JP2005325413A - 無鉛白色銅合金とこの合金を用いた鋳塊・製品 - Google Patents

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秀樹 小辻
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Abstract

【課題】加工性、耐食性、色調等が要求される分野に好適であり、特に、切削性、熱間加工性、機械的性質、耐脱亜鉛性、及び耐エロージョン・コロージョン性に極めて優れ、しかも、環境に十分配慮された無鉛白色銅合金とこの合金を用いた鋳塊・製品を提供する。
【解決手段】Cu:40.0〜50.0mass%、Ni:5.0〜20.0mass%、Mn:1.0〜10.0mass%、Bi:0.5〜3.0mass%、Sn:2.0〜6.0mass%、P及びSbの少なくとも1種以上を合計で0.02〜0.2mass%を含有し、残部がZn及び不可避不純物からなる組成を有する切削性、熱間加工性、機械的性質、耐変色性、耐脱亜鉛性、耐エロージョン・コロージョン性に優れた無鉛白色銅合金である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光沢のある白色を呈した無鉛白色銅合金に関するものであり、この銅合金は、加工性、耐食性、色調等が要求される分野に好適であり、特に、切削性、熱間加工性、機械的性質、耐脱亜鉛性、及び耐エロージョン・コロージョン性に極めて優れ、しかも、環境に十分配慮された無鉛白色銅合金とこの合金を用いた鋳塊・製品に関する。
一般に、黄銅や青銅などの銅合金は、バルブ、水栓金具などの配管器材、建築資材、電気・電子機器、機械部品などの各種用途に使用されている。美的外観が不可欠である製品の中には、白色の色調が要求されると共に、加工性や耐食性が要求されるものがあるが、従来より、これら要求に対処するため、切削性に優れたCAC406等の青銅合金やC3771等の黄銅合金に、ニッケル・クロムめっき等のめっき処理を施すことで、白色の色調、加工性及び耐食性を確保してきた。しかし、めっき製品は表面のめっき層が剥離するという問題を有し、また、めっき製品を再溶解すると、めっき材料が銅合金に混入して品質を低下させるため、再利用する場合においても問題があった。そこで、銅合金そのものが光沢のある白色を呈し、加えて、加工性や耐食性に優れた銅合金の開発が切望され、現在では、Cu、Ni、Znを主体とする洋白などの白色系合金が開発されるに至っている。
洋白などの白色系合金は、その色調や優れた加工性、耐食性から、めっき製品に替わる材料として、装飾・工芸品や洋食器をはじめ、建築資材、電気・電子機器、機械部品、コインなどの材料として広く利用されており、その使用目的に応じて、切削性、機械的性質、耐食性等の特性を改善するため、Cu、Ni、Znに加え、各種の添加元素が含まれている。例えば、JIS C7941(非特許文献1)は、Cu:60.0〜64.0重量%、Ni:16.5〜19.5重量%、Mn:0〜0.5重量%、Pb:0.8〜1.8重量%、Fe:0.25重量%以下を含み、残りがZn及び不可避成分から成る快削洋白である。
また、特許第2828418号公報(特許文献1)に記載の合金は、Cu:41.0〜44.0重量%、Ni:10.1〜14.0重量%、Mn:5.0〜9.0重量%、Pb:0.5〜3.0重量%及びAlとTiの少なくとも一方0.005〜0.2重量%含み、残りがZn及び不可避成分から成り、Zn当量に基づいて換算したマトリックス中のCu含有量が62%以下に調整された合金であり、洋白の特徴である白色を確保しつつ、Cuの含有量を抑制して熱間加工性を向上させている。さらに、特開平5−345939号公報(特許文献2)は、Zn:20〜40重量%、Ni:2〜10重量%、Mn:1〜10重量%、Sn:0.01〜3.0重量%、Pb:0.01〜4.0重量%含有し、残部Cu及び不可避的不純物からなり、更にこの組成をもつマトリックス中に、偏析によって生じる組成の異なる第2相を体積分率で0.1%以上分散させた白色銅合金である。さらに、特開平5−311290号公報(特許文献3)は、Zn:8〜40重量%、Ni:6〜12重量%、Sn:0.5〜2.5重量%、Mn:0.1〜5.0重量%、及びP:0.005〜0.05重量%含有し、残りがCu及び不可避的不純物から成る銅合金である。
ところが、上記したJIS C7941(非特許文献1)、特許第2828418号公報(特許文献1)、及び特開平5−345939号公報(特許文献2)のいずれにも示されているように、これら特許文献をはじめ、従来技術には切削性を向上させるためにPb(鉛)を所定量添加している。Pbは人体に有害な物質であり、環境負荷が高い元素であることから、厚生労働省令により鉛浸出基準の規制が強化され、また、RoHS規制(欧州市場における電気・電子機器に関する有害物質使用制限)においては、Pbの含有量そのものが厳しく規制されるに至っている。一方、特開平5−311290号公報(特許文献3)は、Pbを含まないものの、切削加工性に劣り、しかも、Cu、Ni、Mnの含有量をむやみに高くすると、熱間加工性が低下して熱間押出しができなくなる問題がある。
そこで、鉛の含有量を抑制した快削銅合金の一例として、以下に示す銅合金が開発されている。
例えば、特開2002−146455号公報(特許文献4)は、BiおよびPbを含有した銅合金のマトリックス中に、BiおよびPbがBiとPbの化合物として存在する銅合金であり、Pbの溶出基準を満足しつつ、切削性を確保することが可能である旨記載されている。また、特開2002−69551号公報(特許文献5)には、マトリックス中に固溶しない低融点金属であるPb、Biのうち、1種または2種を含有する銅合金であって、マトリックス中に前記低融点金属の粒子が1mm当たり10個以上分散した銅合金であり、熱間加工性、切削性を確保することが可能である旨記載されている。
日本規格協会出版JISハンドブック 特許第2828418号公報 特開平5−345939号公報 特開平5−311290号公報 特開2002−146455号公報 特開2002−69551号公報
しかしながら、特開2002−146455号公報(特許文献4)、特開2002−69551号公報(特許文献5)は、BiとPbを混合することにより、鉛の溶出量を低減しているが、Biに対するPbの許容を認めているために、加工時に発生する切削屑や廃棄部品を、Pb入り又はPbレス材料に分離して再利用することが困難である。また、特開2002−146455号公報、特開2002−69551号公報に示す銅合金は、洋白のように白色を呈するものではなく、従って、白色の色調が要求される分野において適用できるものではない。
本発明は、上述した実情に鑑み、鋭意検討の結果開発に至ったものであり、その目的とするところは、加工性、耐食性、色調等が要求される分野に好適であり、特に、切削性、熱間加工性、機械的性質、耐脱亜鉛性、及び耐エロージョン・コロージョン性に極めて優れ、しかも、環境に十分配慮された無鉛白色銅合金とこの合金を用いた鋳塊・製品を提供することにある。
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、Cu:40.0〜45.0mass%、Ni:6.0〜15.0mass%、Mn:1.0〜10.0mass%、Bi:0.5〜3.0mass%を含有し、残部がZn及び不可避不純物からなる組成を有する切削性、熱間加工性、機械的性質、耐変色性に優れた無鉛白色銅合金(以下、本発明合金1という)である。
請求項2に係る発明は、Cu:40.0〜50.0mass%、Ni:5.0〜20.0mass%、Mn:1.0〜10.0mass%、Bi:0.5〜3.0mass%、Sn:2.0〜6.0mass%を含有し、残部がZn及び不可避不純物からなる組成を有する切削性、熱間加工性、機械的性質、耐変色性、耐脱亜鉛性、耐エロージョン・コロージョン性に優れた無鉛白色銅合金(以下、本発明合金2という)である。
請求項3に係る発明は、Cu:40.0〜50.0mass%、Ni:5.0〜20.0mass%、Mn:1.0〜10.0mass%、Bi:0.5〜3.0mass%、Sn:2.0〜6.0mass%、P及びSbの少なくとも1種以上を合計で0.02〜0.2mass%を含有し、残部がZn及び不可避不純物からなる組成を有する切削性、熱間加工性、機械的性質、耐変色性、耐脱亜鉛性、耐エロージョン・コロージョン性に優れた無鉛白色銅合金(以下、本発明合金3という)である。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3に記載の銅合金を用いて製造した鋳塊と加工成形された装飾・工芸品、洋食器、配管器材、建築資材、電気・電子機器、機械部品、コイン、船舶用部品、温水関連機器等の製品である。
請求項1に係る発明によると、鉛を添加することなく、優れた切削性を確保すると共に、熱間加工性、機械的性質、及び耐変色性に優れ、しかも、環境に十分配慮された無鉛白色銅合金として、安価に提供することが可能となる。これにより、鉛を含有する洋白などの白色合金やめっき製品に替わり、白色の色調が要求される装飾・工芸品や洋食器をはじめ、配管器材、建築資材、電気・電子機器、機械部品、コイン、船舶用部品、温水関連機器など、あらゆる分野に好適な材料として提供することが可能となる。
請求項2に係る発明によると、鉛を添加することなく、優れた切削性を確保すると共に、熱間加工性、機械的性質、耐変色性、耐脱亜鉛性、及び耐エロージョン・コロージョン性に優れ、しかも、環境に十分配慮された無鉛白色銅合金として、安価に提供することが可能となる。また、耐脱亜鉛性を得るために黄銅では熱処理を行うが、本発明においてはその必要はなく、製造上、必要となるエネルギー量を低減させることができるので、更に低コスト化を実現させ、環境負荷をより低減する効果を奏する。
請求項3に係る発明によると、鉛を添加することなく、優れた切削性を確保すると共に、熱間加工性、機械的性質、耐変色性、耐脱亜鉛性、及び耐エロージョン・コロージョン性に優れ、しかも、環境に十分配慮された無鉛白色銅合金として、安価に提供することが可能となる。また、耐脱亜鉛性を得るために黄銅では熱処理を行うが、本発明においてはその必要はなく、製造上、必要となるエネルギー量を低減させることができるので、更に低コスト化を実現させ、環境負荷をより低減する効果を奏する。
請求項4に係る発明によると、請求項1乃至3に係る銅基合金を用いて製造された鋳塊、加工成形された装飾・工芸品や洋食器、バルブや水栓金具などの配管器材、建築資材、電気・電子機器、機械部品、コイン、船舶用部品、温水関連機器等の製品として提供することが可能となる。
以下、本発明における無鉛白色銅合金の実施形態を説明する。
本発明の銅合金は、洋白などの白色系合金と同様に白色(銀白色)を呈し、長期に亘り美しい外観を維持すると共に、耐食性に優れた無鉛白色銅合金であり、しかも、本発明合金1の組成を有することで、切削性、熱間加工性、機械的性質、耐変色性に優れ、また、本発明合金2,3の組成を有することで、切削性、熱間加工性、機械的性質、耐変色性に加え、耐脱亜鉛性、耐エロージョン・コロージョン性にも優れ、特に、白色の色調が要求される装飾・工芸品や洋食器をはじめ、配管器材、建築資材、電気・電子機器、機械部品、コイン、船舶用部品、温水関連機器等の製品の材料として好適である。
ここで、発明である無鉛白色銅合金の組成範囲とその理由について説明する。
Cu:40.0〜45.0mass%(本発明合金1)
Cu:40.0〜50.0mass%(本発明合金2,3)
Cuは40.0mass%未満になると銀白色が失われ、伸び、耐変色性が低下する。45.0mass%を越えると熱間加工性が低下する。これらを考慮して、本発明合金1ではCu組成範囲を40.0〜45.0mass%とした。また、本発明合金2,3では前記した理由に加え、後述するSnの含有を考慮し、Cu組成範囲を40.0〜50.0mass%とした。
Ni:6.0〜15.0mass%(本発明合金1)
Ni:5.0〜20.0mass%(本発明合金2,3)
Niは主に色調と機械的性質に寄与する反面、過剰な添加は熱間加工性の低下を招く元素であり、6.0mass%未満は銀白色が失われ、15.0mass%を越えると熱間加工性が低下する。これらを考慮して、本発明合金1ではNi組成範囲を6.0〜15.0mass%とした。また、本発明合金2,3では前記した理由に加え、後述するSnの含有を考慮し、Ni組成範囲を5.0〜20.0mass%とした。
Mn:1.0〜10.0mass%(本発明合金1〜3)
MnはNiの性質を補助する元素であり、添加による効果はNiと類似しており、1.0mass%未満では銀白色が失われ、10.0mass%を越えると熱間加工性が低下する。これらを考慮して、本発明合金1乃至3ではMn組成範囲を1.0〜10.0mass%とした。
Bi:0.5〜3.0mass%(本発明合金1〜3)
Biは切削性を向上させる元素である。切削性を向上させるために0.5mass%以上含有するが、3.0mass%を越えると引張強さ及び伸びが低下する。これらを考慮して、本発明合金1乃至3ではBi組成範囲を0.5〜3.0mass%とした。
Sn:2.0〜6.0mass%(本発明合金2,3)
Snを添加することで、熱間加工性、引張強さ、色調を向上させ、耐脱亜鉛性、耐エロージョン、コロージョン性が得られる反面、過剰な添加は伸びを低下させると共に、熱間変形抵抗を上昇させて、熱間加工性を低下させてしまう。熱間加工性、耐脱亜鉛性、及び耐エロージョン・コロージョン性を最適に得るため、本発明合金2,3ではMn組成範囲を2.0〜6.0mass%とした。
P、Sb:0.02〜0.2mass%(本発明合金3)
P、Sbのうち、少なくとも1種以上を合計で0.02〜0.2mass%添加することで、耐脱亜鉛性を更に向上させる。その効果は0.02mass%未満では不十分であり、0.2mass%を越えると引張強さ及び伸びを低下させる。これらを考慮して、本発明合金3ではその組成範囲を合計で0.02〜0.2mass%とした。
不純物:
本発明合金1乃至3においては、一般に銅合金に含有される元素及び環境負荷の高い元素のうち、Fe、Al、Si、Pbについて、それぞれ0.1mass%を上限値とする。
次に、本発明の無鉛白色銅合金を適用した実施例について、色調評価、熱間加工性試験、金属材料引張試験、切削抵抗試験、塩水噴霧試験、脱亜鉛腐食試験、及び隙間噴流腐食試験を行った。各試験に使用する供試材は径171mm、長さ650mmのビレットを730〜790℃で押出し、冷間引抜きした径20mmの棒材を用いた。引張試験片にはJIS Z2201 4号試験片を用いた。評価に用いた供試材(本発明)の組成値を表1に示し、比較例として同様の評価試験を行った供試材の組成値を表2に示す。
Figure 2005325413
Figure 2005325413
各試験の評価基準並びに評価方法について説明する。
色調評価:
色調は、評価基準をNi−Crめっき表面と同等の銀白色を呈することとし、評価方法は目視で行った。
熱間加工性試験:
熱間変形抵抗(熱間加工性)は、評価基準をC3771材の60%以上の変形抵抗比とし、評価方法は熱間変形抵抗試験にて行った。この試験は、供試材を加熱し、落下荷重を加えて変形させ、このときの変形エネルギーを熱間変形抵抗値として測定するものである。図1は、自由落下鍛造機1を示した概略説明図であり、同図に示すように、重量7.98kgの重り2を、高さH1013mmから落下させる自由落下鍛造機1を用い、φ10×15mmの供試材3を所定の温度(730℃)に加熱し鍛造する。熱間変形抵抗値Kfは、鍛造後の供試材3の変形量を求め、下記式より算出する。なお、W・Hは供給エネルギー(kg・mm)、Vは供試材の体積(mm)、hは変形前の供試材の高さ(mm)、hは変形後の供試材の高さ(mm)を表す。
式:
Kf(kg/mm)=W・H/V・ln(h/h)
金属材料引張試験:
引張強さは、評価基準を500N/mm以上とし、評価方法はJIS Z2241金属材料引張試験方法に準拠して行った。伸びは、評価基準を10%以上とし、評価方法はJIS Z2241金属材料引張試験方法に準拠して行った。
切削抵抗試験:
切削性は、上記した径20mmの供試材を用い、表3に示す試験条件により、外形切削及びドリル穿孔による切削抵抗を市販のJIS H3250のC3604を100としたときの相対評価として70%以上のものを合格とした。また、あわせて切削粉の評価を示す。外形切削粉の評価基準は、切削粉の全長が5mm未満を○、5mm以上を×とした。穿孔切削粉の評価基準は、全長が10mm未満を○、10mm以上を×とした。
Figure 2005325413
塩水噴霧試験:
耐変色性は、評価基準を変色・腐食のないこととし、評価方法はJIS Z2371塩水噴霧試験方法に準拠して行った。
脱亜鉛腐食試験:
耐脱亜鉛性は、ISO6509−1981に規定された黄銅の脱亜鉛腐食試験法に準拠して行った。試験方法は1%の塩化第二銅水溶液を75℃に保持し、エメリー紙で#1500まで仕上げた試料を試験槽に24時間浸漬させた後、この試料を取り出して断面の腐食深さと形態を顕微鏡観察により測定した。評価基準は最大脱亜鉛腐食深さが200μm以下、平均脱亜鉛腐食深さが200μm以下を満たす試料を○、それ以上の脱亜鉛腐食深さが起きた試料を×とした。
隙間噴流腐食試験:
耐エロージョン・コロージョン性は、隙間噴流腐食試験により評価する。図2は、隙間噴流腐食試験装置4を示した概略説明図である。試験方法は腐食液に対して暴露面積を64mm(φ16mm)に加工した試験片5を鏡面研磨し、同図に示すように設置する。次いで、この試験片表面より0.4mmの高さの噴射ノズル6(ノズル径:1.6mm)から試験溶液(1%塩化第二銅水溶液)を0.4リットル/minで噴射する。試験溶液を5時間噴射した後、質量を測定して質量損失を求め、腐食形態を観察する。なお、図中7は腐食液流れ方向である。質量損失が0.5g以下で局部的な腐食が見られない試料を○、質量損失が0.5gを越えるか、局部的な腐食が見られる試料を×とした。
上記した各試験の評価基準並びに評価方法に基づいて実施した、表1に示す供試材(本発明合金)の各試験結果を表4に示し、表2に示す供試材(比較例合金)の各試験結果を表5に示す。
Figure 2005325413
Figure 2005325413
表1及び表4に示すNo.1〜7は本発明合金1に係る実施例であり、表2及び表5に示すNo.20〜26は前記実施例に対する比較例(比較例合金1)である。表4に示す各試験結果から明らかなように、No.1〜7の供試材は上記した各試験の評価基準をすべて満足した。一方、表5で示すように、比較例であるCu、Ni、Mnの含有量が低いNo.20〜22では色調が適さず、また、Cu、Ni、Mnの含有量がそれぞれ高いNo.23〜25では熱間変形抵抗が60%未満であった。さらに、No.25はBiの含有量が低いために切削抵抗が70%未満となり、No.26ではBiの含有量が高いために引張強さ及び伸びが評価基準以下であった。
表1及び表4に示すNo.8〜14は本発明合金2に係る実施例であり、No.15〜19は本発明合金3に係る実施例である。表2及び表5に示すNo.27〜35は前記実施例に対する比較例(比較例合金2)である。表4に示す各試験結果から明らかなように、No.8〜19の供試材は上記した各試験の評価基準をすべて満足した。一方、比較例であるNo.27とNo.28はCu若しくはSnの含有量が低いために、色調、耐脱亜鉛性、耐エロージョン・コロージョン性が評価基準を満たさなかった。No.29〜32はNi、Mnの含有量が低いために色調が適さず、また、No.33〜35はCu、Ni、Mnの含有量がそれぞれ高いために熱間変形抵抗が60%未満であった。No.31はBi、No.33はBiとSnの含有量が高いために伸びが低い。さらに、No.33はSnの含有量が高いことにより、切削性も低下している。No.29、No.30はPの含有量が低いために、耐脱亜鉛性を向上させるに至っていない。また、No.32はPを過剰に添加しているため、耐脱亜鉛性は良好であるものの、引張強さ及び伸びが著しく低下している。
上記試験結果からも明らかであるように、本発明合金1の組成を有することで、切削性、熱間加工性、機械的性質、及び耐変色性に優れた特性を有し、また、本発明合金2,3の組成を有することで、切削性、熱間加工性、機械的性質、耐変色性に加え、耐脱亜鉛性、耐エロージョン・コロージョン性にも優れた特性を有した、光沢のある白色(銀白色)を呈する無鉛白色銅合金であることが実証された。
本発明の無鉛白色銅合金は、切削性、機械的性質(引張強さ、伸び)、耐食性、色調等が要求され、更に耐脱亜鉛性、耐エロージョン・コロージョン性も要求されるあらゆる分野に広く適用することが可能であり、しかも、環境に十分に配慮された本発明の銅合金を用いて製造した鋳塊(インゴット)を中間品として提供したり、本発明の銅合金を加工成形した装飾・工芸品や洋食器、バルブや水栓金具などの配管器材、建築資材、電気・電子機器、機械部品、コイン、船舶用部品、温水関連機器等の製品の材料として適用する。
本発明の無鉛白色銅合金を材料として好適な製品(部材・部品含む)は、時計外装、指輪、ネックレス、ブローチ、ネクタイピン、眼鏡フレーム、その他装身具、装飾・工芸品や洋食器、バタフライバルブ、ゲートバルブ、グローブバルブ、チェックバルブ、給水栓、給湯器や温水洗浄便座等の取付金具、給水管、接続管及び管継手、冷媒管、電気温水器部品(ケーシング、ガスノズル、ポンプ部品、バーナなど)、ストレーナ、水道メータ用部品、水中下水道用部品、排水プラグ、エルボ管、ベローズ、便器用接続フランジ、スピンドル、ジョイント、ヘッダー、分岐栓、ホースニップル、水栓付属金具、止水栓、給排水配水栓用品、衛生陶器金具、シャワー用ホースの接続金具、ガス器具、ドアやノブ等の建材、家電製品、サヤ管ヘッダー用アダプタ、自動車クーラー部品、釣り具部品、顕微鏡部品、水道メーター部品、計量器部品、鉄道パンタグラフ部品、その他の部材・部品に広く応用することができる。更には、トイレ用品、台所用品、浴室品、洗面所用品、家具部品、居間用品、スプリンクラー用部品、ドア部品、門部品、自動販売機部品、洗濯機部品、空調機部品、ガス溶接機用部品、熱交換器用部品、太陽熱温水器部品、金型及びその部品、ベアリング、歯車、建設機械用部品、鉄道車両用部品、輸送機器用部品、素材、中間品、最終製品及び組立体等にも広く適用できる。
自由落下鍛造機を示した概略説明図である。 隙間噴流試験装置を示した概略説明図である。

Claims (4)

  1. Cu:40.0〜45.0mass%、Ni:6.0〜15.0mass%、Mn:1.0〜10.0mass%、Bi:0.5〜3.0mass%を含有し、残部がZn及び不可避不純物からなる組成を有することを特徴とする切削性、熱間加工性、機械的性質、耐変色性に優れた無鉛白色銅合金。
  2. Cu:40.0〜50.0mass%、Ni:5.0〜20.0mass%、Mn:1.0〜10.0mass%、Bi:0.5〜3.0mass%、Sn:2.0〜6.0mass%を含有し、残部がZn及び不可避不純物からなる組成を有することを特徴とする切削性、熱間加工性、機械的性質、耐変色性、耐脱亜鉛性、耐エロージョン・コロージョン性に優れた無鉛白色銅合金。
  3. Cu:40.0〜50.0mass%、Ni:5.0〜20.0mass%、Mn:1.0〜10.0mass%、Bi:0.5〜3.0mass%、Sn:2.0〜6.0mass%、P及びSbの少なくとも1種以上を合計で0.02〜0.2mass%を含有し、残部がZn及び不可避不純物からなる組成を有することを特徴とする切削性、熱間加工性、機械的性質、耐変色性、耐脱亜鉛性、耐エロージョン・コロージョン性に優れた無鉛白色銅合金。
  4. 請求項1乃至3に記載の銅合金を用いて製造した鋳塊と加工成形された装飾・工芸品、洋食器、配管器材、建築資材、電気・電子機器、機械部品、コイン、船舶用部品、温水関連機器等の製品。
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