEとしては、F(CFOCH、HCFCFOCHCF、HCFCFCHOCHCF、F(CFOCH、F(CFOCH、F(CFOCH、F(CFOCH、F(CFOCH、F(CF10OCH、H(CFOCH、(CFCFCF(OCH)CFCF、F(CFOCF(CF)CFOCH、F(CFOCF(CF)CFOCF(CF)CFOCH、F(CFOCHCHCH、(CFCFCFCFOCH、F(CFO(CFOCHCHが好ましく、(CFCFCF(OCH)CFCFが特に好ましい。
これらのHFEは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
HFCとしては、例えば、C13CHCH、C13H、C17CHCH、C17Hが挙げられる。
なかでも、生体への蓄積性が低い点からC13CHCH、C13Hが好ましい。
含フッ素重合体(a1)とシランカップリング剤(a2)の双方を溶解する溶媒としては、プロトン性含フッ素溶媒が好ましい。プロトン性含フッ素溶媒とは、プロトン供与性を有する含フッ素溶媒である。プロトン性含フッ素溶媒としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、2−(ペルフルオロブチル)エタノール、2−(ペルフルオロヘキシル)エタノール、2−(ペルフルオロオクチル)エタノール、2−(ペルフルオロデシル)エタノール、2−(ペルフルオロ−3−メチルブチル)エタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1−ヘプタノール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ヘキサデカフルオロ−1−ノナノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、1,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブタノール等の含フッ素アルコール、
トリフルオロ酢酸、ペルフルオロプロパン酸、ペルフルオロブタン酸、ペルフルオロペンタン酸、ペルフルオロヘキサン酸、ペルフルオロヘプタン酸、ペルフルオロオクタン酸、ペルフルオロノナン酸、ペルフルオロデカン酸、1,1,2,2−テトラフルオロプロパン酸、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロペンタン酸、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−ドデカフルオロヘプタン酸、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ヘキサデカフルオロノナン酸等の含フッ素カルボン酸、
前記含フッ素カルボン酸のアミド、
トリフルオロメタンスルホン酸、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸等の含フッ素スルホン酸等。
これらのプロトン性含フッ素溶媒は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
溶媒(a3)の沸点は、65〜220℃が好ましい。沸点が65℃以上であれば、均一なコーティング膜(A1)を形成しやすい。
また、溶媒(a3)の水分は、少ないことが好ましい。具体的には、溶媒(a3)の水分は、100質量ppm以下が好ましく、20質量ppm以下が特に好ましい。
コーティング液(α)は、含フッ素重合体(a1)、シランカップリング剤(a2)および溶媒(a3)を混合して調製してもよく、含フッ素重合体(a1)と溶媒(a3)を混合した液と、シランカップリング剤(a2)と溶媒(a3)を混合にした液とを各々調製し、混合して調製してもよい。また、含フッ素重合体(a1)と溶媒(a3)を混合した液を調製し、シランカップリング剤(a2)を混合して調製してもよい。なお、各液は含フッ素重合体(a1)およびシランカップリング剤(a2)が溶媒(a3)に溶解していることが好ましい。
含フッ素重合体(a1)、シランカップリング剤(a2)および溶媒(a3)の混合に用いる手段としては、撹拌操作等が挙げられる。
含フッ素重合体(a11)を用いる場合、コーティング液(α)を調製する際の液の温度は、含フッ素重合体(a11)とシランカップリング剤(a2)の劣化を抑制しやすいことから、30℃以下が好ましい。下限値は、含フッ素重合体(a11)およびシランカップリング剤(a2)が溶解しやすいことから、20℃以上が好ましく、25℃以上が特に好ましい。
コーティング液(α)を調製する際の時間は、含フッ素重合体(a11)およびシランカップリング剤(a2)の含有量、形状等に依存するが、0.5〜10時間が好ましく、1〜3時間が特に好ましい。該時間が上記範囲の下限値以上であれば、充分な溶解状態が得られやすく、上記範囲の上限値以下であれば、製造効率が向上する。
コーティング液(α)中の含フッ素重合体(a1)の含有量は、0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜20質量%が特に好ましい。
コーティング液(α)中のシランカップリング剤(a2)の含有量は、含フッ素重合体(a1)とシランカップリング剤(a2)との合計量に対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.3〜10質量%がより好ましく、0.5〜5質量%が特に好ましい。シランカップリング剤(a2)の含有量が上記範囲内であれば、含フッ素重合体(a1)とシランカップリング剤(a2)とを均一に混合でき、コーティング液(α)中で相分離することを抑制しやすい。
なお、コーティング液(α)中で、シランカップリング剤(a2)の一部が含フッ素重合体(a1)と反応し、結合していてもよい。
コーティング液(α)の固形分濃度は、形成しようとするコーティング膜(A1)の膜厚に応じて適宜設定すればよく、0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜20質量%が特に好ましい。
なお、本発明におけるコーティング液の固形分は、質量を測定したコーティング液を、常圧下、200℃で1時間加熱することで、溶媒を留去し、残存する固形分の質量を測定することで算出される。
コーティング液(α)を基板上にコーティングする方法としては、ロールコーター法、キャスト法、ディッピング法、スピンコート法、水上キャスト法、ラングミュア・ブロジェット法、ダイコート法、インクジェット法、スプレーコート法等が挙げられる。また、凸版印刷法、グラビア印刷法、平板印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法等の印刷技術を使用してもよい。
コーティングする際のコーティング液(α)の温度は、コーティング液(α)の組成によって異なるが、10〜30℃が好ましく、20〜25℃が特に好ましい。該温度が上記範囲の下限値以上であれば、結露や析出がなく均一なコーティング膜(A1)が形成できる。該温度が上記範囲の上限値以下であれば、溶媒(a3)が揮発しにくくなり、気泡等が発生する可能性が少ない。
コーティング膜(A1)の形状、大きさは、所望のエレクトレットの形状、大きさに応じて適宜設定すればよい。
予備乾燥では、コーティング膜(A1)中の溶媒(a3)をできるだけ飛散させ、予備的に乾燥させる。予備乾燥によって、焼成後の樹脂層(A)に、発泡、表面荒れ、不均一化等による不具合が生じることを抑制できる。
予備乾燥温度は、50〜130℃が好ましく、70〜120℃が特に好ましい。該温度が上記範囲の下限値以上であれば、溶媒(a3)が飛散しやすい。上記範囲の上限値以下であれば、ムラなく溶媒を乾燥させることができる。
予備乾燥時間は、5分〜1時間が好ましく、5〜30分が特に好ましい。
(工程(X2))
工程(X2)は、予備乾燥したコーティング膜(A1)を焼成して、基板上に樹脂層(A)を形成する工程である。焼成後は、樹脂層(A)を冷却して常温にする。
焼成温度は、100〜300℃が好ましく、120〜300℃がより好ましく、150〜300℃が特に好ましい。焼成温度が上記範囲の下限値以上であれば、含フッ素重合体(a1)とシランカップリング剤(a2)との反応が促進され、熱安定性に優れた樹脂層(A)が形成されやすい。上記範囲の上限値以下であれば、シランカップリング剤(a2)が分解することを抑制しやすい。
焼成時間は、0.5〜5時間が好ましい。焼成時間が上記範囲の下限値以上であれば、残存する溶媒量をより少なくできる。上記範囲の上限値以下であれば、製造効率が向上する。
焼成時の雰囲気は、不活性ガス中でも空気中であってもよい。
シランカップリング剤(a2)が加水分解性シリル基またはシラノール基を有する場合は、その加水分解縮合が促進される点から、空気中が好ましい。なお、ここにおいて、不活性ガス中とは、窒素ガス、およびヘリウムガスおよびアルゴンガス等の希ガスからなる群より選ばれる少なくとも1種の不活性ガスを99体積%以上含む気体中であることをいう。
焼成時の圧力は、常圧が好ましい。
冷却は、徐冷でも急冷でもよいが、徐冷が好ましい。冷却速度は5〜10℃/分が好ましい。冷却は装置も用いて行っても放置して自然冷却させてもよく、樹脂層(A)の状態(表面平滑性、膜厚均一性等)を安定させる点から装置を用いて行うことが好ましい。
また、工程(X1)および(X2)を複数回繰り返して、樹脂層(A)を形成してもよい。
(工程(X3))
工程(X3)は、シランカップリング剤(b2)を含まず、含フッ素重合体(b1)および溶媒(b3)を含むコーティング液(β)を調製し、次に、樹脂層(A)上に、該コーティング液(β)をコーティングして、コーティング膜(B1)を形成し、予備乾燥する工程である。
(溶媒(b3))
溶媒(b3)としては、均一なコーティング液(β)が得られることから、含フッ素重合体(b1)を溶解する含フッ素有機溶媒を使用することが好ましい。また、表面張力が20mN/m以下の含フッ素有機溶媒が好ましい。表面張力は、25℃で白金プレート法にて測定することができる。
樹脂層(A)は、含フッ素重合体を含むために撥水効果が高く、コーティング液をはじきやすい性質がある。樹脂層(A)に対してオゾン処理、プラズマ処理等の表面処理を施すことで、樹脂層(A)の濡れ性を向上させることは可能であるが、この場合、樹脂層(A)の表面が化学変化することでエレクトレット特性を損う場合がある。溶媒(b3)として表面張力が20mN/m以下の含フッ素有機溶媒を使用することで、樹脂層(A)に表面処理を施さなくても、樹脂層(A)上に均一なコーティング膜(B1)を形成しやすくなる。
表面張力20mN/m以下の含フッ素有機溶媒としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
ペルフルオロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等のポリフルオロ芳香族化合物;ペルフルオロトリブチルアミン、ペルフルオロトリプロピルアミン等のポリフルオロトリアルキルアミン化合物;ペルフルオロデカリン、ペルフルオロシクロヘキサン、ペルフルオロ(1,3,5−トリメチルシクロヘキサン)等のポリフルオロシクロアルカン化合物;ペルフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)等のポリフルオロ環状エーテル化合物;ペルフルオロポリエーテル。
ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロオクタン、ペルフルオロデカン、ペルフルオロドデカン、ペルフルオロ(2,7−ジメチルオクタン)、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、1,1,1−トリクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,3−テトラクロロ−2,2,3,3−テトラフルオロプロパン、1,1,3,4−テトラクロロ−1,2,2,3,4,4−ヘキサフルオロブタン、ペルフルオロ(1,2−ジメチルヘキサン)、ペルフルオロ(1,3−ジメチルヘキサン)、1,1,2,2,3,3,5,5,5−デカフルオロペンタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロヘキサン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ヘプタデカフルオロオクタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10−ヘニコサフルオロデカン、1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロヘキサン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロオクタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ヘプタデカフルオロデカン、1,1,1,2,3,4,5,5,5−ノナフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ペンタン、1,1,1,2,2,3,5,5,5−ノナフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ペンタン、3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン等のポリフルオロアルカン化合物。
(CFCFCF(OCH)CFCF等のハイドロフルオロエーテル、(CF)C10等のハイドロフルオロカーボン等。
溶媒(b3)としては、ペルフルオロオクタン、ペルフルオロトリブチルアミンおよびペルフルオロトリプロピルアミンが特に好ましい。
溶媒(b3)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
コーティング液(β)中の含フッ素重合体(b1)の含有量は、0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましい。
また、コーティング液(β)の固形分濃度は、形成しようとする樹脂層(B)の膜厚に応じて適宜設定すればよく、0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜20質量%が特に好ましい。
コーティング液(β)を樹脂層(A)上にコーティングする方法は、工程(X1)におけるコーティング方法の好ましい様態と同じである。
コーティングする際のコーティング液(β)の温度は、コーティング液(β)の組成によって異なるが、10〜30℃が好ましく、20〜25℃が特に好ましい。該温度が上記範囲の下限値以上であれば、結露や析出がなく均一なコーティング膜(B1)が形成できる。該温度が上記範囲の上限値以下であれば、溶媒(b3)が揮発しにくくなり、気泡等が発生する可能性が少ない。
コーティング膜(B1)の形状、大きさは、所望のエレクトレットの形状、大きさに応じて適宜設定すればよい。
焼成後の樹脂層(B)の厚さを、0.1〜10μm、好ましくは2〜10μmとするためには、コーティング膜(B1)の厚さを、2〜8μm、好ましくは2〜7μmとする。
予備乾燥では、コーティング膜(B1)中の溶媒(b3)をできるだけ飛散させ、予備的に乾燥させる。予備乾燥によって、工程(X4)の焼成後の樹脂層(B)に、発泡、表面荒れ、不均一化等による不具合が生じることを抑制できる。
コーティング膜(B1)の予備乾燥温度の好ましい様態は、工程(X1)における予備乾燥温度の好ましい様態と同じである。
(工程(X4))
工程(X4)は、予備乾燥したコーティング膜(B1)を焼成して、基板上に樹脂層(A)と樹脂層(B)とが直接積層した積層体を形成する工程である。焼成後は、積層体を冷却して常温にする。
焼成温度は、100〜300℃が好ましく、130〜300℃がより好ましく、140〜300℃が特に好ましい。焼成温度が上記範囲の下限値以上であれば、溶媒(b3)を完全に除去できる。上記範囲の上限値以下であれば、樹脂層(A)および樹脂層(B)中の各成分の分解を抑制できる。
焼成時間は、0.5〜5時間が好ましく、0.5〜3時間が特に好ましい。焼成時間が上記範囲の下限値以上であれば、残存する溶媒量をより少なくできる。上記範囲の上限値以下であれば、製造効率が向上する。なお、高い密着性と製造効率向上を得るために、さらに最終焼成を行ってもよい。
焼成時の雰囲気は、不活性ガス中でも空気中であってもよい。
冷却は、徐冷でも急冷でもよいが、徐冷が好ましい。冷却速度は5〜10℃/分が好ましい。冷却は装置も用いて行っても放置して自然冷却させてもよく、樹脂層(B)の状態(表面平滑性、膜厚均一性等)を安定させる点から装置を用いて行うことが好ましい。
また、工程(X3)および(X4)を複数回繰り返して、樹脂層(B)を形成してもよい。
(工程(X5))
工程(X5)は、積層体に電荷を注入してエレクトレットを形成する工程である。
積層体に電荷を注入する方法としては、一般的に絶縁体を帯電させる方法であれば手段を選ばずに採用できる。例えば、G.M.Sessler, Electrets Third Edition,pp20,Chapter2.2“Charging and Polarizing Methods”(Laplacian Press, 1998)に記載のコロナ放電法、または電子ビーム衝突法、イオンビーム衝突法、放射線照射法、光照射法、接触帯電法、液体接触帯電法等を採用できる。なかでも、簡易的な装置で照射が可能である点から、コロナ放電法、または電子ビーム衝突法が好ましい。
電荷を注入する際の温度は、注入後に保持される電荷の安定性が向上する点から、含フッ素重合体(a1)および含フッ素重合体(b1)のガラス転移温度以上が好ましく、該ガラス転移温度より10℃高い温度から該ガラス転移温度より20℃高い温度の範囲内が特に好ましい。
電荷を注入する際の印加電圧は、樹脂層(A)および樹脂層(B)の絶縁破壊電圧以下であれば、より高圧を印加することが好ましい。具体的には、±6〜±30kVが好ましく、±8〜±15kVが特に好ましい。また、樹脂層(A)および樹脂層(B)に用いる含フッ素重合体(a1)および含フッ素重合体(b1)は、正電荷より負電荷をより安定に保持できることから、−8〜−15kVの電圧を印加することが特に好ましい。
電荷注入後は、基板を剥離し、別の基板等に密着させて使用してもよい。
本発明におけるエレクトレットの製造方法は、前記工程(X1)、(X2)、(X3)、(X4)、(X5)をこの順に行う方法には限定されない。例えば、工程(X3)のコーティング液(β)の調製は、工程(X3)より前に行ってもよい。
含フッ素重合体(a1)および(b1)がETFEの場合、前記した様態以外の好ましい溶媒および様態は国際公開第2010/044421号および国際公開第2010/044425号に記載のものが挙げられる。
本発明におけるエレクトレットの製造方法は、例えば、下記工程(Y1)〜(Y6)を有する方法であってもよい。
(Y1)コーティング液(α)を調製する工程。
(Y2)基板上に、前記コーティング液(α)をコーティングしてコーティング膜(A1)を形成し、予備乾燥する工程。
(Y3)コーティング液(β)を調製する工程。
(Y4)前記予備乾燥したコーティング膜(A1)上に、前記コーティング液(β)をコーティングしてコーティング膜(B1)を形成し、予備乾燥する工程。
(Y5)前記予備乾燥したコーティング膜(A1)と予備乾燥したコーティング膜(B1)とを焼成して、基板上に樹脂層(A)を樹脂層(B)とが直接積層した積層体を形成する工程。
(Y6)前記積層体に電荷を注入する工程。
上記した本発明におけるエレクトレットの製造方法は、前記工程(Y1)、(Y2)、(Y3)、(Y4)、(Y5)、(Y6)をこの順に行う方法には限定されない。例えば、工程(Y3)のコーティング液(β)の調製は、工程(Y1)より前に行ってもよい。
[静電誘導型変換素子]
本発明のエレクトレットは、電気エネルギと運動エネルギとを変換する静電誘導型変換素子に好適に用いられる。本発明の静電誘導型変換素子は、高い電荷密度を有しており、かつ優れた防湿性を有し、高温高湿下での電荷密度の安定性が良好な本発明のエレクトレットを具備するため、特性の劣化が生じにくい、特性の環境依存性が小さい等の特徴がある。
本発明の静電誘導型変換素子としては、振動型発電機、マイクロフォン、スピーカ、アクチュエータ、センサ等が挙げられる。これらの静電誘導型変換素子の構造は、エレクトレットとして本発明により得られるエレクトレットが用いられる以外は公知のものと同様であってよい。
図2は、本発明の静電誘導型変換素子の一例を示した斜視図である。本発明の静電誘導型変換素子は、この例のようにエレクトレットがパターニングされている形態が好ましい。
静電誘導型発電素子1は、図2に示すように、絶縁性の材料からなる基材本体32の表面に、第2の基材40が運動する方向(図中矢印方向)に対して長手方向が交差するように、所定の間隔を空けて形成された複数のライン状のベース電極34を有する第1の基材30と;図中矢印方向に往復運動(振動)可能に、第1の基材30から一定の距離で略平行に配置され、絶縁性の材料からなる基材本体42の第1の基材30側の表面に、第2の基材40が運動する方向(図中矢印方向)に対して長手方向が交差するように、所定の間隔を空けて形成された複数のライン状の対向電極44を有する第2の基材40と;第1の基材30の表面のベース電極34を被覆し、ベース電極34に対応するパターンで形成された樹脂層(A)と樹脂層(B)とが直接積層した積層体に電荷を注入したエレクトレット10と;ベース電極34と対向電極44とを電気的に接続し、途中に負荷(図示略)が設けられた配線(図示略)とを有する。
第1の基材30の基材本体32と、第2の基材40の基材本体42は、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリル樹脂等の有機高分子材料等の絶縁性材料からなる。
静電誘導型発電素子1においては、第2の基材40を、図中矢印方向に、略水平に往復運動(振動)させることによって発電することができる。すなわち、該振動によって、第1の基材30に対する第2の基材40の位置が相対的に変動し、これに伴い、塗膜に電荷を注入したエレクトレット10と、対向する位置にある対向電極44との重なり面積が変化する。エレクトレット10と対向電極44との重なり部分では、エレクトレット10中の電荷によって、対向電極44に、エレクトレット10中の電荷とは逆の極性を有する電荷が静電誘導される。これに対して、エレクトレット10と対向電極44とが重ならない部分では先に誘導された電荷に対向する逆電荷がなくなり、外部の負荷(図示略)との間の電位差を打ち消すために負荷に電流が流れる。この繰り返しを電圧の波として取り出すことで電気エネルギが生じる。このようにして、運動エネルギが、電気エネルギに変換される。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。例1〜3および9は実施例、例4〜8は比較例である。
なお、含フッ素重合体の質量平均分子量(Mw)は、測定した固有粘度から計算した値である。
溶媒(b3)の表面張力の測定は、25℃、協和界面科学社製の高機能表面張力計DY−300を用いて白金プレート法にて行った。
[合成例1:含フッ素重合体1の製造]
ペルフルオロブテニルビニルエーテル(CF=CFOCFCFCF=CF)の45g、イオン交換水の240g、メタノールの7g、および重合開始剤としてジイソプロピルペルオキシジカーボネート粉末(((CHCHOCOO))の0.1gを、内容積500mLの耐圧ガラス製オートクレーブに入れた。系内を窒素で3回置換した後、40℃で23時間懸濁重合を行い、含フッ素重合体1の39gを得た。含フッ素重合体1のIRスペクトルを測定したところ、モノマーに存在した二重結合に起因する1,660cm−1および1,840cm−1付近の特性吸収はなかった。
[合成例2:含フッ素重合体2の製造]
合成例1で得られた含フッ素重合体1を、空気中において250℃で8時間熱処理した後、水中に浸漬することで、主鎖の末端にカルボキシ基(−COOH基)を有する含フッ素重合体2を得た。含フッ素重合体2の圧縮成形フィルムのIRスペクトルを測定した結果、−COOH基に由来する1,775cm−1および1,810cm−1の特性吸収が認められた。
また、含フッ素重合体2の固有粘度[η](30℃)を極限粘度計測定機(以下、同じ。)により測定したところ、0.32dl/gであり、その結果から定量される該含フッ素重合体2の質量平均分子量(Mw)は287,000であった。
含フッ素重合体2について示差走査熱分析(DSC)を行ったところ、含フッ素重合体2のガラス転移温度(Tg)は108℃であった。
[合成例3:含フッ素重合体3の製造]
合成例1で得られた含フッ素重合体1を、空気中において250℃で8時間熱処理した後、ペルフルオロトリブチルアミン溶媒に9質量%となるように溶解した。その後、得られた溶液をオートクレーブに入れ、オートクレーブ内をフッ素ガスおよび窒素ガスで充満させ200℃で30時間加熱処理を行って含フッ素重合体3を得た。
含フッ素重合体1と含フッ素重合体3のそれぞれの圧縮成型フィルムのIRスペクトルを測定した。その結果、含フッ素重合体1では主鎖の末端に−COF基由来の1,890cm−1の特性吸収が認められたのに対し、含フッ素重合体3では1,890cm−1の特性吸収が認められなかった。
また、含フッ素重合体3について示差走査熱分析(DSC)を行ったところ、含フッ素重合体3のガラス転移温度(Tg)は108℃であった。
[合成例4:含フッ素重合体4の製造]
合成例1で得られた含フッ素重合体1を、空気中において250℃で8時間熱処理した後、メタノール中に浸漬することで、主鎖の末端にメトキシカルボニル基(−COOCH基)を有する含フッ素重合体4を得た。
含フッ素重合体4の圧縮成形フィルムのIRスペクトルを測定した結果、−COOCH基に由来する1,795cm−1の特性吸収が認められた。
また、含フッ素重合体4の固有粘度[η](30℃)は0.24dl/gであり、その結果から定量される含フッ素重合体4の質量平均分子量(Mw)は177,000であった。
[調製例1:コーティング液P1の調製]
ペルフルオロトリブチルアミン(溶媒(b3)に該当。表面張力:16mN/m)に、前記含フッ素重合体2を濃度が12質量%となるように溶解してコーティング液P1を得た。
[調製例2:コーティング液P2の調製]
含フッ素重合体2の濃度を9質量%とした以外は調製例1と同様にして、コーティング液P2を得た。
[調製例3:コーティング液P3の調製]
含フッ素重合体2の代わりに含フッ素重合体3を用いた以外は、調製例2と同様にして、コーティング液P3を得た。
[調製例4:コーティング液P4の調製]
含フッ素重合体2の代わりに含フッ素重合体4を用いた以外は、調製例2と同様にして、コーティング液P4を得た。
[調製例5:コーティング液P5の調製]
シクロヘキサノン(溶媒(b3)に該当。表面張力:35mN/m)に、ポリイミド(BZシリーズ、AZエレクトロニクス社製)を濃度が10質量%となるように溶解してコーティング液P5を得た。
[調製例6:コーティング液P6の調製]
γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランの0.2gを、2−(ペルフルオロヘキシル)エタノールの4.8gに溶解してシランカップリング剤溶液を調製し、該シランカップリング剤溶液と、前記コーティング液P1の95gとを混合し、均一なコーティング液P6を得た。
[調製例7:コーティング液P7の調製]
γ−アミノプロピルトリエトキシシランの0.2gを、2−(ペルフルオロヘキシル)エタノールの4.8gに溶解してシランカップリング剤溶液を調製し、該シランカップリング剤溶液と、前記コーティング液P4の95gとを混合し、50℃で5時間加熱することにより、γ−アミノプロピルトリエトキシシランの一部を含フッ素重合体4と反応させた。均一なコーティング液P7を得た。
[例1]
(工程(X1))
銅基板(3cm角、厚さ300μm)上に、コーティング液P6をスピンコート法によりコーティングしてコーティング膜(A1)を形成し、100℃、1時間の予備乾燥を行った。該操作を3回繰り返し、3層塗りとした。
(工程(X2))
前記コーティング膜(A1)に対し、300℃で1時間の焼成を行い、15μm厚の樹脂層(A)を形成した。
(工程(X3))
前記樹脂層(A)上に、コーティング液P2をスピンコート法でコーティングしてコーティング膜(B1)を形成し、100℃、30分の予備乾燥を行った。
(工程(X4))
前記予備乾燥したコーティング膜(B1)に対し、150℃で2時間の焼成を行い、5μm厚の均一な樹脂層(B)を形成し、樹脂層(A)と樹脂層(B)とが直接積層した積層体を形成した。
(工程(X5))
前記積層体に、図3に概略構成図を示すコロナ荷電装置を用いて電荷の注入を行い、エレクトレットを得た。
前記コロナ荷電装置は、前記積層体を設けた銅基板(積層体10Aを設けた基板20)を電極として、直流高圧電源装置52(松定プレシジョン社製、HAR−20R5)によって、コロナ針54と基板20との間に高電圧を印加できるようになっている。また、グリッド56には、グリッド用電源58からグリッド電圧を印加できるようになっている。これにより、コロナ針54から放電した負イオンが、グリッド56で均一化された後、積層体10A上に降り注ぎ、電荷が注入されるようになっている。
また、積層体10Aに注入される電荷の安定を図るため、ホットプレート60によって、電荷を注入中の積層体10Aをガラス転移温度以上に加熱できるようになっている。なお、符号50は電流計である。
ホットプレート60による積層体10Aの加熱温度は、用いた含フッ素重合体2のガラス転移温度(Tg:108℃)より12℃高い120℃とした。
電荷の注入は、空気中で、コロナ針54と基板20との間で印加電圧−8kVの高電圧を3分間印加した。また、その間のグリッド電圧は−1,100Vとした。
(評価)
得られたエレクトレットに対し、初期表面電位、電荷保持特性、膜厚均一性、および密着性の評価を行う。結果を表1に示す。
(1)初期表面電位
電荷を注入したエレクトレットを常温(25℃)とした後、表面電位計(モンローエレクトロニクス社製、model279)を用いて表面電位を測定する。表面電位は、エレクトレットの9点の測定点(エレクトレット表面の中心から3mm毎に格子状に設定。図4参照。)の表面電位を測定し、その平均値とする。
初期の表面電位の評価は、1,000V以上を「○(良好)」、1,000V未満を「×(不良)」とする。
(2)電荷保持特性
20℃、60%の恒温恒湿槽に200時間静置し、常温(25℃)とした後、(1)と同じ方法で表面電位を測定する。その後、さらに85℃、85%の恒温恒湿槽に200時間静置し、常温(25℃)とした後、(1)と同じ方法で表面電位を測定する。
得られた結果から、初期の表面電位を100としたときの、20℃、60%で静置後の表面電位の残存率と、85℃、85%で静置後の表面電位の残存率とをそれぞれ算出する。
20℃、60%で静置後の表面電位の残存率の評価は、80以上を「○(良好)」、80未満を「×(不良)」とする。
85℃、85%で静置後の表面電位の残存率の評価は、80以上を「○(良好)」、80未満を「×(不良)」とする。
(3)エレクトレットの膜厚均一性
エレクトレットの9点の測定点(エレクトレット表面の中心から3mm毎に格子状に設定。図4参照。)について、分光干渉による膜厚測定機を用いて厚さを測定する。
9点の厚さが±10%以内の範囲内であるときを「○(良好)」、±10%以内の範囲内でないときを「×(不良)」とする。
(4)密着性
エレクトレットについて、JIS 5600に基づいて碁盤目剥離テストで密着性を評価する。具体的には、碁盤目ガイドを用いて、エレクトレットの空気側(銅基板の反対側)をカッターで碁盤目に切り、粘着テープで10回剥離する。剥離部分に蛍光灯を当て、樹脂層(B)の剥離による光散乱が見えない場合は「○(良好)」、光散乱が見えた場合は「×(不良)」とする。
[例2および3]
工程(X3)において表1に示すコーティング液を使用した以外は、例1と同様にしてエレクトレットを製造し、同様に評価を行う。結果を表1に示す。
[例4]
工程(X3)および(X4)を行わなかった以外は、例1と同様にしてエレクトレットを製造し、同様に評価を行う。結果を表1に示す。
[例5]
工程(X1)において表1に示すコーティング液を使用し、工程(X3)および(X4)を行わなかった以外は、例1と同様にしてエレクトレットを製造し、同様に評価を行う。結果を表1に示す。
[例6]
工程(X2)の後に、樹脂層(A)の表面を、SAMCO社製RIE(反応性イオンエッチング)−10NR装置を用い、窒素ガスで4Pa、80Wの条件で2分間表面処理した後、工程(X3)において表1に示すコーティング液を使用した以外は、例1と同様にしてエレクトレットを製造し、同様に評価を行う。結果を表1に示す。
[例7]
工程(X3)において表1に示すコーティング液を使用した以外は、例1と同様にしてエレクトレットを製造し、同様に評価を行う。結果を表1に示す。
[例8]
工程(X1)において1層塗りをして工程(X2)で樹脂層(A)の5μmを得て、工程(X3)において3層塗りをして工程(X4)で樹脂層(B)の15μmを得たこと以外は、例1と同様にしてエレクトレットを製造した。同様に評価を行い、結果を表1に示す。
[例9]
工程(X1)において表1に示すコーティング液を使用した以外は、例1と同様にしてエレクトレットを製造し、同様に評価を行う。結果を表1に示す。
Figure 2013015385
表1に示すように、例1〜3および9のエレクトレットは、初期表面電位が高く、高い電荷密度を有している。また、エレクトレットは膜厚均一性に優れ、樹脂層(A)と樹脂層(B)との密着性も優れている。そして、20℃、60%で静置後、および85℃、85%で静置後の表面電位の残存率が高く、高温高湿下での電荷の安定性も優れている。
これに対し、例4のエレクトレットは、樹脂層(A)上に樹脂層(B)を積層していないため、85℃、85%で静置後の表面電位の残存率が大きく低下し、高温高湿下での電荷の安定性が劣っている。
例5のエレクトレットは、シランカップリング剤(a2)を含まないコーティング液を使用したため、初期表面電位が低く、電荷密度が低い。
例6のエレクトレットは、樹脂層(A)上にポリイミドを含む樹脂層を優れた密着性で積層する目的で、樹脂層(A)に表面処理を施しているため、樹脂層(A)が変質したことで、初期表面電位が低く、電荷密度が低い。
例7のエレクトレットは、樹脂層(A)に表面処理を施しておらず、工程(X3)で用いた溶媒が表面張力が20mN/m超の溶媒であったため、樹脂層(A)とポリイミドを含む樹脂層との密着性、およびエレクトレットの膜厚均一性が劣っている。また、樹脂層(A)とポリイミドを含む樹脂層との間に水分が浸入する影響により、高温高湿下での電荷の安定性が劣っている。
例8のエレクトレットは、樹脂層(B)の合計厚さが樹脂層(A)の合計厚さの55%超であるため、初期表面電位が劣っている。
本発明のエレクトレットは、静電誘導型変換素子(発電素子、マイクロフォン、スピーカ、アクチュエータ、センサ等)、画像形成装置(コピー機、プリンタ等)に用いられるクリーニングローラの表面部材、電子ペーパ等の画像表示装置に用いられる画像表示用部材、インキ着けローラが印刷板に対して押し付けられる印刷機において、インキ着けローラの印刷板に対する押し付けを測定する圧電エレクトレットフィルム、集塵フィルタ等として有用である。
なお、2011年7月28日に出願された日本特許出願2011−165334号の明細書、特許請求の範囲、図面および要約書の全内容をここに引用し、本発明の開示として取り入れるものである。
1 静電誘導型変換素子
10 エレクトレット
10A 積層体
12 樹脂層(A)
14 樹脂層(B)
20 基板
30 第1の基材
32 基材本体
34 ベース電極
40 第2の基材
42 基材本体
44 対向電極
50 電流計
52 直流高圧電源装置
54 コロナ針
56 グリッド
58 グリッド用電源
60 ホットプレート

Claims (15)

  1. 樹脂層(A)と、該樹脂層(A)と直接積層した樹脂層(B)とを有する積層体に、電荷が注入されたエレクトレットであって、
    前記樹脂層(A)が、含フッ素重合体とシランカップリング剤との反応生成物を含み、
    前記樹脂層(B)が、含フッ素重合体とシランカップリング剤との反応生成物を含まず、含フッ素重合体を含み、
    前記樹脂層(B)が空気と接するように最外層に配置され、
    前記樹脂層(B)の合計厚さが前記樹脂層(A)の合計厚さの5〜55%であることを特徴とするエレクトレット。
  2. 前記シランカップリング剤が、アミノ基を有するシランカップリング剤である、請求項1に記載のエレクトレット。
  3. 前記シランカップリング剤が、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシランおよびアミノフェニルトリメトキシシランからなる群より選ばれる1種以上である、請求項1または2に記載のエレクトレット。
  4. 前記樹脂層(A)に含まれる反応生成物を形成する含フッ素重合体が、カルボキシ基およびその塩(−COOM。ただし、Mは、カルボキシ基と塩を形成し得る金属原子または原子団である。)、アルコキシカルボニル基、1分子中の2つのカルボキシ基が脱水縮合した酸無水物基およびアシル基からなる群より選ばれる1種以上を有する含フッ素重合体である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエレクトレット。
  5. 前記樹脂層(A)に含まれる反応生成物を形成する含フッ素重合体が、主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素重合体である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエレクトレット。
  6. 前記樹脂層(B)に含まれる含フッ素重合体が、主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素重合体である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエレクトレット。
  7. 前記樹脂層(A)に含まれる反応生成物を形成する含フッ素重合体と樹脂層(B)に含まれる含フッ素重合体とが同じ種類の含フッ素重合体である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のエレクトレット。
  8. 下記工程(X1)〜(X5)を有することを特徴とするエレクトレットの製造方法。
    (X1)基板上に、含フッ素重合体、シランカップリング剤および溶媒を含むコーティング液をコーティングしてコーティング膜(A1)を形成し、予備乾燥する工程。
    (X2)前記予備乾燥したコーティング膜(A1)を焼成して樹脂層(A)を形成する工程。
    (X3)前記樹脂層(A)上に、シランカップリング剤を含まず、含フッ素重合体および溶媒を含むコーティング液をコーティングしてコーティング膜(B1)を形成し、予備乾燥する工程。
    (X4)前記予備乾燥したコーティング膜(B1)を焼成して樹脂層(B)を形成し、前記基板上に樹脂層(A)と樹脂層(B)とが直接積層した積層体を形成する工程。
    (X5)前記積層体に電荷を注入する工程。
  9. 前記シランカップリング剤が、アミノ基を有するシランカップリング剤である、請求項8に記載のエレクトレットの製造方法。
  10. 前記工程(X1)で用いる含フッ素重合体が、カルボキシ基およびその塩(−COOM。ただし、Mは、カルボキシ基と塩を形成し得る金属原子または原子団である。)、アルコキシカルボニル基、1分子中の2つのカルボキシ基が脱水縮合した酸無水物基およびアシル基からなる群より選ばれる1種以上を有する含フッ素重合体である、請求項8または9に記載のエレクトレットの製造方法。
  11. 前記工程(X1)で用いる含フッ素重合体が、主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素重合体である、請求項8〜10のいずれか一項に記載のエレクトレットの製造方法。
  12. 前記工程(X1)で用いる含フッ素重合体と工程(X3)で用いる含フッ素重合体とが同じ種類の含フッ素重合体である、請求項8〜11のいずれか一項に記載のエレクトレットの製造方法。
  13. 前記工程(X1)において、含フッ素重合体とシランカップリング剤との合計量に対するシランカップリング剤の割合が0.1〜20質量%である、請求項8〜12のいずれか一項に記載のエレクトレットの製造方法。
  14. 前記工程(X3)で用いる溶媒が、表面張力が20mN/m以下の含フッ素有機溶媒である、請求項8〜13のいずれか一項に記載のエレクトレットの製造方法。
  15. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のエレクトレットを具備することを特徴とする静電誘導型変換素子。
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