JPWO2012153772A1 - 放射線遮蔽材 - Google Patents

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Abstract

放射線を吸収するナノカーボン材料を含む放射線遮蔽材において、前記ナノカーボン材料として、ナノサイズの中空部を有するチューブ状ナノカーボン材料を用いる。前記ナノカーボン材料の質量吸収係数は0.60cm2/g以上であってもよい。前記ナノカーボン材料の中空部の平均内径は0.4〜10nm程度であり、かつ中空部にカーボン材料が充填されていなくてもよい。前記ナノカーボン材料は、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンであってもよい。本発明の放射線遮蔽材は、軽量で取り扱い性に優れ、かつ放射線を効率的に遮蔽できる。

Description

本発明は、放射線を効率的に遮蔽できるナノカーボン材料を含む放射線遮蔽材に関する。
放射線は、各種の測定装置や医療機器類に広く利用されており、各々の使用する現場での被爆を防ぐため、遮蔽性能を有する部材が使用されている。また、原子力発電所でも、人体を被爆から守るため、あるいは放射能の外部への漏出を防ぐために放射線遮蔽性能を有する様々な部材が使用されている。
放射線には、一般にα線、β線、γ線、X線、中性子線などが含まれ、これらの放射線の中でも、特に透過率の高い電磁波であるγ線、X線の有効な遮蔽材料として、金属類が多く用いられている。
例えば、特表2005−529352号公報(特許文献1)には鉛を含むポリマー調合品で形成された放射線吸収層を有する放射線保護材料が開示され、特開平6−128447号公報(特許文献2)には鉛粉末及びカーボンブラックを含むポリノルボルネンを架橋させた放射線用防護素材が開示されている。また、特開平8−179090号公報(特許文献3)には、タングステンを99重量%以下含有する熱可塑性樹脂繊維を生地状に形成した有害放射線遮蔽材が開示され、特開2001−242288号公報(特許文献4)には、ガドリニウム、ホウ素、リチウム及びインジウムからなる群から選択された少なくとも一種の元素を含む放射線遮蔽素材が開示されている。
放射線吸収能力は、物質特有の質量吸収係数で表され、原子番号が大きいほど大きい数値を示すことが一般的に知られており、これらの金属類以外にも水銀、ヨウ素なども放射線遮蔽材料として利用されている。
しかし、重金属類を利用した放射線遮蔽素材は比重が大きいため、人間が着用する場合には重くて機動性に欠けるとともに、取り扱いの際にも手間と労力を要していた。
そのため、実際の放射線制御材や核反応減速材としては、水や黒鉛など、質量吸収係数の低い材料が用いられている。これらの材料は、入手し易く取り扱い性に優れるため、低い質量吸収係数であっても、多量に使用することにより所定の遮蔽性能を発揮させて利用されている。
一方、特開2005−274379号公報(特許文献5)には、ナノスケールの微細炭素繊維を含む樹脂又はエラストマーで形成された放射線検出器用遮蔽体が開示されている。この文献には、ナノスケールの微細炭素繊維として、外径が0.4〜100nmの中空構造を有する繊維状物質であるカーボンナノチューブが記載されている。このカーボンナノチューブを含む遮蔽体は、X線やα線などの放射線を検出する半導体素子の前面に配設され、半導体素子に感度良く前記放射線を検出させるために、X線やα線の波長領域以外の波長の電磁波ノイズを除去するために利用されている。
すなわち、この文献では、遮蔽体は、X線及びα線を通すが、他の電磁波ノイズは通さないことが記載され、X線及びα線は遮蔽しないことを教示している。さらに、この文献には、カーボンナノチューブの多層構造について記載されているものの、中空部の構造については記載されていない。
さらに、特表2000−503390号公報(特許文献6)には、内部層、中間層及び外部層である少なくとも3個の炭素層を有するエネルギー的に閉鎖した貯蔵セル;及び内部炭素層の中に封入された放射活性物質を含み、前記3個の炭素層の各々が1個の閉鎖した末端を有するフラーレンナノチューブによって形成される高エネルギーイオン化放射線指向及び吸収分子が開示されている。この文献には、フラーレンナノチューブに関して、直径が1〜100nm、長さが0.1〜10μm、片方の末端で閉鎖し、他方の末端で開放していることが記載されている。さらに、この文献には、バックミンスターフラーレン分子(C60フラーレン)に関して、高速回転するC60フラーレンに有害な放射線がトラップされるメカニズムが記載され、C60フラーレンが高エネルギーイオン化放射線を完全に収容する唯一の単層フラーレン分子であると記載されている。
すなわち、この文献では、単層のフラーレンナノチューブの効果は否定しており、フラーレンナノチューブの中空部の意義も記載されていない。さらに、この文献では、C60フラーレンを含まないフラーレンオニオンについては、高速回転に基づく共鳴相対論的吸収現象ではなく、フラーレン六角形のエネルギー的又は電子的閉鎖(弱い現象)及び古典的吸収(最も弱い現象)に基づく放射線の部分的吸収であり、C60フラーレンの回転がないため、全ての放射線を必ずしもトラップしないことが記載されており、フラーレンナノチューブ及びカプセルも、フラーレンオニオンと同様に挙動することが記載されている。すなわち、フラーレンオニオンと同様に、C60フラーレンを含まないフラーレンナノチューブは、C60フラーレンよりも放射線の吸収力が弱いことが示唆されている。さらには、この文献では、有害な放射線の放出を防止するであろう(will)、放射活性物質をC60フラーレン中に収容されるであろう(will)と記載しており、放射線とC60フラーレンのみならず、カーボンナノチューブとの関係は確認されていない。
一方、特開2010−59561号公報(特許文献7)には、表面がカーボンナノチューブで被覆された合成繊維で形成された導電性繊維構造体が開示されている。この文献には、導電性繊維構造体が、導電性能、導電発熱性能、帯電防止性能、電磁波・磁気遮蔽性能、面状発熱性、熱伝導性能などに優れることが記載されているものの、放射線の遮蔽能については記載されていない。
特表2005−529352号公報(請求項1) 特開平6−128447号公報(特許請求の範囲) 特開平8−179090号公報(請求項1) 特開2001−242288号公報(請求項1) 特開2005−274379号公報(特許請求の範囲、段落[0041][0044]、実施例) 特表2000−503390号公報(特許請求の範囲第12及び15項、第9頁4〜13行、第11頁12〜13行、第22頁12行〜第23頁18行) 特開2010−59561号公報(特許請求の範囲)
従って、本発明の目的は、軽量で取り扱い性に優れ、かつ放射線を効率的に遮蔽できる放射線遮蔽材を提供することにある。
本発明の他の目的は、C60フラーレンよりも高い放射線遮蔽性を有するナノカーボン材料を用いた放射線遮蔽材を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、柔軟及び軽量であり、かつ取り扱い性に優れ、衣料などの機動性を要求される用途に適した放射線遮蔽材を提供することにある。
質量吸収係数(X線質量吸収係数)は、元素に依存し物質の構造には依存しないために、固体物理学では物質毎にほぼ一定の定数として扱われており、放射線の波長に依存するものの、一般に原子番号の大きい元素ほど高い放射線吸収能力を示すことが知られている(参考文献:Hubbell, J. H. & Seltzer, S. M. Table of X-Ray Mass Attenuation Coefficients and Mass Energy-Absorption Coefficients (version 1.4), NISTIR 5632 (National Institute of Standards and Technology, Gaithersburg, MD, 1995), [Online] Available:http://physics.nist.gov/xaamdi (2004).)。黒鉛などに代表されるカーボン材料も一定の質量吸収係数を示すが、本発明者らは、各種のカーボン材料について質量吸収係数を測定した結果、表1に示す結果を得た。
表1の結果から明らかなように、本発明者らは、カーボン材料の中でも、ナノメータサイズ(ナノサイズ)の中空部(ナノ中空部)を有するチューブ状ナノカーボン材料、例えば、カーボンナノチューブ(単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ)、カーボンナノホーンにおいては、前記一般原則から外れて、高い質量吸収係数を示すことを見出した。
このナノ中空部を有するチューブ状ナノカーボン材料のナノ構造が放射線吸収性能に寄与するメカニズムの解明は今後の課題であるが、チューブ状のナノ中空部を有さない中空構造を有するエンドヘドラル(endohedral)なフラーレンや、中空内部がさらにナノカーボン材料で充填されて中空構造(空洞又は空間)を有さないカーボンナノチューブでは、黒鉛と同等の質量吸収係数を示すことから、1次元形状のナノサイズの中空構造が放射線吸収に寄与していると推定できる。
以上のように、本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、ナノサイズの中空部を有するチューブ状ナノカーボン材料が、放射線の吸収能が高く、放射線を効率的に遮蔽できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の放射線遮蔽材は、放射線を吸収するナノカーボン材料を含む放射線遮蔽材であって、前記ナノカーボン材料が、ナノサイズの中空部を有するチューブ状である。前記ナノカーボン材料の質量吸収係数は0.6cm/g以上であってもよい。前記ナノカーボン材料の中空部の平均内径は0.4〜10nm程度であり、かつ前記中空部にはカーボン材料(ナノカーボン材料)が充填していなくてもよい。前記ナノカーボン材料は、カーボンナノチューブ、例えば、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ及び多層カーボンナノチューブからなる群から選択された少なくとも一種であってもよく、特に、単層カーボンナノチューブであってもよい。前記カーボンナノチューブの両端は開口していてもよい。前記ナノカーボン材料は、カーボンナノホーンであってもよい。本発明の放射線遮蔽材は、さらに金属又は金属化合物で形成された無機粒子を含んでいてもよい。
本発明の放射線遮蔽材は、遮蔽性繊維を含む繊維構造体で形成された放射線遮蔽材であって、前記遮蔽性繊維が、有機繊維とこの有機繊維の表面を被覆する前記ナノカーボン材料とを含んでいてもよい。前記ナノカーボン材料の割合は、前記有機繊維100質量部に対して1〜200質量部程度であってもよい。前記遮蔽性繊維は、有機繊維と、この有機繊維の表面を被覆し、かつナノカーボン材料を含む遮蔽層とで形成され、かつ前記有機繊維を構成する各単糸に対する前記遮蔽層の被覆率が30%以上であってもよい。前記有機繊維は、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂及びアクリル系樹脂からなる群から選択された少なくとも一種で形成された合成繊維であってもよい。前記有機繊維は液晶ポリマーで形成された合成繊維であってもよい。前記有機繊維はマルチフィラメント糸であり、単糸繊度が10dtex以下であってもよい。前記有機繊維は、長さ方向に延びる複数の凹部又は溝部を有していてもよい。前記有機繊維は、金属酸化物粒子を含んでいてもよい。前記金属酸化物粒子の割合は、有機繊維全体に対して1質量%以上であってもよい。前記金属酸化物粒子の割合が、ナノカーボン材料100質量部に対して10〜50質量部程度であってもよい。前記金属酸化物粒子は、酸化チタン粒子であってもよい。
本発明には、前記放射線遮蔽材を用いて、放射線を前記ナノカーボン材料に吸収することにより放射線を遮蔽する方法も含まれる。
なお、本明細書では、「ナノサイズの中空部を有するチューブ状ナノカーボン材料」とは、ナノサイズの中空内部(複数の筒状ナノカーボン材料が同心円状などの形態で配列した多層カーボンナノチューブの場合、最内層の中空内部)にカーボン原子を含むナノカーボン材料が充填されていない(又は存在しない)状態のナノカーボン材料を意味する。
本発明では、ナノサイズの中空部を有するチューブ状ナノカーボン材料が、黒鉛やC60フラーレンなどのカーボン材料に比べて、放射線の吸収能が高く、放射線を効率的に遮蔽できるため、軽量で取り扱い性に優れ、かつ放射線を効率的に遮蔽できる放射線遮蔽材を提供できる。さらに、放射線遮蔽材有機繊維の表面をナノカーボン材料で被覆した遮蔽性繊維を含む繊維構造体で形成すると、柔軟及び軽量であり、かつ取り扱い性に優れ、衣料などの機動性を要求される用途にも適している。
[ナノカーボン材料]
本発明の放射線遮蔽材は、放射線を吸収するためのナノカーボン材料を含む。本発明では、ナノカーボン材料は、ナノサイズの中空部を有するチューブ形状である必要があり、内部にナノサイズの空洞(空間)を有さないカーボン材料[例えば、黒鉛、JFE−CNT(JFEエンジニアリング(株)のアーク放電法により合成された高純度多層CNTテープ)など]、内部に球状の空洞を有するカーボン材料(C60フラーレンなど)では、放射線の遮蔽性を向上できず、さらにナノサイズの中空部を有するチューブ形状を有していても、前記ナノサイズの中空部にナノカーボン材料(カーボン原子を含む)が充填された材料では放射線の遮蔽性を向上できない。すなわち、本発明では、ナノカーボン材料の中空部(多層材料の場合、最内層の中空部)にカーボン原子を含むナノカーボン材料が充填されていない(又は存在しない)空洞構造によって、放射線遮蔽性が発現する。ナノ中空部を有するチューブ状ナノカーボン材料としては、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンが知られている。
カーボンナノチューブは、特徴的な構造として、炭素の六員環配列構造を有する1枚のシート状グラファイト(グラフェンシート)が円筒状に巻かれた直径数nm程度の一次元のチューブ状構造(筒状構造)を有する。このグラフェンシートにおける炭素の六員環配列構造には、アームチェア型構造、ジグザグ型構造、カイラル(らせん)型構造などが含まれる。前記グラフェンシートは、炭素の六員環に五員環又は七員環が組み合わさった欠陥構造及び他のタイプの欠陥構造を有する1枚のシート状グラファイトであってもよい。カーボンナノチューブの両端部は開放されていてもよく、一方の端部又は両端部が封止されていてもよい。なお、カーボンナノチューブの一方の端部が封止された構造のカーボンナノチューブは、後述するカーボンナノホーンであってもよい。
カーボンナノチューブとしては、1枚のシート状グラファイトで円筒状に形成された単層カーボンナノチューブの他、前記円筒状のチューブが半径方向に複数積層した多層カーボンナノチューブ(カーボンナノチューブの内部にさらに径の小さいカーボンナノチューブを1個以上内包する多層カーボンナノチューブ)などが挙げられる。多層カーボンナノチューブの積層数は、最内層のカーボンナノチューブが、中空部(カーボン材料が充填されていない空洞部)を有していればよく、特に限定されないが、例えば、2〜50層、好ましくは2〜40層(例えば、2〜35層)、さらに好ましくは2〜30層(例えば、2〜20層)程度である。
カーボンナノチューブは、複数のカーボンナノチューブがバンドル状(束状)に凝集した形態で存在していてもよく、バンドル状を形成せずに、ランダムに分散した形態で存在していてもよい。
カーボンナノホーンは、広義のカーボンナノチューブに含まれるカーボン材料であり、前記単層カーボンナノチューブの一方の端部が閉じた形状(例えば、カーボンナノチューブの一方の端部が円錐状に閉じた形状など)であってもよい。カーボンナノホーンも、カーボンナノチューブと同様に、多層カーボンナノホーンであってもよい。
これらのナノカーボン材料は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのナノカーボン材料のうち、質量吸収係数が高く、放射線遮蔽性に優れる点から、カーボンナノチューブ(例えば、単層カーボンナノチューブ)が好ましく、本発明では、カーボンナノチューブの内部にナノカーボン材料が充填されていない空洞構造が形成されていればよく、端部の封止構造は特に限定されないが、前記空洞構造による放射繊維遮蔽性を向上させる点から、少なくとも一方の端部が開放されているカーボンナノチューブ(特に両端部が開放されているカーボンナノチューブ)であってもよい。
ナノカーボン材料におけるチューブの横断面形状(軸方向に対して直交する方向の断面形状)は、中空構造を有している限り、特に限定されず、扁平状であってもよいが、ナノサイズの空洞を形成し易い点から、多角形状(例えば、3〜12角形など)や略円形状などが好ましく、略円形状が特に好ましい。
ナノカーボン材料の中空部(多層材料の場合、最内層の中空部)の平均内径は0.4〜10nm程度の範囲から選択でき、例えば、0.5〜9nm、好ましくは0.4〜8mm(例えば、0.6〜8nm)、さらに好ましくは0.4〜6mm(例えば、0.8〜6nm)であり、特に0.8〜5nm程度であってもよい。
ナノカーボン材料(例えば、カーボンナノチューブ)の平均外径(軸方向に対して直交する方向の直径又は横断面径)は、例えば、0.5nm〜1μm(例えば、0.5〜500nm、好ましくは0.6〜300nm、さらに好ましくは0.8〜100nm、特に1〜80nm)程度の範囲から選択でき、単層カーボンナノチューブ(又はナノホーン)の場合、例えば、0.5〜10nm(例えば、0.7〜8nm)、好ましくは0.8〜9nm、さらに好ましくは0.8〜5nm(特に、1〜5nm)程度であり、多層ナノチューブ(又はナノホーン)の場合、例えば、1〜300nm(例えば、5〜300nm)、好ましくは1〜100nm(例えば、10〜100nm)、さらに好ましくは1〜80nm(例えば、20〜80nm)程度である。
ナノカーボン材料の平均長は0.01〜1000μm程度の範囲から選択でき、例えば、0.1〜1000μm、好ましくは1〜500μm(例えば、5〜500μm)、さらに好ましくは10〜300μm(特に20〜100μm)程度である。
ナノカーボン材料のBET比表面積は、例えば、10〜1000m/g、好ましくは50〜800m/g、さらに好ましくは100〜500m/g(特に200〜400m/g)程度である。
ナノカーボン材料の質量吸収係数は、黒鉛やC60フラーレンよりも高く、C60フラーレンの質量吸収係数0.58cm/gを超え、例えば、0.6cm/g以上(例えば、0.7〜2cm/g)、好ましくは0.8〜1.8cm/g、さらに好ましくは0.9〜1.5cm/gであり、特に1〜1.4cm/g(例えば、1.1〜1.3cm/g)程度である。質量吸収係数が小さすぎると、放射線遮蔽性の向上効果が小さくなる。
ナノカーボン材料の製造方法は特に制限されず、従来から知られている方法によって製造できる。
具体的には、化学的気相成長法において、触媒[鉄、コバルト、モリブデンなどの遷移金属又はメタロセン、前記金属の酢酸塩などの遷移金属化合物と、硫黄または硫黄化合物(チオフェン、硫化鉄など)の混合物など]の存在下、炭素含有原料(ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素、一酸化炭素、エタノールなどのアルコール類など)を加熱することにより生成できる。すなわち、前記炭素含有原料及び前記触媒を雰囲気ガス(アルゴン、ヘリウム、キセノンなどの不活性ガス、水素など)と共に300℃以上(例えば、300〜1000℃程度)に加熱してガス化して生成炉に導入し、800〜1300℃、好ましくは1000〜1300℃の範囲内の一定温度で加熱して触媒金属を微粒子化させると共に炭化水素を分解させることによって微細繊維状(チューブ状)炭素を生成させる。これにより生成した繊維状炭素は、未反応原料、非繊維状炭化物、タール分および触媒金属を含有しており、純度が低く、結晶性も低いので、次に800〜1200℃の範囲内の好ましくは一定温度に保持された熱処理炉で処理して未反応原料やタール分などの揮発分を気化して除くのが好ましい。さらに、微細繊維状炭素を500〜3000℃の温度でアニール処理して、カーボンナノチューブにおける多層構造の形成を一層促進すると共にカーボンナノチューブに含まれる触媒金属を蒸発することによって製造できる。他の方法として、アーク法、レーザーアブレーション法などの他の慣用の方法で製造してもよい。
[放射線遮蔽材]
本発明の放射線遮蔽材は、前記ナノカーボン材料を含んでいればよく、ナノカーボン材料自体を遮蔽材として用いてもよく、他の担体や基材と組み合わせてもよい。ナノカーボン材料は、通常、粉体又は粉粒体又は粉粒体の凝集体であり、飛散の懸念があり、取り扱いが困難である。そのため、ナノカーボン材料単独で用いる場合は、例えば、ナノカーボン材料を紡いで糸を形成してもよい。さらに、他の担体や基材にナノカーボン材料を固定化する方法も好ましく、ナノカーボン材料を飛散しないように担体や基材に固定化し、用途に応じて、所定の形状に加工してもよい。
担体や基材の材質は、特に限定されず、有機材料、無機材料のいずれであってもよく、有機材料と無機材料との複合材料であってもよい。有機材料としては、例えば、合成樹脂(熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂など)、合成ゴム、天然材料(天然ゴム、セルロース、木材など)などが挙げられる。これらの有機材料は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。無機材料としては、例えば、金属、ガラス、水硬性材料(セメント、モルタル、コンクリート、石膏など)、土砂類(粘土やシルトなどの土成分、砂利など)、瀝青質材料(アスファルト、タールなど)、セラミックス、サーメット、カーボン材料などが挙げられる。これらの無機材料は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。担体や基材としては、ナノカーボン材料を固定化し易い点から、例えば、樹脂成形体、多孔質成形体、繊維又は布帛などが汎用される。
ナノカーボン材料を担体や基材に固定化する方法としては、樹脂成形体の場合、ナノカーボン材料を樹脂中にコンパウンドする方法、バインダー樹脂とナノカーボン材料とを混合して押し固める(プレス成形する)方法、樹脂成形体の表面にナノカーボン材料及びバインダー樹脂を含む分散液をコーティングする方法などが利用できる。また、多孔質成形体や布帛の場合、ナノカーボン材料を含む分散液を用いて、空隙や多孔にナノカーボン材料を充填する方法(例えば、前記分散液中に多孔質成形体や布帛を浸漬してナノカーボン材料を空隙や多孔に浸透させる方法など)などが利用できる。さらに、繊維又は布帛の場合、ナノカーボン材料を含む紡糸原液を紡糸する方法、繊維又は布帛の表面にナノカーボン材料及びバインダー樹脂を含む分散液をコーティングする方法などが利用できる。
これらの方法のうち、放射線遮蔽性が高い遮蔽材が得られる点から、樹脂成形体や繊維又は布帛の表面にナノカーボン材料及びバインダー樹脂を含む分散液を塗布する方法が好ましい。バインダー樹脂としては、慣用の接着性樹脂、例えば、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ樹脂などが例示できる。これらの接着性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのバインダー樹脂のうち、分散媒として水を用いる場合、水溶性又は水分散性などの親水性接着性樹脂、例えば、水性ポリエステル系樹脂、水性アクリル系樹脂、水性酢酸ビニル系樹脂が好ましい。
バインダー樹脂の割合は、ナノカーボン材料100質量部に対して、例えば、50〜3000質量部、好ましくは100〜2500質量部、さらに好ましくは500〜2000質量部程度である。
放射線遮蔽材中におけるナノカーボン材料の割合は、特に限定されず、0.1〜100質量%程度の範囲から選択できるが、例えば、0.3〜80質量%、好ましくは0.5〜50質量%、さらに好ましくは1〜30質量%程度であってもよい。
本発明の放射線遮蔽材は、放射線遮蔽性を向上させるために、金属又は金属化合物で形成された無機粒子を含んでいてもよい。前記無機粒子としては、金属単体又は金属化合物で形成された粒子が挙げられ、遮蔽性を向上させる点から、金属単体で形成された粒子であってもよいが、ナノカーボン材料との相乗効果を発現できる点から、炭酸金属塩や金属酸化物などの金属化合物粒子、特に、金属酸化物粒子が好ましい。
金属酸化物としては、例えば、周期表第4A族金属酸化物(例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウムなど)、第5A族金属酸化物(酸化バナジウムなど)、第6A族金属酸化物(酸化タングステンなど)、第7A族金属酸化物(酸化マンガンなど)、第8族金属酸化物(酸化ニッケル、酸化鉄など)、第1B族金属酸化物(酸化銅など)、第2B族金属酸化物(酸化亜鉛など)、第3B族金属酸化物(酸化アルミニウム、酸化インジウムなど)、第4B族金属酸化物(酸化ケイ素、酸化鉛など)、第5B族金属酸化物(酸化アンチモンなど)などが挙げられる。これらの金属酸化物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの金属酸化物のうち、酸化鉄などの第8属金属酸化物、酸化亜鉛などの第2B族金属酸化物、酸化チタンや酸化ジルコニウムなどの第4A族金属酸化物や、酸化ケイ素などの第4B属金属酸化物粒子が好ましく、酸化チタンが特に好ましい。
酸化チタンとしては、慣用の酸化チタン[組成式TixOy]を利用でき、二酸化チタン、Ti、Tiなどを利用できるが、通常、二酸化チタンを主成分とする。さらに、酸化チタンは、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型などの結晶形であってもよい。
無機粒子の形状は、特に限定されず、球状、楕円体状、多角体形(多角錘状、正方体状、直方体状など)、板状、棒状、不定形などが挙げられるが、略球状などの等方形状が好ましい。
無機粒子の粒径は、例えば、0.01〜3μm、好ましくは0.02〜2μm、さらに好ましくは0.1〜1μm(特に0.2〜0.5μm)程度である。
無機粒子(特に酸化チタンなどの金属酸化物粒子)の割合は、放射線遮蔽材全体に対して、例えば、0.1〜20質量%、好ましくは0.3〜10質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%(特に1〜3質量%)程度である。無機粒子の割合が多すぎると、繊維の柔軟性などが低下し、少なすぎると、放射線遮蔽性の向上効果が低下する。
前記金属酸化物粒子(特に酸化チタンなどの金属酸化物粒子)の割合は、ナノカーボン材料100質量部に対して100質量部以下(例えば、0〜100質量部)程度の範囲から選択でき、例えば、5〜80質量部、好ましくは10〜50質量部、さらに好ましくは15〜40質量部(特に20〜35質量部)程度である。
本発明では、メカニズムの詳細は不明であるが、無機粒子単独では放射線遮蔽性が向上しないにも拘わらず、無機粒子(特に酸化チタンなどの金属酸化物粒子)を前記割合でナノカーボン材料と組み合わせることにより、両者が協働作用するためか、放射線遮蔽性を向上できる。さらに、無機粒子とナノカーボン材料とは接触している必要はなく、例えば、内部に無機粒子を含む繊維の表面にナノカーボン材料で被覆された形態でも、両者の協働作用により放射線遮蔽性を向上できる。
本発明の放射線遮蔽材は、慣用の添加剤、例えば、表面処理剤(カップリング剤など)、着色剤(染顔料など)、色相改良剤、染料定着剤、光沢付与剤、金属腐食防止剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、界面活性剤、分散安定化剤、増粘剤又は粘度調整剤、チクソトロピー性賦与剤、レベリング剤、消泡剤、殺菌剤、充填剤などを含んでいてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
担体及び基材は、樹脂成形体であってもよいが、ナノカーボン材料を付着し易く、放射線遮蔽性を向上し易い点から、繊維構造体が好ましい。特に、本発明の放射線遮蔽材は、遮蔽性繊維を含む繊維構造体で形成されていてもよい。
[遮蔽性繊維を含む繊維構造体で形成された放射線遮蔽材]
遮蔽性繊維を含む繊維構造体で形成された放射線遮蔽材において、遮蔽性繊維は、有機繊維とこの有機繊維の表面を被覆する前記ナノカーボン材料(例えば、カーボンナノチューブ)とを含み、有機繊維を被覆するナノカーボン材料は、通常、遮蔽層を形成する。本発明では、担体及び基材を繊維構造体で形成すると、軽量性及び柔軟性を向上できる上に、構造体に含まれる遮蔽性繊維の表面がナノカーボン材料で被覆されているため、放射線遮蔽能も向上できる。
(有機繊維)
有機繊維は、遮蔽材に柔軟性及びしなやかさを付与するために使用され、非合成繊維[例えば、天然繊維(綿、麻、ウール、絹など)、再生繊維(レーヨン、キュプラなど)、半合成繊維(アセテート繊維など)]であってもよいが、遮蔽層との密着性などの点から、少なくとも合成繊維を含むのが好ましい。
合成繊維は、繊維形成性の合成樹脂又は合成高分子材料(合成有機重合体)を用いて形成した繊維であり、1種類の合成有機重合体(以下単に「重合体」ということがある)から形成されていてもよいし、2種類以上の重合体から形成されていてもよい。合成樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル系樹脂[芳香族ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレートなどのポリアルキレンアリレート系樹脂、ポリアリレートなどの全芳香族ポリエステル系樹脂、液晶ポリエステル系樹脂など)、脂肪族ポリエステル(ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ヒドロキシブチレート−ヒドロキシバリレート共重合体、ポリカプロラクトンなどの脂肪族ポリエステル及びその共重合体)など]、ポリアミド系樹脂(ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド10、ポリアミド12、ポリアミド612などの脂肪族ポリアミド及びその共重合体、脂環式ポリアミド、芳香族ポリアミドなど)、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン及びその共重合体など)、アクリル系重合体(アクリロニトリル−塩化ビニル共重合体などのアクリロニトリル単位を有するアクリロニトリル系樹脂など)、ポリウレタン系樹脂(ポリエステル型、ポリエーテル型、ポリカーボネート型ポリウレタン系樹脂など)、ポリビニルアルコール系重合体(例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体など)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(例えば、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体など)、ポリ塩化ビニル系樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体など)などを挙げることができる。これらの合成樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
合成繊維が2種以上の重合体で形成されている場合は、2種以上の重合体の混合物(アロイ樹脂)で形成された混合紡糸繊維であってもよいし、又は2種以上の重合体が複数の相分離構造を形成した複合紡糸繊維であってもよい。複合紡糸繊維には、例えば、海島構造、芯鞘構造、サイドバイサイド型貼合せ構造、海島構造と芯鞘構造とが組み合わさった構造、サイドバイサイド型貼合せ構造と海島構造が組み合わさった構造などが挙げられる。
これらの合成繊維のうち、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系重合体などで構成された繊維が、カーボンナノチューブの付着性が良好であり、しかも耐屈曲疲労性に優れる点から好ましい。なかでも、汎用性及び熱的特性の点から、ポリエステル系樹脂(特に、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリC2−4アルキレンテレフタレート系樹脂)、ポリアミド系樹脂(特に、ポリアミド6、ポリアミド66などの脂肪族ポリアミド系樹脂)、ポリオレフィン系樹脂(特に、ポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂)で形成された繊維が好ましく、特にポリエステル系繊維が熱安定性および寸法安定性が良好である点からより好ましい。また、目的によっては高強力・高弾性を有する液晶ポリマーで形成された繊維(液晶ポリエステル系繊維などの液晶ポリマー)なども好適に用いることができる。
有機繊維の横断面形状は特に制限されず、丸形断面を有する通常の有機繊維であってもよく、丸形断面以外の異形断面を有する有機繊維であってもよい。異形断面繊維である場合は、その横断面形状は、例えば、方形、多角形、三角形、偏平形、四つ葉形(十字形)などの多葉又は星形、ドッグボーン型、T字形、V字形、などのいずれであってもよい。さらに、横断面形状は、中空であってもよく、中実であってもよい。
有機繊維は、モノフィラメント糸、双糸、マルチフィラメント糸、加工したマルチフィラメント糸、紡績糸、テープヤーン、及びそれらの組み合わせなどのいずれであってもよい。マルチフィラメント糸や紡績糸などの複合糸の場合、同一の有機繊維同士を組み合わせた複合糸であってもよく、異なる種類の有機繊維を組み合わせた複合糸であってもよい。
これらのうち、柔軟性やしなやかさ、耐屈曲疲労性に優れる点から、双糸、マルチフィラメント糸、加工したマルチフィラメント糸、紡績糸(特に、合成繊維同士を組み合わせたマルチフィラメント糸、紡績糸)が好ましい。
有機繊維を含む糸の太さ(平均繊度)は特に制限されないが、例えば、目標とする放射線遮蔽材の目付け、厚み、柔軟性によって、10〜1000dtexの範囲から選択でき、例えば、20〜500dtex、好ましくは30〜300dtex、さらに好ましくは50〜200dtex(特に70〜150dtex)程度である。
マルチフィラメント糸又は紡績糸の場合、単糸繊度(平均単糸繊度)は、遮蔽層が形成された遮蔽性繊維の本数を増加し、放射線遮蔽性を向上させる点から、10dtex以下であってもよく、例えば、0.1〜8dtex、好ましくは0.3〜7dtex、さらに好ましくは0.5〜3dtex(特に1〜2dtex)程度である。単糸繊度が大きすぎると、遮蔽層が少なくなるため、放射線遮蔽性能が低下する傾向がある。一方、単糸繊度が小さすぎると、実質的に遮蔽層で被覆されない表面部分が増加し、実質的なメリットは少ない。マルチフィラメント糸の本数は、例えば、2〜300本、好ましくは5〜200本、さらに好ましくは10〜100本程度である。さらに、撚糸の場合には、撚数は、例えば、200〜5000T/m、好ましくは1000〜4000T/m程度である。
有機繊維は、放射線遮蔽性を向上させるために、金属又は金属化合物で形成された無機粒子を含んでいてもよい。前記無機粒子としては、金属単体又は金属化合物で形成された粒子が挙げられ、遮蔽性を向上させる点から、金属単体で形成された粒子であってもよいが、繊維形成性などの点から、炭酸金属塩や金属酸化物などの金属化合物粒子、特に、金属酸化物粒子が好ましい。金属酸化物としては、前述の金属酸化物を単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの金属酸化物のうち、酸化鉄などの第8属金属酸化物、酸化亜鉛などの第2B族金属酸化物、酸化チタンや酸化ジルコニウムなどの第4A族金属酸化物や、酸化ケイ素などの第4B属金属酸化物粒子が好ましく、酸化チタンが特に好ましい。
酸化チタンとしては、慣用の酸化チタン[組成式TixOy]を利用でき、二酸化チタン、Ti、Tiなどを利用できるが、通常、二酸化チタンを主成分とする。さらに、酸化チタンは、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型などの結晶形であってもよい。
無機粒子の形状は、特に限定されず、球状、楕円体状、多角体形(多角錘状、正方体状、直方体状など)、板状、棒状、不定形などが挙げられるが、略球状などの等方形状が好ましい。
無機粒子の粒径は、例えば、0.01〜3μm、好ましくは0.02〜2μm、さらに好ましくは0.1〜1μm(特に0.2〜0.5μm)程度である。無機粒子の粒径が大きすぎると、繊維径が大きくなり、放射線遮蔽性が低下し、粒径が小さすぎても放射線遮蔽性が低下する。
無機粒子(特に酸化チタンなどの金属酸化物粒子)の割合は、有機繊維全体に対して、例えば、0.1〜20質量%、好ましくは0.3〜10質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%(特に1〜3質量%)程度である。無機粒子の割合が多すぎると、繊維の柔軟性などが低下し、少なすぎると、放射線遮蔽性の向上効果が低下する。
前記金属酸化物粒子(特に酸化チタンなどの金属酸化物粒子)の割合は、ナノカーボン材料100質量部に対して100質量部以下(例えば、0〜100質量部)程度の範囲から選択でき、例えば、5〜80質量部、好ましくは10〜50質量部、さらに好ましくは15〜40質量部(特に20〜35質量部)程度である。
(ナノカーボン材料又は遮蔽層)
前記繊維構造体で形成された放射線遮蔽材は、前記有機繊維の表面をナノカーボン材料(例えば、カーボンナノチューブ)で被覆することにより、放射線遮蔽性を付与できる。
遮蔽性繊維において、放射線遮蔽性能を向上させる点から、有機繊維の表面の一部(局所)だけではなく、マルチフィラメント糸の全表面の30%以上(例えば、30〜100%)、好ましくは60%以上(例えば、60〜100%)、さらに好ましくは90%以上(例えば、90〜100%)であり、特に、全体(100%)をカバーする被覆率で遮蔽層(カーボンナノチューブ)が有機繊維表面に付着していることが好ましい。
また、有機繊維がマルチフィラメント糸や紡績糸である場合、マルチフィラメント糸や紡績糸の表面に位置する繊維の表面の30%以上(例えば、30〜100%)、好ましくは60%以上(例えば、60〜100%)、さらに好ましくは90%以上(例えば、90〜100%)であり、特に、全体(100%)をカバーする被覆率で遮蔽層(カーボンナノチューブ)が付着しているのが好ましい。
有機繊維がマルチフィラメント糸や紡績糸である場合、糸の内側に位置する繊維表面(糸表面に露出していない繊維表面)には、遮蔽層(特にナノカーボン材料)は付着していなくてもよいが、糸の表面に位置する繊維の表面だけでなく、糸の内部に位置する繊維の表面にも遮蔽層(特にナノカーボン材料)が付着していると、放射線遮蔽能は一層良好になる。
マルチフィラメント糸や紡績糸を構成する各単糸についても、単糸の全表面の30%以上(例えば、30〜100%)、好ましく60%以上(例えば、60〜100%)、さらに好ましくは90%以上(例えば、90〜100%)、特に、全体(100%)をカバーする被覆率(カバー率)で、遮蔽層(カーボンナノチューブなど)が繊維表面に付着していることが好ましい。
マルチフィラメント糸や紡績糸の内部にナノカーボン材料を付着させるためには、後述する微振動を利用したナノカーボン材料の付着処理を行うのが好ましい。本発明では、前記繊維の中でも、このような付着処理における効果が顕著に表れる点から、双糸、マルチフィラメント糸、紡績糸、特に、マルチフィラメント糸が好ましく利用できる。
ナノカーボン材料(遮蔽層)の割合は、有機繊維100質量部に対して1〜200質量部程度である。なかでも、有機繊維に放射線遮蔽性を付与するためには、ナノカーボン材料の割合が重要であり、ナノカーボン材料の付着量(割合)は、繊維の種類、用途、ナノカーボン材料の種類、ナノカーボン材料分散液の濃度などに応じて調整し得るが、一般的には、有機繊維100質量部に対して、例えば、1〜100質量部、好ましくは2〜80質量部、さらに好ましくは3〜50質量部(特に5〜20質量部)程度である。ナノカーボン材料の割合が少なすぎると、遮蔽性が低下し、多すぎると、繊維への付着が困難となる上に、繊維の柔軟性が低下する。ナノカーボン材料の割合は、例えば、遮蔽材全体の0.5〜10質量%、好ましくは1〜7質量%、さらに好ましくは2〜5質量%程度であってもよい。
なお、ナノカーボン材料の付着量(割合)は、界面活性剤の付着量を含まず、ナノカーボン材料がバインダーを用いて合成繊維の表面に付着している場合もバインダーの付着量を含まないナノカーボン材料自体の付着量をいう。
遮蔽層(バインダー及び界面活性剤を含む遮蔽層の合計量)中におけるナノカーボン材料の割合は、例えば、遮蔽層中15〜70質量%、好ましくは20〜60質量%、さらに好ましくは25〜60質量%(特に30〜60質量%)程度であってもよい。
さらに、遮蔽性繊維は、より効率的に遮蔽性を向上させるために、有機繊維の表面において均一な厚みで遮蔽層が付着されていてもよい。このように厚みを制御するためには、後述するように、分散液で処理する際、有機繊維に微振動を与えることで、有機繊維がマルチフィラメント糸や紡績糸であっても、分散液がマルチフィラメント糸や紡績糸の束の内部にまで浸透し、マルチフィラメント糸の単糸1本1本の表面全てにわたって均一な遮蔽層を形成できる。そのため、ナノカーボン材料を練り込む方法に比べて、遮蔽層中のナノカーボン材料含有量を増加できる。
遮蔽層は、製造工程で用いられる分散液に含まれる界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤としては、両性イオン界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤のいずれもが使用できる。
両性イオン界面活性剤には、スルホベタイン類、ホスホベタイン類、カルボキシベタイン類、イミダゾリウムベタイン類、アルキルアミンオキサイド類などが含まれる。
スルホベタイン類としては、例えば、3−(ジメチルステアリルアンモニオ)プロパンスルホン酸塩(スルホネート)、3−(ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホン酸塩、3−(ジメチルn−ドデシルアンモニオ)プロパンスルホン酸塩、3−(ジメチルn−ヘキサデシルアンモニオ)プロパンスルホン酸塩などのジC1−4アルキルC8−24アルキルアンモニオC1−6アルカンスルホン酸塩、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート(CHAPS)、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシプロパンスルホネート(CHAPSO)などのステロイド骨格を有するアルキルアンモニオC1−6アルカンスルホン酸塩などが挙げられる。
ホスホベタイン類としては、例えば、n−オクチルホスホコリン、n−ドデシルホスホコリン、n−テトラデシルホスホコリン、n−ヘキサデシルホスホコリンなどのC8−24アルキルホスホコリン、レシチンなどのグリセロリン脂質、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンのポリマーなどが挙げられる。
カルボキシベタイン類としては、例えば、ジメチルラウリルカルボキシベタインなどのジC1−4アルキルC8−24アルキルベタイン、パーフルオロアルキルベタインなどが挙げられる。イミダゾリウムベタイン類としては、例えば、ラウリルイミダゾリウムベタインなどのC8−24アルキルイミダゾリウムベタインなどが挙げられる。アルキルアミンオキシドとしては、例えば、ラウリルジメチルアミンオキシドなどのトリC8−24アルキル基を有するアミンオキシドなどが挙げられる。
これらの両性イオン界面活性剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、両性イオン界面活性剤において、塩としては、アンモニア、アミン(例えば、アミン、エタノールアミンなどのアルカノールアミン等)、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウムなど)等との塩が挙げられる。
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのC6−24アルキルベンゼンスルホン酸塩など)、アルキルナフタレンスルホン酸塩(例えば、ジイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどのジC3−8アルキルナフタレンスルホン酸塩など)、アルキルスルホン酸塩(例えば、ドデカンスルホン酸ナトリウムなどのC6−24アルキルスルホン酸塩など)、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩(例えば、ジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムなどのジC6−24アルキルスルホコハク酸塩など)、アルキル硫酸塩(例えば、硫酸化脂、ヤシ油の還元アルコールと硫酸とのエステルのナトリウム塩などのC6−24アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレン(平均付加モル数2〜3モル程度)アルキルエーテル硫酸塩など)、アルキルリン酸塩(例えば、モノ〜トリ−ラウリルエーテルリン酸などのリン酸モノ〜トリ−C8−18アルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩など)などが挙げられる。これらの陰イオン性界面活性剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。塩としては、前記両性イオン界面活性剤と同様の塩が例示できる。
陽イオン性界面活性剤としては、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩(例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライドなどのモノ又はジC8−24アルキル−トリ又はジメチルアンモニウム塩など)、トリアルキルベンジルアンモニウム塩[例えば、セチルベンジルジメチルアンモニウムクロライドなどのC8−24アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩(塩化ベンザルコニウム塩など)など]、アルキルピリジニウム塩(例えば、セチルピリジニウムブロマイドなどのC8−24アルキルピリジニウム塩など)などが挙げられる。これらの陽イオン性界面活性剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、塩としては、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、過塩素酸などとの塩が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテルなどのポリオキシエチレンC6−24アルキルエーテル)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンC6−18アルキルフェニルエーテルなど)、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル[例えば、ポリオキシエチレングリセリンステアリン酸エステルなどのポリオキシエチレングリセリンC8−24脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンステアリン酸エステルなどのポリオキシエチレンソルビタンC8−24脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンショ糖C8−24脂肪酸エステルなど]、ポリグリセリン脂肪酸エステル(例えば、ポリグリセリンモノステアリン酸エステルなどのポリグリセリンC8−24脂肪酸エステル)などが挙げられる。これらの非イオン性界面活性剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、前記ノニオン性界面活性剤において、エチレンオキサイドの平均付加モル数は、1〜35モル、好ましくは2〜30モル、さらに好ましくは5〜20モル程度である。
これらの界面活性剤のうち、製造工程において使用される分散液中において、ナノカーボン材料間のファンデルワールス力による凝集及びバンドル形成を防ぎながら、ナノカーボン材料を水などの分散媒中に安定に微細に分散させることができる点から、陰イオン性界面活性剤と陽イオン性界面活性剤との組み合わせ、両性イオン界面活性剤単独のいずれかが好ましく、両性イオン界面活性剤が特に好ましい。そのため、両性イオン界面活性剤の使用下にナノカーボン材料を分散させた分散液を用いて合成繊維を処理すると、ナノカーボン材料をそれらの繊維表面に、斑なく付着させることができる。
両性イオン界面活性剤としては上記で具体例として挙げたもののいずれもが使用でき、そのうちでも、スルホベタイン類、特に、3−(ジメチルステアリルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−(ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネートなどのジC1−4アルキルC8−24アルキルアンモニオC1−6アルカンスルホネートが好ましい。
界面活性剤の割合は、前記ナノカーボン材料(例えば、カーボンナノチューブ)100質量部に対して、例えば、0.01〜100質量部、好ましくは0.03〜50質量部、さらに好ましくは0.05〜30質量部(特に0.1〜20質量部)程度である。界面活性剤の割合がこの範囲にあると、ナノカーボン材料の均一性を向上させるとともに、高い放射線遮蔽性を維持できる。
遮蔽層には、前記界面活性剤に加えて、さらにハイドレート(水和安定剤)が含まれていてもよい。水和安定剤は、遮蔽性繊維を製造する工程で用いられる分散液中において、界面活性剤の液体媒体(水など)への溶解を促進してその界面活性作用を十分に発揮させるとともに、遮蔽層としてナノカーボン材料を繊維表面に固定させるまで分散状態を維持することに寄与する。
水和安定剤の種類は、界面活性剤の種類、液体媒体(分散媒)の種類などによって異なり得るが、液体媒体として水を使用した場合は、例えば、前記非イオン性界面活性剤(界面活性剤として、非イオン性界面活性剤を使用した場合)、親水性化合物(水溶性化合物)などが使用できる。
親水性化合物(水溶性化合物)としては、例えば、多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ショ糖など)、ポリアルキレングリコール樹脂(ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドなどのポリC2−4アルキレンオキサイドなど)、ポリビニル系樹脂(ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタールなど)、水溶性多糖類(カラギーナン、アルギン酸又は塩など)、セルロース系樹脂(メチルセルロースなどのアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのヒドロキシC2−4アルキルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのカルボキシC1−3アルキルセルロース又はその塩など)、水溶性蛋白質(ゼラチンなど)などが例示できる。
これらの水和安定剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの水和安定剤のうち、グリセリンなどの多価アルコールなどが汎用される。
水和安定剤の割合は、前記界面活性剤100質量部に対して、例えば、0.01〜500質量部、好ましくは1〜400質量部、さらに好ましくは10〜300質量部程度である。
遮蔽層には、前記界面活性剤に加えて、さらにバインダーが含まれていてもよい。バインダーは、ナノカーボン材料(例えば、カーボンナノチューブ)と合成繊維との接着性を向上させる。
バインダーとしては、慣用の接着性樹脂、例えば、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂などが例示できる。これらの接着性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのバインダーのうち、分散媒として水を用いる場合、親水性接着性樹脂、例えば、水性ポリエステル系樹脂、水性アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂が好ましい。
水性ポリエステル系樹脂としては、ジカルボン酸成分(テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸や、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸など)とジオール成分(エチレングリコール、1,4−ブタンジオールなどのアルカンジオールなど)との反応により得られるポリエステル樹脂において、親水性基が導入されたポリエステル樹脂が使用できる。親水性基の導入方法としては、例えば、ジカルボン酸成分として、スルホン酸塩基やカルボン酸塩基などの親水性基を有するジカルボン酸成分(5−ナトリウムスルホイソフタル酸や、3官能以上の多価カルボン酸など)を用いる方法、ジオール成分として、ポリエチレングリコール、ジヒドロキシカルボン酸を用いる方法などが例示できる。
水性アクリル系樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸又はその塩、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸−スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸−酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸−ビニルアルコール共重合体、(メタ)アクリル酸−エチレン共重合体、これらの塩などが例示できる。
酢酸ビニル系樹脂は、酢酸ビニル単位を含む重合体又はそのケン化物であり、例えば、ポリ酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などであってもよい。
さらに、バインダーとしては、有機繊維と同系統の接着性樹脂を使用するのが好ましい。すなわち、例えば、有機繊維として、ポリエステル系繊維を使用した場合には、バインダーとしては水性ポリエステル系樹脂を使用するのが好ましい。
バインダーの割合は、ナノカーボン材料の表面を完全に被覆することなく、ナノカーボン材料を繊維表面に円滑に付着させる点から、ナノカーボン材料(例えば、カーボンナノチューブ)100質量部に対して、例えば、50〜400質量部、好ましくは60〜350質量部、さらに好ましくは100〜300質量部(特に100〜200質量部)程度である。
なお、本発明では、有機繊維の表面とナノカーボン材料とが互いの親和性により付着されているため、バインダーは必ずしも必要ではなく、バインダーを含有しない場合であっても遮蔽層が合成繊維の表面に強固に付着している。すなわち、遮蔽性繊維はバインダーを実質的に含有しない繊維であってもよい。
特に、有機繊維がポリエステル繊維で形成されている場合には、ポリエステル繊維とナノカーボン材料との親和性が高いため、バインダーを用いなくてもナノカーボン材料がポリエステル繊維の繊維表面に強固に付着し、バインダーを用いなくても充分な付着強度を発現し、少量のバインダーを用いることでナノカーボン材料の繊維表面への付着強度が一層高くなる。
遮蔽層は、さらに慣用の添加剤、例えば、表面処理剤(例えば、シランカップリング剤などのカップリング剤など)、着色剤(染顔料など)、色相改良剤、染料定着剤、光沢付与剤、金属腐食防止剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、分散安定化剤、増粘剤又は粘度調整剤、チクソトロピー性賦与剤、レベリング剤、消泡剤、殺菌剤、充填剤などを含んでいてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(オーバーコート層)
前記遮蔽性繊維は、繊維構造体において、繊維同士の接触や、外部からの接触による遮蔽層の脱落を抑制するため、さらに樹脂などで被覆してオーバーコート層を形成してもよい。オーバーコート層としては、前記有機繊維を構成する合成樹脂、非合成樹脂や、各種の後工程で用いられる樹脂などで構成されていてもよい。さらに、オーバーコート層は、ナノカーボン材料の付着にバインダーを使用した場合には、バインダー、特に、遮蔽層を構成するバインダーと同種又は同一のバインダーで形成してもよい。この場合、遮蔽層を形成した後に、カーボンナノチューブを含有しないバインダー溶液を用いて遮蔽層にバインダーで構成されたオーバーコート層を被覆することにより、遮蔽層に対して密着力の高いオーバーコート層を簡便に形成できる。
オーバーコート層の被覆率は、適宜選択でき、例えば、遮蔽層の表面の一部(局所)に形成してもよく、遮蔽層の全表面の50%以上(例えば、50〜100%)、好ましくは90%以上(例えば、90〜100%)、さらに好ましくは全体(100%)を被覆してもよい。
(繊維構造体)
繊維構造体は、前記遮蔽性繊維を含み、遮蔽性繊維単独で形成されていてもよく、さらに非遮蔽性繊維を含んでいてもよい。非遮蔽性繊維としては、有機繊維の項で例示された非合成繊維、合成繊維などが利用でき、例えば、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、アクリル系繊維、液晶ポリマーで形成された繊維などが好ましく利用できる。非遮蔽繊維の横断面形状や種類、マルチフィラメント糸や紡績糸の単糸繊度、本数、撚り数についても、遮蔽繊維と同様の繊維を利用できる。遮蔽性繊維の割合は、繊維構造体全体に対して、例えば、1質量%以上(例えば、10〜100質量%)、好ましくは30〜100質量%、さらに好ましくは50〜100質量%(特に90〜100質量%)程度である。
繊維構造体の例としては、編織物、紙類、不織布などが挙げられる。また、同一種又は複数種の構造体を組み合わせた複合型の繊維構造体であってもよく、例えば、目的の放射線遮蔽率を実現するために、特定の織物を積層したシート状物、板状物、三次元状成形体などであってもよい。
編織物には、織物、編物の他、レース地や網なども含まれる。これらの編織物のうち、円面に亘り放射線を遮蔽できる点から、目開きの少ない織物及び編物が好ましい。また、紙類や不織布も、同様の理由から、穴や透け通し部のない紙類及び不織布が好ましい。
織物としては、慣用の織物(織物生地又は織布)、例えば、タフタ織などの平織、綾織又は斜紋織(ツイル織)、朱子織、パイル織などが挙げられる。これらの織物のうち、高密度の組織を形成でき、遮蔽層をより多くコンパクトに形成し易い点から、ツイル織、平織が好ましい。
織物の場合、打ち込み本数の調整により放射線遮蔽効率を向上させるため、糸密度(打ち込み本数)を調整してもよい。例えば、50〜150dtex(特に100〜120dtex)の遮蔽性繊維を用いた場合、経密度は、例えば、80〜200本/インチ、好ましくは90〜150本/インチ、さらに好ましくは100〜130本/インチ程度としてもよい。一方、緯密度は、例えば、70〜130本/インチ、好ましくは75〜125本/インチ、さらに好ましくは80〜120本/インチ程度としてもよい。このような糸密度で織物を構成し、かつ緯糸及び/又は経糸(特に緯糸及び経糸)として、遮蔽性繊維を使用すると、有効に放射線遮蔽効率を向上できる。
編物としても、慣用の編物(編物生地又は編布)、例えば、平編(天竺編)、経編、丸編、横編、両面編、ゴム編、パイル編などが挙げられる。
不織布としても、慣用の不織布、例えば、湿式不織布、乾式不織布、メルトブローン不織布、スパンボンド不織布などが挙げられる。
繊維構造体は、遮蔽性繊維を原料として形成された繊維構造体であってもよく、有機繊維で構成された繊維構造体に対して遮蔽層を付与して得られた繊維構造体であってもよい。
繊維構造体の単位面積当たりの重さ(目付量)としては、放射線遮蔽効率の点から、例えば、10〜300g/m、好ましくは30〜250g/m、さらに好ましくは50〜200g/m程度である。目付量をこの範囲にすることにより、軽量で薄くてしなやかであり、かつ高い放射線遮蔽性を実現できる。
繊維構造体の厚みは、例えば、0.1〜1mm、好ましくは0.15〜0.8mm、さらに好ましくは0.2〜0.6mm程度である。
本発明の放射線遮蔽材は、このような繊維構造体で形成されているため、各種の放射線、例えば、α線、β線、γ線、X線、中性子線などを遮蔽できる。これらの放射線のうち、X線、γ線を効率良く遮蔽でき、特に、波長2Å以下の放射線に対して効果的であり、0.8Å以下(例えば、0.01〜0.8Å程度)の放射線に対して特に効果的である。
[遮蔽性繊維を含む繊維構造体で形成された放射線遮蔽材の製造方法]
遮蔽性繊維を含む繊維構造体で形成された放射線遮蔽材は、ナノカーボン材料(例えば、カーボンナノチューブ)を含む分散液を用いて、有機繊維(又は繊維構造体を構成する有機繊維)の表面にナノカーボン材料を含む遮蔽層を付着させる工程の後、遮蔽層が表面に付着した遮蔽性繊維を乾燥する工程を経て製造される。
遮蔽層の付着工程において、分散液中におけるナノカーボン材料の濃度は、特に制限されないが、目的とする放射線遮蔽性に応じて、分散液の全質量に対してナノカーボン材料(例えば、カーボンナノチューブ)の含有量が0.1〜30質量%(特に0.1〜10質量%)となる範囲から適宜選択できる。バインダーを使用する場合も、ナノカーボン材料に対して所望の割合となるように、このような範囲から選択できる。
ナノカーボン材料を分散させるための分散媒(液体媒体)としては、例えば、慣用の極性溶媒(水、アルコール類、アミド類、環状エーテル類、ケトン類など)、慣用の疎水性溶媒(脂肪族又は芳香族炭化水素類、脂肪族ケトン類など)、又はこれらの混合溶媒などが使用できる。これらの溶媒のうち、簡便性や操作性の点から、水が好ましく用いられる。
また、処理に用いるナノカーボン材料の分散液は、水などの液体媒体中にナノカーボン材料を凝集することなく安定に分散させるために、前記界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤の使用量は、例えば、ナノカーボン材料(例えば、カーボンナノチューブ)100質量部に対して、界面活性剤を1〜100質量部(特に5〜50質量部)程度の範囲から選択できる。
界面活性剤、特に両性イオン界面活性剤を用いたナノカーボン材料の分散液では、界面活性剤の液体媒体(水など)への溶解を促進してその界面活性作用を十分に発揮させるために、分散液中にハイドレート(水和安定剤)を添加するのが好ましい。
水和安定剤の使用量は、界面活性剤100質量部に対して、10〜500質量部(特に50〜300質量部)程度の範囲から選択できる。
このような分散液の調製方法は、特に制限されず、ナノカーボン材料間の凝集、バンドル化を生ずることなく、ナノカーボン材料が水などの液体媒体中に微分散状態で安定に分散した分散液を調製できる方法であれば、いずれの方法で調製してもよい。
特に、本発明では、界面活性剤(特に両性イオン界面活性剤)の存在下で、水性媒体のpHを4.0〜8.0、好ましくは4.5〜7.5、さらに好ましくは5.0〜7.0に保持しながら、水性媒体(水)中にカーボンナノチューブを分散処理する調製方法が好ましい。この調製方法における分散処理は、分散装置としてメディアを用いたミル(メディアミル)を用いて行うのが好ましい。メディアミルの具体例としては、ビーズミル、ボールミルなどを挙げることができる。ビーズミルを用いる場合には、直径が0.1〜10mm、好ましくは0.1〜1.5mm(例えば、ジルコニアビーズなど)などが好ましく用いられる。特に、予めボールミルを用いて、ナノカーボン材料、界面活性剤(及び必要に応じてバインダーなど)を水性媒体中に混合してペースト状物を調製した後、ビーズミルを用いて界面活性剤を含む水性媒体を加えて分散液を調製してもよい。
この調製方法で得られる分散液においては、界面活性剤によってナノカーボン材料間のファンデルワールス力による凝集及びバンドル形成を生ずることなく、水性媒体中に微分散状で安定に分散しているので、この分散液を用いて処理を行うと、繊維表面にナノカーボン材料を均一に付着させることができる。
ナノカーボン材料の分散液による有機繊維又は繊維構造体の処理方法は、特に制限されず、有機繊維(又は繊維構造体を構成する有機繊維)の繊維表面にナノカーボン材料を含む遮蔽層を均一に付着できる方法であればいずれの方法であってもよい。そのような処理方法としては、例えば、有機繊維又は繊維構造体をナノカーボン材料の分散液中に浸漬する方法、タッチ式ローラを用いたサイジング装置、ドクター、パッド、噴霧装置、糸プリント装置や生地プリント装置などの被覆装置を用いて有機繊維又は繊維構造体をナノカーボン材料の分散液で処理する方法などが挙げられる。
分散液を用いた処理における温度は、特に限定されず、例えば、0〜150℃程度の範囲から選択でき、好ましくは5〜100℃、さらに好ましくは10〜50℃程度であり、通常、常温で処理される。
これらの処理方法のうち、均一な遮蔽層を形成できる点から、ナノカーボン材料の分散液中に浸漬する方法、糸プリント方法又は生地プリント方法が好ましい。さらに、分散液での付着処理において有機繊維又は繊維構造体に微振動を付与する方法が好ましい。有機繊維又は繊維構造体に微振動を付与しながら処理すると、有機繊維がマルチフィラメント糸や紡績糸であっても、分散液がマルチフィラメント糸や紡績糸の束の内部にまで浸透し、繊維の内部や繊維の単糸1本1本の全表面にわたって均一な遮蔽層を形成できる。
微振動の振動数としては、例えば、20Hz以上であればよく、例えば、20〜2000Hz、好ましくは50〜1000Hz、さらに好ましくは100〜500Hz(特に100〜300Hz)程度である。
微振動を付与する手段は、特に限定されず、慣用の手段、例えば、機械的な手段や超音波を使用する手段などが挙げられる。機械的な手段としては、例えば、有機繊維をサイジング装置や浸漬槽などに案内するための糸ガイド又はサイジング装置や浸漬槽自体に振動を付与することにより、もしくは分散液に振動を付与することにより、有機繊維に振動を付与する方法であってもよい。
繊維構造体を処理する場合は、分散液中に浸漬する方法(ディップ・ニップ方式)が好ましく、ディップ・ニップ法において微振動を付与する方法が特に好ましい。
分散液を用いた付着処理は、1回だけの操作であってもよいし、同じ操作を複数回繰り返してもよい。
乾燥工程では、ナノカーボン材料の分散液で処理を行った有機繊維又は繊維構造体から液体媒体を除去し、乾燥することで、有機繊維の表面にナノカーボン材料が遮蔽層として均一に薄層状態で付着した遮蔽性繊維又は遮蔽性繊維を含む繊維構造体を得る。
乾燥温度は、分散液中の液体媒体(分散媒)の種類に応じて選択でき、分散媒として水を用いた場合には、有機繊維の材質にもよるが、通常、100〜230℃(特に110〜200℃)程度の乾燥温度が採用される。ポリエステル繊維の場合、例えば、120〜230℃(特に150〜200℃)程度であってもよい。
前記繊維構造体で形成されたシート状放射線遮蔽材の厚みは、例えば、0.1〜20mm、好ましくは0.2〜10mm、さらに好ましくは0.5〜5mm程度であり、単層であってもよく、複数枚(例えば、10〜100枚、好ましくは20〜80枚)を積層してもよい。
本発明の放射線遮蔽材は、各種の放射線、例えば、α線、β線、γ線、X線、中性子線などを遮蔽できる。これらの放射線のうち、特に、波長2Å以下の放射線に対して効果的であり、0.8Å以下(例えば、0.01〜0.8Å程度)の放射線(例えば、X線、γ線)に対して特に効果的である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。以下の例において、特にことわりのない限り、「%」は「質量%」を表す。
実施例1(カーボンナノチューブのコンパウンド成形体の作製)
カーボンナノチューブ(保土ヶ谷化学(株)製「NT−7」、中空部内径3〜7nm、両端部が開放されているカーボンナノチューブ)20質量部を、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ(株)製「J−108M」、MFR50g/10分)100質量部に配合し、2軸混練機で混練してコンパウンドのペレットを作製した。さらに、このペレットを用いて、射出成形機にて3cm×5cm、厚み5mmのプレートを作製した。
比較例1(グラファイトのコンパウンド成形体の作製)
平均粒径15μmに粉砕した天然グラファイト(マダガスカル産)20質量部を、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ(株)製「J−108M」、MFR50g/10分)100質量部に配合し、2軸混練機で混練してコンパウンドのペレットを作製した。さらに、このペレットを用いて、射出成形機にて3cm×5cm、厚み5mmのプレートを作製した。
実施例1及び比較例1で得られたプレートのX線遮蔽性能を、下記の条件で、測定対象物へのX線の入射強度をI、透過強度をIとして、X線遮蔽率を[(I−I)/I]×100(%)として求めた。
・測定条件:17.5keV、線源MoKα、機種RINT TTRII (株)リガク製
・X線:波長0.709Å
その結果、実施例1のプレートでは8.6%、比較例1のプレートでは5.7%であり、同じカーボン材料でありながら、グラファイトよりもカーボンナノチューブを含む遮蔽材の方が高いX線遮蔽性能を示した。
実施例2
(1)多層カーボンナノチューブ塗料の作製
アクリル樹脂の水分散液(DIC(株)製「ボンコート40−418EF」を水で固形分30質量%に調製した分散液)100重量部に、多層カーボンナノチューブ(バイエルマテリアルサイエンス社製「Baytubes C150P」、中空部の内径2〜6nm、両端部が開放されているカーボンナノチューブ)2重量部を添加し、ビーズミル(ウイリー・エ・バッコーフェン社製「DYNO−MILL」)にて分散処理し、カーボンナノチューブが分散したアクリル樹脂分散液(塗料)を調製した。
(2)多層カーボンナノチューブ塗工シート作製
バーコーターを用いて、ポリエステル製生地(ポリエステル糸:ポリエステル167T48、ツイル組織、目付150g/m)に、調製した分散液を均一に塗工して乾燥し、目付270g/mのシート状物を得た。
実施例3
(1)単層カーボンナノホーン塗料の作製
アクリル樹脂の水分散液(ボンコート40−418EFを水で固形分30質量%に調製した分散液)100重量部に、単層カーボンナノホーン(中空部の内径1.5〜5nm、片方の端部が開放しているカーボンナノチューブ)2重量部を添加し、実施例2と同様にして、単層カーボンナノホーンが分散したアクリル樹脂分散液(塗料)を調製した。
(2)単層カーボンナノホーン塗工シート作製
バーコーターを用いて、ポリエステル製生地(ポリエステル糸:ポリエステル167T48、ツイル組織、目付150g/m)に、調製した分散液を均一に塗工して乾燥し、目付268g/mのシート状物を得た。
実施例4
(1)単層カーボンナノチューブ塗料の作製
アクリル樹脂の水分散液(ボンコート40−418EFを水で固形分30質量%に調製した分散液)100重量部に、単層カーボンナノチューブ(Unidym社製、中空部の内径0.8〜3nm、両端部が開放されているカーボンナノチューブ)2重量部を添加し、実施例2と同様にして、単層カーボンナノチューブが分散したアクリル樹脂分散液(塗料)を調製した。
(2)単層カーボンナノチューブ塗工シート作製
バーコーターを用いて、ポリエステル製生地(ポリエステル糸:ポリエステル167T48、ツイル組織、目付150g/m)に、調製した分散液を均一に塗工して乾燥し、目付268g/mのシート状物を得た。
比較例2
(1)C60フラーレン塗料の作製
アクリル樹脂の水分散液(ボンコート40−418EFを水で固形分30質量%に調製した分散液)100重量部に、C60フラーレン(フロンティアカーボン社製、中空部の内径0.8〜3nm)2重量部を添加し、実施例2と同様にして、C60フラーレンが分散したアクリル樹脂分散液(塗料)を調製した。
(2)C60フラーレン塗工シート作製
バーコーターを用いて、ポリエステル製生地(ポリエステル糸:ポリエステル167T48、ツイル組織、目付150g/m)に、調製した分散液を均一に塗工して乾燥し、目付275g/mのシート状物を得た。
比較例3
(1)グラファイト塗料の作製
アクリル樹脂の水分散液(ボンコート40−418EFを水で固形分30質量%に調製した分散液)100重量部に、平均粒径15μmに粉砕した天然グラファイト(マダガスカル産)2重量部を添加し、実施例2と同様にして、グラファイトが分散したアクリル樹脂分散液(塗料)を調製した。
(2)グラファイト塗工シート作製
バーコーターを用いて、ポリエステル製生地(ポリエステル糸:ポリエステル167T48、ツイル組織、目付150g/m)に、調製した分散液を均一に塗工して乾燥し、目付273g/mのシート状物を得た。
実施例2〜4及び比較例2〜3で得られたシート状物を各々50枚重ねて、X線遮蔽性能を実施例1と同様の方法で測定した結果を表2に示す。
表2の結果から明らかなように、ナノサイズの中空部を有するチューブ状ナノカーボン材料は、C60フラーレン及びグラファイトに比べて、高いX線遮蔽率を示した。
実施例5(カーボンナノチューブペレットの作製)
カーボンナノチューブ(ナノシル社製「NC7000」、中空部の内径3〜5nm、両端部が開放されているカーボンナノチューブ)80質量部に、バインダーとしてフレーク状のポリエステル樹脂(DIC(株)製「ファインディック M−8020」)をサンプルミルで粉砕した粉末20質量部を配合し、ヘンシェルミキサーで混合した後、10トン/cmの加圧条件にて、直径8mm、高さ5mmの円柱状のペレットを作製した。
比較例4(カーボンナノチューブペレットの作製)
カーボンナノチューブ(JFEエンジニアリング(株)製「JFE−CNT、中空部なし)80質量部に、バインダーとしてポリエステル樹脂粉末20質量部を配合し、ヘンシェルミキサーで混合した後、10トン/cmの加圧条件にて、直径8mm、高さ5mmの円柱状のペレットを作製した。
実施例5及び比較例4で得られたペレットのX線遮蔽性能を実施例1と同様の方法で測定した結果、実施例5のペレットでは33.8%、比較例4のペレットでは23.9%であり、同じカーボンナノチューブでありながら、中空構造を有さないカーボンナノチューブよりも、ナノ中空部を有するカーボンナノチューブを含む遮蔽材の方が高いX線遮蔽性能を示した。
実施例6
(1)カーボンナノチューブの水性分散液の調製:
(i)3−(ジメチルステアリルアンモニオ)プロパンスルホネート(両性イオン界面活性剤)2.0g、グリセリン(水和安定剤)5mlおよび脱イオン水495mlを混合して、界面活性剤の水溶液(pH6.5)を調製した。
(ii)前記(i)で得られた界面活性剤の水溶液500mlおよびカーボンナノチューブ(バイエル社製「BaytubesC150P」)30.4gを、ボールミル胴体(円筒形、内容積=1800ml、ボールの直径=150mm、ボール量の充填量=3200g)に入れて、手で攪拌してペースト状物とした後、ボールミル胴体を回転架台(アサヒ理科製作所製「AS ONE」)に載せて1時間撹拌してカーボンナノチューブを含有する液状物とした。
(iii)前記(ii)で生成したカーボンナノチューブを含有する液状物の全量をボールミル胴体から取り出して、前記(i)と同様に調製した界面活性剤の水溶液500mlを追加し、さらに水性バインダー(明成化学(株)製「メイバインダーNS」、ポリエステル系バインダー)を固形成分換算で30.0g添加し、ビーズミル(WAB社製「ダイノーミル」、筒形状、内容積=2000ml、直径0.6mmのジルコニアビーズを1800g充填)に充填して、回転数300回/分の条件下に60分間撹拌して、両性イオン界面活性剤を含有するカーボンナノチューブの水性分散液[カーボンナノチューブの濃度=2.96w/w%、バインダーの含有量=2.26w/w%]を調製した。なお、ビーズミルによる撹拌操作中、水性分散液のpHは5.3〜6.8に維持されていた。
(2)ポリエステル加工糸へのカーボンナノチューブの付着処理:
(i)市販のポリエステル加工糸(クラレトレーディング(株)製「スペースマスターUV」、84dtex/48フィラメント、平均粒径0.32μmの酸化チタン粒子2.0質量%含有)に対して、前記(1)で得られたカーボンナノチューブの水性分散液を用い、一般的なサイジング糊付け手法でカーボンナノチューブを付着した。詳しくは、ポリエステル加工糸を分散液に浸漬する際に、微振動させた糸ガイドを通して、200Hzの微振動を糸に与え、次いで、180℃で2分間乾燥し、カーボンナノチューブが付着した108dtexの遮蔽性繊維を得た。マルチフィラメント糸であるポリエステル加工糸(スペースマスターUV)の単糸は、表面に長さ方向に延びる4個所の凹部を有する断面四葉形状(十字状)の繊維である。
(ii)前記(2)で得られた遮蔽性繊維におけるカーボンナノチューブの付着量を以下の方法で測定したところ、付着量は遮蔽性繊維1g当たり0.085gであった。
なお、繊維における単位質量当たりのカーボンナノチューブの付着量は、カーボンナノチューブを付与した後の質量と、付与する前の質量と、カーボンナノチューブの分散液中の全固形分濃度と、カーボンナノチューブの濃度との比率から算出した。
さらに、得られた繊維を光学顕微鏡で観察した結果、得られた遮蔽性繊維の全表面は実質的にカーボンナノチューブで黒く覆われており、カーボンナノチューブに覆われていない部分は実質的に見あたらず、表面被覆率は100%であった。
なお、遮蔽層による表面被覆率は、カーボンナノチューブを付与した後の繊維を光学顕微鏡で観察し、実質的にカーボンナノチューブで覆われている部分と、覆われていない部分との面積の比率により求めた。
(3)織布の作製:
得られた遮蔽性繊維を経糸及び緯糸の全てに配置し、平織組織にて織物を作製し、経糸密度113本/インチ、緯糸密度94本/インチで、目付88g/mの生地を得た。この生地を用いて、以下のように、放射線遮蔽率を測定した。
(4)放射線遮蔽率の測定:
放射線の入射強度をI、透過強度をIとして、遮蔽率を[(I−I)/I]×100(%)として求めた。
(i)X線:波長1.54Å
・測定条件:8.05keV、線源CuKα、機種D8 DISCOVER with GADDS Bruker社製
・測定結果:得られた生地を10枚重ねて遮蔽率を測定した結果、遮蔽率は67%であり、25枚重ねて遮蔽率を測定した結果、遮蔽率は94%であった。
(ii)X線:波長0.709Å
・測定条件:14.1keV、線源MoKα、機種RINT TTRII (株)リガク製
・測定結果:得られた生地を25枚重ねて遮蔽率を測定した結果、遮蔽率は10.5%であり、100枚重ねて遮蔽率を測定した結果、遮蔽率は29.4%であった。
(iii)γ線:波長0.0187Å
・測定条件:0.66MeV、線源セシウム137
・測定結果:得られた生地1枚の遮蔽率を測定した結果、遮蔽率は3.2%であった。
比較例5
目付130g/mのレギュラーポリエステル織物生地(酸化チタン粒子0.3質量%含有)を用いて、実施例6と同様の放射線遮蔽率を測定した結果、波長1.54ÅのX線の遮蔽率は58%(10枚重ね)及び89%(25枚重ね)、波長0.709ÅのX線の遮蔽率は6.5%(25枚重ね)及び20.4%(100枚重ね)、γ線の遮蔽率1.2%であった。
実施例7
実施例6と同様の方法で、表面被覆率100%でカーボンナノチューブが付着した110dtexの遮蔽性繊維を得た。遮蔽性繊維におけるカーボンナノチューブの付着量を前記方法で測定したところ、付着量は遮蔽性繊維1g当たり0.085gであった。得られた遮蔽性繊維を経糸及び緯糸の全てに配置し、平織組織にて織物を作製し、経糸密度110本/インチ、緯糸密度90.5本/インチで、目付87g/mの生地を得た。
実施例8
市販のポリエステル加工糸として、酸化チタン粒子含有量の少ないポリエステル加工糸(松文産業(株)製「167T48」、167dtex/48フィラメント、平均粒径0.32μmの酸化チタン粒子0.1質量%含有)を用いる以外は実施例6と同様にして、カーボンナノチューブが付着した230dtexの遮蔽性繊維を得た。マルチフィラメント糸であるポリエステル加工糸(167T48)の単糸は、断面丸形状の繊維である。得られた遮蔽性繊維におけるカーボンナノチューブの付着量を前記方法で測定したところ、付着量は遮蔽性繊維1g当たり0.090gであった。
さらに、得られた繊維を光学顕微鏡で観察した結果、得られた遮蔽性繊維の全表面は実質的にカーボンナノチューブで黒く覆われており、カーボンナノチューブに覆われていない部分は実質的に見あたらず、表面被覆率は100%であった。
得られた遮蔽性繊維を経糸及び緯糸の全てに配置し、平織組織にて織物を作製し、経糸密度72本/インチ、緯糸密度60.5本/インチで、目付120g/mの生地を得た。
比較例6
市販のポリエステル加工糸(スペースマスターUV)を経糸及び緯糸の全てに配置し、平織組織にて織物を作製し、経糸密度110本/インチ、緯糸密度90.5本/インチで、目付66g/mの生地を得た。
比較例7
市販のポリエステル加工糸(167T48)を経糸及び緯糸の全てに配置し、平織組織にて織物を作製し、経糸密度73本/インチ、緯糸密度60.5本/インチで、目付88g/mの生地を得た。
実施例7〜8及び比較例6〜7で得られた生地を40枚又は60枚重ねて、下記の条件で、測定対象物へのX線の入射強度をI、透過強度をIとして、遮蔽率を[(I−I)/I]×100(%)としてX線遮蔽率を求めた。
・測定条件:50keV、10mA、線源MoKα、機種RINT TTRII (株)リガク製
・X線:波長0.709Å
得られた結果を表3に示す。
表3の結果から明らかなように、カーボンナノチューブを含む実施例は、カーボンナノチューブを含まない比較例に比べてX線遮蔽率が優れていた。さらに、カーボンナノチューブを含む実施例では、カーボンナノチューブの付着量が略同等の繊維において、酸化チタン粒子の割合が増加することにより、X線遮蔽率が向上しているのに対して、カーボンナノチューブを含まない比較例では、酸化チタン粒子の割合が増加しても、X線遮蔽率に向上は見られなかった。すなわち、カーボンナノチューブと酸化チタン粒子とを組み合わせることにより相乗効果が発現することが確認できた。
本発明の放射線遮蔽材は、軽量であり、取り扱い性に優れるため、放射線が関与する種々の分野、特に防護分野に利用できる。
具体的には、衣料や日用品としての防護材料としては、例えば、衣類(作業服などのシャツやズボンなど)、着装品(マスク、手袋、帽子、エプロン、バンド、ベルト、帯、履物、靴、ボタン類など)、日用品(ブラシ、鞄類、袋物、傘、面ファスナー、清掃用具など)、寝装品(クッション、座布団、枕、マットレス、蒲団など)、遮蔽材又は間仕切り材(カバー、カーテン、パーテーションなど)、板状又はシート状物(壁掛け、敷物、カーペット、畳類、人工芝、マット、シートなど)などに利用できる。
建築関係の防護材料としては、例えば、テント類(移動式テント、テント倉庫など)、カバー又は遮蔽材(サンシェード、雨覆い、日覆い、天幕、ターポリンなど)、建材(家屋、集合住宅、ビル、工場などの壁材・壁紙や天井材などの内装材、外装材など)などに利用できる。
機器類の防護材料としては、例えば、精密電子機器類のカバー材や梱包材などに利用できる。
交通機関関係の防護材料としては、例えば、列車、車、飛行機、飛行船、船などのベヒクルの内装材、外装材、シート類などに利用できる。
農作物や家畜の防護材料としては、例えば、農業用シート類、ハウス栽培の内外装材、家畜舎の内外装材などに利用できる。
特に、繊維構造体で形成された放射線遮蔽材は、軽量性、柔軟性、取り扱い性に優れるため、前記防護分野の材料に適している。繊維構造体の形態としては、織物、編物、紙類、不織布、フェルト、糸、ひも、組ひも、網類、ネット類、シート状物などの素材であってもよい。例えば、繊維構造体で形成された放射線遮蔽材は、軽量であるため、放射線を取り扱う作業や検査において、人体に着用する用途、例えば、原子力発電所などの原子力関連施設における防護服や、X線投影を行うための医療用防護材料(衣服や防護板など)にも利用できる。

Claims (21)

  1. 放射線を吸収するナノカーボン材料を含む放射線遮蔽材であって、前記ナノカーボン材料が、ナノサイズの中空部を有するチューブ状である放射線遮蔽材。
  2. ナノカーボン材料の質量吸収係数が0.6cm/g以上である請求項1記載の放射線遮蔽材。
  3. ナノカーボン材料の中空部の平均内径が0.4〜10nmであり、かつ前記中空部にカーボン材料が充填されていない請求項1又は2記載の放射線遮蔽材。
  4. ナノカーボン材料がカーボンナノチューブである請求項1〜3のいずれかに記載の放射線遮蔽材。
  5. ナノカーボン材料が、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ及び多層カーボンナノチューブからなる群から選択された少なくとも一種である請求項1〜4のいずれかに記載の放射線遮蔽材。
  6. ナノカーボン材料が単層カーボンナノチューブである請求項1〜5のいずれかに記載の放射線遮蔽材。
  7. カーボンナノチューブの両端が開口している請求項4〜6のいずれかに記載の放射線遮蔽材。
  8. ナノカーボン材料が、カーボンナノホーンである請求項1〜3のいずれかに記載の放射線遮蔽材。
  9. さらに金属又は金属化合物で形成された無機粒子を含む請求項1〜8のいずれかに記載の放射線遮蔽材。
  10. 遮蔽性繊維を含む繊維構造体で形成され、前記遮蔽性繊維が、有機繊維とこの有機繊維の表面を被覆するナノカーボン材料とを含む請求項1〜9のいずれかに記載の放射線遮蔽材。
  11. ナノカーボン材料の割合が、有機繊維100質量部に対して1〜200質量部である請求項10記載の放射線遮蔽材。
  12. 遮蔽性繊維が、有機繊維と、この有機繊維の表面を被覆し、かつナノカーボン材料を含む遮蔽層とで形成され、かつ前記有機繊維を構成する各単糸に対する前記遮蔽層の被覆率が30%以上である請求項10又は11記載の放射線遮蔽材。
  13. 有機繊維が、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂及びアクリル系樹脂からなる群から選択された少なくとも一種で形成された合成繊維である請求項10〜12のいずれかに記載の放射線遮蔽材。
  14. 有機繊維が液晶ポリマーで形成された合成繊維である請求項10〜13のいずれかに記載の放射線遮蔽材。
  15. 有機繊維がマルチフィラメント糸であり、単糸繊度が10dtex以下である請求項10〜14のいずれかに記載の放射線遮蔽材。
  16. 有機繊維が、長さ方向に延びる複数の凹部又は溝部を有する請求項10〜15のいずれかに記載の放射線遮蔽材。
  17. 有機繊維が、金属酸化物粒子を含む請求項10〜16のいずれかに記載の放射線遮蔽材。
  18. 金属酸化物粒子の割合が、有機繊維全体に対して1質量%以上である請求項17記載の放射線遮蔽材。
  19. 金属酸化物粒子の割合が、ナノカーボン材料100質量部に対して10〜50質量部である請求項17又は18記載の放射線遮蔽材。
  20. 金属酸化物粒子が、酸化チタン粒子である請求項17〜19のいずれかに記載の放射線遮蔽材。
  21. 請求項1〜20のいずれかに記載の放射線遮蔽材を用いて、放射線を前記ナノカーボン材料に吸収することにより放射線を遮蔽する方法。
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