JPWO2013002247A1 - 銀白色銅合金及び銀白色銅合金の製造方法 - Google Patents

銀白色銅合金及び銀白色銅合金の製造方法 Download PDF

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Abstract

熱間加工性、冷間加工性、プレス性等の加工性及び機械的性質に優れ、且つ、変色しにくく、殺菌性・抗菌性、耐Niアレルギー性に優れた銀白色銅合金及びそのような銀白色銅合金の製造方法を提供する。銀白色銅合金は、51.0〜58.0mass%のCuと、9.0〜12.5mass%のNiと、0.0003〜0.010mass%のCと、0.0005〜0.030mass%のPbとを含有し、残部がZn及び不可避不純物からなる組成であり、Cuの含有量[Cu]mass%と、Niの含有量[Ni]mass%との間に、65.5≰[Cu]+1.2?[Ni]≰70.0の関係を有する。金属組織は、α相のマトリックスに面積率で0〜0.9%のβ相が分散する。

Description

本発明は、銀白色銅合金及び銀白色銅合金の製造方法に関する。特に、強度が高く、熱間加工性、冷間加工性、プレス性等の加工性および機械的性質に優れ、且つ、変色しにくく、殺菌性・抗菌性、耐Niアレルギー性に優れた銀白色銅合金及びそのような銀白色銅合金の製造方法に関する。
従来より、Cu−Zn等の銅合金は、配管器材、建築資材、電気・電子機器、日用品、機械部品等の各種用途に使用されている。そして、手すり、ドアノブ等の装飾・建築用金具、洋食器、キー等の用途においては白色(銀白色)の色調であって、かつ、変色しにくいことが要求され、そのような要求に対処するために、銅合金製品にニッケル・クロムめっき等のめっき処理を施すことがある。
しかし、めっき製品は長期間の使用により表面のめっき層が剥離するという問題を有しており、また、銅合金のもつ殺菌性、抗菌性が損なわれる。そこで、光沢のある白色を呈するCu−Ni−Zn合金が提案されている。
そのようなCu−Ni−Zn合金として、例えば、JIS C 7941には、Cu(60.0〜64.0mass%)、Ni(16.5〜19.5mass%)、Pb(0.8〜1.8mass%)、Zn(残部)等を含有する快削洋白が規定されている。また、特許文献1には、Cu(41.0〜44.0mass%)、Ni(10.1〜14.0mass%)、Pb(0.5〜3.0mass%)、Zn(残部)を含有する白色銅合金が開示されている。また、特許文献2にはCu(40.0〜45.0mass%)、Ni(5.0〜20.0mass%)、Mn(1.0〜10.0mass%)、Bi(0.5〜3.0mass%)、Sn(2.0〜6.0mass%)、P及びSb(すくなくとも1種以上を0.02〜0.2mass%)を含有する無鉛白色銅合金が開示されている。
しかしながら、JIS C 7941や特許文献1に開示された銅合金は、Ni及びPbを大量に含有するものであって健康衛生面で問題があるので、その用途が制限される。Niは金属アレルギーの中でも特に強いNiアレルギーを引き起こす原因となるものであり、Pbは周知のように有害物質なので、人の肌に直接触れる手すり等の建築金具や、家電製品等の身の回り品等としての用途には問題がある。また、Niを大量に含有させると熱間圧延性、プレス性等の加工性が劣り、Niが高価であることとも相俟って製造コストが高くなるので、用途が制限される。
また、特許文献2に開示された銅合金は人体に有害なPbを含まず、Biにより加工性(被削性)を向上させている。しかし、Biは低融点金属であり、銅合金にはほとんど固溶せずマトリックスに金属として存在するので、熱間加工時に溶融し、熱間加工性に問題が生じる。また、Ni、Sn及びBiは高価な金属であり、それらを多く含むことによりコスト面及び製造面でも問題である。
また、従来のJIS H3110(りん青銅及び洋白の板並びに条)に記載のCu−Zn−Ni系合金の板には、Niを8.5mass%以上含有し、且つ、Cuを60mass%以上含むか、又は、Zn濃度が30mass%未満のものがある。このような板の金属組織は、高温及び常温でα単相であるので、熱間加工性に乏しい。そのため、このようなCu−Zn−Ni系合金は、熱間圧延せずに、例えば、厚み約15mm、幅約400mmの断面を持つ鋳塊片を鋳造によって造り、約700℃の高温で数時間以上熱処理して、鋳造時の成分の偏析を緩和する均質化熱処理を施し、冷間圧延と焼鈍を繰り返して製造する。生産性は、熱間圧延用の鋳塊のように、例えば、厚み、約200mm、幅、約800mmの断面を持つものに比べて低い。また、高温長時間の均質化熱処理を施しても、熱間圧延を施された熱間圧延板よりも合金成分の偏析の度合いが大きいので、品質上の問題がある。特に、製造工程の中に、焼鈍工程が1回、又は2回しかないような、例えば厚み1mm以上の板や、焼鈍工程が複数回あっても、再結晶温度以上に加熱されて保持される時間が30分より短い場合や、焼鈍時間が長くとも焼鈍温度が再結晶温度プラス100℃よりも低い場合の板は、偏析が解消されない。
また、銅合金は殺菌作用があることが良く知られている。病院等の医療機関では抗生物質等の薬剤耐性を得た菌、例えば黄色ブドウ球菌や緑膿菌等が、患者に感染することがあり(一般的に院内感染と呼ばれている)、大きな問題となっている。院内感染による菌の経路は色々あるが、菌を持っている患者が触れたところに別の患者あるいは医療従事者が触れ、広がっていく。これらの患者や医療従事者が触れる物を銅合金とすることにより、それらの菌が死滅あるいは減少し、それに伴って感染経路が絶たれること等により、院内感染を減少させることが期待される。例えば、院内の各扉に設置されている取手、レバーハンドル、ドアハンドル等を銅合金とすることで、菌の拡大経路を少なくすることが期待できる。また院内感染だけでなく、電車、バスあるいは公園等の公共機関において不特定多数の人が接触するような部材に殺菌性・抗菌性のある銅合金を使用することで様々な菌による感染が予防することが出来る。
しかし、これらの取手、レバーハンドル、ドアハンドル等に銅合金が実際に使用されると、人体と触れる部分とそうでない部分とで色調の差が生じ、また、長期的な使用においてはよく人体と接触する部分は変色層(酸化物)の形成が遅い、あるいは物理的に除去されることになり、その他の部分(人体との接触が少ない部分)との色調の差が生じ、美観上余り優れているとは言い難い。そのため、これらの用途に用いられている銅合金製取手類のほとんどはメッキ、クリヤーコート等により銅合金表面を被覆した状態で使用されているため、銅合金の持つ殺菌・抗菌性を生かせていない。
日本国特開平09−087793号公報 日本国特開2005−325413号公報
本発明は、斯かる従来技術の問題を解決するためになされたものであり、強度が高く、熱間加工性、冷間加工性、プレス性等の加工性および機械的性質に優れ、且つ、変色しにくく、殺菌性・抗菌性、耐Niアレルギー性に優れた銀白色銅合金及びそのような銀白色銅合金の製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明者は、銀白色銅合金の組成及び金属組織について検討した結果、次のような知見を得た。
Cu濃度が50mass%より低いCu−Zn−Ni合金は、Cu、Niの含有量にもよるが、熱間圧延時にβ相が多く出現し、熱間での変形抵抗が低く、熱間変形能にすぐれるようになる。しかし、常温(室温)におけるβ相が面積率0.9%を超えて存在すると、延性、次工程の冷間圧延性、耐変色性、更には、Niアレルギー性を増長させる。Cu濃度が50mass%を超えて含有しても、後述する組成指数f1の値が、65.5より低いと、熱間圧延時にβ相が少量出現し、熱間での変形抵抗が高くて熱間変形能に乏しいα相と、熱間での変形抵抗が低くて変形能に優れるβ相との相境界で割れが生じ易くなる。これは、熱間圧延中のβ相の面積率が、約1%から約5%である場合、変形がβ相及びα−βの相境界に集中するので、割れが生じ易くなるためである。そして、熱間圧延後の常温(室温)における板材において、β相が0.9%を超えて存在すると、延性、次工程の冷間圧延性が乏しくなる。
Cu−Zn−Ni合金で出現するβ相は、他の銅合金、例えばCu−Zn合金で出現するβ相より、硬くて脆い。また、Cu−Zn−Ni合金のα相は、Cu−Zn合金のα相より、耐変色性、耐食性に優れるが、β相の耐変色性、耐食性は、悪く、両合金間で大きな差は無い。Cu−Zn−Ni合金の金属組織中にβ相の面積率が、0.9%を超えると延性、強度・延性のバランス、耐変色性、耐食性、さらには、Niアレルギー性にまで悪い影響を与える。β相の占める割合は、0.4%未満が好ましい。最も好ましくは、β相の面積率が、ゼロに近い、又は、ゼロがよい。所謂、β相が出現するか否かの金属組織が好ましい。そのような状態では、熱間加工性がよく、強度が最も高くなり、延性が高く、強度・延性バランスが優れ、且つ耐食性、耐変色性、殺菌・抗菌が優れ、Niアレルギー性も低減する。β相が存在するか否かの状態では、引張試験を行った時、引張強度、耐力がほぼ最高値に達し、伸び値もほぼ最高値に近い値であり、強度・延性のバランスが良い。さらには、プレス等のせん断加工される場合は、僅かなβ相の存在、若しくは、β相が析出しようとする結晶粒界の状態が、プレス成型性を向上させる。そして、微量のC、Pbを有効に活用するためにも、β相が出現するか否かの境界の組織状態がよい。すなわち、効率よく、C、Pbを析出させるためには、β相が、析出しようとする状態が効果的である。
本発明は、上記の本発明者の知見に基づき完成されたものである。すなわち、前記課題を解決するため、本発明は、51.0〜58.0mass%のCuと、9.0〜12.5mass%のNiと、0.0003〜0.010mass%のCと、0.0005〜0.030mass%のPbとを含有し、残部がZn及び不可避不純物からなり、Cuの含有量[Cu]mass%と、Niの含有量[Ni]mass%との間に、65.5≦[Cu]+1.2×[Ni]≦70.0の関係を有し、α相のマトリックスに面積率で0〜0.9%のβ相が分散する金属組織であることを特徴とする銀白色銅合金を提供する。
本発明によれば、強度が高く、熱間加工性、冷間加工性、プレス性等の加工性および機械的性質に優れ、且つ、変色しにくく、殺菌性・抗菌性、耐Niアレルギー性に優れた銀白色銅合金を得ることができる。
また、51.0〜58.0mass%のCuと、9.0〜12.5mass%のNiと、0.05〜1.9mass%のMnと、0.0003〜0.010mass%のCと、0.0005〜0.030mass%のPbとを含有し、残部がZn及び不可避不純物からなり、Cuの含有量[Cu]mass%と、Niの含有量[Ni]mass%と、Mnの含有量[Mn]mass%との間に、65.5≦[Cu]+1.2×[Ni]+0.4×[Mn]≦70.0の関係を有し、α相のマトリックスに面積率で0〜0.9%のβ相が分散する金属組織であることを特徴とする銀白色銅合金を提供する。
本発明によれば、銀白色銅合金の強度、曲げ性、プレス性を更に向上させることができる。
また、51.5〜57.0mass%のCuと、10.0〜12.0mass%のNiと、0.05〜0.9mass%のMnと、0.0005〜0.008mass%のCと、0.001〜0.009mass%のPbとを含有し、残部がZn及び不可避不純物からなり、Cuの含有量[Cu]mass%と、Niの含有量[Ni]mass%と、Mnの含有量[Mn]mass%との間に、66.0≦[Cu]+1.2×[Ni]+0.4×[Mn]≦69.0の関係を有し、α相のマトリックスに面積率で0〜0.4%のβ相が分散する金属組織であることを特徴とする銀白色銅合金を提供する。
本発明によれば、Cu、Ni、Mn、C、Pbの含有量が更に好ましい範囲になり、β相の面積率が小さくなるので、熱間加工性、冷間加工性、プレス性等の加工性および機械的性質に更に優れ、且つ、更に変色しにくく、殺菌性・抗菌性、耐Niアレルギー性に更に優れた銀白色銅合金を得ることができる。
好ましくは、0.01〜0.3mass%のAl、0.005〜0.09mass%のP、0.01〜0.09mass%のSb、0.01〜0.09mass%のAs、0.001〜0.03mass%のMgのいずれか1種以上を更に含有する。
斯かる好ましい方法によれば、Al、P、Mgを含有する場合には、強度、耐変色性、耐食性が向上し、Sb、Asを含有する場合には耐食性が向上する。
また、本発明は、熱間圧延後の圧延材の冷却速度が400〜500℃の温度域で1℃/秒以上であることを特徴とする銀白色銅合金の製造方法を提供する。
α相のマトリックスでのβ相の面積率が、0〜0.9%になり易くなる。
また、本発明は、圧延材を所定の温度に加熱し、加熱後に該圧延材を所定の温度に所定の時間保持し、保持後に該圧延材を所定の温度まで冷却する熱処理工程を含み、前記熱処理工程における前記圧延材の最高到達温度をTmax(℃)とし、該熱処理工程における該圧延材の最高到達温度より50℃低い温度から最高到達温度までの温度域での保持時間をth(min)としたときに、520≦Tmax≦800、0.1≦th≦90、470≦Tmax−90×th−1/2≦620であり、前記冷却時の該圧延材の400〜500℃の温度域での冷却速度が1℃/秒以上であることを特徴とする銀白色銅合金の製造方法を提供する。尚、この熱処理工程でいう圧延材には、圧延材から作成した溶接管も含む。
α相のマトリックスでのβ相の面積率が、0〜0.9%になり易くなるだけでなく、α結晶粒が微細となり、高い機械的強度を有することになる。
本発明によれば、強度が高く、熱間加工性、冷間加工性、プレス性等の加工性および機械的性質に優れ、且つ、変色しにくく、殺菌性・抗菌性、耐Niアレルギー性に優れた銀白色銅合金を得ることができる。
図1は、第1発明合金乃至第3発明合金の試料の組成を示す図である。 図2は、比較用の合金の試料の組成を示す図である。 図3は、製造工程のフロー図である。 図4は、製造工程P1での試験の結果を示す図である。 図5は、製造工程P1での試験の結果を示す図である。 図6は、製造工程P1での試験の結果を示す図である。 図7は、製造工程P1での試験の結果を示す図である。 図8は、製造工程P2での試験の結果を示す図である。 図9は、製造工程P2での試験の結果を示す図である。 図10は、製造工程P3での試験の結果を示す図である。 図11は、製造工程P3での試験の結果を示す図である。 図12は、製造工程P3での試験の結果を示す図である。 図13は、製造工程P3での試験の結果を示す図である。
本発明の実施形態に係る銀白色銅合金について説明する。
本発明に係る銅合金として、第1乃至第3発明合金を提案する。合金組成を表すのに本明細書において、[Cu]のように[ ]の括弧付の元素記号は当該元素の含有量値(mass%)を示すものとする。また、この含有量値の表示方法を用いて、本明細書において複数の計算式を提示するが、それぞれの計算式において、当該元素を含有していない場合は0として計算する。また、第1乃至第3発明合金を総称して発明合金とよぶ。
第1発明合金は、51.0〜58.0mass%のCuと、9.0〜12.5mass%のNiと、0.0003〜0.010mass%のCと、0.0005〜0.030mass%のPbとを含有し、残部がZn及び不可避不純物からなり、Cuの含有量[Cu]mass%と、Niの含有量[Ni]mass%との間に、65.5≦[Cu]+1.2×[Ni]≦70.0の関係を有する。
第2発明合金は、51.0〜58.0mass%のCuと、9.0〜12.5mass%のNiと、0.05〜1.9mass%のMnと、0.0003〜0.010mass%のCと、0.0005〜0.030mass%のPbとを含有し、残部がZn及び不可避不純物からなり、Cuの含有量[Cu]mass%と、Niの含有量[Ni]mass%と、Mnの含有量[Mn]mass%との間に、65.5≦[Cu]+1.2×[Ni]+0.4×[Mn]≦70.0の関係を有する。
第3発明合金は、Cu、Ni、Mn、C、Pb、Znの組成範囲が第1発明合金又は、第2発明合金と同一であり、更に0.01〜0.3mass%のAl、0.005〜0.09mass%のP、0.01〜0.09mass%のSb、0.01〜0.09mass%のAs、0.001〜0.03mass%のMgのいずれか1種以上を含有する。
尚、本明細書では、CuとNiとMnの含有量のバランスを表す指標として組成指数f1を次のように定める。
f1=[Cu]+1.2×[Ni]+0.4×[Mn]
次に、本実施形態に係る銀白色銅合金の製造工程について説明する。製造工程は、熱間圧延工程を含んでいる。熱間圧延工程では、熱間圧延終了後における圧延材の400〜500℃の温度域での冷却速度を1℃/秒以上にする。
また、熱間圧延工程の以後のいずれかの時点に、圧延材を所定の温度に加熱し、加熱後に該圧延材を所定の温度に所定の時間保持し、保持後に該圧延材を所定の温度まで冷却する熱処理工程であって、圧延材の最高到達温度をTmax(℃)、最高到達温度より50℃低い温度から最高到達温度までの温度域での保持時間をth(分)、としたときに、次の条件(1)〜(4)を満たした熱処理工程を行う。
(1):520≦Tmax≦800
(2):0.1≦th≦90
(3):熱処理指数It=Tmax−90×th−1/2としたときに、
470≦It≦620
(4):400〜500℃の温度域での冷却速度が、1℃/秒以上
次に、各元素の添加理由について説明する。
Cuは、引張強度、耐力等の機械的強度を向上させると共に、殺菌性・抗菌性等の特性を確保する上で重要な元素である。Cuは、Niの量にもよるが、含有量が51.0mass%未満であると、脆いβ相が析出して延性、耐変色性が悪くなり、また、殺菌性・抗菌性が得られない。また、Niアレルギーの問題も生じる。さらには、熱間・冷間圧延性が劣り、割れが生じ易くなる。また、溶接管製造時に、β相が出現し易くなる。
Cuの含有量は、51.0mass%以上であり、好ましくは51.5mass%以上であり、最適には、52.0mass%以上である。一方、Cuの含有量が58.0mass%を超えると、機械的強度が低下し、熱間圧延性や成形性等の加工性が悪くなり、また、Ni、Znの含有量によるが、殺菌性・抗菌性が劣り、Niアレルギーが起こりやすくなる。なお、Cuの含有量は、58.0mass%以下であり、好ましくは、57.0mass%以下であり、最適には、56.0mass%以下である。一般的に、銅合金は優れた殺菌性・抗菌性を有するが、その作用は銅の含有量に依存するとされており、銅の含有量は少なくとも60mass%以上、好ましくは70mass%以上と言われている。本発明のように銅含有量が58mass%以下であっても、優れた殺菌性を示すのは、Zn、Niとの相互作用によるものである。また、組成指数f1の値が重要である。
Znは、引張強度、耐力等の機械的強度、加工性を向上させ、Niの含有量にもよるが、銀白色性を増し、耐変色性を向上させる。また、殺菌性の効果を生じ、Niアレルギーを減じる等、銅合金の特性を確保する上で重要な元素である。
また、Znの含有量は、殺菌性及びNiアレルギーの点から、好ましくは31.5mass%以上であり、最適には32.5mass%以上である。
しかしZnの含有量が36.5mass%以上となるとβ相が出現し、延性、耐変色性が悪くなり、殺菌性・抗菌性が得られず、また溶接管製造時にβ相が出現しやすくなる。Znの含有量は36.0mass%以下が好ましい。一方、31mass%未満では機械的強度が低下し、熱間での加工性、成形性が悪くなり、Ni、Cuの含有量にもよるが殺菌性・抗菌性が劣ることになり、Niアレルギーも起こりやすくなる。
Niは銅合金の白色性(銀白色)、耐変色性を確保する上で重要な元素である。しかし、Niの含有量が一定量を超えると、次のような不具合が生じ易くなる。
・鋳造時の湯流れ性が悪化する。
・熱間圧延の表面割れや耳割れが発生する。
・加工性やプレス成形性が低下する。
・アレルギー(Niアレルギー)が生じる。
しかし、Niの含有量が少ないと、銅合金の色調、耐変色性が悪くなり、また、強度が低下する。これらの点から、Niの含有量は、9.0mass%以上であり、好ましくは10.0mass%以上であり、最適には10.5mass%以上である。
一方、Niアレルギーや、熱間圧延性の観点から、Niの含有量は、12.5mass%以下であり、好ましくは12.0mass%以下であり、最適には11.5mass%以下である。
Niは、殺菌性・抗菌性への寄与は小さく、場合によっては殺菌性・抗菌性を阻害する場合もあり、Cu、Znとの配合割合を表す組成指数f1が重要になる。すなわち、前記のようなCu、Zn、Niの含有量であって組成指数f1の式を満足することにより、殺菌性・抗菌性を高めることができる。
Mnは、銅合金の色調面で、Niとの配合比にもよるが、僅かな黄味を残しながら白色性を得るためのNi代替元素としての役割をするものである。また、Mnは、強度、耐摩耗性を向上させ、曲げ性、プレス性を向上させるものである。一方、Mnの含有量が多すぎると、熱間圧延性を阻害する。なお、耐変色性や、殺菌性・抗菌性への寄与は、Mn単独では小さく、場合によっては、殺菌性・抗菌性を阻害することもあり、Cu、Zn、Niとの配合の割合が重要となる。また、Mnを含有させることにより、溶湯の湯流れ性を向上させることができる。これらの点から、Mnの含有量は、0.05〜1.9mass%であり、好ましくは0.05〜0.9mass%であり、最適には0.5〜0.9mass%である。
Cu、Ni、Mn及びZnの含有量を決定するに当たっては、これらの元素の各々の含有量だけでなく、これら元素間の含有量の相互の関係を考慮する必要がある。特に組成指数f1の値は、機械的強度、延性、強度と延性とのバランス、耐変色性、熱間加工性、殺菌性・抗菌性、耐Niアレルギー性、プレス性、曲げ性、溶接管製造時の溶接性を向上させるために重要である。このように、銅の含有量が低いにもかかわらず、優れた殺菌性・抗菌性を有するには、Cu、Ni、Mnの相互関係、すなわち、組成指数f1の値が重要である。
次に、組成指数f1について説明する。
f1(f1=[Cu]+1.2×[Ni]+0.4×[Mn]:ただしMnが添加されていない材料は[Mn]=0とする。つまり、f1=[Cu]+1.2×[Ni]での計算式となる。)の値が65.5より低いと、熱間圧延性、冷間延性が悪くなるばかりでなく、耐変色性、殺菌性・抗菌性も悪くなり、Niアレルギー性が増す。
また、溶接管の製造においても、組成指数f1の値が65.5より低いと、接合部分及び溶接の熱を受ける部分でβ相が残留し、熱間圧延後もβ相が残留しやすいため、冷間での延性が悪くなり、冷間圧延性や冷間抽伸性に問題が生じる。また、耐変色性、殺菌性が悪くなり、Niアレルギー性が増す。このような点から、Cu、Ni、Mnの含有量が、上記した含有量の範囲内で有る場合に、組成指数f1は、65.5以上であり、好ましくは66.0以上であり、最適には66.5以上である。
一方、組成指数f1の値が高いと、熱間加工性、プレス性等の加工性、溶接時の接合性が悪くなり、機械的強度が低くなり、延性とのバランスが悪くなる。また、組成指数f1の値が高いと殺菌性に劣るようになる。組成指数f1の値は、70.0以下であり、好ましくは69.0以下であり、最適には68.0以下である。尚、この組成指数f1の65.5以上70.0以下の範囲を組成指数f1の適正範囲という。
Pb及びCは、プレス等のせん断加工や研磨等の加工性を向上させるために含有される。Pb及びCは、金属組織がα単相のCu−Zn−Ni系合金には、常温でほとんど固溶しない。Cu、Zn、Ni、Mnが上述した組成範囲内であり、組成指数f1が適正範囲内であり、熱処理指数Itが470以上、620以下の場合は、熱間圧延終了後の冷却時、熱処理の冷却時、又は、溶接管溶接後の冷却時に、結晶粒界を主として、Pb、Cが析出する。これらのPb及びCは、Pb粒子やC粒子として微細に析出するので、プレス等のせん断加工や、研磨等の加工性が向上する。
そのような効果を発揮するためにはPbの含有量は、0.0005mass%以上であり、好ましくは0.001mass%以上である。Cの場合においては、0.0003mass%以上であり、好ましくは0.0005mass%以上である。一方、PbやCの含有量が多すぎると、合金の延性、熱間圧延性、溶接性に悪影響を与える。Pbの含有量は、0.030mass%以下であり、好ましくは0.015mass%以下であり、最適には0.009mass%以下である。特に、Pbは有害物質であるので、より少ない方が望ましい。Cの含有量は、0.010mass%以下であり、好ましくは0.008mass%以下である。
次にAl、P、Sb、As、Mgについて説明する。
Al、P、Mgは、特に、強度、耐変色性、耐食性を向上させる。
銅合金は、原料の一部としてスクラップ材が使用されることが多く、かかるスクラップ材にはS(硫黄)成分が含まれていることがあり、MgはこのようなS成分を含んだスクラップを合金原料とする場合において、S成分をMgSの形態で除去することが出来る。もし、このMgSが合金に残留したとしても耐食性には悪影響を及ぼさない。また、S成分をMgSの形態にするとプレス性が向上する。S成分を含んだスクラップをMg無しに用いると、Sは合金の結晶粒界に存在しやすく、粒界腐食を助長することがあり、そのために耐変色性も低下させる。しかし、Mgを添加することにより粒界腐食を効果的に防止することができ、その効果を発揮するためにはMgの含有量は0.001〜0.03mass%としておくことが必要である。Mgは酸化しやすいため、過剰に添加すると鋳造時に酸化し、酸化物を形成することで溶湯の粘度が上がり、酸化物の巻き込みなどの鋳造欠陥を生じる虞がある。
Pは、耐食性を向上させ、溶湯の湯流れ性を向上させる。この効果を発揮するためにはPの含有量は、0.005mass%以上である。また、過剰なPの含有量は冷間及び熱間での延性に悪影響を及ぼすことになり、0.09mass%以下である。
Sb、AsもPと同様に耐食性を向上させるために添加される。この効果を得るために、Sb、Asの含有量は0.01mass%以上必要であり、0.09mass%以上にしても、含有量に見合う効果が得られず、かえって延性が低下することになる。またSb、Asは人体に悪影響を及ぼすため、含有量は、好ましくは0.05mass%以下である。
AlもMgには及ばないがS成分を除去する作用があり、また材料表面に酸化物を形成することで耐変色性を向上させる働きをする。その効果を得るためには含有量は、0.01mass%以上であり、0.3mass%以上としてもその効果は小さく、却って強固な酸化皮膜を形成することにより殺菌性・抗菌性を阻害することになる。
本発明合金では、α相のマトリックス中にβ相の面積率が、0〜0.9%、好ましくは、0〜0.4%であり、β相が存在するか、しないかの金属組織が好ましい。ところが、α相の結晶粒界及び、α−βの相境界は、β相の形成を促進するZn、Pb、Cや他の不可避不純物の濃度も高くなり、耐食性等が不安定になり、強化する必要がある。このために、Mg、Sb、As、P、Al、Mnの添加が必要になる。なお、β相には、規則-不規則変態で生じるβ′相を含むものとする。
次に、製造工程について説明する。
β相は、熱間圧延終了直後の金属組織が、α単相あるいは極僅かなβ相を含む状態であっても、常温への冷却過程における400〜500℃の温度域での圧延材の冷却速度が遅いと、β相が多く析出する。β相の析出を最小限にするためには、熱間圧延後の400〜500℃の温度域での圧延材の冷却速度を1℃/秒以上とすることが好ましい。より好ましくは2℃/秒以上である。熱間圧延材において、β相が残留すると、それを消滅させるためには、熱処理工程で、高い温度、又は長時間の熱処理を必要とする。また、冷間圧延後に、520℃以上の高温で、約0.1分から90分程度の短時間で圧延材を熱処理する場合においても、β相の析出を最小限にするためには、400〜500℃の温度域での冷却速度を1℃/秒以上にすることが好ましく、より好ましくは、2℃/秒以上である。連続焼鈍洗浄ラインで冷間圧延材を処理する場合、前述のような高温、短時間で熱処理が可能であり、400〜500℃の温度域での冷却速度を早めることが出来るので、β相の析出を抑えて良好な諸特性を得ることができ、また、エネルギ的にも生産性の観点からも短時間であるので有利である。特に、熱間圧延の状態では、鋳造時に生じたCu、Ni、Znの元素の偏析が完全に解消されていないので、偏析を解消するために高温、短時間で熱処理し、冷却速度をコントロールすることにより、偏析を少なくし、β相の面積率を0.9%以下、好ましくは0.4%以下にすることが、強度、延性、耐食性、抗菌性を良くするために重要である。
連続焼鈍の条件は、最高到達温度が520〜800℃の範囲であり、最高到達温度より50℃低い温度から最高到達温度までの温度域での保持時間が0.1〜90分であり、470≦It≦620の関係を満たすことである。好ましくは、最高到達温度が540〜780℃で、最高到達温度より50℃低い温度から最高到達温度までの温度域での保持時間が0.15〜50分であり、480≦It≦600の関係を満たすことである。連続焼鈍で、このような条件を満たすと、後述する結晶粒径の好ましい条件も満足することが出来る。
熱処理指数Itが470未満、つまり最高到達温度が低い条件や、保持時間が短い条件では、材料が十分に軟化されず、金属組織も加工組織のままであり、熱処理が十分ではなく曲げ性などの加工性が低下する。一方、熱処理指数Itが620を超えると材料の金属組織が粗大化し、強度が大きく低下し、曲げ加工のときに材料にザラ(肌荒れ:曲げ加工部およびその近傍の表面部に目視でも確認できる凹凸を生じる現象)を生じやすくなり、また打ち抜き性等の加工性が悪化する。更に強度も低下し、また耐食性にも悪影響を及ぼす。より好ましい条件は、Itが、480以上であり最も好ましくは、495以上である。上限側は、より好ましくは、600以下であり、最適には580以下である。
材料を十分軟化させるためには、熱処理指数Itに示される最高到達温度と保持時間の関係が重要であるが、短時間処理では最高到達温度は520℃以上が必要である。また、連続焼鈍洗浄ラインによって熱処理を行う場合に、連続焼鈍洗浄ライン中を圧延材にテンションを掛けて搬送しているが、圧延材の最高到達温度が800℃若しくは780℃を越えると、短時間であってもそのテンションで圧延材が伸びてしまう可能性がある。
また、手すりやドアノブ用途の素材は、主として溶接管であるが、溶接管の溶融−接合後の接合部において、曲げ性、耐変色性、耐Niアレルギー性に悪影響を及ぼすβ相の析出を最小限にするためには、溶接後の冷却において400〜500℃の温度域での冷却速度を1℃/秒以上にすることが好ましい。より好ましくは、2℃/秒以上である。溶接前の条素材において成分、成分に関係する計算式(組成指数f1)及び熱処理条件を満足し、更に溶接時も前述のような冷却速度を満たす条件で溶接管の製造が行われれば、溶接後あるいは溶接−冷間抽伸後の熱処理時の熱処理条件を、前記の熱処理指数Itを満たす条件で行い、熱処理後の冷却を、β相の析出に関係のある400〜500℃の温度域での平均冷却速度を1℃/分以上、好ましくは、2℃/分以上の冷却速度で行えば、β相の析出を0.9%以下、又は0.4%以下の面積率に抑えることが出来る。
平均結晶粒径は、打ち抜き性、曲げ性、強度及び耐食性などに影響し、0.002〜0.030mm(2〜30μm)がよい。平均結晶粒径が0.030mmより大きいと、曲げ加工等を施すと肌荒れ(ザラ)が生じ、また、打ち抜き時、だれやかえりが大きくなり、打ち抜き部近傍も肌荒れが生じる。さらに強度が低くなり、手すり等に使用する場合問題となり、また軽量化が図れず、耐食性が悪くなる傾向にある。好ましくは、0.020mm以下がよく、最適には0.010mm以下である。一方、平均結晶粒径が0.002mm未満であると曲げ性に問題が生じ、0.003mm以上が好ましく、0.004mm以上が最適である。なお、冷間抽伸を施さない溶接したままの溶接管の場合、用途上強度が必要とされるので、溶接管の素材の条の平均結晶粒径は0.002〜0.008mmがよい。
<実施例>
上述した第1発明合金乃至第3発明合金及び比較用の組成の銅合金を用い、製造工程を変えて試料を作成した。比較用の銅合金には、JIS H 3100で定められたC2680、C7060及びJIS H 3110で定められたC7521も用いた。
図1、2は、試料として作成した第1発明合金乃至第3発明合金及び比較用の銅合金の組成を示す。
試料の製造工程はP1、P2、P3の3つの工程とした。図3は、製造工程P1、P2、P3の構成を示す。
製造工程P1は、組成の影響を調べることを目的として、ラボテストで行った。製造工程P2は、量産設備での製造を目的とするとともに、溶接管での調査を目的とした。製造工程P3は、熱間圧延や熱処理の条件の影響を調べることを目的として、ラボテストで行った。
製造工程P1は次のように行った。
電気銅、電気亜鉛、高純度のNi及びその他市販の純金属を各種成分調整した原料を電気炉で溶解させた。その後、幅70mm×厚み35mm×長さ200mmの金型鋳型に溶湯を注ぎ、試験サンプルの板状鋳塊を得た。板状鋳塊は全面の鋳肌部分及び酸化物を切削加工により取り除き、幅65mm×厚み30mm×長さ190mmの試料を作成した。この試料を800℃に加熱し、3パスで厚み8mmまで熱間圧延し、空冷及び冷却ファンを用いた強制空冷により400〜500℃の温度域での冷却速度を2.5℃/秒に調整した。熱間圧延した試料の表面の酸化物を研摩により除去した後、冷間圧延にて厚み1.0mmまで圧延し、連続炉(光洋サーモシステム製:810A)を用い、窒素雰囲気中で炉設定温度、送り速度を変化することにより、最高到達温度を705℃、最高到達温度より50℃低い温度から最高到達温度までの温度域での保持時間を0.3min、400〜500℃の温度域での冷却速度を2.5℃/秒に調整して熱処理した。なお、熱処理指数Itは541であった。これらの熱処理は量産材を連続焼鈍洗浄ラインで製造することを想定して実施し、連続焼鈍洗浄ラインと同等の熱処理条件で熱処理を行うことが可能である。熱処理後に更に0.8mm(加工率20%)まで冷間圧延し、試料とした。
製造工程P2は次のように行った。
所定の成分に調整した原料を溝型低周波誘導加熱炉にて溶解し、厚さ:190mm、幅:840mm、長さ:2000mmの板状鋳塊を作成し、その鋳塊を800℃に加熱し、厚さ:12mmまで熱間圧延した。なお、熱間圧延終了後の材料は冷却ファンによる強制空冷及びシャワー水冷により、400〜500℃の温度域での冷却速度が2.3℃/秒であった。圧延材の各表面を面削後(厚み:11.2mm)、冷間圧延にて1.3mmまで加工した。この材料を連続焼鈍洗浄ラインにおいて送り速度、炉設定温度を変化させ、熱処理の条件(熱処理材の最高到達温度、最高到達温度より50℃低い温度から最高到達温度までの温度域での保持時間)を種々変更した材料を作成した。熱処理材の最高到達温度は680〜730℃、最高到達温度より50℃低い温度から最高到達温度までの温度域での保持時間は0.25〜0.5min、400〜500℃の温度域での冷却速度は0.3〜2.3℃/秒であった。熱処理指数Itは525〜593であった。熱処理材をスリッターにより幅111mmに切断し、溶接管の素条(素材)を作成した。
溶接管の製造は素条(幅111mm×厚み1.3mmの熱処理材)を送り速度60m/minで材料の供給を行い、複数個のロールにより円形に塑性加工させ、円筒状となった材料を高周波誘導加熱コイルにより加熱し、素条の両端を付き合わせることにより接合する。その接合部分のビード部分はバイト(切削刃具)による切削加工で除去することにより、直径32.0mm、肉厚1.38mmの溶接管を得た。肉厚の変化から、溶接管に成形する際に、実質上数パーセントの冷間加工が施されている。なお、溶接加工後の400〜500℃の温度域での冷却速度は2.7℃/秒であった。その溶接管の一部は冷間抽伸により直径28.5mm、肉厚1.1mmに加工し、長さ300mmに切断した溶接管を連続炉(光洋サーモシステム製:810A)を用い、窒素雰囲気中で炉設定温度、送り速度を変化させることにより、最高到達温度は600℃、最高到達温度より50℃低い温度から最高到達温度まで温度域での保持時間は30min、400〜500℃の温度域での冷却速度は2.5℃/minの条件で熱処理を行い(熱処理指数Itは584)、最終冷間抽伸により直径25.0mm、肉厚1.0mm(抽伸率20.4%)の管材を得た。
また、連続焼鈍洗浄ラインで熱処理した後の圧延材を各種特性を評価するために冷間圧延により板厚1.04mm(加工率20%)に圧延した。
また、比較材として市販の板厚1mmのC2680(65Cu−35Zn)、C7060(90Cu−10Ni)及びC7521(Cu−19Zn−17Ni)を購入し、連続炉を用いて窒素雰囲気中で炉設定温度、送り速度を変化することにより、最高到達温度を705℃、最高到達温度より50℃低い温度から最高到達温度までの温度域での保持時間を0.3min、400〜500℃の温度域での冷却速度を2.5℃/秒に調整し、熱処理を行った(熱処理指数Itは541)。熱処理した各市販材は板厚0.8mm(加工率20%)まで冷間圧延を行った。
製造工程P3は、次のように行った。
製造工程P2の板状鋳塊より幅65mm×厚み30mm×長さ190mmの試料を切り出し、800℃に加熱し、3パスで厚み8mmまで熱間圧延により加工し、空冷及び冷却ファンを用いた強制空冷により400〜500℃の温度域での冷却速度を0.2〜2.5℃/秒に調整した。熱間圧延した試料の表面の酸化物を研摩により除去した後、冷間圧延にて厚み1.0mmまで圧延し、連続炉(光洋サーモシステム:810A)を用い、窒素雰囲気中で炉設定温度、送り速度を変化することにより、最高到達温度、最高到達温度より50℃低い温度から最高到達温度までの温度域での保持時間、及び冷却速度を調整し、熱処理を行った。試料の最高到達温度は490〜810℃、最高到達温度より50℃低い温度から最高到達温度までの温度域での保持時間は0.09〜100min、400〜500℃の温度域での冷却速度は0.4〜2.5℃/秒だった。熱処理指数Itは405〜692であった。熱処理後に冷間圧延により厚さ0.8mm(加工率20%)に圧延した。
上述した製造工程によって作成した試料を次のような方法によって評価した。
<色調及び色差>
銅合金の表面色(色調)について、JIS Z 8722−2009(色の測定方法−反射及び透過物体色)に準拠した物体色の測定方法を実施し、JIS Z 8729−2004(色の表示方法─L*a*b*表色系及びL*u*v*表色系)で規定されているL表色系で示した。具体的には、ミノルタ社製の分光測色計「CM−2002」を使用して、SCI(正反射光込み)方式でL、a、b値を測定した。JIS Z8730(色の表示方法−物体色の色差)による色差(ΔE={(ΔL+(Δa+(Δb1/2: ΔL、Δa、Δbは2つの物体色の差)を試験前後で測定したそれぞれのL*a*b*から算出し、その色差の大きさで評価した。なお、試験前後のL測定は3点測定し、その平均値を用いた。
<耐変色性試験1:人工汗噴霧試験>
材料の耐変色性を評価する耐変色性試験は、JIS Z 2371(塩水噴霧試験方法)の試験液を人工汗液(JIS L 0848(汗に対する染色堅ろう度試験方法)に記載の酸性人口汗液(L−ヒスチジン塩酸塩一水和物0.5g、塩化ナトリウム5g、りん酸二水素ナトリウム二水和物2.2gと水に溶解させ、それに0.1mol/L水酸化ナトリウムと水で1Lとし、pHを5.5に調整したもの)とし、複合サイクル腐食試験機(板橋理化工業製:BQ−2型)を用い、噴霧室温度を35±2℃、試験液貯蓄槽を35±2℃に保ち、圧縮空気(0.098±0.010MPa)により噴霧液を噴霧ノズルより送り、噴霧室に設置した試料(20%冷間圧延材;縦150mm×横50mm)に連続的に人工汗液を供給する。試験時間は8時間とし、試験後に試料を取り出し、水洗後、ブロワーにより乾燥させた。サンプル表面の色を分光測色計(ミノルタ製 CM2002)を用い、JIS Z 8729 に記載のLで測定し、JIS Z 8730による色差(ΔE={(ΔL+(Δa+(Δb1/2: ΔL、Δa、Δbは2つの物体色の差)を試験前後でのそれぞれのL*a*b*を算出し、その色差の大きさで評価した。色差が小さいほど色調の変化が少なく、したがって耐変色性が優れることになる。耐食性評価として色差の値が「A」:0〜4.9、「B」:5〜9.9、「C」:10以上とした。色差は試験前後でのそれぞれの測定値の違いを表し、その値が大きいほど試験前後の色調が異なり、色差が10以上では目視で十分に変色していることが確認でき、耐変色性が劣ると判断出来る。比較材として市販のC2680(65/35黄銅)、C7060(キュプロニッケル:Cu−10Ni合金)及びC7521(Cu−19Zn−17Ni合金:高Ni合金)についても同様に耐変色性を評価した。C2680は一般的な銅合金製造メーカーで実施されている防錆処理(市販の銅合金用防錆液を用いた処理)を施した。防錆処理はC2680材料の表面をアセトン脱脂した後、75℃に加温した主成分がベンゾトリアゾールである市販の銅合金用防錆液を0.1vol%含む水溶液に10秒間浸漬し、その後、水洗、湯洗を行い、最終ブロワー乾燥した材料を作成した。これは一般的な銅合金の防錆処理条件(量産)と類似である。また、C7060及びC7521は発明合金と同じく防錆材を施さずに暴露試験した。
<耐変色性試験2:屋内暴露試験>
実際にプッシュプレートとして使用することを念頭に三菱伸銅株式会社三宝製作所内にある建屋の屋内ドアに20%冷間圧延材を縦150mm×横50mmに切断した板を貼り付けて表面の変色状況について確認した。この供試材は暴露前に表面を#1200番の耐水研磨紙を用いて乾式で表面研摩を行い、室温(空調あり)で1ヶ月暴露した。このプッシュプレートは少なくとも100回/日は人の手が接触する(1回の接触時間は約1秒)条件で使用した。暴露前後の材料の表面色を分光測色計によりLを測定し、色差を算出し評価した。評価基準は人工汗噴霧試験と同じく、色差の値が「A」:0〜4.9、「B」:5〜9.9、「C」:10以上として評価した。C2680防錆処理材及びC7060、C7521も比較材として同様に暴露試験を行い、評価した。
<耐ニッケルアレルギー性>
健常者(金属による接触皮膚炎を発症していない人)の上腕部に20%冷間圧延材を10mm×10mmに切断した銅合金板をパッチテスト用絆創膏(鳥居薬品製)を用いて貼り付ける。8時間に銅合金板を取り除き、銅合金板と人体が接触していた部分に紅班、湿疹等のアレルギー反応(アレルギー反応とは紅班、湿疹等の症状が目しで確認できる場合)が出ているかどうかを判定した。アレルギー反応が出ていない場合を「A」、アレルギー反応が出ている場合を「C」とした。
<プレス性>
プレス打ち抜き試験は、直径57mmのパンチ及びダイを備えた打ち抜き治具により、200kN油圧型万能試験機(株式会東京試験機製 AY−200SIII−L)により実施した。銅合金板を円形状の丸穴を有するダイ上部に保持し、上部から下部に向かって5mm/秒の速度で打ち抜く。パンチ、ダイの材質はSKS−3を用い、パンチとのクリアランスは3%、抜きダイテーパーは0°であり、無潤滑で実施した。評価する試料は20%冷間圧延材とした。
φ57mmの円形に打ち抜きされた銅合金板の端部から幅5mm、長さ10mmのサンプルを切り出し、そのサンプルを樹脂埋めし、銅合金板端部から垂直方向に金属顕微鏡にて観察し、バリの高さを測定した。打ち抜きサンプルは90°方向に区切った4点を平均として「バリ高さ」を算出した。プレス性(打ち抜き性)は「バリ高さ」が低いほど評価は高く、「バリ高さ」の測定値から評価した。プレス性(打ち抜き性)の評価はA:5μm未満、B:5〜10μm未満、C:10μm以上とした。バリ高さは小さいほどプレス性が良く、5μm未満「A」であれば良好であると判断できる。
<曲げ性>
曲げ性は、試料をJIS Z 2248(金属材料曲げ試験方法)に記載の180度曲げを行い、その曲げ加工部の状況により判断した。180度曲げ試験は20%冷間圧延を行った板厚0.8mm(製造工程P2の20%冷間圧延は1.04mm)のサンプルを用い、曲げ加工部の曲げ半径(R)を0.4mm(製造工程P2の20%冷間圧延は0.52mm)とし、R/ta=0.5としての180度曲げを行った(taは、板厚)。評価は、曲げ部(湾曲部)を目視により観察し、A:しわが無い又は小さなしわが存在、B:大きなしわが存在、C:ザラが発生、D:割れが存在、とした。
実質的にコネクター等の曲げ加工による支障をきたさない「A」(しわが無いあるいは小さなしわが存在)を曲げ性良好と判断し、割れ(クラック)の無いB以上の評価が望ましい。なお、目視によりしわの規模の判断が困難な場合、JBMA(日本伸銅協会技術標準)T307:1999の銅及び銅合金薄板条の曲げ加工性評価方法に示されるように、曲げ加工部(湾曲部)を光学顕微鏡にて50倍に拡大して観察し、判断した。また、材料の結晶粒が粗大となると曲げ加工を行った場合、曲げ加工部周辺に割れは存在しないものの、大きなザラ(肌荒れ)が生じ、それらの材料は使用することが出来ない。ザラを生じたサンプルの評価は「C」とした。
<溶接性>
溶接管は、一般に素材となる条製品を幅方向にフォーミングローラーにより徐々に塑性加工し円形に成形した後、高周波誘導加熱コイルにより誘導発熱させ、その両端を突き合わせて接合することにより製造する。接合部はいわゆる圧接であり、接合部は突き合わされた余分な材料により大きなビードが形成され、その溶接ビード部は連続して切削刃具により管の内部及び外部共に切削除去される。溶接部は突き合わせ部の密着性により接合性に不具合が生じる。溶接性の評価はJIS H 3320の銅及び銅合金の溶接管に記載のへん平試験により行った。つまり溶接管の端から約100mmの試料を採取し、2枚の平板間に試料を挟み、平板間の距離が管の肉厚の3倍になるまで押しつぶし、そのときの溶接管の溶接部を圧縮方向と垂直の方向に置き、曲げの先端となるようにへん平曲げを行い、曲げ加工された溶接部の状態を目視で観察した。なお、偏平曲げは溶接した管材を使用した(冷間抽伸した管材ではない)。評価は、A:割れ、微細ホール等の欠陥が認められない、B:微細割れが認められる(開口した割れの長さが管材長手方向に2mm未満)、C:部分的に割れ(開口した割れの長さが管材長手方向に2mm以上)が認められるとした。
また、溶接管は冷間抽伸を行ったときの溶接部の健全性についても確認した。冷間抽伸した外径28.5mm、肉厚1.1mm、長さ4000mmの管の内から、任意の冷間抽伸溶接管を1本抜粋し、溶接部を全長に渡り目視で確認し、割れが無く、健全である場合の評価を「A」、目視で確認できる割れがある、もしくは冷間抽伸できない場合(溶接部を起点として冷間抽伸中に溶接管が破断した場合)を「C」とした。
<結晶粒径>
結晶粒径は、20%冷間圧延試料(製造工程P1、P3では熱処理工程の後に、0.8mmに冷間圧延した圧延材。製造工程P2では熱処理工程の後に、1.04mmに冷間圧延した圧延材。以下、同じ)を圧延方向と平行方向の断面の金属組織を金属顕微鏡(ニコン製EPIPHOT300)を用いて150倍(結晶粒径に応じ適宜500倍まで変化させた)で観察を行い、その測定した金属組織のα相結晶粒についてJIS H 0501(伸銅品結晶粒度試験方法)の比較法により測定した。なお、結晶粒径(α相結晶粒)は任意の3点の平均値とした。
<β相の面積率>
β相の面積率は次のようにして求めた。20%冷間圧延試料の圧延方向と平行方向の断面の金属組織を、金属顕微鏡(ニコン製EPIPHOT300)により500倍で観察し、その観察した金属組織を画像処理ソフト「WinROOF」を用い、β相について2値化の処理を行ない、金属組織全体(金属組織はβ相以外はα相である)の面積に対するβ相の面積の割合を面積率とした。なお、金属組織は3視野の測定を行い、それぞれの面積率の平均値を算出した。
500倍の金属顕微鏡によりβ相の判別が困難な場合、FE−SEM−EBSP(Electron Back Scattering diffraction Pattern)法によって求めた。すなわち、FE−SEMは日本電子株式会社製 JSM−7000F、解析にはTSLソリューションズOIM−Ver.5.1を使用し、解析倍率2000倍の相マップ(Phaseマップ)から求めた。すなわち、α相は、FCCの結晶構造を示し、β相はBCCの結晶構造を取るので、両者を判別できる。
<熱間加工性>
熱間加工性については、熱間圧延後の割れ状況により評価した。外観を目視で観察し、熱間圧延に起因する割れ等の損傷が全くないもの、又は割れがあっても微細(3mm以下)であるものについては実用性に優れるとして「A」で示し、5mm以下の軽度な耳割れが全長に渡り5箇所以下であるものについては実用可能であるとして「B」で示し、5mmを超える大きな割れ及び/又は3mm以下の小さな割れが6箇所を超えるものについては、実用性困難(実用上大きな手直しが必要)として「C」で示した。そして、「C」と評価したものは、以降の試験を中止した。
<冷間加工性>
冷間加工性については、熱間圧延材を80%以上の高い加工率で冷間圧延した後の割れ状況(冷間加工材の割れ状況)により評価した。外観目視で割れ等の損傷が全くないもの又は割れがあっても微細(3mm以下)であるものについては実用性に優れるとして「A」で示し、3mmを超え5mm以下の耳割れが生じているものについては実用可能であるとして「B」で示し、5mmを超える大きな割れが生じているものについては実用性困難として「C」で示した。この評価は鋳塊に起因する割れは対象外とし、熱間圧延で予め目視で判断できる割れについては、熱間圧延で生じた割れを除き冷間圧延で生じた割れ長さで判断した。そして、「C」と評価したものは、基本的に以降の試験を中止した。
<殺菌性(抗菌性)1>
殺菌性評価はJIS Z 2801の(抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果)を参考にした試験方法により実施し、試験面積(フィルム面積)及び接触時間を変更して評価した。試験に用いた細菌は大腸菌(菌株の保存番号:NBRC3972)とし、35±1℃で前培養(前培養の方法はJIS Z 2801に記載の5.6.aの方法)した大腸菌を1/500NBを用いて希釈し、菌数が1.0×10個/mLに調整した液を試験菌液とした。試験方法は20mm四角に切り出した試料を滅菌したシャーレに置き、前述の試験菌液(大腸菌:1.0×10個/mL)0.045mLを滴下し、φ15mmのフィルムをかぶせ、シャーレの蓋を閉じる。そのシャーレを35℃±1℃、相対湿度95%の雰囲気で10分間培養(接種時間:10分)する。培養した試験菌液をSCDLP培地10mLにより洗い出し、洗い出し菌液を得る。洗い出し菌液を、リン酸緩衝生理食塩水を用いて10倍ずつに希釈し、その菌液に標準寒天培地を加え、35±1℃、48時間培養し、集落数(コロニー数)が30以上となる場合にその集落数を計測し、生菌数(cfu/mL)を求めた。接種時の菌数(殺菌性試験開始時の菌数:cfu/mL)を基準とし、それぞれのサンプルの生菌数と比較し、A:20%未満、B:20〜50%未満、C:80%以上として評価した。A以上(つまり接種時の生菌数に対し評価サンプルの生菌数が1/5未満となる)の評価を得たサンプルは殺菌性が優れると判断した。培養時間(接種時間)を10分と短時間にしたのは、殺菌性・抗菌性の即効性について評価したためである。評価した試料は20%冷間圧延試料である。
<殺菌性(抗菌性)2>
上述した耐変色性試験2の暴露材(三菱伸銅株式会社三宝製作所内屋内ドアのプッシュプレートとして1ヶ月間暴露)の表面色を測定後、20mm四角に切断し、上記の大腸菌を用いた試験菌液による殺菌試験を行い、長期使用後のサンプルについての殺菌性を評価した。試験方法及び評価方法は上述した殺菌性(抗菌性)1の評価方法と同じである。
<耐食性>
耐食性は、ISO6509:1981(Corrosion of metals and alloys Determination of dezincification resistance of brass)による脱亜鉛腐食試験により評価した。試験は75℃に加温した1%第2塩化銅水溶液中に24時間保持したサンプルを暴露表面から垂直方向の金属組織を観察し、脱亜鉛腐食の最も進行している部分の深さ(最大脱亜鉛腐食深さ)を測定した。その最大脱亜鉛腐食深さが200μm以下を「A」、200μmを超えるものを「C」とした。
20%冷間圧延試料(製造工程P1、P3では熱処理工程の後に、0.8mmに冷間圧延した圧延材。製造工程P2では熱処理工程の後に、1.04mmに冷間圧延した圧延材。以下、同じ)を用いた。
<引張試験>
熱処理工程後の圧延材(冷間圧延前の試料)及び20%冷間圧延試料をそれぞれJIS Z2201:金属材料引張試験片の5号試験片(幅25mm、標点間距離25mm)に加工し、200kN油圧型万能試験機(株式会東京試験機製 AY−200SIII−L)により引張試験を実施した。また、溶接したままの溶接管(直径32.0mm、肉厚1.38mm)および冷間抽伸した溶接管(直径25mm、肉厚1mm)はJIS Z2201:金属材料引張試験片の11号試験片(標点間距離50mm:試験片は管材から切り取ったまま)とし、つかみ部に芯金を入れて、200kN油圧型万能試験機(株式会社東京試験機製 AY−200SIII−L)により引張試験を実施した。
また、引張強度をσ(N/mm)、伸びをε(%)としたとき、強度と延性のバランスを示す指標として引張指数f2=σ×(1+ε/100)を定めた。
上記の各試験の結果を図4乃至図13に示す。ここでそれぞれの各試験の結果は、図4と図5、図6と図7、図8と図9、図10と図11、図12と図13の2個づつの図に示している。
ここで、製造工程P2での熱処理の欄は、1.3mmの冷間圧延の次に行っている熱処理の条件を示している。また、製造工程P2での引張試験(熱処理後)の欄は、1.3mmの冷間圧延の次に行っている熱処理後での結果を示している。また、引張試験(20%冷間圧延材)の欄は、製造工程P1、P3については、0.8mmに冷間圧延した後の結果を示し、製造工程P2については、1.04mmに冷間圧延した後の結果を示している。
試験の結果、下記のことが分かった。
第1発明合金であって、α相のマトリックスに面積率で0〜0.9%のβ相が分散する金属組織である銀白色銅合金は、熱間加工性、冷間加工性、プレス性等の機械的性質に優れ、且つ、変色しにくく、殺菌性・抗菌性、耐Niアレルギー性に優れた(試験No.a−1等参照)。α相のマトリックスに面積率で0〜0.4%のβ相が分散する金属組織である銀白色銅合金は、特に前記特性に優れる。
第2発明合金であって、α相のマトリックスに面積率で0〜0.9%のβ相が分散する金属組織である銀白色銅合金は、強度、曲げ性、プレス性が更に向上した(試験No.a−13等参照)。α相のマトリックスに面積率で0〜0.4%のβ相が分散する金属組織である銀白色銅合金は、特に前記特性に優れる。
第3発明合金であって、α相のマトリックスに面積率で0〜0.9%のβ相が分散する金属組織である銀白色銅合金では、Al、P、Mgを有した合金は、強度、耐変色性、耐食性が向上し、Sb、Asを有した合金は耐食性が向上した(試験No.a−33、a−35、a−36、a−37、a−38等参照)。
熱間圧延後の圧延材の冷却速度が400〜500℃の温度域で1℃/秒以上であると、α相のマトリックスでのβ相の面積率が、0〜0.9%になり易い(試験No.c−8〜c−18、c−111、c−114等参照)。
熱処理において、520≦Tmax≦800、0.1≦th≦90、470≦Tmax−90×th−1/2≦620であり、冷却時の圧延材の400〜500℃の温度域での冷却速度が1℃/秒以上であると、α相のマトリックスでのβ相の面積率が、0〜0.9%になり易い(試験No.c−8〜c−18、c−107〜c−110、c−112〜c−117参照)。540≦Tmax≦780であり、0.15≦th≦50であり、冷却時の圧延材の400〜500℃の温度域での冷却速度が2℃/秒以上であり、(Tmax−90×th−1/2)が、480以上または495以上であり、且つ、600以下または580以下であると、相のマトリックスでのβ相の面積率が、0〜0.4%になり易い。
Cu、Ni、Mnの組成指数f1(f1=[Cu]+1.2×[Ni]+0.4×[Mn])の値が65.5未満の場合、熱間圧延は実施可能であったが、熱間圧延後の冷間圧延性時に5mm以上の割れが多く認められ、冷間加工性に問題があった。それらの試料は量産などを想定した場合、問題となるため、その後の熱処理、冷間圧延及び種々の評価については実施していない。ただし、試験No.a−109のみ熱処理及び冷間圧延を実施し、種々の特性を確認したが、β相量が多く、そのため冷間加工性に劣り、更に強度と延性(特に延性が低い)のバランスの指標である引張指数f2=σ×(1+ε/100)が低く、180度曲げ加工でも大きな割れを生じ、殺菌性、耐変色性、耐食性、Niアレルギー性も劣る結果となった。
また組成指数f1の値が70を超える場合は、熱間あるいは冷間加工時に大きな割れが発生することはなく、最終冷間加工まで実施することが可能であった。しかしそれらの試料は引張強度が低く、そのため強度と伸びのバランスの指標である引張指数f2が650以下と小さい。また、プレス性においても大きなバリが発生し、加工性に問題がある(試験No.a−106、a−112、a−120等参照)。なお、f1の値が69.0以下、若しくは、66.0以上であるとf2が高い値を示す。
Cu量が51.0mass%未満、あるいは58.0mass%を超えた試料は組成指数f1の適正範囲を超えているものが多く、上述のように各種特性に問題が生じる(試験No.a−101、a−106等参照)。また上述の試験No.a−109は組成指数f1の適正範囲にあるものの、Cu量が51.0mass%未満であり、上述のごとく、種々の特性に劣る結果となる。組成指数f1とCu量は関連が大きいが、組成指数f1が適正範囲を超える試料は各種特性が劣ることとなり、Cu量は51.0〜58.0mass%が望ましい。さらに、Cu量が51.5〜57.0mass%であると種々の特性がさらに良い結果となる。
Ni量が12.5mass%を超える試験No.a−111は、組成指数f1は適正範囲内にあるものの、熱間圧延性が悪く、熱間圧延時に大きな耳割れを生じた。9.0mass%未満の試験No.a−119も組成指数f1の適正範囲内にあるが、強度が低く、そのため強度と伸びのバランスの引張指数f2の値が小さい。また殺菌性、耐変色性も悪くなった。
Ni量も組成指数f1と相関があるが、9.0〜12.5mass%内に抑える必要があり、10.0〜12.0mass%であると更に特性が良くなる。
試験No.a−105は、Ni量が9.0mass%未満であるが、Pbが0.032mass%と多く添加しているため、熱間圧延時に耳割れが大きく、量産を検討するのは困難であるため、それ以降の冷間圧延加工などは中止した。
Pbは0.030mass%を超える試料(試験No.a−117)も、同様に熱間圧延時に大きな耳割れが発生したため、それ以降の調査は中止した。一方、Pbが0.0005mass%未満では打ち抜き試験時のバリが大きくなり、加工性に問題が生じる(試験No.a−103等参照)。このようにPbが0.030mass%を超えて含まれる試料は熱間圧延性(熱間加工性)に大きな問題があり、0.0005mass%未満では打ち抜き性(バリ)に問題があり、0.0005〜0.030mass%の適正範囲が導かれる。
Mnは1.9mass%を超えて含まれる試料(試験No.a−114)は、熱間圧延時に大きな耳割れが生じた。Mn添加は主に強度を上昇させ、Mnが含まれない試料よりも引張指数f2の値を改善する効果が高かった。その効果は0.05mass%未満では発揮されず、0.03mass%の試験No.a−116ではMn無添加材とほぼ同等レベルで、引張強度がやや小さかった。このようにMnは0.05〜1.9mass%であれば、強度を向上させ、引張指数f2が改善されることとなった。
殺菌性はZn/Cuの値が0.58未満あるいは0.7以上で評価がBとなる結果が多く、組成指数f1だけでなく、Zn/Cuの比も最適な範囲が存在する。
熱間圧延終了後の400−500℃の温度域の冷却速度が1℃/秒未満(0.2、0.4、0.8℃/秒)の場合、また熱処理時の400−500℃の温度域での冷却速度も同様に1℃/秒未満(0.4、0.8℃/秒)の場合、β相の割合が多くなり、冷間圧延性、殺菌性・抗菌性及び耐変色性が悪化し、また最終熱処理温度が高く、結晶粒径が大きい場合には耐食性も低下した(試験No.c−111、c−112、c−114、c−119、c−120等参照)。なお、c−111、c−114、c−119、c−121、c−123、c−104、c−129、c−130については熱延終了後の400−500℃の温度域の冷却速度が1℃/秒未満であり、β相の割合が高くなったため冷間圧延性は「C」の評価となり、圧延材に大きな耳割れが生じている。このように、実用性が困難な製造条件ではあるが、耳割れ部に生じた割れ部分を切除し、その後の各種特性を評価した。
また、β相が多くなると強度と伸びのバランスが悪く、引張指数f2=σ×(1+ε/100)の値が650を下回ることになり、曲げ加工性も低下することから、高い強度が必要で曲げ加工するような部材への使用に問題が生じることとなった。
冷却速度が1℃/秒以上の場合においても2℃/秒未満ではβ相が微量析出し、殺菌性・抗菌性や耐変色性に影響があるが、1℃/秒未満の条件よりも強度と伸びのバランス(引張指数f2)が優れた。
このように熱間圧延終了後の400−500℃の温度域での冷却速度及び熱処理時の400−500℃の温度域での冷却速度は1℃/秒以上必要であり、更に2℃/秒以上ではβ相の出現もなく、加工性、殺菌性・抗菌性、耐変色性及び耐食性に優れ、強度と伸びのバランスも良い材料となる。
上述のようにβ相の面積率は冷間圧延性、強度と伸びのバランス、曲げ加工性及び殺菌性・抗菌性、耐変色性、耐食性に影響を与え、1.0%以上ではそれらのどれかの特性の評価が悪い。またβ相の面積率が0.4%未満では前述の特性に大きな影響を与えることがなく、種々の特性の優れた材料となり、それらの使用用途が制限されることはない。耐食性はβ相だけでなく結晶粒径にも影響される。特にβ相が1.0%を超え、及び結晶粒径が15μm(0.015mm)を超える試料ではISO6509脱亜鉛腐食試験でも200μmを超える脱亜鉛腐食が認められた(試験No.c−118、c−120等参照)。β相は粒界に存在し、結晶粒が大きいため、脱亜鉛腐食深さが大きくなった。なお、β相が1.5%を超えると結晶粒が10μm(0.010mm)以下でも脱亜鉛腐食に問題が生じてくる(試験No.c−129参照)。
熱処理時の最高到達温度は、最高到達温度より50℃低い温度から最高到達温度までの温度域での保持時間との関連もあるが、520℃以下では再結晶組織を得ることが出来ず、そのため加工性に問題が生じるようになる(試験No.c−108等参照)。また、800℃以上では結晶粒が成長し、30μmを超えてくる(試験No.c−107等参照)。そのため曲げ加工あるいは打ち抜き加工などの強い塑性加工を受ける部分にザラ(表面の凹凸)が生じるようになる。
前述の保持時間は0.1分以下では十分な再結晶組織が得られず、強度と伸びのバランスが低くなる(試験No.c−116等参照)。また加熱時間が100分と長くなると結晶粒が成長し、強い塑性加工部分にザラが生じるようになる(試験No.c−117等参照)。
これらの熱処理指数Itが470未満では十分な再結晶組織が得られず、また620以上では結晶粒が粗大化し、180度曲げなどでザラが発生しやすく、打ち抜き試験でのバリが大きくなるなど塑性加工(加工性)などで問題が生じる(試験No.c−118、c−124等参照)。Itが、480以上または495以上であり、且つ、600以下または580以下であると最適な平均結晶粒径が得られ、強度との伸びのバランスもよくなる。
Cuが51mass%以下(50.7mass%:Zn36.6mass%)ではβ相率が高く、そのため強度/伸びのバランス、曲げ加工性、耐食性、耐変色性、殺菌性・抗菌性も劣ることになる(試験No.a−109参照)。
Niが13mass%と高いと冷間加工性が悪く、冷間圧延材を作成することが出来なかった(試験No.a−111等参照)。また、8.5mass%と低い場合、強度/伸びのバランスが低く、殺菌性・抗菌性及び耐変色性も悪くなる(試験No.a−119等参照)。
Pb、Cはそれぞれ0.035mass%、0.012mass%を含む場合、熱間圧延性及び冷間圧延性に問題があり、特にPbでは熱間圧延性が悪く、割れが大きくなるなど、製品を正常に作成することができなかった(試験No.a−117、a−115等参照)。逆にPb、Cがそれぞれ0.0002mass%である場合、打ち抜き加工性悪く、打ち抜き時のバリが大きくなり、バリを除去する作業が必要となり、製造コストがかかることになる(試験No.a−118、a−113等参照)。
Mnは2.6mass%含んだ材料では熱間圧延性、冷間圧延性が悪く、圧延材を製造することが出来なかった(試験No.a−114等参照)。一方、0.03mass%と低い場合には打ち抜き加工性が悪く、問題を生じる(試験No.a−116等参照)。
Alは0.32mass%含んだ材料ではAlの強固な酸化皮膜が表面に形成し、殺菌性・抗菌性に問題を生じる(試験No.a−121参照)。
Pは0.12mass%含んだ材料では、熱間圧延材の端部において大きな耳割れが生じ、熱間での延性に問題が生じた(試験No.a−122)。
Sb、Asはそれぞれ0.11mass%、0.13mass%を含んだ材料において冷間圧延で若干の耳割れが認められ、材料を180°に曲げる曲げ試験において割れが生じるなど、冷間での延性に問題が生じた(試験No.a−123参照)。
また、組成指数f1=[Cu]+1.2×[Ni]+0.4×[Mn]の値が、65以下では熱間、冷間圧延性が問題となり、70を超えると強度/伸びのバランスが悪くなる。組成指数f1の値が66.0〜69.0、好ましくは66.5〜68.0の材料が特に各種特性に優れる。
発明合金はいずれも従来材であるC7521(洋白)と比較し、強度/伸びのバランスが優れ、耐ニッケルアレルギー性がよい。
また、Cu/Ni合金であるC7060や黄銅材(Cu/Zn合金)であるC2680と比較すると、C7521と同様に強度/伸びのバランスが優れ、打ち抜き性(加工性)、殺菌性・抗菌性、耐変色性、耐食性に優れる。また、防錆処理を施したC2680よりも開発合金の耐変色性が優れ、特に長期間の人体接触による暴露試験で顕著な差が見られた。
このように発明合金は洋白と同様の銀白色を呈し、機械的性質(高強度、強度と伸びのバランス)、熱間加工性、冷間加工性が優れ、変色し難く、殺菌性(抗菌性)に優れた銅合金であることが理解される。
本発明に係る銀白色銅合金は、病院内、公共施設の手すり、ドアノブ、ドアハンドル、レバーハンドル、プシュプレート、ポール、ベッドサイドレール、筆記具、グリップ、包交車、台車、食事等搬送台車、カート、机や作業台の天板の構成材、キー材、医療用器具の部材、ヘルスメータ天板、建築内装材、ベンチ・椅子などの手すり、エレベータ内装、屋内電気スイッチ、リモコンなどのボタン、洋食器、楽器、携帯電話、パソコンの遮蔽盤、電気部品のような用途に最適である。また、ニッケルメッキなどのメッキフリーの銀白色材料としての用途にも最適である。

Claims (6)

  1. 51.0〜58.0mass%のCuと、9.0〜12.5mass%のNiと、0.0003〜0.010mass%のCと、0.0005〜0.030mass%のPbとを含有し、残部がZn及び不可避不純物からなり、
    Cuの含有量[Cu]mass%と、Niの含有量[Ni]mass%との間に、65.5≦[Cu]+1.2×[Ni]≦70.0の関係を有し、
    α相のマトリックスに面積率で0〜0.9%のβ相が分散する金属組織であることを特徴とする銀白色銅合金。
  2. 51.0〜58.0mass%のCuと、9.0〜12.5mass%のNiと、0.05〜1.9mass%のMnと、0.0003〜0.010mass%のCと、0.0005〜0.030mass%のPbとを含有し、残部がZn及び不可避不純物からなり、
    Cuの含有量[Cu]mass%と、Niの含有量[Ni]mass%と、Mnの含有量[Mn]mass%との間に、65.5≦[Cu]+1.2×[Ni]+0.4×[Mn]≦70.0の関係を有し、
    α相のマトリックスに面積率で0〜0.9%のβ相が分散する金属組織であることを特徴とする銀白色銅合金。
  3. 51.5〜57.0mass%のCuと、10.0〜12.0mass%のNiと、0.05〜0.9mass%のMnと、0.0005〜0.008mass%のCと、0.001〜0.009mass%のPbとを含有し、残部がZn及び不可避不純物からなり、
    Cuの含有量[Cu]mass%と、Niの含有量[Ni]mass%と、Mnの含有量[Mn]mass%との間に、66.0≦[Cu]+1.2×[Ni]+0.4×[Mn]≦69.0の関係を有し、
    α相のマトリックスに面積率で0〜0.4%のβ相が分散する金属組織であることを特徴とする銀白色銅合金。
  4. 0.01〜0.3mass%のAl、0.005〜0.09mass%のP、0.01〜0.09mass%のSb、0.01〜0.09mass%のAs、0.001〜0.03mass%のMgのいずれか1種以上を更に含有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の銀白色銅合金。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の銀白色銅合金の製造方法であって、
    熱間圧延後の圧延材の冷却速度が400〜500℃の温度域で1℃/秒以上であることを特徴とする銀白色銅合金の製造方法。
  6. 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の銀白色銅合金の製造方法であって、
    圧延材を所定の温度に加熱し、加熱後に該圧延材を所定の温度に所定の時間保持し、保持後に該圧延材を所定の温度まで冷却する熱処理工程を含み、
    前記熱処理工程における前記圧延材の最高到達温度をTmax(℃)とし、該熱処理工程における該圧延材の最高到達温度より50℃低い温度から最高到達温度までの温度域での保持時間をth(min)としたときに、520≦Tmax≦800、0.1≦th≦90、470≦Tmax−90×th−1/2≦620であり、前記冷却時の該圧延材の400〜500℃の温度域での冷却速度が1℃/秒以上であることを特徴とする銀白色銅合金の製造方法。
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